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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】保冷容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/18 20060101AFI20231002BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
B65D81/18 B
B65D81/38 B
B65D81/38 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019186627
(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公開番号】P2021062872
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】河端 健
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-032087(JP,A)
【文献】実開平04-128275(JP,U)
【文献】特開2000-346514(JP,A)
【文献】特開2002-002829(JP,A)
【文献】特開2005-219793(JP,A)
【文献】特開2004-051166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/18
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開放の直方体状の容器本体と、その容器本体の上面開口を閉塞する蓋体とからなる発泡樹脂製の保冷容器であって、
前記容器本体の対向する1対の内側面の上端寄り位置に形成されて板状の蓄冷材が差し渡された状態に載置される1対の載置部と、
前記1対の内側面に形成されて、前記1対の載置部に載置された前記蓄冷材の縁部に上方から対向し、前記蓄冷材の上方への移動を規制する規制部と、
前記載置部に形成されて、前記蓄冷材に下方から当接する複数の当接突部と、
を備える保冷容器。
【請求項2】
前記複数の当接突部は、波形状である請求項1に記載の保冷容器。
【請求項3】
上面開放の直方体状の容器本体と、その容器本体の上面開口を閉塞する蓋体とからなる発泡樹脂製の保冷容器であって、
前記容器本体の対向する1対の内側面の上端寄り位置に形成されて板状の蓄冷材が水平姿勢で差し渡された状態に載置される1対の載置部と、
前記1対の内側面の横方向の両端部で上下方向に延び、前記載置部上の前記水平姿勢の蓄冷材により上端を閉塞可能であると共に、前記水平姿勢の蓄冷材より下側で起立姿勢の蓄冷材の縁部を受容可能な1対の縦溝と、
前記1対の内側面に形成されて、前記載置部上の前記水平姿勢の蓄冷材の縁部に上方から対向し、前記蓄冷材の上方への移動を規制する規制部と、
を備える保冷容器。
【請求項4】
上面開放の直方体状の容器本体と、その容器本体の上面開口を閉塞する蓋体とからなる発泡樹脂製の保冷容器であって、
前記容器本体の対向する1対の内側面の上端寄り位置に形成されて板状の蓄冷材が差し渡された状態に載置される1対の載置部と、
前記1対の内側面の横方向に分散配置され、前記1対の載置部に載置された前記蓄冷材の縁部に上方から対向し、前記蓄冷材の上方への移動を規制する複数の規制部と、
前記横方向で隣り合う前記規制部同士の間に設けられ、前記規制部の斜め上方から前記規制部の下方へと前記蓄冷材を挿入可能とする挿入口と、
前記1対の内側面の横方向の両端部で前記載置部より下方に陥没し、前記挿入口に斜め上方から挿入される前記蓄冷材の端部を受容する凹部と、
を備える保冷容器。
【請求項5】
前記規制部は、各前記内側面の横方向の両端部寄り位置に配置され、
前記1対の凹部は、前記容器本体の上端部から下端部又は下端部寄り位置まで延びて、起立姿勢の前記蓄冷材の縁部を受容可能な縦溝形状になっている請求項4に記載の保冷容器。
【請求項6】
前記複数の規制部の上面と閉塞状態の前記蓋体の下面とが重なる請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載の保冷容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、上面開放の直方体状の容器本体と、その容器本体の上面開口を閉塞する蓋体とからなる発泡樹脂製の保冷容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の保冷容器として、容器本体の1対の内側面の上端寄り位置に段差面が形成されて、それら1対の段差面に板状の蓄冷材が差し渡された状態に載置されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5306630号公報(段落[0016],図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の保冷容器では、搬送中に蓄冷材が跳ね上がって蓋体を内側から押し開けたり、蓄冷材が荷物の上に落下して荷物を傷つけたりする不具合が発生し得た。そこで、それら不具合を防ぐことが可能な保冷容器の構造を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、上面開放の直方体状の容器本体と、その容器本体の上面開口を閉塞する蓋体とからなる発泡樹脂製の保冷容器であって、前記容器本体の対向する1対の内側面の上端寄り位置に形成されて板状の蓄冷材が差し渡された状態に載置される1対の載置部と、前記1対の内側面に形成されて、前記1対の載置部に載置された前記蓄冷材の縁部に上方から対向し、前記蓄冷材の上方への移動を規制する規制部と、前記載置部に形成されて、前記蓄冷材に下方から当接する複数の当接突部と、を備える保冷容器である。
【0006】
請求項2の発明は、前記複数の当接突部は、波形状である請求項1に記載の保冷容器である。
【0007】
請求項3の発明は、上面開放の直方体状の容器本体と、その容器本体の上面開口を閉塞する蓋体とからなる発泡樹脂製の保冷容器であって、前記容器本体の対向する1対の内側面の上端寄り位置に形成されて板状の蓄冷材が水平姿勢で差し渡された状態に載置される1対の載置部と、前記1対の内側面の横方向の両端部で上下方向に延び、前記載置部上の前記水平姿勢の蓄冷材により上端を閉塞可能であると共に、前記水平姿勢の蓄冷材より下側で起立姿勢の蓄冷材の縁部を受容可能な1対の縦溝と、前記1対の内側面に形成されて、前記載置部上の前記水平姿勢の蓄冷材の縁部に上方から対向し、前記蓄冷材の上方への移動を規制する規制部と、を備える保冷容器である。
【0008】
請求項4の発明は、上面開放の直方体状の容器本体と、その容器本体の上面開口を閉塞する蓋体とからなる発泡樹脂製の保冷容器であって、前記容器本体の対向する1対の内側面の上端寄り位置に形成されて板状の蓄冷材が差し渡された状態に載置される1対の載置部と、前記1対の内側面の横方向に分散配置され、前記1対の載置部に載置された前記蓄冷材の縁部に上方から対向し、前記蓄冷材の上方への移動を規制する複数の規制部と、前記横方向で隣り合う前記規制部同士の間に設けられ、前記規制部の斜め上方から前記規制部の下方へと前記蓄冷材を挿入可能とする挿入口と、前記1対の内側面の横方向の両端部で前記載置部より下方に陥没し、前記挿入口に斜め上方から挿入される前記蓄冷材の端部を受容する凹部と、を備える保冷容器である。
【0009】
請求項5の発明は、前記規制部は、各前記内側面の横方向の両端部寄り位置に配置され、前記1対の凹部は、前記容器本体の上端部から下端部又は下端部寄り位置まで延びて、起立姿勢の前記蓄冷材の縁部を受容可能な縦溝形状になっている請求項4に記載の保冷容器である。
【0010】
請求項6の発明は、前記複数の規制部の上面と閉塞状態の前記蓋体の下面とが重なる請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載の保冷容器である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の保冷容器では、1対の載置部に載置された蓄冷材の上方への移動を規制する規制部が容器本体の1対の内側面に形成されているので、搬送中の蓄冷材の跳ね上がりが防がれ、蓋体が内側から押し開けられたり、蓄冷材が荷物の上に落下したりする不具合の発生が防がれる。
【0012】
また、請求項の保冷容器では、蓄冷材に下方から当接する複数の当接突部が載置部に形成されているので、蓄冷材と容器本体との接触面積が抑えられる。これにより、蓄冷材と保冷容器内の空気との接触面積が増え、冷却機能が高くなる。また、複数の当接突部により蓄冷材と容器本体との接触面積が抑えられることで蓄冷材が載置部上で滑り易くなり、蓄冷材を規制部と載置部との間に出し入れする作業を容易に行うことができる。
【0013】
請求項の保冷容器は、規制部の斜め上方から規制部の下方に蓄冷材を挿入可能とする挿入口を有するので、蓄冷材を規制部と載置部との間に出し入れする作業を容易に行うことができる。
【0014】
また、請求項4の保冷容器は、載置部より下方に陥没した凹部を有するので、蓄冷材を傾斜姿勢にしたときの下端部を凹部に受容することができ、蓄冷材を規制部と載置部との間に出し入れする作業を容易に行うことができる。
【0015】
請求項5の保冷容器では、起立姿勢の蓄冷材の縁部を1対の凹部にスライド挿入して容器本体内に配置することができる。
【0016】
請求項6の保冷容器では、蓋体の下面が規制部の上面に重なるので、蓋体と規制部との協働によって蓄冷材の跳ね上がりが防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の一実施形態に係る保冷容器の斜視図
図2】容器本体に蓋体を装着した状態の斜視図
図3】容器本体の一部の斜視図
図4】容器本体の一部の平面図
図5】容器本体に蓄冷材を収容する過程の側断面図
図6】容器本体に蓄冷材を収容する過程の側断面図
図7】容器本体に蓄冷材を収容する過程の斜視図
図8】容器本体に蓄冷材を収容する過程の斜視図
図9】保冷材を収容した保冷容器の一部の側断面図
図10】保冷材を収容した保冷容器の一部の側断面図
図11】保冷材を収容した容器本体の平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図11を参照して本開示の一実施形態に係る保冷容器10について説明する。図1及び図2に全体を示された本実施形態の保冷容器10は、共に発泡樹脂の成形品である容器本体11と蓋体20とからなる。容器本体11は、上面が開放しかつ平面形状が長方形の直方体状をなし、蓋体20は、容器本体11の上面開口11Kを閉塞する略板状になっている。
【0019】
以下、容器本体11のうち、その平面形状である長方形の短辺に位置する側壁12を「短側壁12」、長辺に位置する側壁13を「長側壁13」といい、それらを区別しない場合には、側壁12,13ということとする。なお、容器本体11及び蓋体20を構成する上述の発泡樹脂は、発泡ポリプロピレンが好ましいが、発泡スチロールでもよい。
【0020】
図1に示すように、容器本体11の各側壁12,13の外側面には、横方向の中央部に、下端から上端寄り位置に亘って凹部14が形成され、それら各凹部14の上端の段差面が手掛部15になっている。手掛部15は、図5に示すように、外側に向かうに従って下るように傾斜している。また、図1に示すように、短側壁12の外側面の上端部における横方向の中央部には、手差部16が陥没形成されている。手差部16の上端は、容器本体11の上面外縁部17Gに開口している。さらに、容器本体11の下面には、外縁部より内側部分の全体を段付き状に下方に突出させて下面突部19が形成されている。
【0021】
容器本体11の上面は、外縁部全体が段付き状に陥没し、外縁部より内側が上面突部17になっている。また、図9に示すように、容器本体11の上面外縁部17Gと上面突部17との間の段差面17Dは、下方に向かうに従って外側に向かうように僅かに傾斜している。なお、段差面17Dの反対側に位置する上面突部17の内側面は、側壁12,13の内側面12S,13Sの一部になっている。
【0022】
図3に示すように、側壁12,13の内側面12S,13Sには、上面外縁部17Gより僅かに下側となる上端寄り位置に、水平な段差面12D,13Dが形成されている。そして、内側面12S,13Sのうち上面突部17の上面から段差面12D,13Dまでの間が、上下方向に対して平行な蓋嵌合部31になっている。
【0023】
図1に示すように、蓋体20は、前述の通り全体が平板状をなし、その平面形状は容器本体11の平面形状と同じ大きさの長方形をなしている。また、図9に示すように、蓋体20の下面の外縁寄り位置には環状合溝21が形成され、環状合溝21より内側部分が外側部分より下方に突出して下面突部22になっている。そして、蓋体20を容器本体11の上面に重ねて押し下げると、蓋体20の下面突部22が容器本体11の蓋嵌合部31に嵌合されると共に環状合溝21に上面突部17が嵌合される。そして、下面突部22と蓋嵌合部31との摩擦係止によって蓋体20が閉塞状態に保持される。その閉塞状態では、下面突部22の下面は側壁12,13の段差面12D,13Dに重なり、上面突部17の上面は環状合溝21の内部上面と重なり、さらに、蓋体20のうち環状合溝21より外側の下面外縁部は、容器本体11の上面外縁部11Gに丁度重なる。また、上面突部17の段差面17Dとそれに対応する環状合溝21の内側面は、僅かに隙間をあけて対向する。
【0024】
図2に示すように、蓋体20の上面には、外縁部を除く全体を陥没させて上面凹部23が形成されている。そして、保冷容器10が段積みされたときに、下段側の保冷容器10の上面凹部23に、上段側の保冷容器10の下面突部19が丁度嵌合される。また、上面凹部23を包囲する土手部24のうち1対の長辺部分には、それぞれ2つずつのベルト受容部24Aが形成されている。そして、容器本体11と蓋体20とに一纏めにする1対のベルトBがベルト受容部24Aに受容される。なお、保冷容器10が段積みされたときには、複数の保冷容器10が1対のベルトで一纏めにされる。
【0025】
図3及び図11に示すように、容器本体11の各長側壁13の内側面13Sには、横方向の両端部に縦溝33(特許請求の範囲の「凹部」に相当する)が形成されている。図4に示すように、縦溝33は、角溝構造をなし、縦溝33の底面は、前述の蓋嵌合部31と面一であると共に、縦溝33の一方の内側面は、短側壁12の内側面12Sと面一になっている。また、図5に示すように、縦溝33は、長側壁13の段差面13Dから容器本体11の底面寄り位置まで延びている。
【0026】
図3に示すように、容器本体11の各長側壁13の内側面13Sのうち1対の縦溝33を除く全体には、段差面13Dより僅かに下方となる上端寄り位置に段差部が形成され、その段差面が載置部34になっている。即ち、長側壁13の内側面13Sは、2段構造をなしている。
【0027】
載置部34は、長側壁13の横方向に延び、滑らかな波形状をなして、複数の突部34A(特許請求の範囲の「当接突部」に相当する)と窪み部34Bとを長手方向に交互に並べて備える。また、載置部34の両端部には、突部34Aの頂上部に連続する水平面34Cが備えられている。より詳細には、載置部34の上面は、例えばsin波形状をなし、その5.5波長分の凹凸を有する。そして、突部34Aと窪み部34Bが、共にsin波の1/2波長分の長さをなし、中央に突部34Aが配置されると共に、両端部に1/4波長分の突部34Aがそれぞれ配置されて、1/4波長分の突部34Aに水平面34Cが連続している。また、水平面34Cは、1/4波長分より僅かに長くなっている(図4参照)。
【0028】
図3に示すように、各長側壁13の内側面13Sのうち段差面13Dと載置部34との間は、上下方向に対して平行で平坦な蓄冷材嵌合部35をなしている。そして、各蓄冷材嵌合部35の上縁部における横方向の中央部と両端部とに規制部36が形成され、規制部36同士の間が後述する蓄冷材40を挿入するための挿入口36Kになっている。
【0029】
規制部36は、段差面13Dと面一の上面36Aと、先端に向かって徐々に上方に向かうように傾斜した下面36Bと、上面36Aと下面36Bとの角部をR面取りしてなる先端円弧面36Cとを有する。また、規制部36の両側面36Dは、蓄冷材嵌合部35に直交しかつ上下方向に対して平行になっている。さらには、両端部の規制部36の一側面36Dは、縦溝33の内側面と面一になっている。
【0030】
図4に示すように、各規制部36の横幅は、例えば前述した載置部34のsin波形状の略1/2波長分と略同一になっていて、中央の規制部36の真下には突部34Aが位置し、両端の規制部36の真下に水平面34Cとそれらに連続する1/4波長分の突部34Aとが位置している。
【0031】
本実施形態の保冷容器10の構造に関する説明は以上である。保冷容器10には、図11に例示した一般的な蓄冷材40が荷物と共に収容される。蓄冷材40は、板状の容器の内部に保冷液を充填してなる。蓄冷材40の平面形状は、長方形をなし、その長手方向の長さL1は、1対の長側壁13の蓄冷材嵌合部35同士の間隔と略同一で、短手方向の長さL2は、1対の短側壁12の段差面12Dより下側の内側面12S同士の間隔の半分の長さL4から、例えば、規制部36の横幅L5の0.2~0.5倍に相当する長さ分を差し引いた長さになっている。また、図9に示すように、蓄冷材40の厚さL3は、載置部34の最上面(具体的には、水平面34C)から規制部36の上下方向の途中位置までの高さと同じになっている。さらに、図10に示すように、前述の縦溝33の上下方向の長さL6は、蓄冷材40の短手方向の長さL2の1.2~1.5倍の長さになっている。換言すれば、保冷容器10の各部位は、一般的な蓄冷材40に上述の如く対応させた大きさになっている。
【0032】
保冷容器10には、以下のようにして荷物と4つの蓄冷材40とが収容される。図5に示すように、容器本体11の長手方向の両端部に、1対の蓄冷材40が短辺方向を上下方向にした起立姿勢にされて、縦溝33にスライド係合した状態で収容される。そして、保冷容器10に荷物が収容され、その後、1対の蓄冷材40が載置部34に載置される。
【0033】
そのために、1つ目の蓄冷材40は、短手方向を上下方向に対して傾斜させた傾斜姿勢にされて、その下端部が例えば図5及び図7に示すように、規制部36同士の間の挿入口36Kを通して中央の規制部36の下に押し込まれるか、例えば、図6及び図8に示すように、端部の規制部36の下に押し込まれる。
【0034】
図5及び図7に示すように傾斜姿勢の蓄冷材40の下端部が中央の規制部36の下に押し込まれた場合には、その下端部が、中央の突部34Aの隣の窪み部34Bに突入し、その窪み部34Bの最下部を通過して登り斜面に摺接することで蓄冷材40が水平姿勢になるように案内される。そして、蓄冷材40の上端部が端部の規制部36を僅かに変形させて通過し、蓄冷材40の全体が載置部34上に載置される。また、蓄冷材40は、載置部34上に載置されると、容器本体11の長手方向の一端側にスライドされ、一方の側壁12側に寄せられる。
【0035】
また、図6及び図8に示すように傾斜姿勢の蓄冷材40の下端部が、端部の規制部36の下に押し込まれた場合には、その下端部が縦溝33に対して、前述の窪み部34Bより深く突入する。そして、蓄冷材40が水平姿勢になるように回動されて、蓄冷材40の上端部が中央の規制部36を僅かに変形させて通過し、蓄冷材40の全体が載置部34上に載置され、四隅を規制部36に上方から覆われた状態になる。
【0036】
2つ目の蓄冷材40を載置部34に載置する場合にも、同様に図6及び図8に示すように傾斜姿勢の蓄冷材40の下端部を、端部の規制部36の下に押し込むようにして行われる。
【0037】
2つの蓄冷材40が載置部34に載置されると、それら蓄冷材40同士が互いに容器本体11の長手方向で移動を規制し合って、各蓄冷材40の四隅の角部が規制部36に上方から覆われた状態が維持される。この状態になると、蓄冷材40は、図9に示すように、容器本体11の1対の蓄冷材嵌合部35の間に丁度収まり、蓄冷材40の上面と側面との間で面取りされた角部が規制部36の傾斜した下面36Bに当接して上下及び容器本体11の短手方向のガタが抑えられる。
【0038】
次いで、蓋体20が容器本体11の上部に嵌合される。すると、蓋体20の上面凹部23の下面が規制部36の上面36Aに重なった状態になる。また、蓋体20は、前述の如く、下面突部22と蓋嵌合部31との摩擦係止によって閉塞状態に維持される。
【0039】
以上により保冷容器10への蓄冷材40と荷物の収容が完了する。保冷容器10は、搬送中に振動を受けても規制部36によって蓄冷材40の上方への跳ね上がりが防がれる。また、本実施形態の保冷容器10では、蓋体20の下面が規制部36の上面に重なっているので、蓋体20と規制部36との協働によって蓄冷材40の跳ね上がりが防がれる。
【0040】
保冷容器10から荷物を取り出すには、載置部34上の1対の蓄冷材40を互いに引き離し、それらの間の隙間に指先を差し込んで蓄冷材40の一側部を持ち上げて前述の傾斜姿勢とし、前述の作業と逆の手順で蓄冷材40を載置部34と規制部36との間から引き抜けばよい。そして、荷物を取り出す。容器本体11の長手方向の両端部の蓄冷材40を取り出すには、それら蓄冷材40と容器本体11の底面との間の隙間を指先を差し込んで持ち上げればよい。
【0041】
上記したように本実施形態の保冷容器10では、1対の載置部34に載置された蓄冷材40の上方への移動を規制する規制部36が容器本体11の1対の内側面13Sに形成されているので、搬送中の蓄冷材40の跳ね上がりが防がれ、蓋体20が内側から押し開けられたり、蓄冷材40が荷物の上に落下したりする不具合の発生が防がれる。また、蓄冷材40に下方から当接する複数の突部34Aが載置部34に形成されているので、蓄冷材40と容器本体11との接触面積が抑えられる。これにより、蓄冷材40と保冷容器10内の空気とが接触面積が増えて冷却機能が高くなる。また、複数の突部34Aにより蓄冷材40と容器本体11との接触面積が抑えられることで蓄冷材40が載置部34上で滑り易くなり、蓄冷材40を規制部36と載置部34との間に出し入れする作業を容易に行うことができる。
【0042】
しかも、載置部34に複数の窪み部34Bが形成されると共に載置部34の両端部の隣に縦溝33が設けられているので、蓄冷材40を傾斜姿勢にしたときの下端部がそれら窪み部34B又は縦溝33に受容されて、蓄冷材40を規制部36と載置部34との間に出し入れする作業を容易に行うことができる。また、縦溝33には、起立姿勢の蓄冷材40の縁部をスライド挿入することができるので、縦溝33の有効利用が図られる。さらに、規制部36の傾斜した下面36Bによって規制部36と載置部34との間の入口が広くなっているので、この点においても、蓄冷材40を規制部36と載置部34との間に出し入れする作業が容易になる。
【0043】
なお、蓄冷材40を規制部36と載置部34との間に出し入れは、1対の長側壁13を外側に膨らませるように弾性変形させて行ってもよい。
【0044】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態では、載置部34の両端部の隣に縦溝33が備えられていたが、縦溝33の代わりに窪み部34Bを設けた構成としてもよい。その場合、両端部の規制部36を短側壁12の内側面12Sに接続してもよい。
【0045】
(2)また、載置部34の長手方向の途中位置の窪み部34Bの代わりに縦溝33を形成して、そこに蓄冷材40が起立姿勢にして収容されるようにしてもよい。
【0046】
(3)前記実施形態の規制部36は、各内側面13Sに複数ずつ分散配置されていたが、各内側面13Sに載置部34と平行の延びる突条構造の規制部36を設けて、前述の挿入口36Kを備えない構造にしてもよい。換言すれば、各内側面13Sの上端寄り位置に横方向に延びる横溝を形成し、その横溝の下側内側面を載置部とし、横溝より上側部分を規制部としてもよい。
【0047】
(4)前記実施形態では、縦溝33に蓄冷材40が挿入された後で、載置部34上の蓄冷材40が縦溝33に挿入された蓄冷材40の真上に配置可能な構造になっていたが、例えば、縦溝33に挿入した蓄冷材40の上端部が載置部34上の蓄冷材40の側面に対向するようにしてもよい。そうすれば、載置部34上に蓄冷材40を載置してから縦溝33に蓄冷材40を挿入することによって載置部34上の蓄冷材40のスライド移動を規制することができる。
【0048】
(5)前記実施形態の載置部34は、載置部34の長手方向に波形状をなしていたが、載置部34の幅方向に波形状をなしていてもよい。また、載置部は、平坦面から複数の半球状の当接突部が突出した構造としてもよい。
【0049】
(6)前記実施形態では蓋体20が規制部36に上方から重なり、蓋体20と規制部36との協働によって蓄冷材40の跳ね上がりを防いでていたが、蓋体20が規制部36の上方に離れた位置に配置され、規制部36のみで蓄冷材40の跳ね上がりを防ぐようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 保冷容器
11 容器本体
11K 上面開口
13S 内側面
20 蓋体
33 縦溝
34 載置部
34A 突部(当接突部)
36 規制部
36K 挿入口
40 蓄冷材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11