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特許7357636頸椎固定外科手術のための一体式インプラントおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】頸椎固定外科手術のための一体式インプラントおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20230929BHJP
【FI】
A61F2/44
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020555209
(86)(22)【出願日】2019-04-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019026740
(87)【国際公開番号】W WO2019199934
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】62/655,329
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517297692
【氏名又は名称】アンシネイト ジョイント, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン, ジェフリー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バルテレ, セオドア ピー.
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0189201(US,A1)
【文献】特表2018-506393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頸部運動分節を固定するための一体式インプラントであって、前記一体式インプラントは、
前記頸部運動分節の上方椎体と下方椎体との間に位置付けられるように構成された椎体間部分であって、前記椎体間部分の第1の側面は、前記頸部運動分節の第1の鈎状関節に面し、前記椎体間部分の第2の側面は、前記頸部運動分節の第2の鈎状関節に面している、椎体間部分と、
前記第1の側面から離れるように延び、前記第1の鈎状関節の中に延びている第1のウィングと、
前記第2の側面から離れるように延び、前記第2の鈎状関節の中に延びている第2のウィングと
を備えており、
前記椎体間部分が、前記上方椎体に面するように構成された上方椎体間表面と、前記下方椎体に面するように構成された下方椎体間表面とを含み、前記上方椎体間表面と下方椎体間表面との間の最大距離が、軸方向寸法における前記椎体間部分の軸方向範囲を画定し、前記第1および第2のウィングの各々が、前記軸方向範囲に対してある斜角で向けられ、前記軸方向寸法において前記上方椎体間表面を越えていることを特徴とし、
前記第1および第2のウィングがそれぞれ前記上方椎体間表面を越えて延びている距離は、前から後ろへの方向に沿って減少する、一体式インプラント。
【請求項2】
剛体である、請求項1に記載の一体式インプラント。
【請求項3】
前記軸方向範囲は、前から後ろへの方向に沿って減少する、請求項に記載の一体式インプラント。
【請求項4】
前記第1および第2のウィングの各々は、
前記頸部運動分節の上方椎骨に面するように構成された上方ウィング表面であって、前記上方ウィング表面は、前記上方椎体間表面に対して10~75度の範囲内の第1の斜角で向けられている、上方ウィング表面と、
前記頸部運動分節の下方椎骨に面するように構成された下方ウィング表面であって、前記下方ウィング表面は、前記下方椎体間表面に対して第2の斜角で向けられ、前記第2の斜角は、少なくとも前記第1の斜角と同程度の大きさである、下方ウィング表面と
を含む、請求項に記載の一体式インプラント。
【請求項5】
前記上方ウィング表面は、前記上方椎体間表面の延長を形成し、前記下方ウィング表面は、前記下方椎体間表面の延長を形成している、請求項に記載の一体式インプラント。
【請求項6】
前記第1および第2のウィングの各々は、
前記頸部運動分節の上方椎骨に面するように構成された上方ウィング表面であって、前記上方ウィング表面は、前記上方椎体間表面に対してある斜角で向けられている、上方ウィング表面と、
前記頸部運動分節の下方椎骨に面するように構成された下方ウィング表面であって、前記下方ウィング表面は、前記下方椎体間表面に対してある斜角で向けられている、下方ウィング表面と
を含み、
前記上方ウィング表面と下方ウィング表面との間の距離は、前記椎体間部分からの距離に伴って減少している、請求項に記載の一体式インプラント。
【請求項7】
前記第1および第2のウィングの各々に関して、前記上方および下方ウィング表面は、前記椎体間部分から最も遠い丸みを帯びた縁で収束する、請求項に記載の一体式インプラント。
【請求項8】
前記第1および第2の側面は、非平行であり、それによって、前記椎体間部分の側方幅は、前から後ろへの方向に沿って減少している、請求項1に記載の一体式インプラント。
【請求項9】
前記第1および第2のウィングの各々の少なくとも一部は、多孔性である、請求項1に記載の一体式インプラント。
【請求項10】
(a)前記椎体間部分と、(b)前記第1および第2のウィングの各々とのうちの少なくとも1つにおいて、固定促進材料を収容するための1つ以上の空隙を形成している、請求項1に記載の一体式インプラント。
【請求項11】
前記空隙のうちの少なくとも1つは、前記椎体間部分によって形成され、前記椎体間部分によって囲まれた封入体の容積の少なくとも90パーセントを占めている、請求項10に記載の一体式インプラント。
【請求項12】
頸部運動分節を固定するためのシステムであって、前記システムは、
前記頸部運動分節の前側から、前記頸部運動分節の上方椎骨と下方椎骨との間に挿入されるように構成される一体式インプラントを含み、前記一体式インプラントは、前記頸部運動分節の第1の鈎状関節内の第1の場所から、前記頸部運動分節の椎間板隙を横断して、前記頸部運動分節の第2の鈎状関節内の第2の場所まで及んでおり、
前記一体式インプラントは、
前記頸部運動分節の上方椎体と下方椎体との間に嵌っている椎体間部分であって、前記椎体間部分の第1の側面は、前記第1の鈎状関節に面し、前記椎体間部分の第2の側面は、前記第2の鈎状関節に面している、椎体間部分と、
前記第1の側面から離れるように延び、前記第1の鈎状関節の中に延びている第1のウィングと、
前記第2の側面から離れるように延び、前記第2の鈎状関節の中に延びている第2のウィングと
を含み、
前記椎体間部分が、前記上方椎体に面するように構成された上方椎体間表面と、前記下方椎体に面するように構成された下方椎体間表面とを含み、前記上方椎体間表面と下方椎体間表面との間の最大距離が、軸方向寸法における前記椎体間部分の軸方向範囲を画定し、前記第1および第2のウィングの各々が、前記軸方向範囲に対してある斜角で向けられ、前記軸方向寸法において前記上方椎体間表面を越えていることを特徴とし、
前記第1および第2のウィングがそれぞれ前記上方椎体間表面を越えて延びている距離は、前から後ろへの方向に沿って減少する、システム。
【請求項13】
前記第1の場所および前記第2の場所の各々は、前記椎間板隙の軸方向上方にある、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記一体式インプラントの挿入に先立って、前記上方椎骨の下方表面および前記下方椎骨の上方表面のうちの少なくとも1つを修正し、前記一体式インプラントの形状に合わせるように構成されるデバイスをさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記デバイスは、前記上方椎骨の下方表面および前記下方椎骨の上方表面のうちの前記少なくとも1つを、前記椎間板隙と前記第1および第2の鈎状関節の各々との間の界面において、前記下方表面および前記上方表面の各々から組織を除去することによって修正する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記一体式インプラントは、前記第1および第2の鈎状関節の各々における前記上方および下方椎骨の皮質骨間の固定を促進するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記一体式インプラントは、前記椎間板隙に骨移植材料を搬送するための1つ以上の空隙を含む、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2018年4月10日に出願された米国仮出願第62/655,329号からの優先権の利益を主張する。
(技術分野)
【0002】
本願は、頸椎(首部)固定外科手術において使用されるインプラントおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
図1における前面図に図示されるように、典型的なC3からC7頸椎100は、ヒトの中部から下部首部に見出されるように、略平坦な椎体101と、椎体101の各側における鈎状突起102と呼ばれる垂直突出状部(横方向突起106および椎弓根(図1では不可視)が椎体101に取り付く場所の近く)とを有する。図1は、C3-C7頸椎における頸部運動分節120の上方頸椎100(1)および下方頸椎100(2)を示す。椎間板は、図1では省略され、下方椎骨100(2)の椎体101の上方に隆起する左および右鈎状突起102の鮮明な図を提供する。鈎状突起102は、上方椎骨100(1)の椎体101の下向き突出状部108と係合する。下方椎骨100(2)の鈎状突起102と上方椎骨100(1)の下向き突出状部108との間に形成される関節112は、鈎状関節、ルシュカ関節、および椎体鉤状突起関節として種々に公知である。頸部運動分節C3/4からC6/7は、鈎状関節112を有する。上方椎骨100(1)の椎体101と下方椎骨100(2)の椎体101との間に、椎間板隙130(図1参照)がある。図2に図示されるように、椎間板隙130は、椎間板240を収容する。
【0004】
いくつかの病気は、頸椎間の鈎状関節および椎間板を含む関節に障害を及ぼし、疼痛および/または麻痺を引き起こし得る。例えば、図3において軸方向図に図示されるように、椎間板240が、破裂し、椎弓根358および椎弓板360によって形成され、その中に脊髄356が位置する空間の中に突出する突出部またはヘルニア形成部354を生産し、これは、圧力を脊髄356および関連付けられた神経根362に加え、それによって、脊髄356と脊髄神経との間の信号伝達に干渉し、疼痛および/または麻痺を引き起こすことによって、潜在的に深刻な神経的問題を引き起こし得る。同様に、突出部またはヘルニア形成部354が側方に位置する場合、圧力を椎孔366内の脊髄神経に加え得る。椎孔366内の神経への圧力も、かなりの神経的問題を引き起こし得る。
【0005】
頸椎間の関節に障害を及ぼす病気のために使用されている1つの治療は、脊椎固定術である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施形態において、頸部運動分節を固定するための一体式インプラントは、頸部運動分節の上方椎体と下方椎体との間に位置付けられるように構成された椎体間部分を含み、椎体間部分の第1の側面は、頸部運動分節の第1の鈎状関節に面し、椎体間部分の第2の側面は、頸部運動分節の第2の鈎状関節に面している。一体式インプラントは、第1の側面から離れるように延び、第1の鈎状関節の中に延びている第1のウィングと、第2の側面から離れるように延び、第2の鈎状関節の中に延びている第2のウィングとをさらに含む。
【0007】
ある実施形態において、頸部運動分節を固定する方法は、一体式インプラントが、頸部運動分節の第1の鈎状関節内の第1の場所から、頸部運動分節の椎間板隙を横断して、頸部運動分節の第2の鈎状関節内の第2の場所まで及ぶように、頸部運動分節の前側から、一体式インプラントを頸部運動分節の上方椎骨と下方椎骨との間に挿入することを含む。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
頸部運動分節を固定するための一体式インプラントであって、前記一体式インプラントは、
前記頸部運動分節の上方椎体と下方椎体との間に位置付けられるように構成された椎体間部分であって、前記椎体間部分の第1の側面は、前記頸部運動分節の第1の鈎状関節に面し、前記椎体間部分の第2の側面は、前記頸部運動分節の第2の鈎状関節に面している、椎体間部分と、
前記第1の側面から離れるように延び、前記第1の鈎状関節の中に延びている第1のウィングと、
前記第2の側面から離れるように延び、前記第2の鈎状関節の中に延びている第2のウィングと
を備えている、一体式インプラント。
(項目2)
剛体である、項目1に記載の一体式インプラント。
(項目3)
前記椎体間部分は、前記上方椎体に面するように構成された上方椎体間表面と、前記下方椎体に面するように構成された下方椎体間表面とを含み、前記上方椎体間表面と下方椎体間表面との間の最大距離は、軸方向寸法における前記椎体間部分の軸方向範囲を画定し、前記第1および第2のウィングの各々は、前記軸方向範囲に対してある斜角で向けられ、前記軸方向寸法において前記上方椎体間表面を越えている、項目1に記載の一体式インプラント。
(項目4)
前記軸方向範囲は、前から後ろへの方向に沿って減少する、項目3に記載の一体式インプラント。
(項目5)
前記第1および第2のウィングがそれぞれ前記上方椎体間表面を越えて延びている距離は、前記前から後ろへの方向に沿って減少する、項目3に記載の一体式インプラント。
(項目6)
前記第1および第2のウィングの各々は、
前記頸部運動分節の上方椎骨に面するように構成された上方ウィング表面であって、前記上方ウィング表面は、前記上方椎体間表面に対して10~75度の範囲内の第1の斜角で向けられている、上方ウィング表面と、
前記頸部運動分節の下方椎骨に面するように構成された下方ウィング表面であって、前記下方ウィング表面は、前記下方椎体間表面に対して第2の斜角で向けられ、前記第2の斜角は、少なくとも前記第1の斜角と同程度の大きさである、下方ウィング表面と
を含む、項目3に記載の一体式インプラント。
(項目7)
前記上方ウィング表面は、前記上方椎体間表面の延長を形成し、前記下方ウィング表面は、前記下方椎体間表面の延長を形成している、項目6に記載の一体式インプラント。
(項目8)
前記第1および第2のウィングの各々は、
前記頸部運動分節の上方椎骨に面するように構成された上方ウィング表面であって、前記上方ウィング表面は、前記上方椎体間表面に対してある斜角で向けられている、上方ウィング表面と、
前記頸部運動分節の下方椎骨に面するように構成された下方ウィング表面であって、前記下方ウィング表面は、前記下方椎体間表面に対してある斜角で向けられている、下方ウィング表面と
を含み、
前記上方ウィング表面と下方ウィング表面との間の距離は、前記椎体間部分からの距離に伴って減少している、項目3に記載の一体式インプラント。
(項目9)
前記第1および第2のウィングの各々に関して、前記上方および下方ウィング表面は、前記椎体間部分から最も遠い丸みを帯びた縁で収束する、項目8に記載の一体式インプラント。
(項目10)
前記第1および第2の側面は、非平行であり、それによって、前記椎体間部分の側方幅は、前から後ろへの方向に沿って減少している、項目1に記載の一体式インプラント。
(項目11)
前記第1および第2のウィングの各々の少なくとも一部は、多孔性である、項目1に記載の一体式インプラント。
(項目12)
(a)前記椎体間部分と、(b)前記第1および第2のウィングの各々とのうちの少なくとも1つにおいて、固定促進材料を収容するための1つ以上の空隙を形成している、項目1に記載の一体式インプラント。
(項目13)
前記空隙のうちの少なくとも1つは、前記椎体間部分によって形成され、前記椎体間部分によって囲まれた封入体の容積の少なくとも90パーセントを占めている、項目12に記載の一体式インプラント。
(項目14)
頸部運動分節を固定する方法であって、前記方法は、
前記頸部運動分節の前側から、一体式インプラントを前記頸部運動分節の上方椎骨と下方椎骨との間に挿入することを含み、前記一体式インプラントは、前記頸部運動分節の第1の鈎状関節内の第1の場所から、前記頸部運動分節の椎間板隙を横断して、前記頸部運動分節の第2の鈎状関節内の第2の場所まで及んでいる、方法。
(項目15)
前記第1の場所および前記第2の場所の各々は、前記椎間板隙の軸方向上方にある、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記挿入するステップに先立って、前記上方椎骨の下方表面および前記下方椎骨の上方表面のうちの少なくとも1つを修正し、前記一体式インプラントの形状に合わせることをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記修正するステップは、前記椎間板隙と前記第1および第2の鈎状関節の各々との間の界面において、前記下方表面および前記上方表面の各々から組織を除去することを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記一体式インプラントを介して、前記第1および第2の鈎状関節の各々における前記上方および下方椎骨の皮質骨間の固定を促進することをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目19)
前記挿入するステップは、前記椎間板隙に、前記一体式インプラントの1つ以上の空隙内の骨移植材料を搬送することをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記一体式インプラントは、
前記挿入するステップ後、前記頸部運動分節の上方椎体と下方椎体との間に嵌っている椎体間部分であって、前記椎体間部分の第1の側面は、前記第1の鈎状関節に面し、前記椎体間部分の第2の側面は、前記第2の鈎状関節に面している、椎体間部分と、
前記第1の側面から離れるように延び、前記第1の鈎状関節の中に延びている第1のウィングと、
前記第2の側面から離れるように延び、前記第2の鈎状関節の中に延びている第2のウィングと
を含む、項目14に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、鈎状関節を示す頸部運動分節の図である。
【0009】
図2図2は、椎間板を示す頸部運動分節の図である。
【0010】
図3図3は、脊柱、脊髄神経および神経根、および椎孔を示す椎間板を伴う頸椎の上部平面図である。
【0011】
図4図4は、ある実施形態による頸椎固定のための一体式インプラントを図示する。
【0012】
図5図5は、図4の一体式インプラントおよび図4の頸部運動分節の中心部分をさらに詳細に示す。
【0013】
図6図6は、ある実施形態による頸部運動分節を固定する方法を図示する。
【0014】
図7図7は、ある実施形態による頸部運動分節を固定する別の方法を図示する。
【0015】
図8図8-11は、実施形態による図4の一体式インプラントの異なる概略図である。
図9図8-11は、実施形態による図4の一体式インプラントの異なる概略図である。
図10図8-11は、実施形態による図4の一体式インプラントの異なる概略図である。
図11図8-11は、実施形態による図4の一体式インプラントの異なる概略図である。
【0016】
図12図12は、ある実施形態による固定促進一体式インプラントを図示する。
【0017】
図13図13は、ある実施形態による頸部運動分節の固定を促進する方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図4は、頸椎固定のための1つの一体式インプラント400を図示する。図4は、上方椎骨472と下方椎骨474との間の頸部運動分節470内に埋め込まれるような一体式インプラント400の前面図である。頸部運動分節470は、頸部運動分節C3/4、C4/5、C5/6、およびC6/7のうちの任意の1つである。一体式インプラント400は、椎間板隙480を横断して、頸部運動分節470の鈎状関節482(1)および482(2)の両方の中に及ぶ。一体式インプラント400は、頸部運動分節470を安定させ、したがって、脊髄、脊髄神経根、脊髄神経、または脊椎動脈への圧力によって生じる神経的問題等、頸部運動分節470に障害を及ぼす種々の病気を治療するために使用され得る。一体式インプラント400は、椎体間部分410と、椎体間部分410から離れるように延びている2つのウィング420(1)および420(2)とを含む。頸部運動分節470内に埋め込まれると、椎体間部分410は、椎間板隙480内に据え付けられ、ウィング420(1)および420(2)は、それぞれ、鈎状関節482(1)および482(2)の中に延びている。一体式インプラント400は、剛体であり得る。一実施形態において、一体式インプラント400は、単一の剛体部品である。
【0019】
頸部運動分節を安定させるために使用される従来の椎体間ケージは、椎間板隙の中のみに据え付けられ、鈎状関節の中に延びない。従来の椎体間ケージは、椎体(例えば、上方椎体473および下方椎体475)の軟骨性終板によって支持される。これらの軟骨性終板は、多くの場合、軟質であり、従来の椎体間ケージの陥没は、したがって、かなりであり得る。そのような陥没は、擬似関節炎および継続した疼痛および神経的症状につながり得る。対照的に、一体式インプラント400は、同じ頸部運動分節のためにサイズを決定される従来の椎体間ケージより十分に大きい側方占有面積を有する。本質的に、このより大きい占有面積の幾何学形状は、従来の椎体間ケージに優る改善された安定化を提供し、鈎状関節の包含は、頸椎前弯のより良好な制御を可能にし得る。加えて、一体式インプラント400によって提供される安定化は、椎間板隙480における椎体473および475のより軟質な軟骨性終板と比較して、鈎状関節482における椎骨472および474の高密度皮質骨から利点を享受する。皮質骨の耐荷重特性は、椎間板隙480の軟骨性終板のそれより優れている。従来の椎体間ケージと比較して、一体式インプラント400は、したがって、低減した陥没を経験し得る。さらに、一体式インプラント400は、ある固定利点を有する。皮質骨における固定は、そのような固定が陥没を伴わずに生じるであろうから、有利である。したがって、ウィング420を介した鈎状関節482の固定は、従来の椎体間ケージに関連付けられる陥没問題を排除し、または低減させ得る。加えて、耐荷重のためのウィング420の存在は、椎体間部分410に対する耐荷重要件を低減させ、したがって、椎間板隙480内へのより多くの骨移植材料の場所を空けるために利用され得る。
【0020】
図5は、一体式インプラント400および頸部運動分節470の中心部分をさらに詳細に示す。図5は、一体式インプラント400がその中に挿入されることに先立った、頸部運動分節470の前面図である。固定外科手術に先立って、椎間板隙480は、典型的に、椎間板584を含むが、椎間板584は、損傷および/または部分的に欠損していることもある。椎間板584は、椎間板隙480の中への一体式インプラント400の挿入に先立って除去される。
【0021】
椎体間部分410は、2つの反対に面した表面512および514を有する。表面512と514との間の最大距離は、軸方向寸法(頸部運動分節470内に据え付けられるときの一体式インプラント400の向きに対して参照される)における椎体間部分410の最大軸方向範囲570を画定する。最大軸方向範囲570は、例えば、4~14ミリメートルの範囲内である。椎体間部分410は、実質的に反対に面した側面516(1)および516(2)を有する。ウィング420(1)は、側面516(1)から離れるように延び、ウィング420(2)は、側516(2)から離れるように延びている。側面516が、椎体間部分410の露出された表面ではないことを理解されたい。むしろ、側面516は、一体式インプラント400が椎体間部分410とウィング420との間で移行する場所を示す。各ウィング420は、(a)側方方向590に沿って対応する側面516から離れるように延び、(b)上方軸方向592に沿って上向きに延びている。したがって、各ウィング420は、上方軸方向592および側方方向590の各々に対してある斜めの向き550にある。各ウィング520は、表面522と、表面524とを有する。表面522および524は、ウィング420の厚さが椎体間部分410から離れる距離に伴って減少するように、対応する側方方向590に沿って収束し得る。ウィング520の端部528は、鈍いまたは丸みを帯びた状態であり、例えば、端部528が鈎状関節482に隣接する構造を傷つけるリスクを低減させ得る。
【0022】
一体式インプラント400が、椎間板隙480の中に埋め込まれると、表面512は、上方椎体473の下方表面573に面し、表面514は、下方椎体475の上方表面575に面する。各ウィング420に関して、表面522は、鈎状関節482における上方椎骨472の下方表面583に面し、表面524は、鈎状関節482における下方椎骨474の鈎状突起587の上内側表面585に面する。
一体式インプラント400の表面512、522(1)、および522(2)のうちの1つ以上のものは、頸部運動分節470の表面573、583(1)、および583(2)のうちの対応するものに接触し得、一体式インプラント400の表面514、524(1)、および524(2)のうちの1つ以上のものは、頸部運動分節470の表面575、585(1)、および585(2)のうちの対応するものに接触し得、それによって、
一体式インプラント400は、上方椎骨472と下方椎骨474との間の間隔を画定し、上方椎骨472と下方椎骨474との間の荷重に耐える。1つのシナリオにおいて、ウィング420の表面522(1)、524(1)、522(2)、および524(2)の各々は、それぞれ、頸部運動分節470の対応する表面583(1)、585(1)、583(2)、および585(2)に接触する。このシナリオにおいて、一体式インプラント400は、側方安定性をさらに提供する。
【0023】
一体式インプラント400は、頸部運動分節470の張力帯と協働し、頸部運動分節470を安定させ、随意に、一体式インプラント400を頸部運動分節470内に固定し得る。本明細書において、「張力帯」は、天然の既存の現象を指し、頸部運動分節470の1つ以上の既存の靱帯が、椎骨472と474とを互いに向かって引き、したがって、一体式インプラント400が椎骨472と474との間に設置されると、一体式インプラント400によって行われる引き伸ばしに対抗し、またはそれに平衡を保たせる。
【0024】
図6は、頸部運動分節470を固定する1つの方法600のためのフローチャートである。方法600は、一体式インプラント400を利用し得る。方法600は、外科医、またはロボット(または別の装置)、または外科医とロボット(または別の装置)の組み合わせによって実施され得る。方法600は、頸部運動分節470の前側から、一体式インプラントを頸部運動分節470の上方椎骨472と下方椎骨474との間に挿入するステップ610を含む。頸部運動分節470の中に挿入されると、一体式インプラントは、鈎状関節482(1)内の第1の場所から、椎間板隙480を横断して、鈎状関節482(2)内の第2の場所まで及ぶ。ステップ610の一例において、一体式インプラント400は、図4に示されるように、椎骨472と474との間の頸部運動分節470の中に挿入される。
【0025】
一実施形態において、方法600は、ステップ610を実施するステップに先立って、椎間板584を椎間板隙480から除去するステップ602を含む。ステップ602は、椎間板を除去するための当技術分野において公知の方法を利用し得る。
【0026】
方法600は、ステップ610の前に実施されるステップ606をさらに含み得る。ステップ606は、上方椎骨472の下方表面と下方椎骨474の上方表面とのうちの少なくとも1つを修正し、一体式インプラントの形状に合わせる。ステップ606は、一体式インプラントの挿入のために、頸部運動分節470を調製することに役立つ。ステップ606は、本明細書の範囲から逸脱することなく、ステップ602後(図6に描写されるように)、ステップ602と併せて、または少なくとも部分的にステップ602の前に実施され得る。ステップ606は、患者の解剖学的構造に合致するための一体式インプラントのカスタマイズの任意の必要性を低減または排除するように、患者間の解剖学的変動を排除または低減させ得る。一実施形態において、ステップ606は、椎間板隙480と鈎状関節482(1)および482(2)の各々との間の界面において、すなわち、椎体473および475の軟骨性終板の外側辺縁が鈎状関節482の内側辺縁に出合う領域内において、(a)上方椎骨472の下方表面、および(b)下方椎骨474の上方表面の一方または両方から骨組織を除去する。ステップ606の本実施形態は、頸部運動分節470の組織と椎体間部分410とウィング420との間の移行領域における一体式インプラント400の部分との間の干渉を排除し、または低減させ得る。ステップ606は、一体式インプラントを受け取るために、椎間板隙480を調製することも含み得る。ステップ606は、骨組織を脊椎分節の他の領域から除去するために、当技術分野において公知のそれらに類似する方法およびツールを利用し得る。
【0027】
ある実施形態において、方法600は、一体式インプラントを異なる形状およびサイズ(例えば、高さ、幅、奥行、および角度)の一体式インプラントのキットから選択するステップ604を含む。ステップ604の一例において、外科手術下の頸部運動分節470のための最適適合と見なされる特定のサイズおよび形状によって特徴付けられる一体式インプラント400の特定のバージョンが、異なる形状およびサイズの一体式インプラント400キットから選択される。1つの実装において、ステップ604は、その修正後の頸部運動分節470の査定に基づいて選択を行うためにステップ606の後に実施される。別の実装において、ステップ604は、例えば、頸部運動分節470の放射線学的調査に基づいて、ステップ606の前に実施される。ステップ606は、次いで、ステップ604において、選択された一体式インプラントに最良適合するように頸部運動分節470を修正し得る。
【0028】
図7は、頸部運動分節470を固定する別の方法700を図示する。方法700は、方法600のステップ610の実施形態である。方法700において、一体式インプラント400が、一体式インプラント400が、鈎状関節482(1)内の場所670(1)から、椎間板隙480を横断して、鈎状関節482(2)内の場所670(2)まで及ぶように、頸部運動分節470の中に挿入される。場所670(1)および670(2)は、それぞれ、一体式インプラント400が頸部運動分節470の中に埋め込まれるときの端部528(1)および528(2)の場所である。場所670(1)および670(2)の各々は、上方椎体473の表面573の上方、すなわち、上方軸方向592に沿った方向に、表面573から軸方向距離684だけ上方にある。軸方向距離684は、距離674と同じまたは類似し得、それによって、端部582は、椎体間部分410の表面512から軸方向にオフセットされる。場所670(1)および670(2)のいずれも、ウィング420を有していない平坦インプラントによって到達され得ない。例えば、従来の椎体間ケージは、従来の椎体間ケージが特大にされる場合でも、場所670(1)および670(2)に到達することができない。距離684および674の各々は、2~7ミリメートルの範囲内であり得る。
【0029】
図8-11は、一体式インプラントのある性質をさらに詳細に示す一体式インプラント400の異なる概略図である。図8-11は、一体式インプラント400の具体的形状を描写するが、一体式インプラント400が、1つ以上の側面において図8-11に描写されるものから逸脱するある範囲の形状をとり得ることを理解されたい。例えば、図8-11に描写される寸法および角度の各々は、ある範囲の値を有し得る。図8は、後外側方向から見られるような一体式インプラント400の斜視図である。図9は、一体式インプラント400の前面図である。図10は、上方軸方向592および前から後ろへの方向に広がる平面において得られる椎体間部分410の断面である。図11は、一体式インプラント400の上方側の軸方向図である(上方軸方向592と反対方向に沿って視認される)。図8-11は、以下の説明において、一緒に閲覧するのが最適である。
【0030】
図8-11の議論において、用語「前」、「後」、「上方」、「下方」、および「側方」は、例えば、図4に図示されるように、頸部運動分節内に埋め込まれるときの一体式インプラント400の向きを指す。一体式インプラント400は、前側992(図9参照)と、後側890(図8参照)とを有する。
【0031】
ある実施形態において、一体式インプラント400は、ある程度の前弯を収容および/または画定するように成形される。そのような前弯補正実施形態において、上方軸方向592と平行な寸法である一体式インプラント400の軸方向範囲は、前から後ろへの方向に沿って減少する。例えば、図10に描写されるように、椎体間部分410の軸方向範囲は、前側992における最大軸方向範囲570から、後側890におけるより小さい軸方向範囲1070へと減少する。これらの実施形態において、表面512および514は、互いに対して非ゼロ角度1060で向けられている。角度1060は、例えば、ゼロ~20度(ゼロは含まれない)の範囲内である。前弯補正実施形態において、端部528と表面512との間のオフセットは、前から後ろへの方向に沿って減少し得る。例えば、図8に描写されるように、端部528と表面512との間のオフセットは、一体式インプラント400の前端における最大オフセット874Aから、後側890における最小オフセット874Pへと減少し得る。最大オフセット874Aから最小オフセット874Pへの減少は、角度1060またはそれに類似する角度によって特徴付けられ得るが、その必要はない。
【0032】
別の実施形態において、一体式インプラント400は、前弯のために補正されない。本実施形態において、表面512および514は、互いに平行であり得、角度1060は、ゼロ度であり得る。一体式インプラント400が前弯のために補正されるかどうかにかかわらず、最大軸方向範囲570は、例えば、4~14ミリメートルの範囲内である。
【0033】
典型的な頸部運動分節470において、鈎状関節482(1)および482(2)は、前から後ろへの方向に収束する。すなわち、鈎状関節482(1)と482(2)との間の距離は、前から後ろへの方向に沿って減少する。一体式インプラント400は、鈎状関節482(1)および482(2)のこの前/後収束に合致または近似するように構成され得る。例えば、図11に示されるように(また、図8でも可視)、一体式インプラント400は、前幅1172と、より小さい後幅1174とを有する。前幅1172から後幅1174への減少は、側方方向590に対する各端部528の斜外側角1160によって特徴付けられ得る。(前側992は、側方方向590と平行であり得るが、その必要はない。)斜外側角1160は、45~90度(90度は含まれない)の範囲内であり得る。同様に、側516も、側方方向590に対して斜外側角1162で向けられ得る。斜外側角1162は、斜角1160に類似するか、または90度により近くあり得る。代替実施形態において、角度1160および1162の各々は、90度であり、前幅1172は、後幅1174と同じである。
【0034】
角度1160および1162の値にかかわらず、前幅1172は、例えば、15~32ミリメートルの範囲内であり得る。椎体間部分410の後幅972(図9参照)は、10~25ミリメートルの範囲内であり得る。一体式インプラント400の前/後範囲1178(図11参照)は、10~20ミリメートルの範囲内であり得る。
【0035】
ここで、特に、図9を参照すると、各ウィング420が、椎体間部分410の対応する側面516から距離976だけ離れるように延び得る。距離976は、例えば、3~7ミリメートルの範囲内である。ウィング420の形状および向きは、少なくとも部分的に角度960、962、および964によって特徴付けられ得る。角度960は、表面522と524との間の収束角である。角度960は、ゼロ度の値が、表面522および524が平行であることに対応するであろうように画定される。角度960は、例えば、10~75度の範囲内または10~55度の範囲内である。角度962は、表面522と側方方向590との間の角度である。角度962は、例えば、10~75度の範囲内または30~75度の範囲内である。角度964は、表面524と側方方向590との間の角度である。角度964は、角度960と962の和である。表面512および514が、側方方向590と平行であるとき、角度962は、表面512に対する表面522の向きを示し、角度964は、表面514に対する表面524の向きを示す。
【0036】
図9は、椎体間部分410とウィング420との間の鋭い角を示すが、これらの角は、例えば、図8に描写されるように、丸みを帯びていることもある。図8-11に描写される全ての他の鋭い縁も同様に、本明細書の範囲から逸脱することなく、丸みを帯びていることもある。
【0037】
キットは、一体式インプラント400の複数の異なる形状およびサイズを含み得る。例えば、キットは、図8および11に描写される距離タイプ寸法および角度タイプ寸法のうちの少なくともいくつかの異なる組み合わせを含み得る。そのようなキットにおいて、距離タイプ寸法は、隣接するサイズ間で1または数ミリメートルずつ増分され得る。前幅1172および前/後範囲1178は、2~5ミリメートルずつ増分され得る。最大軸方向範囲570、および随意に、距離674も、1~3ミリメートルずつ増分され得る。角度1060および1160の一方または両方は、5~15度ずつ増分され得る。角度960は、キット内の一体式インプラント400の全ての事例に関して同じであるか、または、1~5度ずつ増分され得る。
【0038】
表面512、514、522(1)、524(1)、522(2)、および524(2)の各々は、平面であるように本明細書に示されるが、これらの表面のうちの1つ以上のものは、本明細書の範囲から逸脱することなく、少なくとも若干湾曲され得る。
【0039】
一体式インプラント400は、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルト、クロム、またはそれらの組み合わせ等の金属から実質的に成り得る。本明細書の範囲から逸脱することなく、一体式インプラント400のそのような金属実施形態は、頸部運動分節470内への一体式インプラント400の改善された固定を達成するために、コーティング、例えば、ヒドロキシアパタイトコーティングを含み得る。別の実施形態において、一体式インプラント400は、骨移植材料を収容することが可能な細孔を伴う多孔性部分を含む。本明細書の一例において、一体式インプラント400は、多孔性金属から実質的に成るか、またはそれを含む。関連実施形態において、一体式インプラント400の少なくとも一部は、骨移植材料から実質的に成る多孔性部分である。さらに別の実施形態において、一体式インプラント400は、同種移植骨から実質的に成る。別の実施形態において、一体式インプラント400は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)または別のポリアリールエーテルケトン(PAEK)ポリマー等のポリマーを含む。上記の材料のいずれかは、3-D印刷プロセスにおいて使用され、一体式インプラント400を作製し得る。
【0040】
図8-12には図示されてないが、表面512、514、522(1)、524(1)、522(2)、および524(2)のうちの1つ以上のものは、一体式インプラント400を椎骨472および474に固定することに役立つ特徴(例えば、リブ、返し、粗面表面、および/または鋸歯形状特徴)を形成し得る。
【0041】
図12は、1つの固定促進一体式インプラント1200を図示する。図12は、一体式インプラント1200の上方側の軸方向図である。一体式インプラント1200は、一体式インプラント400のある実施形態であり、一体式インプラント400を参照して上で議論される任意の形状およびサイズをとり得る。例えば、図12は、前側992から後側890まで前から後ろへの方向に収束する端部528(1)および528(2)を伴う一体式インプラント1200を示すが、端部528(1)および528(2)は、代わりに、平行であり得る。一体式インプラント1200は、椎体間部分410、ウィング420(1)、および420(2)の実施形態である椎体間部分1210、ウィング1220(1)、および1220(2)を含む。
【0042】
椎体間部分1210は、骨移植材料を椎間板隙480の中に搬送するための少なくとも1つの空隙1212を形成する。図12は、単一空隙1212を示すが、椎体間部分1210は、本明細書の範囲から逸脱することなく、複数の空隙1212を形成し得、例えば、図12に描写される単一空隙1212は、2つに分割され、前/後支持ブリッジを2つの空隙間に伴い得る。概して、各空隙1212は、椎体間部分1210の軸方向範囲全体を通して延び得る。一体式インプラント1200の構造完全性のために、単一空隙1212または複数の空隙1212の集合は、一体式インプラント1200の材料部品によって包囲される。空隙1212の前側において、椎体間部分1210の材料部品の前/後厚は、最小厚1214Aを有する。最小厚1214Aは、図12に示されるように、側方方向590に沿って一定であるか、または、側方方向590に沿って変動を示し得る。同様に、空隙1212の後側において、椎体間部分1210の材料部品の前/後厚は、最小厚1214Pを有する。最小厚1214Pは、図12に示されるように、側方方向590に沿って一定であるか、または、側方方向590に沿って変動を示し得る。空隙1212に対して側方に、椎体間部分1210は、最小厚1216によって特徴付けられる材料部品を有し得る。代替として、空隙1212は、側516(1)から側516(2)まで完全に及び、ゼロである最小厚1216に対応し得、構造完全性は、代わりに、ウィング1220によって提供される。ウィング1220の存在は、それによって、椎体間部分1210が従来の椎体間ケージによって搬送され得るものより多くの骨移植材料を搬送することを可能にする。一例において、空隙1212は、側516(1)、516(2)、890、および992内の椎体間部分1210によって囲まれた封入体の容積の少なくとも45パーセントまたは少なくとも90パーセントを占めている。別の例において、空隙1212は、側516(1)、516(2)、890、および992内の椎体間部分1210によって囲まれた封入体の容積の70~90パーセントを占めている。
【0043】
各ウィング1220は、骨移植材料をそれぞれの鈎状関節482の中に搬送するために、1つ以上の空隙1222を形成し得る。各空隙1222は、表面522と524との間の対応するウィング1220を通して完全に延び得る(図5参照)。代替実施形態において、椎体間部分1210は、任意の空隙1212を形成せず、各ウィング1220が、少なくとも1つの空隙1222を形成する。しかしながら、一体式インプラント1200によって提供される安定化、特に、頸部前弯制御の程度を最適化するために、ウィング1220が、空隙1222を形成しない、またはウィング1220によって形成される任意の空隙1222が、ウィング1220によって囲まれた封入体のわずかな部分のみを占めていることが有利であり得る。
【0044】
ある実施形態において、ウィング1220は、多孔性材料を含むか、またはそれから成り、ウィング1220を通した骨成長を可能にし、鈎状関節482を固定する。
【0045】
図13は、頸部運動分節470の固定を促進する1つの方法1300のためのフローチャートである。方法1300は、方法600のステップ610のある実施形態である。方法1300は、頸部運動分節470の前側から、一体式インプラントを頸部運動分節470の上方椎骨472と下方椎骨474との間に挿入するステップ1310を含む。頸部運動分節470の中に挿入されると、一体式インプラントは、鈎状関節482(1)内の第1の場所から、椎間板隙480を横断して、鈎状関節482(2)内の第2の場所まで及ぶ。ステップ1310は、鈎状関節482(1)および482(2)の各々における上方椎骨472および下方椎骨474の皮質骨間の固定を促進するステップ1320を含む。ステップ1310および1320の一例において、一体式インプラント400は、頸部運動分節470の中に挿入され、一体式インプラント400の各ウィング420は、固定を促進するように構成される。
【0046】
一実施形態において、ステップ1320は、少なくとも部分的に多孔性ウィングを使用するステップ1322を実装する。例えば、一体式インプラント400の各ウィング420は、図8-12を参照して上で議論されるように、多孔性材料を含むか、またはそれから成り得る。別の実装において、ステップ1320は、鈎状関節482の中にウィングの1つ以上の空隙内の骨移植材料を搬送するステップ1324を実装する。例えば、各ウィング420は、図12を参照して上で議論されるように、骨移植材料をそれぞれの鈎状関節482の中に搬送するための1つ以上の空隙を形成し得る(空隙1222参照)。さらに別の実施形態において、ステップ1320は、ステップ1322および1324の両方を実装する。例えば、各ウィング420は、多孔性材料を含むか、またはそれから成り、骨移植材料を搬送するための1つ以上の空隙をさらに形成し得る。代替として、またはステップ1322および1324の一方または両方と組み合わせて、各ウィングは、少なくとも部分的に同種移植骨から成り得る。
【0047】
ステップ1310は、椎間板隙480に一体式インプラントの1つ以上の空隙内の骨移植材料を搬送するステップ1330をさらに含み得る。例えば、ステップ1310は、一体式インプラント1200を利用して、1つ以上の空隙1212を椎体間部分1210内に形成し得る。
【0048】
本発明は、特に、その好ましい実施形態を参照して示され、説明されているが、形態および詳細の種々の他の変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われ得ることが、当業者によって理解されるであろう。種々の変更が、本明細書に開示され、続く請求項によって包括される、本発明のより広範な概念から逸脱することなく、本発明を異なる実施形態に適合させる際に行われ得ることを理解されたい。
(特徴の組み合わせ)
【0049】
上で説明される特徴および下で請求されるそれらは、本明細書の範囲から逸脱することなく、種々の方法において組み合わせられ得る。例えば、本明細書に説明される1つの外科手術用インプラントまたは方法の側面が、本明細書に説明される別の外科手術用インプラントまたは方法の特徴を組み込み得るか、またはそれと入れ替えられ得ることを理解されたい。以下の例は、上で説明される実施形態のいくつかの可能な、非限定的組み合わせを図示する。多くの他の変更および修正が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書における方法、製品、およびシステムに対して行われて得ることが明白であろう。
【0050】
(A1)頸部運動分節を固定するための一体式インプラントは、(a)頸部運動分節の上方椎体と下方椎体との間に位置付けられるように構成された椎体間部分であって、椎体間部分の第1の側面は、頸部運動分節の第1の鈎状関節に面し、椎体間部分の第2の側面は、頸部運動分節の第2の鈎状関節に面している、椎体間部分と、(b)第1の側面から離れるように延び、第1の鈎状関節の中に延びている第1のウィングと、(c)第2の側面から離れるように延び、第2の鈎状関節の中に延びている第2のウィングとを含み得る。
【0051】
(A2)(A1)として示される一体式インプラントは、剛体であり得る。
【0052】
(A3)(A1)および(A2)として示される一体式インプラントのいずれかにおいて、椎体間部分は、上方椎体に面するように構成された上方椎体間表面と、下方椎体に面するように構成された下方椎体間表面とを含み得、上方椎体間表面と下方椎体間表面との間の最大距離は、軸方向寸法における椎体間部分の軸方向範囲を画定し、第1および第2のウィングの各々は、軸方向範囲に対してある斜角で向けられ、軸方向寸法において上方椎体間表面を越えている。
【0053】
(A4)(A3)として示される一体式インプラントにおいて、軸方向範囲は、前から後ろへの方向に沿って減少し得る。
【0054】
(A5)(A3)および(A4)として示される一体式インプラントのいずれかにおいて、第1および第2のウィングの各々が上方椎体間表面を越えて延びている距離は、前から後ろへの方向に沿って減少し得る。
【0055】
(A6)(A3)-(A5)として示される一体式インプラントのいずれかにおいて、第1および第2のウィングの各々は、(i)頸部運動分節の上方椎骨に面するように構成された上方ウィング表面であって、上方ウィング表面は、上方椎体間表面に対して10~75度の範囲内の第1の斜角で向けられている、上方ウィング表面と、(ii)頸部運動分節の下方椎骨に面するように構成された下方ウィング表面であって、下方ウィング表面は、下方椎体間表面に対して第2の斜角で向けられ、第2の斜角は、少なくとも第1の斜角と同程度の大きさである、下方ウィング表面とを含み得る。
【0056】
(A7)(A7)として示される一体式インプラントにおいて、上方ウィング表面は、上方椎体間表面の延長を形成し得、下方ウィング表面は、下方椎体間表面の延長を形成し得る。
【0057】
(A8)(A3)-(A7)として示される一体式インプラントのいずれかにおいて、第1および第2のウィングの各々は、(i)頸部運動分節の上方椎骨に面するように構成された上方ウィング表面であって、上方ウィング表面は、上方椎体間表面に対してある斜角で向けられている、上方ウィング表面と、(ii)頸部運動分節の下方椎骨に面するように構成された下方ウィング表面であって、下方ウィング表面は、下方椎体間表面に対してある斜角で向けられている、下方ウィング表面とを含み得る。上方ウィング表面と下方ウィング表面との間の距離は、椎体間部分からの距離に伴って減少し得る。
【0058】
(A9)(A8)として示される一体式インプラントにおいて、第1および第2のウィングの各々に関して、上方および下方ウィング表面は、椎体間部分から最も遠い丸みを帯びた縁で収束し得る。
【0059】
(A10)(A1)-(A9)として示される一体式インプラントのいずれかにおいて、第1および第2の側面は、椎体間部分の側方幅が前から後ろへの方向に沿って減少するように非平行であり得る。
【0060】
(A11)(A1)-(A10)として示される一体式インプラントのいずれかにおいて、第1および第2のウィングの各々の少なくとも一部は、多孔性であり得る。
【0061】
(A12)(A1)-(A11)として示される一体式インプラントのいずれかは、(a)椎体間部分と、(b)第1および第2のウィングの各々とのうちの少なくとも1つにおいて、固定促進材料を収容するための1つ以上の空隙を形成し得る。
【0062】
(A13)(A12)として示される一体式インプラントにおいて、空隙のうちの少なくとも1つは、椎体間部分によって形成され、椎体間部分によって囲まれた封入体の容積の少なくとも90パーセントを占め得る。
【0063】
(B1)頸部運動分節を固定する方法は、一体式インプラントが、頸部運動分節の第1の鈎状関節内の第1の場所から、頸部運動分節の椎間板隙を横断して、頸部運動分節の第2の鈎状関節内の第2の場所まで及ぶように、頸部運動分節の前側から、一体式インプラントを頸部運動分節の上方椎骨と下方椎骨との間に挿入することを含み得る。
【0064】
(B2)(B1)として示される方法において、第1の場所および第2の場所の各々は、椎間板隙の軸方向上方にあり得る。
【0065】
(B3)(B1)および(B2)として示される方法のいずれかは、挿入するステップに先立って、上方椎骨の下方表面および下方椎骨の上方表面のうちの少なくとも1つを修正し、一体式インプラントの形状に合わせることをさらに含み得る。
【0066】
(B4)(B3)として示される方法において、修正するステップは、椎間板隙と第1および第2の鈎状関節の各々との間の界面において、下方表面および上方表面の各々から組織を除去することを含み得る。
【0067】
(B5)(B1)-(B4)として示される方法のいずれかは、一体式インプラントを介して、第1および第2の鈎状関節の各々における上方および下方椎骨の皮質骨間の固定を促進することをさらに含み得る。
【0068】
(B6)(B5)として示される方法において、挿入するステップは、椎間板隙に、骨移植材料を一体式インプラントの1つ以上の空隙内に搬送することをさらに含み得る。
【0069】
(B7)(B1)-(B6)として示される方法のいずれかにおいて、一体式インプラントは、(a)挿入するステップ後、頸部運動分節の上方椎体と下方椎体との間にはまっている椎体間部分であって、椎体間部分の第1の側面は、第1の鈎状関節に面し、椎体間部分の第2の側面は、第2の鈎状関節に面している、椎体間部分と、(b)第1の側面から離れるように延び、第1の鈎状関節の中に延びている第1のウィングと、(c)第2の側面から離れるように延び、第2の鈎状関節の中に延びている第2のウィングとを含み得る。
【0070】
変更が、本明細書の範囲から逸脱することなく、上記のデバイスおよび方法において行われ得る。したがって、上記の説明に含まれ、付随の図面に示される事柄は、限定的意味ではなく、例証的意味として解釈されるべきであることに留意されたい。以下の請求項は、本明細書に説明される汎用および具体的特徴およびその間に該当すると文言上言い得るデバイスおよび方法の範囲の全ての陳述を網羅するように意図される。
図1
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図13