(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】保育器、保育システム、除去方法
(51)【国際特許分類】
A61G 11/00 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
A61G11/00 Z
(21)【出願番号】P 2022083366
(22)【出願日】2022-05-20
【審査請求日】2022-12-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武司
(72)【発明者】
【氏名】西井 誠
(72)【発明者】
【氏名】末廣 陽
(72)【発明者】
【氏名】藤山 聡
(72)【発明者】
【氏名】日高 大介
(72)【発明者】
【氏名】赤星 博和
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-531701(JP,A)
【文献】特開平7-67923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患児を収容可能な収容室と、
温度および湿度が調節された空気を前記収容室に循環させる循環部と、
空気を前記収容室外から前記収容室内に供給可能な供給部と、
前記収容室内の空気の少なくとも一部を前記収容室外に排出可能な排出部と、
前記収容室内
を循環する空気から揮発性物質を除去する除去部と、
を備える保育器。
【請求項2】
患児を収容可能な収容室と、
温度および湿度が調節された空気を前記収容室に循環させる循環部と、
空気を前記収容室外から前記収容室内に供給可能な供給部と、
前記収容室内の空気の少なくとも一部を前記収容室外に排出可能な排出部と、
前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去部と、
を備え
、
前記循環部は、前記患児が載置される載置面よりも下側に設けられ、
前記除去部は、前記循環部に設けられている、
保育器。
【請求項3】
前記除去部は、前記収容室内に設けられる、請求項1
または2に記載の保育器。
【請求項4】
前記除去部は、前記収容室内の空気を吸気して前記除去部へと誘導し、該除去部を通った空気を前記収容室内に排気する、請求項1
または2に記載の保育器。
【請求項5】
前記揮発性物質は、前記収容室内に収容された患児に対する医療行為にともない気化した、エタノールまたはイソプロパノールである、請求項1または2に記載の保育器。
【請求項6】
患児を収容可能な収容室を備える保育器と、
前記収容室に温度および湿度が調節された空気を循環させる循環機構と、
空気を前記収容室外から前記収容室内に供給可能な供給機構と、
前記収容室内の空気の少なくとも一部を前記収容室外に排出可能な排出機構と、
前記収容室内
を循環する空気から揮発性物質を除去する除去機構と、
を備える保育システム。
【請求項7】
患児を収容可能な収容室を備える保育器と、
前記収容室に温度および湿度が調節された空気を循環させる循環機構と、
空気を前記収容室外から前記収容室内に供給可能な供給機構と、
前記収容室内の空気の少なくとも一部を前記収容室外に排出可能な排出機構と、
前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去機構と、
を備
え、
前記循環機構は、前記患児が載置される載置面よりも下側に設けられ、
前記除去機構は、前記循環機構に設けられている保育システム。
【請求項8】
前記除去機構は、前記収容室内に設置される、請求項
6または7に記載の保育システム。
【請求項9】
温度および湿度が調節された空気が循環される収容室を備える保育器
に設けられた除去手段によって前記収容室内の揮発性物質を除去する除去方法であって
、
前記
除去手段が、前記収容室内
を循環する空気を吸引し、前記揮発性物質を除去す
る、除去方法。
【請求項10】
前記収容室内
を循環する前記空気は、前記揮発性物質を発する発生源から離れた位置の第1空気と、前記揮発性物質を発する発生源近傍の第2空気と、を含む、請求項
9に記載の除去方法。
【請求項11】
温度および湿度が調節された空気が循環される収容室を備える保育器
に設けられた供給手段、排出手段、および除去手段によって、前記収容室内の揮発性物質を除去する除去方法であって、
前記供給手段が、前記収容室外から空気を前記収容室内に供給する供給ステップと、
前記排出手段が、前記収容室内の空気を前記収容室外に排出する排出ステップと、
前記除去手段が、前記収容室内の空気
から、前記揮発性物質を除去する除去ステップと、
を含
み、
前記除去手段は、患児が載置される載置面よりも下側に設けられた循環手段に設けられている、除去方法。
【請求項12】
前記除去ステップにおいて、前記収容室内の前記空気は、前記揮発性物質を発する発生源から離れた位置の第1空気と、前記揮発性物質を発する発生源近傍の第2空気と、を含む、請求項
11に記載の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保育器、保育システム、保育器内の揮発性物質を除去する除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
保育器は、未熟児および新生児等の患児を保護し、診療するための医療機器である。患児は保育器内において様々な医学的介入を受ける。患児が受ける医学的介入には、採血、人工呼吸器の装着、点滴、などが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
医学的介入の一例として、保育器内の患児から採血を行ったり、患児に点滴を行ったりする場合がある。これらの医学的介入では、針を刺す部位の消毒等のためにエタノールなどのアルコールが使用され得る。エタノールなどのアルコールは揮発性を有しているため、医学的介入の度に保育器内の空気に含まれるアルコール濃度が上昇する。その結果、保育器内の患児は、意図せず揮発性物質に暴露されている可能性がある。
【0004】
揮発性物質の中には、患児の健康状態に影響を及ぼすものもある。例えば、妊娠中の飲酒によって胎児へ悪影響をもたらす(胎児エタノール症候群)ことは広く知られており、保育器内で患児が揮発性物質に暴露される状況は改善することが望ましい。
【0005】
本開示は、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係る保育器は、患児を収容可能な収容室と、温度および湿度が調節された空気を前記収容室に循環させる循環部と、空気を前記収容室外から前記収容室内に供給可能な供給部と、前記収容室内の空気の少なくとも一部を前記収容室外に排出可能な排出部と、前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去部と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、保育器は、収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去部を備えている。また、保育器は、空気を前記収容室に循環させる空調部、空気を前記収容室外から前記収容室内に供給可能な供給部、収容室内の空気の少なくとも一部を収容室外に排出可能な排出部も備えている。保育器は、収容室外の空気を収容室内に供給して収容室内の空気の揮発性物質の濃度を低下させることができる。また、保育器は、収容室内の空気を循環させながら、除去部によって収容室内の空気の揮発性物質を除去することができる。これにより、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
【0008】
前記除去部は、前記収容室内に設けられていてもよい。このように、除去部が収容室内に設けられていれば、保育器を設置するためのスペースとは別に、除去部を設置するためのスペースを確保する必要が無い。
【0009】
前記除去部は、前記収容室内の空気を吸気して前記除去部へと誘導し、該除去部を通った空気を前記収容室内に排気するようにしてもよい。保育器内の空気は、温度および湿度が調整されている。上記の構成によれば、除去部は、所定の揮発性物質を除去後の空気を収容室内に排気する。これにより、保育器は、収容室内の温度および湿度を保ったまま、所定の揮発性物質を除去することができる。
【0010】
本開示の一側面に係る保育システムは、患児を収容可能な収容室を備える保育器と、前記収容室に温度および湿度が調節された空気を循環させる循環機構と、空気を前記収容室外から前記収容室内に供給可能な供給機構と、および、前記収容室内の空気の少なくとも一部を前記収容室外に排出可能な排出機構と、前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去機構と、を備える。
【0011】
上記構成によれば、保育システムは、保育器の収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去機構を備えている。また、保育システムは、空気を前記収容室に循環させる循環機構と、空気を前記収容室外から前記収容室内に供給可能な供給機構と、収容室内の空気の少なくとも一部を収容室外に排出可能な排出機構とを備えている。保育システムは、保育器の収容室外の空気を収容室内に供給して収容室内の空気の揮発性物質の濃度を低下させることができる。また、保育システムは、保育器の収容室内の空気を循環させながら、除去機構によって収容室内の空気の揮発性物質を除去することができる。これにより、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
【0012】
前記除去機構は、前記収容室内に設置されていてもよい。このように、除去機構が収容室内に設けられていれば、保育器を設置するためのスペースとは別に、除去機構を設置するためのスペースを確保する必要が無い。
【0013】
本開示の一側面に係る除去方法は、温度および湿度が調節された空気が循環される収容室を備える保育器の、前記収容室内の揮発性物質を除去する除去方法であって、前記収容室外から空気を前記収容室内に供給する供給ステップと、前記収容室内の空気を前記収容室外に排出する排出ステップと、前記収容室内の空気を吸引し、前記揮発性物質を除去する除去ステップと、を含む。
【0014】
上記構成によれば、保育器の収容室外の空気を収容室内に供給して収容室内の空気の揮発性物質の濃度を低下させることができる。また、保育器の収容室内の空気を循環させながら、収容室内の空気の揮発性物質を除去することができる。これにより、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
【0015】
前記除去ステップにおいて、前記収容室内の前記空気は、前記揮発性物質を発する発生源から離れた位置の第1空気と、前記揮発性物質を発する発生源近傍の第2空気と、を含んでもよい。揮発性物質の発生源からは高濃度の揮発性物質が放出され得るため、発生源が収容室内に存在する場合、揮発性物質が収容室内に充満してしまう虞がある。上記の構成によれば、除去ステップにおいて、発生源から離れた位置の第1空気からの揮発性物質の除去と、発生源近傍の第2空気からの揮発性物質の除去とを行う。これにより、収容室内の空気から効果的に揮発性物質を除去することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一態様によれば、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の実施形態1に係る揮発性物質除去装置を備えた保育器の概略斜視図である。
【
図2】
図1に示す揮発性物質除去装置の概略平面図である。
【
図3】
図2に示す揮発性物質除去装置のAA線矢視断面図である。
【
図4】本開示の実施形態2に係る揮発性物質除去装置の概略平面図である。
【
図5】本開示の実施形態3に係る揮発性物質除去装置の概略平面図である。
【
図6】
図5に示す揮発性物質除去装置のAA線矢視断面図である。
【
図7】
図5に示す揮発性物質除去装置の使用例を説明する図である。
【
図8】本開示の実施形態4に係る浄化装置の概略斜図である。
【
図9】
図8に示す浄化装置のBB線矢視断面図である。
【
図10】本開示の実施形態5に係る浄化装置を示す概略斜視図である。
【
図11】本開示の実施形態6に係る浄化装置を示す概略斜視図である。
【
図13】本開示の実施形態7に係る保育システムの概略ブロック図である。
【
図14】
図1に示す保育器の変形例を示す保育器の概略斜視図である。
【
図15】
図3に示す揮発性物質除去装置の変形例の概略断面図である。
【
図16】
図6に示す揮発性物質除去装置の変形例の概略断面図である。
【
図17】
図3に示す揮発性物質除去装置の変形例の概略断面図である。
【
図18】本開示の実施形態1に係るエタノール除去方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。以下では保育器は、後述する閉鎖型保育器を例にして説明する。
【0019】
患児に対する医学的介入(点滴投与等)には、保育器内で実施されるものがある。また、保育器内の空気に含まれる揮発性物質を吸着除去する必要がある。この揮発性物質は、エタノールのような患児Xに対する医学的介入において使用される物質である。
【0020】
従って、保育器内には、保育器内で実施される医学的介入において使用される揮発性物質を、該保育器内の空気から除去する揮発性物質除去装置が設置されている。これにより、患児に対する医学的介入を保育器内において行うことの安全性を向上させることができる。なお、揮発性物質除去装置を保育器内に設置する理由の一例として、衛生面や機能面で問題が生じ難いことを挙げることができる。例えば、揮発性物質除去装置の全てあるいは一部を保育器外に設置した場合、保育器内と保育器外との温湿度差によって結露などが生じ、衛生面や機能面で問題が生じ易くなる。このため、揮発性物質除去装置は、保育器内に設置するのが好ましい。以下、除去対象の揮発性物質としてエタノールを例に説明するため、揮発性物質除去装置をエタノール除去装置とする。はじめに、保育器の概要を説明する。
【0021】
<保育器の概要>
図1は、保育器1の概略斜視図である。保育器1は、患児Xを収容する収容室101と、収容室101を載置する載置台102とを含む。収容室101内には、ベッド11、ベッドの前後に配置された衝立部12が配置されている。ベッド11の表面11aは、患児が置かれる載置面である。ベッド11は、載置台102上に設けられたベッドステージ13に設置されている。ベッドステージ13は、ベッド11を上下方向または上下左右方向に動かすことが可能である。衝立部12は、ベッド11の表面11aから所定の高さおよび所定の幅を有する透明な樹脂で形成されている。
【0022】
収容室101には、医師または看護師が患児Xに対して点滴投与等の処置を行うための処置用の開口部101aが2個設けられている。収容室101内で患児Xに対して何らかの処置をする場合には、必ず消毒する必要がある。例えば、酒精綿を用いて患児Xの手等の処置対象の部位を消毒する。収容室101内で酒精綿を使用すれば、当該収容室101内にエタノールが発生する。発生したエタノールを除去するために、収容室101内には、ベッド11上にエタノール除去装置110が配置されている。
【0023】
ここで、収容室101内の空気は、エタノールを発する発生源(例えば酒精綿)から離れた位置の第1空気と、エタノールを発する発生源(例えば酒精綿)近傍の第2空気とを含む。従って、エタノール除去装置110は、主に、エタノールの発生源付近の第2空気からエタノールを除去する。エタノール除去装置110の駆動制御は、各装置に設けられた操作部(図示せず)の操作によって行う。
【0024】
保育器1は、患児を収容するために内部の温度および湿度が調節可能な収容室を備えた保育器(所謂、閉鎖型保育器)である。このため、保育器1は、さらに、循環部410、供給部420、排出部430を備える。循環部410は、温度および湿度が調節された空気を収容室101に循環させる。供給部420は、空気を収容室101外から収容室101内に供給する。排出部430は、収容室101内の空気の少なくとも一部を収容室101外に排出する。これにより、保育器1は、患児を収容する収容室における温湿度が維持され、温湿度が維持できるレベルで自然吸排気を行い換気されている。なお、保育器1は温湿度に加えて、酸素濃度が調整可能であってもよい。循環部で供給される空気の気流は、患児に影響を与えないようにその向きおよび速度等が考慮されている。
【0025】
載置台102には、保育器1の機能などを、使用者(医師、看護師等)が操作できるように操作パネル102aが設けられている。
【0026】
保育器1において収容室101内の空気は、循環部410によって温度および湿度が調整されている。また、エタノール除去装置110は、収容室101内の空気を吸気して、吸気した空気に含まれるエタノールを除去し、エタノールを除去した空気を再び収容室101内に排気する。これにより、収容室101内の温度および湿度を保ったまま、当該収容室101からエタノールを除去することができる。また、保育器1外の空気中のエタノールを除去し、保育器1外の空気と保育器1内の空気を入れ替える方法も考えられるが、当該方法では保育器1内の温度、湿度の維持が難しい。
【0027】
また、エタノール除去装置110を収容室101内に配置することで、保育器1を設置するスペースとは別に、エタノール除去装置110を設置するためのスペースを確保する必要が無い。
【0028】
また、エタノール除去装置110は、ベッド11上で自由に配置して使用できるようになっている。このため、患児Xに対して消毒する場合には、消毒する部位に近い位置にエタノール除去装置110を配置することで、消毒時に発生するエタノールを効果的に吸着することが可能となる。
【0029】
<エタノール除去装置の概要>
図2は、エタノール除去装置110の概略正面図である。
図3は、
図2のAA線矢視断面図である。
【0030】
エタノール除去装置110は、
図2に示すように、筐体111を含む。筐体111の前面111aには、空気を取り込む吸気部111cが当該前面111aの長手方向に並列して設けられ、後面111bには、当該筐体111内でエタノールが除去された空気を排気する排気部111d(
図3)が設けられている。筐体111の前面111aには、吸気部111cに空気を導くガイド部112が設けられている。
【0031】
筐体111内には、
図3に示すように、吸気部111c側から排気部111dに向かって順に、第1除去部114、吸引部115が配置されている。
【0032】
第1除去部114は、破砕状の活性炭114aを含み、吸引部115によって吸気部111c側の第1開口部114bから吸引された空気に含まれる気化されたエタノールを吸着し、吸引部115側の第2開口部114cから排気する。第1除去部114は、筐体111の上部側から着脱可能なカートリッジ内に破砕状の活性炭114aを収容したカートリッジ型である。これにより、第1除去部114の交換が容易である。また、破砕状の活性炭114aは使い捨てである。このため、第1除去部114の交換は、以下のように行う。筐体111から取り出した第1除去部114に収容された破砕状の活性炭114aは捨てて、新しい破砕状の活性炭114aを第1除去部114に収容し、再度、第1除去部114を筐体111に取り付ける。
【0033】
第1除去部114と吸引部115との間には、ガスセンサ117が設けられている。このガスセンサ117は、第1除去部114によるエタノールの吸着能力の低下検出するためのセンサである。具体的には、エタノール除去装置110の制御部(図示せず)は、ガスセンサ117によって検出されたエタノール濃度が予め設定した値(第1除去部114の交換要と判断するための値)以上であると判断すれば、第1除去部114のエタノール吸着能力が所定基準よりも低下していると判断する。つまり、制御部は、ガスセンサ117によって検出されたエタノール濃度から、第1除去部114の交換時期であることを知らせることができる。このように、制御部は、ガスセンサ117が検出したエタノール濃度から、第1除去部114の吸着状態(破過している(吸着機能を超えて吸着して、吸着対象が漏れている)状態か、あるいは十分に吸着できている状態か)を判断する。よって、ガスセンサ117は破過センサとして機能する。つまり、ガスセンサ117は、第1除去部114内の活性炭の吸着能力の低下を検出するセンサであり、ガスセンサ117の検出結果に基づき、第1除去部114内の活性炭の交換時期を知らせるようになっている。
【0034】
吸引部115は、2つのシロッコファンからなり、第1除去部114を介して吸気部111cから空気を吸引し、筐体111の後面111bに設けられた排気部111dから排気される。ここで、吸引部115における1分間当たりの吸気量は20L以上とするが、これに限定されものではない。ただし、吸引部115における吸気量は、吸気量および排気量によって閉鎖保育器内の環境を乱さない範囲に設定されることが好ましい。
【0035】
排気部111dによる空気の排気方向は、保育器1内の気流を邪魔しない方向であることが望ましい。また、排気部111dから排気される空気(エタノール除去済の空気)は、収容室101内の患児Xの身体に当たらないことが好ましい。なぜなら、排気部111dから排気される空気が患児Xにあたることによって、患児の体温を奪ったり、不感蒸泄による水分喪失を促進させたりする可能性があるからである。そこで、エタノール除去装置110は、排気部111dから排気される空気が、収容室101内の患児Xから遠ざかる方向に排気されるように構成されている。
【0036】
筐体111の吸気部111cから吸気する空気は、上述したガイド部112によって導かれる。ガイド部112の詳細について説明する。ガイド部112は、エタノールによる処置の処置対象である患児Xの少なくとも一部、および酒精綿等のエタノールの発生源の少なくとも一方が載置可能な載置部112aを含む。
【0037】
載置部112a上で患児Xの少なくとも一部を載置してエタノールによる処置(例えば、消毒等)が行われるか、載置部112a上にエタノールの発生源である、処置に用いる酒精綿等が置かれれば、載置部112aに載置された患児Xの一部の付近にエタノールが漂うことになる。しかしながら、エタノール除去装置110は、ガイド部112によって、載置部112aの患児Xの少なくとも一部が載置されている載置面(所定の面)に漂うエタノールを含む空気を積極的に吸気部111cに導く。これにより、エタノール除去装置110は、筐体111内の第1除去部114および第2除去部116によってエタノールを除去することができる。従って、エタノール除去装置110は、短時間で空気に含まれるエタノールを除去することが可能となる。保育器1外の空気と保育器1内の空気を入れ替える方法と比較した場合、入れ替える方法では酒精綿等から揮発したエタノールが保育器内を漂った後、保育器1外に排出されるので、保育器1内のエタノール濃度の最高値を抑制することができない。また保育器1内のエタノール濃度が高い状態になるので、保育器1外への排出にも時間を要してしまい、患児へのエタノールの影響を十分に改善できない。これに対して、エタノール除去装置110を用いる除去では、酒精綿等から揮発したエタノールを発生源の近くで除去するため、保育器1内のエタノール濃度の最高値を抑制することができるので、患児へのエタノールの影響を十分に改善することができる。なお、保育器1内外の空気を素早く入れ替えるために、保育器の扉などを開放することも考えられるが、温度や湿度、酸素濃度などの急激な変動が生じ、患児への負担が大きいため、このような方法を採用することはできない。
【0038】
載置部112aは、一枚の板状部材(樹脂板等)からなり、筐体111と一体に形成されている。載置部112aは、筐体111の前面111a側では、当該前面111aの長手方向の幅とほぼ同じ幅を有し、前面111aに対向する側では、当該前面111aの長手方向の幅よりも長い幅を有する略台形状となっている。このように、前面111a側よりも当該前面111aに対向する側の幅が長い。この構成を採用すれば、載置部112a上での処置のし易さが格段に向上する。また、載置部112aは、患児Xの一部を載置して酒精綿による消毒等の処置を行うために使用される他、酒精綿の一時置き場としても使用され得る。
【0039】
ガイド部112は、載置部112aの周縁から上方に立ち上がる2つの壁部112b・112bを有している。つまり、壁部112bは、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていることになる。ここで、壁部112bは、載置部112aと同一の種類の材料で、且つ一体的に形成されている。
【0040】
壁部112bにより、載置部112aに載置された患児Xの少なくとも一部を処置した後に発生するエタノールが載置部112a外に拡散するのを防ぐことができる。これにより、吸気部111cにエタノールを含む空気をより積極的に導くことが可能となる。
【0041】
しかも、壁部112bが、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていることで、処置者は、壁部112bが形成されていない箇所から載置部112aに載置された患児Xの少なくとも一部に対してエタノールを用いる処置(消毒)を行うことができる。ここで、処置者は、医療関係者、看護師等である。また、エタノール除去装置110は、エタノールを吸気部111cに案内するのを阻害しないようにすることができる。これにより、患児Xの少なくとも一部のような処置対象に対するエタノールを用いる処置を、壁部112bに邪魔されずに行うことができる。このため、処置対象への処置が行い易くなる(保育器1の収容室101内での医師や看護師による処置を想定)とともに、発生するエタノールを除去することができる。従って、保育器1内の安全性を考慮した処置を患児Xに対して行うことができる。また、患児Xに対する医療行為の邪魔にならないように、且つ、エタノールの除去率を向上させるために、エタノール除去装置110の吸気部111cは、気化されたエタノールを含む空気の風向が適切になる向きに配置される。さらに、エタノール除去装置110の吸引部115は、吸気部11cから吸引される空気の風速が適切となる風速になるようにファンの回転数が設定される。
【0042】
壁部112bは、筐体111の前面111a側が最も高く、前面111aから遠ざかるにつれて低くなる形状となっている。壁部112bにおいて、筐体111の前面111a側を後面111bより高くすることにより、空気を吸気部111cに導き易くすることができる。壁部112bの高さを、前面111aから遠ざかるにつれて低くすることにより、壁部112bが邪魔にならないため、載置部112a上で処置の実施が容易となる。このように、壁部112bを、筐体111の前面111a側が最も高く、前面111aから遠ざかるにつれて低くなる形状とすることで、空気導入のし易さ、処置のし易さの両立を図ることができる。
【0043】
空気を筐体111の吸気部111cに確実に導くには、ガイド部112の少なくとも一部が吸気部111cに接続されていればよい。具体的には、ガイド部112の載置部112aおよび壁部112bの前面111a側の端部が吸気部111cに接続されればよい。この場合、ガイド部112によって吸気部111cに導かれる空気は、当該ガイド部112の載置部112aおよび壁部112bの前面111a側の端部と吸気部111cとの間から漏れにくく、多くの空気が吸気部111cに導かれる。つまり、ガイド部112の少なくとも一部が、吸気部111cに接続されていることで、空気を確実に吸気部111cまで導くことができる。
【0044】
上記構成のエタノール除去装置110によれば、吸気部111cにエタノールを含む空気を導くガイド部112は、エタノールを用いる処置の処置理対象である患児Xの手・足等の少なくとも一部が載置可能な載置部112aを有することで、載置部112aで処置対象の処置を行う際に用いるエタノールを含む外気を当該ガイド部112によって吸気部111cに導くことが可能となる。このように、ガイド部112には、処置対象である、患児Xの手・足等の少なくとも一部が載置される、または触れることになる。それゆえ、ガイド部112は柔らかいことが望ましい。ガイド部112に適用する材料は、例えば、弾性(または可撓性)を有し、エタノールが吸着し難く、さらに、患児Xの身体およびガスセンサ117等に悪影響を及ぼさないことが必要である。ガイド部112は、第1除去部114よりもエタノールが吸着し難いことが必要である。
【0045】
しかも、載置部112aには、処置対象の少なくとも一部が載置されていることで、載置部112aに載置された処置対象の付近にエタノールが漂うことになる。従って、載置部112aの処置対象の載置面(所定の面)に漂うエタノールを含む空気は、ガイド部112によって積極的に吸気部111cに導かれる。これにより、エタノール除去装置110は、短時間で空気に含まれるエタノールを除去することが可能となる。
【0046】
<エタノール除去方法>
図18は、本実施形態に係るエタノール除去方法の流れの一例を示すフローチャートである。本実施形態に係るエタノール除去方法は、患児を収容するために内部の温度および湿度が調節可能な収容室101を備えた保育器内に設置され、収容室101内に収容された患児に対するエタノールによる医療行為に伴い気化したエタノールを収容室101から除去する。
【0047】
ステップ1(S1)において、エタノール除去装置110は、収容室101内の空気を第1除去部114に吸引する吸気部111cに導く(ガイドステップ)。第1除去部114は、本実施形態において、除去手段を実現する構成であり、吸気部111cは、本実施形態において、吸気手段を実現する構成である。
【0048】
ステップ2(S2)において、エタノール除去装置110は、吸気部111cから収容室101内の空気を吸引部115によって吸引する(吸引ステップ)。吸引部115は、本実施形態において、吸引手段を実現する構成である。
【0049】
ステップ3(S3)において、エタノール除去装置110は、吸引された空気に含まれるエタノールを第1除去部114によって除去する(除去ステップ)。
【0050】
ステップ(S4)において、エタノール除去装置110は、エタノールが除去された空気を排気部111dによって排気する(排気ステップ)。排気部111dは、本実施形態において、排気手段を実現する構成である。
【0051】
上記構成によれば、収容室101内の空気を吸気部111cに導くためのガイドステップを含んでいるため、吸引部115(吸引手段)によって空気を効率良く導くことができる。これにより、吸引部115を構成するファンは小型で済むため、エタノール除去方法を実現するための装置全体を小型にすることができる。従って、エタノール除去方法を実現するための装置を、閉鎖型の保育器1内で使用しても、患児に対する医療行為の邪魔にならない。
【0052】
また、排気ステップにおいて、排気部111d(排気手段)による空気の排気方向は、吸気部111c(吸気手段)が設けられる方向とは異なる方向であってよい。吸気部111cは、エタノールを含む空気を吸気し、排気部111dは、エタノールが除去された空気を排気する。このため、吸気部111cに、エタノールが除去された空気が導かれると、エタノールを含む空気を効率よく吸気することができない。従って、排気部111dによる空気の排気方向を、吸気部111cが設けられる方向とは異なる方向にすることで、排気部111dから排気される空気(エタノールが除去された空気)によって、吸気部111cによるエタノールを含む空気の吸気を邪魔しないようにできる。
【0053】
なお、本実施形態では、ガイド部112の壁部112bは、載置部112aの両側端に設けた例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、壁部112bは、載置部112aの両側端だけでなく、載置部112a上にも設けてもよい。この例について、以下の実施形態2において説明する。
【0054】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0055】
<揮発性除去装置の概要>
図4は、エタノール除去装置210の本概略正面図である。エタノール除去装置210は、前記実施形態1で説明したエタノール除去装置110と同じ筐体111を有し、エタノール除去装置110と異なるガイド部212を有している。
【0056】
ガイド部212は、載置部212aと、載置部212aの両側縁から上方に立ち上がるように設けられた2つの第1壁部212bと、載置部212a上に第1壁部212bと略平行で略等間隔に設けられた5つの第2壁部212cとを有している。
【0057】
第1壁部212bおよび第2壁部212cは、前記実施形態1のエタノール除去装置110のガイド部112に設けられた壁部112bと同じ形状である。
【0058】
5つの第2壁部212cは、ほぼ等間隔で載置部212a上に設けられ、2つの第1壁部212bとで、筐体111の吸気部111cに空気を導くための通路(溝)を6つ形成する。このように、筐体111の吸気部111cに空気を導くための溝が6つ形成されれば、空気を吸気部111cに導き易くなり、空気に含まれる発生源からのエタノールはもれなく除去される。
【0059】
ガイド部212は、前記実施形態1のガイド部112と同様に、処置対象である、患児Xの手・足等の少なくとも一部が載置または触れることになるため、ガイド部212の材料としては弾性を有することが必要である。また、ガイド部212には、エタノールが吸着し難いことも必要であり、さらにガイド部212が、患児Xやセンサ(ガスセンサ117等)に悪影響を及ぼさないことが必要である。ガイド部212は、第1除去部114よりもエタノールが吸着し難いことが必要である。
【0060】
ただし、ガイド部212を構成する載置部212aと第2壁部212cのうち、少なくとも載置部212a上に設けられた第2壁部212cは弾性を有することが好ましい。
【0061】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0062】
<エタノール除去装置の概要>
図5は、エタノール除去装置110Aの概略正面図である。
図6は、
図5のAA線矢視断面図である。
【0063】
エタノール除去装置110Aは、
図5および
図6に示すように、前記実施形態1のエタノール除去装置110のガイド部112から載置部112aを取り除いた構造となっている。すなわち、エタノール除去装置110Aは、
図5に示すように、ガイド部112の構造が異なるだけで、前記実施形態1のエタノール除去装置110と同じ構造である。
【0064】
エタノール除去装置110Aの筐体111内には、
図6に示すように、吸気部111c側から排気部111dに向かって順に、第1除去部114、吸引部115が配置されている。
【0065】
吸引部115は、2つのシロッコファンからなり、第1除去部114を介して吸気部111cから空気を吸引し、筐体111の後面111bに設けられた排気部111dから排気される。ここで、吸引部115における1分間当たりの吸気量は20L以上とするが、これに限定されものではない。ただし、吸引部115における吸気量は、吸気量および排気量によって閉鎖保育器内の環境を乱さない範囲に設定されることが好ましい。
【0066】
排気部11dから排気される空気(エタノール除去済の空気)は、収容室101内の患児Xの身体に当たらないことが好ましい。そこで、エタノール除去装置110は、収容室101内の患児Xから遠ざかる方向に空気を排気するように構成されている。
【0067】
筐体111の吸気部111cから吸気する空気は、上述したガイド部112によって導かれる。ガイド部112の詳細について説明する。ガイド部112は、エタノールを含む空気を、エタノールを発する発生源である酒精綿Yを載置した載置面であるベッド11の表面11aに対して垂直でない方向から吸気部111cに導くように形成されている。
【0068】
ベッド11の表面11aに酒精綿Yを載置すれば、酒精綿Yから生じるエタノールは酒精綿Yを載置している載置面に漂うことになる。しかしながら、ガイド部112は、エタノールを含む空気を、酒精綿Yを載置したベッド11の表面11aの載置面に対して垂直でない方向から吸気部111cに導くように形成されているので、載置面に載置された酒精綿Yが発するエタノールを含む空気を吸気部111cに導くことができる。
【0069】
ガイド部112は、空気を筐体111の吸気部111cに導くためには、エタノールを発する酒精綿Yが載置されている載置面であるベッド11の表面11aに、少なくとも一部が接していることが好ましい。
【0070】
上記のように、吸気部111cにエタノールを含む空気を導くガイド部112の少なくとも一部が、エタノールを発する酒精綿Yが載置されているベッド11の表面11aの載置面に接することで、前記載置面に載置された酒精綿Yが発するエタノールを含む空気をより効果的に吸気部111cに導くことができる。
【0071】
ガイド部112は、
図5に示すように、揮発性物質を発する酒精綿Yが載置されたベッド11の表面の所定の範囲Zを囲む2つの壁部112b・112bを有している。壁部112bは、それぞれ筐体111の前面111aの長手方向の両端部から前に突き出すように形成されている。壁部112bは範囲Zの周囲を囲むように設けられてもいいが、本実施形態では処置の行い易さを考慮し、壁部112bは、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていることになる。
【0072】
これにより、ガイド部112が、発生源である酒精綿Yが載置されたベッド11の載置面である表面11aの所定の範囲Zを囲む壁部112bを有していることで、表面11aに載置された酒精綿Yから発するエタノールが壁112bにより、ガイド部112外に拡散するのを防ぐことができる。これにより、エタノール除去装置110Aは、吸気部111cにエタノールを含む空気をより積極的に導くことが可能となる。
【0073】
しかも、壁部112bが、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていることで、壁部112bが形成されていない箇所から表面11aに載置された患児Xの少なくとも一部に対してエタノールを用いる処置を行うことができる。また、壁部112bは、エタノールを吸気部111cに案内するのを阻害しないようにすることができる。これにより、処置者は、患児Xの少なくとも一部のような処置対象に対するエタノールを用いる処置を、壁部112bに邪魔されずに行うことができるため、処置対象への処置が行い易くなる(保育器1の収容室101内での医師や看護師による処置を想定)とともに、発生するエタノールを除去することができる。
【0074】
壁部112bは、筐体111の前面111a側が最も高く、前面111aから遠ざかるにつれて低くなる形状となっている。壁部112bにおいて、筐体111の前面111a側を高くするのは、ガイド部112をベッド11の表面11aに載置した状態で、空気を吸気部111cに導き易くするためであり、前面111aから遠ざかるにつれて低くするのは、酒精綿Yの載置面上で処置をし易くするためである。このように、壁部112bを、筐体111の前面111a側が最も高く、前面111aから遠ざかるにつれて低くなる形状とすることで、ガイド部112をベッド11の表面11aに載置した状態で、空気導入のし易さ、処置のし易さの両立を図ることができる。
【0075】
上記構成のエタノール除去装置110Aによれば、吸気部111cにエタノールを含む空気を導くガイド部112は、エタノールを含む空気を、エタノールを発する発生源(酒精綿Y等)を載置した載置面であるベッド11の表面11aに対して垂直でない方向から吸気部111cに導くように形成されている。これにより、ベッド11の表面11aに載置された酒精綿Yが発するエタノールを含む空気をガイド部112によって吸気部111cに導くことができる。従って、エタノール除去装置110Aは、酒精綿Yが載置されている載置面(ベッド11の表面11a)に漂うエタノールを含む空気をガイド部112によって積極的に吸気部111cに導くことができる。これにより、エタノール除去装置110Aは、短時間で空気に含まれるエタノールを除去することが可能となる。しかも、エタノールを含む空気を吸気部111cによって吸気する方向は、酒精綿Yが載置されたベッド11の表面11aに対して垂直でない向き(横方向、斜め方向等)であるため、酒精綿Yをベッド11の表面11aに上から置く際に、ガイド部112によって邪魔され難い。具体的には、
図6に示すように、吸気部111cによって吸気する方向が、酒精綿Yが載置されたベッド11の表面11aに対して垂直でない向き(横方向)であれば、ガイド部112の上(ベッド11の表面11aに対向する方向)は開放されている。そして、医師は、開放されたガイド部112の上から酒精綿Yを載置できるため、ガイド部112によって医師による酒精綿Yの載置動作は邪魔されない。
【0076】
(使用例)
図7は、エタノール除去装置110Aの使用例を説明する概略断面図である。エタノール除去装置110Aは、基本的に
図5および
図6に示すように、ガイド部112および筐体111をベッド11の表面11aに載置した状態で基本的に使用する。
【0077】
図7に示すように、エタノール除去装置110Aは、ガイド部112の壁部112bの先端をベッド11の表面11aに接触させて、当該表面11aから所定の角度θ(0≦<θ<90°)に傾けた状態で、表面11aに載置された酒精綿Yから発生するエタノールを含む空気を吸気部111cに導くように使用してもよい。つまり、エタノール除去装置110Aは、ベッド11の表面11aに対して垂直でない方向から吸気部111cに導くように使用してもよい。
【0078】
また、
図7に示すエタノール除去装置110Aにおいて、壁部112bは、弾性のある部材で構成することで、壁部112bの先端を少し曲げて、壁部112bがベッド11に接する面積を増やすようにしてもよい。
【0079】
また、
図7に示すエタノール除去装置110Aの壁部112bは、ベッド11側の一部を切り欠くようにしてもよい。
【0080】
図7に示すように、エタノール除去装置110Aを傾けて使用する場合、筐体111の排気部111d側を衝立部12に立てかけることによってエタノール除去装置110Aを支持する構成であってもよい。衝立部12とエタノール除去装置110Aを一体に構成してもよい。なお、エタノール除去装置110Aを傾けて支持する構成はこれらに限定されない。例えば、傾斜面を有する支持部材(図示せず)をベッドの表面11aに設置し、この指示部材の傾斜面によってエタノール除去装置110Aが支持される構成であってもよい。支持部材とエタノール除去装置110Aを一体に構成してもよい。
【0081】
さらに、
図7に示すように、エタノール除去装置110Aを傾けて支持すれば、当該エタノール除去装置110Aの下部(ベッド11とエタノール除去装置110Aとの間)から手指等を入れての処置が可能となる。
【0082】
(エタノール除去装置の駆動制御)
前記実施形態1、2、3のエタノール除去装置110、210、110Aは、電源のオン・オフにより内部の吸引部115内のファンの駆動および停止を行うようになっている。この電源は、電池(1次電池、充電池等)であってもよく、外部電源であってもよく、また、外部電源と充電池との組み合わせであってもよい。エタノール除去装置の使用の都度保育器内に設置する場合には、電源は電池が好ましく、エタノール除去装置を常時保育器内に設置する場合には、電源は外部電源が好ましい。通常、収容室101内で患児Xに対して処置を行う際に、処置者(医師または看護師)によって電源をオンすることで、吸引部115のファンを駆動させる。また、エタノール除去装置110、210、110Aにおける吸引力は、吸引部115内のファンの回転数によって調整することができるので、除去するエタノールの濃度に応じてファンの回転数を変えることで、適切にエタノールの吸引および除去を行うことができる。
【0083】
また、前記実施形態1、2、3のエタノール除去装置110、210、110Aは、それぞれ動作状況(駆動状況)を表示する機能を有している。駆動状況を表示する機能とは、運転中であるか否か、停止中であるか否か、フィルタ(除去部の活性炭)交換要か否か、トラブル発生しているか否か、バッテリー低下しているか否か等を明示的に表示することを示す。この場合、駆動状況は、表示パネルに表示してもよいし、駆動状況に応じたランプを点灯させることによって表示してもよい。これにより、処置者は、エタノール除去装置110、210、110Aの作動忘れを無くすことができる。また、エタノール除去装置110、210、110Aは、フィルタの交換を促す表示をすることが可能となる。
【0084】
さらに、前記実施形態1、2、3のエタノール除去装置110、210、110Aは、何れも寝かせたときの高さを低く設計し、保育器1(2)内での作業の邪魔にならないサイズとなっている。さらに、エタノール除去装置110、210、110Aは、除去部内の吸着材の交換をする際に、保育器1(2)の開口部101aから吸着材等の出し入れがし易いサイズであることが好ましい。また、前記実施形態1、2、3のエタノール除去装置110、210、110Aは、保育器1(2)の開口部101aから出し入れし易く、取り扱い易い質量(例えば120g)であることが好ましい。このようにすることで、病棟内の既存の保育器内でエタノール除去装置110、210、110Aを使用可能とすることができる。
【0085】
〔実施形態4〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0086】
<浄化装置の概要>
図8は、浄化装置120の概略斜視図である。
図9は、
図8のBB線矢視断面図である。
【0087】
浄化装置120は、
図8に示すように、一体的に設けられた2つの筐体(第1筐体121、第2筐体122)を含む。ここでは、別々の筐体(第1筐体121、第2筐体122)を接続して一つの筐体としている例を示している。なお、2つの筐体(第1筐体121、第2筐体122)を一体で成形して一つの筐体としてもよい。第1筐体121の前面121aには、外気を取り込む吸気部121bが設けられている。第1筐体121は、第1筐体121の後面を含む後部であって第1筐体121の下面121cにおいて第2筐体122と内部で連通した構造となっており、吸気部121bによって吸気された外気を第2筐体122に導くようになっている。第1筐体121の後部は、吸気部121bから排気部122bに向かう方向(以下、排気方向)において、前面121aの下流側に位置する。換言すると前面121aは、排気方向において第1筐体121の後部より上流側に位置する。第2筐体122の前面は第1筐体121の後面を含む後部であって第1筐体121の下面121cに接続されている。第2筐体122の後面122a(第1筐体121との連通側と反対側の面)には、外気を排気する排気部122b(
図9)が設けられている。第2筐体122の前面は、排気方向において後面122aの上流側に位置する、換言すると後面122aは、排気方向において第2筐体122の下流側に位置する。
【0088】
浄化装置120は、
図9に示すように、断面逆L字状の形状をし、収容室101内の衝立部12に設置されている。すなわち、浄化装置120は載置面の上方に設置される。浄化装置120には、第1筐体121および第2筐体122を収容室101の内縁に固定するための固定部が設けられている。具体的には、第1筐体121の下面121cには、第2筐体122の側面122cに平行で、且つ当該側面122cから所定の距離離れた位置に、固定部として、下方に突出した突起部121dが設けられている。突起部121dは、所定の高さおよび所定の幅を有する例えば樹脂からなる部材であり、第1筐体121と一体的に設けられている。
図9では、第1筐体121に突起部121dを接続して一つの筐体としている例を示している。なお、第1筐体121と突起部121dとを一体で成形して一つの筐体としてもよい。
【0089】
突起部121dは、当該突起部121dと第2筐体122の側面122cまでの距離が、収容室101の衝立部12の厚みよりも少し長くなる位置に設けられている。これにより、浄化装置120を収容室101の内縁に設けられた衝立部12に設置する際に、第2筐体122の側面122cと第1筐体121の突起部121dとによって衝立部12を挟み込むことで、浄化装置120を衝立部12に安定して設置することができる。このように、突起部121dによって、第1筐体121および第2筐体122を収容室101の内縁に立設された壁部である衝立部12に固定することができる。このように、固定部である突起部121dによって、第1筐体121および第2筐体122筐体、すなわち浄化装置120本体は、収容室101の内縁に立設され衝立部12に固定される。従って、浄化装置120は、保育器1内での患児Xに対する医療行為の邪魔にならない。なお、突起部121dは、収容室101の内縁に設けられた衝立部12に着脱可能な構成としてもよい。
【0090】
このように、浄化装置120は、医療行為の邪魔にならない位置に設置するのが好ましい。さらに、浄化装置120の排気方向(エタノールを除去した空気を排気する方向)は、保育器1内の空気の循環を阻害しない方向であり、且つ、患児Xに当たらない方向が好ましい。これにより、保育器1は、機能(温湿度の維持機能等)を維持し、且つ、空気が患児Xにあたることによって、患児の体温を奪ったり、不感蒸泄による水分喪失を促進させたりすることが無いため、患児Xの安全性を確保することができる。本明細書において、保育器1内の空気は、閉鎖型の保育器1が備える収容室101内の空気を意図している。
【0091】
また、第1筐体121に設けられた突起部121dは、当該第1筐体121の幅方向(第1筐体121内での排気方向に直交する方向)に向かって、連続して設けられていている。
【0092】
第1筐体121は、第1除去部124、吸引部125を含む。第1除去部124は、繊維状の活性炭からなり、吸気部121bから吸気された外気に含まれるエタノールの大部分を素早く吸着する。従って、外気に含まれるエタノールの量が少なければ、第1除去部124において全てのエタノールが吸着されることになる。本実施形態において繊維状の活性炭をシート状に成型したシート状の活性炭を用いている。
【0093】
第1除去部124は、第1筐体121の上部側から着脱可能な容器内にシート状の活性炭を収容したカートリッジ型である。これにより、第1除去部124の交換が容易である。また、シート状の活性炭は使い捨てである。このため、第1除去部124の交換は、以下のように行う。第1筐体121から取り出した第1除去部124に収容されたシート状の活性炭を捨てて、新しいシート状の活性炭を第1除去部124に収容し、再度、第1除去部114を第1筐体121に取り付ける。
【0094】
吸引部125は、1つのシロッコファンからなり、第1除去部124を介して吸気部121bから外気を吸引し、当該ファンの回転軸方向と直交する方向となる後段の第2除去部126に送風する。ここで、吸引部125における吸気量は50L/min以上とするが、これに限定されものではない。なお、大量の吸気ができるように、吸引部125における吸気面積は大きい方が好ましい。
【0095】
第2筐体122は、第2除去部126を含む。第2除去部126は、第2筐体122から着脱可能なカートリッジ内にペレット状の活性炭を収容したカートリッジ型である。これにより、第2除去部126の交換を容易に行うことができる。また、ペレット状の活性炭は使い捨てであるため、交換のために取り出した第2除去部126に収容されたペレット状の活性炭は捨てて、新しいペレット状の活性炭を収容し、再度、第2除去部126を第2筐体122に取り付ける。
【0096】
上記構成の浄化装置120の排気部122bから排気される空気(エタノール除去済の空気)の排気方向は、保育器1内の空気の循環を阻害しない方向に設定されている。
【0097】
保育器1は、例えば
図19に示すように、水槽17と、加熱部18と、ヒーター19と、ファン20と、を備える。水槽17は水を収容している。加熱部18は、水槽17内に設けられており、水槽17が収容している水を加熱することにより、蒸気を発生させる。加熱部18により発生した蒸気は、ファン20によって収容室101内を循環する。
【0098】
一方、浄化装置120は、ベッド11に設けられた衝立部12に固定されており、収容室101内の空気を吸気部121bから吸気し、排気部122bから排気する。排気部122bから排気される空気は、保育器1のベッド11の衝立部12と収容室101の内壁面との隙間から、ベッド11の下部に排気される。ベッド11の下部に排気された空気(エタノール除去済の空気)は、ファン20によって加熱部18で発生した蒸気と共に吸気される。従って、浄化装置120の排気方向は、保育器1の吸気方向と一致している。
【0099】
また、保育器1内において、ベッド11の衝立部12と収容室101の内壁面との隙間から、保育器1内で循環されている空気がベッド11の下部に吸引される。従って、浄化装置120は、ベッド11の衝立部12と収容室101の内壁面との隙間に余裕があれば、ベッド11の衝立部12に設置するのが好ましい。これにより、浄化装置220の排気方向と保育器1内で循環される空気の循環方向とを同じにできる。
【0100】
以上のように、第1筐体121内の第1除去部124では、シート状の活性炭を吸着材として用いることで、高濃度のエタノールを素早く大量に吸着し、第2筐体122内の第2除去部126では、ペレット状の活性炭を吸着材として用いることで、第1除去部114によって吸着しきれていないエタノールをゆっくり、もれなく吸着する。
【0101】
つまり、第1除去部124は、
図9に示すように、第2除去部126よりも吸気部121bに近い側に配置されている。つまり、吸引部125によって吸引された空気の流れの上流側に第1除去部124が配置され、下流側に第2除去部が配置されているので、吸気部121bから吸引された空気は、吸気部121bに近い側(空気の流れの上流側)に配置された第1除去部124によってエタノールが除去され、その後、空気の流れの下流側に配置された第2除去部126によってエタノールが除去されるので、第1除去部124で除去しれなかったエタノールを、第2除去部126で除去することができる。
【0102】
上述した第1除去部124で用いるシート状の活性炭における吸着特性を実現するための条件として、吸引される空気と接触する表面積が広いことが上げられる。
【0103】
従って、第1筐体121の吸気部121bから吸気された外気は、第1除去部124によって素早く大量にエタノールが吸着され、さらに、第2除去部126によってエタノールがもれなく吸着されるので、排気部122bから排気される外気にはほとんどエタノールが含まれない。
【0104】
浄化装置120は、
図1に示すように、保育器1の収容室101内に設置されるのが好ましい。このように、浄化装置120を収容室101内に設置すれば、収容室101内の空気からエタノールを除去することができる。これにより、保育器1の収容室101内の患児Xが、意図せずエタノールに暴露されてしまうことを回避することができる。
【0105】
通常、保育器1において収容室101内の空気は、温度および湿度が調整されている。従って、上述したように、浄化装置120は、収容室101内の空気を吸気して第1筐体121の第1除去部124によって素早く大量にエタノールが除去された空気を第2筐体122内の第2除去部126へと誘導し、該第2除去部126によってもれなくエタノールが除去された空気を収容室101内に排気する。これにより、収容室101内の温度および湿度を保ったまま、当該収容室101からエタノールを除去することができる。
【0106】
なお、前記実施形態4では、吸引部125を含む第1筐体121と、第2除去部126を含む第2筐体122とを一体化した浄化装置120について説明した。この場合、各筐体のスリム化を図ったとしても、第1筐体121内に含まれる吸引部125を構成するファンのスリム化を行うのが難しいため、保育器1によっては収容室101のベッド11の衝立部12に設置させるのが難しい場合もある。そこで、下記の実施形態2では、保育器1内のベッド11の衝立部12と収容室101との間に空間が小さい場合であっても、浄化した空気をベッド11に排気することができる浄化装置について説明する。
【0107】
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0108】
<浄化装置の概要>
図10は、本実施形態に係る浄化装置220の概略斜視図である。浄化装置220は、前記実施形態1の浄化装置120とほぼ同じ構造をしており、異なるのは、エタノールを除去した外気の排気構造である。ここで、浄化装置220を構成する各要素と、前記実施形態1の浄化装置120を構成する各要素との対応関係は、以下のようになる。第1筐体221は第1筐体121に対応し、第2筐体222は第2筐体122に対応し、前面221aは前面121aに対応し、吸気部221bは吸気部121bに対応し、上面221cは、下面121cに対応する。さらに、第1筐体221は、第1筐体121と同様に、内部に第1除去部124、吸引部125を備え、第2筐体222は、第2筐体122と同様に、内部に第2除去部126を備えている。ただし、第2筐体222においては、エタノールを吸着した後の外気を側面222aに設けられたチューブ223から排気するようになっている。チューブ223は、所定の長さを有するフレキシブルチューブであり、排気口223aを所望する方向に向けることが可能となっている。
【0109】
上記構成の浄化装置220は、第1筐体221を下側にして収容室101のベッド11の下に配置し、さらに、チューブ223の排気口223aもベッド11の下に配置する。ここで、排気口223aは、当該空気の排気する方向、すなわち排気する方向が、収容室101内における空気の循環する方向と同じ向きになるように配置する。これにより、浄化装置220は、ベッド11の下でエタノールを含む空気を吸引し、ベッド11の下でエタノールを除去した空気を収容室101内に循環させることができる。
【0110】
また、浄化装置220は、ベッド11の下に配置して使用するので、吸引部125内のファンを大きくすることが可能となり、吸引力をアップさせることが可能となる。つまり、収容室101内のベッド11の下における空間に浄化装置220を配置できる範囲内で、吸引部125内のファンの大きさを大きくして、吸引力をアップさせることが可能となる。このように、浄化装置220をベッド11の下に配置すれば、浄化装置220をベッド11の衝立部12上に設置する必要がない。従って、浄化装置220をベッド11下に配置することは、ベッド11の衝立部12と収容室101の内周面との隙間が大きくない場合、すなわち浄化装置220を衝立部12に設置するのが空間的に難しい場合に好適である。
【0111】
〔実施形態6〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0112】
<浄化装置の概要>
図11は、本実施形態にかかる浄化装置230の斜視図である。
図12は、
図11に示す浄化装置の概略断面図である。前記実施形態5では、浄化装置220の第1筐体221と第2筐体222とが一体となった構成の例について説明したが、これに限られるものではなく、
図11および
図12に示す浄化装置230のような構成であってもよい。浄化装置230は、第1筐体231と第2筐体232とが分離して、チューブ233によって接続された構造となっている。浄化装置230の第1筐体231は浄化装置220の第1筐体221に対応し、第2筐体232は第2筐体222に対応する。
【0113】
第1筐体231は、吸引部125を備え、前面231aから空気を吸引し、後面231b側から排気する。第1筐体231の前面231aには、当該第1筐体231内部に連通する開口部(図示せず)が形成され、この開口部にチューブ233が接続されている。このチューブ233は、
図10に示す浄化装置220のチューブ223と同じものである。
【0114】
第2筐体232は、断面略L字状で有り、第1除去部124および第2除去部126を備え、前面232aから導入された空気を第1除去部124および第2除去部126を介して後面232bから排気する。第2筐体232の後面232bには、当該第2筐体232内部に連通する開口部(図示せず)が形成され、この開口部にチューブ233が接続されている。従って、第2筐体232から排気される空気は、チューブ233を通して第1筐体231によって吸引される。
【0115】
なお、第1除去部124は、前記実施形態4の第1除去部124と同じシート状の活性炭を用いてエタノールを吸着し、第2除去部126は、前記実施形態1の第2除去部126と同じペレット状の活性炭を用いてエタノールを吸着する。また、第1除去部124および第2除去部126においては、エタノールを除去するために、吸着材によってエタノールを吸着するだけでなく、触媒によってエタノールを分解するようにしてもよい。
【0116】
第1筐体231は、ベッド11の下、すなわち載置面の下方に設置し、第2筐体232は、ベッド11の衝立部12、すなわち載置面の上方に設置する。この場合、第2筐体232の側面232dを衝立部12に近づけて設置する。このとき、第2筐体232の上部側の下面232cに前記実施形態1で説明した突起部121dと同じ突起部を設けて、この突起部によって第2筐体232を衝立部12に固定する。従って、浄化装置230は、
図12に示す状態で、第2筐体232の前面232aからエタノールを含む空気を吸気し、当該第2筐体232内の第1除去部124および第2除去部126によってエタノールが除去された空気がチューブ233を介して第1筐体231の吸引部125によって吸引され、当該第1筐体231の後面231bからベッド11の下の空間に排気される。
【0117】
上記構成の浄化装置230によれば、吸引部125を含む第1筐体231の筐体サイズが衝立部12と保育器1の収容室101の周壁との間の大きさに制限されず、吸引部125を大きくすることで、ファンのサイズを大きくし吸引量の増加を図ることができる。さらに、第2筐体232内の第1除去部124と第2除去部126のサイズを大きくでき、エタノールの吸着量や吸着材の耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0118】
また、第2筐体232において屈曲した部分の角(下面232cと側面232dとが交差する部分に対向する部位)が面取りされている。これにより、衝立部12と収容室101の周壁との間で、第2筐体232を揺動させる範囲を広げることができる。
【0119】
(浄化装置の駆動制御)
前記実施形態4、5、6の浄化装置120、220および230は、電源のオン・オフにより内部の吸引部125内のファンの駆動および停止を行うようになっている。この電源は、電池(1次電池、充電池等)であってもよく、外部電源であってもよく、また、外部電源と充電池との組み合わせであってもよい。浄化装置の使用の都度保育器内に設置する場合には、電源として電池が好ましく、浄化装置を常時保育器内に設置する場合には、外部電源が好ましい。通常、浄化装置は、保育器内で常設し、連続運転する場合には、電源は外部電源が好ましい。通常、収容室101内で患児Xに対して処置を行う際に、処置者(医師または看護師)によって電源をオンすることで、吸引部125のファンを駆動させる。また、浄化装置120、220および230における吸引力は、吸引部125内のファンの回転数によって調整することができるので、除去するエタノールの濃度に応じてファンの回転数を変えることで、適切にエタノールの吸引および除去を行うことができる。
【0120】
また、前記実施形態4、5、6の浄化装置120、220、230は、それぞれ動作状況(駆動状況)を表示する機能を有している。駆動状況を表示する機能とは、運転中であるか否か、停止中であるか否か、フィルタ(除去部の活性炭)交換要か否か、トラブル発生しているか否か、バッテリー低下しているか否か等を明示的に表示することを示す。この場合、駆動状況は、表示パネルに表示してもよいし、駆動状況に応じたランプを点灯させることによって表示してもよい。これにより、処置者は、浄化装置120、220、230の作動忘れを無くすことができる。また、浄化装置120、220、230は、フィルタの交換を促す表示をすることが可能となる。
【0121】
さらに、前記実施形態4、5、6の浄化装置120、220、230は、保育器1の開口部101aから出し入れし易く、取り扱い易い質量(例えば150g)であることが好ましい。
【0122】
(保育器1による効果)
上記構成の保育器1は、収容室101内の空気からエタノールを除去する除去部としてのエタノール除去装置110および浄化装置120を備えている。また、保育器1は、空気を収容室101に循環させる循環部410、空気を収容室101外から収容室101内に供給可能な供給部420、収容室101内の空気の少なくとも一部を収容室101外に排出可能な排出部430も備えている。保育器1は、収容室101外の空気を収容室101内に供給して収容室101内の空気のエタノールの濃度を低下させることができる。また、保育器1は、収容室101内の空気を循環させながら、除去部であるエタノール除去装置110および浄化装置120によって収容室101内の空気のエタノールを除去することができる。これにより、保育器1内の患児Xが、意図せずエタノールに暴露されてしまうことを回避することができる。
【0123】
なお、前記実施形態1では、保育器1に空調装置を構成する循環部410、供給部420、排出部430、および除去部(エタノール除去装置110、浄化装置120)を備えた例について説明した。しかしながら、除去部が保育器1に組み込まれていてもよい。例えば、保育器1のベッドの裏側(患児Xが寝ているのとは反対側)に温度や湿度を調整するヒーターが設けられており、ヒーターを設けた付近に浄化装置120を一つ設けてもよい。
【0124】
また、
図1に示す循環部410内に除去部としてのエタノール除去装置110、浄化装置120の少なくとも一方の装置を配置してもよい。この場合、循環部410には、既に吸引部が備えられているため、エタノールを吸着する吸着材、あるいはエタノールを分解する触媒を循環部410内の空気の流路上に配置すればよい。
【0125】
以下の実施形態7では、空調装置を構成する各部(循環部410、供給部420、排出部430)と、除去部(エタノール除去装置110、浄化装置120)とが保育器1の外部に備えられた例について説明する。
【0126】
〔実施形態7〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0127】
<保育システム>
図13は、本実施形態2に係る保育システム501の概略ブロック図である。なお、
図13に示す保育システム501の構成は一例を示しており、様々な形態をとる。保育システム501は、
図13に示すように、保育器1Aと、空調装置401と、除去装置(除去機構)402とを含む。保育器1Aは、前記実施形態1の保育器1とほぼ同じ構成であるが、収容室101内の空気の温度および湿度を調整するための空調装置401と、収容室101内の空気に含まれるエタノールを除去する除去装置402とを当該保育器1と別に設けている点で異なる。
【0128】
空調装置401は、循環部(循環機構)410、供給部(供給機構)420、排出部(排出機構)430を含む。循環部410、供給部420、排出部430の機能については、前記実施形態1において説明したので、ここでは省略する。空調装置401と保育器1Aの収容室101とはエアーチューブで接続されており、循環部410によって温度および湿度が調整された空気を、エアーチューブを介して収容室101に送り出す。一方、空調装置401の供給部420は、エアーチューブを介して新鮮な空気(清浄な空気:医療ガス)を収容室101に供給し、空調装置401の排出部430は、エアーチューブを介して収容室101内の空気の少なくとも一部を収容室101の外に排出する。排出部430は、収容室101に供給部420から供給された空気の量とほぼ同じ量の空気を排出する。従って、収容室101内の空気にエタノールが含まれていれば、排出部430から空気とともにエタノールも排出されることになるため、収容室101内のエタノール濃度を下げることができる。このように、空調装置401を用いることで、収容室101内のエタノール濃度をある程度下げることは可能である。しかしながら、収容室101内のエタノール濃度を積極的に下げるには、除去装置402を用いる必要がある。
【0129】
除去装置402は、空調装置401と同様にエアーチューブで収容室101と接続されており、収容室101内の空気を吸気し、吸気した空気に含まれるエタノールを除去し、エタノールを除去した空気を再度収容室101に送り出す。このようにして、除去装置402によって収容室101内のエタノールを積極的に除去することで、収容室101内のエタノール濃度を大幅に低減することができる。
【0130】
除去装置402は、基本的な構造として、エタノール除去装置110、浄化装置120と同じように、吸気部を有し、吸気部によって収容室101から吸気した空気に含まれるエタノールをペレット状の活性炭等によって吸着除去し、エタノールを吸着除去した空気を再び収容室101に戻す構造となっている。
【0131】
しかも、除去装置402は、収容室101の外部に設けられていることで、
図1に示すように、除去装置402を収容室101内部に配置する必要がない。これにより、収容室101内の患児Xを処置するためのスペースを広くし、処置をし易くできる。
【0132】
上記構成の保育システム501によれば、空調装置401によって、収容室101外の空気を収容室101内に供給して収容室101内の空気のエタノールの濃度を低下させながら、除去装置402によって収容室101内の空気のエタノールを除去することができる。これにより、保育器1Aの収容室101内のエタノールの濃度を大幅に低減することができるため、保育器1A内の患児Xが、意図せずエタノールに暴露されてしまうことを回避することができる。
【0133】
〔変形例1〕
前記実施形態1では、収容室101に処置用の開口部101aが2個設けられている例について説明したが、開口部101aの数については少なくとも2個であればよく、3個以上であってもよい。
【0134】
〔変形例2〕
前記実施形態1では、エタノール除去装置110の駆動制御を、各装置に設けられた操作部の操作によって行う例について説明したが、保育器1が備える操作パネル102aの操作によって行われるようにしてもよい。
【0135】
〔変形例3〕
前記実施形態1では、
図1に示すように、保育器1は、収容室101のベッド11の上部側で、循環部410による保育器1内の空気の循環、供給部420からの保育器1内への空気の供給、排出部430からの保育器1外への空気の排出を行っている。つまり、
図1に示す保育器1における主な空気の循環は、収容室101のベッド11の上部側で行われる。このため、収容室101のベッド11上の患児Xに空気の流れは、保育器1内の温度変化に影響を与える可能性がある。そこで、収容室101のベッド11上の患児Xに空気の流れによる温度変化の影響を少なくするために、例えば
図14に示す保育器2のように、収容室101のベッド11の下部側で、空気の保育器2内での循環、空気の保育器2内への供給、および空気の保育器2外の排出を行うようにすることが好ましい。なお、保育器2内から保育器2外への空気の排出方向については、保育器2内の空気の循環方向を阻害しない方向(例えば循環方向と同じ方向)に排出するのが好ましい。
【0136】
図14に示す保育器2は、図示されていないが、
図1と同じ循環部410と供給部420がベッド11の下部に配置されている。なお、
図14に示す保育器2は、前記実施形態1の
図1に示す排出部430のように保育器2の空気を積極的に保育器2外に排出する装置を設けず、保育器2内の空気を、収容室101の開口部101a、収容室101と載置台102との間に存在する僅かな隙間等を通して、保育器2外に排出させている。
【0137】
図14に示す保育器2は、ベッド11の下部に配置された循環部410によって温度および湿度が調整された空気が、保育器2の長辺側の内壁に沿ってベッド11の下部から収容室101の上部に導かれる。また保育器2は、保育器2の短辺側の内壁に沿ってベッド11上の空気がベッド11の下部の循環部410に導かれる。このように保育器2では、患児Xに空気の流れによる温度変化の影響が少ないように空気が循環している。
【0138】
従って、
図14に示す保育器2は、収容室101内の患児Xに保育器2内の空気の流れの影響を少なくした状態で、保育器2内の空気を清浄に保ち、且つ空気の温度・湿度を適切に保つことが可能となる。
【0139】
〔変形例4〕
前記実施形態1では、エタノール除去装置110に設けられた吸気部111cが筐体111の前面111aの長手方向に並列して設けられている例について説明したが、これに限定されるものではなく、空気を取り込むことができれば、どこに設けられてもよく、また、どのような構造であってもよい。また、前記実施形態1では、エタノール除去装置110に設けられた排気部111dが筐体111の後面111bに設けられている例について説明したが、これに限定されるものではなく、空気を排気できれば、どこに設けられてもよく、また、どのような構造であってもよい。さらに、エタノール除去装置110に設けられたガイド部112は、空気を吸気部111cに導くことができればどのような構造であってもよい。
【0140】
〔変形例5〕
前記実施形態1では、第1除去部114をカートリッジ型で、筐体111から着脱可能である例について説明した。同様に、第2除去部116もカートリッジ型であることが好ましい。この場合、カートリッジ型の第2除去部116は、第1除去部114と同様に、筐体111の上面から着脱可能にする。このように、第1除去部114、第2除去部116の何れもカートリッジ型であれば、筐体111からの着脱も容易であるので、各除去部における吸着材の交換が容易である。
【0141】
〔変形例6〕
前記実施形態1では、第1除去部114、吸引部115を流れる空気の方向がファンの回転軸方向と直交する方向であるため、吸引部に115に用いるファンはシロッコファンを用いていたが、これに限定されるものではい。例えば、第1除去部114、吸引部115を流れる空気の方向がファンの回転軸方向と同じ方向であれば、吸引部115に用いるファンとして軸流ファンを用いる。このように、第1除去部114、吸引部115の配置位置に応じて他の形式のファンを用いてもよい。また、吸引部115で用いるファンの数についても2個に限定されるものではなく、1個または3個以上であってもよい。さらに、ファンの種類や数は、必要とされる風量やバッテリー、消費電力を考慮して適宜決定すればよい。
【0142】
〔変形例7〕
前記実施形態1では、ガイド部112の載置部112aは、筐体111と一体に形成された例について説明したが、筐体111と別体で形成され、筐体111と接続可能に形成されてもよい。載置部112aを筐体111と別体とする場合、大きさや形状の異なる載置部112aを用意することができ、設置環境に応じたエタノール除去装置110を提供することができる。また、載置部112aの形状および大きさに関しては特に限定されるものではない。
【0143】
〔変形例8〕
前記実施形態1では、壁部112bが2つの例について説明したが、壁部112bは、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていればよいので、2つに限定されず、1つであってもよい。すなわち、ガイド部112は、壁部112bを少なくとも1つ有していればよい。
【0144】
また、前記実施形態1では、壁部112bは、筐体111の前面111a側が最も高く、前面111aから遠ざかるにつれて低くなる形状となっている例について説明したが、この形状に限定されるものではない。例えば、吸気部111cへの空気の導入のし易さを考慮した場合、壁部112bは、筐体111の前面111a側の高さと、前面111aから最も遠ざかった位置での高さとを同じにしてもよい。また、載置部112a上での処置のし易さを考慮した場合、壁部112bの高さはできるだけ低い形状にするのが好ましい。
【0145】
壁部112bは、前記実施形態1で説明したように、載置部112aと同一の種類の材料で形成されてもよいし、異なる種類の材料で形成されてもよい。さらに、壁部112bは、前記実施形態1で説明したように、載置部112aと一体的に形成されていてもよいし、載置部112aと別体に形成されていてもよい。また、壁部112bは、載置部112aと別体に形成されている場合、載置部112aから着脱自在であってもよい。また、ガイド部は、筐体111の天面を載置部112a側に少し延ばす構造(突き出す構造)としてもよい。このようにすることで、空気はガイド部によって効率よく吸気部111cに導かれる。
【0146】
〔変形例9〕
前記実施形態2では、ガイド部212の第1壁部212bおよび第2壁部212cの形状は、前記実施形態1のガイド部112に設けられた壁部112bと同じ形状であるとしているが、この形状に限定されるものではない。例えば、吸気部111cへの空気の導入のし易さを考慮した場合、第1壁部212bは、筐体111の前面111a側の高さと、前面111aから最も遠ざかった位置での高さとを同じにしてもよい。また、載置部212a上での処置のし易さを考慮した場合、第1壁部212bおよび第2壁部212cの高さは、できるだけ低い形状にしてもよい。
【0147】
第2壁部212cは、第1壁部212bと同一の形状であってもよいし、異なる形状であってもよいし、処置をする際に邪魔にならない形状であればよい。さらに、第2壁部212cの高さは低いほうが載置部212a上での処置がし易い。また、第2壁部212cを設ける数は、5つに限定されるものではなく、5つより少なくてもよいし、5つよりも多くてもよい。また、第1壁部212bおよび第2壁部212cは、載置部212aと別体に形成されている場合、載置部212aから着脱自在であってよい。また、第2壁部212cは、載置部212aの一部(例えば、第1壁部212b近傍)のみに設けるようにしてもよい。このようにすることで処置対象を載置し易いスペースを載置部212aに確保しつつ、空気を吸気部111cに導き易くなり、短時間で空気に含まれるエタノールを除去することが可能となる。
【0148】
〔変形例10〕
前記実施形態1、2のエタノール除去装置110および210では、通常、ガイド部112および筐体111、ガイド部212および筐体111をベッド11の表面11aに載置した状態で使用するが、これに限定されるものはでない。例えば、エタノール除去装置110のガイド部112およびエタノール除去装置210のガイド部212の先端をベッド11の表面11aに接触させて、当該表面11aから所定の角度θ(0≦<θ<90°)に傾けた状態を保持して、載置部112aおよび載置部212aに載置されたエタノールの発生源(例えば酒精綿)から発生するエタノールを含む空気を吸気部111cに導くようにしてもよい。
【0149】
〔変形例11〕
前記実施形態3では、
図6に示すように、酒精綿Yを直接ベッド11上に載置していたが、これに限定されるものではなく、トレイ(図示せず)に載せて、当該トレイをベッド11上に載置するようにして、ガイド部112によってエタノールを含む空気を吸気部111cに導くようにしてもよい。
【0150】
〔変形例12〕
前記実施形態3では、壁部112bを2つ形成した例について説明したが、壁部112bは吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていればよいので、2つに限定されず、1つであってもよい。すなわち、ガイド部112は、酒精綿Yが載置されたベッド11の表面の所定の範囲Zを囲む壁部112bを少なくとも1つ有していればよい。
【0151】
また、前記実施形態3では、壁部112bは、筐体111の前面111a側が最も高く、前面111aから遠ざかるにつれて低くなる形状となっている例について説明したが、この形状に限定されるものではなく、例えば、吸気部111cへの空気の導入のし易さを考慮した場合、壁部112bは、筐体111の前面111a側の高さと、前面111aから最も遠ざかった位置での高さとを同じにしてもよい。また、ガイド部112をベッド11の表面11aに載置した状態で、酒精綿Yの載置面上での処置のし易さを考慮した場合、壁部112bの高さをできるだけ低い形状にするのが好ましい。また、壁部112bは、筐体111から着脱自在であってもよい。
【0152】
空気を筐体111の吸気部111cに確実に導くには、ガイド部112の少なくとも一部が吸気部111cに接続されていればよい。具体的には、ガイド部112の壁部112bの前面111a側の端部が吸気部111cに接続されていればよい。この場合、ガイド部112によって吸気部111cに導かれる空気は、当該ガイド部112の壁部112bの前面111a側の端部と吸気部111cとの間から漏れにくく、多くの空気が吸気部111cに導かれる。つまり、ガイド部112の少なくとも一部が、吸気部111cに接続されていることで、空気を確実に吸気部111cまで導くことができる。また、筐体111の天面を載置部(例えばベッド11の表面11a)側に少し延ばす構造(突き出す構造)としてガイド部としてもよい。このようにすることで、空気を効率よく吸気部111cに導くことができる。
【0153】
〔変形例13〕
前記実施形態3では、エタノール除去装置110Aの使用例として、
図7に示すように、エタノール除去装置110Aを、ガイド部112の壁部112bの先端をベッド11の表面11aに接触させて、当該表面11aから所定の角度θ(0≦<θ<90°)に傾けた状態で使用する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、エタノール除去装置110Aのガイド部112には壁部112bのみが形成されているので、壁部112bの先端をベッド11の表面11aに接触させて、エタノール除去装置110をベッド11の表面11aから所定の角度θ(90°<θ≦180°)に傾けた状態で使用してもよい。つまり、エタノール除去装置110Aは、ベッド11の表面11aに対して垂直でない方向から吸気部111cに導くように使用してもよい。
【0154】
〔変形例14〕
前記実施形態3では、エタノール除去装置110Aが備える除去部として、第1除去部114の1つの除去部の例について説明したが、これに限定されるものではなく、除去部は2つ以上であってもよい。
【0155】
第1除去部114は、
図16に示すように、シート状の活性炭からなり、吸気部111cから吸気された空気に含まれるエタノールの大部分を素早く吸着する。従って、第1除去部114は、空気に含まれるエタノールの量が少なければ、全てのエタノールを吸着することになる。
【0156】
第2除去部116は、ペレット状の活性炭からなり、吸引部115によって吸引された空気に含まれるエタノールをゆっくり確実に吸着する。第2除去部116によってエタノールが吸着された空気は、筐体111の後面111bに設けられた排気部111dから排気される。
【0157】
以上のように、第1除去部114では、シート状の活性炭を吸着材として用いることで、高濃度のエタノールを素早く大量に吸着し、第2除去部116では、ペレット状の活性炭を吸着材として用いることで、第1除去部114によって吸着しきれていないエタノールをゆっくり吸着する。
【0158】
従って、筐体111の吸気部111cから吸気された空気は、第1除去部114によって素早く大量にエタノールが吸着され、さらに、第2除去部116によってエタノールがもれなく吸着されるので、吸気部111cから吸気された空気中のエタノールを十分に除去することができる。
【0159】
〔変形例15〕
前記実施形態3では、前記実施形態1と同様に、第1除去部114、吸引部115を流れる空気の方向がファンの回転軸方向と直交する方向であるため、吸引部に115に用いるファンはシロッコファンを用いていたが、これに限定されるものではい。例えば、第1除去部114、吸引部115を流れる空気の方向がファンの回転軸方向と同じ方向であれば、吸引部115に用いるファンとして軸流ファンを用いる。このように、吸引部115に用いるファンは、第1除去部114、吸引部115の配置位置に応じて他の形式のファンを用いてもよい。また、吸引部115で用いるファンの数は2個に限定されるものではなく、1個または3個以上であってもよい。さらに、ファンの種類や数は、必要とされる風量やバッテリー、消費電力を考慮して適宜決定すればよい。
【0160】
〔変形例16〕
前記実施形態1~3では、エタノール除去装置110、210および110Aが備える除去部として、第1除去部114の1つの除去部の例について説明したが、これに限定されるものではなく、除去部は2つ以上であってもよい。
【0161】
例えば、筐体111内に、
図15に示すように、吸気部111c側から排気部111dに向かって順に、第1除去部114、吸引部115、第2除去部116が配置されていてもよい。
【0162】
第1除去部114は、シート状の活性炭からなり、第2除去部116と比較して、吸気部111cから吸気された空気に含まれるエタノールの大部分を素早く吸着する。換言すると、第1除去部114は、第2除去部116よりも吸着速度の観点においては吸着性能が高い。従って、空気に含まれるエタノールの量が少なければ、第1除去部114において全てのエタノールが吸着されることになる。しかしながら、第1除去部114は、シート状の活性炭からなるので、第2除去部116と比較して、持続性の観点においては吸着性能が低下しやすい。
【0163】
一方、第2除去部116は、ペレット状の活性炭からなり、第1除去部114と比較して、吸引部115によって吸引された空気に含まれるエタノールをゆっくり吸着する。換言すると、第2除去部116は、第1除去部114よりも吸着速度の観点においては吸着性能が低い。しかしながら、第2除去部116は、ペレット状の活性炭からなるので、第1除去部114と比較して、持続性の観点においては吸着性能が低下し難い。第2除去部116によってエタノールが吸着された空気は、筐体111の後面111bに設けられた排気部111dから排気される。
【0164】
以上のように、第1除去部114は、シート状の活性炭を吸着材として用いることで、高濃度のエタノールを素早く大量に吸着し、第2除去部116は、ペレット状の活性炭を吸着材として用いることで、第1除去部114によって吸着しきれていないエタノールをゆっくり吸着する。
【0165】
従って、筐体111の吸気部111cから吸気された空気は、第1除去部114によって素早く大量にエタノールが吸着され、さらに、第2除去部116によってエタノールがもれなく吸着されるので、吸気部111cから吸気された空気中のエタノールを十分に除去することができる。
【0166】
〔変形例17〕
前記実施形態1~3の第1除去部114において使用する吸着材として、ペレット状の活性炭を用いる例について説明したが、これに限定されず、シート状の活性炭、およびペレット状の活性剤等の他の吸着材を使用してもよい。
【0167】
また、前記変形例16では、第1除去部114において使用する吸着材として、シート状の活性炭を用い、第2除去部116において使用する吸着材としてペレット状の活性炭を用いる例について説明したが、これらに限定されず、各除去部において他の吸着材を使用してもよい。
【0168】
さらに、前記変形例16では、第1除去部114と第2除去部116においてそれぞれ使用される吸着材は異なっている例について説明したが、同じであってもよい。また、エタノールを除去するために、吸着材によってエタノールを吸着する以外に、エタノールを触媒によって分解するようにしてもよい。
【0169】
さらに、エタノールの吸着と分解を両方行って除去するようにしてもよい。例えば、第1除去部114と第2除去部116のそれぞれに、吸着材と触媒を備え、一つの除去部内で吸着材によるエタノールの吸着と触媒によるエタノールの分解を行うようにしてもよい。あるいは、第1除去部114が触媒によってエタノールを分解し、第2除去部116が吸着材によってエタノールを吸着してもよいし、第1除去部114が吸着材によってエタノールを吸着し、第2除去部116が触媒によってエタノールを分解してもよい。なお、第1除去部114と第2除去部116において使用される吸着材、または触媒は、第1除去部114と第2除去部116とで同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0170】
また、第1除去部114、第2除去部116は、吸着や分解する対象が異なっていてもよい。例えば、第1除去部114は、エタノール以外の揮発性物質を吸着または分解し、第2除去部116は、エタノールを吸着または分解するようにしてもよく、あるいは、第1除去部114は、エタノールを吸着または分解し、第2除去部116は、エタノール以外の揮発性物質を吸着または分解するようにしてもよい。
【0171】
〔変形例18〕
前記実施形態1~3のエタノール除去装置110、210および110Aでは、電源のオン・オフによって駆動制御を行っていたが、これに限定されるものではない。例えば、収容室101内にエタノールの濃度を検知する濃度センサを設置し、濃度センサの検知信号に基づき、エタノール除去装置110および210の駆動制御を行うようにしてもよい。例えば、濃度センサの検知信号が示すエタノールの濃度が、所定濃度以上になったときに、エタノール除去装置110、210および110Aのファンの駆動を開始させ、所定濃度よりも下がれば、エタノール除去装置110、210および110Aのファンの駆動を停止させるようにしてもよい。さらに、エタノール除去装置110、210および110Aが駆動している間、濃度センサの検知信号が示すエタノールの濃度が所定濃度よりもさらに上昇したことを示せば、吸引部115内のファンの回転数を上げるようにして、吸引力を上げて収容室101内のエタノールをより積極的に吸引するようにしてもよい。これにより、迅速にエタノールを吸引して除去することができる。
【0172】
〔変形例19〕
前記実施形態1~3のエタノール除去装置110、210および110Aでは、第1除去部114と吸引部115との間には、ガスセンサ117を設け、第1除去部114から排出される空気に含まれるエタノール濃度を検出する例について説明したが、
図15および
図16に示すように、第1除去部114に加えて、第2除去部116を備えた場合であっても、ガスセンサ117をそれぞれの除去部の排気側に設けてもよい。
【0173】
この場合、エタノール除去装置110、210および110Aの制御部(図示せず)は、ガスセンサ117の検出したエタノール濃度から、第1除去部114、第2除去部116の吸着状態(破過(吸着機能を超えて吸着して、吸着対象が漏れている状態)している状態か、あるいは十分に吸着できている状態か)を判断する。また、制御部は、ガスセンサ117を用いて、第1除去部114、第2除去部116の吸着状態を判断することに限定されず、他の方法(ガスセンサ117以外のセンサを用いる方法)によって第1除去部114、第2除去部116の吸着状態を判断してもよい。
【0174】
ガスセンサ117を含む検知手段は、エタノール除去装置110、210および110A内に設けてもよく、エタノール除去装置110、210および110A外に設けてもよいが、例えば、第1除去部114の下流側(第1除去部114と第2除去部116の間)に設けることが好ましい。このようにすることで、第1除去部114は、第1除去部114の吸着機能の低下にともない、第1除去部114の吸着量が十分発揮できない状態や、第2除去部116の吸着量が増大し第2除去部116が破過する状態となる前に交換することが可能となる。また、第2除去部116の下流側に検知手段を設け、第2除去部116の吸着状態を検知するようにしてもよい。あるいは、第1除去部114と第2除去部116との間と、第2除去部116の下流側の両方に検知手段を設け、第1除去部114と第2除去部116の両方の吸着状態を検知するようにしてもよい。
【0175】
また、収容室101内に設けたエタノール濃度を検知する濃度センサの検知結果と、前記吸着状態を検知する検知手段の検知結果とを組み合わせてエタノール除去装置110および210の駆動制御を行うようにしてもよい。
【0176】
さらに、ガスセンサ117を、第1除去部114の上流側に設けてもよい。この場合、ガスセンサ117は、第1除去部114によってエタノールが吸着される前の空気に含まれるエタノール濃度を検知する。すなわちガスセンサ117は、保育器1内の空気に含まれるエタノールの濃度を検知する。ガスセンサ117が検知したエタノール濃度から吸引部115のファンの駆動制御を行うようにしてもよい。例えば、ガスセンサ117が検知したエタノール濃度に応じて、吸引部115のファンの回転数を制御する。つまり、エタノール濃度が高ければ、ファンの回転数を上げ、エタノール濃度が低ければ、ファンの回転数を下げるようにする。
【0177】
また、エタノール除去装置110、210および110Aは、通信部を備え、ガスセンサ117が検知したエタノール濃度の情報を通信部を使用して外部機器に通信し、保育器内のエタノール濃度をモニタリングするモニタリング装置に使用してもよい。
【0178】
〔変形例20〕
本変形例では、
図11に示すように、第1開口部114bの上から下に向かって延設された第1遮蔽部材121が、第1開口部114bの一部を塞ぐようになっている。また、第2開口部114cの下から上に向かって延設された第2遮蔽部材122が、第2開口部114cの一部を塞ぐようになっている。第1遮蔽部材121は、第1開口部114bの上側3分の2程度塞ぎ、第2遮蔽部材122は、第2開口部114cの下側3分の2程度塞いでいる。この場合、
図17に示すように、吸気部111cから入った空気は、第1除去部114の第1開口部114bの下側から入り、第2開口部114cの上側から出て、そのまま吸引部115によって吸引される。つまり、第1除去部114内に取り込まれた空気は、ペレット状の活性炭114aの下から上に向かって流れるようになるため、ペレット状の活性炭114aのほぼ全域に空気を行き渡らせた後、第1除去部114から排気される。なお、第1遮蔽部材121および第2遮蔽部材122の設け方は、
図11に示す例に限定されない。例えば、第1遮蔽部材121を第1開口部114bの下から上に向かって形成し、第2遮蔽部材122を第2開口部114cの上から下に向かって形成してもよく、第1遮蔽部材121および第2遮蔽部材122のどちらかのみが設けられるようにしてもよい。この場合、第1除去部114内に取り込まれた空気は、ペレット状の活性炭114aの上から下に向かって流れ、ペレット状の活性炭114aのほぼ全域に行き渡る。なお、第1遮蔽部材121および第2遮蔽部材122の長さ、換言すると第1開口部114bおよび第2開口部114cをどの程度塞ぐのかは、上述した内容に限定されず、吸着部の吸着性能や空気の流量などを考慮して適宜設定すればよい。
【0179】
〔変形例21〕
前記実施形態1~3では、エタノール除去装置110、210および110Aの電源のオン・オフは、各装置が備える操作部の電源ボタンを操作することで行う例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、エタノール除去装置110、210および110Aは、傾斜センサが設けられ、傾斜センサによる検知信号に基づき吸引部115のファンの駆動制御することが考えられる。この場合、エタノール除去装置110、210および110Aは、主電源をオンにした状態で、傾斜センサの検知信号が地面に対する傾斜角度が0°±5°であることを示していれば、使用状態であると判断し、吸引部115のファンを駆動させてエタノールの吸着動作を実行する。一方、エタノール除去装置110、210および110Aは、主電源をオンにした状態で、傾斜センサの検知信号が地面に対する傾斜角度が60°±20°であることを示していれば、停止状態であると判断し、吸引部115のファンを停止させてエタノールの吸着動作を停止する。つまり、エタノール除去装置110、210および110Aは、主電源がオンされていても、使用状態か停止状態かを把握してから、吸引部115のファンの駆動を制御するようになっているので、装置の作動忘れおよび停止忘れを防止することができる。なお、傾斜センサによって、使用状態であると判断するための角度、および停止状態であると判断するための角度は、上述した数値に限定されず、適宜設定すればよい。
【0180】
〔変形例22〕
前記実施形態1~3では、エタノール除去装置110、210および110Aは、吸気側に風速を検出するセンサ(以下、風速センサと称する)を設けてもよい。この場合、エタノール除去装置110、210および110Aにおける制御部は、風速センサによって検出された風速に応じて、吸引部115のファンを回転させるモータの駆動を制御する。制御部は、例えば、風速センサが所定範囲内の風速を検知すれば、吸引部115のファンの回転数を一定に保つようにモータを制御する。制御部は、例えば、風速センサが所定範囲を超えて一定の風速よりも速い風速であると検知すれば、吸引部115のファンの回転数を下げるようにモータを制御し、一定の風速よりも遅い風速であると検知すれば、吸引部115のファンの回転数を上げるようにモータを制御する。これにより、エタノール除去装置110、210および110Aは、特に、吸引部115のファンを回転させるモータが過剰に作動することで、保育器1(2)内の環境に影響することを防ぐことができる。このように、エタノール除去装置110、210および110Aは、風速センサを備えることで、吸気側の風速を常に監視することが可能となる。この結果、エタノール除去装置110、210および110Aは、自身に対して、適量の空気を吸引させることが可能となる。
【0181】
〔変形例23〕
前記実施形態4では、収容室101に処置用の開口部101aが2個設けられている例について説明したが、開口部101aの数については少なくとも2個であればよく、3個以上であってもよい。
【0182】
〔変形例23〕
前記実施形態4では、浄化装置120の駆動制御を、各装置に設けられた操作部の操作によって行う例について説明したが、保育器1が備える操作パネル102aの操作によって行われるようにしてもよい。
【0183】
〔変形例24〕
前記実施形態4では、
図1に示すように、浄化装置120をベッド11の片側(患児Xの頭側)に2つ配置している例を示しているが、これに限定されるものでなく、医療行為の邪魔にならず、適切にエタノール除去ができれば、浄化装置120を反対側(患児Xの足側)に2つ配置してもよいし、ベッド11の両側に浄化装置120を一つずつ配置してもよい。設置される浄化装置120の数は1つでも、3つ以上でもよい。
【0184】
〔変形例25〕
前記実施形態4では、突起部121dは、第1筐体121と一体的に設けられる例について説明したが、これに限定されるものではなく、突起部121dは、第1筐体121と別体に設けられていてもよい。
【0185】
〔変形例26〕
前記実施形態4では、第1筐体121に設けられた突起部121dは、当該第1筐体121の幅方向(第1筐体121内での排気方向に直交する方向)に向かって、連続して設けられる例について説明したが、これに限定されず、断続的に設けられていてもよい。また、突起部121dは、第1筐体121の下面121cの幅方向(第1筐体121内での排気方向に直交する方向)の両端部に一つずつ設けられていてもよい。突起部121dの形状については、特に限定されるものではなく、第2筐体122の側面122cによって衝立部12を挟み込むことができる形状であればよい。なお、突起部121dは、衝立部12の厚みに応じて、突起部121dから第2筐体122の側面122cまでの距離を調整するように可動するようにしてもよい。
【0186】
〔変形例27〕
前記実施形態4では、第1除去部124において使用する吸着材としては、シート状の活性炭の例について説明したが、これに限定されず、エタノールを吸着するものであれば、他の吸着材を使用してもよい。
【0187】
〔変形例28〕
前記実施形態4では、吸引部125から第2除去部126を流れる外気の送風方向が、第1除去部124から吸引部125を流れる外気の送風方向に対して直交する方向であるため、回転軸方向に対して直交する方向に風を吹き出すシロッコファンを用いた例について説明したが、これに限定されるものではない。ファンの型式については、第1筐体121と第2筐体122との構造に応じて変更すればよい。例えば、第1筐体121における吸引方向と排気方向とが同じであれば、軸流ファンを用いてもよい。また、吸引部125で用いるファンの数についても2個に限定されるものではなく、1個または3個以上であってもよい。従って、ファンの型式や数は、浄化装置に採用する電源方式、消費電力、必要な流量等を考慮して選定する。
【0188】
〔変形例29〕
前記実施形態4では、第2除去部126において使用する吸着材としては、ペレット状の活性炭の例について説明したが、これに限定されず、エタノールを吸着するものであれば、他の吸着材を使用してもよい。
【0189】
〔変形例30〕
前記実施形態4では、第1除去部124と第2除去部126においてそれぞれ使用される吸着材が異なっている例について説明したが、同じであってもよい。また、エタノールを除去するために、吸着材によってエタノールを吸着する以外に、エタノールを触媒によって分解するようにしてもよい。
【0190】
さらに、エタノールの吸着と分解を両方行って除去するようにしてもよい。例えば、第1除去部124と第2除去部126のそれぞれに、吸着材と触媒を備え、一つの除去部内で吸着材によるエタノールの吸着と触媒によるエタノールの分解を行うようにしてもよい。あるいは、第1除去部124が触媒によってエタノールを分解し、第2除去部126が吸着材によってエタノールを吸着してもよいし、第1除去部124が吸着材によってエタノールを吸着し、第2除去部126が触媒によってエタノールを分解してもよい。
【0191】
また、第1除去部124、第2除去部126において、吸着や分解する対象が異なっていてもよい。例えば、第1除去部124は、エタノール以外の揮発性物質を吸着または分解し、第2除去部126は、エタノールを吸着または分解するようにしてもよく、あるいは、第1除去部124は、エタノールを吸着または分解し、第2除去部126は、エタノール以外の揮発性物質を吸着または分解するようにしてもよい。また、第1除去部124、第2除去部126は交換可能でもよい。
【0192】
〔変形例31〕
前記実施形態4では、第1筐体121内に一つの第1除去部124、第2筐体122内に一つの第2除去部116を設けた例について説明したが、第1除去部124、第2除去部126の何れか一方のみであってもよいし、第1筐体121および第2筐体122のそれぞれに2つ以上の除去部を設けてもよい。これらの除去部において揮発性物質を除去する方法は同じであってもよいし、異なってもよい。
【0193】
〔変形例32〕
前記実施形態5では、浄化装置220のチューブ223の排気口223aの設置位置がベッド11の下である例について説明したが、これに限られない。浄化装置220のチューブ223の排気口223aの設置位置は、ベッド11上の患児Xに影響を与えない箇所、保育器1内の循環への影響が少ない箇所へ空気を排気する位置であれば、どこでもよい。特に、浄化装置220におけるチューブ223の排気口223aの設置位置は、排気口223aから排気される空気をベッド11上の患児に直接吹き付けない位置であればよい。例えば、収容室101を構成する周囲の壁に向かって空気を排気するようにすれば、ベッド11の上にチューブ223の排気口223aを設置してもよい。
【0194】
〔変形例33〕
前記実施形態5では、浄化装置220をベッド11の下に配置する例について説明したが、浄化装置220の位置は、これに限られない。例えば、ベッド11の衝立部12と収容室101の内壁面との隙間に余裕があれば、ベッド11の衝立部12に浄化装置220を設置してもよい。この場合、第1筐体221を上側にして、第2筐体222の側面222bを衝立部12に近づけて設置する。このとき、第1筐体221の上面221cに前記実施形態1で説明した突起部121dと同じ突起部を設けて、この突起部によって浄化装置220を衝立部12に固定する。この場合、浄化装置220のチューブ223の排気口223aはベッド11の下の空間に向くように、チューブ223を設置する。
【0195】
また、浄化装置220をベッド11の表面11aに設置してもよい。この場合、第1筐体221をベッド11の表面11aにおける患児の処置の邪魔にならない位置に設置し、チューブ223の排気口223aはベッド11の下の空間に向くように、チューブ223を設置する。
【0196】
〔変形例34〕
浄化装置220の構成のうち、吸引部125を含む第1筐体221の小型化が難しく、第2除去部126を含む浄化部である第2筐体222の小型化、特に厚みを薄くすることは容易である。従って、吸引部125を含む第1筐体221と、浄化部である第2筐体222とを分離した構成とし、第1筐体221をベッド11下に設置し、第2筐体222をベッド11の衝立部12に設置するようにしてもよい。
【0197】
具体的には、第1筐体221と第2筐体222との間に、例えば
図10の浄化装置220が備えるチューブ223のようなフレキシブルチューブを設け、第1筐体221によって吸引した外気を、フレキシブルチューブを介して第2筐体222に送ることが考えられる。この場合、吸引部125を含む第1筐体221の設置場所(ベッド11下)と、浄化部である第2筐体222との設置場所(衝立部12上)との距離に応じて、フレキシブルチューブの長さを設定すればよい。
【0198】
本変形例の浄化装置では、ファンを有する吸引部125を含む第1筐体221と浄化部である第2除去部126を含む第2筐体222とを分離させることで、小型化が難しい第1筐体221をベッド11下に配置し、小型化が容易な第2筐体222のみを衝立部12に設置させるようにしている。これにより、スペース的に衝立部12に第1筐体221を設置させるのが難しい場合であっても、浄化部を構成している第2筐体222のみを衝立部12に設置させることによって、収容室101内の空気の浄化を行うことができる。
【0199】
〔変形例35〕
また、実施形態4の第1筐体121および実施形態5の第2筐体222において屈曲した部分の角が面取りされていてもよい。これにより、浄化装置120、220を収容室101内に設置した際に、衝立部12と収容室101の周壁との間で、第1筐体121、第2筐体222を揺動させる範囲を広げることができる。
【0200】
〔変形例36〕
前記実施形態4~6の浄化装置120、220、230では、電源のオン・オフによって駆動制御を行っていたが、これに限定されるものではない。例えば、また、収容室101内にエタノールの濃度を検知する濃度センサを設置し、濃度センサの検知信号に基づき、浄化装置120、220および230の駆動制御を行うようにしてもよい。例えば、濃度センサの検知信号が示すエタノールの濃度が、所定濃度以上になったときに、吸引部125のファンの駆動を開始させ、所定濃度よりも下がれば、吸引部125のファンの駆動を停止させるようにしてもよい。さらに、浄化装置120、220および230が駆動している間、濃度センサの検知信号が示すエタノールの濃度が所定濃度よりもさらに上昇したことを示せば、吸引部125内のファンの回転数を上げるようにして、吸引力を上げて収容室101内のエタノールをより積極的に吸引するようにしてもよい。これにより、迅速にエタノールを吸引して除去することができる。
【0201】
さらに、浄化装置120、220および230に、第1除去部124や第2除去部126の吸着状態を検知するための検知手段を設けてもよい。検知手段は、エタノール濃度を検知する濃度センサであってもよい。この場合、浄化装置120、220および230は、検知手段が検知したエタノール濃度によって、第1除去部124、第2除去部126の吸着状態(破過(吸着機能を超えて吸着などして、吸着対象が漏れている状態)している状態か、あるいは十分に吸着できている状態か)を判断する。
【0202】
前記検知手段は、浄化装置120、220および230内に設けてもよく、浄化装置120、220および230外に設けてもよいが、たとえば、第1除去部124の下流側(第1除去部124と第2除去部126の間)に設けることが好ましい。このようにすることで、第1除去部124の吸着状態を検知でき、たとえば第1除去部124の吸着機能の低下にともない、十分な吸着機能を発揮できない状態や、第2除去部126での吸着量が増大し第2除去部126が破過する状態となる前に第1除去部124を交換することが可能となる。また、第2除去部126の下流側に検知手段を設け、第2除去部126の吸着状態を検知するようにしてもよい。あるいは、第1除去部124と第2除去部126との間と、第2除去部126の下流側の両方に検知手段を設け、第1除去部124と第2除去部126の両方の吸着状態を検知するようにしてもよい。
【0203】
また、収容室101内に設けたエタノール濃度を検知する濃度センサの検知結果と、前記吸着状態を検知する検知手段の検知結果とを組み合わせて浄化装置120、220および230の駆動制御を行うようにしてもよい。
【0204】
さらに、検知手段を、第1除去部124の上流側に設けてもよい。この場合、検知手段は、第1除去部124によってエタノールが吸着される前の空気に含まれるエタノール濃度を検知する。すなわち検知手段は、保育器1内の空気に含まれるエタノールの濃度を検知する。検知手段が検知したエタノール濃度から吸引部125のファンの駆動制御を行うようにしてもよい。
【0205】
この場合、浄化装置120、220および230の制御部(図示せず)は、検知手段が検知したエタノール濃度に応じて、吸引部125のファンを回転させるモータの駆動を制御する。例えば、制御部は、検知手段が検知したエタノール濃度が所定の値よりも高ければ、ファンの回転数を上げるようにモータの駆動を制御し、一方、検知手段が検知したエタノール濃度が所定の値以下であれば、ファンの回転数を下げるようにモータの駆動を制御する。
【0206】
また、浄化装置120、220および230は通信部を備え、通信部は、検知手段が検知したエタノール濃度を示す情報を外部機器に通信することで、保育器1内のエタノール濃度をモニタリングするようにしてもよい。すなわち、浄化装置120、220および230は、保育器1内のエタノール濃度をモニタリングするモニタリング装置として機能する。
【0207】
〔変形例37〕
浄化装置120による患児への影響を抑制するために、浄化装置120の吸気部121bは、患児より高い位置に存在する。このようにすることで、エタノールの除去率を高めることができるとともに、吸気部121bによる吸気によって患児の周囲の気流速度が速くなることで患児へ悪影響を及ぼすことを抑制することができる。例えば、浄化装置120の吸気部121bは、ベッド11の衝立部12の上から、ベッドステージ13内に設けられた底部ファンまでの間であって、患児と同じ高さ以外に設定されていればよい。また、吸気部121bは、ベッド11の周囲からの気流が保育器1(2)内の換気ファン(図示せず)に到達するまでの部分に設置されていればよい。
【0208】
〔変形例38〕
前記実施形態4~6では、浄化装置120、220および230は、吸気側に風速を検出するセンサ(以下、風速センサと称する)を設けてもよい。この場合、浄化装置120、220および230における制御部は、風速センサによって検出された風速に応じて、吸引部125、225のファンを回転させるモータの駆動を制御する。制御部は、例えば、風速センサが所定範囲内の風速を検知すれば、吸引部125、225のファンの回転数を一定に保つようにモータを制御し、風速センサが所定範囲を超えて一定の風速よりも速い風速であると検知すれば、吸引部125、225のファンの回転数を下げるようにモータを制御し、一定の風速よりも遅い風速であると検知すれば、吸引部125、225のファンの回転数を上げるようにモータを制御する。これにより、浄化装置120、220および230は、特に、吸引部125、225のファンを回転させるモータが過剰に作動することで、保育器1(2)内の環境に影響することを防ぐことができる。このように、吸引部125、225のファンは、風速センサを備えることで、吸気側の風速を常に監視することが可能となる。この結果、吸引部125、225のファンは、自身に対して、適量の空気を吸引させることが可能となる。
【0209】
〔変形例39〕
浄化装置120、220および230の吸気部121b、221bは、保育器1(2)の空気の循環を阻害しない位置に設けるのが好ましい。吸気部121b、221bは、特に、保育器1(2)内の患児Xの周囲の空気の循環を変動させない位置に設けるのが好ましい。さらに、吸気部121b、221bは、エタノールが保育器ファン(図示せず)で保育器1(2)全域に拡散されないように、保育器1(2)内の患児Xに対して医療処置が行われるベッド11の上から空気が流れ落ちる部位から、保育器1(2)本体の換気ファン(図示せず)の間に設けることが好ましい。
【0210】
〔変形例40〕
浄化装置120、220および230において、排気部122b、排気口223aから排気される空気の流量を検知する流量センサが設けられてもよい。浄化装置120、220および230の制御部は、流量センサによって検知された流量が所定範囲内の流量であれば、吸引部125のファンの動作は正常であると判定し、流量センサによって検知された流量が所定範囲を超えた流量であれば、除去機能に異常があると判定する。この場合の除去機能に異常があるとは、吸引部125のファンの動作が正常でない場合、あるいは、排気部122b、排気口223aから空気が排気できない場合を示す。空気が排気できない場合とは、排気部122b、排気口223aがフィルタの目詰まり、あるいは異物によって詰まった状態が考えられる。そして、浄化装置120、220および230は、除去機能に異常があると判定した場合、除去機能が異常であることを処置者に報知する。これにより、エタノールが除去できない状態で、浄化装置120、220および230を使用し続けることがない。よって、流速センサが設けられた浄化装置120、220および230は、安全管理上好ましい装置といえる。なお、浄化装置120、220および230において、流量センサは、それぞれの第1除去部124と第2除去部126との間に設けられていてもよい。
【0211】
〔変形例41〕
前記実施形態7では、供給部420が医療ガスを供給する例について説明したが、これに限られない。供給部420は、医療ガスを供給する以外、例えば保育器1外の空気(例えば保育器1が設置されたNICU(新生児集中治療室)内の空気)を供給してもよい。この場合には、NICU内の空気の供給時に活性炭やフィルタなどを通すことで、清浄な空気にして保育器1内に供給することができる。
【0212】
〔変形例42〕
さらに、供給部420は、医療ガスと、NICU内の空気とを切替えて保育器1内に供給するようにしてもよい。この場合には、上述したフィルタなどでNICU内の空気を清浄空気にすること以外に、保育器1外(NICU内)のエタノール濃度を検知するセンサを設け、当該センサの検出結果に応じて、医療ガスと、NICU内の空気とのどちらから供給するかを判断してもよい。さらに、保育器1内のエタノール濃度を検知するセンサを設け、当該センサの検出結果と、保育器1外(NICU内)のエタノール濃度を検知するセンサの検出結果とに応じて、医療ガスと、NICU内の空気のどちらから供給するかを切り替えてもよい。例えば、供給部420は、2つのセンサの検出結果から、保育器1内のエタノール濃度より、NICU内のエタノール濃度が低いと判断すれば、供給部420はNICUの空気を保育器1内に供給し、NICU内のエタノール濃度が高と判断すれば、医療ガスを保育器1内に供給する。
【0213】
〔変形例43〕
前記実施形態7では、空調装置401が、循環部410、供給部420、排出部430の全てを備える構成について説明したが、空調装置401は、循環部410、供給部420、排出部430の全てを備えている必要はない。例えば、空調装置401は循環部410および供給部420を備えるものとし、排出部430は空調装置401とは別の装置に設けてもよい。
【0214】
〔変形例44〕
前記実施形態7では、除去装置402が、空調装置401と別に設けられる構成について説明したが、これに限られない。除去装置402は、空調装置401と別に設けなくても、エタノールを吸着する吸着材(ペレット状の活性炭等)を空調装置401内に設けて、除去装置402と同じ機能を実現してもよい。例えば、エタノールを吸着する吸着材を、空調装置401内の循環部410、供給部420、排出部430の少なくとも一つに設けて、除去装置402と同じ機能を実現してもよい。
【0215】
〔変形例45〕
前記実施形態1では、除去装置402が収容室101外に設けられる構成について説明したが、これに限られず、除去装置402を、収容室101内に配置してもよい。この場合、除去装置402を設置するためのスペースを確保する必要がない。
【0216】
また、保育システム501において、除去装置402とは別に、前記実施形態1の保育器1のように、収容室101内にエタノール除去装置110および浄化装置120を設けてもよい。この場合、除去装置402で十分に吸着できなかったエタノールを、収容室101内のエタノール除去装置110および浄化装置120によって吸着することができるため、収容室101内の空気に含まれるエタノールの濃度をより低下させることができる。
【0217】
また、収容室101に、エタノール除去装置110および浄化装置120の両方を設置するのが好ましいが、何れか一方のみを設置してもよい。エタノール除去装置110および浄化装置120の何れかであれば、エタノール除去装置110を設置するのが好ましい。これは、前記実施形態1の
図1に示すように、収容室101内で処置対象の患児Xに近接してエタノール除去装置110を設置することで、消毒などの処置を行う際に生じるエタノールを効果的に吸着できるためである。
【0218】
〔変形例46〕
前記実施形態2では、循環部410、供給部420、排出部430を一つの装置として説明したが、上述したように、保育システムは様々な形態をとる。例えば、循環部410、供給部420、排出部430のそれぞれを複数の装置によって、循環部410としての機能、供給部420としての機能、排出部430としての機能を実現してもよし、循環部410内に供給部420および排出部430を組み込むようにして、空調装置401としての機能を実現してもよい。
【0219】
なお、前記各実施形態および各変形例では、除去対象の揮発性物質としてエタノールを例に説明したが、エタノールに限定されるものではなく、例えばイソプロパノール等の他の揮発性物質であってもよい。
【0220】
また、前記各実施形態および各変形例では、保育器として閉鎖型の保育器を例に説明したが、閉鎖型でない、開放型の保育器においても、本発明の揮発性物質除去装置および浄化装置を使用してもよい。
【0221】
開放型の保育器では、患児を収容する収容室を、患児を寝かせるベッドの周囲に立設された壁部で構成している。この壁部に浄化装置を取り付けて、収容室に漂うエタノール等の揮発性物質を除去するようにしてもよい。また、開放型の保育器における操作部を設けた操作板(ベッド周囲の壁部よりも高い)の上部から浄化装置を吊り下げるようにして、収容室に漂うエタノール等の揮発性物質を除去するようにしてもよい。
【0222】
本開示の一側面に係るエタノール除去装置110、210および110Aは、患児を収容するために内部の温度および湿度が調節可能な収容室101を備えた保育器1、2内に設置され、収容室101内に収容された患児Xに対するエタノールによる医療行為にともない気化したエタノールを収容室101から除去するエタノール除去装置であって、吸気部111cから収容室101内の空気を吸引する吸引部115と、空気に含まれるエタノールを除去する第1除去部114と、第1除去部114によってエタノールが除去された空気を排気する排気部111dと、吸気部111cに空気を導くガイド部112、212と、を備えていてもよい。
【0223】
上記構成によれば、閉鎖型保育器1、2内の空気を吸気部に導くためのガイド部112、212を備えているため、吸引部115に空気を効率良く導くことができる。これにより、吸引部115を構成するファンは小型で済むため、装置全体を小型にすることができる。従って、エタノール除去装置110、210および110Aを、閉鎖型保育器1、2内で使用しても、患児Xに対する医療行為の邪魔にならないように小型にできる。
【0224】
ガイド部112、212は、前記エタノールを用いる処置の処置対象の少なくとも一部、および前記処置に使用したエタノールを発する発生源の少なくとも一方が載置可能な載置部112a、212aを有していてもよい。ガイド部112、212は、エタノールを用いる処置の処置対象(例えば、患児の手・足等)の少なくとも一部または処置に使用したエタノールを発する発生源が載置可能な載置部112a、212aを有することで、載置部112a、212aで処置対象Xを処置する際に発生するエタノールを含む空気をガイド部112、212によって吸気部111cに導くことが可能となる。また、載置部112a、212aに載置された前記処置に使用したエタノールを発する発生源の付近に漂うエタノールを含む空気をガイド部112、212によって積極的に吸気部111cに導くことが可能となる。これにより、短時間で閉鎖型保育器1、2内の空気に含まれるエタノールを除去することが可能となる。
【0225】
ガイド部112、212は、載置部112a、212aの周縁から上方に立ち上がる第1壁部(壁部)112b、212bを少なくとも1つ有していてもよい。ガイド部112、212が、載置部112a、212aの周縁から上方に立ち上がる第1壁部(壁部)112b、212bを少なくとも1つ有していることで、載置部112a、212aに載置された処置対象を処置する際に発生するエタノールが壁により、載置部112a、212a外に拡散するのを防ぐことができる。これにより、吸気部111cにエタノールを含む空気をより積極的に導くことが可能となる。
【0226】
ガイド部112、212は、載置部112a、212aの載置面に、第1壁部(壁部)112b、212bに並列に第2壁部(壁部)112b、212cが少なくとも1つ設けられていてもよい。上記構成によれば、載置面に第2壁部(壁部)112b、212cが設けられていることで、載置面上において第1壁部(壁部)112b、212bと第2壁部(壁部)112b、212cとの間に空気を沿わせることができるので、空気を吸気部111cに導き易くできる。
【0227】
第1壁部(壁部)112b、212bは、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていてもよい。第1壁部(壁部)112b、212bが、吸気部111cに対向する部分を除いて形成されていることで、壁が形成されていない箇所から載置部112a、212aに載置された処置対象Xに対してエタノールを用いる処置を行うことができる。また、エタノールを吸気部111cに案内するのを阻害しないようにすることができる。これにより、処置対象Xに対するエタノールを用いる処置を、壁に邪魔されずに行うことができるため、処置対象Xへの処置が行い易くなるとともに、空気中のエタノールを除去することができる。
【0228】
第1壁部(壁部)112b、212bおよび第2壁部(壁部)112b、212cのうち、少なくとも第2壁部(壁部)112b、212cは弾性を有する部材で形成されていてもよい。上記構成によれば、載置面に設けられた第2壁部(壁部)112b、212cが弾性を有することで、載置部112a、212aに患児Xの処置対象となる手や足が載置されても傷つき難くなる。
【0229】
ガイド部112、212の少なくとも一部は、吸気部111cに接続されていてもよい。このように、ガイド部112、212の少なくとも一部が、吸気部111cに接続されていることで、空気を確実に吸気部111cまで導くことができる。
【0230】
第1除去部114が破過状態であるか否かを検知する破過センサ(ガスセンサ)117が設けられていてもよい。上記構成によれば、破過センサ(ガスセンサ)117が設けられていることで、第1除去部114の破過状態を把握することができるため、第1除去部114の状態を把握することができる。
【0231】
第1除去部114は、交換可能であってもよい。上記構成によれば、第1除去部114が交換可能であるため、第1除去部114が破過状態であれば、直ぐに交換することができる。
【0232】
本開示の一側面に係るエタノール除去方法は、患児Xを収容するために内部の温度および湿度が調節可能な収容室101を備えた保育器1、2内に設置され、収容室101内に収容された患児Xに対するエタノールによる医療行為にともない気化したエタノールを除去する除去方法である。エタノール除去方法は、以下に記すガイドステップ(S1)と、吸引ステップ(S2)と、除去ステップ(S3)と、排気ステップ(S4)と、を含む。・ガイドステップ(S1):収容室101内の空気を、除去手段(例えば、第1除去部114)に吸引する、吸気手段(例えば、吸気部111c)に導く。・吸引ステップ(S2):吸気手段(例えば、吸気部111c)から保育器1、2内の空気を吸引手段(例えば、吸引部115)によって吸引する。・除去ステップ(S3):吸引された空気に含まれるエタノールを除去手段(例えば、第1除去部114)によって除去する。・排気ステップ(S4):エタノールが除去された空気を排気手段(例えば、排気部111d)によって排気する。
【0233】
上記構成によれば、閉鎖型保育器1、2内の空気を吸気部111cに導くためのガイドステップを含んでいるため、吸引手段によって空気を効率良く導くことができる。これにより、吸引手段を構成するファンは小型で済むため、エタノール除去方法を実現するための装置全体を小型にすることができる。従って、エタノール除去方法を実現するための装置を、閉鎖型保育器1、2内で使用しても、患児Xに対する医療行為の邪魔にならない。
【0234】
前記排気手段による空気の排気方向は、前記吸気手段が設けられる方向とは異なる方向であってもよい。吸気手段は、エタノールを含む空気を吸気し、排気手段は、エタノールが除去された空気を排気する。このため、吸気手段に、エタノールが除去された空気が導かれると、エタノールを含む空気を効率よく吸気することができない。従って、排気手段による空気の排気方向を、吸気手段が設けられる方向とは異なる方向にすることで、排気手段から排気される空気(エタノールが除去された空気)によって、吸気手段によるエタノールを含む空気の吸気を邪魔しないようにできる。
【0235】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0236】
1、1A 保育器、11 ベッド、11a 表面、12 衝立部、13 ベッドステージ、101 収容室、101a 開口部、102 載置台、102a 操作パネル、110 揮発性物質除去装置、111 筐体、111a 前面、111b 後面、111c 吸気部、111d 排気部、112 ガイド部、112a 載置部、112b 壁部、114 第1除去部、115 吸引部、116 第2除去部、120 浄化装置、121 第1筐体、121a 前面、121b 吸気部、121c 下面、121d 突起部、122 第2筐体、122a 後面、122b 排気部、122c 側面、124 第1除去部、125 吸引部、126 第2除去部、210 揮発性物質除去装置、212 ガイド部、212a 載置部、212b 第1壁部、212c 第2壁部、215 吸引部、220 浄化装置、221 第1筐体、221a 前面、221b 吸気部、222 第2筐体、222a 側面、223 チューブ、223a 排気口、310 揮発性物質除去装置、312 ガイド部、312a 壁部、401 空調装置、402 除去装置(除去機構)、410 循環部(循環機構)、420 供給部(供給機構)、430 排出部(排出機構)、501 保育システム、X 患児(処置対象)、
【要約】
【課題】保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避する。
【解決手段】保育器(1)は、患児(X)を収容可能な収容室(101)と、温度および湿度が調節された空気を収容室(101)に循環させる循環部(410)と、空気を収容室(101)外から収容室(101)内に供給可能な供給部(420)と、収容室(101)内の空気の少なくとも一部を収容室(101)外に排出可能な排出部(430)と、収容室(101)内の空気から揮発性物質を除去する揮発性物質除去装置(110)および浄化装置(120)とを備える。
【選択図】
図1