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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】画像投影装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20230929BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20230929BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20230929BHJP
   G02B 17/08 20060101ALI20230929BHJP
   G02B 19/00 20060101ALI20230929BHJP
   G02B 21/02 20060101ALI20230929BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20230929BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G02B7/02 E
G02B7/02 Z
G02B7/04 D
G02B17/08
G02B19/00
G02B21/02
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019207811
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021081541
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】514274487
【氏名又は名称】リコーインダストリアルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】根本 貴章
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 繁
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/080234(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/167238(WO,A1)
【文献】特開平10-319500(JP,A)
【文献】特開2010-091635(JP,A)
【文献】特開2013-097326(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0118818(US,A1)
【文献】特開2018-112638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B7/02-7/16
9/00-17/08
21/02-21/04
25/00-25/04
G02F1/13
1/137-1/141
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
H04N5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を発生する照明光学系と、
前記照明光を変調して投影光を作成する画像表示素子と、
前記投影光を拡大する投影光学系と、を備える画像投影装置であって、
前記画像表示素子は、
前記投影光学系の光軸と直交する直交面を、前記光軸と直交する2つの直線で4つの象限に分割したときに、そのうちの1つの象限に配置され、
前記画像投影装置から投影される投影光が、前記光軸に対して、前記1つの象限がある一方の側に投影され
前記照明光学系を覆うとともに、調整穴が設けられた筐体を備え、
前記投影光学系は、
固定筒と、
固定筒の内径側に配置され、前記固定筒に対して光軸方向に移動可能なフォーカス群保持筒と、
前記調整穴から操作可能で、操作によって前記フォーカス群保持筒を前記固定筒に対して前記光軸方向に移動させるフォーカス調整部と、を有し、
前記フォーカス調整部と前記調整穴とは、前記光軸に対して、前記投影光が投影される側と逆側に設けられている、
画像投影装置。
【請求項2】
前記画像表示素子は長方形で、
前記画像表示素子の短辺は、前記2つの直線のうちの一方の直線と平行で、
前記画像表示素子の長辺は、前記2つの直線のうちの他方の直線と平行で且つ前記一方の直線と交差せず、前記一方の直線に対して前記他方の直線の延びる方向のいずれか一方の側にある、
請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項3】
前記画像表示素子により作成された投影光を反射させて前記投影光学系に入射させるプリズムを備え、
前記光軸は、前記投影光学系の第1光軸と、前記プリズムにおいて方向転換されると前記第1光軸と一致する第2光軸とを含み、前記直交面は、前記第2光軸と直交し、前記一方の直線は、前記第1光軸と前記第2光軸とを含む平面上を延びる、
請求項2に記載の画像投影装置。
【請求項4】
前記画像表示素子により作成された投影光は、直接、前記投影光学系に入射し、
前記一方の直線は、前記画像投影装置における投影光を照射するための開口部が設けられている面と直交して延びる、
請求項2に記載の画像投影装置。
【請求項5】
前記画像表示素子は、前記4つの象限のうちの、前記1つの象限以外に延びていない、
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【請求項6】
照明光を発生する照明光学系と、
前記照明光を変調して投影光を作成する画像表示素子と、
前記投影光を拡大する投影光学系と、
前記照明光学系、前記画像表示素子、及び前記投影光学系を覆うとともに、出射窓が設けられている筐体と、を備える画像投影装置であって、
前記画像表示素子は、
前記画像投影装置を、前記投影光学系の拡大側を上、縮小側を下にして、前記筐体における前記出射窓が設けられている側から見たときに、前記投影光学系の光軸に対して左右の一方の側に配置され、
前記画像投影装置から投影される投影光が、前記光軸に対して、前記画像表示素子が配置されている一方の側に投影され、
前記照明光学系を覆うとともに、調整穴が設けられた筐体を備え、
前記投影光学系は、
固定筒と、
固定筒の内径側に配置され、前記固定筒に対して光軸方向に移動可能なフォーカス群保持筒と、
前記調整穴から操作可能で、操作によって前記フォーカス群保持筒を前記固定筒に対して前記光軸方向に移動させるフォーカス調整部と、を有し、
前記フォーカス調整部と前記調整穴とは、前記光軸に対して、前記投影光が投影される側と逆側に設けられている、
画像投影装置。
【請求項7】
前記画像表示素子は長方形で、
前記画像表示素子の長辺は、前記光軸に対して左右の一方に配置されている、
請求項6に記載の画像投影装置。
【請求項8】
前記投影光の全体が、前記画像投影装置の前記一方の側面よりも、さらに前記一方の側に投射される、
請求項1から7のいずれか1項に記載の画像投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像をスクリーン等に向けて投影するプロジェクタ等の画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ等の画像投影装置において、投影画像は、一般的に画像投影装置の投影部を中心として左右対称に投影される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-160476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、用途や設置場所によっては、投影画像の投影方向を画像投影装置の投影部の中心からに対して左右のいずれか一方にのみ投影することが望まれる場合もある。
【0005】
本発明は、投影画像を画像投影装置に対して左右のいずれか一方にのみ投影することが可能な画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、照明光を発生する照明光学系と、前記照明光を変調して投影光を作成する画像表示素子と、前記投影光を拡大する投影光学系と、を備える画像投影装置であって、前記画像表示素子は、前記投影光学系の光軸と直交する直交面を、前記光軸と直交する2つの直線で4つの象限に分割したときに、そのうちの1つの象限に配置され、前記画像投影装置から投影される投影光が、前記光軸に対して、前記1つの象限がある一方の側に投影される、画像投影装置を提供する。
【0007】
前記画像表示素子は長方形で、前記画像表示素子の短辺は、前記2つの直線のうちの一方の直線と平行で、前記画像表示素子の長辺は、前記2つの直線のうちの他方の直線と平行で且つ前記一方の直線と交差せず、前記一方の直線に対して前記他方の直線の延びる方向のいずれか一方の側にあることが好ましい。
【0008】
前記画像表示素子により作成された投影光を反射させて前記投影光学系に入射させるプリズムを備え、前記光軸は、前記投影光学系の第1光軸と、前記プリズムにおいて方向転換されると前記第1光軸と一致する第2光軸とを含み、前記直交面は、前記第2光軸と直交し、前記一方の直線は、前記第1光軸と前記第2光軸とを含む平面上を延びることが好ましい。
【0009】
前記画像表示素子により作成された投影光は、直接、前記投影光学系に入射し、前記一方の直線は、前記画像投影装置における投影光を照射するための開口部が設けられている面と直交して延びることが好ましい。
【0010】
前記画像表示素子は、前記4つの象限のうちの、前記1つの象限以外に延びていないことが好ましい。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、照明光を発生する照明光学系と、前記照明光を変調して投影光を作成する画像表示素子と、前記投影光を拡大する投影光学系と、前記照明光学系、前記画像表示素子、及び前記投影光学系を覆うとともに、出射窓が設けられている筐体と、を備える画像投影装置であって、前記画像表示素子は、前記画像投影装置を、前記投影光学系の拡大側を上、縮小側を下にして、前記筐体における前記出射窓が設けられている側から見たときに、前記投影光学系の光軸に対して左右の一方の側に配置され、前記画像投影装置から投影される投影光が、前記光軸に対して、前記画像表示素子が配置されている一方の側に投影される画像投影装置を提供する。
【0012】
前記画像表示素子は長方形で、前記画像表示素子の長辺は、前記光軸に対して左右の一方に配置されていることが好ましい。
【0013】
前記投影光の全体が、前記画像投影装置の前記一方の側面よりも、さらに前記一方の側に投射されることが好ましい。
【0014】
前記照明光学系を覆うとともに、調整穴が設けられた筐体を備え、前記投影光学系は、固定筒と、固定筒の内径側に配置され、前記固定筒に対して光軸方向に移動可能なフォーカス群保持筒と、前記調整穴から操作可能で、操作によって前記フォーカス群保持筒を前記固定筒に対して前記光軸方向に移動させるフォーカス調整部と、を有し、前記フォーカス調整部と前記調整穴とは、前記光軸に対して、前記投影光が投影される側と逆側に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、投影画像を画像投影装置に対して左右のいずれか一方にのみ投影することが可能な画像投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】は実施形態の画像投影装置1の斜視図である。
図2】画像投影装置1のブロック図である。
図3】画像投影装置1において前筐体2Fを取り外した状態の正面図である。
図4】画像投影装置1の分解斜視図である。
図5】画像表示部5における画像表示素子51の配置及び光路を説明する模式図である。
図6】画像投影装置1を左側から見たときの、画像表示素子51の配置及び光路を説明する概略斜視図である。
図7】画像投影装置1を前側から見たときの、画像表示素子51の配置及び光路を説明する概略斜視図である。
図8】画像投影装置1を左斜め前側から見たときの、画像表示素子51の配置及び光路を説明する概略斜視図である。
図9】(a)及び(b)は画像投影装置1の設置例として、画像投影装置1が駅の自動改札機Kに取り付けられた場合を示す。
図10】画像投影装置1の他の設置例を示す。
図11】画像投影装置1の他の設置例を示す。
図12】フォーカス調整部61と光軸OAとを通る面での投影光学系6及び前筐体2Fの断面図である。
図13】フォーカス群の固定筒63に対する光軸OA方向の位置を調整する調整治具66を示す図であり、(a)は長手方向の一方からみた図、(b)は(a)と直交する方向からみた図である。
図14】調整治具66によるフォーカス群の調整方法を説明する図であり、(a)、(b)、(c)は、固定筒63に対してフォーカス群保持筒62が光軸OA方向の異なる位置にある状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の画像投影装置1について説明する。
図1は実施形態の画像投影装置1の斜視図である。画像投影装置1は略直方体で、筐体2と、筐体2の外部に配置された放熱部3とを備える。筐体2は前筐体2Fと後筐体2Bとを備え、それぞれ金属で製造され、熱伝導率が高い。図2は画像投影装置1のブロック図である。図3は画像投影装置1において前筐体2Fを取り外した状態の正面図である。図4は画像投影装置1の分解斜視図である。
【0018】
画像投影装置1は、筐体2と、筐体2の外部に配置された放熱部3とを備える。さらに画像投影装置1は、筐体2の内部に、照明光学系4と、画像表示部5と、投影光学系6と、凹面反射鏡7と、インターフェース部9と、これらを制御する制御部8とを備える。
【0019】
(前筐体2F)
前筐体2Fには、投影光を照射するための開口部25と、投影光学系6に設けられた後述のフォーカス調整部61を外部より操作するための調整穴21とが設けられている。
以下、図示するように、筐体2における開口部25が設けられている側を前、逆側を後とし、投影光学系6の光軸OAのうちの投影光の進む方向を上(拡大側)、逆側を下(縮小側)とし、画像投影装置1を上下に配置して前から見たときの左右を、明細書中においても左右として説明する。
【0020】
図1に示すように、前筐体2Fの開口部25には、ガラス板等の透光部材27が取り付けられ、調整穴21には蓋部26が取り付けられている。蓋部26は調整穴21を開閉可能である。
【0021】
(後筐体2B)
図3及び図4に示すように、後筐体2Bの外周縁には溝部22が設けられ、溝部22には弾性を有する細長いシール部材23が配置されている。後筐体2Bの上部には、所定の深さを有するとともに、投影光学系6及び凹面反射鏡7が配置される内部空間2Baが設けられている。後筐体2Bの下部は、略板状であって、照明光学系4及び画像表示部5が配置される載置部2Bbが設けられている。
【0022】
後筐体2Bの溝部22にシール部材23が配置された状態で、後筐体2Bの前に前筐体2Fを配置し、互いを密着させるように周囲をねじ24で固定すると、前筐体2Fと後筐体2Bとが互いに固定された図1の状態となる。このとき、前筐体2Fの開口部25は透光部材27で封止され、インターフェース部9も筐体2に対して防塵的に取り付けられている。したがって調整穴21が蓋部26を閉じていると、前筐体2F及び後筐体2Bには、どちらも、その他の穴が存在していないので、筐体2の内部は、外部より粉塵が侵入しない密閉状態となる。
【0023】
また、組み立てられた状態で筐体2は、内部空間2Baが設けられている上部が厚く(前後の幅が大きく)、下部は薄く(前後の幅が小さく)、その下部は載置部2Bbの後側が凹んで放熱部3が配置可能な空間となる凹部Pが設けられている。凹部Pに放熱部3を配置すると、筐体2と放熱部3とで全体として略矩形となる。ゆえに、放熱部3が筐体2から飛び出ていないので、画像投影装置1の設置の際に障害となることがない。
【0024】
(照明光学系4)
照明光学系4は、例えば光源として、RGBの3色のLEDを備える。ただし光源は、これに限らず、例えば超高圧水銀ランプやレーザであってもよい。照明光学系4において光源より発生されたR光、G光、及びB光を含む光は画像表示部5に入射する。
【0025】
(画像表示部5)
図5は、画像表示部5における画像表示素子51の配置及び投影光の光路を説明する模式図である。画像表示部5は、画像表示素子(光変調素子)51と、プリズム52(反射面のみ表示)とを備える。
【0026】
(画像表示素子51)
画像表示素子51は長方形で、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)である。DMDは複数のマイクロミラーからなる略矩形のミラー面を有しており、制御部8より受信したデータに基づいて、各マイクロミラーを時分割駆動し、照明光学系4において発生された照明光を反射する際に変調して、所定の投影光を作成し、投影光学系6へと入射させる。
なお、実施形態では画像表示素子51として、DMDを用いたがこれに限定されず、液晶パネルや、微小な発光素子を2次元的にアレイ配列した発光素子アレイ等を適宜に用いることができる。
【0027】
(プリズム52)
プリズム52は、実施形態ではTIR(Total Internal Reflection)プリズム、RTIR(Reverse Total Internal Reflection)プリズムであるが、クロスダイクロイックプリズムであってもよい。プリズム52は、照明光学系4により発生された照明光を画像表示素子51に向けるとともに、画像表示素子51により作成された投影光を投影光学系6に反射する。
【0028】
(投影光学系6)
投影光学系6は、図5において図示を省略するが、複数のレンズ群を備える。なお投影光学系6の詳細については後述する。レンズ群は、光軸OAを中心として光軸OAに沿って配置され、画像表示素子51により生成された画像を拡大する。
【0029】
(凹面反射鏡7)
凹面反射鏡7は、投影光学系6により拡大された投影光を反射して光路を変更し、透光部材27を通して投影面へと導く。これにより超広角で画像または映像を投影することが可能となる。
【0030】
(放熱部3)
図4に示すように放熱部3は、1つの吸気ファン31と、2つの排気ファン32と、ヒートシンク33とを備え、筐体2の外部の凹部Pに配置されている。ただし、吸気ファン31及び排気ファン32の数はこれに限定されない。また、実施形態では吸気ファン31を左、排気ファン32を右側に取り付けたがこれに限定されず、逆でもよい。
ヒートシンク33は、互いに平行に整列配置された複数の板状のフィン33aを備える。ヒートシンク33は、吸気ファン31と排気ファン32との間に、複数のフィン33aの間を空気が流れるようにフィン33aが吸気ファン31から排気ファン32へ向かう方向に沿うように(左右に延びるように)配置されている。
【0031】
図1及び図4において放熱部3より排気される空気の流れを矢印で示す。また、図4の透光部材27に示す矢印は、投影光の進む方向である。放熱部3における空気は、投影光が照射される方向とは異なる、ねじれ関係になる方向に流れ、投影光と交わらないようになっている。したがって、放熱部3より流れる高温の空気によって投影光が乱されることがない。
【0032】
(インターフェース部9)
インターフェース部9には、外部との接続用に接続端子部91が設けられている。これらの接続端子部91から筐体2の内部にインターフェース基板92が延び、インターフェース基板92、及び、インターフェース基板92から更に延びるフレキシブル基板94や他のインターフェース基板95を介して制御部8に電力及び入力信号が送られ、さらに制御部8から照明光学系4、画像表示部5及び放熱部3へと電力及び制御信号が送られる。
【0033】
(制御部8)
制御部8は、インターフェース基板92から更に延びるインターフェース基板95に配置されたメイン基板に設けられている。メイン基板は後筐体2Bの内部空間2Baの底部に配置される。
【0034】
制御部8は、インターフェース部9から受信した信号をもとに、照明光学系4と画像表示素子51と放熱部3の制御を行う。制御部8は、照明光学系4を作動させるとともに放熱部3の吸気ファン31及び排気ファン32を駆動させる。そして、制御部8は、インターフェース部9を介して受信した信号に基づき画像表示素子51を駆動する。画像表示素子51は、制御部8の制御に基づいて投影光を生成する。
【0035】
実施形態では、画像表示素子51により作成された投影光はプリズム52の反射面で反射されて投影光学系6に入射する。この場合、画像表示素子51は、投影光学系6の光軸(第1光軸)OAに対して直交して上方に延び、プリズム52において90°方向転換されると光軸OAと一致する第2光軸OA1と直交する素子配置面S1に配置されている。
さらに、画像表示素子51は、素子配置面S1を、第2光軸OAと直交する2つの直線Xと直線Yとで4つの象限に分割したときの1つの象限(実施形態では第III象限)に配置されている。ここで直線Yは、光軸OAと第2光軸OAとを含む平面上を延びる直線である。画像表示素子51は、第III象限のみに位置し、第III象限以外の象限には延びていない。
【0036】
画像表示素子51は長方形で、短辺は直線Yと平行である。長辺は直線Xと平行で、直線Yに対してX軸方向のいずれか一方の側にある。すなわち長辺は直線Yをまたいでいない。
【0037】
実施形態と異なり、画像表示素子により作成された投影光がプリズム52で反射されずに、直接、投影光学系に入射する場合、画像表示素子51は、光軸OA(第1光軸)と直交する素子配置面S2に配置される。
さらに、画像表示素子51は、素子配置面S2を、光軸OAと直交する2つの直線Xと直線Yとで4つの象限に分割したときの1つの象限(実施形態では第III象限)に配置されている。ここで直線Xは、画像表示装置1における投影光を照射するための開口部25が設けられている面と平行に延びる直線である。画像表示素子51は、第III象限のみに位置し、第III象限以外の象限には延びていない。
画像表示素子は長方形で、長辺は直線Xと平行で、短辺は直線Yと平行で、長辺は直線Yに対してX軸方向のいずれか一方の側にある。すなわち、長辺は直線Yをまたいでいない。
【0038】
また、2つの直線Xと直線Yとを他の表現で表すと、反射型及び透過型のいずれの場合も、それぞれ、画像投影装置1の側辺と平行である。そして、直線Xは、画像投影装置1の左右に延びる側辺と平行である。直線Yは、実施形態の反射型の場合、直線Yは上下に延びる側辺と平行である。透過型の場合、直線Yは前後に延びる側辺と平行である。
さらに、反射型及び透過型のいずれの場合においても画像表示素子51は、直線Yを超えて移動できないように略固定されている。
【0039】
図6は、画像投影装置1を左側から見たときの、画像表示素子51の配置及び投影光の光路を説明する概略斜視図である。図7は、画像投影装置1を前側から見たときの、画像表示素子51の配置及び投影光の光路を説明する概略斜視図である。図8は、画像投影装置1を左斜め前側から見たときの、画像表示素子51の配置及び投影光の光路を説明する概略斜視図である。
【0040】
なお、以下の説明において、説明容易のため、実施形態の反射型の画像の表示素子51においても、適宜、画像表示素子51は、素子配置面S1と等価位置にある第2素子配置面S2に存在するものとして説明する。
【0041】
図6図8は、画像表示素子51を短辺側から見た図である。画像表示素子51は、第2素子配置面S2上において光軸OAよりも前側に配置されている。画像表示素子51からの投影光は、投影光学系6内を進む際に後側に進み、凹面反射鏡7で反射されて、投影面G上における画像投影装置1の前側に照射される。
なお、実施形態では画像表示素子51の短辺の全体が、第2素子配置面S2上において光軸OAよりも前側に配置されているが、これに限らず、画像投影装置の種類や用途に応じて短辺側の光軸OAに対する位置は、適宜変更可能である。
【0042】
また、図7図8は、画像表示素子51を長辺側から見た図である。画像表示素子51は、第2素子配置面S2上において長辺の全体が光軸OAよりも左側に配置されている。画像表示素子51からの投影光は、投影光学系6内を進む際に右側に進み、凹面反射鏡7で反射されて、投影面G上における画像投影装置1の左側に照射される。
なお、これに限らず、画像表示素子51の長辺は、光軸OAと交差していなければ(光軸OAをまたがっていなければ)、第2素子配置面S2上において画像投影装置1の用途に応じて左右のどちら側であってもよい。
【0043】
実施形態においては、図7図8に示すように、投影光は、画像投影装置1の左面よりさらに左に照射される。また、画像投影装置1が建物の柱Q等に取り付けられていた場合、その柱Qの端面よりさらに左にずれた位置に照射されるように画像表示素子51の位置を調整してもよい。
【0044】
図9(a)及び(b)は画像投影装置1の使用方法の一例で、画像投影装置1が、駅の自動改札機Kに取り付けられた場合を示す。画像投影装置1は、自動改札機Kにおける、通路方向の一方または両方の側の、下部に取り付けられる。画像投影装置1は、自動改札機Kを通過する乗客を誘導する誘導標識を示す投影光を投影し、この投影光は、投影面Gとしての通路上における画像投影装置1の一方の側に照射される。
そして、投影光は自動改札機Kの隙間よりも外側に投影され、例えば、図9(a)のように、自動改札機Kを通過可能な場合、誘導標識の投影光として青色の矢印を表示する。図9(b)のように、通過不能な場合、誘導標識の投影光として赤色のバツ印を表示する。
【0045】
一般的な画像投影装置は、実施形態と異なり画像投影装置を中心として左右均等な範囲に投影光が照射される。そうすると、駅の改札において、上述のように自動改札機からずれた位置に誘導標識を照射しようとした場合、画像投影装置を自動改札機から離して配置することが必要となり、通行の邪魔になる。
また、一般的な画像投影装置を自動改札機に取り付けた場合、画像投影装置を中心として左右均等な範囲に投影光が照射されるので、投影像の、少なくとも半分が自動改札機の間に照射されることになり、投影像が見にくくなる。
【0046】
しかし、実施形態の画像投影装置1によると、画像投影装置1の正面ではなく、斜め方向の、自動改札機Kから左右の一方にずれた位置に誘導標識の投影光が表示されるので、利用者から誘導標識が見やすい。
また、投影された像は、画像投影装置1から近いところは明るく鮮明で、遠いところは拡大率が大きくなるので近いところより暗くなる。そうすると、自動改札機Kに近づくにつれて投影像が明るくなるので、誘導されている方向をより認識しやすくなる。
【0047】
図10は、画像投影装置1の他の使用例で、画像投影装置1が、店の出入口であるドア付近に取り付けられて、ドア100から入店した客を歓迎するメッセージが投影される場合を示す。
図示する例においても、メッセージの投影を希望する位置の正面は、ドア100であるため、開閉時に移動するドア100に画像投影装置1を配置することができない。したがって、画像投影装置1は投影希望位置であるドア100の正面になる位置に対して斜めの位置に配置される。
実施形態によると、画像投影装置1は、斜め前方の投影希望位置にメッセージを投影することができるので、ドア100から入店した客の正面に、メッセージを表示することができる。
【0048】
図11は、画像投影装置1のさらに他の使用例で、画像投影装置1が、廊下などの十字路に、例えば出口を示す進路を投影する場合を示す。
図示する例においても、メッセージの投影を希望する位置の正面は通路101であるため、画像投影装置1を配置することができない。したがって、画像投影装置1は投影希望位置である通路の交差位置に対して斜めの位置に配置される。
実施形態によると、画像投影装置1は、斜め前方の投影希望位置にメッセージを投影することができるので、十字路の中央に、メッセージを表示することができる。
【0049】
(フォーカス調整部61)
図3に戻り、画像投影装置1の投影光学系6には、正面図において、光軸OAから周方向(図中右)にずれた位置に、フォーカス調整部61が設けられている。周方向にずれる方向は、投影方向と逆側である。すなわち、実施形態で投影光は左側に投影されるので、フォーカス調整部61は正面図において、光軸OAから周方向の右側にずれている。
図10は、フォーカス調整部61と光軸OAとを通る面での投影光学系6及び前筐体2Fの断面図である。図10及び図1に示すように、前筐体2Fには調整穴21が設けられている。
【0050】
図12に示すように投影光学系6は、複数のレンズ群を備える。レンズ群は、フォーカスレンズ群Lを含む。フォーカスレンズ群Lは、一体としてフォーカス群保持筒62で保持されている。フォーカス群保持筒62の外径側には、固定筒63が配置されている。フォーカス群保持筒62は、固定筒63に対して光軸OA方向に移動可能である。
【0051】
固定筒63には、光軸OA方向に延びる固定筒長孔63Aと固定筒丸穴63Bとが設けられている。フォーカス群保持筒62には、円形の保持筒ねじ穴62Aと保持筒長孔62Bとが設けられている。
保持筒ねじ穴62Aは、固定筒長孔63Aと重なる位置に設けられ、保持筒ねじ穴62Aの径は、固定筒長孔63Aの短径と略等しい。保持筒長孔62Bは、固定筒丸穴63Bと重なる位置に設けられ、保持筒長孔62Bの長径は、固定筒丸穴63Bの径と略等しい。
【0052】
固定筒63の固定筒長孔63A側から、フォーカス群保持筒62の保持筒ねじ穴62Aに、ねじ65が螺合されている。
ねじ65のねじ部65aの径は、固定筒長孔63Aの短径と略等しく、フォーカス群保持筒62の保持筒ねじ穴62Aに、ねじ65が挿入されて、ねじ部65aが螺合されると、フォーカス群保持筒62は、固定筒63に対して、相対回転せず且つ光軸OA方向に移動可能となる。
【0053】
図13はフォーカス群の固定筒63に対する光軸OA方向の位置を調整する調整治具66を示す図であり、(a)は長手方向の一方からみた図、(b)は(a)と直交する方向からみた図である。調整治具66は、丸棒であって、先端に円柱状の突部66Aが設けられている。突部66Aの径は、保持筒長孔62Bの短径と略等しい。
【0054】
図14は、調整治具66によるフォーカス群の調整方法を説明する図であり、(a)、(b)、(c)は、固定筒63に対してフォーカス群保持筒62が光軸OA方向の異なる位置にある状態を示す。
例えば、(a)状態で、調整治具66を、その突部66Aが保持筒長孔62Bに入るようにして固定筒丸穴63Bに挿入する。そして、調整治具66を固定筒丸穴63B内で回転させると、調整治具66の突部66Aの位置が固定筒丸穴63B内で変わるので、フォーカス群保持筒62(保持筒長孔62B)の光軸OA方向の位置が(b)に示す矢印の方向にずれる。(b)の状態から、さらに調整治具66を回転させると、調整治具66の突部66Aの固定筒丸穴63B内の位置がさらに変わるので、フォーカス群保持筒62(保持筒長孔62B)の光軸OA方向の位置が(c)に示す矢印の方向にずれる。
このように、調整治具66を用いて、フォーカス群保持筒62(保持筒長孔62B)の固定筒63に対する光軸OA方向の位置を変更することにより、フォーカス調整をすることができる。
【0055】
ここで、実施形態と異なり、一般的な画像投影装置においては、投影光が本体に対して左右均等に投影される。そうすると、実施形態と同様にフォーカス調整部が投射光学系の外面に設けられていた場合、フォーカス調整部を調整する際に、作業者は投影光を遮ることになる。そうすると、作業者が、投影光の合焦状態を見ながら作業することが困難になる。
また、レンズユニットの横にフォーカスレバー等を取り付けている従来技術もあり、そうすると投影光を遮ることなく、作業者はフォーカス調整をすることができる。しかし、この場合、筐体側にレバー等を設ける必要があり、構成が複雑になる。
【0056】
しかし、実施形態では、フォーカス調整部61と調整穴21は、光軸OAに対して、投影光が投影される側と逆側に設けられている。したがって、投影光を遮ることなく、作業者はフォーカス調整をすることができる。
例えば、図9の場合、作業者は自動改札機Kの間に入り、左側の通路(投影面G)に照射されている投影光の結像状態を見ながらフォーカス調整部61を操作することが可能となり、構成を複雑にすることなく、作業がしやすい。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これに限らず、発明の範囲内において種々の変更が可能である。例えば明細書中で説明した上下、左右、前後の配置はこれに限らず、上下、左右、前後はそれぞれ逆であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
G:投影面、OA:光軸、P:凹部、S1:素子配置面、S2:素子配置等価面、S3:平面、1:画像投影装置、2:筐体、2B:後筐体、2Ba:内部空間、2Bb:載置部、2F:前筐体、3:放熱部、4:照明光学系、5:画像表示部、6:投影光学系、7:凹面反射鏡、8:制御部、9:インターフェース部、21:調整穴、22:溝部、23:シール部材、25:開口部、26:蓋部、27:透光部材、31:吸気ファン、32:排気ファン、33:ヒートシンク、51:画像表示素子、52:プリズム、61:フォーカス調整部、62:フォーカス群保持筒、62A:保持筒ねじ穴、62B:保持筒長孔、63:固定筒、63A:固定筒長孔、63B:固定筒丸穴、66:調整治具、66A:突部、91:接続端子部、92:インターフェース基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14