(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】外壁パネルの目地構造および外壁面材用のふさぎ部材
(51)【国際特許分類】
E04B 2/56 20060101AFI20230929BHJP
E04B 1/68 20060101ALI20230929BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
E04B2/56 644B
E04B1/68 A
E04F13/08 Y
(21)【出願番号】P 2019068919
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 隆
(72)【発明者】
【氏名】大久保 雅司
(72)【発明者】
【氏名】松本 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】橘 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】添田 智美
(72)【発明者】
【氏名】鴨下 栄紀
(72)【発明者】
【氏名】石橋 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】桧作 健太郎
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-012409(JP,A)
【文献】特開平10-082104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62 - 1/99
E04B 2/56
E04F 13/00 - 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に隣り合う外壁面材間の縦目地と、上下に嵌合する外壁面材間の横目地とが交差する十字状目地部の上記横目地側にふさぎ部材が装着される外壁パネルの目地構造であって、
上記ふさぎ部材は、上記十字状目地部の上記横目地側に装着されることで屋外側に位置する耐候性の屋外側前面部を備えており、
上記屋外側前面部は、上側の外壁面材の屋外板における下部突出部の下端から下方に出て、上記十字状目地部の上記横目地側において露出しており、
上記上下に嵌合する外壁面材における下側の外壁面材の上部の凸部の
延在方向の端側は切り欠かれておらず、上記凸部の
延在方向の端側に上記ふさぎ部材が被さり、且つ、当該ふさぎ部材は、上側の外壁面材の下部の凹部の
延在方向の端側の構成部分の切り欠かれた箇所に位置することを特徴とする外壁パネルの目地構造。
【請求項2】
請求項1に記載の外壁パネルの目地構造において、上記ふさぎ部材は、上記縦目地側に位置する縦目地側側面部を有することを特徴とする外壁パネルの目地構造。
【請求項3】
請求項2に記載の外壁パネルの目地構造において、上記ふさぎ部材は、上記屋外側前面部の上部および上記縦目地側側面部の上部と繋がる天面部を有することを特徴とする外壁パネルの目地構造。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の外壁パネルの目地構造において、上記縦目地側側面部は、上記上側の外壁面材の屋外板を縦目地側に折り曲げた曲げ部と、下側の外壁面材の屋外板を縦目地側に折り曲げた曲げ部との間の隙間を埋めるように突出する第1突起部を有することを特徴とする外壁パネルの目地構造。
【請求項5】
請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の外壁パネルの目地構造において、上記縦目地側側面部は、上記上側の外壁面材の屋外板を縦目地側に折り曲げた曲げ部における下端側に向かって突出する第2突起部を有することを特徴とする外壁パネルの目地構造。
【請求項6】
左右に隣り合う外壁面材間の縦目地と、上下に嵌合する外壁面材間の横目地とが交差する十字状目地部の上記横目地側にふさぎ部材が装着される外壁パネルの目地構造であって、
上記ふさぎ部材は、上記十字状目地部の上記横目地側に装着されることで屋外側に位置する耐候性の屋外側前面部および上記縦目地側に位置する縦目地側側面部を備えており、
上記屋外側前面部は、上側の外壁面材の屋外板における下部突出部の下端から下方に出て、上記十字状目地部の上記横目地側において露出しており、
上記縦目地側側面部は、上記上側の外壁面材の屋外板を縦目地側に折り曲げた曲げ部に対して、上側ほど離間する傾斜部を有することを特徴とする外壁パネルの目地構造。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の外壁パネルの目地構造において、上記屋外側前面部は、上記上側の外壁面材の屋外板の下部突出部の屋内面に向かって突出する第3突起部を有することを特徴とする外壁パネルの目地構造。
【請求項8】
左右に隣り合う外壁面材間の縦目地と、上下に嵌合する外壁面材間の横目地とが交差する十字状目地部の上記横目地側に用いられる外壁面材用のふさぎ部材であって、
縦配置される第1面部と、
縦配置され、上記第1面部の縦縁から当該第1面部に対して交差する方向に延びる第2面部と、
上記第1面部の上部と上記第2面部の上部を繋ぐ横配置の第3面部と、を備え、
上記外壁面材への装着状態で、上記第1面部と上記第2面部と上記第3面部との交差箇所が下側の外壁面材の上部の角に位置する内側角部となり、且つ上記第1面部が屋外側に位置する部位となり、
少なくとも上記第1面部が耐候性を有しており、且つ、上記第2面部は、上側の上記外壁面材の屋外板を上記縦目地側に折り曲げた曲げ部に対して、上側ほど離間する傾斜部を有することを特徴とする外壁面材用のふさぎ部材。
【請求項9】
請求項8に記載の外壁面材用のふさぎ部材において、
上記第1面部は、屋外側に位置し、上記横目地に露出する屋外側前面部であり、
上記第2面部は、上記縦目地側に位置する縦目地側側面部であり、
上記第3面部は、上記屋外側前面部の上部および上記縦目地側側面部の上部に繋がる天面部であることを特徴とする外壁面材用のふさぎ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の外壁をなす外壁パネルの目地構造および外壁面材用のふさぎ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の背景技術には、外壁パネルの表面を構成する鋼板の端部に折り曲げ片を設け、この折り曲げ片を目地部で隣り合う外壁パネルの折り曲げ片と重ね合わせ、この目地部にシーリング材を充填することで防水することが記載されている。さらに、この特許文献1は、無足場施工を実現するべく、外壁における左右に隣り合う外壁パネル間の縦目地を形成するパネル端面が、表裏の金属板とは別体の型材からなり、これら型材間に水密性確保のための二次部材が設けられた外壁構造を開示している。
【0003】
また、外壁面材を上下左右に合わせてできる縦目地および横目地の交差箇所における当該外壁面材の角部に対しては、スポンジによる止水処理が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の外壁構造では、外壁パネルの端面が表裏の金属板とは別体の型材からなるため、外壁パネルの構造が複雑化し、外壁が割高になる欠点がある。
【0006】
また、上記止水処理においては、上記スポンジが太陽光で劣化するため、当該スポンジが横目地に露出しないようにする必要があり、また、多くの不定形シール材を塗布する必要があり、目地のシール作業に多くの時間が必要であった。また、上記スポンジが横目地に露出すると、外壁の見栄えも悪くなるという欠点がある。
【0007】
この発明は、上記の事情に鑑み、目地のシール作業の容易化が図れる外壁パネルの目地構造および外壁面材用のふさぎ部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の外壁パネルの目地構造は、左右に隣り合う外壁面材間の縦目地と、上下に嵌合する外壁面材間の横目地とが交差する十字状目地部の上記横目地側にふさぎ部材が装着される外壁パネルの目地構造であって、
上記ふさぎ部材は、上記十字状目地部の上記横目地側に装着されることで屋外側に位置する耐候性の屋外側前面部を備えており、
上記屋外側前面部は、上側の外壁面材の屋外板における下部突出部の下端から下方に出て、上記十字状目地部の上記横目地側において露出することを特徴とする外壁パネル。
【0009】
上記の構成であれば、上記屋外側前面部が、上側の外壁面材の屋外板における下部突出部の下端から下方に出て、上記十字状目地部の上記横目地に露出しても、上記屋外側前面部は、耐候性を有するので、太陽光による劣化が生じにくい。また、横目地に露出しないようにスポンジを用いてシールを行う場合に比べ、不定形シール材の塗布量を低減でき、シール作業の時間短縮を図ることができる。また、スポンジを用いる場合の見栄えの低下も防止できる。また、ふさぎ部材が露出すると、ふさぎ部材の有無の確認が可能になり、ふさぎ部材の付け忘れの防止が図れる。
【0010】
上記ふさぎ部材は、上記縦目地側に位置する縦目地側側面部を有してもよい。これによれば、上記縦目地側での止水が図れる。
【0011】
上記ふさぎ部材は、上記屋外側前面部の上部および上記縦目地側側面部の上部と繋がる天面部を有してもよい。これによれば、上下の外壁面材の上下端の嵌合の隙間箇所に上記天面部が介在し、上記隙間箇所の止水が図れる。
【0012】
上記縦目地側側面部は、上記上側の外壁面材の屋外板を縦目地側に折り曲げた曲げ部と、下側の外壁面材の屋外板を縦目地側に折り曲げた曲げ部との間の隙間を埋めるように突出する第1突起部を有してもよい。これによれば、上記隙間からの水の浸入を抑制することができる。
【0013】
上記縦目地側側面部は、上記上側の外壁面材の屋外板を縦目地側に折り曲げた曲げ部における下端に向かって突出する第2突起部を有してもよい。これによれば、上記上側の外壁面材の屋外板を縦目地側に折り曲げた曲げ部における下端の上側への折り返し部からの水の浸入を抑制することができる。
【0014】
上記縦目地側側面部は、上記上側の外壁面材の屋外板を縦目地側に折り曲げた曲げ部に対して、上側ほど離間する傾斜部を有してもよい。これによれば、下側の外壁面材の角に当該ふさぎ部材が装着された状態で、上側の外壁面材が下側の外壁面材に嵌合されるとき、上記ふさぎ部材の上部が、上記傾斜部の存在によって、上側の外壁面材の上記曲げ部の下端に当たり難くなるため、上記ふさぎ部材のつぶれを抑制することができる。
【0015】
上記屋外側前面部は、上記上側の外壁面材の屋外板の下部突出部の屋内面に向かって突出する第3突起部を有してもよい。これによれば、上記上側の外壁面材の屋外板の下部突出部の屋内面からの水の浸入を抑制できる。
【0016】
また、この発明の外壁面材用のふさぎ部材は、外壁面材の上下嵌合箇所の縁側に装着される外壁面材用のふさぎ部材であって、
縦配置される第1面部と、
縦配置され、上記第1面部の縦縁から当該第1面部に対して交差する方向に延びる第2面部と、
上記第1面部の上部と上記第2面部の上部を繋ぐ横配置の第3面部と、を備え、
上記外壁面材への装着状態で、上記第1面部と上記第2面部と上記第3面部との交差箇所が下側の外壁面材の上部の角に位置する内側角部となり、且つ上記第1面部が屋外側に位置する部位となり、
少なくとも上記第1面部が耐候性を有することを特徴とする。
【0017】
上記の構成であれば、上記屋外側に位置する上記第1面部は、耐候性を有するので、太陽光による劣化が生じにくい。
【0018】
また、この発明の外壁面材用のふさぎ部材は、左右に隣り合う外壁面材間の縦目地と、上下に嵌合する外壁面材間の横目地とが交差する十字状目地部の上記横目地側に用いられる上記の外壁面材用のふさぎ部材であって、
上記第1面部は、屋外側に位置し、上記横目地に露出する屋外側前面部であり、
上記第2面部は、上記縦目地側に位置する縦目地側側面部であり、
上記第3面部は、上記屋外側前面部の上部および上記縦目地側側面部の上部に繋がる天面部であることを特徴とする。
【0019】
上記の構成であれば、上記屋外側前面部である上記第1面部は、耐候性を有するので、太陽光による劣化が生じにくい。また、横目地に露出しないようにスポンジを用いてシールを行う場合に比べ、不定形シール材の塗布量を低減でき、シール作業の時間短縮を図ることができる。また、スポンジを用いる場合の見栄えの低下も防止できる。また、ふさぎ部材が露出すると、ふさぎ部材の有無の確認が可能になり、ふさぎ部材の付け忘れの防止が図れる。
【発明の効果】
【0020】
本発明であれば、ふさぎ部材は耐候性を有するので、太陽光による劣化が生じ難く、また、外壁パネルの横目地に露出しないようにスポンジを用いてシールを行う場合に比べ、不定形シール材の塗布量を低減でき、シール作業の時間短縮を図ることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】大判化外壁パネルの構造例を示した概略の斜視図である。
【
図2】同図(A)は
図1の外壁面材における外壁面材の上部および下部を示した断面図であり、同図(B)は
図1の上下に配置された外壁面材の嵌め込み箇所の断面図である。
【
図4】実施形態のふさぎ部材の概略の透視斜視図である。
【
図5】左右の外壁面材間で縦目地が形成されることを示す説明図である。
【
図6】同図(A)は
図4のふさぎ部材と上側の外壁面材との位置関係を示した斜視による説明図であり、同図(B)は、上記ふさぎ部材と下側の外壁面材との位置関係を示した斜視による説明図である。
【
図7】左右に隣り合う外壁面材間の縦目地と、上下に嵌合する外壁面材間の横目地とが交差する十字状目地部に
図4のふさぎ部材が装着される外壁パネルの目地構造を示した概略の透視立面図である。
【
図8】他の実施形態に係るふさぎ部材の複数方向からの斜視を示した斜視図である。
【
図9】
図8のふさぎ部材と上側の外壁面材との位置関係を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、建物の外壁を構成する大判化外壁パネル5は、例えば、複数の横長の外壁面材51を上下に配置して下地材52で相互に連結された構造を有する。
図1に示す例では、上記下地材52として、C形鋼からなる縦胴縁52aを複数本備えている。また、上下の外壁面材51間には、横目地Kが形成される。
【0023】
上記外壁面材51は、例えば、
図2(A)および
図2(B)に示すように、断熱材51aを鋼板51b、51cで挟み込んだ金属サンドイッチパネルである。2枚の外壁面材51を上下に配置した場合、下段に位置する外壁面材51の上端面に形成された横幅方向に長い2か所の凹部51dに、上段に位置する外壁面材51の下端面に形成された横幅方向に長い2か所の凸部51eが嵌まり込むことにより、上下の外壁面材51が互いに面外方向に位置ずれしないように組み合わされる。
【0024】
また、外壁面材51の側面部には、外壁面材51の壁面と平行に止水板部51fが突出している。上下に位置する外壁面材51においては、例えば、下側となる止水板部51fの上端部分が屋内側に出るように曲げられており、この下側の止水板部51fの上端部分と上側の止水板部51fの下端部分とが重なることができる。
【0025】
なお、図示しない地組架台を用いると、上記複数の外壁面材51を上下に並べて下地材52で連結した大判化外壁パネル5を、当該大判化外壁パネル5が取り付けられる建物の躯体の外壁取付箇所とは異なる場所で組み立てることができる。そして、この大判化外壁パネル5を、クレーン等で吊り上げ、建物の躯体の外壁取付箇所に取り付けて外壁を構成することができる。
【0026】
また、上記止水板部51fは、屋外側に位置する鋼板51bの左右端部を略90度折り曲げることで、外壁面材51の壁面と平行とされる。また、各外壁面材51の左右両側の止水板部51fの形成位置については、屋外側の壁面からの距離を幾分違えてあり、左右の外壁面材51の両止水板部51f同士が重なるときに、左右の外壁面材51の外壁表面の出量に差異が生じ難いようにしている。
【0027】
また、各外壁面材51の止水板部51fには、例えば、この外壁面材51の工場出荷段階で以下に示す止水部材が装着される。そして、外壁面材51が上下に並べられて大判化外壁パネル5が製作されるとき、上下の外壁面材51,51における止水板部51fの重なり箇所では、止水部材も重なることになる。
【0028】
この実施形態では、
図3に示すように、各外壁面材51の屋外側に配置される止水板部51fには、ゴム等からなる耐候性を有する止水部材1が装着される。また、各外壁面材51の屋内側に配置される止水板部51fには、特に耐候性を有しない発泡樹脂からなる止水部材2が装着される。ここで、上記の耐候性とは、太陽光からの光線の影響、雨水などによる分解や浸食、温度変化による材料の伸縮の影響などに起因した、変形、変色、劣化等が生じ難く、屋外の自然環境での使用に耐え得る性質があることをいう。
【0029】
また、上記複数の外壁面材51を上下に並べて下地材52で連結した大判化外壁パネル5を作成する際には、上下に嵌合する外壁面材51間の横目地側の端となる箇所に、ふさぎ部材6が装着される。このふさぎ部材については、後述する。
【0030】
図5に示すように、左右に隣り合う外壁面材51,51の互いに近接する止水板部51f、51f同士が重なり合うことで、縦方向の縦目地Jが形成される。また、止水板部51f、51f同士の重なり合いにおいては、耐候性を有する止水部材1が屋外側に位置される。そして、上記大判化外壁パネル5においては、クレーン等で吊り上げられ、建物の躯体の外壁取付箇所に取り付けたときに、隣の大判化外壁パネル5との間で、互いに近接する止水板部51f、51f同士が重なり合う。
【0031】
なお、建物の躯体の外壁取付箇所に取り付けられた大判化外壁パネル5,5間の裏側(屋内側)には、耐風板53が設けられる。この耐風板53は、外壁面材51の屋内側の鋼板51cに対面し、この鋼板51cと耐風板53との間に発泡樹脂テープ53aを介在させた状態で、ビス53bによって鋼板51cに固定されている。
【0032】
上記ふさぎ部材6は、
図4に示すように、縦配置される第1面部61と、縦配置され、上記第1面部61の縦縁から当該第1面部61に対して交差する方向に延びる第2面部62と、上記第1面部61の上端の横縁と上記第2面部62の上端の横縁を繋ぐ横配置の第3面部63と、を備える。
【0033】
上記ふさぎ部材6は、
図6(A)、
図6(B)および
図7に示すように、上記外壁面材51への装着状態で、上記第1面部61と上記第2面部62と上記第3面部63との交差箇所が、下側の外壁面材51の上部の角(凸部51eの上端の縁側)に位置する内側角部となり、且つ上記第1面部61が屋外側に位置する部位となる。なお、
図6(A)は、上側の外壁面材51と上記ふさぎ部材6との位置関係を示し、
図6(B)は、下側の外壁面材51と上記ふさぎ部材6との位置関係を示している。
【0034】
なお、
図4、
図6(A)、
図6(B)では、屋外側から向かって左側の外壁面材51の右端角に装着されるふさぎ部材6を示している。屋外側から向かって右側の外壁面材51の左端角に装着されるふさぎ部材は、上記ふさぎ部材6に対して面対称の形状を有する。説明の便宜上、上記左端角に装着されるふさぎ部材についてもふさぎ部材6と表記する。
【0035】
上記ふさぎ部材6は、ゴム等を素材とした定型の部材であり、上記止水部材1と同様、耐候性を有する。なお、ふさぎ部材6における耐候性は、少なくとも上記第1面部61において有すればよい。
【0036】
また、上記ふさぎ部材6は、
図7にも示すように、上記縦目地Jと上記横目地Kとが交差する十字状目地部における下側の外壁面材51の上部の角に装着される。上記第1面部61は、屋外側に位置する屋外側前面部をなし、上記第2面部62は、上記縦目地J側に位置する縦目地側側面部をなし、上記第3面部63は、上記第1面部61(屋外側前面部)の上部および上記第2面部62(縦目地側側面部)の上部と繋がる天面部をなす。
【0037】
すなわち、上記ふさぎ部材6は、下側の外壁面材51の上部の角に装着された状態で屋外側に位置することになる第1面部61(屋外側前面部)を有し、上記第1面部61(屋外側前面部)は、上側の外壁面材51の屋外板(屋外側の鋼板51b)における下部突出部51hの下端から下方に出て、上記十字状目地部の上記横目地Kにおいて露出する。
【0038】
上記の目地構造であれば、上記ふさぎ部材6の第1面部61(屋外側前面部)によって、横目地K側における上側の外壁面材51の上記下部突出部51hと下側の外壁面材51の屋外板(鋼板51b)との間の止水が可能になる。そして、上記第1面部61(屋外側前面部)が、上記下部突出部51hの下端から下方に出て、上記横目地K側において露出しても、上記第1面部61(屋外側前面部)は、耐候性を有するので、太陽光による劣化が生じにくい。また、横目地に露出しないようにスポンジを用いてシールを行う場合に比べ、不定形シール材の塗布量を低減でき、シール作業の時間短縮を図ることができる。また、スポンジを用いる場合の見栄えの低下も防止できる。また、ふさぎ部材が露出すると、ふさぎ部材の有無の確認が可能になり、ふさぎ部材の付け忘れの防止が図れる。
【0039】
上記ふさぎ部材6が、上記縦目地J側に位置する上記第2面部62(縦目地側側面部)を有すると、上記縦目地J側での止水が図れる。
【0040】
上記ふさぎ部材6が、上記第3面部63(天面部)を有すると、上下外壁面材51の上下端の嵌合の隙間箇所に、上記第3面部63(天面部)が介在し、上記隙間箇所の止水が図れる。
【0041】
図7および
図8に他の実施形態のふさぎ部材6Aおよび外壁パネルの目地構造を示す。なお、上記実施形態と同様の部材には、同一の符号を付記して説明を省略する。
【0042】
この実施形態のふさぎ部材6Aにおける第2面部62(縦目地側側面部)の上部には、上記上側の外壁面材51の屋外板(鋼板51b)を縦目地J側に折り曲げた曲げ部51pの裏面に対して、上側ほど離間する傾斜部604が形成されている。換言すれば、この傾斜部604は、上記第3面部63(天面部)の第2面部62(縦目地側側面部)寄りの箇所から、第2面部62(縦目地側側面部)に近づくほど下り傾斜している。この傾斜部604の傾斜は、平面的な傾斜でもよいし、曲面的な傾斜でもよい。
【0043】
また、上記ふさぎ部材6Aにおける第2面部62(縦目地側側面部)は、第1突起部601を有する。この第1突起部601は、上側の外壁面材51の屋外板(鋼板51b)を縦目地J側に折り曲げた曲げ部51pの裏面に向かって突出する。さらに詳しくは、上記第1突起部601は、上記曲げ部51pと、下側の外壁面材51の屋外板を縦目地側に折り曲げた曲げ部との間の隙間Gを埋めるように突出する。上記第1突起部601は、第2面部62(縦目地側側面部)の屋内側の縁の近傍において縦方向に延設される。第1突起部601は、上記傾斜部604には至らない。
【0044】
また、上記ふさぎ部材6Aにおける第2面部62(縦目地側側面部)は、第2突起部602を有する。この第2突起部602は、上側の外壁面材51の屋外板(鋼板51b)を縦目地側に折り曲げた曲げ部51pにおける下端の上側への折り返し部51qに向かって突出し、第2面部62(縦目地側側面部)の下縁の近傍において横方向に延設される。また、この実施形態では、上記第1突起部601と第2突起部602とが繋がってL字状をなす。なお、上記第1突起部601の突出高さを、第2突起部602の突出高さよりも高くしてもよい。
【0045】
また、上記ふさぎ部材6Aにおける第1面部61(屋外側前面部)は、第3突起部603を有する。この第3突起部603は、上側の外壁面材51の屋外板(鋼板51b)の下部突出部51hの屋内面に向かって突出する。また、この第3突起部603は、L字形状をなしており、第1面部61(屋外側前面部)の下縁から離れた箇所に横方向に延びる部分が形成されている。上記横方向に延びる部分は、上記下部突出部51hの下端側の屋内面に対向する。そして、この実施形態では、上記横方向に延びる部分が上記第2突起部602に繋がっている。また、L字形状における縦方向部分は、第1面部61(屋外側前面部)における上記第2面部62(縦目地側側面部)から遠い側の縁の近傍において、第1面部61(屋外側前面部)の上端近傍まで延設される。
【0046】
また、上記ふさぎ部材6Aの裏面は、凹凸形状を有する。例えば、下側の外壁面材51の上部の横目地Kとなる箇所に対面する領域には、凸状部611が形成されている。また、下側の外壁面材51の上部の角の縁に対面する箇所には、凸状部612が形成されている。これにより、上記ふさぎ部材6Aの裏面の多くが、上記下側の外壁面材51の上部に接することができる。また、上記凸状部611および凸状部612の表面は、例えば、両面テープの貼付によって、粘着面(クロスハッチング参照)となっており、下側の外壁面材51の上部に粘着固定させることができる。この粘着固定により、上下の外壁面材51を上下嵌合させる際のふさぎ部材6Aの脱落を防止することができる。
【0047】
また、上記第2面部62(縦目地側側面部)が、上記第1突起部601を有すると、上記曲げ部51pと、下側の外壁面材51の屋外板を縦目地側に折り曲げた曲げ部との間の隙間Gからの水の浸入を抑制することができる。この実施形態では、上記止水板部51fには、上記止水部材1,2が設けられており、上記隙間Gにおいて高い止水性能が得られる。
【0048】
上記第2面部62(縦目地側側面部)が、上記第2突起部602を有すると、上記上側の外壁面材51の屋外板(鋼板51b)における折り返し部51qからの水の浸入を抑制することができる。
【0049】
上記第2面部62(縦目地側側面部)が、上記傾斜部604を有すると、下側の外壁面材51の角に当該ふさぎ部材6Aが装着された状態で、上側の外壁面材51が下側の外壁面材51に嵌合されるとき、上記ふさぎ部材6Aの上部角が、上記傾斜部604の存在によって、上側の外壁面材51の下端に当たり難くなるため、上記ふさぎ部材6Aのつぶれを抑制することができる。
【0050】
上記第1面部61(屋外側前面部)が、上記第3突起部603を有すると、上記上側の外壁面材51の屋外板(鋼板51b)の下部突出部51hの屋内面からの水の浸入を抑制できる。
【0051】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 :止水部材
2 :止水部材
5 :大判化外壁パネル
6 :ふさぎ部材
6A :ふさぎ部材
51 :外壁面材
51a :断熱材
51b :鋼板
51c :鋼板
51d :凹部
51e :凸部
51f :止水板部
51h :下部突出部
51p :曲げ部
51q :折り返し部
52 :下地材
52a :縦胴縁
53 :耐風板
53a :発泡樹脂テープ
53b :ビス
61 :第1面部
62 :第2面部
63 :第3面部
601 :第1突起部
602 :第2突起部
603 :第3突起部
604 :傾斜部
611 :凸状部
612 :凸状部
G :隙間
J :縦目地
K :横目地