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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】球状活性炭を含む水処理用フィルタ
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20230101AFI20231002BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20231002BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20231002BHJP
   C08G 16/02 20060101ALI20231002BHJP
   C01B 32/312 20170101ALI20231002BHJP
   C01B 32/354 20170101ALI20231002BHJP
【FI】
C02F1/28 D
B01J20/30
B01J20/20 B
C08G16/02
C01B32/312
C01B32/354
【請求項の数】 2
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022093560
(22)【出願日】2022-06-09
(65)【公開番号】P2023013960
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0093482
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520089288
【氏名又は名称】ピュアスフィア カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PureSphere Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】123-7, Dongsansaneopdanji-ro, Eunjin-myeon, Nonsan-si, Chungcheongnam-do, 33020 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ホンシク・ビョン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンヨル・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンドク・コ
(72)【発明者】
【氏名】ミンヨン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジンク・イ
【審査官】松本 要
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-000827(JP,A)
【文献】特開昭50-159153(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116947(WO,A1)
【文献】特開2012-051870(JP,A)
【文献】特開2021-146325(JP,A)
【文献】特表2012-508645(JP,A)
【文献】特表2008-534269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/28
C02F 1/58-1/64
B01J 20/00-20/34
B01D 15/00-15/42
C01B 32/00-32/991
C08G 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球形化度が80%以上であり、平均粒径が100乃至600μmである球状活性炭を含む水処理用フィルタであって、
バインダを含まないことを特徴とし、
前記球状活性炭は、2重量%未満の酸素を含む、水処理用フィルタ
【請求項2】
前記水処理用フィルタは、下記の測定方法1により測定した残留塩素除去寿命が1,800L以上であることを特徴とする請求項1に記載の水処理用フィルタ:
[測定方法1]
蒸溜水に次亜塩素酸(HClO)が2mg/Lとなるように滴下した溶液を、球状活性炭が90g充填された水処理用フィルタに、1.0kgf/cmの圧力で流し、流入水及び透過水に対して、DPD比色法により塩素の濃度を分析した。透過水を50L単位で採取して分析し、このとき、塩素除去率が90%未満になるまで通水された流量を塩素除去能と示した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状活性炭を含む水処理用フィルタに係り、詳しくは、高球形化度及び高圧縮強度を有する球状活性炭の表面を改質して、高強度、耐磨耗性、及び浄水性能を向上させた表面改質した球状活性炭を含む水処理用フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
水は、一般に、その用途により、飲料水、農業用水、工業用水等に分けられ、多様な用途に合わせて、地下水や川水等を浄水して使用する。特に、飲料水は、川水や地下水を濾過及び殺菌等の多段階からなる浄水過程を通じて作られて供給され、前記浄水過程では、水に含有された各種の異物を吸着及び除去するために活性炭を用いる。
【0003】
一般に、活性炭は、浄水器内のフィルタに粉末状で充填され、供給される水から各種の異物を吸着して除去する。このような活性炭フィルタの場合、構成が簡単で、経済的であるという利点があるが、浄水過程において活性炭の微粉塵が発生して浄水された水と一緒に排出されるか、または炭粉で浄水器フィルタを黒く汚染させる恐れがあった。
【0004】
このため、浄水器フィルタの一例として、浄水器内のフィルタに活性炭を充填するが、微粉塵吸着部をさらに含めて、微粉塵の流出を防止するフィルタが用いられることがある。しかしながら、この場合、微粉塵吸着部の追加的な構成を要し、非経済的であるだけでなく、活性炭により発生する粉塵が排出されることを防ぐだけで、活性炭の微粉塵の発生そのものを防ぐものではないという限界があった。
【0005】
また、他の一例としては、活性炭にバインダを結合させ、カーボンブロックフィルタで製造することにより、活性炭の微粉塵が発生することを防止するフィルタが用いられる。この場合、微粉塵の発生を防ぐことはできるが、浄水過程で、浄水される水により、バインダが摩耗して脱離されるか、浄水過程中、水に溶解されたら、マイクロプラスチックが浄水された水と一緒に排出されることがあり、これを飲むと、健康上の問題を引き起こすことがあり、前記バインダが摩耗して脱離された場合は、活性炭が微粉塵で排出され、微粉塵発生の問題が相変わらず残っている。
【0006】
特許文献1は、活性炭が樹脂バインダと結合されて、カーボンブロックフィルタで製造された場合であって、上述した問題を有する。
【0007】
ここに、水処理用活性炭及びこれを含んで構成されるフィルタは、追加構成なしに、活性炭を含む場合、水処理過程で発生する活性炭の飛散を防止し、浄水性能を向上させることができるように高圧縮強度、耐磨耗性、及び向上した浄水性能を有することが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】大韓民国登録特許第10-1844686号(2018.03.27.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、浄水過程で粉末状または粒状の活性炭を使用することにより発生した活性炭による粉塵の発生を防止し、粉塵発生の防止のためのバインダ、粉塵吸着部のような追加構成を要しないとともに、向上した浄水性能を有する高球形化度、高強度、及び耐磨耗性の表面改質した球状活性炭を含む水処理用フィルタを提供することを課題とする。
【0010】
また、本発明は、上記した問題点を解決するために、水処理用フィルタに含まれた表面改質した球状活性炭の製造方法を提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するために、本発明では、下記のような手段を開示する。
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明は、球形化度が80%以上であり、平均粒径が100乃至600μmである球状活性炭を含む水処理用フィルタを提供する。
【0013】
上記した他の課題を解決するために、本発明は、フルフリルアルコール、架橋剤、水、及び触媒からなる反応物に保護コロイドを添加し、昇温及び硬化して、球状フラン樹脂を製造する第1ステップと、前記球状フラン樹脂を炭化した後、活性化して、球状活性炭を製造する第2ステップと、前記球状活性炭を還元して、表面改質した球状活性炭を製造する第3ステップと、を含むことを特徴とする球状活性炭の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明による水処理用フィルタは、一定範囲のサイズを有するとともに、高球形化度を有する球状活性炭で製造されてもよく、併せて追加で前記球状活性炭の表面を改質して製造されてもよい。このような球状活性炭で製造された水処理用フィルタは、高圧縮強度、耐摩耗性を示し、浄水過程または充填過程で摩擦により発生する活性炭の粉塵の発生が抑制されるという利点がある。これにより、活性炭の粉塵の発生を防ぐために従来から使用されていたバインダ、粉塵吸着部のような追加構成がなくても、浄水性能は向上するという利点がある。
【0015】
本発明の効果は、上述した効果に制限されず、以下で説明する内容に基づき、通常の技術者にとって自明な範囲内で、様々な効果が含まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】撹拌速度(rpm)を変えて製造された(a)球形化度43%の球状活性炭及び(b)球形化度96%の球状活性炭の画像である。
図2】粒状活性炭で製造された水処理用フィルタの残留塩素除去性能評価時の(a)排出水及び(b)排出水のビデオ顕微鏡測定の画像である。
図3】粉末状活性炭で製造された水処理用カーボンブロックフィルタの走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
図4】本発明の実施例1乃至4及び比較例1乃至2による表面改質した球状活性炭の酸素含量(重量%)による残留塩素除去寿命(L)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この明細書について、さらに詳しく説明する。
【0018】
これについて、具体的に説明すると、以下の通りである。本明細書において用いられる用語は、本発明での機能を考慮しつつ、できるだけ現在広く用いられる一般の用語を選択したが、これは、当該分野における技術者の意図または判例、新たな技術の出現等により変わることがある。また、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、該当する発明の説明の部分において詳しくその意味を記載する。したがって、本発明において用いられる用語は、単純な用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本発明の全般にわたった内容に基づいて定められなければならない。
【0019】
異なる定義が無い限り、技術用語及び科学用語を含めて、ここに用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならず、本出願で異なる定義が明示されていない限り、理想化され、または、過度に形式的な意味として解釈されない。
【0020】
数値の範囲は、前記範囲に定義された数値を含む。本明細書において与えられた全ての最大の数値制限は、低い数値制限が明確に述べられているように、全てのさらに低い数値制限を含む。本明細書において与えられた全ての最小の数値制限は、さらに高い数値制限が明確に述べられているように、全てのさらに高い数値制限を含む。本明細書において与えられた全ての数値制限は、さらに狭い数値制限が明確に述べられているように、さらに広い数値範囲内のさらに良い全ての数値範囲を含む。
【0021】
以下、本発明において開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれに対する他の説明及び実施形態に適用されてもよい。すなわち、本発明に開示された様々な要素の全ての組み合わせが本発明の範疇に属する。また、下記において記述された具体的な叙述により本発明の範疇が制限されるものではない。
【0022】
本明細書において用いられる「含む」のような表現は、当該表現が含まれる文言または文章において、特に断りのない限り、他の実施例を含む可能性を内包する開放型用語(open-ended terms)と理解されるべきである。
【0023】
本発明の発明者は、水処理用フィルタに使用されていた活性炭の粒子状を球状とするとともに、球形化度及び粒径のサイズを調節して、球状活性炭の高圧縮強度、耐摩耗性を示し、浄水過程または充填過程で摩擦により発生する活性炭の粉塵発生が抑制され、水処理用フィルタとして適用可能であることを見い出し、本発明を完成するように至った。
【0024】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0025】
水処理用フィルタ
本発明の一側面によれば、本発明は、球形化度が80%以上であり、平均粒径が100乃至600μmである球状活性炭を含む水処理用フィルタを提供する。
【0026】
本発明において、用語の「球形化度」とは、下記式1により得られる値を意味する。
【0027】
[式1]
球形化度(%):短軸長さ(a)/長軸長さ(b)×100(%)
【0028】
本発明において、水処理用フィルタは、バインダを含まないことを特徴とする。
【0029】
本発明において、用語の「含まないこと」とは、形式的に水処理用フィルタにバインダを全く含まないことだけでなく、実質的に、本発明を回避するための目的として、本発明における解決しようとする課題を同じく実現可能な程度でバインダを含むことも、バインダを含まないものと認められる。
【0030】
具体的に、活性炭は、粉末状で用いられる場合、浄水過程で浄水された水と一緒に、活性炭の粉塵が排出される恐れがあり、粒状で用いられる場合は、浄水過程で、粒状が摩耗されることにより砕けて、粉末状の活性炭のように、粉塵を発生させ、浄水された水と一緒に排出される恐れがある。
【0031】
ここに、本発明の発明者は、水処理用フィルタが、球形化度が80%以上である球状活性炭を含んでなるようにして上記した問題を解決した。具体的に、前記球状活性炭の球形化度が80%以上である場合は、浄水性能が向上するだけでなく、圧縮強度、耐磨耗性が向上し、浄水過程時、摩擦により発生する活性炭の摩耗が抑制され、活性炭粉塵の発生防止のためのバインダまたは別途の吸着剤を要さないという利点がある。
【0032】
これに対して、水処理用フィルタが球状活性炭からなるが、80%未満の球形化度を有する場合、フィルタ充填材としての稠密性が減少し、差圧及びチャネリング現象が発生して、浄水性能が減少し、しかも、球形化度が低く、粒子の均一性の向上が十分でないので、低い圧縮強度及び耐磨耗性を有するようになり、浄水過程での摩擦による活性炭の摩耗及びこれによる粉塵発生の問題が発生してしまう。したがって、前記球状活性炭の球形化度が80%でなければならない。
【0033】
本発明において用いる用語の「平均粒径」は、粒度分布測定装置(Accusizer 780A、Particle Sizing Systems)を用い、球状活性炭の粒度累積線図を作成したときの、粒度累積率50%における球状活性炭の粒径を平均粒径(D50)とする。用語の「D50」とは、前記粒子の50体積%が、レーザ回折粒度測定法とも知られている乾式レーザ粒度測定技術で測定したとき、より小さな直径を有する(粒子の)直径を意味する。
【0034】
球状活性炭の球形化度とともに、活性炭の平均粒径も、水処理用フィルタの性能に影響を与える。具体的に、球状活性炭の平均粒径は、100乃至600μmであることが好ましく、より具体的に200乃至500μmであることがさらに好ましい。球状活性炭の平均粒径が小さ過ぎると、浄水器で差圧が高くかかる短所があり、平均粒径が大き過ぎると、接触面積が小さくなり、残留塩素除去性能が低くなる。したがって、活性炭の平均粒径は、100乃至600μmであることが好ましい。
【0035】
本発明において、前記球状活性炭は、2重量%未満の酸素を含んでもよく、具体的に0.01乃至1.5重量%、より具体的に0.03乃至1.3重量、好ましくは、0.05乃至0.95重量%の酸素を含んでもよく、これに限定されるものではない。
【0036】
具体的に、球状活性炭に酸素の含量が2重量%を超過する場合、表面改質による浄水性能向上の効果を殆ど示さないので、球状活性炭の充填量を増やすか、BET比表面積を改善させなければならないという問題が発生するので、水処理用フィルタとして使用するのに非効率的である。したがって、球状活性炭は、2重量%未満の酸素を含むことが好ましい。
【0037】
本発明において、前記水処理用フィルタは、下記の測定方法1により測定した残留塩素除去寿命が1,800L以上であってもよく、具体的に1,800乃至3,000L、より具体的に2,000乃至3,000Lであることが好ましい。
【0038】
[測定方法1]
蒸溜水に次亜塩素酸(HClO)が2mg/Lとなるように滴下した溶液を、球状活性炭が90g充填された水処理用フィルタに、1.0kgf/cmの圧力で流し、流入水及び透過水に対して、DPD比色法により塩素の濃度を分析した。透過水を50L単位で採取して分析し、このとき、塩素除去率が90%未満になるまで通水された流量を塩素除去能と示した。
【0039】
本発明において、用語の「DPD比色法」とは、塩素と反応するDPD(N,N-diethyl-p-phenylenediamine)試薬により発生した酸化物の比色を測定して、塩素の濃度を算出する方法を意味する。
【0040】
本発明において、水処理用フィルタは、大韓民国浄水器基準・規格及び検査機関指定告示(環境部告示第2019-106号)を基準として、残留塩素除去性能が2000乃至3000Lであってもよく、これに限定されるものではない。
【0041】
本発明において、用語の「残留塩素除去性能」とは、浄水器内部のフィルタ等を掃除、再生、交替せず、汚染物質が効果的に除去され得る最小限の処理用量を意味し、本発明の水処理用フィルタは、大韓民国浄水器基準・規格及び検査機関指定告示(環境部告示第2019-106号)を基準として、残留塩素除去性能が2000乃至3000Lに向上した浄水性能を示す。したがって、本発明の水処理用フィルタは、球状活性炭の粉塵発生の危険を低減しながらも、球状活性炭の耐久性及び浄水性能を向上させることができる。
【0042】
本発明において、前記球状活性炭は、9N/Bead以上の圧縮強度を有することが好ましい。具体的に圧縮強度が9N/Bead以上である場合は、フィルタの製作後、使用時、水圧による破損が起こらず、耐摩耗度も向上するという長所があるのに対して、9N/Bead未満である場合は、浄水過程で、摩擦により活性炭の球状が破損するか、または活性炭が壊れて粉塵を発生させ、チャネリング現象による性能低下の問題があるので、9N/Bead以上の圧縮強度を有することが好ましく、具体的には、球状活性炭の圧縮強度が9乃至15N/Beadであることがさらに好ましい。
【0043】
本発明において、前記球状活性炭のBET比表面積は、1200乃至1300m/gであってもよく、これに限定されるものではない。
【0044】
本発明において、本発明の水処理用フィルタは、フィルタケースに球状活性炭を充填した形態であり、このとき、前記フィルタケースの材質、構造、及び構成要素等については、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に公知されているので、以下、これについての詳細な説明を省略する。
【0045】
前記フィルタケースの材質、構造、及び構成要素等について、本発明が属する分野における通常の知識を有する者に公知された内容は、本発明の内容に組み込まれる。
【0046】
これにより、本発明による水処理用フィルタは、活性炭の粉塵発生の危険を低減するとともに、活性炭の耐久性及び浄水性能を向上させることができる。
【0047】
球状活性炭の製造方法
本発明の一側面によれば、本発明は、フルフリルアルコール、架橋剤、水、及び触媒からなる反応物に保護コロイドを添加し、昇温及び硬化して、球状フラン樹脂を製造する第1ステップと、前記球状フラン樹脂を炭化した後、活性化して、球状活性炭を製造する第2ステップと、前記球状活性炭を還元して、表面改質した球状活性炭を製造する第3ステップと、を含むことを特徴とする球状活性炭の製造方法を提供する。
【0048】
本発明において、前記第1ステップは、フルフリルアルコール、架橋剤、水、及び触媒からなる反応物に保護コロイドを添加し、昇温及び硬化することにより、球状フラン樹脂を製造するステップであって、詳しくは、前記反応物を1次昇温した後、保護コロイドを添加し、2次昇温することにより硬化して球状フラン樹脂を製造する。
【0049】
本発明において、用語の「重量部」とは、異なる規定が無い限り、それぞれの成分間の重量の割合を意味する。
【0050】
本発明において、前記反応物は、フルフリルアルコール100重量部、前記フルフリルアルコール100重量部に対して、架橋制80乃至130重量部、水100乃至300重量部、及び触媒1乃至4重量部からなってもよく、これに限定されるものではない。
【0051】
具体的に、前記フルフリルアルコール(Furfuryl alcohol)は、下記の化学的構造を有するものであって、フラン-2-イルメタノール(furan-2-ylmethanol)と命名されるものである。
【0052】
【化1】
【0053】
本発明において、前記反応物は、前記フルフリルアルコール100重量部に対して、架橋制80乃至130重量部を含んでもよい。
【0054】
具体的に、架橋制が80重量部未満で含まれる場合は、球状フラン樹脂の表面が均一でなく、摩耗が発生し、130重量部を超過する場合、球状活性炭の圧縮強度が低くなるという問題があり、架橋制が、フルフリルアルコール100重量部に対して、80乃至130重量部で含まれることが好ましい。
【0055】
具体的に、前記架橋制の種類は、特定のものに制限されないが、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサン、アセタールであってもよく、これに限定されるものではない。
【0056】
本発明において、前記反応物は、フルフリルアルコール100重量部に対して、水100乃至300重量部を含んでもよい。
【0057】
具体的に、前記反応物において、水の含量が100重量部未満で含まれる場合は、反応物が卵形または塊で形成され、300重量部を超過して含まれる場合は、反応時間が長くなり、合成に不向きであるので、水が、フルフリルアルコール100重量部に対して、100乃至300重量部で含まれることが好ましい。
【0058】
本発明において、前記反応物は、フルフリルアルコール100重量部に対して、触媒1乃至4重量部を含んでもよい。
【0059】
具体的に、前記反応物において、触媒は、フルフリルアルコール及び水が混合した反応物のpHを1乃至5、好ましくは、pHを2乃至3に調節して、反応性を制御するために投入されるものであって、酸触媒が好ましい。
【0060】
具体的に、前記触媒が1重量部未満で含まれる場合は、反応が進行しないか、硬化が行われず、4重量部を超過して含まれる場合は、反応が急激に進行して、粒子が塊で形成されるか、希望の粒子状が得難いので、触媒は、フルフリルアルコール100重量部に対して、1乃至4重量部で含まれることが好ましい。
【0061】
具体的に、前記酸触媒は、特定の物質に制限されないが、硫酸、塩酸、硝酸、亜燐酸、リン酸等の無機酸や、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、シュウ酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、酒石酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、パラトルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、フマル酸、プロピオン酸、ピルビン酸、及びヘキサデシルベンゼンスルホン酸のうちから選ばれる少なくともいずれか一つであってもよく、好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸であることを特徴とし、これに限定されるものではない。
【0062】
本発明において、前記反応物は、50乃至100℃で、1次昇温されてもよく、これに限定されるものではない。具体的に反応物の1次昇温温度が50℃未満である場合は、反応時間が長くなるか、反応が進行せず、100℃を超過する場合は、生成した粒子のサイズが制御されず、塊が生成するので、前記反応物は、50乃至100℃で、1次昇温されることが好ましい。
【0063】
また、前記反応物を1次昇温した後、前記反応物に保護コロイドを投入し、1次昇温よりも高い温度で2次昇温して硬化することにより、球状フラン樹脂を製造することができる。
【0064】
本発明において、用語の「保護コロイド」とは、粒子の分散過程で、表面に作用して凝集を遅延させるためのものを意味し、フルフリルアルコール100重量部に対して、0.01乃至0.3重量部で投入されてもよく、これに限定されるものではない。
【0065】
具体的に、前記保護コロイドが、フルフリルアルコール100重量部に対して、0.01重量部未満で投入されると、反応時間が長くなるか、球状の粒子が形成されず、0.3重量部を超過して投入されると、粒子が小さく形成されるか、粉末状で製造されるので、保護コロイドが、フルフリルアルコール100重量部に対して、0.01乃至0.3重量部で含まれることが好ましい。
【0066】
本発明において、前記保護コロイドは、メチルセルロース、部分加水分解ポリビニルアルコール、アラビアガム、及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる少なくともいずれか一つであり、好ましくは、アラビアガムであってもよく、これに限定されるものではない。
【0067】
本発明において、前記2次昇温は、60乃至120℃で行われ、これに限定されるものではない。具体的に、前記2次昇温温度が60℃未満である場合、硬化時間が長くなるか、硬化が進行せず、希望の粒子状が得難く、120℃を超過する場合は、フラン樹脂が溶融して、卵形粒子または塊が生成するので、前記2次昇温は、60乃至120℃で行われることが好ましく、具体的には、80乃至100 ℃で、2次昇温を進行することがより好ましい。
【0068】
また、前記1次及び2次昇温時、撹拌は、200乃至300rpmで行われることにより、80%以上の球形化度及び高圧縮強度を有する球状フラン樹脂を製造することができる。
【0069】
前記2次昇温で硬化された球状フラン樹脂は、冷却した後、洗浄及び乾燥され、前記冷却、洗浄、及び乾燥は、従来から知られた方法により行われてもよく、特に限定されない。
【0070】
本発明において、第2ステップは、前記球状フラン樹脂を炭化した後、活性化して、球状活性炭を製造するステップであって、従来から知られた炭化及び活性化方法により、球状活性炭を製造することができる。
【0071】
具体的に、製造された球状フラン樹脂の炭化及び活性化方法は、限定されないが、好ましくは、上記で製造された球状フラン樹脂を、400乃至600℃で、1乃至2時間の間炭化した後、800乃至1000℃で、20分乃至70分間、水蒸気で活性化して製造することができ、これに限定されるものではない。
【0072】
本発明において、第3ステップは、前記球状活性炭を還元して、表面改質した球状活性炭を製造するステップであって、まず、前記球状活性炭に窒素ガス(N)を800乃至1200cc/minの速度で供給して、窒素雰囲気を造成した後、前記窒素雰囲気下、700乃至950℃で、10乃至90分間還元処理することにより、表面改質した球状活性炭を製造することができる。
【0073】
本発明において、前記第3ステップにおける還元温度は、700乃至950℃であり、還元時間は、10乃至90分であってもよく、これに限定されるものではない。
【0074】
具体的に、前記第3ステップにおける還元が700℃未満の温度で行われる場合、球状活性炭の表面で反応が進行せず、酸素の含量を調節することができず、950℃を超過する温度で還元が行われる場合は、熱効率の低下及び球状活性炭の収縮が生じるので、前記第3ステップにおける還元は、700乃至950℃の温度で進行することが好ましく、具体的には、還元温度が800乃至900℃であることがより好ましい。
【0075】
また、上記した温度範囲で、還元を10分未満で行う場合、還元が十分に行われず、90分を超過する場合は、還元時間の増加による浄水性能の向上程度が大きくなく、工程効率が低下するので、還元時間は、10分乃至90分であることが好ましい。
【0076】
本発明において、前記第3ステップにおいて表面改質した球状活性炭は、酸素を2重量%未満で含む。これは、表面改質した球状活性炭が酸素を2重量%を超過して含む場合、表面改質による浄水性能の向上効果が殆ど示さないので、2重量%未満で酸素を含むことが好ましい。
【0077】
本発明により、球状活性炭は、球形化度が80%以上であり、平均粒径が100乃至600μmであるもので製造され、表面改質して、酸素を2重量%未満で含んでもよい。
【0078】
水処理フィルタを含む水処理装置
本発明の一側面によれば、前記水処理用フィルタを含む水処理装置を提供する。
【0079】
本発明による水処理フィルタ及び水処理装置は、濾過材そのものが親水性を示すので、水の濾過に有用であり、例えば、飲料水の濾過に適用することができる。
【0080】
本発明による水処理装置の材質、構造、及び構成要素等については、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に公知されているので、以下、これについての詳細な説明を省略する。
【0081】
前記水処理装置の材質、構造、及び構成要素等について、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に公知された内容は、本発明の内容に組み込まれる。
【0082】
以下、本発明について、実施例をもってさらに詳しく説明するが、本発明が実施例により限定されるものではない。
【0083】
実施例
1.球状活性炭
(1)球状活性炭の製造
1L反応器に、フルフリルアルコール(Furfuryl alcohol;FA)100重量部に対して、ホルマリン130重量部、水100乃至300重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸2.7重量部を添加した後、75℃で1次昇温を進行した。1次昇温後、アラビアガムを投入し、95℃に2次昇温した後、自然冷却し、洗浄及び乾燥して、球状フラン樹脂を製造した。但し、前記球状フラン樹脂の製造時、撹拌速度は、100、 140、 180、 220、 240及び260rpmでそれぞれ異にした。
【0084】
前記撹拌速度を変えて製造したそれぞれの球状フラン樹脂を、電気管状炉を用いて、500℃で1時間の間炭化した後、870℃で50分間活性化して、比較製造例1乃至3、製造例1乃至3の球状活性炭で製造し、下記の表1に示した。
【0085】
【表1】
【0086】
(2)球状活性炭の球形化度、平均粒径、及び圧縮強度の測定
1)測定方法
上記で製造された球状活性炭のそれぞれに対する球形化度、平均粒径、及び圧縮強度の測定方法は、下記の通りである。
【0087】
<球形化度の測定方法>
[式1]
球形化度(%): 短軸長さ(a)/長軸長さ(b)×100(%)
【0088】
<平均粒径の測定方法>
上記で製造された球状活性炭を四分法で採取した後、粒度分布測定装置(Accusizer 780A、Particle Sizing Systems)を用いて、粒度累積線図を作成し、体積平均径(Volume Mean Diameter、VMD)に相当する粒径を平均粒径とした。
【0089】
<圧縮強度(N)の測定方法>
試料を底面に位置させた後、測定タブと垂直を維持し、圧縮強度機(Digitech社製、DTG-5)を用いて、圧縮強度を測定した。強度測定器の圧縮速度は、10mm/minの速度に調整し、サンプル当たり22回測定後、上・下限値を除いた20個の値の平均を求め、圧縮強度として記録した。
【0090】
2)測定結果
上記で製造されたそれぞれの球状活性炭に対する球形化度、平均粒径、及び圧縮強度の測定結果を、下記の表2に示した。
【0091】
【表2】
【0092】
表2から分かるように、上記した実験結果により、球状活性炭の製造時、撹拌速度を調節することにより、球状活性炭の球形化度を調節できることが確認された。
【0093】
(3)球状活性炭の粒度別の残留塩素除去性能の評価
1)評価方法
残留塩素除去性能は、製造された球状活性炭を、規格別のメッシュを用いて、100~200μm、200~300μm、300~400μm、400~500μm、500~600μm、600~710μmの範囲に分級し、粒子サイズ別に分けられた球状活性炭、及び残留塩素150ppmの溶液200mLを三角フラスコにそれぞれ投入した。その後、250rpmで振とうを行い、時間による残留塩素除去率を測定した。
【0094】
2)評価結果
上記で製造された80%以上の球形化度を有する球状活性炭の粒度による残留塩素除去性能の結果を、表3に示した。
【0095】
【表3】
【0096】
表3から分かるように、球状活性炭の平均粒径が増加するほど、残留塩素除去性能が減少することが確認された。具体的に、1時間の振とう実験後、平均粒径が100~600μmの範囲である球状活性炭は、残留塩素除去率が80%以上であったが、600~710μmの範囲である球状活性炭の場合、残留塩素除去率が71%として、最も低い残留塩素除去性能を示すことが確認された。
【0097】
【表4】
【0098】
残留塩素除去率の測定により、水処理用フィルタに用いられる球状活性炭の平均粒径は、100乃至600μmの範囲が好ましく、水処理用フィルタの差圧等を考慮する場合、球状活性炭の平均粒径は、200乃至500μmの範囲を有することがさらに好ましいことが確認された。
【0099】
2.水処理用フィルタ
水処理用フィルタとして用いられる球状活性炭の粒子形態、及び水処理用フィルタの成形有無による浄水性能を調べるために、上記で製造された球形化度を有する球状活性炭、粒状活性炭、及び粉末状活性炭でそれぞれ浄水用フィルタを製造した。
【0100】
(1)水処理用フィルタの製造
1)球形化度を有する球状活性炭を用いた水処理用フィルタの製造
前記比較製造例1乃至3、 製造例1乃至3により製造された球形化度を有し、粒度100~600μm範囲のそれぞれの球状活性炭45gを、フィルタケースに満たした後、50回以上底面を叩いた。その後、原料の高さ変化がなければ、球状活性炭45gをさらに添加し、繰り返してから、計90gの球状活性炭を満たした状態で密封して、水処理用フィルタを製造した。
【0101】
2)粒状活性炭を用いた水処理用フィルタの製造
市販される粒状活性炭(GW45/100、Kuraray社製)45gをフィルタケースに満たしてから、50回以上底面を叩いた。その後、原料の高さ変化がなければ、粒状活性炭45gをさらに添加し、繰り返してから、計90gの粒状活性炭を満たした状態で密封して、水処理用フィルタを製造した。
【0102】
3)粉末状活性炭を用いた水処理用カーボンブロックフィルタの製造
前記粒状活性炭(GW45/100、Kuraray社製)を均一に粉砕して製造した粉末状活性炭を用いて、水処理用カーボンブロックフィルタで製造した。
【0103】
具体的に、カーボンブロックの形態を形成するために、円筒形金型の内部に原料混合物の粉末状活性炭及びPEバインダ(GUR 4022-6、Celanese社製)を充填する。また、金型に通水孔を形成するための内部コアを挿入した後、上部からプレスを用いて下部に加圧することにより製造した。加圧されたプレスは、電気炉で150乃至200℃で熱処理した後、外部へ引き出し、冷風を用いて冷やして、水処理用カーボンブロックフィルタを製造した。
【0104】
(2)水処理用フィルタの物性及び性能の評価
1)評価方法
<BET比表面積の測定方法>
上記で製造された球状活性炭を、比表面積測定装備(Tristar II 3020、Micromeritics社製)で、BET法(Brunauer-Emmett-Teller)を適用してBET比表面積を測定した。
【0105】
<残留塩素除去性能の評価方法>
蒸溜水に次亜塩素酸(HClO)が2mg/Lになるように滴下した溶液を、球状活性炭が90g充填された水処理用フィルタに、1.0kgf/cmの圧力で流し、流入水及び透過水に対して、DPD比色法により塩素の濃度を分析した。透過水を50L単位で採取して分析し、このとき、塩素除去率が90%未満になるまで通水された流量を塩素除去能として示した。
【0106】
<ビデオ顕微鏡画像の分析方法>
粒状活性炭で製造された水処理用フィルタの残留塩素除去性能の評価時における排出水のビデオ顕微鏡測定画像は、産業用ビデオ顕微鏡システム(IMS-1080P、Sometech Vision)を用いて分析した。
【0107】
<走査電子顕微鏡画像の分析方法>
粉末状活性炭で製造された水処理用カーボンブロックフィルタの走査電子顕微鏡(SEM)画像は、走査電子顕微鏡(MRA3-LMH、Tescan社製)を用いて分析した。
【0108】
2)評価結果
上記したそれぞれの活性炭で製造されたフィルタに対する比表面積及び残留塩素除去性能の評価結果を、下記の表5に示した。
【0109】
<活性炭の残留塩素の吸着反応式>
Cl+HO+Carbon→2HCl+Carbon-O
HOCl+Carbon→HCl+Carbon-O
OCl+Carbon→Cl+Carbon-
【0110】
【表5】
【0111】
前記表5において、粒子状による活性炭の比表面積を調べると、球状、粒状、及び粉末状の活性炭はいずれも、似た比表面積を示すことが確認された。
【0112】
しかしながら、粒子状による活性炭の残留塩素除去性能においては、類似したBET比表面積を有する球状の活性炭であるとしても、球形化度により残留塩素除去性能が異なることが確認された。
【0113】
具体的に、球形化度が80%以上である製造例1乃至3を用いた水処理用フィルタの場合は、球形化度が80%未満である比較製造例3を用いた水処理用フィルタの場合と比べて、10%近く向上した除去性能を示し、特に、球形化度が50%未満である比較製造例1乃至2を用いた場合と比べて、50%以上向上した除去性能を示すことが確認された。
【0114】
これは、球形化度が50%未満である場合、差圧及びチャネリング現象が発生するので、球形化度による残留塩素除去性能の向上効果を示さないからであり、このような現象は、粒状活性炭を用いて製造した水処理用フィルタでも示されるので、球形化度が50%未満である活性炭で製造された水処理用フィルタ、及び粒状活性炭で製造された水処理用フィルタの除去性能は、類似している。
【0115】
また、球形化度が80%以上(製造例1乃至3)である場合は、9N/Bead以上の高圧縮強度を示し、球形化度が80%未満である場合と比べて、10%近く向上した圧縮強度を示し、特に、球形化度が50%未満である場合と比べて、約2倍以上向上した圧縮強度を示すことが確認された。
【0116】
前記粒状活性炭で製造されたカーボンフィルタの場合は、実験中、素材の摩耗により、排出水に一部の活性炭が含まれて排出され(図2参照)、このような現象は、粒状活性炭の低い強度により引き起こされたものと確認された。
【0117】
また、粉末状活性炭で製造されたカーボンブロックフィルタの場合は、フィルタが成形されることにより、差圧及びチャネリング現象を改善することができるが、カーボンブロックで成形する過程で性能が減少する。
【0118】
すなわち、このような成形により添加された接着剤(PEバインダ)が活性炭の表面に付いて気孔を塞ぎ、BET比表面積を減少させるので(図3参照)、カーボンブロックで成形する過程で、性能が減少することにより、残留塩素除去性能が低く示されることが確認された。
【0119】
上記した結果から、80%以上の高球形化度を有する活性炭は、バインダの添加及び成形工程を行わなくても、向上した浄水性能を有する水処理用フィルタで製造され得ることが分かる。
【0120】
3.表面改質した球状活性炭で製造された水処理用フィルタ
(1)表面改質した球状活性炭の製造
実施例1乃至4
窒素ガス(N)を1,000cc/minの流量に合わせてから、球状活性炭(PureSphere社製、PureCarbon、BET比表面積1,200m/g、球形化度95%)200gが充填された反応器に流した。前記反応器を常温から10℃/minの速度で昇温させ、870℃に到達した後、15分間、前記温度を維持して、還元を進行した。還元後は、試料を常温まで冷却して、表面改質した球状活性炭を製造し、前記870℃での還元時間(15、 30、 60、 及び90分)により、製造された表面改質した球状活性炭を実施例1乃至4とした。
【0121】
比較例1
球状活性炭(PureSphere社製、PureCarbon、BET比表面積1,200m/g、球形化度95%)を還元処理を行わなかった、未改質状態で用いた。
【0122】
比較例2
ガス1,000ccに対して、酸素(O)の濃度を5重量%に合わせた後(残りは、N)、1000cc/minの流量速度で、球状活性炭(PureSphere社製、PureCarbon、BET比表面積1,200m/g、球形化度95%)200gが充填された反応器に、前記ガスを流した。前記反応器を常温から10℃/minの速度で470℃まで昇温させた。前記470℃に到達した後は、前記温度を維持して、1時間の間酸化を進行した後、試料を常温まで冷却して、表面改質した球状活性炭を製造した。
【0123】
(2)表面改質した球状活性炭カーボンフィルタの元素分析及び浄水性能の評価
1)評価方法
下記の表6において、実施例1乃至4、 比較例1及び比較例2に対する元素分析は、FlashSmart(Thermo Fisher Scientific製)を用いて行い、浄水性能実験は、前記水処理用フィルタの製作方法により、実施例1乃至4、 比較例1及び比較例2を水処理用フィルタでそれぞれ製作した後、前記残留塩素除去性能の評価方法により行った。
【0124】
2)評価結果
実施例1乃至4、比較例1及び比較例2による水処理用フィルタの元素分析及び浄水性能実験の結果を、表6に示した。
【0125】
【表6】
【0126】
前記表6を参照すると、還元処理を90分間行って、Oの含量が0.21重量%と最も低い実施例4の場合は、残留塩素除去性能が向上することが分かり、酸素の含量が2重量%を超過すると、残留塩素除去性能が大幅に減少し、球状活性炭の充填量を増やすか、BET比表面積を向上させなければならないので、使用するのに非効率的であることが確認された。
【0127】
球状活性炭に対する還元処理で酸素元素の含量を制御する場合、浄水性能が向上した水処理用フィルタを製作することができることが分かる。
【0128】
以上、本発明の特定の部分について詳しく記述したが、関連した技術分野における通常の知識を有する者にとって、このような具体的な技術は、単に好適な実現例であるだけで、これにより、本発明の範囲が制限されるものでないことは明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求の範囲とその等価物により定められなければならない。
図1
図2
図3
図4