(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】圧力リリーフバルブアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16K 15/18 20060101AFI20231002BHJP
F16K 17/02 20060101ALI20231002BHJP
F17C 13/04 20060101ALN20231002BHJP
【FI】
F16K15/18 D
F16K17/02 Z
F17C13/04 301Z
(21)【出願番号】P 2020555385
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(86)【国際出願番号】 US2019026897
(87)【国際公開番号】W WO2019200039
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-10-13
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509277992
【氏名又は名称】ダドコ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】グレトカ デイヴィッド ジョン 2世
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-053967(JP,U)
【文献】特表2009-503397(JP,A)
【文献】実公昭37-018661(JP,Y1)
【文献】特開平05-215299(JP,A)
【文献】米国特許第02868224(US,A)
【文献】実開昭57-046162(JP,U)
【文献】実公昭32-008260(JP,Y1)
【文献】実公昭35-006072(JP,Y1)
【文献】実開昭58-142464(JP,U)
【文献】特開昭63-280939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00-17/168
F16K 31/44-31/62
F17C 1/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディであって、当該ボディの外部への開口の少なくとも一部を提供する少なくとも1つの流れ通路を当該ボディ内部に備えたボディと、
前記ボディ内の前記少なくとも1つの流れ通路に設けられた常閉型のチェックバルブであって、閉弁時には前記少なくとも1つの通路を通って前記ボディの外部に至る圧縮ガスの流れを阻止し、開弁時には前記少なくとも1つの通路を通って前記ボディの外部へのガスの流れを許容するチェックバルブと、
前記ボディによって摺動可能に支持され、前記ボディに対して可動であるアクチュエータピンであって、前記常閉型のチェックバルブを開弁する前進位置と、前記チェックバルブを閉弁可能とする後退位置とへ移動可能であるアクチュエータピンと、
前記アクチュエータピンに接続され、前記ボディが保持する相補的なねじ部と係合するねじ部を有するノブであって、前記ボディに対して前記アクチュエータピンを前進させて前記チェックバルブを開弁するために時計回りまたは反時計回りのうち一方向に回転可能であり、かつ、前記ボディに対して前記アクチュエータピンを後退させて前記チェックバルブを閉弁可能とするために、時計回りまたは反時計回りのうち他方向に回転可能であるノブと、
を備えて
おり、
前記ボディは肩部を備えており、前記肩部に前記アクチュエータピンの少なくとも一部が係合することによって、前記アクチュエータピンが前記ボディに対して後退する範囲を制限することを特徴とする圧力リリーフバルブアセンブリ。
【請求項2】
前記ボディは、メインボディと、前記メインボディによって支持されるガイドボディとを備え、
前記少なくとも1つの通路は、前記メインボディを通る軸方向孔であって前記チェックバルブを受ける軸方向孔を含み、
前記ガイドボディは、前記チェックバルブに対して概ね軸方向に相対的に前進又は後退させるために前記アクチュエータピンの少なくとも一部を受ける貫通孔を有し、
前記ガイドボディ内の前記少なくとも1つのカウンタボアの径は当該ガイドボディに受けられる前記アクチュエータピンの部分の径より大きいことにより、前記チェックバルブが少なくとも部分的に開弁しているときに圧縮ガスを流すことができる前記少なくとも1つの通路の少なくとも一部と、前記少なくとも1つのカウンタボアと前記ガイドボディの外側部分とに連通する前記ガイドボディ内の少なくとも1つの出口通路と、を形成する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記ガイドボディは、前記メインボディに螺合可能に接続されている、
請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記アクチュエータピンは、当該アクチュエータピンにおける前記チェックバルブに隣接する一端の隣にフランジを備えており、
前記ガイドボディは
前記肩部を備えており、
前記肩部に前記フランジ
が係合
して、
前記アクチュエータピンが前記ガイドボディに対して
後退
する範囲を制限
する、
請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記ノブは、前記ガイドボディと係合して、当該ノブの回転により前記チェックバルブに対して前記アクチュエータピンを前進できる範囲を制限する当接部を有する、
請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項6】
ボディであって、当該ボディの外部への開口の少なくとも一部を提供する少なくとも1つの流れ通路を当該ボディ内部に備えたボディと、
前記ボディ内の前記少なくとも1つの流れ通路に設けられた常閉型のチェックバルブであって、閉弁時には前記少なくとも1つの通路を通って前記ボディの外部に至る圧縮ガスの流れを阻止し、開弁時には前記少なくとも1つの通路を通って前記ボディの外部へのガスの流れを許容するチェックバルブと、
前記ボディによって摺動可能に支持され、前記ボディに対して可動であるアクチュエータピンであって、前記常閉型のチェックバルブを開弁する前進位置と、前記チェックバルブを閉弁可能とする後退位置とへ移動可能であるアクチュエータピンと、
前記アクチュエータピンに接続され、前記ボディが保持する相補的なねじ部と係合するねじ部を有するノブであって、前記ボディに対して前記アクチュエータピンを前進させて前記チェックバルブを開弁するために時計回りまたは反時計回りのうち一方向に回転可能であり、かつ、前記ボディに対して前記アクチュエータピンを後退させて前記チェックバルブを閉弁可能とするために、時計回りまたは反時計回りのうち他方向に回転可能であるノブと、
を備えており、
前記アクチュエータピンは、前記ボディと係合して、前記ノブの回転により前記チェックバルブに対して当該アクチュエータピンを前進できる範囲を制限する当接部を有する
ことを特徴とする圧力リリーフバルブアセンブリ。
【請求項7】
前記アクチュエータピンは、前記ノブの回転によって概ね軸方向に動くように前記ガイドボディの前記孔によって案内される、
請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記常閉型のチェックバルブは、
バルブボディと、
前記バルブボディを貫通する孔と、
前記バルブボディによって支持されたバルブシートであって、前記バルブボディを貫通する前記孔を取り囲むバルブシートと、
前記孔との間にクリアランスを空けて当該孔内に少なくとも部分的に受けられるバルブステムと、
前記バルブステムに接続されたバルブヘッドであって、前記チェックバルブが閉弁しているときに前記バルブシートと係合するように構成されたバルブヘッドと、
を備えており、
前記バルブステムは前記バルブシートに対して概ね軸方向に動くことにより、前記チェックバルブの閉弁位置と、前記バルブヘッドと前記バルブシートとの間に、及び前記バルブステムと前記バルブボディを貫通する前記孔との間の前記クリアランス内に圧縮ガスを流すことができる前記チェックバルブの少なくとも部分的な開弁位置と、の間で前記バルブヘッドを動かせるように構成されている、
請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記常閉型のチェックバルブは、
バルブボディと、
前記バルブボディを貫通する孔と、
前記バルブボディによって支持されたバルブシートであって、前記バルブボディを貫通する前記孔を取り囲むバルブシートと、
前記孔との間にクリアランスを空けて当該孔内に少なくとも部分的に受けられるバルブステムと、前記バルブステムに接続されたバルブヘッドであって、前記チェックバルブが閉弁しているときに前記バルブシートと係合するように構成されたバルブヘッドと、
を備えており、
前記バルブステムは前記バルブシートに対して概ね軸方向に動くことにより、前記バルブヘッドと前記バルブシートとの間、及び前記バルブステムと前記バルブボディを貫通する前記孔との間の前記クリアランス内に圧縮ガスを流すことができる前記チェックバルブの少なくとも部分的な開弁位置へ前記バルブヘッドを動かせるように構成されている、
請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記常閉型のチェックバルブは、
バルブボディと、
前記バルブボディを貫通する孔と、前記バルブボディによって支持されたバルブシートであって、前記バルブボディを貫通する前記孔を取り囲むバルブシートと、
前記孔との間にクリアランスを空けて当該孔内に少なくとも部分的に受けられるバルブステムと、
前記バルブステムに接続されたバルブヘッドであって、前記チェックバルブが閉弁しているときに前記バルブシートと係合するように構成されたバルブヘッドと、
を備えており、
前記バルブステムは前記バルブシートに対して概ね軸方向に動くことにより、前記バルブヘッドと前記バルブシートとの間、及び前記バルブステムと前記バルブボディを貫通する前記孔との間の前記クリアランス内に圧縮ガスを流すことができる前記チェックバルブの少なくとも部分的な開弁位置に前記ヘッドを動かせるように構成されている、
請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記常閉型のチェックバルブは、
バルブボディと、
前記バルブボディを貫通する孔と、前記バルブボディによって支持されたバルブシートであって、前記バルブボディを貫通する前記孔を取り囲むバルブシートと、
前記孔との間にクリアランスを空けて当該孔内に少なくとも部分的に受けられるバルブステムと、
前記バルブステムに接続されたバルブヘッドであって、前記チェックバルブが閉弁しているときに前記バルブシートと係合するように構成されたバルブヘッドと、
を備えており、
前記バルブステムは前記バルブシートに対して概ね軸方向に動くことにより、前記バルブヘッドと前記バルブシートとの間、及び前記バルブステムと前記バルブボディを貫通する前記孔との間の前記クリアランス内に圧縮ガスを流すことができる前記チェックバルブの少なくとも部分的な開弁位置に前記バルブヘッドを動かせるように構成されている、
請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記アセンブリは、
前記アクチュエータピンにおける前記チェックバルブから遠位の一端の隣の位置に摺動可能に被せられたカラーと、
前記アクチュエータピンにおける前記遠位の一端の隣の位置に係合して前記カラーを前記アクチュエータピンに保持するリテーナと、
をさらに備えており、
前記カラーは、前記ノブの孔内に摺動可能に受けられ、前記カラーは、前記ノブの前記孔内に保持される、
請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記アセンブリは、
前記アクチュエータピンにおける前記チェックバルブから遠位の一端の隣の位置に摺動可能に被せられたカラーと、
前記アクチュエータピンにおける前記遠位の一端の隣の位置に係合して前記カラーを前記アクチュエータピンに保持するリテーナと、
をさらに備えており、
前記カラーは、前記ノブの孔内に摺動可能に受けられ、前記カラーは、前記ノブの前記孔内に保持される、
請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記アセンブリは、
前記アクチュエータピンにおける前記チェックバルブから遠位の一端の隣の位置に摺動可能に被せられたカラーと、
前記アクチュエータピンにおける前記遠位の一端の隣の位置に係合して前記カラーを前記アクチュエータピンに保持するリテーナと、
をさらに備えており、
前記カラーは、前記ノブの孔内に摺動可能に受けられ、前記カラーは、前記ノブの前記孔内に保持される、
請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項15】
ボディであって、当該ボディの外部への開口の少なくとも一部を提供する少なくとも1つの流れ通路を当該ボディ内部に備えたボディと、
前記ボディ内の前記少なくとも1つの流れ通路に設けられた常閉型のチェックバルブであって、閉弁時には前記少なくとも1つの通路を通って前記ボディの外部に至る圧縮ガスの流れを阻止し、開弁時には前記少なくとも1つの通路を通って前記ボディの外部へのガスの流れを許容するチェックバルブと、
前記ボディによって摺動可能に支持され、前記ボディに対して可動であるアクチュエータピンであって、前記常閉型のチェックバルブを開弁する前進位置と、前記チェックバルブを閉弁可能とする後退位置とへ移動可能であるアクチュエータピンと、
前記アクチュエータピンに接続され、前記ボディが保持する相補的なねじ部と係合するねじ部を有するノブであって、前記ボディに対して前記アクチュエータピンを前進させて前記チェックバルブを開弁するために時計回りまたは反時計回りのうち一方向に回転可能であり、かつ、前記ボディに対して前記アクチュエータピンを後退させて前記チェックバルブを閉弁可能とするために、時計回りまたは反時計回りのうち他方向に回転可能であるノブと、
を備え
た圧力リリーフバルブアセンブリであって、
前記アセンブリはさらに、ガス圧力チャンバを有するガススプリングを備えており、
前記ボディの前記少なくとも1つの流れ通路は、前記少なくとも1つの流れ通路において前記チェックバルブの上流にある前記ガススプリングの前記圧力チャンバと連通するように構成されていることを特徴とする圧力リリーフバルブアセンブリ。
【請求項16】
第1孔と、同軸の第1カウンタボアとを有するメインボディであって、当該第1孔と当該第1カウンタボアとが共に当該メインボディを軸方向に貫通するメインボディと、
第2孔と、同軸の第2カウンタボアとを有し、前記メインボディによって支持されるガイドボディであって、当該第2孔と当該第2カウンタボアとは共に当該ガイドボディを軸方向に貫通すると共に前記第1孔及び前記第1カウンタボアと実質的に同軸で延在するガイドボディと、
前記メインボディの前記第1孔内に設けられた常閉型のチェックバルブであって、閉弁時には圧縮ガスが前記メインボディ内を通って前記ガイドボディの前記
第2カウンタボアに流入することを阻止し、開弁時には前記メインボディの前記第1孔内に圧縮ガスを通過させて前記ガイドボディの前記第2カウンタボアに流すことができる常閉型のチェックバルブと、
前記ガイドボディの前記
第2カウンタボアと当該ガイドボディの外部とを連通する前記ガイドボディの少なくとも1つの出口通路と、
前記ガイドボディの前記第2孔と前記第2カウンタボアとに少なくとも部分的に受けられるアクチュエータピンであって、前記チェックバルブが少なくとも部分的に開弁しているときに当該アクチュエータピンと前記第2カウンタボアとの間に圧縮ガスを流して前記少なくとも1つの出口通路に通過させるためのクリアランスを当該アクチュエータピンと前記ガイドボディの前記第2カウンタボアとの間に設けたアクチュエータピンと、
前記アクチュエータピンに接続されたノブであって、前記ガイドボディのねじ部と相補的に係合するねじ部を有し、当該ノブが時計回りまたは反時計回り方向のうち一方向に回転すると前記アクチュエータピンが前記常閉型のチェックバルブを少なくとも部分的に開弁するように前進し、前記ノブが時計回りまたは反時計回り方向のうち他方向に回転すると前記アクチュエータピンが前記メインボディに対して後退して前記チェックバルブを閉弁できるように構成されているノブと、
を備えて
おり、
前記ノブは、前記ガイドボディと係合して、当該ノブの回転により前記チェックバルブに対して前記アクチュエータピンを前進できる範囲を制限する当接部を有し、又は、前記アクチュエータピンは、前記メインボディと係合して、前記ノブの回転により前記チェックバルブに対して当該アクチュエータピンを前進できる範囲を制限する当接部を有し、又は、前記ノブ及び前記アクチュエータピンの両方が、前記ガイドボディ及び前記メインボディとそれぞれ係合して、当該ノブの回転により前記チェックバルブに対して前記アクチュエータピンを前進できる範囲を制限する当接部を有する
ことを特徴とするリリーフバルブアセンブリ。
【請求項17】
前記ガイドボディはさらに、前記メインボディの前記第1カウンタボア内に延在するねじ部を有し、当該ねじ部は、前記第1カウンタボア内の相補的なねじ部と係合して前記ガイドボディと前記メインボディとを接続する、
請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記アクチュエータピンは、当該アクチュエータピンにおける前記チェックバルブに隣接する一端の隣にフランジを備えており、前記ガイドボディは、前記フランジによって係合されて、前記ガイドボディに対して前記アクチュエータピンを後退できる範囲を制限できる肩部を備えている、
請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記アセンブリは、
前記アクチュエータピンにおける前記チェックバルブから遠位の一端の隣の位置に摺動可能に被せられたカラーと、
前記アクチュエータピンにおける前記遠位の一端の隣の位置に係合して前記カラーを前記アクチュエータピンに保持するリテーナと、
をさらに備えており、
前記カラーは、前記ノブの孔内に摺動可能に受けられ、前記カラーは、前記ノブの前記孔内に保持される、
請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記常閉型のチェックバルブは、
バルブボディと、
前記バルブボディを貫通する孔と、前記バルブボディによって支持されたバルブシートであって、前記バルブボディを貫通する前記孔を取り囲むバルブシートと、
前記孔との間にクリアランスを空けて当該孔内に少なくとも部分的に受けられるバルブステムと、前記バルブステムに接続されたバルブヘッドであって、前記チェックバルブが閉弁しているときに前記バルブシートと係合するように構成されたバルブヘッドと、
を備えており、
前記バルブステムは前記バルブシートに対して概ね軸方向に動くことにより、前記チェックバルブの閉弁位置と、前記バルブヘッドと前記バルブシートとの間、及び前記バルブステムと前記バルブボディを貫通する前記孔との間の前記クリアランス内に圧縮ガスを流すことができる前記チェックバルブの少なくとも部分的な開弁位置と、の間で前記バルブヘッドを動かせるように構成されている、
請求項16に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年4月12日に出願された米国仮特許出願第62/656,548号の利益を主張するものであり、同文献の記載内容は全て、参照により本願の記載内容に含まれるものとする。
【0002】
本発明は、一般に、加圧されたガスの制御された放出に関し、より詳細には、圧力リリーフバルブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
圧力リリーフバルブアセンブリは、ダイアセンブリのワーククランプリングを降伏可能に保持するために、金属のスタンピング、パンチング及びピアシング作業においてしばしば使用される窒素ガススプリング等の装置内の圧力又はガスを抜き又は減少させるために、制御マニホルドと共に使用されてきた。このようなガススプリングは、シリンダ内に摺動可能に収容されたピストンに作動ロッドを接続したものを有することができ、このシリンダは、窒素ガスの予め定められた所望の圧力まで充填できるチャンバを有し、この所望の圧力は、1,000~2,500psiの範囲とすることができる。ロッドおよびピストンが内部のチャンバ内に押し込まれると、チャンバ内のガスは最大動作圧まで圧縮され、この最大動作圧は、チャンバの容積と、ピストンの有効面積及びストロークと、チャンバに充填された当初の圧力と、に依存して、約3,000~6,000psiの範囲になり得る。
【0004】
マニホルドを加圧ガス源に接続することができ、マニホルドは、ガススプリング等の装置のチャンバに所望の予め定められた圧力まで充填するために開閉することができる流量制御弁を有することができる。また、マニホルドは、チャンバ内のガスの圧力の一部または全部を逃がしまたは抜くために開閉できる別個のバルブを有することもできる。従来の圧力リリーフバルブアセンブリは、相補的な複数のねじパーツを有し、これらのねじ部分は意図せずに緩んで、ガススプリングのチャンバ内の加圧されたガスを逃がしまたは抜く原因となり得る。このようにガススプリングのチャンバ内の圧力が失われると、ワークの成形が低品質となり、ガススプリングと共に使用されるダイアセンブリ又は他の工具が損傷する原因となり得る。
【発明の概要】
【0005】
ねじ部品を備えたガス圧力リリーフバルブアセンブリであって、ねじ部品が緩むと開弁しない常閉型の圧力リリーフチェックバルブ。このバルブアセンブリは、常閉型の圧力リリーフチェックバルブを備えたメインボディを有することができ、この常閉型の圧力リリーフチェックバルブは、バルブステムと共に当該メインボディ内に収容され、バルブステムは、当該チェックバルブを開弁するために押し込まれ得るものである。アクチュエータピンをバルブステムと概ね同軸的に整列して設けることができ、アクチュエータピンは、メインボディにねじ込むことができるガイドボディ内に摺動可能に収容することができる。アクチュエータピンにおける遠位端の隣の位置に接続できるノブであってガイドボディにねじ留めできるノブを手動で回転することにより、当該アクチュエータピンの近位端を前進させてバルブステムと係合してこれを押し込み、リリーフバルブを開弁することにより、当該ノブの一方向での回転により当該ノブがガイドボディ表面において前進してアクチュエータピンを前進させることで、バルブステムを押し込んでリリーフバルブを開弁することができる。ノブを反対方向に回すと、ガイドボディに対してノブが緩み又は後退してアクチュエータピンがバルブステムから離れ、リリーフチェックバルブを閉弁可能にする。意図的又は非意図的にノブがさらに回転し又は緩み、及び/又はガイドボディが緩み又は回転すると、アクチュエータピンの近位端はバルブステムから離れ、これにより圧力リリーフチェックバルブは閉弁状態に留まり、これにより、例えば振動等によるこの緩みによってチェックバルブが加圧ガスを逃がすことが無くなる。
【0006】
この圧力リリーフバルブアセンブリは、ねじ部付きのノブ及び/又はアクチュエータピンのねじ部付きのガイドボディが緩んでも圧力リリーフバルブが開弁することが無い、圧力リリーフチェックバルブの開弁又は閉弁の繰り返し性が改善される、加圧ガスの逃がし又は抜きの細やかな制御、ガス圧開放のための機構が比較的簡素で頑丈かつ高耐久性となること、並びに、圧力リリーフバルブアセンブリのねじ部品が振動により又は他の意図的若しくは非意図的に緩んでも圧力リリーフバルブアセンブリは開弁しないこと、の利点を有しないか、又は1つ若しくは複数の利点を有することができる。
【0007】
以下の好適な実施形態及び最良の形態の詳細な説明は、以下の添付図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】圧力リリーフバルブアセンブリが取り付けられた制御マニホルドの等角図であり、マニホルドとガススプリングとの接続を図式的に示す。
【
図2】
図1の制御マニホルドの正面図であり、制御マニホルドと圧縮窒素ガスの容器との接続を図式的に示す。
【
図3】
図2の線A-Aにおける圧力リリーフバルブアセンブリの断面図であり、同図では、圧力リリーフバルブアセンブリの部品は閉弁位置にある。
【
図4】前記リリーフバルブアセンブリの断面図であり、同図では、圧力リリーフバルブアセンブリの部品は開弁位置にあるのが示されている。
【
図5】圧力リリーフバルブアセンブリのチェックバルブの上面図である。
【
図6】閉弁位置にあるチェックバルブを示す
図5の線B-Bにおける断面図である。
【
図7】開弁位置におけるチェックバルブを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1及び
図2は、マニホルド14に取り付けられたガス圧力リリーフバルブアセンブリ10及び充填バルブ12の一実施形態を示しており、これらは、例えばガススプリング16等の窒素等の加圧ガスの充填と、当該装置又はガススプリング16からの加圧ガスのガス抜き又は排出とを制御するためのものである。ガススプリング16は、可撓性ホース20等の高圧導管を介してマニホルドの制御ポート18と流体連通してもよい。マニホルドは、窒素ガスが入ったタンク24等の高圧の圧縮ガス源に可撓性ホース26等の導管によって接続されるガス入口ポート22を有することができる。
【0010】
タンク22からガススプリング16等の装置への加圧ガスの供給又は充填を制御するため、マニホルド14は、入口22と連結部18とを連結するマニホルド内の通路と連通する充填バルブ12を有することができる。充填バルブ12は常閉位置(
図2に示す)と、ポート18を介してガススプリング16等の装置に圧縮ガスを供給する開位置との間で動かすことができる。ガススプリング内の圧縮ガスの圧力を表示するため、ガス圧力計28を通路18に流体連通することができ、これによりガススプリング16に流体連通することができる。常閉型の圧力リリーフバルブアセンブリ10はまた、継手18と共にマニホルド内の通路を通って連通し、リリーフバルブアセンブリがその開位置まで手動で作動されるとき、ガススプリング又は他の装置内の圧縮ガスの圧力を抜き、吐き、又は減圧する。
【0011】
図3及び
図4に示されているように、バルブアセンブリ10は、メインボディ32内に収容された常閉型の吐出又は圧力リリーフバルブ30を有し、常閉型の吐出又は圧力リリーフバルブ30は、ガイドボディ36内に摺動可能に収容されたアクチュエータピン34であってノブ38を手動により回転移動させることによって軸方向に進退するアクチュエータピン34が軸方向に動くことによって開閉することができる。メインボディ32は、リリーフバルブを螺合可能に受ける貫通孔40であってカウンタボア42を有する貫通孔40と、相補的なねじ部46によってガイドボディ46を取り付けられるカウンタボア44と、を有していてもよい。使用時には、メインボディをねじ部48によってマニホルドの相補的なねじ部付きのポート50に取り付けることにより、チェックバルブ30より上流の孔40をマニホルドのポート又は連結部18と連通させることができる。
【0012】
チェックバルブ30が開弁したときに圧縮ガスを外気に排出するため、チェックバルブ30は、当該チェックバルブより下流の出口通路52を介して、ガイドボディ36内の通路54とガイドボディの外部に通じる開口とに連通している。通路52は、ガイドボディ内のカウンタボア56及び58によって形成されることができ、これら各カウンタボア56及び58の径は、アクチュエータピン34における当該各カウンタボア56及び58と隣り合う部分より大きい。通路54は、ガイドボディを貫通する孔であって、アクチュエータピンの軸に対して概ね横方向でカウンタボア58と交差する孔とすることができる。これに代えて通路54は、メインボディ32内の通路、又は、メインボディとガイドボディとの間の通路とすることもできる。アクチュエータピンは、ガイドボディ36との間に僅かなクリアランスを空けて、ガイドボディ36を貫通する孔60内に摺動可能に受容されることができる。組立ての際には、アクチュエータピンがガイドボディから抜けるのを防止するため、アクチュエータピン34は内側端部の隣にフランジ62を有することができ、このフランジ62はカウンタボア56内に受容され、肩部64と係合可能となっている。
【0013】
アクチュエータピン34は他方の端部の隣において、ガイドボディの外部に向かって止まり孔66内へ延在することができ、ノブによってチェックバルブ30に対して当該ピンを軸方向に動かすため、アクチュエータピン34は当該ノブに取り付けられている。ノブはカラー68によってアクチュエータピンに取り外し可能に取り付けることができ、カラー68はアクチュエータピンに摺動可能に被せられ、スナップリング70によってアクチュエータピンに固定され、カラー68及びスナップリング70は両方とも、ノブの同軸の止まり孔66に摺動可能に受容されており、止めねじ72がノブの相補的なねじ部付きの孔74に螺合可能に受容され、カラーの環状溝76内へ延在している。ノブのねじ部付きカウンタボア78は、ガイドボディのネック部82表面の相補的なねじ部80と係合する。ノブ38を一方向(右ねじ部80については時計回り)に回転させてアクチュエータピン34を前進させることによりチェックバルブ30を開弁することができ、逆方向に回転させてアクチュエータピンを後退させることにより、チェックバルブ30を閉弁可能とすることができる。ノブの底面に開口したカウンタボア84によって、ノブ38の底部とガイドボディとの間にクリアランスを設けることができる。
【0014】
図5~7に示すように、チェックバルブ又はブリードバルブ30はバルブピン又はバルブステム90を備えることができ、バルブピン又はバルブステム90は、バルブボディ96の孔92及びカウンタボア94との間にクリアランスを空けて当該孔92とカウンタボア94とに摺動可能に受容され、孔92及びカウンタボア94は、バルブが開弁したときにバルブボディ内に圧縮ガスを流すための通路100を成す。バルブボディは、チェックバルブ30をバルブアセンブリ10のメインボディ32に組み付ける際に取り付けて固定するための雄ねじ部98と、メインボディ32にチェックバルブを取り付けたり取り外したりするために使用される工具用の星形凹部100等の非円形凹部と、を有することができる。
【0015】
また、バルブシート104にもなる環状シール102がバルブボディの環状の凹部又は肩部に受けられており、バルブステム90の一端に被せられて取り付けられたバルブヘッド108と協働する。このヘッドは、例えば領域112においてピンにかしめる等により、ステムに永久的に固定し又は取り付けることができる。代替的に、ヘッドとピンとを一体にすることもできる。バルブステムをボディ内に保持するため、バルブステムはその他端に、当該ボディの孔92よりも大きくかつソケット凹部100の内径より小さいヘッド114を有することができる。
【0016】
ステムヘッド114の底部とバルブヘッド108の面116との間の軸方向の間隔は、
図7に示すように、ステムヘッドがカウンタボア内に押し込まれ又は前進されたときに、チェックバルブを全開にし、圧縮ガスがバルブヘッド108とシート104との間を通ってバルブヘッド108とシート104との間のクリアランスによって形成された通路116を通ってバルブボディ96から流出できるようにするために十分な間隔である。
【0017】
代替的にチェックバルブ30は、市販のシュレーダーバルブとすることもできる。
【0018】
圧力リリーフバルブアセンブリ10の使用時には、圧力リリーフバルブアセンブリ10のメインボディ32をマニホルド14のポート50に接続して孔40の入口をガススプリング16等の装置内の加圧ガスと流体連通することができる。右ねじ部78及び80を用いて、アクチュエータピン34を軸方向に動かしてチェックバルブステム90のヘッド114から外すために十分にノブ38を反時計回りに回転させると、孔40の入口端部の圧縮ガスの圧力がバルブヘッドに作用することによって、バルブヘッド108はシーリングリング102のシート104と密閉係合するように押し込められる。よって、ノブ38が非意図的若しくは意図的にさらに反時計回りに回転されてアクチュエータピン34を後退させても、及び/又は、ガイドボディ36が回転し又は緩んでメインボディ32から後退しても、チェックバルブ30は閉弁状態に留まり、これによってガススプリング内の加圧ガスはバルブアセンブリ10を通って抜けたり排出されたりしない。ガススプリングからガスを抜き又は排出するためには、ノブ38を時計回りに手動で回転させることにより、ノブ38のねじ部78がガイドボディのネック部82のねじ部80と相補的に係合することでバルブステム90と係合するようにアクチュエータピン34を動かしてバルブボディ96に対してバルブステム90を相対的に前進させ、これによりバルブヘッド110をバルブシート104から離して少なくとも部分的な開弁位置(
図4及び
図7)に移動させることにより、チェックバルブ30をその閉弁位置(
図3及び
図6)から少なくとも部分的な開弁位置に動かすことができる。ブリードバルブ30が開弁すると、圧縮ガスはバルブアセンブリ10内を通って外気へ流出することができ、その際には、バルブ30のバルブステム90とボディ96との間の通路116と、ソケット凹部100と、通路52と、通路54と、を通って、バルブアセンブリ10の外側の大気へ出る。代替的に、ノブおよびネック部のねじ部78,80を左ねじ部とすることができ、この場合、チェックバルブ30を閉弁可能とするためにはノブ38を時計回りに回転させ、チェックバルブを開弁するためにはノブ38を反時計回りに回転することとなる。
【0019】
当業者は、本発明の範囲内に包含される他の実施形態を認識できると解すべきである。上述の構成は単なる例示であり、完全又は限定的な列挙又は提示ではない。もちろん、本開示を参酌して、さらに他の実施形態および具現化を達成することができる。上述した実施形態は例示を意図したものであり、本発明の範囲または思想を限定するものではない。本発明は、以下の特許請求の範囲によって特定される。