(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システムのためのカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20230929BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20230929BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/42
(21)【出願番号】P 2021089890
(22)【出願日】2021-05-28
(62)【分割の表示】P 2017553364の分割
【原出願日】2016-04-28
【審査請求日】2021-06-25
(32)【優先日】2015-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴィトマー ジャン-マルク
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-527835(JP,A)
【文献】特表2015-509718(JP,A)
【文献】実開昭59-117404(JP,U)
【文献】特開昭59-033781(JP,A)
【文献】特開2005-166269(JP,A)
【文献】特許第6892828(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジであって、
第一の開口部を持つハウジングを備える液体貯蔵部分であって、前記ハウジングが液体エアロゾル形成基体を保持するよう構成された、前記液体貯蔵部分と、
第一の面及び第二の面を有する毛細管材料と、
ヒーター組立品と、
を備え、
前記ヒーター組立品が、
第二の開口部を有する電気絶縁支持部と、
前記電気絶縁支持部により支持され、前記液体エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを形成するよう構成された、電気的加熱要素と、
前記第二の開口部の反対側に位置付けられ、前記ヒーター組立
品に電力を供給するよう構成された電池の電気コネクタに接続するよう構成された、第一の導電性接点部分及び第二の導電性接点部分と、
を備え、
前記電気的加熱要素は、前記第一の導電性接点部分と前記第二の導電性接点部分との間に延びるフィラメントを備え、前記第一の導電性接点部分及び前記第二の導電性接点部分は各々前記フィラメントの端部に接続され、
前記ヒーター組立
品は、前記液体貯蔵部分の前記ハウジングに接続され、
前記第一の面は前記電気的加熱要素と物理的に接触し、前記第二の面は前記第一の面の反対側にあり、前記毛細管材料は、前記液体エアロゾル形成基体を前記電気的加熱要素に毛細管作用により搬送するよう構成されている、
前記カートリッジ。
【請求項2】
前記毛細管材料及び前記電気絶縁支持部がともに、前記電気的加熱要素に接触して位置づけられた、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記電気的加熱要素は実質的に平坦である、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記フィラメントは平坦な断面を有する、請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記フィラメントは曲線的に配置されている、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記毛細管材料は、第一の毛細管材料及び第二の毛細管材料を含み、
前記第一の毛細管材料は、前記電気的加熱要素と物理的に接触し、
前記第二の毛細管材料は、前記第一の毛細管材料と物理的に接触し、前記第一の毛細管材料により前記電気的加熱要素から離間している、
請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記電気的加熱要素は、前記液体エアロゾル形成基体と流体連通している、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記電気的加熱要素は、一つの平面内に複数の導電性フィラメントを含み、該複数の導電性フィラメントは、各々前記複数の導電性フィラメントの端部に接続された、前記第一の導電性接点部分と前記第二の導電性接点部分との間に延びる、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項9】
請求項1に記載されているカートリッジの製造方法であって、前記製造方法が、
前記液体貯蔵部分を提供する工程と、
前記液体貯蔵部分を前記液体エアロゾル形成基体で充填する工程と、
前記ヒーター組立品を提供する工程と、
を含む、前記製造方法。
【請求項10】
前記電気的加熱要素が、前記ハウジングの前記第一の開口部を横切って延びる、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記電気的加熱要素が、流体が前記電気的加熱要素を通過することができるよう構成された複数の開口部を備える、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記複数の開口部が異なる寸法を有する、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
エアロゾル発生システムであって、
電源を備えるエアロゾル発生装置と、
請求項1に記載されているカートリッジと、
を備え、
前記カートリッジが前記エアロゾル発生装置に取り外し可能に結合され、また
前記エアロゾル発生装置の前記電源は電池であって、前記カートリッジの前記ヒーター組立
品に電力を供給するよう構成されている、
前記エアロゾル発生システム。
【請求項14】
前記毛細管材料及び前記電気絶縁支持部がともに、前記電気的加熱要素に接触して位置づけられた、請求項13に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記電気的加熱要素は、前記第一の導電性接点部分と前記第二の導電性接点部分との間に延びるフィラメントを備え、前記第一の導電性接点部分及び前記第二の導電性接点部分は各々前記フィラメントの端部に接続される、請求項13に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項16】
前記電気的加熱要素は実質的に平坦である、請求項15に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項17】
前記フィラメントは平坦な断面を有する、請求項16に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項18】
前記フィラメントは曲線的に配置されている、請求項17に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項19】
前記エアロゾル発生装置はさらに、本体及びマウスピース部分を備え、前記マウスピース部分は、空気が前記マウスピース部分を通過して流れるよう強制するように構成された内部バッフルを含む、請求項13に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システム、およびエアロゾル発生システム用のカートリッジに関し、カートリッジはエアロゾル形成基体を気化するために適切なヒーター組立品を備える。特に、本発明は、電気的に作動する喫煙システムなどの、手持ち式のエアロゾル発生システムに関する。本発明の態様は、エアロゾル発生システム用のカートリッジおよびそれらのカートリッジの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生システムの1つのタイプは、電気的に作動する喫煙システムである。電池および制御電子回路を備える装置部分と、エアロゾル形成基体の供給を備えるカートリッジ部分と、電気的に動作する気化器とから成る、手持ち式の電気的に作動する喫煙システムが周知である。エアロゾル形成基体の供給および気化器の両方を備えるカートリッジは、時々「カトマイザー」と呼ばれる。気化器は一般的にはヒーター組立品である。一部の周知の実施例では、エアロゾル形成基体は、液体エアロゾル形成基体、および液体エアロゾル形成基体内に浸された細長い芯の周りに巻かれたヒーターワイヤのコイルを備える気化器である。カートリッジ部分は、一般にエアロゾル形成基体の供給および電気的に動作するヒーター組立品だけでなく、ユーザーが使用時に吸ってエアロゾルを口の中へと引き出すマウスピースも含む。
【0003】
従って、エアロゾルを加熱して形成することによりエアロゾル形成液体を気化する電気的に作動する喫煙システムは、一般に、液体を保持する毛細管材料の周りに巻かれたワイヤのコイルを備える。ワイヤを通過する電流は、毛細管材料内の液体を気化するワイヤの抵抗加熱を引き起こす。毛細管材料は一般に、空気が芯を通って引き出され蒸気に混入されるように、気流経路内に保持される。その後、蒸気は冷却されエアロゾルを形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このタイプのシステムは、エアロゾルの生成については有効である可能性があるが、また低コストかつ繰り返し可能な方法での製造には困難が伴いかねない。さらに、芯およびコイル組立品は、関連付けられた電気的接続とともに、壊れやすく取扱いが困難となる可能性がある。
【0005】
製造が安価でかつ堅牢なヒーター組立品を持つ手持ち式の電気的に作動する喫煙システムなどの、エアロゾル発生システムのために適切なカートリッジを提供することが望ましい。エアロゾル発生システムの先行技術のヒーター組立品と同程度に効率が良いか、またはそれよりも効率が良い、ヒーター組立品を有するエアロゾル発生システムのためのカートリッジを提供することがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジが提供され、このカートリッジは、エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングであって、開口部を持つハウジングを備える貯蔵部分と、ハウジングに固定され、かつハウジングの開口部にわたって延びる少なくとも1つのヒーター要素を備えるヒーター組立品と、を備え、ヒーター組立品の少なくとも1つのヒーター要素は、流体が少なくとも1つのヒーター要素を通過できるように複数の開口を持ち、かつ複数の開口は異なるサイズを持つ。
【0007】
流体が少なくとも1つのヒーター要素を通過できるようにするために複数の開口を有する少なくとも1つのヒーター要素を提供することによって、少なくとも1つのヒーター要素は流体透過性となる。これは、エアロゾル形成基体(気相であるが、液相である可能性もある)が、少なくとも1つのヒーター要素、ひいてはヒーター組立品を簡単に通過できることを意味する。
【0008】
開口のサイズを変化することによって、ヒーター要素を通る流体の流れは、望む通りに、例えば、改善されたエアロゾル特性を提供するように変えられうる。例えば、ヒーター組立品を通して引き出されるエアロゾルの量は、異なるサイズの開口を使用することによって変えられうる。
【0009】
本明細書で使用される場合、「変化する(vary)」、「変化する(varies)」、「異なる(differ)」、「異なる(differs)」、および「異なる(different)」という用語は、標準的な製造公差を超える偏差、特に相互に少なくとも5パーセント逸脱する値を指す。これには、大半の開口のサイズが実質的に同一で、かつ少数の開口、例えば1つまたは2つの開口が異なるサイズを持つ実施形態、ならびに適切な開口の数、例えば開口の少なくとも5パーセントが、残りの開口とは異なるサイズを持つ実施形態を含むが、これらに限られない。
【0010】
本明細書で使用される場合、「導電性」は1×10-4Ωm以下の比抵抗を持つ材料から形成されていることを意味する。本明細書で使用される場合、「絶縁性」は1×104Ωm以上の比抵抗を持つ材料から形成されていることを意味する。
【0011】
ある一定の好ましい実施形態では、開口部の第一の領域内の開口のサイズは、開口部の第二の領域内の開口のサイズより大きい。これは有利なことに、エアロゾル発生システムの特性に基づいて第一の領域および第二の領域を配置することによって、少なくとも1つのヒーター要素を通る、ひいてはヒーター組立品を通る流体の流れを望む通りに選択できるようにする。例えば、エアロゾル発生システムの気流の特性、またはヒーター組立品の温度プロファイル、またはその両方に基づいて、第一の領域および第二の領域内の開口のサイズ、または第一の領域および第二の領域の相対的な位置を選択することができる。一部の実施形態では、第一の領域は第二の領域に対して開口部の中心に向かって位置付けられてもよい。その他の実施形態では、第二の領域は第一の領域に対して開口部の中心に向かって位置付けられてもよい。
【0012】
開口のサイズは、開口部の第一の領域と第二の領域との間で徐々に変化してもよい。別の方法として、または追加的に、開口のサイズは、開口部の第一の領域と第二の領域との間で段階的に増加してもよい。開口のサイズが、開口部の第一の領域と第二の領域との間で徐々に変化する場合、開口がエッチングによって形成されることが好ましい。
【0013】
一部の実施形態では、開口のサイズは開口部の中央部分に向かって減少する。この配置により、開口部の中央部分を通る流体の流れは開口部の周辺に対して減少される。これは、ヒーター組立品の温度プロファイル、またはカートリッジの使用が意図されているエアロゾル発生システムの気流の特性に応じて有利である場合がある。これは、開口のサイズが開口部の中央部分に向かって二次元で、すなわち開口部の高さ方向と幅方向の両方で減少する実施形態、ならびに開口のサイズが開口部の中央部分に向かって一次元でのみ減少する実施形態を含む。
【0014】
一部の実施形態では、ヒーター組立品は、開口部の幅にわたって延びる複数のヒーター要素を備え、開口部の中央部分の最も近くまで延びるヒーター要素(複数可)は、ヒーター組立品内のその他のヒーター要素の開口のサイズより小さいサイズを持つ複数の開口を備える。特定の一実施形態では、ヒーター組立品は開口部の幅にわたって延びる3つのヒーター要素を備え、中央のヒーター要素は、2つの外側のヒーター要素の開口のサイズより小さいサイズを持つ複数の開口を備える。
【0015】
ある一定の好ましい実施形態では、開口のサイズは、開口部の中央部分に向かって増加する。言い換えれば、開口部の中心に向かう少なくとも1つの開口のサイズは、開口部の中心からより遠い少なくとも1つの開口のサイズより大きい。この配置は、より多くのエアロゾルをヒーター要素の開口部の中心で通過することができるようにし、そしてこれは開口部の中心が最も重要な気化区域であるカートリッジで、例えば開口部の中心でヒーター組立品の温度がより高いカートリッジで有利である場合がある。これは、開口のサイズが開口部の中央部分に向かって二次元で、すなわち開口部の高さ方向と幅方向の両方で増加する実施形態、ならびに開口のサイズが開口部の中央部分に向かって一次元で増加のみする実施形態を含む。
【0016】
一部の実施形態では、ヒーター組立品は、開口部の幅にわたって延びる複数のヒーター要素を備え、開口部の中央部分の最も近くまで延びるヒーター要素(複数可)は、ヒーター組立品内のその他のヒーター要素の開口のサイズより大きいサイズを持つ複数の開口を備える。特定の一実施形態では、ヒーター組立品は開口部の幅にわたって延びる3つのヒーター要素を備え、中央のヒーター要素は、2つの外側のヒーター要素の開口のサイズより大きいサイズを持つ複数の開口を備える。
【0017】
本明細書で使用される場合、開口部の「中央部分」という用語は、開口部の周辺から離れ、かつ開口部の全面積より小さい面積を持つ開口部の一部を指す。例えば、中央部分は開口部の全面積の約80パーセントより小さい面積を有してもよく、約60パーセントより小さいことが好ましく、約40パーセントより小さいことがより好ましく、約20パーセントより小さいことが最も好ましい。
【0018】
複数の開口は、実質的に同一のサイズを持つ第一の開口の組、および1つ以上のより小さいサイズを持つさらなる開口の組を備えてもよい。こうした実施形態では、第一の開口の組は、さらなる開口の組のうちの1つ以上に対して開口部の中央部分からより遠くに位置してもよい。代替的な実施形態では、第一の開口の組は、1つ以上のさらなる開口の組に対して開口部の中央部分からより近くに位置してもよい。
【0019】
別の方法として、開口の各々は異なるサイズを有してもよい。
【0020】
複数の開口のサイズは、開口部の中心に向かって徐々に増加してもよい。別の方法として、または追加的に、開口のサイズは、開口部の中心に向かって段階的に増加してもよい。
【0021】
上記の実施形態のいずれかでは、開口部の中央部分に位置する開口の平均サイズは、開口部の中央部分の外側の開口の平均サイズとは異なる場合がある。例えば、開口部の中央部分に位置する開口の平均サイズは、開口部の中央部分の外側の開口の平均サイズより小さい場合がある。開口部の中央部分に位置する開口の平均サイズは、開口部の中央部分の外側の開口の平均サイズより大きいことが好ましい。ある一定の好ましい実施形態では、開口部の中央部分に位置する開口の平均サイズは、開口部の中央部分の外側の開口の平均サイズより少なくとも10パーセント大きく、少なくとも20パーセント大きいことが好ましく、少なくとも30パーセント大きいことがより好ましい。
【0022】
少なくとも1つのヒーター要素は1つ以上の導電性材料のシートを備えてもよく、これから、例えば、スタンピングまたはエッチングによって複数の開口を形成するために材料が取り除かれる。好ましい実施形態では、少なくとも1つのヒーター要素は、少なくとも1つのヒーター要素の長さに沿って延びる導電性フィラメントのアレイを備え、複数の開口は導電性フィラメントの間の隙間によって画定される。こうした実施形態では、複数の開口のサイズは、隣接するフィラメントとの間の隙間のサイズを増加または減少することによって変化してもよい。これは、導電性フィラメントの幅を変化することによって、または隣接するフィラメントとの間の間隔を変化することによって、または導電性フィラメントの幅および隣接するフィラメントとの間の間隔の両方を変化することによって達成されてもよい。
【0023】
ヒーター要素の少なくとも一部分は、ヒーター要素のその部分の隙間の寸法より大きい距離で開口部の周辺から間隙を介していることが好ましい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「フィラメント」という用語は、2つの電気接点間に配置された電気的な経路を指す。フィラメントは、任意にいくつかの経路またはフィラメントにそれぞれ枝分かれ・分岐させてもよく、またはいくつかの電気的な経路から1つの経路に合流させてもよい。フィラメントは、丸い、四角い、平面の、またはその他の任意の断面形態を有してもよい。好ましい実施形態では、フィラメントは実質的に平面の断面を持つ。フィラメントは、直線的または曲線的に配置されてもよい。
【0025】
導電性フィラメントは、実質的に平面であってもよい。本明細書で使用される場合、「実質的に平面の」とは、単一の平面内に形成され、また例えば、湾曲した形状もしくはその他の非平面形状に合うように周りに巻かれたり、または適合されたりしていないことを意味することが好ましい。平面のヒーター組立品は、製造時の取り扱いが簡単にでき、丈夫な構造が与えられる。
【0026】
導電性フィラメントはフィラメントの間の隙間を画定する。ある一定の実施形態では、この隙間は約10マイクロメートル~約100マイクロメートルの幅を持ち、約10マイクロメートル~約60マイクロメートルの幅を持つことが好ましい。フィラメントは、使用時に、材料、例えば、気化されることになる液体が隙間の中へと引き出されて、ヒーター組立品と液体との間の接触面積が増えるように、隙間の中で毛細管作用を生じさせることが好ましい。
【0027】
導電性フィラメントの直径は8マイクロメートル~100マイクロメートルであってもよく、8マイクロメートル~50マイクロメートルであることが好ましく、8マイクロメートル~39マイクロメートルであることがより好ましい。フィラメントは丸い断面でもよく、または例えば平坦な断面でもよい。導電性フィラメントは、実質的に平面であることが好ましい。導電性フィラメントが実質的に平面である場合、「直径」という用語は導電性フィラメントの幅を指す。
【0028】
導電性フィラメントは異なる直径を有してもよい。これは、ヒーター要素の温度プロファイルを望む通りに、例えば、ヒーター要素の温度を開口部の中央部分で増加するように変えられるようにする場合がある。
【0029】
単一のヒーター要素の導電性フィラメントのアレイの面積は小さくてもよく、25平方ミリメートル以下であることが好ましく、手持ち式システムの中へと組み込むことができる。ヒーター要素は、例えば、長方形で、約5ミリメートルの長さおよび約2ミリメートルの幅を有してもよい。一部の実施例では、幅は2ミリメートル未満であり、例えば幅は約1ミリメートルである。ヒーター要素の幅が狭いほど、本発明のヒーター組立品内に、より多くのヒーター要素が直列に接続されうる。直列に接続されたより幅の狭いヒーター要素を使用する利点は、ヒーター要素の組み合わせの電気抵抗が増加することである。
【0030】
導電性フィラメントは、適切な任意の導電性材料を備えてもよい。適切な材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金およびセラミック材料および金属材料でできた複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含む場合がある。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープシリコン炭化物が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。適切な合金の例としては、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル-、コバルト-、クロミウム-、アルミニウム-、チタン-、ジルコニウム-、ハフニウム-、ニオビウム-、モリブデン-、タンタル-、タングステン-、スズ-、ガリウム-、マンガン-、および鉄-含有合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporationの登録商標である。フィラメントは、1つ以上の絶縁体で被覆されていてもよい。導電性フィラメント用の好ましい材料は、304、316、304L、および316Lステンレス鋼、ならびに黒鉛である。
【0031】
導電性フィラメントは、これらのそれぞれの長さに沿って接続されておらず、かつ各々の端部においてのみ接続されてもよい。こうした配列は結果として高いレベルの電気的な効率をもたらす場合がある。ある一定の好ましい実施形態では、少なくとも1つのヒーター要素が導電性フィラメントのアレイに対して横断方向に延びる複数の横断方向のフィラメントをさらに備え、かつそれによって導電性フィラメントのアレイの中の隣接するフィラメントが接続され、複数の開口が導電性フィラメントの間の隙間および横断方向のフィラメントの間の隙間によって画定される。
【0032】
横断方向のフィラメントは、少なくとも1つのヒーター要素の剛性または構造的な安定性を増加する。これは、少なくとも1つのヒーター要素に対する組立および使用の間の損傷のリスクを減らす場合がある。これは、ヒーター組立品の組立の容易さを改善し、また異なるヒーター要素間の変化を減らすことによって製造の再現性も改善する。このタイプのヒーター組立品を提供することは、従来的な芯およびコイルの配置に優るいくつかの利点を持つ。ヒーター組立品は、容易に入手可能な材料を使用して、かつ大量生産技術を使用して安価に製造できる。ヒーター組立品は丈夫で、製造中に取扱うことおよびエアロゾル発生システムの他の部品へ固定することができ、特に取り外し可能なカートリッジの部分を形成することができる。
【0033】
横断方向のフィラメントは、任意の適切な横断方向に延び、また互いに実質的に平行であってもよく、または平行でなくてもよい。例えば、横断方向のフィラメントは互いに実質的に平行であってもよく、また導電性フィラメントのアレイから約30度~約90度のある角度で配置されてもよい。ある一定の実施形態では、横断方向のフィラメントは互いに実質的に平行であり、かつ導電性フィラメントのアレイに対して実質的に直角をなすように延びる。
【0034】
少なくとも1つのヒーター要素が複数の横断方向のフィラメントを備える場合、横断方向のフィラメントの間の隙間は実質的に一定であってもよく、かつ導電性フィラメントのアレイ内のフィラメントの間の隙間のサイズを変化させることによって開口のサイズが変化してもよい。横断方向のフィラメントの間の隙間は、複数の開口が異なる長さを持つように、少なくともヒーター要素の長さ、幅、または長さおよび幅にわたって変化することが好ましい。横断方向要素の間の隙間が少なくとも1つのヒーター要素の長さにわたって変化する場合、これは、横断方向のフィラメントの幅を変化させることによって、または隣接する横断方向のフィラメントの間の間隔を変化させることによって、または横断方向のフィラメントの幅および隣接する横断方向のフィラメントの間の間隔の両方を変化させることによって達成されてもよい。
【0035】
横断方向のフィラメントの直径は8マイクロメートル~100マイクロメートルであってもよく、8マイクロメートル~50マイクロメートルであることが好ましく、8マイクロメートル~39マイクロメートルであることがより好ましい。横断方向のフィラメントは丸い断面でもよく、または例えば平坦な断面でもよい。横断方向のフィラメントは実質的に平面であることが好ましい。横断方向のフィラメントが実質的に平面である場合、「直径」という用語は導電性フィラメントの幅を指す。
【0036】
好ましい実施形態では、導電性フィラメントと横断方向のフィラメントは実質的に同一の直径を持つ。好ましい実施形態では、導電性フィラメントと横断方向のフィラメントは両方とも実質的に平面である。
【0037】
複数の横断方向のフィラメントのうちの1つ以上は、ヒーター要素の幅全体にわたって延びてもよい。別の方法として、または追加的に、複数の横断方向のフィラメントの少なくとも一部、好ましくは実質的にすべては、少なくとも1つのヒーター要素の幅の一部のみにわたって延びる。こうした実施形態では、2つ以上の横断方向のフィラメントは、それらの横断方向のフィラメントが少なくともヒーター要素の幅全体にわたって実質的に直線に沿って一緒に延びるように、同軸の関係で配置される場合がある。ある一定の好ましい実施形態では、複数の横断方向のフィラメントの少なくとも一部、好ましくは実質的にすべては、少なくとも1つのヒーター要素の幅の一部のみにわたって延び、かつ少なくとも1つのヒーター要素の長さに沿ってずらされる。言い換えれば、連続的な横断方向のフィラメントはヒーター要素の幅にわたって、ヒーター要素の長さ方向でずれる。
【0038】
ある一定の好ましい実施形態では、複数の横断方向のフィラメントの少なくとも一部、好ましくは実質的にすべては、2つの導電性フィラメントの間の単一の隙間のみにわたって延び、かつヒーター要素の長さに沿ってずらされる。この配置により、アレイの中の各フィラメントの長さに沿ってこれに続く横断方向のフィラメント間の間隔は低減され、そのどちらの側でも支持されていない各フィラメントの量を減らす。ひいては、ヒーター要素の強度または剛性への有害な影響なしに、隣接する横断方向のフィラメントの間の隙間および開口の長さを増やすことができる。これは、ヒーター要素の剛性または構造的な安定性への有害な影響無しに、ヒーター要素の流体流れ特性およびカートリッジのエアロゾル送達特性を望ましいように変化させることができるようにする場合がある。
【0039】
複数の横断方向のフィラメントは、任意の適切な材料から形成されてもよい。例えば、複数の横断方向のフィラメントは、電気絶縁材料から形成されてもよい。一定の好ましい実施形態では、横断方向のフィラメントは導電性である。こうした実施形態では、横断方向のフィラメントは、導電性フィラメントのアレイに関して説明した上述の材料のいずれかから形成されてもよい。複数の横断方向のフィラメントは、導電性フィラメントのアレイと同一の材料から形成されることが好ましい。
【0040】
ある一定の好ましい実施形態では、複数の横断方向のフィラメントの少なくとも一部、好ましくは実質的にすべては導電性であり、かつ2つの導電性フィラメントの間の単一の隙間のみにわたって延び、かつヒーター要素の長さに沿ってずらされる。この配置では、アレイの中のフィラメントおよび横断方向のフィラメントの間の接合部は、各々3つの電気的な経路を画定する。これは、フィラメントの間の接合部が4つの電気的な経路を各々画定する従来的なメッシュヒーター要素とは対照的である。いかなる特定の理論に束縛されることも望まないが、横断方向の導電性要素の数、ひいては電気的な経路の数を減らすことによって、本発明のヒーター要素はヒーター要素にわたって電流方向をより良好に維持することができ、結果としてヒーター要素面積にわたって温度プロファイルのばらつきの低減をもたらし、高温点をより少なくすることにつながり、そしてこれは性能のばらつきを減らす場合があると考えられる。
【0041】
さらに、横断方向のフィラメントが長さ方向に沿ってずらされることによる。
【0042】
本発明の第二の態様によると、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジが提供され、これは、エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを備える貯蔵部分であって、ハウジングが開口部を持つ、貯蔵部分と、ハウジングに固定されかつハウジングの開口部にわたって延びる少なくとも1つのヒーター要素を備えるヒーター組立品と、を備え、ヒーター組立品の少なくとも1つのヒーター要素は、少なくとも1つのヒーター要素の長さに沿って延びる導電性フィラメントのアレイ、および導電性フィラメントのアレイに対して横断方向に延び、それによって導電性フィラメントのアレイの中の隣接するフィラメントが接続される、複数の横断方向のフィラメントを備え、導電性フィラメントの間の隙間および横断方向のフィラメントの間の隙間が、流体が少なくとも1つのヒーター要素を通過できるように複数の開口を画定し、また複数の横断方向の導電性フィラメントの少なくとも一部、好ましくは実質的にすべてが、少なくとも1つのヒーター要素の幅の一部のみにわたって延び、かつ少なくとも1つのヒーター要素の長さに沿ってずらされる。
【0043】
この配置により、アレイの中の各フィラメントの長さに沿ってこれに続く横断方向のフィラメント間の間隔は低減され、そのどちらの側でも支持されていない各フィラメントの量を減らす。ひいては、ヒーター要素の強度または剛性への有害な影響なしに、隣接する横断方向のフィラメントの間の隙間および開口の長さを増やすことができる。これは、ヒーター要素の剛性または構造的な安定性への有害な影響無しに、ヒーター要素の流体流れ特性およびカートリッジのエアロゾル送達特性を望ましいように変化させることができるようにする場合がある。
【0044】
複数の横断方向のフィラメントは、任意の適切な材料から形成されてもよい。例えば、複数の横断方向のフィラメントは、電気絶縁材料から形成されてもよい。一定の好ましい実施形態では、横断方向のフィラメントは導電性である。こうした実施形態では、横断方向のフィラメントは、導電性フィラメントのアレイに関して説明した上述の材料のいずれかから形成されてもよい。複数の横断方向のフィラメントは、導電性フィラメントのアレイと同一の材料から形成されることが好ましい。
【0045】
ある一定の好ましい実施形態では、複数の横断方向のフィラメントの少なくとも一部、好ましくは実質的にすべては導電性である。
【0046】
この配置では、アレイの中のフィラメントおよび横断方向のフィラメントの間の接合部は、各々3つの電気的な経路を画定する。これは、フィラメントの間の接合部が4つの電気的な経路を各々画定する従来的なメッシュヒーター要素とは対照的である。いかなる特定の理論に束縛されることも望まないが、横断方向の導電性要素の数、ひいては電気的な経路の数を減らすことによって、本発明のヒーター要素は、ヒーター要素にわたって電流方向をより良好に維持することができ、結果としてヒーター要素面積にわたって温度プロファイルのばらつきの低減をもたらし、高温点をより少なくすることにつながり、これが性能のばらつきを減らす場合があると考えられる。
【0047】
複数の横断方向の導電性フィラメントのうちの1つ以上は、ヒーター要素の幅全体にわたって延びてもよい。ある一定の好ましい実施形態では、複数の横断方向のフィラメントの少なくとも一部、好ましくは実質的にすべては、2つの導電性フィラメントの間の単一の隙間のみにわたって延び、かつヒーター要素の長さに沿ってずらされる。
【0048】
この配置により、長さに沿って、またアレイの中の各フィラメントのいずれかの側のこれに続く横断方向のフィラメント間の間隔が横断方向のフィラメントの所与の数に対して減らされるため、より少ない横断方向のフィラメントを使用して、少なくとも1つのヒーター要素の構造的な安定性を増加または維持することができる。ひいては、ヒーター要素の強度または剛性への有害な影響なしに、隣接する横断方向のフィラメントの間の隙間および開口の長さを増やすことができる。
【0049】
ヒーター要素が導電性フィラメントのアレイおよび複数の横断方向のフィラメントを備える上記の実施形態のいずれかでは、これらのフィラメントは、各々直径が約8マイクロメートル~約100マイクロメートルであることが好ましく、約8マイクロメートル~約50マイクロメートルであることが好ましく、約8マイクロメートル~約30マイクロメートルであることがより好ましい。フィラメントは丸い断面でもよく、または例えば平坦な断面でもよい。導電性フィラメントおよび横断方向のフィラメントは実質的に平面であることが好ましい。フィラメントが実質的に平面である場合、「直径」という用語はフィラメントの幅を指す。フィラメントが実質的に平面である場合、少なくとも1つのヒーター要素は、導電性材料の1つ以上のシートを備え、これからフィラメントを形成するために材料が、例えば、スタンピングによってまたはエッチングによって取り除かれることが好ましい。
【0050】
導電性フィラメント、または複数の横断方向のフィラメント、またはこれらの両方は、異なる直径を有してもよい。これは、ヒーター要素の温度プロファイルを望む通りに、例えば、ヒーター要素の温度を開口部の中央部分で増加するように変えられるようにする場合がある。
【0051】
上記の実施形態のいずれかでは、複数の開口は、任意の適切なサイズまたは形状を有してもよい。一部の実施形態では、複数の開口の各々はヒーター要素の長さ方向に細長い。有利なことに、ヒーター要素の長さ方向に細長いことによって、ヒーター要素を通した電流方向はより良好に維持される場合がある。こうした実施形態では、複数の開口は各々約10マイクロメートル~約100マイクロメートルの幅を持ってもよく、約10マイクロメートル~約60マイクロメートルの幅を持つことが好ましい。これらのおよその寸法を有する開口を使用することで、開口内にエアロゾル形成基体のメニスカスが形成することができ、またヒーター組立品のヒーター要素のために毛細管作用によってエアロゾル形成基体を引き出すことができる。
【0052】
カートリッジは、エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングを備える貯蔵部分を備え、ヒーター組立品は貯蔵部分のハウジングに固定された少なくとも1つのヒーター要素を含む。ハウジングは剛直なハウジングであり、かつ流体に対して不透過性であってもよい。本明細書で使用される場合、「剛直なハウジング」とは、自立型のハウジングを意味する。貯蔵部分の剛直なハウジングは、ヒーター組立品に対する機械的な支持を提供することが好ましい。
【0053】
貯蔵部分のハウジングは、毛細管材料を含んでもよく、また毛細管材料はフィラメント間の隙間の中へと延びてもよい。
【0054】
毛細管材料は繊維質または海綿状の構造を持ってもよい。毛細管材料は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管材料は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含んでもよい。繊維または糸は、一般的に液体をヒーターに移動するように整列していてもよい。別の方法として、毛細管材料は海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管材料の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成し、それを通して液体を毛細管作用によって搬送することができる。毛細管材料は、適切な任意の材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。毛細管材料は異なる液体物理特性で使用されるように、適切な任意の毛細管および空隙率を持ってもよい。液体は、毛細管作用により毛細管装置を通過して搬送できるようにする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性を持つ。
【0055】
毛細管材料は、導電性フィラメントと接触してもよい。毛細管材料は、フィラメント間の隙間に延びてもよい。ヒーター組立品は、毛細管作用によりエアロゾル形成基体を隙間の中へと引き込んでもよい。毛細管材料は、実質的に開口部の広がり全体にわたり、導電性フィラメントと接触してもよい。
【0056】
ハウジングは、2つ以上の異なる毛細管材料を含んでもよく、少なくとも1つのヒーター要素と接触している第一の毛細管材料はより高い熱分解温度を持ち、また第一の毛細管材料と接触しているが少なくとも1つのヒーター要素とは接触してない第二の毛細管材料はより低い熱分解温度を持つ。第一の毛細管材料は第二の毛細管材料がその熱分解温度を上回る温度に晒されないように、ヒーター要素を第二の毛細管材料から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。本明細書で使用される場合、「熱分解温度」は、材料が分解を始め、気体状の副産物を発生することにより質量を損失する温度を意味する。第二の毛細管材料は、有利なことに第一の毛細管材料よりも大きな容積を占めてもよく、また第一の毛細管材料よりも多くのエアロゾル形成基体を保持してもよい。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料よりも優れた芯の性能を持ってもよい。第二の毛細管材料は、第一の毛細管材料よりも安価であるか、または高い充填能力を持ってもよい。第二の毛細管材料はポリプロピレンであってもよい。
【0057】
第一の毛細管材料は、ヒーター組立品を第二の毛細管材料から少なくとも1.5ミリメートルの距離で分離してもよく、また第一の毛細管材料を横切って十分な温度降下を提供するために、1.5ミリメートル~2ミリメートルであることが好ましい。
【0058】
カートリッジの開口部は、幅および長さの寸法を持つ。少なくとも1つのヒーター要素は、ハウジングの開口部の長さの寸法全体にわたって延びる。幅の寸法は、開口部の平面内で長さの寸法に直角をなす寸法である。ヒーター組立品の少なくとも1つのヒーター要素は、ハウジングの開口部の幅よりも狭い幅を持つことが好ましい。
【0059】
ヒーター要素の一部分は、開口部の周辺部と間隙を介することが好ましい。ヒーター要素がそれぞれの端部においてハウジングに取り付けられた細片を備える場合、細片の側部はハウジングに接触しないことが好ましい。細片の側部と開口部の周辺部との間には間隔があることが好ましい。
【0060】
ヒーター要素の幅は、少なくとも開口部の領域では開口部の幅より小さくてもよい。ヒーター要素の幅は、開口部のすべてにおいて開口部の幅より小さくてもよい。
【0061】
ヒーター組立品の少なくとも1つのヒーター要素の幅は、ハウジングの開口部の幅の90パーセント未満、例えば50パーセント未満、例えば30パーセント未満、例えば25パーセント未満であってもよい。
【0062】
少なくとも1つのヒーター要素の面積は、ハウジングの開口部の面積の90パーセント未満、例えば50パーセント未満、例えば30パーセント未満、例えば25パーセント未満であってもよい。ヒーター組立品のヒーター要素の面積は、例えば開口部の面積の10パーセント~50パーセントであってもよく、開口部の面積の15~25パーセントであることが好ましい。
【0063】
ヒーター要素の全面積に対する開口の面積比である、少なくとも1つのヒーター要素の開口部面積は、約25パーセント~約56パーセントであることが好ましい。
【0064】
ヒーター要素は、電気的に絶縁された基体上で支持されることが好ましい。絶縁基体は、ハウジングの開口部を画定する開口部を持つことが好ましい。開口部は適切な任意の形状のものであってもよい。例えば、開口部は円形、正方形、または長方形の形状を持ってもよい。開口部の面積は小さくてもよく、約25平方ミリメートル以下であることが好ましい。
【0065】
電気的に絶縁された基体は、適切な任意の材料を備えてもよく、高温(摂氏300度を超える)および急激な温度変化に耐えることができる材料であることが好ましい。適切な材料の一例は、Kapton(登録商標)などのポリイミド膜である。電気的に絶縁された基体は、柔軟なシート材料であってもよい。導電性接点部分および導電性フィラメントは、互いに一体型で形成されてもよい。
【0066】
少なくとも1つのヒーター要素は、ヒーター組立品のヒーター要素が開口部の周辺全体の周りで接触する場合と比較して、基体との物理的な接触面積が縮小するように配置されることが好ましい。少なくとも1つのヒーター要素は、開口部の窓側の壁の外周部と直接接触しないことが好ましい。このようにして基体への熱的接触は低減され、また基体およびさらに隣接したエアロゾル発生システムの要素への熱損失が低減される。
【0067】
特定の任意の理論に束縛されることは望まないが、ヒーター要素をハウジング開口部から離れるように間隔を持たせることで、ハウジングに伝達される熱がより少なくなり、ひいては加熱の効率、またしたがってエアロゾル発生の効率が向上すると考えられる。発熱体が開口部の周辺部に近いかまたはそれと接触している場合、開口部から離れた位置にある材料が加熱されるとも考えられる。こうした開口部から離れたところにある加熱された材料はエアロゾルの形成に利用できないため、この加熱は非効率につながると考えられる。発熱体をハウジング内の開口部の周辺から離れるように間隔を置くことで、材料のより効率の良い加熱、またはエアロゾルの製造が得られるようになる場合がある。
【0068】
ヒーター要素と開口部周辺との間の間隔は、熱的接触が著しく減少するような寸法であることが好ましい。ヒーター要素と開口部周辺との間の間隔は、25マイクロメートル~40マイクロメートルであってもよい。
【0069】
エアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムであってもよい。
【0070】
基体は、少なくとも1つのヒーター要素と接触するための少なくとも第一の導電性接点部分および第二の導電性接点部分を備え、第一の導電性接点部分および第二の導電性接点部分は互いに、開口部の反対側に位置付けられていることが好ましく、第一の導電性接点部分および第二の導電性接点部分は、外部電源と接触できるように構成されている。
【0071】
ヒーター組立品は、単一のヒーター要素または並列で接続された複数のヒーター要素を備えてもよい。ヒーター組立品は、直列に接続された複数のヒーター要素を備えることが好ましい。基体が少なくとも1つのヒーター要素に接触するための少なくとも第一の導電性接点部分および第二の導電性接点部分を備える場合、第一の導電性接点部分および第二の導電性接点部分は、第一の接点部分が直列に接続されたヒーター要素の最初のヒーター要素に接触し、第二の接点部分が最後のヒーター要素と接触するように配置されてもよい。すべてのヒーター要素を直列に接続できるように、ヒーター組立品には追加的な接点部分が提供されている。これらの追加的な接点部分は、基体の開口部のそれぞれの側に提供されることが好ましい。
【0072】
ヒーター組立品が複数のヒーター要素を含む場合、2つ以上の複数のヒーター要素は実質的に同一のサイズを持つ複数の開口を画定する場合がある。別の方法として、または追加的に、ヒーター組立品は、第一のサイズを持つ複数の開口を画定する第一のヒーター要素および第二のサイズを持つ複数の開口を画定する第二のヒーター要素を備えてもよく、第一のサイズと第二のサイズとは異なる。例えば、ヒーター組立品は3つのヒーター要素を備えてもよく、そのうちの2つは第一のサイズを持つ複数の開口を画定し、またそのうちの残りの1つは第一のサイズとは異なる第二のサイズを持つ複数の開口を画定する。一部の実施形態では、ヒーター組立品は複数のヒーター要素を含み、その各々がその他のヒーター要素とは異なるサイズを持つ複数の開口を画定する。
【0073】
ヒーター組立品が複数のヒーター要素を含む場合、ヒーター要素は空間的に実質的に相互に平行に配置されることが好ましい。ヒーター要素は相互に間隙を介することが好ましい。特定の任意の理論に束縛されることは望まないが、ヒーター要素を相互に離して間隔を置くことで、より効率的な加熱を与える場合があると考えられる。ヒーター要素の間隔を適切に開けることで、例えば同じ面積を持つ単一の発熱体が使用される場合に比べて、例えば開口部の面積にわたりより均一な加熱が獲得される場合がある。
【0074】
特に好ましい実施形態では、ヒーター組立品は奇数のヒーター要素、好ましくは3つまたは5つのヒーター要素を備え、また第一の接点部分および第二の接点部分は基体の開口部の反対側に位置する。この配置は、第一の接点部分および第二の接点部分が開口部の反対側に配置されるという利点を持つ。
【0075】
ヒーター組立品は、別の方法として、偶数のヒーター要素、好ましくは2つまたは4つのヒーター要素を含んでもよい。この実施形態では、接点部分はカートリッジの同じ側に位置することが好ましい。この配置で、ヒーター組立品の電源への電気的接続のどちらかと言えばコンパクトな設計が達成される場合がある。
【0076】
一部の実施例では、少なくとも1つのヒーター要素は、電気的に絶縁された基体に固定された第一の面を持ち、かつ第一の導電性接点部分および第二の導電性接点部分は、ヒーター要素の第一の面の反対側である第二の面にある外部電源と接触できるように構成される。
【0077】
ヒーター要素の一部を形成する導電性接点部分の提供により、信頼性がありかつ単純な電源へのヒーター組立品の接続が許容される。
【0078】
ヒーター組立品が複数のヒーター要素を含む場合、複数のヒーター要素の少なくとも1つは第一の材料を含んでもよく、また複数のヒーター要素のその他の少なくとも1つは第一の材料とは異なる第二の材料を含んでもよい。これは、電気的なまたは機械的な理由から有益である場合がある。例えば、ヒーター要素のうちの1つ以上は、鉄アルミニウム合金など、温度に伴い著しく変化する抵抗を持つ材料から形成されていてもよい。これにより、温度または温度変化を決定するために使用されるヒーター要素の抵抗の測定をすることができる。これを、吸煙検出システム内で、ヒーター温度を望ましい温度範囲内に保つためにヒーター温度の制御に使用することができる。
【0079】
ヒーター組立品の電気抵抗は、0.3~4オームであることが好ましい。ヒーター組立品の電気抵抗は0.5~3オームであることがより好ましく、約1オームであることがより好ましい。
【0080】
ヒーター組立品の少なくとも1つのヒーター要素が導電性フィラメントのアレイを備え、またヒーター組立品が少なくとも1つのヒーター要素の接触のために導電性接点部分をさらに備える場合、導電性フィラメントのアレイの電気抵抗は、接点部分の電気抵抗より少なくとも1桁大きいことが好ましく、少なくとも2桁大きいことがより好ましい。これにより、少なくとも1つのヒーター要素を通して電流を通過させることによって発生した熱は確実に複数の導電性フィラメントに局在化される。電源が電池であるエアロゾル発生システムでカートリッジが使用される場合、ヒーター組立品は全体的な抵抗が低いことが一般的に有利である。電気接点とフィラメントとの間の寄生損失を最小化することも、寄生電力損失を最小化するために望ましい。低抵抗で大電流のシステムは、ヒーター組立品に高電力を送達できる。これにより、ヒーター組立品は導電性フィラメントを素早く望ましい温度に加熱できる。
【0081】
導電性接点部分は、導電性フィラメントに直接固定されてもよい。接点部分は導電性フィラメントと電気的に絶縁された基体との間に位置付けられてもよい。例えば、接点部分は、絶縁基体上にメッキされた銅箔から形成されてもよい。接点部分はフィラメントと、絶縁基体が結合するよりも簡単に結合してもよい。
【0082】
別の方法として、導電性接点部分は、ヒーター要素の導電性フィラメントと一体型であってもよい。例えば、ヒーター要素は、導電性シートのエッチングまたは電鋳によって、二つの接点部分間に複数のフィラメントを提供することにより形成されてもよい。
【0083】
ヒーター組立品の少なくとも1つのヒーター要素は、第一の材料から作製された少なくとも1つのフィラメントと、第一の材料とは異なる第二の材料から作製された少なくとも1つのフィラメントとを備えてもよい。これは、電気的なまたは機械的な理由から有益である場合がある。例えば、フィラメントの1つ以上は、鉄アルミニウム合金など、温度に伴い著しく変化する抵抗を持つ材料から形成されていてもよい。これにより、温度または温度変化を決定するために使用されるフィラメントの抵抗の測定ができる。これを、吸煙検出システム内で、ヒーター温度を望ましい温度範囲内に保つためにヒーター温度の制御に使用することができる。
【0084】
ヒーター組立品は実質的に平面であることが好ましい。
【0085】
「実質的に平面の」ヒーター組立品という用語は、単一の平面内に形成され、かつ湾曲した形状またはその他の非平面形状に合うように周りに巻かれない、またはその他の方法で適合されない、ヒーター組立品を指すために使用される。従って、実質的に平面のヒーター組立品は、第三の次元で延びるよりも表面に沿った2つの次元で実質的により延びる。特に、2つの寸法における表面内の実質的に平面のヒーター組立品の寸法は、表面に対して垂直な第三の寸法よりも少なくとも5倍大きい。平面のヒーター組立品は、製造時の取り扱いが簡単にでき、丈夫な構造が与えられる。
【0086】
少なくとも1つのヒーター要素は、複数の導電性フィラメントを、例えば、はんだ付けまたは溶接によってメッシュを形成するように、一緒に結合することによって形成されてもよい。少なくとも1つのヒーター要素は、エッチング(例えば、ウエットエッチング)および電鋳の両方のうちの1つによって形成されることが好ましい。どちらの場合でも、ヒーター要素の上に開口の特定のパターンを作り出すためにマスクまたはマンドレルを使用してもよい。有利なことに、これらのプロセスは非常に正確であり、より良好に制御された開口サイズを有するヒーター要素を作り出すことができる。これは性能特性のヒーターごとの再現性を改善する場合がある。
【0087】
エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱により放出されてもよい。
【0088】
エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有する、たばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に密度の高い安定したエアロゾルの形成を容易にし、またシステムの作動の使用温度で熱分解に対して実質的に抵抗性のある、任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリン(最も好ましい)など)である。エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0089】
本発明の第三の態様によると、上述の実施形態のいずれかによるエアロゾル発生装置およびカートリッジを備えるエアロゾル発生システムが提供され、カートリッジは装置に取り外し可能なように結合された、また装置はヒーター組立品のための電源を含む。
【0090】
本明細書で使用される場合、カートリッジが装置に「取り外し可能なように結合される」とは、装置またはカートリッジのいずれも著しく損傷することなく、カートリッジおよび装置が互いに結合および分離できることを意味する。
【0091】
カートリッジは消費後に交換可能である。カートリッジがエアロゾル形成基体およびヒーター組立品を保持するため、主要ユニットを長めに使用した後でさえも最適な気化条件が維持されるようにヒーター組立品も定期的に交換される。
【0092】
システムは電気的に作動する喫煙システムであってもよい。このシステムは手持ち式エアロゾル発生システムであってもよい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズであってもよい。喫煙システムの全長は、およそ30ミリメートル~およそ150ミリメートルであってもよい。喫煙システムの外径は、およそ5ミリメートル~およそ30ミリメートルの外径であってもよい。
【0093】
システムは、ヒーター組立品および電源に接続された電気回路をさらに備えてもよく、電気回路は、ヒーター組立品の、またはヒーター組立品の少なくとも1つのヒーター要素の1つ以上のフィラメントの電気抵抗をモニターし、ヒーター組立品の電気抵抗または特異的に1つ以上のフィラメントの電気抵抗に依存して、電源からのヒーター組立品への電力供給を制御するように構成される。ヒーター要素の温度をモニターすることにより、システムはヒーター組立品の過熱または加熱不足を防止し、最適な気化条件を確実に提供することができる。
【0094】
電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向けICチップ(ASIC)または制御を提供する能力を持つその他の電子回路であってもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路はヒーターへの電力供給を調節するよう構成されてもよい。電力はシステムの起動後、ヒーター組立品に連続的に供給してもよく、または毎回の吸煙ごとなどのように断続的に供給してもよい。電力は、電流パルスの形態でヒーター組立品に供給されてもよい。
【0095】
エアロゾル発生装置は、カートリッジのヒーター組立品のための電源を含む。電源は、リン酸鉄リチウム電池などの装置の中の電池であってもよい。別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要としてもよく、1回以上の喫煙の体験のために十分なエネルギーを蓄積できる容量を持ってもよい。例えば、電源は従来型の紙巻たばこ1本の喫煙にかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分間の倍数の時間にわたりエアロゾルを連続的に生成できるようにするのに十分な容量を持ってもよい。別の実施例では、電源が所定の回数の吸煙、またはヒーターの不連続的な起動を可能にする十分な容量を持ってもよい。
【0096】
貯蔵部分は、ヒーター組立品の第一の側の上に位置付けられてもよく、また気流チャネルは、ヒーター組立品を通過する気流が気化したエアロゾル形成基体を混入するように、ヒーター組立品の貯蔵部分に対して反対側の上に位置付けられる。
【0097】
本発明の第四の態様によると、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジの製造方法が提供され、この方法は、開口部を持つハウジングを備える貯蔵部分を提供する工程と、貯蔵部分をエアロゾル形成基体で充填する工程と、ハウジングの開口部にわたって延びる少なくとも1つのヒーター要素を備えるヒーター組立品を提供する工程と、を含み、ヒーター組立品の少なくとも1つのヒーター要素は、流体が少なくとも1つのヒーター要素を通過できるように複数の開口を持ち、かつ複数の開口は異なるサイズを持つ。
【0098】
本発明の第五の態様によると、エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジの製造方法が提供され、この方法は、開口部を持つハウジングを備える貯蔵部分を提供する工程と、貯蔵部分をエアロゾル形成基体で充填する工程と、ハウジングの開口部にわたって延びる少なくとも1つのヒーター要素を備えるヒーター組立品を提供する工程と、を含み、ヒーター組立品の少なくとも1つのヒーター要素は、少なくとも1つのヒーター要素の長さに沿って延びる導電性フィラメントのアレイ、および導電性フィラメントのアレイに対して横断方向に延び、かつそれによって導電性フィラメントのアレイの中の隣接するフィラメントが接続される、複数の横断方向の導電性フィラメントを備え、導電性フィラメントの間の隙間および横断方向の導電性フィラメントの間の隙間が、流体が少なくとも1つのヒーター要素を通過できるように複数の開口を画定し、また複数の横断方向の導電性フィラメントの少なくとも一部、好ましくは実質的にすべてが、少なくとも1つのヒーター要素の幅の一部のみにわたって延び、かつ少なくとも1つのヒーター要素の長さに沿ってずらされる。
【0099】
1つ以上の態様に関して説明した特徴は、本発明の他の態様に等しく適用されてもよい。特に、第一の態様のカートリッジに関して説明した特徴は、第二の態様のカートリッジに等しく適用されてもよく、またその逆も言える。そして第一の態様および第二の態様のいずれかのカートリッジに関して説明した特徴は、第四の態様および第五の態様の製造の方法に等しく適用されてもよい。
【0100】
ここで本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが説明する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1A】
図1Aは、本発明の実施形態によりカートリッジを組み込んだシステムの概略図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の実施形態によりカートリッジを組み込んだシステムの概略図である。
【
図1C】
図1Cは、本発明の実施形態によりカートリッジを組み込んだシステムの概略図である。
【
図1D】
図1Dは、本発明の実施形態によりカートリッジを組み込んだシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すシステムのカートリッジの分解組立図である。
【
図3】
図3は、3つのヒーター要素を有する第一の実施例のヒーター組立品を示す。
【
図4】
図4は、第一の実施例のヒーター要素の拡大した部分図を示す。
【
図5】
図5は、第二の実施例のヒーター要素の拡大した部分図を示す。
【
図6】
図6は、第二の実施例の3つのヒーター要素を有する第一の実施例のヒーター組立品を示す。
【
図7】
図7は、第三の実施例の4つのヒーター要素を有するヒーター組立品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0102】
図1A~
図1Dは、本発明の実施形態によるカートリッジを含む、エアロゾル発生システムの概略図である。
図1Aは、エアロゾル発生装置10つまりは主要ユニットと、別個のカートリッジ20との概略図であり、これらは併せてエアロゾル発生システムを形成する。この例では、エアロゾル発生システムは電気的に作動する喫煙システムである。
【0103】
カートリッジ20は、エアロゾル形成基体を含み、装置内のくぼみ18内に受けられるように構成される。カートリッジ20は、カートリッジ内に提供されたエアロゾル形成基体が消耗した時に、ユーザーによって交換可能であるべきである。
図1Aは、装置への挿入直前のカートリッジ20を示し、
図1Aの矢印1は、カートリッジの挿入方向を示す。
【0104】
エアロゾル発生装置10は携帯型で、従来的な葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズを持つ。装置10は、本体11およびマウスピース部分12を含む。本体11は、電池14(リン酸鉄リチウム電池など)、制御電子回路16、およびくぼみ18を含む。マウスピース部分12は、ヒンジ付接続部21によって本体11に接続され、
図1A~
図1Cに示す開位置と、
図1Dに示す閉位置との間で移動することができる。マウスピース部分12は、カートリッジ20の挿入および除去が許容されるように開位置に置かれ、また以下に説明する通り、エアロゾルの発生のためにシステムが使用される時に閉位置に置かれる。マウスピース部分は、複数の空気吸込み口13および空気出口15を備える。使用時に、ユーザーは出口を吸うかまたは吸入して、空気を空気吸込み口13からマウスピース部分を通して出口15に引き出し、その後、ユーザーの口または肺に入る。内部バッフル17は、以下に説明する通り、マウスピース部分12を通してカートリッジを通過する空気の流れを強制するために提供される。
【0105】
くぼみ18は円形断面を持ち、カートリッジ20のハウジング24を受けるサイズである。電気コネクター19は、制御電子回路16および電池14とカートリッジ20の対応する電気接点との間に電気的接続を提供するために、くぼみ18の側部に提供される。
【0106】
図1Bは、カートリッジがくぼみ18の中へと挿入され、かつカバー26が除去されている
図1Aのシステムを示す。この位置で、電気コネクターは、以下に説明する通り、カートリッジ上の電気接点に対して置かれている。
【0107】
図1Cは、カバー26が完全に取り外され、かつマウスピース部分12が閉位置に移動中の
図1Bのシステムを示す。
【0108】
図1Dは、マウスピース部分12が閉位置にある
図1Cのシステムを示す。マウスピース部分12は、留め金機構によって閉位置に保持される(図示せず)。マウスピースを閉位置に保持するためのその他の適切な機構(スナップ式装着または磁気式クロージャーなど)が使用されてもよいことが当業者には明らかであろう。
【0109】
閉位置にあるマウスピース部分12は、システムの向きに関係なく、使用時に良好な電気的接続が維持されるように、カートリッジを電気コネクター19と電気的に接触した状態に保つ。マウスピース部分12は、マウスピース部分12が閉位置にある時に、カートリッジの表面と係合し、剛直なマウスピースのハウジング要素とカートリッジとの間で圧縮される環状の弾性要素を含んでもよい。これにより、製造公差に関係なく、良好な電気的接続が確実に維持される。
【0110】
当然ながら、カートリッジと装置との間の良好な電気的接続を維持するためのその他の機構が、別の方法としてまたは追加的に採用されてもよい。例えば、カートリッジ20のハウジング24には、くぼみ18の壁内に形成された対応する溝またはねじ山(図示せず)と係合するねじ山または溝(図示せず)が提供されてもよい。カートリッジと装置との間のねじ山による係合を、正しい回転上の整列だけでなく、くぼみ内でのカートリッジの保持および良好な電気的接続の確保のために使用することができる。ねじ山による接続部は、カートリッジの半回転以下だけ延びてもよく、または数回転だけ延びてもよい。別の方法として、または追加的に、電気コネクター19は、カートリッジ上の接点と接触するように付勢されていてもよい。
【0111】
図2は、エアロゾル発生システム、例えば、
図1のタイプのエアロゾル発生システムで使用するのに適したカートリッジ20の分解組立図である。カートリッジ20は、例えば、
図1のシステムのくぼみ18など、エアロゾル発生システムの対応するくぼみ内に受けられるように、またはその他の要素を用いて適切な方法で取り付けられるように選択されたサイズおよび形状を持つ、一般的に円形の円筒形ハウジング24を含む。ハウジング24はエアロゾル形成基体を含む。この実施例では、エアロゾル形成基体は液体であり、またハウジング24は液体エアロゾル形成基体中に浸された毛細管材料22をさらに含む。この例では、エアロゾル形成基体は、39重量パーセントのグリセリンと、39重量パーセントのプロピレングリコールと、20重量パーセントの水および風味剤と、2重量パーセントのニコチンと、を含む。毛細管材料は、液体を一方の端から他方の端へと能動的に運ぶ材料であり、任意の適切な材料から作製されてもよい。この例では、毛細管材料はポリエステルから形成される。他の実施例では、エアロゾル形成基体は固体であってもよい。
【0112】
ハウジング24は、ヒーター組立品30が固定される開放端を持つ。ヒーター組立品30は、その中に形成された開口部35を持つ基体34と、基体に固定されかつギャップ33により相互に分離された一対の電気接点32と、導電性のヒーターフィラメントのメッシュから形成され、開口部35全体にわたり、かつ開口部35の反対側にある電気接点32に固定されるヒーター要素36と、を備える。
【0113】
ヒーター組立品30は、取り外し可能なカバー26によって覆われる。カバー26は、ヒーター組立品に接着されるが簡単に剥がすことができる、液体不透過性プラスチックシートを備える。剥がす時にユーザーがカバー26を掴むことができるように、タブがカバーの側面に提供されている。ここでは、接着が不透過性プラスチックシートをヒーター組立品30に固定する方法として説明されているが、カバー26が消費者によって簡単に除去されうる限り、ヒートシールまたは超音波溶接を含めた当業者が精通しているその他の方法も使用してもよいことが当業者には明らかであろう。
【0114】
その他のカートリッジデザインも考えられることが理解される。例えば、カートリッジとともに用いられる毛細管材料は2つ以上の別個の毛細管材料を備えてもよく、またはカートリッジは自由液体の貯蔵部を保持するためのタンクを備えてもよい。
【0115】
ヒーター要素36のヒーターフィラメントは、気化したエアロゾル形成基体がヒーター組立品を通過して気流中へと抜け出すことができるように、基体34の開口部35を通して晒される。
【0116】
使用時、カートリッジ20は、エアロゾル発生システム内に配置され、ヒーター組立品30はエアロゾル発生システム内に備えられる電源に接触される。電子回路は、ヒーター要素36に電力供給し、かつエアロゾル発生基体を気化するために提供される。
【0117】
図3では、本発明のヒーター組立品30の第一の実施例が描かれており、ここでは3つの実質的に平行なヒーター要素36a、36b、36cは、電気的に直列に接続されている。ヒーター組立品30は、その中に正方形の開口部35が形成された電気的に絶縁された基体34を備える。開口部のサイズは、この実施例では5ミリメートル×5ミリメートルであるが、当然のことながらヒーターの特定の用途に対する必要に応じてその他の形状およびサイズの開口部を使用してもよい。第一の導電性接点部分32aおよび第二の導電性接点部分32bは、外部電源と接触できるように、開口部35の反対側に提供される。3つの直列に接続されたヒーター要素36a、36b、および36cのうち、第一の接点部分32aは第一のヒーター要素36aと接触し、また第二の接点部分32bは第三のヒーター要素36cと接触する。2つの追加的な導電性接点部分32cおよび32dは、ヒーター要素36a、36b、および36cの直列接続を可能にするように、第一の接点部分32aおよび第二の接点部分32bに隣接して提供される。第一のヒーター要素36aは、第一の接点部分32aと追加的な接点部分32cとの間に接続される。第二のヒーター要素36bは、追加的な接点部分32cと追加的な接点部分32dの間に接続される。第三のヒーター要素36cは、追加的な接点部分32dと第二の接点部分32bとの間に接続される。この実施形態では、ヒーター組立品30は、奇数のヒーター要素36、すなわち3つのヒーター要素を備え、第一の接点部分32aおよび第二の接点部分32bは、基体34の開口部35の反対側に位置する。ヒーター要素36aおよび36cは、これらのヒーター要素36aおよび36cと絶縁基体34との間に直接的な物理的接触がないように、開口部の側端35aおよび35cから間隔が置かれる。いかなる特定の理論に束縛されることも望まないが、この配置により、絶縁基体34への熱伝達を低減することができ、かつエアロゾル発生基体の有効な気化を許容することができると考えられる。
【0118】
この実施例では、ヒーター要素36a、36b、および36cはそれぞれ
図4および
図5に関して以下に考察する通り、導電性フィラメントのアレイから形成される導電性材料の細片を備える。ヒーター要素36a、36b、36cは複数の開口(図示せず)を各々備え、流体はこれを通してヒーター組立品30を通過してもよい。
図4に図示する通り、開口のサイズは開口部35の面積にわたって実質的に一定であってもよい。別の方法として、開口のサイズは変化してもよい。例えば、開口部35の中央部分35eでは開口のサイズは、
図5に関して考察される通り、中央部分35eの外側の開口のサイズより大きくてもよい。一部の実施例では、ヒーター要素36bは、ヒーター要素36aおよび36cによって画定される複数の開口とは異なるサイズを持つ複数の開口を画定する。例えば、ヒーター要素36bは、ヒーター要素36aおよび36cによって画定される複数の開口より大きいサイズを持つ複数の開口を画定してもよい。
【0119】
図4では、
図3のヒーター要素のうちの1つの拡大した部分図が図示される。ヒーター要素36は、ヒーター要素36の長さに沿って延びる導電性フィラメント37、およびフィラメント37と実質的に直角をなして延びる複数の横断方向の導電性フィラメント38のアレイを備える。ヒーター要素36は、任意の適切な材料、例えば316Lステンレス鋼から作製されていてもよい。フィラメント37は、ヒーター要素36に剛性および強度の増加を提供するために横断方向のフィラメント38によって一緒に接続される。導電性フィラメント37は実質的に平行であり、隣接するフィラメント37の間に隙間が画定されるように間隙を介している。横断方向の導電性フィラメント38も実質的に平行であり、隣接する横断方向のフィラメント38の間に隙間が画定されるように間隙を介している。導電性フィラメント37および複数の横断方向の導電性フィラメント38のアレイの間の隙間は複数の開口39を画定し、流体はこれを通ってヒーター要素36を通過してもよい。この実施例では、軸方向に隣接する横断方向のフィラメント38の間の隙間は隣接するフィラメント37の間の隙間より大きく、その結果、複数の開口39の各々は、ヒーター要素36の長さ方向に細長い。
図4に示される配列では、横断方向のフィラメント38は各々2つの隣接するフィラメント37の間の単一の隙間のみを横切って延び、ヒーター要素36の幅を横切る連続的な横断方向のフィラメント38はヒーター要素の長さに沿ってずらされる、すなわち、ヒーター要素36の長さ方向にずれる。この配列により、フィラメント37と横断方向のフィラメント38との間の接合部は各々、3つの電気的な経路を画定し、そのうちの1つは矢印40によって図示されるようにヒーター要素36を通して流れる電流の一般的な方向にあり、1つは電流の流れの一般的な方向に対して横断方向にあり、そしてもう1つは電流の流れの一般的な方向に対して反対方向にある。これは従来の十字交差メッシュとは対照的である。従来の十字交差メッシュでは、フィラメント間の接合部は各々4つの電気的な経路を画定し、そのうちの1つはヒーター要素を通って流れる電流の一般的な方向にあり、そのうちの2つは電流の流れの一般的な方向に対して横断方向であり、残りは電流の流れの一般的な方向に対して反対方向である。
【0120】
いかなる特定の理論に束縛されることも望まないが、横断方向の導電性要素の数、ひいては電気的な経路の数を減らすことによって、本発明のヒーター要素はヒーター要素にわたって電流方向をより良好に維持することができ、結果としてヒーター要素面積にわたって温度プロファイルのばらつきの低減をもたらし、高温点をより少なくすることにつながり、そしてこれは性能のばらつきを減らす場合があると考えられる。
【0121】
さらに、横断方向のフィラメント38がヒーター要素の長さに沿ってずらされることによって、各々のフィラメント37の支持されていない長さが減らされる。ひいては、ヒーター要素の強度または剛性への有害な影響なしに、開口の長さを増やすことができる。これは、ヒーター要素の剛性または構造的な安定性への有害な影響無しに、ヒーター要素の流体流れ特性およびカートリッジのエアロゾル送達特性を望ましいように変化させることができるようにする場合がある。
【0122】
図4に図示されるヒーター要素の部分図では、複数の開口39のサイズは、幅寸法41および長さ寸法42によって示されるように、示されるヒーター要素36の部分の幅および長さにわたって実質的に同一である。この実施例では、開口部39は長方形であり、また各々58マイクロメートルの幅および500マイクロメートルの長さを持つが、当然のことながらヒーターの特定の用途のためにその他の形状およびサイズの開口部を必要に応じて使用することができる。ヒーター要素36を形成している導電性フィラメント37、38は各々20マイクロメートルの幅および厚さを持つが、当然のことながらヒーターの特定の用途のためにその他のサイズのフィラメントを必要に応じて使用することができる。
図4に示されるヒーター要素36の部分は、開口3つ分の長さおよび開口分6つの幅を持つが、ヒーター要素36全体はより長くかつより幅広くてもよい。一実施例では、ヒーター要素は開口12個分の長さおよび開口21個分の幅である。こうしたヒーター要素は、1.658ミリメートル(22×20マイクロメートル+21×58マイクロメートル)の全幅および6.26ミリメートル(13×20マイクロメートル+12×500マイクロメートル)の全長を持つ。
【0123】
図5では、ヒーター要素の代替的な実施例の拡大した部分図が図示される。
図5のヒーター要素の部分は、導電性フィラメント37’のアレイおよび複数の横断方向の導電性フィラメント38’によって画定される複数の開口39’のサイズが、示されるヒーター要素36’の部分の長さにわたって変化することを除いて、
図4に示されるヒーター要素の部分と同様である。具体的には、開口の幅は幅寸法41’で示される通り実質的に同一であるが、横断方向のフィラメントの間の隙間は、ヒーター要素36’の中央部分では、長さ43’のようにより大きく、それゆえヒーター要素36’の中央部分では開口39’の全体的なサイズは、中央部分の外側の長さ42’の開口39’より大きい。この実施例では、中央部分にある開口39’は各々58マイクロメートルの幅および600マイクロメートルの長さを持つ。
【0124】
図6では、本発明のヒーター組立品30の第二の実施例が図示されており、その中では3つの実質的に平行なヒーター要素36a、36b、36cが直列に電気的接続されている。ヒーター組立品30は、その中に正方形の開口部35が形成された電気的に絶縁された基体34を備える。開口部のサイズは、この実施例では5ミリメートル×5ミリメートルであるが、当然のことながらヒーターの特定の用途に対する必要に応じてその他の形状およびサイズの開口部を使用してもよい。第一および第二の導電性接点部分32a、32bは、開口部35の反対側に提供され、開口部35の側端35a、35bと実質的に平行に延びる。2つの追加的な導電性接点部分32c、32dは、開口部35の反対側の側端35c、35dの部分に隣接して提供される。第一のヒーター要素は、第一の接点部分32aと追加的な接点部分32cとの間に接続される。第二のヒーター要素36bは、追加的な接点部分32cと追加的な接点部分32dの間に接続される。第三のヒーター要素36cは、追加的な接点部分32cと第二の接点部分32bとの間に接続される。この実施形態では、ヒーター組立品30は、奇数のヒーター要素36、すなわち3つのヒーター要素を備え、第一の接点部分32aおよび第二の接点部分32bは、基体34の開口部35の反対側に位置する。ヒーター要素36aおよび36cは、これらのヒーター要素36a、36cと絶縁基体34との間に直接的な物理的接触がないように、開口部の側端35a、35bから間隔が置かれる。いかなる特定の理論に束縛されることも望まないが、この配置により、絶縁基体34への熱伝達を低減することができ、かつエアロゾル発生基体の有効な気化を許容することができると考えられる。
【0125】
図7では本発明のヒーター組立品20のさらなる実施例が図示され、その中では4つのヒーター要素36a、36b、36c、36dが直列に電気的接続されている。ヒーター組立品30は、その中に正方形の開口部35が形成された電気的に絶縁された基体34を備える。開口部のサイズは5ミリメートル×5ミリメートルである。第一の導電性接点部分32aおよび第二の導電性接点部分32bは、開口部35の同じ側端35bのそれぞれ上方部分および下方部分に隣接して提供される。3つの追加的な導電性接点部分32c、32d、32eが提供されており、ここで2つの追加的な接点部分32d、32eは、反対側の側端35aの部分に隣接して提供され、また1つの追加的な接点部分32cは、第一の接点部分32aおよび第二の接点部分32bの間の側端35bに平行して提供される。4つのヒーター要素36a、36b、36c、36dは、
図7に図示する通り、これらの5つの接点部分32a、32c、32d、32e、32bの間に直列に接続される。ここでも、ヒーター要素の長い側端はどれも、ここでも絶縁基体への熱伝達が低減されるように、開口部の側端のいずれとも直接的に物理的接触していない。
【0126】
この実施形態では、ヒーター組立品30は偶数のヒーター要素36、すなわち4つのヒーター要素36a、36b、36c、36dを備え、第一の接点部分32aおよび第二の接点部分32bは、基体34の開口部35の同じ側に位置する。
【0127】
図3、
図6、および
図7に示すものなどの配置では、ヒーター要素の配置は、隣接したヒーター要素間のギャップが実質的に同じであってもよい。例えば、ヒーター要素は、開口部35の幅にわたり規則正しく間隔を置いていてもよい。その他の配置では、例えば、望ましい加熱プロフィールを獲得するために、ヒーター要素間には異なる間隔が使用されてもよい。その他の形状の開口部またはヒーター要素が使用されてもよい。
【0128】
図1~
図7に関して上述された実施形態では、ヒーター組立品は、フィラメントを画定するようにエッチングまたは電鋳された316Lステンレス鋼箔の導電性シートから形成された、複数のヒーターフィラメントおよび横断方向のヒーターフィラメントを備える1つ以上のヒーター要素を備える。フィラメントは、約20マイクロメートルの厚さおよび幅を持つ。ヒーター要素は、約100マイクロメートルのギャップによって相互に分離された電気接点32に接続され、約30マイクロメートルの厚さを持つ銅箔で形成される。電気接点32は、約120マイクロメートルの厚さを持つポリイミド基体34上に提供される。接点部分は、例えば金、スズ、または銀でメッキされることが好ましい。ヒーター要素を形成するフィラメントは、隣接するフィラメントの間に隙間を画定するように間隙を介しており、またヒーター要素を形成する横断方向のフィラメントも、隣接する横断方向のフィラメントの間に隙間を画定するように間隙を介している。隣接するフィラメントおよび横断方向のフィラメントの間の隙間は複数の開口を画定し、これを通して流体がヒーター組立品を通過してもよい。この実施例では、複数の開口は、約58マイクロメートルの幅と、ヒーター要素の長さ、幅、または長さおよび幅にわたって変化する、例えば500マイクロメートル~600マイクロメートルの長さと、を持つが、より大きいまたはより小さい開口を使用してもよい。これらのおよその寸法を有するヒーター要素を使用することで、一部の実施例では開口内にエアロゾル形成基体のメニスカスが形成され、ヒーター組立品のヒーター要素のために毛細管作用によってエアロゾル形成基体を引き出すことができる。ヒーター要素の開口面積、すなわちヒーター要素の全面積に対する複数の開口の面積の比は、有利なことに25パーセント~56パーセントである。ヒーター組立品の全抵抗は約1オームである。大半の熱がフィラメントによって生成されるように、ヒーター要素のフィラメントはこの抵抗の大部分を提供する。一定の実施例では、ヒーター要素のフィラメントは、電気接点32よりも100倍以上高い電気抵抗を持つ。
【0129】
基体34は電気的に絶縁され、またこの実施例では約120マイクロメートルの厚さを持つポリイミドシートから形成される。基体は円形であり、8ミリメートルの直径を持つ。ヒーター要素は長方形であり、また一部の実施例では5ミリメートルおよび1.6ミリメートルの辺の長さを持つ。これらの寸法により、従来の紙巻たばこまたは葉巻たばことサイズおよび形状が類似した完全なシステムを作製することができる。有効であることが分かっている別の寸法の実施例は、直径5ミリメートルの円形の基体および1ミリメートル×4ミリメートルの長方形のヒーター要素である。
【0130】
ヒーター要素は基体34に直接的に結合されてもよく、その後接点32はヒーター要素の上に少なくとも部分的に結合されてもよい。最も外側の層として接点を持つことは、電源との信頼できる電気接点を提供する上で有益である可能性がある。複数のフィラメントは導電性接点部分と一体型で形成されてもよい。
【0131】
図2に示すカートリッジでは、接点32およびヒーター要素36は、基体層34とハウジング24との間に位置する。ところが、ポリイミド基体34がハウジング24に直接隣接するように、ヒーター組立品をカートリッジハウジングに逆に取り付けることも可能である。
【0132】
説明した実施形態は、実質的に円形の断面を持つハウジングを有するカートリッジを持つが、長方形の断面または三角形の断面などその他の形状を有するカートリッジのハウジングを形成することも当然ながら可能である。これらのハウジング形状により、対応する形状のくぼみ内での望ましい向きが確保され、装置とカートリッジとの間の電気的接続が確保されることになる。
【0133】
毛細管材料22は、ハウジング24内で液体をヒーター組立品30に運ぶのに有利に方向付けられる。カートリッジが組み立てられる時、ヒーターフィラメント37、38は毛細管材料22と接触してもよく、そのためエアロゾル形成基体をヒーターに直接運搬することができる。本発明の実施例では、ヒーター組立品によるほとんどの発熱がエアロゾル形成基体の中へと直接入るように、エアロゾル形成基体は各々のフィラメント37、38のほとんどの表面に接触する。対照的に、従来的な芯およびコイルヒーター組立品では、ヒーターワイヤのごく小さい部分のみがエアロゾル形成基体と接触する。毛細管材料27は開口の中へと延びてもよい。
【0134】
使用時、ヒーター組立品は、抵抗加熱によって作動することが好ましいが、誘導加熱などのその他の適切な加熱プロセスを使用して作動してもよい。ヒーター組立品が抵抗加熱によって作動する場合、電流は、制御電子回路16の制御下でヒーター要素36のフィラメント37、38を通過し、フィラメントを望ましい温度範囲内に加熱する。フィラメントは、高い温度がフィラメントに局所化されるように、接点部分32よりも著しく高い電気抵抗を持つ。システムは、ユーザーの吸煙に応答して電流をヒーター組立品に供給することにより熱を発生するように構成されてもよく、または装置が「オン」状態にある間に熱を連続的に発生させるよう構成されてもよい。異なるシステムに対してはフィラメント用の異なる材料が適切である場合がある。例えば、連続的加熱システムでは、比熱容量が比較的低く、かつ低電流の加熱と適合性があるため、黒鉛フィラメントが適切である。高電流パルスを使用した短時間のバーストで熱が発生される吸煙により作動するシステムでは、高い比熱容量を持つステンレス鋼フィラメントがより適切である場合がある。
【0135】
吸煙により作動するシステムでは、装置は、マウスピース部分を通してユーザーが空気を吸い込んだ時を検出するよう構成された吸煙センサーを含んでもよい。吸煙センサー(図示せず)は制御電子回路16に接続され、制御電子回路16は、ユーザーが装置を吸煙していることが判定された時にのみ電流をヒーター組立品30に供給するよう構成される。マイクロホンなど、適切な任意の気流センサーが吸煙センサーとして使用されてもよい。
【0136】
考えられる実施形態では、フィラメント37、38のうちの1つ以上の比抵抗またはヒーター要素全体としての比抵抗の変化が、ヒーター要素の温度の変化を検出するために使用されてもよい。望ましい温度範囲内に確実に維持されるようにヒーター要素に供給される電力を調節するために、これを使用することができる。急激な温度の変化も、ユーザーがシステムを吸煙した結果もたらされるヒーター要素を通過する気流の変化を検出する手段として使用されてもよい。フィラメントのうちの1つ以上は、専用の温度センサーであってもよく、鉄アルミニウム合金、Ni-Cr、白金、タングステン、または合金ワイヤなどの、その目的のために適切な温度抵抗係数を持つ材料から形成されてもよい。
【0137】
システムが使用されている時にマウスピース部分を通過する気流を
図1dに示す。マウスピース部分は、マウスピース部分の外壁と一体型で成形され、かつ空気が入口13から出口15へと引き出される時に、エアロゾル形成基体が気化されているカートリッジの上にあるヒーター組立品30をわたって流れるようにする内部バッフル17を含む。空気がヒーター組立品を通過する時に、気化された基体は気流に混入し、出口15から出る前に冷却されてエアロゾルを形成する。従って、使用時、エアロゾル形成基体は、それが気化される時にフィラメント36、37、38間の隙間を通過することにより、ヒーター組立品を通過する。
【0138】
当業者であれば、本開示によるヒーター組立品を組み込んだその他のカートリッジ設計を考案することができるだろう。例えば、カートリッジはマウスピース部分を含んでもよく、複数のヒーター組立品を含んでもよく、望ましい任意の形状を持ってもよい。その上、本開示によるヒーター組立品は既に説明したものと別のタイプのシステム(加湿器、エアフレッシュナー、およびその他のエアロゾル発生システムなど)で使用されてもよい。
【0139】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。
【0140】
1. エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジであって、
エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングであって、前記ハウジングが開口部を持つ、貯蔵部分と、
前記ハウジングに固定され、かつ前記ハウジングの前記開口部にわたって延びる、少なくとも1つのヒーター要素を備える、ヒーター組立品と、を備え、
前記ヒーター組立品の前記少なくとも1つのヒーター要素が、流体が前記少なくとも1つのヒーター要素を通過することができるように複数の開口を画定し、かつ前記複数の開口が異なるサイズを持つ、カートリッジ。
2. 前記開口部の第一の領域における前記開口のサイズが、前記開口部の第二の領域における前記開口のサイズより大きい、1に記載のカートリッジ。
3. 前記開口の前記サイズが前記開口部の中央部分に向かって増加する、1または2に記載のカートリッジ。
3. 前記少なくとも1つのヒーター要素が前記少なくとも1つのヒーター要素の前記長さに沿って延びる導電性フィラメントのアレイを備え、前記複数の開口が前記導電性フィラメントの間の隙間によって画定される、1~2のいずれかに記載のカートリッジ。
4. 前記少なくとも1つのヒーター要素が前記導電性フィラメントのアレイに対して横断方向に延びる複数の横断方向のフィラメントをさらに備え、またそれによって前記導電性フィラメントのアレイの中の隣接するフィラメントが接続され、かつ前記複数の開口が前記導電性フィラメントの間の前記隙間および前記横断方向のフィラメントの間の前記隙間によって画定される、3に記載のカートリッジ。
5. 前記複数の開口が異なる長さを持つように、前記横断方向のフィラメントの間の前記隙間が、少なくとも前記ヒーター要素の長さ、幅、または長さおよび幅にわたって変化する、4に記載のカートリッジ。
6. 前記複数の横断方向のフィラメントの少なくとも一部、好ましくは実質的にすべてが、前記少なくとも1つのヒーター要素の前記幅の一部のみにわたって延び、また前記少なくとも1つのヒーター要素の前記長さに沿ってずらされる、4または5に記載のカートリッジ。
7. エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジであって、
エアロゾル形成基体を保持するためのハウジングであって、前記ハウジングが開口部を持つ、貯蔵部分と、
前記ハウジングに固定され、かつ前記ハウジングの前記開口部にわたって延びる、少なくとも1つのヒーター要素を備える、ヒーター組立品と、を備え、
前記ヒーター組立品の前記少なくとも1つのヒーター要素が、前記少なくとも1つのヒーター要素の前記長さに沿って延びる導電性フィラメントのアレイ、および前記導電性フィラメントのアレイに対して横断方向に延びる複数の横断方向のフィラメントを備え、またこれによって前記導電性フィラメントのアレイの中の隣接するフィラメントが接続され、
前記導電性フィラメントの間の隙間および前記横断方向のフィラメントの間の隙間が、流体が前記少なくとも1つのヒーター要素を通過できるように複数の開口を画定し、
前記複数の横断方向のフィラメントの少なくとも一部、好ましくは実質的にすべてが、前記少なくとも1つのヒーター要素の前記幅の一部のみにわたって延び、かつ前記少なくとも1つのヒーター要素の前記長さに沿ってずらされる、カートリッジ。
8. 前記横断方向のフィラメントが導電性である、4~7のいずれかに記載のカートリッジ。
9. 前記ヒーター組立品が実質的に平面である、1~8のいずれかに記載のカートリッジ。
10. エアロゾル発生システムであって、
エアロゾル発生装置と、
1~9のいずれかに記載のカートリッジと、を備え、
前記カートリッジが前記エアロゾル発生装置に取り外し可能なように結合され、また前記エアロゾル発生装置が前記ヒーター組立品のための電源を含む、エアロゾル発生システム。
11. 前記エアロゾル発生システムが電気的に作動する喫煙システムである、10に記載のエアロゾル発生システム。
12. エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジの製造方法であって、前記方法が、
開口部を持つハウジングを備える貯蔵部分を提供する工程と、
前記貯蔵部分をエアロゾル形成基体で充填する工程と、
前記ハウジングの前記開口部にわたって延びる少なくとも1つのヒーター要素を備えるヒーター組立品を提供する工程と、を含み、
前記ヒーター組立品の前記少なくとも1つのヒーター要素が、流体が前記少なくとも1つのヒーター要素を通過することができるように複数の開口を持ち、かつ前記複数の開口が異なるサイズを持つ、方法。
13. エアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジの製造方法であって、前記方法が、
開口部を持つハウジングを備える貯蔵部分を提供する工程と、
前記貯蔵部分をエアロゾル形成基体で充填する工程と、
前記ハウジングの前記開口部にわたって延びる少なくとも1つのヒーター要素を備えるヒーター組立品を提供する工程と、を含み、
前記ヒーター組立品の前記少なくとも1つのヒーター要素が、前記少なくとも1つのヒーター要素の前記長さに沿って延びる導電性フィラメントのアレイ、および前記導電性フィラメントのアレイに対して横断方向に延びる複数の横断方向の導電性フィラメントを備え、またこれによって前記導電性フィラメントのアレイの中の隣接するフィラメントが接続され、
前記導電性フィラメントの間の隙間および前記横断方向の導電性フィラメントの間の隙間が、流体が前記少なくとも1つのヒーター要素を通過できるように複数の開口を画定し、
前記複数の横断方向の導電性フィラメントの少なくとも一部、好ましくは実質的にすべてが、前記少なくとも1つのヒーター要素の前記幅の一部のみにわたって延び、かつ前記少なくとも1つのヒーター要素の前記長さに沿ってずらされる、方法。
14. 前記少なくとも1つのヒーター要素がエッチングによって形成される、12または13に記載の方法。