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特許7357982流体制御器用筐体およびそれを備えた流体制御器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】流体制御器用筐体およびそれを備えた流体制御器
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/12 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
F16K27/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022559022
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2021038441
(87)【国際公開番号】W WO2022091841
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-10-14
(31)【優先権主張番号】P 2020183374
(32)【優先日】2020-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100137648
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢一
(72)【発明者】
【氏名】日高 敦志
(72)【発明者】
【氏名】中谷 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】森崎 和之
(72)【発明者】
【氏名】廣田 智一
(72)【発明者】
【氏名】西野 功二
(72)【発明者】
【氏名】池田 信一
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-176975(JP,U)
【文献】国際公開第2011/067877(WO,A1)
【文献】特開2018-147863(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0267466(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00-27/12
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項8】
流路が形成された本体と、
前記本体上に搭載された流体制御用の機器と、
前記本体に固定され前記機器を覆う、請求項1~請求項7の何れかに記載の流体制御器用筐体と、
を備える流体制御器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御器用筐体およびそれを備えた流体制御器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流路が内部に形成された直方体の本体と、本体に取り付けられて流路内の圧力や温度等を検出するセンサと、本体上に取り付けられて、センサの検出値に応じて流路を開閉する制御弁と、を備える流体制御器が広く知られている(特許文献1~4等)。制御弁としては、積層型圧電素子を内蔵するピエゾアクチュエータの伸縮を利用してダイヤフラム弁体を開閉制御する圧電駆動弁が知られている。本体上の制御弁等を覆うようにして、本体上に筐体が取り付けられる。
【0003】
図9は、従来の流体制御器の一例を示す断面図(特許文献3の図1)である。図9に示された流体制御器100は、流路102が形成された本体101と、流路102に介在されたダイヤフラム弁体103と、ダイヤフラム弁体103を開閉操作するピエゾアクチュエータ104と、ダイヤフラム弁体103の下流側の流路102に介在された絞り機構105と、ダイヤフラム弁体103と絞り機構105と間の流路102内の圧力を検出する圧力センサ106と、を備えている。本体101に筐体107が取り付けられている。
【0004】
オリフィス等の絞り機構105を通過するガスの流量Qは、絞り機構105の上流側の絶対圧力(P1)が絞り機構105の下流側の圧力(P2)の2倍以上の圧力条件下では、絞り機構105を通過するガスの流速が音速となる。つまり流量Qは絞り機構105のオリフィス部の速度が音速で不変であるため、上流側の絶対圧力(P1)にのみ比例する。この原理を臨界膨張条件といい、この種の流体制御器100は、この原理を利用することにより高精度に流量を制御する。図9に示す流体制御器は、絞り機構105の上流側にのみ圧力センサ106が設けられている例が示されているが、図10に示す例のように、絞り機構105の下流側にも圧力センサ108を追加して下流側の流体の圧力(P2)も検出され得る。なお、図10に於いて、図9と同様の構成要素に同符号を付している。
【0005】
ピエゾアクチュエータを備える圧電駆動弁は、メンテナンス時等において、必要に応じて、積層型圧電素子によるダイヤフラム弁体の作動ストロークが調整される。作動ストロークの調整は、積層型圧電素子104aが収容されているケース104bの上部に螺着された調整用袋ナット104cの締め込み量を調整することによってなされる。斯かる調整に関して、参照により組み込まれる特開2003-120832号公報,特開2008-249002号公報に詳細に記載されている。
【0006】
また、この種の流体制御器においては、流体制御器を通過する流体が高温流体である場合、制御する流体を所定温度に保持するために、図11に示すように、筐体107が固定されている流体制御器の本体をジャケットヒータ等の保温材109によって覆うことが、参照により組み込まれる国際公開WO2011/067877号に詳細に記載されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平11-353030号公報
【文献】特開2003-120832号公報、段落0028、図1
【文献】特開2008-249002号公報、段落0029、段落0048、図1図3図9図10
【文献】国際公開WO2011/067877号パンフレット、図11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、圧電駆動弁のストローク調整等のメンテナンスを行うには、流体制御器の本体から筐体を取り外す必要がある。筐体は、一般に、筐体の下部が本体の側面にねじ止めされている。流体制御器の本体がジャケットヒータ等の保温材で覆われていると、筐体を取り外す前にジャケットヒータを取り外さなければならず、作業効率が悪かった。また、ジャケットヒータ等の保温材により筐体内の温度を所定温度に保持した状態で圧電駆動弁のストローク調整等のメンテナンスを行いたい場合であっても、筐体の下部の固定を流体制御器の本体から外すことにより筐体内の温度が急激に下がり、温度特性を考慮した調整等を行うことが困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、筐体の下部を流体制御器の本体に固定した状態であっても筐体内のメンテナンスを可能とし、メンテナンス性を向上させることができる流体制御器用筐体及び当該流体制御器用筐体を備えた流体制御器を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の問題を解決するため、本発明に係る流体制御器用筐体は、一態様において、流体制御器の本体上の機器をカバーするための流体制御器用筐体であって、前記本体に固定するための固定部を備える第1部分と、前記第1部分に取り付けられる第2部分と、前記筐体の所定高さ位置より上部において着脱可能に配設される第3部分と、に分割可能に構成されている。
【0011】
一態様において、前記第1部分は、前記流体制御器用筐体を縦割状に分割した一方の部分であり、前記第2部分及び第3部分は、前記第1部分によって縦割状に分割された前記流体制御器用筐体の他方の部分を上下に分割可能とし、前記第3部分が前記第2部分の上部に配置される。
【0012】
一態様において、前記第1部分は、前記固定部を備える第4部分と、前記第4部分の上部において着脱可能に配設される第5部分とに分割可能に構成される。
【0013】
一態様において、前記第3部分と前記第5部分との高さ寸法が異なる。
【0014】
一態様において、前記第1部分が被係止部を備え、前記第2部分は、前記被係止部に係止することにより前記第2部分を前記第1部分に着脱可能に取り付ける係止部を備え、前記係止部は、前記第2部分を前記第1部分に沿わせて下方にスライドさせることにより係止し、前記第2部分を前記第1部分に沿わせて上方にスライドさせることにより係止を離脱するように構成されている。
【0015】
一態様において、前記第1部分は、前記流体制御器用筐体を上下に分割可能とする下方部分であり、前記第2部分及び第3部分は、前記第1部分によって分割された前記流体制御器用筐体の上方部分を縦割状に分割する部分である。
【0016】
一態様において、前記第1部分と前記第2部分とが係合により着脱自在に取り付けられ、前記第3部分が前記第1部分及び前記第2部分の何れか一方に固定されることによって前記係合が外れないように構成されている。
【0017】
また、上記従来の問題を解決するため、本発明に係る流体制御器は、流路が形成された本体と、前記本体上に搭載された流体制御用の機器と、前記本体に固定され前記機器を覆う本発明に係る上記態様の何れかに記載の流体制御器用筐体と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、流体制御器用筐体を、流体制御器の本体に固定する第1部分とその他の部分とに分割し、更に前記その他の部分を第2部分と筐体の上部に位置する第3部分とに分割し、前記筐体の上部にある第3部分を着脱自在とすることにより、前記第3部分のみを取り外して筐体内をメンテナンスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る流体制御器用筐体の第1実施形態を流体制御器とともに示す分解斜視図である。
図2図1の流体制御器用筐体の他の分解状態を示す分解斜視図である。
図3図1の流体制御器用筐体の他の分解状態を示す分解斜視図である。
図4図1の流体制御器用筐体の組み立て後の状態を示す斜視図である。
図5】本発明に係る流体制御器用筐体の第2実施形態を示す分解斜視図である。
図6】本発明に係る流体制御器用筐体の第3実施形態を示す分解斜視図である。
図7】本発明に係る流体制御器用筐体の第4実施形態を示す分解斜視図である。
図8】本発明に係る流体制御器用筐体の第5実施形態を示す分解斜視図である。
図9】従来の筐体が取り付けられた流体制御器の断面図である。
図10】従来の筐体が取り付けられた流体制御器の断面図である。
図11】従来の筐体が取り付けられた流体制御器であって、流体量制御器本体が保温材で覆われた例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る流体制御器用筐体の実施形態について、以下に図1図8を参照して説明する。従来技術を含め、全図及び全実施形態を通して同一又は類似の構成要素には同符号を付している。
【0021】
本発明に係る流体制御器用筐体の第1実施形態について、図1図4を参照して説明する。流体制御器用筐体1は、流体制御器100の本体101に固定される第1部分2と、第1部分2に取り付けられる第2部分4と、第2部分4の上部において着脱可能に配設される第3部分5と、に分割可能に構成されている。
【0022】
第1部分2は、流体制御器用筐体1を縦割状に分割した一方の部分である。第2部分4及び第3部分5は、第1部分2によって縦割状に分割された流体制御器用筐体1の他方の部分3を上下に分割した部分である。第3部分5が第2部分4の上部に配置されている。
【0023】
流体制御器100は、流路102(図9参照)が形成された本体101の上に、ピエゾアクチュエータ104や圧力センサ106、108等の流体制御用の機器が固定され、これらの機器を流体制御器用筐体1がカバーする。ピエゾアクチュエータ104の上部には、調整用袋ナット104cが螺着されている。この種の流体制御器100は、上述したように従来公知であるので、内部構造等の詳細な説明は省略する。第1部分2には、ピエゾアクチュエータ104、及び圧力センサ106、108の電気配線を接続するためのコネクタ6が取り付けられている。電気配線は、一部のみが図示され、残りの部分は図示省略されている。
【0024】
第1部分2は、後板2aと、左右の側板2b、2cと、上部のステー2dと、鈎状の被係止部2e、2f、2g、2hと、本体101に固定するための固定部2iを構成する座板とを備えている。第1部分2は、アルミ等の一枚の金属板を切削加工及び折り曲げ加工することにより、形成されている。固定部2iは、左右の側板2b、2cの其々の下端から内側に直角に突出して形成されている。固定部2iは、螺子7(図2)を通す通孔2jが形成されている。固定部2iを構成する座板は、本体101の上面に載置される。なお、本明細書において「前」、「後」、「左」、「右」を便宜上使用しており、前後、左右はどちらでもよい。
【0025】
本体101の上面には、通孔2jと合致する位置に螺子孔101aが形成されている。図2に示すように螺子7によって、第1部分2が本体101上に載置されて固定され得る。
【0026】
第2部分4は、下部前板4aと、左右の下部側板4b、4cと、左右の下部側板4b、4cの其々に設けられた係止部4e、4f、4g、4hとを備えている。第2部分4は、アルミ等の一枚の金属板を切削加工及び折り曲げ加工することにより、形成されている。
【0027】
第3部分5は、天板5aと、上部前板5bと、左右の上部側板5c、5dと、下部突片5eと、側部突片5f、5gとを備えている。第3部分5は、アルミ等の一枚の金属板を切削加工及び折り曲げ加工することにより、形成されている。
【0028】
係止部4e,4f,4g,4hが被係止部2e,2f,2g,2hに其々係止することにより、第2部分4が第1部分2に着脱可能に取り付けられる。
【0029】
第1部分2の被係止部2e,2f,2g,2hは、上下に離間して複数段(図示例では2段)設けられている。係止部4e,4f,4g,4hは、被係止部2e,2f,2g,2hに対応して、上下に離間して複数段(図示例では2段)設けられている。
【0030】
被係止部2e,2f,2g,2hは、左右の側板2b、2cの其々の内側から突出し、L字状に形成されている。係止部4e,4f,4g,4hは、逆L字状に形成され、左右の下部側4b、4cの其々の側端縁から内側に直角に延びている。
【0031】
被係止部2e,2f,2g,2hの外側面が側板2b、2cの内側面と同じ平面上に位置するように、被係止部2e,2f,2g,2hが曲げ形成されている。係止部4e,4f,4g,4hの外側面は、下部側板4b、4cの側縁4b1,4c1と面一になるように曲げ形成されている。
【0032】
係止部4e,4f,4g,4hは、第2部分4を第1部分2に沿わせて下方にスライドさせることにより係止し、第2部分4を第1部分2に沿わせて上方にスライドさせることにより離脱する。L字状をした被係止部2e,2f,2g,2hと逆L字状をした係止部4e,4f,4g,4hは、同じ板厚であり、互いに嵌合し合う凹部の溝幅が板厚と略同一の幅とされており、図3に示す係止時にガタツキが生じにくくなっている。
【0033】
図2を参照して、第2部分4の横幅W1と第1部分2の横幅W2とは、同寸法とされている。係止部4e,4f,4g,4hを被係止部2e,2f,2g,2hに係止させて第2部分4を第1部分2に取り付けると、下部側板4b、4cと第1部分2の側板2b、2cとは、互いに対向する側縁4b1、4c1と側縁2b1、2c1とが合致し、図3及び図4に示されているように側板2b、2cと下部側板4b、4cの其々の側面が面一になる。
【0034】
第3部分5の天板5aは、筐体1の天板を構成する。天板5aは、第1部分2の上部に設けられたステー2dに載置され、図4に示すように螺子10により螺子留めされる。天板5aは、ステー2dに載置されると同時に、側板2b、2cにも載置され得る。第3部分5は、螺子10の付け外しにより、着脱可能となっている。
【0035】
図3を参照して、天板5aには、螺子10を通すためのテーパー状の孔5a1、5a2が形成されており、ステー2dには螺子10を螺入する螺子孔2d1、2d2が形成されている。ステー2dは、天板5aに比べて小さい面積に形成されることにより、第3部分5を第1部分2から取り外した際に筐体内部にアクセスし易くなる。例えば、ステー2dの奥行寸法W3(図3)は、天板5aの奥行寸法W4の半分以下とし得る。
【0036】
上部前板5bの横幅W5は、第1部分2の横幅W2と同じ寸法である。上部側板5c、5dの各々の側縁5c1、5d1は、第1部分2の左右の側板2b、2cの側縁2b1、2c1と合致するように形成されている。また、第3部分5の下端縁5b1は、第2部分4の上端縁4a1に合致する形状となっている。
【0037】
側部突片5f、5gが、第3部分5の側部から突出している。側部突片5f、5gは、上部側板5c、5dの内面から上部側板5c、5dと平行に突出するように形成されている。側部突片5f、5gは、第1部分2の側板2b、2cの其々の内側面に当接し、案内され得る。第3部分5を第1部分2に取り付ける際、側部突片5f、5gは、第1部分2の左右の側板2b、2cの各々の内側面に当接することにより、第3部分5の左右方向の位置決めが容易になる。側部突片5f、5gは、一方のみ設けることもできる。
【0038】
下部突片5eは、上部前板5bの下部内面から下方に突出するようにして形成されている。下部突片5eは、第1部分2に取り付けられている第2部分4の下部前板4aの内側面に当接し、案内され得る。第3部分5を第1部分2に取り付ける際、下部突片5eが第2部分4の下部前板4aの内側面に案内されることにより、前後方向の位置決めが容易になり、第3部分5の下端縁5b1と第2部分4の上端縁4a1との前後方向の位置合わせが容易になる。係止部4e,4f,4g,4hを被係止部2e,2f,2g,2hに係止させて第2部分4を第1部分2に取り付けた後、第3部分5を第1部分2に螺子10により螺子留めすれば、第2部分4は上方へのスライドが第3部分5により阻止され、第2部分4の係止部4e,4f,4g,4hは第1部分2の被係止部2e,2f,2g,2hから抜脱できなくなる。そのため、第2部分4の螺子止め作業は不要であり、組立工数が削減され得る。
【0039】
上記構成を有する流体制御器用筐体によれば、第3部分5を第1部分2から取り外せば、ピエゾアクチュエータ104の上端部に螺着された調整用袋ナット104cにアクセスして、その締め込み量(螺入量)を調節することができる。第3部分5及び第2部分4の高さ寸法は、本体101に搭載されるピエゾアクチュエータ104等の機器の寸法に応じて適宜設計することができる。
【0040】
例えば、ピエゾアクチュエータ104の非円形断面を有する本体外周部104d(図3)に一方のスパナ等の工具を掛け、調整用袋ナット104cに他のスパナ等の工具を掛けて、調整用袋ナット104cの締め込み量を調整することができる程度に、第3部分5及び第2部分4の高さ寸法を設定することがより好ましい。第2部分4の高さ寸法H1を、例えば、第1部分2の高さ寸法H2の1/2~1/4とすることにより、より容易にメンテナンス作業が可能となる。
【0041】
また、流体制御器100の本体101が保温材109(図4に破線で示す。)によって覆われている場合であっても、保温材109を取り外すことなく、第3部分5のみを第1部分2から取り外して、調整用袋ナット104cの締め込み量の調整(ストローク調整)等の機器メンテナンスを行うことができる。なお、流体制御器100の本体101は、その周囲にアルミニウム製パネルヒータ(図示せず。)が取り付けられ、そのアルミニウム製パネルヒータを保温材109で覆う場合もある。
【0042】
第3部分5のみを第1部分2から取り外すだけで、流体制御器用筐体1の全体を本体101から取り外す必要がないため、保温材109等による保温状態をある程度維持しつつ、調整用袋ナット104cの締め込み量の調整その他の筐体内部のメンテナンスを行うことができ、温度特性を考慮した調整その他のメンテンナンスが可能となる。
【0043】
図5は、本発明に係る流体制御器用筐体の第2実施形態を示している。図5に示すように、第2実施形態の流体制御器用筐体は、係止部4e’,4f’,4g’,4h’を下部側板4b、4cから下部側板4b、4cに平行に突出した逆L字状とし、被係止部2e’,2f’,2g’,2h’を側板2b、2cの内側面に突設したピンの形態としている点が上記第1実施形態と相違し、その他の構成は上記第1実施形態と同様である。
【0044】
次に、本発明に係る流体制御器用筐体の第3実施形態について図6を参照して説明する。第3実施形態では、上記第1実施例の第1部分2に相当する部分が、固定部2iを備える第4部分2Dと、第4部分2Dの上部において着脱可能に配設される第5部分2Uとに上下に分割可能に構成されている。
【0045】
この場合、第4部分2Dに設けられた係止部2D1、2D2と、第5部分2Uに設けられた被係止部2U1、2U2とが、其々係合する。係止部2D1、2D2は、左右の下部側板2cD,2bDの内側面上端から上方に突設されている。被係止部2U1、2U2は、左右の上部側板2c,2bUの内側面下端から内側へ直角状に突設されている。第4部分2D上に第5部分2Uを載置してスライドさせることにより、係止部2D1、2D2と被係止部2U1、2U2とを係合させることができる。係止部2D1、2D2と被係止部2U1、2U2とを係合させることにより、上部後板2a1と下部後板2a2が面一となり、下部側板2cD,2bDと上部側板2c,2bUも面一となる。
【0046】
また、下部前板4の下部側板4b、4cに設けられた係止部4i、4jと、上部前板5の上部側板5c、5dに設けられた被係止部5p、5qとが、其々係合する。係止部4i、4jは、左右の下部側板4b,4cの内側面上端から上方に突設されている。被係止部5p、5qは、左右の上部側板5c,5dの内側面下端から内側へ直角状に突設されている。第2部分4上に第3部分5を載置してスライドさせることにより、係止部4i、4jと被係止部5p、5qとを係合させることができる。係止部4i、4jと被係止部5p、5qとを係合させることにより、下部前板4aと上部前板5bとが面一となり、下部側板4b,4cと上部側板5c,5dも面一となる。
【0047】
第3部分5の高さ寸法H3と第5部分2Uの高さ寸法H4を異なる寸法に設定することにより、メンテナンスが必要な機器に応じて、第3部分5を取り外すか第5部分2Uを取り外すかを選択することができる。第2部分4及び第部分2Dの高さ寸法は、流体制御器に搭載される機器に応じて、適宜設定することができる。高さ寸法H3は、高さ寸法H4より短く設定されている。
【0048】
第3実施形態では、第4部分2Dの固定部2iを流体制御器の本体101に螺子留めする。そして、第5部分2Uを第4部分2Dの上に載せてスライドさせて係止部2D1、2D2と被係止部2U1、2U2とを係合させ、第5部分2Uを第4部分2D上に着脱可能に接合する。次に、第2部分4の係止部4g、4hを、第4部分2Dの被係止部2g、2hに係止させて、第2部分4を第4部分2Dに接合させて着脱可能に取り付ける。次いで、第3部分5を第2部分4の上に載せてスライドさせることにより、係止部4i、4jと被係止部5p、5qとを係合させ、第2部分4上に第3部分5を接合するとともに第3部分5を第5部分2Uに当接させる。更に、孔5a1、5a2と螺子孔2d1、2d2を重合させて図示しない螺子により螺子留めする。この螺子留めにより、係止部2D1,2D2,4g、4h、4i、4jと被係止部2U1、2U2、2g、2h、5p、5qとの係合が外れないように構成されている。また、前記螺子留めされた螺子を外せば、第5部分2U又は第3部分5を取り外すことができる。
【0049】
次に、本発明に係る流体制御器用筐体の第4実施形態について図7を参照して説明する。第4実施形態の流体制御器用筐体1では、第1部分2は、筐体1を上下に分割可能とする下方部分であり、第2部分4及び第3部分5は、第1部分2によって分割された筐体1の上方部分3を縦割状に分割する部分である。
【0050】
第2部分4に係止部4m、4nが形成されている。これらの係止部4m、4nが係止する被係止部2m、2nが、第1部分2に設けられている。第1部分2の上端縁2pの上に第2部分4の下端縁4pを載せて、第2部分4をスライドさせることにより、係止部4m、4nが被係止部2m、2nに係止する。
【0051】
第3部分5には、対向する側5h,5iと、側5h,5iと直交する側5kの各々から、下方に突出する下部突片5l、5m、5nが形成されている。下部突片5l、5m、5nは、第1部分2の内壁面に案内されて当接する。下部突片5l、5m、5nは、第1部分2に対する第3部分5の位置決めにもなる。下部突片5lが第1部分2の内壁面に当接した状態で第3部分5が第2部分4に接合することで、第2部分4のスライドが制限され、第2部分4の係止部4m、4nが第1部分2の被係止部2m、2nから外れないようになる。図示しないが、第1実施形態の側部突片5g、5のように、側板5h,5iから側方へ突出する側部突片を設けることもできる。
【0052】
こうして第3部分5が第1部分2及び第部分4に接合すると、天板5aに設けた孔5a1,5a2とステー2dに設けた螺子孔2d1,2d2が重合し、図示しない螺子を用いて、第3部分5を第2部分4に螺子留めすることができる。この螺子止めにより、第2部分4は第1部分2から外すことができなくなる。
【0053】
第1部分2の高さ寸法、第2部分の縦横寸法等の寸法は、流体制御器に搭載される機器の種類や寸法に応じて適宜設定することができる。
【0054】
次に本発明に係る流体制御器用筐体の第5実施形態について図8を参照して説明する。第5実施形態の流体制御器用筐体1は、上記第4実施形態の変形例であり、第3部分5が第1部分2に螺子止めにより固定される構成である。
【0055】
図8を参照して、第1部分2の側面に螺子(図示せず。)を通す孔2qが形成されており、第3部分5の下部突片5nに螺子孔5qが形成されている。第2部分4を第1部分2に載せてスライドさせ、第2部分4の係止部4m、4nを第1部分2の被係止部2m、2nに係止させておいて、第3部分5を第2部分4に接合しながら第1部分2に載せ、図示しない螺子を孔2qに通して螺子孔5qに螺入する。こうして第3部分5が第1部分2に螺子留めにより固定されると、第2部分4はスライド移動が制限され、係止部4m、4nを被係止部2m、2nから外せなくなる。第3部分5を第1部分2に固定している螺子を外せば、第3部分5のみ第1部分2から外れ、筐体内のメンテナンスが可能となる。第2部分4の天板4rと第3部分5の天板5aは、組立時に同じ高さとなるように設定され得る。
【0056】
本発明に係る流体制御器用筐体は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、前記第3部分の螺子留めによって前記係止部と前記被係止部との係止が外れないように構成するために、係止部及び被係止部を設ける位置、及び突片を設ける位置、分割可能な部分の態様は、適宜変更することができる。また、上記実施形態では、係止部により係止する構造を例示したが、ボルト等の締結部材により固定する構造とすることもできる。
【符号の説明】
【0057】
1 流体制御器用筐体
2 第1部分
2a 後板
2b、2c 側板
2d ステー
2e,2f、2g、2h 被係止部
2e’,2f’,2g’,2h’ 被係止部
2i 固定部
2D 第4部分
2U 第5部分
4 第2部分
4a 下部前板
4b、4c 下部側板
4e、4f、4g、4h 係止部
4e’,4f’,4g’,4h’ 係止部
5 第3部分
5a 天板
5b 上部前板
5c、5d 上部側板
5f、5g 側部突片
5e 下部突片
100 流体制御器
101 本体
104 ピエゾアクチュエータ
104c 調整用袋ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11