(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】油圧システム
(51)【国際特許分類】
F15B 11/08 20060101AFI20230929BHJP
F15B 20/00 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
F15B11/08 A
F15B20/00 D
(21)【出願番号】P 2019095808
(22)【出願日】2019-05-22
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】村岡 英泰
(72)【発明者】
【氏名】木下 敦之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲弘
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-011680(JP,A)
【文献】特開2006-308073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06-31/11
F15B 11/00-11/22;21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内を摺動する弁スプールを有し、入力される作動指令に応じて前記弁スプールを移動させる一対の電磁弁と、
前記電磁弁に作動指令を出力し、且つ所定の条件を充足すると、全開位置又は全閉位置から前記弁スプールを往復運動させるべく作動指令を前記電磁弁に与える制御装置とを備え、
前記一対の電磁弁の各々は、電磁比例減圧弁であって、各々から出力される二次圧を制御弁の制御スプールに対して互いに抗する方向に作用させるように配置され、
作動指令は、前記弁スプールを前記全開位置又は前記全閉位置に位置させる所定指令を含み、
前記制御装置は、前記所定の条件を充足すると、継続して前記電磁比例減圧弁に与えられる前記所定指令を規定時間の間、特定の作動指令に変えることによって前記弁スプールを往復運動させ、前記弁スプールを往復運動させる際に前記一対の電磁比例減圧弁の各々の二次圧を同一にする、油圧システム。
【請求項2】
前記電磁比例減圧弁の上流側に設けられ、前記電磁弁への作動油の流れを遮断可能な切換弁を備え、
前記条件は、前記切換弁によって前記電磁弁への作動油の流れが遮断されていることを含む、請求項1に記載の油圧システム。
【請求項3】
ハウジング内を摺動する弁スプールを有し、入力される作動指令に応じて前記弁スプールを移動させる電磁弁と、
前記電磁弁に作動指令を出力し、且つ所定の条件を充足すると、全開位置又は全閉位置から前記弁スプールを往復運動させるべく作動指令を前記電磁弁に与える制御装置とを備え、
前記電磁弁は、電磁比例減圧弁であって、前記電磁比例減圧弁から出力される二次圧を制御弁の制御スプールに作用させるように配置され、
前記制御弁は、二次圧が所定値未満では作動しない不感帯を有し、
前記制御装置は、前記弁スプールを往復運動させる際の作動指令を前記電磁比例減圧弁から出力される二次圧が所定値未満となるようにする、油圧システム。
【請求項4】
前記制御装置は、ステップ状の作動指令を前記電磁比例減圧弁に出力することによって前記弁スプールを往復運動させる、請求項1乃至3の何れか1つに記載の油圧システム。
【請求項5】
前記所定の条件は、前記電磁弁の下流側に油圧が流れない状態であることを含む、請求項1乃至4の何れか1つに記載の油圧システム。
【請求項6】
前記電磁弁の各々の下流側に設けられる圧力センサを更に備え、
前記制御装置は、前記圧力センサによって検出される圧力と前記電磁弁の各々に出力する作動指令とに基づいて前記弁スプールの動作不良を検知する、請求項1又は2に記載の油圧システム。
【請求項7】
パイロット油を吐出するパイロットポンプと、
パイロット通路を介して前記パイロットポンプに接続され、入力される減圧指令に応じた二次圧を出力する一対の電磁比例減圧弁と、
前記電磁比例減圧弁から出力される二次圧に応じて、油圧アクチュエータに流す圧油の流れを制御する制御弁と、
前記パイロット通路に介在し、入力される切換指令に応じて前記パイロット通路を遮断する電磁切換弁と、
前記電磁比例減圧弁に減圧指令を出力し、且つ前記電磁切換弁に切換指令を出力する制御装置と、を備え、
前記制御弁は、制御スプールを有し、前記制御スプールの位置に応じて前記油圧アクチュエータに流す圧油の流れを制御し、
前記電磁切換弁は、第1ハウジング内を摺動する第1弁スプールを有し、入力される切換指令に応じて前記第1弁スプールを移動させることによって前記パイロット通路の遮断し、
前記一対の電磁比例減圧弁は、第2ハウジング内を摺動する第2弁スプールを有し、入力される減圧指令に応じて前記第2弁スプールを移動させることによって出力する二次圧を夫々調整し、且つ各々から出力される二次圧を前記制御スプールに対して互いに抗する方向に作用させて前記制御スプールを動かし、
切換指令は、前記第1弁スプールを全開位置に位置させる開指令と、前記第1弁スプールを全閉位置に位置させる閉指令を含み、
前記減圧指令は、前記第2弁スプールを全開位置又は全閉位置に位置させる所定指令を含み、
前記制御装置は、所定の第1条件を充足すると、前記電磁切換弁に継続して与えられる開指令及び閉指令の何れか一方の作動指令を短い第1規定時間だけ他方の作動指令に逆転させるように切換指令を前記電磁切換弁に与えることによって全開位置又は全閉位置から前記第1弁スプールを往復運動させ、所定の第2条件を充足すると、継続して前記電磁比例減圧弁に与えられる前記所定指令を第2規定時間の間、特定の減圧指令に変えることによって全開位置又は全閉位置から前記第2弁スプールを往復運動させ、前記第2
弁スプー
ルを往復運動させる際に前記一対の電磁比例減圧弁の各々の二次圧を同一にする、油圧システム。
【請求項8】
パイロット油を吐出するパイロットポンプと、
パイロット通路を介して前記パイロットポンプに接続され、入力される減圧指令に応じた二次圧を出力する電磁比例減圧弁と、
前記電磁比例減圧弁から出力される二次圧に応じて、油圧アクチュエータに流す圧油の流れを制御する制御弁と、
前記パイロット通路に介在し、入力される切換指令に応じて前記パイロット通路を遮断する電磁切換弁と、
前記電磁比例減圧弁に減圧指令を出力し、且つ前記電磁切換弁に切換指令を出力する制御装置と、を備え、
前記電磁切換弁は、第1ハウジング内を摺動する第1弁スプールを有し、入力される切換指令に応じて前記第1弁スプールを移動させることによって前記パイロット通路の遮断し、
前記電磁比例減圧弁は、第2ハウジング内を摺動する第2弁スプールを有し、入力される減圧指令に応じて前記第2弁スプールを移動させることによって出力する二次圧を調整し、
前記制御装置は、所定の第1条件を充足すると、全開位置又は全閉位置から前記第1弁スプールを往復運動させるべく切換指令を前記電磁切換弁に与え、所定の第2条件を充足すると、全開位置又は全閉位置から前記第2弁スプールを往復運動させるべく減圧指令を前記電磁比例減圧弁に与え、
前記制御弁は、二次圧が所定値未満では作動しない不感帯を有し、
前記第1条件には、前記電磁比例減圧弁から出力される二次圧が所定値未満となるような減圧指令が出力されていることを含む、油圧システム。
【請求項9】
前記第1条件及び前記第2条件の少なくとも一方には、前記パイロットポンプが停止していることを含む、請求項7又は8に記載の油圧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置によって電磁弁の動きを電子制御する油圧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁弁を用いてマルチコントロール弁を作動させる油圧システムが知られており、その一例として特許文献1の油圧駆動システムがある。特許文献1の油圧駆動システムは、旋回用制御弁(マルチコントロール弁)を備えており、電磁弁から出力されるパイロット圧に応じて旋回用制御弁のスプールの位置を変えることによって旋回モータに対する作動油の流れを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の油圧駆動システムで使用される電磁弁は、例えば以下のように構成されている。即ち、電磁弁では、スプールがハウジング内に摺動可能に挿通され、そのスプールがソレノイドからの推力を受けて移動する。電磁弁は、スプールが移動することによってそこから出力するパイロット圧を変え、旋回用制御弁のスプールの位置を変える。このように電磁弁は、ソレノイドによってスプールを動かしているが、ソレノイドからの推力が大きくない。それ故、電磁弁は、砂塵、金属片、及び繊維くず等のコンタミがハウジングとスプールとの間に入り込んで詰まることによってスプールがスティック等したり、コンタミがスプールのメータリング部(例えば、ノッチ)に噛みで閉じなくなったりして動作不良が発生する恐れがある。これに関して、電磁弁に繋がる油路に複数のフィルタを設けてコンタミを捕捉することが考えられるが、必ずしも有効な対策とならない場合がある。
【0005】
そこで本発明は、コンタミに起因する電磁弁の作動不良の発生を抑制できる油圧システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明である油圧システムは、ハウジング内を摺動する弁スプールを有し、入力される作動指令に応じて前記弁スプールを移動させる電磁弁と、前記電磁弁に作動指令を出力する制御装置とを備え、前記制御装置は、所定の条件を充足すると、全開位置又は全閉位置から前記弁スプールを往復運動させるべく作動指令を前記電磁弁に与えるものである。
【0007】
本発明に従えば、所定の条件を充足させることによって意図して全開位置又は全閉位置から弁スプールを往復運動させることができる。これにより、弁スプールとハウジングとの間に入り込んだコンタミ等を除去する電磁弁のクリーニングを行うことができ、コンタミに起因する電磁弁の動作不良の発生を抑制できる。
【0008】
上記に発明において、前記電磁弁は、電磁切換弁であって、作動指令は、前記弁スプールを全開位置に位置させる開指令と、前記弁スプールを全閉位置に位置させる閉指令を含み、前記制御装置は、前記条件を充足すると、前記電磁切換弁に継続して与えられる開指令及び閉指令の何れか一方の作動指令を短い規定時間だけ他方の作動指令に逆転させて前記弁スプールを往復運動させることが好ましい。
【0009】
上記構成に従えば、電磁切換弁に対して弁スプールとハウジングとの間に入り込んだコンタミ等を除去するクリーニングを行うことができる。
【0010】
上記に発明において、前記電磁弁は、電磁比例減圧弁であって、作動指令は、前記弁スプールを前記全開位置又は前記全閉位置に位置させる所定指令を含み、前記制御装置は、前記条件を充足すると、継続して前記電磁比例減圧弁に与えられる前記所定指令を規定時間の間、特定の作動指令に変えて前記弁スプールを往復運動させることが好ましい。
【0011】
上記構成に従えば、電磁比例減圧弁に対して弁スプールとハウジングとの間に入り込んだコンタミ等を除去するクリーニングを行うことができる。
【0012】
上記に発明において、一対の前記電磁弁を備え、前記一対の電磁弁の各々は、電磁比例減圧弁であって、各々から出力される二次圧を制御弁の制御スプールに対して互いに抗する方向に作用させるように配置され、作動指令は、前記弁スプールを前記全開位置又は前記全閉位置に位置させる所定指令を含み、前記制御装置は、前記条件を充足すると、継続して前記電磁比例減圧弁に与えられる前記所定指令を規定時間の間、特定の作動指令に変えて、前記一対の電磁比例減圧弁の各々の二次圧を同一にし且つ前記弁スプールを往復運動させることが好ましい。
【0013】
上記構成に従えば、制御弁の制御スプールを動かすことなく、一対の電磁比例弁に対して弁スプールとハウジングとの間に入り込んだコンタミ等を除去するクリーニングを行うことができる。
【0014】
上記発明において、前記電磁比例減圧弁の上流側に設けられ、前記電磁比例減圧弁への作動油の流れを遮断可能な切換弁を備え、前記条件は、前記切換弁によって前記電磁弁への作動油の流れが遮断されていることを含むことが好ましい。
【0015】
上記構成に従えば、電磁比例減圧弁に圧油が供給されない状態にて電磁比例減圧弁の弁スプールを往復運動させることができるので、往復運動させる際に電磁比例減圧弁から不所望なパイロット圧が出力されることを抑制できる。
【0016】
上記発明において、前記電磁弁は、電磁比例減圧弁であって、前記電磁比例減圧弁から出力される二次圧を制御弁の制御スプールに作用させるように配置され、前記制御弁は、二次圧が所定値未満では作動しない不感帯を有し、前記制御装置は、前記弁スプールを往復運動させる際の作動指令を前記電磁比例減圧弁から出力される二次圧が所定値未満となるようにすることが好ましい。
【0017】
上記構成に従えば、制御弁の制御スプールを動かすことなく電磁比例制御弁の弁スプールを往復運動させることができる。それ故、往復運動させる際に制御弁の制御スプールが不所望な動きをすることを抑制できる。
【0018】
上記発明において、前記制御装置は、ステップ状の作動指令を前記電磁比例減圧弁に出力することによって前記弁スプールを往復運動させることが好ましい。
【0019】
上記構成に従えば、より大きな励磁力にて弁スプールを往復運動させることができるので、コンタミが多少噛み込んでもスプールを動かすことができる。これにより、より高いクリーニング効果を達成することができる。
【0020】
上記発明において、前記条件は、前記電磁弁の下流側に油圧が流れない状態であることを含むことが好ましい。
【0021】
上記構成に従えば、スプールを往復運動させる際に電磁弁の下流側に不所望な動き油圧が出力されることを抑制できる。
【0022】
上記発明において、前記電磁弁の下流側に設けられる圧力センサを更に備え、前記制御装置は、前記圧力センサによって検出される圧力と前記電磁弁に出力する作動指令とに基づいて前記弁スプールの動作不良を検知することが好ましい。
【0023】
上記構成に従えば、油圧システムがスプールのスティック等の機械的な動作不良を検知できる。
【0024】
第2の発明である油圧システムは、パイロット油を吐出するパイロットポンプと、パイロット通路を介して前記パイロットポンプに接続され、入力される減圧指令に応じた二次圧を出力する電磁比例減圧弁と、前記電磁比例減圧弁から出力される二次圧に応じて、油圧アクチュエータに流す圧油の流れを制御する制御弁と、前記パイロット通路に介在し、入力される切換指令に応じて前記パイロット通路を遮断する電磁切換弁と、前記電磁比例減圧弁に減圧指令を出力し、且つ前記電磁切換弁に切換指令を出力する制御装置と、を備え、前記電磁切換弁は、第1ハウジング内を摺動する第1弁スプールを有し、入力される切換指令に応じて前記第1弁スプールを移動させることによって前記パイロット通路の遮断し、前記電磁比例減圧弁は、第2ハウジング内を摺動する第2弁スプールを有し、入力される減圧指令に応じて前記第2弁スプールを移動させることによって出力する二次圧を調整し、前記制御装置は、所定の第1条件を充足すると、全開位置又は全閉位置から前記第1弁スプールを往復運動させるべく切換指令を前記電磁切換弁に与え、所定の第2条件を充足すると、全開位置又は全閉位置から前記第2弁スプールを往復運動させるべく減圧指令を前記電磁比例減圧弁に与えるものである。
【0025】
上記構成に従えば、第1及び第2条件を夫々充足させることによって電磁比例減圧弁及び電磁切換弁の各々の弁スプールを意図的に全開位置又は閉位置から往復運動させることができ、それによって各弁スプールとハウジングとの間に入り込んだコンタミ等を除去できる。これにより、コンタミに起因する電磁比例減圧弁及び電磁切換弁における動作不良の発生を抑制できる。
【0026】
上記に発明において、切換指令は、前記第1弁スプールを全開位置に位置させる開指令と、前記第1弁スプールを全閉位置に位置させる閉指令を含み、減圧指令は、前記第2弁スプールを前記全開位置又は前記全閉位置に位置させる所定指令を含み、前記制御装置は、前記第1条件を充足すると、前記電磁切換弁に継続して与えられる開指令及び閉指令の何れか一方の作動指令を短い第1規定時間だけ他方の作動指令に逆転させて前記第1弁スプールを往復運動させ、前記第2条件を充足すると、継続して前記電磁比例減圧弁に与えられる前記所定指令を第2規定時間の間、特定の作動指令に変えて前記第2弁スプールを往復運動させることが好ましい。
【0027】
上記構成に従えば、電磁比例減圧弁及び電磁切換弁の各々の弁スプールを意図的に全開位置又は全閉位置から往復運動させることができを実現でき、各弁スプールとハウジングとの間に夫々入り込んだコンタミ等を除去するクリーニングを行うことができる。電磁比例減圧弁に対して弁スプールとハウジングとの間に入り込んだコンタミ等を除去するクリーニングを行うことができる。
【0028】
上記に発明において、一対の前記電磁比例減圧弁を備え、前記制御弁は、制御スプールを有し、前記制御スプールの位置に応じて前記油圧アクチュエータに流す圧油の流れを制御し、前記一対の電磁比例減圧弁の各々は、各々から出力される二次圧を前記制御スプールに対して互いに抗する方向に作用させて前記制御スプールを動かし、切換指令は、前記第1弁スプールを全開位置に位置させる開指令と、前記第1弁スプールを全閉位置に位置させる閉指令を含み、減圧指令は、前記第2弁スプールを全開位置又は全閉位置に位置させる所定指令を含み、前記制御装置は、前記第1条件を充足すると、前記電磁切換弁に継続して与えられる開指令及び閉指令の何れか一方の作動指令を短い第1規定時間だけ他方の作動指令に逆転させて前記第1弁スプールを往復運動させ、前記第2条件を充足すると、継続して前記電磁比例減圧弁に与えられる前記所定指令を第2規定時間の間、特定の減圧指令に変えて前記一対の電磁比例減圧弁の各々の二次圧を同一にし且つ前記第2弁スプールを往復運動させることが好ましい。
【0029】
上記構成に従えば、電磁比例減圧弁及び電磁切換弁の各々の弁スプールを意図的に全開位置又は閉位置から往復運動させることができを実現でき、各弁スプールとハウジングとの間に夫々入り込んだコンタミ等を除去するクリーニングを行うことができる。電磁比例減圧弁に対して弁スプールとハウジングとの間に入り込んだコンタミ等を除去するクリーニングを行うことができる。また、一対の電磁比例減圧弁に関しては、制御弁の制御スプールを動かすことなく、一対の電磁比例弁に対して弁スプールとハウジングとの間に入り込んだコンタミ等を除去するクリーニングを行うことができる。
【0030】
上記発明において、前記制御弁は、二次圧が所定値未満では作動しない不感帯を有し、前記第1条件には、前記電磁比例減圧弁から出力される二次圧が所定値未満となるような減圧指令が出力されていることを含むことが好ましい。
【0031】
上記構成に従えば、制御弁の制御スプールを動かすことなく電磁切換弁の第1弁スプールを往復運動させることができる。それ故、往復運動させる際に制御弁の制御スプールが不所望な動きをすることを抑制できる。
【0032】
上記発明において、前記第2条件には、前記電磁切換弁によって前記パイロット通路が遮断されていることを含むことが好ましい。
【0033】
上記構成に従えば、電磁比例減圧弁に圧油が供給されない状態にて電磁比例減圧弁の弁スプールを往復運動させることができるので、往復運動させる際に電磁比例減圧弁から不所望なパイロット圧が出力されて制御弁が不所望な動きをすることを抑制できる。
【0034】
上記発明において、前記第1条件及び前記第2条件の少なくとも一方には、前記パイロットポンプが停止していることを含むことが好ましい。
【0035】
上記構成に従えば、弁スプールを往復運動させる際に電磁比例減圧弁から不所望なパイロット圧が出力されて制御弁が不所望な動きをすることを抑制できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、コンタミに起因する電磁弁における作動不良の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第1及び第2実施形態に係る油圧システムの構成を示す油圧回路図である。
【
図2】
図1の油圧システムに備わる電磁切換弁を示す断面図である。
【
図3】
図1の油圧システムに備わる電磁比例減圧弁を示す断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る油圧システムが実行するセルフクリーニング処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る油圧システムが実行するセルフクリーニング処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る第1及び第2実施形態の油圧システム1,1Aについて前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する油圧システム1,1Aは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0039】
<第1実施形態>
産業車両及び建設車両等を含む車両や産業機械や建設機械等を含む機械(以下、単に「車両等」という)は、油圧アクチュエータ(例えば、油圧シリンダ及び油圧モータ等)2を備えており、それを動かすことによって様々な動作を行うことができる。このような車両等は、油圧アクチュエータ2に作動油を供給してそれを動かすべく油圧システム1を備えており、本実施形態の油圧システム1は、例えば油圧ショベルに備わっている。油圧システム1は、例えば油圧ショベルに備わる複動式の油圧シリンダ2に作動油を供給する。なお、油圧システム1が適用される車両は、油圧ショベルに限定されず、油圧アクチュエータ2もまた複動式の油圧シリンダ2それに限定されない。油圧アクチュエータ2は、単動式の油圧シリンダや油圧モータであってもよい。以下では、油圧システム1について説明する。
【0040】
油圧システム1は、メインポンプ11と、マルチコントロール弁12と、パイロットポンプ13と、安全ロック弁14と、電磁比例減圧弁15L,15Rと、制御装置16とを備えている。メインポンプ11は、例えば可変容量型の斜板ポンプであり、エンジンEに連結されている。なお、メインポンプ11は、斜板ポンプに限定されず、可変容量型の斜軸ポンプであってもよい。メインポンプ11は、エンジンEよって回転駆動され、回転駆動されることによって作動油を吐出する。作動油は、斜板11aの傾転角に応じた流量が吐出され、斜板11aの傾転角は、レギュレータ11bによって変更される。このようにして吐出される作動油は、マルチコントロール弁12に導かれる。
【0041】
マルチコントロール弁12は、いわゆる方向制御弁であり、スプール12aを動かすことによって作動油の流れる方向を切換える。更に詳細に説明すると、マルチコントロール弁12は、メインポンプ11の他、油圧シリンダ2のヘッド側ポート2a及びロッド側ポート2b、並びにタンク17に接続されており、スプール12aの位置に応じて各々の接続状態を切換える。即ち、制御スプールの一例であるスプール12aが中立位置Mから第1オフセット位置A1に移動すると、メインポンプ11がヘッド側ポート2aに繋がると共にロッド側ポート2bがタンク17に繋がり、油圧シリンダ2が伸長する。他方、スプール12aが中立位置Mから第2オフセット位置A2に移動すると、メインポンプ11がロッド側ポート2bに繋がると共に且つヘッド側ポート2aがタンク17に繋がり、油圧シリンダ2が収縮する。更に、スプール12aが中立位置Mに戻ることによって、2つのポート2a,2bがメインポンプ11から遮断され、油圧シリンダ2の伸長及び収縮を止めて、油圧シリンダ2をその位置にて保持できる。
【0042】
また、スプール12aは、2つのばね部材12L,12Rによって互いに抗する方向に付勢され、更にばね部材12L,12Rの各々の付勢力に抗し且つ互いに抗するような2つのパイロット圧PL,PRが作用している。それ故、スプール12aは、2つの付勢力及び2つのパイロット圧PL,PRが釣り合う位置へと移動し、スプール12aの位置に応じた方向及び流量(即ち、流れ)の作動油を油圧シリンダ2に流すことができる。即ち、2つのパイロット圧PL,PRを調整することによって油圧シリンダ2の伸長及び収縮が切換えられ、またその速度が制御される。また、スプール12aにパイロット圧PL,PRを与えるべく、油圧システム1にはパイロットポンプ13が備わっている。
【0043】
パイロットポンプ13は、固定容量型のポンプ(例えば、ギアポンプ)であり、エンジンEに回転駆動されている。パイロットポンプ13は、パイロット通路18に所定量のパイロット油を吐出しており、パイロット通路18には、安全ロック弁14が介在している。安全ロック弁14は、いわゆる電磁切換弁であり、パイロット通路18を遮断できる。安全ロック弁14は、例えば
図2に示すように構成されており、ハウジング21と、スプール22と、ソレノイド23と、ばね部材24とを有している。なお、
図2は、あくまで安全ロック弁14の構成の概略を示すものであり、安全ロック弁14の構成をそれに限定するものではない。以下では、
図2に示す安全ロック弁14の構成について説明する。
【0044】
第1ハウジングの一例であるハウジング21には、3つポート21a,21b,21cが形成されており、各ポート21a,21b,21cがパイロットポンプ13、タンク17,及び後述する2つの電磁比例減圧弁15L,15Rに夫々繋がっている。また、ハウジング21には、スプール22がその軸線方向に摺動可能(即ち、往復移動可能)に収容されており、スプール22は、その位置を変えることによって3つのポート21a,21b,21cの接続状態を切換えることができる。更に詳細に説明すると、第1弁スプールの一例であるスプール22は、円環状の連通路22aを有している。円環状の連通路22aは、スプール22の軸線方向中間部分に全周にわたって凹ませて形成され、第3ポート21cと常時繋がっている。また、スプール22は、軸線方向中間部分に対して大径に形成されているラウンドのショルダー部分に複数のノッチ22b,22cを有している。ノッチ22b,22cは、スプール22の位置に応じて第1ポート21a及び第2ポート21bに夫々開口し、開口することによって各ポート21a,21bが連通路22aを介して第3ポート21cと繋がる。即ち、スプール22を動かす(より詳しくは、
図2(a)に示す遮断位置及び
図2(b)に示す開放位置に夫々動かす)ことでパイロット通路18を遮断したり開放したりすることができる。このように動作するスプール22には、それを動かすべくソレノイド23が設けられている。なお、複数のノッチ22b,22cは、必ずしも形成されている必要はない。
【0045】
ソレノイド23は、そこに入力される切換指令(作動指令の一例)に応じて励磁力を発生する。ソレノイド23のロッド23aは、スプール22に当接しており、励磁力に応じた推力でスプール22を押してスプール22を開放位置の方へと移動させる。また、スプール22には、ばね部材24が設けられており、ばね部材24からソレノイド23の励磁力(推力)に抗する方向、遮断位置に向かう方向の付勢力をスプール22が受けている。それ故、励磁力が付勢力より小さい場合には、スプール22が遮断位置に移動する、又は遮断位置にて保持される。
【0046】
このように構成されている安全ロック弁14では、スプール22が遮断位置にて第1ポート21aを第2ポート21bに繋ぐことによって下流側がタンク17に繋がる。他方、スプール22を開放位置へと移動させると、第1ポート21aが第3ポート21cに接続されて下流側がポンプ11に繋がり、安全ロック弁14の下流側にパイロット油が導かれる。また、パイロット通路18は、安全ロック弁14の下流側において2つの通路部18L,18Rに分岐しており、これら2つの通路部18L,18Rの各々には、スプール22にパイロット圧PL,PRを与えるべく電磁比例減圧弁15L,15Rが夫々接続されている。
【0047】
電磁比例減圧弁15L,15Rは、そこに入力される減圧指令に基づいてパイロット油を二次圧(即ち、パイロット圧PL,PR)に減圧して出力する。電磁比例減圧弁15L,15Rの構成は、例えば安全ロック弁14の構成と類似し、以下にその構成について簡単に説明する。また、電磁比例減圧弁15L,15Rは、同一の構成を有しているので、一方の構成についてのみ説明し、他方の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。更に、以下に示す電磁比例減圧弁15L,15Rの構成は、安全ロック弁14の構成と同様に、あくまで一例に過ぎず、その構成に限定されるものではない。
【0048】
第1電磁比例減圧弁15Lは、
図3に示すようにハウジング31と、スプール32と、ソレノイド33と、ばね部材34とを有している。第2ハウジングの一例であるハウジング31には、3つのポート31a,31b,31cが形成されており、各々が安全ロック弁14、タンク17、及びマルチコントロール弁12に繋がっている。また、ハウジング31には、スプール32がその軸線方向に摺動可能(即ち、往復移動可能)に収容され、スプール32は、その位置を変えることによって3つのポート31a,31b,31cの接続状態を切換えることができる。また、第2弁スプールの一例であるスプール32には、連通路32a、及びノッチ32b,32cが形成されており、ノッチ32b,32cは、スプール32の位置に応じた開度にて第1ポート31a及び第2ポート31bと繋がり、その開度に応じた第1パイロット圧PLが第3ポート31cから出力される。即ち、スプール32を動かすことによって第1パイロット圧PLを調整することができ、調整すべくスプール32にはソレノイド33が設けられている。
【0049】
ソレノイド33は、そこに入力される減圧指令(作動指令の一例)に応じた励磁力を発生する。また、ソレノイド33のロッド33aは、スプール32に当接しており、励磁力に応じた推力でスプール32を押してスプール32を移動させる。即ち、スプール32は、第3ポート31cが閉じられた全閉位置から第3ポート31cが開く方向に移動し、また第3ポート31cが開口する開口位置まで移動することができる。また、スプール32には、ばね部材34が設けられており、ばね部材34からソレノイド33の励磁力(推力)に抗する付勢力を受けている。更に、ハウジング21には、帰還通路31dが形成されている。帰還通路31dは、二次圧(第1パイロット圧PL)をハウジング21内に帰還させてソレノイド33の励磁力に抗するようにスプール32に作用させている。それ故、スプール32は、励磁力、付勢力、及び二次圧の釣り合う位置へと移動するので、励磁力に応じた(即ち、減圧指令に応じた)圧力の第1パイロット圧PLを電磁比例減圧弁15Lから出力させることができる。このように電磁比例減圧弁15L,15Rの各々は、減圧指令に応じた圧力のパイロット圧PL,PRを出力することができ、
図1に示すように、電磁比例減圧弁15L,15Rの各々は、そこに減圧指令を入力すべく制御装置16に電気的に接続されている。
【0050】
制御装置16は、前述の通り、電磁比例減圧弁15L,15Rの各々に接続され、電磁比例減圧弁15L,15Rの各々に減圧指令(例えば、電流)を出力する。作動指令の一例である減圧指令は、例えばパルス幅変調信号(即ち、PWM信号)であり、電磁比例減圧弁15L,15Rは、PWM信号のデューティ比に応じた励磁力にてスプール32を押圧してパイロット圧PL,PRを所望の圧力に減圧する。即ち、制御装置16からデューティ比がゼロであるゼロ信号(所定指令)が出力されるとスプール32が全閉位置に位置し、そこからデューティ比を大きくする等して励磁力を大きくすることによってスプール32を開口位置の方へと動かすことができる。
【0051】
また、制御装置16は、安全ロック弁14にも電気的に接続されており、安全ロック弁14に切換指令を出力する。作動指令の一例である切換指令は、例えばON及びOFFのようなステップ状の指令信号であり、所定の電流のON信号(開指令)が出力されることによってスプール22が全開位置へと移動して電磁比例減圧弁15L,15Rがポンプ13に接続する。他方、切換信号がOFF信号(閉指令)になると、スプール22が全閉位置へと戻り、電磁比例減圧弁15L,15Rがタンク17に接続される。
【0052】
また、制御装置16には、油圧シリンダ2の伸長又は収縮量を入力すべく操作装置(図示せず)が接続されている。操作装置は、例えば電気ジョイスティックや操作弁であり、そこに備わるレバー等の操作具の操作量(操作方向も含む)に応じた操作信号を制御装置16に出力する。制御装置16は、この操作信号に基づいて減圧指令を作成し、電磁比例減圧弁15L,15Rに出力する。また、操作装置には、安全レバーも含まれ、安全レバーが操作されると操作装置は制御装置16にロック信号を出力する。そうすると、制御装置16は、安全ロック弁14に切換信号(詳しくは、電流ゼロのOFF信号)を出力してパイロット通路18を遮断させる。なお、安全ロック弁14を作動させる操作装置は、必ずしも安全レバーである必要はなく、スイッチ等であってもよい。
【0053】
更に、制御装置16には、3つの圧力センサ19,19L,19Rが電気的に接続されている。第1圧力センサ19は、安全ロック弁14から出力されるパイロット油の圧力に応じた信号を制御装置16に出力する。また、第2及び第3圧力センサ19L,19Rは、各電磁比例減圧弁15L,15Rの二次圧、即ちパイロット圧PL,PRに応じた信号を制御装置16に出力する。そして、制御装置16は、各圧力センサ19,19L,19Rからの信号に基づいて各々の油圧を検出する。更に、制御装置16は、安全ロック弁14及び電磁比例減圧弁15L,15Rに対する各指令に基づいて出力された電流(又は電圧)、即ち実績電流(又は実績電圧)を検出できる。
【0054】
このように構成されている油圧システム1では、エンジンEによって2つポンプ11,13が駆動され且つ安全ロック弁14によってパイロット通路18が開放されている状態において操作装置の操作具が操作されると、以下のように動作する。即ち、制御装置16は、操作装置からの操作信号に応じて減圧指令を2つの電磁比例減圧弁15L,15Rの何れかに出力する。例えば、第1電磁比例減圧弁15Lに減圧指令が入力されると、第1電磁比例減圧弁15Lから第1パイロット圧PLが出力され、スプール12aが第1オフセット位置A1に移動する。これにより、油圧シリンダ2が伸長する。他方、第2電磁比例減圧弁15Rに減圧指令が入力されると、第2電磁比例減圧弁15Rから第2パイロット圧PRが出力され、スプール12aが第2オフセット位置A2に移動する。これにより、油圧シリンダ2が収縮する。また、安全レバーが操作された場合や故障等が生じた場合には、制御装置16が安全ロック弁14に切換信号(詳しくは、OFF信号)を出力してパイロット通路18を遮断させる。これにより、操作装置からの操作信号の有無にかかわらず、電磁比例減圧弁15L,15Rからのパイロット圧PL,PRをゼロにすることができる。これにより、安全レバーが操作された場合や故障等において油圧シリンダ2が作動しないようにできる。
【0055】
<セルフクリーニング機能>
このように構成されている油圧システム1は、以下のようなセルフクリーニング機能を有している。即ち、油圧システム1は、安全ロック弁14、及び電磁比例減圧弁15L,15R等の電磁弁において各々のスプール22,32とハウジング21との間に入り込んだり、ノッチ22b,22c,32b,32c(メータリング部)等の開口部分に挟まったりしているコンタミを除去できる。このようなセルフクリーニング機能は、例えば安全ロック弁14において、それまで継続して入力されているON信号又はOFF信号を、第1規定時間(例えば、0.2sec以下の短時間)だけOFF信号又はON信号に逆転させ、スプール22を往復運動させる。これにより、スプール22を全開位置から全閉位置又は全閉位置から全開位置まで往復運動させることができる。このように往復運動させることによって、前述するコンタミを連通路22aに掻き出すことができる等、スプール22の外周面に付着するより多くのコンタミを積極的に除去することができる。これにより、コンタミに起因してスプール22がスティックしたり、ノッチ22b,22cが閉じなくなったりすること、即ち動作不良が発生することを抑制できる。また、スプール22を往復運動させることによってスプール22の外周面に作動油を馴染ませることができる。即ち、より広範囲にわたってパイロット油を馴染ませることができ、スプール22の潤滑性を高めることができる。これにより、安全ロック弁14の応答性の低下を抑制できる。なお、本実施形態では、制御装置16がスプール22を1回だけ往復運動させるが、2回以上往復運動させてもよく、少なくとも1回以上の往復運動をさせればよい。
【0056】
他方、電磁比例減圧弁15L,15Rの場合、制御装置16は、それまで継続して入力されているゼロ信号を、第2規定時間(例えば、0.2sec以下の短時間)、特定の減圧指令、より詳しくはステップ状の信号に変えて、全閉位置からスプール32を往復運動させる。なお、本実施形態では、スプール32が全閉位置から全開位置、そして全閉位置まで戻るように往復運動しているが、全開位置から全閉位置、そして全開位置に戻すように往復運動するようにしてもよい。このように往復運動させることによって、前述するコンタミを連通路32aに掻き出すことができる等、スプール32の外周面に付着するより多くのコンタミを積極的に除去することができる。これにより、コンタミに起因してスプール32がスティックしたり、ノッチ32b,32cが閉じなくなったりすること、即ち動作不良が発生することを抑制できる。また、スプール32を往復運動させることによってスプール32の外周面に作動油を馴染ませることができる。即ち、より広範囲にわたってパイロット油を馴染ませることができ、スプール32の潤滑性を高めることができる。これにより、電磁比例減圧弁15L,15Rの応答性の低下を抑制できる。なお、本実施形態では、スプール32に対して複数回、往復運動させることが想定されているが、1回であってもよく少なくとも1回以上の往復運動をさせればよい。
【0057】
このような機能を有する油圧システム1では、安全ロック弁14及び電磁比例減圧弁15L,15Rのスプール22,32を意図して往復運動させてクリーニングを行うべくセルフクリーニング処理が実行される。以下では、セルフクリーニング処理について
図4を参照しながら説明する。セルフクリーニング処理は、制御装置16に電力が供給されると(電源スイッチ等がONにされると)共に実行され、実行されるとステップS1に移行する。開始条件充足判定工程であるステップS1では、制御装置16が所定の開始条件を充足しているか否かを判定する。開始条件には、例えばエンジンEが停止状態である(即ち、パイロットポンプ13が停止している)こと、及び安全ロック弁14のスプール22が遮断位置に位置していること等が含まれ、本実施形態では、後者のみが開始条件である。なお、開始条件は、必ずしも前述する2つの何れかである必要はなく、単に制御装置16に電力が供給されていることであってもよい。制御装置16は、安全ロック弁14に出力する切換信号に基づいて開始条件を充足しているか否かを判定し、充足してないと判定するとステップS1にて判定を繰り返す。他方、制御装置16が開始条件を充足していると判定すると、ステップS2に移行する。
【0058】
中立位置判定工程であるステップS2では、制御装置16がマルチコントロール弁12のスプール12aの位置が中立位置Mであるか否かを判定する。更に詳細に説明すると、スプール12aは、そこに2つのばね部材12L,12Rの付勢力が互いに抗する方向に作用しているので、パイロット圧PL,PRが所定の圧力値未満の場合において中立位置Mにて保持される。即ち、スプール12aは、パイロット圧PL,PRが所定の圧力値未満において作動しない不感帯を有しており、電磁比例減圧弁15L,15Rに出力される減圧指令が所定値未満であればスプール12aが中立位置Mにて維持される。それ故、制御装置16は、そこから出力する減圧指令が所定値未満であるか否か(即ち、操作装置の操作量の絶対値が所定量未満であるか否か)(第1条件の充足の有無)を判定する。減圧指令が所定値以上である場合、安全ロック弁14のスプール22を往復運動させるとスプール22の位置が変化する可能性があるので、第1条件を充足しないとしてステップS1に戻る。他方、減圧指令が所定値未満である場合には第1条件を充足しているとして、ステップS3に移行する。
【0059】
第1クリーニング工程であるステップS3では、制御装置16が出力する切換指令を第1規定時間だけ逆転させて全閉位置からスプール22を往復運動させる。即ち、制御装置16は、OFF信号を出力している状態からON信号(
図4の符号G1参照)を第1規定時間だけ出力し、全閉位置からスプール22を往復運動させる。なお、制御装置16は、ON信号を継続して出力させ、第1規定時間だけOFF信号に逆転させて全開位置からスプール22を往復運動させてもよい。このようにスプール22を往復運動させることにより、安全ロック弁14においてコンタミに起因する動作不良が発生することを抑制でき、またスプール22を円滑に動かすことができる。このように安全ロック弁14のクリーニング作業が開始されると、ステップS4に移行する。
【0060】
電気的故障判定工程であるステップS4では、制御装置16から出力される切換指令に基づいて安全ロック弁14における電気的な故障の有無を制御装置16が判定する。即ち、制御装置16は、ステップS3において出力される切換指令に対する実績電流(又は実績電圧)を検出しており、切換指令と実績電流(又は実績電圧)とを比較する。制御装置16は、これらが全く異なる(本実施形態ではON信号に対して実績電流(又は実績電圧)がゼロ又はその付近であったり、OFF信号に対して実績電流(又は実績電圧)がゼロ以外であったりする)か否かを判定する。全く異なる場合、制御装置16と安全ロック弁14との間で断線又はショートが発生している等の電気的な故障があると判定される。電気的な故障があると判定されると、ステップS11に移行する。警告停止工程であるステップS11では、制御装置16が図示しない警告装置(例えば、LEDやディスプレイ等)によって電気的な故障がある旨を警告すると共に切換指令をOFF信号とする。そして、セルフクリーニング処理が終了する。他方、同じである場合、電気的な故障がないと判定されてステップS5に移行する。
【0061】
機械的故障判定工程であるステップS5では、制御装置16から出力される切換指令と、第1圧力センサ19からの圧力信号に基づいて安全ロック弁14における機械的な故障の有無を制御装置16が判定する。例えば、制御装置16は、安全ロック弁14から出力される圧力を圧力センサ19からの圧力信号に基づいて検出し、検出される圧力と切換指令とに基づいて機械的な故障の有無を判定する。即ち、OFF信号が出力されているにも関わらず検出される圧力が所定の圧力以上である場合、制御装置16は安全ロック弁14のスプール22がスティックする等して機械的な故障があると判定する。また、ON信号が出力されているにも関わらず検出される圧力が所定の圧力未満である場合も、安全ロック弁14のスプール22がスティックする等して機械的な故障があると判定される。このように検出する圧力が切換指令に相応しない場合、機械的な故障があると判定される。そうすると、ステップS11に移行する。警告停止工程であるステップS11では、制御装置16が図示しない警告装置(例えば、LEDやディスプレイ等)によって機械的な故障がある旨を警告する。更に、制御装置16は、マルチコントロール弁12のスプール12aが不所望な動きをしないように電磁比例減圧弁15L,15Rに出力する減圧指令をゼロに維持する。そして、セルフクリーニング処理が終了する。他方、制御装置16が検出する圧力が切換指令に相応する場合、機械的な故障がないと判定されてステップS6に移行する。
【0062】
クリーニング終了判定工程であるステップS6は、制御装置16が安全ロック弁14におけるクリーニング作業を終了するか否かを判定する。更に詳細に説明すると、制御装置16は、第1終了条件を充足したか否かを判定する。第1終了条件は、例えばスプール22を所定回数往復させた(即ち、ON信号及びOFF信号を所定回数切換えた)、又はスプール22の往復運動を開始してから所定時間経過したことである。なお、本実施形態では1回である。第1終了条件を充足していないと判定されるとステップS3に戻り、クリーニングが継続される。他方、第1終了条件を充足していると判定すると、安全ロック弁14におけるクリーニングが終了する。終了すると、次に電磁比例減圧弁15L,15Rにおけるクリーニングを行うべくステップS7に移行する。
【0063】
ロック状態切換工程であるステップS7では、制御装置16がパイロット通路18を遮断する。即ち、制御装置16は、OFF信号を出力して安全ロック弁14のスプール22を遮断位置に移動させる。これにより、パイロット通路18を遮断するという第2条件を充足し、ステップS8に移行する。
【0064】
第2クリーニング工程であるステップS8では、制御装置16が特定の減圧指令を電磁比例減圧弁15L,15Rの各々に出力してスプール32を全閉位置から往復運動させる。例えば、制御装置16は、ゼロ信号の出力が継続している状態で特定の減圧指令、例えばステップ状の信号に変えて、全閉位置からスプール32を往復運動させる。これにより、電磁比例減圧弁15L,15Rにおいてコンタミに起因する動作不良が発生することを抑制でき、またスプール32を円滑に動かすことができる。このように電磁比例減圧弁15L,15Rのクリーニング作業が開始されると、ステップS9に移行する。
【0065】
電気的故障判定工程であるステップS9では、制御装置16から出力される減圧指令に基づいて電磁比例減圧弁15L,15Rにおける電気的な故障の有無を制御装置16が判定する。即ち、制御装置16は、ステップ4と同じく、ステップS7において出力される減圧指令に対する実績電流(又は実績電圧)を検出しており、減圧指令と実績電流(又は実績電圧)との偏差を算出し、算出される偏差が所定の範囲内に収まっているか否かを判定する。偏差が所定の範囲内に収まっていない場合、制御装置16と電磁比例減圧弁15L,15Rとの間で断線又はショートが発生している等の電気的な故障があると判定される。電気的な故障があると判定されると、ステップS12に移行する。警告停止工程であるステップS12では、制御装置16が図示しない警告装置(例えば、LEDやディスプレイ等)によって電気的な故障がある旨を警告すると共に減圧指令をゼロにする。そして、セルフクリーニング処理が終了する。他方、偏差が所定の範囲内に収まっている場合、電気的な故障がないと判定される。電気的な故障がないと判定されると、ステップS10に移行する。
【0066】
クリーニング終了判定工程であるステップS10は、制御装置16が電磁比例減圧弁15L,15Rにおけるクリーニング作業を終了するか否かを判定する。即ち、制御装置16は、第2終了条件を充足したか否かを判定する。第2終了条件は、例えばスプール32を所定回数(即ち、少なくとも1回)往復させた(即ち、ステップ状の減圧指令においてオン及びオフを所定回数繰り返した)、又はスプール32の往復運動を開始してから所定時間経過したことである。第2終了条件を充足していないと判定されるとステップS8に戻り、クリーニングが継続される。他方、第2終了条件を充足していると判定すると、制御装置16はクリーニングを終了する。これにより、セルフクリーニング処理が終了する。
【0067】
このように構成されている油圧システム1は、セルフクリーニング処理において出力する切換信号を第1規定時間だけ逆転させて(又は特定の減圧信号を出力して)、安全ロック弁14のスプール22(又は電磁比例減圧弁15L,15Rのスプール32)を全閉位置から往復運動させている。それ故、ステップ状の切換信号(又は減圧信号)が出力されてより大きな励磁力を発生することができるので、コンタミが多少噛み込んでもスプール22(又はスプール32)を動かすことができる。これにより、より高いクリーニング効果を達成できる。なお、切換信号及び減圧信号は、ステップ状に変化する信号であることが好ましいが、必ずしもそうである必要はなく、徐々に増加及び減少するようなスイープ状の信号であってもよく、往復運動させることができる信号であればよい。
【0068】
また、油圧システム1では、マルチコントロール弁12のスプール12aを中立位置Mにて維持した状態で安全ロック弁14のスプール22のクリーニング作業を行い、またパイロット通路18を遮断した状態にて電磁比例減圧弁15L,15Rのクリーニング作業が行われる。それ故、クリーニング中、及び電気的な故障及び機械的な故障が発生している場合の判定中において、意図せずに油圧シリンダ2に作動油が流れ込んで油圧シリンダ2が不所望な動きをすることを抑制できる。なお、油圧システム1では、エンジンEの駆動を停止しておく、即ちパイロットポンプ13の駆動を停止しておくことによって同様の効果が得られる。
【0069】
<第2実施形態>
第2実施形態の油圧システム1Aは、
図1に示すように第1実施形態の油圧システム1と同じ構成を有している。他方、油圧システム1Aが実行するセルフクリーニング処理は、油圧システム1が実行するセルフクリーニングと若干異なっている。以下では、油圧システム1Aが実行するセルフクリーニング処理について、油圧システム1が実行するセルフクリーニング処理と異なる点について主に説明する。なお、第2実施形態の油圧システム1Aの構成については、第1実施形態の油圧システム1の構成と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0070】
油圧システム1Aが実行するセルフクリーニング処理では、
図5に示すようにステップS6で第2終了条件を充足していると判定されてクリーニングが終了すると、ステップS21に移行する。第2クリーニング工程であるステップS21では、制御装置16が特定の減圧指令を電磁比例減圧弁15L,15Rの各々に出力してスプール32を全閉位置から往復運動させる。即ち、制御装置16は、ゼロ信号の出力が継続している状態で、PWM信号を特定の減圧信号、例えばステップ状の信号又はスイープ状の信号に変えて、全閉位置からスプール32を往復運動させる。この際、制御装置16は、電磁比例減圧弁15L,15Rに対して同じ又は略同じ電流(又は電圧)の減圧指令を同時に夫々出力する。これにより、電磁比例減圧弁15L,15Rから同圧又は略同圧のパイロット圧PL,PRを出力させることができ、マルチコントロール弁12のスプール12aを中立位置Mに維持したままの状態にて2つの電磁比例減圧弁15L,15Rのスプール32を全閉位置から往復運動する(即ち、クリーニングする)ことができる。このようにしてスプール32のクリーニング作業が行われると、ステップS9に移行する。更に、ステップS9において、電気的な故障がないと判定されると、ステップS13に移行する。
【0071】
機械的故障判定工程であるステップS13では、制御装置16から出力される減圧指令と、第2及び第3圧力センサ19L,19Rからの圧力信号に基づいて電磁比例減圧弁15L,15Rにおける機械的な故障の有無を制御装置16が判定する。例えば、制御装置16は、第1パイロット圧PLを第2圧力センサ19Lからの圧力信号に基づいて検出し、検出される第1パイロット圧PLと減圧指令とに基づいて機械的な故障の有無を判定する。即ち、減圧指令に相応するパイロット圧PL,PRが検出されない場合、電磁比例減圧弁15L、15Rに機械的な故障があると判定される。そうすると、ステップS11に移行する。警告停止工程であるステップS11では、制御装置16が図示しない警告装置(例えば、LEDやディスプレイ等)によって機械的な故障がある旨を警告する。更に、制御装置16は、マルチコントロール弁12のスプール12aが不所望な動きをしないように以下のように電磁比例減圧弁15L,15Rの動きを制御する。
【0072】
即ち、制御装置16は、機械的な故障をしている方の電磁比例減圧弁15R,15Lから出力されるパイロット圧PR,PLと同じパイロット圧PL,PRを機械的な故障をしてない方の電磁比例減圧弁15L,15Rから出力させるように減圧指令を設定して出力する。これにより、マルチコントロール弁12のスプール12aを中立位置Mに戻して維持させることができ、油圧シリンダ2が不所望な動きをすることを抑制できる。このような停止作業が終了すると、セルフクリーニング処理が終了する。他方、制御装置16が減圧指令に相応するパイロット圧PL,PRが検出されると、機械的な故障がないと判定されてステップS10に移行する。
【0073】
このように構成されている油圧システム1Aでは、マルチコントロール弁12のスプール12aを動かすことなく一対の電磁比例減圧弁15L,15Rのクリーニングを行うことができる。即ち、パイロット通路18を遮断することなく電磁比例減圧弁15L,15Rのクリーニングを行うことができ、パイロット通路18を遮断する工程を省くことができる。その他、油圧システム1Aは、第1実施形態の油圧システム1と同様の作用効果を奏することができる。
【0074】
<その他の実施形態>
第1及び第2実施形態の油圧システム1,1Aでは、電磁弁が安全ロック弁14及び電磁比例減圧弁15L,15Rであるが、それに限定されない。例えば、電磁弁は電磁リリーフ弁であってもよく、ソレノイドによってスプールを動かすように構成されている弁であれば、セルフクリーニング処理を実行できる。
【0075】
また、第1及び第2実施形態の油圧システム1,1Aでは、クリーニング作業と同時に電磁弁14,15L,15Rの電気的及び機械的な故障を判定しているが、クリーニング作業とは別にそれらの故障を判定してもよい。この場合、制御装置16は、スプール22,32が移動しない程度の低電流の切換指令及び減圧指令を出力するようにすればよい。また、第1及び第2実施形態の油圧システム1,1Aにおける安全ロック弁14は、必ずしも全てが制御装置16によって制御されている必要はない。即ち、スイッチや安全レバーによって直接操作可能に構成されてもよい。この場合、安全ロック弁14のクリーニングを行うことができないが、第2実施形態の油圧システム1Aのように2つの電磁比例減圧弁15L,15Rから同一のパイロット圧PL、PRを出力するようにすることによって、2つの電磁比例減圧弁15L,15Rのクリーニングを行うことができる。また、制御装置16が圧力センサ19で検出される圧力によって安全ロック弁14によってパイロット通路18が遮断されていることを確認するようことによって、第1実施形態の油圧システム1と同様の方法によって2つの電磁比例減圧弁15L,15Rのクリーニングを行うことができる。
【0076】
更に、第1及び第2実施形態の油圧システム1,1Aでは、電源スイッチ等がONにされると共に又はエンジンEの始動直後セルフクリーニング処理が実行されるが、必ずしもこのような条件に基づいてセルフクリーニング処理が実行されなくてもよい。例えば、電源スイッチ等がONにされた直後又はエンジンEの始動直後ではなく、始動後暫くしてから開始条件を充足するとセルフクリーニング処理が実行されるようにしてもよい。この場合、セルフクリーニング処理が実行された後、ステップS1ではなくステップS2に移行する。また、電源スイッチ等がOFFにされることを条件とし、それを充足するとセルフクリーニング処理が実行されてもよい。即ち、電源スイッチ等がOFFにされた後も暫く制御装置16に電力を供給し続けてセルフクリーニング処理を実行し、セルフクリーニング処理が実行された後に制御装置16への電力供給を停止するようにしてもよい。また、油圧ショベルを駐機している際に、定期的又は遠隔操作によって制御装置16に電力を供給させてセルフクリーニング処理が実行されるようにしてもよい。
【0077】
更に、セルフクリーニング処理では、安全ロック弁14のスプール22に対するクリーニング作業が電磁比例減圧弁15L,15Rのスプール32に対するクリーニング作業より先に行われているが、必ずしもそのような順序に限定されない。即ち、セルフクリーニング処理では、電磁比例減圧弁15L,15Rのスプール32に対するクリーニング作業が安全ロック弁14のスプール22に対するクリーニング作業より先に行われてもよい。
【0078】
また、第2実施形態の油圧システム1Aでは、ステップS21において、電磁比例減圧弁15L,15Rに対して同じ減圧指令が夫々出力されているが、必ずしもそのような特定の減圧指令が出力されている必要はない。即ち、電磁比例減圧弁15L,15Rに対して、マルチコントロール弁12のスプール12aが作動しない各々の二次圧が所定の圧力値未満となるような特定の減圧指令が出力されるようにしてもよい。これにより、マルチコントロール弁12のスプール12aを動かすことなく、電磁比例減圧弁15L,15Rのスプール32を閉位置から往復運動させることができる。それ故、第2実施形態の油圧システム1Aと同様の効果を奏することができる。なお、この場合は、必ずしも減圧指令を電磁比例減圧弁15L,15Rに同時に出力する必要はない。また、安全ロック弁14のスプール22を往復運動する際に、電磁比例減圧弁15L,15Rに対して、マルチコントロール弁12のスプール12aが作動しない各々の二次圧が所定の圧力値未満となるような特定の減圧指令が出力されてもよい。これにより、マルチコントロール弁12のスプール12aを動かすことなく安全ロック弁14のスプール22を往復運動させることができ、往復運動させる際にスプール12aが不所望な動きをすることを抑制できる。
【符号の説明】
【0079】
1,1A 油圧システム
2 油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)
12 マルチコントロール弁(制御弁)
12a スプール(制御スプール)
13 パイロットポンプ
14 安全ロック弁(電磁弁、切換弁)
15L 第1電磁比例減圧弁(電磁弁)
15R 第2電磁比例減圧弁(電磁弁)
16 制御装置
18 パイロット通路
19,19L,19R 圧力センサ
21 ハウジング(第1ハウジング)
22 スプール(第1弁スプール)
31 ハウジング(第2ハウジング)
32 スプール(第2弁スプール)