(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20231002BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231002BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20231002BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20231002BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20231002BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231002BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/09 F
G08G1/0969
G09B29/00 A
G09B29/10 A
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019208367
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】川口 玲央奈
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-173154(JP,A)
【文献】特開2017-049218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/09
G08G 1/0969
G09B 29/00
G09B 29/10
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション機能を備えた電子装置であって、
外部とデータ通信を可能にする通信手段と、
目的地までのルートが探索されているときのルート周辺検索によりPOIを検索する検索手段と、
前記検索手段により検索されたPOIの密度が高い領域を識別する識別手段と、
前記識別手段によって識別されたPOIの密度が高い領域の
少なくとも代表座標を検索リクエスト情報として前記通信手段を介して外部サーバーへ送信する送信手段と、
外部サーバーから前記検索リクエスト情報に対応する外部POI情報を前記通信手段を介して受信する受信手段と、
前記受信手段を介して受信した外部POI情報を出力する出力手段と
を有し、
前記識別手段は、道路から近い距離に相対的に小さい領域を設定し、道路から遠い距離に相対的に大きい領域を設定し、当該設定した領域についてPOIの密度が高い領域を識別する、電子装置。
【請求項2】
前記識別手段は、一定の領域内に閾値以上のPOIが存在する領域を施設の密度が高い領域と判定する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記送信手段は、ルート周辺探索において指定されたジャンルまたはカテゴリーに対応する外部サーバーに検索リクエスト情報を送信する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記検索手段は、ジャンルまたはカテゴリーでPOIが検索されているときのエリアの絞り込み検索であり、前記識別手段は、絞り込まれた領域の中からPOIの密度が高い領域を識別する、請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項5】
前記通信手段は、電子装置に外部接続された携帯端末の通信機能を利用して外部サーバーと通信する、請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか1つの電子装置と、当該電子装置とデータ通信が可能な外部サーバーとを含むシステムであって、
外部サーバーは、前記検索リクエスト情報に基づきPOIを検索し、検索した外部POI情報を電子装置に送信する、システム。
【請求項7】
前記外部POI情報は、電子装置で得られるPOIの情報よりもリッチな情報を含む、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション機能を備えた電子装置に関し、特に、電子装置において施設、観光名所、景勝地、旧跡等の特定地点(以下、このような特定地点をPOI(Point of Interest)と称する)の検索に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載用ナビゲーション装置は、それ自身の通信機能または外部接続されたスマートフォンの通信機能を利用してインターネット上のサーバーから所望の施設に関する情報を簡単に入手することができる。例えば、特許文献1のナビゲーション装置は、検索した施設の施設索引データに記憶されたホームページにアクセスし、その施設に関する情報を取得して画面に表示する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部のPOIサービス、例えば、飲食店の情報を提供するぐるなびや食べログなどは、ウェブアプリを介して検索のサービスを公開している。これらのサービスを利用することで、飲食店の写真、メニュー、口コミ等の情報を得ることができる。一方、ナビゲーション装置においても、施設データベース等を利用して自車位置周辺のPOIや目的地までのルート周辺のPOIを検索することができるが、この検索で得られる情報は、外部POSサービスが提供する情報に比べると限定的である。言い換えれば、外部POIサービスは、既存のナビゲーション装置が持っていないリッチな情報を提供することができる。このため、ナビゲーション装置においてPOIを検索するときに、外部POIサービスも利用したいという需要がある。
【0005】
外部POIサービスの検索機能として、ジャンル、キーワード、地域、座標を用いるものが一般的であり、ナビゲーション装置において一般的なルート周辺検索はサポートされていない。それ故、もし、ナビゲーション装置のルート周辺検索において外部POIサービスの利用を実現しようとした場合、ナビゲーション装置は、ルート上の1つ1つの座標を外部POIサービスに通知し、その座標でのPOI検索をリクエストしなければならない。
【0006】
図1は、ナビゲーション装置において外部POIサービスを利用するときのシステム構成の一例を示している。スマートフォン10が車両に持ち込まれたとき、スマートフォン10は、無線通信機能を介して道路地図サーバー20に接続し、道路地図サーバー20と連携することで、車載用ナビゲーション装置として機能する。道路地図サーバー20は、道路地図データベースやPOIデータベース等を格納し、スマートフォン10からのリクエストに応答して必要な情報をスマートフォン10に送信する。例えば、道路地図サーバー20は、スマートフォン10から現在位置情報を受け取り、この現在位置周辺の道路地図データをスマートフォン10に提供する。また、道路地図サーバー20は、スマートフォン10から目的地までのルート検索のリクエストを受け取ると、目的地までのルートを検索し、その検索ルートをスマートフォン10に提供する。さらに、スマートフォン10においてユーザーがルート周辺検索を入力すると、道路地図サーバー20は、そのリクエストに応答してルート沿いの施設を検索し、その検索結果をスマートフォン10に提供する。
【0007】
ここで、スマートフォン10のルート周辺検索時に外部POIサービスを利用しようとすると、次のような課題が生じる。道路地図サーバー20は、スマートフォン10からルート周辺検索のリクエストを受け取ると、ルート上の1つ1つの座標(例えば、一定の距離間隔)を検索リクエストとして外部POIサーバー30に対して送信する。このため、道路地図サーバー20から外部POI30に対して大量のリクエストが必要になる。外部POIサービスの利用が有料である場合には、リクエスト回数に応じた課金が発生することになる。また、一定期間当たりのリクエスト回数に上限が設定されている場合には、外部POIサービスの利用が制限されてしまうおそれがある。さらに、大量のリクエスト結果をスマートフォン10に返信する必要があるため、スマートフォン10においてルート周辺検索の結果を表示させるまでのレスポンスが遅くなってしまうという課題もある。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決し、外部サーバーを利用したときのPOI検索を効率良く行うことができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子装置は、ナビゲーション機能を備えたものであって、外部とデータ通信を可能にする通信手段と、POIを検索する検索手段と、前記検索手段により検索されたPOIの密度が高い領域を識別する識別手段と、前記密度が高い領域のPOIの座標情報を検索リクエスト情報として前記通信手段を介して外部サーバーへ送信する送信手段と、外部サーバーから前記検索リクエスト情報に対応する外部POI情報を前記通信手段を介して受信する受信手段と、前記受信手段を介して受信した外部POI情報を出力する出力手段とを有する。
【0010】
ある実施態様では、前記識別手段は、一定の領域内に閾値以上のPOIが存在する領域を施設の密度が高い領域と判定する。ある実施態様では、前記検索手段は、目的地までのルートが探索されているときのルート周辺検索であり、前記識別手段は、ルート上のPOIの密度が高い領域を識別する。ある実施態様では、前記検索手段は、ジャンルまたはカテゴリーでPOIが検索されているときのエリアの絞り込み検索であり、前記識別手段は、絞り込まれた領域の中からPOIの密度が高い領域を識別する。ある実施態様では、前記通信手段は、電子装置に外部接続された携帯端末の通信機能を利用して外部サーバーと通信する。
【0011】
本発明に係るシステムは、上記記載の電子装置と、当該電子装置とデータ通信が可能な外部サーバーとを含むものであって、外部サーバーは、前記検索リクエスト情報に基づきPOIを検索し、検索した外部POI情報を電子装置に送信する。ある実施態様では、前記外部POI情報は、電子装置で得られるPOIの情報よりもリッチな情報を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、POIの密度が高い領域の座標情報を検索リクエストとして外部サーバーに送信するようにしたので、検索リクエストの回数を減らし、かつ外部POI情報を出力するまでのレスポンス時間を短縮させることができ、外部サーバーを利用したPOI検索の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来のルート周辺検索を行うときの一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施例に係るPOI検索システムの構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施例に係る電子装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施例に係る外部POI検索プログラムの機能的な構成を示す図である。
【
図5】本実施例のPOI高密度領域識別部の識別例を示す図である。
【
図6】本発明の実施例に係る電子装置のPOI検索の動作を説明するフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例に係るルート周辺検索の例を模式的に示す図である。
【
図8】本発明の実施例に係るPOI検索システムの変形例を示す図である。
【
図9】本発明の実施例に係るPOI検索システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本発明に係る電子装置は、コンピュータ装置、スマートフォンに代表される高機能型携帯電話端末、ポータブル端末、またはナビゲーション・オーディオ・ビジュアル機能を備えた車載装置であることができる。また、本発明に係る電子装置は、ネットワークを介してサーバーに接続されるクライアントであり、サーバーから提供される情報を利用することができる。
【実施例】
【0015】
図2は、本発明の実施例に係るPOI検索システムの構成例を示す図である。同図に示すように、本実施例のPOI検索システム100は、車両Mに搭載された電子装置200と、インターネット等のネットワークNWを介して電子装置200に接続された道路地図サーバー20や外部POIサーバー30を含む。同図には、道路地図サーバー20および外部POIサーバー30をそれぞれ1つずつ例示しているが、これらのサーバーは1つに限らず複数であってもよい。例えば、外部POIサーバー30は、飲食店(レストラン)等の施設に関する情報を提供するサーバー、観光名所に関する情報を提供するサーバー、宿泊施設に関する情報を提供するサーバーなどを含むことができる。また、電子装置200が道路地図データベースを備えている場合には、必ずしも道路地図サーバー20を必要ではない。ここで、便宜上、電子装置200によって提供されるPOI情報と区別するため、外部POIサーバー30によって提供されるPOI情報を外部POI情報と称する。
【0016】
電子装置200は、予め車両Mに搭載された車載装置であってもよいし、ユーザーが車内に持ち込んだスマートフォンやタブレット型PCのような携帯型端末であってもよい。電子装置200は、POI検索を行うときまたはPOI検索と連携して、外部POIサーバー30にアクセスし、そこから電子装置200が持たないようなリッチな外部POI情報を取得する機能を備えている。電子装置200から外部POIサーバー30へのアクセス方法は直接または間接を問わず任意であり、電子装置200が外部POIサーバー30に直接アクセスし、外部POIサーバー30から外部POI情報を取得するようにしてもよいし、道路地図サーバー20が電子装置200からのリクエストに応答して外部POIサーバー30にアクセスし、外部POIサーバー30から取得した外部POI情報を電子装置200に提供するようにしてもよい。
【0017】
図3は、本実施例の電子装置200の内部構成を示すブロック図である。電子装置200は、入力部210、位置検出部220、ナビゲーション部230、通信部240、表示部250、音声出力部260、記憶部270、および制御部280を含んで構成される。但し、ここに示す構成は一例であり、電子装置200は、他の機能、例えば、オーディオ・ビジュアル機能、テレビ・ラジオ放送の受信機能、車載カメラの映像を表示する機能等を包含するものであってもよい。
【0018】
入力部210は、入力キーデバイス、音声入力認識装置、タッチパネルなどを含み、これらのデバイスを介してユーザーからの指示を受け取り、これを制御部280へ提供する。位置検出部220は、GPS信号を利用した現在位置の検出および/またはジャイロセンサ等の方位センサ等を利用した現在位置の検出を行う。
【0019】
ナビゲーション部230は、例えば、位置検出部220によって検出された自車の現在地周辺の道路地図を表示部250に表示したり、現在地から目的地までのルートを検索し、検索したルートを道路地図上に表示して目的地までの案内を行う。また、ナビゲーション部230は、自車位置周辺のPOIを検索したり、ルート周辺のPOIを検索する機能を備えている。ナビゲーション部230は、電子装置200が道路地図データベースや施設データベースを保持している場合には、それを利用して道路地図を表示したり、施設等のPOIを検索する。電子装置200がそのようデータベースを保持していない場合には、道路地図サーバー20にアクセスし、道路地図サーバー20から必要な情報を取得する。その場合、例えば、電子装置200は、道路地図サーバー20に対して、自車の現在位置周辺の道路地図データをリクエストしたり、目的地までのルート探索をリクエストしたり、自車位置周辺のPOI検索をリクエストしたり、ルート周辺のPOI検索をリクエストし、そのリクエストの結果を道路地図サーバー20から受け取る。
【0020】
通信部240は、ネットワーク上の道路地図サーバー20、外部POIサーバー30その他のサーバーとの間でデータ通信を可能にしたり、外部機器との間で有線または無線によるデータ通信を可能にする。通信部240は、電子装置200が内蔵する通信モジュールを利用するものであってもよいし、電子装置200に外部接続された電子機器(例えば、スマートフォン)の通信機能を利用するものであってもよい。例えば、電子装置200にスマートフォンが近距離無線通信により接続されているとき、電子装置200は、スマートフォンの通信機能を利用して道路地図サーバー20や外部POIサーバー30にアクセスすることができる。
【0021】
記憶部270は、電子装置200に必要なデータやアプリケーションソフトウエア等を記憶する。また、記憶部270は、ナビゲーション部230に使用される道路地図データベースや施設データベースを格納することも可能である。
【0022】
制御部280は、電子装置200の各部の動作を制御する。ある実施態様では、制御部280は、ROM/RAM等を備えたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含み、ROMには、各部を制御するためのプログラムが格納される。制御部280は、このプログラムを実行することで各部を制御する。ある実施態様では、ROMには、ナビゲーション部230においてPOI検索が行われるとき、外部POIサーバー30が提供するサービスを利用するための外部POI検索プログラムが格納される。制御部280は、ナビゲーション部230においてPOI検索が実行されるとき、これと連携して外部POI検索プログラムを実行する。
【0023】
図4に、外部POI検索プログラムの機能的な構成を示す。同図に示すように外部POI検索プログラム300は、POI検索結果取得部310、POI高密度領域識別部320、外部POI検索リクエスト部330、外部POI情報取得部340、外部POI情報出力部350を含んで構成される。
【0024】
POI検索結果取得部310は、ナビゲーション部230においてPOIの検索が行われたとき、その検索結果を取得する。例えば、目的地までのルートが探索された状態で、ユーザーからルート周辺検索が指示されると、ナビゲーション部230は、ルート周辺検索を行う。ルート周辺検索では、例えば、ジャンルやカテゴリーを指定してルート沿いの飲食店を検索したり、あるいはルート沿いの観光名所を検索することができる。POI検索結果取得部310は、このようなPOIの検索結果を取得する。POIの検索結果には、POIの名称(例えば、飲食店の名称)、座標などが含まれる。また、ユーザーがジャンルやカテゴリーを指定した場合には、これらの情報も検索結果に含まれる。
【0025】
POI高密度領域識別部320は、POI検索結果取得部310で取得されたPOI検索結果に基づきPOIが存在する密度の高い領域を識別する。例えば、予め決められた大きさの領域内にPOIが幾つ存在するかをカウントし、POIの数が閾値以上である場合には、その領域を高密度領域と識別する。
図5は、POIの高密度領域の識別方法の一例を示す図である。同図において、丸印は、検索されたPOIの位置を表しており、1つの矩形状の領域内にPOIが5つ以上存在する場合には、当該領域をPOIの高密度領域R1、R2、R3として識別する。勿論、このような方法は一例であり、識別すべき領域は必ずしも矩形状に限らず、その他の形状であってもよいし、高密度領域を識別するために設定する領域は全て同じ大きさである必要はない。例えば、ルート周辺検索を行ったときのPOI高密度領域の識別では、道路から近い距離に設定する領域を、道路から遠い距離に設定する領域よりも小さくする。道路沿いには多くの施設等(例えば、飲食店)が存在することが予想され、設定する領域が大きすぎると高密度領域が多く識別されてしまう。他方、道路から離れた地点では施設等の存在がまばらになることが予想され、設定する領域が小さすぎると、高密度領域が識別され難くなってしまう。このように設定する領域の大きさは、道路、市街地、山間部等の地理的環境を考慮するようにしてもよい。
【0026】
外部POI検索リクエスト部330は、POI高密度領域識別部320の識別結果に基づき外部POIサーバー30に対してPOIの検索をリクエストする。先ず、外部POI検索リクエスト部330は、POIの高密度領域として識別された領域の代表座標を生成する。
図5の例で言えば、高密度領域R1、R2、R3の代表座標をそれぞれ生成する。代表座標は、高密度領域R1、R2、R3に含まれる位置であれば良く、例えば、高密度領域が矩形状であればその中心を代表座標とすることができる。
【0027】
次に、外部POI検索リクエスト部330は、通信部240を介して外部POIサーバー30にアクセスし、POIの高密度領域の代表座標を外部POIサーバー30に送信し、代表座標の周辺のPOI検索をリクエストする。もし、外部POIサーバー30がPOI検索において座標以外に検索範囲を規定する半径を必要とする場合には、外部POI検索リクエスト部330は、代表座標に加えて半径も外部POIサーバー30に送信する。1つの例では、半径は、POI高密度領域識別部320が設定する領域の大きさに応じて設定され、例えば、その領域が
図5に示すような矩形状であり、かつ代表座標がその中心であるならば、半径は、矩形状領域に内接する円と同程度の大きさで規定されるようにしてもよい。但し、これに限らず、半径は、このような矩形状領域を越える大きさであってもよい。
【0028】
外部POIサーバー30は、施設や観光名称等の詳細なPOI情報を格納したデータベースを保有し、インターネットを介してユーザーがアクセスすることができるサイトである。また、ユーザーからアップロードされた口コミ、写真、メニュー、その他リアルタイムな情報を格納する。外部POIサーバー30は、例えば、ぐるなびや食べログなどであり、ユーザーは、ウェブアプリを介してPOIの検索を行うことができる。こうした外部POIサーバー30が提供する外部POI情報は、電子装置200が持たないリッチな情報を含むことができる。
【0029】
外部POIサーバー30は、外部POI検索リクエスト部330から検索リクエストを受け取ると、その代表座標を中心とする周辺のPOIを検索し、その検索結果である外部POI情報を電子装置200に送信する。
【0030】
外部POI情報取得部340は、外部POIサーバー30から外部POI情報を通信部240を介して受信する。外部POI情報出力部350は、受信した外部POI情報を、ナビゲーション部230によるPOI検索結果の一部として表示部250に出力する。
【0031】
次に、本実施例の電子装置によるPOI検索の動作を
図6のフローチャートおよび
図7のルート周辺検索例を参照して説明する。電子装置200のナビゲーション部230が起動され、ユーザーがスタート地点Sから目的地Eまでのルート探索を指示すると、ナビゲーション部230は、目的地までのルートKを探索する(S100)。道路地図サーバー20を利用する場合には、ナビゲーション部230は通信部240を介して道路地図サーバー20にスタート地点Sと目的地Eの位置情報を含むルート探索のリクエストを行う。こうして探索されたルートKは、表示部250の道路地図画面上に表示される。
【0032】
次に、ユーザーがルート周辺検索を指示する(S110)。ルート周辺検索は、探索された目的地までのルート周辺に存在するPOIを検索する機能である。ルート周辺検索では、ユーザーは所望のカテゴリーやジャンルを指定し、所望のPOI検索を指示することができる。例えば、ルート周辺の飲食店(レストラン)の検索を指示することができる。
【0033】
ルート周辺検索が指示されると、ナビゲーション部230は、施設データベースを利用して、目的地までのルートの座標を基準にそこから一定の範囲(例えば、50m)内に存在するPOIを検索する。
図7には、ルートKの周辺に複数のPOIの地点Qが検索されたことが例示されている。このルート周辺検索の検索結果が、POI検索結果取得部310によって取得され、次に、POI高密度領域識別部320によってPOIが高密度に存在する領域が識別される(S120)。
図7の例では、複数のPOIが密集する領域Ra、Rbが高密度領域として識別される。
【0034】
POIの高密度領域が識別されると、次に、外部POI検索リクエスト部330によって高密度領域の代表座標が生成され、この代表座標を用いた検索リクエストが外部POIサーバー30に送信される(S130)。
図7の例では、高密度領域Ra、Rbの代表座標として、例えば、この円の中心座標が生成され、この2つの検索リクエストREQ1、REQ2が外部POIサーバー30に送信される。もし、外部POIサーバー30が検索範囲を要求する場合には、外部POI検索リクエスト部330は、代表座標に加えて、半径を検索リクエストに含める。この半径は、例えば、高密度領域Ra、Rbの半径と同程度であってもよい。また、ルート周辺検索において特定のジャンルまたはカテゴリーが指定された場合には、外部POI検索リクエスト部330は、指定されたジャンルまたはカテゴリーに対応する外部POIサーバー30にアクセスし、その外部POIサーバー30に検索リクエストを送信する。
【0035】
外部POIサーバー30は、検索リクエストに応答して代表座標の周辺のPOIを検索し(S140)、その検索結果である外部POI情報を電子装置200へ送信する(S150)。外部POI情報取得部340は、外部POI情報を受信し(S160)、受信した外部POI情報が表示部250や音声出力部260から出力される(S170)。ユーザーは、電子装置200で得られたPOI情報に加えて、外部POIサーバー30から得られたリッチな外部POI情報を得ることができる。
【0036】
このように本実施例によれば、上記のような手順により外部POI情報を検索するようにしたので、従来のように大量の検索リクエストが発生することを抑制し、疑似的にルート周辺での効率の良い検索を実現することができる。これにより、ユーザーへの検索結果のレスポンスの遅延を低減することができる。
【0037】
例えば、ルート5km前方を、ルートから50mの範囲で検索した場合を仮定したとき、外部POIサーバー30への検索リクエストの回数は、次のようになる。
従来技術:100リクエスト(5000/50回のリクエストが必要)
本実施例:1~代表座標の数(上限は仕様で調整可能)
また、外部POIサーバー30からのレスポンスを200msと仮定したとき、レスポンス時間は、次のようになる。
従来技術:20秒(100リクエスト×200ms)
本実施例:代表座標×200ms+3秒(ナビゲーション側での周辺検索時間+代表座標の抽出時間)
さらに、ウェブアプリでの1回当たりの検索リクエスト(コール)を0.1円と仮定した場合、コスト低減効果は、次のようになる。
従来技術:10円
本実施例:代表座標×0.1円
【0038】
次に、本発明の他の実施例について説明する。上記実施例では、目的地までのルートが探索され、そのルート周辺検索を行うときに、POIの高密度領域の代表座標を用いて外部POIサーバー30に検索リクエストをする例を示したが、当該実施例では、目的地までのルートが探索されていないときに外部POIサーバー30による検索リクエストを行うものである。
【0039】
ナビゲーション部230には、種々のPOIの検索機能が存在する。例えば、ジャンルまたはカテゴリーでPOIを検索した後、その検索結果をさらにエリアで絞り込み検索することが可能である。エリアで絞り込み検索がされたとき、この検索結果がPOI検索結果取得部310により取得され、POI高密度領域識別部320が絞り込み検索されたPOIの高密度領域を識別し、外部POI検索リクエスト部330が高密度領域の代表座標を用いて外部POIサーバー30に検索リクエストを実施する。これ以降の動作は、先の実施例と同様に行われる。
【0040】
次に、本発明の変形例について説明する。本実施例に係るPOI検索システム100は、
図2に示す構成に限らず、
図8および
図9に示すような態様で構成することができる。
図8(A)は、電子装置として車両Mに固定的に搭載された車載装置200Aがナビゲーション機能を備え、車載装置200Aから外部POIサーバー30に対して外部POI情報を取得するための検索リクエストを行う例である。
図8(B)は、電子装置として車両Mに持ち込まれたスマートフォン200Bがナビゲーション機能を備え、スマートフォン200Bから外部POIサーバー30に対して外部POI情報を取得するための検索リクエストを行う例である。
図8(C)は、車載装置200Aにスマートフォン200Bが接続された組合せの電子装置200Cにおいて、スマートフォン200Bの通信機能を利用して外部POIサーバー30に検索リクエストを行う例である。
【0041】
図9(A)は、電子装置200が、道路地図サーバー20を利用する例である。この場合、道路地図サーバー20は、道路地図データベースやPOIデータベースを備えており、電子装置200は、道路地図サーバー20に対してPOIの高密度領域の識別および高密度領域の代表座標の抽出をリクエストし、そのリクエスト結果を用いて外部POIサーバー30に対して外部POI情報を取得するための検索リクエストを行う例である。
【0042】
図9(B)は、電子装置200が道路地図サーバー20に対して、ルート探索やルート周辺検索をリクエストする。そして、道路地図サーバー20は、ルート周辺検索のリクエストを受け取ったとき、POIの高密度領域の識別を行い、その代表座標を抽出して外部POIサーバー30に対して外部POI情報を取得するための検索リクエストを行い、その検索結果を電子装置200に返信する例である。なお、
図8、
図9に示す態様は一例であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において他の態様によりPOI検索システムが構成されてもよい。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
20:道路地図サーバー
30:外部POIサーバー
100:POI検索システム
200:電子装置
R1、R2、R3、Ra、Rb:POIの高密度領域
REQ1、REQ2:代表座標を用いた検索リクエスト
K:ルート
Q:POIの位置