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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】巻線装置及び巻線方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 59/36 20060101AFI20230929BHJP
   B65H 63/036 20060101ALI20230929BHJP
   B65H 59/38 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
B65H59/36
B65H63/036 Z
B65H59/38 Y
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020004192
(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公開番号】P2021109762
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000227537
【氏名又は名称】NITTOKU株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121234
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 利明
(72)【発明者】
【氏名】日下田 裕司
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-338816(JP,A)
【文献】特開2010-126396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 59/36
B65H 63/036
B65H 59/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯(12)と、線材(13)を前記巻芯(12)に供給する線材繰出機構(21)と、前記線材繰出機構(21)から前記巻芯(12)に供給される前記線材(13)に張力を付与するテンション装置(31)と、前記巻芯(12)を回転させて前記線材繰出機構(21)から供給されて前記テンション装置(31)により張力が付与された前記線材(13)を前記巻芯(12)に巻回させる巻芯回転手段(14)と、前記巻芯回転手段(14)を制御するコントローラ(46)とを備えた巻線装置において、
前記線材(13)の移動経路に沿って設けられた一対の固定ローラ(61a,61b)と、前記一対の固定ローラ(61a,61b)の中間を通過して前記線材(13)の移動経路に交差する方向に移動可能な可動ローラ(63)と、前記可動ローラ(63)を移動させるサーボモータ(64)とを備え、前記線材繰出機構(21)から繰出された前記線材(13)の速度を減速又は加速させるアキュームレート機構(60)が設けられ、
前記コントローラ(46)は、
回転する前記巻芯(12)に巻回される前記線材(13)の平均巻取速度で線材(13)を繰出すように前記線材繰出機構(21)を制御し、
かつ前記アキュームレート機構(60)を制御して前記線材繰出機構(21)から繰出された前記線材(13)の速度を回転する前記巻芯(12)が巻取る線材(13)の巻取速度に等しくする
ことを特徴とする巻線装置。
【請求項2】
回転する巻芯(12)に巻回される線材(13)の巻取速度であって、予め算出された算出巻取速度と算出平均巻取速度を記憶する記憶手段(46a)が設けられ、
コントローラ(46)は、前記記憶手段(46a)に記憶された算出平均巻取速度に従って線材(13)を供給するように線材繰出機構(21)を制御するとともに、
前記コントローラ(46)は、前記線材繰出機構(21)から繰出された前記線材(13)の速度を減速又は増加させて前記記憶手段(46a)に記憶された算出巻取速度に成るようにアキュームレート機構(60)を制御する
請求項1記載の巻線装置。
【請求項3】
巻芯(12)に関する情報を記憶する記憶手段(46a)と、前記巻芯(12)に関する情報から前記巻芯(12)に巻回される線材(13)の巻取速度と平均巻取速度を算出する演算回路(46c)が設けられ、
コントローラ(46)は、前記演算回路(46c)が算出した算出平均巻取速度に従って線材(13)を供給するように線材繰出機構(21)を制御するとともに、
前記コントローラ(46)は、前記線材繰出機構(21)から繰出された前記線材(13)の速度を減速又は増加させて前記演算回路(46c)が算出した算出巻取速度に成るようにアキュームレート機構(60)を制御する
請求項1記載の巻線装置。
【請求項4】
線材繰出機構(21)とテンション装置(31)の間にアキュームレート機構(60)が設けられ、
前記アキュームレート機構(60)から前記テンション装置(31)に向けて繰出される線材(13)の速度を検出する繰出速度検出手段(70)と、
前記テンション装置(31)を通過して巻芯(12)に向かう線材(13)の速度を検出する巻取速度検出手段(80)とを備え、
コントローラ(46)は、前記巻取速度検出手段(80)の検出出力による実測巻取速度の速度変化の状態と前記繰出速度検出手段(70)の検出出力による実測繰出速度の速度変化の状態の時間軸方向のずれをなくすように前記アキュームレート機構(60)を制御する
請求項1ないし3いずれか1項に記載の巻線装置。
【請求項5】
巻芯(12)を回転させて線材繰出機構(21)から供給されてテンション装置(31)により張力が付与された線材(13)を前記巻芯(12)に巻回させる巻線方法において、
回転する前記巻芯(12)に巻回される前記線材(13)の平均巻取速度で前記線材繰出機構(21)から前記線材(13)を繰出し、
前記線材の移動経路に沿って設けられた一対の固定ローラ(61a,61b)の中間にある前記線材(13)を可動ローラに掛け回し、前記可動ローラ(63)を前記線材(13)の移動経路に交差する方向に移動させて、前記線材繰出機構(21)から繰出された前記線材(13)の速度を減速又は加速させて回転する前記巻芯(12)に巻回される前記線材(13)の巻取速度に等しくする
ことを特徴とする巻線方法。
【請求項6】
回転する巻芯(12)に巻回される線材(13)の巻取速度であって、予め算出された算出巻取速度と算出平均巻取速度を記憶手段(46a)に記憶させ、
前記記憶手段(46a)に記憶された算出平均巻取速度に従って線材(13)を供給するように線材繰出機構(21)を制御し、
前記記憶手段(46a)に記憶された算出巻取速度に成るように前記線材繰出機構(21)から繰出された前記線材(13)の速度を減速又は加速させる
請求項5記載の巻線方法。
【請求項7】
巻芯(12)に関する情報を記憶手段(46a)に記憶させ、
前記巻芯(12)に関する情報から演算回路(46c)により前記巻芯(12)に巻回される線材(13)の巻取速度と平均巻取速度を算出し、
前記演算回路(46c)が算出した算出平均巻取速度に従って線材(13)を供給するように線材繰出機構(21)を制御し、
前記演算回路(46c)が算出した算出巻取速度に成るように前記線材繰出機構(21)から繰出された前記線材(13)の速度を減速又は加速させる
請求項5記載の巻線方法。
【請求項8】
線材繰出機構(21)からテンション装置(31)に向けて繰出される線材(13)を加速又は減速させ、
加速又は減速して前記テンション装置(31)に向かう線材(13)の繰出速度と、前記テンション装置(31)を通過して巻芯(12)に巻取られる線材(13)の巻取速度の双方を検出し、
検出された実測繰出速度の速度変化の状態と実測巻取速度の速度変化の状態との時間軸方向のずれをなくすように前記線材(13)を加速又は減速させる
請求項5ないし7いずれか1項に記載の巻線方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の張力が付与された線材を巻芯に巻回する巻線装置及び巻線方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、巻芯に線材を巻回させてコイルを形成する巻線機に備えられて、その線材に所定の張力を付与するテンション装置として、図15に示すように、線材源から繰出された線材2が掛け回されるキャプスタン3と、基端における回動支点4aの回りで回動可能な張力アーム4と、この張力アーム4の先端に取付けられキャプスタン3から繰出される線材2を通過させた後に転向させて巻線機に導くガイドプーリ5と、張力アーム4の回動支点4aとガイドプーリ5との間の所定位置において張力アーム4にその回動角度に応じた弾性力を及ぼす弾性部材6と、張力アーム4の回動角度を検出するポテンショメータ7と、このポテンショメータ7により検出された回動角度が所定の角度となるようにキャプスタン3の回転を制御して、そのキャプスタン3からガイドプーリ5を介して図示しない巻線機に向かう線材2の速度を制御する繰出用モータ8と、を備えた装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、線材2はガイドプーリ5を介して巻線機に導かれ、その巻芯に巻回されるけれども、この従来のテンション装置から繰出される線材2の繰出速度は、張力アーム4の回動角度が所定の角度となるようにキャプスタン3の回転が制御され、その線材2の繰出速度は巻芯が巻取る線材の巻取速度と均衡を保ち、線材2には弾性部材6により弾性力が及ぼされた張力アーム4により所定の張力がかかった状態となっている。
【0004】
この状態から、巻芯が巻取る線材の巻取速度に変動が生じると、線材2の張力が変動するが、この変動分は、張力アーム4が回動角度を変えることにより吸収される。そして、この張力アーム4の回動角度の変化はポテンショメータ7を介してキャプスタン3の回転にフィードバックされるので、直ちに張力アーム4の回動角度が所定角度となるように、繰出用モータ8によりキャプスタン3の回転速度が調整され、線材2にかかる張力は所定値に戻されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-128433号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、図15に示す従来のテンション装置では、線材2の巻取速度の変動を張力アーム4が回動角度を変えることにより吸収する。しかし、断面の外径が異なる異径の巻芯、例えば断面形状が長方形であって、その短辺と長辺が著しく異なるような巻芯に対してその線材2を巻線する場合には、巻芯が1回転する間にその巻芯に巻回される線材2の速度は周期的に著しく変動する。すると、その速度の変動を吸収する張力アーム4の回動角度は著しく増大することになる。
【0007】
即ち、キャプスタン3から繰出された線材2が、ガイドプーリ5において、図15に示すように、張力アームに対して略直角を成して折曲がるように転向して巻線機に導かれる場合で説明すると、その巻線機における線材2の巻取速度が高まって単位時間に所定の長さL1だけ余計に巻取られる場合には、ガイドプーリ5もその余計に巻取られる所定の長さL1だけ実線矢印で示すように巻線機側に引っ張られて移動することになる。そして、そのガイドプーリ5が先端に設けられた張力アーム4は、弾性部材6の弾性力に抗して回動し、その先端におけるガイドプーリ5が所定の長さL1だけ移動することを許容することになる。
【0008】
けれども、巻線機における巻芯に巻取られる線材2の速度の変動が著しく、その速度が一時に著しく上昇した場合には、その線材2にガイドプーリ5が勢いよく引っ張られることになり、そのガイドプーリ5が先端に設けられてその変動を吸収する張力アーム4の回動がその引っ張られるガイドプーリ5の勢いに追従できず、その張力アーム4の先端に設けられたガイドプーリ5と巻芯との間の線材2に弾性部材6が及ぼす弾性力を越えた張力が一時的に付与されることになる。
【0009】
逆に、その巻線機における線材2の巻取速度が低下して単位時間に所定の長さL2だけ巻取られる量が減少する場合には、弾性部材6の弾性力によりガイドプーリ5はその減少した所定の長さL2だけ巻線機から離間する方向に移動することになり、そのガイドプーリ5が先端に設けられた張力アーム4は、弾性部材6の弾性力によって回動し、その先端におけるガイドプーリ5が破線矢印で示すように、所定の長さL2だけ移動することを許容することになる。
【0010】
けれども、巻線機における巻芯に巻取られる線材2の速度の変動が著しく、巻線機における巻芯に巻取られる線材2の速度が一時に著しく低下した場合には、その線材2がガイドプーリ5を引っ張る力が一時に著しく減少し、そのガイドプーリ5が先端に設けられてその変動を吸収する張力アーム4はその慣性力によりその回動が弾性部材6の弾性力によっても追従できず、その張力アーム4の先端に設けられたガイドプーリ5と巻芯との間の線材2が一時的に緩むようなことが生じる。このため、従来のテンション装置では、巻線機における異径の巻芯に巻回される線材2の速度が著しく変動する場合には、その巻線機に送られる線材2の張力を一定に保つことが難しいという問題点があった。
【0011】
本発明の目的は、巻芯における線材の巻取速度が著しく変動する場合でも、その巻芯に巻回される線材の張力を一定に保つことができる巻線装置及び巻線方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、巻芯と、線材を巻芯に供給する線材繰出機構と、線材繰出機構から巻芯に供給される線材に張力を付与するテンション装置と、巻芯を回転させて線材繰出機構から供給されてテンション装置により張力が付与された線材を巻芯に巻回させる巻芯回転手段と、巻芯回転手段を制御するコントローラとを備えた巻線装置の改良である。
【0013】
その特徴ある構成は、線材繰出機構から繰出された線材の速度を減速又は加速させるアキュームレート機構が設けられ、コントローラが、回転する巻芯に巻回される線材の平均巻取速度で線材を繰出すように線材繰出機構を制御し、かつアキュームレート機構を制御して線材繰出機構から繰出された線材の速度を回転する巻芯が巻取る線材の巻取速度に等しくするところにある。
【0014】
この場合、アキュームレート機構は、線材の移動経路に沿って設けられた一対の固定ローラと、一対の固定ローラの中間を通過して線材の移動経路に交差する方向に移動可能な可動ローラと、可動ローラを移動させるサーボモータとを備えたものとすることが出来る。
【0015】
また、回転する巻芯に巻回される線材の巻取速度であって、予め算出された算出巻取速度と算出平均巻取速度を記憶する記憶手段が設けられる場合、コントローラは、記憶手段に記憶された算出平均巻取速度に従って線材を供給するように線材繰出機構を制御するとともに、コントローラは、線材繰出機構から繰出された線材の速度を減速又は増加させて記憶手段に記憶された算出巻取速度に成るようにアキュームレート機構を制御することになる。
【0016】
一方、巻芯に関する情報を記憶する記憶手段と、巻芯に関する情報から巻芯に巻回される線材の巻取速度と平均巻取速度を算出する演算回路が設けられる場合、コントローラは、演算回路が算出した算出平均巻取速度に従って線材を供給するように線材繰出機構を制御するとともに、コントローラは、線材繰出機構から繰出された線材の速度を減速又は増加させて演算回路が算出した算出巻取速度に成るようにアキュームレート機構を制御することになる。
【0017】
また、線材繰出機構とテンション装置の間にアキュームレート機構が設けられ、アキュームレート機構からテンション装置に向けて繰出される線材の速度を検出する繰出速度検出手段と、テンション装置を通過して巻芯に向かう線材の速度を検出する巻取速度検出手段とを備える場合、コントローラは、巻取速度検出手段の検出出力による実測巻取速度の速度変化の状態と繰出速度検出手段の検出出力による実測繰出速度の速度変化の状態の時間軸方向のずれをなくすようにアキュームレート機構を制御することが好ましい。
【0018】
一方、別の本発明は、巻芯を回転させて線材繰出機構から供給されてテンション装置により張力が付与された線材を巻芯に巻回させる巻線方法の改良である。
【0019】
その特徴ある点は、回転する巻芯に巻回される線材の平均巻取速度で線材繰出機構から線材を繰出し、線材繰出機構から繰出された線材の速度を減速又は加速させて回転する巻芯に巻回される線材の巻取速度に等しくするところにある。
【0020】
この場合、線材の移動経路に沿って設けられた一対の固定ローラの中間にある線材を可動ローラに掛け回し、可動ローラを線材の移動経路に交差する方向に移動させて線材の速度を減速又は加速させることが好ましい。
【0021】
また、回転する巻芯に巻回される線材の巻取速度であって、予め算出された算出巻取速度と算出平均巻取速度を記憶手段に記憶させ、記憶手段に記憶された算出平均巻取速度に従って線材を供給するように線材繰出機構を制御し、記憶手段に記憶された算出巻取速度に成るように線材繰出機構から繰出された線材の速度を減速又は加速させることが好ましい。
【0022】
巻芯に関する情報を記憶手段に記憶させる場合、巻芯に関する情報から演算回路により巻芯に巻回される線材の巻取速度と平均巻取速度を算出し、演算回路が算出した算出平均巻取速度に従って線材を供給するように線材繰出機構を制御し、演算回路が算出した算出巻取速度に成るように線材繰出機構から繰出された線材の速度を減速又は加速させることもできる。
【0023】
更に、線材繰出機構からテンション装置に向けて繰出される線材を加速又は減速させ、加速又は減速してテンション装置に向かう線材の繰出速度と、テンション装置を通過して巻芯に巻取られる線材の巻取速度の双方を検出し、検出された実測繰出速度の速度変化の状態と実測巻取速度の速度変化の状態との時間軸方向のずれをなくすように線材を加速又は減速させることもできる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の巻線装置及び巻線方法では、線材繰出機構から線材を一定の速度で繰出すけれども、その繰出速度を平均巻取速度とし、その後に減速又は加速させて巻芯に巻回される線材の巻取速度に等しい速度とするので、たとえ、テンション装置が、線材を掛け回して弾性部材により移動するガイドプーリのようなものを備えていたとしても、そのガイドプーリのようなものの線材の速度変動に伴う移動を防止することが出来る。
【0025】
すると、そのガイドプーリのようなものの移動に伴う線材の張力変動は回避されるので、異径の巻芯に巻回される線材の速度が著しく変動する場合であっても、その巻芯に巻回される線材の張力を一定に保つことが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態における巻線装置を示す正面図である。
図2】その巻線装置の上面図である。
図3】そのアキュームレート機構により線材が減速される状態を示す図である。
図4】そのアキュームレート機構により線材が加速される状態を示す図である。
図5】その算出巻取速度と実測繰出速度と実測巻取速度との関係を示す図である。
図6】その実測繰出速度と実測巻取速度との間に時間軸方向のずれが生じた場合を示す図5に対応する図である。
図7】その実測巻取速度が算出巻取速度より速い場合を示す図である。
図8】その実測巻取速度が算出巻取速度より遅い場合を示す図である。
図9】その巻芯の回転角度とそれに巻回される線材の速度との関係を示す図である。
図10】その巻芯に二層目の線材が巻回される場合の巻芯の角度とそれに巻回される線材の速度との関係を示す図9に対応する図である。
図11】その巻芯に三層目の線材が巻回される場合の巻芯の角度とそれに巻回される線材の速度との関係を示す図10に対応する図である。
図12】その巻芯に線材が第二層目まで巻回される状態を示す図2のA部拡大図である。
図13】その巻芯に線材が第三層目まで巻回される状態を示す図12に対応する図である。
図14】本発明の別の巻線装置を示す図1に対応する正面図である。
図15】従来のテンション装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳しく説明する。
【0028】
図1及び図2に、本発明における巻線装置10を示す。この巻線装置10は、巻芯12を回転させてその巻芯12に線材13を巻回させる巻線機11と、その巻芯12に線材13を供給する線材繰出機構21と、その線材繰出機構21から巻芯12に供給される線材13に張力を付与するテンション装置31とを備える。
【0029】
ここで、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が水平前後方向、Y軸が水平横方向、Z軸が垂直方向に延び、Y軸方向に線材13が繰出されるものとして本発明の巻線装置10について説明する。
【0030】
この実施の形態における巻線機11は、設置場所に設置された本体部15の上面に立設された基板15aに巻芯回転手段として巻線用モータ14が、その回転軸14aをX軸方向に向けて水平に取付けられ、この巻線用モータ14が巻芯12を等速で回転させるように構成される。
【0031】
この巻線機11にあっては、巻線用モータ14の回転軸14aに巻芯12が同軸に取付けられ、その軸中心に巻芯12を回転させて、線材繰出機構21から供給されてテンション装置31により張力が付与された線材13を巻芯12に巻回させるように構成される。なお、図1における符号16は、巻芯12の回転角度を検出する回転角センサ16である。
【0032】
図1に示す様に、巻線機11が設けられた設置場所には、その巻線機11から離間して基台17が設けられ、この基台17には、この基台17を移動容易にするためのローラ17aと、設置場所に移動不能に固定する脚部材17bが設けられる。そして、この基台17は巻線機11に対してY軸方向にずれた位置に設置される。
【0033】
この実施の形態における線材13は電機部品のコイルを製造するために使用される断面が円形又は方形を成す被覆銅線であって、この線材13は比較的大きなリール18に巻回されて貯線され、このリール18は線材源として基台17の巻線機11から離間する端部にずれて配置される。基台17には、後述するコントローラ46が設けられるハウジング19がリール18に隣接するように搭載され、線材繰出機構21は、このハウジング19を介して基台17に搭載される。
【0034】
具体的に、線材繰出機構21は、このリール18をZ軸方向上側から覆うようにハウジング19に取付けられた平板22に設けられ、この平板22には線材13が貫通可能な貫通孔22aが形成される。この平板22の貫通孔22aの近傍には台板23が立設され、この台板23には、貫通孔22aを貫通してZ軸方向に伸びる線材13をY軸方向の両側から挟んでその巻癖をとる複数の小ローラ23aが設けられる。
【0035】
また、この実施の形態において、線材13を巻線機11に向けて繰出す線材繰出機構21は、複数の小ローラ23aにより巻癖がとられた線材13が掛け回されて転向させるキャプスタン24と、回転軸26aをX軸方向に向けて台板23に取付けられ、その回転軸26aにキャプスタン24が取付けられた繰出用モータ26とを備える。
【0036】
キャプスタン24には線材13が少なくとも1周掛け回され、繰出用モータ26が駆動してキャプスタン24を回転させると、リール18から巻解かれた線材13を引き上げて新たに掛け回すとともに、既に掛け回されている線材13をそのキャプスタン24から巻解いて巻線機11に向けて繰出すように構成される。
【0037】
この線材繰出機構21と巻線機11の間のハウジング19には鉛直板30がY軸方向に延びて設けられ、この鉛直板30に線材繰出機構21から巻芯12に供給される線材13に張力を付与するテンション装置31が設けられる。
【0038】
この鉛直板30には、キャプスタン24により転向された線材13を水平にして巻線機11の方向に向ける第一転向プーリ32と、その第一転向プーリ32により巻線機11に向かう線材13が掛け回される第二転向プーリ33が設けられる。この実施の形態における第一及び第二転向プーリ32,33は、線材13の掛け回しを容易にするために、比較的大きな径のものが使用されるものとする。
【0039】
このテンション装置31は、線材繰出機構21から繰出されて第二転向プーリ33により巻線機11から遠ざかる方向に向かう線材13が掛け回されたガイドプーリ34と、線材13に張力を付与する方向、即ち、巻線機11から遠ざかる方向にガイドプーリ34を付勢して、ガイドプーリ34の位置に応じた張力を線材13に付与する弾性部材35とを備える。
【0040】
即ち、鉛直板30にはレール36がY軸方向に延びて設けられ、このレール36にガイドプーリ34を回転可能に支持する支持台37がY軸方向に移動可能に設けられる。ガイドプーリ34は線材繰出機構21から繰出された線材13が掛け回されるものであり、この実施の形態では、第二転向プーリ33により転向された線材13が掛け回されるものとして使用される。
【0041】
そして、鉛直板30にはこのガイドプーリ34を巻線機11から遠ざける方向に付勢する弾性部材35が設けられる。この実施に形態における弾性部材は一対のコイルスプリング35,35から成り、その一端が支持台37に取付けられ、その他端が巻線機11から離れる方向に離間して可動体41(図1)に取付けられる。
【0042】
この一対のコイルスプリング35,35は、その支持台37を巻線機11から遠ざける方向に付勢するので、その支持台37に枢支されたガイドプーリ34のY軸方向における位置に応じた張力を、そのガイドプーリ34に掛け回されて巻線機11に向かう線材13に付与することになる。
【0043】
このコイルスプリング35,35によるガイドプーリ34に対する付勢力は、張力調整機構40によって調整される。この張力調整機構40は、鉛直板30にコイルスプリング35,35と平行に設けられて可動体41をY軸方向に移動可能に支持するレール42と、レール42に移動可能に搭載された可動体41に螺合して鉛直板30に枢支された雄ねじ43と、雄ねじ43を回転させるための調整つまみ44とを備える。
【0044】
そして、一端が支持台37に取付けられたコイルスプリング35,35の他端は、この可動体41に連結されるため、コイルスプリング35,35の張力は、調整つまみ44を回転させて雄ねじ43を回転させ、可動体41を巻線機11に対して離接させることによって調整されることになる。
【0045】
ここで、図1における符号45は、ガイドプーリ34のY軸方向における位置を検出する位置センサ45であって、その検出出力は後述するコントローラ46の入力に接続されるものとする。
【0046】
なお、張力調整機構40によるコイルスプリング35,35の張力の調整は、巻線を始める前の初期設定として行われ、線材13に付与する張力を一定にするために、巻線中に行われることはないものである。
【0047】
また、本発明の巻線装置10における巻線機11は、その巻芯12を軸中心に回転させて、線材13をその巻芯12に巻回させるものであって、この実施の形態における巻芯12は、線材13が巻線される巻胴部12aと、巻胴部12aの両端面に設けられて線材13の巻幅を規制する鍔部12bとを有する。この巻芯12は、巻芯回転手段である巻線用モータ14の回転軸14aに同軸に取付けられるものとし、巻線用モータ14が回転駆動することによって、巻芯12はその軸を中心に回転するように構成される。本実施の形態では、巻胴部12aの断面形状が、長方形である場合について示す(図9図11)。
【0048】
また、巻線機11には、巻芯12に巻線される線材13を回転軸方向に送るガイド機構51が備えられる。このガイド機構51は基板15aに、巻芯12の回転軸に平行に設けられ、かつ軸方向に移動可能に設けられた支持ピン52と、その支持ピン52の先端に取付けられて線材13が巻芯12の軸方向の移動を制限するガイド部材53と、その支持ピン52を軸方向に移動させるガイド用モータ54(図2)とを備える。
【0049】
図2に示す様に、ガイド用モータ54は、その回転軸54aが支持ピン52に隣接してその支持ピン52に平行になるように取付けられ、その回転軸54aにボールねじ55が同軸に設けられる。そして、ボールねじ55に螺合する雌ねじ部材56が支持ピン52の基端に取付けられる。
【0050】
このため、ガイド用モータ54が駆動してボールねじ55が回転すると、それに螺合して移動する雌ねじ部材56とともに支持ピン52が軸方向に移動して、その先端に設けられたガイド部材53を巻芯12の回転軸方向に移動させるように構成される。そして、ガイド部材53は、線材13を巻芯12の回転軸方向の両側から挟んで、その回転軸方向における線材13の通過位置を制限するように構成される(図12図13)。
【0051】
図1に示す様に、この巻線装置10は、線材繰出機構21から所定の速度で繰出された線材13を減速又は加速させるアキュームレート機構60を備える。この実施の形態では、線材繰出機構21とテンション装置31の間に設けられる場合を示し、図では、鉛直板30にアキュームレート機構60が設けられる場合を示す。
【0052】
図におけるアキュームレート機構60は、線材13の搬送経路に沿って設けられた一対の固定ローラ61a,61bと、この一対の固定ローラ61a,61bの中間を通過して線材13の搬送経路に交差する方向、この実施の形態では鉛直方向(Z軸方向)に移動可能な可動ローラ63と、その可動ローラ63を移動させるサーボモータ64とを備える。
【0053】
この実施の形態では、線材繰出機構21から繰出されて、第一転向プーリ32により水平に転向された線材13に沿って一対の固定ローラ61a,61bが鉛直板30に設けられる。鉛直板30にはその一対の固定ローラ61a,61bの中央を貫通するように鉛直方向に伸びるボールねじ66が設けられ、このボールねじ66を回転可能にサーボモータ64の回転軸がそのボールねじ66に連結される。ボールねじ66には可動台67が螺合され、この可動台67に可動ローラ63が枢支される。そして、このサーボモータ64にはコントローラ46の制御出力が接続される。
【0054】
このアキュームレート機構60では、コントローラ46からの指令に基づいてサーボモータ64が駆動してボールねじ66を回転させると、それに螺合されている可動台67が可動ローラ63とともに鉛直方向に移動することになる。第一転向プーリ32により転向して水平方向に向かう線材13は一対の固定ローラ61a,61bの下側に通過され、一対の固定ローラ61a,61bの間の線材13がそれより上方に存在する可動ローラ63に上方から掛け回される。
【0055】
このため、図3に示す様に、サーボモータ64が駆動して可動ローラ63が破線矢印で示す様に上昇すると一対の固定ローラ61a,61bと可動ローラ63の鉛直距離は拡大する。すると、一対の固定ローラ61a,61bと可動ローラ63の鉛直距離の倍の長さの線材13が一対の固定ローラ61a,61bの間に蓄えられることになる。よって、可動ローラ63が上昇途中であると、線材繰出機構21から線材13を等速で繰出しても、その線材13の一部は一対の固定ローラ61a,61bの間に蓄えられるので、その線材13は減速して速度は低下することになる。
【0056】
逆に、図4に示す様に、可動ローラ63が下降するようにサーボモータ64が駆動すると、一対の固定ローラ61a,61bと可動ローラ63の鉛直距離は縮まり、その蓄えた線材13を排出することになる。このため、可動ローラ63が破線矢印で示す様に下降途中であると、線材繰出機構21から線材13を等速で繰出しても、その線材13に排出された線材13が加わるので、その線材13は加速してその速度は高まることになる。
【0057】
また、この巻線装置10は、アキュームレート機構60を通過してテンション装置31に向けて移動する線材13の速度を検出する繰出速度検出手段70と、そのテンション装置31を通過して巻芯12に向かう線材13の速度を検出する巻取速度検出手段80とが設けられる。
【0058】
この実施の形態における巻取速度検出手段80は、ハウジング19の巻線機11側の端部に立設された補助板82に設けられ、その補助板82に線材13を挟むように枢支された一対のローラ81,81と、いずれか一方のローラ81の回動角度を検出する第一エンコーダ83とを備える。
【0059】
一方、この実施の形態における繰出速度検出手段70は、アキュームレート機構60の下流側における鉛直板30に設けられ、その鉛直板30に線材13を挟むように枢支された一対のローラ71,71と、いずれか一方のローラ71の回動角度を検出する第二エンコーダ73とを備える。
【0060】
また、ハウジング19には、巻芯回転手段を構成する巻線用モータ14やガイド機構51におけるガイド用モータ54を制御するコントローラ46が収容される。このコントローラ46には、巻線装置10による巻線動作を制御するCPUや、そのCPUの処理動作に必要な情報やデータ等が記憶された記憶手段となるメモリ46aが格納され、このコントローラ46には、その情報を入力する入力装置46bが接続されて設けられるものとする。
【0061】
従って、巻線用モータ14やガイド用モータ54にはコントローラ46からの制御出力がそれぞれ接続され、コントローラ46はこの巻線用モータ14を駆動させて巻芯12を等速回転させるとともに、ガイド用モータ54を制御して、その巻芯12が一回転する度にガイド部材53を線材13の外径に相当する量だけ巻芯12の回転軸方向に移動させることにより、線材繰出機構21から供給されてテンション装置31により張力が付与された線材13をその巻芯12に密着させつつ巻回する、いわゆる整列巻を可能にするように構成される(図12及び図13)。
【0062】
また、回転角センサ16の検出出力はコントローラ46の制御入力に接続され、このコントローラ46は、等速回転する巻芯12の回転角度を常に認識可能に構成される。
【0063】
一方、線材繰出機構21における繰出用モータ26は、その回転軸26aの回転速度を可変可能に構成され、その繰出用モータ26により回転駆動されるキャプスタン24は、その回転速度を変化させることにより線材13の繰出速度を変更可能に構成される。そして、この線材繰出機構21における繰出用モータ26にも、コントローラ46の制御出力が接続され、このコントローラ46は、回転する巻芯12に巻回される線材13の平均巻取速度に等しい速度で線材13を供給するように、線材繰出機構21を巻芯回転手段14とともに制御する様に構成される。
【0064】
そして、コントローラ46は、アキュームレート機構60におけるサーボモータ64を制御して、線材繰出機構21から平均巻取速度で繰出された線材13を減速又は加速させて、その速度を、回転する巻芯12が巻取る線材13の巻取速度に等しくするように構成される。
【0065】
具体的に、このコントローラ46には演算回路46cが設けられ、その演算回路46cは、メモリ46aに記憶された情報やデータにより、回転する巻芯12に巻回される線材13の巻取速度や平均巻取速度を算出可能に構成される。そして、コントローラ46は、演算回路46cが算出した算出平均巻取速度に従って線材13を供給するように線材繰出機構21を制御するとともに、線材繰出機構21から繰出された線材13を減速又は増加させて演算回路46cが算出した算出巻取速度に成るようにアキュームレート機構23を制御する様に構成される。
【0066】
この実施の形態では、繰出速度検出手段70や速度検出手段80が設けられるので、その第一及び第二エンコーダ83,73の検出出力はコントローラ46の制御入力に接続される。そして、コントローラ83は、それらにより実測繰出速度や実測巻取速度を検出して、線材繰出機構21から繰出されてアキュームレート機構60により減速又は加速させた線材13の速度が、巻芯12に巻回される線材13の巻取速度に等しくなるようにフィードバック制御するものとする。
【0067】
次に、上記巻線装置を用いた本発明の巻線方法を説明する。
【0068】
本発明の巻線方法は、軸中心に巻芯12を回転させて線材繰出機構21から供給されてテンション装置31により張力が付与された線材13を巻芯12に巻回させる方法である。
【0069】
上記巻線装置10を用いるので、図1に示す様に、線材13はリール18に巻回されて貯線され、線材源であるリール18から解かれた線材13は、平板22の貫通孔22aを貫通した後に複数の小ローラ23aによりその巻癖がとられ、線材繰出機構21を構成するキャプスタン24に巻回される。
【0070】
そして、このキャプスタン24から伸びる線材13は第一転向プーリ32により転向して水平方向に向かい、その線材13はアキュームレート機構60における一対の固定ローラ61a,61bの下側に通過される。そして、一対の固定ローラ61a,61bの間の線材13はそれより上方に存在する可動ローラ63に上方から掛け回される。
【0071】
アキュームレート機構60を通過した線材13は第二転向プーリ33によりその方向が変更されて、テンション装置31におけるガイドプーリ34に掛け回された後に巻線機11に達するように配索される。巻線機11ではガイド部材53を通過させた線材13が巻芯12に係止されるものとする。
【0072】
この実施の形態において、使用される巻芯12の線材13が直接巻回される巻胴部12aの断面形状及びその巻幅w(図12)におけるデータ並びにその巻芯12に巻回される線材13の線径dに関するデータは、入力装置46bを介してコントローラ46の記憶手段であるメモリ46aに記憶される。この状態から巻線が開始されることになる。
【0073】
この実際の巻線に際して、コントローラ46は巻線用モータ14を駆動させて巻芯12を等速回転させることになり、その回転角度は回転角センサ16が検出してコントローラ46にフィードバックする。
【0074】
また、ガイド機構51にあっては、図12及び図13に示す様に、その巻芯12が一回転する度にガイド部材53を線材13の外径に相当する量だけ巻芯12の回転軸方向に移動させる。このようにして、線材繰出機構21から供給されてテンション装置31により張力が付与された線材13を巻芯12に整列巻させることになる。
【0075】
そして、本発明の巻線方法における特徴ある点は、回転する巻芯12に巻回される線材13の平均巻取速度で線材繰出機構21から線材13を繰出し、その線材繰出機構21から繰出された線材13の速度を減速又は加速させて、回転する巻芯12に巻回される線材13の巻取速度に等しくするところにある。
【0076】
即ち、実際の巻線では、巻芯12を同一の角速度ωで回転させることになるけれども、この実施の形態において、線材13を巻取る巻芯12は、図9(a)に示すように、その巻胴部12aの断面が長方形を成しており、その断面において、回転中心Oから長辺までの長さをa、回転中心Oから短辺までの長さをb、回転中心Oから角部までの距離をcとすると、巻芯12の回転角速度ωが一定値に保たれている場合には、図9(b)に示すように、巻芯12に巻回される線材13の速度(縦軸)は、巻芯12の回転角度(横軸)に対してaω、cω、bω、cω、aω、…の変曲点が生じるように変動することになる。
【0077】
このように、巻芯12に巻回される線材13の巻取速度は変動するものであるけれども、その巻芯12の断面形状が判明しており、その回転中心Oからの各部への距離が判明していれば、巻芯12の回転角速度ωと掛け合わせることにより、その巻芯12に巻取られる線材13の巻取速度を算出して得ることが可能となる。
【0078】
この実施の形態では、使用される巻芯12の線材13が直接巻回される巻胴部12aの断面形状に関するデータはメモリ46aに記憶されているために、コントローラ46における演算回路46cは、巻芯12に関するデータ、具体的には巻芯12の回転中心Oから線材13が巻回される各部位までの長さa,b,cを、巻芯12を回転させる角速度ωに掛け合わせることにより、図9(b)に実線の曲線で示すような算出巻取速度を得る。
【0079】
また、コントローラ46における演算回路46cは、図9(b)に実線の曲線で示すような算出巻取速度を得た後には、その算出巻取速度を平均化した図9(b)に一点鎖線の直線で示すような平均巻取速度を算出する。即ち、この算出平均巻取速度は、図9(b)に実線の曲線で示すような算出巻取速度で巻芯12が一回転した時に巻回される線材13の長さを、その一回転するに必要な時間で除した値である。
【0080】
そして、コントローラ46は巻線用モータ14を駆動させて、巻芯12を一定の角速度ωにて回転させるとともに、線材繰出機構21における繰出用モータ26を制御して、演算回路46cにより得られた算出平均巻取速度に等しい速度でその線材繰出機構21から線材13を供給するように制御する。
【0081】
それとともに、コントローラ46はアキュームレート機構60におけるサーボモータ64を駆動させてボールねじ66を回転させ、それに螺合されている可動台67とともに可動ローラ63を図9(b)に長破線の曲線で示すよう鉛直方向上下に移動させて、線材繰出機構21から算出平均巻線速度で繰出された線材13を減速又は加速させて算出巻取速度とするように制御する。
【0082】
ここで、上記巻線装置10には、アキュームレート機構60からテンション装置31に向けて繰出される線材13の速度を検出する繰出速度検出手段70と、そのテンション装置31を通過した線材13の速度を検出する巻取速度検出手段80を設けているので、図5(a)に示す様な算出巻取速度に等しくなるようにアキュームレート機構60において減速又は加速させた場合、アキュームレート機構60を通過した線材13の速度は、図5(b)に示す様な実測繰出速度が検出され、テンション装置31を通過した線材13の速度は図5(c)に示す様な実測巻取速度が検出されることになる。
【0083】
ここで、長方形のような非円形断面を有する巻芯12に対して線材13を巻線すると、巻芯12に巻取られる線材13の巻取速度が変化することから、線材13を減速又は加速させるアキュームレート機構60を設けることなく、従来のように、線材繰出機構21から線材13を一定の速度で繰出すと、ガイドプーリ34は図1の破線矢印で示す様に周期的に振れ、その揺れに起因して線材13に付与される張力が変動することになる。
【0084】
けれども、本発明では、線材繰出機構21から一定の値である算出平均巻取速度で線材13を繰出すけれども、アキュームレート機構60を設けて、図3又は図4に示すように、その線材13を周期的に減速又は加速させて、図5(a)に示す様な算出巻取速度に等しい速度とする。
【0085】
このため、図5(c)に示す様に、巻芯12に巻取られる線材13の巻取速度が増加すると、図5(b)に示す様に、その増加に伴ってアキュームレート機構60は線材繰出機構21から繰出される線材13を加速させて、線材13の速度を増加させ、同様に、巻芯12の巻取速度が減少すると、その減少に伴ってアキュームレート機構60は線材繰出機構21から繰出される線材13を減速させて、線材13の速度を減少させることになる。
【0086】
このように、線材繰出機構21から繰出される線材13の速度を減速又は加速させた後の速度が、巻芯12の線材13の実際の巻取速度と一致すると、図1の破線で示す様なガイドプーリ34の周期的な振れは無くなり、巻芯12に供給される線材13の張力を一定に保つことができる。この結果、品質の高いコイルを製造することが可能となる。
【0087】
また、コントローラ46は巻芯12を等速回転させるとともに、ガイド部材53を巻芯12の回転軸方向に移動させて、線材13を巻芯12に整列巻させるけれども、巻芯12に線材13を多層に渡って巻回させる場合には、図12に示す様に、巻胴部12aへの1層目の巻線が終了すると1層目の線材13の外周に2層目の巻線が行われ、図13に示す様に、2層目の巻線が終了すると2層目の線材13の外周に3層目の巻線が行われることになる。
【0088】
このように、巻胴部12aに線材13が多層に巻線される場合、図10及び図11に示す様に、上層にいくに従って巻芯12の回転中心Oから線材13が巻回される各部位までの長さは増大し、巻芯12が一定の角速度ωで回転しているとすると、その巻芯12に巻取られる巻取速度は上層へいくに従って早まる。
【0089】
具体的に、図9に示す様に、巻芯12の回転中心Oから線材13が巻回される各部位までの長さは、第一層目であれば巻芯12の断面における外形状そのものであるけれども、図10に示す様に、第二層目の巻芯12の回転中心Oから線材13が巻回される各部位までの長さは、巻芯12の断面形状における外形状に線材13の線径dを加えたものとなり、図11に示す様に、第三層目の巻芯12の回転中心Oから線材13が巻回される各部位までの長さは、第二層目のものに線材13の線径dを更に加えたものとなる。
【0090】
この巻芯12の断面における形状に順次加える線材13の線径dや、巻胴部12aの巻幅wにおけるデータはメモリ46aに予め記憶されているため、図1のコントローラ46における演算回路46cは、その巻幅wを線径dで除することにより各層の整列巻に必要な回転数を導き出すことが出来る。
【0091】
また、第二層目の巻線となれば、図10に示す様に、その第二層目の巻線における巻芯12の回転中心Oから線材13が巻回される各部位までの長さ(a+d)、(b+d)、(c+d)を求め、第三層目の巻線となれば、図11に示す様に、その第三層目の巻芯12の回転中心Oから線材13が巻回される各部位までの長さ(a+2d)、(b+2d)、(c+2d)を求めた上で、それらの長さ(a+d)、(b+d)、(c+d)、(a+2d)、(b+2d)、(c+2d)に回転させる巻芯12の角速度ωを掛け合わせることにより、各層の算出巻取速度(図10(b)、図11(b))を得ることができる。
【0092】
また、コントローラ46における演算回路46cは、各層の算出巻取速度(図10(b)、図11(b))が得られた後には、その算出巻取速度から、各層における平均巻取速度を算出して、図10(b)や図11(b)における一点鎖線で示す様な、算出平均巻取速度を得る。
【0093】
そして、コントローラ46は、線材繰出機構21における繰出用モータ26を制御して、第二層目以降であっても、そのように演算して得られた各層毎の算出平均巻取速度に等しい速度で、その線材繰出機構21から線材13を供給する様に制御するとともに、コントローラ46は、アキュームレート機構60におけるサーボモータ64を制御して、図10(b)や図11(b)における長破線の曲線で示すように、可動ローラ63を鉛直方向上下に移動させて、線材繰出機構21から供給された線材13を減速又は加速させて、第二層目以降であっても、そのように演算して得られた各層毎の算出巻取速度に等しい速度にする様に制御するものとする。
【0094】
すると、第二層目以降であっても、アキュームレート機構60を通過した線材13の速度(繰出し量)は、巻芯12の線材13の巻取速度(巻取り量)とバランスするようにその繰出し量が制御されることになる。
【0095】
よって、第二層目以降であっても、テンション装置31におけるガイドプーリ34の周期的な振れは抑制され、ガイドプーリ34に掛け回された線材13には、弾性部材35によりガイドプーリ34の位置に応じた変動のない一定の張力が付与されることになる。
【0096】
ここで、実際の巻線にあって、コントローラ46は、アキュームレート機構60を通過してテンション装置31に向けて繰出される線材13の速度と、テンション装置31を通過して巻芯12に向かう線材13の速度を検出し、検出された実測繰出速度の速度変化の状態と実測巻取速度の速度変化の状態との時間軸方向のずれをなくすようにアキュームレート機構60におけるサーボモータ64を制御することになる。
【0097】
即ち、本発明では、巻芯12が巻取る線材13の速度とその平均巻取速度を予め算出し、得られた算出平均巻取速度に等しい速度で線材繰出機構21から線材13を供給し、その線材13をアキュームレート機構60において減速又は加速して算出巻取速度とするので、図5に示す様に、本来、テンション装置31の前後において、線材13の速度に時間軸方向のずれは生じない。
【0098】
けれども、巻芯12の回転速度を高めると、アキュームレート機構60における線材13の減速又は加速が比較的速いピッチで変化することになり、コントローラ46が算出巻取速度に従ってサーボモータ64を制御しても、可動ローラ63の移動が追従せずに、線材13の減速又は加速が遅れるようなことも生じ得る。すると、アキュームレート機構60からテンション装置31に向けて繰出される線材13の速度と、そのテンション装置31を通過して巻芯12に巻回される線材13の速度との間にずれが生じることになる。
【0099】
ここで、アキュームレート機構60からテンション装置31に向けて繰出される線材13の実際の速度は、繰出速度検出手段70により検出され、巻芯12が巻取る線材13の実際の巻取速度は、巻取速度検出手段80により検出されるので、コントローラ46は、その巻取速度検出手段80の検出出力による実測巻取速度の速度変化の状態と、繰出速度検出手段70の検出出力による実測繰出速度の速度変化の状態を常に対比させる。そして、検出された実測繰出速度の速度変化の状態と実測巻取速度の速度変化の状態との時間軸方向のずれをなくすようにアキュームレート機構60において、線材13の減速又は加速を行わせる。
【0100】
具体的に、図6(c)の実線で示す実測巻取速度と、図6(b)の破線で示す実測繰出速度のそれぞれの速度変化の間に時間軸方向のずれTが生じると、コントローラ46はその時間的なずれTを求める。そして、図6(a)の実線で示す算出巻取速度からそのずれTを減じて、二点鎖線で示す様な補正巻取速度を得る。
【0101】
この点で、この実施の形態におけるコントローラ46は、実測巻取速度と実測繰出速度のそれぞれの速度変化の時間軸方向のずれTを算出し、そのずれTを算出巻取速度から減じて補正巻取速度を得る速度補正手段を備えたものとなる。
【0102】
そして、コントローラ46は、得られた図6(a)の二点鎖線で示す補正巻取速度に沿ってアキュームレート機構60におけるサーボモータ64を制御する。すると、コントローラ46は、図6(a)の実線で示す算出巻取速度をずれTの量だけ先行させた状態でアキュームレート機構60を制御することになり、図6(c)の実線で示す巻芯12が巻取る線材13の実際の巻取速度に、アキュームレート機構60により減速又は加速されてテンション装置31に向かう線材13の速度を図6(b)の実線で示すように、合致させることができる。
【0103】
これにより、巻芯12の回転速度を高めて、巻芯12への巻取速度が比較的速いピッチで変化するような場合であっても、アキュームレート機構60により減速又は加速をその速度変化に追従させることが可能となる。このようにして、巻芯12が巻取る線材13の実際の巻取速度と、アキュームレート機構60により減速又は加速されてテンション装置31に供給される線材13の供給量との間のずれを無くして、テンション装置31におけるガイドプーリ34の周期的な振れを防止する。これにより、巻芯12の回転速度を高めても、弾性部材35によりガイドプーリ34の位置に応じた変動のない一定の張力を付与することが可能となる。
【0104】
一方、実測巻取速度と算出巻取速度のそれぞれの速度変化の間に時間軸方向のずれは生じていないけれども、それらの巻取速度自体にずれが生じている場合、即ち、算出巻取速度と巻芯12への線材13の実際の巻取速度が異なるようであれば、線材の供給量と線材巻取り量が一致しないことになる。
【0105】
すると、テンション装置31において、線材13が掛け回されたガイドプーリ34がレール36に沿って移動して巻芯12との間隔を変更させて、その一致しない線材13の量だけY軸方向における位置が変化する。このように供給量と巻取り量の差は、テンション装置31におけるガイドプーリ34の位置の変化によって吸収され、ガイドプーリ34の移動は位置センサ45により検出されて、コントローラ46にフィードバックされる。
【0106】
ここで、ガイドプーリ34が移動すると、線材13に付与される張力が徐々に変動することになるので、位置センサ45の検出出力によりガイドプーリ34の位置の変化が検出されると、コントローラ46は、ガイドプーリ34の位置がレール36の所定の位置、例えば略中央に戻るように、線材13の供給量となる算出巻取速度を一定の割合で増減させ、その増減した補正巻取速度に基づいて算出平均巻取速度を得る。そして、コントローラ46は、この算出平均巻取速度に基づいて繰出用モータ26の回転速度を制御し、線材繰出機構21における線材13の繰出速度を増減させ、巻芯12の巻取速度とバランスさせる。
【0107】
即ち、図7(a)に示す様に、算出巻取速度に比較して巻芯12への線材13の実測巻取速度の方が速く、ガイドプーリ34が巻線機11に徐々に近づく様であれば、図7(b)に示す様に、線材繰出機構21による線材13の繰出し量が増加するように、算出巻取速度を一定の割合で増加させて、実測巻取速度に略一致した補正巻取速度を得る。そして、その補正巻取速度に基づいて補正平均巻取速度を算出する。この補正平均巻取速度も一定の割合で増加することになり、コントローラ46は、このように増加した補正平均巻取速度で線材13が繰出されるように線材繰出機構21における繰出用モータ26を制御するとともに、その線材13をアキュームレート機構60により減速又は加速させて、テンション装置31に向かう線材13の実測繰出速度を図7(c)に示す様に、実測巻取速度に一致させる。
【0108】
一方、図8(a)に示す様に、算出巻取速度に比較して巻芯12への線材13の実測巻取速度の方が遅く、ガイドプーリ34が巻線機11から徐々に遠ざかる様であれば、図8(b)に示す様に、線材繰出機構21による線材13の繰出し量が減少するように、算出巻取速度を一定の割合で減少させて、実測巻取速度に略一致した補正巻取速度を得る。そして、その補正巻取速度に基づいて補正平均巻取速度を算出する。この補正平均巻取速度も一定の割合で減少することになり、コントローラ46は、このように減少した補正平均巻取速度で線材13が繰出されるように線材繰出機構21における繰出用モータ26を制御するとともに、その線材13をアキュームレート機構60により減速又は加速させて、テンション装置31に向かう線材13の実測繰出速度を図8(c)に示す様に、実測巻取速度に一致させる。
【0109】
これにより、ガイドプーリ34はレール36の所定位置、例えば略中央に復帰し、線材13にかかる張力は所定の値に戻されることになる。
【0110】
なお、上述した実施の形態では、テンション装置31がレール36に沿って移動可能に設けられたガイドプーリ34を備える場合を説明したけれども、テンション装置は図15に示す様に張力アーム4を弾性部材6により回動させて、その張力アーム4の先端に取付けられたガイドプーリ5から繰出される線材2に張力を付与する様なものであっても良い。
【0111】
図15に示す様な張力アーム4を有するテンション装置であっても、線材繰出機構21から平均巻取速度で繰出される線材をアキュームレート機構により減速又は加速させて、その線材の速度を巻芯に巻回される線材の巻取速度に等しい速度とすれば、その線材の速度変動に伴うテンション装置のガイドプーリ5の移動を防止することが出来る。すると、そのガイドプーリ5の移動に伴う線材の張力変動は回避されるので、その巻芯12に巻回される線材の張力を一定に保つことが可能となる。
【0112】
また、上述した実施の形態では、テンション装置31においてガイドプーリ34を付勢する付勢手段である弾性部材35がコイルスプリングである場合を例示した。けれども、エア圧等の流体圧によりロッドを没入又は突出させる方向に付勢するような流体圧シリンダを、その付勢手段である弾性部材として用いても良い。このような流体圧シリンダを弾性部材として用いた場合において、その弾性力を変更したい場合には、そのシリンダにおける圧縮エア等の流体圧力を変更することにより、比較的容易にその弾性力を変更することができる。
【0113】
また、上述した実施の形態では、コントローラ46に演算回路46cを設け、メモリ46aに記憶された情報やデータから算出巻取速度や算出平均巻取速度をその演算回路46cが算出する場合を説明した。けれども、算出回路46cを設けることなく、コントローラ46と別に巻取速度や平均巻取速度を予め求めて、このように別に設けられた算出巻取速度や平均巻取速度を記憶手段46aに記憶させるようにしても良い。
【0114】
この場合、コントローラ46は、記憶手段46aに記憶された算出平均巻取速度に従って線材13を供給するように線材繰出機構21を制御し、記憶手段46aに記憶された算出巻取速度に成るように線材繰出機構21から繰出された線材13の速度を減速又は加速させることになり、これでもガイドプーリ34の頻繁な移動は回避されるので、巻芯12に巻回される線材13の張力を一定に保つことが可能となる。
【0115】
更に、上述した実施の形態では、線材繰出機構21とテンション装置31の間にアキュームレート機構60が設けられる場合を説明した。けれども、図14に示す様に、このアキュームレート機構60は、テンション装置31の下流側に設けるようにしても良い。
【0116】
この図14に示す様な巻線装置10であると、平均巻取速度で線材繰出機構21から繰出された線材13は、その平均巻取速度のままでテンション装置31を通過して所定の張力が付与され、その後にそのテンション装置31を通過した線材13の速度を減速又は加速させて回転する巻芯12に巻回される線材13の巻取速度に等しくすることになる。
【0117】
このような巻線装置10であっても、テンション装置31を通過した線材13の速度を回転する巻芯12に巻回される線材13の巻取速度に等しくすることにより、そのテンション装置31が、線材13を掛け回して弾性部材35により移動するガイドプーリ34を備えていたとしても、そのガイドプーリ34の線材13の速度変動に伴う移動を防止することができ、その巻芯12に巻回される線材13の張力を一定に保つことが可能となる。
【符号の説明】
【0118】
10 巻線装置
12 巻芯
13 線材
14 巻線用モータ(巻芯回転手段)
21 線材繰出機構
31 テンション装置
46 コントローラ
46a メモリ(記憶手段)
46c 演算回路
60 アキュームレート機構
61a,61b 固定ローラ
63 可動ローラ
64 サーボモータ
70 繰出速度検出手段
80 巻取速度検出手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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