(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】ボックス、スタッキングされたボックスの組み合わせ構造、および、スタッキングされたボックスを機械的にグリップする方法
(51)【国際特許分類】
B65D 21/02 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
B65D21/02 301
(21)【出願番号】P 2019164046
(22)【出願日】2019-09-09
【審査請求日】2022-07-21
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】516195890
【氏名又は名称】フリース プラヌングスウント マルケティングスゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マルクス グラバー
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-160737(JP,A)
【文献】実公昭40-031038(JP,Y1)
【文献】米国特許第06216872(US,B1)
【文献】韓国公開特許第2001-0096923(KR,A)
【文献】欧州特許出願公開第02484599(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0029798(US,A1)
【文献】米国特許第08733572(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じタイプの少なくとも1つの他のボックス(1)とスタッキング方向(2)にスタッキング可能な、物品を収容かつ搬送するためのボックス(1)であって、
底部(3)と、前記底部(3)から上方に突出し、かつ、前記底部(3)を少なくとも部分的に囲んで延在する側壁(4)と、を備え、前記底部(3)および前記側壁(4)が共に前記物品を収容するための前記ボックス(1)の収容空間(5)を画定し、
前記側壁(4)に、少なくとも1つのグリップ機構(6)によって前記ボックス(1)を機械的にグリップするために相互に離間して配置された少なくとも2つのアダプタが前記側壁(4)に配置され、
前記アダプタが、前記側壁(4)のそれぞれにおいて、前記スタッキング方向(2)に対して平行な長手方向(7)に延在するチャンネル(8)として形成され、
前記チャンネル(8)のそれぞれが、導入開口部(9)と、導出開口部(10)と、前記導入開口部(9)および前記導出開口部(10)の間で、前記ボックス(1)のチャンネル境界壁(11)により画定され、かつ、前記長手方向(7)に延在するチャンネルキャビティ(12)と、を備え、前記グリップ機構(6)が、前記導入開口部(9)、前記チャンネルキャビティ(12)および前記導出開口部(10)に案内され、
前記チャンネル(8)のそれぞれの前記チャンネル境界壁(11)の内側および外側のうち少なくとも一方に、前記チャンネル(8)の前記長手方向(7)について前記グリップ機構(6)に相互作用する形状の少なくとも1つのアンダーカット(18)が形成され、
前記アンダーカット(18)が、前記チャンネル(8)のそれぞれの前記導出開口部(10)の領域に設けられ、かつ、前記グリップ機構(6)のラッチ(20)の挿入に必要なスペースを形成する切欠部(34)が、前記チャンネル(8)のそれぞれの前記導入開口部(9)の領域に設けられ、あるいは、
前記アンダーカット(18)が、前記チャンネルキャビティ(12)の縮径部(35)として設けられ、かつ、前記チャンネルキャビティ(12)が、前記縮径部(35)において合わさった2つの円錐台によって形成されている
ことを特徴とするボックス。
【請求項2】
請求項1に記載のボックス(1)において、
前記チャンネル境界壁(11)のそれぞれが前記側壁(4)の部分として構成され
、
前記チャンネル境界壁(11)が、前記チャンネルキャビティ(12)を、前記スタッキング方向(2)に対して垂直な断面(13)において、180°以上の円周角(14)をもって周囲を閉じるように画定し
、または、
前記側壁(4)に少なくとも4つのチャンネル(8)が配置されていることを特徴とするボックス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のボックス(1)において、
前記側壁(4)が、前記チャンネル(8)のそれぞれの領域において、前記スタッキング方向(2)に対して平行な方向に延在する高さ範囲(15)を備え、
前記チャンネル(8)が、前記側壁(4)の前記高さ範囲(
15)の長さの50%以上または80%以上にわたる長さで延在していることを特徴とするボックス。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載のボックス(1)において、
前記側壁(4)が、前記ボックス(1)の上面図において長方形の基本構造を有し、前記チャンネル(8)のそれぞれが、前記長方形の基本構造の隅角部(16)に配置されていることを特徴とするボックス。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項に記載のボックス(1)において、
前記底部(3)が、前記収容空間(5)を画定する上側のまたは平坦な境界面(17)を形成し、前記スタッキング方向(2)が前記底部(3)の前記境界面(17)に対して垂直に延在し、
または、前記ボックス(1)が、前記チャンネル(8)のそれぞれの前記長手方向(7)について前記導入開口部(9)および前記導出開口部(10)に対して離間した状態で覆っている壁部分であることを特徴とするボックス。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載のボックス(1)において、
前記チャンネル(8)のそれぞれの前記チャンネルキャビティ(12)が、前記スタッキング方向(2)に対して垂直な断面(13)において、少なくとも部分的に円形断面を有することを特徴とするボックス。
【請求項7】
請求項1~
6のうちいずれか1項に記載のボックス(1)において、
スタッキングされた複数の前記ボックス(1)の前記チャンネル(8)の相互の位置合わせのための位置合わせ面(19)またはくさび形状の位置合わせ面(19)が前記ボックス(1)に形成されていることを特徴とするボックス。
【請求項8】
スタッキングされた請求項1~
7のうちいずれか1項に記載のボックス(1)の組み合わせ構造であって、
一の前記ボックス(1)の前記チャンネル(8)が、前記一のボックス(1)の下方および上方のうち少なくともいずれか一方に配置された前記他のボックス(1)の前記チャンネル(8)とともに、前記グリップ機構(6)を貫通させるように整列して配置されていることを特徴とする組み合わせ構造。
【請求項9】
スタッキングされた請求項1~
7のうちいずれか1項に記載のボックス(1)を機械的にグリップする方法であって、
少なくとも2つの前記グリップ機構が、スタッキングされた複数の前記ボックス(1)の相互に整列して配置されたチャンネル(8)に挿通され、一緒にグリップされるスタッキングされた複数の前記ボックス(1)のそれぞれの前記グリップ機構(6)または最も下の前記ボックス(1)の前記グリップ機構(6)が係合または摩擦により解放可能に固定されていることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じタイプの少なくとも1つの他のボックスとスタッキング方向にスタッキング可能な、物品を収容かつ搬送するためのボックスに関する。このボックスは、底部と、前記底部から上方に突出し、かつ、前記底部を少なくとも部分的に囲んで延在する側壁と、を備えている。前記底部および前記側壁が共に前記物品を収容するための前記ボックスの収容空間を画定している。前記側壁に、少なくとも1つのグリップ機構によって前記ボックスを機械的にグリップするために相互に離間して配置された少なくとも2つのアダプタが前記側壁に配置されている。
【背景技術】
【0002】
このタイプのボックスは、手で持ち上げられまたは動かされるだけでなく、搬送、移動または他の手段による運搬のため、機械的なグリップ機構によりボックスがグリップされる。機械的なグリップのため、従来技術では特別なボックスおよび特別なグリップ機構が開発されてきた。これらのボックスは小型荷重台、小型荷台、ユーロボックス、ユーロ標準収容器、ユーロ標準ボックスなどといわれている。複数のボックスを機械的にグリップするためのグリップ機構のそれぞれは特殊なボックスに適合している。ボックスおよびそこに配置された側壁の外側に係合するグリップ機構が知られている。グリップ機構がボックスを機械的にグリップするために係合できる凹部または穴として側壁にアダプタが形成されているボックスも知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の欠点は、前述のタイプのスタッキング可能なボックスでは、グリップ機構によって単一のボックスのみが機械的にグリップ可能であることである。
【0004】
したがって、本発明の目的は、グリップ機構によってボックスが個別にグリップされうる一方、当該ボックスのスタックもグリップされうるスタッキング可能なボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題を解決するための本発明のボックスは、前記アダプタが、前記側壁のそれぞれにおいて、前記スタッキング方向に対して平行な長手方向に延在するチャンネルとして形成され、前記チャンネルのそれぞれが、導入開口部と、導出開口部と、前記導入開口部および前記導出開口部の間で、前記ボックスのチャンネル境界壁により画定され、かつ、前記長手方向に延在するチャンネルキャビティと、を備え、前記グリップ機構が、前記導入開口部、前記チャンネルキャビティおよび前記導出開口部に案内されることを特徴とする。
【0006】
したがって、本発明に係るボックスによれば、個々のボックスおよび当該ボックスのスタックまたはスタックの一部が、ボックスまたはスタックもしくはスタックの一部の場合には複数のボックスの側壁におけるチャンネルの導入開口部、チャンネルキャビティおよび導出開口部を通じて機械的にグリップするためのグリップ機構が案内される。これにより、一のボックスが機械的にグリップされて持ち上げられ、搬送されまたは運搬される。相応のスタッキング方向にスタッキングされたボックスによれば、グリップ機構が、さまざまなスタッキングされたボックスの位置合わせされたチャンネルのそれぞれを通じて案内されるため、2つ以上のボックスが同時にグリップ機構によって機械的にグリップされうる。これにより、スタッキングされた複数のボックスが同時にグリップされ、持ち上げられ、搬送されまたは運搬される。グリップ機構は、それ自体公知であるように、この目的のため、適当な産業用ロボットまたはクレーンなどの他の昇降装置に取り付けられてもよい。本発明は、さまざまな数のスタッキングされたボックスを同時に機械的にグリップすることを可能にする。とりわけ、グリップ機構をグリップ対象であるボックスのチャンネルに通過させるだけで、ボックスのスタックの一部のボックスのみが機械的にグリップされる。その結果、単一のグリッププロセスで、同時に任意の数のボックスを機械的にグリップすることが可能である。
【0007】
スタッキング可能なボックス自体に加えて、本発明はスタッキングされたボックスの組み合わせ構造にも関し、一のボックスの少なくとも2つのチャンネルのそれぞれが、上側および/または下側に配置された他のボックスのチャンネルが、グリップ機構を貫通させるために連通するように位置合わせされている。
【0008】
本発明に係るスタッキングされたボックスを機械的にグリップする方法は、好ましくは、少なくとも2つのグリップ機構のそれぞれが、スタッキングされたボックスの相互に位置合わせされたチャンネルを通して案内される。グリップ機構が、一緒にグリップされるスタッキングされたボックスのそれぞれ、好ましくは最も下のボックスにのみ係合および/または摩擦により解放可能に固定されている。これが完了すると、スタックのボックスが同時に機械的に持ち上げられ、搬送され、または移動される。同様に、単一のボックスがグリップされて持ち上げられまたは搬送されてもよい。
【0009】
本発明に係るスタッキング可能なボックスは、搬送および/または貯蔵ボックス、または一般的には容器または搬送容器とも呼ばれる。それらは、少なくとも1つのグリップ機構による機械的グリップのために設計されているが、手でグリップされて運搬されてもよい。
【0010】
「機械的なグリップ」という用語は、一般的に、機械的にグリップされた、すなわち機械的に接触または機械的に当接した状態で、グリップ機構により持ち上げられ、搬送され、または公知の手法で移動されるように、ボックスがグリップ機構によって物理的に接触することを意味すると解される。
【0011】
本発明に係るスタッキング可能なボックスは、広範な分野において適用される。基本的に、このようなスタッキング可能なボックスが、皿、グラスなどの貯蔵、洗浄および輸送に使用されてもよい。しかし、本発明に係る機械的にグリップされうるスタッキング可能なボックスは、産業的に処理される、作製または製造される適当な物品を保管、輸送、洗浄などするために産業分野において特に好適に使用される。本発明に係るスタッキング可能なボックスの最小荷重は、好ましくはボックスあたり少なくとも10kg、より好ましくは25kgである。使用分野に応じて、本発明に係るスタッキング可能なボックスは、さまざまなサイズに設計されうる。長方形または正方形の基本構造を有するボックスが優先される。外形サイズに関して、ボックスの長さは、望ましくは10cm~120cmの範囲に含まれ、好ましくは25cm~65cmの範囲に含まれ、その幅は10cm~100cmの範囲に含まれ、好ましくは25cm~45cmの範囲に含まれる。ボックスの高さは、好ましい実施形態では3cm~25cmの範囲に含まれ、好ましくは4cm~15cmの範囲に含まれる。
【0012】
本発明に係るボックスは、さまざまな材料または材料組成物により構成されていてもよい。金属製ボックスであってもよく、プラスチック製のボックスであってもよい。木製のボックスであってもよく、複合材のボックスであってもよい。いずれにせよ、スタッキング可能なボックスは一体的に形成されていることが好ましい。これは、側壁および底部が相互に一体的に接続され、同じ材料で作られていることを意味する。例えば、本発明に係るボックスは、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリオキシメチレン(POM)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)などの適当なプラスチックから作製されていてもよい。本発明に係るボックスは、例えば、射出成形により製造される。
【0013】
本発明に係るボックスは、周囲の側壁とともに、物体を挿入することができるボックスの収容空間を画定する底部を備えている。通常、ボックスは底部を下にして床に載置され、物体が収容空間の底部に載置される。底部は一般的にボックスの収容空間の物体の載置面を形成する。収容空間の側面は、ボックスの周囲に延在する側壁により画定されている。側壁は閉じた状態で底部を完全に囲んでいてもよい。側壁が、解体可能な複数の部品により構成されていてもよい。これも周囲に延在する側壁である。側壁および底部の両方が隙間がない面として形成されていてもよい。底部および/または側壁が格子状構造であり、開口部、窓または補強リブなどが設けられていてもよい。好ましい実施形態では、周囲に延在する側壁は、隅角部と、隅角部の間で好ましくは直線状に延在する側壁分とにより構成されている。側壁は、ボックスの上面図において長方形の基本構造を有してもよい。長方形という用語は、厳密な数学的意味でのみ理解されるものではない。また、側壁部分が隅角部で基本的に直角をなして延在しているが、隅角部それ自体が丸みを有していてもよい。
【0014】
本発明に係るボックスは、同じタイプの他のボックスと一緒にスタッキング方向にスタッキングされうるように設計されている。スタッキング方向は、従来技術において公知であるように、一般的にボックスまたはその底部もしくはその側壁の形状に応じて定まる。例えば、底部が側壁を越えて突出し、ボックスの底部の当該突出部分が、下側のボックスの側壁で囲まれた収容空間の上側部分領域に収容されるため、上側のボックスの底部が、下側のボックスの側壁に堅固に保持される。これにより、ボックスがスタッキングされる必要がある相応のスタッキング方向が自動的に定められる。複数のスタッキング方向を有するボックスの場合、本発明に係るボックスのように、本発明に係る特徴は少なくとも1つのスタッキング方向について実現される必要がある。
【0015】
本発明に係るボックスの好ましい実施形態では、底部が、収容空間を画定する上側部分境界面、特に平坦な境界面を形成する。スタッキング方向は、底部の上側部分境界面に対して垂直に延在している。すなわち、スタッキング方向は、底部の上側部分境界面の垂線を構成する。ボックスの使用状態において、底部の上側部分境界面によりボックスの収容空間の下側が画定され、収容空間の横が水平方向について側壁により画定される。境界面は床部の上側部分から延在している。これは、底部が格子状に形成されている場合にも当てはまる。上側の、特に平坦な境界面は、使用状態においてボックスに収容された物体が載置される面を構成する。スタッキング方向は、ここでは本発明の定義において基準方向として用いられる。スタッキング方向の代替として、幾何学的な基準として床部の特に平坦な境界面が採用され、この場合、スタッキング方向は、床部の上側部分境界面の垂線を構成すると解される。
【0016】
本発明に係るボックスは、側壁の上側および底部から離間している側において開いている。言い換えれば、そのようなボックスには上向きに開いた収容空間がある。基本的に、本発明に係るスタッキング可能なボックスは、蓋により底部の反対側で収容空間が閉塞されてもよく、側壁において底部と反対側に当該蓋が設けられてもよい。
【0017】
本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴および詳細は、本発明の実施形態を参照して、以下の図面の説明において例示的に説明される。個々の好ましい特徴的事項は、実施形態において相互に組み合わせて示されていることに留意されたい。しかしながら、これは、本発明の実現における当該好ましい特徴的事項が常にこの組み合わせにしたがう必要があることを意味するものではない。したがって、以下に説明する好ましい特徴的事項または変形事項のすべては、個別に考慮されるべきであり、本発明の他の好ましい特徴と組み合わせられて、本発明の例示された実施形態とは異なる形態で実現されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態のスタッキングされた2つのボックスの側面図。
【
図3】
図1のスタッキングされたボックスの上面図。
【
図8】ボックスのチャンネルにグリップ機構が挿通された状態における
図1の2つのボックスの説明図。
【
図10】さまざまな個数のボックスをグリップするためにチャンネルのそれぞれに挿入された状態における
図4の切断線C-Cに対応する断面図。
【
図11】さまざまな個数のボックスをグリップするためにチャンネルのそれぞれに挿入された状態における
図4の切断線C-Cに対応する断面図。
【
図12】
図1のスタッキングされたボックスのうちの1つの斜め上方からの斜視図。
【
図20】チャンネルが側壁にも設けられている本発明の他の実施形態のボックスの説明図。
【
図22】チャンネルが周囲を閉じられずに設計されている本発明のさらに他の実施形態のボックスの隅角部の説明図。
【
図23】一の実施形態のチャンネルキャビティの断面図。
【
図24】他の実施形態のチャンネルキャビティの断面図。
【
図25】本発明のさらに他の実施形態のボックスの斜め上方からの斜視図。
【
図26】本発明のさらに他の実施形態のボックスの斜め下方からの斜視図。
【
図27】2つのボックスのスタッキング状態における
図25のボックスの側壁の断面図。
【
図28】2つのボックスのスタッキング状態における
図26のボックスの側壁の断面図。
【
図29】さらに他の実施形態のボックスにおける
図27の対応断面図。
【
図30】さらに他の実施形態のボックスにおける
図28の対応断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、
図1~
図19に示されている本発明の第1実施形態について説明する。次に、これに続く他の実施形態の説明は、第1実施形態との相違に焦点を合わせる。
【0020】
本発明に係る第1実施形態のボックス1は、
図1~
図11において、同じタイプの本発明に係る他のボックス1の上に、スタッキング方向2についてスタッキングされている。
図12~
図19には、第1実施形態のボックス1が個別にまたは部分的に示されている。
【0021】
ボックス1は、底部3と、スタッキング方向2に対して平行に底部3から上側に突出し、本実施形態では底部3の周囲に完全に囲んでいる側壁4と、を有している。底部3および側壁4は、ボックス1の収容空間5を共に画定し、当該収容空間5は、物体を収容するためにボックス1に設けられている。使用状態において、例えば
図1および
図2に示されているように、収容空間5は、その下側部分が、底部3の上側の、ここでは平坦な境界面17によって画定されている。スタッキング方向2は、底部3の上側の境界面17に対して垂直な表面を形成する。すなわち、スタッキング方向2は、底部3の上側の境界面17に対して垂直である。本実施形態では、ボックス1をスタッキングするため、下側のボックス1のそれぞれの、側壁4により囲まれている収容空間5の上方に、上側のボックス1のそれぞれの底部3が導入される必要に応じてスタッキング方向2が定められる。例えば、
図2からわかるように、スタッキング方向2に対して垂直な方向についての係合が実現される。この結果、複数のボックス1がスタッキングされるためにはスタッキング方向2について位置合わせされる必要があり、上側のボックス1のそれぞれがその取り外しのために下側のボックス1からスタッキング方向2の反対方向に持ち上げられる必要がある。すでに説明したように、底部3および側壁4は閉曲面として形成されてもよい。ただし、これは本実施形態には当てはまらない。底部3および側壁4のそれぞれは、貫通開口部または開口部を有する。本実施形態では、底部3は格子状構造により構成されている。側壁4は、複数の窓状の開口部を有している。もちろん、これは単なる例示であり、それ自体公知の他の手法および形態により具体化されていてもよい。それぞれの使用目的にとって必要な限り、底部3および側壁4が補強リブなどにより構成されていてもよい。ボックス1は、本実施形態で形成された4つの丸い隅角部16を備えている長方形の基本構造を有している。側壁部分21は隅角部16の間で延在している。本実施形態では、底部3の周囲を完全に囲んでいる側壁4は、4つの隅角部16とその間で延在する好ましくは直線状に延在する側壁部分21によって構成されている。本発明に係るボックス1は、長方形とは異なる形状の基本構造を備えていてもよい。側壁部分21のそれぞれは、直線状または線形状に形成されることが好ましい。側壁部分21は、隣接する側壁部分21のそれぞれの隅角部16において直交する。ただし、これは必須ではない。例えば、隅角部16の数および側壁部分21の数および形状はさまざまに変更されてもよい。
【0022】
ボックス1は、少なくとも1つのグリップ機構6によってボックス1を機械的にグリップするために、相互に離間して配置されたアダプタによって構成されている。側壁4におけるアダプタのぞれぞれは、スタッキング方向2に対して平行な長手方向7に延在するチャンネル8として設計され、チャンネル8のそれぞれは、導入開口部9および導出開口部10、ならびに、これらの間でボックス1のチャンネル境界壁11により画定され、かつ、長手方向7に延在するチャンネルキャビティ12を備え、かつ、導入開口部9、チャンネルキャビティ12および導出開口部10にグリップ機構6を通過させるように構成されている。チャンネル境界壁11のそれぞれは、好ましくは側壁4の一部として形成されている。好ましい実施形態では、第1実施形態と同様に、チャンネル境界壁11は、周囲を閉じた状態でチャンネルキャビティ12を画定している。「周囲を閉じる」とは、チャンネル境界壁11が360°の円周角にわたりチャンネルキャビティ12を囲むことを意味する。これは、第1実施形態に関する
図3、
図4、
図9、
図12~
図14および
図15において明確に確認することができる。周囲が閉じられた構造は、スタッキング方向2に垂直な断面13においても確認することができる。断面13は、
図5に例示されている。第1実施形態にも示されているように、チャンネル8のそれぞれは、側壁4の隅角部16に形成されている。ボックス1またはボックス1のスタックの安定なグリップという意味において、少なくとも2つのチャンネル8が各ボックス1またはその側壁4に形成されていることが好ましい。好ましい実施形態では、少なくとも4つ、好ましくは正確に4つのチャンネル8が側壁4に配置されている。
【0023】
側壁4に配置されたチャンネル8、または好ましい実施形態では隅角部16に配置されたチャンネル8は、対応するグリップ機構6を通過させるように機能するので、適当に設計されたグリップ機構6が、チャンネル8のそれぞれの導入開口部9、チャンネルキャビティ12および導出開口部10を通過することができる。グリップ機構6の形状およびチャンネル8の形状は相互に整合され、基本的にさまざまな形状が採用可能である。各チャンネル8のチャンネルキャビティ12は、第1実施形態と同様に、少なくとも部分的に円形断面を有することが好ましい。このことは、第1実施形態において、スタッキング方向2に垂直な断面13における、導入開口部9の形状および導出開口部10の形状、ならびに、各チャンネル8の対応する断面形状について当てはまることがわかる。チャンネル8は、その長手方向7が、各チャンネル8の領域における側壁4の高さ範囲15の全体または少なくとも大部分にわたってスタッキング方向2に対して平行な方向に延在している。この意味で、各チャンネル8の領域における側壁4が、スタッキング方向2に対して平行に延在する高さ範囲15を有し、チャンネル8が当該側壁4の高さ範囲15の50%以上、好ましくは80%以上にわたり延在している。
図5からよくわかるように、第1実施形態では、側壁4の高さ範囲15のほぼ全体にわたってチャンネル8が延在している。また、それぞれのチャンネル8の長手方向7についての長さは、導入開口部9または導出開口部10の直径以上であり、好ましくは2倍以上である。これは、当該直径の最大値が基準とされる必要がある。
【0024】
本発明に係るスタッキングされたボックス1の組み合わせ構造において、グリップ機構6を通過させるため、一のボックス1のそれぞれの好ましくは少なくとも2つのチャンネル8は、下方および/または上方にそれぞれ配置された他のボックス1のチャンネル8に連通するように設けられている。これは、
図5、
図10および
図11において確認できる。
図5には、グリップ機構6が示されていないが、
図10では、グリップ機構6がスタッキングされたボックス1の2つの相互に連通するように配置されたチャンネル8を通過し、かつ、
図11では、グリップ機構6が上側のボックス1のチャンネル8のみを通過している。
【0025】
グリップ機構6のそれぞれが、スタッキングされたボックス1の対応するチャンネル8を支障なく通過できるように、好ましい実施形態では、ボックス1が、チャンネル8のそれぞれの長手方向7についての導入開口部9および導出開口部10を好ましくは完全に開放して覆う壁部である。すなわち、ボックス1は、チャンネル8のそれぞれの導入開口部9および導出開口部10を完全に隠すような壁部を有していない。これにより、グリップ機構6が、スタッキングされたボックス1のチャンネル8を支障なく通過することできることが保証されている。ボックス1が、チャンネル8のそれぞれの導入開口部9および導出開口部10を完全に開放する、または、部分的に飲み覆う壁領域であることが好ましい。グリップ機構6が壁部を通過してチャンネル8のそれぞれの導入開口部9および導出開口部10に挿通される場合、導入開口部9および導出開口部10を部分的に覆う壁部であってもよい。
【0026】
本発明に係るスタッキングされたボックス1を機械的にグリップするため、好ましい方法では、少なくとも2つのグリップ機構6のそれぞれが、スタッキングされたボックス1の相互に位置合わせされたチャンネル8に挿入され、グリップ機構6が、スタッキングされたボックス1のそれぞれ、好ましくは共通にグリップされる最も下のボックス1に対して係合および/または摩擦により取り外し可能に固定される。すなわち、スタッキングされたボックス1のそれぞれが係合および/または摩擦により固定されるのではなく、簡単にいうと、特定数のスタッキングされたボックス1のうち最も下のボックス1のみが係合および/または摩擦により取り外し可能に固定される。グリップ機構6によってプレートスタックの最も下のボックス1が持ち上げられる場合、ボックス1のスタックの上側に配置されたボックス1が自動的に持ち上げられる。持ち上げ対象となるボックス1またはボックス1のスタックの最も下のボックス1を取り外し可能に固定するため、グリップ機構6がさまざまな方法で係合および/または摩擦により当該ボックス1のそれぞれのチャンネル8を保持することができる。例えば、チャンネル8の内部においてグリップ機構6の直径が適当な圧力パッドなどによって増大され、チャンネルキャビティ12を囲むチャンネル境界壁11に対して摩擦によって解放可能に固定されてもよい。
図8~
図11にも非常に概略的に示されているように、ボックス1のそれぞれのチャンネル8の内側または側面に、それぞれのグリップ機構6が解放可能に固定されることが好ましい。グリップ機構6は、スタッキング方向2に対して垂直な方向に変位可能であり、チャンネル境界壁11の内側および/または側面の対応するアンダーカット18に係合することができるラッチ20を有している。チャンネル8の長手方向7に作用するグリップ機構6の係合を構成するため、チャンネル8のそれぞれのチャンネル境界壁11の内側および/または側面に少なくとも1つのアンダーカット18が形成されることが好ましい。
図5、
図10および
図11から容易にわかるように、アンダーカット18は、例えば、各チャンネル8の導出開口部10の領域に形成されていてもよい。当該実施例では、該当するボックス1のアンダーカット18には、相応に延長されたラッチ20が係合することができる。この実施形態におけるように、ラッチ20に適当なスペースを提供するため、各チャンネル8の導入開口部9の領域にラッチ20の挿入に必要なスペースを形成する切欠部34が設けられていてもよい。
図10および
図11から明らかなように、それぞれのアンダーカット18に対する係合のために、ラッチ20はグリップ機構6に対して延長されている。それぞれのグリップ機構6が一または複数のチャンネル8に挿入されまたは再び引き出される場合、ラッチ20は、スタッキング方向2またはチャンネル8の長手方向7に対して垂直な方向についてグリップ機構6を越えずに戻り位置(図示略)に動かされ、当該位置においてチャンネル8のチャンネル境界壁11と衝突せずにグリップ機構6がチャンネル8の対応する数に応じてチャンネル8に導入されまたはチャンネル8から導出されうる。
【0027】
この技術により、使用に際して所望の数のスタッキングされたボックス1を相応の数のグリップ機構6により機械的にグリップするため、スタッキングされたボックス1の相互に連通しているチャンネル8に適当な深さでグリップ機構6が挿入され、最小数のボックス1が適当な係合および/または圧接により取り外し可能に固定され、グリップされたボックス1のスタックが持ち上げられ、さまざまな方法で搬送されかつ/または輸送される。グリップ機構6は、公知の昇降装置(リフタ)、ロボット、クレーンまたはその他の駆動装置によって駆動されうる。
図10では、グリップ機構6がラッチ20において2つのボックス1の最も下のボックス1に係合し、スタッキングされた2つのボックス1が共通のグリップ機構6によって機械的にグリップされている。その一方、
図11では、グリップ機構6が上側のボックス1のチャンネル8のみに挿入され、そのアンダーカット18に係合し、スタッキングされたボックス1の上側のボックス1のみが機械的にグリップされている。これは、2つのボックス1を有するスタックについて例示されているが、当然ながら、この技術は、ほぼ任意の数のスタックボックス1を適当な方法でグリップするために実現されうる。この場合、ボックス1のスタックの全部ではなく一部のみが機械的にグリップされてもよい。
【0028】
図8および9には、
図10に示されている状況が側面図および下面図として示されており、両方のボックス1がグリップ機構6によって機械的にグリップされている。
【0029】
図12、
図13および
図14には、他の図のスタッキングされたボックス1のうちの一のボックス1が示されている。
図12には、収容空間5を斜め上方から臨むボックス1の斜視図が示されている。
図13には、逆さにされたボックス1、すなわちその底部3を斜め上方から臨むボックス1の斜視図が示されている。
図14には、ボックス1の上面図が示されている。
図15には、
図14の領域Fの拡大図が示されている。
図15には、切断線G-G、H-HおよびK-Kが示されている。
図16には、断面線G-Gに沿ったボックス1の断面図が示されている。
図17には、
図16の領域Lの拡大図が示されている。そこでは、この実施形態では底部3の外側に形成された、好ましくはくさび形状の位置合わせ面19を確認することができる。ボックス1がスタッキングされる際、位置合わせ面19は、スタッキングされたボックス1の相互の位置合わせまたはセンタリングを保証し、
図2に示されているように、ボックス1のそれぞれの底部2が、その下側に配置されたボックス1の収容空間5の上方に配置され、かつ、下側のボックス1の側壁4の上端部において支持される。ボックス1または底部3に分散配置された位置合わせ面19により、スタッキングされたボックス1のチャンネル8が相互に連通するように、スタッキングされたボックス1が、水平方向すなわちスタッキング方向2に対して垂直なまたは直角をなす方向について相互に位置合わせされる。本発明の好ましい実施形態では、一般的に、好ましくはくさび形状に形成されている位置合わせ面19が、スタッキングされたボックス1のチャンネル8を相互に連通させるために相互に位置合わせされてボックス1に形成されている。当然のことながら、適当な位置合わせ面19がさまざまに異なる形状に形成され、それぞれのボックス1の他の位置に形成されていてもよい。例えば、位置合わせ面19が、底部3ではなく側壁4の上端部の相応の領域に配置され、ボックス1がスタッキング方向2にスタッキングされる際に、その上側にスタッキングされるボックス1の底部3と当接し、スタッキングされたボックスのチャンネル8が連通するように位置合わせされることが保証される。
【0030】
図19には、アンダーカット18として機能する下側の導出開口部10と、ラッチ20のための導入開口部9の領域における適当な切欠部34と、が示されている。導入開口部9および導出開口部10の用語は、チャンネル8またはチャンネルキャビティ12の対応する端部の開口部のみに関連する。導入開口部9および導出開口部10という用語は、表現の簡素化の観点から採用されている。導入開口部9は、チャンネル8の開口部であり、これを通じてグリップ機構6がチャンネル8に導入される。導出開口部10は、グリップ機構6がチャンネル8に導出開口部10の上方から導入される際、グリップ機構6がチャンネル8を通じて押し込まれることにより、チャンネル8から導出される開口部として定義される。グリップ機構6がチャンネル8から引き出される際、厳密には、導入開口部9および導出開口部10が反対に定義される必要がある。ただし、これは表現の簡素化の観点から省略されている。導入開口部9が第1開口部として定義され、導出開口部10が第2開口部として定義されていてもよい。
【0031】
図20および
図21には、隅角部16に配置された4つのチャンネル8に加えて、追加のチャンネル8が長辺側の側壁部分21に配置された、本発明に係るボックス1の第2実施形態が示されている。
図20にはボックス1の上面図が示され、
図21には
図20の切断線M-Mに沿ったボックス1の断面図が示されている。これは、チャンネル8が必ずしもボックス1の隅角部16に配置される必要がないことを示すのに役立つ。チャンネル8は、側壁4の他の領域に設けられてもよく、隅角部16の間に配置されたの側壁部分21の領域だけに配置されていてもよい。チャンネル8が側壁4の他の領域において適当に形成されている場合、隅角部16にチャンネル8がまったく形成されていなくてもよい。
【0032】
図22には、チャンネル8の周囲が閉じられて形成されていないボックス1の隅角部16が示されている。すなわち、この実施形態では、チャンネルキャビティ12は周囲が閉じられておらず、チャンネル境界壁11の360°の円周角をもって画定されていない。このような実施形態では、チャンネル境界壁11が、特にスタッキング方向12に対して垂直な断面13において、少なくとも180°の円周角14にわたり少なくとも部分的にチャンネルキャビティ12を画定している。これは、円周角14を示している
図22について該当する。
【0033】
図23および
図24には、特に周囲が閉じられたチャンネル8またはそのチャンネル境界壁11およびそのチャンネルキャビティ12が形成されうる実施形態が示されている。当該2つの変形実施形態において、スタッキング方向2に対して垂直な断面13において、それぞれのチャンネル8のチャンネルキャビティ12が円形断面を有している。しかしながら、
図23に示されている実施形態では、チャンネルキャビティ12は、縮径部35において合わさった2つの円錐台によって形成されている。その一方、
図24に示されている実施形態では、チャンネルキャビティ12は全長にわたり円筒形状である。
図23に示されている実施形態における縮径部35は、例えば、それぞれのチャンネル8に相応して形成されたグリップ機構6を取り外し可能に固定する役割を果たす。したがって、縮径部35により、前述したアンダーカット18が実現されてもよい。
【0034】
本発明のボックス1をさらに改善するために、一方では収容空間5に大きい荷物または重い物体が収容された状態でスタッキングされ、他方では十分に乾燥された側壁部分21を装備し、スタッキング可能なボックス1によれば、側壁4は、ボックス1の上面図において、好ましくは長方形の基本構造を有し、好ましくは4つの隅角部16および当該隅角部16の間で延在している側壁部分21を備え、当該隅角部16の間に延在している側壁部分21のそれぞれは、スタッキング方向2に対して少なくとも部分的に傾斜している側壁部分21の上側部分22と、その反対側に配置された側壁部分21の下側部分23と、により画定され、側壁部分21のそれぞれは、側壁部分21の上側部分22において、それぞれの上側部分22のスタッキング方向2に対して傾斜している少なくとも1つの傾斜部分24に対して、好ましくはそれぞれの上側部分22の2つの傾斜部分24の間において隣接し、当該傾斜部分24の上方に突出している当接面25および/または側壁部分21の下側部分23において、それぞれの下側部分23の少なくとも1つの隣接部分26、好ましくは2つの隣接部分26を越えて突出した当接面27が形成されている。この好ましい実施形態を例示してさらに説明するため、これは、本発明の様々な実施形態形態により実現されている。
図1~
図19に示されている第1実施形態および
図20~
図22に示されている第2実施形態では、当接面25が側壁部分21の上側部分22にのみ形成されている。対照的に、
図25~
図28に示されている実施形態では、当接面27が側壁部分21の下側部分23にのみ形成されている。
図29~
図30には、それぞれの側壁部分21において、上側部分22の当接面25が形成され、かつ、それぞれの下側部分23に当接面27が形成されている混合形態が示されている。
【0035】
第1実施形態では、特に
図4、
図6および
図7が参照される。
図6には、スタッキングされたボックス1の側壁分21を通る
図4の切断線D-Dに沿った、当接面25から外れた領域における断面が示されている。
図7には、
図4の切断線E-Eに沿った、それぞれの側壁部分21のそれぞれの上側部分22に形成されたそれぞれの下側のボックス1の当接面25が、上側に配置されたボックス1の下側部分23に当接する領域における断面が示されている。
【0036】
したがって、スタッキングされた本発明に係るボックス1の組み合わせ構造の第1実施例では、上側のボックス1のそれぞれの側壁部分21の下側部分23は、下側のボックス1のそれぞれの側壁部分21の上側部分22の当接面25の領域のみに載置される。これにより実現されるように、下側のボックス1の上側部分22のそれぞれにおけるスタッキング方向2に対して傾斜している傾斜部分24が、その上方にある、上側のボックス1のそれぞれの側壁部分21の下側部分23の領域から離間して配置されている。
図6に示されている断面において、下側のボックス1の側壁部分21の上側部分22の傾斜部分24が、上側のボックス1のそれぞれの底部23から離間した配置態様が確認できる。したがって、それぞれの下側部分23とそれぞれの上側部分22の傾斜部分24との間に間隙が生じる。傾斜部分24がスタッキング方向2に対して傾斜して設計されていることとの組み合わせにより、ボックス1のそれぞれの側壁部分21の上側部分22が非常に迅速かつ良好に乾燥されうる。
【0037】
本発明の説明において、「傾斜」という用語は、一定の角度、好ましくは鋭角であり、直角でも平行でもないことを意味している。本実施形態および本発明に係る他の実施形態において、スタッキング方向2に対して傾斜している側壁部分21のそれぞれの上側部分22のそれぞれの傾斜部分24は、スタッキング方向2に対して5°~15°の範囲に含まれる鋭角、好ましくは7°~10°の範囲に含まれる鋭角をなす。
【0038】
図7、すなわち
図4の切断線E-Eに沿った断面図には、相応数の当接面25によりボックス1が高い負荷にも対応できるように、側壁部分21の上側部分22の傾斜部分24を越えて突出している当接面25が、その上方に配置されたボックス1の側壁部分21の下側部分23に対して全面的に当接していることが示されている。
【0039】
本実施形態および本発明の他の好ましい実施形態において、当接面25または27は、側壁4の全体において、スタッキングされたボックス1が相互に当接する唯一の領域である。これは、好ましい実施形態では、スタッキングされたボックス1が隅角部16において相互に支持されず、かつ、相互に当接しないことを意味する。
【0040】
図6および
図7の対比により、本発明の好ましい実施形態では、当接面25が第1平面28に配置され、これに対して隣接する上側部分22のそれぞれの傾斜部分24が第2平面29に配置され、第1平面28および第2平面29が相互に鋭角30をなしていることがわかる。これを明確にするため、
図7に示された当接面25の第1平面28が
図6に再び示されている。本実施形態では
図7からわかるが、前述の本発明の好ましい実施形態では、上側部分22に形成された当接面25が、スタッキング方向2に対して垂直に配置された平面31において延在している。
【0041】
ここで、当接面27が側壁部分21のそれぞれの下側部分23のみに形成されている
図25~
図28に示されている実施形態を参照すると、
図27および
図28には、
図6および
図7と同様の断面が示されている。
図27には、当接面27が存在しない領域の断面が示されている。ここでも、下側のボックス1のそれぞれの側壁部分21のそれぞれの上側部分22の傾斜部分24は、その上側にスタッキングされたボックス1の側壁部分21の下側部分23のそれぞれから離間している。これにより、
図27に示されている間隙が、側壁部分21の上側部分22および下側部分22の乾燥を促進する。
【0042】
図28には、側壁部分21のそれぞれの下側部分23に一体的に形成された当接面27の領域における、スタッキングされたボックス1の側壁部分21を通る断面が示されている。当接面27が、隣接部分26を越えて突出していることが
図26からわかる。この実施形態でも、当接面27が第1平面28に配置され、下側部分23のそれぞれの隣接部分26が第2平面29に配置され、第1平面28および第2平面29が相互に鋭角30をなす。これを明確にするため、
図28に示されている第1平面28が再び
図27に示されている。この実施形態では、特に
図28からわかるように、下側部分23に形成された当接面27が、スタッキング方向2に対して角度をなしてまたは傾斜して配置された平面32において延在していてもよい。当接面27の当該傾斜延在態様は、
図28に示されているように、側壁部分21の上側部分22のそれぞれの傾斜部分24に対応する角度をなすことが好ましい。これにより、当接面27が、下側に配置されたボックス1の上側部分22の対応する隣接部分26に完全にかつ全体的に当接し、その結果、スタッキングされたボックス1が安定して支持される。
【0043】
図25~
図28に示されている実施形態は、下側部分23のそれぞれの隣接部分26を越えて突出する当接面27が下側部分23に形成されている場合、下側部分23のそれぞれの隣接部分26が、スタッキング方向2に対して垂直に配置された平面33において延在している(
図27参照)。
【0044】
図29および
図30には、上側部分22および下側部分23のそれぞれに対応する当接面25および27が形成されている本発明の一実施形態が示されている。
図27には、
図6と同様に、スタッキングされたボックス1の側壁部分21の断面における、当接面25および27の領域の外側の様子が示されている。当該領域において、それぞれの上側のボックス1の下側部分23と、下側に配置されたボックス1の側壁部分21の上側部分22の傾斜部分24との間に隙間がある離間配置が実現されている。
図29に示されているように、第1平面28と第2平面29との間の角度30は、前述した他の2つの実施形態と同じである。
【0045】
図30に示されている当接面25および27を通る断面において、それらが全面にわたって相互に当接し、ボックス1が安定して支持されることがわかる。この変形実施形態では、上側部分22に形成された当接面25は、スタッキング方向2に対して垂直に配置された平面31に延在している。この実施形態では、下側部分23に形成された当接面27が、スタッキング方向2に対して垂直に配置された平面31に延在していてもよい。
【0046】
当接面25および27のサイズ、ならびに、側壁部分21の上側部分22および下側部分23の残りの表面との関係は、予想されるまたは達成される負荷条件に応じて調整されてもよい。一方のボックス1のすべての側壁部分21の上側部分22の当接面25のすべての面積の合計、および、他方のボックス1の側壁4の上側の総面積の比が1:5~1:15の範囲に含まれ、好ましくは1:9~1:11の範囲に含まれている。これは、当接面27が側壁4の下側部分23に配置されている場合も同様である。一方のボックス1のすべての側壁部分21の下側部分23のすべての当接面27の面積の合計、および、他方のボックス1の側壁4の下側部分23の総面積の比が1:5~1:1の範囲に含まれ、好ましくは1:9~1:11の範囲に含まれている。それぞれの当接面25または27は、75mm2~175mm2の範囲に含まれ、好ましくは120mm2~135mm2の範囲に含まれている面積を有している。
【0047】
収容空間5を画定する底部3の上側の、特に平坦な境界面17に関して、一方のボックス1のすべての側壁部分21の上側部分22および/または下側部分23におけるすべての当接面25または27の面積の合計、および、他方のボックス1の底部3の上側の境界面17の総面積の比は、1:100~1:130の範囲に含まれ、好ましくは1:110~1:115の範囲に含まれている。
【符号の説明】
【0048】
1‥ボックス、2‥スタッキング方向、3‥底部、4‥側壁、5‥収容空間、6‥グリップ機構、7‥長手方向、8‥チャンネル、9‥導入開口部、10‥導出開口部、11‥チャンネル境界壁、12‥チャンネルキャビティ、13‥切断面、14‥円周角、15‥高さ範囲、16‥隅角部、17‥上側部分境界面、18‥アンダーカット、19‥位置合わせ面、20‥ラッチ、21‥側壁部分、22…上側部分、23‥下側部分、24‥傾斜部分、25‥当接面、26‥隣接部分、27‥当接面、28‥第1平面、29‥第2平面、30‥鋭角、31‥平面、32‥平面、33‥平面、34‥切欠部、35‥縮径部。