(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】スプライサー及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
B65H 19/14 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
B65H19/14
(21)【出願番号】P 2020169454
(22)【出願日】2020-10-06
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 達文
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-125168(JP,A)
【文献】特開平8-119499(JP,A)
【文献】特開平6-048620(JP,A)
【文献】国際公開第2008/087711(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/10
B65H 19/14
B65H 19/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転盤と、
前記回転盤を回転駆動する回転駆動機と、
前記回転盤に取り付けられ、帯状の第1フィルムが巻回された第1原反ロールが支持される第1支持シャフトと、
前記回転盤に取り付けられ、帯状の第2フィルムが巻回された第2原反ロールが支持される第2支持シャフトと、
前記第1支持シャフトと前記第2支持シャフトを個別に回転駆動する駆動機構と、
前記回転盤の径方向外側に設けられ、前記第1原反ロールから延びた前記第1フィルムが巻き掛けられ、前記第1フィルムを下流へ送り出すドライブローラと、
前記ドライブローラに前記第1フィルムを押し付けるニップローラと、
前記第1原反ロールと前記ドライブローラとの間において前記第1フィルムが掛けられ、前記第1原反ロールから前記ドライブローラまでの前記第1フィルムの経路長を調整する経路長調整部と、
前記第2支持シャフトよりも前記回転盤の回転の向き側且つ前記第1支持シャフトよりも前記回転盤の回転の反対向き側において前記回転盤に取り付けられ、前記第2原反ロールから延びた前記第2フィルムが掛け渡され、前記第1原反ロールから延びた前記第1フィルムが前記第2フィルムに重なって掛けられるフィルム掛け渡し部と、
前記フィルム掛け渡し部において互いに重ねられた前記第1フィルム及び前記第2フィルムを接合するとともに切断する接合切断機構と、を備え、
前記接合切断機構による接合及び切断の前に、前記ドライブローラの停止状態で前記駆動機構が前記第1支持シャフトを回転駆動して、前記第1フィルムが前記第1原反ロールに巻き取られることによって、前記第1フィルムの経路長が前記経路長調整部により短く調整される
スプライサー。
【請求項2】
前記第1フィルムの前記第1原反ロールへの巻取の前に、前記ドライブローラの停止状態で前記回転駆動機が前記回転盤を回転駆動して、前記第1支持シャフトが前記経路長調整部から離れるように公転することによって、前記第1フィルムが前記第1原反ロール側に引っ張られ、前記第1フィルムの経路長が前記経路長調整部により短く調整される
請求項1に記載のスプライサー。
【請求項3】
回転盤と、
前記回転盤を回転駆動する回転駆動機と、
前記回転盤に取り付けられ、帯状の第1フィルムが巻回された第1原反ロールが支持される第1支持シャフトと、
前記回転盤に取り付けられ、帯状の第2フィルムが巻回された第2原反ロールが支持される第2支持シャフトと、
前記第1支持シャフトと前記第2支持シャフトを個別に回転駆動する駆動機構と、
前記回転盤の径方向外側に設けられ、前記第1原反ロールから延びた前記第1フィルムが巻き掛けられ、前記第1フィルムを下流へ送り出すドライブローラと、
前記ドライブローラに前記第1フィルムを押し付けるニップローラと、
前記第1原反ロールと前記ドライブローラとの間において前記第1フィルムが掛けられ、前記第1原反ロールから前記ドライブローラまでの前記第1フィルムの経路長を調整する経路長調整部と、
前記第2支持シャフトよりも前記回転盤の回転の向き側且つ前記第1支持シャフトよりも前記回転盤の回転の反対向き側において前記回転盤に取り付けられ、前記第2原反ロールから延びた前記第2フィルムが掛け渡され、前記第1原反ロールから延びた前記第1フィルムが前記第2フィルムに重なって掛けられるフィルム掛け渡し部と、
前記フィルム掛け渡し部において互いに重ねられた前記第1フィルム及び前記第2フィルムを接合するとともに切断する接合切断機構と、を備えるスプラサーの動作方法であって、
前記接合切断機構による接合及び切断の前に、前記ドライブローラの停止状態で前記駆動機構が前記第1支持シャフトを回転駆動して、前記第1フィルムが前記第1原反ロールに巻き取られることによって、前記第1フィルムの経路長が前記経路長調整部により短く調整される
スプライサーの動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム同士を接合するスプライサー及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装装置には、原反ロールに巻回された帯状のフィルムを供給するフィルム供給装置が設けられている。包装装置によって包装する内容物の種類が替わった場合、フィルムを異なる種類の新たなフィルムに交換することが必要となる。そこで、そのフィルムを新たな原反ロールのフィルムに接合するスプライサーがフィルム供給装置として用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のスプライサーでは、供給中の第1フィルムが巻かれた第1原反ロールの近くに、第2原反ロールが待機しており、第2原反ロールから繰り出された第2フィルムが第1フィルムに重ねられて準備されている。第1フィルムと第2フィルムが重ねられた箇所には、シール装置が設けられており、シール装置の下流側には、第1フィルムを引き出す引出ローラが設けられている。このスプライサーでは、原反ロールの交換時に引出ローラが停止するものの、引出ローラの下流側のドライブローラによって第1フィルムの供給が継続されるとともに、引出ローラとドライブローラとの間のダンサーローラによって第1フィルムの経路長が漸減する。その際、シール装置によって第1フィルムと第2フィルムが接合されるともに、その接合部分がシール装置の切断刃によって切断される。その後、第2フィルムが引出ローラによって第2原反ロールから引き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の技術では、ダンサーローラに巻き掛けられた交換前の第1フィルムが無駄になってしまう。つまり、ダンサーローラに巻き掛けられた交換前の第1フィルムが包装装置に送られて包装装置から排出された後に、新たな内容物の包装を行う必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ダンサーローラ等から構成される経路長調整部に巻き掛けられた交換前のフィルムの無駄を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、スプライサーが、回転盤と、前記回転盤を回転駆動する回転駆動機と、前記回転盤に取り付けられ、帯状の第1フィルムが巻回された第1原反ロールが支持される第1支持シャフトと、前記回転盤に取り付けられ、帯状の第2フィルムが巻回された第2原反ロールが支持される第2支持シャフトと、前記第1支持シャフトと前記第2支持シャフトを個別に回転駆動する駆動機構と、前記回転盤の径方向外側に設けられ、前記第1原反ロールから延びた前記第1フィルムが巻き掛けられ、前記第1フィルムを下流へ送り出すドライブローラと、前記ドライブローラに前記第1フィルムを押し付けるニップローラと、前記第1原反ロールと前記ドライブローラとの間において前記第1フィルムが掛けられ、前記第1原反ロールから前記ドライブローラまでの前記第1フィルムの経路長を調整する経路長調整部と、前記第2支持シャフトよりも前記回転盤の回転の向き側且つ前記第1支持シャフトよりも前記回転盤の回転の反対向き側において前記回転盤に取り付けられ、前記第2原反ロールから延びた前記第2フィルムが掛け渡され、前記第1原反ロールから延びた前記第1フィルムが前記第2フィルムに重なって掛けられるフィルム掛け渡し部と、前記フィルム掛け渡し部において互いに重ねられた前記第1フィルム及び前記第2フィルムを接合するとともに切断する接合切断機構と、を備え、前記接合切断機構による接合及び切断の前に、前記ドライブローラの停止状態で前記駆動機構が前記第1支持シャフトを回転駆動して、前記第1フィルムが前記第1原反ロールに巻き取られることによって、前記第1フィルムの経路長が前記経路長調整部により短く調整される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1フィルムと第2フィルムの接合前に、第1フィルムが原反ロールに巻き取られるため、経路長調整部における第1フィルムの経路が短くなって、第1フィルムの無駄な廃棄を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されているところ、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
1. スプライサーの構成
図1は、二軸ターレット式のスプライサー1の正面図である。
図2は、スプライサー1のガイドローラ10及び第2シーラー31及びその周辺部の拡大図である。ここで、左右の向きは、
図1に矢印で示したように、スプライサー1を前から見て定める。また、上下方向とは、鉛直方向のことをいうが、鉛直方向に対して傾斜してもよい。
【0012】
このスプライサー1は包装装置に設けられている。スプライサー1はフィルム4を包装装置に連続的に供給する。包装装置は例えばピロー包装機である。被包装物がフィーダーによって包装装置に順次供給され、包装装置がスプライサー1から供給されるフィルム4により被包装物を順次包装することによって、包装物を順次作製する。
【0013】
スプライサー1は、ガイドローラ10、モータ11、ガイドローラ12、アクチュエータ13、経路長調整部14、ガイドローラ15、ドライブローラ16、モータ17、ニップローラ18、アクチュエータ19、回転盤22、回転駆動機23、2本の支持シャフト24、2体のクラッチ25、2本の誘導ローラ26、2本の折り返しローラ27、2体の留め具28、2体の第1シーラー30、第2シーラー31、アクチュエータ33、切断刃34、アクチュエータ35、機枠80及び制御部90を備える。ここで、2体の第1シーラー30、第2シーラー31、アクチュエータ33、切断刃34及びアクチュエータ35からなる機構が接合切断機構である。
【0014】
1-1. 機枠
機枠80が内部空間を包囲するように箱状に設けられ、機枠80の前面には円形状の開口81が形成されている。
【0015】
1-2. 回転盤
円盤状の回転盤22は、機枠80の開口81に嵌め込まれている。回転盤22は、機枠80の開口81に沿って配列されたガイドローラ等によって、回転盤22の幾何重心を通る回転軸の回りに回転可能となって機枠80に支持されている。回転盤22の回転軸は水平である。つまり、回転盤22は、鉛直な面内で回転するように機枠80に取り付けられている。
【0016】
1-3. 回転駆動機
回転駆動機23は回転盤22を駆動して回転させる。回転駆動機23は、モータと、モータの動力を回転盤22に伝達する歯車伝動機構と、を有する。回転盤22の回転の向きは反時計回りである。
【0017】
1-4. フィードモータ、クラッチ及び支持シャフト
機枠80の内側において、フィードモータ29が機枠80に取り付けられている。
【0018】
機枠80の内側において、クラッチ25が回転盤22の回転軸に関して互いに対称な位置となるように回転盤22に取り付けられている。クラッチ25は遊星ギア機構を介してフィードモータ29に連結されている。
【0019】
支持シャフト24は、ベアリング等によって回転可能に回転盤22に取り付けられている。支持シャフト24は、回転盤22の回転軸に対して平行に設けられているとともに、回転盤22を前後に貫通する。支持シャフト24がクラッチ25にそれぞれ連結されている。クラッチ25は、フィードモータ29と支持シャフト24との間の動力伝達を行ったり、その動力伝達を遮断したりする。これらクラッチ25が繋がれたり切られたりすることによって、支持シャフト24がフィードモータ29によって個別に駆動される。つまり、これら支持シャフト24を個別に回転駆動する駆動機構は、クラッチ25、遊星ギア機構及びフィードモータ29から構成される。なお、クラッチ25を用いずに、2体のフィードモータ29がこれら支持シャフト24にそれぞれ連結され、支持シャフト24がそれぞれのフィードモータ29によって個別に回転駆動されるものとしてもよい。
【0020】
支持シャフト24には、原反ロール2がそれぞれ装着される。これら原反ロール2は、帯状のフィルム4が巻回されたものである。巻かれたフィルム4の内側の面には、シーラント層が形成されている。
【0021】
支持シャフト24には、原反ロール2を支持シャフト24にロックしたり、支持シャフト24からの原反ロール2の脱落を防止したりする機構が設けられている。原反ロール2のフィルム4が引き出されることによって、原反ロール2及び支持シャフト24が一体となって回転する。各支持シャフト24がそれぞれの中心軸回りに回転することを以下では自転という。
【0022】
支持シャフト24は、回転盤22の回転軸の周方向に配置されているとともに、回転盤22の回転軸に関して互いに対称な位置に配置されている。支持シャフト24が回転盤22に取り付けられているため、回転盤22の回転に伴い支持シャフト24が同一の円軌道に沿って公転する。2本の支持シャフト24を識別しやすくするために、一方の支持シャフト24の符号にAを付し、他方の支持シャフト24の符号にBを付す。また、支持シャフト24Aに連結されるクラッチ25の符号にAを付し、支持シャフト24Bに連結されるクラッチ25の符号にBを付す。また、支持シャフト24Aに支持される原反ロール2の符号にAを付し、支持シャフト24Bに支持される原反ロール2の符号にBを付す。原反ロール2Aのフィルム4の符号にAを付し、原反ロール2Bのフィルム4の符号にBを付す。
【0023】
支持シャフト24A,24Bのうち上側の支持シャフト24Aに支持された原反ロール2Aから引き出されるフィルム4Aが下流の包装装置に連続的に供給される。一方、原反ロール2Aからフィルム4Aが供給されている最中に、原反ロール2Bを新たな原反ロール2Bに交換して、支持シャフト24Bに装着し、新たな原反ロール2Bを待機させることができる。上側の支持シャフト24A及び原反ロール2Aの位置を供給元位置P1といい、下側の支持シャフト24B及び原反ロール2Bの位置を待機位置P2という。回転盤22の回転により、原反ロール2Aと原反ロール2Bの位置を入れ換えることができる。
【0024】
1-5. ガイドローラ、折り返しローラ、留め具、第1シーラー
2本の誘導ローラ26、2本の折り返しローラ27、2体の留め具28及び2体の第1シーラー30が回転盤22に取り付けられている。従って、これら誘導ローラ26、折り返しローラ27、留め具28及び第1シーラー30は回転盤22の回転に伴い公転する。
【0025】
互いに近くに配置された1本の誘導ローラ26、1本の折り返しローラ27、1体の留め具28及び1体の第1シーラー30が1つのセットを構成し、合計2セットある。これらセットが支持シャフト24A,24Bの近くにそれぞれ配置されている。2つのセットの誘導ローラ26、折り返しローラ27、留め具28及び第1シーラー30を識別しやすくするため、以下では、支持シャフト24Aと組となる誘導ローラ26、折り返しローラ27、留め具28及び第1シーラー30の符号にAを付し、支持シャフト24Bと組となる誘導ローラ26、折り返しローラ27、留め具28及び第1シーラー30の符号にBを付す。ここで、誘導ローラ26A、折り返しローラ27A及び留め具28Aからなるセットが第1フィルム掛け渡し部であり、誘導ローラ26B、折り返しローラ27B及び留め具28Bからなるセットが第2フィルム掛け渡し部である。
【0026】
誘導ローラ26A,26Bは、回転盤22の回転軸に関して互いに対称な位置において、回転可能に回転盤22に取り付けられている。支持シャフト24A,24Bは、回転盤22の回転軸に関して互いに対称な位置において、回転可能に回転盤22に取り付けられている。留め具28A,28Bは、回転盤22の回転軸に関して互いに対称な位置において、回転盤22に取り付けられている。第1シーラー30A、30Bは、回転盤22の回転軸に関して互いに対称な位置において、回転盤22に取り付けられている。
【0027】
周方向における折り返しローラ27A、第1シーラー30A、留め具28A及び誘導ローラ26Aの位置は、それと組となる支持シャフト24Aよりも回転盤22の回転の向き側であって、他の支持シャフト24Bよりも回転盤22の回転の反対向き側である。折り返しローラ27A、第1シーラー30A、留め具28A及び誘導ローラ26Aが支持シャフト24Aよりも、回転盤22の回転軸に関する径方向外側に配置されている。また、折り返しローラ27A、第1シーラー30A、留め具28A及び誘導ローラ26Aは、これらの順に、支持シャフト24Aの外周の接線に対して平行な方向に沿って一直線状に配列されている。
【0028】
周方向における誘導ローラ26B、留め具28B、第1シーラー30B及び折り返しローラ27Bの位置は、それと組となる支持シャフト24Bよりも回転盤22の回転の向き側であって、他の支持シャフト24Aよりも回転盤22の回転の反対向き側である。折り返しローラ27B、第1シーラー30B、留め具28B及び誘導ローラ26Bが支持シャフト24Bよりも、回転盤22の回転軸に関する径方向外側に配置されている。また、折り返しローラ27B、第1シーラー30B、留め具28B及び誘導ローラ26Bは、これらの順に、支持シャフト24Bの外周の接線に対して平行な方向に沿って一直線状に配列されている。
【0029】
第1シーラー30A,30Bにはヒーターが設けられている。
【0030】
待機位置P2に位置する原反ロール2Bのフィルム4Bは、折り返しローラ27Bに巻き掛けられて、折り返しローラ27Bによって第1シーラー30B及び留め具28Bの方へ折り返されている。そのフィルム4Bが折り返しローラ27Bから留め具28Bに架け渡されて、そのフィルム4Bの先端部がその留め具28Bに留められている。第1シーラー30Bが、折り返しローラ27Bと留め具28Bとの間のフィルム4Bに対向している。第1シーラー30Bは、フィルム4Bに接触せずにフィルム4Bに近接してている。
【0031】
1-6. 第2シーラー及びアクチュエータ
第2シーラー31は、回転盤22の径方向外側、具体的には回転盤22の右上に設置されている。第2シーラー31は、回転盤22の外周を横切るように回転盤22の径方向に移動可能に設けられている。具体的には、固定ブロック32が回転盤22の右上において機枠80の前面に取り付けられ、第2シーラー31が固定ブロック32に対して相対的に回転盤22の径方向に移動可能に取り付けられている。固定ブロック32には、第2シーラー31を回転盤22の径方向に駆動するアクチュエータ33が取り付けられている。アクチュエータ33は、例えばエアシリンダ又は電磁ソレノイドである。
【0032】
第2シーラー31にはヒーターが設けられている。
【0033】
1-7. 切断刃及びアクチュエータ
切断刃34は、第2シーラー31に対して相対的に回転盤22の径方向に移動可能となって第2シーラー31内に収容されている。この切断刃34は、切断刃34を回転盤22の径方向に駆動するアクチュエータ35に連結されている。
【0034】
1-8. ガイドローラ
ガイドローラ10及びガイドローラ12が回転盤22の径方向外側において、具体的には回転盤22の右上において機枠80の前面に回転可能に取り付けられている。
【0035】
供給元位置P1に位置する原反ロール2Aのフィルム4Aは、原反ロール2Aから第2シーラー31の内側を通って、順にガイドローラ12及びガイドローラ10に案内されて、これらガイドローラ12及びガイドローラ10に巻き掛けられている。
【0036】
1-9. 経路長調整部、ガイドローラ、ドライブローラ、ニップローラ、モータ及びアクチュエータ
経路長調整部14、ガイドローラ15、ドライブローラ16及びニップローラ18は回転盤22の径方向外側に設けられている。具体的には、経路長調整部14がガイドローラ10の右側に設けられ、ガイドローラ15が経路長調整部14の右側に設けられ、ドライブローラ16及びニップローラ18がガイドローラ15の右上に設けられている。原反ロール2Aから引き出されるフィルム4Aは、ガイドローラ10の次に順に経路長調整部14、ガイドローラ15及びドライブローラ16に案内されているとともに、経路長調整部14、ガイドローラ15及びドライブローラ16に巻き掛けられている。
【0037】
ニップローラ18がドライブローラ16に対して接離可能に設けられている。アクチュエータ19がニップローラ18をドライブローラ16に接離させるように駆動する。フィルム4Aがニップローラ18とドライブローラ16との間に挟まれた状態で、ドライブローラ16がモータ17によって回転駆動されると、フィルム4Aが搬送される。
【0038】
経路長調整部14は、複数の第1ダンサーローラ14a及び複数の第2ダンサーローラ14bを有する。第1ダンサーローラ14aが第2ダンサーローラ14bの下側に配置されており、フィルム4Aは第1ダンサーローラ14aと第2ダンサーローラ14bに交互に巻き掛けられている。
【0039】
第1ダンサーローラ14aはピニオンラック機構によって直線的に上下動可能に設けられ、第2ダンサーローラ14bがピニオンラック機構によって直線的に上下動可能に設けられている。第1ダンサーローラ14aと第2ダンサーローラ14bが互いに近づくことによって、フィルム4Aの経路長が短くなる。逆に、第1ダンサーローラ14aと第2ダンサーローラ14bが互いに離れることによって、フィルム4Aの経路長が長くなる。
【0040】
エアシリンダ14cが第1ダンサーローラ14aと第2ダンサーローラ14bを互いに引き離す方向に付勢し、エアシリンダ14cの圧力がピニオンラック機構を介して第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bに付与される。これにより、第1ダンサーローラ14aと第2ダンサーローラ14bに巻き掛けられたフィルム4Aの張力が付与される。制御部90がエアシリンダ14cの電磁弁を制御して、これによりエアシリンダ14cの圧力は制御される。
【0041】
なお、経路長調整部14はバッファー装置ともいう。
【0042】
2. スプライサーの供給動作
スプライサー1が供給元位置P1に位置する原反ロール2Aからフィルム4Aを包装装置に供給する動作について説明する。フィルム4Aが包装装置に連続的且つ定常的に供給されている時には、以下の(1)~(7)のようになっている。
【0043】
(1) 第2シーラー31が回転盤22の径方向外側に引き込んでいるとともに、切断刃34が第2シーラー31内に引き込んでいる。
【0044】
(2) 原反ロール2Aが供給元位置P1に位置し、原反ロール2Bが待機位置P2に位置している。
【0045】
(3) 原反ロール2Bから引き出されたフィルム4Bは折り返しローラ27Bによって留め具28Bの方へ折り返され、そのフィルム4Bの先端部がその留め具28Bに留められている。なお、作業者が原反ロール2Bを新たな原反ロール2Bに交換したら、新たな原反ロール2Bからフィルム4Bを引き出して、そのフィルム4Bを折り返しローラ27Bによって折り返し、そのフィルム4Bの先端部をその留め具28Bに留める。
【0046】
(4) フィルム4Aが原反ロール2Aから順にガイドローラ12、ガイドローラ10、第1ダンサーローラ14a、第2ダンサーローラ14b、第1ダンサーローラ14a、第2ダンサーローラ14b、ガイドローラ15、ドライブローラ16に掛けられている。また、フィルム4Aはニップローラ18とドライブローラ16との間に挟まれている。
【0047】
(5) 制御部90がエアシリンダ14cの圧力を一定に保つようにエアシリンダ14cの電磁弁を制御している。エアシリンダ14cの圧力が第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bに付与されることによって、第1ダンサーローラ14aがその可動範囲の中の最下位から所定距離だけ上に位置し(以下、この位置を下側定常位置という。)、第2ダンサーローラ14bがその可動範囲の中の最上位から所定距離だけ下に位置している(以下、この位置を上側定常位置という。)。そのため、経路長調整部14におけるフィルム4Aの経路長が最大となっている。巨視的には、第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bの間隔が一定に保たれているものの、下記(6)のようにフィードモータ29の速度が制御されることによって、微視的には、第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bの間隔が微小変化する。
【0048】
(6) クラッチ25Bが切られているため、支持シャフト24B及び原反ロール2Bは自転していない。一方、クラッチ25Aが繋げられているため、フィードモータ29によって支持シャフト24A及び原反ロール2Aが自転し、これによりフィルム4Aが原反ロール2Aから経路長調整部14へ繰り出される。ドライブローラ16がモータ17によって回転駆動されることによって、フィルム4Aが経路長調整部14からドライブローラ16の下流へ送り出されて、包装装置に供給される。ここで、制御部90がモータ17を一定の速度に定速制御し、制御部90が、経路長調整部14の第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bが所定の位置を保つように、フィードモータ29の回転速度を制御する。具体的には、制御部90が位置センサ・光電センサ等によって第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bの位置を監視し、第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bの検出位置がそれぞれ下側定常位置及び上側定常位置である場合に、制御部90がフィードモータ29の回転速度をそのまま維持する。第1ダンサーローラ14aの検出位置が下側定常位置よりも上にあり、第2ダンサーローラ14bの検出位置が上側定常位置よりも下にある場合、制御部90がフィードモータ29を増速するので、第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bがそれぞれ下側定常位置及び上側定常位置に戻る。第1ダンサーローラ14aの検出位置が下側定常位置よりも下にあり、第2ダンサーローラ14bの検出位置が上側定常位置よりも上にある場合、制御部90がフィードモータ29を減速するので、第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bがそれぞれ下側定常位置及び上側定常位置に戻る。このように、第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bの位置がそれぞれ下側定常位置及び上側定常位置に保たれるため、経路長調整部14におけるフィルム4Aの経路長が一定に保たれている。
【0049】
3. スプライサーの交換動作
スプライサー1がフィルム4Aの連続的な供給後にフィルム4Aをフィルム4Bに交換する動作について説明する。
【0050】
(1) フィルムの供給停止
まず、作業者が操作盤を操作することによって、操作盤から信号を受けた制御部90がモータ17、フィードモータ29を停止させる。そうすると、フィルム4Aの供給が停止する。なお、クラッチ25Aはフィードモータ29と支持シャフト24Aの動力伝達を継続し、クラッチ25Bはフィードモータ29と支持シャフト24Bの動力伝達の遮断を継続する。
【0051】
(2) 原反ロールの公転
次に、制御部90が回転駆動機23を制御すると、
図3に示すように回転盤22が回転駆動機23によって反時計回りに回転駆動される。回転盤22の回転に伴い、原反ロール2A,2B、支持シャフト24A,24B、クラッチ25A,25B、誘導ローラ26A,26B、折り返しローラ27、留め具28A,28B及び第1シーラー30A,30Bが反時計回りに公転する。
【0052】
フィルム4Aがニップローラ18とドライブローラ16との間に挟まれた状態で原反ロール2Aがガイドローラ10及びガイドローラ12から離れるため、フィルム4Aが経路長調整部14から原反ロール2Aの方へ引っ張られる。そのため、経路長調整部14におけるフィルム4Aの経路長が短くなる。
【0053】
その後、誘導ローラ26Bがフィルム4Aに当たって、フィルム4Aが誘導ローラ26Bによって第2シーラー31の方へ誘導される。そして、
図4に示すように、フィルム4A,4Bが互いに重なり合うとともに第1シーラー30Bが第2シーラー31に対向すると、制御部90が回転駆動機23を停止させる。このように支持シャフト24A,24Bの公転が止まると、フィルム4A,4Bが第1シーラー30Bと第2シーラー31との間の領域を横切っており、フィルム4Aのシーラントとフィルム4Bのシーラントが互いに向き合っている。
【0054】
(3) フィルムの巻取
次に、制御部90がフィードモータ29を作動させると、支持シャフト24A及び原反ロール2Aが自転して、フィルム4Aが原反ロール2Aに巻き取られる。また、制御部90がエアシリンダ14cの電磁弁をオフに維持するため、エアシリンダ14cからダンサーローラ14a,14bへの圧力付与が解除され、ダインサーローラ14a,14bが上下動可能になる。それゆえ、フィルム4Aの巻取によって第1ダンサーローラ14aが上昇し、第2ダンサーローラ14bが下降し、経路長調整部14におけるフィルム4Aの経路長が短くなる。そして、
図5に示すように、経路長調整部14におけるフィルム4Aの経路長が最短となったら、つまり、第1ダンサーローラ14aの外周の下端における接線と第2ダンサーローラ14bの外周の上端に接線が一直線状になったら、制御部90がフィードモータ29を停止させる。これにより、フィルム4Aの巻取が止まる。また、制御部90がエアシリンダ14cの電磁弁をオンにするため、第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bの位置が保たれ、経路長調整部14におけるフィルム4Aの経路長が最短に維持される。
【0055】
(4) フィルムの接合及び切断
次に、制御部90がアクチュエータ33を作動させる。そうすると、
図6に示すように、第2シーラー31が第1シーラー30Bに近づいて、フィルム4A,4Bがこれらシーラー30B,31の間に挟み込まれる。シーラー30B,31の熱により、フィルム4A,4Bの互いに向き合った面が溶着される。
【0056】
次に、制御部90がアクチュエータ35を作動させる。そうすると、切断刃34が第2シーラー31から第1シーラー30Bの凹所に突き出されて、フィルム4A,4Bが切断刃34によって切断される。
【0057】
その後、切断刃34がアクチュエータ35によって第2シーラー31内に引き込まれる。
また、制御部90がアクチュエータ33を作動させる。そうすると、
図7に示すように、第2シーラー31がアクチュエータ33によって第1シーラー30Bから離れて、切断されたフィルム4A,4Aが解放される。原反ロール2Aから延びているフィルム4Aはフィルム4Bの端部の切断片を介して留め具28Bに連結している。原反ロール2Bから延び出ているフィルム4Bは、ガイドローラ12からガイドローラ10、経路長調整部14、ガイドローラ15及びドライブローラ16を経由して包装装置まで案内されたフィルム4Aに接続されている。
また、フィルム4Aの切断後、制御部90がクラッチ25Aを切り、クラッチ25Bを繋げる。
【0058】
(5) 原反ロールの公転
次に、制御部90が回転駆動機23を制御すると、
図8に示すように回転盤22が回転駆動機23によって反時計回りに回転駆動される。回転盤22の回転に伴い、原反ロール2A,2B、支持シャフト24A,24B、クラッチ25A,25B、誘導ローラ26A,26B、折り返しローラ27、留め具28A,28B及び第1シーラー30A,30Bが反時計回りに公転する。
【0059】
ここで、原反ロール2Bがガイドローラ12及び第2シーラー31の近くを反時計回りに通過すると、原反ロール2Bから延びているフィルム4B,4Aが張られると共にガイドローラ12に巻き掛けられる。その後、原反ロール2Bが引き続き公転すると、フィルム4Bが原反ロール2Bから引き出される。
【0060】
その後、原反ロール2Bが供給元位置P1に到達し、原反ロール2Aが待機位置P2に到達すると、制御部90が回転駆動機23を停止させるため、支持シャフト24A,24Bの公転が止まる。
また、制御部90がエアシリンダ14cの電磁弁をオフにするため、エアシリンダ14cからダンサーローラ14a,14bへの圧力付与が解除されため、ダインサーローラ14a,14bが上下動可能になる。
【0061】
(6) 交換したフィルムの供給
次に、制御部90がモータ17を作動させる。そうすると、ドライブローラ16によって支持シャフト24Bの原反ロール2Bからフィルム4Bが繰り出され、包装装置に供給される。ここで、制御部90が、モータ17を一定の速度に定速制御しつつ、フィードモータ29を増速して支持シャフト24Bのブレーキを緩めることで、フィルム4Bの繰り出し速度をドライブローラ16によるフィルム4Bの搬送速度より速くする。そのため、
図10に示すように、第1ダンサーローラ14aが下降し、第2ダンサーローラ14bが上昇し、経路長調整部14におけるフィルム4Bの経路長が長くなる。こうして、第1ダンサーローラ14a及び第2ダンサーローラ14bの位置を元に戻し、フィルム4Bに設定した張力が作用するようにする。
【0062】
その後、
図10に示すように、第1ダンサーローラ14aが下側定常位置に到達し、第2ダンサーローラ14bが上側定常位置に到達すると、制御部90が支持シャフト24Bのフィルム4Bの繰り出し速度をドライブローラ16によるフィルム4Bの搬送速度に等しくするようにフィードモータ29の回転速度を制御する。そのため、第1ダンサーローラ14aの下降が停止し、第2ダンサーローラ14bの上昇が停止する。
【0063】
その後は、フィルム4Aが包装装置に連続的且つ定常的に供給されるのと同様にして、フィルム4Bが包装装置に連続的且つ定常的に供給される。なお、フィルム4Bがフィルム4Aに交換される場合も、スプライサー1が同様の交換動作を行う。
【0064】
4. 有利な効果
フィルム4A,4Bの接合前にフィルム4Aが原反ロール2Aに巻き取られるため、経路長調整部14におけるフィルム4Aの経路が短くなって、フィルム4Aの無駄な廃棄を削減できる。
【0065】
5. 変形例
以下の(1)~(3)の少なくとも1つのように、上記実施形態から変更してもよい。
【0066】
(1) 上記実施形態では、第1シーラー30が支持シャフト24ごとに回転盤22に取り付けられている。それに対して、1体の第1シーラー30が第2シーラー31に対向する位置において機枠80に取り付けられていてもよい。この場合、回転盤22の回転中に、第1シーラー30が支持シャフト24、誘導ローラ26、折り返しローラ27、留め具28、フィルム4及び原反ロール2に当たらないようにするために、第1シーラー30が回転盤22の回転軸に平行な方向に移動可能に設けられている。そして、回転盤22の回転前に、第1シーラー30が動力源によって回転盤22の回転軸に平行な方向に機枠80内に引き込まれる。また、フィルム4の接合前に、第1シーラー30が動力源によって回転盤22の回転軸に平行な方向に機枠80から引き出されて、第1シーラー30と第2シーラー31が互いに対向する。
【0067】
(2) 上記実施形態では、第2ダンサーローラ14bと第1ダンサーローラ14aが互いに接離する。それに対して、第1ダンサーローラ14aが直動機構によって第2ダンサーローラ14bに対して接離してもよいし、第2ダンサーローラ14bが直動機構によって第1ダンサーローラ14aに対して接離するものとしてもよい。
【0068】
(3) 回転盤22に取り付けられる支持シャフト24の数は2に限らず、3以上であってもよい。その場合でも、クラッチ25、誘導ローラ26、折り返しローラ27、留め具28及び第1シーラー30それぞれの数が支持シャフト24の数に等しい。
【符号の説明】
【0069】
1…スプライサー
2A…第1原反ロール
2B…第2原反ロール
4A…第1フィルム
4B…第2フィルム
10…ガイドローラ
14…経路長調整部
14a…第1ダンサーローラ
14b…第2ダンサーローラ
16…ドライブローラ
18…ニップローラ
22…回転盤
23…回転駆動機
25A,25B…クラッチ
26A,26B…誘導ローラ
27A,27B…折り返しローラ
28A,28B…留め具
29…フィードモータ
30A,30B…第1シーラー
31…第2シーラー
33,35…アクチュエータ
34…切断刃