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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】車両用熱管理システム
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20230929BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230929BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20230929BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230929BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20230929BHJP
   H01M 10/655 20140101ALI20230929BHJP
   H01M 10/66 20140101ALI20230929BHJP
   F01P 3/12 20060101ALI20230929BHJP
   F01P 3/20 20060101ALI20230929BHJP
   F01P 3/22 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
B60H1/22 651B
B60H1/22 651C
B60H1/22 651A
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/6567
H01M10/655
H01M10/66
F01P3/12
F01P3/20 B
F01P3/20 H
F01P3/22 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019175760
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021000970
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2019-0074084
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェヨン
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-105425(JP,A)
【文献】特開2019-085102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0312036(US,A1)
【文献】特開2010-064651(JP,A)
【文献】特開平10-297261(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0236842(US,A1)
【文献】国際公開第2013/024535(WO,A1)
【文献】特開2014-223866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00-3/06
H01M 10/00-10/667
F01P 3/00-3/22
B60K 11/00、11/02、11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水ラインで連結されるラジエータ、第1ウォーターポンプ、第1バルブ、およびリザーバタンクを含み、前記冷却水ラインに備えられる少なくとも1つの電装品を冷却するように、前記冷却水ラインに冷却水を循環させる冷却装置と、
前記リザーバタンクと第2バルブを介して連結されるバッテリ冷却水ラインと、前記バッテリ冷却水ラインで連結される第2ウォーターポンプ、およびバッテリモジュールを含み、前記バッテリモジュールに冷却水を循環させるバッテリ冷却装置と、
前記第2バルブを介して前記バッテリ冷却水ラインと連結される分岐ラインに備えられ、エアコン装置の冷媒ラインと冷媒連結ラインを介して連結され、前記分岐ラインに選択的に供給された冷却水を、前記エアコン装置から選択的に供給された冷媒と熱交換させて冷却水の温度を調節するチラーと、
前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水が供給されるように、前記冷却水ライン、および前記分岐ラインと第1、および第2連結ラインを介して連結されたヒータを含む暖房回路とを含み、
前記エアコン装置は、
前記冷媒ラインを介して連結される蒸発器と、車両の冷房、暖房、および除湿モードに応じて、前記蒸発器を通過した外気が前記ヒータに選択的に流入するように調節する開閉ドアが内部に備えられたHVACモジュールと、
前記冷却水ラインと連結されて内部に冷却水が循環し、前記冷媒ラインを介して供給された冷媒を冷却水と熱交換させるコンデンサと、
前記蒸発器と前記コンデンサとの間で前記冷媒ラインを介して連結される圧縮機と、
前記コンデンサと前記蒸発器との間で前記冷媒ラインに備えられるサブコンデンサと、
前記サブコンデンサと前記蒸発器との間で前記冷媒ラインに備えられる第1膨張バルブと、
前記冷媒連結ラインに備えられる第2膨張バルブとを含み、
車両の冷房モードで前記バッテリモジュールを冷却する場合、
前記冷却装置では、前記第1ウォーターポンプの作動により前記冷却水ラインに冷却水が循環し、
前記第1連結ラインが前記第1バルブの作動により閉鎖され、前記第2連結ラインが閉鎖され、
前記バッテリ冷却装置では、前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準として前記リザーバタンクと連結された前記バッテリ冷却水ラインが閉鎖された状態で、前記第2ウォーターポンプの作動により前記バッテリ冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って冷却水が循環し、
前記エアコン装置では、前記第1膨張バルブの作動により前記サブコンデンサと前記蒸発器とを連結する前記冷媒ラインが開放され、
前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが開放され、
前記第2膨張バルブは、前記冷媒連結ラインに供給される冷媒を膨張させて前記チラーに供給することを特徴とする車両用熱管理システム。
【請求項2】
前記第1連結ラインの一端は、前記第1バルブを介して前記冷却水ラインと連結され、前記第1連結ラインの他端は、前記ヒータと連結され、
前記第2連結ラインの一端は、前記第2バルブと前記チラーとの間で前記分岐ラインに連結され、前記第2連結ラインの他端は、前記ヒータと連結され、
前記ヒータは、前記エアコン装置に含まれているHVACモジュールの内部に備えられることを特徴とする請求項1に記載の車両用熱管理システム。
【請求項3】
前記バッテリ冷却装置は、
前記バッテリモジュールと前記第2バルブとの間で前記バッテリ冷却水ラインに備えられる冷却水加熱器をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用熱管理システム。
【請求項4】
前記バッテリモジュールを昇温させる場合、
前記分岐ラインは、前記第2バルブの作動により開放され、
前記分岐ラインを基準として前記リザーバタンクと連結された前記バッテリ冷却水ラインが閉鎖され、
前記第2ウォーターポンプの作動により前記バッテリ冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って冷却水が循環し、
前記冷却水加熱器は、前記バッテリ冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って前記バッテリモジュールに供給される冷却水を加熱するように作動することを特徴とする請求項3に記載の車両用熱管理システム。
【請求項5】
前記冷媒連結ラインの一端は、前記サブコンデンサと前記第1膨張バルブとの間で前記冷媒ラインに連結され、
前記冷媒連結ラインの他端は、前記蒸発器と前記圧縮機との間で前記冷媒ラインに連結されることを特徴とする請求項に記載の車両用熱管理システム。
【請求項6】
前記チラーと前記コンデンサは、水冷式熱交換器であり、前記サブコンデンサは、空冷式熱交換器であることを特徴とする請求項に記載の車両用熱管理システム。
【請求項7】
前記HVACモジュールは、
前記ヒータを通過した外気を選択的に加熱するように、前記ヒータを挟んで、前記蒸発器の反対側に備えられる空気加熱器をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の車両用熱管理システム。
【請求項8】
前記空気加熱器は、
前記ヒータに供給された冷却水の温度が室内暖房の目標温度より低い場合、前記ヒータを通過した外気の温度を上昇させるために作動することを特徴とする請求項に記載の車両用熱管理システム。
【請求項9】
冷却水ラインで連結されるラジエータ、第1ウォーターポンプ、第1バルブ、およびリザーバタンクを含み、前記冷却水ラインに備えられる少なくとも1つの電装品を冷却するように、前記冷却水ラインに冷却水を循環させる冷却装置と、
前記リザーバタンクと第2バルブを介して連結されるバッテリ冷却水ラインと、前記バッテリ冷却水ラインで連結される第2ウォーターポンプ、およびバッテリモジュールを含み、前記バッテリモジュールに冷却水を循環させるバッテリ冷却装置と、
前記第2バルブを介して前記バッテリ冷却水ラインと連結される分岐ラインに備えられ、エアコン装置の冷媒ラインと冷媒連結ラインを介して連結され、前記分岐ラインに選択的に供給された冷却水を、前記エアコン装置から選択的に供給された冷媒と熱交換させて冷却水の温度を調節するチラーと、
前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水が供給されるように、前記冷却水ライン、および前記分岐ラインと第1、および第2連結ラインを介して連結されたヒータを含む暖房回路とを含み、
前記電装品と前記バッテリモジュールを冷却する場合、
前記第1、および第2連結ラインと前記分岐ラインが前記第1、および第2バルブの作動により閉鎖され、
前記ラジエータで冷却されて前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水は、前記第1ウォーターポンプの作動により前記電装品に供給され、
前記第2バルブの作動により前記リザーバタンクと連結された前記バッテリ冷却水ラインには、前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水が循環しながら、前記バッテリモジュールに供給されることを特徴とす車両用熱管理システム。
【請求項10】
冷却水ラインで連結されるラジエータ、第1ウォーターポンプ、第1バルブ、およびリザーバタンクを含み、前記冷却水ラインに備えられる少なくとも1つの電装品を冷却するように、前記冷却水ラインに冷却水を循環させる冷却装置と、
前記リザーバタンクと第2バルブを介して連結されるバッテリ冷却水ラインと、前記バッテリ冷却水ラインで連結される第2ウォーターポンプ、およびバッテリモジュールを含み、前記バッテリモジュールに冷却水を循環させるバッテリ冷却装置と、
前記第2バルブを介して前記バッテリ冷却水ラインと連結される分岐ラインに備えられ、エアコン装置の冷媒ラインと冷媒連結ラインを介して連結され、前記分岐ラインに選択的に供給された冷却水を、前記エアコン装置から選択的に供給された冷媒と熱交換させて冷却水の温度を調節するチラーと、
前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水が供給されるように、前記冷却水ライン、および前記分岐ラインと第1、および第2連結ラインを介して連結されたヒータを含む暖房回路とを含み、
車両の暖房モードで前記電装品の廃熱を回収する場合、
前記第1バルブの作動により前記第1連結ラインが開放され、前記第2連結ラインが開放され、
前記冷却装置では、前記第1連結ラインを基準として前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクとを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、
前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準として前記リザーバタンクと連結される前記バッテリ冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリ冷却水ラインが閉鎖され、
前記第1ウォーターポンプの作動により前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータの通過なしに、前記第1連結ラインに沿って前記ヒータに供給され、
前記ヒータから排出された冷却水は、前記第2連結ラインに沿って前記分岐ラインに流入し、開放された前記バッテリ冷却水ラインを介して前記リザーバタンクに流入することを特徴とす車両用熱管理システム。
【請求項11】
前記第1バルブは、
前記電装品が過熱する場合、前記ラジエータと連結される前記冷却水ラインを開放して、前記電装品を通過した冷却水中、一部の冷却水を前記第1連結ラインに流入させ、残りの冷却水を前記ラジエータに流入させることを特徴とする請求項10に記載の車両用熱管理システム。
【請求項12】
前記第1、および第2バルブは、流量の分配が可能な3-Wayであることを特徴とする請求項1に記載の車両用熱管理システム。
【請求項13】
前記電装品は、
モータ、または電力制御装置、またはインバータ、または充電器(On Board Charger、OBC)を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用熱管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用熱管理システムに関し、より詳細には、冷媒と冷却水が熱交換される1つのチラーを用いてバッテリモジュールの温度を調節し、電装品から発生した廃熱を利用して暖房効率を向上させるようにする車両用熱管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近は、環境問題とエネルギー資源問題が重要視されている中、電気自動車(Electric Vehicle)が未来の運送手段として注目されている。電気自動車は、充電または放電可能な複数の二次電池(cell)が1つのパック(pack)に形成されたバッテリモジュールを主動力源として用いるため、排気ガスが全くなく、騒音が非常に小さい。
【0003】
このような電気自動車は、バッテリモジュールから供給された電力により作動する駆動モータで駆動される。また、電気自動車には、便宜装置のための複数の電子装置と共に、駆動モータを制御および管理し、バッテリモジュールを充電するための電装品が備えられる。
【0004】
一方、電気自動車の主動力源として用いられる駆動モータと共に、バッテリ、および電装品は発熱量が非常に大きいため、効率的な冷却が要求されることから、電装品とバッテリモジュールの効率的な温度管理は非常に重要な問題といえる。
【0005】
従来は、電装品、およびバッテリモジュールの温度調節のために別途の冷却システムを適用していたが、電装品とバッテリモジュールの大きさに応じて容量を増大させなければならないことから、空間の制約が発生する問題点がある。また、各冷却システムの容量が増大する場合、冷却システムの稼働に要求される電力が増加する問題点もある。
【0006】
これにより、電気自動車では、電装品、およびバッテリモジュールの耐久性を確保しながらエネルギー効率を極大化させるために、電装品、およびバッテリの温度調節と共に、電装品から発生する廃熱を効率的に使用するための技術開発が要求されている。
この背景技術部分に記載の事項は発明の背景に対する理解を増進させるために作成されたものであり、この技術の属する分野における通常の知識を有する者にすでに知られた従来技術でない事項を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、冷媒と冷却水が熱交換される1つのチラーを用いてバッテリモジュールの温度を調節し、電装品から発生した廃熱を回収して室内暖房に使用することによって、暖房効率を向上させるようにする車両用熱管理システムを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための、本発明の実施例による車両用熱管理システムは、冷却水ラインで連結されるラジエータ、第1ウォーターポンプ、第1バルブ、およびリザーバタンクを含み、前記冷却水ラインに備えられる少なくとも1つの電装品を冷却するように、前記冷却水ラインに冷却水を循環させる冷却装置と、前記リザーバタンクと第2バルブを介して連結されるバッテリ冷却水ラインと、前記バッテリ冷却水ラインで連結される第2ウォーターポンプ、およびバッテリモジュールを含み、前記バッテリモジュールに冷却水を循環させるバッテリ冷却装置と、前記第2バルブを介して前記バッテリ冷却水ラインと連結される分岐ラインに備えられ、エアコン装置の冷媒ラインと冷媒連結ラインを介して連結され、前記分岐ラインに選択的に供給された冷却水を、前記エアコン装置から選択的に供給された冷媒と熱交換させて冷却水の温度を調節するチラーと、前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水が供給されるように、前記冷却水ライン、および前記分岐ラインと第1、および第2連結ラインを介して連結されたヒータを含む暖房回路とを含む。
【0009】
前記第1連結ラインの一端は、前記第1バルブを介して前記冷却水ラインと連結され、前記第1連結ラインの他端は、前記ヒータと連結され、前記第2連結ラインの一端は、前記第2バルブと前記チラーとの間で前記分岐ラインに連結され、前記第2連結ラインの他端は、前記ヒータと連結され、前記ヒータは、前記エアコン装置に含まれているHVACモジュールの内部に備えられる。
【0010】
前記バッテリ冷却装置は、前記バッテリモジュールと前記第2バルブとの間で前記バッテリ冷却水ラインに備えられる冷却水加熱器をさらに含んでもよい。
【0011】
前記バッテリモジュールを昇温させる場合、前記分岐ラインは、前記第2バルブの作動により開放され、前記分岐ラインを基準として前記リザーバタンクと連結された前記バッテリ冷却水ラインが閉鎖され、前記第2ウォーターポンプの作動により前記バッテリ冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って冷却水が循環し、前記冷却水加熱器は、前記バッテリ冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って前記バッテリモジュールに供給される冷却水を加熱するように作動できる。
【0012】
前記エアコン装置は、前記冷媒ラインを介して連結される蒸発器と、車両の冷房、暖房、および除湿モードに応じて、前記蒸発器を通過した外気が前記ヒータに選択的に流入するように調節する開閉ドアが内部に備えられたHVACモジュールと、前記冷却水ラインと連結されて内部に冷却水が循環し、前記冷媒ラインを介して供給された冷媒を冷却水と熱交換させるコンデンサと、前記蒸発器と前記コンデンサとの間で前記冷媒ラインを介して連結される圧縮機と、前記コンデンサと前記蒸発器との間で前記冷媒ラインに備えられるサブコンデンサと、前記サブコンデンサと前記蒸発器との間で前記冷媒ラインに備えられる第1膨張バルブと、前記冷媒連結ラインに備えられる第2膨張バルブとを含むことができる。
【0013】
前記冷媒連結ラインの一端は、前記サブコンデンサと前記第1膨張バルブとの間で前記冷媒ラインに連結され、前記冷媒連結ラインの他端は、前記蒸発器と前記圧縮機との間で前記冷媒ラインに連結される。
【0014】
前記チラーと前記コンデンサは、水冷式熱交換器であり、前記サブコンデンサは、空冷式熱交換器であってもよい。
【0015】
前記HVACモジュールは、前記ヒータを通過した外気を選択的に加熱するように、前記ヒータを挟んで、前記蒸発器の反対側に備えられる空気加熱器をさらに含んでもよい。
【0016】
前記空気加熱器は、前記ヒータに供給された冷却水の温度が室内暖房の目標温度より低い場合、前記ヒータを通過した外気の温度を上昇させるために作動できる。
【0017】
車両の冷房モードで前記バッテリモジュールを冷却する場合、前記冷却装置では、前記第1ウォーターポンプの作動により前記冷却水ラインに冷却水が循環し、前記第1連結ラインが前記第1バルブの作動により閉鎖され、前記第2連結ラインが閉鎖され、前記バッテリ冷却装置では、前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準として前記リザーバタンクと連結された前記バッテリ冷却水ラインが閉鎖された状態で、前記第2ウォーターポンプの作動により前記バッテリ冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って冷却水が循環し、前記エアコン装置では、前記第1膨張バルブの作動により前記サブコンデンサと前記蒸発器とを連結する前記冷媒ラインが開放され、前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが開放され、前記第2膨張バルブは、前記冷媒連結ラインに供給される冷媒を膨張させて前記チラーに供給することができる。
【0018】
前記電装品と前記バッテリモジュールを冷却する場合、前記第1、および第2連結ラインと前記分岐ラインが前記第1、および第2バルブの作動により閉鎖され、前記ラジエータで冷却されて前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水は、前記第1ウォーターポンプの作動により前記電装品に供給され、前記第2バルブの作動により前記リザーバタンクと連結された前記バッテリ冷却水ラインには、前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水が循環しながら、前記バッテリモジュールに供給される。
【0019】
車両の暖房モードで前記電装品の廃熱を回収する場合、前記第1バルブの作動により前記第1連結ラインが開放され、前記第2連結ラインが開放され、前記冷却装置では、前記第1連結ラインを基準として前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクとを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準として前記リザーバタンクと連結される前記バッテリ冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリ冷却水ラインが閉鎖され、前記第1ウォーターポンプの作動により前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータの通過なしに、前記第1連結ラインに沿って前記ヒータに供給され、前記ヒータから排出された冷却水は、前記第2連結ラインに沿って前記分岐ラインに流入し、開放された前記バッテリ冷却水ラインを介して前記リザーバタンクに流入することができる。
【0020】
前記第1バルブは、前記電装品が過熱する場合、前記ラジエータと連結される前記冷却水ラインを開放して、前記電装品を通過した冷却水中、一部の冷却水を前記第1連結ラインに流入させ、残りの冷却水を前記ラジエータに流入させることができる。
【0021】
前記第1、および第2バルブは、流量の分配が可能な3-Wayであってもよい。
【0022】
前記電装品は、モータ、または電力制御装置、またはインバータ、または充電器(On Board Charger、OBC)を含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
上述のように、本発明の実施例による車両用熱管理システムによれば、冷却水と冷媒が熱交換される1つのチラーを用いて、車両のモードに応じてバッテリモジュールの温度を調節し、冷却水を用いて車両室内の暖房を実現することによって、全体システムの簡素化および単純化を図ることができる。
また、本発明は、電装品から発生した廃熱を回収して室内暖房に使用することによって、暖房効率を向上させることができる。
また、本発明は、バッテリモジュールの温度を効率的に調節することによって、バッテリモジュールの最適性能発揮が可能になり、効率的なバッテリモジュールの管理により車両の全体的な走行距離を増加させることができる。
さらに、全体システムの簡素化により製作コストの節減および重量縮小が可能であり、空間活用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例による車両用熱管理システムのブロック構成図である。
図2】本発明の実施例による車両用熱管理システムにおいて、ラジエータを用いて電装品とバッテリモジュールを冷却させることに関する作動状態図である。
図3】本発明の実施例による車両用熱管理システムにおいて、車両の冷房モード時に冷媒を用いてバッテリモジュールを冷却させることに関する作動状態図である。
図4】本発明の実施例による車両用熱管理システムにおいて、車両の暖房モード時における電装品の廃熱回収に関する作動状態図である。
図5】本発明の実施例による車両用熱管理システムにおいて、車両の暖房モード時における電装品の廃熱回収および冷却に関する作動状態図である。
図6】本発明の実施例による車両用熱管理システムにおいて、バッテリモジュールの昇温に関する作動状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施例を、添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
これに先立ち、本明細書に記載の実施例と図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施例に過ぎないだけであり、本発明の技術的な思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0027】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0028】
図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図面に示されたところに限定されず、様々な部分および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
【0029】
そして、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0030】
また、明細書に記載の「...ユニット」、「...手段」、「...部」、「...部材」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作をする包括的な構成の単位を意味する。
【0031】
図1は、本発明の実施例による車両用熱管理システムのブロック構成図である。
【0032】
本発明の実施例による車両用熱管理システムは、冷媒と冷却水が熱交換される1つのチラー40を用いてバッテリモジュール24の温度を調節し、電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に使用することができる。
【0033】
このような熱管理システムは、電気自動車に適用可能である。
【0034】
図1を参照すれば、前記熱管理システムは、冷却装置10と、バッテリ冷却装置20と、暖房回路30と、チラー40とを含むことができる。
【0035】
まず、前記冷却装置10は、冷却水ライン11で連結されるラジエータ12、第1ウォーターポンプ14、第1バルブV1、およびリザーバタンク16を含む。
【0036】
前記ラジエータ12は車両の前方に配置され、後方にはクーリングファン13が備えられ、前記クーリングファン13の作動と外気との熱交換により冷却水を冷却する。
【0037】
また、前記電装品15は、電力制御装置(Electric Power Control Unit、EPCU)、モータ、インバータ、または充電器(On Board Charger、OBC)を含むことができる。
【0038】
このように構成される前記電装品15は、前記冷却水ライン11に備えられて水冷式で冷却できる。
【0039】
これにより、車両の暖房モードで前記電装品15の廃熱を回収する場合には、前記電力制御装置、モータ、インバータ、または充電器から発生した熱を回収することができる。
【0040】
このような冷却装置10は、前記冷却水ライン11に備えられる前記電装品15に冷却水が供給されるように、前記冷却水ライン11に冷却水を循環させることができる。
【0041】
前記バッテリ冷却装置20は、前記リザーバタンク16と第2バルブV2を介して連結されるバッテリ冷却水ライン21と、前記バッテリ冷却水ライン21で連結される第2ウォーターポンプ22、およびバッテリモジュール24を含む。
【0042】
このようなバッテリ冷却装置20は、前記第2ウォーターポンプ22の作動により前記バッテリモジュール24に選択的に冷却水を循環させることができる。
【0043】
ここで、前記第1、および第2ウォーターポンプ14、22は、電動式ウォーターポンプであってもよい。
【0044】
一方、前記バッテリ冷却装置20は、前記バッテリモジュール24と前記第2バルブV2との間で前記バッテリ冷却水ライン21に備えられる冷却水加熱器26をさらに含んでもよい。
【0045】
前記冷却水加熱器26は、前記バッテリモジュール24に供給される冷却水の温度が目標温度より低い場合に作動して、前記バッテリ冷却水ライン21で循環する冷却水を加熱することができる。これにより、前記冷却水加熱器26を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記バッテリモジュール24に供給され、前記バッテリモジュール24の温度を上昇させることができる。
【0046】
つまり、前記冷却水加熱器26は、前記バッテリモジュール24の温度を上昇させる場合に選択的に作動できる。
【0047】
本実施例において、前記チラー40は、前記第2バルブV2を介して前記バッテリ冷却水ライン21と連結される分岐ライン31に備えられる。
【0048】
このようなチラー40は、エアコン装置50の冷媒ライン51と冷媒連結ライン61を介して連結される。つまり、前記チラー40は、内部に冷却水が流入する水冷式熱交換器であってもよい。
【0049】
これにより、前記チラー40は、前記分岐ライン31に選択的に供給された冷却水を、前記エアコン装置50から選択的に供給された冷媒と熱交換させて冷却水の温度を調節することができる。
【0050】
そして、前記暖房回路30は、前記電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水が供給されるように、前記冷却水ライン11、および前記分岐ライン31と第1、および第2連結ライン33、35を介して連結されたヒータ52aを含む。
【0051】
ここで、前記第1連結ライン33の一端は、前記第1バルブV1を介して前記冷却水ライン11と連結され、前記第1連結ライン33の他端は、前記ヒータ52aと連結される。
【0052】
前記第2連結ライン35の一端は、前記第2バルブV2と前記チラー40との間で前記分岐ライン31に連結され、前記第2連結ライン35の他端は、前記ヒータ52aと連結される。
【0053】
また、前記ヒータ52aは、前記エアコン装置50に含まれているHVACモジュール52の内部に備えられる。
【0054】
これにより、前記暖房回路30は、車両室内を暖房する場合、前記第1、および第2バルブV1、V2の作動によりそれぞれ開放された前記分岐ライン31、および前記第1連結ライン33と、開放された前記第2連結ライン35を介して高温の冷却水を前記ヒータ52aに供給することができる。
【0055】
本実施例において、前記エアコン装置50は、前記冷媒ライン51を介して連結される前記HVACモジュール(Heating、Ventilation、and Air Conditioning)52、コンデンサ53、サブコンデンサ54、第1膨張バルブ55、蒸発器56、および圧縮機59を含む。
【0056】
まず、前記HVACモジュール52は、前記冷媒ライン51を介して連結される前記蒸発器56と、車両の冷房、暖房、および暖房/除湿モードに応じて、前記蒸発器56を通過した外気が前記ヒータ52aに選択的に流入するように調節する開閉ドア52bが内部に備えられる。
【0057】
つまり、前記開閉ドア52bは、車両の暖房モードで前記蒸発器56を通過した外気が前記ヒータ52aに流入するように開放される。逆に、車両の冷房モードで、前記開閉ドア52bは、前記蒸発器56を通過しながら冷却された外気が車両の内部に直ちに流入するように前記ヒータ52a側を閉鎖する。
【0058】
ここで、前記HVACモジュール52は、前記ヒータ52aを通過した外気を選択的に加熱するように、前記ヒータ52aを挟んで、前記蒸発器56の反対側に備えられる空気加熱器52cをさらに含んでもよい。
【0059】
前記空気加熱器52cは、前記ヒータ52aに供給された冷却水の温度が室内暖房の目標温度より低い場合、前記ヒータ52aを通過した外気の温度を上昇させるために作動できる。
【0060】
本実施例において、前記コンデンサ53は、前記冷媒ライン51と連結されて冷媒が通過し、前記冷却装置10を循環する冷却水が通過するように前記冷却水ライン11と連結される。
【0061】
このようなコンデンサ53は、前記冷却水ライン11を介して供給された冷却水と熱交換により冷媒を凝縮させることができる。つまり、前記コンデンサ53は、内部に冷却水が流入する水冷式熱交換器であってもよい。
【0062】
このように構成される、前記コンデンサ53は、前記圧縮機59から供給された冷媒を、前記冷却装置10から供給される冷却水と熱交換させて冷媒を凝縮させることができる。
【0063】
本実施例において、前記サブコンデンサ54は、前記コンデンサ53と前記蒸発器56との間で前記冷媒ライン51に備えられる。
【0064】
ここで、前記サブコンデンサ54は、前記コンデンサ53で凝縮された冷媒を外気と熱交換により追加的に凝縮させることができる。つまり、前記サブコンデンサ54は、前記ラジエータ12の前方に配置されて、内部に流入した冷媒を外気と相互熱交換させる。
【0065】
つまり、前記サブコンデンサ54は、外気を用いて冷媒を凝縮する空冷式熱交換器であってもよい。
【0066】
このように、前記サブコンデンサ54は、前記コンデンサ53で凝縮された冷媒をさらに凝縮させることによって、冷媒のサブクールを増大させることができ、これによって、圧縮機の所要動力に対する冷房能力の係数であるCOP(Coefficient Of Performance)が向上できる。
【0067】
前記第1膨張バルブ55は、前記サブコンデンサ54と前記蒸発器56との間で前記冷媒ライン51に備えられる。前記第1膨張バルブ55は、前記サブコンデンサ54を通過した冷媒が供給されて膨張させる。
【0068】
本実施例において、前記冷媒連結ライン61の一端は、前記サブコンデンサ54と前記第1膨張バルブ55との間で前記冷媒ライン51に連結される。そして、前記冷媒連結ライン61の他端は、前記蒸発器56と前記圧縮機59との間で前記冷媒ライン51に連結される。
【0069】
ここで、前記冷媒連結ライン61には第2膨張バルブ63が備えられる。前記第2膨張バルブ63は、冷媒で前記バッテリモジュール24を冷却する場合、前記冷媒連結ライン61を介して流入する冷媒を膨張させて前記チラー40に流入させることができる。
【0070】
ここで、前記第2膨張バルブ63は、車両の冷房モードで冷媒を用いて前記バッテリモジュール24を冷却する場合に冷媒を膨張させるように作動する。
【0071】
このような第2膨張バルブ63は、前記サブコンデンサ54から排出された冷媒を膨張させてその温度を低下させた状態で前記チラー40に流入させることによって、前記チラー40の内部を通過する冷却水の水温をさらに低下させることができる。
【0072】
これにより、前記バッテリモジュール24には、前記チラー40を通過しながら水温が低くなった冷却水が流入してより効率的に冷却できる。
【0073】
そして、前記圧縮機59は、前記蒸発器56と前記コンデンサ53との間で前記冷媒ライン51を介して連結される。このような圧縮機59は、気体状態の冷媒を圧縮させ、圧縮された冷媒を前記コンデンサ53に供給することができる。
【0074】
ここで、前記第1、および第2膨張バルブ55、63は、前記冷媒ライン51、または前記冷媒連結ライン61を通過する冷媒の流動の流れを制御しながら、冷媒を選択的に膨張させる電子式膨張バルブであってもよい。
【0075】
また、前記第1、および第2バルブV1、V2は、流量の分配が可能な3-Wayバルブであってもよい。
【0076】
以下、上記のように構成される本発明の実施例による車両用熱管理システムの作動および作用を、図2図6により詳しく説明する。
【0077】
まず、本発明の実施例による車両用熱管理システムにおいて、前記ラジエータ12を用いて前記電装品15と前記バッテリモジュール24を冷却させる場合に関する作動を、図2を参照して説明する。
【0078】
図2は、本発明の実施例による車両用熱管理システムにおいて、ラジエータを用いて電装品とバッテリモジュールを冷却させることに関する作動状態図である。
【0079】
図2を参照すれば、前記分岐ライン31と、第1、および第2連結ライン33、35は、前記第1、および第2バルブV1、V2の作動により閉鎖される。
【0080】
また、前記バッテリ冷却水ライン21は、前記第2バルブV2の作動により前記リザーバタンク16と連結される。
【0081】
この状態で、前記冷却装置10では、前記電装品15の冷却のために、前記第1ウォーターポンプ14が作動する。これにより、前記電装品15には、前記ラジエータ12で冷却されて前記リザーバタンク16に貯蔵された冷却水が供給される。
【0082】
前記バッテリ冷却装置20では、前記バッテリモジュール24の冷却のために、前記第2ウォーターポンプ22が作動する。
【0083】
すると、前記リザーバタンク16に貯蔵された冷却水は、前記第2バルブV2の作動により前記リザーバタンク16と連結された前記バッテリ冷却水ライン21に循環しながら、前記バッテリモジュール24に供給される。
【0084】
つまり、前記ラジエータ12で冷却されて前記リザーバタンク16に貯蔵された冷却水は、前記第1、および第2ウォーターポンプ14、22の作動により前記冷却水ライン11と前記バッテリ冷却水ライン21をそれぞれ循環しながら、前記電装品15と前記バッテリモジュール24をそれぞれ冷却させることによって、前記電装品15、および前記バッテリモジュール24を効率的に冷却させることができる。
【0085】
前記エアコン装置50は、車両の冷房モードが作動しないことから作動しない。
【0086】
一方、本実施例では、冷却水で前記電装品15と前記バッテリモジュール24をすべて冷却させることを説明しているが、これに限定されたものではなく、前記電装品15と前記バッテリモジュール24のうち、いずれか1つを別途に冷却する場合には、前記第1、および第2ウォーターポンプ14、22を選択的に作動させることができる。
【0087】
車両の冷房モードで前記バッテリモジュール24を冷却する場合に関する作動を、図3を参照して説明する。
【0088】
図3は、本発明の実施例による車両用熱管理システムにおいて、車両の冷房モード時に冷媒を用いてバッテリモジュールを冷却させることに関する作動状態図である。
【0089】
図3を参照すれば、前記冷却装置10では、前記第1ウォーターポンプ14の作動により前記冷却水ライン11に冷却水が循環する。
【0090】
ここで、前記第1連結ライン33は、前記第1バルブV1の作動により閉鎖され、前記第2連結ライン35が閉鎖される。
【0091】
これにより、前記ラジエータ12で冷却された冷却水は、前記第1ウォーターポンプ14の作動により前記コンデンサ53に供給される。
【0092】
そして、前記バッテリ冷却装置20では、前記第2バルブV2の作動により前記分岐ライン31が開放される。そして、前記分岐ライン31を基準として前記リザーバタンク16と連結された前記バッテリ冷却水ライン21は閉鎖される。
【0093】
この状態で、前記チラー40を通過した冷却水は、前記第2ウォーターポンプ22の作動により、前記リザーバタンク16の通過なしに、前記分岐ライン31、および前記分岐ライン31と連結された前記バッテリ冷却水ライン21に沿って循環しながら、前記バッテリモジュール24に供給される。
【0094】
つまり、前記バッテリ冷却装置20では、前記第2バルブV2の作動により前記リザーバタンク16と連結の閉鎖された状態で開放された前記分岐ライン31が前記バッテリ冷却水ライン21と連結されて、独立して冷却水が循環する密閉回路を形成することができる。
【0095】
前記エアコン装置50では、車両室内を冷房するために各構成要素が作動する。これにより、冷媒は前記冷媒ライン51に沿って循環する。
【0096】
ここで、前記サブコンデンサ54と前記蒸発器56とを連結する前記冷媒ライン51は、前記第1膨張バルブ55の作動により開放される。前記冷媒連結ライン61は、前記第2膨張バルブ63の作動により開放される。
【0097】
すると、前記サブコンデンサ54を通過した冷媒は、前記冷媒ライン51と前記冷媒連結ライン61に沿って循環できる。
【0098】
ここで、前記第1、および第2膨張バルブ55、63は、膨張した冷媒が前記蒸発器56と前記チラー40にそれぞれ供給されるように冷媒を膨張させることができる。
【0099】
前記コンデンサ53は、前記冷却水ライン11に沿って流動する冷却水を用いて前記冷媒を凝縮させる。そして、前記サブコンデンサ54は、前記コンデンサ53から流入した冷媒を外気との熱交換により追加的に凝縮させることができる。
【0100】
ここで、前記チラー40を通過した冷却水は、前記第2ウォーターポンプ22の作動により前記バッテリモジュール24を冷却させるように、前記リザーバタンク16の通過なしに、前記バッテリ冷却水ライン21、および前記分岐ライン31を循環する。
【0101】
前記チラー40を通過する冷却水は、前記チラー40に供給される膨張した冷媒と熱交換により冷却される。前記チラー40で冷却された冷却水は、前記バッテリモジュール24に供給される。これにより、前記バッテリモジュール24は、冷却された冷却水によって冷却される。
【0102】
つまり、前記第2膨張バルブ63は、膨張した冷媒を前記チラー40に供給するように、前記サブコンデンサ54を通過した冷媒中、一部の冷媒を膨張させ、前記冷媒連結ライン61を開放する。
【0103】
したがって、前記サブコンデンサ54から排出された一部の冷媒は、前記第2膨張バルブ63の作動により膨張して低温低圧の状態になり、前記冷媒連結ライン61と連結される前記チラー40に流入する。
【0104】
その後、前記チラー40に流入した冷媒は、冷却水と熱交換され、前記冷媒連結ライン61を介して前記圧縮機59に流入する。
【0105】
前記バッテリモジュール24を冷却しながら温度が上昇した冷却水は、低温低圧の冷媒と前記チラー40の内部で熱交換により冷却される。冷却された冷却水は、前記バッテリ冷却水ライン21と前記分岐ライン31を介して再びバッテリモジュール24に供給される。
【0106】
つまり、冷却水は、前述のような作動を繰り返し行いながら前記バッテリモジュール24を効率的に冷却させることができる。
【0107】
一方、前記サブコンデンサ54から排出された残りの冷媒は、車両の室内を冷房するように前記冷媒ライン51を介して流動し、前記第1膨張バルブ55、前記蒸発器56、前記圧縮機59、および前記コンデンサ53を順次に通過する。
【0108】
ここで、前記HVACモジュール52に流入する外気は、前記蒸発器56に流入した低温状態の冷媒によって前記蒸発器56を通過しながら冷却される。
【0109】
この時、前記開閉ドア52bは、冷却された外気が前記ヒータ52aを通過しないように、前記ヒータ52aに通過する部分を閉鎖する。したがって、冷却された外気は車両の内部に直接流入することによって、車両室内を冷房することができる。
【0110】
一方、前記蒸発器56には、前記コンデンサ53と、前記サブコンデンサ54を順次に通過しながら凝縮量が増加した冷媒が膨張して供給されることによって、冷媒をより低い温度で蒸発させることができる。
【0111】
つまり、本実施例では、前記コンデンサ53が冷媒を凝縮し、前記サブコンデンサ54が追加的に冷媒を凝縮させることによって、冷媒のサブクールの形成が有利になる。
【0112】
そして、サブクールが形成された冷媒が前記蒸発器56でより低い温度で蒸発されることによって、冷房性能および効率を向上させることができる。
【0113】
前述した過程を繰り返し行いながら冷媒は車両の冷房モードで室内を冷房すると同時に、前記チラー40を通過しながら熱交換により冷却水を冷却させることができる。
【0114】
前記チラー40で冷却された低温の冷却水は、前記バッテリモジュール24に流入する。これにより、前記バッテリモジュール24は、供給された低温の冷却水によって効率的に冷却できる。
【0115】
本実施例において、車両の暖房モードで前記電装品15の廃熱を回収する場合に関する作動を、図4を参照して説明する。
【0116】
図4は、本発明の実施例による車両用熱管理システムにおいて、車両の暖房モード時における電装品の廃熱回収に関する作動状態図である。
【0117】
図4を参照すれば、前記熱管理システムは、前記電装品15の廃熱を回収して車両室内の暖房に使用することができる。
【0118】
まず、前記冷却装置10において、前記第1ウォーターポンプ14は、冷却水の循環のために作動する。この時、前記エアコン装置50は作動が中断される。
【0119】
ここで、前記第1連結ライン33は、前記第1バルブV1の作動により開放される。これと同時に、前記第2連結ライン35が開放される。
【0120】
また、前記第1連結ライン33を基準として前記ラジエータ12と連結された前記冷却水ライン11と、前記ラジエータ12と前記リザーバタンク16とを連結する前記冷却水ライン11は、前記第1バルブV1の作動により閉鎖される。
【0121】
前記分岐ライン31は、前記第2バルブV2の作動により開放され、前記分岐ライン31を基準として前記リザーバタンク16と連結される前記バッテリ冷却水ライン21を除いた残りの前記バッテリ冷却水ライン21が閉鎖される。
【0122】
つまり、前記第2ウォーターポンプ22、前記バッテリモジュール24、および前記冷却水加熱器26を連結する前記バッテリ冷却水ライン21は閉鎖され、前記バッテリ冷却装置20の作動が中断される。
【0123】
この状態で、前記第1ウォーターポンプ14の作動により前記電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータ12の通過なしに、前記第1連結ライン33に沿って前記ヒータ52aに供給される。
【0124】
前記ヒータ52aから排出された冷却水は、前記第2連結ライン35に沿って前記分岐ライン31に流入した後、前記分岐ライン31と前記リザーバタンク16とを連結するように開放された一部の前記バッテリ冷却水ライン21を介して前記リザーバタンク16に流入する。
【0125】
つまり、前記電装品15を通過した冷却水は、前記ラジエータ12の通過なしに、前記冷却水ライン11、前記第1、および第2連結ライン33、35、前記分岐ライン31、および一部の前記バッテリ冷却水ライン21に沿って循環し続け、前記電装品15から廃熱を吸収して温度が上昇する。
【0126】
温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータ12の通過なしに、開放された前記第1連結ライン33を介して前記ヒータ52aに供給される。
【0127】
前記ヒータ52aに供給された高温の冷却水は、外気との熱交換後、前記第2連結ライン35を介して、前記ラジエータ12の通過なしに、前記分岐ライン31と、一部の前記バッテリ冷却水ライン21を経て前記冷却水ライン11に流入する。
【0128】
ここで、前記開閉ドア52bは、前記HVACモジュール52に流入する外気が前記ヒータ52aを通過するように開放される。
【0129】
これにより、外部から流入した外気は、冷媒が供給されない前記蒸発器56を通過する時、冷却されない室温状態で流入する。流入した外気は、前記ヒータ52aを通過しながら高温状態に切換えられて車両室内に流入することによって、車両室内の暖房が実現できる。
【0130】
一方、前記空気加熱器52cは、前記ヒータ52aを通過した外気の温度に応じて選択的に作動できる。つまり、前記空気加熱器52cは、前記ヒータ52aを通過した外気の温度が目標温度より低い場合に作動して、車両の室内に流入する外気を加熱することができる。
【0131】
前記空気加熱器52cは、前記ヒータ52aを通過しながら高温の冷却水と熱交換が完了した外気の温度が設定温度、または暖房目標温度より低い場合に作動する。つまり、前記空気加熱器52cが作動すると、外気は前記空気加熱器52cを通過しながら加熱して、温度が上昇した状態で車両室内に流入できる。
【0132】
つまり、本発明は、前述のような過程を繰り返し行いながら、前記電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に用いることによって、使用電力を低減し、全体的な暖房効率を向上させることができる。
【0133】
本実施例において、車両の暖房モード時における前記電装品15の廃熱回収および冷却する場合に関する作動を、図5を参照して説明する。
【0134】
図5は、本発明の実施例による車両用熱管理システムにおいて、車両の暖房モード時における電装品の廃熱回収および冷却に関する作動状態図である。
【0135】
図5を参照すれば、前記冷却装置10において、前記第1ウォーターポンプ14は、冷却水の循環のために作動する。この時、前記エアコン装置50は作動が中断される。
【0136】
ここで、前記第1連結ライン33は、前記第1バルブV1の作動により開放され、前記第2連結ライン35が開放される。これと同時に、前記第1バルブV1は、前記第1連結ライン33を基準として前記ラジエータ12と連結された前記冷却水ライン11を開放する。
【0137】
前記分岐ライン31は、前記第2バルブV2の作動により開放され、前記分岐ライン31を基準として前記リザーバタンク16と連結される前記バッテリ冷却水ライン21を除いた残りの前記バッテリ冷却水ライン21が閉鎖される。
【0138】
つまり、前記第2ウォーターポンプ22、前記バッテリモジュール24、および前記冷却水加熱器26を連結する前記バッテリ冷却水ライン21は閉鎖され、前記バッテリ冷却装置20の作動が中断される。
【0139】
この状態で、前記第1ウォーターポンプ14の作動により前記電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水中、一部の冷却水は、前記ラジエータ12の通過なしに、前記第1連結ライン33に沿って前記ヒータ52aに供給される。
【0140】
前記ヒータ52aから排出された冷却水は、前記第2連結ライン35に沿って前記分岐ライン31に流入した後、前記分岐ライン31と前記リザーバタンク16とを連結するように開放された一部の前記バッテリ冷却水ライン21を介して前記リザーバタンク16に流入する。
【0141】
つまり、前記電装品15を通過した冷却水中、一部の冷却水は、前記ラジエータ12の通過なしに、前記冷却水ライン11、前記第1、および第2連結ライン33、35、前記分岐ライン31、および一部の前記バッテリ冷却水ライン21に沿って循環し続け、前記電装品15から廃熱を吸収して温度が上昇する。
【0142】
これにより、温度が上昇した冷却水中、一部の冷却水は、前記ラジエータ12の通過なしに、開放された前記第1連結ライン33を介して前記ヒータ52aに供給される。
【0143】
前記ヒータ52aに供給された高温の冷却水は、外気との熱交換後、前記第2連結ライン35を介して、前記ラジエータ12の通過なしに、前記分岐ライン31と、一部の前記バッテリ冷却水ライン21を経て前記冷却水ライン11に流入する。
【0144】
ここで、前記開閉ドア52bは、前記HVACモジュール52に流入する外気が前記ヒータ52aを通過するように開放される。
【0145】
これにより、外部から流入した外気は、冷媒が供給されない前記蒸発器56を通過する時、冷却されない室温状態で流入する。流入した外気は、前記ヒータ52aを通過しながら高温状態に切換えられて車両室内に流入することによって、車両室内の暖房が実現できる。
【0146】
一方、前記ヒータ52aに供給されない残りの冷却水は、前記ラジエータ12を通過しながら冷却される。
【0147】
冷却が完了した冷却水は、前記第2連結ライン35、前記分岐ライン31、および一部の前記バッテリ冷却水ライン21を介して前記リザーバタンク16に流入した冷却水と共に、前記電装品15を通過しながら廃熱を回収すると同時に、前記電装品15を効率的に冷却することができる。
【0148】
つまり、前記第1バルブV1は、前記電装品15が過熱する場合、前記ラジエータ12と連結される前記冷却水ライン11を開放して、前記電装品15を通過した冷却水中、一部の冷却水を前記第1連結ライン33に流入させ、残りの冷却水を前記ラジエータ12に流入させることができる。
【0149】
これにより、前記ラジエータ12で冷却された一部の冷却水が前記電装品15に供給されることによって、前記電装品15が過熱するのを防止することができる。
【0150】
したがって、本発明は、前記電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に用いることによって、使用電力を低減し、全体的な暖房効率を向上させることができる。
【0151】
これと同時に、本発明は、流量の分配が可能な前記第1バルブV1の作動制御により一部の冷却水を前記ラジエータ12に流入させて冷却した後、前記電装品15に供給することによって、前記電装品15の効率的な冷却が可能になると同時に、前記電装品15の冷却性能を確保することができる。
【0152】
そして、前記バッテリモジュール24を昇温させる場合に関する作動を、図6を参照して説明する。
【0153】
図6は、本発明の実施例による車両用熱管理システムにおいて、バッテリモジュールの昇温に関する作動状態図である。
【0154】
図6を参照すれば、前記冷却装置10、前記暖房回路30、および前記エアコン装置50は作動が中断される。
【0155】
ここで、前記分岐ライン31は、前記第2バルブV2の作動により開放され、前記分岐ライン31を基準として前記リザーバタンク16と連結された前記バッテリ冷却水ライン21が閉鎖される。
【0156】
つまり、前記バッテリ冷却装置20において、前記第2ウォーターポンプ22、前記バッテリモジュール24、および前記冷却水加熱器26を連結する前記バッテリ冷却水ライン21は、前記分岐ライン31と連結されるように開放される。
【0157】
この状態で、前記第2ウォーターポンプ22の作動により前記バッテリ冷却水ライン21と前記分岐ライン31に沿って冷却水が循環する。
【0158】
ここで、前記冷却水加熱器26は、開放された前記バッテリ冷却水ライン21と前記分岐ライン31に沿って前記バッテリモジュール24に供給される冷却水を加熱するように作動する。
【0159】
すると、前記バッテリ冷却水ライン21と前記分岐ライン31で循環する冷却水は、前記冷却水加熱器26を通過しながら温度が上昇する。前記冷却水加熱器26を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記バッテリモジュール24に供給されることによって、前記バッテリモジュール24の温度を上昇させることができる。
【0160】
つまり、本発明は、前述のような過程を繰り返し行いながら、前記バッテリモジュール24の温度を速やかに上昇させることができ、前記バッテリモジュール24の効率的な温度管理が可能になる。
【0161】
したがって、上述のように、本発明の実施例による車両用熱管理システムによれば、冷却水と冷媒が熱交換される1つの前記チラー40を用いて、車両のモードに応じて前記バッテリモジュール24の温度を調節し、冷却水を用いて車両室内の暖房を実現することによって、全体システムの簡素化および単純化を図ることができる。
【0162】
また、本発明は、前記電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に使用することによって、暖房効率を向上させることができる。
【0163】
また、本発明は、前記バッテリモジュール24の温度を効率的に調節することによって、前記バッテリモジュール24の最適性能発揮が可能になり、効率的な前記バッテリモジュール24の管理により車両の全体的な走行距離を増加させることができる。
【0164】
さらに、全体システムの簡素化により製作コストの節減および重量縮小が可能であり、空間活用性を向上させることができる。
【0165】
以上のように、本発明は、たとえ限定された実施例と図面によって説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と以下に記載の特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正および変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0166】
10:冷却装置
11:冷却水ライン
12:ラジエータ
13:クーリングファン
14、22:第1、および第2ウォーターポンプ
15:電装品
16:リザーバタンク
20:バッテリ冷却装置
21:バッテリ冷却水ライン
24:バッテリモジュール
26:冷却水加熱器
30:暖房回路
31:分岐ライン
33、35:第1、および第2連結ライン
50:エアコン装置
51:冷媒ライン
52:HVACモジュール
53:コンデンサ
54:サブコンデンサ
55、63:第1、および第2膨張バルブ
56:蒸発器
59:圧縮機
61:冷媒連結ライン
V1、V2:第1、および第2バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6