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特許7357694ピリジン環骨格を有する化合物及びピロール環骨格を有する化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】ピリジン環骨格を有する化合物及びピロール環骨格を有する化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/08 20060101AFI20230929BHJP
   C07D 207/323 20060101ALI20230929BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20230929BHJP
   B01J 29/14 20060101ALI20230929BHJP
   B01J 29/18 20060101ALI20230929BHJP
   B01J 29/12 20060101ALI20230929BHJP
   B01J 29/08 20060101ALI20230929BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230929BHJP
【FI】
C07D213/08
C07D207/323
B01J29/70 Z
B01J29/14 Z
B01J29/18 Z
B01J29/12 Z
B01J29/08 Z
C07B61/00 300
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021565535
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 JP2020046090
(87)【国際公開番号】W WO2021125050
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2019226636
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 健啓
(72)【発明者】
【氏名】浦田 恭聖
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0145217(US,A1)
【文献】特表2004-531507(JP,A)
【文献】特公昭47-050117(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第103980187(CN,A)
【文献】XU,L. et al.,Green Chemistry,2015年,Vol.17,pp.2426-2435
【文献】KULKARNI, S.J. et al.,Indian Journal of Chemistry,1991年,Vol.30A,pp.1041-1043
【文献】ZHANG, Y. et al.,RSC Advances,2017年,Vol.7,pp.23647-23656
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールとアンモニアとを触媒の存在下に気相反応させて、ピリジン環骨格を有する化合物及びピロール環骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも一種を得る反応工程を有し、前記触媒が大細孔ゼオライトを含む、ピリジン環骨格を有する化合物及びピロール環骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも一種の製造方法であって、
前記ポリオールが、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール及び2-メチル-1,5-ペンタンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記ゼオライトの結晶相が、International Zeolite AssociationのStructure Commission(IZA-SC)が与えている三文字のコード(Framework Type Code;FTC)で示される骨格トポロジーでいうFAU、MOR、及び * BEAからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記製造方法
【請求項2】
前記ピリジン環骨格を有する化合物が、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、2-エチルピリジン、3-エチルピリジン、4-エチルピリジン、2,3-ジメチルピリジン、2,4-ジメチルピリジン、2、5-ジメチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、3,4-ジメチルピリジン、3,5-ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、テトラメチルピリジン、2-シアノピリジン、3-シアノピリジン、及び4-シアノピリジンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ピロール環骨格を有する化合物が、ピロール、2-メチルピロール、3-メチルピロール、2,3-ジメチルピロール、2,4-ジメチルピロール、2,5-ジメチルピロール、及び3,4-ジメチルピロールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ゼオライトのシリカアルミナ比が、1~200であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記触媒が、金属元素を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記金属元素が、周期律表第1族、周期律表第2族、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、及びPdからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記触媒における金属元素の含有量が、触媒全体の質量に対して0.01~15質量%であることを特徴とする、請求項又はに記載の製造方法。
【請求項8】
前記ポリオールが、0.1~99質量%の水を含む水溶液の形態である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記気相反応において、WHSV(1時間あたりに反応器へ流入するポリオール質量/触媒充填質量)が、0.01~20h-1である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記気相反応において、反応器内の反応温度が、200℃~600℃である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記気相反応において、反応器内の反応圧力が、0.0MPaG~2.0MPaGである、請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記気相反応における反応方式が、固定床、流動床、及び移動床からなる群より選ばれる1種である、請求項1~11のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリジン環骨格を有する化合物及びピロール環骨格を有する化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコールからピリジン環骨格を有する化合物を製造する方法としては、例えば、特許文献1に記載の方法が知られている。この方法は、多価アルコールとアンモニアとをZSM-5ゼオライト触媒の存在下に気相反応させて1種類以上のピリジン環骨格を有する化合物を製造する方法である。
しかしながら、この方法で製造されるピリジン環骨格を有する化合物の収率は低い。そのため、上記方法は、ピリジン環骨格を有する化合物の製造方法として不適当である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許出願公開第103980187号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ピリジン環骨格を有する化合物及びピロール環骨格を有する化合物を効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリオールとアンモニアとを大細孔ゼオライト及び超大細孔ゼオライトからなる群より選ばれる1種類以上を含む触媒の存在下に気相反応させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
1. ポリオールとアンモニアとを触媒の存在下に気相反応させて、ピリジン環骨格を有する化合物及びピロール環骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも一種を得る反応工程を有し、前記触媒が大細孔ゼオライト及び超大細孔ゼオライトからなる群より選ばれる1種以上を含む、ピリジン環骨格を有する化合物及びピロール環骨格を有する化合物から選ばれる少なくとも一種の製造方法、
2. 前記ピリジン環骨格を有する化合物が、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、2-エチルピリジン、3-エチルピリジン、4-エチルピリジン、2,3-ジメチルピリジン、2,4-ジメチルピリジン、2、5-ジメチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、3,4-ジメチルピリジン、3,5-ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、テトラメチルピリジン、2-シアノピリジン、3-シアノピリジン、及び4-シアノピリジンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前項1.に記載の製造方法、
3. 前記ピロール環骨格を有する化合物が、ピロール、2-メチルピロール、3-メチルピロール、2,3-ジメチルピロール、2,4-ジメチルピロール、2,5-ジメチルピロール、及び3,4-ジメチルピロールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前項1.に記載の製造方法、
4. 前記ゼオライトの結晶相が、International Zeolite AssociationのStructure Commission(IZA-SC)が与えている三文字のコード(Framework Type Code;FTC)で示される骨格トポロジーでいうAET、AFI、AFR、AFS、AFY、ASV、ATS、BEC、BOG、BPH、BSV、CAN、CFI、-CLO、CON、CZP、DFO、DON、EMT、EON、ETR、EZT、FAU、GME、GON、IFO、IFR、-IFT、-IFU、IRR、-IRY、ISV、ITG、ITT、-ITV、IWR、IWS、IWV、IWW、LTF、LTL、MAZ、MEI、MOR、MOZ、MSE、MTW、NPO、OFF、OKO、OSI、OSO、PCR、POS、PUN、-RON、RWY、SAF、SAO、SBE、SBS、SBT、SEW、SFE、SFH、SFN、SFO、SFS、SOF、SOR、SOS、SOV、SSF、SSY、UOV、USI、UTL、UWY、VET、VFI、YFI、BEA、CTH、-EWT、-ITN、PCS、SFV、-SSO、及びSTOからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、前項1~3のいずれか一つに記載の製造方法、
5. 前記ゼオライトのシリカアルミナ比が、1~200であることを特徴とする、前項1~4のいずれか一つに記載の製造方法、
6. 前記触媒が、金属元素を含むことを特徴とする、前項1~5のいずれか一つに記載の製造方法、
7. 前記金属元素が、周期律表第1族、周期律表第2族、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、及びPdからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、前項6に記載の製造方法、
8. 前記触媒における金属元素の含有量が、触媒全体の質量に対して0.01~15質量%であることを特徴とする、前項6又は7に記載の製造方法、
9. 前記ポリオールの炭素数が2~6であり、水酸基数が2以上である、前項1~8のいずれか一つに記載の製造方法、
10. 前記ポリオールが、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、グリセロール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-1,2-ブタンジオール、2-メチル-1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,4-ブタンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,3-ヘキサンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール、2-メチル-1,2-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-1,4-ペンタンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-エチル-1,4-ブタンジオール、2-プロピル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,2-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ペンタンジオール、3-メチル-1,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-2,3-ペンタンジオール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、4-メチル-1,2-ペンタンジオール、4-メチル-1,3-ペンタンジオール、4-メチル-1,4-ペンタンジオール、及び4-メチル-2,3-ペンタンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前項1~9のいずれか一つに記載の製造方法、
11. 前記ポリオールが、0.1~99質量%の水を含む水溶液の形態である、前項1~10のいずれか一つに記載の製造方法、
12. 前記気相反応において、WHSV(1時間あたりに反応器へ流入するポリオール質量/触媒充填質量)が、0.01~20h-1である、前項1~11のいずれか一つに記載の製造方法、
13. 前記気相反応において、反応器内の反応温度が、200℃~600℃である、前項1~12のいずれか一つに記載の製造方法、
14. 前記気相反応において、反応器内の反応圧力が、0.0MPaG~2.0MPaGである、前項1~13のいずれか一つに記載の製造方法、
15. 前記気相反応における反応方式が、固定床、流動床、及び移動床からなる群より選ばれる1種である、前項1~14のいずれか一つに記載の製造方法、
に係る。
【本発明の効果】
【0007】
本発明によれば、収率に優れたピリジン環骨格を有する化合物及びピロール環骨格を有する化合物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、数値範囲における「A~B」の表現は、特に記載がない限り「A以上B以下」の数値範囲を示すものとする。
【0009】
〔ピリジン環骨格を有する化合物〕
本明細書において、以下、ピリジン環骨格を有する化合物を「ピリジン類」と称する。
【0010】
〔ピロール環骨格を有する化合物〕
本明細書において、以下、ピロール環骨格を有する化合物を「ピロール類」と称する。
【0011】
〔ピリジン類及びピロール類から選ばれる少なくとも1種の製造方法〕
本実施形態のピリジン類及びピロール類から選ばれる少なくとも1種の製造方法は、ポリオールとアンモニアとを大細孔ゼオライト及び超大細孔ゼオライトからなる群より選ばれる1種類以上を含む触媒の存在下に気相反応させてピリジン類及びピロール類を得る反応工程を含む。
【0012】
本明細書において、「気相反応」とは、原料のポリオールとアンモニアとを、気体状態で接触(気相接触)させてピリジン類及びピロール類から選ばれる少なくとも1種を形成する反応を意味する。具体的には、触媒を充填した反応器内で、所定の温度、圧力にて、原料のポリオールとアンモニアとを気相接触させることにより実施することができるが、特に限定されない。
【0013】
〔反応工程〕
(原料)
本明細書において「ポリオール」とは、2個以上の水酸基(ヒドロキシ基;-OH)を有する脂肪族炭化水素を意味する。
気相反応の原料となるポリオール及びアンモニアとしては、特に限定されず、例えば、各種化学合成法や各種バイオ合成法などから製造されたものを用いることができる。
ポリオールとして、例えば、炭素数が2~6であり、水酸基数が2以上であるポリオール、より具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、グリセロール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-1,2-ブタンジオール、2-メチル-1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,4-ブタンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,3-ヘキサンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール、2-メチル-1,2-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-1,4-ペンタンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-エチル-1,4-ブタンジオール、2-プロピル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,2-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ペンタンジオール、3-メチル-1,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-2,3-ペンタンジオール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、4-メチル-1,2-ペンタンジオール、4-メチル-1,3-ペンタンジオール、4-メチル-1,4-ペンタンジオール、4-メチル-2,3-ペンタンジオールを用いることができるが、特に限定されない。
ポリオール及びアンモニアは必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのものでよい。例えば、ポリオールとしては、0.1~99質量%の水を含む水溶液として工業的に流通しているものを用いることができる。
【0014】
これらポリオールのなかでも、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、グリセロール、2-メチルプロパンジオール、2-メチル-1,5-ペンタジオールが好ましい。このようなポリオールを用いることにより、本実施形態の効果をより有効に発揮させることができる。特に、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、グリセロールは、植物原料から得られるバイオマスから製造可能な原料である点で好ましい。
【0015】
ピリジンを主生成物として得る観点から、ポリオールとして、エチレングリコールを用いることが好ましい。また、ポリオールとして、エチレングリコールを用いることで、ピロールが生成するという効果も奏する。
【0016】
ピリジンを主生成物として得ながら、ピロールの生成を抑制する観点から、ポリオールとして、2-メチルプロパンジオール及びエチレングリコールを用いることが好ましい。上述の効果をより顕著に得る観点から、2-メチルプロパンジオールとエチレングリコールとのモル比(2-メチルプロパンジオール/エチレングリコール)は、0.2~5が好ましく、0.5~2がより好ましく、0.7~1.5がさらに好ましい。
【0017】
3-メチルピリジンを主生成物として得る観点から、ポリオールとして、1,3-プロパンジオールを用いることが好ましい。
【0018】
ポリオールとして、2-メチル-1,5-ペンタジオールを用いることが好ましい。2-メチル-1,5-ペンタジオールを選択することで、高効率にピリジン環骨格を有する化合物を得ることができる。2-メチル-1,5-ペンタジオールを選択することで、3-メチルピリジンを主生成物として得ることができる。
【0019】
ポリオールとしてグリセロールを用いることが好ましい。グリセロールを用いることで、高効率にピリジン環骨格を有する化合物を得ることができる。
【0020】
メチルピリジン類及びジメチルピリジン類の収率を高める観点から、ポリオールとして、1,2-プロパンジオールを用いることが好ましい。
【0021】
(生成物)
生成物は、ピリジン類及びピロール類である。ピリジン類として、例えば、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、2-エチルピリジン、3-エチルピリジン、4-エチルピリジン、2,3-ジメチルピリジン、2,4-ジメチルピリジン、2、5-ジメチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、3,4-ジメチルピリジン、3,5-ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、テトラメチルピリジン、2-シアノピリジン、3-シアノピリジン、4-シアノピリジンが挙げられるが、特に限定されない。
【0022】
ピロール類として、例えば、ピロール、2-メチルピロール、3-メチルピロール、2,3-ジメチルピロール、2,4-ジメチルピロール、2,5-ジメチルピロール、3,4-ジメチルピロールが挙げられるが、特に限定されない。
【0023】
エチレングリコールを原料として用いる場合、主生成物としてピリジンが得られる。
2-メチルプロパンジオール及びエチレングリコールを原料として用いる場合、主生成物としてピリジン又は3-メチルピリジンが得られる。
1,3-プロパンジオールを原料として用いる場合、主生成物として3-メチルピリジンが得られる。
2-メチル-1,5-ペンタジオールを用いる場合、主生成物として3-メチルピリジンが得られる。
グリセロールを用いる場合、主生成物としてピリジン又はメチルピリジン類が得られる。
1,2-プロパンジオールを用いる場合、主生成物としてメチルピリジン類又はジメチルピリジン類が得られる。
なお、主生成物とは、生成物の中で最も高い割合を示す生成物を意味する。
【0024】
(反応機構)
本実施形態における気相反応の反応機構は、ポリオールが有する水酸基の脱水素によるカルボニル基の形成と、該カルボニル基のアンモニアとの縮合とそれに続く環化脱水素によるピリジン類或いはピロール類の形成、とからなる。用いるポリオールの種類により、形成するカルボニル化合物の種類は多数存在し、種々のピリジン類及びピロール類を合成できる。
【0025】
(触媒)
本実施形態における「触媒」は、大細孔ゼオライト及び超大細孔ゼオライトからなる群より選ばれる1種以上を含む。
【0026】
(ゼオライト)
本実施形態における「ゼオライト」とは、四面体構造をもつTO単位(Tは中心原子で、Si、Al、P、Ga、Tiなど)が酸素原子を共有して三次元的に連結し、開かれた規則的なミクロ細孔を形成している結晶性物質を意味する。
【0027】
(大細孔ゼオライト)
本実施形態における「大細孔ゼオライト」とは、ゼオライトの結晶構造中、最も大きな径の細孔構造が酸素12員環であるゼオライトを意味する。ここで、酸素12員環とは、ゼオライトが有する最も大きな径の細孔が、TO単位12個からなる環構造のことを意味する。
【0028】
大細孔ゼオライトとしては、例えば、International Zeolite AssociationのStructure Commission(IZA-SC)が与えている三文字のコード(Framework Type Code;FTC)で示される骨格トポロジーでいうAFI、ATO、BEA、CON、FAU、GME、LTL、MOR、MTW、OFFなどが挙げられるが、特に限定されない。
【0029】
(超大細孔ゼオライト)
本実施形態における「超大細孔ゼオライト」とは、ゼオライトの結晶構造中、最も大きな径の細孔構造が酸素14員環以上であるゼオライトを意味する。ここで、酸素14員環以上とは、ゼオライトが有する最も大きな径の細孔が、TO単位14個以上からなる環構造のことを意味する。
【0030】
超大細孔ゼオライトとしては、例えば、International Zeolite AssociationのStructure Commission(IZA-SC)が与えている三文字のコード(Framework Type Code;FTC)で示される骨格トポロジーでいう-CLO、VFI、AET、CFI、DONなどが挙げられるが、特に限定されない。
【0031】
(シリカアルミナ比)
ゼオライトのシリカアルミナ比(モル比)は、1~200が好ましく、10~100がより好ましい。シリカアルミナ比が1以上であることによりゼオライトの触媒としての安定性がより向上する傾向にある。また、シリカアルミナ比が10~100であることにより、ピリジン類及びピロール類の選択性が向上する傾向にある。
ゼオライトのシリカアルミナ比は、公知の方法、例えばゼオライトをアルカリ水溶液に完全に溶解し、得られる溶液をプラズマ発光分光分析法により分析することで求めることができる。なお、ゼオライトが、ゼオライト骨格を構成するアルミニウム(Al)原子の一部がガリウム(Ga)やチタン(Ti)などの元素で置換されたメタロアルミノシリケート、又は、ゼオライト骨格を構成するアルミニウム原子の全てが上記元素等で置換されたメタロシリケートである場合のシリカアルミナ比は、上記元素で置換されたアルミニウム原子の量をAl(アルミナ)のモル数に換算した上で算出される。
【0032】
触媒の形状は、特に限定されないが、例えば、粉状でも粒状でもよく、反応方式に応じて適した形状に加工した成形体とすることができる。
【0033】
触媒の成形方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることが可能である。例えば、触媒の前駆体を噴霧乾燥する方法、触媒成分を圧縮成型する方法、触媒成分を押出し成型する方法が挙げられる。これら成形方法においては、バインダーや成形用希釈剤を用いてもよい。バインダー及び成形用希釈剤としては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、カオリン、ケイソウ土、粘土等の多孔性耐火性無機酸化物が挙げられる。これらは、一種を単独で用いても、二種以上を併用してもよい。これらのバインダー及び成形用希釈剤は、市販のものを用いてもよく、常法により合成してもよい。
【0034】
また、反応効率の観点から、触媒は金属元素を含有してもよい。金属元素としては、例えば、周期律表第1族、周期律表第2族、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pdなどが挙げられるが、特に限定されない。該金属元素の含有量は、例えば、触媒全体の質量に対して0.01~15質量%である。金属元素の含有量が0.01質量%以上であることにより、ピリジン類及びピロール類の選択率がより向上する傾向にある。また、金属元素の含有量が15質量%以下であることにより、ポリオールの転化率がより向上する傾向にある。触媒は、上述の金属を担持する大細孔径ゼオライトを含むことが好ましい。
【0035】
これら金属元素のなかでも、Cu、Zn、Ag、Csを用いることが好ましく、Cu、Zn、Agを用いることがより好ましく、本実施形態の効果をより有効に発揮させることができる。
【0036】
エチレングリコールを原料として用いる場合、触媒としては、大細孔径ゼオライト、又は金属を担持する大細孔径ゼオライトが好ましい。ここで、大細孔径ゼオライトは、BEA型ゼオライト、又はFAU型ゼオライトを含むことが好ましい。ここで、金属はCu、Zn、Ag、又はCsを含むことが好ましく、ピリジンの選択性を高める観点から、Cu、又はCsを含むことがより好ましい。
【0037】
2-メチルプロパンジオール及びエチレングリコールを原料として用いる場合、触媒としては、金属を担持する大細孔径ゼオライトが好ましい。ここで大細孔径ゼオライトは、ピリジンの収率を高める観点から、MOR型ゼオライト、及びFAU型ゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。ここで、金属はCu、Zn、Ag、又はCsを含むことが好ましく、3-メチルピリジンの選択性を高める観点から、Cu、又はZnを含むことがより好ましい。
【0038】
1,3-プロパンジオールを原料として用いる場合、触媒としては、金属を担持する大細孔径ゼオライトが好ましい。ここで大細孔径ゼオライトは、3-メチルピリジンの収率及び選択性を高める観点から、FAU型ゼオライトを含むことが好ましい。ここで、金属はCu、Zn、Ag、又はCsを含むことが好ましく、3-メチルピリジンの選択性を高める観点から、Ag、又はCuを含むことがより好ましい。
【0039】
2-メチル-1,5-ペンタジオールを用いる場合、触媒としては、大細孔径ゼオライト、又は金属を担持する大細孔径ゼオライトが好ましく、金属を担持する大細孔径ゼオライトがより好ましい。大細孔径ゼオライトは、BEA型ゼオライト、又はFAU型ゼオライトを含むことが好ましい。ここで、金属はCu、Zn、Ag、又はCsを含むことが好ましく、3-メチルピリジンの収率を高める観点から、Cu、又はCsを含むことがより好ましい。触媒は、3-メチルピリジンの収率及び選択性を高める観点から、Csを担持するBEA型ゼオライト、又はCuを担持するFAU型ゼオライトを含むことがより好ましい。
【0040】
グリセロールを用いる場合、触媒としては、大細孔径ゼオライト、又は金属を担持する大細孔径ゼオライトが好ましい。ピリジンの収率を高める観点から、触媒は、BEA型ゼオライトを用いることが好ましい。メチルピリジン類の収率を高める観点から、触媒は、金属を担持する大細孔径ゼオライトが好ましい。メチルピリジン類の収率を高める観点から、触媒は、FAU型ゼオライトを含むことが好ましい。メチルピリジン類の収率を高める観点から、金属はCu、Zn、Ag、又はCsを含むことが好ましく、金属はAgを含むことが好ましい。メチルピリジン類の収率を高める観点から、触媒は、Agを担持するFAU型ゼオライトであることが好ましい。
【0041】
1,2-プロパンジオールを用いる場合、触媒としては、大細孔径ゼオライトが好ましく、BEA型ゼオライトがより好ましい。当該触媒を選択することで、メチルピリジン類及びジメチルピリジン類の収率及び選択性を高めることができる。
【0042】
(反応条件)
本実施形態における気相反応は、特に限定されないが、以下の条件で行うことができる。
【0043】
反応器に供給するアンモニアのポリオールに対するモル比(アンモニア/ポリオールのモル比)は、例えば0.1~30である。アンモニア/ポリオールのモル比が0.1以上であることにより、反応効率がより上昇する傾向にある。また、アンモニア/ポリオールのモル比が30以下であることにより、工業スケールで用いる場合に、アンモニアのコストがより低減でき、後述するピリジン類及びピロール類を精製する精製工程においてエネルギー消費量をより低減できる傾向にある。
【0044】
WHSVは、反応器への触媒充填質量に対する、1時間あたりに反応器へ流入するポリオール質量であり、下式にて求めることができる。
WHSV[h-1]=1時間あたりに反応器へ流入するポリオール質量[質量部/h]/触媒充填質量[質量部]
ここで「触媒充填質量」とは、本実施形態における大細孔ゼオライト及び超大細孔ゼオライトからなる群より選ばれる1種以上を含む触媒の、反応器への充填質量を意味する。大細孔ゼオライト及び超大細孔ゼオライトからなる群より選ばれる1種以上を含む触媒が成形体である場合は、該成形体を構成するバインダーや成形用希釈剤を含む成形体全体の反応器への充填質量を触媒充填質量とする。
また、ここで「ポリオール質量」とは、反応器へ流入するポリオールの質量である。前述の通り、このポリオールは必ずしも高純度である必要がなく、工業グレードのものでよい。従って、例えば、ポリオールを水溶液として用いる場合には、ポリオール水溶液としての質量を意味する。
WHSVは、生産性と触媒寿命、反応収率との兼ね合いに基づき、適宜調整することができるが、例えば、0.01~20h-1である。WHSVが0.01h-1以上であることにより、一定の生産量を得るのに必要な触媒量を低減でき、反応器をコンパクトにすることができる。また、WHSVが20h-1以下であることにより、ポリオールの転化率がより向上すると共に、ピリジン類及びピロール類の選択率がより向上する傾向にある。
【0045】
反応温度は、例えば、200~600℃である。反応温度が上記範囲であることにより、ピリジン類及びピロール類の収率をより向上できる傾向にある。
【0046】
反応圧力は、例えば、0.0~2.0MPaGである。反応圧力が上記範囲であることにより、ピリジン類及びピロール類の収率をより向上できる傾向にある。
【0047】
(反応方式)
気相反応の反応方式としては、特に限定されないが、例えば固定床、流動床、及び移動床等の、従来の方式を採用できる。このなかでも、反応温度制御の観点から、反応熱の除熱が容易な流動床反応方式が優れる。また、気相反応は、単流式であってもリサイクル式であってもよい。
ゼオライトを含有する触媒を用いて流動床反応を実施した場合に、摩擦帯電した触媒が反応器の内壁に付着する現象が起こることが知られている。例えば、国際公開第2014/025021号の「発明が解決しようとする課題」には、「帯電した触媒は、反応器の内壁に付着しやすく、帯電した触媒粒子が反応器に付着すると、触媒の流動性は大きく減少し、反応成績は悪化する。」と記載されている。上記の観点から、例えば、本実施形態における気相反応を流動床反応方式で行う場合には、国際公開第2014/025021号に記載の「発明を実施するための形態」で実施することが好ましい。
【0048】
(触媒の再生工程)
触媒を長時間反応に用いると、その触媒上に過剰な炭素質化合物(コーク)が生成し、触媒活性が低下することがある。よって、活性が低下した触媒を再生(再賦活)する目的で、反応器から触媒の一部又は全量を抜き出し、触媒に付着したコークを燃焼除去する処理を適宜行ってもよい。
【0049】
〔精製工程〕
本実施形態の製造方法は、反応工程で得たピリジン類及びピロール類を精製する精製工程を更に含んでいてもよい。精製工程は、未反応のポリオールやアンモニア、目的生成物以外に生成した副生物を除去するように構成されていれば特に限定されない。精製工程としては、例えば、濃縮工程、脱水工程、吸着工程、低沸分分離工程、高沸分分離工程等が挙げられる。
【実施例
【0050】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
〔生成物収率、生成物選択率〕
実施例における生成物の収率及び選択率は、原料に対する生成物の炭素数の割合で算出する全炭素基準法を採用しており、下式にて求めた。
生成物収率[mol%]={(単位時間あたりの生成物量[mol]×生成物の炭素数)/(単位時間あたりのポリオール供給量[mol]×ポリオールの炭素数)}×100
生成物選択率[mol%]=(生成物収率[mol%]/ポリオール転化率[mol%])×100
なお、「単位時間あたりの生成物量」と「ポリオール転化率」は、気相反応によって生成したガスを0~5℃に冷却し、得られた液を回収してガスクロマトグラフィー(以下、「GC」と記載する。)により分析し、内部標準法で算出した。GCの分析条件は以下のとおりである。
装置:GC-2010(島津製作所社製)
カラム:DB-1(アジレント・テクノロジー社製、長さ30m×内径0.25mm×膜厚1.0μm)
カラム温度:40℃で5分間保持→[2℃/分で昇温]→110℃到達後に5分間保持→[10℃/分で昇温]→250℃到達後に11分間保持
インジェクション温度:250℃
キャリヤーガス:ヘリウムガス
検出器:水素炎イオン化検出器(FID)
【0052】
〔金属を含むゼオライト粉末からなる触媒の調製〕
実施例における金属を含むゼオライト粉末からなる触媒は、金属硝酸塩の水溶液を用いて含浸法によりゼオライトへ金属を担持した後、空気雰囲気下、600℃で1時間の焼成処理を行うことで調製した。
【0053】
〔実施例1〕
触媒としてシリカアルミナ比が30のBEA型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、エチレングリコールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/エチレングリコールのモル比0.9の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジンが生成し、それぞれ収率は21mol%、8mol%、12mol%、5mol%であった。またピロール類としては、ピロールが11mol%の収率で生成した。
【0054】
〔比較例1〕
触媒としてシリカアルミナ比が40のMFI型ゼオライト(中細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、エチレングリコールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/エチレングリコールのモル比0.9の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、2-メチルピリジン、4-メチルピリジンが生成し、それぞれ収率は3mol%、5mol%、5mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0055】
〔実施例2〕
触媒として、Zn(5質量%)を含むシリカアルミナ比が30のMOR型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、2-メチルプロパンジオール及びエチレングリコールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/(2-メチルプロパンジオール+エチレングリコール)のモル比2.5の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は20mol%、5mol%、41mol%、7mol%、4mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0056】
〔比較例2〕
触媒として、Zn(5質量%)を含むシリカアルミナ比が30のMFI型ゼオライト(中細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、2-メチルプロパンジオール及びエチレングリコールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/(2-メチルプロパンジオール+エチレングリコール)のモル比2.5の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は10mol%、2mol%、12mol%、4mol%、2mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0057】
〔実施例3〕
触媒として、Ag(5質量%)を含むシリカアルミナ比が70のFAU型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、1,3-プロパンジオールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/1,3-プロパンジオールのモル比1.3の混合ガスを供給した。WHSVは0.4h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、3-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は7mol%、33mol%、8mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0058】
〔比較例3〕
触媒として、Ag(5質量%)を含むシリカアルミナ比が33のMFI型ゼオライト(中細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、1,3-プロパンジオールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/1,3-プロパンジオールのモル比1.3の混合ガスを供給した。WHSVは0.4h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は4mol%、1mol%、16mol%、1mol%、3mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0059】
〔実施例4〕
触媒として、Cs(5質量%)を含むシリカアルミナ比が30のBEA型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、2-メチル-1,5-ペンタンジオールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/2-メチル-1,5-ペンタンジオールのモル比2.5の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、3-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は12mol%、60mol%、12mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0060】
〔実施例5〕
触媒として、シリカアルミナ比が30のBEA型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、2-メチル-1,5-ペンタンジオールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/2-メチル-1,5-ペンタンジオールのモル比2.5の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、3-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は9mol%、48mol%、8mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0061】
〔比較例4〕
触媒として、Cs(5質量%)を含むシリカアルミナ比が33のMFI型ゼオライト(中細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、2-メチル-1,5-ペンタンジオールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/2-メチル-1,5-ペンタンジオールのモル比2.5の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、3-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は4mol%、12mol%、5mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0062】
〔実施例6〕
触媒として、シリカアルミナ比が25のBEA型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、グリセロールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/グリセロールのモル比1.3の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は42mol%、6mol%、15mol%、5mol%、5mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0063】
〔比較例5〕
触媒として、シリカアルミナ比が25のMFI型ゼオライト(中細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、グリセロールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/グリセロールのモル比1.3の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジンが生成し、それぞれ収率は31mol%、5mol%、11mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0064】
〔実施例7〕
触媒として、シリカアルミナ比が30のBEA型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、1,2-プロパンジオールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/1,2-プロパンジオールのモル比1.3の混合ガスを供給した。WHSVは0.5h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、3-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は2mol%、10mol%、10mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0065】
〔比較例6〕
触媒として、シリカアルミナ比が40のMFI型ゼオライト(中細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、1,2-プロパンジオールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/1,2-プロパンジオールのモル比1.3の混合ガスを供給した。WHSVは0.5h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、3-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は1mol%、2mol%、2mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0066】
〔実施例8〕
触媒としてCu(5質量%)を含むシリカアルミナ比が70のFAU型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、エチレングリコールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/エチレングリコールのモル比0.9の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジンが生成し、それぞれ収率は18mol%、7mol%、10mol%、6mol%であった。またピロール類としては、ピロールが11mol%の収率で生成した。
【0067】
〔実施例9〕
触媒としてCs(5質量%)を含むシリカアルミナ比が70のFAU型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、エチレングリコールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/エチレングリコールのモル比0.9の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジンが生成し、それぞれ収率は20mol%、9mol%、2mol%、7mol%であった。またピロール類としては、ピロールが13mol%の収率で生成した。
【0068】
〔実施例10〕
触媒として、Cu(5質量%)を含むシリカアルミナ比が70のFAU型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、2-メチルプロパンジオール及びエチレングリコールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/(2-メチルプロパンジオール+エチレングリコール)のモル比2.5の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は24mol%、6mol%、44mol%、8mol%、5mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0070】
〔実施例12〕
触媒として、Cu(5質量%)を含むシリカアルミナ比が70のFAU型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、1,3-プロパンジオールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/1,3-プロパンジオールのモル比1.2の混合ガスを供給した。WHSVは0.4h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、3-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は9mol%、34mol%、8mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0071】
〔実施例13〕
触媒として、Cu(5質量%)を含むシリカアルミナ比が70のFAU型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、2-メチル-1,5-ペンタンジオールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/2-メチル-1,5-ペンタンジオールのモル比2.5の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、3-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は14mol%、64mol%、15mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0072】
〔実施例14〕
触媒として、Cs(5質量%)を含むシリカアルミナ比が70のFAU型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、2-メチル-1,5-ペンタンジオールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/2-メチル-1,5-ペンタンジオールのモル比2.5の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、3-メチルピリジン、3,5-ジメチルピリジンが生成し、それぞれ収率は11mol%、20mol%、9mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。
【0073】
〔実施例15〕
触媒として、Ag(5質量%)を含むシリカアルミナ比が70のFAU型ゼオライト(大細孔ゼオライト)粉末を用い、以下の方法により、グリセロールを気相反応に供した。
SUS製反応器に、触媒を充填し、反応温度400℃、反応圧力0.03MPaGで、アンモニア/グリセロールのモル比1.3の混合ガスを供給した。WHSVは0.3h-1として反応は行った。
ピリジン類としては、ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジンが生成し、それぞれ収率は13mol%、16mol%、20mol%、18mol%であった。またピロール類の生成は認められなかった。