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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20230929BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20230929BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20230929BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20230929BHJP
   A47G 29/122 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
H04M9/00 H
E05B65/00 D
E05B49/00 B
E05B49/00 L
E05B47/00 G
A47G29/122 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019147854
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021029022
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】九里 国秀
(72)【発明者】
【氏名】坂本 明紀
(72)【発明者】
【氏名】岸田 郁也
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-147559(JP,A)
【文献】特開2004-180140(JP,A)
【文献】特開2019-083468(JP,A)
【文献】特開2013-126498(JP,A)
【文献】特開2019-033457(JP,A)
【文献】特開2015-048236(JP,A)
【文献】特開2017-191356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G29/00-29/30
E05B1/00-85/28
H04M9/00-9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、呼び出しに応答するための居室親機とを有するインターホンシステムであって、
近距離通信機能を備えた宅配端末を宅配業者が携行すると共に、前記玄関子機が前記宅配端末と近距離通信する無線通信部を有し、
更に宅配ボックスの場所を案内する情報を記憶する案内情報記憶部、及び案内情報の通知を制御する通知制御部を前記玄関子機或いは前記居室親機が有すると共に、
前記宅配ボックスは電気錠を有する一方、前記居室親機は前記電気錠を解錠するためのキー情報を記憶し、
前記通知制御部は、前記宅配端末から宅配通知信号が前記近距離通信機能を使用して前記玄関子機に送信されると、前記案内情報記憶部の案内情報を前記玄関子機から通知させると共に、前記無線通信部から前記宅配端末に対して、前記キー情報を送信することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、呼び出しに応答するための居室親機とを有するインターホンシステムであって、
近距離通信機能を備えた宅配端末を宅配業者が携行すると共に、前記玄関子機が前記宅配端末と近距離通信する無線通信部を有し、
更に宅配ボックスの場所を案内する情報を記憶する案内情報記憶部、及び案内情報の通知を制御する通知制御部を前記玄関子機或いは前記居室親機が有すると共に、
前記宅配ボックスは電気錠を具備して、外部から前記電気錠の制御を可能とする外部通信部を有する一方、
前記玄関子機或いは前記居室親機は、前記宅配ボックスと通信するボックス通信部を具備し、
前記通知制御部は、前記宅配端末から宅配通知信号が前記近距離通信機能を使用して前記玄関子機に送信されると、前記案内情報記憶部の案内情報を前記玄関子機から通知させると共に、前記電気錠を解錠するワンタイムのキー情報を生成してそのキー情報を、前記ボックス通信部を介して前記宅配ボックスに、及び前記無線通信部を介して前記宅配端末に、それぞれ送信することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項3】
来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、呼び出しに応答するための居室親機とを有するインターホンシステムであって、
近距離通信機能を備えた宅配端末を宅配業者が携行すると共に、前記玄関子機が前記宅配端末と近距離通信する無線通信部を有し、
更に宅配ボックスの場所を案内する情報を記憶する案内情報記憶部、及び案内情報の通知を制御する通知制御部を前記玄関子機或いは前記居室親機が有すると共に、
前記宅配ボックス及びその周囲を撮像するカメラ、映像保存部、及び映像制御部を具備し、
前記宅配端末から宅配通知信号が前記近距離通信機能を使用して前記玄関子機に送信されると、前記通知制御部は前記案内情報記憶部の案内情報を前記玄関子機から通知させる一方、前記映像制御部は前記カメラを起動して撮像を開始し、撮像映像を録画することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項4】
来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、呼び出しに応答するための居室親機とを有するインターホンシステムであって、
近距離通信機能を備えた宅配端末を宅配業者が携行すると共に、前記玄関子機が前記宅配端末と近距離通信する無線通信部を有し、
更に宅配ボックスの場所を案内する情報を記憶する案内情報記憶部、及び案内情報の通知を制御する通知制御部を前記玄関子機或いは前記居室親機が有し、
前記通知制御部は、前記宅配端末から宅配通知信号が前記近距離通信機能を使用して前記玄関子機に送信されると、前記案内情報記憶部の案内情報を前記玄関子機から通知させる一方、
前記宅配端末は、近距離通信機能を使用して宅配完了通知を前記玄関子機に送信でき、前記居室親機は、前記玄関子機が受信した宅配完了通知を保存する記憶部を有することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項5】
前記案内情報記憶部に記憶される案内情報が音声メッセージであり、
前記通知制御部は、前記玄関子機のスピーカから前記メッセージを報音させて前記宅配ボックスの場所を通知することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のインターホンシステム。
【請求項6】
前記玄関子機は画像表示部を有すると共に、前記案内情報記憶部に記憶される案内情報が前記宅配ボックスの場所を案内する画像情報であり、
前記通知制御部は、前記画像表示部に前記画像情報を表示させて前記宅配ボックスの場所を通知することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のインターホンシステム。
【請求項7】
前記宅配ボックスは電気錠を有して、外部から前記電気錠の制御を可能とする外部通信部を具備する一方、
前記玄関子機或いは前記居室親機は、前記宅配ボックスと通信するボックス通信部を具備し、
前記通知制御部は、前記宅配端末から前記宅配通知信号を受信したら、前記ボックス通信部を介して前記宅配ボックスの電気錠を解錠制御することを特徴とする請求項5又は6記載のインターホンシステム。
【請求項8】
前記宅配端末は、近距離通信機能を使用して宅配完了通知を前記玄関子機に送信でき、
前記居室親機は、前記玄関子機が受信した宅配完了通知を保存する記憶部を有することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載のインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターホンシステムに関し、詳しくは宅配業者と通信する機能を備えたインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターホンシステムと宅配ボックスを連係させて、玄関子機を操作することで宅配ボックスの解錠等を可能としたものがある。
例えば、特許文献1では、インターホン子機(玄関子機)に解錠操作受付部を設けて、宅配業者が玄関子機を操作すると宅配ボックスの電気錠が解錠した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-195910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
宅配ボックスと連係させた上記従来のインターホンシステムでは、インターホン側から宅配ボックスの電気錠を解錠することで、宅配業者が解錠キーを持たなくても解錠できた。そのため、通常は宅配ボックスを施錠しておくことができ、セキュリティの維持に有効であった。しかしながら、戸建住宅の場合、次のような問題があった。
【0005】
戸建住宅に設置された宅配ボックスの場合、宅配ボックスとインターホンの玄関子機とが一体に構成されたものもあるが、通常はそれぞれが独立して設置されている。そのため、玄関子機は玄関ドアの近くにあることですぐに認識できるが、宅配ボックスの設置場所はまちまちであり、分かり難い場合があった。
そのような場合、せっかく玄関子機の操作で解錠できても、宅配ボックスを見つけるのに時間を要したし、再配達する問題も発生した。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、配達に来た宅配業者に宅配ボックスの場所を通知する機能を備えたインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、呼び出しに応答するための居室親機とを有するインターホンシステムであって、近距離通信機能を備えた宅配端末を宅配業者が携行すると共に、玄関子機が宅配端末と近距離通信する無線通信部を有し、更に宅配ボックスの場所を案内する情報を記憶する案内情報記憶部、及び案内情報の通知を制御する通知制御部を玄関子機或いは居室親機が有すると共に、宅配ボックスは電気錠を有する一方、居室親機は電気錠を解錠するためのキー情報を記憶し、通知制御部は、宅配端末から宅配通知信号が近距離通信機能を使用して玄関子機に送信されると、案内情報記憶部の案内情報を玄関子機から通知させると共に、無線通信部から宅配端末に対して、キー情報を送信することを特徴とする。
この構成によれば、宅配業者が携行している宅配端末を玄関子機近くで操作すれば、玄関子機から宅配ボックスの場所が通知されるため、宅配業者は迷わず宅配ボックスに荷物を入れる事ができる。
加えて、玄関子機前で宅配端末を操作すると、宅配ボックスの場所を認識できると同時に、宅配ボックスを解錠するためのキー情報を入手できるため、宅配業者は解錠キーを持たなくとも解錠して荷物を入れる事ができる。
【0008】
請求項2の発明は、来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、呼び出しに応答するための居室親機とを有するインターホンシステムであって、近距離通信機能を備えた宅配端末を宅配業者が携行すると共に、玄関子機が宅配端末と近距離通信する無線通信部を有し、更に宅配ボックスの場所を案内する情報を記憶する案内情報記憶部、及び案内情報の通知を制御する通知制御部を玄関子機或いは居室親機が有すると共に、宅配ボックスは電気錠を具備して、外部から電気錠の制御を可能とする外部通信部を有する一方、玄関子機或いは居室親機は、宅配ボックスと通信するボックス通信部を具備し、通知制御部は、宅配端末から宅配通知信号が近距離通信機能を使用して玄関子機に送信されると、案内情報記憶部の案内情報を玄関子機から通知させると共に、電気錠を解錠するワンタイムのキー情報を生成してそのキー情報を、ボックス通信部を介して宅配ボックスに、及び無線通信部を介して宅配端末に、それぞれ送信することを特徴とする。
この構成によれば、宅配業者が携行している宅配端末を玄関子機近くで操作すれば、玄関子機から宅配ボックスの場所が通知されるため、宅配業者は迷わず宅配ボックスに荷物を入れる事ができる。
加えて、宅配ボックスを解錠するためのキー情報を入手できるため、宅配業者はスムーズに解錠して荷物を入れる事ができる。しかも、キー情報はワンタイムの解錠キーであるため、キー情報が外部に漏れる事が無くセキュリティの向上に有効である。
【0009】
請求項3の発明は、来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、呼び出しに応答するための居室親機とを有するインターホンシステムであって、近距離通信機能を備えた宅配端末を宅配業者が携行すると共に、玄関子機が宅配端末と近距離通信する無線通信部を有し、更に宅配ボックスの場所を案内する情報を記憶する案内情報記憶部、及び案内情報の通知を制御する通知制御部を玄関子機或いは居室親機が有すると共に、宅配ボックス及びその周囲を撮像するカメラ、映像保存部、及び映像制御部を具備し、宅配端末から宅配通知信号が近距離通信機能を使用して玄関子機に送信されると、通知制御部は案内情報記憶部の案内情報を玄関子機から通知させる一方、映像制御部はカメラを起動して撮像を開始し、撮像映像を録画することを特徴とする。
この構成によれば、宅配業者が携行している宅配端末を玄関子機近くで操作すれば、玄関子機から宅配ボックスの場所が通知されるため、宅配業者は迷わず宅配ボックスに荷物を入れる事ができる。
加えて、宅配業者が宅配ボックスに荷物を入れる状況が撮像されて保存されるため、受取人は後から宅配業者を確認でき、セキュリティに有効である。
【0010】
請求項4の発明は、来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機と、呼び出しに応答するための居室親機とを有するインターホンシステムであって、近距離通信機能を備えた宅配端末を宅配業者が携行すると共に、玄関子機が宅配端末と近距離通信する無線通信部を有し、更に宅配ボックスの場所を案内する情報を記憶する案内情報記憶部、及び案内情報の通知を制御する通知制御部を玄関子機或いは居室親機が有し、通知制御部は、宅配端末から宅配通知信号が近距離通信機能を使用して玄関子機に送信されると、案内情報記憶部の案内情報を玄関子機から通知させる一方、宅配端末は、近距離通信機能を使用して宅配完了通知を玄関子機に送信でき、居室親機は、玄関子機が受信した宅配完了通知を保存する記憶部を有することを特徴とする。
この構成によれば、宅配業者が携行している宅配端末を玄関子機近くで操作すれば、玄関子機から宅配ボックスの場所が通知されるため、宅配業者は迷わず宅配ボックスに荷物を入れる事ができる。
加えて、荷物が配達されたことを通知する情報が居室親機に保存されるため、宅配業者にとっては宅配した証拠として配達先に残すことができる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの構成において、案内情報記憶部に記憶される案内情報が音声メッセージであり、通知制御部は、玄関子機のスピーカからメッセージを報音させて宅配ボックスの場所を通知することを特徴とする。
この構成によれば、宅配ボックスの場所が音声で通知されるため、玄関子機を凝視すること無く場所を把握し易い。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、玄関子機は画像表示部を有すると共に、案内情報記憶部に記憶される案内情報が宅配ボックスの場所を案内する画像情報であり、通知制御部は、画像表示部に画像情報を表示させて宅配ボックスの場所を通知することを特徴とする。
この構成によれば、宅配ボックスの場所が画像で表示されるため、一目で把握でき、場所を把握し易い。
【0013】
請求項7の発明は、請求項5又は6に記載の構成において、宅配ボックスは電気錠を有して、外部から電気錠の制御を可能とする外部通信部を具備する一方、玄関子機或いは居室親機は、宅配ボックスと通信するボックス通信部を具備し、通知制御部は、宅配端末から宅配通知信号を受信したら、ボックス通信部を介して宅配ボックスの電気錠を解錠制御することを特徴とする。
この構成によれば、玄関子機前で宅配端末を操作すると、宅配ボックスの場所を認識できる同時に、宅配ボックスが解錠されるため、宅配業者はスムーズに荷物を入れる事ができる。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1乃至の何れかに記載の構成において、宅配端末は、近距離通信機能を使用して宅配完了通知を玄関子機に送信でき、居室親機は、玄関子機が受信した宅配完了通知を保存する記憶部を有することを特徴とする。
この構成によれば、荷物が配達されたことを通知する情報が居室親機に保存されるため、宅配業者にとっては宅配した証拠として配達先に残すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、宅配業者が携行している宅配端末を玄関子機近くで操作すれば、玄関子機から宅配ボックスの場所が通知されるため、宅配業者は迷わず宅配ボックスに荷物を入れる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るインターホンシステムの一例を示す概略構成図である。
図2】玄関子機のブロック図である。
図3】居室親機のブロック図である。
図4】居室親機の表示説明図である。
図5】インターホンシステムの他の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るインターホンシステムの一例を示す概略構成図である。図1において、1は玄関に設置されて来訪者が居住者を呼び出すために操作する玄関子機、2は住戸内に設置されて玄関子機1による呼び出しを受けて居住者が応答する居室親機、3は宅配業者が携行する宅配端末、4は宅配ボックスである。玄関子機1と居室親機2は伝送線L1で接続されている。
【0018】
図2は玄関子機1のブロック図を示している。玄関子機1は、呼出ボタン11、マイク及びスピーカを備えた通話部12、来訪者を撮像する子機カメラ13、近距離無線通信を実施する無線通信部14、玄関子機1を制御する子機CPU15、居室親機2と通信する子機通信IF16等を備えている。
【0019】
図3は居室親機2のブロック図を示している。居室親機2は、呼び出しを受けて応答するための通話ボタン21、マイク22a及びスピーカ22bを備えた通話部22、子機カメラ13の撮像映像を表示するモニタ23、各種操作が可能な操作部24、映像を保存する映像保存部25、メッセージ音声を記憶する案内情報記憶部26、キー情報及び宅配業者情報を記憶する宅配情報記憶部27、居室親機2を制御する親機CPU28、玄関子機1と通信する親機通信IF29等を備えている。
【0020】
宅配ボックス4は、テンキーから成る操作部を有する電気錠41を具備しており、設定された番号を入力することで解錠される。
【0021】
宅配端末3は宅配業者が携行する端末であり、各種情報を表示する表示部、操作部、そして玄関子機1の無線通信部14と通信可能な近距離無線通信機能等を備えた端末が使用され、宅配通知信号の送信、宅配完了通知を玄関子機1に対して行うことができるよう構成されている。
この宅配端末3は、例えばスマートフォンが使用でき、スマートフォンに予め宅配アプリケーションソフトウェアをインストールすれば、玄関子機1と通信が可能となる。
尚、宅配端末3と玄関子機1の無線通信部14との間の近距離無線通信は、例えばBluetooth(登録商標)やWi-SUNである。
【0022】
このように構成されたインターホンシステムの動作は以下の様である。但し、玄関子機1の呼出ボタン11を操作して居住者を呼び出す操作、居室親機2から応答する操作、呼出操作により子機カメラ13が起動してモニタ23に表示される動作等のインターホンの基本動作は従来と同様であるため説明を省略し、ここでは荷物を配達に着た宅配業者が宅配端末3を操作した際の動作を説明する。
荷物の配達に着た宅配業者が、宅配端末3を玄関子機1の近傍で所定のID送信操作を行うと、宅配業者ID情報を含む宅配通知信号が近距離無線通信機能により玄関子機1に送信され、無線通信部14がそれを受信する。
【0023】
宅配通知信号を受信した玄関子機1は、子機CPU15の制御により宅配通知信号を居室親機2へ送信する。
居室親機2では、親機CPU28の制御により、宅配情報記憶部27に登録されている宅配業者情報(宅配業者ID)と照合され、一致したら案内情報記憶部26に記憶されているメッセージが玄関子機1に送信され、スピーカ12bから報音される。同時に、無線通信部14から宅配端末3に対して宅配ボックス4を解錠するためのキー情報(キー番号)が送信される。更に、子機カメラ13が起動して、その後一定時間の撮像映像が映像保存部25に保存される。
【0024】
この結果、玄関子機1のスピーカ12bから、宅配ボックス4の位置が音声により案内される。例えば、「宅配ボックスは門扉の右側の裏にあります」等のメッセージが報音される。
【0025】
このアナウンスにより宅配ボックス4の場所を確認した宅配業者は、宅配ボックス4へ赴き、受信したキー情報に基づいて電気錠41の操作部を操作して解錠し、荷物を宅配ボックスに収容して扉を閉じて宅配を完了させる。
【0026】
尚、ここでは来訪者を撮像するための玄関子機1の子機カメラ13が、同時に宅配ボックス4の周囲を撮像することを前提としているが、宅配ボックス4及びその周囲を撮像する外部カメラ(図示せず)を別途設けて、子機カメラ13を起動させずに外部カメラを起動してその撮像映像を保存しても良い。この場合、玄関子機1に外部カメラの接続部を設けて外部カメラを接続し、玄関子機1の子機カメラ13を起動する制御に代えて外部カメラを起動し、その撮像映像が映像保存部25に保存される。
【0027】
こうして配達が完了した宅配業者は、最後に玄関子機1の近くで宅配端末3を操作して所定の宅配完了通知操作を行う。この操作で、宅配業者ID情報を含む宅配完了通知が玄関子機1に送信される。宅配完了通知を受信した玄関子機1は、子機CPU15の制御により宅配完了通知を居室親機2へ送信して、宅配完了通知は親機CPU28の制御により宅配情報記憶部27に保存される。
この情報は、宅配業者名と宅配が成された日時情報を含み、居室親機2の操作部24の所定の表示操作でモニタ23に表示することができる。図4は、モニタ23に宅配完了通知情報を表示した状態を示し、宅配業者名、日時等を知ることができる。
【0028】
このように、宅配業者が携行している宅配端末3を玄関子機1の近くで操作すれば、玄関子機1から宅配ボックス4の場所が音声で通知されるため、宅配業者は場所を把握し易く迷わず宅配ボックス4に荷物を入れる事ができる。特に、音声で通知されることで、玄関子機1を凝視すること無く、容易に場所を把握できる。
またその際に、宅配ボックス4を解錠するためのキー情報を入手できるため、宅配業者は解錠キーを持たなくとも解錠して荷物を入れる事ができる。
更に、宅配業者が宅配ボックス4に荷物を入れる状況が撮像されて保存されるため、受取人は後から宅配業者を確認でき、セキュリティに有効である。
加えて、宅配完了通知により荷物が配達された情報が居室親機2に保存されるため、宅配業者にとっては宅配した証拠として配達先に残すことができる。
【0029】
尚、上記実施形態では、宅配ボックス4の場所をメッセージで通知しているが、玄関子機1に画像を表示する画像表示部を設けて、宅配ボックス4の場所を画像表示して通知しても良い。この場合、居室親機2の案内情報記憶部26に保存する情報を、メッセージに代えて画像情報にでき、例えば地図情報で通知できる。そのため、宅配業者は宅配ボックス4の場所を一目で把握でき、アナウンスが終了するまで待つ必要がない。
また、案内情報記憶部6を居室親機2に設けて、親機CPU28が通知制御を行っているが、案内情報記憶部6は玄関子機1に設けても良いし、子機CPU15が通知制御を実施しても良い。
【0030】
図5はインターホンシステムの他の形態を示す構成図であり、上記形態とは居室親機2と宅配ボックス4とが伝送線L2で接続され、互いに通信する機能を備えている点が相違している。居室親機2の親機通信IF29が宅配ボックス4と通信するボックス通信部29aを有し、宅配ボックス4の電気錠41が居室親機2と通信する外部通信部41aを備えて、両者の間で通信を可能としている。
居室親機2と宅配ボックス4とが通信することで、居室親機2の制御によりキー番号を変更可能としている。そのため、宅配ボックス4の電気錠41のキー番号を適宜変更でき、宅配端末3に発行するキー情報をワンタイムのキー番号としている。
【0031】
こうすることで、宅配ボックス4を解錠するためのキー情報を入手できるため、宅配業者はスムーズに解錠して荷物を入れる事ができる。しかも、キー情報はワンタイムの解錠キーであるため、キー情報が外部に漏れる事が無くセキュリティの向上に有効である。
【0032】
尚、居室親機2と宅配ボックス4とが通信する場合、居室親機2が直接宅配ボックス4を解錠しても良い。この場合、宅配端末3にキー番号を送信する必要が無くなり、玄関子機1からは宅配ボックス4の場所情報を通知するだけで良いし、宅配業者は解錠操作すること無くスムーズに荷物を入れる事ができる。
また上記実施形態では、居室親機2が宅配ボックス4と伝送線L2で接続されているが、玄関子機1に宅配ボックス4との通信部を設けて、玄関子機1と宅配ボックス4を伝送線を介して接続しても良い。
更に、宅配ボックス4の電気錠4aをテンキーの操作で解錠可能としているが、テンキーで無くとも良く、例えばQRコード(登録商標)により解錠させても良い。この場合、宅配ボックス4にQRコード(登録商標)の読み取り部が設けられ、QRコード(登録商標)を表示させた宅配端末3を宅配ボックス4に翳すことで解錠される。
【符号の説明】
【0033】
1・・玄関子機、2・・居室親機、3・・宅配端末、4・・宅配ボックス、12b・・スピーカ、13・・子機カメラ(カメラ)、14・・無線通信部、15・・子機CPU、23・・モニタ、25・・映像保存部、26・・案内情報記憶部、27・・宅配情報記憶部、28・・親機CPU(通知制御部、映像制御部)、29a・・ボックス通信部、41・・電気錠、41a・・外部通信部、L1,L2・・伝送線。
図1
図2
図3
図4
図5