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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20231002BHJP
【FI】
H01R24/38
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019173254
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021051871
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】正田 進也
(72)【発明者】
【氏名】勝本 早紀
(72)【発明者】
【氏名】角野 愛
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-063893(JP,A)
【文献】特開平01-112679(JP,A)
【文献】特開2019-003856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38
H01R 13/6473
H01R 13/115
H01R 9/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心導体、前記中心導体を包囲する誘電体、前記誘電体を覆う外部導体、及び、前記外部導体を被覆する絶縁シースを有する同軸ケーブルの端末に接続した相手側同軸コネクタと着脱自在に接続する同軸コネクタであって、
前記相手側同軸コネクタは、
一端面を開口すると共に、当該同軸コネクタを一端部に導入でき、他端部を前記外部導体に接続した円筒状のシェルと、
一端面から他端面に向けて貫通した支持孔を中心部に有し、前記シェルの内部に保持した第1誘電体筒と、
前記第1誘電体筒の支持孔の内部に支持され、雌端子を一端部側に有し、前記中心導体に接続した接続端子を他端部側に有する、筒状の第1中心コンタクトと、を備え、
前記シェルと接続できる円筒部を一方の端部から突出したメタルシェルと、
前記メタルシェルの内部に支持され、前記第1誘電体筒の一端面と一端面が近接可能に配置された第2誘電体筒と、
前記雌端子の内部に進入でき、前記雌端子と接続自在な雄端子を一端部側に有し、他端部側を前記第2誘電体筒の内部に支持した、第2中心コンタクトと、を備え、
前記第2中心コンタクトは、前記雄端子の外径より幅広のショルダー部を前記雄端子の基端部に有し、
前記雌端子と前記雄端子が接続した状態では、少なくとも前記ショルダー部の一部が、前記第1誘電体筒の支持孔の内部に進入し、
前記雄端子は、円柱状に形成したピンコンタクトからなり、
前記ショルダー部は、前記ピンコンタクトの外径より幅広の矩形板で形成している、同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸コネクタに関する。特に、同軸ケーブルの端末に接続した同軸コネクタであって、相手側同軸コネクタの雌端子と着脱自在に接続できる雄端子を有する中心コンタクトを備えた同軸コネクタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プリント基板に実装できる多芯同軸コネクタ(リセプタクル)に対して、複数の同軸ケーブルの端末に接続した多芯同軸コネクタ(プラグ)が着脱自在な同軸コネクタ組立体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1による同軸コネクタ組立体は、特性インピーダンスを維持しながら、解除可能な完全ロックを行うことができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-3856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8は、従来技術による同軸コネクタ組立体の構成を示す図であり、図8(A)は、同軸コネクタ組立体の右側面図、図8(B)は、同軸コネクタ組立体の背面図、図8(C)は、図8(B)のX-X矢視断面図である。
【0006】
図9は、従来技術による同軸コネクタ組立体を構成するプラグの内部構成を示す斜視分解組立図である。図10は、従来技術による同軸コネクタ組立体を構成するリセプタクルの構成を示す斜視分解組立図である。
【0007】
なお、本願の図8図9は、特許文献1の図5図2に相当している。又、本願の図107は、特許文献1の図4に相当している。
【0008】
図8を参照すると、従来技術による同軸コネクタ組立体CNは、プラグ8とリセプタクル9で構成している。プラグ8は、複数の同軸ケーブルCbの端末に接続している。リセプタクル9は、図示しないプリント基板に実装できる。リセプタクル9に対して、プラグ8を着脱できる。なお、図8は、リセプタクル9とプラグ8が接続した状態を示している。
【0009】
図8を参照すると、プラグ8は、直方体状のハウジング8h、複数の中心コンタクト81、及び、中心コンタクト81と同数の円筒状のシェル82を備えている。ハウジング8hは、一端面から他端面に向けて貫通したケーブル挿入孔を開口している。ケーブル挿入孔は、二段二列に配列されている。ケーブル挿入孔には、中心コンタクト81及びシェル82付きの同軸ケーブルCbを一端面から挿入できる。
【0010】
図9を参照すると、同軸ケーブルCbは、単線又は撚線からなる円形の中心導体Wc、中心導体Wcの包囲するフッ素系樹脂などの誘電体Di、誘電体Diの周囲を覆う編組線などの外部導体Wb、及び、外部導体Wbを被覆保護する絶縁シースWiで構成している。なお、図9では、同軸ケーブルCbの端末を端末処理した状態で示している。
【0011】
図8又は図9を参照すると、中心コンタクト81は、雌端子81tを先端部に有している。中心コンタクト81は、その他端部を圧着により、中心導体Wcに固定している。更に、中心コンタクト81は、円筒状の誘電体81dを中間部に保持している。
【0012】
図8又は図9を参照すると、プラグ8は、クリンプバレル83を更に備えている。クリンプバレル83は、一端部側にインシュレータバレル83iを有し、他端部側に導電バレル83cを有している。
【0013】
図8又は図9を参照して、インシュレータバレル83iを絶縁シースWiの外周方向から圧着することで、同軸ケーブルCbの端末にクリンプバレル83を固定できる。シェル82の一端部側を外部導体Wbに被せ、シェル82の一端部側の外周方向から導電バレル83cを圧着することで、シェル82を同軸ケーブルCbの端末に固定できると共に、外部導体Wbとシェル82を電気的に接続できる。
【0014】
図8を参照すると、中心コンタクト81とシェル82は、同軸上に配置されている。中心コンタクト81の中間部に誘電体81dを備えることで、中心コンタクト81とシェル82の同軸度を担保できる。
【0015】
図8又は図10を参照すると、リセプタクル9は、直方体状のハウジング9hとメタルシェル92を備えている。又、リセプタクル9は、一組のL形の棒状の中心コンタクト91a・91bと一組の誘電体93a・93bを備えている。誘電体93aは、中心コンタクト91aの中間部を一体成形している。誘電体93bは、中心コンタクト91bの中間部を一体成形している。
【0016】
図8を参照すると、ハウジング9hは、メタルシェル92を内部に保持している。ハウジング9hには、その他端部側から一端部側に向けて、メタルシェル92が挿入されている。メタルシェル92は、一端面から他端面に向けて貫通した支持孔92h・92hを開口している(図10参照)。これらの支持孔92h・92hは、二段二列に配列されている(図10参照)。
【0017】
図8を参照すると、メタルシェル92の下段の支持孔には、中心コンタクト91a付き誘電体93aが挿入されている。又、メタルシェル92の上段の支持孔には、中心コンタクト91b付き誘電体93bが挿入されている。これらの誘電体93a・93bは、メタルシェル92の他端部側(背面側)から挿入されている。
【0018】
図8又は図10を参照すると、中心コンタクト91aは、雄端子91tを先端部に有している。同様に、中心コンタクト91bは、雄端子91tを先端部に有している。雄端子91tは、雌端子81tの内部に進入でき、雌端子81tと電気的に接続できる。中心コンタクト91a・91bは、リード部を他端部に有している。これらのリード部は、図示しないプリント基板に設けたスルーホールにはんだ接合できる。
【0019】
図8又は図10を参照すると、リセプタクル9は、複数の円筒状のシェル94を備えている。シェル94の他端部側は、メタルシェル92と接触可能に、メタルシェル92の支持孔92hに圧入されている。シェル94の一端部側は、雄端子91tを同軸上に囲っている。リセプタクル9とプラグ8を接続すると、シェル94とシェル82を電気的に接続できる。
【0020】
図8又は図10を参照すると、リセプタクル9は、第1シールド板95と第2シールド板96を更に備えている。第1シールド板95と第2シールド板96は、メタルシェル92の底面側から圧入されている。
【0021】
図8を参照すると、第1シールド板95は、メタルシェル92の背面を覆うように配置されている。第1シールド板95は、誘電体93bを介して、中心コンタクト91bを電磁遮蔽している。第2シールド板96は、誘電体93aと誘電体93bの間に配置されている。第2シールド板96は、誘電体93a・93bを介して、中心コンタクト91aと中心コンタクト91bを電磁遮蔽している。
【0022】
図8を参照すると、ハウジング8hは、ロックレバー81rを有している。ロックレバー81rは、ハウジング8hの上面に片持ち支持されている。ロックレバー81rは、ハウジング8hに一端部側(前方)から他端部側(後方)に向かって、ハウジング8hの上面に沿って延出している。ロックレバー81rは、ロック用の係止凸部811を中間部から突出している(図8(C)参照)。
【0023】
図8を参照すると、ハウジング9hは、ロックレバー81rを導入できるラッチ部91rを上面に形成している。ラッチ部91rは、実体として、ロックレバー81rを導入できる受入開口である。
【0024】
図8(C)を参照して、プラグ8をリセプタクル9に向かって移動すると、ロックレバー81rをラッチ部91rの内部に進入できる。そして、ロックレバー81rが弾性復帰することで、係止凸部811をラッチ部91rの内壁に係止できる。これにより、プラグ8をリセプタクル9にロックできる。ロックレバー81rの後端部を押すことで、プラグ8とリセプタクル9のロックを解除できる。
【0025】
図9を参照すると、プラグ8は、中心コンタクト81の先端部側に設けた雌端子81tの挿入口をスリット81sで分割した、いわゆる、接触ばねで構成している。接触ばねは、棒状の雄端子91tなどを挿入することによって発生する「こじり」などを緩和できる。
【0026】
図8を参照すると、特許文献1による同軸コネクタ組立体は、シェル82で囲われた雌端子81tに先太り状の雄端子91tが挿入されることで、雌端子81tと雄端子91tを電気的に接続している。雌端子81tの外径に対して、雄端子91tの外径が小さく、かつ、先端部に対して雄端子91tの基端部の外径が縮径しているので、信号の伝送特性を向上することが容易でなかった。
【0027】
同軸ケーブルの中心導体と接続する相手側中心コンタクトの雌端子と接続する雄端子を先端部に設けた中心コンタクトを有する同軸コネクタであって、中心コンタクトの先端部側に設けた雄端子の構造を工夫することで、特性インピーダンスの整合を向上できる雄端子を先端部に設けた中心コンタクトを有する同軸コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0028】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、特性インピーダンスの整合を向上できる、相手側中心コンタクトの雌端子と接続する雄端子を先端部に設けた中心コンタクトを有する同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明者らは、相手側中心コンタクトの雌端子と接続する雄端子に、雄端子の外径より幅広のショルダー部を形成すると共に、雌端子を囲う誘電体の内部にショルダー部の先端部側を進入可能に構成することで、特性インピーダンスの整合を向上できると考え、これに基づいて、以下のような新たな同軸コネクタを発明するに至った。
【0030】
(1)本発明による同軸コネクタは、中心導体、前記中心導体を包囲する誘電体、前記誘電体を覆う外部導体、及び、前記外部導体を被覆する絶縁シースを有する同軸ケーブルの端末に接続した相手側同軸コネクタと着脱自在に接続する同軸コネクタであって、前記相手側同軸コネクタは、一端面を開口すると共に、当該同軸コネクタを一端部に導入でき、他端部を前記外部導体に接続した円筒状のシェルと、一端面から他端面に向けて貫通した支持孔を中心部に有し、前記シェルの内部に保持した第1誘電体筒と、前記第1誘電体筒の支持孔の内部に支持され、雌端子を一端部側に有し、前記中心導体に接続した接続端子を他端部側に有する、筒状の第1中心コンタクトと、を備え、前記シェルと接続できる円筒部を一方の端部から突出したメタルシェルと、前記メタルシェルの内部に支持され、前記第1誘電体筒の一端面と一端面が近接可能に配置された第2誘電体筒と、前記雌端子の内部に進入でき、前記雌端子と接続自在な雄端子を一端部側に有し、他端部側を前記第2誘電体筒の内部に支持した、第2中心コンタクトと、を備え、前記第2中心コンタクトは、前記雄端子の外径より幅広のショルダー部を前記雄端子の基端部に有し、前記雌端子と前記雄端子が接続した状態では、少なくとも前記ショルダー部の一部が、前記第1誘電体筒の支持孔の内部に進入している。
【0031】
(2)前記雄端子は、円柱状に形成したピンコンタクトからなり、前記ショルダー部は、前記ピンコンタクトの外径より幅広の矩形板で形成していることが好ましい。
【0032】
(3)前記ショルダー部は、その幅を前記第1中心コンタクトの外径と略同じに形成してもよい。
【0033】
(4)前記ショルダー部は、その幅を前記第1中心コンタクトの外径より大きく、かつ、前記第1誘電体筒の内径より小さく形成してもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明による同軸コネクタは、相手側の第1中心コンタクトと接続自在な第2中心コンタクトは、雄端子の外径より幅広のショルダー部を雄端子の基端部に有し、雌端子と雄端子を接続した状態では、ショルダー部は、相手側の第1誘電体筒の支持孔の内部に進入しているので、特性インピーダンスの整合を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態による同軸コネクタの構成を示す斜視図であり、図1(A)は、実施形態による同軸コネクタと相手側同軸コネクタが接続した状態図、図1(B)は、実施形態による同軸コネクタが相手側同軸コネクタと接続する前の状態図である。
図2】前記実施形態による同軸コネクタの構成を示す斜視図であり、図2(A)は、実施形態による同軸コネクタと相手側同軸コネクタが接続した状態図、図2(B)は、実施形態による同軸コネクタが相手側同軸コネクタと接続する前の状態図である。
図3】前記実施形態による同軸コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
図4】前記実施形態による相手側同軸コネクタの構成を示す図であり、図4(A)は、実施形態による相手側同軸コネクタの斜視図、図4(B)は、実施形態による相手側同軸コネクタの斜視分解組立図である。
図5】前記実施形態による同軸コネクタと相手側同軸コネクタが接続した状態を示す図であり、図5(A)は、実施形態による同軸コネクタの左側面図、図5(B)は、図5(A)のC-C矢視断面図、図5(C)は、図5(A)のD-D矢視断面図、図5(D)は、図5(B)の接続部の拡大図である。
図6】前記実施形態による同軸コネクタの構成を示す図であり、図6(A)は、実施形態による同軸コネクタの左側面図、図6(B)は、図6(A)のL-L矢視断面図、図6(C)は、図6(A)のJ-J矢視断面図、図6(D)は、実施形態による同軸コネクタの斜視図である。
図7】前記実施形態による相手側同軸コネクタの構成を示す図であり、図7(A)は、実施形態による相手側同軸コネクタの左側面図、図7(B)は、図7(A)のG-G矢視断面図、図7(C)は、図7(A)のH-H矢視断面図、図7(D)は、実施形態による相手側同軸コネクタの斜視図である。
図8】従来技術による同軸コネクタ組立体の構成を示す図であり、図8(A)は、同軸コネクタ組立体の右側面図、図8(B)は、同軸コネクタ組立体の背面図、図8(C)は、図8(B)のX-X矢視断面図である。
図9】従来技術による同軸コネクタ組立体を構成するプラグの内部構成を示す斜視分解組立図である。
図10】従来技術による同軸コネクタ組立体を構成するリセプタクルの構成を示す斜視分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
(相手側同軸コネクタの構成)
本発明の一実施形態による同軸コネクタの構成を説明する前に、相手側同軸コネクタの構成を説明する。
【0037】
なお、従来技術で用いた符号と同じ符号を付した構成品は、その作用を同じとするので、以下説明を省略する場合がある。
【0038】
(全体構成)
図1又は図2及び図4を参照すると、本発明の一実施形態による相手側同軸コネクタ(以下、プラグという)10は、同軸ケーブルCbの端末に接続している。同軸ケーブルCbは、中心導体Wc、中心導体Wcを包囲する誘電体Di、誘電体Diを覆う外部導体Wb、及び、外部導体Wbを被覆する絶縁シースWiを有している。
【0039】
図1又は図2及び図4を参照すると、プラグ10は、本発明の一実施形態による同軸コネクタ(以下、リセプタクルという)20と着脱自在に接続できる。リセプタクル20は、例えば、図示しないプリント基板に実装できる。
【0040】
図1又は図2及び図4又は図5を参照すると、プラグ10は、円筒状のシェル1、第1誘電体筒3、及び、筒状の第1中心コンタクト5を備えている。シェル1は、その一端面を開口している。シェル1は、その一端部をリセプタクル20に導入できる。又、シェル1は、その他端部を外部導体Wbに圧着により接続している。
【0041】
図4又は図7を参照すると、第1誘電体筒3は、支持孔3hを中心部に有している。支持孔3hは、第1誘電体筒3の一端面から他端面に向けて貫通している。第1誘電体筒3は、シェルの一端面から挿入できる(図4(B)参照)。そして、第1誘電体筒3は、シェル1の内部に保持されている。
【0042】
図4又は図5及び図7を参照すると、第1中心コンタクト5は、第1誘電体筒3の支持孔3hの内部に支持されている。第1中心コンタクト5は、雌端子5tを一端部側に有している。雌端子5tは、雄端子6tと接続できる(図5(C)又は図5(D)参照)。又、第1中心コンタクト5は、接続端子5cを他端部側に有している。接続端子5cは、中心導体Wcに接続している。実施の形態では、接続端子5cは、圧着端子で構成している。
【0043】
図4(B)又は図7(C)を参照すると、雌端子5tは、スリット5sで分割した接触ばねEoを有している。接触ばねEoは、その挿入口の内壁が膨出している(図5(D)参照)。
【0044】
図3(B)又は図4及び図5(C)を参照すると、第1中心コンタクト5は、相手側の雄端子6tと接触時に、接続端子5cを除き、雌端子5tを含んで略同じ外径Dで形成している。第1中心コンタクト5は、その軸方向の外径Dの変動を抑制している。
【0045】
[相手側コネクタの構成]
次に、本発明の一実施形態による同軸コネクタ(以下、リセプタクルという)20の構成を説明する。図1から図3及び図5又は図6を参照すると、リセプタクル20は、メタルシェル2、第2誘電体筒4、及び、第2中心コンタクト6を備えている。
【0046】
図1から図3及び図5を参照すると、メタルシェル2は、直方体状の本体2bと円筒部2cを有している。メタルシェル2は、支持孔2hを中心部に有している(図1(B)参照)。支持孔3hは、円筒部2cの先端面から本体2bの底面に向けて貫通している。
【0047】
図3又は図5及び図6を参照すると、メタルシェル2の支持孔2hの内部には、第2誘電体筒4が支持されている。第2誘電体筒4は、第2中心コンタクト6を中心部に保持している。第2中心コンタクト6は、雄端子6tを一端部側に有している。第2中心コンタクト6の他端部側は、例えば、第2誘電体筒4の中心部に圧入されている。雄端子6tは、第2誘電体筒4の一端面から突出した状態で配置されている。
【0048】
又、図3又は図5(D)及び図6を参照すると、第2中心コンタクト6は、ショルダー部6sを雄端子6tの基端部に形成している。ショルダー部6sは、雄端子6tの外径より幅広の外形を形成している(図5(D)参照)。第2中心コンタクト6は、雄端子6t及びショルダー部6sの基端部が第2誘電体筒4の端面から突出した状態で、第2誘電体筒4に固定されている。
【0049】
図3又は図6を参照して、第2中心コンタクト6付き第2誘電体筒4は、本体2bの底面側から挿入できる。そして、メタルシェル2の内部に第2誘電体筒4が保持された状態では、雄端子6tは、円筒部2cの内部に臨んで配置されている(図6参照)。
【0050】
図1又は図2及び図5を参照して、プラグ10をリセプタクル20に向かって移動すると、プラグ10の先端部側を円筒部2cの内部に導入できる。そして、雄端子6tは、雌端子5tの内部に相対的に進入でき、雌端子5tと電気的に接続できる。又、円筒部2cの内部にシェル1が相対的に進入することで、メタルシェル2とシェル1を電気的に接続できる。
【0051】
図5(D)を参照して、雌端子5tと雄端子6tが接続した状態では、ショルダー部6sは、第1誘電体筒3の支持孔3hの内部に進入している。これにより、特性インピーダンスの整合を向上できる。
【0052】
引き続き、プラグ10の構成を説明する。図1又は図2及び図4又は図5を参照すると、プラグ10は、圧着スリーブ7を更に備えている。図5又は図7を参照すると、シェル1の他端部は、誘電体Diと外部導体Wbの間に挿入されている。絶縁シースWiを介して、圧着スリーブ7を同軸ケーブルCbの端末に圧着すると、シェル1の他端部を外部導体Wbに電気的に接続できる。又、絶縁シースWiを介して、圧着スリーブ7を同軸ケーブルCbの端末に圧着すると、同軸ケーブルCbの端末にプラグ10を固定できる。
【0053】
(第1中心コンタクトの構成)
次に、実施形態による第1中心コンタクト5の構成を説明する。図4又は図5及び図7を参照すると、第1中心コンタクト5は、導電性を有する金属板からなり、導電性を有する展開板を成形することで、円筒状コンタクトを得ることができる。
【0054】
図4(B)又は図7(B)を参照すると、第1中心コンタクト5は、雌端子5tの接触ばねEoの挿入口が外周から内周に折り返している。これにより、相手側の雄端子6tと接触時に、雌端子5tの外径Dを第1中心コンタクト5の外径Dに略収束できる。実施形態による第1中心コンタクト5は、金属板を円筒状に成形した円筒状コンタクトを開示したが、雌端子5tの接触ばねEoの挿入口の内周が膨出したスクリューマシン・コンタクト(金属棒から切削加工されたコンタクト)で構成することもできる。
【0055】
又、図4又は図5及び図7を参照すると、実施形態による雌端子5tは、半分に分割した接触ばねEoを開示したが、接触ばねEoは、その外径Dを超えない範囲で、三分割してもよく、十字状のスリットを設けて、四分割してもよい。
【0056】
(第2中心コンタクトの構成)
次に、実施形態による第2中心コンタクト6の構成を説明する。図3又は図5及び図6を参照すると、第2中心コンタクト6は、導電性を有する金属板からなり、導電性を有する金属板を打ち抜き加工することで、板状の第2中心コンタクト6を得ることができる。
【0057】
図3又は図5及び図6を参照すると、実施の形態では、雄端子6tは、円柱状に形成したピンコンタクトで構成している。一方、ショルダー部6sは、ピンコンタクトの外径より幅広の矩形板で形成している。雄端子6tは、雄端子6tとショルダー部6sを含む第2中心コンタクト6の他端部側を一体で成形することもできる。
【0058】
図3又は図5及び図6を参照すると、実施の形態では、雄端子6tは、円柱状に形成しているが、雄端子6tは、四角柱状に形成してもよい。
【0059】
[同軸コネクタの作用]
次に、実施形態によるリセプタクル20の作用及び効果を説明する。図1から図7を参照すると、実施形態によるリセプタクル20は、相手側のシェル1と接続できる円筒部2cを一方の端部から突出したメタルシェル2、メタルシェル2の内部に支持された第2誘電体筒4、及び、雌端子5tと接続自在な雄端子6tを一端部側に有する第2中心コンタクト6とを備え、第2中心コンタクト6は、雌端子5tの外径とより幅広のショルダー部6sを雄端子6tの基端部に有し、雌端子5tと雄端子6tが接続した状態では、ショルダー部6sは、相手側の第1誘電体筒3の支持孔3hの内部に進入しているので、特性インピーダンスの整合を向上できる。
【0060】
図3から図7を参照すると、実施形態によるリセプタクル20は、第2中心コンタクト6は、雄端子6tの外径より幅広のショルダー部6sを雄端子6tの基端部に有し、雌端子5tと雄端子6tが接続した状態では、ショルダー部6sは、相手側の第1誘電体筒3の支持孔3hの内部に進入可能に構成しているので、電定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)を改善できる。
【0061】
本発明は、単線の同軸ケーブル用同軸コネクタ(相手側同軸コネクタ)に着脱自在なプリント基板用同軸コネクタを開示したが、本発明は、多芯同軸コネクタに適用することもできる。
【符号の説明】
【0062】
1 シェル
2 メタルシェル
2h 円筒部
3 第1誘電体筒
3h 支持孔
4 第2誘電体筒
5 第1中心コンタクト
5c 接続端子
5t 雌端子
6 第2中心コンタクト
6t 雄端子
6s ショルダー部
10 プラグ(相手側同軸コネクタ)
20 リセプタクル(同軸コネクタ)
Cb 同軸ケーブル
D 外径
Di 誘電体
Wb 外部導体
Wc 中心導体
Wi 絶縁シース
Wc 中心導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10