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特許7357685チャネルを介して運ばれるサスペンションの材料パラメータおよび/または均質性をモニタリングするための測定システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】チャネルを介して運ばれるサスペンションの材料パラメータおよび/または均質性をモニタリングするための測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/02 20060101AFI20230929BHJP
   G01N 27/74 20060101ALI20230929BHJP
   G01N 27/90 20210101ALI20230929BHJP
【FI】
G01N29/02
G01N27/74
G01N27/90
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021551829
(86)(22)【出願日】2020-01-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020050035
(87)【国際公開番号】W WO2020177932
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】102019202846.2
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515230084
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツゥア フェアデルング デア アンゲヴァンドテン フォァシュング エー.ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ワイルド マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ホイヤー ヘニング
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツォーク トーマス
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-167959(JP,A)
【文献】特開平11-64311(JP,A)
【文献】特開2017-168343(JP,A)
【文献】特開昭63-52053(JP,A)
【文献】特表2015-508897(JP,A)
【文献】米国特許第5333502(US,A)
【文献】特表昭62-500612(JP,A)
【文献】米国特許第4955235(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/72 - G01N 27/9093
G01N 29/00 - G01N 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気蓄電池または電気エネルギー貯蔵器の電極を構成する、導電性であるかまたは導電性の構成要素を含む、チャネルを介して運ばれるサスペンションの材料パラメータおよび/または均質性をモニタリングするための測定システムであって、
超音波検査用に構成されたセンサシステムは、音波の放出のために前記チャネルの外壁に配置された少なくとも1つの超音波変換器を有し;ならびに
渦電流検出用に構成され、少なくとも1つの電気送信コイルおよび少なくとも1つの電気受信コイル、あるいは巨大磁気抵抗センサ(GMR)、異方性磁気抵抗センサ(AMR)、超伝導量子干渉センサ(SQUID)、またはホールセンサで形成されるセンサシステムは、前記サスペンションの移動方向における前記超音波検査用に構成されたセンサシステムの上流または下流に配置され;ならびに
両方のセンサシステムは、押出機と前記チャネルに接続されたノズルとの間に配置され、そこから押出物としての前記サスペンションが取り出(extract)され、
ならびに
前記超音波検査用に構成されたセンサシステムと、前記渦電流検出用に構成されたセンサシステムとは、電子評価ユニットに接続され、前記電子評価ユニットは、両方のセンサシステムによって検出された測定信号によって、運ばれた前記サスペンションの材料パラメータおよび均質性における欠陥を認識するように構成されている、ことを特徴とする測定システム。
【請求項2】
前記超音波検査用に構成されたセンサシステムの第2の超音波変換器が、他の超音波変換器と直径方向に対向して前記チャネルの外壁に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
1つまたは複数の前記超音波変換器が、前記チャネルの対応する凸状に弓形になった表面と接触するように配置された凹状に弓形になった表面を有するか;あるいは
前記1つまたは複数の超音波変換器の平面が、前記チャネルの外壁の平面(3.1)に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の測定システム。
【請求項4】
少なくとも1つの送信コイルおよび受信コイル対が、渦電流検出用に構成されたセンサモジュールを形成することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項5】
複数の送信コイルおよび受信コイル対が、渦電流検出用に構成されたセンサモジュールを形成し、前記センサモジュールが、ハウジング(1)内に交換可能に配置され、および/または交互に動作可能であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項6】
少なくとも1つの送信コイルが、前記チャネルの周辺部の周りに形成または配置され;および
前記送信コイルの内部の受信コイルが、前記チャネルの壁内に統合されているか、前記チャネルの外壁の溝内に受け入れられているか、または前記チャネルの内部に配置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の測定システム。
【請求項7】
前記渦電流検出用に構成されたセンサシステムが、絶対測定および/または差分測定を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャネルを介して運ばれるサスペンション(懸濁液)の材料パラメータおよび/または均質性(均一性)(homogeneity)をモニタリング(monitoring)するための測定システムに関する。サスペンションは、電気蓄電池(electrical storage battery)または電気エネルギー貯蔵器(バッテリー)用の電極の製造に使用されるスラリーおよび押出物(extrudate)であることができる。
【0002】
例えば、エレクトロ・モビリティー(electromobility)は、特に、現在の技術水準において、急速な成長段階にある。このように、幅広い研究開発の結果、蓄電池の分野が生まれている。ここでは、安全性と品質の基準を満たすことが最優先事項である。
【0003】
蓄電池の基本的な構成要素(component)は、アノード(anode)、カソード(cathode)、電解質、およびセパレータに分けられる。アノード材料およびカソード材料は、キャリアフィルム上に配置される。アノード用キャリアフィルムの材料は、通常、銅であり、カソード用は、アルミニウムである。現在の従来技術において、電極材料のコーティングは、キャリアフィルムの表面上でフィルムキャスティングプロセスによって行われる。電極材料は高い溶媒比率を有する。前記材料は、かなり小さい溶媒比率で実施できる押出プロセスによって、押出機を用いて製造および搬送される。電極材料は、特殊なツールを用いてキャリアフィルムに塗布(apply)される。
【0004】
材料の不均質性(不均一性)(inhomogeneity)は、押出プロセス中に生じる可能性があり、それにより、その特性、ひいては蓄電池の後の機能性が影響を受ける。検査が遅すぎて、したがって、適用後にそのような欠陥(defect)を検出すると、使用不可能な材料が生成され、それによって、経済的実行可能性および環境に悪影響が及ぶ。
【0005】
現行の従来技術では、進行中のプロセスにおいて、押出された材料を十分に正確に検査することができない。材料の検査は、現在、既に製造された電極のその後の機能検査を介して行われる。これにより、蓄電池の品質を、基準値および経験値を参照して判定することができる。期待される品質が満たされない場合、材料のその後の検査を行わなければならない。その後、製造プロセスを適応させる。電極材料は、コーティングプロセスとその後の機能検査と並行して製造される。これにより、継続的なプロセス・フローが保証される。欠陥があり使用不可能な材料が生成される後期欠陥認識(late defect recognition)は、不利である。
【0006】
現在の従来技術では、製造プロセス中に非破壊検査法を用いて押出された電極材料を検査することはできない。
【0007】
これらの問題は、他のサスペンションまたは押出物の品質のモニタリングにおいても生じる。
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の目的は、特定の品質依存のコンシステンシー(consistency)からの逸脱(deviation)または欠陥を認識でき、必要に応じて、それぞれのサスペンションを使用する製品の完成前に、補償でき、ならびに/あるいは材料パラメータを決定できる、チャネルを介して搬送されるサスペンションのモニタリングの可能性を提供することである。
【0009】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する測定システムによって達成される。本発明の有利な実施形態およびさらなる開発は、従属請求項に示される特徴を使用して実現することができる。
【0010】
前記課題(challenge)は、材料特性に関するデータを記録する測定システムの開発を含む。測定システムによる渦電流信号と超音波信号の同時記録により、搬送される各サスペンション、特にその搬送中に押し出されるサスペンションの材料特性を決定することが可能である。このサスペンションを用いて、電気蓄電池用または電気エネルギー貯蔵器用の電極を製造することができる。
【0011】
前記測定システムの設計は、渦電流システム測定センサシステムと超音波測定センサシステムとに分けられる。これらは、ハウジング内に一緒に配置または固定することができる。渦電流検出用に構成されたセンサシステムを用いて、電気的、磁気的および誘電的特性を決定する。機械的特性を決定するために、超音波検査用に構成されたセンサシステムが存在する。これら2つのセンサシステムを押出機と接続ノズル(connected nozzle)との間に配置することが可能である。ここで、サスペンションは、次いで測定チューブとして構成できるチャネルを介して押出物として搬送される。2つのセンサシステムは、いずれの場合もサスペンションの移動方向に並べて(after one another)配置されている。超音波センサシステムは、サスペンションの移動方向において渦電流センサシステムの上流または下流に配置することができる。
【0012】
いずれのセンサシステムでも、プロセスに直接介入する必要はない。以前の材料検査と比較して、このインライン検査により、プロセスパラメータの即時適合、またはサスペンションのコンシステンシーの欠陥(defective consistency)、特にボリューム内の不均質性に関する生産停止の発起(initiate)が可能になる。したがって、使用不可能な材料の生成を回避することができる。これにより、経済的実行可能性が向上し、環境汚染が減少する。
【0013】
渦電流検出用に構成されたセンサシステムは、少なくとも1つの電気送信(送電)コイル(electrical transmission coil)および少なくとも1つの電気受信コイル(electrical receiver coil)で形成することができるか、あるいは巨大磁気抵抗センサ(GMR)、異方性磁気抵抗センサ(AMR)、超伝導量子干渉センサ(SQUID)、またはホールセンサでも形成することができる。
【0014】
電流が流れる電気送信コイルによって磁場(magnetic field)(1次磁場)が形成されると、導電性測定対象物に渦電流および変位電流が生じる。これにより、第2の磁場(2次磁場)が、電気誘導の結果として形成される。2つの磁場の相互作用の効果は、渦電流プロセスに利用できる。前記受信コイルによって受信される2次磁場の強度は、渦電流と、その搬送中にそれぞれの検出領域内に位置する測定対象物、すなわちサスペンションにおける変位損失とに依存する。これは、サスペンションの電気的、磁気的および誘電的特性によって定義される。
【0015】
さらに、渦電流プロセスでは、絶対測定または差分測定を実施することもできる。欠陥/材料変化は、絶対測定において絶対的に増幅または減衰する効果を有する。差分測定は、磁場(1次および2次磁場)を補償することにより、エラー信号の直接記録を可能にする。絶対測定および/または差分測定は、本明細書に記載された本発明で実施することができる。絶対測定では、送信コイルおよび受信コイルを共通のセンサモジュールに配置すべきである。ここで、送信コイルは外側に配置された電気コイルであるべきであり、受信コイルは内側に配置された電気コイルであるべきである。各受信コイルに誘導(induce)された電圧には、対象のエラー信号電圧(材料の変更、材料の組成、亀裂、中空スペース(hollow space)、材料の欠陥に関する情報)の他に、誘導された電気コイル電圧および干渉信号なども含まれる。この機能により、小さな材料の逸脱が認識できなくなる場合がある。
【0016】
差分の測定では、電気的に逆に配線された2つの同一の電気的絶対コイルを、送信コイルおよび受信コイルとして使用することができる。これにより、送信フィールドおよび受信フィールドが補償される。したがって、電気受信コイル電圧は、測定の開始時、または均質なサスペンション、特に均質な押出材料では、0に等しい。これにより、ここでは、不均質性の結果として測定されるエラー信号電圧のみが使用されるので、前記コンシステンシーの小さな変動、したがって小さな振幅偏向(amplitude deflection)を検出可能かつ評価可能にすることができる。渦電流検査の両方の実施形態は、センサシステムの機械的自由空間(フリースペース)において実現することができる。
【0017】
対応するセンサシステムによる渦電流測定プロセスの統合は、センサモジュールを介して実施できる。これらは、それぞれのチャネルに配置されるか、またはそれぞれのチャネルに固定(fasten)されるハウジング内の渦電流領域に固定することができる。このプロセスにおいて、それらは、複数の送信コイルおよび受信コイルから形成されるセンサモジュールであることができる。それらは、それぞれの検査作業に適合するコイル対と、電子評価ユニットへのインターフェースとを含む。ここで、コイルモジュールは、裂け目、特にボア(穴)(bore)を有することができ、この裂け目を通して、それぞれのチャネルまたは測定チューブは、可能な限り正確な嵌合でガイドされることができる。外部通過センサ(outer pass sensor)は、裂け目/ボアの領域に取り付けることができる。渦電流測定用に構成されたセンサシステム、好ましくは異なるセンサシステムの使用は、渦電流測定範囲内の十分に寸法が広い機械的自由空間によって可能である。異なるサスペンションまたはサスペンション組成物への適合は、それぞれの適切なセンサモジュールが、可能であれば、それぞれのサスペンションに対して最も高い感度を有する、モニタリングのために選択されるという点で、複数の異なる構成のセンサモジュールを使用して達成することができる。
【0018】
また、少なくとも1つの送信コイルを、チャネル周辺部(periphery)の周りに形成または配置することができ、送信コイルの内部の受信コイルをチャネル壁内に統合(インテグレート)することができ、チャネルの外壁の溝内に受け入れる(収容する)ことができ、またはチャネルの内部に配置することができる。
【0019】
各サスペンションの非破壊検査および試験、特にその機械的特性に関しては、超音波法を用いて行うことができる。音波の放出(放射)は、高周波パルス(radio frequency pulse)によって行うことができる。パルスエコー信号は、パルス音による励起によりサスペンション材料に浸透する。飛行時間シフトと音波の振幅減衰は、異なる材料特性により生じる。
【0020】
反射信号と送信信号(透過信号)(transmission signal)を前記評価に用いることができる。
【0021】
超音波変換器(トランスデューサ)(transducer)が送信機および受信機として機能する場合、音波の反射信号は、1つの超音波変換器によって検出することができ、送信モードから受信モードに切り換えられた場合に評価することができる。送信信号の解析には2つの超音波変換器を用いる。このプロセスにおいて、1つは送信機として機能し、反対側に配置された超音波変換器は音波信号の受信機として機能する。本発明によれば、反射信号と送信信号とをほぼ同時に記録することができる。不均質性またはサスペンションのコンシステンシー、特性の欠陥のために、送信音パルスの方向は、正しいサスペンションのコンシステンシーを表す、検出された音の測定信号と比較して変化する。これらの変化した測定信号は、材料特性に関する説明を提供できる。
【0022】
超音波変換器のセンサシステムへの適合は、超音波測定領域の領域で行われるべきである。前記チャネルの外形寸法、特に、この領域における測定チューブの外半径は、結合(coupling)を改善するために、凹形(concave)または平坦化(flatten)、すなわち、平面(planar)にすることができる。超音波変換器と外側チャネル壁との間の平面平行面(planoparallel surface)により、良好な結合と結合解除が達成できる。
【0023】
音波が放出されて検出される超音波変換器の表面が凹状に弓形(concavely arched)になって(湾曲して)おり、超音波変換器が配置されている領域において、外側チャネル壁がそれに相補的に凸状に弓形(convexly arched)になっている場合、音波の集束を達成することができ、その結果、測定感度を高めることができる。
【0024】
超音波を結合するための結合媒体の必要性のために、超音波変換器が配置および保持されるハウジングには、閉じた領域が設けられるべきである。
【0025】
本発明による測定システムは、前記特性を使用しながら、押出機の出力に配置することができる。これにより、押出物としてのサスペンションの電気的および機械的特性を製造プロセス中にモニタリングすることができる。1つの例示的な用途は、電池電極の製造である。それらは、電極材料が塗布された導電性キャリアフィルムを含む。押出機を用いて、そのような電極材料を製造することができる。押出プロセスの目的は、サスペンションの一例として、押出物をモニターすることができる構成要素(成分)の均質化および分散である。検査プロセスは、それとともに製造される蓄電池の品質と安全基準を満たす上で重要な役割を果たす。これは、本発明によって実施することができる。したがって、超音波プロセスと渦電流プロセスを組み合わせたアプリケーションから、材料の特性評価を行うことができる。この手法を用いて、電気的および機械的特性と、均質性とについて結論を引き出すことができる。検出された測定信号の評価は、電磁および音響インピーダンス分光法を用いて行うことができる。この種の分光法は、信号をそれらの構成要素部分に分解することを目的としている。信号の評価のために、区別が可能な重要な領域を選択することができる。したがって、それぞれのサスペンションに対して同様に規定可能な閾値を超えるおよび/または下回る特定の規定可能な領域を、例えば、評価のための同様に規定可能な時間間隔内に、選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明は、以下に一例として、より詳細に説明される。
次のものが表示される:
図1】チャネルの一例として、測定チューブに2つのセンサシステムを受け入れて固定するためのハウジングの一例;
図2】渦電流検出用に構成されたセンサシステム用のセンサモジュールを受け入れるためのハウジング部品の例;および
図3】測定チューブ。
【0027】
測定システムの配置は、押出機の出力で行われ、これによって、電気エネルギー貯蔵器の電極を形成するために設けられたサスペンションを、チャネルの一例としての測定チューブ3を介して搬送することができる。測定システムは、ここでは、押出機の出力と、原則として吐出ノズルであるチャネルの出力との間に配置されるチャネルに固定可能である。材料/押出物は、この領域でその均質性についてチェックされるべきである。押出機の全てのツールは、搬送方向においてそこに配置された測定システムの下流に接続することができる。電池電極を製造する特定の場合には、電極フィルムは、平坦フィルム押出ダイによって形成される。
【0028】
処理された電極材料は、活物質と、導電性カーボンブラックと、バインダーと、溶剤とを含む。80質量%~90質量%の間の固体含有量(固形分)は、組成に依存してこれから生じる。平坦フィルム押出ダイを用いて、キャリアフィルムに適用され、100μm~600μmの範囲の厚さを有するフィルム形態の電極を、グリーン状態(green state)で形成する。
【0029】
超音波と渦電流センサシステムを組み合わせた測定システムを構築し、押出プロセスにおける材料特性評価を実施した。これにより、押出機によって吐出ノズルに搬送される電極材料の特性の幅広いスペクトルをモニタリングすることができる。押出プロセスは、測定システムの統合にできるだけ影響されるべきではない。そのため、測定距離が短い。
【0030】
押出機出力へのフローチャネル(流路)の適合が行われた。この目的のために、それぞれ使用されるセンサシステム(超音波および渦電流)に適合させることができるチャネルの一例として、交換可能な測定チューブ3が提供される。交換可能なために、測定チューブ3の材料は、機械的、電気的、磁気的、および/または音響的特性に関連し得る、それぞれの用途に適合させることができる。超音波および渦電流センサシステムを、適合した形状で設計した。この構造は以下の段落から見ることができる。
【0031】
超音波測定のために使用されるセンサシステムは、この例では、直径方向に対向して(正反対に)(diametrically opposite)配置された2つの超音波変換器を使用する。これにより、音波の反射信号および送信信号を記録することができる。超音波変換器と測定チューブ3の外壁との間の結合媒体としてオイルを用いる。これには、測定領域の機械的分離が必要である。シーリングは、シャフトシールによって実施することができる。測定チューブ3の超音波測定領域に平面(planar surface)3.1を形成し、超音波変換器の結合領域において、超音波変換器と測定チューブ表面との間に平行な面を得る。これは前記媒体中の波動伝搬方向の変化を減少させるためである。接触技術と浸漬技術の超音波変換器が使用できる。超音波変換器の適切な周波数は、適用領域に応じて選択することができる。電池電極製造分野での適用において、1MHz~4MHzの範囲の共振周波数を有する超音波検査ヘッドが、押出された電極材料の均質性をモニタリングするのに適している。超音波変換器は、測定中、平面3.1において測定チューブ3の外面に接触している。測定チューブ3の表面と超音波変換器のセンシティブな表面との間には、結合媒体のみが存在する。この位置は、超音波変換器と測定チューブ3の平面3.1との間のギャップが大きすぎる場合に、放出および検出された音波のエネルギー損失を回避するために、あらゆる適用の前にチェックされなければならない。評価には反射信号と送信信号を用いる。信号の記録は、音波の放出におけるパルス動作によってほぼ同時に行われるべきである。振動運動は、超音波変換器における圧電効果によって起こり、機械波は、測定チューブ3の壁を通って音波として放出され、押出物は、測定チューブ3を通って搬送される。測定チューブ壁および押出物を通って放出された音波は、放出超音波変換器の直径方向に対向して配置された超音波変換器によって送信中に検出することができる。測定チューブ壁で反射された音波は、それによる音波放出が起こらないブレーク(break)において、放出超音波変換器により検出できる。この受信モードでは、後方散乱情報を検出することができる。
【0032】
渦電流センサシステムを実現するために、本発明による測定システムを受け入れるために測定チューブ3に固定できる十分な機械的自由空間がハウジング1内に設けられる。これにより、異なる電気コイルシステムを、渦電流検出用に構成されたセンサモジュールとして統合することができる。このセンサシステムでは貫通コイルを用いる。これは、ここで用いられる電気送信コイルおよび受信コイルが、測定チューブ3を取り囲んでいることを意味する。それらは、約28.1mmの内径と、巻線数に依存して29.5mm~33.5mmの外径とを有する。電池電極製造のこの特定の適用例では、コイル線として直径250μmの銅線を用いる。個々のコイルの巻線数は、ここでは、25n~200nまで変化する。現在、25μH~200μHの範囲のインダクタンスに到達している。電気コイルのフィラー含有量は、渦電流技術において重要な役割を果たすので、電気受信コイルの内径と測定チューブ3の外径との間の距離は、可能な限り小さくすべきである。電気コイルは、前記電気コイルの計測および保護のために特別に製造されたセンサモジュールの形態で使用される。ここで、送信コイルと受信コイルとをハウジング部2に収容することができる。この目的のため、ハウジング部2の側部には、切欠き(cutout)2.1の形で開口部が形成されており、送信コイルと受信コイルとをできる限り正確にフィットするように挿入することができる。2つの電気コイル空間の電気的接触のために、電線が2つの電気コイルにガイドされる対応する自由ボアが、切欠き2.1の領域に形成される。ここで、各送信コイルは、周波数発生器に接続され、受信コイルは、電子評価ユニットの構成要素となり得る複合(complex)受信コイルインピーダンスを決定するための測定装置(渦電流測定装置)に接続される(いずれも示されない)。
【0033】
次に、1つまたは複数のセンサモジュールを、ハウジング1の対応する寸法の自由空間1.1に挿入することができ、その中に固定することができる。ここで、電極材料の搬送方向に沿って、複数のセンサモジュールをお互いにそれぞれ平行に並べて配置することができる。したがって、同様のセンサモジュールをそれぞれこのように配置することができる。ただし、異なる構成のセンサモジュールもこの方法で配置することができる。
【0034】
測定チューブ3は、ハウジング1内のボア1.2を介して導入可能である。センサモジュールは、測定チューブ3が同様にセンサモジュールを通ってガイドされ得るように、寸法が決められている。
【0035】
また、図示されていない形態では、少なくとも1つの受信コイルを測定チューブ壁に埋設することもできるし、測定チューブ3の外壁に形成された溝に挿入することもできる。次に、受信コイルをセンサモジュールのハウジング部2に挿入することができる。
【0036】
渦電流技術は、材料の試験に送信コイルと受信コイルを用いる。これら2つのコイルの互いに対する位置は、原則として自由に選択可能であり、それにより、渦電流センサシステムの開発において高い柔軟性を可能にする。ここでは、絶対システムと差分システムとを区別することができる。絶対システムでは、送信コイルと受信コイルを1つのセンサモジュール内に配置することができる。送信コイルは外側に配置された電気コイルであり、受信コイルは内側に配置された電気コイルである。絶対システムでは、押出物の材料変化は、絶対的に増幅または減衰する効果を有する。受信コイルに記録される電圧には、対象のエラー信号電圧(材料の変更、亀裂、中空スペース、材料の欠陥に関する情報)の他に、誘導される電気コイル電圧や干渉信号なども含まれる。これらの特性により、材料の小さな変動が容易に認識できない場合がある。差分システムは、電気的に反対に接続された2つの同一の電気的絶対コイルを使用する。これは、電磁場の補償をもたらす。したがって、電気受信コイルの電圧は、測定の開始時または均質な押出材料の場合では0に等しくなる。これにより、ここでは電気的エラー信号電圧のみが測定されるので、材料の小さな変動および小さな振幅の偏向を検出可能にすることができる。両システムは、ハウジング部2内の切欠き2.1として、機械的自由空間内に実現することができる。信号の評価には、10kHz~100MHzの範囲をカバーする周波数掃引を使用する。ここでは、実部、虚部、およびインピーダンスの経時変化量を検出する。有意なピーク(振幅値)の領域におけるまたは許容限界を超えている信号は、分析のためにより詳細に調べられる。これらの領域は、不均質性、粒子形状変化、粒子サイズ変化、圧力変化、または他の干渉の影響などの変化を示す。
【0037】
ハウジング1には、直径方向に対向して配置された2つのボア1.3が存在し、それぞれの超音波変換器(不図示)は、それぞれの活性でセンシティブな表面が、測定チューブ3に存在する平面3.1の1つと接触し、これらの表面とそれぞれの平面3.1との間に結合媒体のみが存在するように、それらに正確に適合して導入および固定されることができる。
図1
図2
図3