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特許7357668個人用気化装置のためのサイドバイサイド端子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】個人用気化装置のためのサイドバイサイド端子
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/42 20200101AFI20230929BHJP
【FI】
A24F40/42
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021500992
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019069668
(87)【国際公開番号】W WO2020020818
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】18185093.4
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ,アレッド・メレディッド
(72)【発明者】
【氏名】オヘア,アイダン
(72)【発明者】
【氏名】デイ,シェーン
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-513465(JP,A)
【文献】国際公開第2017/102969(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/007252(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/107768(WO,A1)
【文献】特開2017-037851(JP,A)
【文献】特開2002-100440(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0116281(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0360789(US,A1)
【文献】特開2018-064778(JP,A)
【文献】特開2018-092720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子たばこ(2)に解除可能に接続するためのカートリッジ(16)であって、前記カートリッジ(16)が、気化されるべき物質を含み、電気回路(42)を設けられ、前記電気回路が、
前記電子たばこ(2)の本体(4)上に位置する回路コネクタ(19)と係合するように構成され、前記カートリッジ(16)と前記本体(4)との間のデータ接続を確立するように構成される、回路端子(48)と、
データを記憶するためのメモリ(44)と、を含み、
前記カートリッジ(16)の前記回路端子(48)が、前記カートリッジ(16)のハウジング(18)上に位置し、
複数の前記回路端子(48)のうちの1つ若しくは複数、又は前記回路端子(48)の少なくとも先頭接続部が、前記回路コネクタ又は前記回路コネクタの少なくとも先頭接続部の長手方向位置に対して、前記カートリッジの長手方向の異なる位置に設けられる、カートリッジ(16)。
【請求項2】
前記カートリッジが、前記メモリ上でデータを読み出し及び書き込むように構成されるコントローラ(46)をさらに含む、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記回路端子(48)が、剛性支持物でグループ化される、請求項1又は2に記載のカートリッジ(16)。
【請求項4】
前記電子たばこ(2)の前記本体(4)に接続するように構成される接続部(70)を含み、
前記接続部(70)に、前記本体(4)への前記カートリッジ(16)の挿入方向(I)に略平行で、前記カートリッジの長手方向と一致する方向を有する外側面(90)が設けられ、
前記回路端子(48)が、前記外側面(90)上の前記接続部(70)に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載のカートリッジ(16)。
【請求項5】
前記カートリッジが、互いに略平行な外側面の第1のペア及び第2のペアを有し、前記第2のペアの側の幅が、前記第1のペアの側の幅よりも広く、前記接続部が、第1の表面上に位置する、請求項に記載のカートリッジ(16)。
【請求項6】
全ての回路端子(48)が、同一平面上に配置される、請求項4又は5に記載のカートリッジ(16)。
【請求項7】
2つの隣接する回路端子間の距離が、20mm~0.05mmの間含まれる、請求項1~6のいずれか一項に記載のカートリッジ(16)。
【請求項8】
前記回路端子(48)が、前記電子たばこ(2)の前記本体(4)への前記カートリッジ(16)の接続時に、所定の順序で異なる時点に前記回路コネクタ(19)に接続可能であるように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のカートリッジ(16)。
【請求項9】
前記カートリッジ(16)が、前記カートリッジ(16)によって含まれる加熱素子(36)を加熱するために前記本体(4)から電力を提供するように構成される電源端子(45)をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載のカートリッジ(16)。
【請求項10】
前記電子たばこ(2)の前記本体(4)に接続するように構成される接続部(70)を含み、
前記電源端子(45)が、前記カートリッジ(16)が前記本体(4)に接続される挿入方向(I)に略平行な前記電源端子(45)の長手方向に、延長され、前記接続部(70)に配置される、請求項9に記載のカートリッジ(16)。
【請求項11】
全ての電源端子(45)が、同一平面上に配置される、請求項10に記載のカートリッジ(16)。
【請求項12】
前記電源端子が、前記回路端子の平面上に位置する、請求項11に記載のカートリッジ(16)。
【請求項13】
2つの隣接する電源端子間の距離が、30mm~0.05mmの間含まれる、請求項10~12のいずれか一項に記載のカートリッジ(16)。
【請求項14】
前記カートリッジ(16)のプリント回路基板(PCBが、前記電源端子(48)を収容するためのカットアウト(80)を有する請求項10~13のいずれか一項に記載のカートリッジ(16)。
【請求項15】
請求項1に記載の本体(4)及びカートリッジ(16)を含む電子たばこ(2)であって、
前記本体(4)が、前記本体の遠位端においてカートリッジ台座(12)に位置し、且つ前記カートリッジ(16)の対応する回路端子(48)と接続するように構成される、回路コネクタ(19)を含み、
前記カートリッジ(16)の前記回路端子(48)が、前記カートリッジの外側面上に位置し、前記本体(4)の前記回路コネクタ(19)が、カートリッジ台座(12)の外側面上に位置し、前記回路コネクタ及び前記回路端子が、前記本体の長手方向と一致する方向に互いに係合するように構成される、電子たばこ(2)。
【請求項16】
前記カートリッジ(16)の前記回路端子(48)及び前記本体(4)の前記回路コネクタ(19)が、前記カートリッジ(16)が前記本体(4)に接続されるときに、前記回路端子(48)のうちの1つ又は複数が対応する前記回路コネクタ(19)に異なる時点に接続されるように構成される、請求項15に記載の電子たばこ。
【請求項17】
前記回路コネクタ(19)が、前記カートリッジ(16)が前記本体(4)に接続される挿入方向(I)に略平行な前記回路コネクタ(19)の長手方向に、延長され、配置される、請求項15又は16に記載の電子たばこ(2)。
【請求項18】
前記カートリッジ(16)が、前記カートリッジ(16)によって含まれる加熱素子(36)を加熱するために、前記本体(4)から電力を提供するように構成される電源端子(45)をさらに含み、前記本体(4)が、前記カートリッジ(16)の前記電源端子(45)の対応する1つと接続するための電源コネクタ(14)を含み、前記電子たばこ(2)が、前記カートリッジ(16)が前記本体(4)に接続されるときに、前記回路端子(48)が前記回路コネクタ(19)に接続される前に前記電源端子(45)が前記電源コネクタ(14)に接続されるように構成される、請求項15~17のいずれか一項に記載の電子たばこ(2)。
【請求項19】
前記回路コネクタが、異なる長さを有する、請求項15~18のいずれか一項に記載の電子たばこ(2)。
【請求項20】
前記回路端子(48)が、否定回路端子を含み、前記カートリッジ(16)が前記本体(4)に接続されるときに、前記否定回路端子が、他の前記回路端子より前に接続される、請求項15~19のいずれか一項に記載の電子たばこ(2)。
【請求項21】
前記本体(4)と前記カートリッジ(16)とが接続されるときに、前記回路コネクタが、前記回路コネクタと前記回路コネクタのそれぞれの端子との間の接触を維持する付勢力を生成するために付勢されるように、前記電子たばこ(2)の前記回路コネクタ又は/及び前記端子が弾性を有する、請求項15~20のいずれか一項に記載の電子たばこ(2)。
【請求項22】
前記本体(4)上の前記回路コネクタが、自由端を有し、前記自由端が、コネクタガード(60)内に保持される、請求項21に記載の電子たばこ(2)。
【請求項23】
前記コネクタガードが、前記回路コネクタの配置側を保護するようにも構成される、請求項22に記載の電子たばこ(2)。
【請求項24】
前記カートリッジのハウジングと前記カートリッジ台座との間の接続が、磁気接続である、請求項15~23のいずれか一項に記載の電子たばこ(2)。
【請求項25】
前記カートリッジ台座又は前記カートリッジのうちの1つに、強磁性部材が設けられ、もう1つに、磁石が設けられる、請求項24に記載の電子たばこ(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された電気接続及び回路を有する、電子たばこなどの個人用気化装置に関する。特に、本発明は、着脱可能な/使い捨ての消耗品に接続されるために具備された本体を含む個人用気化装置、及びそのような着脱可能な/使い捨ての消耗品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子たばこなどの個人用気化装置は、従来の紙巻きたばこの代替品である。燃焼煙を発生させる代わりに、電子たばこは液体などの材料を気化させ、ユーザがそれを吸入し得る。気化する液体は、典型的には、水蒸気を生成するグリセリン又はプロピレングリコールなどのエアロゾル形成物質を含む。液体内の他の一般的な物質は、ニコチン及び様々な香料である。
【0003】
電子たばこは、マウスピース部、気化物質のための貯蔵器(例えば、液体貯蔵器)、気化器ユニット又は加熱素子、及び電源ユニットを含む、手持ち式吸入システム又は個人用気化システムである。加熱素子が、液体移送要素(芯など)内又は上の気化材料、例えば気化する液体の熱を、気化が発生する、材料(例えば液体)の沸騰温度を超える温度まで上げるとき、気化が発生する。
【0004】
気化材料用の貯蔵器又は液体貯蔵器は、再充填可能なリザーバとして構成され得る。代替的に、電子たばこは、例えばマウスピース部分に台座を含んでもよく、台座は、カートリッジの形態の着脱可能な/使い捨ての消耗品を受けるように構成される。単一のユニット内に液体貯蔵器及び気化器を含むカートリッジは、しばしば「カートマイザ」と呼ばれる。
【0005】
個人用気化装置の本体に接続される消耗品(又はカートリッジ)に関するパラメータをモニタリングする必要がある。例えば、消耗品内の気化材料若しくは液体の使用、又は消耗品自体の使用に関するパラメータをモニタリングすることが有利である。アクセスされ得る、異なる消耗品からパラメータを追跡することも有利である。典型的なパラメータは、消耗品についての認証データ、材料の種類、味、賞味期限、加熱器の特性を含む。
【0006】
したがって、本発明の目的は、電子たばこ用の改善された情報移送ケイパビリティを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、容易に着脱可能な/使い捨ての消耗品を有する改善された個人用気化装置が、消耗品の電気回路及び本体と上記消耗品との間の電気接続を改善することによって得られ得るという原理に基づく。
【0008】
本発明は、個人用気化装置のための消耗品、並びに本体及び消耗品を含む個人用気化装置を目的とする独立請求項において定義される。好適な実施形態の詳細は、従属請求項、添付図面、及び以下の説明に記載されている。
【0009】
本発明の一態様は、電子たばこに解除可能に接続するためのカートリッジに関し、カートリッジが、気化されるべき物質を含み、電気回路を設けられ、電気回路が、電子たばこの本体上に位置する回路コネクタと係合するように構成され、カートリッジと本体との間のデータ接続を確立するように構成される、回路端子と、データを記憶するためのメモリと、を含み、カートリッジの回路端子が、カートリッジのハウジング上に位置する。
【0010】
本発明の第1の態様の一実施形態において、カートリッジは、メモリ上でデータを読み出し及び書き込むように構成されるコントローラをさらに含む。
【0011】
本発明の第1の態様の一実施形態において、回路端子は、剛性支持物、好適にはプリント回路基板(PCB)上でグループ化される。
【0012】
本発明の第1の態様の一実施形態において、コントローラ及びメモリは、剛性支持物、好適にはプリント回路基板(PCB)上に位置する。
【0013】
本発明の第1の態様の一実施形態において、カートリッジは、電子たばこの本体に接続するように構成される接続部を含み、接続部に、本体へのカートリッジの挿入方向に略平行で、カートリッジの長手方向と一致する方向を有する外側面が設けられ、回路端子は、上記外側面上の上記接続部に位置する。
【0014】
本発明の第1の態様の一実施形態において、カートリッジは、互いに略平行な外側面の第1のペア及び第2のペアを有し、第2のペアの側の幅が、第1のペアの側の幅よりも広く、接続部が、第1の表面上に位置する。
【0015】
本発明の第1の態様の一実施形態において、全ての回路端子が、同一平面上に配置される。
【0016】
本発明の第1の態様の一実施形態において、2つの隣接する回路端子間の距離が、20mm~0.05mmの間、好適には10mm~0.1mmの間、より好適に5mm~0.15mmの間、さらに好適には2mm~0.2mmの間、最も好適には1mm~0.2mmの間に含まれる。
【0017】
本発明の第1の態様の一実施形態において、1つ若しくは複数の回路端子、又は少なくともその先頭接続部分が、回路コネクタ又は少なくともその先頭接続部分の長手方向位置に対して、カートリッジの長手方向の異なる位置に設けられる。それによって、回路端子は、電子たばこの本体へのカートリッジの接続時に、所定の順序で異なる時点に回路コネクタに接続可能である。
【0018】
本発明の第1の態様の一実施形態において、カートリッジは、カートリッジによって含まれる加熱素子を加熱するために本体から電力を提供するように構成される電源端子をさらに含む。
【0019】
本発明の第1の態様の一実施形態において、電源端子は、カートリッジが本体に接続される挿入方向に略平行な電源端子の長手方向に、延長され、接続部に配置される。
【0020】
本発明の第1の態様の一実施形態において、全ての電源端子が、同一平面上に配置される。
【0021】
本発明の第1の態様の一実施形態において、電源端子が、回路端子の平面上に位置する。
【0022】
本発明の第1の態様の一実施形態において、2つの隣接する電源端子間の距離が、30mm~0.05mmの間、好適には10mm~0.1mmの間、より好適には5mm~0.15mmの間、さらに好適には2mm~0.2mmの間、最も好適には1mm~0.2mmの間に含まれる。
【0023】
本発明の第1の態様の一実施形態において、カートリッジのPCBが、電源端子を収容するためのカットアウトを有する。
【0024】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による本体及びカートリッジを含む電子たばこであり、本体が、本体の遠位端においてカートリッジ台座に位置し、且つカートリッジの対応する回路端子と接続するように構成される、回路コネクタを含み、カートリッジの回路端子が、カートリッジの外側面上に位置し、本体のコネクタが、カプセル台座の外側面上に位置し、回路コネクタ及び回路端子が、本体の長手方向と一致する方向に互いに係合するように構成される。
【0025】
本発明の第2の態様の一実施形態において、カートリッジの回路端子及び本体のコネクタが、カートリッジが本体に接続されるときに、回路端子のうちの1つ又は複数が対応する回路コネクタに異なる時点に接続されるように構成される。
【0026】
本発明の第2の態様の一実施形態において、回路コネクタが、カートリッジが本体に接続される挿入方向に略平行な回路コネクタの長手方向に、延長され、配置される。
【0027】
本発明の第2の態様の一実施形態において、カートリッジが、カートリッジによって含まれる加熱素子を加熱するために、本体から電力を提供するように構成される電源端子をさらに含み、本体が、カートリッジの電源端子の対応する1つと接続するための電源コネクタを含み、電子たばこが、カートリッジが本体に接続されるときに、回路端子が回路コネクタに接続される前に電源端子が電源コネクタに接続されるように構成される。
【0028】
本発明の第2の態様の一実施形態において、回路コネクタが、異なる長さを有する。
【0029】
本発明の第2の態様の一実施形態において、回路端子が、否定回路端子を含み、カートリッジが本体に接続されるときに、否定回路端子が、他の回路端子より前に接続される。
【0030】
本発明の第2の態様の一実施形態において、本体とカートリッジとが接続されるときに、コネクタが、コネクタとコネクタのそれぞれの端子との間の接触を維持する付勢力を生成するために付勢されるように、電子たばこのコネクタ又は/及び端子が弾性を有する。
【0031】
本発明の第2の態様の一実施形態において、本体上のコネクタが、自由端を有し、これらの自由端が、コネクタガード(60)内に保持される。
【0032】
本発明の第2の態様の一実施形態において、コネクタガードが、コネクタの配置側を保護するようにも構成される。
【0033】
本発明の第2の態様の一実施形態において、カートリッジのハウジングとカートリッジ台座との間の接続が、磁気接続である。
【0034】
本発明の第2の態様の一実施形態において、カートリッジには、カートリッジ台座にカートリッジを接続する磁気接続手段が設けられ、カートリッジ台座又はカートリッジのうちの1つに、強磁性部材が設けられ、もう1つに、磁石が設けられる。
【0035】
本発明の別の態様は、加熱素子の温度が、加熱素子を通して電流を印加することによって測定され得るという原理に基づき、その端において結果として生じる電圧を測定し、そこから加熱素子の抵抗を判断する。抵抗は温度と共に上昇するため、加熱素子の固有の抵抗特性が、電圧を測定することを通して得られる場合、加熱素子の温度をその電流抵抗から推定することが可能である。
【0036】
加熱素子の測定抵抗及び加熱素子の固有の抵抗特性について利用可能な情報が正確である場合、気化温度は、正確に制御され得る。加熱素子の固有の抵抗特性は、ある温度におけるその抵抗が既知である場合に、推定され得る。しかしながら、加熱素子の抵抗は、使い捨て品の製造プロセスにおける不規則性に既に起因して、電子たばこと共に使用される異なる使い捨て消耗品間で異なる。よって、本発明の別の態様によれば、加熱素子の基準温度又は基準温度範囲における、加熱素子を含む消耗品内の電気素子の抵抗を示す基準値が、消耗品上に記憶され、電子たばこの本体に提供され、それによって、電子たばこが、現在使用されている加熱素子の固有の抵抗特性をより正確に判断し得る。
【0037】
本発明は、また、個人用気化装置のためのカートリッジ、個人用気化装置のためのカートリッジを製造する方法、個人用気化装置の本体、個人用気化装置、個人用気化装置のカートリッジにおける加熱素子の温度を判断する方法、及び個人用気化装置のカートリッジ内の加熱素子に印加される電力を調整する方法を目的とする。
【0038】
本発明の一態様は、個人用気化装置のためのカートリッジに関し、カートリッジは、液体貯蔵器、液体移送要素、加熱素子、加熱素子に接続される第1の電源端子及び第2の電源端子、並びに加熱素子の基準温度又は基準温度範囲における加熱素子を含むカートリッジ内の電気素子の抵抗を示す第1の基準値を記憶するように構成されるメモリを含む。このようなカートリッジは、加熱素子を含む電気素子の抵抗が基準値を用いて精密に判断され得るように有利に構成され、その抵抗から加熱素子の温度がより精密に導出され得る。
【0039】
カートリッジの実施形態において、電気素子は、電子回路の開ループである。
【0040】
カートリッジの実施形態において、電気素子は、加熱素子である。
【0041】
カートリッジの実施形態において、メモリは、加熱素子の材料に関する抵抗率の所定の温度係数αをさらに含む。
【0042】
カートリッジの実施形態において、カートリッジのメモリが、加熱素子を含む電子回路の開ループの抵抗、又は加熱素子と加熱素子を含む電子回路の開ループとの抵抗の差を示す第2の基準値を記憶するように構成される。したがって、第2の基準値は、加熱素子の温度の抵抗をさらにより精密に判断するために使用され得る。
【0043】
カートリッジの実施形態において、開ループのエンドポイントが、第1の電源端子及び第2の電源端子である。
【0044】
カートリッジの実施形態において、それは、好適にはカートリッジ上の1つ又は複数のデータ端子によって、個人用気化装置の本体に第1の基準値及び/又は第2の基準値を提供するようにさらに構成される。
【0045】
カートリッジの実施形態において、それは、その液体貯蔵器が改造されるように構成されない。
【0046】
カートリッジの実施形態において、それは、マウスピース部を含む。
【0047】
カートリッジの実施形態において、加熱素子は、加熱コイルである。
【0048】
カートリッジの実施形態において、メモリは、カートリッジの使用に関する使用データ、カートリッジ上の認証データ、カートリッジに含まれる液体Lの種類、成分、味、若しくは残量、及び/又はカートリッジの賞味期限を記憶するようにさらに構成される。
【0049】
カートリッジの実施形態において、それは、好適にはカートリッジ上の1つ又は複数のデータ端子によって、メモリに記憶されるデータを個人用気化装置の本体に提供するようにさらに構成される。
【0050】
実施形態において、カートリッジは、液体貯蔵器、加熱器、及び液体移送要素を含むカートリッジであり得る。
【0051】
別の実施形態において、カートリッジは、加熱器及び液体移送要素を含む噴霧器であり得る。噴霧器は、(「開放タンク」とも呼ばれることが多い)据え付けの再充填可能な液体貯蔵器と共に有利に使用され得る。本体の電気コネクタは、したがって、噴霧器台座の近傍に位置し得る。結果として、噴霧器は、電池電源を噴霧器に提供するように構成される電気コネクタの第1のペア、及び測定回路を確立するように構成される電気コネクタの第2のペアによる類似のやり方で接触され得る。
【0052】
本発明の別の態様は、前述の実施形態によるカートリッジを製造する方法に関し、第1の基準値は、好適にはカートリッジへのその組み立て前に、電気素子の抵抗を測定すること及び周囲温度を測定することによって取得される。実施形態において、周囲温度及び加熱素子の温度が、実質的に基準温度に対応し、又は基準温度範囲内にある。
【0053】
別の実施形態において、周囲温度は、加熱素子の温度に対応し、加熱素子の温度は基準温度とは異なり、基準温度における抵抗基準値は、式R=Rref[1+α(T-Tref)]を用いて、測定された抵抗値を調節することによって計算される。ここで、Rは、現在の周囲温度Tにおけるコイルの現在の抵抗であり、Rrefは、基準温度Trefにおけるコイルの基準抵抗であり、αは、コイル材料の抵抗の温度係数であり、Tは、加熱素子の℃における現在の温度である。
【0054】
本発明の別の態様は、前述の実施形態によるカートリッジを製造する方法に関し、第1の基準値又は第2の基準値がそれぞれ、加熱素子の温度が実質的に基準温度に対応するか、又は基準温度範囲内にある間に、開ループの組み立て後、開ループの抵抗を測定することによって取得される。
【0055】
本発明の別の態様は、個人的気化装置の本体に関し、本体は、液体貯蔵器、液体移送要素、加熱素子、並びに加熱素子に接続される第1の電源端子及び第2の電源端子を含むカートリッジを受けるように構成されるカートリッジ台座を有する。カートリッジ台座は、電力がカートリッジに供給されるように、カートリッジの第1の電源端子及び第2の電源端子に接続されるときに電気回路を確立するように構成される電気コネクタの第1のペア、並びにカートリッジの第1の電源端子及び第2の電源端子間の電圧を測定するための測定回路を確立するように構成される電気コネクタの第2のペアを含む。このような本体は、カートリッジの加熱素子の抵抗をより精密に測定することが可能であるように構成され、その結果、その温度調整の改善をもたらすことが可能である。
【0056】
本体の実施形態において、それは、測定回路によって測定される電圧によって、第1の電源端子及び第2の電源端子間の加熱素子を含む電気回路の抵抗を判断するように構成されるコントローラをさらに含む。
【0057】
本体の実施形態において、それは、加熱素子の基準温度又は基準温度範囲において加熱素子を含むカートリッジ内の電気素子の抵抗を示す基準値を取得するように、及び判断される抵抗を基準値により示される抵抗と比較することによって加熱素子の温度を判断するように、さらに構成される。
【0058】
実施形態において、コントローラは、コントローラにより問い合わせされるときに、R=Rref[1+α(T-Tref)]の関数関係を実行することによって、現在の温度を判断するように構成される。ここで、Rは、現在の温度Tにおけるコイルの現在の抵抗であり、Rrefは、基準温度Trefにおけるコイルの基準抵抗であり、αは、コイル材料の抵抗の温度係数であり、Tは、℃におけるコイルの現在温度である。
【0059】
本体の実施形態において、コントローラは、加熱素子の基準温度又は基準温度範囲における加熱素子の抵抗を示す第1の基準値を取得し、加熱素子を含む電子回路の開ループの抵抗、又は加熱素子と加熱素子を含む電子回路の開ループとの抵抗の差を示す第2の基準値を取得し、測定された電圧によって第1の電源端子及び第2の電源端子間の加熱素子を含む電気回路の抵抗を判断し、電気回路の判断された抵抗及び第2の基準値によって加熱素子の抵抗を判断し、加熱素子の判断された抵抗を第1の基準値によって示される抵抗と比較することによって、加熱素子の温度を判断するようにさらに構成される。
【0060】
本体の実施形態において、コントローラは、カートリッジから基準値又は第1の基準値及び/又は第2の基準値をそれぞれ取得する。
【0061】
本体の実施形態において、それは、カートリッジから基準値を取得するためのデータコネクタをさらに含む。
【0062】
本体の実施形態において、それは、加熱素子の判断された温度に応じて、カートリッジ内の加熱素子に印加される電力を調整するように構成される。
【0063】
本発明の別の態様は、前述の実施形態のうちの1つによるカートリッジを含む個人用気化装置、及び前述の実施形態のうちの1つによる本体に関する。
【0064】
本発明の別の態様は、個人用気化装置のカートリッジ内の加熱素子の温度を判断する方法に関し、加熱素子と接続された第1の電源端子及び第2の電源端子にわたる電圧を測定するステップと、測定された電圧によって第1の電源端子及び第2の電源端子間の加熱素子を含むカートリッジ内の電気素子の抵抗を判断するステップと、加熱素子の基準温度又は基準温度範囲における加熱素子を含むカートリッジ内の電気素子の抵抗を示す第1の基準値を取得するステップと、判断された抵抗を第1の基準値により示される抵抗と比較することによって加熱素子の温度を判断するステップと、を含む。
【0065】
本発明の別の態様は、個人用気化装置のカートリッジ内の加熱素子の温度を判断する方法に関し、加熱素子と接続された第1の電源端子及び第2の電源端子にわたる電圧を測定するステップと、加熱素子の基準温度又は基準温度範囲における加熱素子の抵抗を示す第1の基準値を取得するステップと、加熱素子を含む電子回路の開ループの抵抗、又は加熱素子と加熱素子を含む電子回路の開ループとの抵抗の差を示す第2の基準値を取得するステップと、測定された電圧による第1の電源端子及び第2の電源端子間の加熱素子を含む電気回路の抵抗を判断するステップと、電気回路の判断された抵抗及び第2の基準値によって加熱素子の抵抗を判断するステップと、加熱素子の判断された抵抗を第1の基準値により示される抵抗と比較することによって加熱素子の温度を判断するステップと、を含む。
【0066】
本発明の別の態様は、個人用気化装置のカートリッジ内の加熱素子に印加される電力を調整する方法に関し、方法は、前述の実施形態のうちの1つの方法による加熱素子の抵抗又は温度を判断することと、判断された抵抗又は温度に応じて、加熱素子に供給される電力を調整することと、を含むフィードバックループを実行することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1図1aは本発明の例示的実施形態による電子たばこの概略斜視図である。図1bは図1aの電子たばこの概略断面図である。
図2】本発明の例示的実施形態による電子たばこ用カートリッジの概略断面図である。
図3】本発明の2つの例示的実施形態による電子たばこの本体の概略断面図である。
図4】本発明の例示的実施形態による電子たばこ用カートリッジの電気回路(PCB)の概略図である。
図5a】コネクタがコネクタガードによって整列及び保護されている、本発明の実施形態による電子たばこの等角図である。
図5b】コネクタがコネクタガードによって整列及び保護されている、本発明の実施形態による電子たばこの等角図である。
図6】例示的実施形態による電子たばこの端子及びコネクタを逐次的に接続する方法の概略である。
図7】開ループの概略である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下において、本発明の好適な実施形態は、添付図面を参照して詳細に説明される。図面の説明において、同一又は類似の参照番号は、同一又は類似の部分を示す。図面は概略的であり、寸法の比率などが、実際のものとは異なり得ることに留意すべきである。
【0069】
図面、特に図1a、図1b、及び図2を参照すると、液体Lを気化するための電子たばこ2が示されている。このような電子たばこ2は、従来のタバコの代用品として使用され得る。電子たばこ2は、電源ユニット6、電気回路8、及びカートリッジ台座12を含み得る本体4を有する。カートリッジ台座12は、気化する液体Lを含むカートリッジ16への接続を提供するように構成され得る。使用されるカートリッジ16は、同一又は異なる種類のものであってもよく、個人用気化装置2を改造するために置換され得る着脱可能な/使い捨ての要素であってもよい。カートリッジは、消耗品とも呼ばれ得る。電気回路8は、電子たばこ2を作動させるように構成され、フローセンサ3又は手動起動スイッチ9、メモリ5、及びメインコントローラ10を含み得る。電気回路8は、有利には、メインプリント回路基板上でグループ化され得る。
【0070】
カートリッジ台座12は、カートリッジ16を受けるように構成される凹部の形態であり得る。カートリッジ及びカートリッジ台座12には、連携する締結構成が提供され得る。締結構成は、磁気接続手段として構成されてもよく、そこで、カートリッジ台座12又はカートリッジ16のうちの1つに、強磁性部材が設けられ、もう1つに磁石が設けられる。他の接続代替手段は、スナップ嵌合、締り嵌め、ねじ嵌合、バヨネット嵌合であってもよい。追加的に又は代替的には、図5a及び図5bにさらに示されるように、弾性力コネクタ19は、付勢力を加えることによってカートリッジ16をカートリッジ台座12に取り付ける、板ばね付勢部材として構成され得る。即ち、この弾性力コネクタ手段のコネクタ又は端子は、カートリッジ16に対向する方向に付勢され得る。代替的に又は追加的に、カートリッジのハウジング18は、凹部と共に構成され得る。実施形態において、カートリッジ16のハウジング18及び本体4のカートリッジ台座12の両方が、スナップ嵌合するように、例えばそれらのうちの1つの上の凹部、及びもう一方の上の対応する突起で構成されてもよい。より具体的な例として、ハウジング18は、消耗品16の挿入方向I、即ち、消耗品16が本体4に挿入される方向に略平行な外側面上に凹部を有してもよく、この凹部は、本体4の突起上へのスナップ嵌合のための本体4上の突起に対応し得る。いくつかの実施形態において、消耗品16及び本体4が接続され/組み立てられるときに、消耗品16の挿入部分は、本体4に最も近い側において次第に狭くなり得る。それによって、接続中に、接続及びスナップ嵌合効果についてのガイディング効果がもたらされる。挿入という言い回しは、本体4とカートリッジ16との間の接続を指す。以下で説明される実施形態の大半において、カートリッジ16は、本体4の一部が挿入される(即ち、中に入る/貫通する)部分を有する。しかしながら、そのような構成は、カートリッジ16内に貫通する本体4の一部、又は貫通などにより特徴付けられない接続で反転され得ると、当業者は容易に理解する。
【0071】
図1b及び図2から最もよく分かるように、カートリッジ16は、ハウジング18、液体貯蔵器32、気化ユニット34、及び電気回路42を含み得る。ハウジング18は、蒸気出口28を設けたマウスピース部20を有し得る。マウスピース部20は、ユーザの口の人間工学に対応する先端形状の形態を有し得る。
【0072】
気化ユニット34は、加熱素子36及び液体移送要素38を含み得る。液体移送要素38は、毛管作用によって液体Lを液体貯蔵器32から加熱素子36へ移送するように構成され得る。液体移送要素38は、撚り綿又はシリカから作られる芯などの繊維質又は多孔質の要素であり得る。代替的に、液体移送要素38は、任意の他の適当な多孔質要素であってもよい。気化チャンバ30は、液体の気化が発生する領域内に画成され、加熱素子36及び液体移送要素38が互いに接触する近接領域に対応する。
【0073】
カートリッジ16は、カートリッジのベース部分における気化チャンバ30からマウスピース部20における蒸気出口部28まで延びるメインチャネル24を含み得る。気化チャンバ30は、好適には、マウスピース部20に対して反対側の遠位端に位置する。気化チャンバ30からマウスピース部20内の蒸気出口28まで、メインチャネル24は、均一な管状断面を有し得る。
【0074】
液体貯蔵器32は、可視蒸気を生成することが可能な、プロピレングリコール又はグリセリンなどの気化する液体Lを含み得る。液体が当業者に既知の気化可能材料(即ち、固体又は粘性体)によって置換される場合に、当業者が本出願の教示を容易に適合し得ることに、ここでも留意すべきである。個人用気化装置2は、気化されるべき液体Lから蒸気を生成するように構成され得る。
【0075】
加熱素子36は、特定の種類に制限されるものではなく、水平若しくは垂直コイル又は平らな加熱素子であり得る。カートリッジ16にはさらに、カートリッジ16内の第1の開口部から気化ユニット34を通って、マウスピース部20内の蒸気出口28まで延びる、少なくとも1つの吸気チャネル26が設けられ得る。カートリッジ台座12及び/又は本体4にも、少なくとも1つの給気開口部13が設けられ得る。
【0076】
液体移送要素38は、管形状を有し、メインチャネル24の長手方向と一致する長手方向を有し得る。管形状は、液体移送要素内部に蒸気チャネル40をもたらし、それを通って、蒸気が気化チャンバ30を出て蒸気出口部28に移動し得る。さらに、液体移送要素38の管形状は、メインチャネル24の内壁に対して滑り嵌め(snug fit)ももたらし、その中に加熱素子36を受けるための空間を形成し得る。
【0077】
加熱素子36は、コイル状加熱器であってもよく、その軸方向が液体移送要素38の長手方向と一致するように整列され得る。したがって、コイル状加熱器は、液体移送要素38と密接に接触しながら、液体移送要素38の内部に画成された蒸気チャネル40に嵌合され得る。このようにして、液体移送要素38は、メインチャネル24の内壁と加熱素子36との合間に保持され得る。これは、液体移送要素38がその形状を維持し、崩壊するのを回避することにも役立つ。液体移送要素38の材料は、綿、シリカ、又は当業者には既知の任意の他の繊維質材料若しくは多孔質材料であり得る。
【0078】
カートリッジ16は、改造できないように構成され得る。言い換えると、液体貯蔵器32は、カートリッジ内のフロー回路によって液体が再充填されることができないように密封又は構成されてもよく、その結果、液体貯蔵器32に含まれる液体をユーザが改造することを不可能にする。密封された液体貯蔵器32の利点は、含まれる液体の品質及び特性が、より長い期間維持されるということである。
【0079】
図2及び図3を参照すると、カートリッジ16には、電源端子45及びカートリッジ電気回路42がさらに設けられ得る。電気端子45は、メイン電源端子45a、45bのペアとして設けられてもよく、加熱素子36に接続される。メイン電源端子45a、45bは、したがって、本体のカートリッジ台座においてコネクタ14を介して加熱素子36を電源ユニット6に接続するように構成される。
【0080】
カートリッジ電気回路42は、PCB43(プリント回路基板)又は別の剛性支持物43上に部分的又は全体的に置かれ得る。カートリッジ電気回路42は、複数の電気端子48及びメモリ44を含み得る。カートリッジ電気回路42には、有利にはコントローラ46がさらに設けられてもよく、コントローラ46はメモリ44上に情報を書き込むことを可能にする。電気端子48は、本体4がカートリッジ16から情報を取り出すことを可能にするために、カートリッジ電気回路42を本体4のメイン電気回路8に接続するように構成される。図4から最もよく分かるように、端子48は、データ端子54、56、58、及び回路電源端子50、52を含み得る。好適な実施形態において、電気端子48は、プリント回路基板43上に設けられ、メイン電源端子45は、PCBのカットアウト80内に設けられる。有利には、カットアウトが、PCBの中心に設けられる。これは、メイン電源端子45がカートリッジ電気回路42から電気的に絶縁され得るという利点をもたらす。
【0081】
同様に、図3から最もよく分かるように、個人用気化装置2の本体4には、電気回路8が設けられてもよく、電気回路8は、またメインPCB(図示せず)上に部分的又は全体的に置かれ得る。電気回路8は、メイン電気回路8とカートリッジ電気回路42との間の接続を確立するように構成されるコネクタ19を含む。電気コネクタ19は、電源コネクタ14及び回路コネクタ(又はデータコネクタ)15を含む。電源コネクタ14は、カートリッジ16上の対応する電源端子45に接続するように構成される。電源コネクタ14は、加熱素子36と電源ユニット6との間の接続を確立するように構成され得る。図5a及び図5bに示されるように、気化装置本体4の電気コネクタ19は、カートリッジ台座12に接続される第1の端及びカートリッジ台座12上の端子45、48に弾性接続するように構成される第2の自由端19’を有する延長した接触部材として形成され得る。したがって、それらは、弾力のある「指」として構成され得る。これは、コネクタと対応する端子との間の接触を維持する力が生成され、それらの間の接続がより安定するように、接続中、コネクタ19が端子45、48に対して押されることを意味する。
【0082】
本体4の電源コネクタ14は、気化チャンバ30内の液体Lを気化するように消耗品又はカートリッジ16の加熱素子36に電気エネルギー(電流)を提供する電源回路を確立するために、第1の電源端子45a及び第2の電源端子45bに接触し得る。これは、加熱素子36が電源端子45に接続されるからである。有利な実施形態において、電気コネクタ19は、測定回路を確立するように構成された感知端子17をさらに含む。よって、電気コネクタ17の第2のペアは、第1の電源端子及び第2の電源端子45の間の電圧を測定し得る。この電圧は、例えば、この加熱素子36の抵抗の判断を通して、加熱素子36の温度を精密に判断するために使用され得る。この特徴は、より詳細に後述される。
【0083】
図5a及び図5bに示されるように、電気コネクタ19の自由端19’は、コネクタガード60内に保持され得る。コネクタガード60は、本体4とカートリッジ16との間で誤って行われる接続の結果として、又は異物の偶発的な導入に起因して、物理的に損傷されることから電気コネクタ19の自由端19’を保護し得る。特に、コネクタガード60は、電気コネクタ19の自由端19’の先端/終点、又は電気コネクタ19の配置の少なくとも1つの側、又は電気コネクタの裏側(即ち、電気端子45、48と接触しない、コネクタの他の側)を保護し得る。この保護は、コネクタ19’の先端に誤って触れない、又は接触しないこと、その結果、異物がカートリッジ台座12内に入ることによって、又はカートリッジ16が本体内に誤って挿入されることによって変形されるなどの何らかの方法で損傷されないことを保証する。さらに有利には、コネクタガード60が、上述した側の組み合わせ、又はそれらの全てを保護し得る。より詳細には、コネクタガード60は、支持バー62がカートリッジ台座12から突出し、且つ上部保護拡張部61が保護される電気コネクタの配置の整列方向に略平行になって、T形で設けられ得る。コネクタガード60は、電気コネクタ19の周囲に置かれて、反転U形又は略m形でも設けられ得る。コネクタガード60は、接続側(即ち、電気端子45、48に接触する電気コネクタの表面側)が開いたかごの形態で、且つ裏側が閉じられた形態でも設けられ得る。コネクタガード60は、ベース部分も有してもよく、ベース部分は、電気コネクタの端を覆い、維持する。電気コネクタの端は、カートリッジ台座12に接続される。このベース部分は、有利には、コネクタガード60によって整列される電気コネクタの配置の整列方向に略平行なバーの形態で設けられる。
【0084】
図2に戻って参照すると、カートリッジ16のメモリ44に記憶されるデータは、カートリッジ16の使用データの1つ又は複数のセットを含み得る。データは、カートリッジ16の認証データ、カートリッジ16に含まれる液体Lの種類、成分、味、若しくは残量を識別するデータ、及び/又はカートリッジ16の消耗品の賞味期限日を含み得る。本体4の電気回路8は、このデータを取り出し、処理するように、例えば、データに従って加熱素子36の動作モードを制御するように構成され得る。例として、それは、上記で説明したように判断される加熱素子36の温度又は抵抗に応じて、電源回路を通ってカートリッジ16内の加熱素子36に印加される電力を調整し得る。メインコントローラ10は、カートリッジメモリ44上でデータを読み出し及び書き込みするように構成され得る。例えば、メインコントローラ10は、特定のカートリッジから消費された液体量を推定し、情報をカートリッジメモリ44上に書き込み得る。カートリッジが交互に使用される場合であっても、これは、有利には、異なるカートリッジ16から消費された液体量をユーザが追跡することを可能にする。
【0085】
図1bに示されるように、電子たばこ2の本体4は、通信ユニット11をさらに含み得る。通信ユニット11は、レポーティング又はさらなる分析のためにこのデータをサーバにさらに移送する(例えば、さらにカートリッジを注文するための勧告を受信する)可能性を有する、他のシステム、装置、又はネットワーク、例えば、スマートフォンなどのインターネット対応装置にBluetoothを介して、本体4によって取り出され、処理されるデータを移送するように構成され得る。
【0086】
図2及び図3は、また、カートリッジ16と電子たばこ2の本体4との間の電気接続のための有利な配置を示す。図2に示されるように、カートリッジ16は、マウスピース部20の反対側のカートリッジ16の遠位部分として配置される接続部70を含み得る。この接続部70は、1つの外側面90(それが円筒形又は略円筒形を有する場合)又は接続部70が例えば長方形断面を有する場合に複数の外側面90を有し得る。1つ又は複数の外側面90は、(接続部70からマウスピース部20へと進む)カートリッジ16の軸方向Aに一致する方向の平面であってもよい。1つ又は複数の外側面90は、平坦であってもよく、又は湾曲していてもよい。製造効率については平坦な回路基板を製造することがより容易であるため、平坦な接続部では有利である。回路端子48は、外側面90上の上記接続部70、有利には、マウスピース部20から外側面90の最も遠い部分に、位置し得る。いくつかの実施形態において、カートリッジ16は、互いに略平行な外側面の第1のペアS1及び第2のペアS2を有し、第1のペアS1の側の幅は、第2のペアS2の側の幅よりも広く、回路端子48が位置する上記外側面は、第1のペアS1の側のうちの1つである。このような構成は、様々なコネクタ又は端子をそれらのそれぞれの配置面にわたって分散する点から、より安定性をもたらし、より多くの可能性を開く。
【0087】
図2及び図4から分かるように、回路端子48は、カートリッジ16の長手方向(軸方向A)に対して異なる長手方向位置に配置され得る。実施形態において、回路端子48は、消耗品16の挿入方向Iに略平行な、それらの長手方向に延長され得る。有利には、回路端子48は、同一平面上に配置される。このような構成は、消耗品16と本体4との間のより安定した電気接続をもたらす。いくつかの実施形態において、2つの隣接回路端子48間の距離は、20mm~0.05mmの間、好適には10mm~0.1mmの間、より好適には5mm~0.15mmの間、さらに好適には1mm~0.05mmの間に含まれ得る。このような距離によって、端子間の距離が十分に維持されつつ、複数の端子48のコンパクトな分散が確保される。それによって、本体4及びカートリッジ16が接続され/組み立てられるときに、コネクタ/端子の非対応ペア間の接続の危険性を低下させて、回路端子48がそれらの対応コネクタ19に接続される。
【0088】
カートリッジ16の回路端子48は、カートリッジ16の長手方向に対して異なる長手方向位置に配置され得るため、回路端子48は、それらの対応回路コネクタ19に順次(即ち、異なる時点で)接続されるように構成される。特に、対応回路コネクタが図3aに示されるように全て整列される場合、これは容易に達成される。カートリッジ16の回路端子48が全て、同じ長手方向位置に整列されるが、本体の1つ又は複数のコネクタ19が、本体4の接続方向I’、即ち、本体4が消耗品16に接続される方向において異なる範囲に及ぶ場合に、そのような構成も、図3bに示されるように達成され得ることに留意すべきである。代替的に、カートリッジ16上の端子48の位置及びカートリッジ台座12におけるコネクタ19の長さの組み合わせは、カートリッジ16が挿入されるときにそれらがそれぞれの相対物と異なる時点に接触して入る限り、両方とも整列されていなくてもよい。端子48の位置及びコネクタ19の長さの両方が、データ端子48及びコネクタ15が接続される順序を決定することは明らかである。言い換えると、カートリッジ16の回路端子48及び本体のコネクタ19は、消耗品16が本体4に接続されるときに、回路端子48の1つ又は複数が、対応する回路コネクタ19に異なる時点において接続されるように構成され得る。
【0089】
したがって、カートリッジ16は、回路コネクタ15又はその少なくとも先頭接続部の長手方向位置に対してカートリッジの長手方向の異なる位置に設けられる、回路端子48又はその少なくとも先頭接続部を有し、それによって、回路端子は、電子たばこの本体へのカートリッジの接続時に、所定の順序で回路コネクタに接続可能である。回路端子又は回路コネクタの先頭接続部分は、これらの端子又はコネクタの端部であり、カートリッジがユーザによって正常な挿入方式で本体のカートリッジ台座内に挿入されるときに、それらの対応コネクタ又は端子と最初に遭遇することに留意されたい。明確には、カートリッジが本体によって受けられるカートリッジ台座内にカートリッジを正常に挿入すると、対応する端子/コネクタペアの先頭接続部分が互いに異なるタイミングで遭遇するように、接続の順序が、端子及び/又はコネクタの長さ又は位置を長手方向に変えることによって制御され得る。
【0090】
上述のように、順序付けは、端子及び/又はコネクタの先頭接続部分の長手方向位置を制御することによって制御され得るが、それは、カートリッジのコネクタ48の長手方向位置が変化した場合に有利である。これによって、(「古い」装置が、新たなカートリッジと依然として互換性があり得るように)装置本体への変更を必要とすることなく、(例えば、新たなバージョンのカートリッジが、元のカートリッジと比較して異なる接続順序により適している、元のバージョンに対して異なる電子回路を用いて製造されているため、)例えば、カートリッジ上に含まれる実際の電子回路を考慮するために、異なるカートリッジについて異なる順序付けを得ることが可能となるためである。
【0091】
このような順序の構成は、それらのそれぞれの端子45、48との全てのコネクタの接続の特定の順序が達成され得るように、電気コネクタ14、感知端子17、データコネクタ15のいずれにも拡張され得ることに留意すべきである。説明において、例が後で与えられる。
【0092】
図4から最もよく分かるように、カートリッジ16上の回路端子48は、否定回路端子50、カートリッジ感知端子54、データ移送端子56、及びデータを同期し、どのデータが記録されるのに有効であるかを判断するように構成されるタイミング回路端子(SCL)58、並びに他の端子50、54、56及び58に電力を供給するように配置される正電源端子52を含み得る。好適な実施形態において(図6を参照)、否定回路端子50は、第1のステップS1において接続される。否定回路端子50を最初に接続することによって、否定回路端子50は、グラウンドとして機能し、カートリッジ回路42において電荷を電源ユニット3に転換することが可能である。電気回路42に電力を提供するために、正電源端子52は、第2のステップS2において接続される。第3のステップS3において、残りの端子が、同時に、又は逐次的に接続され得る。
【0093】
カートリッジ感知端子54は、カートリッジが台座に接続されているかどうかをメインコントローラが判断することを可能にするように構成される。レジスタは、この回路内、及び装置内の端子間に含まれる。装置回路は、したがって、カートリッジ16がカートリッジ台座12に存在するときに電圧降下を読み出すように構成される。カートリッジ台座12におけるコネクタ19は、電圧を検出し、カートリッジ16がカートリッジ台座12に存在することをコントローラによって判断するために、カートリッジ感知端子54及びメインコントローラ10を含む測定回路を確立するように構成される。カートリッジ内のレジスタは、カートリッジ内のカートリッジ感知端子54と否定回路端子50との間(又はグラウンドとして機能する、そこに接続される任意の部分)に接続されるプルダウンレジスタで(又は直接接続ですら)あってもよい。気化装置内のレジスタは、カートリッジ内のプルダウンレジスタよりも大きな抵抗を有する(カートリッジ感知端子54に接続するコネクタ19と電圧Vccとの間に接続される)プルアップレジスタを含み得る。よって、カートリッジが本体に挿入されるとき、コネクタ19における電圧は、高電圧(プルアップレジスタによって制御される)から低電圧(カートリッジ内のプルダウンレジスタによって制御される)に低下し、よってコネクタ19における電圧の降下が、メインコントローラによって検出される。
【0094】
また、カートリッジ16の電源端子45は、消耗品16の挿入方向Iに略平行な電源端子45の長手方向に延長され、配置され得る。さらに、全ての電源端子45は、同一平面上に配置され得る。これらの構成は、他の端子の類似の構成と同一の利点をもたらす。さらに、電源端子45は、回路端子48の平面上に位置してもよく、それによって、カートリッジ16と本体4との間の全体的な電気接続を改善する。いくつかの実施形態において、2つの隣接する電源端子45間の距離が、30mm~0.05mmの間、好適には10mm~0.1mmの間、より好適には5mm~0.15mmの間、さらに好適には2mm~0.2mmの間、最も好適には1mm~0.2mmの間に含まれ得る。電源端子45は、1.0mm~3.5mmの間、好適には1.5mm~2.5mmの間、最も好適には2.0mm~2.5mmの間の幅を有する。
【0095】
本発明の別の有利な態様によれば、電源端子45は、回路端子48よりもカートリッジ16の上記挿入方向Iにさらに拡張してもよく、それによって、電源接続(即ち、電気コネクタ14及び/又は17との電源端子45の接続)が、データ接続(即ち、回路端子48と回路コネクタ19との間の接続)が確立される前に行われることを可能にする。言い換えると、電子たばこ2は、カートリッジ16が本体4に挿入されるときに、回路端子48が回路コネクタ19に接続される前に電源端子45が電源コネクタ14に接続されるように構成され得る。結果として、消耗品16の電気回路42が、オンにされ/電力を受ける時点と、データ接続が確立される時点との間に遅延が存在する。電源端子45の端が回路端子48の端と整列されるが、本体の電源コネクタ15がコネクタ19よりも本体4の接続方向51にさらに突出する場合に、このような構成も達成され得ることに留意すべきである。
【0096】
本発明のさらに有利な態様によれば、カートリッジ感知端子54は、データ移送端子56及びタイミング回路端子(SCL)58よりもカートリッジ16の上記挿入方向Iにさらに拡張してもよく、それによって、感知端子54が接触されること、及びコントローラ10がカートリッジメモリ44の問い合わせを開始する前に感知回路が確立されることを可能にする。これは、(カートリッジ感知端子54の接続に関連付けられた電流サージがデータ送信を妨げることを回避することによって)データ接続の信頼性を改善し、したがってカートリッジ16の認証プロセスを高速化する。
【0097】
概して、様々な実施形態において上記に提示された構成が、容易に可逆である、即ち、当業者が、本体4とカートリッジ16との間の接続のいくつかの構成/要素を電子たばこ2の他の部分において容易にもたらし得ることに留意すべきである。例えば、当業者は、本体4がカートリッジ16内に挿入される場合に本出願の教示を容易且つ明白に移転し得る。カートリッジ16には、その端子が端子ガードによって整列され保護される本体台座が設けられる。
【0098】
電気コネクタ17の第2のペアは、加熱素子36の温度を判断するための測定回路を確立するために、第1の電源端子45a及び第2の電源端子45bに接触し得る。よって、電気コネクタ17の第2のペアは、第1の電源端子45a及び第2の電源端子45b間の電圧を測定するように構成される。言い換えると、電源回路は、本体4からのエネルギーで加熱素子36に電力供給するための電流搬送回路であってもよく、測定回路は、電圧感知回路であってもよい。「4端子測定法」又は「ケルビン測定法」と呼ばれることがあるそのような測定構成は、測定された電圧からの、加熱素子36、より精密には加熱素子36を含む2つの電源コネクタ45間の回路のインピーダンス/抵抗の判断を可能にする。これらの2つの別々の回路使用の利点は、加熱素子36(又は加熱素子36を含む回路)のインピーダンス/抵抗の測定、及びしたがって、加熱素子36の温度の判断が、回路が1つだけ使用される状況よりも正確であるということである。これは、個々の測定回路が、測定からワイヤ及び溶接の抵抗を除外しつつ、加熱素子36上の抵抗の測定を可能にするためである。本体4には、測定された電圧の情報を電圧センサから受信し、加熱素子36の動作温度を判断するように構成されるコントローラ10が設けられ得る。
【0099】
消耗品16のメモリ44は、例えば室温において、加熱素子36の基準温度又は基準温度範囲において加熱素子36の抵抗を示す第1の基準値を記憶していてもよく、又は記憶するように構成されてもよい。基準値は、測定された抵抗と温度との間の関係性の判断を可能にする。
【0100】
基準抵抗値は、有利には、製造プロセスにおいて判断され、次いでカートリッジメモリ44内にプログラミングされ得る。これは、より詳細に後述される。
【0101】
本体4のコントローラ10は、カートリッジメモリ44から基準値を取得するように構成される。したがって、本体4のコントローラ10は、加熱素子36の基準温度又は基準温度範囲において加熱素子36の抵抗を示す第1の基準値を取得し、判断される抵抗を第1の基準値によって示される抵抗と比較することによって加熱素子36の温度を判断するように構成される。
【0102】
個人用気化装置2のメインコントローラ10は、電力を調整するように(例えば、パルス幅変調)さらに構成され得る。電力は、判断された温度に応じて、電源回路を通して消耗品16内の加熱素子36に印加される。これは、温度が蒸気生成に関して最適であることを保証するためであるが、望ましくない成分が形成されること、及び液体貯蔵器32又は液体移送要素38が空であるか又は乾燥しているにも関わらず、加熱素子36が熱を発生させている乾燥芯の状況を回避するためにも、気化器の温度調整をもたらす。温度の判断もまた、本発明の技術的実施において非明示的に行われ得ることに留意すべきある。より精密には、本発明は、抵抗が温度と共に変化する加熱素子36の抵抗値を通して温度を判断するという概念に部分的にあるため、技術的実施の何らかの点において、加熱素子36の温度とその抵抗との間の合致が行われている限り、加熱素子36に印加されるべき電力の調整もまた、ただ抵抗を判断すること、及び印加される電力と抵抗値を合致させることによって行われ得ることが、当業者には容易に理解可能である。
【0103】
よって、上述のような電子たばこ2の消耗品16において加熱素子36の温度を判断する方法は、第1の電源端子45aと第2の電源端子45bとの間に加熱素子36を含む、消耗品16において回路の実際の抵抗の判断を含む。抵抗を判断する任意の既知の方法が使用され得るが、好適な方法は、電源端子45a、45bのペアにわたる電圧を測定するステップを含み、そのようなステップは、本体4のコントローラ10によって実行され得る。より詳細には、消耗品16の第1の電源端子45a及び第2の電源端子45bは、電気コネクタ14の第1のペアによって接触され得る。それによって、測定回路が確立され、本体4のコントローラ10は、第1の電源端子45a及び第2の電源端子45bの間の電圧を測定し得る。第1の電源端子及び第2の電源端子45の間の加熱素子36を含む消耗品16における回路の実際の抵抗が、当業者に既知の方法で、測定された電圧によって判断される。使用中、温度及びそれによる加熱素子36の抵抗のみが、実質的に上昇する。したがって、本方法は、温度の軽微な変化が残りの部分に発生するにもかかわらず、正確な温度測定をもたらす。これは、他の部分が抵抗率のより小さな温度係数を示す材料からできているときにも可能である。したがって、加熱素子36の実際の温度は、開ループの測定された抵抗に基づいて判断され、又は推定され得る。
【0104】
任意選択で、図7に示されるように、メインコントローラ10は、また、第1の基準値に加えて、加熱素子36と、加熱素子36を含む電子回路42の開ループとの抵抗の差を判断することを可能にする第2の基準値を取得するように構成され得る。この場合、コントローラ10は、加熱素子36と加熱素子36を含む電子回路42の開ループとの抵抗の差を減算することによって、加熱素子36の実際の抵抗の値を判断するように構成される。
【0105】
基準温度又は基準温度範囲において加熱素子36とそのループとの抵抗の差を判断することを可能にする、基準値(本明細書において「第2の」基準値と呼ばれる)が取得される場合に、判断はさらにより正確である。消耗品16のメモリ44は、加熱素子と加熱素子36を含む電子回路42の開ループとの抵抗の差を判断することを可能にするこの第2の基準値を記憶するようにさらに構成され得る。例えば、第2の基準値が、室温において第1の電源端子45aと第2の電源端子45bとの間のループ全体の抵抗を示す場合、加熱素子36の実際の抵抗は、第1の電源端子45a及び第2の電源端子45b間のループの実際の抵抗値-第2の基準値+第1の基準値であり、「第1の」基準値は、室温における加熱素子36の抵抗を示す。第2の基準値が、室温におけるループ全体と加熱素子36との抵抗の差のみを示す場合に、加熱素子36の現在の抵抗は、第1の電源端子45aと第2の電源端子45bとの間のループの現在の抵抗値-第2の基準値である。
【0106】
上述した第1の基準値及び第2の基準値は、本体のメモリに記憶され、本体のメモリから取得され得る。しかしながら、好適な実施形態において、基準値は、典型的には、異なるカートリッジ16について異なるため、基準値は、カートリッジ16のメモリ44から取得される。例えば、コントローラ10は、上述の通り、データ端子48及びデータコネクタ19の接続によって確立されるデータ回路によって、メモリ44にアクセスし得る。代替的には、第2の基準値の推定が、加熱コイルの加熱を開始する前に周囲温度における第1の電源端子45aと第2の電源端子45bとの間の加熱素子36を含むカートリッジ16内のループの現在の抵抗を測定することによって、電子たばこにより取得され得る。しかしながら、周囲温度が基準温度に非常に近くなるように制御され得ない限り、このような手法は、著しく不正確になりやすい。したがって、第1の基準値を好適に判断する方法を説明した後、以下で説明される方法で第2の基準値が製造時に判断される場合は、好適である。
【0107】
加熱素子36の実際の抵抗が、第2の基準値の使用によるか否かのどちらかで判断されると、加熱素子36の実際の温度は、判断された現在の抵抗を第1の参照値により示される抵抗と比較することによって判断され得る。したがって、カートリッジメモリ44は、抵抗値と温度との間の相互関係をさらに含み得る。追加的に、カートリッジメモリ44は、判断される実際の温度に応答して、電源又はパルス幅変調を制御するためのプログラムをさらに含み得る。このような方法は、加熱素子の抵抗特性によって加熱素子36の抵抗をその温度に合致させるという概念を使用し、加熱素子の抵抗特性は、加熱素子の抵抗率の温度係数の知識と共に、基準温度又は温度範囲、例えば室温において、加熱素子36の抵抗を示す第1の基準値から導出され得る。
【0108】
加熱素子36が、温度と抵抗率のほぼ一定の係数を有する材料からできている場合には好適であるが、そうでない場合、使用される式をどのように適合させるか、例えば、単一の式を異なる温度における抵抗率の係数に異なる近似値を用いた一連の式で代用すること(即ち、周囲温度と加熱器の動作温度、例えば約250℃などとの間の一連の温度範囲にわたって、現実の状況を一連の線形式に近似すること)が当業者には明らかである。即ち、例えば、標準温度(通常20℃に指定される)以外の任意の温度において導体についての抵抗値が、以下の式、
R=Rref[1+α(T-Tref)]を通して判断され得ることが分かる。
Rは、現在の温度Tにおけるコイルの現在の抵抗であり、Rrefは、基準温度(通常20℃)におけるコイルの基準抵抗であり、αは、コイル材料の抵抗の温度係数であり、Tは、℃におけるコイルの現在の温度であり、Trefは、基準温度である。コイルの温度は、以下の式、
T=Tref+(1/α)([R/Rref]-1)によって取得され得る。
このような式は、関数T=f(R)、グラフ、又は関係テーブルの形式でも保存され得る。
代替的には、加熱器における温度対加熱器の測定された抵抗の間の相互関係を指定するテーブルが、本体4内のメモリに記憶され得る。固有の抵抗において変動のある加熱器を有する異なるカートリッジを考慮に入れるために、いくつかのパラメータが基準値に加えてカートリッジメモリ上に記憶され得る。カートリッジメモリ上に記憶されたパラメータは、(例えば、抵抗率の異なる温度依存係数を有する異なる材料からできている)異なる加熱器の種類のプロパティを直接含んでもよく、又は異なる所定の加熱器の種類の識別子を含んでもよく、それによって、抵抗率の係数と温度との間の関係性などを指定する、本体上に記憶された正しい対応テーブルにメインコントローラがアクセスすることが可能となる。
【0109】
有利な実施形態において、加熱素子36の材料は、チタンであり得る。チタンは、例えば、ステンレス鋼又はニッケルと比較して急勾配の温度対抵抗曲線を有する。したがって、加熱素子36の抵抗は、コイル温度の上昇と共に比較的急速に上昇する。しかしながら、ステンレス鋼、ニッケル、クロム、若しくはアルミニウム、又はそれらの合金などの他の材料も可能である。加熱素子36の設計及びその幾何形状は、また、加熱素子の長さ及び直径によって加熱器の抵抗に影響を及ぼす。加熱素子36の幾何形状は、所望の気化動作が達成され得るように、液体移送要素38の寸法及び特性に合致するように選択される。温度及び抵抗の関係性を確立する本方法について、選択された材料が抵抗と温度との間の再現可能な関数関係を示すことが有利である。温度測定の所望の精度に依存して、加熱素子材料の抵抗αの温度係数を推定する異なるやり方が、実施され得る。
【0110】
有利な実施形態において、加熱素子材料の抵抗αの温度係数は、一定であると推定され得る。これは、約20℃~約250℃の間の間隔において、抵抗が温度の上昇と共に線形増加することが分かっているためである。理論上、製造プロセスの間、加熱素子抵抗は、(例えば、基準温度であるように周囲温度を制御することによって)加熱素子の基準温度において単純に測定され得る。しかしながら、(基準温度と正確に同一であるように周囲温度を制御することなく)製造設備の周囲温度において加熱素子36を測定することが有利である。周囲温度は、25℃など、20℃とは異なっていてもよい。周囲温度が25℃である例において、例における20℃での加熱素子の抵抗は、上記の通りの式及び摂氏度により0.00413のαを用いることによって約0.270Ω、であるように計算される。250℃における加熱素子36の抵抗は、次いで、この例に対して摂氏度により0.00413のαについて同一の値を用いて計算され、約0.526Ωであることが分かる。この例においてチタンの現在の加熱素子36についての電気抵抗率は、(20℃において)456nΩ・m及び(250℃において)888nΩ・mと識別されている。
【0111】
例示的方法において、各加熱素子36は、カートリッジ16に組み立てられる前に測定される。加熱素子36及びPCBAは、それらが定位置に堅固に保持され得るように、好適には、固定物上に取り付けられる。PCBA及び加熱素子36は、テストコンピュータ、並びに測定、データの収集、及びPCBAのメモリ(例えばEEPROM)上へのデータの書き込みを可能にするプログラムを含む測定回路に接続されている。
【0112】
例示的測定方法は、以下の通りであり得る。第1のステップにおいて、加熱素子36の抵抗が測定される。第2のステップにおいて、周囲温度が測定される。第3のステップにおいて、周囲温度が20℃とは異なるかどうかをコントローラが判断する。任意選択の第4のステップにおいて、周囲温度が20℃とは異なる場合に、20℃での加熱素子36の抵抗が計算される。この抵抗は、式R=Rref[1+α(T-Tref)]によって計算され、αの値が固有の材料特性によって判断される。例えば、加熱素子36がチタンからできている場合に、摂氏度による0.00413のαについての値が使用され得る。第5のステップにおいて、コイル抵抗が、20℃においてEEPROM内に書き込まれる。テストコンピュータは、PCBA上に情報を書き込むために使用され得る。第6のステップにおいて、加熱素子の抵抗は、EEPROMから読み出され、検証される。加熱素子36及びPCBAは、その後固定物から取り除かれる。任意選択で、ログファイルは、ローカルディスク内にファイルされる。これによって、異なる加熱素子からの測定値が記憶されることが可能となる。テスト構成は、新たな加熱素子が固定物において設定され得るようにリセットされる。
【0113】
任意選択で、EEPROMは、それが固定物に取り付けられる間、他の種類の情報を用いてプログラムされ得る。例えば、EEPROMは、シリアル番号、カートリッジ16内の液体の種類及び量についての情報、製造日及び使用期限日などを用いてプログラムされ得る。
【0114】
本発明は、個人用気化装置2の消耗品16において加熱素子36に印加される電力を調整する方法にも関する。それを行うために、この温度を判断する上述の方法のうちの1つに従って加熱素子36の温度を判断することと、判断された温度に応じて、加熱素子36に供給される電力を調整することを含む、フィードバックループが実行される。当業者は、加熱素子36の温度を明示的に判断する必要はないことを理解するであろう。むしろ、上述した方法に従って判断された加熱素子の現在の抵抗値は、例えば、変換テーブル又は式によって、加熱素子36に印加されるべき電力についての値に直接変換され得る。よって、本明細書において使用される、「加熱素子の現在の抵抗を基準値により示される抵抗と比較することによって加熱素子の温度を判断する」という表現は、温度の暗黙の判断も包含する。その場合に、制御値のような値は、加熱素子36の抵抗及び温度間の関係性に基づいて確立されているテーブル、式などを用いることによって、加熱素子36の現在の抵抗から直接判断される。
【0115】
本発明によるカートリッジ16を製造する方法は、加熱素子36の温度が基準温度に実質的に対応するか、又は基準温度範囲内にある間に、好適には消耗品16へのその組み立て前に、加熱素子36の抵抗を測定することによって第1の基準値を取得するステップを含み得る。好適には、しかしながら、本発明によるカートリッジ16を製造する方法は、カートリッジ16への組み立て前に加熱素子36の抵抗を測定することと、加熱素子36の温度を測定することと(例えば、加熱素子の環境の周囲温度を測定すること、及び加熱素子がほぼ環境の周囲温度にあることを保証すること、例えば、加熱素子が、周囲温度まで加熱又は冷却するのに十分な時間があり、加熱又は冷却操作又はプロセスなどを最近受けていないことを保証することによって)、次いで所定の基準温度(例えば20℃)において加熱素子の予期される抵抗を判断すること、及びこの判断された予期される抵抗を第1の基準値として記憶することと、によって、第1の基準値を取得することを含み得る。好適には、予期される抵抗値の判断は、所定の基準温度において加熱素子を作るために使用される材料の抵抗率の温度係数の知識を用いて、例えば、以下の式(又はその等価物)、Rref1=Rmeasured(1-α(Tmeasured-Tref))を用いることによって、計算される。ここで、Rref1は、第1の基準値であり、Rmeasuredは、測定された加熱素子の抵抗であり、αは、基準温度における加熱素子が作られる材料の抵抗率の係数であり、Tmeasuredは、加熱素子の測定温度であり、Trefは基準温度(例えば、20℃)である。この方法で判断される第1の基準値は、それが個人用気化装置2の使用中に本体4のコントローラ10にアクセス可能であり得るように、カートリッジのメモリ44に記憶され得る。加熱素子の製造業者によって提供される抵抗値は、通常、製造ばらつきを受けやすい。カートリッジ16上に取り付けられる特定の加熱素子36上で測定される正確な値を記憶することによって、本体4のコントローラ10は、測定された現在の抵抗値に基づいて、加熱素子36の温度のその判断についてより正確な値を使用し得る。
カートリッジが、第2の基準値も記憶し、第2の基準値が、基準温度又は基準温度範囲において加熱素子36と第1の電源端子45aと第2の電源端子45bとの間の加熱素子36を含むカートリッジ16内のループとの抵抗の差を判断することを可能にする場合、この第2の基準値は、加熱素子36の温度が測定された温度(例えば、製造環境の測定された周囲温度)に実質的に対応する間、開ループの組み立て後に(好適には、また4線式測定技術を用いて)開ループの抵抗を測定すること、及び(例えば、測定された温度における加熱素子の予期される抵抗と比較して、基準温度における加熱素子の抵抗の差を考慮に入れることによって測定された温度における開ループの測定された抵抗に基づいて、基準温度における開ループの予期される抵抗を計算することによって、製造中に取得され得る。よって、基準温度における開ループの取得された予期される抵抗、又はそれによって加熱素子以外の開ループに含まれるコンポーネント(例えば、ワイヤ、端子、導体トラックなど)の組み合わされた抵抗の推定を取得するためにそこから導出される値(基準温度における開ループの予期される抵抗と第1の基準値との差などは、好適には、第1の基準値と同様にカートリッジのメモリ44にも記憶され得る。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7