(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230929BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023071462
(22)【出願日】2023-04-25
【審査請求日】2023-06-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522325919
【氏名又は名称】株式会社Godot
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】森山 健
(72)【発明者】
【氏名】鬼澤 綾
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-101654(JP,A)
【文献】特開2020-149131(JP,A)
【文献】国際公開第2021/044645(WO,A1)
【文献】特許第6935118(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0301255(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各行動変容手法(BCT)に作用するナッジ要素を前記各BCTと関連付けて記憶する記憶部と、
一以上のBCTが適用されている特定のサービスを構成するコンテンツに関する
コンテンツ情報と、前記特定のサービスの利用者による対象行動に関する
対象行動情報と、を取得する取得部と、
前記
コンテンツ情報に基づいて、前記特定のサービスに適用されている
前記一以上のBCTである適用済BCTの成分を示す適用済BCT情報を抽出する抽出部と、
前記
対象行動情報に基づいて、
前記特定のサービスに適用することが推奨される
一以上のBCTである推奨BCTの成分を示す推奨BCT情報を導出する導出部と、
前記適用済BCT情報が示す一以上の適用済BCTの成分と前記推奨BCT情報が示す一以上の推奨BCTの成分と差分に基づいて、前記特定のサービスに対する介入用の
BCTを特定し、特定された前記介入用のBCTに前記記憶部で関連付けて記憶される一以上の
ナッジ要素を含む
ナッジ要素セットを生成する生成部と、
前記
ナッジ要素セットに関する情報を出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記推奨BCTの成分に対して前記適用済BCTの成分が不足する場合、該適用済BCTの少なくとも一つを前記介入用のBCTとして特定する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記導出部は、前記
対象行動情報に基づいて、前記
推奨BCTの成分間の比が1に近づくように、前記
推奨BCT情報を導出する、
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記導出部は、前記
対象行動情報に基づいて、前記
推奨BCTの特定の成分と他の成分間の比が前記
推奨BCTの他の成分間の比よりも大きくなるように、前記
推奨BCT情報を導出する、
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記
推奨BCT情報が示す一以上の推奨BCTの成分と前記
適用済BCT情報が示す一以上の適用済BCTの成分との差分の大きさに基づいて、前記
ナッジ要素セットに含める
前記介入用BCT毎の前記ナッジ要素の数又は量を制御する、
請求項3又は請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、コンテンツに関する情報と
BCTに関する情報とを学習用データとする機械学習に基づく第1のモデルを記憶し、
前記抽出部は、前記コンテンツに関する情報を前記第1のモデルに入力して、前記
適用済BCT情報を抽出する、
請求項2から請求項4のいずれか記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、行動に関する情報と
BCTに関する情報とを学習用データとする機械学習に基づく第2のモデルを記憶し、
前記導出部は、前記対象行動に関する情報を前記第2のモデルに入力して、前記
推奨BCT情報を導出する、
請求項6記載の情報処理装置。
【請求項8】
各行動変容手法(BCT)に作用するナッジ要素を前記各BCTと関連付けて記憶する記憶部を備える情報処理装置が、
一以上のBCTが適用されている特定のサービスを構成するコンテンツに関する
コンテンツ情報と、前記特定のサービスの利用者による対象行動に関する
対象行動情報と、を取得する工程と、
前記
コンテンツ情報に基づいて、前記特定のサービスに適用されている
前記一以上のBCTである適用済BCTの成分を示す適用済BCT情報を抽出する工程と、
前記
対象行動情報に基づいて、
前記特定のサービスに適用することが推奨される
一以上のBCTである推奨BCTの成分を示す推奨BCT情報を導出する工程と、
前記適用済BCT情報が示す一以上の適用済BCTの成分と前記推奨BCT情報が示す一以上の推奨BCTの成分と差分に基づいて、前記特定のサービスに対する介入用の
BCTを特定し、特定された前記介入用のBCTに前記記憶部で関連付けて記憶される一以上の
ナッジ要素を含む
ナッジ要素セットを生成する工程と、
前記
ナッジ要素セットに関する情報を出力する工程と、
を有す
る情報処理方法。
【請求項9】
各行動変容手法(BCT)に作用するナッジ要素を前記各BCTと関連付けて記憶する記憶部を備えるコンピュータに、
一以上のBCTが適用されている特定のサービスを構成するコンテンツに関する
コンテンツ情報と、前記特定のサービスの利用者による対象行動に関する
対象行動情報と、を取得する工程と、
前記
コンテンツ情報に基づいて、前記特定のサービスに適用されている
前記一以上のBCTである適用済BCTの成分を示す適用済BCT情報を抽出する工程と、
前記
対象行動情報に基づいて、
前記特定のサービスに適用することが推奨される
一以上のBCTである推奨BCTの成分を示す推奨BCT情報を導出する工程と、
前記適用済BCT情報が示す一以上の適用済BCTの成分と前記推奨BCT情報が示す一以上の推奨BCTの成分と差分に基づいて、前記特定のサービスに対する介入用の
BCTを特定し、特定された前記介入用のBCTに前記記憶部で関連付けて記憶される一以上の
ナッジ要素を含む
ナッジ要素セットを生成する工程と、
前記
ナッジ要素セットに関する情報を出力する工程と、
を実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人間の行動を科学的に研究した行動科学の理論に基づくアプローチをサービス開発に活用する取り組みが、公共政策、医療、小売り業、教育等の様々な分野で広がっている。例えば、特許文献1には、対象者の行動変容要因に作用する行動変容手法に紐づけられたメッセージセットを対象者に出力することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術は、行動変容手法が適用されていない新規のサービスに対して、利用者の行動変容のための介入設計を効果的に実施できることが想定される。しかしながら、何等かの行動変容手法がすでに適用されているサービスに対して、上記特許文献1に記載の技術を適用すると、例えば、すでに適用されている行動変容手法と類似する行動変容手法に基づく介入を実施してしまう等、効率的な介入設計を実施できない恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、サービスの利用者の行動変容のための介入設計を効率的に実施可能な情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、特定のサービスを構成するコンテンツに関する情報と、前記特定のサービスの利用者による対象行動に関する情報と、を取得する取得部と、前記コンテンツに関する情報に基づいて、前記特定のサービスに適用されている第1の行動変容手法に関する第1の情報を抽出する抽出部と、前記対象行動に関する情報に基づいて、前記利用者の行動変容に推奨される第2の行動変容手法に関する第2の情報を導出する導出部と、前記第1の情報と前記第2の情報に基づいて、前記特定のサービスに対する介入用の一以上の要素を含む要素セットを生成する生成部と、前記要素セットに関する情報を出力する出力部と、を備える。
【0007】
本発明の他の態様に係る情報処理方法は、特定のサービスを構成するコンテンツに関する情報と、前記特定のサービスの利用者による対象行動に関する情報と、を取得する工程と、前記コンテンツに関する情報に基づいて、前記特定のサービスに適用されている第1の行動変容手法に関する第1の情報を抽出する工程と、前記対象行動に関する情報に基づいて、前記利用者の行動変容に推奨される第2の行動変容手法に関する第2の情報を導出する工程と、前記第1の情報と前記第2の情報に基づいて、前記特定のサービスに対する介入用の一以上の要素を含む要素セットを生成する工程と、前記要素セットに関する情報を出力する工程と、を有する。
【0008】
本発明の他の態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、特定のサービスを構成するコンテンツに関する情報と、前記特定のサービスの利用者による対象行動に関する情報と、を取得する工程と、前記コンテンツに関する情報に基づいて、前記特定のサービスに適用されている第1の行動変容手法に関する第1の情報を抽出する工程と、前記対象行動に関する情報に基づいて、前記利用者の行動変容に推奨される第2の行動変容手法に関する第2の情報を導出する工程と、前記第1の情報と前記第2の情報に基づいて、前記特定のサービスに対する介入用の一以上の要素を含む要素セットを生成する工程と、前記要素セットに関する情報を出力する工程と、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サービスの利用者の行動変容のための介入設計を効率的に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置を用いた介入設計の概念図である。
【
図2A】
図2Aは、本実施形態に係る適用済BCT情報及び推奨BCT情報の一例を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、本実施形態に係る適用済BCT情報及び推奨BCT情報の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るBCTに関連付けられるナッジ要素の一例を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、本実施形態に係るナッジ要素セットの一例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、本実施形態に係るナッジ要素セットの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0012】
(概要)
本実施形態に係る情報処理装置は、特定のサービスを構成するコンテンツに関する情報(以下、「コンテンツ情報」という)と、特定のサービスの利用者による対象行動に関する情報(以下、「対象行動情報」という)と、を取得する。情報処理装置は、当該コンテンツ情報に基づいて、当該特定のサービスに適用されている第1の行動変容手法(BCT:Behavior Change Technique)(以下、「適用済BCT」という)に関する第1の情報(以下、「適用済(applied)BCT情報」という)を抽出する。情報処理装置は、対象行動情報に基づいて、特定のサービスの利用者の行動変容に推奨される第2の行動変容手法(BCT:Behavior Change Technique)(以下、「推奨BCT」という)に関する第2の情報(以下、「推奨(recommended)BCT情報」という)を導出する。情報処理装置は、適用済BCT情報及び推奨BCT情報に基づいて、特定のサービスに対する介入用の一以上の要素(以下、「ナッジ要素」という)を含む要素セット(以下、「ナッジ要素セット」という)を生成し、生成されたナッジ要素セットに関する情報を出力する。
【0013】
ここで、本実施形態に係る行動変容手法(BCT:Behavior Change Technique)とは、行動変容に作用する(働きかける)手法又は方法である。例えば、BCTTv1(Michie S, Richardson M, Johnston M, et al.: The behavior change technique taxonomy (v1) of 93 hierarchically clustered techniques: building an international consensus for the reporting of behavior change interventions. Ann Behav Med 2013; 46: 81~95.)によると16グループの93個のBCTが規定されている。なお、BCTの規定はBCTTv1に限られず、行動変容の手法を包括的に網羅する限り、どのように規定されてもよい。また、本実施形態に係るBCTは、一以上のBCTを含むグループ(以下、「BCTグループ」という)(例えば、BCTTv1のグループ)を含み、BCTグループとBCTとは相互に言い換えられてもよい。
【0014】
また、本実施形態に係る特定のサービスは、利用者の行動変容のための介入が実施されるどのようなサービスであってもよい。例えば、語学学習やダイエットの支援サービス、金融機関が提供する金融商品の販売等が想定されるが、これに限られない。また、当該特定のサービスは、端末にインストールされるアプリケーション、Webページ、電子メール、ショートメッセージ等の電磁的方法を用いて利用者に提供されるものに限られず、他の方法(例えば、接客、郵便等)を用いて利用者に提供されてもよい。また、当該特定のサービスを構成するコンテンツ情報は、例えば、特定のサービスに関するテキスト情報(例えば、チャットのログなど)、動画像、静止画像、会話の音声、アプリケーションに関するデータ等であるが、これに限られず、当該特定のサービスの内容に関するどのような情報であってもよい。
【0015】
また、本実施形態に係るナッジ要素は、例えば、各BCTを用いたメッセージの文面(例えば、電子メールやショートメッセージサービス向けのメッセージの文面)であってもよいし、各BCTの行動特性又は性格を有する人間、各BCTを用いたアプリケーション、各BCTを実現する人口知能(例えば、生成系AI)、各BCTの特性を有する組織、又は、これらの少なくとも二つの 組み合わせ等、関連付けられたBCTに関する特性を有するどのような要素であってもよい。
【0016】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置を用いた介入設計の概念図である。
図1では、介入設計の対象となる特定のサービスの一例として、例えば、ダイエット支援サービスを例示する。当該ダイエット支援サービスでは、例えば、サポーターは、利用者とのチャットを通じて、利用者のダイエットを支援するものとする。
図1において、コンテンツ情報は、例えば、当該ダイエット支援サービスで用いられるチャットのログである。また、対象行動情報は、例えば、「マイナス5kgのダイエット」であるものとする。なお、
図1は、例示にすぎず、本実施形態に係る特定のサービス、コンテンツ情報及び対象行動情報は図示するものに限られない。
【0017】
例えば、
図1では、情報処理装置1は、コンテンツ情報として、ダイエット支援サービスを利用する利用者とサポーターとのチャットのログを取得する。情報処理装置1は、当該ログに基づいて、ダイエット支援サービスに適用されているBCTに関する適用済BCT情報を抽出する。適用済BCT情報は、当該ダイエット支援サービスに適用されている一以上のBCTの成分(component)を示してもよい。
【0018】
一方、情報処理装置1は、対象行動情報として「マイナス5kgのダイエット」を示す情報を取得する。情報処理装置1は、当該情報に基づいて、「マイナス5kgのダイエット」に推奨される推奨BCT情報を抽出する。推奨BCT情報は、「マイナス5kgのダイエット」に推奨される一以上のBCTの成分を示してもよい。
【0019】
情報処理装置1は、適用済BCT情報と推奨BCT情報に基づいて、特定のサービスに対する介入用の一以上のナッジ要素を含むナッジ要素セットを生成し、生成されたナッジ要素セットに関する情報を出力する。当該ナッジ要素セットは、「ナッジカクテル」又は「補完型ナッジカクテル」等と呼ばれてもよい。
【0020】
具体的には、情報処理装置1は、適用済BCT情報と推奨BCT情報とを用いた比較に基づいて介入用のBCTを特定し、特定された介入用のBCTの少なくとも一部に関連付けられたナッジ要素を含むナッジ要素セットを生成してもよい。
【0021】
図2A及び2Bは、本実施形態に係る適用済BCT情報及び推奨BCT情報を用いた比較一例を示す図である。例えば、
図2A及び2Bでは、適用済BCT情報及び推奨BCT情報のそれぞれとして、8つのBCT「目標及び計画(Goals and planning)」、「情報提供(Shaping knowledge)」、「自然な結果(Natural consequences)」、「行動比較(Comparison of behavior)」、「連携(Associations)」、「繰り返しと置換(Repetition and substitution)」、「成果の比較(Comparison of outcomes)」及び「報酬と脅威(Reward and threat)」の成分が示される。なお、
図2A及び2Bに示される各BCTは、配下に一以上のBCTを含むBCTグループであってもよく、当該一以上のBCTの成分の合計値であってもよい。
【0022】
図2Aに示すように、推奨BCT情報は、対象行動情報に基づいて、推奨BCTの成分間の比が1に近づくように生成されてもよい。例えば、
図2Aでは、「目標及び計画」、「情報提供」、「自然な結果」、「行動比較」、「連携」、「繰り返しと置換」、「成果の比較」及び「報酬と脅威」それぞれの成分のうち、任意の2つの推奨BCTの成分間の比は1である。このように、推奨BCTの成分間の比が1に近づくように推奨BCT情報を生成することにより、特定のサービスに不足するBCTをバランス良く補完できるので、当該特定のサービスの利用者の行動特性にばらつきがある場合にも、当該利用者の対象行動の行動変容を効果的に支援できる。
【0023】
一方、
図2Bに示すように、推奨BCT情報は、対象行動情報に基づいて、推奨BCTの特定の成分と他の成分間の比が推奨BCTの他の成分間の比よりも大きくなるように、生成されてもよい。例えば、
図2Bでは、特定の推奨「目標及び計画」の成分と他の推奨BCTの成分との比は、当該他の推奨BCTの成分間との比と比べて大きい。このように、特定の推奨BCTの成分と他の推奨BCTの成分の比が、当該他の推奨BCTの成分間の比と比べて大きくなるように推奨BCT情報を生成することにより、特定のサービスに不足する特定のBCTを効率的に補完できるので、特定のサービスの利用者の行動特性がある程度似ている場合に、当該利用者の対象行動の行動変容をより効果的に支援できる。
【0024】
図2A及び2Bに示すように、適用済BCT情報と推奨BCT情報との間には差分が生じることが想定される。例えば、
図2Aでは、2つのBCT「自然な結果」及び「連携」については、適用済BCT情報と推奨BCT情報との間で成分が一致するが、残りのBCT「目標及び計画」、「情報提供」、「行動比較」、「繰り返しと置換」、「成果の比較」及び「報酬と脅威」については、推奨BCT情報の成分と比べて適用済BCT情報の成分が不足する。また、
図2Bでは、1つのBCT「報酬と脅威」については、適用済BCT情報と推奨BCT情報との間で成分が一致するが、残りのBCTのうち、6つの「目標及び計画」、「情報提供」、「自然な結果」、「行動比較」、「連携」及び「成果の比較」については、推奨BCT情報の成分と比べて適用済BCT情報の成分が不足し、1つのBCT「繰り返しと置換」については、推奨BCT情報の成分と比べて適用済BCT情報の成分が超過する。
【0025】
そこで、情報処理装置1は、適用済BCT情報と推奨BCT情報との差分を分析し、分析の結果に基づいて、ダイエット支援サービスに対する介入用のBCTを特定する。具体的には、情報処理装置1は、推奨BCT情報の成分と比べて適用済BCT情報の成分が不足するBCT(
図2Bでは、6つのBCT「目標及び計画」、「情報提供」、「自然な結果」、「行動比較」、「連携」及び「成果の比較」)の少なくとも一部を、介入用のBCTとして特定してもよい。情報処理装置1は、特定された介入用のBCTに関連付けられた一以上のナッジ要素を含むナッジ要素セットを生成し、当該ナッジ要素セットに関する情報を出力する。
【0026】
図3は、本実施形態に係るBCTに関連付けられるナッジ要素の一例を示す図である。
図3に示すように、情報処理装置1は、各BCTに関連付けてナッジ要素を記憶してもよい。なお、
図3に示される各BCTは、配下に一以上のBCTを含むBCTグループであってもよく、当該BCTグループ内の各BCTにナッジ要素が関連付けられてもよい。
【0027】
図4A及び4Bは、本実施形態に係るナッジ要素セットの一例を示す図である。
図4Aでは、バランス型のナッジ要素セットの一例が示され、
図4Bでは、特化型のナッジ要素セットの一例が示される。なお、
図4A及び4Bでは、それぞれ、
図2A及び2Bに示すように、適用済BCT情報と推奨BCT情報との差分が生じているものとする。
【0028】
図4Aに示すように、バランス型のナッジ要素セットでは、推奨BCT情報の成分と比べて適用済BCT情報の成分が不足する全てのBCTグループ(例えば、
図2Aでは、6つのBCTグループ「目標及び計画」、「情報提供」、「行動比較」、「繰り返しと置換」、「成果の比較」及び「報酬と脅威」)のそれぞれに関連付けられたナッジ要素をナッジ要素セットに含めてもよい。
【0029】
図4Aに示すバランス型のナッジ要素セットを用いた介入を実施する場合、推奨BCT情報の成分と比べて適用済BCT情報の成分が不足する全BCTの各々に関連付けられたナッジ要素がナッジ要素セットに含められるので、当該特定のサービスの利用者の行動特性にばらつきがある場合にも、当該利用者の対象行動の行動変容を効果的に支援できる。
【0030】
一方、
図4Bに示すように、特化型のナッジ要素セットでは、推奨BCT情報の成分と比べて適用済BCT情報の成分が不足する全てのBCT(例えば、
図2Bでは、6つのBCT「目標及び計画」、「情報提供」、「自然な結果」、「行動比較」、「連携」及び「成果の比較」)に関連付けられたナッジ要素をナッジ要素セットに含めてもよい。なお、特化型のナッジ要素セットにおいてどのBCTを強調するか(すなわち、どのBCTを強調して推奨するように推奨BCT情報を生成するか)は、例えば、特定のサービスの利用者の行動特性に基づいて決定されてもよいし、推奨BCT情報の成分と適用済BCT情報の成分との差分の大きさに基づいて決定されてもよいし、実施体制に係る環境的制約 に基づいて決定されてもよい。
【0031】
例えば、
図4Bでは、当推奨BCT情報の成分と比べて適用済BCT情報の成分が不足するBCT(例えば、
図2Bでは、6つのBCT「目標及び計画」、「情報提供」、「自然な結果」、「行動比較」、「連携」及び「成果の比較」)にそれぞれ関連付けられたナッジ要素がナッジ要素セットに含められる。
【0032】
図4Bに示す特化型のナッジ要素セットを用いた介入を実施する場合、推奨BCT情報の成分と比べて適用済BCT情報の成分が不足するBCTの各々に関連付けられたナッジ要素がナッジ要素セットに含められるので、当該特定のサービスの利用者の行動特性がある程度似ている場合に、当該利用者の対象行動の行動変容をより効果的に支援できる。
【0033】
また、情報処理装置1は、推奨BCT情報の成分と適用済BCT情報の成分との差分の大きさに基づいて、バランス型又は特化型のナッジ要素セット(例えば、
図4A又は
図4B)に含めるBCT毎のナッジ要素の数又は量を制御してもよい。例えば、
図2Aに示すバランス型のナッジ要素セットでは、BCT「目標及び計画」、「情報提供」、「行動比較」、「繰り返しと置換」、「成果の比較」についての適用済BCT情報と推奨BCT情報との差分は、BCT「報酬と脅威」についての適用済BCT情報と推奨BCT情報との差分よりも大きい。このため、
図4Aに示すバランス型のナッジ要素セットでは、BCT「目標及び計画」、「情報提供」、「行動比較」、「繰り返しと置換」及び「成果の比較」に関連付けられるナッジ要素が、BCT「報酬と脅威」に関連付けられるナッジ要素よりも多く抽出されてもよい。また、
図2Bに示す特化型のナッジ要素セットでは、BCT「目標及び計画」についての適用済BCT情報と推奨BCT情報との差分は、BCT「情報提供」、「自然な結果」、「行動比較」、「連携」、「成果の比較」についての適用済BCT情報と推奨BCT情報との差分よりも大きい。このため、
図4Bに示す特化型のナッジ要素セットでは、BCT「目標及び計画」に関連付けられるナッジ要素が、他のBCTに関連付けられるナッジ要素よりも多く抽出されてもよい。このように、推奨BCT情報の成分と適用済BCT情報の成分との差分の大きさに基づいてナッジ要素セットに含めるBCT毎のナッジ要素の数又は量を制御することにより、サービスの利用者の行動変容のための介入をより効果的に行うことが可能となる。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る情報処理装置1によると、適用済BCT情報と推奨BCT情報に基づいて特定のサービスに対する介入用の一以上のナッジ要素を含むナッジ要素セットが生成され、生成されたナッジ要素セットに関する情報に基づいて特定のサービスに対する介入が設計される。このため、何等かのBCTがすでに適用されているサービスに不足するBCTに基づいて、追加的に必要なナッジ要素が自動で抽出され、効率的な介入設計を実施できる。
【0035】
具体的には、偏ったBCTに基づいて介入設計が実施されていた既存サービスに対して、本実施形態に係る情報処理装置1を用いて生成されるナッジ要素セットに関する情報を用いて介入の再設計を実施することにより、行動科学の観点からより包括的なBCTを適用したサービスを実現できる。このため、これまで取りこぼしていた利用者のサービスの利用を促進できる。また、ナッジ要素セットに含める複数のナッジ要素の組み合わせによって、当該複数のナッジ要素それぞれの提供者の連携を促進すること等も可能となる。
【0036】
また、本実施形態に係る情報処理装置1によると、対象群の行動科学的理解度合いが高ければ特化型のナッジ要素セットが生成され、対象群の行動科学的理解度合いが低ければバランス型のナッジ要素セットが生成されるので、対象行動情報の多寡に応じて変換する対象群の行動科学的理解度合いに応じたナッジ要素セットを生成でき、効率的な介入設計を実施できる。なお、対象群の行動科学的理解度合いに応じて特化型又はバランス型の推奨BCT情報を生成することにより、特化型又はバランス型のナッジ要素セットを生成してもよいことは勿論である。
【0037】
(構成)
次に、本実施形態に係る情報処理装置1の構成を説明する。なお、情報処理装置1は、単一の装置で構成されてもよいし、複数の装置を含んで構成されてもよい。例えば、情報処理装置1は、後述する機能構成の一部を実装する複数の装置で構成され、有線及び/又は無線のネットワークによって接続される当該複数の装置によって後述する機能構成が実現されてもよい。
【0038】
図5は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5に示すように、情報処理装置1は、演算装置に相当するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ11と、記憶装置12と、通信装置13と、入出力装置14とを有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。
【0039】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、記憶装置12に記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。プロセッサ11は、入出力装置14及び/又は通信装置13から種々の入力データを受け取り、入力データの演算結果を入出力装置14に出力(例えば、表示)したり、記憶装置12に格納したり、又は、通信装置13を介して送信したりする。
【0040】
記憶装置12は、メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、の少なくとも一つである。情報処理装置1の記憶装置12は、プロセッサ11が実行する行動支援プログラムを記憶してもよい。当該記憶装置12は、「記憶部」等と呼ばれてもよい。
【0041】
通信装置13は、有線及び/又は無線ネットワークを介して通信を行う装置であり、例えば、ネットワークカード、通信モジュール、チップ、アンテナ等を含んでもよい。通信装置13は、「送信部」又は「受信部」等と呼ばれてもよい。
【0042】
入出力装置14は、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等の入力装置と、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカ等の出力装置とを含む。入出力装置は、「入力部」又は「出力部」等と呼ばれてもよい。
【0043】
以上説明したハードウェア構成は一例に過ぎない。情報処理装置1は、
図5に記載したハードウェアの一部が省略されていてもよいし、
図5に記載されていないハードウェアを備えていてもよい。また、
図5に示すハードウェアが1又は複数のチップにより構成されていてもよい。また、情報処理装置1が複数の装置で構成される場合、各装置がこれらのハードウェアの少なくとも一部を備えてもよい。
【0044】
図6は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成を示す図である。
図6に示すように、情報処理装置1は、記憶部101、取得部102、抽出部103、導出部104、生成部105及び出力部106を備える。
【0045】
なお、記憶部101は、記憶装置12を用いて実現することができる。取得部102及び出力部106が実現する機能の少なくとも一部は、通信装置13及び入出力装置14の少なくとも一つを用いて実現することができる。また、抽出部103、導出部104及び生成部105が実現する機能の少なくとも一部は、プロセッサ11が、記憶装置12に記憶された情報処理プログラムを実行することにより実現することができる。また、当該情報処理プログラムは、記憶媒体に格納することができる。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は特に限定されないが、例えば、USBメモリ又はCD-ROM等の記憶媒体であってもよい。また、情報処理装置1は、不図示の機能を備えてもよいことは勿論である。
【0046】
記憶部101は、BCTに関連付けてナッジ要素を記憶する(例えば、
図3)。記憶部101に記憶されるナッジ要素は、介入の対象となる特定のサービスに応じて設定されてもよい。例えば、記憶部101は、あるサービスに対する介入時には、BCTに関連付けられるナッジ要素として、当該BCTを適用したメッセージの文面を記憶するように設定されてもよい。また、記憶部101は、他のサービスに対する介入時には、BCTに関連付けられるナッジ要素として、当該BCTの行動特性を有する人間の情報を記憶してもよい。同様に、記憶部101は、各サービスの介入時に、BCTの行動特性を有するナッジ要素を当該BCTに関連付けて記憶するように設定されてもよい。
【0047】
また、記憶部101は、適用済BCT情報の抽出に用いられる第1のモデル(以下、「抽出モデル」という)を記憶してもよい。抽出モデルは、コンテンツに関する情報(例えば、テキスト、画像、音声等)とBCTに関する情報とを学習用データとする機械学習に基づいて生成されてもよい。
【0048】
また、記憶部101は、推奨BCT情報の導出に用いられる第2のモデル(以下、「推奨モデル」)を記憶してもよい。推奨モデルは、行動に関する情報と、BCTに関する情報とを学習用データとする機械学習に基づいて生成されてもよい。
【0049】
取得部102は、特定のサービスを構成するコンテンツに関するコンテンツ情報と、当該特定のサービスの利用者による対象行動に関する対象行動情報と、を取得する。
【0050】
抽出部103は、コンテンツ情報に基づいて、特定のサービスに適用されているBCT(第1の行動変容手法)に関する適用済BCT情報(第1の情報)を抽出する。具体的には、抽出部103は、取得部102によって取得されたコンテンツ情報を記憶部101に記憶された抽出モデルに入力して、適用済BCT情報を抽出してもよい。
【0051】
導出部104は、対象行動情報に基づいて、特定のサービスの利用者の行動変容に推奨されるBCT(第2の行動変容手法)に関する推奨BCT情報(第2の情報)を導出する。具体的には、導出部104は、取得部102によって取得された対象行動情報を記憶部101に記憶された推奨モデルに入力して、推奨BCT情報を導出してもよい。或いは、導出部104は、推奨BCT情報として、対象行動に関係なく、全てのBCTに関する情報を導出してもよい。また、導出部104は、対象行動情報に基づいて、推奨BCTの成分間の比が1に近づくように、推奨BCT情報を導出してもよい(例えば、
図2A)。また、導出部104は、対象行動情報に基づいて、特定の推奨BCTの成分と他の推奨BCTの成分間の比が当該他の推奨BCTの成分間の比よりも大きくなるように、推奨BCT情報を導出してもよい(例えば、
図2B)。また、導出部104は、対象群の行動科学的理解度合いに応じて推奨BCT情報(例えば、特化型又はバランス型の推奨BCT情報)を生成してもよい。
【0052】
生成部105は、取得部102によって取得されたコンテンツ情報及び対象行動情報に基づいて、特定のサービスに対する介入用の一以上のナッジ要素を含むナッジ要素セットを生成する。具体的には、生成部105は、適用済BCT情報と推奨BCT情報とを用いた比較に基づいて介入用のBCTを特定し、特定された介入用のBCTに記憶部101において関連付けられたナッジ要素を含むナッジ要素セットを生成してもよい。例えば、
図2A及び2Bに示すように、生成部105は、適用済BCT情報と推奨BCT情報とを比較し、適用済BCT情報と推奨BCT情報との差分をBCT毎に分析してもよい。
【0053】
生成部105は、推奨BCT情報が示す成分と比べて適用済BCT情報の成分が不足するBCTの全てを、介入用のBCTとして特定してもよい。或いは、生成部105は、推奨BCT情報が示す成分と比べて適用済BCT情報の成分が不足するBCTの一部を、介入用のBCTとして特定してもよい。
【0054】
このように、生成部105は、推奨BCT情報が示す成分と比べて適用済BCT情報の成分の成分が不足するBCTの少なくとも一部を介入用のBCTとして特定し、特定された介入用のBCTに関連付けられたナッジ要素を含むナッジ要素セットを生成してもよい。
【0055】
また、生成部105は、推奨BCT情報の成分と比べて適用済BCT情報の成分の差分の大きさに基づいて、介入用のBCTに関連付けられたナッジ要素の数又は量を制御してもよい。例えば、生成部105は、推奨BCT情報の成分と比べて適用済BCT情報の成分の差分が大きいほど、介入用のBCTに関連付けられたナッジ要素の数又は量を増加させてもよい。一方、生成部105は、推奨BCT情報の成分と比べて適用済BCT情報の成分の差分が小さいほど、介入用のBCTに関連付けられたナッジ要素の数又は量を減少させてもよい。
【0056】
出力部106は、生成部105によって生成されたナッジ要素セットに関する情報を出力する。例えば、出力部106は、当該ナッジ要素セットに関する情報を、特定のサービスに対する介入設計者に対して出力してもよい。
【0057】
(動作)
図7は、本実施形態に係る情報処理装置1の動作を示すフローチャートである。なお、
図7に示す情報処理装置1の動作は一例にすぎず、図示するものに限られない。例えば、ステップS102及びS103の順番は入れ替えられてもよい。また、
図7において、情報処理装置1の記憶部101には、各BCTと関連付けて、介入対象となるサービスに応じた種々のナッジ要素が記憶されているものとする。
【0058】
図7に示すように、情報処理装置1は、特定のサービスのコンテンツに関するコンテンツ情報と、当該特定のサービスの利用者の対象行動に関する対象行動情報と、を取得する(ステップS101)。
【0059】
情報処理装置1は、ステップS101で取得されたコンテンツ情報に基づいて適用済BCT情報を抽出する(ステップS102)。具体的には、情報処理装置1は、当該コンテンツ情報を抽出モデルに入力して、適用済BCT情報を抽出してもよい。
【0060】
情報処理装置1は、ステップS101で取得された対象行動情報に基づいて推奨BCT情報を導出する(ステップS103)。具体的には、情報処理装置1は、当該対象行動情報を推奨モデルに入力して、推奨BCT情報を抽出してもよい。或いは、導出部104は、推奨BCT情報として、対象行動に関係なく、全てのBCTに関する情報を導出してもよい。
【0061】
情報処理装置1は、ステップS102で抽出された適用済BCT情報とステップS103で導出された推奨BCT情報とに基づいて、特定のサービス用の介入用のナッジ要素セットを生成する(ステップS104)。具体的には、生成部105は、適用済BCT情報と推奨BCT情報とを用いた比較に基づいて介入用のBCTを特定し、特定された介入用のBCTに関連付けられたナッジ要素を含むナッジ要素セットを生成してもよい。例えば、
図2A及び2Bに示すように、生成部105は、適用済BCT情報と推奨BCT情報とを比較し、推奨BCT情報が示す成分と比べて適用済BCT情報の成分の成分が不足するBCTの少なくとも一部を介入用のBCTとして特定し、特定された介入用のBCTに関連付けられたナッジ要素を含むナッジ要素セット(例えば、
図4Aのバランス型のナッジ要素セット又は
図4Bの特化型のナッジ要素セット)を生成してもよい。
【0062】
情報処理装置1は、ステップS104で生成されたナッジ要素セットに関する情報を出力する(ステップS105)。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置1によれば、適用済BCT情報と推奨BCT情報に基づいて特定のサービスに対する介入用の一以上のナッジ要素を含むナッジ要素セットが生成され、生成されたナッジ要素セットに関する情報に基づいて特定のサービスに対する介入が設計される。このため、何等かのBCTがすでに適用されているサービスに不足するBCTに基づいて効率的な介入設計を実施できる。
【0064】
具体的には、偏ったBCTに基づいて介入設計が実施されていた既存サービスに対して、本実施形態に係る情報処理装置1を用いて生成されるナッジ要素セットに関する情報を用いて介入の再設計を実施することにより、行動科学の観点からより包括的なBCTを適用したサービスを実現できる。このため、これまで取りこぼしていた利用者のサービスの利用を促進できる。また、ナッジ要素セットに含める複数のナッジ要素の組み合わせによって、当該複数のナッジ要素それぞれの提供者の連携を促進すること等も可能となる。
【0065】
また、本実施形態に係る情報処理装置1によれば、特定のサービスのコンテンツ情報から抽出モデルを用いて適用済BCT情報が抽出されるので、当該特定のサービスに適用されるBCTを介入者がより簡便に特定できる。また、対象行動情報から推奨モデルを用いて推奨BCT情報が導出されるので、当該特定のサービスの対象行動に推奨されるBCTをより簡便に特定できる。また、特定のサービスの提供者のメタ認知が向上することにより、当該提供者の自己認知や他者認知にも寄与し得る。
【0066】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0067】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、適用済BCT情報と推奨BCT情報の比較によって差分を分析し、当該差分に基づいて特定のサービスに対する介入用の一以上のナッジ要素を含むナッジ要素セットが生成される一例を説明したが、これに限られない。情報処理装置1は、適用済BCT情報と推奨BCT情報とを比較せずに、適用済BCT情報と推奨BCT情報を所定のモデルに入力し、当該所定のモデルの出力としてナッジ要素セットを生成してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、情報処理装置1は、上記ナッジ要素セットに関する情報を特定のサービスの介入設計者に対して出力するものとしたが、これに限られず、特定のサービスの利用者に出力してもよい。例えば、情報処理装置1は、上記ナッジ要素セットに関する情報として、当該ナッジ要素セットに含まれる一つ又は複数のナッジ要素に関する情報を一回又は複数回に分けて利用者に出力してもよい。また、情報処理装置1は、当該ナッジ要素セットに含まれる複数のナッジ要素の中からランダムに選択されたナッジ要素に関する情報を利用者に出力してもよい。
【0069】
また、情報処理装置1は、上記ナッジ要素セットに関する情報として、当該ナッジ要素セットに関する情報を、特定のサービスの全ての利用者を対象に生成してもよいし、又は、利用者又は一以上の利用者を含む利用者グループ毎に生成してもよい。情報処理装置1は、利用者又は利用者グループ毎のナッジ要素セット(「適応型ナッジカクテル」ともいう)を、全ての利用者を対象としたナッジ要素セット(「MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)型ナッジカクテル」とも呼ばれる)に応じた各利用者又は各利用者グループの反応に基づいて生成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…情報処理装置、11…プロセッサ、12…記憶装置、13…通信装置、14…入出力装置、101…記憶部、102…取得部、103…抽出部、104…導出部、105…生成部、106…出力部
【要約】
【課題】サービスの利用者の行動変容のための介入設計を効率的に実施すること。
【解決手段】情報処理装置1は、特定のサービスを構成するコンテンツに関する情報と、前記特定のサービスの利用者による対象行動に関する情報と、を取得する取得部と、前記コンテンツに関する情報に基づいて、前記特定のサービスに適用されている第1の行動変容手法に関する第1の情報を抽出する抽出部と、前記対象行動に関する情報に基づいて、前記利用者の行動変容に推奨される第2の行動変容手法に関する第2の情報を導出する導出部と、
前記第1の情報と前記第2の情報に基づいて、前記特定のサービスに対する介入用の一以上の要素を含む要素セットを生成する生成部と、前記要素セットに関する情報を出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図1