(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】除去装置及び緊張材の接続方法
(51)【国際特許分類】
E01D 19/12 20060101AFI20231002BHJP
E01D 1/00 20060101ALI20231002BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
E01D19/12
E01D1/00 D
E01D22/00 Z
(21)【出願番号】P 2023115391
(22)【出願日】2023-07-13
【審査請求日】2023-07-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593184363
【氏名又は名称】コンクリートコーリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和利
(72)【発明者】
【氏名】藤永 大樹
(72)【発明者】
【氏名】浅田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】長田 洋和
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-017110(JP,A)
【文献】特開平05-200825(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0035820(KR,A)
【文献】国際公開第2008/093651(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/12
E01D 1/00
E01D 22/00
E04C 5/08
E04G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材を樹脂部材で覆った緊張材が挿入される筒体と、
前記筒体の内側に配置され、前記筒体の内側に向けて水を噴射する複数のノズルと
を備え、
前記ノズルから噴射される水によって前記樹脂部材を除去する除去装置。
【請求項2】
前記複数のノズルは、
第1ノズルと、
前記筒体の周方向または軸方向にて、前記第1ノズルとは異なる位置に配置される第2ノズルと
を備える請求項1に記載の除去装置。
【請求項3】
前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、前記第1ノズル及び前記第2ノズルの一方から噴射された水が他方に衝突しないように配置される
請求項2に記載の除去装置。
【請求項4】
前記複数のノズルは前記筒体の軸回りに回転可能に構成される
請求項1から3のいずれか一つに記載の除去装置。
【請求項5】
床版に埋設された第1緊張材を露出させる工程と、
前記第1緊張材の樹脂部材を請求項1から3のいずれか一つに記載の除去装置によって、除去する工程と、
前記第1緊張材と、前記第1緊張材とは異なる第2緊張材とを接続させる工程と
を備える
緊張材の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、床版に埋設され、予め樹脂部材によって複数の線材が覆われた緊張材から、樹脂部材を除去する除去装置及び緊張材の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁の床版には、ひび割れの発生を抑制させるべく、緊張材が埋設されることがある。緊張材として、複数の線材を樹脂部材によって予め覆ったPC(Prestressed Concrete)鋼材が使用されることがある。例えば橋の拡張時に、埋設された既設のPC鋼材と、新たな緊張材とを接続する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接続のためには、既設のPC鋼材から樹脂部材を除去する必要がある。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、緊張材から樹脂部材を除去することができる除去装置及び緊張材の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る除去装置は、線材を樹脂部材で覆った緊張材が挿入される筒体と、前記筒体の内側に配置され、前記筒体の内側に向けて水を噴射する複数のノズルとを備え、前記ノズルから噴射される水によって前記樹脂部材を除去する。
【0007】
本開示の一実施形態に係る除去装置においては、筒体に緊張材を挿入し、ノズルから噴射される水によって、緊張材の樹脂部材を除去する。
【0008】
本開示の一実施形態に係る除去装置は、前記複数のノズルは、第1ノズルと、前記筒体の周方向または軸方向にて、前記第1ノズルとは異なる位置に配置される第2ノズルとを備える。
【0009】
本開示の一実施形態に係る除去装置においては、筒体の周方向において、第1ノズルと、第2ノズルとの位置を異ならせる。
【0010】
本開示の一実施形態に係る除去装置は、前記第1ノズル及び前記第2ノズルは、前記第1ノズル及び前記第2ノズルの一方から噴射された水が他方に衝突しないように配置される。
【0011】
本開示の一実施形態に係る除去装置においては、第1ノズル及び第2ノズルの一方から噴射された水は他方に衝突しない。
【0012】
本開示の一実施形態に係る除去装置は、前記複数のノズルは前記筒体の軸回りに回転可能に構成される。
【0013】
本開示の一実施形態に係る除去装置においては、複数のノズルは回転しながら、緊張材から樹脂部材を除去する。
【0014】
本開示の一実施形態に係る接続方法は、床版に埋設された第1緊張材を露出させる工程と、前記第1緊張材の樹脂部材を前述の除去装置によって、除去する工程と、前記第1緊張材と、前記第1緊張材とは異なる第2緊張材とを接続させる工程とを備える。
【0015】
本開示の一実施形態に係る接続方法においては、前述の除去装置を使用して、第1緊張材から樹脂部材を除去し、第1緊張材と第2緊張材とを接続させる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一実施形態に係る除去装置及び緊張材の接続方法にあっては、筒体に緊張材を挿入し、ノズルから噴射される水によって、緊張材の樹脂部材を除去するので、緊張材を他の緊張材と接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】緊張材と、除去装置1とを略示する断面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線を切断線とした断面図である。
【
図5】
図3のV-V線を切断線とした断面図である。
【
図6】既設の緊張材と、新たな緊張材との接続方法を説明する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を実施の形態に係る除去装置1及び緊張材の接続方法を示す図面に基づいて説明する。
図1は、橋梁50の拡張工事を説明する説明図である。
図1において、破線は撤去される壁54bを示し、ハッチングは拡張によって追加される橋桁53、床版55aの拡張部分55b及び壁54cを示す。橋梁50は、橋脚51と、支承部52と、橋桁53と、床版55aと、壁54a、54bとを備える。支承部52は橋脚51の上面に配置される。橋桁53は支承部52を介して橋梁50の上に設置される。橋桁53の上側に床版55aが設けられ、床版55aの両側それぞれに壁54a、54bが形成される。
【0019】
床版55aには緊張材40として、例えばPC鋼材が埋設されている。
図2は、緊張材40を略示する断面図である。緊張材40は、複数の線材41と、樹脂部材42と、被覆部43とを備える。線材41は金属製である。複数の線材41は撚られている。樹脂部材42は、撚られた状態の複数の線材41の周囲を覆う。樹脂部材42は、例えばエポキシ樹脂材によって構成される。樹脂部材42の周囲に、被覆部43が設けられる。被覆部43は、例えばポリエチレン材によって構成される。樹脂部材42の一部は、径方向外向きに突出し、被覆部43と共にリブ44を形成する。緊張材40は、予め樹脂部材42によって線材41を覆い、且つ、被覆部43によって樹脂部材42を覆った状態の製品、即ちプレグラウト鋼材である。
【0020】
橋梁50を拡張する場合、例えば、一方の壁54b(
図1の破線参照)が撤去される。また、撤去された壁54bに近い床版55aの一部が切削され、床版55aに埋設された緊張材40が露出される。作業者は緊張材40から樹脂部材42を除去する。
【0021】
図3は、緊張材40と、除去装置1とを略示する断面図、
図4は、
図3のIV-IV線を切断線とした断面図、
図5は、
図3のV-V線を切断線とした断面図である。樹脂部材42の除去は除去装置1によって行われる。除去装置1は銃型のウォータージェット装置である。除去装置1は銃身2と、グリップ3と、トリガー4と、ケース10と、送水管20とを備える。
【0022】
銃身2の一端部は、ホース(図示略)を介してポンプ(図示略)の吐出口に接続される。銃身2の一端部にグリップ3が設けられる。グリップ3にはトリガー4が設けられている。トリガー4を操作することによって、例えばトリガー4を押圧することによって、ホースに設けられた弁が開き、後述するノズルから水が噴射する。
【0023】
銃身2の他端部にスイベルジョイント5を介してケース10が設けられる。ケース10は、円筒部11と、第1端面部12と、管部17と、第2端面部13と、取手14と、排水路15とを備える。円筒部11の一端に、円板状の第1端面部12が同軸的に設けられている。第1端面部12の中心部には軸方向に貫通した第1開口12aが形成される。第1開口12aに管部17が同軸的に設けられている。管部17の内径と、第1開口12aの内径とは略同じである。管部17と円筒部11とは第1開口12aを介して連通される。なお円筒部11に代えて、角筒部など他の形状の筒部を使用してもよい。
【0024】
円筒部11の他端に、円板状の第2端面部13が同軸的に設けられている。第2端面部13の中心部には軸方向に貫通した第2開口13aが形成される。第2開口13aの内径は、緊張材40の直径よりも大きい。第2端面部13の一面に円板状の弾性部材16が同軸的に設けられる。弾性部材16の中心部には軸方向に貫通した開口16aが設けられる。開口16aの内径は緊張材40の直径と略同じである。
【0025】
円筒部11の他端側の側面に排水路15が設けられている。排水路15は、円筒部11に略直角な管状をなす。排水路15と円筒部11とは連通される。円筒部11内に溜まった水は排水路15から排水される。排水路15は、例えばドレーンポンプ(図示略)に接続される。円筒部11の側面に取手14が設けられている。作業者は、グリップ3及び取手14を把持し、除去作業を行うことができる。
【0026】
円筒部11及び管部17の内側に送水管20が設けられる。送水管20は、第1送水路21、第2送水路22、第3送水路23、第4送水路24及び第5送水路25を備える。第1送水路21は管部17の内側に配置される。第1送水路21の一端部はスイベルジョイント5を介して銃身2の他端部に接続される。第1送水路21は、管部17に対して相対的に、管部17の軸回りに回転可能である。
【0027】
第2送水路22は第1端面部12に設けられ、第1端面部12の中央部と周縁部との間に亘って、第1端面部12の径方向に延びる。第2送水路22の一端部は第1端面部12の中央部に位置し、第1送水路21の他端部に接続される。
【0028】
第3送水路23は円筒部11の内周面に設けられ、第1端面部12と第2端面部13との間において、円筒部11の軸方向に延びる。第3送水路23の一端部は第1端面部12に位置し、第2送水路22の他端部に接続される。第3送水路23の他端部は、第2端面部13よりも若干、第1端面部12側に離れた位置に配置され、円筒部11の径方向内側に向けて突出する。第3送水路23の他端部には複数の第1ノズル23aが設けられる。第1ノズル23aは、円筒部11の径方向内側に向けて第3送水路23の他端部から突出する。複数の第1ノズル23aは、円筒部11の軸方向に並ぶ。
【0029】
第4送水路24は第1端面部12に設けられ、第1端面部12の中央部と周縁部との間に亘って、第1端面部12の径方向に延びる。第4送水路24の一端部は第1端面部12の中央部に位置し、第1送水路21の他端部に接続される。即ち、第1送水路21の他端部は第2送水路22及び第4送水路24に接続される。
図4に示すように、第1端面部12の軸周りに関する第2送水路22の位相位置と、第4送水路24の位相位置の差は略180度である。換言すれば、第2送水路22及び第4送水路24は、第1送水路21の他端部から逆方向に延びる。第1端面部12の径方向であって、第2送水路22及び第4送水路24に直角な方向において、第2送水路22及び第4送水路24の位置は若干偏倚する。
【0030】
第5送水路25は円筒部11の内周面に設けられ、第1端面部12と第2端面部13との間において、円筒部11の軸方向に延びる。第5送水路25は、円筒部11の径方向において、第3送水路23の反対側に配置される。第5送水路25の一端部は第1端面部12に位置し、第4送水路24の他端部に接続される。第5送水路25の他端部は、第2端面部13よりも若干、第1端面部12側に離れた位置に配置され、円筒部11の径方向内側に向けて突出する。第5送水路25の他端部には複数の第2ノズル25aが設けられる。第2ノズル25aは、円筒部11の径方向内側に向けて第5送水路25の他端部から突出する。複数の第2ノズル25aは、円筒部11の軸方向に並ぶ。
【0031】
図5に示すように、第3送水路23の他端部は先端面23bを有する。先端面23bは、第3送水路23の他端部における円筒部11の径方向内側に向けて突出した突出端面である。先端面23bは、第2送水路22及び第4送水路24に直角な方向に平行な第1面23cと、第1面23cに対して傾斜した第2面23dとを備える。第1ノズル23aは第2面23dに設けられている。
【0032】
図5に示すように、第5送水路25の他端部は先端面25bを有する。先端面25bは、第5送水路25の他端部における円筒部11の径方向内側に向けて突出した突出端面である。先端面25bは、第2送水路22及び第4送水路24に直角な方向に平行な第3面25cと、第3面25cに対して傾斜した第4面25dとを備える。第2ノズル25aは第4面25dに設けられている。
【0033】
第2面23dに直角な仮想線L1と、第4面25dに直角な仮想線L2とは平行であり、交差せず、また一致もしない。第1ノズル23aは第2面23dに直角な仮想線L1に沿って水を噴射するように構成される。第2ノズル25aは第4面25dに直角な仮想線L2に沿って水を噴射するように構成される。そのため第1ノズル23a及び第2ノズル25aから噴射された水は直接的に衝突しない。
【0034】
第2送水路22及び第4送水路24に直角な方向であって、且つ、円筒部11の軸方向に直角な方向に、第1ノズル23a及び第2ノズル25aの位置は若干偏倚する。即ち、第1ノズル23a及び第2ノズル25aは、第2送水路22及び第4送水路24に平行な方向、即ち円筒部11の径方向において対向しないように、即ち非対向に配置され、第1ノズル23a及び第2ノズル25aの一方から噴射された水は、他方に衝突しない。
【0035】
銃身2及び送水管20の内部に水路6が形成される。銃身2の水路6と、送水管20の水路6とは、スイベルジョイント5を介して接続される。即ち、銃身2、第1送水路21、第2送水路22及び第3送水路23は水が通流可能に接続され、銃身2、第1送水路21、第4送水路24及び第5送水路25は水が通流可能に接続される。第1送水路21は、管部17に対して相対的に、管部17の軸回りに回転可能であるので、送水管20全体もケース10の軸回りに回転可能である。
【0036】
作業者がトリガー4を操作した場合、ポンプから水が送出され、弁が開き、ホースを通って、銃身2を通り、第1送水路21、第2送水路22及び第3送水路23を通って、第1ノズル23aから噴射される。また第1送水路21、第4送水路24及び第5送水路25を通って、水は第2ノズル25aから噴射される。
【0037】
前述したように、送水管20全体はケース10の軸回りに回転可能である。
図5の仮想線L1、L2に示すように、第1ノズル23aから噴射される水の噴射の向きは、送水管20に反時計回り方向の力を付与する向きであり、第2ノズル25aから噴射される水の噴射の向きは、送水管20に反時計回り方向の力を付与する向きである。そのため、例えば
図5の矢印に示すように、第1ノズル23a及び第2ノズル25aは、水を噴射しながらケース10の軸回りに、反時計回りに回転する。なお送水管20が時計回りに回転するように、第1ノズル23a及び第2ノズル25aの噴射の向きを設計してもよい。作業者がトリガー4への操作を解除した場合、弁が閉じ、第1ノズル23a及び第2ノズル25aからの噴射が停止する。
【0038】
作業者は弾性部材16の開口16aと、第2開口13aとに緊張材40を挿入させて、トリガー4を操作する。第1ノズル23a及び第2ノズル25aは、水を噴射しながらケース10の軸回りに、反時計回りに回転する。緊張材40の周面に水が衝突し、被覆部43及び樹脂部材42が除去される。第1ノズル23a及び第2ノズル25aは回転するので、緊張材40の周面全体に水を噴射し、周面全体から被覆部43及び樹脂部材42を除去することができる。弾性部材16の開口16aと、緊張材40との間の隙間は僅かである。そのため、開口16aから外部に漏れ出す水の量は限定的である。即ち、弾性部材16は止水板として機能する。円筒部11内に溜まった水は排水路15から排水される。
【0039】
ケース10は分解可能に構成されていてもよい。円筒部11内に、除去された被覆部43または樹脂部材42が溜まった場合、除去作業を中止し、ケース10を分解して被覆部43または樹脂部材42を排出することができる。
【0040】
作業者は、被覆部43及び樹脂部材42が除去された既設の緊張材40(以下、40Aとも表記する)と、既設の緊張材40とは異なる新たな緊張材40(以下、40Bとも表記する)とを接続する。新たな緊張材40Bは線材41を備えるが、被覆部43及び樹脂部材42を備えていない。既設の緊張材40Aは第1緊張材に対応し、新たな緊張材40Bは第2緊張材に対応する。
図6は既設の緊張材40Aと、新たな緊張材40Bとの接続方法を説明する工程図である。
【0041】
例えば、既設の緊張材40Aに中間定着具45を設けた後、既設の緊張材40Aにおける中間定着具45よりも外側の部分を、接続具46を装着するのに適当な長さを残して切断する(
図6A参照)。その後、接続具46を既設の緊張材40Aに装着する(
図6B参照)。
【0042】
そして接続具46を介して新たな緊張材40Bを既設の緊張材40Aに接続させる。その後、新たな緊張材40B及び既設の緊張材40Aの接続部分の周囲と、新たな緊張材40Bの周囲にコンクリートを打設し、床版55aの拡張部分55bを形成する。そして、ジャッキによって新たな緊張材40Bを緊張させ、床版55aの拡張部分55bの定着具47により定着させて、床版55aの拡張部分55bにプレストレスを導入し、既設の床版55aと一体化させる(
図6C参照)。緊張完了後に、新たな緊張材40B及び既設の緊張材40Aの接続部分の周囲と、新たな緊張材40Bの周囲に樹脂部材42を注入する。なお新たな緊張材40Bがプレグラウト鋼材である場合、即ち、新たな緊張材40Bが樹脂部材42を備える場合、新たな緊張材40Bの周囲への樹脂部材42の注入は省略できる。
【0043】
実施の形態に係る除去装置1及び緊張材の接続方法にあっては、筒体に既設の緊張材40Aを挿入し、第1ノズル23a及び第2ノズル25aから噴射される水によって、既設の緊張材40Aの樹脂部材42を除去するので、既設の緊張材40Aを新たな緊張材40Bと接続させることができる。
【0044】
また筒体の周方向において、第1ノズル23aと、第2ノズル25aとの位置を異ならせ、既設の緊張材40Aに複数の方向から水を噴射し、樹脂部材42を複数方向から除去することができる。
【0045】
また第1ノズル23aと、第2ノズル25aとは対向しないので、第1ノズル23aから噴射された水によって、第2ノズル25aが損傷し、第2ノズル25aから噴射された水によって、第1ノズル23aが損傷することを防止できる。
【0046】
一方向にのみ噴射するノズルを使用する場合、作業者は緊張材40の周方向にノズルを移動させるか、または、緊張材40を軸回りに回転させる必要がある。本実施例においては、第1ノズル23a及び第2ノズル25aは回転しながら、緊張材40から樹脂部材42を除去するので、そのような移動を行うことなく、緊張材40の周方向における樹脂部材42の全体を除去することができる。
【0047】
また除去装置1を使用して、既設の緊張材40Aから樹脂部材42を除去し、既設の緊張材40Aと新たな緊張材40Bとを接続させることができる。
【0048】
なお第1ノズル23a及び第2ノズル25aは、円筒部11の軸方向における異なる位置に配置されてもよい。この場合も第1ノズル23a及び第2ノズル25aの一方から噴射された水が他方に衝突しないように、各ノズルは配置される。ノズルの数は二つに限定されず、一つでもよいし、三つ以上でもよい。三つ以上の場合においても、いずれかのノズルから噴射された水は他のノズルに衝突しないように、各ノズルは配置される。
【0049】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 除去装置
5 スイベルジョイント
10 ケース
11 円筒部(筒部)
20 送水管
21 第1送水路
22 第2送水路
23 第3送水路
23a 第1ノズル
24 第4送水路
25 第5送水路
25a 第2ノズル
40、40A、40B 緊張材
【要約】
【課題】緊張材から樹脂部材を除去することができる除去装置及び緊張材の接続方法を提供する。
【解決手段】除去装置は、線材を樹脂部材で覆った緊張材が挿入される筒体と、前記筒体の内側に配置され、前記筒体の内側に向けて水を噴射する複数のノズルとを備え、前記ノズルから噴射される水によって前記樹脂部材を除去する。好ましくは、除去装置は、前記複数のノズルは、第1ノズルと、前記筒体の周方向にて、前記第1ノズルとは異なる位置に配置される第2ノズルとを備える。
【選択図】
図5