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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/12 20060101AFI20231002BHJP
   F04B 43/10 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
F04B43/12 J
F04B43/10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019158764
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021038676
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-25
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「NEDO先導研究プログラム/新産業創出新技術先導研究プログラム/大深度・極限環境に適応する掘削物揚重用ぜん動ポンプの研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】599011687
【氏名又は名称】学校法人 中央大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】萩原 大輝
(72)【発明者】
【氏名】若松 康太
(72)【発明者】
【氏名】足立 遼
(72)【発明者】
【氏名】上田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】山川 昭次
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 康如
(72)【発明者】
【氏名】藤▲崎▼ 幸市郎
(72)【発明者】
【氏名】河野 貴穂
(72)【発明者】
【氏名】山内 亮太
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-138179(JP,A)
【文献】特開平06-201534(JP,A)
【文献】実開昭61-068168(JP,U)
【文献】実開昭61-068167(JP,U)
【文献】特開2015-063642(JP,A)
【文献】特開2013-137088(JP,A)
【文献】特開2010-208046(JP,A)
【文献】特開平01-240777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/12
F04B 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒と、
外筒の内周側に設けられた内筒と、
内筒と前記外筒との間に設けられた圧力供給室と、
を備えたポンプユニットの前記圧力供給室内への加圧媒体の供給により前記内筒を径方向内側に膨張させ、前記内筒内の土砂を軸方向に搬送する搬送装置であって、
前記内筒の前記膨張時に、該内筒の内周面と前記土砂との間に生じる摩擦を低減する摩擦低減手段と、
前記圧力供給室内への加圧媒体の供給量を検出する検出手段と、
前記圧力供給室内の圧力を検出する検出手段と、
を備え、
前記加圧媒体の供給量が閾値未満であり、かつ、前記圧力供給室内の圧力が最大圧力に達したことを条件として、前記摩擦低減手段が前記内筒の内周面側から潤滑液を供給することを特徴とする搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に関し、特に加圧用媒体の供給に応じた膨張によって搬送対象を搬送可能なポンプユニットからなる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固液の搬送に好適なポンプユニットの構成として、特許文献1に示すような構成が開示されている。当該ポンプユニットは、円筒状の外筒と、当該外筒内に配設される内筒とからなる二重構造であり、外筒と内筒との間に形成されたチャンバー内に空気等の流体の圧力を印加することによって、内筒を径方向内側に向けて膨張させ、内筒内の容積を変化させることにより、内筒内の流体を軸方向に搬送する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-174140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ポンプユニットにあっては、搬送対象が流体や、固体と流体とが混合された固液等の流動性の高い物体に限定され易いと言う欠点がある。例えば、搬送対象を粘性の高い粘土とした場合、内筒の径方向内側への膨張によって内面が粘土の表面と密着する結果、内筒の膨張が妨げられ、搬送が困難となる。この問題を解消するため、搬送対象の流動性を向上させる水等の液体を投入する方策もあり得るが、環境への影響、脱水設備や浄化設備の設営負担、運搬処分の負担増加などの観点から俄かに採用し難い。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、内筒の膨張を妨げることなく搬送対象物を効率的に搬送可能な搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための搬送装置の構成として、外筒と、外筒の内周側に設けられた内筒と、内筒と外筒との間に設けられた圧力供給室とを備えたポンプユニットの圧力供給室内への加圧媒体の供給により内筒を径方向内側に膨張させ、内筒内の土砂を軸方向に搬送する搬送装置であって、内筒の前記膨張時に、該内筒の内周面と土砂との間に生じる摩擦を低減する摩擦低減手段と、圧力供給室内への加圧媒体の供給量を検出する検出手段と、圧力供給室内の圧力を検出する検出手段とを備え、加圧媒体の供給量が閾値未満であり、かつ、圧力供給室内の圧力が最大圧力に達したことを条件として、摩擦低減手段が内筒の内周面側から潤滑液を供給する構成とした。
本構成によれば、低摩低減手段によって内筒の内周面と被搬送物との摩擦が潤滑液により低減され、被搬送物に妨げられることなく内筒を膨張させることができ、被搬送物を効率的に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】蠕動運動型搬送装置1の構成例を示す図である。
図2】ポンプユニットの軸方向及び半径方向の断面図である。
図3】エンドプレート端面の平面図である。
図4】収縮状態のポンプユニットを示す軸方向及び半径方向の断面図である。
【0008】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、搬送装置1の一実施形態を示す概略構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る搬送装置1は、概略、複数のポンプユニット10と、連結された複数のポンプユニット10を蠕動運動を模すように駆動させる搬送駆動装置100とで構成される。ポンプユニット10は、複数連結して配管として設けられたり、既設の配管の途中に図1に示すように複数連結して設けられたり、また、単体或いは搬入側の端部に設けられたりして用いられる。
【0010】
図2は、ポンプユニット10の軸方向断面図及び径方向断面図である。図2に示すように、ポンプユニット10は、両端開口の円筒状に形成された内筒11と、両端開口の円筒状に形成され、内筒11の外周面に沿って同軸に設けられた外筒12と、一対のエンドリング15;16とを備える。
【0011】
外筒12は、例えば低アンモニア天然ラテックスゴムから成るゴム層と、当該ゴム層の間に介挿された繊維層を有してなる。繊維層は、径方向に沿って積層される複数の炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維などからなる高弾性繊維によって構成される。当該高弾性繊維の延長方向は、外筒12の軸方向と一致しており、後述の気密室V内への空気の導入より外筒12が膨張しようとする場合、軸方向への伸長(膨張)が規制される結果、径方向外側への膨張のみが許容される。
【0012】
内筒11は、天然ラテックスゴムやシリコーンゴムなどのゴム部材から構成された円筒体であって、外筒12と二重管を形成するように外筒12の軸心と同軸上に配設される。なお、内筒11についても外筒12と同様の繊維層を介挿させた構成とし、後述の気密室V内への空気の導入より内筒11が膨張しようとする場合の軸方向への伸長を規制しても良い。
【0013】
一対のエンドリング15;16は、円筒状の筒部15A;16Aと、筒部15A;16Aの一端側において筒部15A;16Aの外径よりも大径に形成されたフランジ部15B;16Bとを備える。筒部15A;16Aは、外筒12の内周に挿入され、筒部15A;16Aの外周面と外筒12の内周面とが気密状態を維持するように、図外の固定手段によって固定される。
【0014】
また、筒部15A;16Aの内周側には、内筒11の各端部が挿入され、筒部15A;16Aの内周と、内筒11の外周とが気密状態を維持するように、図外の固定手段によって固定される。例えば、内筒11は、エンドリング15;16に対して、端部が筒部15A;16Aを超え、エンドリング15;16の端面15t;16tにできるだけ近づくように取り付けると良い。
【0015】
前述のようにポンプユニット10を構成することにより、ポンプユニット10には、内筒11、外筒12及び一対のエンドリング15;16によって囲まれた気密室Vが形成される。気密室Vは、加圧媒体が供給されることにより、内筒11を膨張させて、被搬送物を加圧する圧力供給室として機能する。
【0016】
図2(b)に示すように、フランジ部15B;16Bには、ポンプユニット10同士の連結を可能にする連結部22が設けられる。連結部22は、例えば、フランジ部16Bの板厚方向に貫通する孔として、外筒12の半径方向外側を円周方向に沿って均等な間隔で複数設けられ、ボルトナット等の締結によりポンプユニット10同士を連結可能に構成される。
【0017】
また、図2(a)に示すように、一方のエンドリング16には、気密室Vに加圧媒体を供給、排出するための給排部24、内筒11と、内筒11内の被搬送物との間に潤滑液を供給する潤滑液供給部26とが設けられる。
給排部24は、例えば、一端がフランジ部16Bの外周面に開口し、他端が筒部16Aに固定された内筒11及び外筒12との間に開口する孔として設けられ、後述の搬送駆動装置100から延長するチューブ124が接続される(図1参照)。
【0018】
図3に示すように、潤滑液供給部26は、例えば、エンドリング16のフランジ部16B側の端面16tにおいて内周面から外周面にかけて延長する溝として形成される。後述の搬送駆動装置100から延長するチューブ146が接続される(図1参照)。
チューブ146を介して流入する潤滑液は、図3中の破線矢印に示すように、内筒11の内周面に沿って流れ込むことになる。
【0019】
気密室Vには、該気密室Vに加圧媒体を供給したときの内筒11の膨張を、容易かつ安定化させるためのシェイパーリング30が設けられる。シェイパーリング30は、内筒11の軸周りに設けられ、内径部が楕円状、外径部が円状に形成された環状体である。内筒11がシェイパーリング30の内径内に位置することにより、楕円の短軸と対応して向かい合う内筒11の内周面が、楕円の長軸と対応して向かい合う内筒11の内周面よりも予め径方向内側に接近した状態とされる。つまり、シェイパーリング30は、内筒11の膨張時の形状を規定する膨張規定部材として機能する。
【0020】
図1に示すように、搬送駆動装置100は、加圧媒体給排装置110と、液体供給装置140と、制御装置160とを備える。
加圧媒体給排装置110は、例えば、コンプレッサー112、レギュレータ114、供給弁116、流量センサ118、圧力センサ120及び排出弁122等を備える。
【0021】
コンプレッサー112は、ポンプユニット10における加圧媒体となる圧縮空気を生成し、このコンプレッサー112に接続されたレギュレータ114により調圧される。レギュレータ114により調圧された空気は、レギュレータ114に接続された供給弁116を開閉することにより、供給弁116とポンプユニット10とに接続されたチューブ124を介した気密室Vへの供給或いは供給の停止がなされる。供給弁116とポンプユニット10との間には、流量センサ118が設けられ、ポンプユニット10に供給された空気の流量を計測する。流量センサ118は、制御装置160と電気的に接続され、計測した空気の流量を制御装置160に出力する。
【0022】
流量センサ118とポンプユニット10との間には、ポンプユニット10の気密室Vに供給された空気の圧力を検出する圧力センサ120が設けられる。圧力センサ120は、制御装置160と電気的に接続され、計測した気密室V内の空気の圧力を制御装置160に出力する。
さらに、流量センサ118とポンプユニット10との間には、排出弁122が設けられ、排出弁122を開くことにより、気密室V内の空気を排出可能に構成される。
供給弁116及び排出弁122は、例えば、ソレノイドバルブを適用することができる。供給弁116及び排出弁122は、制御装置160と電気的に接続され、制御装置160から入力される信号に基づいて弁の開閉が制御される。供給弁116及び排出弁122にソレノイドバルブを用いることにより、ポンプユニット10を膨張或いは収縮させるときの応答速度を向上させることができる。
【0023】
液体供給装置140は、内筒11の膨張を円滑にするために被搬送物と内筒11の摩擦を低減する摩擦低減手段であって、例えば、潤滑液として作用する水等の液体(以下、水として説明する)を貯留するタンク142と、配管を介してタンク142と接続され、タンク142に貯留された水をポンプユニット10に供給する供給ポンプ144等により構成される。供給ポンプ144は、制御装置160と電気的に接続され、制御装置160から入力される信号に基づいて水の供給及び供給の停止が制御される。供給ポンプ144は、チューブ146を介して各ポンプユニット10と接続され、潤滑液を各ポンプユニット10に供給可能に構成される。
【0024】
制御装置160は、演算手段としてのCPUや記憶手段としてのROM,RAM等のハードウェアを備えたコンピュータであって、予め設定された動作プログラムに従って、該制御装置160に接続された供給弁116、排出弁122や供給ポンプ144の動作を制御する。
【0025】
図4は、ポンプユニット10の動作を示す図である。
ポンプユニット10の気密室V内に所定の圧力を印加する場合、図4(a)に示すように、制御装置160は、対応する供給弁116を開き、排出弁122を閉じるように信号を出力する。これにより、気密室V内に所定の圧力が印加され、外筒12は径方向外側に向けて膨張するとともに、軸方向に収縮し、内筒11は、径方向内側に向けて膨張する。
【0026】
即ち、外筒12は、軸方向に沿って延長する繊維層が設けられているため、軸方向への伸長が規制され、その結果、外筒12の膨張方向は径方向外側に限定され、当該径方向外側への膨張に伴って、軸方向長さが収縮することとなる。また、内筒11は、気密室V内への空気の供給によって、シェイパーリング30の位置と対応する内筒11の軸方向中央部における上記短軸と対応して向かい合う内筒11の内周面が先行して軸心方向(径方向内側)に向けて膨張を開始し、更なる空気の供給によって内筒11内の搬送対象物が軸方向に搬送され、図2(c)に示すように、内筒11内が略完全に閉塞されることとなる。この内筒11の膨張により内筒11内の被搬送物が内筒11により加圧されて軸方向に押し出され、搬送される。
【0027】
なお、外筒12を硬質な樹脂等によって構成しても良いが、膨張によって軸方向へ収縮可能な上記構成とすることにより、内筒11内の搬送対象物を軸方向に押し出す作用が生じるため好適である。
【0028】
また、ポンプユニット10の気密室V内に所定の圧力を開放する場合、図4(b)に示すように、制御装置160は、対応する供給弁116を閉じ、排出弁122を開く信号を出力する。これにより、気密室V内の空気が大気に放出され、外筒12は径方向内側に向けて収縮するとともに、軸方向に伸長し、内筒11は、径方向外側に向けて収縮する。
【0029】
制御装置160は、前述の気密室V内に所定の圧力を印加する過程において、流量センサ118から入力される流量の変化と、圧力センサ120から入力される圧力の変化とを監視し、流量の変化と圧力の変化とに応じて、供給ポンプ144の動作を制御する。
【0030】
以下、制御装置160による処理を説明する。
制御装置160は、入力された流量の最大値が閾値αよりも小さく、圧力が最大値に達したときに、前述の内筒11の膨張により被搬送物が軸方向に搬送されていないと判定する。閾値αは、内筒11内に被搬送物がない状態において最大膨張したときの流量よりも所定値分小さい値を設定すると良い。
【0031】
即ち、内筒11の膨張により被搬送物が軸方向に搬送されていない場合、内筒11内の容積の一部を被搬送物の容積が占有するため、内筒11が膨張可能な容積が小さくなり、前述の内筒11内が略完全に閉塞されたときに比べて、少ない空気の流量で内筒11内が略完全に閉塞されたときと同じ圧力が計測されることとなる。
【0032】
被搬送物が軸方向に搬送されていないと判定した場合、制御装置160は、供給弁116の開状態、及び、排出弁122の閉状態を維持したまま供給ポンプ144に駆動信号を出力することにより、内筒11の内周側に向けて水を供給する。
【0033】
水の供給により、流量センサ118から出力される流量が閾値α以上となった場合、内筒11の膨張により被搬送物が軸方向に搬送されたものと判定し、供給ポンプ144に駆動停止の信号を出力して内筒11の内周側への水の供給を停止する。
このように、被搬送物との摩擦により、ポンプユニット10の膨張が妨げられたときに、ポンプユニット10内に水の供給を可能とすることにより、例えば、被搬送物が水を吸収しないものである場合には、供給された水が被搬送物と膨張する内筒11との摩擦を低減する潤滑剤として機能し、被搬送物を軸方向に搬送することができる。また、被搬送物が土砂などのように水を吸収可能である場合、内筒11の表面を流れ、土砂表面に吸収された水により、吸収した水を含む土砂の層が、陶芸におけるドベの役割、即ち、流動性が低く粘性が高い土砂に対して可塑性を付与し、内筒11の膨張によって任意の変形を生じさせる役割を有すると推察される。
【0034】
図1に示すように、複数のポンプユニット10が連結された場合には、制御装置160は、図中矢印で示す搬送方向に沿って例えば、ポンプユニット10A→ポンプユニット10B→ポンプユニット10C→ポンプユニット10Dの順、或は、ポンプユニット10A;10B→ポンプユニット10B;10C→ポンプユニット10C;10D→ポンプユニット10D;10A等のように蠕動運動を模すように順次膨張させるとともに、膨張していないポンプユニット10については、収縮させるように制御することで被搬送物を搬送することができる。なお、ポンプユニット10A~10Dは、潤滑液供給部26が設けられた側が上下方向の上側に位置するように連結と良い。
【0035】
また、ポンプユニット10による搬送動作において、膨張過程のポンプユニット10A~10Dに対応する圧力センサ120A~120Dにより検出された圧力値が所定値に到達し、流量センサ118A~118Dにより検出された圧力値が、前述のように閾値αを下回る場合には、供給ポンプ144を駆動させて被搬送物と内筒11の内周面との間に水を供給することにより、被搬送物と内筒11の内周面との摩擦が低減され、土砂等の被搬送物を搬送効率を低下させることなく搬送することができる。即ち、図1に示すように、搬送方向が揚重負荷の大きい、下から上に向かう(重力に逆らう方向)場合であっても、被搬送物を搬送することができる。
【0036】
また、流量センサ118A~118Dが、内筒11の膨張状態を検出する検出手段として機能し、供給ポンプ144による水の供給を制御することにより、水の供給量を最小化することができる。
【0037】
前述の実施形態では、フランジ16Bの端面16tに設けた潤滑液供給部26から潤滑液となる水を供給するものとして説明したが、例えば、連結されたポンプユニット10の内筒11により形成される搬送空間に、内筒11の内径よりも十分細く、内筒11の膨張や被搬送物の搬送を妨げない太さのチューブを全てのポンプユニット10に行き渡らせるように挿入し、チューブの周壁に設けた複数の細孔から水を供給するようにしても良い。また、チューブの周壁に細孔を設けずに分岐部を設けて分岐したチューブの開口から水を供給させても良い。この場合、搬送空間に延長するチューブの本数は限定されない。
【0038】
また、内筒11により形成される搬送空間に内筒11の内径寸法に近似するビニール製の筒を設け、このビニール製の筒の内周側を被搬送物の搬送空間とし、ビニール製の筒の外周と内筒11の内周との間に水を供給し、ビニール製の筒に設けた複数の細孔から水を供給するようにしても良い。
【0039】
また、図1に示すように、被搬送物を下から上に向けて搬送するようにポンプユニット10を上下方向や傾斜させて配置し、水を供給する場合、ポンプユニット10に供給された水は、例えば、被搬送物に付着、或いは吸収され、余剰分が上から下へと流れる。このような場合には、例えば、被搬送物による水の吸収等を考慮し、上に位置するポンプユニット10ほど水の供給量が多く、下に位置するポンプユニット10ほど水の供給量が少なくなるように、水の供給量に変化を与えるように構成しても良い。
【0040】
さらに、最も下に位置するポンプユニット10において、上方から流下した水を回収する回収手段を設け、さらに回収した水を、タンク142からポンプユニット10に水を供給する供給経路に割り込ませたり、タンク142に戻したりするリターン機構を設けると良い。これにより、ポンプユニット10よりも上流側に水が流れることを防止することができる。
【0041】
また、前述の説明では、水を供給する場合に、連結されたポンプユニット10の全てに対して供給するものとして説明したが、流量に異常が検出されたポンプユニット10に対して水を供給するようにしても良い。この場合、供給ポンプ144に水の分配手段を設け、分配手段と各ポンプユニット10とをチューブで接続するとともに、各チューブの途中に制御装置160により制御可能な弁を設けて、流量に異常が検出されたポンプユニット10に接続される弁を開くことで、当該ポンプユニット10に水を供給するようにしても良い。
【0042】
なお、上記実施形態では、内筒11と被搬送物との摩擦を低減する摩擦低減手段として液体供給装置140を設けたが、例えば、内筒11の内周面をテフロン(登録商標)等の低摩擦材により覆い内筒11と被搬送物との摩擦を低減するようにしても良い。
【符号の説明】
【0043】
1 搬送装置、10 ポンプユニット、11 内筒、12 外筒、24 給排部、
26 潤滑液供給部、100 搬送駆動装置、110 加圧媒体給排装置、
112 コンプレッサー、114 レギュレータ、116 供給弁、
118 流量センサ、120 圧力センサ、122 排出弁、
140 液体供給装置、142 タンク、144 供給ポンプ、
160 制御装置、V 気密室。
図1
図2
図3
図4