(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】分子化学画像内視鏡撮像システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20231002BHJP
A61B 1/307 20060101ALI20231002BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20231002BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
A61B1/00 731
A61B1/307
A61B1/045 614
A61B1/06 530
(21)【出願番号】P 2020545579
(86)(22)【出願日】2018-04-30
(86)【国際出願番号】 US2018030155
(87)【国際公開番号】W WO2019212472
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】507252100
【氏名又は名称】ケムイメージ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】トレッド、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ステュアート、ショーナ
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-225839(JP,A)
【文献】特表2003-527916(JP,A)
【文献】特開2014-136116(JP,A)
【文献】特開2006-178320(JP,A)
【文献】特開昭63-309237(JP,A)
【文献】特表平10-508222(JP,A)
【文献】特開平10-325794(JP,A)
【文献】特開2006-192058(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0139780(US,A1)
【文献】特表2016-511015(JP,A)
【文献】国際公開第2018/009670(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0083678(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61B 5/00-5/01
A61B 9/00-10/06
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
術中デバイスであって、
撮像システムであって、
複数の照明光子を生成して、生体試料を照明し複数の相互作用した光子を生成するように構成された照明源と、
前記複数の照明光子および前記複数の相互作用した光子の1若しくはそれ以上を受け取り、複数の通過帯域波長の第1のセットを有する第1の光学成分と複数の通過帯域波長の第2のセットを有する第2の光学成分を生成するように構成された光信号変調器であって、前記光信号変調器は、コンフォーマルフィルター、多変量光学素子、パターン化されたエタロンフィルター、音響光学チューナブルフィルター、液晶チューナブルフィルター、多重共役フィルター、および前記第1の光学成分と前記第2の光学成分を生成するためのそれらの組み合わせ、のうちの2若しくはそれ以上を有する、前記光信号変調器と、
前記第1の光学成分および前記第2の光学成分を検出し、前記第1の光学成分に対応する第1の画像データセット(T1)と前記第2の光学成分に対応する第2の画像データセット(T2)を生成するように構成された単体の検出器と、
前記第1の画像データセット(T1)と前記第2の画像データセット(T2)とを分析するように構成されたプロセッサと
を含む撮像システムを有する
術中デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記照明源は、ハロゲン光源、メタルハライド光源、発光ダイオード(LED)、LEDアレイ、パルスLED、パルスLEDアレイ、レーザー、およびパルスレーザーのうちの1若しくはそれ以上を含むものである、デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記検出器は、CCD検出器、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)検出器、ケイ化白金(PtSi)検出器、アンチモン化インジウム(InSb)検出器、およびテルル化水銀カドミウム(HgCdTe)検出器の1若しくはそれ以上を有するものである、デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記プロセッサは、前記第1の画像データセット(T1)および前記第2の画像データセット(T2)の1若しくはそれ以上に光学計算を適用するように構成されている、デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記プロセッサはさらに、前記第1の画像データセット(T1)または前記第2の画像データセット(T2)のうちの少なくとも1つにデジタル染色を適用するように構成されている、デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記プロセッサは前記第1の画像データセット(T1)および前記第2の画像データセット(T2)を分析して前記生体試料の構造を区別するように構成されている、デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載のデバイスにおいて、前記構造は尿管と周囲組織とを含むものである、デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記プロセッサは、多変量曲線分解分析、主成分分析(PCA)、部分的最小二乗判別分析(PLSDA)、k平均クラスタリング分析、バンド標的エントロピー分析、適応部分空間検出器分析、コサイン相関分析、ユークリッド距離分析、部分最小二乗回帰分析、スペクトル混合解像度分析、スペクトル角マッパーメトリック分析、スペクトル情報発散メトリック分析、マハラノビス距離メトリック分析、およびスペクトル非混合分析からなる群から選択される1若しくはそれ以上のケモメトリックス技術を適用することにより、前記第1の画像データセット(T1)および前記第2の画像データセット(T2)を分析するように構成されている、デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記第1の画像データセット(T1)または前記第2の画像データセット(T2)のうちの少なくとも1つはハイパースペクトル画像を含むものである、デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記光信号変調器は前記複数の相互作用した光子を受け取るように構成された、パターン化されたエタロンフィルター配置を有するものである、デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記光信号変調器は前記複数の照明光子を変調するように構成されている、デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスにおいて、前記光信号変調器は、二重偏光配置の複数のコンフォーマルフィルターおよび複数の多変量光学素子のうちの1若しくはそれ以上を有するものである、デバイス。
【請求項13】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記光信号変調器は複数の相互作用した光子を変調するように構成されている、デバイス。
【請求項14】
内視鏡装置であって、
管状本体であって、当該管状本体を通るルーメンを有し、基端部と操作可能端部とを有するものである、前記管状本体と、
前記操作可能端部に光学的に結合され生体試料を照明して複数の相互作用した光子を生成するように構成された照明源と、
前記操作可能端部に配置された収集光学系と、
前記収集光学系に光学的に結合され、前記複数の相互作用した光子を受け取り当該複数の相互作用した光子を複数の通過帯域波長の第1のセットを有する第1の光学成分と複数の通過帯域波長の第2のセットを有する第2の光学成分を生成するように構成された光信号変調器であって、前記光信号変調器は、コンフォーマルフィルター、多変量光学素子、パターン化されたエタロンフィルター、音響光学チューナブルフィルター、液晶チューナブルフィルター、多重共役フィルター、および前記複数の相互作用した光子を前記第1の光学成分と前記第2の光学成分に分離するためのそれらの組み合わせのうちの2若しくはそれ以上を有する、前記光信号変調器と、
前記第1の光学成分および前記第2の光学成分をそれぞれ検出し、前記第1の光学成分に対応する第1の画像データセット(T1)と前記第2の光学成分に対応する第2の画像データセット(T2)を生成するように構成された第1の検出器と第2の検出器と、
前記第1の画像データセット(T1)と前記第2の画像データセット(T2)とを分析するように構成されたプロセッサと
を有する内視鏡装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置において、前記照明源は、ハロゲン光源、メタルハライド光源、発光ダイオード(LED)、LEDアレイ、パルスLED、パルスLEDアレイ、レーザー、およびパルスレーザーのうちの1若しくはそれ以上を含むものである、装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置において、前記光信号変調器は、二重偏光配置の複数のコンフォーマルフィルターおよび複数の多変量光学素子のうちの1若しくはそれ以上を有するものである、装置。
【請求項17】
請求項14に記載の装置において、前記少なくとも1つの検出器は、CCD検出器、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)検出器、ケイ化白金(PtSi)検出器、アンチモン化インジウム(InSb)検出器、テルル化水銀カドミウム(HgCdTe)検出器のうちの1若しくはそれ以上を有するものである、装置。
【請求項18】
請求項14に記載の装置において、前記プロセッサは、前記第1の画像データセット(T1)および前記第2の画像データセット(T2)のうちの1若しくはそれ以上に光学計算を適用するように構成されている、装置。
【請求項19】
請求項14に記載の装置において、前記プロセッサはさらに、前記第1の画像データセット(T1)または前記第2の画像データセット(T2)のうちの少なくとも1つにデジタル染色を適用するように構成されている、装置。
【請求項20】
請求項14に記載の装置において、前記プロセッサは、前記第1の画像データセット(T1)および前記第2の画像データセット(T2)を分析して前記生体試料の構造を区別するように構成されている、装置。
【請求項21】
請求項14に記載の装置において、前記構造は尿管と周囲組織とを含むものである、装置。
【請求項22】
請求項14に記載の装置において、前記プロセッサは、多変量曲線分解分析、主成分分析(PCA)、部分的最小二乗判別分析(PLSDA)、k平均クラスタリング分析、バンド標的エントロピー分析、適応部分空間検出器分析、コサイン相関分析、ユークリッド距離分析、部分最小二乗回帰分析、スペクトル混合解像度分析、スペクトル角マッパーメトリック分析、スペクトル情報発散メトリック分析、マハラノビス距離メトリック分析、およびスペクトル非混合分析からなる群から選択される1若しくはそれ以上のケモメトリックス技術を適用することにより前記第1の画像データセット(T1)および前記第2の画像データセット(T2)を分析するように構成されている、装置。
【請求項23】
請求項14に記載の装置において、前記第1の画像データセット(T1)または前記第2の画像データセット(T2)のうちの少なくとも1つはハイパースペクトル画像を含むものである、装置。
【請求項24】
請求項14に記載の装置において、前記光信号変調器はパターン化されたエタロンフィルター配置を有するものである、装置。
【請求項25】
内視鏡装置であって、
管状本体であって、当該管状本体を通るルーメンを有し、基端部と操作可能端部とを有するものである、前記管状本体と、
複数の照明光子を生成するように構成された照明源と、
前記複数の照明光子を受け取り、当該複数の照明光子を複数の通過帯域波長の第1のセットを有する第1の光学成分と複数の通過帯域波長の第2のセットを有する第2の光学成分に分離するように構成された光信号変調器であって、前記光信号変調器は、コンフォーマルフィルター、多変量光学素子、パターン化されたエタロンフィルター、音響光学チューナブルフィルター、液晶チューナブルフィルター、多重共役フィルター、および前記第1の光学成分と前記第2の光学成分を生成するためのそれらの組み合わせ、のうちの2若しくはそれ以上を有する、前記光信号変調器と、
前記ルーメンを通じて前記第1の光学成分および前記第2の光学成分を前記操作可能端部に伝送して生体試料を照明するように構成された光ファイバと、
前記操作可能端部に配置された収集光学系と、
前記第1の光学成分および前記第2の光学成分をそれぞれ検出し、前記第1の光学成分に対応する第1の画像データセット(T1)と前記第2の光学成分に対応する第2の画像データセット(T2)を生成するように構成された第1の検出器と前記管状本体の前記操作可能端部に配置された第2の検出器と、
前記第1の画像データセット(T1)と前記第2の画像データセット(T2)とを分析するように構成されたプロセッサと
を有する内視鏡装置。
【請求項26】
請求項25に記載の装置において、前記照明源は、ハロゲン光源、メタルハライド光源、発光ダイオード(LED)、LEDアレイ、パルスLED、パルスLEDアレイ、レーザー、およびパルスレーザーのうちの1若しくはそれ以上を含むものである、装置。
【請求項27】
請求項25に記載の装置において、前記光信号変調器は、二重偏光配置の複数のコンフォーマルフィルターおよび複数の多変量光学素子のうちの1若しくはそれ以上を有するものである、装置。
【請求項28】
請求項25に記載の装置において、前記少なくとも1つの検出器は、CCD検出器、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)検出器、ケイ化白金(PtSi)検出器、アンチモン化インジウム(InSb)検出器、およびテルル化水銀カドミウム(HgCdTe)検出器の1若しくはそれ以上を有するものである、装置。
【請求項29】
請求項25に記載の装置において、前記プロセッサは、前記第1の画像データセット(T1)および前記第2の画像データセット(T2)のうちの1若しくはそれ以上に光学計算を適用するように構成されている、装置。
【請求項30】
請求項25に記載の装置において、前記プロセッサはさらに、前記第1の画像データセット(T1)または前記第2の画像データセット(T2)のうちの少なくとも1つにデジタル染色を適用するように構成されている、装置。
【請求項31】
請求項25に記載の装置において、前記プロセッサは前記第1の画像データセット(T1)および前記第2の画像データセット(T2)を分析して前記生体試料の構造を区別するように構成されている、装置。
【請求項32】
請求項31に記載の装置において、前記構造は尿管と周囲組織とを含むものである、装置。
【請求項33】
請求項25に記載の装置において、前記プロセッサは、多変量曲線分解分析、主成分分析(PCA)、部分的最小二乗判別分析(PLSDA)、k平均クラスタリング分析、バンド標的エントロピー分析、適応部分空間検出器分析、コサイン相関分析、ユークリッド距離分析、部分最小二乗回帰分析、スペクトル混合解像度分析、スペクトル角マッパーメトリック分析、スペクトル情報発散メトリック分析、マハラノビス距離メトリック分析、およびスペクトル非混合分析からなる群から選択される1若しくはそれ以上のケモメトリックス技術を適用することにより前記第1の画像データセット(T1)および前記第2の画像データセット(T2)を分析するように構成されている、装置。
【請求項34】
請求項25に記載の装置において、前記第1の画像データセット(T1)または前記第2の画像データセット(T2)のうちの少なくとも1つはハイパースペクトル画像を含むものである、装置。
【請求項35】
請求項1に記載のデバイスにおいて、前記光信号変調器は、さらに、
組織試料の異常に対応する通過帯域波長を送信するように構成され、前記異常は癌であるものである、デバイス。
【請求項36】
請求項14に記載の内視鏡装置において、前記光信号変調器は、さらに、
前記生体試料の異常に対応する通過帯域波長を送信するように構成され、前記異常は癌であるものである、内視鏡装置。
【請求項37】
請求項25に記載の内視鏡装置において、前記光信号変調器は、さらに、
前記生体試料の異常に対応する通過帯域波長を送信するように構成され、前記異常は癌であるものである、内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
人体に外科手術を行う場合、外科医が、臓器、通路、または尿道や尿管などのその他の解剖学的構造を誤って切断したり、損傷したりしないことが不可欠である。血液、脂肪、動脈、静脈、筋肉若しくは筋膜などの介在組織、およびその他の高度に点在し吸収する媒体の存在は、手術部位のすぐ近くにあるそのような臓器、通路、解剖学的構造を高い正確さで特定することを非常に困難にする可能性がある。発光カテーテルが管、血管または臓器の不規則性を検出するのに用いられており、外科医が対象の解剖学的構造を特定して外科処置の適切な遂行を可能にするのを支援している。しかしながら、手術部位周辺の組織に損傷を与えることなく外科医が繊細な手術を行うのを支援するに際し、解剖学的構造のリアルタイム検出が可能な改良された術中撮像ツールが必要とされている。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2012/0083678号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2016/0213252号明細書
(特許文献3) 米国特許第8,167,794号明細書
(特許文献4) 米国特許第9,041,932号明細書
(特許文献5) 米国特許出願公開第2018/0116494号明細書
(特許文献6) 米国特許第10,779,713号明細書
(特許文献7) 米国特許出願公開第2002/0016533号明細書
(特許文献8) 米国特許出願公開第2013/0176568号明細書
(特許文献9) 米国特許出願公開第2015/0198793号明細書
(特許文献10) 米国特許出願公開第2018/0263475号明細書
(特許文献11) 国際公開第2001/050955号
(特許文献12) 国際公開第2014/074569号
(特許文献13) 国際公開第2019/212472号
(非特許文献)
(非特許文献1) WANG et al."Three-Dimensional Imaging of Ureter with Endoscopic Optical Coherence Tomography," Urology,22 January 2011 (22.01.2011), Vol.77,lss.5,Pgs.1254-1258.
(非特許文献2) International Search Report and Written Opinion for International Application No.PCT/US2018/030155,dated July 9,2018.
ページ(1)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示は医用撮像システムを提供する。医用撮像システムは内視鏡と共に用いることができる。一般的に、医用撮像システムは照明光子を生成するように構成された照明源を含む。照明光子は1若しくはそれ以上のフィルターに伝送されるものであり、当該1若しくはそれ以上のフィルターは、第1の複数の照明光子をフィルターし、第1の通過帯域波長を有する第1の複数のフィルターされた光子と第2の通過帯域波長を有する第2の複数のフィルターされた光子とを生成するように構成されている。次いで、試料が前記第1の複数のフィルターされた光子および前記第2の複数のフィルターされた光子で照明されて第1の複数の相互作用した光子および第2の複数の相互作用した光子を生成する。1若しくはそれ以上の検出器は、前記第1の複数の相互作用した光子および第2の複数の相互作用した光子を検出し、1若しくはそれ以上の画像データセットを生成するように構成されている。
【0003】
他の一実施形態において、前記撮像システムは、試料を照明し相互作用した光子を生成するように構成された照明源を含む。1若しくはそれ以上のフィルターは、第1の複数の相互作用した光子の1若しくはそれ以上をフィルターし第1の通過帯域波長を伝送し、第2の複数の相互作用した光子の1若しくはそれ以上をフィルターし第2の通過帯域波長を伝送するように構成されている。前記第1および第2の通過帯域波長は1若しくはそれ以上の検出器に伝送されるものであり、当該1若しくはそれ以上の検出器は前記第1の通過帯域波長および前記第2の通過帯域波長を検出し1若しくはそれ以上の画像データセットを生成するように構成されている。
【0004】
更なる他の一実施形態では、撮像システムは、照明源であって、第1の複数の相互作用した光子を生成するための第1の波長を有する第1の複数の照明光子および第2の複数の相互作用した光子を生成するための第2の波長を有する第2の複数の照明光子の1若しくはそれ以上で試料を照明するように構成された前記照明源を特徴とする。1若しくはそれ以上の検出器は、前記第1の複数の相互作用した光子および前記第2の複数の相互作用した光子を検出して、1若しくはそれ以上の画像データセットを生成するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、一実施形態による、二重偏光構成の複数のコンフォーマルフィルターを有する撮像システムを有する内視鏡を示す。
【
図1B】
図1Bは、一実施形態による、CCD検出器を有するパターン化されたコンフォーマルフィルター構成を示す。
【
図2】
図2は、一実施形態による、複数の多変量光学素子(MOE)フィルターを有する撮像システムを有する内視鏡を示す。
【
図3】
図3は、一実施形態による、コンフォーマルフィルターを有する撮像システムを有する内視鏡を示す。
【
図4】
図4は、一実施形態による、光源照明変調のための二重偏光構成の複数のコンフォーマルフィルターを有する撮像システムを有する内視鏡を示す。
【
図4B】
図4Bは、
図4の実施形態による内視鏡の代替的な実施形態の端面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態による、音響光学フィルターを有する撮像システムを有する内視鏡を示す。
【
図6】
図6は、一実施形態による、MOEフィルターホイールを有する撮像システムを有する内視鏡を示す。
【
図7】
図7は、一実施形態による、パターン化されたエタロンフィルター配置を有する撮像システムを有する内視鏡を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、様々な医療処置において外科医を支援することができる術中医用撮像システムを特徴とする。本明細書に開示されるシステムは、スタンドアロンのデバイスとしての使用に適しており、またはロボットプラットフォームなどの他の医用撮像デバイスに組み込むことができる。一実施形態において、本明細書に開示されるシステムは内視鏡と共に使用され得る。本明細書に開示される医用撮像システムは、内視鏡手術中に腫瘍および解剖学的構造のリアルタイム検出を提供することができる。一般的に、本明細書に開示されるシステムは、生体試料を照明し、当該試料と相互作用した光子を収集し、前記相互作用した光子を検出して試料の画像データセットを生成し、画像データセットを分析する。相互作用した光子は、試料によって吸収された光子、試料によって反射された光子、試料によって散乱された光子、および試料によって放出された光子のうちの1若しくはそれ以上を有し得る。一実施形態において、医用撮像システムは多変量撮像を提供する。多変量撮像は、第1画像データセット(T1)と第2画像データセット(T2)に対応する2若しくはそれ以上の波長を生成するよう機能する。これら第1の画像データセットおよび第2の画像データセットは光学計算を用いて分析され得る。多変量撮像により、画像のコントラストが向上し、標的と背景との間の識別が強化される。特定の実施形態では、第1の画像データセットおよび第2の画像データセットはハイパースペクトル画像データを特徴とする。他の一実施形態では、医用画像システムは、>10Hz(ハイパーキューブ/秒)の画像フレームレートを特徴とする。
【0007】
本明細書に開示されるシステムは、組織、臓器、解剖学的構造、生理学的システム、細胞、血液、脂肪、神経、筋肉などの様々な生体試料で用い得る。特定の実施形態において、前記システムは身体の様々な領域に用いられてもよく、それは本開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。例えば、前記システムは胃腸管の調査および/または手術を行うのに使用され得る。そのような用途では、前記システムは、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸/結腸、胆管、直腸、肛門などのいずれかに用い得る。前記システムはさらに、これらに限定されないが鼻、副鼻腔および下気道を含む気道の構造に用いられてもよい。他の実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、膀胱、尿管、腎臓などの尿路を含む構造の調査および/または手術を行うのに用いられてもよい。更なる他の実施形態では、前記システムは、子宮頸部、子宮、卵管などの女性の生殖システムを含む構造に用いられてもよい。さらに、前記システムは、羊膜および胎児の医療処置を調査および/または実施するためなど、妊娠中に実施される医療処置に用いられてもよい。他の一実施形態では、本明細書に記載のシステムは、筋骨格系を含む構造、すなわち、硬膜外腔、滑液包、筋肉、靭帯、結合組織などを含む、手、膝、肘、肩、脊椎の構造を含む整形外科に関する構造を調査および/または実施するのに用いられてもよい。
【0008】
さらに、前記システムは2若しくはそれ以上の異なる生体試料を区別するように構成され得る。例えば、本明細書に開示のシステムは尿管と周囲組織および脂肪とを区別するように構成され得る。一実施形態において、本明細書に開示のシステムは、癌を正常組織から区別し、癌の病期、癌の進行および癌のグレードのうちの1若しくはそれ以上を決定するのに用いることができる。他の一実施形態では、前記システムは、生体試料に見られる癌組織または腫瘍を除去する外科処置中に用いることができる。更なる他の一実施形態では、本明細書に記載のシステムを用いて、解剖学的構造をそのような解剖学的構造に関連する体液を特定することにより区別することができる。体液には、例えば、尿、唾液、痰、血液、糞便、粘液、膿、精液、リンパ液、創傷滲出液、乳房液、膣液などが挙げられる。関連する体液を有する解剖学的構造は当業者には明らかであろう。本明細書に開示されるように、本開示のシステムは生体組織に照明を提供する。このような照明は、波長や組織の種類に応じて生体試料に数センチメートルまで浸透する可能性があることが知られている。したがって、そのような照明浸透は、解剖学的構造の内部に含まれる体液の撮像を可能にする。さらに、体液は、それらの存在が解剖学的構造または他の生体試料の外側に存在する場所で直接的に撮像することができる。他の一実施形態では、本明細書に開示のシステムを用いて尿管の中または周囲の尿を検出することにより尿管を特定することができる。
【0009】
他の一実施形態では、本システムは1若しくはそれ以上の造影増強剤の使用と共に用いることができる。造影増強剤は1若しくはそれ以上の染料(stain)または染色剤(dye)を含み得る。染料または染色剤を1つだけ使用する場合、その手順は染色という。複数の染色には、複数の染料または染色剤の使用が含まれる。本明細書で用いる場合、「染料」または「染色剤」は、生体試料中の物質に結合して色を誘発することができる任意の化学的または生物学的化合物である。例えば、染料または染色剤は、特定の細胞または生化学構造(例えば、細胞膜、細胞小臓器、核酸、タンパク質)に結合して、本明細書に記載のシステムを用いて見たときにコントラストを生じさせることができる。いくつかの実施形態において、染料または染色剤は、励起されると(すなわち、蛍光)、1若しくはそれ以上の波長で電磁放射を放出することにより色を生じさせることができる。
【0010】
1若しくはそれ以上の染料または染色剤は、例えば生体内または生体外で用いることができる。いくつかの実施形態において、染料または染色剤は細胞を殺さない生物/個体での使用に適した任意の染料または染色剤、すなわち生物学的染料である。生物学的染料の例としては、これらに限定されないが、アゾ染料、アリールメタン染料、シアニン染料、チアジン染料、キサンテン染料(例えば、エオシン)、天然染料(例えば、アリザリンレッド)、ステロイド、トリパンブルー、ジャヌスグリーン、インドシアニングリーン、アリザリンレッド、ヨウ化プロピジウム、エリスロシン、7-アミノチノマイシンD、ナイルブルーが挙げられる。一実施形態において、造影増強剤は蛍光造影増強剤である。一実施形態において、造影増強剤は蛍光物質を含むことができる。好適な蛍光物質には、免疫蛍光化合物、好塩基性化合物、好酸性化合物、中性染料、および天然発光分子が含まれる。
【0011】
本明細書に記載のシステムおよび方法とともに1若しくはそれ以上の染料または染色剤を用いる場合、使用者(例えば、外科医)は、生体試料中またはその周りの組織、病理、形態、位置、化学物質、および化学反応を手術中に特定することができる。例えば、いくつかの(1若しくはそれ以上の)生物学的染料は外科医が腫瘍を切除できるように癌性細胞を特定することができる。また、他の生物学的染料も生きている細胞(組織)と生きていない細胞とを識別することができる。本開示に記載されるようなスペクトル画像を得るため、造影増強剤が生体試料に適用されると、その適用された造影増強剤の照明波長範囲内の波長を有する光子で当該試料が照射され得る。
【0012】
他の一実施形態では、造影増強剤は対象により摂取されてもよく、その場合、造影増強剤は体液中に現れることとなる。一実施形態において、造影増強剤は、本開示を考慮すれば当業者に明らかであるように、IVを介して、または他の手段を介して経口的に摂取され得る。造影増強剤が摂取されると、標的生体試料は本明細書に開示のシステムによって検査することができる。前記システムは、体液中の造影増強剤を検出して体液を含む構造と周囲組織などの周囲の生体試料との間にコントラストをもたらすように構成され得る。例えば、患者は、造影増強剤を含む溶液を経口摂取することができ、その後、特定の時間で造影増強剤が患者の尿中に現れる。本開示によるシステムを用いて患者の腎臓領域に対し内視鏡処置を行うことができる。前記システムは、尿管にある尿中に存在する造影増強剤を検出して尿管と他の周囲組織とを区別するように構成されている。
【0013】
他の一実施形態では、生体組織は本開示によるシステムを用いて生体外で撮像することができる。そのような用途では、生体試料は手術部位の外に取り出され分析されてもよい。切除された組織に従来の染色法を適用して、試料の1若しくはそれ以上の生物学的特性を決定することができる。生体外技術は当技術分野で知られており、この開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0014】
他の一実施形態では、試料にデジタル染色を適用することにより生体試料を増強することができる。アルゴリズムを用いてデジタル染色を画像データセットに適用する。デジタル染色の使用により、生体試料に物理的および/または化学的染色を適用する必要がなくなる。本明細書に開示のシステムを介して得られる画像データセットのいずれにもデジタル染色を適用することができる。ラマンデータのセットへのデジタル染色の適用の一例は、2011年9月30日にDrauch等により米国特許出願第13/200,779号として出願され、ペンシルバニア州ピッツバーグのケムイメージ社に譲渡された、「デジタル染色による肺癌のラマン化学分析のためのシステムおよび方法」と題する米国特許出願公開第2012/0083678号において見ることができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
本開示を限定する意図はないが、本開示は内視鏡を介して尿管を分析することに関する。他の医療撮像装置および他の種類の生体試料の検出が、本開示によってさらに企図され、また本開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0016】
本明細書に開示される医用撮像装置は、1若しくはそれ以上の検出器を用いて多変量信号を生成することにより、リアルタイムの多変量撮像を提供する。検出器は多変量信号を検出して、1若しくはそれ以上の画像データセットを生成する。ここでは、この結果を実現する2つの方法を示す。そのような方法の1つは、試料を照明する工程と、試料と相互作用した光子を収集する工程と、信号を検出器に送る前に収集された信号を変調する工程とを含む。第2の方法は、試料との相互作用の前に照明源信号を変調する工程と、変調された信号の相互作用した光子を収集する工程と、当該信号の相互作用した光子を検出する工程とを含む。どちらのプロセスも変調信号を提供し、コントラストが強化された多変量化学画像をリアルタイムで生成し、繊細な医療処置を行う外科医を支援する。本明細書に含まれる実施形態はさらに、立体視で表示されるリアルタイム画像を提供するように構成することができる。このような構成はこの開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。立体視は内視鏡処置などの医用撮像技術を用いる医療処置に必要な奥行き知覚を提供することにより、外科医をさらに支援する。本明細書に記載のシステムおよび方法は、本開示の例示的な実施形態を提供するものであり、本開示を特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0017】
以下に示す実施形態では、同様の参照文字は同様の部品を示す。
【0018】
収集した光信号の変調
以下の実施形態は試料と相互作用した光子の収集後に光信号を変調することを特徴とする。
【0019】
二重偏光配置のコンフォーマルフィルターを有するシステム
ここで
図1を参照すると、生体試料100が照明源103によって照明および/または励起され得る。一実施形態において、照明源103は、石英タングステンハロゲン光源を有し得る。他の実施形態では、照明源は、メタルハライド光源、発光ダイオード(LED)、一定の波長範囲で放出する均一に選択されたエミッタを有するLEDアレイ、または多様な波長範囲にわたって放出する複数のエミッタを有するLEDアレイ、パルスLED、パルスLEDアレイ、レーザー、パルスレーザー、および/または広帯域照明光源などを有し得る。照明源103は照明光子を生成するものであり、当該照明光子は、照明源103から光ファイバ束104を介して内視鏡102の先端部へ方向付けられる。内視鏡102は、生体試料100と相互作用した光子101を偏光ビームスプリッタ107へ方向付けるよう構成されている。2つの独立して調整可能なコンフォーマルフィルター105a、105bは、偏光ビームスプリッタ107から出現する直交偏光成分をフィルターするために別個の直交ビーム経路に沿って配置される。本開示での使用に好適なコンフォーマルフィルターとしては、2013年1月4日にPriore等により出願され、ケムイメージ社に譲渡された、「コンフォーマルフィルターおよびその使用方法」と題する米国特許出願公開第2013/0176568号に開示されたものが挙げられる。
【0020】
この配置では、フィルターされたビームの経路は、コンフォーマルフィルター105a、105bを通じて平行ではないが、適切な反射器、すなわちミラー109a、109bによってビームコンバイナ111に方向付けられる。代替的な実施形態において、ビームコンバイナは、偏光キューブまたは偏光ビームスプリッタとすることができる。他の一実施形態では、直交成分は、同じまたは異なる複数の通過帯域波長(multi-passband wavelengths)Σλ1およびΣλ2を有し得る。例示的な実施形態において、コンフォーマルフィルター105aは偏光された複数の通過帯域波長Σλ1を生成するように構成され、コンフォーマルフィルター105bは偏光された複数の通過帯域波長Σλ2を生成するように構成されている。例示的な実施形態において、複数の通過帯域波長Σλ1およびΣλ2は(不図示の)レンズアセンブリを介して検出器115に方向付けられる。他の一実施形態では、複数の通過帯域波長Σλ1およびΣλ2は、それらが検出器115に方向付けられるように結合され得る。いくつかの実施形態において、偏光ビームスプリッタ107からビームコンバイナ111へのビーム経路は、例えば無限遠補正光学系の必要性を回避するために対称にし得る。
【0021】
図示の検出器115はCCD検出器を有する。しかしながら、本開示により、検出器115が、例えば、相補型金属酸化膜半導体、(CMOS)検出器、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)検出器、ケイ化白金(PtSi)検出器、、アンチモン化インジウム(「InSb」)検出器、テルル化水銀カドミウム(「HgCdTe」)検出器、またはこれらの組み合わせを含む、その他の好適な検出器を有し得ることが企図される。引き続き
図1を参照すると、2つのコンフォーマルフィルター105aおよび105bは、コントローラ117を用いて同じ複数の通過帯域波長(Σλ
1=Σλ
2)に同時に調整され得る。他の一実施形態では、コントローラ117は、入力の直交成分をそれぞれ処理するため、複数の通過帯域波Σλ
1およびΣλ
2を各々独立して調整するように構成されていてもよい。したがって、適切な制御によって、コンフォーマルフィルター105aおよび105bは、同じ複数の通過帯域波長または2つの異なる複数の通過帯域波長(Σλ
1≠Σλ
2)に同時に調整され得る。コントローラ117は、使用者が所望のように各コンフォーマルフィルターを選択的に調整することを可能にするようにプログラム可能であり、またはソフトウェアで実施され得る。
図1の実施形態では、(不図示の)高速スイッチング機構を設けて、検出器117により収集された各コンフォーマルフィルター105aおよび105bからのスペクトルデータに対応する2つの図(またはスペクトル画像)間を切り替えることができる。代替的に、2つのそのようなスペクトル図またはスペクトル画像は、コントラスト若しくは強度を高めるために、または比較の目的で、組み合わされ又は重ね合わされて単一の画像にされてよい。
図1の例示的な実施形態は、コンフォーマルフィルター105aおよび105bから受信したフィルターされた信号を取得する単一のCCD検出器115を有する。
【0022】
図1Bは、本開示の代替的なの実施形態を示す。この実施形態では、ビームコンバイナ111およびミラー109aが除去されてもよく、また2つの検出器が使用されてもよい。第1のコンフォーマルフィルター105aはフィルターしT1状態に対応する第1の複数の通過帯域波長を第1の検出器115aに伝送するように構成されており、この第1の検出器115aは第1の複数の通過帯域波長を検出し第1画像データセット(T1)を生成する。同様に、第2のコンフォーマルフィルター105bはフィルターしT2状態に対応する第2の複数の通過帯域波長を第2の検出器115bに伝送するように構成されており、この第2の検出器115bは第2の複数の通過帯域波長を検出し第2の画像データセット(T2)を生成する。
【0023】
2014年1月15日にTreado等により出願され、ケムイメージ社に譲渡された、「コンフォーマルフィルターおよび二重偏光を用いて分析物を評価するシステムおよび方法」と題する米国特許出願公開第2014/0198315号は、上述のような二重偏光構成におけるコンフォーマルフィルターの使用を開示する。この参照文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
図1Aは内視鏡102の先端部の端面図を示す。先端部は、相互作用した光子101を収集するレンズ119と、生体試料100を照明して相互作用した光子101を生成する光ファイバ束103のファイバ端121とを特徴とする。検出器115は、コンフォーマルフィルター105aおよび105bから複数の通過帯域波長を検出し、1若しくはそれ以上の画像データセットを生成するように構成されている。画像データセットは、第1の複数の通過帯域波長Σλ
1に対応するT1画像と、第2の複数の通過帯域波長Σλ
2に対応するT2画像とを有し得る。一実施形態において、画像データセットはラマン画像データセットを有する。検出器115によって生成された1若しくはそれ以上の画像データセットは、以下で述べるようにさらに分析され得る。
【0025】
MOEフィルター配置を有するシステム
図2は、収集された光信号を変調することを特徴とする他の一実施形態を示す。
図2において、照明源103は、光ファイバ束104に沿って内視鏡102を通り、(
図2Aに示す)内視鏡102の先端部の一連のファイバ端121で終わる照明光子を生成する。ファイバ端121は照明光子を放出して試料100を照明し、複数の相互作用した光子101を生成する。相互作用した光子は、第1の収集光学系231および第2の収集光学系233によって集光される。第1の収集光学系231は、相互作用した光子101のうち第1の部分を収集し、これらの光子を第1の多変量光学素子「(Multivariate Optical Element:MOE」フィルター237に渡す。この「MOE」フィルターは、相互作用した光子101の前記第1の部分をフィルターして、フィルターされた光子の第1の部分を生成する。当該フィルターされた光子の第1の部分は第1の検出器241によって検出される。さらに、第2の収集光学系233は、相互作用した光子101のうち第2の部分を収集し、これらの光子を、フィルターされた光子の第2の部分を生成するため第2のMOEフィルター238に渡す。フィルターされた光子の第2の部分は第2の検出器239によって検出される。一実施形態において、第1の検出器239および第2の検出器241はCCD検出器である。他の実施形態では、検出器239および検出器241は、例えば、相補型金属酸化膜半導体、(CMOS)検出器、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)検出器、ケイ化白金(PtSi)検出器、アンチモン化インジウム(「InSb」)検出器、テルル化水銀カドミウム(「HgCdTe」)検出器、またはこれらの組み合わせを含むその他の適切な検出器を有し得る。
【0026】
一実施形態において、第1のMOEフィルター237は第1のフィルターされた通過帯域を生じるように構成されていてよい。一実施形態において、第1のMOEフィルター237は、ランダム化された標的または背景と一致する第1のフィルターされた通過帯域を生じるように構成されている。一実施形態において、第2のMOEフィルター238は、標的または試料100と一致する第2のフィルターされた通過帯域を生じるように構成されていてよい。第1のMOEフィルター231がランダム化された標的または背景に対応する第1のフィルターされた通過帯域を生成するように構成される実施形態では、第2のMOEフィルター238は標的または試料に対応する第2のフィルターされた通過帯域を生成するように構成されていてよい。この種の実施形態は標的と背景の両方の識別を可能にする。
【0027】
MOEは一般的に当技術分野で知られている。MOEは、標的に特化した用途固有の回帰(またはパターン)でエンコードされた広帯域の光干渉フィルターを特徴とする。MOEは、フィルターのパターンに基づいて光学計算を実行することにより多変量光学計算を提供する。すなわち、MOEは、異なる波長で複数の測定値を取得して標的の完全なスペクトルを推定し、当該スペクトルに多変量統計を適用することによりこの情報を処理するのではなく、フィルターの多変量解析を用いることで測定が必要なパターンに一意に調整される。したがって、MOEは従来のフィルターよりもスループットや効率を向上させ、分析速度を向上させることができる。この開示を考慮すれば、好適なMOEは当業者には明らかであろう。
【0028】
第1の検出器241は第1のMOEフィルター237からの第1のフィルターされた通過帯域を検出して第1の画像データセット(T1)を生成するように構成され、第2の検出器239は第2のMOEフィルター238から第2のフィルターされた通過帯域を検出して第2の画像データセット(T2)を生成するように構成されている。以下で述べるように、第1の画像データセットおよび第2の画像データセットはさらに分析されてもよい。
【0029】
照明源信号の変調
以下の実施形態は、試料との相互作用の前に照明源信号を変調することを特徴とする。
【0030】
コンフォーマルフィルター配置を有するシステム
図3は、フィルター305を透過する照明光子を生成するように構成された照明源103を示す。一実施形態において、フィルター305は本明細書に開示されるようにコンフォーマルフィルターを有する。他の一実施形態では、フィルター305は、液晶チューナブルフィルター("Lquid Crystal Tunable Filter:LCTF」)、または本開示を考慮すれば当業者には明らかなフィルターなどのその他のフィルターを有してもよい。一実施形態において、フィルター305は多重共役フィルターを含み得る。フィルター305は、第1の複数の通過帯域波長(Σλ
1)を通過させるようにフィルター構成を切り替え、次に第2の複数の通過帯域波長(Σλ
2)を通過させるように当該フィルターを構成するように切り替えられるよう構成された(不図示の)コントローラによって制御される。一実施形態において、コントローラが2つの状態間で切り替わる速度はミリ秒のオーダーである。フィルター305は、各複数の通過帯域波長Σλ
1およびΣλ
2を光ファイバ束309を介して内視鏡102の先端部に伝送し、そこで、
図3Aに示すように、各複数の通過帯域波長はファイバ端321を介して内視鏡102の先端部を出て、試料100を照明し相互作用した光子329を生成する。相互作用した光子329は、内視鏡102の先端部に配置された第1の検出器331および第2の検出器335によって収集される。図示の実施形態の検出器331および335はCCD検出器を有する。しかしながら、本明細書に開示されるようなその他の検出器が用いられてもよい。第1の検出器331は実質的に第1の複数の通過帯域波長のみを検出するように構成され得る。一実施形態において、第1の検出器331は、フィルター305が第1の複数の通過帯域波長を伝送するのと同時に当該第1の複数の通過帯域波長を検出するようにタイミングを合わせる、すなわちオフオンすることができる。同様に、第2の検出器335は実質的に第2の複数の通過帯域波長のみを検出するように構成され得る。一実施形態において、第2の検出器335は、フィルター305が第2の複数の通過帯域波長を伝送するのと同時に第2の複数の通過帯域波長を検出するようにタイミングを合わせる、すなわちオフオンすることができる。他の一実施形態では、第1の複数の通過帯域波長と第2の複数の通過帯域波長間の変調のタイミングシーケンスと、対応する検出器による第1の複数の通過帯域波長と第2の複数の通過帯域波長の検出は、(不図示の)コントローラによって制御することができる。第1の検出器231は第1の複数の通過帯域波長を検出して第1の画像データセット(T1)を生成し、第2の検出器は第2の複数の通過帯域波長を検出して第2の画像データセット(T2)を生成する。一実施形態において、第1の画像データセットおよび第2の画像データセットは以下に述べるようにさらに分析されてもよい。
【0031】
二重偏光配置のコンフォーマルフィルターを有するシステム
図4は照明源変調の他の一実施形態を示す。この実施形態において、照明源103は偏光ビームスプリッタ405へ伝送される光信号を生成し、偏光ビームスプリッタ405は当該光信号を第1の偏光信号および第2の偏光信号に分割する。第1の偏光信号は第1のフィルター409に伝送され、第2の偏光信号は第2のフィルター411に伝送される。一実施形態において、第1のフィルター409および第2のフィルター411はそれぞれ、本明細書で説明するコンフォーマルフィルターを有する。他の一実施形態では、第1のフィルター409および第2のフィルター411はLCTFを有する。一実施形態において、第1のフィルター409および第2のフィルター411はそれぞれ、多共役フィルターを有してもよい。第1のフィルター409は、第1の偏光信号をフィルターし第1の複数の通過帯域波長(multi-passband wavelengths)(Σλ
1)を透過するように構成され、第2のフィルター411は第2の偏光信号をフィルターし第2の複数の通過帯域波長(Σλ
2)を透過するように構成されている。第1の複数の通過帯域波長および第2の複数の通過帯域波長は、それぞれのフィルター409、411から、第1の光ファイバ束417および第2の光ファイバ束419を介して内視鏡102の先端部に伝送される。一実施形態において、第1の光ファイバ束417および第2の光ファイバ束419は偏光保持型光ファイバ束を有する。
【0032】
図4Aおよび
図4Bは、内視鏡102の先端部の異なる実施形態を示す。第1のファイバ束417および第2のファイバ束419は内視鏡102を通って先端部まで横断する。第1のファイバ束417は第1のファイバ端423で終端し、第2のファイバ束417は第2のファイバ端425で終端する。
図4Aは第2のファイバ端425に対する第1のファイバ端423の配置の一例を示す。この実施形態において、第1のファイバ端423は内視鏡102の先端部の片側にまとめて分配され、第2のファイバ端425は内視鏡102の先端部の反対側にまとめて分配される。
図4Bには、第1のファイバ端423および第2のファイバ端425が内視鏡102の先端部周りで交互になっている他の一実施形態が示されている。ファイバ端の好適な配置はこの開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。試料100は、第1のファイバ端423および第2のファイバ端425からそれぞれ放出される第1の複数の通過帯域波長および第2の複数の通過帯域波長により照明されて、相互作用した光子435を生成する。相互作用した光子435は、内視鏡102の先端部に配置された第1の検出器437および第2の検出器441によって検出される。図示の実施形態では、第1の検出器437および第2の検出器441はCCD検出器である。しかしながら、本明細書に開示されているような他の好適な検出器を用いてもよく、そのような検出器は本開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。一実施形態において、第1のファイバ束417および第2のファイバ束419は偏光維持型ファイバ束を有する。そのような実施形態では、(不図示の)偏光子が検出器437および検出器441の前に配置されてよく、それらは立体視のために配置され、偏光に基づいてT1状態とT2状態との間を区別するように構成されている。一実施形態において、第1の検出器437は実質的に第1の複数の通過帯域波長から生成された相互作用した光子のみを検出するように構成され、第2の検出器441は実質的に第2の複数の通過帯域波長から生成された相互作用した光子のみを検出するように構成される。したがって、第1の検出器437および第2の検出器441に対する第1のファイバ端部423および第2のファイバ端部425の位置は、第1の検出器437による第1の複数の通過帯域波長に対応する相互作用した光子の検出および第2の検出器441による第2の複数の通過帯域波長に対応する相互作用した光子の検出を最適化するように構成することができる。第1の検出器437および第2の検出器441が相互作用した光子435を検出すると、第1検出器437は第1画像データセット(T1)を生成するように構成され、第2の検出器441は第2の画像データセット(T2)を生成するように構成されている。一実施形態において、第1の画像データセットおよび第2の画像データセットはさらに分析されてもよい。
【0033】
音響光学フィルター配置を有するシステム
図5は、音響光学チューナブルフィルター(Acousto-Optic Tunable Filter:AOTF)を用いる本開示の実施形態を示す。この実施形態は試料100を照明するための照明光子を生成する照明源103を特徴とする。フィルター507は照明源103から放出された光子をフィルターするように構成されている。一実施形態において、フィルター507はAOTFを有し、この場合、AOTFは単一の通過帯域波長を透過させる。10fpsを超えるサンプリングレートを実現するために、AOTFは標的の通過帯域波長と背景の通過帯域波長間ですばやく切り替えられる。他の一実施形態では、フィルターはAOTF技術に基づくコンフォーマルフィルターを有するものであり、その場合、AOTFが複数の通過帯域波長を同時に伝送する。T1状態とT2状態を切り替えるには、コンフォーマルフィルターAOTFをマイクロ秒の切り替え速度で直列に切り替える。他の実施形態では、T1状態およびT2状態が同時に選択される複数のコンフォーマルAOTFを用いてもよい。複数の音響光学フィルターを用いる実施形態では、各フィルターは様々な波長に調整することができ、各フィルターは異なる複数の通過帯域波長を同時に伝送する。
【0034】
音響光学フィルターは当技術分野で知られており、一般的に光源光のビームを基板、通常は石英に通過させることによって動作する。基板は圧電トランスデューサ変調器によって振動される。RF周波数が変調器に適用され、それにより基板が振動する。光源光または放射が振動する基板を通過し、それにより、基板を通過する光源光が回折し、したがって光源光のためのフィルター勾配が生成される。音響光学フィルターから放射された光源光は圧電トランスデューサに適用されるRF周波数によって所望の通過帯域波長にフィルター処理することができる。音響光学フィルターの動作の詳細は、Turner,John F、およびTreado,Patrick J.による「近赤外音響光学チューナブル・フィルター・アダマール変換分光法」応用分光法、50.2(1996)、277-284に記載されており、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
フィルター507から伝送された通過帯域波長は光ファイバ束515を通じて内視鏡102の先端部に伝送される。
図5Aは、内視鏡102の先端部を示し、光ファイバ束515からの複数のファイバ端519を特徴とする。ファイバ端519は試料100を照明して相互作用した光子521を生成するようフィルター507からの通過帯域波長を伝送するものであり、相互作用した光子521は内視鏡102の先端部に位置する第1の検出器525および第2の検出器529によって検出される。一実施形態において、1つの検出器、すなわち第1の検出器525のみを用いて複数の相互作用した光子521を検出する。他の一実施形態では、相互作用した光子521は検出器525および検出器529の両方によって検出される。他の一実施形態では、複数の音響光学フィルターが用いられ、第1の通過帯域波長および第2の通過帯域波長を生成する。第1の検出器525は第1の通過帯域波長を検出して第1の画像データセット(T1)を生成するように構成することができ、第2の検出器529は第2の通過帯域波長を検出して第2の画像データセット(T2)を生成するように構成することができる。一実施形態において、第1の画像データセットおよび第2の画像データセットは以下に述べるようにさらに分析されてもよい。
【0036】
MOEフィルターホイール配置を有するシステム
図6は、本開示による他の一実施形態を示す。照明源103は照明光子を生成するものであり、当該照明光子は、フィルターホイール605に伝送され、そこでフィルターされてフィルターされた光子を生成する。フィルターホイール605は複数のフィルター要素609を有する。一実施形態において、各フィルター要素605はMOEを有する。本開示の使用に適したMOEは当業者に知られており、また本明細書に記載されている。各フィルター要素609は、異なっていてもよく、異なる通過帯域波長をフィルターし透過するように構成されていてもよい。例えば、フィルター要素609aは特定の種類の組織または解剖学的構造など背景に対応する波長を透過するように構成することができ、また、フィルター要素609bは組織の癌性腫瘍など組織試料の異常に対応する通過帯域波長を透過するように構成することができる。この種の実施形態では、外科医が正常組織を癌性組織から区別するのを支援するために外科処置中にフィルターホイール605を回転させることができる。他の一実施形態では、フィルター要素609は複数の異なる試料を検出するように構成されている。一実施形態において、フィルター要素609は尿管などの解剖学的構造から背景組織を識別するように構成されている。
【0037】
フィルターされた光子は、光ファイバ束603を介して内視鏡102の先端部に伝送され、
図6Aに示されるような複数のファイバ端621を通って内視鏡の先端部を出る。フィルターされた光子は、試料100を照明し、複数の相互作用した光子601を生成する。相互作用した光子601は1若しくはそれ以上の検出器619によって検出され、1若しくはそれ以上の検出器619は画像データセット(T1)を生成するように構成されている。一実施形態において、画像データセットは以下に述べるようにさらに分析されてもよい。
【0038】
パターン化されたエタロンフィルター配置を有するシステム
図7は本開示の他の一実施形態を示す。照明源103は照明光子を生成し、当該照明光子は光ファイバ束104を介して内視鏡102の先端部へ、ファイバ端121へ伝達される。照明光子は、ファイバ端121を出て試料100を照明し、試料100から相互作用した光子101を生成する。相互作用した光子101は内視鏡102の先端部に配置された第1の検出器705および第2の検出器707によって検出される。一実施形態において、第1の検出器705および第2の検出器707はハイパースペクトルカメラを有する。一実施形態において、検出器705および検出器707は、検出器の各ピクセル上に配置されたファブリーペロー干渉(パターン化されたエタロン)フィルター構成を備える。パターン化されたエタロンフィルター配置および関連する検出器の好適な例は、Ximea Corporationから入手可能である。各ピクセルのフィルターは各ピクセルに対して1若しくはそれ以上の通過帯域波長を透過させるように構成されている。一実施形態において、第1の検出器705は、モザイクスナップショット配置においてパターン化されたエタロンフィルター配置を有する。モザイクスナップショットは1088×2048ピクセルにわたり取得することができる。一実施形態において、モザイクスナップショットは16個の波長帯域を有する4×4モザイクを有する。他の一実施形態では、モザイクスナップショットは11nm間隔で465nm~630nmの試料のスナップショットを有する。他の一実施形態では、モザイクスナップショットは約600nm~1,000nmの波長範囲にわたり25個の帯域を有する5×5モザイクを有してもよい。モザイクスナップショットには、約512×272の帯域あたりの空間解像度と最大2メガピクセルの補間が含まれてもよく、最大170データキューブ/秒を収集し得る。
【0039】
他の一実施形態では、第1の検出器705および第2の検出器707は、スナップショットタイル構成を取得するためのパターン化されたエタロンフィルター配置を有してもよい。一実施形態において、前記スナップショットタイル構成は各ピクセルで或る通過帯域波長を伝送する。パターン化されたエタロン・スナップショット・タイル・フィルター構成は最大1088×2048ピクセルを取得することができる。一実施形態において、タイル状スナップショットは、最大32帯域のスペクトル分解能を有し、600nm~1,000nmの範囲の波長を12個の増分ステップで検出することができる。他の一実施形態では、帯域ごとの空間解像度は約256×256である。他の一実施形態では、上記タイル状スナップショットは最大170データキューブ/秒を検出することができる。パターン化されたエタロンフィルター配置はまた、分析されるべき試料および所望の結果に基づいて所定の応答を生じるようにカスタマイズされ得る。このようなカスタマイズはこの開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0040】
一実施形態において、第1の検出器705および第2の検出器707はIMECモザイクフィルター配置を有する。そのような実施形態では、第1の検出器705および第2の検出器707のパターン化されたエタロンモザイクフィルター配置は、各ピクセルで1若しくはそれ以上の異なる波長帯域を透過するように構成されている。他の一実施形態では、第1の検出器705および第2の検出器707はパターン化されたエタロンタイル状フィルター配置を有する。そのような実施形態では、第1の検出器705および第2の検出器707のパターン化されたタイル状エタロンフィルター配置は、各ピクセルで異なる波長帯域を検出するように構成されている。他の一実施形態では、第2の検出器が排除され、その実施形態は、スナップショットモザイクのパターン化されたエタロンフィルター配置またはスナップショットタイル状のパターン化されたエタロンフィルター配置のいずれかを有する第1の検出器705を用いる。
【0041】
検出器705および検出器707は、上記フィルター配置から伝送される各通過帯域波長について1若しくはそれ以上の画像データセットを生成するように構成されている。一実施形態において、検出器705および検出器707は第1の画像データセット(T1)および第2の画像データセット(T2)を生成するように構成されている。一実施形態において、画像データセットは以下に述べるようにさらに分析されてもよい。
【0042】
更なる他の一実施形態では、照明源は特定の波長で照明光子を生成するように構成されていてもよい。例えば、照明源は複数のLEDを有することができ、その場合、試料を照明するため、LEDの第1の部分は第1の波長を生成するように構成され、LEDの第2の部分は第2の波長を生成するように構成されている。そのような実施形態では、第1の検出器は第1の波長から相互作用された光子を検出して第1の画像データセット(T1)を生成するように構成することができ、また、第2の検出器は第2の波長から相互作用された光子を検出して第2の画像データセット(T2)を生成するように構成することができる。複数の波長で照明光子を生成することができるその他の照明源または照明配置が用いられてもよい。一実施形態において、照明源は複数の波長を生成することができる変調レーザーを有する。
【0043】
本明細書に記載の画像データセットは、紫外(UV)画像データセット、蛍光画像データセット、可視(VIS)画像データセット、ラマン画像データセット、近赤外(NIR)画像データセット、短波赤外(SWIR)データセット、中赤外(MIR)データセット、および長波赤外(LWIR)データセットの1若しくはそれ以上を有し得る。他の一実施形態では、画像データセットはハイパースペクトル画像データセットを有する。本開示の画像データセットはさらに分析されてもよい。一実施形態において、本明細書に開示されるシステムは、ファイバ・アレイ・スペクトル変換器(FAST)を含み得る。好適なFASTデバイスは、Nelson等により2010年4月13日に出願され、ケムイメージ社に譲渡された、「空間的およびスペクトル的に平行化されたファイバ・アレイ・スペクトル変換器システムおよび使用方法」と題する米国特許第8,098,373号に開示されており、その開示は参照によりその全体が組み込まれる。
【0044】
一実施形態において、本明細書に開示されるシステムは、プロセッサと、当該プロセッサと動作可能に通信する非一時的なプロセッサ可読記憶媒体とを有し得る。記憶媒体は、実行時にプロセッサに画像データセットを分析させる1若しくはそれ以上のプログラミング命令を含むことができる。一実施形態において、分析は光学計算をデータセットに適用する工程を有し得る。他の一実施形態では、光学計算は、1若しくはそれ以上のT1、および(T1-T2)/(T1+T2)を有し得る。当技術分野で知られている他の光学計算を適用してもよい。一実施形態において、分析は1若しくはそれ以上のケモメトリックス技術を画像データセットに適用する工程を有し得る。ケモメトリック分析は、多変量曲線分解分析、主成分分析(PCA)、部分最小二乗判別分析(PLSDA)、k平均クラスタリング分析、バンド標的エントロピー分析、適応部分空間検出器分析、コサイン相関分析、ユークリッド距離分析、部分最小二乗回帰分析、スペクトル混合解像度分析、スペクトル角マッパーメトリック分析、スペクトル情報発散メトリック分析、マハラノビス距離メトリック分析、およびスペクトル非混合分析の1若しくはそれ以上を有し得る。いくつかの実施形態において、プロセッサはシステムの動作を制御するように構成されてもよい。例えば、チューナブルフィルターが用いられる実施形態では、プロセスは、コントローラがチューナブルフィルターに電圧を印加させて所望の通過帯域の透過をもたらすように構成することができる。さらに、プロセッサは、特定の照明に対して正しい検出器が動作するよう照明源および検出器のタイミングを制御するように構成されてもよい。他のプロセッサ構成が企図されるものであり、それはこの開示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0045】
本開示によるシステムはさらにディスプレイを含み得る。いくつかの実施形態において、ディスプレイは1若しくはそれ以上の検出器からの1若しくはそれ以上の結果を含み得る。他の一実施形態では、ディスプレイはプロセッサによる分析からの1若しくはそれ以上の結果を含み得る。一実施形態において、ディスプレイは1若しくはそれ以上の検出器からの1若しくはそれ以上の結果、およびプロセッサによる分析からの1若しくはそれ以上の結果を含み得る。