(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】着色成果物の製造方法及びインク吐出装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/112 20170101AFI20231002BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20231002BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20231002BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231002BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20231002BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20231002BHJP
【FI】
B29C64/112
B29C64/209
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
(21)【出願番号】P 2020011531
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2022-08-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日:令和元年10月23日(10月21日~25日) 集会名、開催場所:Society for Imaging Science and Technology(イメージング サイエンス アンド テクノロジー協会) 第27回 Color and Imaging Conference(CIC27)(カラー アンド イメージング カンファレンス) Telecom Paris - 46 rue Barrault - 75013 Paris France(フランス国 パリ 75013 バロー通り 46 テレコム・パリ)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行日:令和元年10月21日 刊行物:Society for Imaging Science and Technology(イメージング サイエンス アンド テクノロジー協会) 第27回 Color and Imaging Conference(CIC27)予稿集第xiページ(カラー アンド イメージング カンファレンス予稿集)(27th Color and Imaging Conference Final Program and Proceedings)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日:令和元年10月21日 ウェブサイトのアドレス:https://www.imaging.org/Site/PDFS/Conferences/CIC/2019/CIC27ProgramAbstracts_lowres_web.pdf
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日:令和元年12月5日(12月2日~5日) 集会名、開催場所:一般社団法人日本光学会年次学術講演会(Optics & Photonics Japan 2019) 大阪大学コンベンションセンター、情報科学研究科(大阪府吹田市山田丘1-1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行日:令和元年12月2日 刊行物:一般社団法人日本光学会年次学術講演会(Optics & Photonics Japan 2019) 予稿集CDROM 講演番号5aE1
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日:令和元年11月27日 ウェブサイトのアドレス:URL:https://opt-j.com/abstracts/
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(73)【特許権者】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】荒井 航
(72)【発明者】
【氏名】八角 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】津村 徳道
(72)【発明者】
【氏名】平井 経太
(72)【発明者】
【氏名】吉井 淳貴
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-149778(JP,A)
【文献】特開2018-065352(JP,A)
【文献】特表2017-511265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを用いて着色がされる成果物である着色成果物を製造する着色成果物の製造方法であって、
互いに異なる有色のインクをそれぞれが吐出する複数のインクジェットヘッドである複数の有色インク用ヘッドと、
無色のインクを吐出するインクジェットヘッドである無色インク用ヘッドと
、
光反射性のインクを吐出するインクジェットヘッドである光反射インク用ヘッドと
を用い、
前記着色成果物は、立体的な造形物であり、
前記着色成果物の表面の法線方向における厚さがそれぞれ所定の厚さになるように複数の着色される領域を前記法線方向において重ねて形成し、
前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記着色成果物の表面に最も近い位置にある領域である表面側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクを用いて形成し、
前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記表面側着色領域よりも前記着色成果物の表面から遠い位置にある領域である内側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクと、前記無色インク用ヘッドから吐出する前記無色のインクとを用いて形成
し、
前記法線方向における前記内側着色領域よりも内側に、前記光反射インク用ヘッドから吐出する前記光反射性のインクを用いて、光反射性の領域を形成し、
前記内側着色領域について、造形しようとする前記造形物が示す対象物の内部の色に合わせた色での着色を行い、
前記表面側着色領域について、前記対象物において前記対象物の内部よりも外側の部分の色に合わせた色での着色を行うことを特徴とする着色成果物の製造方法。
【請求項2】
インクを用いて着色がされる成果物である着色成果物を製造する着色成果物の製造方法であって、
互いに異なる有色のインクをそれぞれが吐出する複数のインクジェットヘッドである複数の有色インク用ヘッドと、
無色のインクを吐出するインクジェットヘッドである無色インク用ヘッドと、
光反射性のインクを吐出するインクジェットヘッドである光反射インク用ヘッドと
を用い、
前記着色成果物は、立体的な造形物であり、
前記着色成果物の表面の法線方向における厚さがそれぞれ所定の厚さになるように複数の着色される領域を前記法線方向において重ねて形成し、
前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記着色成果物の表面に最も近い位置にある領域である表面側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクを用いて形成し、
前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記表面側着色領域よりも前記着色成果物の表面から遠い位置にある領域である内側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクと、前記無色インク用ヘッドから吐出する前記無色のインクとを用いて形成し、
前記法線方向における前記内側着色領域よりも内側に、前記光反射インク用ヘッドから吐出する前記光反射性のインクを用いて、光反射性の領域を形成し、
前記表面側着色領域について、造形しようとする前記造形物が示す対象物において前記
対象物の表面の一部に現れる物を表現するように着色を行い、
前記内側着色領域について、前記表面の一部に現れる物を除いた状態の前記対象物を表現するように着色を行う
ことを特徴とする着色成果物の製造方法。
【請求項3】
インクを用いて着色がされる成果物である着色成果物を製造する着色成果物の製造方法であって、
互いに異なる有色のインクをそれぞれが吐出する複数のインクジェットヘッドである複数の有色インク用ヘッドと、
無色のインクを吐出するインクジェットヘッドである無色インク用ヘッドと
を用い、
前記着色成果物の表面の法線方向における厚さがそれぞれ所定の厚さになるように複数の着色される領域を前記法線方向において重ねて形成し、
前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記着色成果物の表面に最も近い位置にある領域である表面側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクを用いて形成し、
前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記表面側着色領域よりも前記着色成果物の表面から遠い位置にある領域である内側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクと、前記無色インク用ヘッドから吐出する前記無色のインクとを用いて形成し、
前記着色成果物は、前記複数の着色される領域の内側に空洞が形成される立体的な造形物であり、
前記複数の着色される領域は、前記空洞内に設置される光源が発生する光を前記造形物の外側へ透過する
ことを特徴とする着色成果物の製造方法。
【請求項4】
前記内側着色領域について、
複数の前記有色インク用ヘッドから吐出する複数色の前記有色のインクと、前記無色インク用ヘッドから吐出する前記無色のインクとを用いて形成し、かつ、少なくともいずれかの複数の位置に対し、位置によって前記複数色の有色のインクのそれぞれを使用する量を異ならせることで、位置によって異なる色での着色を行い、
前記無色のインクにより、前記内側着色領域の各位置における前記有色のインクの使用量の違いを補填することを特徴とする請求項
1から3のいずれかに記載の着色成果物の製造方法。
【請求項5】
前記表面側着色領域についても、前記無色インク用ヘッドから吐出する前記無色のインクを更に用いて形成することを特徴とする請求項
1から4のいずれかに記載の着色成果物の製造方法。
【請求項6】
前記無色のインクは、クリアインクであり、
前記法線方向における前記内側着色領域と前記表面側着色領域との間に、前記クリアインクで形成される領域であるクリア領域を更に形成することを特徴とする請求項1から
5のいずれかに記載の着色成果物の製造方法。
【請求項7】
複数の前記内側着色領域を前記法線方向において重ねて形成し、
それぞれの前記内側着色領域について、互いに異なる状態での着色を行うことを特徴とする請求項
1から6のいずれかに記載の着色成果物の製造方法。
【請求項8】
インクを用いて着色がされる成果物である着色成果物を製造するインク吐出装置であって、
互いに異なる有色のインクをそれぞれが吐出する複数のインクジェットヘッドである複数の有色インク用ヘッドと、
無色のインクを吐出するインクジェットヘッドである無色インク用ヘッドと、
光反射性のインクを吐出するインクジェットヘッドである光反射インク用ヘッドと、
前記複数の有色インク用ヘッド
、前記無色インク用ヘッド
、及び前記光反射インク用ヘッドの動作を制御する制御部と
を備え、
前記着色成果物は、立体的な造形物であり、
前記制御部は、
前記複数の有色インク用ヘッド及び前記無色インク用ヘッドに、
前記着色成果物の表面の法線方向における厚さがそれぞれ所定の厚さになるように複数の着色される領域を前記法線方向において重ねて形成させ、
前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記着色成果物の表面に最も近い位置にある領域である表面側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクを用いて形成させ、
前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記表面側着色領域よりも前記着色成果物の表面から遠い位置にある領域である内側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクと、前記無色インク用ヘッドから吐出する前記無色のインクとを用いて形成させ
、
前記光反射インク用ヘッドに、前記法線方向における前記内側着色領域よりも内側に、前記光反射性のインクを用いて、光反射性の領域を形成させ、
前記複数の有色インク用ヘッド及び前記無色インク用ヘッドに、
前記内側着色領域について、造形しようとする前記造形物が示す対象物の内部の色に合わせた色での着色を行わせ、
前記表面側着色領域について、前記対象物において前記対象物の内部よりも外側の部分の色に合わせた色での着色を行わせることを特徴とするインク吐出装置。
【請求項9】
インクを用いて着色がされる成果物である着色成果物を製造するインク吐出装置であって、
互いに異なる有色のインクをそれぞれが吐出する複数のインクジェットヘッドである複数の有色インク用ヘッドと、
無色のインクを吐出するインクジェットヘッドである無色インク用ヘッドと、
光反射性のインクを吐出するインクジェットヘッドである光反射インク用ヘッドと、
前記複数の有色インク用ヘッド、前記無色インク用ヘッド、及び前記光反射インク用ヘッドの動作を制御する制御部と
を備え、
前記着色成果物は、立体的な造形物であり、
前記制御部は、
前記複数の有色インク用ヘッド及び前記無色インク用ヘッドに、
前記着色成果物の表面の法線方向における厚さがそれぞれ所定の厚さになるように複数の着色される領域を前記法線方向において重ねて形成させ、
前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記着色成果物の表面に最も近い位置にある領域である表面側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクを用いて形成させ、
前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記表面側着色領域よりも前記着色成果物の表面から遠い位置にある領域である内側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクと、前記無色インク用ヘッドから吐出する前記無色のインクとを用いて形成させ、
前記光反射インク用ヘッドに、前記法線方向における前記内側着色領域よりも内側に、前記光反射性のインクを用いて、光反射性の領域を形成させ、
前記複数の有色インク用ヘッド及び前記無色インク用ヘッドに、
前記表面側着色領域について、造形しようとする前記造形物が示す対象物において前記
対象物の表面の一部に現れる物を表現するように着色を行わせ、
前記内側着色領域について、前記表面の一部に現れる物を除いた状態の前記対象物を表現するように着色を行わせることを特徴とするインク吐出装置。
【請求項10】
インクを用いて着色がされる成果物である着色成果物を製造するインク吐出装置であって、
互いに異なる有色のインクをそれぞれが吐出する複数のインクジェットヘッドである複数の有色インク用ヘッドと、
無色のインクを吐出するインクジェットヘッドである無色インク用ヘッドと、
前記複数の有色インク用ヘッド及び前記無色インク用ヘッドの動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記複数の有色インク用ヘッド及び前記無色インク用ヘッドに、
前記着色成果物の表面の法線方向における厚さがそれぞれ所定の厚さになるように複数の着色される領域を前記法線方向において重ねて形成させ、
前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記着色成果物の表面に最も近い位置にある領域である表面側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクを用いて形成させ、
前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記表面側着色領域よりも前記着色成果物の表面から遠い位置にある領域である内側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクと、前記無色インク用ヘッドから吐出する前記無色のインクとを用いて形成させ、
前記着色成果物は、前記複数の着色される領域の内側に空洞が形成される立体的な造形物であり、
前記複数の着色される領域は、前記空洞内に設置される光源が発生する光を前記造形物の外側へ透過することを特徴とするインク吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色成果物の製造方法及びインク吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットヘッドを用いて造形物を造形する造形装置(3Dプリンタ)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような造形装置においては、例えば、インクジェットヘッドにより形成するインクの層を複数層重ねることにより、積層造形法で造形物を造形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
造形装置において、着色された造形物を造形する場合、例えば、造形物の内部に光反射性の領域を形成して、その周囲に着色領域を形成することが考えられる。この場合、例えば、着色用の有色のインクを用いて造形物の表面に画像を描くように着色領域を形成することで、着色された造形物を造形することができる。また、近年、造形装置の用途の広まり等により、より高い品質での着色がされた造形物を造形することが望まれている。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる着色成果物の製造方法及びインク吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の発明者は、より高い品質での着色がされた造形物を造形する方法について、鋭意研究を行った。そして、着色用の有色のインクを用いて形成する領域について、造形物の表面の法線方向に複数の領域を重ねることを考えた。このように構成した場合、例えば、それぞれの領域を個別に着色することで、多様な意匠を表現して、高い品質での着色を行うことができる。また、このように複数の領域を重ねる場合に関し、本願の発明者は、更に、少なくとも法線方向において内側になる領域(内側着色領域)の形成時において、有色のインクのみではなく、例えばクリアインク等の無色のインクを更に用いることが好ましいことを見出した。このように構成すれば、例えば、内側着色領域について、所望の厚さ(所定の厚さ)での形成をより高い精度で行うことができる。また、この場合、より高い精度で厚さが調整された内側着色領域の外側に他の領域を重ねることで、造形物の造形をより高い精度で適切に行うことができる。
【0006】
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような着色の仕方について、造形物を造形する場合に限らず、例えば、媒体(メディア)に対して画像を印刷する場合等にも適用が可能であることを見出した。そして、上記のような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、インクを用いて着色がされる成果物である着色成果物を製造する着色成果物の製造方法であって、互いに異なる有色のインクをそれぞれが吐出する複数のインクジェットヘッドである複数の有色インク用ヘッドと、無色のインクを吐出するインクジェットヘッドである無色インク用ヘッドとを用い、前記着色成果物の表面の法線方向における厚さがそれぞれ所定の厚さになるように複数の着色される領域を前記法線方向において重ねて形成し、前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記着色成果物の表面に最も近い位置にある領域である表面側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクを用いて形成し、前記複数の着色される領域のうち、前記法線方向において前記表面側着色領域よりも前記着色成果物の表面から遠い位置にある領域である内側着色領域について、少なくとも、いずれかの前記有色インク用ヘッドから吐出する前記有色のインクと、前記無色インク用ヘッドから吐出する前記無色のインクとを用いて形成することを特徴とする。
【0008】
このように構成した場合、有色のインクを用いて形成される内側着色領域及び表面側着色領域を重ねることで、例えば、意匠性の高い着色を行うことが可能になる。また、これにより、例えば、高い品質での着色がされた着色成果物を適切に製造することができる。また、この場合において、有色のインクに加えて無色のインクを更に用いて内側着色領域を形成することで、例えば、内側着色領域について、所定の厚さでの形成をより適切に行うことができる。また、これにより、例えば、複数の領域を高い精度で適切に重ねて形成することができる。そのため、このように構成すれば、例えば、高い品質での着色がされた着色成果物を高い精度で適切に製造することができる。
【0009】
ここで、無色のインクについて、無色であることについては、例えば、意図的に着色を行っていないこと等と考えることができる。また、意図的に着色を行っていないことについては、例えば、着色用の顔料や染料等の色材を意図的に添加していないこと等と考えることができる。また、着色成果物の表面の法線方向において重なる複数の領域に関し、それぞれの層の厚さ(所定の厚さ)は、層毎に異なっていてもよい。
【0010】
また、着色成果物において、有色のインクを用いて着色がされる複数の領域については、例えば、より多くの領域を法線方向において重ねてもよい。この場合、着色成果物の製造時において、例えば、複数の内側着色領域と、表面側着色領域とを、法線方向において重ねて形成する。また、この場合、例えば、それぞれの内側着色領域について、互いに異なる状態での着色を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、より多くの着色される領域を用いることで、より多様で高い品質の着色を行うことができる。また、この場合、複数の内側着色領域について、互いに異なる状態での着色を行うとは、例えば、それぞれの内側着色領域が異なる画像を示すように着色を行うことや、互いに異なる色での着色を行うこと等である。また、複数の内側着色領域について互いに異なる状態での着色を行うことについては、それぞれの内側着色領域に対して独立に着色を行うこと等と考えることもできる。
【0011】
また、この構成において、内側着色領域については、例えば、複数の有色インク用ヘッドから吐出する複数色の有色のインクと、無色インク用ヘッドから吐出する無色のインクとを用いて形成することが考えられる。また、この場合、内側着色領域について、例えば、少なくともいずれかの複数の位置に対し、位置によって複数色の有色のインクのそれぞれを使用する量を異ならせることで、位置によって異なる色での着色を行うことが考えられる。そして、この場合、無色のインクにより、例えば、内側着色領域の各位置における有色のインクの使用量の違いを補填することが考えられる。このように構成すれば、例えば、法線方向における内側着色領域の厚さについて、所定の厚さに高い精度で適切に合わせることができる。
【0012】
尚、有色のインクの使用量の違いを補填することについては、例えば、有色のインクの使用量と無色のインクの使用量との単位体積あたりの合計のインクの量について、所定の基準の量に近づけること等と考えることができる。また、この場合、例えば、無色のインクを多めに吐出して、余分な量を除去することで、合計のインクの量を基準の量に合わせてもよい。また、インクの除去については、例えば、ローラ等の平坦化手段でインクをかき取ることで行うことが考えられる。
【0013】
また、無色のインクについては、表面側着色領域の形成時にも用いることが好ましい。この場合、表面側着色領域についても、無色インク用ヘッドから吐出する無色のインクを更に用いて形成する。このように構成すれば、例えば、表面側着色領域についても、高い精度で適切に形成することができる。また、着色成果物において、有色のインクを用いて着色がされる複数の領域については、上記のように、より多くの領域を法線方向において重ねることも考えられる。そして、この場合、これらの全ての領域について、有色のインクに加えて無色のインクを用いて形成することが考えられる。このように構成すれば、例えば、これらの複数の領域について、高い精度で適切に形成することができる。
【0014】
また、この構成において、無色のインクとしては、例えば、クリアインクを用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、内側着色領域等に着色する色への影響を抑えつつ、上記のような補填を適切に行うことができる。クリアインクについては、例えば、可視光に対して無色で透明なインク等と考えることができる。また、着色成果物に求められる品質や着色成果物の用途等によっては、無色のインクとして、例えば、クリアインク以外のインク(例えば、白色のインク)を用いること等も考えられる。
【0015】
また、法線方向において重ねる着色される領域については、必ずしも連続して重ねるのではなく、例えば、着色されていない領域を間に挟むように重ねること等も考えられる。より具体的に、例えば、法線方向における内側着色領域と表面側着色領域との間において、クリアインクで形成される領域であるクリア領域を更に形成すること等も考えられる。このように構成した場合、例えば、内側着色領域と表面側着色領域との間に距離を空けることで、より多様な意匠を表現すること等が可能になる。また、これにより、例えば、より高い品質での着色がされた着色成果物を製造することが可能になる。
【0016】
また、この構成において、着色成果物は、例えば、立体的な造形物である。この場合、着色成果物の製造時において、例えば、光反射性のインクを吐出するインクジェットヘッドである光反射インク用ヘッドを更に用いることが考えられる。また、この場合、例えば、法線方向における内側着色領域よりも内側に、光反射インク用ヘッドから吐出する光反射性のインクを用いて、光反射性の領域を更に形成する。このように構成すれば、例えば、高い品質での着色がされた立体的な造形物を適切に造形することができる。
【0017】
また、この場合、製造される着色成果物について、例えば、3次元(3D)の成果物等と考えることができる。また、着色成果物の製造を実行する装置について、例えば、立体的な造形物を造形する造形装置等と考えることができる。また、造形物については、例えば、平面的な媒体(メディア)上に形成すること等も考えられる。この場合、製造される着色成果物について、例えば、2.5次元(2.5D)の成果物等と考えることができる。
【0018】
また、着色成果物として立体的な造形物を製造する場合、例えば、複数の着色される領域の内側に空洞が形成される造形物を製造すること等も考えられる。この場合、空洞内には、例えば白色のLED等の光源を設置することが考えられる。また、この場合、複数の着色される領域について、空洞内に設置される光源が発生する光を造形物の外側へ透過するように構成することが考えられる。このように構成した場合も、例えば、高い品質での着色がされた立体的な造形物を適切に造形することができる。
【0019】
また、着色成果物として立体的な造形物を造形する場合、内側着色領域や表面側着色領域について、造形しようとする造形物が示す対象物(造形の対象物)の構造に合わせて着色を行うこと等も考えられる。より具体的に、この場合、内側着色領域について、例えば、造形の対象物の内部の色に合わせた色での着色を行うことが考えられる。また、表面側着色領域について、例えば、造形の対象物におけるより外側の部分の色に合わせた色での着色を行うことが考えられる。この場合、造形の対象物におけるより外側の部分の色については、例えば、対象物において内側着色領域に対応する部分(内側着色領域に対応する対象物の内部)よりも外側の部分の色等と考えることができる。このように構成すれば、例えば、対象物の色を高い品質で適切に表現することができる。
【0020】
また、内側着色領域及び表面側着色領域に対する着色については、例えば、造形の対象物を観察した場合の見え方に合わせて行うこと等も考えられる。この場合、表面側着色領域について、例えば、造形の対象物においてその表面の一部に現れる物を表現するように着色を行うことが考えられる。対象物において表面の一部に現れる物については、例えば、対象物の観察時に対象物の表面の一部において視認される物等と考えることができる。また、より具体的に、対象物において表面の一部に現れる物は、例えば、対象物の表面に存在する物である。また、この場合、内側着色領域については、このような表面の一部に現れる物を除いた状態の対象物を表現するように着色を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、対象物の見え方を造形物により適切に再現することができる。
【0021】
また、着色成果物としては、立体的な造形物以外の物を製造すること等も考えられる。この場合、例えば、媒体上に印刷を行うことで得られる着色成果物を製造すること等が考えられる。また、このような着色成果物については、例えば、媒体上にインクの層を形成することで作成される成果物等と考えることができる。そして、この場合、例えば、少なくともいずれかの有色インク用ヘッド及び無色インク用ヘッドを用いて媒体上にインクの層を形成することで、当該インクの層により構成される内側着色領域を形成する。そして、少なくともいずれかの有色インク用ヘッドを用いて内側着色領域上に更にインクの層を形成することで、当該インクの層により構成される表面側着色領域を形成する。このように構成した場合も、例えば、高い品質での着色がされた着色成果物を適切に製造することができる。
【0022】
また、この場合、製造される着色成果物について、例えば、2次元(2D)の成果物等と考えることができる。また、着色成果物の製造を実行する装置について、例えば、2次元の画像を印刷する印刷装置等と考えることができる。また、印刷装置により着色成果物を製造する場合においても、媒体上に製造する着色成果物として、例えば、立体的な造形物を造形すること等も考えられる。この場合、印刷装置について、印刷の動作により2.5次元(2.5D)の成果物を製造していると考えることができる。
【0023】
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有するインク吐出装置等を考えることもできる。この場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、例えば、高い品質での着色がされた着色成果物を適切に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る造形装置10の一例を示す図である。
図1(a)は、造形装置10の要部の構成の一例を示す。
図1(b)は、造形装置10におけるヘッド部12の構成の一例を示す。
【
図2】造形装置10において製造する造形物50について説明をする図である。
図2(a)は、造形物50の構成の一例を示す。
図2(b)は、造形物50における加飾領域156の構成の一例を示す。
図2(c)は、造形の対象物の例を示す。
【
図3】加飾領域156の構成の変形例について説明をする図である。
図3(a)は、本変形例における加飾領域156の構成の一例を示す。
図3(b)は、本変形例におけるカラー領域202及びカラー領域204の色の一例を示す。
【
図4】造形物50の更なる変形例について説明をする図である。
図4(a)、(b)は、造形物50の更なる変形例の構成の一例を示す。
【
図5】着色成果物の変形例の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る造形装置10の一例を示す。
図1(a)は、造形装置10の要部の構成の一例を示す。
図1(b)は、造形装置10におけるヘッド部12の構成の一例を示す。また、以下に説明をする点を除き、造形装置10は、公知の造形装置と同一又は同様の特徴を有してよい。より具体的に、以下に説明をする点を除き、造形装置10は、インクジェットヘッドを用いて造形物50の材料となる液滴を吐出することで造形を行う公知の造形装置と同一又は同様の特徴を有してよい。また、造形装置10は、図示した構成以外にも、例えば、造形物50の造形等に必要な各種構成を更に備えてよい。
【0027】
本例において、造形装置10は、インク吐出装置の一例であり、積層造形法により立体的な造形物50を造形する。積層造形法とは、例えば、複数の層を重ねて造形物50を造形する方法のことである。造形物50とは、例えば、立体的な三次元構造物のことである。また、以降の説明等から理解できるように、造形装置10については、例えば、インクジェット方式での造形を行う3Dプリンタ等と考えることもできる。また、本例において、造形物50は、インクを用いて着色がされる成果物である着色成果物の一例である。この場合、造形装置10について、例えば、着色成果物を製造する装置等と考えることができる。また、造形装置10の動作について、例えば、着色成果物の製造方法を実行していると考えることができる。
【0028】
また、本例において、造形装置10は、ヘッド部12、造形台14、走査駆動部16、及び制御部20を備える。ヘッド部12は、造形物50の材料を吐出する部分である。本例において、造形物50の材料としては、インクを用いる。この場合、インクについては、例えば、機能性の液体等と考えることができる。また、本例において、インクについては、例えば、インクジェットヘッドから吐出する液体等と考えることもできる。この場合、インクジェットヘッドについて、例えば、インクジェット方式でインクの液滴を吐出する吐出ヘッド等と考えることができる。
【0029】
また、より具体的に、ヘッド部12は、造形物50の材料として、複数のインクジェットヘッドから、所定の条件に応じて硬化するインクを吐出する。そして、着弾後のインクを硬化させることにより、造形物50を構成する各層を重ねて形成する。また、本例では、インクとして、紫外線の照射により液体状態から硬化する紫外線硬化型インク(UVインク)を用いる。また、ヘッド部12は、造形物50の材料に加え、サポート層52の材料を更に吐出する。これにより、ヘッド部12は、造形物50の周囲等に、必要に応じて、サポート層52を形成する。サポート層52とは、例えば、造形中の造形物50の少なくとも一部を支持する積層構造物のことである。サポート層52については、例えば、オーバーハング形状を有する造形物50を造形する場合等にオーバーハング形状の部分の下に形成される積層構造物等と考えることもできる。サポート層52は、造形物50の造形時において、必要に応じて形成され、造形の完了後に除去される。また、ヘッド部12のより具体的な構成については、後に詳しく説明をする。
【0030】
造形台14は、造形中の造形物50を支持する台状部材であり、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドと対向する位置に配設され、造形中の造形物50及びサポート層52を上面に載置する。また、本例において、造形台14は、少なくとも上面が積層方向(図中のZ方向)へ移動可能な構成を有しており、走査駆動部16に駆動されることにより、造形物50の造形の進行に合わせて、少なくとも上面を移動させる。この場合、積層方向については、例えば、積層造形法において造形の材料が積層される方向等と考えることができる。また、本例において、積層方向は、造形装置10において予め設定される主走査方向(図中のY方向)及び副走査方向(図中のX方向)と直交する方向である。
【0031】
走査駆動部16は、造形中の造形物50に対して相対的に移動する走査動作をヘッド部12に行わせる駆動部である。この場合、造形中の造形物50に対して相対的に移動するとは、例えば、造形台14に対して相対的に移動することである。また、ヘッド部12に走査動作を行わせるとは、例えば、ヘッド部12が有するインクジェットヘッドに走査動作を行わせることである。また、本例において、走査駆動部16は、走査動作として、主走査動作(Y走査)、副走査動作(X走査)、及び積層方向走査動作(Z走査)をヘッド部12に行わせる。
【0032】
主走査動作とは、例えば、造形中の造形物50に対して相対的に主走査方向へ移動しつつインクを吐出する動作のことである。本例において、走査駆動部16は、主走査方向における造形台14の位置を固定して、ヘッド部12の側を移動させることにより、ヘッド部12に主走査動作を行わせる。造形装置10の構成の変形例においては、例えば、主走査方向におけるヘッド部12の位置を固定して、例えば造形台14を移動させることにより、造形物50の側を移動させてもよい。また、後により詳しく説明をするように、本例において、ヘッド部12は、紫外線光源を更に有する。そして、主走査動作時において、走査駆動部16は、ヘッド部12における紫外線光源の駆動を更に行う。より具体的に、走査駆動部16は、例えば、主走査動作時に紫外線光源を点灯させることにより、造形物50の被造形面に着弾したインクを硬化させる。造形物50の被造形面とは、例えば、ヘッド部12により次のインクの層が形成される面のことである。
【0033】
副走査動作とは、例えば、主走査方向と直交する副走査方向へ造形中の造形物50に対して相対的に移動する動作のことである。また、より具体的に、副走査動作は、例えば、予め設定された送り量だけ副走査方向へ造形台14に対して相対的に移動する動作である。本例において、走査駆動部16は、主走査動作の合間に、ヘッド部12に副走査動作を行わせる。この場合、走査駆動部16は、例えば、副走査方向におけるヘッド部12の位置を固定して、造形台14を移動させることにより、ヘッド部12に副走査動作を行わせる。また、走査駆動部16は、副走査方向における造形台14の位置を固定して、ヘッド部12を移動させることにより、ヘッド部12に副走査動作を行わせてもよい。
【0034】
積層方向走査動作とは、例えば、積層方向へヘッド部12又は造形台14の少なくとも一方を移動させることで造形中の造形物50に対して相対的に積層方向へヘッド部12を移動させる動作のことである。この場合、積層方向へヘッド部12を移動させるとは、例えば、ヘッド部12における少なくともインクジェットヘッドを積層方向へ移動させることである。また、積層方向へ造形台14を移動させるとは、例えば、造形台14における少なくとも上面の位置を移動させることである。走査駆動部16は、例えば、造形の動作の進行に合わせてヘッド部12に積層方向走査動作を行わせることにより、積層方向において、造形中の造形物50に対するインクジェットヘッドの相対位置を調整する。また、より具体的に、本例の積層方向走査動作において、走査駆動部16は、積層方向におけるヘッド部12の位置を固定して、造形台14を移動させる。走査駆動部16は、積層方向における造形台14の位置を固定して、ヘッド部12を移動させてもよい。
【0035】
制御部20は、例えば造形装置10のCPUを含む構成であり、造形装置10の各部を制御することにより、造形装置10における造形の動作を制御する。より具体的に、制御部20は、例えば造形すべき造形物50の形状情報や、カラー情報等に基づき、造形装置10の各部を制御する。本例によれば、造形物50を適切に造形できる。造形装置10において製造する造形物50の構成については、後に更に詳しく説明をする。
【0036】
続いて、ヘッド部12のより具体的な構成について、説明をする。本例において、ヘッド部12は、複数のインクジェットヘッド、複数の紫外線光源104、及び平坦化ローラ106を有する。また、複数のインクジェットヘッドとして、
図1(b)に示すように、インクジェットヘッド102s、インクジェットヘッド102w、インクジェットヘッド102y、インクジェットヘッド102m、インクジェットヘッド102c、インクジェットヘッド102k、及びインクジェットヘッド102tを有する。これらの複数のインクジェットヘッドは、例えば、副走査方向における位置を揃えて、主走査方向へ並べて配設される。また、それぞれのインクジェットヘッドは、造形台14と対向する面に、所定のノズル列方向へ複数のノズルが並ぶノズル列を有する。また、本例において、ノズル列方向は、副走査方向と平行な方向である。
【0037】
また、これらのインクジェットヘッドのうち、インクジェットヘッド102sは、サポート層52の材料(サポート材)を吐出する。サポート層52の材料としては、例えば、サポート層用の公知の材料を好適に用いることができる。また、本例において、サポート層52の材料としては、造形物50の材料よりも紫外線による硬化度が弱い紫外線硬化型インクを用いる。また、インクジェットヘッド102wは、光反射インク用ヘッドの一例であり、光反射性のインクの一例である白色(W色)のインクを吐出する。
【0038】
インクジェットヘッド102y、インクジェットヘッド102m、インクジェットヘッド102c、インクジェットヘッド102k(以下、インクジェットヘッド102y~kという)は、複数の有色インク用ヘッドの一例である。インクジェットヘッド102y~kのそれぞれは、互いに異なる有色のインクを吐出する。また、本例において、インクジェットヘッド102y~kは、着色された造形物50の造形時に用いられる着色用のインクジェットヘッドであり、着色に用いる複数色のカラーインク(着色用のインク)のそれぞれの色のインクを吐出する。より具体的に、インクジェットヘッド102yは、イエロー色(Y色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド102mは、マゼンタ色(M色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド102cは、シアン色(C色)のインクを吐出する。インクジェットヘッド102kは、ブラック色(K色)のインクを吐出する。また、この場合、YMCKの各色は、フルカラー表現に用いるプロセスカラーの一例である。
【0039】
インクジェットヘッド102tは、無色のインクを吐出する無色インク用ヘッドの一例であり、無色のインクの一例であるクリアインクを吐出する。この場合、無色のインクについては、例えば、意図的に着色を行っていないインクと等と考えることができる。また、意図的に着色を行っていないことについては、例えば、着色用の顔料や染料等の色材(例えば、有彩色の色材等)を意図的に添加していないこと等と考えることができる。クリアインクについては、例えば、可視光に対して無色で透明なインク等と考えることもできる。
【0040】
複数の紫外線光源104は、インクを硬化させるための光源(UV光源)であり、紫外線硬化型インクを硬化させる紫外線を発生する。また、本例において、複数の紫外線光源104のそれぞれは、間にインクジェットヘッドの並びを挟むように、ヘッド部12における主走査方向の一端側及び他端側のそれぞれに配設される。紫外線光源104としては、例えば、UVLED(紫外LED)等を好適に用いることができる。また、紫外線光源104として、メタルハライドランプや水銀ランプ等を用いることも考えられる。
【0041】
平坦化ローラ106は、造形物50の造形中に形成されるインクの層を平坦化するための平坦化手段である。平坦化ローラ106は、例えば主走査動作時において、インクの層の表面と接触して、硬化前のインクの一部を除去することにより、インクの層を平坦化する。この場合、平坦化ローラ106については、例えば、インクをかき取ることでインクの層を平坦化していると考えることができる。
【0042】
以上のような構成のヘッド部12を用いることにより、造形物50を構成するインクの層を適切に形成できる。また、複数のインクの層を重ねて形成することにより、造形物50を適切に造形できる。
【0043】
尚、ヘッド部12の具体的な構成については、上記において説明をした構成に限らず、様々に変形することもできる。例えば、ヘッド部12は、着色用のインクジェットヘッドとして、YMCK以外の色用のインクジェットヘッドを更に有してもよい。また、ヘッド部12における複数のインクジェットヘッドの並べ方についても、様々に変形可能である。例えば、一部のインクジェットヘッドについて、他のインクジェットヘッドと副走査方向における位置をずらしてもよい。
【0044】
続いて、造形装置10において製造する造形物50の構成等について、更に詳しく説明をする。
図2は、本例の造形装置10において製造する造形物50について説明をする図である。
図2(a)は、造形物50の構成の一例を示す図であり、楕円球状(例えば、ラグビーボールの様な形状)の造形物50について、断面の構成の一例を示す。
図2(b)は、造形物50における加飾領域156の構成の一例を示す断面図である。
【0045】
本例において、造形装置10は、バルク領域152、光反射領域154、及び加飾領域156を備える造形物50を製造(造形)する。この場合、造形装置10は、これらのそれぞれの領域の一部を必要に応じて含むインクの層を積層方向へ重ねて形成することで、これらの領域を備える造形物を製造する。
【0046】
また、これらの領域のうち、バルク領域152は、造形物50の内部を構成することで造形物50の形状を形作る領域(内部領域)であり、光反射領域154及び加飾領域156により周囲が囲まれるようにして、造形物50の内部に形成される。この場合、バルク領域152については、例えば、任意の色で形成することが考えられる。より具体的に、本例において、造形装置10は、例えば、ヘッド部12におけるインクジェットヘッド102s(
図1参照)以外の任意のインクジェットヘッドから吐出するインクにより、バルク領域152を形成する。
【0047】
尚、造形物50の構成の変形例においては、バルク領域152に対応する部分を空洞にすること等も考えられる。この場合、造形物50について、例えば、光反射領域154及び加飾領域156により構成されていると考えることができる。また、この場合、造形物50の機械的な強度については、光反射領域154で維持することが考えられる。そのため、この場合、光反射領域154について、強度的に十分な厚さ(例えば1mm以上の厚さ)で形成することが好ましい。
【0048】
光反射領域154は、バルク領域152の周囲に形成される光反射性の領域である。本例において、光反射領域154は、バルク領域152の周囲を囲み、かつ、加飾領域156により周囲が囲まれるように、バルク領域152と光反射領域154との間に形成される。また、これにより、光反射領域154は、加飾領域156を介して造形物50の外部から入射する光を反射する。このように構成すれば、例えば、加飾領域156の背景として光反射領域154を適切に機能させることができる。また、この場合、光反射領域154について、例えば、加飾領域156の背景として機能する領域等と考えることもできる。
【0049】
また、本例において、造形装置10は、インクジェットヘッド102w(
図1参照)から吐出する白色のインクを用いて、光反射領域154を形成する。この場合、例えば、白色のインクのみで光反射領域154を形成することが考えられる。また、造形物50に求められる品質等によっては、例えば、白色のインクに加えてクリアインクを更に用いて光反射領域154を形成すること等も考えられる。また、造形装置10は、例えば、造形物50の表面における法線方向の厚さが50~300μm程度になるように、光反射領域154を形成する。法線方向における光反射領域154の厚さは、好ましくは、150~300μm程度である。
【0050】
加飾領域156は、造形物50の表面において加飾がされる領域である。この場合、造形物50の表面については、例えば、造形物50の外部から色彩を視認できる部分等と考えることができる。また、本例において、加飾領域156は、光反射領域154の周囲を囲むように、造形物50の表面に形成される。より具体的に、本例において、造形装置10は、インクジェットヘッド102y~k(
図1参照)から吐出する各色のカラーインクと、インクジェットヘッド102t(
図1参照)から吐出するクリアインクとを用いて、加飾領域156を形成する。また、これにより、造形装置10は、例えば、フルカラー表現での着色がされた加飾領域156を形成する。この場合、フルカラー表現については、例えば、プロセスカラーのインクによる減法混色法の可能な組み合わせで行う色の表現等と考えることができる。また、加飾領域156に着色すべき色によっては、例えば、インクジェットヘッド102wから吐出する白色のインクを更に用いて加飾領域156を形成してもよい。この場合、白色のインクについて、プロセスカラー以外の特色のインクとして用いることが考えられる。
【0051】
また、本例において、造形装置10は、例えば
図2(b)に示すように、複数の領域により構成される加飾領域156を形成する。また、この場合、造形装置10は、例えば、造形物50の表面における法線方向の厚さが80~300μm程度になるように、加飾領域156を形成する。法線方向における加飾領域156の厚さについては、例えば、加飾領域156を構成する複数の領域の合計の厚さ等と考えることができる。また、より具体的に、
図2(b)においては、加飾領域156の一部について、加飾領域156を構成する複数の領域の例を光反射領域154の一部と共に図示している。また、この場合において、図示の便宜上、造形物50の表面における法線方向を一定にして、光反射領域154及び加飾領域156について、光反射領域154及び加飾領域156の断面の構成の一例を示している。
【0052】
また、
図2(b)に図示した場合において、加飾領域156は、カラー領域202、カラー領域204、及び複数のクリア領域212を有する。この場合、造形装置10は、これらの領域について、造形物50の表面の法線方向において重なるように形成する。また、カラー領域202及びカラー領域204は、有色のカラーインクを用いて着色した状態で形成される領域である。この場合、加飾領域156の構成について、例えば、多重のカラー領域が形成された構成等と考えることができる。
【0053】
また、複数のクリア領域212は、クリアインクで形成される透明な領域である。クリア領域212に関し、透明な領域であることについては、例えば、可視光に対して実質的に透明な領域であること等と考えることができる。また、複数のクリア領域212については、例えば、着色がされていない無色透明な領域等と考えることもできる。また、本例において、加飾領域156については、例えば、それぞれが着色された複数の領域(カラー領域202及びカラー領域204)が造形物50の表面の法線方向において重なっている領域等と考えることができる。また、加飾領域156について、例えば、着色された複数の領域が間に透明な領域(クリア領域212)を挟んで重なっていると考えることもできる。
【0054】
また、本例において、造形装置10は、カラー領域202及びカラー領域204に対し、互いに異なる状態での着色を行う。この場合、互いに異なる状態での着色を行うとは、例えば、互いに異なる画像を示すように着色を行うことや、互いに異なる色での着色を行うこと等である。また、互いに異なる状態での着色を行うことについては、例えば、互いに独立に着色を行うこと等と考えることもできる。このように構成した場合、互いに異なる状態で着色がされた複数のカラー領域を重ねることで、例えば、意匠性の高い着色を行うことが可能になる。また、複数のカラー領域を重ねることで、例えば、奥行き感のある画像を表現すること等も可能になる。また、上記のように、本例において、法線方向におけるカラー領域202とカラー領域204との間には、クリア領域212が形成されている。このように構成した場合、互いに異なる状態での着色がされた複数のカラー領域の間に距離を空けることで、例えば、より多様な意匠を表現すること等が可能になる。また、カラー領域202とカラー領域204との間にクリア領域212を形成することで、例えば、画像の奥行き感を高めること等も可能になる。そのため、本例によれば、例えば、高い品質での着色がされた造形物50をより適切に製造することができる。
【0055】
ここで、上記の説明等から理解できるように、本例において用いるYMCKの各色のインクは、減法混色でのカラー表現を行うためのインクである。そして、この場合、各色のインクとして、インクの色等に応じてある程度の光を透過するインクを用いる。また、この場合、複数のカラー領域における色の濃さについて、加飾領域156の全体でもある程度の光を透過するように設定を行うことが考えられる。また、より具体的に、加飾領域156の全体での光の透過量については、例えば、光反射領域154が背景として機能することで減法混色法での色の表現が可能な範囲に調整することが考えられる。
【0056】
また、上記においても説明をしたように、本例において、造形装置10は、積層造形法により造形物50の造形を行う。そして、この場合、造形物50の構成について、複数のインクの層が重なっていると考えることができる。また、上記のように、本例において、加飾領域156は、造形物50の表面の法線方向において重なる複数の領域を有する。この点に関し、一見すると、積層方向においてインクの層が重なることと、加飾領域156において複数の領域が重なることについて、紛らわしいようにも思われる。しかし、造形物50において、表面の法線方向は、造形物50の位置によって変化する方向である。そのため、加飾領域156において複数の領域が重なることについては、積層方向においてインクの層が重なることとは異なる意味で領域が重なっていると考えることができる。また、この場合、加飾領域156を構成する各領域については、積層造形法で積層するインクの層ではなく、異なる意図で形成される層状の領域等と考えることができる。また、この場合、各領域の厚さの設定の仕方等によっては、造形物50の一部において、加飾領域156を構成する各領域と、積層造形法で積層するインクの層とが同じになること等も考えられる。
【0057】
また、本例において、カラー領域204は、表面側着色領域の一例である。また、カラー領域202は、内側着色領域の一例である。この場合、表面側着色領域については、例えば、造形物50の加飾領域156において着色がされる複数の領域のうち、法線方向において造形物50の表面に最も近い位置にある領域等と考えることができる。また、内側着色領域については、例えば、造形物50の加飾領域156において着色がされる複数の領域のうち、法線方向において表面側着色領域よりも造形物50の表面から遠い位置にある領域等と考えることができる。また、この場合、造形物50の光反射領域154については、例えば、内側領域であるカラー領域202よりも内側に形成されていると考えることができる。
【0058】
また、本例において、造形装置10は、加飾領域156を構成する各領域について、造形物50の表面の法線方向における厚さがそれぞれ所定の厚さになるように形成する。この場合、各領域に関し、所定の厚さになることについては、例えば、造形物50の外面の形状に沿って所定の一定の厚さで形成されること等と考えることができる。また、各領域に関し、所定の厚さになることについては、例えば、設計上の厚さが所定の厚さになること等と考えることもできる。設計上の厚さが所定の厚さになることについては、例えば、造形装置10の仕様等によって生じる誤差やずれ等に応じて想定される許容範囲内で所定の厚さになること等と考えることができる。また、この場合、それぞれの領域について、所定の厚さになることについては、その領域の各位置の厚さとその層に対する設計上の厚さとの差が許容範囲内になっていること等と考えることができる。
【0059】
また、それぞれの層の厚さ(所定の厚さ)は、層毎に異なっていてもよい。例えば、カラー領域202の法線方向における厚さは、カラー領域204の法線方向における厚さと異なっていてもよい。また、加飾領域156が有する複数のクリア領域212についても、一部のクリア領域212の法線方向における厚さを他のクリア領域212の法線方向における厚さと異ならせてもよい。例えば、加飾領域156が有する複数のクリア領域212のうち、カラー領域204の外側に形成されるクリア領域212については、造形物50の表面を保護する保護層等と考えることができる。そして、この場合、保護層として形成するクリア領域212の厚さについて、他のクリア領域212の厚さと異ならせること等が考えられる。
【0060】
また、より具体的に、加飾領域156を構成する各領域のうち、カラー領域202及びカラー領域204の法線方向における厚さについては、加飾領域156により表現しようとする対象に応じて決定することが考えられる。また、一例として、カラー領域202の法線方向における厚さについては、例えば、20~100μm程度にすることが考えられる。カラー領域204の法線方向における厚さについては、例えば、20~50μm程度にすることが考えられる。また、この場合、加飾領域156において表面側に形成されるカラー領域204の厚さについて、例えば、内側のカラー領域202の厚さよりも薄くなっていると考えることができる。このように構成すれば、例えば、カラー領域202の色について、カラー領域204を介して造形物50の外部からより適切に視認することができる。また、複数のクリア領域212のうち、保護層として造形物50の表面に形成するクリア領域212の法線方向における厚さについては、例えば、30~150μm程度にすることが考えられる。保護層用のクリア領域212以外のクリア領域212の法線方向における厚さについては、例えば、30~250μm程度にすることが考えられる。また、この場合、加飾領域156におけるいずれのカラー領域よりも光反射領域154に近い位置に形成する加飾領域156については、加飾領域156におけるカラー領域と光反射領域154とを分離する分離領域と考えることもできる。また、この場合、分離領域として用いるクリア領域212については、他のクリア領域212よりも法線方向における厚さを小さくすることが考えられる。また、この場合、分離領域用のクリア領域212の法線方向における厚さについては、例えば、30~60μm程度にすることが考えられる。これらのように構成すれば、例えば、加飾領域156を構成する各領域を適切に形成することができる。
【0061】
また、本例のように、複数の領域が重なるように加飾領域156を形成する場合、各領域の厚さが位置によって変化すると、法線方向における各領域の位置に意図しない変化が生じて、造形物50の見え方に影響が生じるおそれがある。そのため、各領域については、位置毎の厚さの差が生じにくいように形成することが好ましい。そのため、本例において、造形装置10は、カラー領域202及びカラー領域204について、インクジェットヘッド102y~kから吐出するカラーインクと、インクジェットヘッド102から吐出するクリアインクとを用いて形成する。この場合、カラーインク及びクリアインクを用いてカラー領域202やカラー領域204を形成することについては、例えば、少なくともいずれかの色のカラーインクと、クリアインクとを用いてカラー領域202やカラー領域204を形成すること等と考えることができる。
【0062】
より具体的に、本例において、造形装置10は、複数色のカラーインクであるYMCKの各色のインクとクリアインクとを用いて、各位置に対して着色する色を必要に応じて変化させつつ、カラー領域202及びカラー領域204を形成する。また、この場合、例えば、YMCKの各色のカラーインクを使用する量を位置によって異ならせることで、カラー領域202及びカラー領域204の各位置に対し、位置によって異なる色での着色を行う。この場合、YMCKの各色のカラーインクを使用する量を位置によって異ならせることについては、例えば、少なくともいずれかの複数の位置に対し、YMCKの各色のカラーインクを使用する量を位置によって異ならせること等と考えることができる。また、YMCKの各色のカラーインクを使用する量を位置によって異ならせることについては、例えば、各位置に対して着色する色に合わせて、必要に応じてYMCKの各色のカラーインクを使用する量を位置によって異ならせること等と考えることもできる。また、この場合において、更に、クリアインクにより、カラー領域202及びカラー領域204の各位置におけるカラーインクの使用量の違いを補填する。このように構成すれば、例えば、法線方向におけるカラー領域202及びカラー領域204の厚さについて、それぞれの領域に対して予め設定された所定の厚さに高い精度で適切に合わせることができる。また、これにより、例えば、加飾領域156を構成する各領域について、法線方向における所定の位置に適切に形成することができる。更には、この場合、補填用のインクとしてクリアインクを用いることで、例えば、カラー領域202やカラー領域204に対して着色する色への影響を抑えつつ、上記のような補填を適切に行うことができる。
【0063】
ここで、カラー領域202やカラー領域204に関し、カラーインクの使用量の違いをクリアインクで補填することについては、例えば、カラーインクの使用量とクリアインクの使用量との合計のインクの量(単位体積あたりのインクの量)について、所定の基準の量に近づけること等と考えることができる。また、本例のように、インクの層の形成時に平坦化ローラ106(
図1参照)を用いて一部のインクを除去する場合、例えば、インクジェットヘッド102tによりクリアインクを多めに吐出しておき、余分な量を除去することで、合計のインクの量を基準の量に合わせてもよい。
【0064】
また、より具体的に、加飾領域156におけるカラー領域202やカラー領域204の形成時には、カラー濃度が濃い部分に比べて低い(明るい色の)部分について、カラーインクの量が相対的に少なくなり、結果として、カラー領域の法線方向の厚さに凹凸が生じることが考えられる。そして、このような凹凸は、例えば2次元の加飾時には大きな問題にならないものの、3次元形状の成果物である造形物50を製造する装置においては、3次元の外形形状が崩れる原因になる。これに対し、この対策として、上記のように、カラー濃度が低い部分について、凹みができないようにクリアインクを補填することが考えられる。このように構成すれば、例えば、カラー領域の法線方向の厚さについて、場所によらずに一定とすることができる。また、この場合、簡易な方法としては、例えば、クリアインクをカラー濃度に無関係に十分な量を補填しておき、余分になった量を
図1(b)に示す平坦化ローラ106で除去して平坦化させてもよい。
【0065】
以上のように、本例によれば、例えば、カラー領域202及びカラー領域204について、予め設定された所定の厚さで高い精度で適切に形成することができる。また、これにより、例えば、加飾領域156において、造形物50の表面の法線方向へ複数の領域を高い精度で適切に重ねて形成することができる。そのため、本例によれば、例えば、高い品質での着色がされた造形物50を高い精度で適切に製造することができる。
【0066】
また、上記においても説明をしたように、本例においては、カラー領域202及びカラー領域204について、カラーインクとクリアインクとを用いて形成している。この点に関し、造形物50においては、より多くのカラー領域が法線方向において重なる加飾領域156を形成すること等も考えられる。この場合、加飾領域156において最も外側(造形物50の表面側)のカラー領域について、例えば、表面側着色領域の一例と考えることができる。また、その他のカラー領域について、例えば、内側着色領域の一例と考えることができる。また、この場合、加飾領域156における全てのカラー領域について、カラーインク及びクリアインクを用いて形成することが好ましい。このように構成すれば、例えば、複数のカラー領域が重なる加飾領域156を高い精度で適切に形成することができる。
【0067】
また、造形物50に求められる品質等によっては、例えば、加飾領域156が有する複数のカラー領域の一部について、クリアインクを用いずに、カラーインクのみで形成すること等も考えられる。この場合、例えば、加飾領域156において最も外側(造形物50の表面側)のカラー領域について、カラーインクのみで形成して、その他のカラー領域について、カラーインク及びクリアインクで形成すること等が考えられる。このように構成すれば、例えば、他のカラー領域の内側に形成されるカラー領域の法線方向における厚さについて、予め設定された所定の厚さに高い精度で適切に合わせることができる。また、これにより、例えば、加飾領域156を構成する各領域について、法線方向における所定の位置に適切に形成することができる。
【0068】
続いて、本例の造形物50が示す対象物について、更に詳しく説明をする。
図2(c)は、造形物50が示す対象物(造形の対象物)の例を示す図である。この場合、造形物50が示す対象物については、例えば、造形物50で表現する物等と考えることができる。また、造形物50の造形が完了する前の時点において、造形の対象物については、例えば、造形装置10で造形しようとする造形物50が示す物等と考えることができる。
【0069】
また、上記においても説明をしたように、本例において、造形装置10は、カラー領域202及びカラー領域204に対し、互いに異なる状態での着色を行う。この場合、例えば、カラー領域202及びカラー領域204への着色の仕方を示す互いに異なる複数の画像データを用意して、それぞれの画像データに対応する画像をカラー領域202及びカラー領域204により表現することが考えられる。このように構成すれば、例えば、互い異なる画像を表現する複数のカラー領域を造形物50の表面の法線方向へ重ねて、適切に形成することができる。
【0070】
また、本例における造形物50の構成について、カラー領域202及びカラー領域204に対応する画像データとの関係で考えた場合、例えば、互いに異なる複数の画像データに対応する複数の領域の内側に光反射領域154を配置していると考えることができる。また、加飾領域156における少なくとも一部のクリア領域212について、互いに異なる複数の画像データに対応する複数の領域の間に配置していると考えることができる。また、上記において説明をしたクリアインクによる補填の動作について、例えば、互いに異なる複数の画像データに対応する複数の領域に対し、データに応じて生じるカラーインクの不足分をクリアインクで補填していると考えることができる。
【0071】
また、本例においては、加飾領域156における複数のカラー領域について、造形の対象物の構造に合わせて着色を行うこと等が考えられる。この場合、例えば、加飾領域156において表面側にあるカラー領域204について、対象物の表面を構成する部分の色に合わせて着色を行うことが考えられる。また、加飾領域156において内部側にあるカラー領域202については、例えば、対象物の内部を構成する部分の色に合わせて着色を行うことが考えられる。また、この場合、カラー領域202について、例えば、造形の対象物の内部の色に合わせた色での着色を行うと考えることもできる。また、カラー領域204については、例えば、造形の対象物におけるより外側の部分の色に合わせた色での着色を行うと考えることもできる。また、この場合、造形の対象物におけるより外側の部分の色については、例えば、対象物においてカラー領域202に対応する部分(カラー領域202に対応する対象物の内部)よりも外側の部分の色等と考えることができる。
【0072】
また、加飾領域156における複数のカラー領域については、例えば、造形の対象物を観察した場合の見え方に合わせて行うことも考えられる。この場合、加飾領域156において表面側にあるカラー領域204については、例えば、造形の対象物においてその表面の一部に現れる物を表現するように着色を行うことが考えられる。また、この場合、対象物において表面の一部に現れる物については、例えば、対象物の観察時に対象物の表面の一部において視認される物等と考えることができる。また、対象物において表面の一部に現れる物としては、例えば、対象物の表面に存在する物等を考えることができる。また、この場合、加飾領域156において内部側にあるカラー領域202については、例えば、このような表面の一部に現れる物を除いた状態の対象物を表現するように着色を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、対象物の見え方を造形物50により適切に再現することができる。
【0073】
また、上記のような着色の仕方については、例えば、
図2(c)に示すような物を造形の対象物にする場合等に好適に用いることができる。より具体的に、造形の対象物の構造に合わせて着色を行う場合の例としては、例えば、人肌を造形物50により表現すること等が考えられる。また、この場合、例えば、内側のカラー領域202において皮下構造を表現して、外側のカラー領域204において表皮の状態を表現すること等が考えられる。また、この場合、カラー領域202については、例えば、血管等を示す画像データに基づいて着色を行うこと等が考えられる。また、カラー領域204については、例えばシミ(メラニン色素)等を含めて表皮の状態を示す画像データに基づいて着色を行うこと等が考えられる。また、この場合、カラー領域202の着色に用いる画像について、例えば、血管層の画像等と考えることができる。また、カラー領域204の着色の用いる画像について、例えば、メラニン色素層の画像等と考えることができる。このようにしてカラー領域202及びカラー領域204に対する着色を行うことで、例えば、人肌の質感等を高い品質で再現する造形物50を造形することができる。
【0074】
また、造形の対象物を観察した場合の見え方に合わせて着色を行う場合の例としては、例えば、コーンスープを造形物50により表現すること等が考えられる。この場合、例えば、コーンスープの液体部分を示す画像データであるスープデータと、スープに浮かぶコーンを示す画像データであるコーンデータを用い、内側のカラー領域202においてスープを表現して、外側のカラー領域204においてコーンを表現すること等が考えられる。また、造形の対象物を観察した場合の見え方に合わせて着色を行う場合の例として、例えば、魚及び水草が入れられた水槽を造形物50により表現すること等も考えられる。この場合、例えば、内側のカラー領域202において水中の魚を表現して、外側のカラー領域204において水草が浮かぶ水面を表現すること等が考えられる。
【0075】
また、加飾領域156の構成や、加飾領域156における複数のカラー領域に対する着色の仕方については、上記において説明をした具体的な例に限らず、様々に変更を行うことも可能である。例えば、上記のように、加飾領域156における複数のカラー領域に対しては、互いに異なる状態での着色を行うことが考えられる。そして、この場合、通常、それぞれのカラー領域に対し、解像度等の条件は同じにして、着色を行うことが考えられる。しかし、加飾領域156の構成の変形例においては、加飾領域156における複数のカラー領域のそれぞれに対し、異なる条件での着色を行ってもよい。この場合、例えば、それぞれのカラー領域に対し、解像度を互いに異ならせて着色を行うこと等が考えられる。
【0076】
また、上記においては、カラー領域202及びカラー領域204の形成時に用いる無色のインクについて、主に、クリアインクを用いる場合の例について、説明をした。しかし、造形物50に求められる品質や着色成果物の用途等によっては、無色のインクとして、例えば、白色のインク等を用いること等も考えられる。より具体的に、この場合、例えば、加飾領域156における複数のカラー領域のうち、最も内側に形成されるカラー領域202において、補填用のインクとして、クリアインクに代えて、白色のインクを用いること等が考えられる。また、この場合、カラー領域202について、光反射領域154と共に減法混色法での色の表現での背景として機能させること等も考えられる。また、カラー領域202のみでも十分に背景としての機能が得られる場合等には、造形物50において、光反射領域154を省略すること等も考えられる。
【0077】
また、加飾領域156における複数のカラー領域に対する着色の仕方等についても、上記において説明をした方法に限らず、様々に変更を行うことができる。
図3は、加飾領域156の構成の変形例について説明をする図である。
図3(a)は、本変形例における加飾領域156の構成の一例を示す。
図3(b)は、本変形例におけるカラー領域202及びカラー領域204の色の一例を示す。また、以下に説明をする点を除き、
図3において、
図1、2と同じ符号を付した構成は、
図1、2における構成と、同一又は同様の特徴を有してよい。
【0078】
本変形例においても、加飾領域156は、カラー領域202、カラー領域204、及び複数のクリア領域212を有する。また、これらの領域は、例えば、
図2(b)に示す場合と同様に、造形物50(
図2参照)の表面の法線方向において重ねて形成される。また、本変形例においては、更に、カラー領域202及びカラー領域204について、複数の領域が法線方向に重なる構成を用いる。より具体的に、本変形例において、カラー領域202は、法線方向に重なる複数の薄層状領域302を有する。また、カラー領域204は、法線方向に重なる複数の薄層状領域304を有する。
【0079】
この場合、薄層状領域302は、法線方向においてカラー領域202の一部を構成する層状の領域である。また、複数の薄層状領域302は、例えば、互いに独立に色の指定がされる。この場合、カラー領域202の色について、例えば、法線方向において複数の色が重なることで表現される色になっていると考えることができる。同様に、薄層状領域304は、法線方向においてカラー領域204の一部を構成する層状の領域である。また、複数の薄層状領域304は、例えば、互いに独立に色の指定がされる。この場合、カラー領域204の色について、例えば、法線方向において複数の色が重なることで表現される色になっていると考えることができる。このように構成した場合、例えば、カラー領域202及びカラー領域204において、多様な色や質感等をより適切に表現することができる。また、これにより、例えば、より高い品質での着色がされた造形物50を適切に製造することができる。
【0080】
また、この場合、カラー領域202を構成する複数の薄層状領域302の色については、例えば、カラー領域202用の色群として予め選択された色群から選択することが考えられる。また、カラー領域204を構成する複数の薄層状領域304の色については、例えば、カラー領域204用の色群として予め選択された色群から選択することが考えられる。この場合、色群とは、複数の色を含む集合のことである。また、カラー領域202及びカラー領域204のそれぞれに対応する色群については、例えば、造形の対象物の構造等に基づいて選択をすることが考えられる。
【0081】
また、より具体的に、例えば、人肌を造形物50により表現する場合、
図3(b)に示すように、真皮及び表皮を含む皮膚の構造に合わせて、カラー領域202及びカラー領域204のそれぞれに対応する色群を選択することが考えられる。この場合、例えば、皮膚の真皮の色に対応する複数の色を含む真皮用の色群と、皮膚の表皮の色に対応する複数の色を含む表皮用の色群とを予め用意する。真皮用の色群としては、例えば、血液の色を反映した赤色系の複数の色を含む色群を用いることが考えられる。また、表皮用の色群としては、例えば、人間の皮膚の表面の色を反映した複数の色を含む色群を用いることが考えられる。また、この場合、例えば、カラー領域202用の色群として真皮用の色群を選択し、カラー領域204用の色群として表皮用の色群を選択する。そして、カラー領域202における複数の薄層状領域302のそれぞれの色について、真皮用の色群に含まれる色から選択を行う。また、カラー領域204における複数の薄層状領域304のそれぞれの色について、表皮用の色群に含まれる色から選択を行う。このように構成すれば、例えば、造形の対象物に合わせて、カラー領域202における複数の薄層状領域302やカラー領域204における複数の薄層状領域304の色を容易かつ適切に設定することができる。
【0082】
それぞれの薄層状領域302や薄層状領域304の色については、例えば、表現しようとする肌の色や質感等に応じて選択することが考えられる。この場合、例えば、カラー領域202におけるそれぞれの薄層状領域302の色やカラー領域204におけるそれぞれの薄層状領域304の色を個別に様々に変化させることで、多様な質感や色を表現することができる。また、それぞれの薄層状領域302や薄層状領域304の色については、例えば、表現しようとする色や質感を示すパラメータ等に基づき、コンピュータ等により自動的に決定すること等も考えられる。
【0083】
また、本変形例のような着色の仕方は、人肌を表現する造形物50以外においても、好適に用いることができる。例えば、人間やその他の生物の目を造形物50において表現しようとする場合等にも、好適に用いることができる。この場合、例えば、複数のカラー領域を有する加飾領域156において、一部のカラー領域により白目の質感を表現し、他の少なくとも一部のカラー領域により黒目の質感を表現すること等が考えられる。また、例えば、造形物50の位置によってそれぞれのカラー領域と対応付ける色群を変更することで、造形物50の各部について、その部分に合わせた色を用いて高い品質での着色を行うこと等も考えられる。より具体的に、例えば、人間を示す造形物50(例えば、フィギュア等)を造形する場合、肌の部分においては肌の構造に合わせた色群を用い、目に部分においては目の構造に合わせた色群を用いることが考えられる。また、この場合、唇の部分等においても、その部分に合わせた色群を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、対象物の各部の質感や色に合わせて着色がされた造形物50をより適切に造形することができる。
【0084】
ここで、本変形例においても、加飾領域156において最も表面側に形成されるカラー領域であるカラー領域204について、表面側着色領域の一例と考えることができる。また、カラー領域204よりも内側に形成されるカラー領域202について、内側着色領域の一例と考えることができる。また、本変形例の場合、カラー領域202におけるそれぞれの薄層状領域302や、カラー領域204におけるそれぞれの薄層状領域304について、個別の着色領域と考えることもできる。この場合、例えば、カラー領域204における最も表面側の薄層状領域304について、表面側着色領域の一例と考えることができる。また、例えば、カラー領域204におけるその他の薄層状領域304や、カラー領域202における複数の薄層状領域302について、内側着色領域の一例と考えることができる。
【0085】
また、造形装置10において造形する造形物50の構成については、上記において説明をした構成に限らず、更なる変形等を行うことも可能である。また、上記においても説明をしたように、造形物50は、着色成果物の一例である。そして、着色成果物として、造形物50以外の成果物を作成すること等も考えられる。
【0086】
図4は、造形物50の更なる変形例について説明をする図である。
図4(a)、(b)は、造形物50の更なる変形例の構成の一例を示す。以下に説明をする点を除き、
図4において、
図1~3と同じ符号を付した構成は、
図1~3における構成と、同一又は同様の特徴を有してよい。
【0087】
上記においては、加飾領域156における複数のカラー領域について、主に、2つのカラー領域(カラー領域202及びカラー領域204)を形成する場合の動作等について、説明をした。しかし、より高い品質での造形を行おうとする場合には、加飾領域156において、より多くのカラー領域を法線方向に重ねること等も考えられる。この場合、加飾領域156において最も表面側のカラー領域について、表面側着色領域の一例と考えることができる。また、その他の複数のカラー領域について、内側着色領域の一例と考えることができる。
【0088】
また、より具体的に、
図4(a)に示す構成の場合、加飾領域156は、カラー領域202、カラー領域204、カラー領域206、及び複数のクリア領域212を有する。また、カラー領域202、カラー領域204、及びカラー領域206は、カラー領域202が最も光反射領域154側になり、カラー領域206が最も表面側になるように、間にクリア領域212を挟みつつ、造形物50の表面の法線方向において重なっている。この場合、カラー領域206について、表面側着色領域の一例と考えることができる。また、カラー領域202及びカラー領域204について、内側着色領域の一例と考えることができる。また、この場合、カラー領域202、カラー領域204、及びカラー領域206に対し、互いに異なる状態での着色を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、より多くのカラー領域を用いることで、より多様で高い品質の着色を行うことができる。
【0089】
尚、加飾領域156におけるカラー領域の数については、更に多くすること等も考えられる。また、
図2~4においては、加飾領域156の構成の例として、複数のカラー領域の間にクリア領域212を形成する場合の構成を図示している。この場合、複数のカラー領域について、着色されていない領域を間に挟むように重なっていると考えることができる。また、加飾領域156の構成の更なる変形例においては、複数のカラー領域の間にクリア領域212を形成しないことも考えられる。この場合、複数のカラー領域について、例えば、連続して重なっていると考えることができる。
【0090】
また、上記においても説明をしたように、造形物50の構成の変形例においては、造形物50におけるバルク領域152に対応する部分を空洞にすること等も考えられる。この場合、造形物50において、例えば
図4(b)に示す変形例のように、複数のカラー領域を有する加飾領域156の内側に空洞164を形成することが考えられる。また、この場合、例えば
図4(b)に示すように、空洞164の内部に光源402を配置すること等も考えられる。また、より具体的に、本変形例の造形物50においては、例えば
図2(a)に示す構成の造形物50におけるバルク領域152に対応する部分が空洞164になっており、かつ、
図2(b)に示す構成の造形物50における光反射領域154に代えて透過領域162を備えている。この場合、透過領域162は、造形物50の内部に配置される光源402が発生する光を加飾領域156へ向けて透過する透光性の領域である。透過領域162としては、例えば、少なくともクリアインクと白色のインクの何れか、若しくはこれらの混合を用いて、光源402からの光を透過或いは拡散しながら透過させる領域を形成することが考えられる。また、この場合、加飾領域156における複数のカラー領域について、空洞164内に設置される光源402が発生する光を造形物50の外側へ透過するように構成することが考えられる。また、光源402としては、例えば、白色のLED等を好適に用いることができる。
【0091】
このように構成した場合、空洞164内で光源402が発生する光が透過領域162及び光反射領域154を透過することで、例えば加飾領域156に描かれている画像(加飾画像)について、造形物50の外側から目視することができる。また、これにより、例えば、暗い室内や夜間の屋外等においても、加飾領域156において表現されている意匠を適切に視認することができる。また、この場合も、例えば、複数のカラー領域を有する加飾領域156を形成することで、意匠性の高い着色を適切に行うことができる。
【0092】
また、上記においては、主に、着色成果物として立体的な造形物50を製造(造形)する場合の例について、説明をした。この場合、造形物50を造形する造形装置10(
図1参照)について、例えば、着色成果物の製造を実行する装置の一例と考えることができる。また、造形装置10において製造される造形物50について、例えば、3次元(3D)の成果物等と考えることができる。また、造形装置10の動作の変形例において、造形物50については、例えば、平面的な媒体(メディア)上に形成すること等も考えられる。この場合、媒体と造形物50とを合わせた構成について、着色成果物の一例と考えることもできる。また、この場合、製造される着色成果物について、例えば、2.5次元(2.5D)の成果物等と考えることができる。
【0093】
また、着色成果物としては、立体的な造形物50以外の物を製造すること等も考えられる。この場合、着色成果物として、例えば、媒体上に印刷を行うことで得られる印刷物を製造(作成)すること等が考えられる。また、この場合、作成される印刷物について、例えば、媒体上にインクの層を形成することで作成される2次元(2D)の成果物等と考えることができる。また、より具体的に、このような着色成果物としては、例えば、
図5に示す構成の印刷物を作成すること等が考えられる。
図5は、着色成果物の変形例の構成の一例を示す図である。この場合、印刷物は、例えば、複数のインクの層が重なる積層インク層42を媒体40上に形成することで作成される。媒体40としては、例えば、印刷用の公知の媒体等を好適に用いることができる。また、積層インク層42については、例えば、インクジェットプリンタにより複数のインクの層を重ねるように印刷を行うことで形成することが考えられる。
【0094】
また、この場合、例えば、
図1等を用いて説明をした造形装置10におけるインクジェットヘッド102y~k及びインクジェットヘッド102tと同一又は同様の複数のインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタを用いて、媒体40上に積層インク層42を形成する。積層インク層42としては、例えば、カラー領域202、カラー領域204、及び複数のクリア領域212を有する複数のインクの層を形成する。この場合、カラー領域202、カラー領域204、及び複数のクリア領域212については、例えば、造形物50の加飾領域156におけるカラー領域202、カラー領域204、及びクリア領域212と同様に、法線方向において重なるように形成することが考えられる。また、この場合、法線方向については、印刷物の法線方向等と考えることができる。また、印刷物の法線方向については、例えば、媒体40上に形成される積層インク層42の表面における法線方向等と考えることができる。
【0095】
また、この場合も、カラー領域202について、内側着色領域の一例と考えることができる。また、カラー領域204について、表面側着色領域の一例と考えることができる。また、この場合も、カラー領域202及びカラー領域204を形成時において、カラーインク及びクリアインクを用い、かつ、カラーインクの使用量の違いをクリアインクにより補填することで、例えば、高い品質での着色がされた印刷物を適切に製造することができる。
【0096】
ここで、上記においても説明をしたように、立体的な造形物50を造形する場合、造形物50の表面の法線方向は、造形物50の位置によって変化する方向である。また、その結果、加飾領域156において複数の領域が重なることについては、積層方向においてインクの層が重なることとは異なる意味で領域が重なっていると考えることができる。これに対し、印刷物の作成時には、印刷物の表面における法線方向について、インクの層を積層する積層方向と平行になっていると考えることができる。そのため、着色成果物として印刷物を作成する場合には、カラー領域202、カラー領域204、及び複数のクリア領域212のそれぞれについて、積層されるそれぞれのインクの層として形成することも考えられる。
【0097】
また、この場合、カラー領域202については、例えば、媒体40上に形成されるインクの層により構成される領域等と考えることができる。また、この場合、媒体40上にカラー領域202が形成されることについて、媒体40上に直接カラー領域202が形成される場合に限らず、例えば図中に示すように、他のインクの層(クリア領域212)を介して媒体40上にカラー領域202が形成されることを含めて考えることができる。また、カラー領域202については、例えば、少なくとも、インクジェットヘッド102y~kのいずれか、及びインクジェットヘッド102tに対応するインクジェットヘッドを用いて、媒体40上に形成することが考えられる。
【0098】
また、カラー領域204については、例えば、カラー領域202の更に上に形成されるインクの層により構成される領域等と考えることができる。この場合、カラー領域202の更に上にカラー領域204形成されることについては、カラー領域202上に直接カラー領域204が形成される場合に限らず、例えば図中に示すように、他のインクの層(クリア領域212)を介してカラー領域202の更に上にカラー領域204が形成されることを含めて考えることができる。また、カラー領域204については、例えば、少なくとも、インクジェットヘッド102y~kのいずれかに対応するインクジェットヘッドを用いて、カラー領域202の上に形成することが考えられる。また、カラー領域204の形成時には、インクジェットヘッド102tに対応するインクジェットヘッドを更に用いてインクの層を形成することが好ましい。このように構成すれば、例えば、複数のカラー領域を有する積層インク層42を媒体40上に適切に形成することができる。
【0099】
また、この場合、印刷物の作成に用いるインクジェットプリンタについて、例えば、2次元の画像を印刷する印刷装置の一例と考えることができる。また、インクジェットプリンタを用いる場合にも、着色成果物として、媒体上に立体的な造形物を造形すること等が考えられる。この場合、インクジェットプリンタについて、例えば、印刷の動作により2.5次元(2.5D)の成果物を製造していると考えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、例えば、着色成果物の製造方法に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0101】
10・・・造形装置、12・・・ヘッド部、14・・・造形台、16・・・走査駆動部、20・・・制御部、40・・・媒体、42・・・積層インク層、50・・・造形物、52・・・サポート層、102・・・インクジェットヘッド、104・・・紫外線光源、106・・・平坦化ローラ、152・・・バルク領域、154・・・光反射領域、156・・・加飾領域、162・・・透過領域、164・・・空洞、202・・・カラー領域、204・・・カラー領域、206・・・カラー領域、208・・・カラー領域、212・・・クリア領域、302・・・薄層状領域、304・・・薄層状領域、402・・・光源