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特許7357657細胞培養に使用されるペレットおよびその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】細胞培養に使用されるペレットおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/00 20060101AFI20230929BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
C12N1/00 F
C12M1/00 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021072968
(22)【出願日】2021-04-23
(62)【分割の表示】P 2018531335の分割
【原出願日】2016-12-16
(65)【公開番号】P2021106613
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】62/269,031
(32)【優先日】2015-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502221282
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】フェルプス ムウィタ
(72)【発明者】
【氏名】グルデ ポール
(72)【発明者】
【氏名】ファイク リチャード
(72)【発明者】
【氏名】レイノルズ メアリー
(72)【発明者】
【氏名】ハセット リチャード
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル アンドリュー
【審査官】福澤 洋光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/148742(WO,A1)
【文献】特表2002-515758(JP,A)
【文献】特表2004-521615(JP,A)
【文献】特開2001-170473(JP,A)
【文献】特開平02-057175(JP,A)
【文献】特開平05-103971(JP,A)
【文献】Cytotechnology,2001年,Vol.36,pp.33-39
【文献】AAPS PharmSciTech,2000年,Vol.1, No.4, article 35,pp.1-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-15/90
C12M 1/00- 3/10
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類以上のアミノ酸、1種類以上のバインダー、1種類以上のビタミン、1種類以上の塩類、および1種類以上の痕跡量の構成要素を含む、ペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤の製造方法であって、
該アミノ酸が25~40%であり、該バインダーが20~65%であり、該ビタミンが1~5%であり、該塩類が2~10%であり、かつ該痕跡量の構成要素が0.01~0.05%であり、
前記ペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤が、流動化ローターにおいて乾燥粉末を濡らすことによる直接的な湿式ペレット化プロセスによるペレットから生成され、構成成分が、前記ペレット中での処理前の相互作用を制限するために、別々のグループに分けて計量される、前記製造方法
【請求項2】
前記ビタミンが、ビタミンB12、ビオチン、コリン、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、アスコルビン酸、およびパラ-アミノ安息香酸(PABA)のうち1種類以上から選択される、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記塩類が、緩衝塩、鉄、亜鉛、カルシウム、銅、マグネシウム、マンガン、アンモニウム、およびバナジウムの塩類のうち1種類以上から選択される、請求項1に記載の方法
【請求項4】
前記アミノ酸が、20種類のアミノ酸、その塩類または誘導体のうち1種類以上から選択される、請求項1に記載の方法
【請求項5】
前記アミノ酸が、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、バリン、チロシン、システインおよびリシンのうち1種類以上から選択される、請求項4に記載の方法
【請求項6】
前記バインダーが、糖、天然物質、合成物質、半合成物質、微晶質セルロース、グルコース、ショ糖、トレハロース、単糖、二糖、オリゴ糖、賦形剤、および崩壊剤からなる群より選択される、請求項1に記載の方法
【請求項7】
前記バインダーが、微晶質セルロースおよびグルコースである、請求項6に記載の方法
【請求項8】
前記ペレット中のバインダーの組成%が、約30~約60%である、請求項1に記載の方法
【請求項9】
前記アミノ酸が31~32%であり、前記バインダーが59~60%であり、かつ前記塩類が6~7%である、請求項1に記載の方法
【請求項10】
前記バインダーがD-グルコースである、請求項9に記載の方法
【請求項11】
i)請求項1~10のいずれか一項に記載の細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤の1つ以上を含む第1の容器と、
ii)ペレットである前記細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤を用いるための指示書と
を備える、キット。
【請求項12】
請求項11に記載のペレットから再構築された液体培地を含むシステム。
【請求項13】
核生物細胞、原核生物細胞、動物細胞、植物細胞、真菌細胞、海藻細胞、昆虫細胞、酵母細胞からなる群より選択される細胞を培養するための、またはウイルスまたはウイルス粒子を培養するために使用される細胞を培養するための、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
組換えポリペプチド、ウイルス、分泌タンパク質を産生する細胞を培養するか、または懸濁物中で細胞を培養するか、または接着した細胞を培養するために、前記再構築された液体培地を使用する、請求項12または13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2015年12月17日に出願された米国仮出願番号第62/269,031号の米国特許法第119(e)条に基づく恩典を主張する。上述の出願の内容全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、細胞の培養および他のそのような用途に有用な、ペレット化された乾燥細胞培養培地、供給物、補助物質、濃縮物または培地バッファーに関する。本発明は、このようなペレット化組成物を調製するためのプロセスと、ペレットを所望の粒径に調整するための方法に関する。本発明は、タンパク質およびポリペプチドを生成し、それによって細胞増殖およびタンパク質力価を増加させるための、このようなペレット調製物の使用にも関する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、ペレット化された細胞培養培地を製造する方法であって、(a)第1の乾燥粉末を、流動床装置内の気体が上方向に移動するカラム中での懸濁と、ディスクローターでのスピニングとに供する工程と、(b)ペレットが生成するように、溶媒および/または第2の乾燥粉末を、工程(a)の流動床装置に導入する工程と、(c)前記ペレットを乾燥させる工程とを含み、前記第1の乾燥粉末、前記第2の乾燥粉末または前記溶媒が、バインダー、賦形剤、または両方を含む、方法に関する。
【0004】
さらなる態様では、工程(a)の第1の乾燥粉末は、前もって濡らされていてもよく、任意で、工程(b)で溶媒が導入されなくてもよい。
【0005】
いくつかの態様では、第1の乾燥粉末と第2の乾燥粉末は同じであってもよく、他の態様では、第1の乾燥粉末と第2の乾燥粉末は異なっていてもよい。
【0006】
特定の態様では、第1の乾燥粉末が、培養物中の細胞の培養を補助することができる基本培地粉末、完全培地粉末、供給物、補助物質、培地または供給物濃縮物およびアミノ酸混合物からなる群より選択されてもよい。別の態様では、第2の乾燥粉末が、培養物中の細胞の培養を補助することができる基本培地粉末、完全培地粉末、供給物、補助物質、培地または供給物濃縮物およびアミノ酸混合物からなる群より選択されてもよい。
【0007】
本発明の第2の態様は、第1の粉末、第2の粉末、溶媒または任意のもののいずれかに存在し、かつ記載される本方法で使用される、バインダー、賦形剤、または両方を提供する。別の態様では、バインダーまたは賦形剤は、糖、天然物質、合成物質および半合成物質からなる群より選択されてもよい。特定の態様では、天然物質は、例えば、微晶質セルロースであってもよい。
【0008】
特定の態様では、本発明は、第1の粉末、第2の粉末、溶媒または任意のもののいずれかに存在し、かつ記載される本方法で使用される、糖を提供し、糖は、グルコース、ショ糖、トレハロース、単糖、二糖およびオリゴ糖からなる群より選択されてもよい。さらなる態様では、糖は、グルコースであってもよく、ペレット中のグルコースは、ペレット組成物の0.1~100%の濃度であってもよい。特定の実施形態では、糖は、D-グルコースを含む。
【0009】
一実施形態では、本発明は、第1の粉末、第2の粉末、溶媒または任意のもののいずれかに存在し、かつ記載される本方法で使用される、ビタミンを提供する。特定の実施形態では、ビタミンは、ビタミンB12、ビオチン、コリン、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、アスコルビン酸、パラ-アミノ安息香酸(PABA)などのうち1種類以上から選択される。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、第1の粉末、第2の粉末または溶媒のいずれかに存在してもよく、かつ記載される本方法で使用される塩類を提供する。一実施形態では、塩類は、緩衝塩、鉄、亜鉛、カルシウム、銅、マグネシウム、マンガン、アンモニウム、バナジウムの塩類などのうち1種類以上から選択される。
【0011】
さらに別の実施形態では、本発明は、第1の粉末、第2の粉末、溶媒または任意のもののいずれかに存在し、かつ記載される本方法で使用される、アミノ酸を提供する。一実施形態では、アミノ酸は、よく知られている20種類のアミノ酸、その塩類または誘導体のうち1種類以上から選択される。別の実施形態では、アミノ酸は、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、バリン、チロシン、システインおよびリシンのうち1種類以上から選択される。
【0012】
さらに別の態様では、本発明は、第1の粉末、第2の粉末、溶媒または任意のもののいずれかに存在し、かつ記載される本方法で使用される、バインダーを提供する。いくつかの実施形態では、バインダーまたは賦形剤は、相互に置き換え可能に使用されてもよく、または本明細書全体で一緒に使用されてもよい。一実施形態では、バインダーまたは賦形剤は、糖、天然物質、合成物質および半合成物質、微晶質セルロース、グルコース、ショ糖、トレハロース、単糖、二糖およびオリゴ糖、賦形剤および/または崩壊剤からなる群より選択される。一特定の実施形態では、バインダーは、微晶質セルロースおよびグルコースである。別の実施形態では、ペレット中のバインダーの組成率は、約0.1~約100%であってもよい。特定の実施形態では、ペレット中のバインダーの組成%は、約30~約60%であってもよい。
【0013】
本発明の第3の態様は、種々の大きさのペレットを製造する方法を提供する。ある場合には、ペレットは、大きさが約0.05mm~7mmである。特定の態様では、本発明は、大きさが約0.05mm~約0.5mm、または約0.05mm~約1mm、または約0.05mm~約2mm、または約0.05mm~約3mm、または約0.05mm~約4mm、または約0.05mm~約5mm、または約0.05mm~約6mm、または約0.05mm~約0.1mm、または約0.05mm~約0.2mm、または約0.05mm~約0.3mm、または約0.05mm~約0.4mm、または約0.1mm~約1mm、または約0.1mm~約2mm、または約0.1mm~約3mm、または約0.1mm~約4mm、または約0.1mm~約5mm、または約0.1mm~約6mm、または約0.5mm~約1mm、または約0.5mm~約2mm、または約0.5mm~約3mm、または約0.5mm~約4mm、または約0.5mm~約5mm、または約0.5mm~約6mm、または約0.5mm~約7mm、または約1mm~約2mm、または約1mm~約3mm、または約1mm~約4mm、または約1mm~約5mm、または約1mm~約6mm、または約1mm~約7mmのペレットを提供する。特定の実施形態では、本発明は、ほとんどのペレットの大きさが約0.1mmより大きくてもよく、または約0.2mmより大きくてもよく、または約0.3mmより大きくてもよく、または約0.4mmより大きくてもよく、または約0.5mmより大きくてもよく、または約0.6mmより大きくてもよく、または約0.7mmより大きくてもよく、または約0.8mmより大きくてもよく、または約0.9mmより大きくてもよく、または約1mmより大きくてもよく、または約2mmより大きくてもよいペレット調製物を提供する。
【0014】
本発明のペレットを製造する他の態様では、本方法は、変動可能な速度でスピンする処理チャンバー中のディスクローターの使用に関していてもよい。
【0015】
他の態様では、第1の乾燥粉末を、流動床装置内の気体が上方向に移動するカラム中での懸濁と、ディスクローター中でのスピニングとに供するときに、工程(a)に導入される溶媒は、接線方向の噴霧、上部噴霧または下部噴霧によって導入される。さらなる態様では、溶媒が工程(a)に導入される速度は、約1gm/分から約30gm/分までであってもよい。特定の態様では、溶媒が工程(a)に導入される速度は、約5gm/分であってもよい。
【0016】
本発明の第5の態様は、ペレットを製造する方法を提供し、投入気体の温度は、約20℃~30℃であってもよい。特定の態様では、投入気体の温度は、約25℃であってもよい。さらなる態様では、ペレット温度が約20℃~30℃に維持されてもよい。さらに別の態様では、ペレットを乾燥させるための温度は、約50℃~60℃であってもよい。ある態様では、ペレットは、含水率が約0.5%~3%になるまで乾燥されてもよい。
【0017】
本発明の第6の態様は、ペレット化されたベース粉末モジュールを製造する方法であって、(a)第1の乾燥粉末を、流動床装置内の気体が上方向に移動するカラム中での懸濁と、ディスクローター中でのスピニングとに供する工程と、(b)ベース粉末モジュールのペレットが生成するように、溶媒と、任意で第2の乾燥粉末とを、工程(a)の流動床装置に導入する工程と、(c)前記ペレットを乾燥させる工程とを含み、前記第1の乾燥粉末、前記第2の乾燥粉末または前記溶媒が、バインダー、賦形剤、または両方を含む、方法を提供する。
【0018】
本発明のさらなる態様は、ペレット化されたベース粉末モジュールを製造する方法を提供し、モジュールは、1種類以上の水溶性ビタミン、1種類以上の酸可溶性ビタミン、1種類以上の中性可溶性ビタミン、1種類以上の酸可溶性アミノ酸、1種類以上の塩基可溶性アミノ酸、1種類以上の中性水溶性アミノ酸、1種類以上の水溶性無機塩、1種類以上の酸可溶性無機塩、1種類以上の糖類、1種類以上の酸可溶性の痕跡量の元素、1種類以上のアルコール可溶性ポリアミン、1種類以上のアルコール可溶性脂質および1種類以上の緩衝塩からなる群より選択されてもよい。本発明の一態様では、水溶性または酸もしくは塩基もしくは中性可溶性のビタミンモジュール、水溶性または酸もしくは塩基もしくは中性可溶性のアミノ酸モジュール、または水溶性または酸もしくは塩基もしくは中性可溶性の塩類モジュールは、少なくとも1種類の水不溶性賦形剤、水不溶性バインダー、またはその両方を含む。
【0019】
別の態様では、ペレット化されたベース粉末モジュールは、1種類以上の水溶性基、1種類以上の塩基可溶性基、1種類以上の酸可溶性基、1種類以上の酸可溶性反応性基、1種類以上のアルコール可溶性基、1種類以上のアルコール可溶性反応性基および1種類以上のpH調整基からなる群より選択されてもよい。特定の態様では、水溶性基は、ビタミン、大量の無機塩および糖類からなる群より選択されてもよい。
【0020】
本発明の第7の態様は、上述のいずれか1つの方法によって得られるか、または得ることができるペレットを提供する。
【0021】
第8の態様では、本発明は、1種類以上のアミノ酸、1種類以上のバインダーまたは賦形剤、および1種類以上の痕跡量の構成要素を含む、ペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤に関していてもよい。
【0022】
一実施形態では、ペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤は、ビタミンをさらに含む。特定の実施形態では、ビタミンは、ビタミンB12、ビオチン、コリン、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、アスコルビン酸、パラ-アミノ安息香酸(PABA)などのうち1種類以上から選択される。
【0023】
別の態様では、ペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤は、塩類をさらに含む。一実施形態では、塩類は、緩衝塩、鉄、亜鉛、カルシウム、銅、マグネシウム、マンガン、アンモニウム、バナジウムの塩類などのうち1種類以上から選択される。
【0024】
さらに別の態様では、ペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤は、よく知られた20種類のアミノ酸、その塩類または誘導体のうち1種類以上から選択されるアミノ酸を含む。一実施形態では、アミノ酸は、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、バリン、チロシン、システインおよびリシンのうち1種類以上から選択される。
【0025】
第9の態様では、本発明は、バインダーまたは賦形剤を含む、特許請求の範囲に記載のペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤に関していてもよく、バインダーまたは賦形剤は、相互に置き換え可能に使用されてもよく、または本明細書全体で一緒に使用されてもよい。一実施形態では、バインダーまたは賦形剤は、糖、天然物質、合成物質および半合成物質、微晶質セルロース、グルコース、ショ糖、トレハロース、単糖、二糖およびオリゴ糖、賦形剤および/または崩壊剤からなる群より選択される。一特定の実施形態では、バインダーは、微晶質セルロースおよびグルコースである。別の実施形態では、ペレット中のバインダーの組成%は、約0.1~約100%であってもよい。特定の実施形態では、ペレット中のバインダーの組成%は、約30~約60%であってもよい。
【0026】
第10の態様では、本発明全体で記載される組成物は、25~40%のアミノ酸、20~65%のバインダー、1~5%のビタミン、2~10%の塩類、0.01~0.05%の痕跡量の構成要素のうち1種類以上を含む、特許請求の範囲に記載のペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤に関していてもよい。特定の実施形態では、ペレット組成物は、31~32%のアミノ酸、59~60%のバインダー、25%のビタミン、6~7%の塩類、0.01~0.05%の痕跡量の構成要素のうち1種類以上を含む。好ましい組成物では、バインダーは、D-グルコースである。
【0027】
第11の態様では、本発明は、栄養培地ペレット、栄養培地補助物質ペレット、栄養培地サブグループペレットまたはバッファーペレットを製造する方法であって、乾燥粉末培地、補助物質、培地サブグループまたは培地バッファーを、溶媒を用いて凝集させる工程と、流動床中の回転ディスクを用いてペレットを作成する工程とを含み、ペレットが、バインダーまたは賦形剤を含む、方法を提供する。
【0028】
本発明の別の態様は、バインダーまたは賦形剤が、溶媒を介して噴霧されてもよく、またはペレット化する前に乾燥粉末にブレンドされてもよい、栄養培地ペレット、栄養培地補助物質ペレット、栄養培地サブグループペレットまたはバッファーペレットを製造する方法を提供する。特定の実施形態では、バインダーは、糖であってもよく、好ましい実施形態では、糖は、D-グルコースを含む。バインダー(例えば、グルコースに関して)の割合は、ペレットの異なる大きさ、または様々なバルク密度、または様々な安息角、または様々な粘着性または乾燥度のペレットを達成するために変えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、この量は、望ましい特性を達成するために、0~60%、または10~16%、または20~60%、好ましくは30~40%、40~50%、30~35%、30~45%、40~50%、40~55%など変動してもよい。
【0029】
別の態様では、本発明は、上述の全ての変形において、上述のいずれか1つの方法によって得られるか、または得ることができるペレットに関していてもよい。
【0030】
第12の態様では、本発明は、細胞を培養するためのペレットを製造する方法であって、乾燥粉末培地またはモジュールの微小懸濁物を調製する工程と、液滴を生成するために、押出成形デバイスによって微小懸濁物を押出成形する工程と、前記液滴をペレットになるまで乾燥させる工程とを含む、方法を提供する。ある態様は、これによって得られるペレットに関していてもよい。
【0031】
第13の態様は、細胞を培養するための、上述のいずれかの特許請求の範囲に記載の方法によって得られるペレットの使用に関していてもよい。ある実施形態では、細胞は、真核生物、原核生物、動物、植物、真菌、海藻、昆虫、酵母からなる群より選択されてもよく、またはウイルスまたはウイルス粒子を培養するために細胞を使用してもよい。特定の実施形態では、細胞は、動物細胞であってもよい。さらに別の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞であってもよい。特定の実施形態では、哺乳動物細胞は、CHO細胞、BHK細胞、HEK細胞、293細胞およびVERO細胞などからなる群より選択されてもよい。
【0032】
第14の態様では、本発明は、上述の方法によって得られるか、または得ることができるいずれかのペレットから再構築された液体中で細胞を培養する方法であって、(i)適切な液体またはバッファー中でペレットを再構築する工程であって、前記ペレットが、細胞培養培地、供給物、補助物質または濃縮物であってもよい、工程と、(ii)前記細胞の増殖にとって望ましい条件下で再構築された液体中で細胞を培養する工程とを含む、方法を提供する。一実施形態では、細胞は、真核生物、原核生物、動物、植物、真菌、海藻、昆虫、酵母からなる群より選択されてもよく、またはウイルスまたはウイルス粒子を培養するために細胞を使用してもよい。別の実施形態では、増加した量のポリペプチドを産生するために、培養を行ってもよい。さらなる実施形態では、ポリペプチドは、組換えポリペプチドであってもよい。別の実施形態では、ペレットから作られていない液体培地を用いた培養と比較して、本培養によって、産物の産生が増え、細胞増殖が増える。
【0033】
第14の態様では、本発明は、(i)上述の方法によって得られるか、または得ることができるペレットを含み、前記ペレットが、細胞培養培地、供給物、補助物質または濃縮物であってもよい、第1の容器と、(ii)ペレットを用いるための指示書とを備える、キットを提供する。他の態様では、キットは、さらなる容器をさらに備えており、それぞれが、培養するための細胞、バッファー、および他の培地(液体または乾燥粉末、AGT形態)、添加剤、供給物、抗体などを含む他の構成要素を含んでいてもよい。
【0034】
第15の態様では、本発明は、上述のいずれか1つの方法によって得ることができる上述のペレットから再構築された液体培地/供給物/補助物質/添加剤と、細胞とを含むシステムを提供する。一実施形態では、細胞は、真核生物、原核生物、動物、植物、真菌、海藻、昆虫、酵母からなる群より選択されてもよく、またはウイルスまたはウイルス粒子を培養するために細胞を使用してもよい。別の実施形態では、ペレットから再構築された液体培地/供給物/補助物質/添加剤を使用して、組換えポリペプチド、ウイルス、分泌タンパク質を産生する細胞、または懸濁物中の細胞または付着した細胞を培養してもよい。
【0035】
参照による援用
本明細書で述べられる全ての刊行物、特許および特許明細書は、それぞれの個々の刊行物、特許または特許明細書が具体的かつ個々に参照により組み込まれるように示されるのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書に従う。本明細書中の任意の参考文献の引用または特定は、このような参考文献を本発明に対する従来技術として利用することができることを認めるものとして解釈されるべきではない。
[本発明1001]
ペレット化された細胞培養培地を製造する方法であって、
(a)第1の乾燥粉末を、流動床装置内の気体が上方向に移動するカラム中での懸濁と、ディスクローター中でのスピニングとに供する工程と、
(b)ペレットが生成するように、溶媒および/または第2の乾燥粉末を、工程(a)の流動床装置に導入する工程と、
(c)前記ペレットを乾燥させる工程と
を含み、
前記第1の乾燥粉末、前記第2の乾燥粉末または前記溶媒が、バインダー、賦形剤、または両方を含む、
方法。
[本発明1002]
工程(a)の第1の乾燥粉末が、前もって濡らされ、任意で、工程(b)において溶媒が導入されない、本発明1001のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1003]
前記第1の乾燥粉末と前記第2の乾燥粉末が同じである、本発明1001または1002のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1004]
前記第1の乾燥粉末と前記第2の乾燥粉末が異なる、本発明1001または1002のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1005]
前記第1の乾燥粉末が、培養物中の細胞の培養を補助することができる基本培地粉末、完全培地粉末、供給物、補助物質、培地または供給物濃縮物およびアミノ酸混合物からなる群より選択される、前記本発明のいずれかのペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1006]
前記第2の乾燥粉末が、培養物中の細胞の培養を補助することができる基本培地粉末、完全培地粉末、供給物、補助物質、培地または供給物濃縮物およびアミノ酸混合物からなる群より選択される、前記本発明のいずれかのペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1007]
前記バインダーまたは前記賦形剤が、糖、天然物質、合成物質および半合成物質からなる群より選択される、前記本発明のいずれかのペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1008]
前記天然物質が微晶質セルロースである、本発明1007のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1009]
前記糖が、グルコース、ショ糖、トレハロース、単糖、二糖およびオリゴ糖からなる群より選択される、本発明1007のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1010]
前記ペレット中のグルコースの組成%が、約0.1~約100%である、本発明1009のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1011]
前記ペレットの大きさが約0.05mm~7mmである、前記本発明のいずれかのペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1012]
前記ペレットの大きさが、約0.05mm~約0.5mm、または約0.05mm~約1mm、または約0.05mm~約2mm、または約0.05mm~約3mm、または約0.05mm~約4mm、または約0.05mm~約5mm、または約0.05mm~約6mm、または約0.05mm~約0.1mm、または約0.05mm~約0.2mm、または約0.05mm~約0.3mm、または約0.05mm~約0.4mm、または約0.1mm~約1mm、または約0.1mm~約2mm、または約0.1mm~約3mm、または約0.1mm~約4mm、または約0.1mm~約5mm、または約0.1mm~約6mm、または約0.5mm~約1mm、または約0.5mm~約2mm、または約0.5mm~約3mm、または約0.5mm~約4mm、または約0.5mm~約5mm、または約0.5mm~約6mm、または約0.5mm~約7mm、または約1mm~約2mm、または約1mm~約3mm、または約1mm~約4mm、または約1mm~約5mm、または約1mm~約6mm、または約1mm~約7mmである、本発明1011のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1013]
前記ペレットの大きさが、約0.1mmより大きい、または約0.2mmより大きい、または約0.3mmより大きい、または約0.4mmより大きい、または約0.5mmより大きい、または約0.6mmより大きい、または約0.7mmより大きい、または約0.8mmより大きい、または約0.9mmより大きい、または約1mmより大きい、または約2mmより大きい、前記本発明のいずれかの培地のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1014]
前記ディスクローターが変動可能な速度でスピンする、前記本発明のいずれかの培地のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1015]
前記溶媒が、接線方向の噴霧、上部噴霧または下部噴霧によって工程(a)に導入される、前記本発明のいずれかの培地のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1016]
前記溶媒が工程(a)に導入される速度が、約1gm/分から約30gm/分までである、前記本発明のいずれかの培地のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1017]
前記溶媒が工程(a)に導入される速度が、約5gm/分である、本発明1016のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1018]
投入気体の温度が約20℃~30℃である、前記本発明のいずれかの培地のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1019]
前記投入気体の温度が約25℃である、本発明1018のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1020]
前記ペレット温度が約20℃~30℃に維持される、前記本発明のいずれかの培地のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1021]
前記ペレットを乾燥させるための温度が約50℃~60℃である、前記本発明のいずれかの培地のペレット化された細胞培養培地を製造する方法。
[本発明1022]
前記ペレットが、含水量が約0.5%~3%になるまで乾燥される、前記本発明のいずれかの培地のペレット化された細胞培養培地または供給物を製造する方法。
[本発明1023]
ペレット化されたベース粉末モジュールを製造する方法であって、
(a)第1の乾燥粉末を、流動床装置内の気体が上方向に移動するカラム中での懸濁と、ディスクローター中でのスピニングとに供する工程と、
(b)前記ベース粉末モジュールのペレットが生成するように、溶媒と、任意で第2の乾燥粉末とを、工程(a)の流動床装置に導入する工程と、
(c)前記ペレットを乾燥させる工程と
を含み、
前記第1の乾燥粉末、前記第2の乾燥粉末または前記溶媒が、バインダー、賦形剤、または両方を含む、
方法。
[本発明1024]
前記モジュールが、1種類以上の水溶性ビタミン、1種類以上の酸可溶性ビタミン、1種類以上の中性可溶性ビタミン、1種類以上の酸可溶性アミノ酸、1種類以上の塩基可溶性アミノ酸、1種類以上の中性水溶性アミノ酸、1種類以上の水溶性無機塩、1種類以上の酸可溶性無機塩、1種類以上の糖、1種類以上の酸可溶性の痕跡量の元素、1種類以上のアルコール可溶性ポリアミン、1種類以上のアルコール可溶性脂質および1種類以上の緩衝塩からなる群より選択される、本発明1023のペレット化されたベース粉末モジュールを製造する方法。
[本発明1025]
前記水溶性または酸もしくは塩基もしくは中性可溶性のビタミンモジュール、前記水溶性または酸もしくは塩基もしくは中性可溶性のアミノ酸モジュール、あるいは前記水溶性または酸もしくは塩基もしくは中性可溶性の塩類モジュールが、少なくとも1種類の水不溶性賦形剤、水不溶性バインダー、またはその両方を含む、本発明1023~1024のいずれかのペレット化されたベース粉末モジュールを製造する方法。
[本発明1026]
本発明1001~1025のいずれかによって得られたペレット。
[本発明1027]
1種類以上のアミノ酸、1種類以上のバインダーおよび1種類以上の痕跡量の構成要素を含む、ペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤。
[本発明1028]
ビタミンをさらに含む、本発明1027のペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤。
[本発明1029]
前記ビタミンが、ビタミンB12、ビオチン、コリン、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、アスコルビン酸、パラ-アミノ安息香酸(PABA)などのうち1種類以上から選択される、本発明1027~1028のいずれかのペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤。
[本発明1030]
塩類をさらに含む、本発明1027~1029のいずれかのペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤。
[本発明1031]
前記塩類が、緩衝塩、鉄、亜鉛、カルシウム、銅、マグネシウム、マンガン、アンモニウム、バナジウムなどの塩類のうち1種類以上から選択される、本発明1030のペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤。
[本発明1032]
前記アミノ酸が、20種類のアミノ酸、その塩類または誘導体のうち1種類以上から選択される、本発明1027~1031のいずれかのペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤。
[本発明1033]
前記アミノ酸が、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、バリン、チロシン、システインおよびリシンのうち1種類以上から選択される、本発明1027~1031のいずれかのペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤。
[本発明1034]
前記バインダーが、糖、天然物質、合成物質および半合成物質、微晶質セルロース、グルコース、ショ糖、トレハロース、単糖、二糖およびオリゴ糖、賦形剤および/または崩壊剤からなる群より選択される、本発明1027~1031のいずれかのペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤。
[本発明1035]
前記バインダーが、微晶質セルロースおよびグルコースである、本発明1027~1034のいずれかのペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤。
[本発明1036]
前記ペレット中のバインダーの組成%が、約0.1~約100%である、本発明1027~1035のいずれかのペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤。
[本発明1037]
前記ペレット中のバインダーの組成%が、約30~約60%である、本発明1027~1036のいずれかのペレット化された細胞培養培地、供給物、補助物質または添加剤。
[本発明1038]
25~40%のアミノ酸、20~65%のバインダー、1~5%のビタミン、2~10%の塩類、0.01~0.05%の痕跡量の構成要素のうち1種類以上を含む、本発明1027~1037のいずれかのペレット化された細胞培養供給物。
[本発明1039]
31~32%のアミノ酸、59~60%のバインダー、25%のビタミン、6~7%の塩類、0.01~0.05%の痕跡量の構成要素のうち1種類以上を含む、本発明1038のペレット化された細胞培養供給物。
[本発明1040]
前記バインダーがD-グルコースである、本発明1039のペレット化された細胞培養供給物。
[本発明1041]
栄養培地ペレット、栄養培地補助物質ペレット、栄養培地サブグループペレットまたはバッファーペレットを製造する方法であって、
乾燥粉末培地、補助物質、培地サブグループまたは培地バッファーを、溶媒および/または粉末に供する工程と、
流動床中の回転ディスクを用いてペレットを作成する工程と
を含み、
前記ペレットが、バインダーまたは賦形剤を含む、
方法。
[本発明1042]
前記バインダーまたは賦形剤が、前記溶媒を介して噴霧されるか、または前記乾燥粉末にブレンドされる、本発明1041の栄養培地ペレット、栄養培地補助物質ペレット、栄養培地サブグループペレットまたはバッファーペレットを製造する方法。
[本発明1043]
前記乾燥粉末が、1種類以上の水溶性基、1種類以上の塩基可溶性基、1種類以上の酸可溶性基、1種類以上の酸可溶性反応性基、1種類以上のアルコール可溶性基、1種類以上のアルコール可溶性反応性基および1種類以上のpH調整基からなる群より選択される、本発明1041~1042のいずれかの栄養培地ペレット、栄養培地補助物質ペレット、栄養培地サブグループペレットまたはバッファーペレットを製造する方法。
[本発明1044]
前記水溶性基が、ビタミン、大量の無機塩および糖類からなる群より選択される、本発明1041~1043のいずれかの栄養培地ペレット、栄養培地補助物質ペレット、栄養培地サブグループペレットまたはバッファーペレットを製造する方法。
[本発明1045]
前記糖がD-グルコースである、本発明1041~1044のいずれかの栄養培地ペレット、栄養培地補助物質ペレット、栄養培地サブグループペレットまたはバッファーペレットを製造する方法。
[本発明1046]
本発明1041~1045のいずれかの方法によって得られるペレット。
[本発明1047]
細胞を培養するためのペレットを製造する方法であって、
乾燥粉末培地またはモジュールの微小懸濁物を調製する工程と、
液滴を生成するために、押出成形デバイスによって前記微小懸濁物を押出成形する工程と、
前記液滴をペレットになるまで乾燥させる工程と
を含む、方法。
[本発明1048]
本発明1047の方法によって得られるペレット。
[本発明1049]
細胞を培養するための、前記本発明のいずれかの方法から得られるペレットの使用。
[本発明1050]
前記細胞が、真核生物、原核生物、動物、植物、真菌、海藻、昆虫、酵母からなる群より選択されるか、または前記細胞が、ウイルスまたはウイルス粒子を培養するために使用される、本発明1049の使用。
[本発明1051]
前記細胞が動物細胞である、本発明1049~1050のいずれかの使用。
[本発明1052]
前記細胞が哺乳動物細胞である、本発明1049~1051のいずれかの使用。
[本発明1053]
前記哺乳動物細胞が、CHO細胞、BHK細胞、HEK細胞、293細胞およびVERO細胞などからなる群より選択される、本発明1052の使用。
[本発明1054]
本発明1026~1040、1046または1048のいずれかのペレットから再構築された液体中で細胞を培養する方法であって、
i)適切な液体またはバッファー中で前記ペレットを再構築する工程であって、前記ペレットが、細胞培養培地、供給物、補助物質または濃縮物である、工程と、
ii)前記細胞の増殖にとって望ましい条件下で再構築された液体中で前記細胞を培養する工程と
を含む、方法。
[本発明1055]
前記細胞が、真核生物、原核生物、動物、植物、真菌、海藻、昆虫、酵母からなる群より選択されるか、または前記細胞が、ウイルスまたはウイルス粒子を培養するために使用される、本発明1054の方法。
[本発明1056]
前記細胞培養が、増加した量のポリペプチドを産生するために使用される、本発明1054または1055の細胞を培養する方法。
[本発明1057]
前記ポリペプチドが組換えポリペプチドである、本発明1056の細胞を培養する方法。
[本発明1058]
ペレットから作られていない液体培地を用いた培養と比較して、前記培養によって、産物の産生が増え、細胞増殖が増える、本発明1054~1055のいずれかの細胞を培養する方法。
[本発明1059]
i)本発明1026~1040、1046または1048のいずれかの1つ以上のペレットを含む第1の容器と、
ii)前記ペレットを用いるための指示書と
を備える、キット。
[本発明1060]
本発明1026~1040、1046または1048のいずれかのペレットから再構築された液体培地と、細胞とを含むシステム。
[本発明1061]
前記細胞が、真核生物、原核生物、動物、植物、真菌、海藻、昆虫、酵母からなる群より選択されるか、または前記細胞が、ウイルスまたはウイルス粒子を培養するために使用される、本発明1060のシステム。
[本発明1062]
組換えポリペプチド、ウイルス、分泌タンパク質を産生する細胞を培養するか、または懸濁物中で細胞を培養するか、または接着した細胞を培養するために、前記再構築された液体培地を使用する、本発明1060および1061のいずれかのシステム。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の新規特徴を、添付の特許請求の範囲において具体的に記載する。本発明の特徴および利点のよりよい理解は、本発明の原理を利用する具体的な実施形態を示す下記の詳細な記載を参照することによって得られるだろう。当業者は、ここに記載した図面が単なる説明のためのものであり、本教示の範囲をいかなる様式にも限定することを意図したものではないことを理解するだろう。
【0037】
図1A】手動で調製されたペレットまたはビーズ(ペレット供給物1)をここに示す。詳細な調製方法を実施例1に記載する。
図1B】ペレット供給物1の視覚的な大きさの概算。
図1C】ペレットまたはビーズ供給物1の視覚的な大きさの比較。
図2A】手動で調製されたペレット供給物1の補助物質と、液体補助物質との、細胞生存率アッセイの比較。手動で調製したペレット供給物1(試験サンプル)の生存率を、ビーズ1、2、3の曲線に示す。液体(ポジティブコントロール)の生存率を、液体1、2、3に示す。補助物質を含まないもの(ネガティブコントロール)の生存率をネガティブコントロール1、2、3に示す。ペレット供給物1を追加した細胞培養物(3個ずつ行った:1、2、3)は、液体を追加した細胞培養物(3個ずつ:1、2、3)と比較して、特に8~16日目に良好な生存率%を示した。
図2B】手動で調製されたペレット供給物1の補助物質と、液体補助物質との、細胞増殖アッセイの比較。ペレット供給物1を追加した細胞培養物(3個ずつ:1、2、3)は、液体を追加した細胞培養物(3個ずつ:1、2、3)と比較して、培養物中、15日間にわたって遜色ない細胞増殖を示した。
図2C】抗体産生についての、手動で調製されたペレット供給物1の補助物質と、液体補助物質との、細胞性能またはタンパク質力価アッセイの比較。手動のペレットのタンパク質力価(細胞性能)を、ビーズ1、2、3の曲線に示す。液体(ポジティブコントロール)のタンパク質力価を、液体(3個ずつ:1、2、3)に示す。補助物質を含まないもの(ネガティブコントロール)のタンパク質力価をネガティブコントロール(3個ずつ:1、2、3)に示す。ビーズ/ペレットを追加した細胞培養物1、2、3は、培養15日間にわたり、約325μg/ml(産生)のIgG産生を示し、これは、ポジティブ液体コントロールEFB(3個ずつ:1、2、3)を用いて約425μg/mlで産生したIgGよりもわずかに低かった。補助物質が追加されていないネガティブコントロールは、供給物1のビーズ(試験)を追加した細胞培養物と比較して、かなり低いIgG産生を示した(約100μg/ml)。
図3A】ローターディスク技術を用いて調製された、粉砕した粉末(出発物質)からペレット供給物2(図面/明細書では供給物2と呼ばれることもある)への、自動化されたペレット調製またはビーズの顕微鏡拡大写真。詳細な調製方法を実施例に記載する。
図3B】ローターディスク技術によって調製されたペレット供給物2の粒径の概算。
図3C】自動化されたペレット供給物2と、液体補助物質との、細胞増殖アッセイの比較。ビーズ/ペレットを追加した細胞培養物は、液体を追加した細胞培養物と比較して、培養物中、15日間にわたって遜色ない細胞増殖を示した。ペレット供給物2は、ポジティブコントロール供給物を追加した細胞培養物(約8×10e)よりわずかに多い約10×10e細胞/ml(増殖)の生存可能な細胞数を示した。
図4A】ローターディスク技術を用いて調製された、粉砕した粉末(出発物質)からペレット供給物3(図面/明細書では供給物3と呼ばれることもある)への、自動化されたペレット調製またはビーズの顕微鏡拡大写真。詳細な調製方法を実施例に記載する。
図4B】ローターディスク技術によって調製されたペレット供給物3の粒径の概算。
図4C】自動化されたペレット供給物3と、液体補助物質との、細胞増殖アッセイの比較。ペレット供給物3を追加した細胞培養物は、特に、ネガティブコントロールと比較して(7日目以降)、培養物中、14日間にわたって、ポジティブコントロールと遜色ない細胞増殖を示した。ペレット供給物3は、ポジティブコントロール供給物を追加した細胞培養物(約8×10e)よりわずかに大きな約9×10e細胞/ml(増殖)の生存可能な細胞数を示した。
図5A】ローターディスク技術を用いて調製された、粉砕した粉末(出発物質)からペレット供給物4への、自動化されたペレット調製またはビーズの顕微鏡拡大写真。出発物質となる乾燥ベース粉末は、セルロースバインダーを含んでいた。図面/明細書では供給物4と呼ばれることもある。詳細な調製方法を実施例に記載する。
図5B】ローターディスク技術によって調製されたペレット供給物4の粒径の概算。出発物質となる乾燥ベース粉末は、セルロースバインダーを含んでいた。ペレット供給物4のグラフは、出発組成物をセルロースで(水溶解度を下げるために)化学的に変化させたときの結果を示す。ペレットの粒径は、供給物2および3と比較して小さかった。
図5C】自動化されたペレット供給物4と、液体補助物質との、細胞増殖アッセイの比較。ペレット供給物4を追加した細胞培養物は、特に、ネガティブコントロールと比較して(7日目以降)、培養物中、14日間にわたって、ポジティブコントロールと遜色ない細胞増殖を示した。
図6A】ローターディスク技術を用いて調製された、粉砕した粉末(出発物質)からペレット供給物5への、自動化されたペレット調製またはビーズの顕微鏡拡大写真。ペレット化プロセスで使用する前に、出発物質となる乾燥ベース粉末を、まず、もっと小さな粒径へと微粉化した。図面/明細書では供給物5と呼ばれることもある。詳細な調製方法を実施例に記載する。
図6B】ローターディスク技術によって調製されたペレット供給物5の粒径の概算。出発物質となる乾燥ベース粉末を、まず、もっと小さな粒径へと微粉化した。グラフは、出発組成物を物理的に変化させた(粒径を小さくした)ときの結果を示す。粒径は、さらに均一であった。
図7A】ペレット供給物の生物学的評価。ペレット供給物2、3、および4について生存率アッセイを行い、ポジティブコントロール(液体供給物を追加)またはネガティブコントロール(液体またはペレット補助物質の追加がない)と比較した。グラフからわかるように、供給物2、3、および4は、特に6日後に、ポジティブコントロールと同様、ネガティブコントロールよりも良好であり、十分に遜色ないものであった。ペレット供給物5の細胞生存率アッセイは、供給物2、3、および4と同様の結果を与えた(データは示していない)。
図7B】ペレット供給物の生物学的評価。ペレット供給物2、3、および4について細胞性能(抗体産生)アッセイを行い、ポジティブコントロール(液体供給物を追加)またはネガティブコントロール(液体またはペレット補助物質の追加がない)と比較した。グラフからわかるように、供給物2、3、および4は、特に4日後に、ポジティブコントロールと同様、ネガティブコントロールよりも良好であり、十分に遜色ないものであった。ペレット供給物2(約229μg/ml)を追加した細胞培養物は、ポジティブコントロール供給物を用いて産生した約228μg/ml(14日目)のIgGと遜色ないIgG産生度を示した。ペレット供給物3(約243μg/ml)を追加した細胞培養物は、ポジティブコントロール供給物を用いたものよりもわずかに高いIgG産生度を示した。ペレット供給物4(約200μg/ml)を追加した細胞培養物は、ポジティブコントロール供給物を用いたものよりもわずかに低いIgG産生度を示した。補助物質を追加していない細胞培養物アッセイ(ネガティブコントロール)は、任意のペレット供給物2、3または4を追加した細胞培養物と比較して、かなり低いIgG(約100μg/ml)を示した。ペレット供給物5の細胞性能(抗体産生)アッセイは、供給物2、3、および4と同様の結果を得た(データは示していない)。
図8】ペレット製造プロセス:ペレット化は、流動化ローターにおいて乾燥粉末を濡らすことによって起こる。例示的なペレットプロセスでは、処理前の相互作用を制限するため、培地構成要素をグループに分けて計量する。乾燥粉末に使用されるグループ分けは、流動化粉末に噴霧される構成要素とは隔離されている。乾燥粉末または噴霧溶液、または両方がバインダーを含むだろう。噴霧された溶液を配合し、乾燥粉末の構成要素を粉砕し、均質になるまでブレンドする。ここで、ローター技術を用いて粉末から直接的にペレット化する。
図9A】モジュール培地、供給物または補助物質ペレットを製造するための例示的な構成要素またはグループ分け。カテゴリーは、可溶性などの溶解度、または他の構成要素と有害な反応をする傾向に基づいて行われる。一般的に、有害な反応剤は、最終段階まで分離したまま保たれ、それらを一緒に添加するときは、液体を用いてペレットを最終的に再構築する場合に、沈殿または付加物の生成(生成物が無駄なものになり得る)を防ぐように注意深く添加される。例示的なカテゴリーは、中性可溶性の構成要素、塩基可溶性の構成要素、酸可溶性の構成要素である。
図9B】モジュール培地、供給物または補助物質ペレットを製造するための例示的な構成要素またはグループ分け。カテゴリーは、可溶性などの溶解度、または他の構成要素と有害な反応をする傾向に基づいて行われる。一般的に、有害な反応剤は、最終段階まで分離したまま保たれ、それらを一緒に添加するときは、液体を用いてペレットを最終的に再構築する場合に、沈殿または付加物の生成(生成物が無駄なものになり得る)を防ぐように注意深く添加される。例示的なカテゴリーは、中性可溶性の構成要素、塩基可溶性の構成要素、酸可溶性の構成要素である。
図10】酸可溶性(大量)の物質を最初に添加し、その後、塩基中性物質、最後に、痕跡量の金属物質を添加する、モジュール培地を製造するための例示的な方法。一実施形態では、各物質(酸可溶性、塩基可溶性または中性可溶性)は、別個にペレット化されてもよい。別の実施形態では、これらの物質を粉末として連続して添加し、次いで、一緒にペレット化し、複合物ペレットを作成する。さらに他の実施形態では、個々の酸可溶性物質もしくは酸可溶性物質の組み合わせ(特定の酸可溶性アミノ酸など)、またはアミノ酸の組み合わせ、または個々の塩基可溶性物質もしくは塩基可溶性物質の組み合わせ、または個々の中性可溶性物質もしくは中性可溶性物質の組み合わせからペレットを作成してもよい。なお、本明細書に記載する連続した添加の順序(酸可溶性を最初に、次に塩基可溶性、または最後に中性可溶性)は、単なる例である。添加または混合の順序は、所望なように変えることができ、その配合物、または有害な反応を起こす構成要素の存在に依存するだろう。
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
本発明は、乾燥粉末培地を生産する方法に関する。乾燥粉末培地は、本開示で述べられる場合、乾燥粉末培地(基本培地または完全培地)、乾燥濃縮細胞培養培地、乾燥粉末供給物または補助物質、乾燥粉末濃縮供給物または補助物質、乾燥バッファー粉末を指していてもよく、これらは、細胞を培養する際に組み合わせて使用されてもよく、または部分的に、またはそれ自体で(完全培地であるとき)使用されてもよい。一般的に、培養とは、in vitroで細胞を培養することを指す。本発明のペレット化された培地または供給物の方法を以下に記載する。
【0039】
細胞培養による生物治療薬の産生における典型的なワークフローは、解放空気の分注、乾燥粉末培地の再構築、さらなる配合工程、その後、pH/等張性の調節、濾過、およびバイオリアクターへの移動を必要とする。この複数工程の方法は、誤った配合によるリスク、または望ましくない偶発的な物質(例えば、細菌、ウイルス、マイコプラズマなど)による汚染によるリスクを高める可能性がある。
【0040】
上述の問題に対する望ましい解決策は、乾燥形態で追加するための完全細胞培養培地または供給物を提供することであり、その結果、培地または供給物を、バイオリアクターに添加される前に「閉じた系」で水和することができる。本発明は、このような「閉じた系」で容易に使用することができるペレットまたはマイクロペレットの形態を調製するための流動床ペレット化基本細胞培養培地粉末または完全細胞培養培地粉末、供給物粉末、補助物質粉末、バッファー粉末、ビタミン粉末、添加剤粉末などに関する。粉末化した細胞培養培地粉末を、小型の「マイクロペレット」として適用すると、良好な流動特性によって、周囲に飛び散り、物質のロスが生じる微粉末粒子を含む乾燥粉末よりも、生物医薬の生産に使用するための液体へと再構築するのがかなり容易になるだろう。
【0041】
流動床ペレット化プロセスは、医薬産業から転用されてもよく、医薬組成物は、組成物中に一対から数種類までの成分を含む。例えば、医薬組成物は、1種類から最大で10種類の構成要素を含んでいてもよい。一方、細胞、特に、動物細胞、より具体的には哺乳動物細胞、さらにより具体的には、組換えタンパク質およびワクチンを産生するための組換え細胞の培養のために使用される細胞培養培地粉末、供給物粉末、補助物質粉末は、非常に複雑であり、一般的に、80~100種類の個々の構成要素を含み、それぞれが正確な量で必要とされる。塩類または金属イオンなどの培地構成要素のいくつかが、製造プロセス中に反応性である場合があり、付加物、または得られる組成物中の細胞培養にとって望ましくない他の物質を生成し得る。したがって、任意の製造工程の後に得られた培地について、物理的評価、化学的評価および生物学的評価(細胞培養の増殖および性能)を厳格に評価してもよい。したがって、医薬産業からの任意のペレット化方法を細胞培養培地組成物に適用することは、簡単ではなかった。細胞培養培地のペレットまたはマイクロペレットを手動または自動化された方法によって製造することは、この方法に関連する複雑さに起因して、以前には行われていなかった。実際に、培地ペレット化での本願発明者らの初期の試みでさえ、流動性が低い過剰に濡れた培地材料の状態で、望ましくない粘着性のタフィー状の物質が得られた。医薬ペレット方法(少ない化学物質、薬物のために設計されている)の実際の使用は、得られる培地または供給物を役に立たないものにしてしまう場合があり、良好なマイクロペレット/ペレットが可能であっても、ペレットが細胞の生存率および増殖を維持することができない場合、または細胞性能を維持する/高めることができない場合には、最終目的が達成されない。したがって、本発明までは、ペレット培地組成物、およびペレット化された細胞培養組成物(培地、供給物、補助物質、添加剤など)を製造する方法が依然として必要であった。
【0042】
本明細書に記載されるペレット化された培地は、アミノ酸、糖類、ビタミン、痕跡量の金属塩類、バッファーを含む混合した粉末状培地構成要素を、回転可能な処理チャンバー内で顆粒化することによって得ることができ、さらなる粉末状培地構成要素および/または溶媒を、中程度の温度で徐々に導入してもよい。混合した粉末状培地構成要素を顆粒化したものに導入される溶媒は、穏やかな霧、蒸気、しずく、噴霧、微細な液滴、または液体-気体界面の形態であってもよい。
【0043】
一実施形態では、培地/供給物ペレットは、手動工程によって製造されてもよい。例示的な手動方法を実施例1および2に記載し、これらは本教示の単なる一例であってもよく、培地/供給物ペレットをどのようにして手動で製造することができるかの範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0044】
別の実施形態では、培地/供給物ペレットは、自動化された工程によって製造されてもよい。自動化された工程において、流動床装置(本明細書では、処理チャンバーとも呼ばれる)にローター技術を使用することができる。当業者には明らかなように、任意のローター/回転手段を使用してもよく、または流動化処理チャンバーに適合されてもよい。「ローターディスク」または「ローター技術」または「アトマイザローター」という用語の使用は、限定する様式で解釈すべきではない。多くの等価な技術が、同様の結果を達成することができる。例えば、「回転ディスク」「回転ディスク濾過」、「迅速回転ペレット化ディスク」などを適用してもよく、当業者は、これに応じて原理を適用するだろう。回転を可能にする「ローター」の構造は、いずれかの様式に限定されるものと解釈すべきではない。ローラーは、同様の結果を達成するような任意の様式で、流動床装置に取り付けられてもよい。
【0045】
理論によって束縛されないが、流動化システムによって、流動化チャンバー(または処理チャンバー)内で綿毛状の培地/供給物粒子を生成することができる。培地シード粒子を用いてペレットの生成を開始することは必要ではないが、必要な場合には使用してもよい。チャンバー内での粒子のさらなる回転工程によって、粒子と、容器の壁および/または容器のバッフルとを接触させ、綿毛状の粒子の上に粉末を蓄積させ、ペレットを生成する。これは、丘を転がり落ちる雪玉の蓄積と似ており、雪崩ではさらに多くの粉末状の雪が蓄積し、次々と蓄積して大きくなる。乾燥粉末粒子が回転するにつれて、正しい条件であれば、良好な大きさのペレットが生成する。例示的な実施形態では、Glatt Technologies、NJ製の流動化ローターチャンバーを使用し、培地/供給物ペレットを製造した。ローター/流動床チャンバーを用いるペレット化技術は、医薬産業でよく知られている。しかし、以下に示すように、医薬組成物は、組成物中に一対から数種類までの成分を含む。例えば、医薬組成物は、1種類から最大で10種類の構成要素を含んでいてもよい。一方、細胞、特に、動物細胞、より具体的には哺乳動物細胞、さらにより具体的には、組換えタンパク質およびワクチンを産生するための組換え細胞の培養のために使用される細胞培養培地粉末、供給物粉末、補助物質粉末は、非常に複雑であり、一般的に、80~100種類の個々の構成要素を含み、それぞれが正確な量で必要とされる。塩類または金属イオンなどの培地/供給物の構成要素のいくつかが、製造プロセス中に反応性である場合があり、付加物や、望ましくない他の物質を生成し得る。したがって、医薬産業からの任意のペレット化方法を細胞培養培地組成物に適合させるのは、簡単ではなかった。細胞培養培地のペレットまたはマイクロペレットを手動または自動化された方法によって製造することは、この方法に関連する複雑さに起因して、以前には行われていなかった。実際に、培地ペレット化での本願発明者らの初期の試みでさえ、流動性が低い過剰に濡れた培地材料の状態で、望ましくない粘着性のタフィー状の物質が得られた。さらに、医薬ペレット方法(少ない化学物質、薬物のために設計されている)は、得られる培地または供給物を役に立たないものにしてしまう場合があり、良好なマイクロペレット/ペレットを与え得るものであっても、ペレットが細胞の生存率および増殖を維持することができない場合、または細胞性能を維持する/高めることができない場合には、最終目的が達成されない。したがって、本発明までは、ペレット培地組成物、およびペレット化された細胞培養組成物を製造する方法が依然として必要であった。
【0046】
本明細書に記載するペレット化された培地/供給物は、上述の凝集した培地や、バッフルおよび粒径を大きくする方法を向上させるための他の手段を備えているか、または備えていない回転チャンバー中、ローター技術(回転、粒径を大きくする)に起因してペレット化されるどこかの箇所に述べた(および参照により組み込まれた)開示内容とは異なっている。
【0047】
本明細書に記載するペレット組成物のためのバインダーは、粘着性であってもよく、ペレットに対する結合特性を付与してもよい。バインダーは、糖類、任意の天然バインダー、または合成または半合成のポリマーであってもよい。糖類は、乾燥形態または液体形態で使用することができ、さらに、限定されないが、グルコース(任意の異性体D-またはL-)、ショ糖(任意の異性体D-またはL-)、任意の単糖、二糖、オリゴ糖、ラクトース、マルトース、トレハロース、または任意の芳香族糖が挙げられる。天然バインダーを、乾燥形態、濡れた形態またはペースト形態に使用してもよく、限定されないが、セルロース、デンプン、アルファデンプン化デンプン、アカシア、ゼラチン、アルギン酸、トラガカントなどの非糖、および当該技術分野で知られている他のものが挙げられる。合成または半合成のポリマーとしては、限定されないが、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、および当該技術分野で知られている他のものが挙げられる(バインダーは、http://www.pharmainfo.net/bindersに記載されており、相互に置き換え可能に使用されてもよく、本明細書に参考として組み込まれる)。特定の場合に、「賦形剤」は、ペレットを製造する前に、ベース粉末に添加されてもよい。賦形剤は、細胞に対し、培地中の他の有用な物質を与えるために賦形剤として役立つことができる、不活性物質(すなわち、細胞の増殖または培養に影響を与えない)である。賦形剤は、溶解度改質剤として、崩壊剤として、培地粒子をコーティング(例えば、フィルムコーティング、不活性物質など)するための障壁として作用してもよい。賦形剤の例としては、限定されないが、ポリマーまたは微晶質セルロース、結晶性塩類、糖、バッファーなどが挙げられる。ある種の物質は、バインダーまたは賦形剤であると考えられてもよく、したがって、バインダーおよび賦形剤という用語は、本開示では相互に置き換え可能に使用されてもよいが、当業者には理解されるだろう。特定の実施形態では、崩壊剤は、乾燥粉末または溶媒を介し、ペレットに導入されてもよく、ペレット粒子の1~10%を形成していてもよく、崩壊剤としては、限定されないが、クロスポビドン、クロスナトリウムカルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられ得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、噴霧速度は、乾燥粉末培地または供給物からペレットを生成するための因子であり得る。細胞培養供給物、特に、培地は、複数の成分を含む(100構成要素まで)。これらの成分の一部は、きわめて水溶性であり、一方、他の成分は、ほとんど水溶性ではなく、さらに他の成分は、粘着性であるか、または接着性である。この化学特性の組み合わせは、(医薬では、数種類の組み合わせであるのに対し)供給物または培地のペレット生成にとって課題となる。例えば、特定の配合物について、乾燥培地/供給物粉末に多すぎる水が噴霧され得る場合、または他の配合物において、噴霧速度が速すぎる場合、その中の水溶性の高い化合物が溶解し始める場合があり、これがペレット生成を妨げる場合がある。ペレット生成に初期の最適な溶解レベルが必要な場合があるが、初期に混合物を濡らすと、粉末が粘着性になる場合がある。ここでも、最適であれば、粘着性によって、良好なペレットを得ることができる。しかし、特定の場合には、粘着性が大きすぎると(過剰な溶媒、または迅速な噴霧速度などに起因して、特定の配合物にのみ適用可能)、ペレットの代わりに、乾燥細胞培養構成要素のタフィー状の一体化した物質が得られる場合がある。例えば、ある失敗した実施形態では、微晶質セルロース(40%)を含むベース粉末は、噴霧速度40gm/分を使用し、ペレットの代わりに、乾燥細胞培養構成要素のタフィー状の一体化した物質が得られた。ここに記載した教示に基づき、当業者は、その制限事項を理解し、詳細に記載され、例示される教示を用い、培地/供給物のペレット化された形態を得ることができる。
【0049】
バインダーおよび/または賦形剤を、粉砕したベース粉末とブレンドしてもよく、および/または処理チャンバー内で粉末と共に噴霧してもよい。限定するものと考えない場合がある本明細書に提供される例では、種々の条件を使用してペレットを得た。例えば、ペレット供給物2、ペレット供給物3、ペレット供給物4、およびペレット供給物5は、以下に詳細に記載するように得られた。このようにして得られたペレットを、これらのアッセイで評価した。1)物理的特徴(顕微鏡写真と粒度分布を参照:例えば、図3AおよびB、4AおよびB、5AおよびB、ならびに6AおよびBを参照);2)ペレット化前後の内容物の分析。この分析は、HPLCによって行った。すなわち、アミノ酸含有量、水溶性ビタミン含有量、疎水性アミノ酸含有量などの培地構成要素を、ペレット化前後に分析した(データは示していない)。供給物2、3、4、および5それぞれについての分析データは、ペレット化前とペレット化後の分析データが有意な変化を示さないような、遜色ないものであった。3)これらの生物学的活性について、細胞培養物中の性能(図3~7、それぞれの供給物のペレットについて、適用可能な場合にはサブセクションCを参照)。
【0050】
培地または供給物のペレットは、細胞培養において種々の用途を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、細胞培養物に使用するための水系培地/供給物懸濁物の調製に、0ミクロンから約500ミクロン未満の範囲の粒径のペレット粒子を使用してもよい。他の実施形態では、約800~約500ミクロンの範囲の粒径のペレット粒子を、細胞培養物に使用するための複数粒子の培地/供給物錠剤の調製に使用してもよい。さらに別の実施形態では、約500~約2000ミクロンの範囲の粒径のペレット粒子を、細胞培養物に使用するための培地/供給物カプセルの調製に使用してもよい。
【0051】
応用:本発明のペレット/マイクロペレットは、広範囲の真核生物および細菌細胞の培養物における潜在的な有用性を有する。本発明のペレット/マイクロペレットは、いくつかの新規な送達選択肢を与える。例えば、供給-バッチシステムで使用するための1回分の単位用量単位を与える能力、かん流システムで使用するための計量した用量の栄養素のための能力、複数のグループのペレット化された栄養素(例えば、ビタミンペレット、アミノ酸ペレットなど)で構成されるモジュラーキットを製造する新しい可能性、または制御放出用途で使用するために、ペレット組成物を(ポリマー膜で)表面コーティングする能力。いくつかの実施形態では、種々の用途のためにペレット粒子の粒径を制御することができる。例えば、細胞培養物に使用するための水系培地/供給物懸濁物の調製に、0ミクロンから約500ミクロン未満の範囲の粒径のペレットを使用してもよい。他の実施形態では、約800~約500ミクロンの範囲の粒径のペレット粒子を、細胞培養物に使用するための複数粒子の培地/供給物錠剤の調製に使用してもよい。さらに別の実施形態では、約500~約2000ミクロンの範囲の粒径のペレット粒子を、細胞培養物に使用するための培地/供給物カプセルの調製に使用してもよい。
【0052】
本発明の一態様は、ペレット化が行われた乾燥粉末配合物を提供する。本発明の別の態様は、細胞のin vitro培養を容易にする、必要な栄養因子を全て含む細胞培養培地配合物を提供する。本発明のいくつかの実施形態は、これらのペレット化された培地配合物を製造する方法および手段を提供する。本発明のいくつかの実施形態は、これらの培地配合物または他の培地配合物に補助物質を追加する方法および手段を提供する。
【0053】
本発明の細胞培養培地は、細胞のin vitroでの増殖を維持および/または補助する、構成要素の任意の混合物であってもよい。細胞培養培地は、細胞のin vitroでの増殖を維持および/または補助するのに必要な構成要素のいくつか、一部または全てを含んでいてもよい。細胞培養培地が、いくつかの構成要素しか含んでいない場合、さらなる構成要素を別個に添加する。本発明の細胞培養培地の例は、細胞のin vitroでの増殖を維持および/または補助するのに必要な全ての構成要素を含む完全培地、培地補助物質または供給物である。好ましい実施形態では、細胞培養培地は、完全培地であってもよい。新しい形態の乾燥粉末培地の必要性が存在する。
【0054】
本発明の細胞培養培地は、皿、フラスコ、バイオリアクターまたは任意の細胞培養システムまたは入れ物、例えば、使い捨ての袋における細胞の増殖を維持および/または補助することができる。好ましい実施形態では、細胞培養培地は、化学的に定義された細胞培養培地であってもよい。化学的に定義された細胞培養培地は、化学的に定義されていない物質を含まない細胞培養培地である。このことは、培地を製造するために使用される各化学物質の化学組成および構造が、量および属性において知られ得るものであることを意味する。化学的に定義された培地は、植物、動物、酵母、真菌由来の抽出物または加水分解物を含まない。または、血清、血清画分、馴化培地、消化物、細胞抽出物、フィーダー細胞、または培地中の任意の構成要素の化学的同一性が不十分であることに寄与し得る成分を含まない。時に、化学的に定義された培地は、追跡可能な、由来の定義されたペプチドまたは定義されたタンパク質を既知の量で含むものであると定義されてもよい。
【0055】
定義
「ペレット」または「マイクロペレット」という用語は、本明細書で使用される場合、任意のペレット化工程によって圧縮され、その外観、混合特性が向上し、粒径が大きくなり、粉塵化を回避し、さらに密な材料を調製し、培地構成要素の隔離を減らし、一般的に、微細な培地粉末の物理特性および化学特性を高める「細胞培養培地組成物」を指す。乾燥ペレットは、さらに、粉末の流動性を高め、任意の培地容器(例えば、バイオリアクター、培地袋、培地シャトルまたは培地混合装置など)の入口および出口の詰まりなどの望ましくない特性を除いてもよい。
【0056】
「粉末」または「乾燥粉末」という用語は、本明細書で使用される場合、乾燥顆粒形態で存在する細胞培養のための培地粉末または粉末状培地組成物を指し、その肉眼での外観は、自由に流動するものであってもよい。「粉末」という用語は、凝集した粉末を含む。「ベース粉末」または「乾燥ベース粉末」という用語は、本明細書で使用される場合、一般的には、ペレット化され得る前の出発物質の乾燥粉末組成物を指す。「ベース粉末」または「乾燥ベース粉末」または「乾燥粉末」という用語は、相互に置き換え可能に使用されてもよく、その内容に依存して、ペレット化され得る前の出発物質の乾燥粉末を指していてもよい。しかし、または、単純に、本明細書で使用される「乾燥粉末」は、単純に、そのものを指す。特に示されていない限り、材料が、錯体化した溶媒または凝集した溶媒をまったく含み得ないことは意味しないだろう。
【0057】
「細胞培養培地組成物」または「粉末状培地組成物」または「培地粉末」または「乾燥粉末配合物」または「培地配合物」という用語は、相互に置き換え可能に使用されてもよく、広くは、例えば、本発明の培地、培地補助物質、培地サブグループまたはバッファーを含み、基本培地、完全培地、培地供給物、培地補助物質、培地添加剤、濃縮培地、濃縮補助物質および供給物、アミノ酸またはアミノ酸群、短いペプチド、ビタミン、バッファー、塩類、痕跡量の構成要素などに限定され得ない。これらの用語は、一般的に、細胞培養中に添加される構成要素を指し、当業者は、これらの用語をいつ、どのように使用するかを明確に理解しているだろう。
【0058】
「成分」という用語は、化学物質であるか、または生体由来であるかによらず、細胞の増殖の成長を維持するか、または促進するために細胞培養培地に使用することができる任意の化合物を指す。「構成要素」、「栄養物」、および「成分」という用語は、相互に置き換え可能に使用することができ、全て、このような化合物を指すことを意味している。細胞培養培地に使用される典型的な成分としては、アミノ酸、塩類、金属、糖、炭水化物、脂質、核酸、ホルモン、ビタミン、脂肪酸、タンパク質などが挙げられる。ex vivoでの細胞の培養を促進または維持する他の成分は、特定の必要性に従って、当業者が選択することができる。
【0059】
「細胞培養培地」、「培地」および「培地配合物」(それぞれの場合に、複数形の「培地(media)」)という句は、細胞の培養および/または増殖を補助する栄養溶液を指す。これらの句は、相互に置き換え可能に使用されてもよい。細胞培養培地は、基本培地(細胞の増殖を補助するためにさらなる成分を必要とする一般的な培地)、または細胞増殖を補助するための全ての構成要素またはほとんど全ての構成要素を含む完全培地であってもよい。細胞培養培地は、血清を含まないもの、タンパク質を含まないものであってもよく(片方または両方)、効率的な安定した細胞性能のために、成長因子、添加剤、供給物、補助物質などのさらなる構成要素を必要としてもよく、または必要としなくてもよい。
【0060】
「合わせる」という用語は、細胞培養培地配合物中の成分を混合するか、または混ぜることを指す。 液体または粉末の形態で、または1種類以上の粉末および1種類以上の液体を用いて、合わせてもよい。別の例において、2種類以上の粉末状構成要素を混ぜ、次いで、凝集させ、培地、培地補助物質、培地サブグループまたはバッファーなどの複雑な混合物を生産してもよい。
【0061】
「接触させる」という用語は、培養容器内で培養される細胞と、その細胞が培養される培地とを配置することを指す。「接触させる」という用語は、特に、細胞と培地とを混合すること、細胞に培地をかん流させること、培養容器中、細胞の上に培地をピペットで追加すること、および細胞を培地に沈めることを包含する。「供給-バッチ」は、試薬の濃度が、その試薬の個々の添加を足し合わせたものであるように、本発明の組成物を細胞に供給する方法を規定する。
【0062】
供給物または補助物質は、標準的な培養物の状態で細胞に添加されるとき、その管理、または拡張、または増殖、または生存率にとって有利であり得、またはその細胞性能に影響を与え、または培養物の寿命を延ばし、または産物の発現が続く疑固定相に細胞を維持し、または最終的な生成物の力価を顕著に増加させる。供給物または補助物質は、本開示で相互に置き換え可能に使用されてもよく、培養物中の細胞の増殖または性能、または細胞培養システムの均衡を保つか、回復または調整するために必要な1種類以上のアミノ酸、糖類、ビタミン、バッファー、時には、ペプチド、加水分解物、画分、成長因子、ホルモンなどを含む、培地構成要素の粉末形態および液体形態(凝集した形態を含む)を指す。供給物または補助物質は、細胞を培養することができる細胞培養培地に添加されるという点で、細胞培養培地とは区別されてもよい。当業者には理解されるだろうが、供給物/補助物質は、時には、主に、培養物中の細胞の増殖または性能、または細胞培養システムの均衡を保つか、回復または調整するために必要なアミノ酸、糖類、ビタミン、バッファーなどを含んでいてもよい。供給物または補助物質は、濃縮されていてもよく、または濃縮されていなくてもよく、または特定の構成要素のみが部分的に濃縮されていてもよい。「供給物」または「補助物質」という用語は、標準的な細胞培養培地に添加されるとき、細胞の増殖、培養物の寿命、および産物の発現を向上させる。補助物質が、抗体の産生に特に効果的であり得ることを示す例が与えられる。または、供給物または補助物質は、ハイブリドーマ細胞株、ワクチン産生のためのウイルスを培養する細胞株などに使用されてもよい。
【0063】
「細胞性能」という用語は、細胞をin vitroで培養し、限定されないが、細胞生存率、細胞カウント/数、タンパク質発現、DNA推定、タンパク質力価測定、組換えポリペプチドまたはタンパク質の産生、ポリペプチドまたはタンパク質の産生分泌、ウイルスまたはウイルス粒子の産生、分泌タンパク質、細胞が目的のタンパク質を産生/分泌したかどうか、細胞マーカーの検出、細胞が懸濁状態にあるか、または付着した細胞であるかなどのうち1つ以上の測定を含む、当業者に知られている任意の標準的なパラメータによって評価することを意味する。一般的に、細胞性能は、添加または形態の変化(例えば、ペレット、制御状態にある(液体)形態、供給物を含む培養物または供給物を含まない培養物など)に起因して、最終産物が増加し得るときに評価される。
【0064】
溶媒とは、水(蒸留水および/または脱イオン水、高品質であってもよいGibco(登録商標)Water for Injection (WFI)for Cell Culture、米国薬局方(USP)および欧州薬局方(EP)の両方に適合する細胞培養グレードの水)、バッファー、酸または塩基(pH調整剤)を意味し、これらはいずれも、1種類以上のさらなる構成要素(例えば、塩類、多糖、イオン、洗剤、安定化剤など)を含有していてもよい。
【0065】
ペレットの粒径は、レーザー光散乱または相対的なメッシュサイズの較正したふるいでの機械的な隔離によって定量されてもよい。一般的には、粒径は、標準化されたUS測定に従って、ミクロン、ミリメートル、またはメッシュサイズで表されてもよい。比較変換表を以下に提示する。本開示に記載される方法によって得られるペレットは、種々の大きさを有していてもよい。ある場合には、ペレットは、大きさが約0.05mm~7mmである。特定の態様では、本発明は、大きさが約0.05mm~約0.5mm、または約0.05mm~約1mm、または約0.05mm~約2mm、または約0.05mm~約3mm、または約0.05mm~約4mm、または約0.05mm~約5mm、または約0.05mm~約6mm、または約0.05mm~約0.1mm、または約0.05mm~約0.2mm、または約0.05mm~約0.3mm、または約0.05mm~約0.4mm、または約0.1mm~約1mm、または約0.1mm~約2mm、または約0.1mm~約3mm、または約0.1mm~約4mm、または約0.1mm~約5mm、または約0.1mm~約6mm、または約0.5mm~約1mm、または約0.5mm~約2mm、または約0.5mm~約3mm、または約0.5mm~約4mm、または約0.5mm~約5mm、または約0.5mm~約6mm、または約0.5mm~約7mm、または約1mm~約2mm、または約1mm~約3mm、または約1mm~約4mm、または約1mm~約5mm、または約1mm~約6mm、または約1mm~約7mmのペレットを提供する。特定の実施形態では、本発明は、ほとんどのペレットの大きさが約0.1mmより大きく、または約0.2mmより大きく、または約0.3mmより大きく、または約0.4mmより大きく、または約0.5mmより大きく、または約0.6mmより大きく、または約0.7mmより大きく、または約0.8mmより大きく、または約0.9mmより大きく、または約1mmより大きく、または約2mmより大きくてもよいペレット調製物を提供する。
【0066】
(表1)US粒径
【0067】
ペレット化される培地、培地供給物/補助物質および培地サブグループ、および多くの他の一般的に使用される動物細胞培養培地の配合は、当該技術分野でよく知られており、例えば、GIBCO/BRL Catalogue and Reference Guide(Invitrogen Corporation Carlsbad California)およびSigma Animal Cell Catalogue(Sigma;セントルイス、ミズーリ)の中に見出され得る。
【0068】
凝集した培地およびその調製物、特に、細胞培養に使用するためのものは、十分に記載されてきた。流動床技術によって、出発物質とは異なる特徴(特に、例えば、溶解度)を有する凝集した粉末を生成する。この技術の一般的な応用では、空気が上方向に移動するカラム中で粉末を懸濁させるのと同時に、制御された所定量の液体が、粉末の流れへと注入され、湿った状態の粉末を生成してもよい。次いで、穏やかな加熱を使用して、材料を乾燥させ、凝集した粉末を生産してもよい。凝集した培地/供給物、栄養粉末、補助物質などの調製、それらの特性、凝集した培地/供給物、栄養粉末、補助物質などをpHおよび等張性を自動化して調製する方法は、従来の出願/特許に詳細に記載されている。例えば、米国出願番号09/023,790号;11/669,827号;13/984,263号;PCT/US 2012/024194号;EP出願10175914.0号;EP公開2778221号。これらの開示は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。凝集した培地のバルク密度、安息角、粒径を分析するための方法は、例えば、米国出願11/669,827号に十分に記載されており、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【0069】
ペレット化される培地/供給物は、液体培地のpHを調整する必要なく、細胞の培養または増殖を補助するのに最適であり得るpHを有していてもよい。この種の培地は、本明細書では、「自動的にpHを調整する培地」として定義され、したがって、再構築した後に培地にバッファーを添加し、バッファーを溶解した後に培地のpHを調節するという時間がかかり、間違いやすい工程が不要になり、米国出願11/669,827号に十分に記載されており、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。例えば、これらの方法に従って調製された哺乳動物細胞培養培地は、再構築すると、pHが約7.1~約7.5、より好ましくは約7.1~約7.4、最も好ましくは約7.2~約7.4または約7.2~約7.3であってもよい。自動pH培地は、培地自体に存在するバッファー系(例えば、共役酸-塩基アミノ酸の対向する形態)を調節することによって与えられてもよい。培地中のこのようなバッファーのpHの対向する形態を調節することによって、本発明は、自動pH培地を生成し、培地を再構築する前、または再構築するときと、使用前に、適切なpHレベルを達成するために、さらなるバッファーまたはpH調整剤を添加する必要が回避される。 例えば、ナトリウムHEPES(pHを上げる)およびHEPES-HCl(pHを下げる)は、pHの対向する形態の例である。一塩基性、二塩基性および/または三塩基性のバッファー塩は、pHの対向する形態の他の例である。典型的には、一塩基性、二塩基性および三塩基性のリン酸塩が使用されるが、他の塩も適切な比率で使用されてもよい。
【0070】
「微小懸濁物」:細胞培養培地の構成要素またはベース粉末は、ペレット化のために使用する前に、所望な濃度で、溶媒に溶解されるか、懸濁されるか、コロイド化されるか、または他の方法で導入されてもよい(実施例1を参照)。
【0071】
培養開始時に培地に含まれていてもよく、または供給-バッチまたは連続した様式で添加されてもよい、本明細書に記載する培地補助物質を使用して細胞を増殖させる方法。得られた培地を、限定されないが、固定フラスコ、撹拌したフラスコ、スピナーフラスコ、撹拌した培養器、エアーリフト培養器、膜反応器(中空繊維、平坦な膜板、外部ループかん流を含む)、固体支持体上に保持された細胞を含む反応器、微孔性ビーズに固定/補足された細胞を含む反応器、および所望な細胞株の増殖または管理に適した任意の他の構造を含む種々の細胞培養ハードウェアを用い、限定されないが、バッチ、供給-バッチ、ケモスタットおよびかん流を含む種々の培養方法に使用してもよい。
【0072】
ペレットから再構築された液体培地中で増殖させることができる細胞株は、真核生物、原核生物、動物、植物、真菌、海藻、昆虫、または酵母細胞、またはウイルスまたはウイルス粒子の培養に使用される細胞であってもよい。例示的な細胞としては、限定されないが、ケラチノサイト、内皮細胞、肝細胞、メラノサイト、CHO細胞、BHK細胞、VERO細胞、293細胞、PerC6細胞、ハイブリドーマ、造血細胞、胚細胞、神経細胞などが挙げられる。
【0073】
本発明の培地に少量添加されるさらなる構成要素は、必要な場合に含まれていてもよく、または含まれていなくてもよく、例えば、血清または血清画分、成長因子(例えば、EGF、aFGF、bFGF、KGF、HGF、IGF-1、IGF-2、NGF、インスリンなど)、インターロイキン、コロニー刺激因子、インターフェロン、接続因子、細胞外マトリックス要素(例えば、コラーゲン、ラミニン、プロテオグリカン、グリソアミノグリカン、フィブロネクチン、ビトロネクチンなど)、脂質(例えば、リン脂質、コレステロール、ウシコレステロール濃縮物、脂肪酸、スフィンゴ脂質など)、ペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド)、精製されたタンパク質または組換え発現されたタンパク質(例えば、組換えアルブミン、組換えインスリン)、加水分解物(例えば、コメ、酵母、トウモロコシ、ジャガイモなどの植物)などである。
【実施例
【0074】
特に、添付の特許請求の範囲と共に、本発明の新規な特徴を記載する。 本発明の特徴および利点のよりよい理解は、本発明の原理を利用する以下の実施例を参照することによって得られるだろう。当業者は、ここに記載した実施例が本教示の単なる態様であり、本教示の範囲をいかなる様式にも限定することを意図したものではないことを理解するだろう。
【0075】
細胞培養培地、供給物、補助物質またはバッファーのペレットの製造
本明細書には、細胞培養培地、供給物、バッファーまたは補助物質の乾燥粉末からペレットを製造するための例示的なプロトコルが記載される。本明細書で述べられるこれらの手順および装置で使用される原理は、任意のペレット組成物を得るために当業者によって広く適用されてもよい。
【0076】
実施例1:微小懸濁物からペレットを製造する手動方法
押出成形プロセスを用いて供給物をペレット化する手動方法をここに提示する。
1)この実施例では、カタログ生成物Efficient Feed B AGT(図1および2において、供給物1とも呼ばれる)[Thermo Fisherカタログ番号、凝集物、A2530番]が、出発物質となる粉砕したベース粉末であった。30gのEfficient Feed B AGT(ここではリン酸ナトリウムを使用しなかった)を計量して乳鉢に入れる。配合物にはリン酸塩が含まれている場合がある。
2)12.5mlのWFI(水)を添加する。
3)緑色のプラスチックの柔軟なスパチュラを用い、粉末が濡れ、水を「取り込み」、ペーストを生成し始めるまで混ぜる。均質化のために、ペーストを十分に迅速に混合する。
4)粘性ではあるが流動可能な混合物を製造することが必要な場合には、WFIを微小懸濁物に加え、十分に混合する。必要な場合には、乳棒と乳鉢を用いて湿式粉砕する。湿式粉砕によって、微小懸濁物がさらに均質になり、激しい混合によって生じる気泡が減る。
5)容器に集める。スパチュラを使用し、最後の量の微小懸濁物を容器に「こそげ取る」(容積は約29~30mlであろう)。
6)プランジャーが完全に下げられたときに、切断部がプランジャー末端の位置と同じ位置まで離れていないことを確実にしながら、ハサミを用いて末端を約1/64インチまで切断することによって、0.5mlシリンジを備えるEppendorf Repeater-Plusを準備する。
7)位置0.5(5μl)に設定された、0.5mlシリンジを備えるEppendorf Repeater-Plusを用い、微小懸濁物をシリンジへとゆっくりと引き上げる。粘性の微小懸濁物中に空気が残って送達される量を変えないように、シリンジの中に空気を吸入しないことを確実にする。
8)Eppendorfレバーを数回押し下げ、シリンジを準備する。微小懸濁物がシリンジ末端から流出したら、シリンジ末端を拭き取る。次いで、固体疎水性表面(例えば、パラフィンまたはワックス紙)に垂直に近い位置にシリンジ末端を保持し、レバーを押し下げ、この表面に液滴を穏やかに置く。すぐに持ち上げ、レバーを再び押し下げ、これを繰り返す。非常に迅速な様式で、何回か行ってもよい。
9)ドラフトチャンバーに18~24時間入れる。図1A、1B、1Cおよび凡例を参照。
10)ペレットを集め、計量皿に入れ、CaSOの上の減圧乾燥チャンバーに置く。
11)ペレットを48~72時間乾燥させる。この得られたペレットは、ペレット供給物1、または供給物1、または供給物1のペレットと呼ばれ、これらは時には、相互に置き換え可能に使用される。3.0mlのEfficient Feed B補助物質から、0.156gのビーズを製造した。ペレットの写真については、図1A、1Bおよび1Cを参照。ビーズの大きさは、均一のようであり、ミリメートル範囲で測定した。実施例4に記載する生存率、増殖および性能(タンパク質力価)アッセイに、このビーズを使用した。
【0077】
実施例2:手動で調製した供給物1のペレットの生物学的評価
供給物1のビーズを調製し(実施例1を参照)、細胞生存率、増殖および性能(タンパク質力価)アッセイに使用した。供給物1のペレット/ビーズの結果を、液体補助物質(ポジティブコントロール、すなわち、使用前に液体で再構築され、滅菌濾過されたA2530番)と比較した。このアッセイのために、DG44-IgG細胞株をCD-OptiCHO培地(Thermo Fisherカタログ番号12681)の中で増殖させた。培養物は、ペレット形態(時にはビーズと呼ばれる)で、または液体(ポジティブコントロール)として、Efficient Feed B(EFB)(Thermo Fisherカタログ番号A2530)または供給物1が追加されていた/追加されていなかった(示されている通り)。細胞を3日間で3回継代培養し、各継代培養物を用い、細胞を3×10e個の生存可能な細胞/mlに分けた。第4継代で、毎日の細胞数計測を行った。各条件を3個ずつ実施した(すなわち、曲線1、2、3が、それぞれの種類の補助物質についての3個である)。図2Aにおいて、手動で調製したペレット(試験サンプル)の生存率を、ビーズ1、2、3の曲線に示す。液体(ポジティブコントロール)の生存率を、液体1、2、3に示す。補助物質を含まないもの(ネガティブコントロール)の生存率をネガティブコントロール1、2、3に示す。EFBビーズ/ペレットの濃度は、EFB液体フォーマットと比較して、等モル濃度であった。図2Aからわかるように、ビーズ/ペレットEFBを追加した細胞培養物(1、2、3)は、液体EFBを追加した細胞培養物(1、2、3)と比較して、特に8~16日目に良好な生存率%を示した。
【0078】
供給物1のペレット/ビーズを、細胞増殖アッセイにおいて、液体補助物質(ポジティブコントロール)と比較した(図2B)。ここでも、CD-OptiCHO培地(Thermo Fisherカタログ番号12681)中のDG44-IgG細胞株を使用した。細胞を継代培養し、2Aについて上述したように分けた。第4継代で、毎日の細胞数計測を行った。各条件を3個ずつ実施した(すなわち、曲線1、2、3が、それぞれの条件についての3個である)。図2Bでは、手動のペレット(試験サンプル)の増殖を、ビーズ1、2、3の曲線に示す。液体(ポジティブコントロール)の増殖曲線を、液体1、2、3に示す。補助物質を含まないもの(ネガティブコントロール)の増殖曲線をネガティブコントロール1、2、3に示す。EFBビーズ/ペレットの濃度は、EFB液体フォーマットと比較して、等モル濃度であった。図2Bからわかるように、ビーズ/ペレットを追加した細胞培養物(1、2、3)は、液体を追加した細胞培養物(1、2、3)と比較して、培養15日間にわたり、遜色ない細胞増殖を示した。
【0079】
細胞性能またはタンパク質力価アッセイ(抗体産生を測定する)において、供給物1のペレット/ビーズを、液体補助物質(ポジティブコントロール)と比較した(図2C)。ここでも、CD-OptiCHO培地(Thermo Fisherカタログ番号12681)中のDG44-IgG細胞株を使用した。細胞を継代培養し、2Aについて上述したように分けた。第4継代で、毎日の細胞数計測を行い、IgG産生をモニタリングした。各条件を3個ずつ実施した(すなわち、曲線1、2、3が、それぞれの条件についての3個である)。図2Cからわかるように、手動のペレットのタンパク質力価(細胞性能)を、ビーズ1、2、3の曲線に示す。液体(ポジティブコントロール)のタンパク質力価を、液体1、2、3に示す。補助物質を含まないもの(ネガティブコントロール)のタンパク質力価をネガティブコントロール1、2、3に示す。図2Cからわかるように、ビーズ/ペレットを追加した細胞培養物1、2、3は、培養15日間にわたり、約325μg/ml(産生)のIgG産生を示し、これは、ポジティブ液体コントロールEFB(1、2、3)を用いて約425μg/mlで産生したIgGよりもわずかに低かった。補助物質が追加されていないネガティブコントロールは、EFBビーズを追加した細胞培養物(試験)と比較して、かなり低いIgGを示した(約100μg/ml)。
【0080】
実施例3:例示的な自動化された流動床ペレット化プロセス
ペレットを製造するための例示的な自動化されたプロセスをここに示す。ここで、ローター技術を流動床装置/処理チャンバー(例えば、Glatt Technologies、NJ)に使用した。流動床を取り付けた任意のスピニング処理チャンバーを、細胞培養培地ペレットを製造するように適合させることができる。出発物質となる乾燥粉末(細胞培養培地、供給物など)を、回転によって移動する流動床装置のローターディスクに投入し、流動床装置に空気を流した。この場合、制御された速度で、時には断続的に、制御された温度で注意深く液体を導入し(例えば、微細な噴霧、霧、蒸気、しずく、凝縮または小さな液滴)、その結果、乾燥粉末のペレット生成が起こった。典型的には、ペレットを製造するために、他の自動装置も使用可能である。これらの装置としては、限定されないが、粉砕装置、微粉化装置、流動床プロセッサ、スピニングディスクローター、溶媒のための噴霧機などが挙げられる。培地をペレット化するための例示的なワークフローについては、図8を参照。特定の実施形態では、ペレットを以下のように作成した。
a.粉砕された乾燥ベース粉末(顆粒化していない)から出発する。任意で、ベース粉末は、適切な溶媒で前もって濡らされていてもよい。乾燥粉末は、バインダーおよび/または賦形剤を含んでいてもよく、または含んでいなくてもよい。これに加え、噴霧される溶媒は、バインダーおよび/または賦形剤を含んでいてもよく、または含んでいなくてもよい。
b.バインダーおよび/または賦形剤が乾燥ベース粉末中に存在しない場合、または、(ベース粉末に存在するよりも)もっと多くのバインダーおよび/または賦形剤が、ペレットを作成するために必要な場合には、噴霧される溶媒溶液は、適切な量のおよび/または賦形剤を含むだろう。
c.細胞培養供給物のペレットを得るための例示的なプロセスパラメータを本明細書に記載する。これらのパラメータは、試験される配合物について選択された。
i.噴霧速度:最も好ましくは5gm/分(噴霧速度の範囲:配合物に依存して、約1gm/分から約30gm/分まで)
ii.入口温度 25℃(20~25℃)
iii.生成物の温度 (20~30℃)(培地/供給物が、温度感受性の構成要素を含むため)
iv.空気の容積 (30~40m/hr)
v.霧化空気圧 2bar
vi.流動床プロセッサの中のペレットのための乾燥温度(50~60℃)(培地が、温度感受性の構成要素を含むため)。
【0081】
実施例4:自動化されたペレット化プロセスに使用される例示的な培地の調製
以下の培地組成物を使用し、自動化されたシステムでペレットを調製した。これらの組成物は、単なる例として役立ち、限定するものと解釈すべきではない。
【0082】
Thermo Fisherカタログ生成物PL002616P1は、ペレット供給物2、ペレット供給物3、ペレット供給物4およびペレット供給物5を調製するための出発物質となる乾燥ベース粉末であった。以下に記載する例示的な供給物を、ペレット化のために試験した。
【0083】
ペレットは、バインダーおよび/または賦形剤を含んでいてもよく、または含んでいなくてもよく、これを粉砕したベース粉末とブレンドしてもよく、および/またはこの粉末を用い、処理チャンバーへと噴霧してもよい。以下のペレットを得るために種々の条件を使用した。以下に詳細に記載されるペレット供給物2、ペレット供給物3、ペレット供給物4、およびペレット供給物5。このようにして得られたペレットを、3種類のアッセイで評価した。1)物理的特徴(顕微鏡写真と粒度分布を参照:図3AおよびB、4AおよびB、5AおよびB、ならびに6AおよびB);2)ペレット化前後の内容物の分析。供給物のペレットを、化学組成についてHPLCによって試験し、粉砕した粉末出発物質と比較した。アミノ酸含有量、水溶性ビタミン含有量、疎水性アミノ酸含有量などの培地構成要素のためのHPLC分析(データは示していない)は、供給培地中の複数の成分が、ペレット化の間に行った工程と乾燥工程の後に、許容範囲内で残っていることを示していた。供給物2、3、4、および5それぞれについてのペレット化前とペレット化後の分析データは、遜色ないものであった。3)これらの生物学的活性について、細胞培養物中の性能(図3~7、それぞれの供給物のペレットについて、適用可能な場合にはサブセクションCを参照)。
【0084】
培地または供給物のペレットは、細胞培養において種々の用途を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、細胞培養物に使用するための水系培地/供給物懸濁物の調製に、0ミクロンから約500ミクロン未満の範囲の粒径のペレット粒子を使用してもよい。他の実施形態では、約800~約500ミクロンの範囲の粒径のペレット粒子を、細胞培養物に使用するための複数粒子の培地/供給物錠剤の調製に使用してもよい。さらに別の実施形態では、約500~約2000ミクロンの範囲の粒径のペレット粒子を、細胞培養物に使用するための培地/供給物カプセルの調製に使用してもよい。このようなペレット化された供給物を調製するための例示的な配合を以下に提示する。
【0085】
実施例5:粉末の物理的特徴を測定するための例示的な方法
フロー分析手順のための例示的な方法
この手順を、フロー分析に使用することができ、決定することができる測定値としては、FRI(フローレート指数);FDI(供給密度指数);BDI(容器密度指数)およびSPI(バネ密度指数)が挙げられる。
1.サンプルカップの底部にある支持インサートの上にクランプで固定した適切なメッシュふるいを配置することによって、インジサイザー(indicizer)(任意のフレーレートインジサイザーシステム、例えば、Johanson Innovations,Inc、サンルイスオビスポ、CA製)のサンプル容器を組み立てる。
2.適切な秤で、インジサイザーのサンプル容器の風袋を計量する。
3.約100グラムのサンプルを適切な容器に入れ、サンプルをスプーンまたはウィスクを用いて混合することによって空気を含ませる。
4.スパチュラを用い、サンプルの一部を取り出し、そのサンプルを、サンプルが圧縮されるのを避けつつ、組み立てたインジサイザーのサンプル容器に穏やかに入れる。
5.ペレットサンプルが溢れる/インジサイザーのサンプル容器より上になるまで、サンプルの添加を繰り返す。
6.過剰量をかき取ることによって、ペレットサンプルの高さを、インジサイザーのサンプル容器の上部と穏やかに合わせる。
7.既に風袋を計量した秤を用い、インジサイザーのサンプル容器中のペレットサンプルのサンプル重量を計量し、記録する。
8.サンプル容器をインジサイザーに入れ、サンプル容器に送気管を接続する。
9.容器角度(Bin Angle)、出口の直径(Outlet diameter)、容器の直径(Bin diameter)について、インジサイザーに対して処理パラメータを設定する。試験が終了した後、インジサイザーの出力を記録する。
【0086】
安息角を測定するための例示的な手順
1.約50グラムのサンプルを適切な容器に入れ、サンプルをスプーンまたはウィスクを用いて混合することによって空気を含ませる。
2.支持プラットフォームの上に長方形の粉末床ボックスをセットする。
3.支持プラットフォームを0(ゼロ)°に確実に設定し、プラットフォームの底部で読み取る。
4.材料がこのボックスの少なくとも1つの側壁に接触し、円錐形を形成するまで、漏斗を介し、材料を長方形の粉末床ボックスに注ぐ。
5.可能な限りなめらかな移動を確保する支持スクリューを用い、サンプル床ボックスとプラットフォームをゆっくりと一定速度で上昇させる。
6.材料のピークがシフトしたらすぐに、支持スクリューの回転を止め、デバイスの分度器を用いて安息角を測定し、支持プラットフォームの基部で分度器の角度を読み取る。
【0087】
実施例6:ローター技術を用いた流動床自動ペレット化-ペレット供給物2の生産
供給物2のペレット/ビーズを、以下に記載する自動化されたプロセスで調製した。
1.粉砕された乾燥ベース粉末(顆粒化していない)Thermo Fisherカタログ番号PL002616P1-950.0g(正味の重量)を用いて開始する。任意で、ベース粉末は、特定の実施形態では、前もって濡らされていてもよい(ここではしていない)。
2.ローターディスクを取り付けた流動床プロセッサに粉末を入れる。
3.流動床プロセッサの電源を入れ、あらかじめ設定した条件(研究試行の間に特定した)にし、粉末からの直接的なペレット化を開始する。パラメータを制御する(例えば、空気の容積、霧化空気圧、流速、入口温度、出口温度、生成物温度、溶媒噴霧速度、ローターディスクの速度、ディスクギャップ、ディスク形状の空気容積、霧化空気圧流速、入口温度、出口温度、生成物温度、溶媒噴霧速度、ローターディスクの速度、ディスクギャップ、ディスク形状など)。
4.処理中にサンプルを測定する(例えば、顕微鏡 図3A、他の物理的特性=表2、粒径 図3Bおよび以下の表3)ことによって、ペレット形成をモニタリングし、いつ処理が終了するかを決定する。
5.流動床プロセッサから濡れたペレット(合計重量805.0g)を取り出す。
6.濡れたペレットを乾燥させ、物理特性分析を行う(表2)。
7.粒径測定のために約50.0gのペレットを取り出す(表3)。
【0088】
自動化方法によるペレット供給物2の物理的特徴の評価
【0089】
(表2)ペレット供給物2:物理的特徴
【0090】
安息角が50°より小さい(34.7)ことは、ペレット供給物2が良好な流動性を有することを示す。バルク密度は、所望な場合には、粒子を圧縮することができることを示す。
【0091】
(表3)ペレット供給物2:粒径分析
【0092】
供給物2の粒径分析は、粒子の約95%が60メッシュより大きく、一方、粒子の約87.8%が40メッシュより大きく、すなわち、約87.8%>0.4mmであることを示す。
【0093】
次いで、供給物2のビーズを、細胞生存率、増殖および性能(タンパク質力価)アッセイで評価した。供給物2のペレット/ビーズの結果を、液体補助物質(ポジティブコントロール)、すなわち、使用前に液体で再構築され、滅菌濾過されたThermo Fisherカタログ番号PL002616P1と比較した。このアッセイのために、DG44-IgG細胞株をCD-CHO培地(Thermo Fisherカタログ番号12490)の中で増殖させた。培養物に、ペレット形態(時にはビーズと呼ばれる)で、または液体(ポジティブコントロール)として、Thermo Fisherカタログ番号PL002616P1を追加した(示されている通り)/追加しなかった。細胞を、3日間かけて第3継代まで培養し、各継代を用い、細胞を3×10e個の生存可能な細胞/mlに分けた。第4継代で、毎日の細胞数計測を行った。
【0094】
自動化された供給物2のペレット/ビーズを、細胞増殖アッセイにおいて、液体補助物質(ポジティブコントロール)と比較した(図3C)。ビーズ/ペレットを追加した細胞培養物は、液体を追加した細胞培養物と比較して、培養15日間にわたり、遜色ない細胞増殖を示した。ペレット供給物2は、ポジティブコントロール供給物を追加した細胞培養物(約8×10e)よりわずかに大きな約10×10e細胞/ml(増殖)の生存可能な細胞数を示した。
【0095】
ペレット供給物2について生存率アッセイを行い、ポジティブコントロール(液体供給物を追加)またはネガティブコントロール(液体またはペレット補助物質の追加がない)と比較した(図7A)。7Aのグラフからわかるように、供給物2、3、および4は、特に6日後に、ポジティブコントロールと同様、ネガティブコントロールよりも良好であり、十分に遜色ないものであった。
【0096】
ペレット供給物2について細胞性能(抗体産生)アッセイを行い、ポジティブコントロール(液体供給物を追加)またはネガティブコントロール(液体またはペレット補助物質の追加がない)と比較した(図7B)。グラフ7Bからわかるように、供給物2は、特に4日後に、ポジティブコントロールと同様、ネガティブコントロールよりも良好であり、十分に遜色ないものであった。ペレット供給物2(約229μg/ml)を追加した細胞培養物は、ポジティブコントロール供給物を用いて産生した約228μg/ml(14日目)のIgGと遜色ないIgG産生度を示した。補助物質を追加していない細胞培養物アッセイ(ネガティブコントロール)は、ペレット供給物2を追加した細胞培養物と比較して、かなり低いIgG(約100μg/ml)を示した。
【0097】
実施例7:ローター技術を用いた、自動化された流動床ペレット化-ペレット供給物3の生産
供給物3のペレット/ビーズを、以下に記載する自動化されたプロセスで調製した。
1.粉砕された乾燥ベース粉末(顆粒化していない)Thermo Fisherカタログ番号PL002616P1-950.0g(正味の重量)を用いて開始する。任意で、ベース粉末は、特定の実施形態では、前もって濡らされていてもよい(ここではしていない)。
2.ローターディスクを取り付けた流動床プロセッサに粉末を入れる。
3.流動床プロセッサの電源を入れ、あらかじめ設定した条件(研究試行の間に特定した)にし、粉末からの直接的なペレット化を開始する(例えば、空気の容積、霧化空気圧、流速、入口温度、出口温度、生成物温度、溶媒噴霧速度、ローターディスクの速度、ディスクギャップ、ディスク形状など)。
4.処理中にサンプルを測定する(例えば、顕微鏡 図4A、他の物理的特性=表4、粒径 図4Bおよび以下の表5)ことによって、ペレット形成をモニタリングし、いつ処理が終了するかを決定する。流動床プロセッサから濡れたペレット(合計重量770.0g)を取り出す。
5.濡れたペレットを乾燥させ、物理特性分析を行う(表4)。
6.粒径測定のために約50.0gのペレットを取り出す(表5)。
【0098】
(表4)ペレット供給物3:粒径分析
【0099】
安息角が50°より小さい(34.9)ことは、ペレット供給物3が良好な流動性を有することを示す。バルク密度は、所望な場合には、粒子を圧縮することができることを示す。
【0100】
(表5)ペレット供給物3:粒径分析
【0101】
供給物3の粒径分析は、粒子の約88.7%が60メッシュより大きく、一方、粒子の約69.9%が40メッシュより大きく、すなわち、約69.9%>0.4mmであることを示す。
【0102】
次いで、供給物3のビーズを、供給物2とまったく同じように、細胞生存率、増殖および性能(タンパク質力価)アッセイで評価した。供給物3のペレット/ビーズの結果を、液体補助物質(ポジティブコントロール、すなわち、使用前に液体で再構築され、滅菌濾過されたThermo Fisherカタログ番号PL002616P1)と比較した。このアッセイのために、供給物2とまったく同じように、DG44-IgG細胞株をCD-CHO培地(Thermo Fisherカタログ番号12490)の中で増殖させた(供給物2のペレット=ペレット化試行1、供給物3のペレット=ペレット化試行2)。細胞を、3日間かけて第3継代まで培養し、各継代を用い、細胞を3×10e個の生存可能な細胞/mlに分けた。第4継代で、毎日の細胞数計測を行った。
【0103】
自動化された供給物3のペレット/ビーズを、細胞増殖アッセイにおいて、液体補助物質(ポジティブコントロール)と比較した(図4C)。ペレット供給物3を追加した細胞培養物は、特に、ネガティブコントロールと比較して(7日目以降)、培養物中、14日間にわたって、ポジティブコントロールと遜色ない細胞増殖を示した。ペレット供給物3は、ポジティブコントロール供給物を追加した細胞培養物(約8×10e)よりわずかに大きな約9×10e細胞/ml(増殖)の生存可能な細胞数を示した。
【0104】
ペレット供給物3について生存率アッセイを行い、ポジティブコントロール(液体供給物を追加)またはネガティブコントロール(液体またはペレット補助物質の追加がない)と比較した(図7A)。7Aのグラフからわかるように、供給物2、3は、特に6日後に、ポジティブコントロールと同様、ネガティブコントロールよりも良好であり、十分に遜色ないものであった。
【0105】
ペレット供給物2、3、および4について細胞性能(抗体産生)アッセイを行い、ポジティブコントロール(液体供給物を追加)またはネガティブコントロール(液体またはペレット補助物質の追加がない)と比較した(図7B)。グラフからわかるように、供給物3は、特に4日後に、ポジティブコントロールと同様、ネガティブコントロールよりも良好であり、十分に遜色ないものであった。ペレット供給物3(約243μg/ml)を追加した細胞培養物は、ポジティブコントロール供給物を用いたものよりもわずかに高いIgG産生度を示した。補助物質を追加していない細胞培養物アッセイ(ネガティブコントロール)は、ペレット供給物3を追加した細胞培養物と比較して、かなり低いIgG(約100μg/ml)を示した。
【0106】
実施例8:ローター技術を用いた、自動化された流動床ペレット化-ペレット供給物4の生産
供給物4のペレット/ビーズを、以下に記載する自動化されたプロセスで調製した。
1.バインダー、例えば、Avicel(登録商標)Microcrystalline Cellulose(正味の重量400.0g)FMC BioPolymer Type PH-101、Lot No.P114826548とブレンドした、粉砕された乾燥ベース粉末(顆粒化していない)Thermo Fisherカタログ番号PL002616P1-600.0g(正味の重量)を用いて開始した。
2.ローターディスクを取り付けた流動床プロセッサに、ブレンドした粉末を入れた。
7.流動床プロセッサの電源を入れ、あらかじめ設定した条件(研究試行の間に特定した)にし、粉末からの直接的なペレット化を開始した(例えば、空気の容積、霧化空気圧、流速、入口温度、出口温度、生成物温度、溶媒噴霧速度、ローターディスクの速度、ディスクギャップ、ディスク形状など)。
3.処理中にサンプルを測定する(例えば、顕微鏡 図5A、他の物理的特性=表6、分析:粒径 図5Bおよび以下の表7)ことによって、ペレット形成をモニタリングし、いつ処理が終了するかを決定する。
4.流動床プロセッサから濡れたペレット(合計重量824.1g)を取り出す。
5.濡れたペレットを乾燥させ、物理特性分析を行う(表6)。
6.粒径測定のために約50.0gのペレットを取り出す(表7)。
【0107】
(表6)ペレット供給物4:物理的特徴
【0108】
安息角が50°より小さい(43)ことは、ペレット供給物4が良好な流動性を有することを示す。バルク密度は、所望な場合には、粒子を圧縮することができることを示す。
【0109】
(表7)ペレット供給物4:粒径分析
【0110】
供給物4の粒径分析は、粒子のわずか約38.5%が60メッシュより大きく、一方、粒子のわずか約15%が40メッシュより大きく、すなわち、約15%のみ>0.4mmであることを示す。粒径の広がりは大きく、多くの粒子が、小さい粒径を有していた。
【0111】
供給物4のビーズを、供給物2および供給物3とまったく同じように、細胞生存率、増殖および性能(タンパク質力価)アッセイで評価した。供給物4のペレット/ビーズの結果を、液体補助物質(ポジティブコントロール、すなわち、使用前に液体で再構築され、滅菌濾過されたThermo Fisherカタログ番号PL002616P1)と比較した。このアッセイのために、DG44-IgG細胞株をCD-CHO培地(Thermo Fisherカタログ番号12490)の中で増殖させた。細胞を、3日間かけて第3継代まで培養し、各継代を用い、細胞を3×10e個の生存可能な細胞/mlに分けた。第4継代で、毎日の細胞数計測を行った。
【0112】
さらなるバインダー(結晶性セルロース)を含む自動化された供給物4のペレット/ビーズを、細胞増殖アッセイにおいて、液体補助物質(ポジティブコントロール)と比較した(図5C)。ペレット供給物4を追加した細胞培養物は、特に、ネガティブコントロールと比較して(7日目以降)、培養物中、14日間にわたって、ポジティブコントロールと遜色ない細胞増殖を示した。
【0113】
ペレット供給物4について生存率アッセイを行い、ポジティブコントロール(液体供給物を追加)またはネガティブコントロール(液体またはペレット補助物質の追加がない)と比較した(図7A)。7Aのグラフからわかるように、供給物2、3、および4は、特に6日後に、ポジティブコントロールと同様、ネガティブコントロールよりも良好であり、十分に遜色ないものであった。
【0114】
ペレット供給物4(バインダーセルロースを含む)について細胞性能(抗体産生)アッセイを行い、ポジティブコントロール(液体供給物を追加)またはネガティブコントロール(液体またはペレット補助物質の追加がない)と比較した(図7B)。グラフからわかるように、供給物4は、特に4日後に、ポジティブコントロールと同様、ネガティブコントロールよりもはるかに良好であり、十分に遜色ないものであった。ペレット供給物4(約200μg/ml)を追加した細胞培養物は、ポジティブコントロール供給物を用いたものよりもわずかに低いIgG産生度を示した。一方、補助物質を追加していない細胞培養物アッセイ(ネガティブコントロール)は、任意のペレット供給物4を追加した細胞培養物と比較して、かなり低いIgG(約100μg/ml)を示した。
【0115】
実施例9:ローター技術を用いた、自動化された流動床ペレット化-ペレット供給物5の生産
供給物5のペレット/ビーズを、以下に記載する自動化されたプロセスで調製した。
1.粉砕された乾燥ベース粉末Thermo Fisherカタログ番号PL002616P1-950.0g(正味の重量)を用いて開始した。
2.ローターディスクを取り付けた流動床プロセッサに粉末を入れた。
3.流動床プロセッサの電源を入れ、あらかじめ設定した条件(研究試行の間に特定した)にし、粉末からの直接的なペレット化を開始した(例えば、空気の容積、霧化空気圧、流速、入口温度、出口温度、生成物温度、溶媒噴霧速度、ローターディスクの速度、ディスクギャップ、ディスク形状など)。
4.処理中にサンプルを測定する(例えば、顕微鏡 図6A、他の物理的特性=表8、粒径 図6Bおよび以下の表9)ことによって、ペレット形成をモニタリングし、いつ処理が終了するかを決定する。
5.流動床プロセッサから濡れたペレット(合計重量824.1g)を取り出す。
6.濡れたペレットを乾燥させ、物理特性分析を行う(表8)。
7.粒径測定のために約50.0gのペレットを取り出す(表9)。
【0116】
(表8)ペレット供給物5:物理的特徴
【0117】
安息角が50°より小さい(34.9)ことは、ペレット供給物5が良好な流動性を有することを示す。バルク密度は、所望な場合には、粒子を圧縮することができることを示す。
【0118】
(表9)ペレット供給物5:粒径分析
【0119】
供給物5の粒径分析は、粒子の約83.7%が60メッシュより大きく、一方、粒子の約27.3%が40メッシュより大きく、すなわち、約27.3%>0.4mmであることを示す。
【0120】
次いで、供給物5のビーズを、供給物2、3、4とまったく同じように、細胞生存率、増殖および性能(タンパク質力価)アッセイで評価した(データは示していない)。このアッセイのために、DG44-IgG細胞株をCD-CHO培地(Thermo Fisherカタログ番号12490)の中で増殖させた。細胞を、3日間かけて第3継代まで培養し、各継代を用い、細胞を3×10e個の生存可能な細胞/mlに分けた。第4継代で、毎日の細胞数計測を行った。供給物5のペレット/ビーズの結果を、液体補助物質(ポジティブコントロール、使用前に液体で再構築され、滅菌濾過されたThermo Fisherカタログ番号PL002616P1)と比較した。
【0121】
ペレット供給物5を追加した細胞培養物は、供給物2、3、および4の結果と同様に、培養物中、14日間にわたって、ポジティブコントロールと同様の細胞増殖アッセイ、細胞生存率アッセイ、細胞性能(抗体産生)アッセイを得た(データは示していない)。
【0122】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、記載されているが、当業者にとって、このような実施形態が、単なる例として与えられていることは明らかであろう。多くの改変、変形および置き換えが、本発明から逸脱することなく、当業者によってなされるだろう。本明細書に記載する本発明の実施形態に対する種々の変更を本発明を実施する際に使用してもよいことが理解されるべきである。 以下の特許請求の範囲が、本発明の範囲を規定し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、およびこれらの等価物が、特許請求の範囲によって包含されることを意図している。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10