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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-28
(45)【発行日】2023-10-06
(54)【発明の名称】配線状態検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/54 20200101AFI20230929BHJP
   G01R 31/58 20200101ALI20230929BHJP
【FI】
G01R31/54
G01R31/58
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022099260
(22)【出願日】2022-06-20
(62)【分割の表示】P 2020135975の分割
【原出願日】2020-08-11
(65)【公開番号】P2022121516
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2023-01-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2020年(第38回)電気設備学会全国大会 講演論文集(DVD-ROM) 令和2年8月1日発行
(73)【特許権者】
【識別番号】000163419
【氏名又は名称】株式会社きんでん
(73)【特許権者】
【識別番号】592026473
【氏名又は名称】株式会社昭和電業社
(74)【代理人】
【識別番号】100127203
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】日高 一幸
(72)【発明者】
【氏名】深野 英希
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 武友
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-046931(JP,A)
【文献】特開2006-220460(JP,A)
【文献】特開2014-172405(JP,A)
【文献】特開2016-043418(JP,A)
【文献】特開平11-332257(JP,A)
【文献】特開2010-172120(JP,A)
【文献】特開平10-332760(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107607837(CN,A)
【文献】特開2015-064227(JP,A)
【文献】特表2009-545293(JP,A)
【文献】特開2014-106039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/54
G01R 31/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n+1(nは1以上の整数)個の相を有した配線の各相について、配線の状態を検知する配線状態検知装置であって、
前記配線の相のそれぞれに周波数が2.2kHz以上2.6kHz以下の信号を出力可能であって、前記配線の相のそれぞれに対応して接続可能な回路保護用のコンデンサを有した送信機と、
前記配線の相のそれぞれを介して前記信号を受信可能であって、前記配線の相のそれぞれの下流側に1つずつ対応して設けられたn+1個の回路保護用のコンデンサと、前記n+1個のコンデンサのそれぞれの下流側に1つずつ対応して設けられたn+1個の抵抗と、前記n+1個のコンデンサと前記n+1個の抵抗との間の電圧を検出可能なn+1個の計測部と、前記n+1個の計測部により測定された各電圧値に基づいて、前記各相が断線しているか否かを判定する判定部と、を有した受信機と、
を備え、
前記送信機側に基準電位が設けられており、
前記送信機から前記n+1個の相のうち1つに周波数が2.6kHzの第1信号が出力され、かつ、前記第1信号を出力された相とは異なる相のそれぞれに前記送信機から前記第1信号の位相を逆転させてなる第2信号が出力された場合において、記第1信号が送信された前記相に対応する前記受信機の前記計測部は、前記異なる相に対応する前記受信機の前記計測部によって計測された最も低い電位を基準として前記第1信号が送信された前記相に対応する電位(以下、第1電位)を測定し、前記判定部は、前記第1電位が前記異なる相の電位よりも大きくならない場合に、前記第1信号が送信された前記相を前記断線として判定する、
配線状態検知装置。
【請求項2】
n+1(nは1以上の整数)個の相を有した配線の各相について、配線の状態を検知する配線状態検知装置であって、
前記配線の相のそれぞれに周波数が2.2kHz以上2.6kHz以下の信号を出力可能であって、前記配線の相のそれぞれに対応して接続可能な回路保護用のコンデンサを有した送信機と、
前記配線の相のそれぞれを介して前記信号を受信可能であって、前記配線の相のそれぞれの下流側に1つずつ対応して設けられたn+1個の回路保護用のコンデンサと、前記n+1個のコンデンサのそれぞれの下流側に1つずつ対応して設けられたn+1個の抵抗と、前記n+1個のコンデンサと前記n+1個の抵抗との間の電圧を検出可能なn+1個の計測部と、前記配線の相のそれぞれの下流側に1つずつ対応して設けられたn+1個の判定回路と、前記n+1個の判定回路が受信した各信号に基づいて、前記各相が誤結線か否かを判定する判定部と、を有した受信機と、
を備え、
前記送信機側に基準電位が設けられており、
前記送信機は、前記n+1個の相について1相ずつ周波数(周波数の範囲は2.2kHz以上2.6kHz以下)が異なる信号を出力可能なものであり、
前記判定回路のそれぞれは、前記判定回路のそれぞれに予め設定された判定用の周波数の信号を受信したか否かによって、各相に対応する前記周波数が異なる信号のそれぞれを検出したか否か判定するものであり、
前記送信機から前記n+1個の相のうち1つに周波数が2.2kHz以上2.6kHz以下のうちいずれかの数値の第1信号が出力され、並びに、前記第1信号を出力された相とは異なる相のそれぞれに前記送信機から前記第1信号の位相を逆転させてなるかつ前記第1信号と異なる周波数の第2信号が出力された場合において、前記第1信号が送信された前記相に対応する前記受信機の前記計測部は、前記異なる相に対応する前記受信機の前記計測部によって計測された最も低い電位を基準として前記第1信号が送信された前記相に対応する電位を測定し、
前記判定部は、前記送信機から前記n+1個の相について1相ずつ前記周波数が異なる信号出力された場合において、前記判定回路によって前記受信機において各相に対応する前記周波数が異なる信号を検出できなかった場合を誤結線として判定する、
配線状態検知装置。
【請求項3】
前記計測部のそれぞれは、前記各相間における電圧(以下、測定電圧)を検出可能なものであり、
前記計測部のうち1つ以上によって前記測定電圧が所定値以上であることが計測された場合、前記計測部は、前記配線が活線状態にあることを操作者に報知する報知装置を作動させる、請求項1または2に記載の配線状態検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線の状態を検査可能な配線状態検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、幹線およびコンセントの送電を行う際、送電前に行先および結線が正しいかチェックする配線状態検知装置が提案されている。
【0003】
例えば、上述の配線状態検知装置の例としては、下記特許文献1、2に開示されているものがある。なお、特許文献1には、ケーブル群の中から所定のケーブルの導通を確認するケーブルチェッカーであって、被検査ケーブルの一端に設けられ、所定のパルス幅でパルス電流群を出力する送信器と、被検査ケーブルの他端に設けられ、上記パルス電流群の立ち上がりと立ち下がりの順序を検出し、該パルス電流群の方向を判別する受信器とを備えたことを特徴とする非解線ケーブルチェッカーが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、電気配線に用いるケーブルの識別、断線のチェックを行うケーブル配線チェック装置において、複数本の電線が一体となった被ケーブル配線チェック用ケーブルの一端を接続する出力部と、前記被ケーブル配線チェック用ケーブルの他端を接続する入力部と、パルスレートの異なったパルス信号を前記出力部を介して前記被ケーブル配線チェック用ケーブルに送信し、前記被ケーブル配線チェック用ケーブルを介して前記入力部に入力されたパルス信号を検出する検出部と、前記検出部での信号検出をケーブル配線チェックを行うケーブルの全ての電線について配線確認を順次行わせる制御部と、前記検出部での検出結果を前記被ケーブル配線チェック用ケーブル毎に表示させる表示部とを装備することを特徴とするケーブル配線チェック装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-257890号公報
【文献】特開2001-128323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の配線状態検知装置では、通常、回路を保護するためのコンデンサが設けられているが、このコンデンサによって送信信号が減衰することがあり、正しく配線の状態を検査することができないことがあった。
【0007】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、回路を保護するためのコンデンサが設けられている場合であっても、送信信号が減衰することなく、正しく配線の状態を検査することが可能な配線状態検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の配線状態検知装置は、n+1(nは1以上の整数)個の相を有した配線の各相について、配線の状態を検知する配線状態検知装置であって、前記配線の相のそれぞれに微弱な信号を出力可能であって、前記配線の相のそれぞれに対応して接続可能な回路保護用のコンデンサを有した送信機と、前記配線の相のそれぞれを介して前記信号を受信可能であって、前記配線の相のそれぞれの下流側に1つずつ対応して設けられたn+1個の回路保護用のコンデンサと、前記n+1個のコンデンサのそれぞれの下流側に1つずつ対応して設けられたn+1個の抵抗と、前記配線の相のそれぞれに対応する前記コンデンサと前記抵抗との間の電圧を検出可能なn+1個の計測部と、を有した受信機と、を備え、前記送信機側に基準電位が設けられており、前記送信機から前記n+1個の相のうち1つに第1信号が出力され、かつ、前記第1信号を出力された相とは異なる相のそれぞれに前記送信機から前記第1信号の位相を逆転させてなる第2信号が出力された場合において、前記受信機は、前記第1信号が送信された前記相に対応する前記受信機の前記計測部が最も低い電位を基準として前記第1信号が送信された前記相に対応する電位を測定し、測定された前記電位が前記第2信号だけに基づくものであった場合を前記断線として検知することを特徴とする。
【0009】
上記(1)の構成によれば、配線状態検知装置における送信機および受信機のそれぞれに回路を保護するためのコンデンサが設けられている場合であっても、受信機では、最も低い電位を基準として、第1信号の電位を計測するため、第1信号を流した相のみ他相より信号レベルが大きくなる。その結果として、どの相における信号かを確実に特定でき、また、1相ずつチェックすることで、各配線が断線しているか否かを正しく検知することができる。また、仮に配線が活線となっていたとしても、コンデンサによって本装置における送信機および受信機の回路が保護することもできる。
【0010】
(2)別の観点として、本発明の配線状態検知装置は、n+1(nは1以上の整数)個の相を有した配線の各相について、配線の状態を検知する配線状態検知装置であって、前記配線の相のそれぞれに周波数が異なる微弱な信号を出力可能であって、前記配線の相のそれぞれに対応して接続可能な回路保護用のコンデンサを有した送信機と、前記配線の相のそれぞれを介して前記信号を受信可能であって、前記配線の相のそれぞれの下流側に1つずつ対応して設けられたn+1個の回路保護用のコンデンサと、前記n+1個のコンデンサのそれぞれの下流側に1つずつ対応して設けられたn+1個の抵抗と、前記配線の相のそれぞれに対応する前記コンデンサと前記抵抗との間の電圧を検出可能なn+1個の計測部と、を有した受信機と、を備え、前記送信機から前記n+1個の相について1相ずつ周波数が異なる信号を出力した場合において、前記受信機において各相に対応する前記信号を検出できなかった場合を誤結線として検知することを特徴とするものであってもよい。
【0011】
上記(2)の構成によれば、各配線が誤結線になっているか否かを正しく検知することができる。
【0012】
(3)上記(1)または(2)の配線状態検知装置においては、前記送信機から前記複数の相のうち1つに第3信号を出力した場合において、前記受信機が前記第3信号を受信せずに、前記n+1個の相のうち他の1つを経由して前記第3信号が前記送信機に戻ってきたことを検出した場合を短絡として検知することが好ましい。
【0013】
上記(3)の構成によれば、さらに、各配線が短絡しているか否かを正しく検知することができる。
【0014】
(4)上記(1)~(3)の配線状態検知装置においては、前記計測部のそれぞれは、前記各相間における電圧を検出可能なものであり、前記計測部のうち1つ以上によって所定の電圧値が計測された場合、前記計測部は、前記配線が活線状態にあることを操作者に報知する報知装置を作動させることが好ましい。
【0015】
上記(4)の構成によれば、さらに、各配線が活線となっているか否かを正しく検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態における配線状態検知装置の構成を示す図である。
図2図1に示した送信機の外観正面図である。
図3図1に示した受信機の外観正面図である。
図4図1の構成の一部省略図であって、第1相(R相)の特定をする場合の説明のための図である。
図5図1の構成の一部省略図であって、判定部の判定回路について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1に示したように、本発明の実施の形態における配線状態検知装置100は、送信機1と、受信機2と、を備えており、最大で第4相までの各配線について、断線、誤結線、短絡、活線の各状態に陥っているか否かのチェックができるようになっている。
【0018】
送信機1は、図1に示したように、信号を送受信することができる信号送受信回路3と、第1相(本実施形態ではR相)用のコンデンサ4と、第1相用の抵抗5と、グラウンド6と、第2相(本実施形態ではN相)用のコンデンサ7と、第2相用の抵抗8と、グラウンド9と、第3相(本実施形態ではT相)用のコンデンサ10と、第3相用の抵抗11と、グラウンド12と、第4相(本実施形態ではE相)用のコンデンサ13と、第4相用の抵抗14と、グラウンド15と、端子16~19と、電源部20と、活線判定部21と、警報ブザー部22と、LED表示部23と、接地線切替部24と、短絡判定部25と、単相/三相切替部26を備えている。
【0019】
端子16~19のそれぞれは、順に、第1相~第4相までの各配線(送信機1と受信機2とが接続される幹線またはコンセント用配線など)に接続するための端子である。
【0020】
コンデンサ4、7、10、13のそれぞれは、操作者が誤って送信機1を活線に接続してしまった場合に、送信機1内の各回路などを保護するために、順に端子16~19のそれぞれに直列に直接接続されている。
【0021】
抵抗5は、一端側がグラウンド6に接続され、他端側が信号送受信回路3とコンデンサ4との間の配線に接続されている。抵抗8は、一端側がグラウンド9に接続され、他端側が信号送受信回路3とコンデンサ7との間の配線に接続されている。抵抗11は、一端側がグラウンド12に接続され、他端側が信号送受信回路3とコンデンサ10との間の配線に接続されている。抵抗14は、一端側がグラウンド15に接続され、他端側が信号送受信回路3とコンデンサ13との間の配線に接続されている。
【0022】
信号送受信回路3は、位相の異なる信号であるとともに周波数の異なる信号をチェック対象の第1相~第4相までの各配線に対応して出力することができるようになっている。たとえば、第1相にある位相の信号を出力した場合、他の3相には第1相とは逆位相の反転信号を出力する。
【0023】
電源部20は、図示していないが、電源スイッチと電源とを備え、電源スイッチをオンにすることで、送信機1内の電動部位を作動させることができるようになっている。
【0024】
活線判定部21は、送信機1が第1相~第4相の少なくとも2つの配線に接続されている場合に、接続された相間の電圧が所定値(たとえば100∨)以上であるか否か検知する電圧検知部(図示せず)を有している。また、活線判定部21は、接続された相間の電圧が所定値以上である場合、その相間が活線の状態であると判定し、警報ブザー部22およびLED表示部23を作動させる作動信号を発信する制御を行うものである。
【0025】
警報ブザー部22は、活線判定部21から作動信号を受信した場合において、接続した相の配線が活線状態にあることを操作者に報知する警報ブザーを鳴らすものである。
【0026】
LED表示部23は、第1相~第4相の配線の状態などに応じて、図2に示したLED53、54、55a~55d、56a~56dのそれぞれを点灯させる制御を行うものである。
【0027】
接地線切替部24は、接地線(本実施形態ではE相)への接続について、オン・オフの切替制御を行うものであって、図2に示した接地線切替ボタン52によってオン・オフ操作をすることができる。
【0028】
短絡判定部25は、送信機1および受信機2に接続されている各相が短絡しているか否かを判定する制御を行うものである。短絡判定部25は、信号送受信回路3が周波数の異なる信号を1相ずつに対して出力させた後、その相とは異なる他相を経由して当該信号が信号送受信回路3に戻ってきた場合は、その相は短絡している状態として判定し、異常信号をLED表示部23に送信する。これに対して、短絡判定部25は、所定時間(たとえば0.1秒)経過しても、信号送受信回路3に当該信号の戻りがなかった場合は短絡していないと判定し、正常信号をLED表示部23に送信する。なお、短絡判定部25を作動させる際は、1相ずつに対して周波数の異なる信号を出力し、他相は出力を停止した状態とする。
【0029】
単相/三相切替部26は、単相のチェックを行う場合と三相のチェックを行う場合とで切り替える制御を行うことが可能なものであって、図2に示した単相/三相切替ボタン51によって操作することができる。
【0030】
また、送信機1の外観正面は図2に示したものとなっており、単相/三相切替ボタン51と、接地線切替ボタン52と、LED53、54、55a~55d、56a~56dを備えている。
【0031】
単相/三相切替ボタン51は、単相のチェックを行う場合と三相のチェックを行う場合とを切り替えることができるスイッチである。なお、単相/三相切替ボタン51を操作した場合をトリガーとして、信号送受信回路3から各相に信号を送信することとしてもよい。
【0032】
接地線切替ボタン52は、接地線(本実施形態ではE相)への接続のオンオフスイッチであって、たとえば、コンセントのチェックを行う場合に接地線への接続をオンにし、幹線のチェックを行う場合に接地線への接続をオフとする。なお、接地線切替ボタン52を操作した場合をトリガーとして、信号送受信回路3から各相に信号を送信することとしてもよい。
【0033】
LED53は、LED表示部23が活線判定部21から差動信号を受信した場合、送信機1が活線と接続されていることを示すべく、たとえば赤色点灯するものである。LED54は、電源部20の電源がオンになった場合に、たとえば緑色点灯する。
【0034】
LED55a~55dは、単相/三相切替部26において単相のチェックを行うことができる状態に制御されている場合、第1相~第4相のうちどの相の配線に信号を送信しているかを示すとともに、短絡しているか否かを示すために点灯するものである。なお、LED55a~55dのそれぞれは、LED表示部23が短絡判定部25から各相について異常信号を受信した場合はたとえば赤色点灯し、正常信号を受信した場合はたとえば緑色点灯し、信号を受信することがない(使用されていない)相(たとえばE相)においては無点灯状態となる。
【0035】
LED56a~56dは、単相/三相切替部26において三相のチェックを行うことができる状態に制御されている場合、第1相~第4相のうちどの相の配線に信号を送信しているかを示すとともに、短絡しているか否かを示すために点灯するものである。なお、LED56a~56dのそれぞれは、LED表示部23が短絡判定部25から各相について異常信号を受信した場合はたとえば赤色点灯し、正常信号を受信した場合はたとえば緑色点灯し、信号を受信することがない(使用されていない)相(たとえばE相)においては無点灯状態となる。
【0036】
受信機2は、図1に示したように、第1相用のコンデンサ30と、第1相用の抵抗31と、第1相計測部32と、第2相用のコンデンサ33と、第2相用の抵抗34と、第2相計測部35と、第3相用のコンデンサ36と、第3相用の抵抗37と、第3相計測部38と、第4相用のコンデンサ39と、第4相用の抵抗40と、第4相計測部41と、アナロググラウンド42と、判定部43と、警報ブザー部44と、LED表示部45と、測定開始部46と、端子47~50と、電源27を備えている。
【0037】
コンデンサ30、33、36、39は、操作者が誤って受信機2を活線に接続してしまった場合に、受信機2内の回路を保護するために、当該回路の配線接続側に設けられている。
【0038】
第1相計測部32は、コンデンサ30、抵抗31間の電圧を計測することができるものである。第2相計測部35は、コンデンサ33、抵抗34間の電圧を計測することができるものである。第3相計測部38は、コンデンサ36、抵抗37間の電圧を計測することができるものである。第4相計測部41は、コンデンサ39、抵抗40間の電圧を計測することができるものである。
【0039】
端子47~50のそれぞれは、順に、第1相~第4相までの配線に接続するための端子である。なお、図2および図3に示したように、端子16、47間に第1相チェック用の配線が接続され、端子17、48間に第2相チェック用の配線が接続され、端子18、49間に第3相チェック用の配線が接続され、端子19、50間に第4相チェック用の配線が接続される。
【0040】
判定部43は、活線か否か、どの相を経由した信号か、どの相が断線しているか否か、どの相が誤結線となっているか否か、などを判定する判定回路が設けられている。以下、各判定の制御について説明する。
【0041】
<活線の判定>
判定部43は、第1相計測部32、第2相計測部35、第3相計測部38、第4相計測部41で計測された電圧値に基づいて、各相間の電圧が所定値(たとえば100∨)以上であるか否か判定する。少なくとも1つの相間の電圧が所定値以上である場合、判定部43は、その相間が活線の状態であると判定し、警報ブザー部44およびLED表示部45を作動させる作動信号を発信する制御を行うものである。
【0042】
<断線の判定>
送信機1から第1相~第4相のそれぞれに周波数の異なる信号を出力し、受信機2で各信号を受信する場合において、判定部43は、信号を受信できなかった相については断線していると判定し、断線信号をLED表示部45に送信する。これに対して、判定部43は、信号を受信できた相については断線していないと判定し、正常信号をLED表示部45に送信する。具体的には、たとえば、第1相において、第1相計測部32が信号を受信できず、その他の相が受信できた場合、判定部43は、第1相が断線していると判定し、LED表示部45に第1相についての断線信号を送信し、他の相は断線していないと判定し、LED表示部45に他の相についての正常信号を送信する。
【0043】
なお、送信機1から出力される信号に微弱な電流を用いる場合、以下のようにして断線の判定をしてもよい。送信機1側に基準電位があり、たとえば、基準電位と第1相との間に2.6kHzの信号を出力し、他の相には反転させた2.6kHzの信号を出力する。受信機2においては、最も低い電位を基準として、第1相の電位を第1相計測部で測定すると信号レベルを上げることができる。他の相においても同様にすることで、信号レベルを上げることができるので、回路を保護するためのコンデンサが各相に直列に設けられていて、通常なら信号レベルが下がってしまうことを防止することができる。
【0044】
<誤結線の判定>
判定部43が誤結線を判定する場合、前提として、送信機1からの信号がどの相の信号か特定しておく必要がある。まず、本判定について説明する。ここでは、第1相(R相)、第2相(N相)、第3相(T相)(電灯回路の場合)の判定をする場合を例にして説明する。ここで、図4は、図1の構成の一部省略図であって、第1相(R相)の特定をする場合の説明のための図である。また、図5は、図1の構成の一部省略図であって、判定部の判定回路について説明するための図である。
【0045】
まず、たとえば、図4に示したように、第1相(R相)の信号のみ、他相の信号に対し位相を反転させて、送信機1から各信号を出力する。さらに、送信信号が減衰した場合でも正しく判断できるように、受信機2の各計測部の中で最も低い電位を基準として送信信号の電位を計測し、第1相(R相)のみ他相より信号レベルを大きくする。たとえば、図4に示したように、第1相計測部32、第2相計測部35、第3相計測部38においてlow側の信号を基準変更することによって、信号レベルをそれぞれ変化させる。これにより、判定部43は、第1相計測部32を介して、第1相(R相)の信号か否かを確実に特定できる。残りの第2相(N相)の信号、第3相(T相)の信号についても、同様の手順で特定する。これらにより、判定部43は、どの相の信号かを確実に特定できる。
【0046】
次に、判定部43は、特定した信号が正しく結線されているか否か(誤結線となっているか否か)判定する。具体的には、まず、送信機1から各相に出力される信号の周波数を1つずつ異なったものとする。なお、特定した信号が正しく結線されている相である場合、この特定した信号の周波数と、その相に対応する判定部43内に設けられた各判定回路に設定された判定用の周波数の値とは、一致することになる。このような場合、判定部43は正常(誤結線なし)と判定し、その相に対応する異常信号をLED表示部45に送信する。
【0047】
ここで、たとえば、図5(a)に示したように、送信機1から出力される、第1相(R相)の信号の周波数を2.6kHz、第2相(N相)の信号の周波数を2.4kHz、第3相(T相)の信号の周波数を2.2kHzとし、第1相用判定回路43aに設定された判定用の周波数が2.6kHz、第2相用判定回路43bに設定された判定用の周波数が2.4kHz、第3相用判定回路43cに設定された判定用の周波数が2.2kHzであった場合、第1相用判定回路43a、第2相用判定回路43b、第3相用判定回路43cは、それぞれの相の結線が正常であると判定する。すなわち、判定部43は、各相の結線が正常であると判定し、各相に対応する正常信号をLED表示部45に送信する。
【0048】
これに対して、特定した信号が正しく結線されていない相がある場合、その相に対応する判定部43内に設けられた判定回路に設定された判定用の周波数の値と異なる信号を受信することになる。このような場合、判定部43は異常(誤結線)と判定し、その相に対応する異常信号をLED表示部45に送信する。
【0049】
ここで、たとえば、図5(b)に示したように、送信機1から出力される、第1相(R相)の信号の周波数を2.6kHz、第2相(N相)の信号の周波数を2.4kHz、第3相(T相)の信号の周波数を2.2kHzとし、第1相用判定回路43aに設定された判定用の周波数が2.6kHz、第2相用判定回路43bに設定された判定用の周波数が2.4kHz、第3相用判定回路43cに設定された判定用の周波数が2.2kHzであった場合、第1相用判定回路43a、第2相用判定回路43bは、それぞれの結線が異常であると判定し、第3相用判定回路43cは、結線が正常であると判定する。すなわち、判定部43は、第1相および第2相の結線が異常(誤結線)、第3相の結線が正常であると判定し、第1相および第2相に対応する異常信号と、第3相に対応する正常信号とをLED表示部45に送信する。
【0050】
これらにより、判定部43は、特定した信号が正しく結線されているか否か(誤結線となっているか否か)判定することができる。
【0051】
警報ブザー部44は、判定部43から作動信号を受信した場合において、接続した相の配線が活線状態にあることを操作者に報知する警報ブザーを鳴らすものである。
【0052】
LED表示部45は、第1相~第4相の配線の状態などに応じて判定部43から送信された信号に基づいて、図3に示したLED61、62a~62c、63a~63c、64、65、66a~66d、67a~67dのそれぞれを点灯させる制御を行うものである。たとえば、LED表示部45の制御部(図示せず)は、LED61、62a~62c、63a~63c、64、65、66a~66d、67a~67dのそれぞれは、正常なら緑色点灯、異常なら赤色点灯など、信号の種類に応じて発光色が変化するように制御する。
【0053】
測定開始部46は、第1相計測部32、第2相計測部35、第3相計測部38、第4相計測部41において測定を開始するか否かを、図3に示した測定開始ボタン60の操作の有無に応じて制御するものである。また、測定開始部46は、電源27と接続されたスイッチ機能を有しており、図3に示した測定開始ボタン60を操作することで、電源をオン状態にし、受信機2の各部位は動作するようになっている。
【0054】
受信機2の外観正面は図3に示したものとなっており、測定開始ボタン60と、LED61、62a~62c、63a~63c、64、65、66a~66d、67a~67dを備えている。
【0055】
測定開始ボタン60は、各相の配線状態の測定を開始するための操作ボタンであって、送信機1および受信機2が各相に接続された後に操作されることで、各相の配線状態の測定が開始されるようになっている。
【0056】
LED61は、LED表示部45が判定部43から差動信号を受信した場合、受信機2が活線と接続されていることを示すべく、たとえば赤色点灯するものである。LED62a~62cは相回転が異常な場合、たとえば赤色点灯するものである。LED63a~63cは相回転が正常な場合、たとえば緑色点灯するものである。LED64は、結線状態が正常である場合および断線がなかった場合、LED表示部45が判定部43から受信した信号に基づいて、たとえば緑色点灯するものである。LED65は、結線状態が異常である場合または断線があった場合、LED表示部45が判定部43から受信した信号に基づいて、たとえば赤色点灯するものである。
【0057】
LED66a~66dは、単相/三相切替部26において単相のチェックを行うことができる状態に制御されている場合、結線状態が正常な相においては、LED表示部45が判定部43から受信した信号に基づいて、たとえば緑色点灯し、結線状態が異常な相においては、LED表示部45が判定部43から受信した信号に基づいて、たとえば赤色点灯し、信号を受信することがない(使用されていない)相(たとえばE相)においては無点灯状態となる。
【0058】
LED67a~67dは、単相/三相切替部26において三相のチェックを行うことができる状態に制御されている場合、結線状態が正常な相においては、正常信号に基づいて、たとえば緑色点灯し、結線状態が異常な相においては、異常信号に基づいて、たとえば赤色点灯し、信号を受信することがない(使用されていない)相(たとえばE相)においては無点灯状態となる。
【0059】
ここで、結線の状態と受信機の表示との関係について、具体例を示す。
【0060】
(幹線(単相三線)チェック時)
幹線(単相三線)の結線についてチェックした場合の例を表1に示す。表1の(a)は正常状態の例、(b)~(e)は異常状態の例である。ここで、表1中の結線状態の欄の送信機は本実施形態の送信機1、受信機は本実施形態の受信機2のことである。また、塗りつぶし部分はLEDが緑色点灯している状態であり、ハッチング部分はLEDが赤色点灯している状態を示している。以下の各表においても同様である。
【表1】
【0061】
(幹線(三相三線)チェック時)
幹線(三相三線)の結線についてチェックした場合の例を表2に示す。表2の(a)は正常状態の例、(b)~(e)は異常状態の例である。
【表2】
【0062】
(2Pコンセント(100V)チェック時)
2Pコンセントの結線についてチェックした場合の例を表3に示す。表3の(a)は正常状態の例、(b)~(e)は異常状態の例である。なお、(a)において、「異常」LEDが点灯しているのは、後述する3Pコンセントの結線のチェックにおいて、E相が未接続だった場合と区別できるようにするためである。また、複合的な異常は、各異常表示を合わせてLED表示される。
【表3】
【0063】
(3Pコンセント(100V)チェック時)
3Pコンセントの結線についてチェックした場合の例を表4、表5に示す。表4の(a)は正常状態の例、表4の(b)~(d)および表5の(e)~(g)は異常状態の例である。なお、表5の(g)において、「異常」LEDが点灯しているのは、上述の2Pコンセントの結線のチェックにおける正常状態(表3(a))と区別できるようにするためである。また、複合的な異常は、各異常表示を合わせてLED表示される。
【表4】
【表5】
【0064】
(4Pコンセントチェック時)
4Pコンセントの結線についてチェックした場合の例を表4、表5に示す。表4の(a)は正常状態の例、表4の(b)~(d)および表5の(e)~(g)は異常状態の例である。また、複合的な異常は、各異常表示を合わせてLED表示される。
【表6】
【表7】
【0065】
以上のように、本実施形態における配線状態検知装置100では、送信機1および受信機2のそれぞれに回路を保護するためのコンデンサが設けられている場合であっても、受信機2では、最も低い電位を基準として、信号の電位を計測するため、信号を流した相のみ他相より信号レベルが大きくなる。その結果として、どの相における信号かを確実に特定でき、また、1相ずつチェックすることで、各配線が断線しているか否かを正しく検知することができる。また、仮に配線が活線となっていたとしても、コンデンサによって本装置における送信機および受信機の回路が保護することもできる。
【0066】
また、配線状態検知装置100では、各配線が短絡しているか否かを正しく検知することができるだけでなく、各配線が誤結線になっているか否か、さらに、各配線が活線となっているか否か、相回転が正常か否かなどを正しく検知することができる。
【0067】
今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0068】
1 送信機
2 受信機
3 信号送受信回路
4、7、10、13、30、33、36、39 コンデンサ
5、8、11、14、31、34、37、40 抵抗
6、9、12、15 グラウンド
16、17、18、19、47、48、49、50 端子
20 電源部
21 活線判定部
22、44 警報ブザー部
23、45 LED表示部
24 接地線切替部
25 短絡判定部
26 単相/三相切替部
27 電源
32 第1相計測部
35 第2相計測部
38 第3相計測部
41 第4相計測部
42 アナロググラウンド
43 判定部
43a 第1相用判定回路
43b 第2相用判定回路
43c 第3相用判定回路
46 測定開始部
51 三相切替ボタン
52 接地線切替ボタン
53、54、55a~55d、56a~56d、61、62a~62c、63a~63c、64、65、66a~66d、67a~67d LED
60 測定開始ボタン
100 配線状態検知装置
図1
図2
図3
図4
図5