IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許-吐出器 図1
  • 特許-吐出器 図2
  • 特許-吐出器 図3
  • 特許-吐出器 図4
  • 特許-吐出器 図5
  • 特許-吐出器 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20230929BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20230929BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20230929BHJP
【FI】
B65D47/34 200
B05B1/02 101
B05B11/00 102B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018086316
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019189314
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-11-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】坂田 耕太
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】金丸 治之
【審判官】西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-16395(JP,A)
【文献】特開2018-16394(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2273448(GB,A)
【文献】特開2004-322041(JP,A)
【文献】特開2009-179374(JP,A)
【文献】実開昭56-133358(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34 200
B05B 1/02 101
B05B 11/00 102B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液が収容される容器本体の口部に、上方付勢状態で下方移動自在に配設されたステム、および前記ステムの上端部に装着されるとともに、前方に向けて開口し、スピン流路に連通する吐出孔が形成されたノズル筒を有するポンプと、
前記ポンプを前記容器本体の口部に装着する装着キャップと、を備え、
前記ノズル筒には、前記吐出孔の周囲を囲い、且つ、前記吐出孔の前方に延びる造泡筒が装着され、
前記造泡筒の周壁部の左右両側のみに、前記造泡筒の内側に外気を導入する外気導入孔が形成されており、
前記ポンプの一回の操作による内容液の吐出量は、0.2ml以上、且つ、0.6ml以下であり、
前記外気導入孔は、
総面積が、4mm 以上、且つ、8mm 以下の範囲で形成されると共に、
前記ノズル筒のノズル軸方向において、前記ノズル筒の開口端縁から前方に延びる長さが、0.8mm以上、且つ、1.6mm以下の範囲で形成されている、ことを特徴とする吐出器。
【請求項2】
前記装着キャップの後部に立設された支持部材と、
前記支持部材に回転軸回りに回転可能に配設され、前記ポンプに連係する押下部材と、を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内容液が収容される容器本体の口部に、上方付勢状態で下方移動自在に配設されたステム、およびステムの上端部に装着されるとともに、前方に向けて開口する吐出孔が形成されたノズル筒を有するポンプと、ポンプを容器本体の口部に装着する装着キャップと、装着キャップの後部に立設された支持部材と、支持部材に回転軸回りに回転自在に配設され、ポンプに連係する押下部材と、を備える吐出器が知られている。
この種の吐出器として、例えば下記特許文献1に示されるような、ポンプが、筒状のピストンと、ピストンが上下摺動自在に収容されたシリンダと、ステムから下方に向けて延設され、ピストンの内側を上下方向に貫くピストンガイドと、を備える構成が知られている。
以上の構成において、押下部材を前記回転軸回りに下方に向けて回転させ、ノズル筒、ステムおよびピストンガイドを、ピストンとともにシリンダに対して下方移動させることにより、シリンダ内の内容液がステム内を通して吐出孔から吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-214087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記吐出器では、内容液を泡状にして吐出することについての要望がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内容液を泡状にして吐出できる吐出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る吐出器は、内容液が収容される容器本体の口部に、上方付勢状態で下方移動自在に配設されたステム、および前記ステムの上端部に装着されるとともに、前方に向けて開口し、スピン流路に連通する吐出孔が形成されたノズル筒を有するポンプと、前記ポンプを前記容器本体の口部に装着する装着キャップと、を備え、前記ノズル筒には、前記吐出孔の周囲を囲い、且つ、前記吐出孔の前方に延びる造泡筒が装着され、前記造泡筒の周壁部に、前記造泡筒の内側に外気を導入する外気導入孔が形成されている、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る吐出器によれば、ポンプを下方に移動させると、ステムを介して吸い上げられた内容液が、ステムの上端部からノズル筒に流入し、スピン流路を通って吐出孔から前方に向かって霧状に吐出される。吐出孔から内容液が吐出されると、吐出孔の周囲を囲い、且つ、吐出孔の前方に延びる造泡筒の内側が負圧になる。造泡筒の内側が負圧になると、造泡筒の周壁部に設けられた外気導入孔から造泡筒の内側に外気が導入される。造泡筒の内側に外気が導入されると、内容液が、造泡筒内で外気と混合されて周壁部の内面に衝突するなどして発泡し、泡状となって造泡筒から前方に吐出される。
【0008】
(2)前記外気導入孔は、総面積が、4mm以上、且つ、8mm以下の範囲で形成されていても良い。
【0009】
この場合には、押下部材を下方に向けて回転させる操作スピードによらずに、泡状となって吐出される内容液の泡質を高めることができる。外気導入孔の総面積が、4mm未満であると、造泡筒の内側に導入される外気の空気量が少なく、泡が付着面から垂れ落ち易くなる。また、外気導入孔の総面積が、8mmより大きいと、造泡筒の内側に導入される外気の空気量は増えるが、泡のきめ細かさが失われ、泡が液体に戻り易くなる。よって、外気導入孔の総面積は、4mm以上、且つ、8mm以下であることが好ましい。
【0010】
(3)前記外気導入孔は、前記ノズル筒のノズル軸方向において、前記ノズル筒の開口端縁から前方に延びる長さが、0.8mm以上、且つ、1.6mm以下の範囲で形成されていても良い。
【0011】
この場合には、押下部材を下方に向けて回転させる操作スピードによらずに、泡状となって吐出される内容液の泡質を高めることができる。外気導入孔の前方に延びる長さが、0.8mm未満であると、外気導入孔の空気抵抗が大きくなり、造泡筒の内側に十分な外気が取り込まれ難くなる。また、外気導入孔の前方に延びる長さが、1.6mmより大きいと、外気と内容液が混合される領域が前方に延長され、内容液の流速が遅い場所で外気と内容液が混合される割合が増えるため、液体が泡になり難くなる。よって、外気導入孔の前方に延びる長さは、0.8mm以上、且つ、1.6mm以下であることが好ましい。
【0012】
(4)前記装着キャップの後部に立設された支持部材と、前記支持部材に回転軸回りに回転可能に配設され、前記ポンプに連係する押下部材と、を備えても良い。
【0013】
この場合には、押下部材を回転軸回りに下方に向けて回転させることで、ポンプを下方に移動させることができるため、操作性が良くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る吐出器によれば、内容液を泡状にして吐出できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る吐出器の縦断面図である。
図2図1に示す吐出器の要部の拡大図である。
図3図1に示す吐出器の要部の拡大図であって、押下部材を下方に向けて回転させたときの状態を示す図である。
図4図1に示す吐出器のノズル筒に装着された造泡筒の拡大図である。
図5】表1に示す一実施例に係る孔の総面積、および単位時間当たりの吐出量を変化させたときの内容液の泡状態を示す図である。
図6】表2に示す一実施例に係る孔の高さ、および単位時間当たりの吐出量を変化させたときの内容液の泡状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出器を説明する。
図1に示す吐出器1は、内容液が収容される容器本体2の口部3に、上方付勢状態で下方移動自在に配設されたステム12、およびステム12の上端部に装着されるとともに、前方に向けて開口する吐出孔13Aが形成されたノズル筒13を有するポンプ10と、ポンプ10を容器本体2の口部3に装着する装着キャップ11と、装着キャップ11の後部に立設された支持部材15と、支持部材15に回転軸L回りに回転可能に配設され、ポンプ10に連係する押下部材16と、を備える。
【0017】
吐出器1には、造泡筒100と、正倒立両用アダプタ200と、が装着されている。造泡筒100には、造泡筒100の内側に外気を導入する外気導入孔101が形成されている。ポンプ10は、筒状のピストン41と、ピストン41が上下摺動自在に収容されたシリンダ42と、ステム12から下方に向けて延設され、ピストン41の内側を上下方向に貫くピストンガイド43と、を備える。ここで、装着キャップ11、ステム12、ピストン41、シリンダ42、およびピストンガイド43は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置した状態で配設されている。
【0018】
以下、この共通軸を中心軸線O1といい、中心軸線O1に沿う方向を上下方向という。また、上下方向から見た平面視において、中心軸線O1に交差する方向を径方向といい、中心軸線O1回りに周回する方向を周方向という。
また、ノズル筒13の中心軸線をノズル軸O2といい、ノズル軸O2に沿う方向をノズル軸方向という。ノズル軸方向から見て、ノズル軸O2に交差する方向をノズル径方向といい、ノズル軸O2回りに周回する方向をノズル周方向という。
さらに、平面視でノズル軸O2が延びる方向を前後方向といい、前後方向に沿ってノズル筒13の根元側を後方といい、ノズル筒13の先端側を前方という。上下方向および前後方向の双方に直交する方向を左右方向という。
【0019】
図2の拡大図に示すように、装着キャップ11は、中央に開口部が形成された円環状の頂壁部11aと、頂壁部11aの外周縁から下方に向けて延びる円筒状の口部装着部11bと、を有する。口部装着部11bの内周面には、容器本体2の口部3における外周面に形成された雄ネジに螺着する雌ネジが形成されている。
【0020】
ステム12は、容器本体2の口部3に上方付勢状態で下方移動可能に立設されている。
ステム12の下部の内径および外径は、ステム12の上部の内径および外径よりも大きい。ステム12の上部と下部との間には、テーパ状の段筒部12Aが形成されている。
ステム12とピストン41との間には、ピストン41に対するステム12およびピストンガイド43の下方移動に伴って、ピストン41およびステム12により上下方向の圧縮力が加えられる弾性片25が配設されている。
【0021】
弾性片25は、表裏面が径方向を向き、上下方向に延びる板状に形成されている。弾性片25は、ステム12の下端開口縁に形成され、周方向に等間隔をあけて複数(本実施形態では6つ)配置されている。弾性片25はステム12と一体に形成されている。複数の弾性片25は、互いに同等の形状かつ同等の大きさに形成されている。弾性片25の径方向の大きさ(厚み)は、ステム12の厚みよりも薄くなっている。なお、ステム12および弾性片25は、弾性片25が一定の力が加えられたときに変形するような、ある程度剛性を有する材質、例えばポリプロピレン等で形成されている。
【0022】
ノズル筒13は、ステム12の上端部に装着された有頂筒状の装着筒部31と、装着筒部31から前方に向けて突設された筒状のノズル本体32と、を有している。
装着筒部31は、ステム12内に嵌合されている。装着筒部31の上端部には、左右方向に突出する軸部10Aが形成されている。軸部10Aは、左右方向から見て円形状を呈している。装着筒部31の上端部には、後方に向けて突出する被係止部120が形成されている。被係止部120には、ステム12の下方移動を規制するストッパー130が係止可能とされている。
【0023】
ノズル本体32内には、前後方向に延在する芯棒体35と、芯棒体35の前端部に被着された有頂筒状のチップ36と、が配設されている。
芯棒体35の外周面には、前後方向に延びるとともに、ノズル本体32の内周面との間で内容液の流動を可能とする複数の流路溝部35Aが形成されている。チップ36は、芯棒体35と同軸上に配設されており、内側に芯棒体35が嵌合された円筒状のチップ筒部37と、チップ筒部37の前端部に設けられた端壁部38と、を有している。
【0024】
チップ筒部37は、ノズル本体32内に嵌合されている。端壁部38は、芯棒体35の前端面に当接している。端壁部38のうち芯棒体35の前端面に当接する後面には、芯棒体35の流路溝部35Aに連通するスピン流路38Aが形成されている。端壁部38の中央部分には、スピン流路38Aに連通する吐出孔13Aが前方に向けて開口している。吐出孔13Aの開口面積は、スピン流路38Aよりも上流側の流路溝部35Aにおける流路面積(ノズル軸方向と直交する断面積)よりも小さく、内容液を加圧して霧状に吐出できる。
【0025】
ピストン41は、シリンダ42内に上下摺動可能に嵌合された外筒ピストン51と、外筒ピストン51における径方向の内側に配置され、ピストンガイド43を径方向の外側から囲繞する内筒ピストン52と、外筒ピストン51と内筒ピストン52とを連結する環状連結部53と、を備えている。これら外筒ピストン51、内筒ピストン52、および環状連結部53はそれぞれ、中心軸線O1と同軸に配設されている。図示の例では、外筒ピストン51、内筒ピストン52、および環状連結部53は一体に形成されている。
【0026】
シリンダ42は、多段の円筒状に形成されている。シリンダ42は、上下方向に延在する上筒部62と、上筒部62の下端部から下方に向けて延在し、上筒部62よりも内径および外径が小さい下筒部63と、下筒部63の下端部から下方に向けて延在し、下筒部63よりも内径および外径が小さい小径部64と、上筒部62の下端部と下筒部63の上端部とを接続する環状の段部65と、小径部64から下方に向けて延びる接続筒部69と、を備える。
【0027】
段部65は、ピストン41の外筒ピストン51に上下方向で対向している。ピストン41が下降端位置に位置したとき、外筒ピストン51の下端部が段部65の上面に当接する。段部65の上面は、径方向外側に向かうに従って漸次下方に向かって延びている。段部65の内周面のうち、少なくとも段部65の上面に連なる部分には、下方に向かうに従って漸次縮径するテーパ面65aが形成されている。なお、本実施形態では、段部65の上端開口縁から下筒部63の上端部にかけてテーパ面65aが延在しているが、テーパ面65aは段部65の内周面の一部分にのみ形成されていてもよい。
【0028】
上筒部62の上部には、上筒部62の内外を連通させる空気孔62Bが形成されている。上筒部62の上端部には、径方向の外側に向けて突出する円環状の支持板部61が形成されている。支持板部61の上面における外周部に、装着キャップ11の頂壁部11aの下面が当接している。支持板部61と容器本体2の口部3における上端開口縁との間に、第1パッキン66が配設されている。装着キャップ11の口部装着部11bが、口部3に螺着されることにより、支持板部61および第1パッキン66が、装着キャップ11の頂壁部11aと、口部3と、の間に固定される。これら支持板部61、上筒部62、下筒部63、および小径部64は、中心軸線O1と同軸に配設されている。
【0029】
支持板部61の上面には、上方に向けて延び、かつ装着キャップ11の開口部に挿通された立設筒部60が形成されている。立設筒部60の外径および内径は、上筒部62の外径および内径よりも大きくなっている。立設筒部60の上端開口縁は、ステム12の段筒部12Aと上下方向において同等の位置に位置している。
支持板部61のうち、立設筒部60より径方向の内側に位置する内周部の上面には、環状の第2パッキン56が配設されている。
【0030】
小径部64は、下筒部63の下端部から下方に向けて真っ直ぐ延びる直筒部67と、直筒部67の下端部から下方に向かうに従い漸次、内径および外径が小さくなるテーパ筒部68と、を有している。テーパ筒部68の内側には、弁体44がテーパ筒部68のテーパ面に離着可能に配設されている。
なお、弁体44は、球状に形成された合成樹脂製のいわゆるボール弁とされている。弁体44は、廃棄時における分別の手間を抑制する観点で合成樹脂製とすることが好ましい。また、弁体44は、金属製等であってもよい。さらに、ボール弁に替わる種々の弁体を用いた逆止弁でもよい。
【0031】
テーパ筒部68の内周面には、径方向の外側から内側に向かうに従い漸次、上方に向けて延びる規制突部68Aが突設されている。規制突部68Aの上端の内径は、弁体44の外径よりも小さくなっている。これにより、弁体44が規制突部68Aから上方に離脱するのを規制している。なお、規制突部68Aには、周方向の延在を中断する間隙が形成されている。
【0032】
ピストンガイド43は、ステム12から下方に向けて延びる周筒部43Dおよび底壁部を備える有底筒状に形成されている。底壁部には、径方向の外側に向けて突出する円環状のフランジ部43Aが形成されている。
ピストンガイド43における周筒部43Dの下端部に、外径がフランジ部43Aの上面から上方に向かうに従い漸次、縮径した当接部43Eが形成されている。この当接部43Eに、ピストン41の内筒ピストン52の下端部が当接している。
【0033】
ピストンガイド43の周筒部43Dには、ピストンガイド43内とシリンダ42内とを連通させる連通孔43Bが形成されている。連通孔43Bは、例えば中心軸線O1を径方向で挟む両側に配置されている。連通孔43Bは、内筒ピストン52が当接する当接部43Eよりも上方に位置している。これにより、連通孔43Bとシリンダ42の上筒部62内との連通が遮断されている。
【0034】
ピストンガイド43の周筒部43Dには、ピストンガイド43内とステム12内とを連通する貫通孔43Cが形成されている。貫通孔43Cは、連通孔43Bと同様に、例えば中心軸線O1を径方向で挟む両側に配置されている。貫通孔43Cは、連通孔43Bよりも上方に配置され、ステム12の段筒部12Aにおける内周面に向けて開口している。連通孔43Bおよび貫通孔43Cがピストンガイド43に形成されていることで、ピストンガイド43とピストン41との間、並びにピストンガイド43とステム12との間の空気が滞留するのを防ぐことができる。
ピストンガイド43のうち貫通孔43Cよりも上側に位置する部分は、ステム12内に嵌合している。これにより、ピストンガイド43は、ステム12と共に一体に上下動する。
【0035】
ピストンガイド43の下端部には、下方に向けて突出し、コイルバネ95が外装されるガイド突部43Fが形成されている。ガイド突部43Fは、表裏面が周方向を向く板体が中心軸線O1回りに複数配置されて構成されている。ガイド突部43Fは、上方付勢状態で、シリンダ42における上筒部62の下部から下筒部63の上部にわたって配設されている。
コイルバネ95のうち、上端部はフランジ部43Aの下面に当接し、下端部はシリンダ42における直筒部67の上端開口縁に当接している。これにより、ピストンガイド43はコイルバネ95から上向きの付勢力を受けている。
【0036】
支持部材15は、シリンダ42の立設筒部60に外装された有頂筒状の囲繞筒部15aと、囲繞筒部15aの頂壁から上方に向けて延びるガイド筒15cと、囲繞筒部15aから後方に向けて突設され、左右方向に間隔をあけて配設された一対の側壁部77と、側壁部77の後端縁同士を左右方向に接続する後壁部78と、を有している。
【0037】
囲繞筒部15aの頂壁は環状に形成され、この頂壁の内周縁部にガイド筒15cが配置されている。ガイド筒15c内には、ステム12が下方移動可能に挿通されている。囲繞筒部15aの頂壁の下面には、内側にステム12が挿通された内側垂下筒部15dと、内側垂下筒部15dと囲繞筒部15aの周壁との間に配置された外側垂下筒部15eと、が形成されている。ガイド筒15c、内側垂下筒部15d、および外側垂下筒部15eは、中心軸線O1と同軸に配設されている。
【0038】
囲繞筒部15aの周壁の下端部は、装着キャップ11の頂壁部11aと隙間を介して上下方向に対向している。
外側垂下筒部15eは、立設筒部60内に嵌合されている。外側垂下筒部15eの下端開口縁は、第2パッキン56を介して、シリンダ42における支持板部61の内周部の上面に押し当てられている。
内側垂下筒部15dは、ステム12の下部に外装されている。内側垂下筒部15dの下端開口縁は、第2パッキン56を介して、ピストン41の外筒ピストン51の上端開口縁に押し当てられている。
【0039】
側壁部77は、前側から後側に向かうに従い漸次、上側に向けて延びている。側壁部77の上端には、円柱状の軸体77Aが左右方向の外側に向けて突設されている。軸体77Aは、ステム12より後方に配置されている。軸体77Aの中心を通り、かつ左右方向に延びる仮想の軸線が押下部材16の揺動軸Lとなる。これにより、揺動軸Lは、ステム12より後方に配置されるとともに左右方向に延びている。
後壁部78の内面には、上方に向かって突出し、一対の側壁部77の内面同士を左右方向に一体に連結する補強壁78aが形成されている。
【0040】
押下部材16は、軸体77Aを介して支持部材15に取り付けられている。これにより、押下部材16は、支持部材15に対して揺動軸L回りに揺動可能に連結されている。押下部材16は、ノズル筒13を上方から覆う天板部90と、天板部90の前端縁から前方に向かうに従い漸次、下方に向けて延びる前板部91と、天板部90の左右両側の側端縁から下方に向けて延在し、左右方向に向かい合う一対の側板部92と、を有している。
そして、天板部90と一対の側板部92とで囲まれる内部空間にノズル筒13が配置されている。よって、一対の側板部92は、ノズル筒13を左右方向から挟むように配置されている。
【0041】
天板部90は、上方に向けて膨らむように滑らかに湾曲した形状とされ、その後端部は支持部材15における後壁部78の上端部に上方から当接している。これにより、押下部材16は、揺動軸Lを中心としたこれ以上の上方への揺動が規制されている。
天板部90の前側部分には、天板部90を貫通する第1貫通孔93が形成されている。
この第1貫通孔93は、天板部90における左右方向の中央部分に形成されているとともに、前方に開口している。これにより、天板部90の前側部分は、左右方向に二股に分かれた形状とされている。前板部91は、二股に分かれた天板部90の前端縁から前方に向かうに従い漸次、下方に向けて延在している。
【0042】
第1貫通孔93内には、ノズル筒13のノズル本体32が挿通されている。これにより、ノズル本体32は、第1貫通孔93を通して前板部91から前方に向けて突出しており、押下部材16とノズル筒13との中心軸線O1回りにおける相対的な回転が規制されている。なお、前板部91の下側部分は、指先を掛けるための指掛部分とされている。
【0043】
押下部材16の一対の側板部92は、支持部材15の一対の側壁部77における上部を左右方向に挟んでいる。これにより、支持部材15と押下部材16との中心軸線O1回りにおける相対的な回転が規制されている。一対の側板部92の後部側の内面には、軸体77Aが挿通される軸孔部92Aが形成されている。これにより、押下部材16は、軸体77A回り、すなわち揺動軸L回りに揺動可能に支持される。
【0044】
押下部材16には、ノズル筒13の軸部10Aに係合する係合溝31Aが形成されている。係合溝31Aは、押下部材16の一対の側板部92から左右方向の内側に向けて張り出した板部の下端部に、下方に向けて開口する半円形状に形成されている。この係合溝31A内に軸部10Aが挿入されている。
以上の構成において、押下部材16を揺動軸L回りに下方に揺動すると、係合溝31Aの内周面が軸部10Aの外周面を下方に向けて押し込むことにより、ステム12およびピストンガイド43が、コイルバネ95の上方付勢力に抗して下降する。
【0045】
ストッパー130は、押下部材16の揺動軸Lに平行な軸体131回りに揺動可能に設けられ、ノズル筒13の下方移動を規制する。ストッパー130は、ノズル筒13の下方移動を規制する規制位置と、規制位置に対して軸体131回りに後方に揺動し、ノズル筒13の下方移動を許容する規制解除位置と、の間を移動可能に配設されている。軸体131は、左右方向に延在する棒状に形成され、軸体131の左右方向の両端部は、一対の側壁部77に形成された支持凹部82に中心軸回りに回転可能に嵌め込まれている。支持凹部82は、ステム12よりも後方であって、揺動軸Lよりも前方に配置されている。
【0046】
正倒立両用アダプタ200は、吐出器1の正立時および倒立時の双方で、シリンダ42内が負圧となったときに、内容液をシリンダ42内に供給するように構成されている。
【0047】
そして、本実施形態の吐出器1は、図4の拡大図に示すように、ノズル筒13の先端部に外嵌された造泡筒100を有している。造泡筒100は、ノズル本体32に外嵌され、吐出孔13Aの後方に延びるノズル装着部102と、吐出孔13Aの周囲を囲い、且つ、吐出孔13Aの前方に延びる周壁部103と、ノズル装着部102と周壁部103とを接続する接続部104と、を有する。これらノズル装着部102、周壁部103、および接続部104はそれぞれ、ノズル軸O2と同軸に配設されている。
【0048】
ノズル装着部102は、円筒状に形成され、ノズル筒13のノズル本体32の外周面に着脱可能に外嵌している。これにより、既存の吐出器1に対して造泡筒100を着脱可能に装着でき、吐出器1を流用できる。ノズル装着部102の後端部内面には、その後端開口縁から前方に向かうに従って漸次縮径するテーパ面111が形成されている。テーパ面111は、ノズル筒13に対する造泡筒100の装着(挿入)を容易にするために形成されている。また、ノズル装着部102の前端部内面には、ノズル本体32の外径よりも僅かに小さい内径を有する嵌合部112(締め部)が形成されている。
【0049】
周壁部103は、ノズル装着部102より一回り小さい円筒状に形成され、ノズル装着部102の前方に配置されている。周壁部103の外径は、ノズル装着部102の内径よりも僅かに小さい。また、周壁部103の内径は、ノズル装着部102の内径よりも小さく、且つ、ノズル本体32の内径よりも僅かに大きい。接続部104は、径の異なるノズル装着部102と周壁部103とを接続する環状に形成されている。接続部104は、ノズル装着部102の前端開口縁部と、周壁部103の後端外周面と、を接続している。なお、周壁部103の内径及び外径の寸法は、上述した大小関係に限定されるものではない。
【0050】
周壁部103は、ノズル筒13の開口端縁13Bから前方に向かって延在している。この周壁部103には、造泡筒100の内側に外気を導入する外気導入孔101が形成されている。本実施形態の外気導入孔101は、周壁部103に2つ形成され、ノズル軸O2をノズル径方向で挟む左右両側に配置されている。なお、外気導入孔101は、周壁部103に1つだけ形成されていてもよいし、周壁部103のノズル周方向に等間隔に3つ以上形成されていてもよい。
【0051】
外気導入孔101は、ノズル筒13のノズル軸方向において、ノズル筒13の開口端縁13Bから前方に延びた矩形状に形成されている。本実施形態の外気導入孔101は、ノズル軸方向に短辺が延び、ノズル周方向に長辺が延びる長方形状に形成されている。外気導入孔101の面積は、周壁部103の内側と外側でそれぞれ等しい。なお、外気導入孔101の面積は、周壁部103の内側が外側より小さくてもよい。すなわち、外気導入孔101は、周壁部103のノズル径方向内側に向かって面積が小さくなってもよい。なお、この場合、後述する外気導入孔101の「総面積」とは、ノズル径方向内側の面積を意味する。
【0052】
上記構成の吐出器1を使用する際には、まず、図2に示すストッパー130を規制位置から規制解除位置へと揺動させて、押下部材16及びポンプ10が下方移動可能な状態とする。次に、図3に示すように、押下部材16を回転軸L回りに下方に向けて回転させる。この際、例えば押下部材16の前板部91の指掛部分に指先を掛けながら、コイルバネ95の付勢力に抗して押下部材16を下方に向けて回転させる。押下部材16を下方に向けて回転させると、ポンプ10が下方移動し、弁体44によってシリンダ42のテーパ筒部68内を閉塞した状態で、ステム12およびピストンガイド43がシリンダ42に対して押し下げられる。
【0053】
ステム12がピストンガイド43とともに押し下げられると、ステム12がピストンガイド43とともに押し下げられると、ステム12に加えられた押し下げ力が、弾性片25を介してピストン41に伝えられ、ピストン41がステム12およびピストンガイド43と一体となって、シリンダ42に対して下方移動する。これにより、ピストン41の内筒ピストン52がステム12内とシリンダ42内との連通を遮断したままの状態で、シリンダ42内が加圧される。これにより、シリンダ42内の内容液がステム12内を上昇してノズル本体32内に導入され、スピン流路38Aを通って吐出孔13Aから霧状に吐出される。
【0054】
ここで、ステム12およびピストンガイド43は、ステム12とピストン41との間に配設された弾性片25に上下方向の圧縮力を加えて、弾性片25の下端部を径方向外側に向かって弾性変形させながら、ピストン41に対して下方移動する。ピストン41は、弾性変形した弾性片25の下端部が環状連結部53の上面に当接してから下方移動するため、ステム12およびピストンガイド43の押し下げによって、シリンダ42の内圧が一定以上となってはじめて、内容物を吐出させることができ、吐出される内容液の勢いなどの吐出態様を安定させることができる。
【0055】
そして、本実施形態の吐出器1では、吐出孔13Aから内容液が吐出されると、吐出孔13Aの周囲を囲い、且つ、吐出孔13Aの前方に延びる造泡筒100の内側が負圧になる。造泡筒100の内側が負圧になると、造泡筒100の周壁部103に設けられた外気導入孔101から造泡筒100の内側に外気が導入される。造泡筒100の内側に外気が導入されると、内容液が、造泡筒100内で外気と混合されて周壁部103の内面に衝突するなどして発泡し、泡状となって造泡筒100から前方に吐出される。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出器1では、内容液が収容される容器本体2の口部3に、上方付勢状態で下方移動自在に配設されたステム12、およびステム12の上端部に装着されるとともに、前方に向けて開口し、スピン流路38Aに連通する吐出孔13Aが形成されたノズル筒13を有するポンプ10と、ポンプ10を容器本体2の口部3に装着する装着キャップ11と、を備え、ノズル筒13には、吐出孔13Aの周囲を囲い、且つ、吐出孔13Aの前方に延びる造泡筒100が装着され、造泡筒100の周壁部103に、造泡筒100の内側に外気を導入する外気導入孔101が形成されている。このため、吐出器1は、内容液を泡状にして吐出できる。また、本実施形態では、装着キャップ11の後部に立設された支持部材15と、支持部材15に回転軸L回りに回転可能に配設され、ポンプ10に連係する押下部材16と、を備えるので、吐出器1の操作性が良くなる。
【0057】
上述した吐出器1は、押下部材16を下方に向けて回転させる操作スピードに応じて、内容液の吐出スピードが変化する。このため、押下部材16の操作スピードによらずに、一定の泡質の内容液を吐出させるべく、図4に示す外気導入孔101の寸法(総面積、ノズル軸方向における長さH)を設計することが好ましい。なお、上記構成の吐出器1の一回の吐出量は、0.2ml以上、且つ、0.6ml以下である。好ましい吐出器1の一回の吐出量は、0.3ml以上、且つ、0.6ml以下である。より好ましい吐出器1の一回の吐出量は、0.5ml以上、且つ、0.6ml以下である。
【0058】
このような吐出器1において、外気導入孔101は、総面積が、4mm以上、且つ、8mm以下の範囲で形成されているとよい。この場合には、押下部材16を下方に向けて回転させる操作スピードによらずに、泡状となって吐出される内容液の泡質を高めることができる。外気導入孔101の総面積が、4mm未満であると、造泡筒100の内側に導入される外気の空気量が少なく、泡が付着面から垂れ落ち易くなる。また、外気導入孔101の総面積が、8mmより大きいと、造泡筒100の内側に導入される外気の空気量は増えるが、泡のきめ細かさが失われ、泡が液体に戻り易くなってしまう。よって、外気導入孔101の総面積は、4mm以上、且つ、8mm以下であることが好ましい。
【0059】
また、外気導入孔101は、ノズル筒13のノズル軸方向において、ノズル筒13の開口端縁13Bから前方に延びる長さH(孔高さ)が、0.8mm以上、且つ、1.6mm以下の範囲で形成されているとよい。この場合には、押下部材16を下方に向けて回転させる操作スピードによらずに、泡状となって吐出される内容液の泡質を高めることができる。外気導入孔101の前方に延びる長さHが、0.8mm未満であると、外気導入孔101の空気抵抗が大きくなり、造泡筒100の内側に十分な外気が取り込まれ難くなる。また、外気導入孔101の前方に延びる長さが、1.6mmより大きいと、外気と内容液が混合される領域が前方に延長され、内容液の流速が遅い場所で外気と内容液が混合される割合が増えるため、液体が泡になり難くなってしまう。よって、外気導入孔101の前方に延びる長さは、0.8mm以上、且つ、1.6mm以下であることが好ましい。
【0060】
[実施例]
以下、実施例により本発明の効果をより明らかにする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0061】
表1は、一実施例に係る外気導入孔101の総面積を変更したとき(外気導入孔101のノズル軸方向における長さHは一定の場合)の泡質の変化を示す。表2は、一実施例に係る外気導入孔101のノズル軸方向における長さHを変更したとき(外気導入孔101の総面積は一定の場合)の泡質の変化を示す。
表1及び表2に示す内容液の吐出試験における吐出条件は、以下の通りである。
吐出量(一回当たり) :0.52ml
押下部材16の操作ストローク :23.5mm
押下部材16の操作スピード(3種):1.3ml/sec(低速)
1.8ml/sec(中速)
2.3ml/sec(高速)
【0062】
【表1】
【0063】
図5は、表1に示す一実施例に係る(a)外気導入孔101の総面積が3mmであって、押下部材16の操作スピードが1.3ml/secのときの内容液の泡状態、(b)外気導入孔101の総面積が6mmであって、押下部材16の操作スピードが1.3ml/secのときの内容液の泡状態、(c)外気導入孔101の総面積が6mmであって、押下部材16の操作スピードが1.8ml/secのときの内容液の泡状態、(d)外気導入孔101の総面積が6mmであって、押下部材16の操作スピードが2.3ml/secのときの内容液の泡状態、(e)外気導入孔101の総面積が9mmであって、押下部材16の操作スピードが2.3ml/secのときの内容液の泡状態を示す図である。
【0064】
表1に示すように、外気導入孔101の総面積が3mmであって、押下部材16の操作スピードが1.3ml/sec(低速)のとき、内容液の付着面からの泡垂れが確認できる(泡質×:図5(a)参照)。これは、外気導入孔101の総面積が小さく、造泡筒100の内側に導入される外気の空気量が少なくなった結果、内容液に対し外気が過少になり、内容液の発泡がうまくいかなかったなどの理由が考えらえる。一方、外気導入孔101の総面積が3mmであって、押下部材16の操作スピードが1.8ml/sec(中速)、2.3ml/sec(高速)のときは、内容液の付着面からの泡垂れは確認されなかった(泡質〇)。これは、押下部材16の操作スピードが速く、内容液の吐出スピードが上がった結果、造泡筒100の内側の負圧が大きくなり、十分な外気が造泡筒100の内側に導入されたなどの理由が考えられる。
【0065】
また、外気導入孔101の総面積が9mmであって、押下部材16の操作スピードが2.3ml/sec(高速)のとき、泡のきめ細かさが失われ、泡が液体に戻り易くなっていることが確認できる(泡質×:図5(e)参照)。これは、外気導入孔101の総面積が大きく、造泡筒100の内側に導入される外気の空気量が多くなった結果、内容液に対し外気が過大になり、泡が肥大化して割れ易くなったなどの理由が考えられる。一方、外気導入孔101の総面積が9mmであって、押下部材16の操作スピードが1.3/secml(低速)、1.8ml/sec(中速)のときは、泡の液体化は確認されなかった(泡質〇)。これは、押下部材16の操作スピードが遅く、内容液の吐出スピードが下がった結果、造泡筒100の内側の負圧が小さくなり、適量の外気が造泡筒100の内側に導入されたなどの理由が考えられる。
【0066】
また、外気導入孔101の総面積が6mmのときは、押下部材16の操作スピードが1.3ml/sec(低速)、1.8ml/sec(中速)、2.3ml/sec(高速)のいずれであっても、泡垂れが少なくきめ細かな良好な泡質が得られていることが確認できる(泡質〇:図5(b)~図5(d)参照)。また、外気導入孔101の総面積が4mm、8mmときも、表1に示すように、押下部材16の操作スピードが1.3ml/sec(低速)、1.8ml/sec(中速)、2.3ml/sec(高速)のいずれであっても、外気導入孔101の総面積が6mmのときと同様に、泡垂れが少なくきめ細かな良好な泡質が得られていることが確認できた(泡質〇)。
以上のことから、外気導入孔101は、総面積が、4mm以上、且つ、8mm以下の範囲で形成されていることが好ましく、これにより、押下部材16を下方に向けて回転させる操作スピードによらずに、泡状となって吐出される内容液の泡質を高めることができることが分かる。
【0067】
【表2】
【0068】
図6は、表2に示す一実施例に係る(a)外気導入孔101の長さH(孔高さ)が0.7mmであって、押下部材16の操作スピードが1.3ml/secのときの内容液の泡状態、(b)外気導入孔101の長さHが1.2mmであって、押下部材16の操作スピードが1.3ml/secのときの内容液の泡状態、(c)外気導入孔101の長さHが1.2mmであって、押下部材16の操作スピードが1.8ml/secのときの内容液の泡状態、(d)外気導入孔101の長さHが1.2mmであって、押下部材16の操作スピードが2.3ml/secのときの内容液の泡状態、(e)外気導入孔101の長さHが1.7mmであって、押下部材16の操作スピードが2.3ml/secのときの内容液の泡状態を示す図である。
【0069】
表2に示すように、外気導入孔101の長さH(孔高さ)が0.7mmであって、押下部材16の操作スピードが1.3/secml(低速)のとき、内容液の付着面からの泡垂れが確認できる(泡質×:図6(a)参照)。これは、外気導入孔101の長さHが小さく、外気導入孔101における空気抵抗が大きくなった結果、内容液に対し外気が過少になり、内容液の発泡がうまくいかなかったなどの理由が考えらえる。また、この場合は、内容液の吐出方向(霧の進行方向)に対する外気導入孔101の形成長さが短くなるため、外気の導入量が過少になり、内容液の発泡がうまくいかなかったなどの理由も考えられる。一方、外気導入孔101の長さHが0.7mmであって、押下部材16の操作スピードが1.8ml/sec(中速)、2.3ml/sec(高速)のときは、内容液の付着面からの泡垂れは確認されなかった(泡質〇)。これは、押下部材16の操作スピードが速く、内容液の吐出スピードが上がった結果、造泡筒100の内側の負圧が大きくなり、十分な外気が造泡筒100の内側に導入されたなどの理由が考えられる。
【0070】
また、外気導入孔101の長さH(孔高さ)が1.7mmであって、押下部材16の操作スピードが2.3ml/sec(高速)のとき、泡のきめ細かさが失われ、泡が液体に戻り易くなっていることが確認できる(泡質×:図6(e)参照)。これは、内容液の吐出方向(霧の進行方向)に対する外気導入孔101の形成長さが過剰に長くなるため、外気がより導入し易く、外気の導入量が過大になり、泡が肥大化して割れ易くなったなどの理由が考えられる。一方、外気導入孔101の長さHが1.7mmであって、押下部材16の操作スピードが1.3/secml(低速)、1.8ml/sec(中速)のときは、泡の液体化は確認されなかった(泡質〇)。これは、押下部材16の操作スピードが遅く、内容液の吐出スピードが下がった結果、外気と内容液が混合される領域が後方に短縮され、内容液の流速が速い場所で外気と内容液が混合される割合が増えたなどの理由が考えられる。
【0071】
また、外気導入孔101の長さH(孔高さ)が1.2mmのときは、押下部材16の操作スピードが1.3/secml(低速)、1.8ml/sec(中速)、2.3ml/sec(高速)のいずれであっても、泡垂れが少なくきめ細かな良好な泡質が得られていることが確認できる(泡質〇:図6(b)~図6(d)参照)。また、外気導入孔101の長さH(孔高さ)が0.8mm、1.6mmときも、表1に示すように、押下部材16の操作スピードが1.3ml/sec(低速)、1.8ml/sec(中速)、2.3ml/sec(高速)のいずれであっても、外気導入孔101の長さHが1.2mmのときと同様に、泡垂れが少なくきめ細かな良好な泡質が得られていることが確認できた(泡質〇)。
以上のことから、外気導入孔101は、ノズル筒13のノズル軸方向において、ノズル筒13の開口端縁13Bから前方に延びる長さH(孔高さ)が、0.8mm以上、且つ、1.6mm以下の範囲で形成されていることが好ましく、これにより、押下部材16を下方に向けて回転させる操作スピードによらずに、泡状となって吐出される内容液の泡質を高めることができることが分かる。
【0072】
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0073】
例えば、本実施形態では、造泡筒100がノズル筒13に対して着脱可能に装着される形態について説明したが、造泡筒100がノズル筒13に対して着脱不能に装着される形態であってもよい。
【0074】
また、例えば、本実施形態では、装着キャップ11の後部に立設された支持部材15と、支持部材15に回転軸L回りに回転可能に配設され、ポンプ10に連係する押下部材16と、を備える形態について説明したが、例えば支持部材15及び押下部材16が無く、ポンプ10の上端部を直接下方に押下して内容液を吐出させる形態であってもよい。
【0075】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 吐出器
2 容器本体
3 口部
10 ポンプ
11 装着キャップ
12 ステム
13 ノズル筒
13A 吐出孔
13B 開口端縁
15 支持部材
16 押下部材
32 ノズル本体
38A スピン流路
100 造泡筒
101 外気導入孔
102 ノズル装着部
103 周壁部
104 接続部
111 テーパ面
112 嵌合部
L 回転軸
O1 中心軸線
O2 ノズル軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6