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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231002BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20231002BHJP
   H02M 7/49 20070101ALI20231002BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02M7/12 H
H02M7/49
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021027548
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022129022
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】川村 弥
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/003290(WO,A1)
【文献】特許第6752401(JP,B1)
【文献】特表2021-530921(JP,A)
【文献】特開平07-162279(JP,A)
【文献】特開平4-230116(JP,A)
【文献】特開平5-29905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 7/12
H02M 7/49
H02M 7/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数の変換器を有し、前記複数の変換器の動作により、電力の変換を行う主回路部と、
前記主回路部の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記複数の変換器のそれぞれは、
一対の接続端子と、
複数のスイッチング素子と、
前記複数のスイッチング素子に対して並列に接続された電荷蓄積素子と、
前記制御装置からの制御信号に応じて、前記複数のスイッチング素子のスイッチングを制御する複数の駆動回路と、
前記電荷蓄積素子に蓄積された電荷を基に、前記複数の駆動回路の駆動電源を生成し、前記駆動電源を前記複数の駆動回路に供給する主回路給電回路と、
前記電荷蓄積素子の直流電圧を検出し、前記電荷蓄積素子の直流電圧が上限値以上になった際に、過電圧保護動作を行う過電圧保護回路と、
を有し、前記一対の接続端子を介して直列に接続されるとともに、前記複数のスイッチング素子のスイッチングにより、前記電荷蓄積素子の電圧を前記一対の接続端子間に出力する出力状態と、前記一対の接続端子間を導通させたバイパス状態と、前記複数のスイッチング素子をオフ状態とした停止状態と、を切り替え可能であり、
前記複数のスイッチング素子は、一対の主端子と、制御端子と、を有し、前記制御端子の電圧が高い状態において前記一対の主端子間に電流を流せるようにするオン状態となり、前記制御端子の電圧が低い状態において前記一対の主端子間に流れる電流を遮断するオフ状態となり、
前記過電圧保護回路は、
前記電荷蓄積素子の直流電圧が前記上限値以上になった際に、前記変換器を前記バイパス状態に切り替えるとともに、前記バイパス状態に切り替えた後、前記電荷蓄積素子の直流電圧が下限値未満になった際に、前記停止状態に切り替えるように前記複数のスイッチング素子のうちの所定のスイッチング素子の前記オン状態及び前記オフ状態を切り替える駆動部と、
前記駆動部から前記所定のスイッチング素子の前記制御端子に向かう方向に電流の流れを整流する整流素子と、
前記所定のスイッチング素子の前記制御端子の浮遊容量に蓄積された電荷を放電するための放電抵抗と、
前記所定のスイッチング素子の前記制御端子から前記放電抵抗への電流の流れを許容する第1状態と、前記所定のスイッチング素子の前記制御端子から前記放電抵抗への電流の流れを抑制する第2状態と、を切り替える切替回路と、
を有し、
前記切替回路は、前記駆動回路及び前記駆動部のそれぞれが前記所定のスイッチング素子を前記オフ状態に切り替える状態の時に、前記第1状態に切り替え、前記駆動回路及び前記駆動部の少なくとも一方が前記所定のスイッチング素子を前記オン状態に切り替える状態の時に、前記第2状態に切り替える電力変換装置。
【請求項2】
前記複数の変換器のそれぞれは、直列に接続された2つの前記スイッチング素子を有するハーフブリッジ回路であり、
前記駆動部は、ローサイド側の前記スイッチング素子を前記オン状態とすることにより、前記バイパス状態に切り替える請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記複数の変換器のそれぞれは、フルブリッジ接続された4つの前記スイッチング素子を有するフルブリッジ回路であり、
前記駆動部は、ローサイド側の2つの前記スイッチング素子を前記オン状態とすることにより、前記バイパス状態に切り替える請求項1記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記切替回路は、前記所定のスイッチング素子の前記制御端子と前記放電抵抗との間に設けられた切替スイッチを有し、前記切替スイッチのオン状態とオフ状態との切り替えにより、前記第1状態と前記第2状態とを切り替える請求項1~3のいずれか1つに記載の電力変換装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の変換器を直列に接続した電力変換装置がある。各変換器は、複数のスイッチング素子と、複数のスイッチング素子に対して並列に接続された電荷蓄積素子と、複数のスイッチング素子を駆動する駆動回路と、電荷蓄積素子の直流電圧から各スイッチング素子を駆動するための駆動電源を生成し、駆動回路などに供給する主回路給電回路と、を有する。また、各変換器は、一対の接続端子を有し、一対の接続端子を介して直列に接続される。
【0003】
各変換器では、電源の絶縁の制約などから、上記のように、内部の電荷蓄積素子の直流電圧を主回路給電回路によって適切な電圧に変換することにより、駆動電源を確保している。
【0004】
このように、主回路給電回路によって駆動電源を確保する場合に、主回路給電回路が故障して駆動電源を喪失してしまうと、各スイッチング素子がオフ状態となり、複数の変換器の直列接続体に流れる電流によって該当する変換器の電荷蓄積素子の電圧が上昇し、変換器が故障してしまう可能性がある。
【0005】
このため、過電圧保護回路を設け、電荷蓄積素子の過電圧の発生時に、過電圧保護回路によって複数のスイッチング素子のうちの所定のスイッチング素子を駆動することにより、一対の接続端子間を短絡させるように、所定のスイッチング素子をオン状態に切り替えることが行われている。これにより、直列接続体に流れる電流による電荷蓄積素子の電圧の上昇を抑制することができる。このように、一対の接続端子間を短絡させることは、バイパスと呼ばれる場合がある。
【0006】
過電圧保護回路の駆動により、変換器をバイパスした状態では、電荷蓄積素子の電圧が、主回路給電回路による電力消費、スイッチング素子の漏れ電流などに起因して徐々に低下する。このため、変換器をバイパスした状態のままにしていると、電荷蓄積素子の電圧の低下により、予期せぬタイミングで過電圧保護回路による駆動が不能となり、所定のスイッチング素子が低速でオン状態からオフ状態に切り替わってしまう可能性がある。こうした低速のスイッチングは、過大なスイッチング損失を発生し得るため、素子破壊のリスクがある。
【0007】
このため、過電圧保護回路は、電荷蓄積素子の電圧が下限値まで低下した際に、所定のスイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えることを行っている。換言すれば、過電圧保護回路は、電荷蓄積素子の電圧が下限値まで低下した際に、変換器のバイパス状態を解除している。過電圧保護回路は、直列接続体に流れる電流により、電荷蓄積素子の電圧が上限値(過電圧検出レベル)まで上昇した際に、再び変換器をバイパスする。これにより、主回路給電回路が故障した際にも、電荷蓄積素子の電圧を上限値と下限値との間に維持し、直列に接続された別の変換器で電力変換装置の運転を継続することができる。
【0008】
しかしながら、上記のように構成された過電圧保護回路には、所定のスイッチング素子のターンオフ速度、及び定常損失の観点において、検討の余地が残されていた。
【0009】
スイッチング素子は、制御端子を有し、制御端子の電圧が低い状態の時にオフ状態となり、制御端子の電圧が高い状態の時にオン状態となる。制御端子には、浮遊容量が存在し、素子破壊を抑制しつつスイッチング素子を安全にオン状態からオフ状態に切り替えるためには、浮遊容量に蓄積された電荷を十分な速度で放電する必要がある。
【0010】
主回路給電回路からの給電に基づいて各スイッチング素子の通常の駆動を行う駆動回路は、一般に、トーテムポール出力で構成されており、各スイッチング素子を十分な速度でオン状態からオフ状態に切り替えることができる。
【0011】
一方で、過電圧保護回路は、駆動回路による通常時の各スイッチング素子の駆動に支障がなく、かつ過電圧保護動作時は所定のスイッチング素子のオン状態への切り替え(バイパス)が優先されるように、整流素子を介して所定のスイッチング素子の制御端子と接続される。このため、過電圧保護回路によってスイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替える際に、制御端子の浮遊容量に蓄積された電荷の放電が、整流素子によって阻害され、スイッチング素子を十分な速度でオン状態からオフ状態に切り替えることができない可能性がある。
【0012】
これを抑制するため、スイッチング素子の制御端子に放電抵抗を接続することも提案されている。スイッチング素子の制御端子に放電抵抗を接続し、過電圧保護回路がスイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えた際に、制御端子の浮遊容量に蓄積された電荷を放電抵抗に放電する。これにより、過電圧保護回路でスイッチング素子をターンオフさせる際にも、十分な速度でスイッチング素子をターンオフさせることができる。
【0013】
しかしながら、放電抵抗は、通常時も制御端子に接続されているため、駆動回路でスイッチング素子を駆動する際にも、放電抵抗に常時電流が流れてしまう。一般に、大容量のスイッチング素子の制御端子の浮遊容量は、比較的大きく、この浮遊容量に蓄積された電荷をターンオフに支障のない十分な速度で放電するためには、放電抵抗の抵抗値を比較的小さくする必要がある。従って、制御端子に放電抵抗を接続した場合には、通常時に放電抵抗に常時流れる電流により、定常損失が増加してしまう。また、これにともなって、駆動回路の電源容量を増加させる必要が生じたり、駆動回路の放熱設計が困難になったりする可能性も生じてしまう。
【0014】
このため、複数の変換器を直列に接続した電力変換装置では、定常損失の増加を抑制しつつ、過電圧保護回路によって十分な速度でスイッチング素子をターンオフできるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開2020-010564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の実施形態は、直列に接続された複数の変換器において、定常損失の増加を抑制しつつ、過電圧保護回路によって十分な速度でスイッチング素子をターンオフすることができる電力変換装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の実施形態によれば、直列に接続された複数の変換器を有し、前記複数の変換器の動作により、電力の変換を行う主回路部と、前記主回路部の動作を制御する制御装置と、を備え、前記複数の変換器のそれぞれは、一対の接続端子と、複数のスイッチング素子と、前記複数のスイッチング素子に対して並列に接続された電荷蓄積素子と、前記制御装置からの制御信号に応じて、前記複数のスイッチング素子のスイッチングを制御する複数の駆動回路と、前記電荷蓄積素子に蓄積された電荷を基に、前記複数の駆動回路の駆動電源を生成し、前記駆動電源を前記複数の駆動回路に供給する主回路給電回路と、前記電荷蓄積素子の直流電圧を検出し、前記電荷蓄積素子の直流電圧が上限値以上になった際に、過電圧保護動作を行う過電圧保護回路と、を有し、前記一対の接続端子を介して直列に接続されるとともに、前記複数のスイッチング素子のスイッチングにより、前記電荷蓄積素子の電圧を前記一対の接続端子間に出力する出力状態と、前記一対の接続端子間を導通させたバイパス状態と、前記複数のスイッチング素子をオフ状態とした停止状態と、を切り替え可能であり、前記複数のスイッチング素子は、一対の主端子と、制御端子と、を有し、前記制御端子の電圧が高い状態において前記一対の主端子間に電流を流せるようにするオン状態となり、前記制御端子の電圧が低い状態において前記一対の主端子間に流れる電流を遮断するオフ状態となり、前記過電圧保護回路は、前記電荷蓄積素子の直流電圧が前記上限値以上になった際に、前記変換器を前記バイパス状態に切り替えるとともに、前記バイパス状態に切り替えた後、前記電荷蓄積素子の直流電圧が下限値未満になった際に、前記停止状態に切り替えるように前記複数のスイッチング素子のうちの所定のスイッチング素子の前記オン状態及び前記オフ状態を切り替える駆動部と、前記駆動部から前記所定のスイッチング素子の前記制御端子に向かう方向に電流の流れを整流する整流素子と、前記所定のスイッチング素子の前記制御端子の浮遊容量に蓄積された電荷を放電するための放電抵抗と、前記所定のスイッチング素子の前記制御端子から前記放電抵抗への電流の流れを許容する第1状態と、前記所定のスイッチング素子の前記制御端子から前記放電抵抗への電流の流れを抑制する第2状態と、を切り替える切替回路と、を有し、前記切替回路は、前記駆動回路及び前記駆動部のそれぞれが前記所定のスイッチング素子を前記オフ状態に切り替える状態の時に、前記第1状態に切り替え、前記駆動回路及び前記駆動部の少なくとも一方が前記所定のスイッチング素子を前記オン状態に切り替える状態の時に、前記第2状態に切り替える電力変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
直列に接続された複数の変換器において、定常損失の増加を抑制しつつ、過電圧保護回路によって十分な速度でスイッチング素子をターンオフすることができる電力変換装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
図2】変換器を模式的に表すブロック図である。
図3】駆動回路及び過電圧保護回路を模式的に表すブロック図である。
図4】過電圧保護回路の参考例を模式的に表すブロック図である。
図5】変換器の変形例を模式的に表すブロック図である。
【0020】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0021】
図1は、実施形態に係る電力変換装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、電力変換装置10は、主回路部12と、制御装置14と、を備える。電力変換装置10は、例えば、直流送電システムに用いられる。電力変換装置10は、直流送電システムにおいて、交流電力系統2及び一対の直流送電線3、4に接続される。
【0022】
直流送電システムは、例えば、変圧器6を有する。電力変換装置10の主回路部12は、変圧器6を介して交流電力系統2に接続される。交流電力系統2の交流電力は、三相交流電力である。より詳しくは、対称三相交流電力である。変圧器6は、交流電力系統2の三相交流電力を主回路部12に対応した交流電力に変換する。変圧器6は、主回路部12に合わせて三相交流電力の各相の実効値を変化させる。変圧器6は、三相変圧器である。変圧器6は、必要に応じて設けられ、省略可能である。主回路部12には、交流電力系統2の三相交流電力を直接供給してもよい。
【0023】
電力変換装置10は、交流電力系統2から供給された三相交流電力を直流電力に変換し、変換後の直流電力を直流送電線3、4に供給する。また、電力変換装置10は、直流送電線3、4から供給された直流電力を三相交流電力に変換し、変換後の三相交流電力を交流電力系統2に供給する。このように、電力変換装置10は、交流から直流への交直変換、及び、直流から交流への交直変換を行う。
【0024】
例えば、直流送電線3は、直流電力の高圧側の送電線であり、直流送電線4は、直流電力の低圧側の送電線である。電力変換装置10は、直流送電線3側が高圧、直流送電線4側が低圧となるように、変換後の直流電力を直流送電線3、4に出力する。
【0025】
主回路部12は、交流電力系統2と各直流送電線3、4との間に設けられる。主回路部12は、三相交流電力から直流電力への変換、及び、直流電力から三相交流電力への変換を行う。主回路部12は、例えば、直列に接続された複数の変換器を有するマルチレベル電力変換器である。主回路部12は、例えば、MMC(Modular Multilevel Converter)型の電力変換器である。MMC型の主回路部12は、直列に接続された複数の変換器を有する。各変換器は、ハーフブリッジ接続又はフルブリッジ接続された複数のスイッチング素子と、各スイッチング素子に並列に接続された電荷蓄積素子と、を有する。主回路部12は、複数の変換器の動作により、電力の変換を行う。主回路部12は、例えば、複数の変換器の各スイッチング素子のスイッチングにより、交直変換を行う。
【0026】
制御装置14は、主回路部12に接続されている。制御装置14は、各スイッチング素子のオン・オフを制御することにより、主回路部12による三相交流電力から直流電力への変換、及び、直流電力から三相交流電力への変換を制御する。
【0027】
主回路部12は、第1及び第2の一対の直流端子20a、20bと、第1~第3の3つの交流端子21a~21cと、第1~第6の6つのアーム部22a~22fと、を有する。
【0028】
第1直流端子20aは、高圧側の直流送電線3に接続される。第2直流端子20bは、低圧側の直流送電線4に接続される。これにより、主回路部12によって変換された直流電力が直流送電線3、4に供給されるとともに、直流送電線3、4から供給された直流電力が主回路部12に入力される。
【0029】
第1アーム部22aは、第1直流端子20aに接続される。第2アーム部22bは、第1アーム部22aと第2直流端子20bとの間に接続される。第1アーム部22a及び第2アーム部22bは、各直流端子20a、20bの間に直列に接続される。
【0030】
第3アーム部22cは、第1直流端子20aに接続される。第4アーム部22dは、第3アーム部22cと第2直流端子20bとの間に接続される。第3アーム部22c及び第4アーム部22dは、第1アーム部22a及び第2アーム部22bに対して並列に接続される。
【0031】
第5アーム部22eは、第1直流端子20aに接続される。第6アーム部22fは、第5アーム部22eと第2直流端子20bとの間に接続される。すなわち、第5アーム部22e及び第6アーム部22fは、第1アーム部22a及び第2アーム部22bに対して並列に接続されるとともに、第3アーム部22c及び第4アーム部22dに対して並列に接続される。
【0032】
主回路部12では、第1アーム部22a及び第2アーム部22bによって第1レグLG1が構成され、第3アーム部22c及び第4アーム部22dによって第2レグLG2が構成され、第5アーム部22e及び第6アーム部22fによって第3レグLG3が構成される。すなわち、この例において、主回路部12は、3レグ、6アームの三相インバータである。第1アーム部22a、第3アーム部22c及び第5アーム部22eは、上側アームである。第2アーム部22b、第4アーム部22d及び第6アーム部22fは、下側アームである。このように、主回路部12は、複数のスイッチング素子によって構成される複数のアーム部及び複数のレグを有する。主回路部12は、例えば、2レグ、4アームの単相インバータなどでもよい。アーム部及びレグの数は、上記に限ることなく、任意の数でよい。
【0033】
第1アーム部22aは、直列に接続された複数の変換器UP1、UP2…UPMを有する。第2アーム部22bは、直列に接続された複数の変換器UN1、UN2…UNMを有する。第3アーム部22cは、直列に接続された複数の変換器VP1、VP2…VPMを有する。第4アーム部22dは、直列に接続された複数の変換器VN1、VN2…VNMを有する。第5アーム部22eは、直列に接続された複数の変換器WP1、WP2…WPMを有する。第6アーム部22fは、直列に接続された複数の変換器WN1、WN2…WNMを有する。
【0034】
但し、以下では、各変換器UP1、UP2…UPM、UN1、UN2…UNM、VP1、VP2…VPM、VN1、VN2…VNM、WP1、WP2…WPM、WN1、WN2…WNMをまとめて呼称する場合に、「変換器CEL」と称す。
【0035】
各アーム部22a~22fにおいて、M、M、M、M、M、Mは、直列接続された変換器CELの台数を表す。各アーム部22a~22fにおいて、直列接続される変換器CELの台数は、例えば、100台~120台程度である。但し、直列接続される変換器CELの台数は、これに限ることなく、任意の台数でよい。
【0036】
各アーム部22a~22fに設けられる変換器CELの台数は、実質的に同じである。例えば、多数の各変換器CELが接続される場合には、主回路部12の動作に影響のない範囲において、各アーム部22a~22fに設けられる変換器CELの台数が異なってもよい。例えば、1つのアーム部に100台の変換器CELを直列に接続する場合、別のアーム部に設ける変換器CELの台数は、1~2台異なってもよい。
【0037】
各アーム部22a~22fのそれぞれは、バッファリアクトル23a~23fと、複数の電流検出器24a~24fと、をさらに有する。また、電力変換装置10は、電圧検出部25をさらに有する。
【0038】
各バッファリアクトル23a~23fは、各アーム部22a~22fのそれぞれにおいて、各変換器CELに直列に接続される。第1アーム部22aのバッファリアクトル23aは、交流端子21aと第1アーム部22a及び第2アーム部22bとの接続点と変換器UP1との間に設けられる。第2アーム部22bのバッファリアクトル23bは、交流端子21aと第1アーム部22a及び第2アーム部22bとの接続点と変換器UN1との間に設けられる。第3アーム部22cのバッファリアクトル23cは、交流端子21bと第3アーム部22c及び第4アーム部22dとの接続点と変換器VP1との間に設けられる。第4アーム部22dのバッファリアクトル23dは、交流端子21bと第3アーム部22c及び第4アーム部22dとの接続点と変換器VN1との間に設けられる。第5アーム部22eのバッファリアクトル23eは、交流端子21cと第5アーム部22e及び第6アーム部22fとの接続点と変換器WP1との間に設けられる。第6アーム部22fのバッファリアクトル23fは、交流端子21cと第5アーム部22e及び第6アーム部22fとの接続点と変換器WN1との間に設けられる。
【0039】
電流検出器24aは、第1アーム部22aに設けられ、第1アーム部22aに流れる電流を検出する。すなわち、電流検出器24aは、第1アーム部22aのアーム電流を検出する。電流検出器24aは、図示を省略した配線などを介して制御装置14に接続されている。電流検出器24aは、検出した第1アーム部22aの電流値を制御装置14に入力する。これにより、制御装置14には、第1アーム部22aの電流値が入力される。
【0040】
以下同様に、電流検出器24bは、第2アーム部22bに流れる電流を検出し、検出した電流値を制御装置14に入力する。電流検出器24cは、第3アーム部22cに流れる電流を検出し、検出した電流値を制御装置14に入力する。電流検出器24dは、第4アーム部22dに流れる電流を検出し、検出した電流値を制御装置14に入力する。電流検出器24eは、第5アーム部22eに流れる電流を検出し、検出した電流値を制御装置14に入力する。電流検出器24fは、第6アーム部22fに流れる電流を検出し、検出した電流値を制御装置14に入力する。
【0041】
電圧検出部25は、交流電力系統2の各相の交流電圧(相電圧)を検出し、検出値を制御装置14に入力する。電圧検出部25は、変圧器6の一次側に接続してもよいし、二次側に接続してもよい。
【0042】
主回路部12では、第1アーム部22aと第2アーム部22bとの接続点、第3アーム部22cと第4アーム部22dとの接続点、及び、第5アーム部22eと第6アーム部22fとの接続点のそれぞれが、交流出力点となる。
【0043】
第1交流端子21aは、第1アーム部22aと第2アーム部22bとの接続点に接続される。第2交流端子21bは、第3アーム部22cと第4アーム部22dとの接続点に接続される。第3交流端子21cは、第5アーム部22eと第6アーム部22fとの接続点に接続される。各交流端子21a~21cは、例えば、変圧器6に接続される。
【0044】
各変換器CELは、信号線26を介して制御装置14と接続される。制御装置14は、信号線26を介して変換器CELに制御信号を入力することにより、変換器CELの動作を制御する。また、変換器CELは、例えば、変換器CELの制御及び動作保護に関する制御信号や保護信号を図示されていない別の信号線を介して制御装置14に入力する。
【0045】
図2は、変換器を模式的に表すブロック図である。
図2に表したように、変換器CELは、複数のスイッチング素子41、42と、複数の整流素子51、52と、複数の駆動回路61、62と、一対の接続端子71、72と、電荷蓄積素子74と、主回路給電回路76と、過電圧保護回路78と、を有する。
【0046】
各スイッチング素子41、42は、一対の主端子と、制御端子と、を有する。制御端子は、一対の主端子間に流れる電流を制御する。各スイッチング素子41、42には、例えば、IGBTなどの自己消弧素子が用いられる。一対の主端子は、例えば、エミッタ及びコレクタであり、制御端子は、例えば、ゲートである。
【0047】
各スイッチング素子41、42は、一対の主端子間に電流を流せるようにするオン状態と、一対の主端子間に流れる電流を遮断するオフ状態と、を切り替える。オフ状態は、一対の主端子間に完全に電流が流れない状態に限ることなく、例えば、変換器CELの動作に影響の無い程度の微弱な電流が一対の主端子間に流れる状態でもよい。オフ状態は、換言すれば、一対の主端子間に流れる電流を十分に小さくした状態である。
【0048】
各スイッチング素子41、42には、例えば、ノーマリオフ型の半導体素子が用いられる。各スイッチング素子41、42は、制御端子の電圧が高い状態においてオン状態となり、制御端子の電圧が低い状態においてオフ状態となる。各スイッチング素子41、42は、制御端子の電圧がオン状態よりも低い状態において、オフ状態となる。各スイッチング素子41、42は、例えば、制御端子に正電圧を印加した際にオン状態となり、制御端子の電圧を0Vに設定した際又は制御端子に負電圧を印加した際にオフ状態となる。
【0049】
スイッチング素子42の一対の主端子は、スイッチング素子41の一対の主端子に対して直列に接続される。この例において、変換器CELは、直列に接続された2つのスイッチング素子41、42を有する。この例において、変換器CELは、ハーフブリッジ構成の変換器である。
【0050】
整流素子51は、スイッチング素子41の一対の主端子に対して逆並列に接続されている。整流素子51の順方向は、スイッチング素子41の一対の主端子間に流れる電流の向きに対して逆向きである。同様に、整流素子52は、スイッチング素子42の一対の主端子に対して逆並列に接続されている。整流素子51、52は、いわゆる還流ダイオードである。
【0051】
接続端子71は、スイッチング素子41とスイッチング素子42との間に接続される。接続端子72は、スイッチング素子41のスイッチング素子42に接続された主端子と反対側の主端子に接続される。
【0052】
同一アーム部内の複数の変換器CELは、一対の接続端子71、72を介して直列に接続される。変換器CELに対する電力の供給は、各接続端子71、72を介して行われる。スイッチング素子41は、いわゆるローサイドスイッチであり、スイッチング素子42は、いわゆるハイサイドスイッチである。
【0053】
駆動回路61は、スイッチング素子41の制御端子に接続されている。駆動回路62は、スイッチング素子42の制御端子に接続されている。駆動回路61、62には、各スイッチング素子41、42のスイッチングを制御するための制御信号が入力される。制御信号は、信号線26を介して制御装置14から駆動回路61、62に入力される。駆動回路61、62は、入力された制御信号に基づいて、各スイッチング素子41、42のオン状態とオフ状態とを切り替える。これにより、制御装置14からの制御信号に応じて、各スイッチング素子41、42のスイッチングが制御される。制御装置14は、各変換器CEL毎に制御信号を生成し、各変換器CELのそれぞれの各スイッチング素子41、42のスイッチングを制御する。これにより、制御装置14は、主回路部12による電力の変換を制御する。
【0054】
電荷蓄積素子74は、スイッチング素子41及びスイッチング素子42に対して並列に接続される。電荷蓄積素子74は、例えば、コンデンサである。
【0055】
スイッチング素子41がオフ状態で、スイッチング素子42がオン状態の時には、電荷蓄積素子74の電圧が各接続端子71、72間に現れる。スイッチング素子41がオン状態で、スイッチング素子42がオフ状態の時には、各接続端子71、72間が導通し、各接続端子71、72間の電圧は、実質的にゼロになる。
【0056】
このように、変換器CELは、制御装置14からの制御信号に基づく各スイッチング素子41、42のスイッチングにより、電荷蓄積素子74の電圧を各接続端子71、72間に出力する出力状態と、各接続端子71、72間を導通させたバイパス状態と、各スイッチング素子41、42をオフ状態とした停止状態と、を切り替える。
【0057】
各アーム部22a~22fにおいては、出力状態となった変換器CELの合計の電圧が、各アーム部22a~22fの電圧となる。主回路部12及び制御装置14は、出力状態とする変換器CELの台数を制御することにより、マルチレベルの電力変換を行う。
【0058】
各スイッチング素子41、42がともにオフ状態の時(変換器CELが停止状態の時)には、アーム電流の向きによって各接続端子71、72間の電圧が決まる。例えば、接続端子72から接続端子71に向かう向きにアーム電流が流れている時には、整流素子51がオンし、各接続端子71、72間の電圧は、実質的にゼロになる。反対に、接続端子71から接続端子72に向かう向きにアーム電流が流れている時には、整流素子52がオンし、電荷蓄積素子74が充電され、各接続端子71、72間には、電荷蓄積素子74の電圧が現れる。
【0059】
主回路給電回路76は、電荷蓄積素子74に対して並列に接続されている。主回路給電回路76は、電荷蓄積素子74に蓄積された電荷を基に、駆動回路61、62の駆動電源を生成し、生成した駆動電源を駆動回路61、62に供給する。駆動回路61、62は、主回路給電回路76からの駆動電源の供給に応じて動作する。
【0060】
過電圧保護回路78は、電荷蓄積素子74に対して並列に接続されている。過電圧保護回路78は、電荷蓄積素子74の直流電圧を検出し、電荷蓄積素子74の直流電圧が上限値以上になった際に、過電圧保護動作を行う。過電圧保護回路78は、電荷蓄積素子74の直流電圧を検出し、電荷蓄積素子74の直流電圧が上限値以上になった際に、変換器CELをバイパス状態に切り替えるように、各スイッチング素子41、42のオン状態及びオフ状態を切り替える。この例では、過電圧保護回路78は、電荷蓄積素子74の直流電圧が上限値以上になった際に、スイッチング素子41をオン状態に切り替えることにより、変換器CELをバイパス状態に切り替える。
【0061】
例えば、主回路給電回路76が故障し、主回路給電回路76から駆動回路61、62への駆動電源の供給が停止すると、スイッチング素子41、42がともにオフ状態となり、前述のように、アーム電流の向きによって電荷蓄積素子74が充電され、電荷蓄積素子74の電圧が上昇する。こうした電荷蓄積素子74の電圧の上昇は、スイッチング素子41、42や電荷蓄積素子74などの変換器CELの各部の故障の要因となってしまう。
【0062】
このため、過電圧保護回路78は、電荷蓄積素子74の直流電圧を検出し、電荷蓄積素子74の直流電圧が上限値以上になった際に、変換器CELをバイパス状態に切り替える。これにより、電荷蓄積素子74の電圧の上昇による変換器CELの故障を抑制することができるとともに、主回路給電回路76の故障した変換器CELをバイパスしつつ、同一アーム部内の残りの変換器CELで電力変換装置10の運転を継続することができる。
【0063】
図3は、駆動回路及び過電圧保護回路を模式的に表すブロック図である。
図3に表したように、駆動回路61は、電源生成回路100と、駆動部102と、を有する。電源生成回路100は、主回路給電回路76から供給された駆動電源を駆動部102に応じた電源に変換し、変換後の電源を駆動部102に供給する。
【0064】
電源生成回路100は、例えば、主回路給電回路76から供給された駆動電源から正電圧+Vonと負電圧-Voffとを生成し、生成した正電圧及び負電圧を駆動部102に供給する。なお、正電圧及び負電圧の電圧値は、上記に限ることなく、スイッチング素子41のオン状態及びオフ状態を切り替えられる任意の電圧値でよい。
【0065】
駆動部102は、電源生成回路100から電源の供給を受ける。駆動部102は、例えば、電源生成回路100から正電圧及び負電圧の供給を受ける。駆動部102は、スイッチング素子41の制御端子と接続されている。また、駆動部102には、制御装置14からの制御信号が入力される。駆動部102は、電源生成回路100から供給された電源を基に動作し、入力された制御信号に応じてスイッチング素子41のオン状態及びオフ状態を切り替える。
【0066】
駆動部102は、例えば、正負電圧の間に2つのスイッチング素子を直列に接続したトーテムポール出力に構成されている。駆動部102は、例えば、制御信号がスイッチング素子41をオン状態に設定する状態の時に、正電圧をスイッチング素子41の制御端子に供給することにより、スイッチング素子41をオン状態に設定する。そして、駆動部102は、例えば、制御信号がスイッチング素子41をオフ状態に設定する状態の時に、負電圧をスイッチング素子41の制御端子に供給することにより、スイッチング素子41をオフ状態に設定する。
【0067】
これにより、駆動回路61では、スイッチング素子41の制御端子に比較的大きな浮遊容量41cが存在する場合にも、スイッチング素子41のターンオフの際に、浮遊容量41cに蓄積された電荷を十分な速度で放電させ、十分な速度でスイッチング素子41をターンオフさせることができる。スイッチング素子41の制御端子の浮遊容量41cは、より詳しくは、スイッチング素子41の制御端子と低電位側の主端子との間の浮遊容量である。スイッチング素子41の制御端子の浮遊容量41cは、例えば、ゲート・エミッタ間の浮遊容量である。
【0068】
駆動回路62の構成は、例えば、駆動回路61の構成と実質的に同じである。但し、駆動回路61、62の構成は、上記に限ることなく、入力された制御信号に基づいて、スイッチング素子41、42のオン状態とオフ状態とを切り替え可能な任意の構成でよい。駆動回路62の構成は、駆動回路61の構成と必ずしも同じでなくてもよい。
【0069】
過電圧保護回路78は、電源生成回路110と、信号生成部112と、駆動部114と、整流素子116と、放電抵抗118と、切替回路120と、を有する。
【0070】
電源生成回路110は、電荷蓄積素子74と接続されている。電源生成回路110は、電荷蓄積素子74の直流電圧を過電圧保護回路78の各部に応じた電圧に変換し、変換後の電圧を過電圧保護回路78の各部に供給する。電源生成回路110は、例えば、電荷蓄積素子74の直流電圧を電源生成回路100の正電圧+Vonと同程度の直流電圧+Von’に変換し、変換後の直流電圧を過電圧保護回路78の各部に供給する。
【0071】
信号生成部112は、電荷蓄積素子74及び駆動部114と接続されている。信号生成部112は、電荷蓄積素子74の直流電圧を検出する。信号生成部112は、電荷蓄積素子74の直流電圧の検出結果を基に、スイッチング素子41のスイッチングを切り替えるための駆動信号を生成し、生成した駆動信号を駆動部114に入力する。
【0072】
信号生成部112は、電荷蓄積素子74の直流電圧に対して、下限値V1及び上限値V2を設定する。信号生成部112は、電荷蓄積素子74の直流電圧が上限値V2以上か否かを判定する。信号生成部112は、電荷蓄積素子74の直流電圧が上限値V2未満である場合には、スイッチング素子41をオフ状態に設定する駆動信号を駆動部114に出力し、電荷蓄積素子74の直流電圧が上限値V2以上である場合には、スイッチング素子41をオン状態に設定する駆動信号を駆動部114に出力する。
【0073】
また、信号生成部112は、電荷蓄積素子74の直流電圧が上限値V2以上であると判定し、スイッチング素子41をオン状態に設定する駆動信号を駆動部114に出力した後、電荷蓄積素子74の直流電圧が下限値V1以上か否かを判定する。
【0074】
信号生成部112は、電荷蓄積素子74の直流電圧が下限値V1以上である場合には、スイッチング素子41をオン状態に設定する駆動信号の出力を維持し、電荷蓄積素子74の直流電圧が下限値V1未満になった際に、スイッチング素子41をオン状態に設定する状態からスイッチング素子41をオフ状態に設定する状態に駆動信号を変化させる。
【0075】
そして、信号生成部112は、電荷蓄積素子74の直流電圧が再び上限値V2以上になった際に、スイッチング素子41をオフ状態に設定する状態からスイッチング素子41をオン状態に設定する状態に駆動信号を変化させる。
【0076】
駆動部114は、電源生成回路110から電圧の供給を受ける。駆動部114は、電源生成回路110から供給された電源を基に動作し、信号生成部112から入力された駆動信号に応じてスイッチング素子41のオン状態及びオフ状態を切り替える。
【0077】
これにより、過電圧保護回路78では、電荷蓄積素子74の直流電圧が上限値V2以上になった際に、変換器CELをバイパス状態に切り替え、電荷蓄積素子74の電圧の上昇による変換器CELの故障を抑制することができる。
【0078】
また、過電圧保護回路78では、変換器CELをバイパス状態に切り替えた後、電荷蓄積素子74の直流電圧が下限値V1未満になった際に、変換器CELを停止状態に切り替える。これにより、電荷蓄積素子74の直流電圧の低下により、予期せぬタイミングで過電圧保護回路78による駆動が不能となり、スイッチング素子41が低速でオン状態からオフ状態に切り替わってしまうことを抑制することができる。過電圧保護回路78は、上記のように変換器CELのバイパス状態及び停止状態を切り替えることにより、主回路給電回路76の故障などが発生した際にも、電荷蓄積素子74の直流電圧を下限値V1と上限値V2との間に維持する。
【0079】
駆動部114は、整流素子116を介してスイッチング素子41の制御端子と接続される。整流素子116の一端は、駆動部114の出力端子と接続されている。整流素子116の他端は、スイッチング素子41の制御端子、及び駆動回路61(駆動部102)の出力端子と接続されている。整流素子116の一端は、例えば、ダイオードのアノードであり、整流素子116の他端は、例えば、ダイオードのカソードである。整流素子116は、駆動部114からスイッチング素子41の制御端子に向かう方向に電流の流れを整流することにより、駆動回路61による通常時のスイッチング素子41、42の駆動に支障がなく、かつ過電圧保護動作時はスイッチング素子41のオン状態への切り替え(バイパス)が優先されるようにする。
【0080】
このように、過電圧保護回路78では、スイッチング素子41の制御端子から駆動部114に向かう電流の流れが、整流素子116によって阻害される。従って、過電圧保護回路78では、駆動部114の出力を負電圧に設定したとしても、スイッチング素子41の制御端子の浮遊容量41cに蓄積された電荷を駆動部114側に放電することができない。
【0081】
このため、駆動部114は、例えば、駆動信号がスイッチング素子41をオン状態に設定する状態の時に、正電圧をスイッチング素子41の制御端子に供給することにより、スイッチング素子41をオン状態に設定し、制御信号がスイッチング素子41をオフ状態に設定する状態の時に、スイッチング素子41の制御端子の電位を共通電位(例えばグランド電位)に設定することにより、スイッチング素子41をオフ状態に設定する。
【0082】
放電抵抗118は、スイッチング素子41の制御端子の浮遊容量41cに蓄積された電荷を放電するための抵抗である。
【0083】
上記のように、過電圧保護回路78では、スイッチング素子41のターンオフの際に、スイッチング素子41の制御端子の浮遊容量41cに蓄積された電荷を駆動部114側に放電することができない。このため、過電圧保護回路78では、スイッチング素子41のターンオフの際に、スイッチング素子41の制御端子の浮遊容量41cに蓄積された電荷を放電抵抗118に放電できるようにする。これにより、過電圧保護回路78によってスイッチング素子41をターンオフさせる際にも、十分な速度でスイッチング素子41をターンオフさせることができる。
【0084】
切替回路120は、スイッチング素子41の制御端子から放電抵抗118への電流の流れを許容する第1状態と、スイッチング素子41の制御端子から放電抵抗118への電流の流れを抑制する第2状態と、を切り替える。
【0085】
第2状態は、例えば、スイッチング素子41の制御端子から放電抵抗118への電流の流れを遮断する状態である。第2状態は、例えば、放電抵抗118に流れる電流による損失を十分抑えることが可能な微弱な電流が放電抵抗118に流れる状態でもよい。第2状態は、放電抵抗118に流れる電流を必ずしも完全に遮断した状態でなくてもよい。第2状態は、換言すれば、放電抵抗118に流れる電流を第1状態よりも小さくした状態である。
【0086】
切替回路120は、駆動回路61及び駆動部114のそれぞれがスイッチング素子41をオフ状態に切り替える状態の時に、第1状態に切り替え、駆動回路61及び駆動部114の少なくとも一方がスイッチング素子41をオン状態に切り替える状態の時に、第2状態に切り替える。
【0087】
切替回路120は、例えば、切替スイッチ121と、駆動部122と、整流素子123、124と、抵抗素子125と、を有する。
【0088】
切替スイッチ121は、スイッチング素子41の制御端子と放電抵抗118との間に設けられる。切替スイッチ121は、一対の主端子と、制御端子と、を有する。切替スイッチ121の一方の主端子は、スイッチング素子41の制御端子、及び駆動回路61(駆動部102)の出力端子と接続されている。切替スイッチ121の他方の主端子は、放電抵抗118と接続されている。
【0089】
これにより、切替スイッチ121をオン状態とすることにより、スイッチング素子41の制御端子から放電抵抗118への電流の流れが許容され、切替回路120が第1状態となる。そして、切替スイッチ121をオフ状態とすることにより、スイッチング素子41の制御端子から放電抵抗118への電流の流れが抑制され、切替回路120が第2状態となる。このように、切替回路120は、例えば、切替スイッチ121のオン状態とオフ状態との切り替えにより、第1状態と第2状態とを切り替える。
【0090】
切替スイッチ121には、例えば、PNP形のトランジスタが用いられる。切替スイッチ121は、PNP形のトランジスタの代わりにP型MOSトランジスタなどを用いることもできる。スイッチング素子41の制御端子及び駆動回路61の出力端子と接続された切替スイッチ121の一方の主端子は、例えば、PNPトランジスタのエミッタである。放電抵抗118と接続された切替スイッチ121の他方の主端子は、例えば、PNPトランジスタのコレクタである。但し、切替スイッチ121は、これに限ることなく、オン状態及びオフ状態を切り替え可能な任意のスイッチング素子でよい。
【0091】
駆動部122は、駆動回路61の電源生成回路100から電源の供給を受ける。駆動部122は、例えば、電源生成回路100から正電圧の供給を受ける。また、駆動部122には、制御装置14からの制御信号が入力される。駆動部122は、電源生成回路100から供給された電源を基に動作し、入力された制御信号に応じて出力端子の電位を変化させる。
【0092】
駆動部122は、例えば、制御信号がスイッチング素子41をオン状態に設定する状態の時に、正電圧を出力端子に出力し、制御信号がスイッチング素子41をオフ状態に設定する状態の時に、出力端子の電位を共通電位(例えばグランド電位)に設定する。
【0093】
整流素子123の一端は、駆動部114と整流素子116との間に接続されている。これにより、整流素子123には、駆動部114の出力が入力される。整流素子123の他端は、切替スイッチ121の制御端子と接続されている。
【0094】
整流素子124の一端は、駆動部122の出力端子と接続されている。これにより、整流素子124には、駆動部122の出力が入力される。整流素子124の他端は、切替スイッチ121の制御端子、及び整流素子123の他端と接続されている。
【0095】
抵抗素子125の一端は、切替スイッチ121の制御端子と整流素子123の他端と整流素子124の他端との接続点に接続されている。抵抗素子125の他端の電位は、共通電位(例えばグランド電位)に設定される。
【0096】
駆動回路61がスイッチング素子41をオン状態に切り替える状態の時には、駆動部122の出力端子から整流素子124を介して切替スイッチ121の制御端子に正電圧が印加され、切替スイッチ121がオフ状態となる。
【0097】
そして、駆動部114がスイッチング素子41をオン状態に切り替える状態の時には、駆動部114の出力端子から整流素子123を介して切替スイッチ121の制御端子に正電圧が印加され、切替スイッチ121がオフ状態となる。
【0098】
これにより、切替回路120では、駆動回路61及び駆動部114の少なくとも一方がスイッチング素子41をオン状態に切り替える状態の時に、切替スイッチ121がオフ状態となり、スイッチング素子41の制御端子から放電抵抗118への電流の流れを抑制する第2状態となる。
【0099】
一方、駆動回路61及び駆動部114のそれぞれがスイッチング素子41をオフ状態に切り替える状態の時には、切替スイッチ121の制御端子に正電圧が印加されず、抵抗素子125を介して切替スイッチ121の制御端子の電位が共通電位に設定される。従って、スイッチング素子41の制御端子の浮遊容量41cに電荷が蓄積されている状態の時には、切替スイッチ121にベース電流が流れ、切替スイッチ121がオン状態となる。
【0100】
これにより、切替回路120では、駆動回路61及び駆動部114のそれぞれがスイッチング素子41をオフ状態に切り替える状態の時に、スイッチング素子41の制御端子から放電抵抗118への電流の流れを許容する第1状態となる。
【0101】
主回路給電回路76が正常に動作している場合には、駆動部114の出力端子の電位が共通電位に設定され、駆動部122の出力に基づいて、第1状態及び第2状態が切り替えられる。一方、切替回路120では、駆動部122が、駆動回路61の電源生成回路100から電源の供給を受ける。このため、主回路給電回路76が故障し、主回路給電回路76からの電源供給が停止した場合には、駆動部122の出力端子の電位が共通電位に設定され、駆動部114の出力に基づいて、第1状態及び第2状態が切り替えられる。
【0102】
なお、切替回路120の構成は、上記に限ることなく、駆動回路61及び駆動部114のそれぞれがスイッチング素子41をオフ状態に切り替える状態の時に、第1状態に切り替え、駆動回路61及び駆動部114の少なくとも一方がスイッチング素子41をオン状態に切り替える状態の時に、第2状態に切り替えることができる任意の構成でよい。
【0103】
図4は、過電圧保護回路の参考例を模式的に表すブロック図である。
なお、図3に表したものと機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は、省略する。
図4に表したように、参考例の過電圧保護回路78aでは、切替回路120が省略され、放電抵抗118が、スイッチング素子41の制御端子に直接的に接続されている。
【0104】
このように構成された過電圧保護回路78aでは、スイッチング素子41の制御端子の浮遊容量41cに蓄積された電荷の駆動部114側への放電が、整流素子116によって阻害されている場合にも、過電圧保護回路78aがスイッチング素子41をオン状態からオフ状態に切り替えた際に、制御端子の浮遊容量41cに蓄積された電荷を放電抵抗118に放電することができ、過電圧保護回路78aでスイッチング素子41をターンオフさせる際にも、十分な速度でスイッチング素子41をターンオフさせることができる。
【0105】
しかしながら、過電圧保護回路78aの構成では、放電抵抗118が、通常時もスイッチング素子41の制御端子に接続されているため、駆動回路61でスイッチング素子41を駆動する際にも、放電抵抗118に常時電流が流れてしまう。従って、過電圧保護回路78aの構成では、通常時に放電抵抗118に常時流れる電流により、定常損失が増加してしまう。
【0106】
これに対して、本実施形態に係る電力変換装置10では、切替回路120が、駆動回路61及び駆動部114の少なくとも一方がスイッチング素子41をオン状態に切り替える状態の時に、スイッチング素子41の制御端子から放電抵抗118への電流の流れを抑制する第2状態に切り替える。これにより、駆動回路61又は駆動部114がスイッチング素子41の制御端子に高い電圧を印加し、スイッチング素子41をオン状態にする際に、放電抵抗118に電流が流れ、定常損失が増加してしまうことを抑制することができる。
【0107】
そして、本実施形態に係る電力変換装置10では、切替回路120が、駆動回路61及び駆動部114のそれぞれがスイッチング素子41をオフ状態に切り替える状態の時に、スイッチング素子41の制御端子から放電抵抗118への電流の流れを許容する第1状態に切り替える。これにより、スイッチング素子41の制御端子の浮遊容量41cに蓄積された電荷の駆動部114側への放電が、整流素子116によって阻害されている場合にも、過電圧保護回路78がスイッチング素子41をオン状態からオフ状態に切り替えた際に、制御端子の浮遊容量41cに蓄積された電荷を放電抵抗118に放電することができ、過電圧保護回路78でスイッチング素子41をターンオフさせる際にも、十分な速度でスイッチング素子41をターンオフさせることができる。
【0108】
また、本実施形態に係る電力変換装置10では、駆動回路61及び駆動部114の少なくとも一方がスイッチング素子41をオン状態に切り替える状態の時に、切替回路120を第2状態に切り替え、放電抵抗118に電流が流れることを抑制することにより、図4に表した構成などと比べて、放電抵抗118をより低抵抗に設定することができる。結果として、スイッチング素子41の制御端子の浮遊容量41cに蓄積された電荷の放電速度をさらに向上することができる。
【0109】
このように、本実施形態に係る電力変換装置10では、定常損失の増加を抑制しつつ、過電圧保護回路78によって十分な速度でスイッチング素子41をターンオフすることができる。
【0110】
図5は、変換器の変形例を模式的に表すブロック図である。
図5に表したように、この例の変換器CELaは、スイッチング素子41、42を有するとともに、スイッチング素子43、44をさらに有する。スイッチング素子43、44には、スイッチング素子41、42と実質的に同じ素子が用いられる。
【0111】
スイッチング素子43、44は、直列に接続されている。スイッチング素子43、44の直列接続体は、スイッチング素子41、42の直列接続体に対して並列に接続されている。すなわち、この例において、変換器CELaは、フルブリッジ接続された4つのスイッチング素子41~44を有する。この例において、変換器CELaは、フルブリッジ構成の変換器である。
【0112】
変換器CELaは、整流素子53、54、及び駆動回路63、64をさらに有する。整流素子53は、スイッチング素子43に対して逆並列に接続されている。整流素子54は、スイッチング素子44に対して逆並列に接続されている。駆動回路63は、入力された制御信号に基づいて、スイッチング素子43のオン状態とオフ状態とを切り替える。駆動回路64は、入力された制御信号に基づいて、スイッチング素子44のオン状態とオフ状態とを切り替える。
【0113】
変換器CELaでは、接続端子71が、スイッチング素子41とスイッチング素子42との間に接続されている。接続端子72は、スイッチング素子43とスイッチング素子44との間に接続されている。この例において、接続端子72は、スイッチング素子43を介してスイッチング素子41のスイッチング素子42に接続された主端子と反対側の主端子に接続される。
【0114】
変換器CELaでは、電荷蓄積素子74の電圧をVcとする時に、スイッチング素子41とスイッチング素子44とをオン状態にし、スイッチング素子42とスイッチング素子43とをオフ状態にすることにより、各接続端子71、72間に+Vcの電圧が現れる。
【0115】
また、スイッチング素子42とスイッチング素子43とをオン状態にし、スイッチング素子41とスイッチング素子44とをオフ状態にすることにより、各接続端子71、72間に-Vcの電圧が現れる。
【0116】
さらに、ローサイド側のスイッチング素子41、43をオン状態にし、ハイサイド側のスイッチング素子42、44をオフ状態にする。もしくは、ハイサイド側のスイッチング素子42、44をオン状態にし、ローサイド側のスイッチング素子41、43をオフ状態にする。これにより、各接続端子71、72間が導通され、各接続端子71、72間に実質的に0Vが現れる。
【0117】
このように、この変換器CELaでは、各接続端子71、72間に、+Vc、0、-Vcの3レベルの電圧を出力することができる。変換器CELaは、複数のスイッチング素子41~44のスイッチングにより、+Vcの電圧を各接続端子71、72間に出力する第1出力状態と、-Vcの電圧を各接続端子71、72間に出力する第2出力状態と、各接続端子71、72間を導通させたバイパス状態と、各スイッチング素子41~44をオフ状態とした停止状態と、を切り替えることができる。
【0118】
過電圧保護回路78は、例えば、電荷蓄積素子74の直流電圧が上限値以上になった際に、ローサイド側のスイッチング素子41、43をオン状態に切り替えることにより、変換器CELaをバイパス状態に切り替える。
【0119】
過電圧保護回路78は、例えば、図3に表した電源生成回路110、信号生成部112、駆動部114、整流素子116、放電抵抗118、及び切替回路120をスイッチング素子41、43のそれぞれに対して設ける。換言すれば、変換器CELaにおいては、過電圧保護回路78が、図3に表したスイッチング素子41に対する構成と同様の構成をスイッチング素子43に対しても設ける。
【0120】
一方の切替回路120は、駆動回路61及び駆動部114のそれぞれがスイッチング素子41をオフ状態に切り替える状態の時に、第1状態に切り替え、駆動回路61及び駆動部114の少なくとも一方がスイッチング素子41をオン状態に切り替える状態の時に、第2状態に切り替える。そして、他方の切替回路120は、駆動回路63及び駆動部114のそれぞれがスイッチング素子43をオフ状態に切り替える状態の時に、第1状態に切り替え、駆動回路63及び駆動部114の少なくとも一方がスイッチング素子43をオン状態に切り替える状態の時に、第2状態に切り替える。
【0121】
これにより、フルブリッジ回路の変換器CELaにおいても、ハーフブリッジ回路の変換器CELと同様の効果を得ることができる。このように、変換器の構成は、ハーフブリッジ回路でもよいし、フルブリッジ回路でもよい。
【0122】
なお、フルブリッジ回路の変換器CELaの場合には、上記のように、ローサイド側のスイッチング素子41、43でバイパス状態とすることが好ましい。ローサイド側のスイッチング素子41、43の場合には、低電位側の主端子の電位が、スイッチング素子41、43のそれぞれで共通である。これに対し、ハイサイド側のスイッチング素子42、44の場合は、低電位側の主端子の電位が、スイッチング素子42、44のそれぞれで異なる可能性がある。従って、ローサイド側のスイッチング素子41、43でバイパス状態とする方が、過電圧保護回路78の構成を簡単にすることができる。例えば、ローサイド側のスイッチング素子41、43でバイパス状態とする場合には、電源生成回路110、信号生成部112、及び駆動部114などをスイッチング素子41、43に対して共通に用いることもできる。換言すれば、整流素子116、放電抵抗118、及び切替回路120をスイッチング素子41、43のそれぞれに対応させて2つ設けることで、過電圧保護動作を行うことができる。
【0123】
上記各実施形態では、主回路部12にMMC型の電力変換器を用いている。主回路部12は、MMC型に限ることなく、例えば、MV(Medium Voltage)型の電力変換器など、複数の変換器CELを直列に接続する他の方式の電力変換器でもよい。
【0124】
電力変換装置10は、直流送電システムに限ることなく、交流から直流への変換及び直流から交流への変換が必要な他の任意のシステムなどに適用してもよい。主回路部12による交直変換は、交流から直流及び直流から交流の双方に限ることなく、交流から直流又は直流から交流の一方のみでもよい。また、主回路部12は、例えば、交流交流直接変換回路などでもよい。
【0125】
主回路部12の構成は、例えば、複数のアーム部をスター結線、デルタ結線、あるいはマトリックス結線した構成などでもよい。主回路部12は、例えば、モジュラーマトリックスコンバータなどでもよい。主回路部12は、必ずしも複数のレグを有しなくてもよい。主回路部は、少なくとも複数のアーム部を有していればよい。主回路部の構成は、電力の変換が可能な任意の構成でよい。電力変換装置は、例えば、周波数変換装置、直流送電装置、無効電力補償装置、あるいは電力潮流制御装置などでもよい。
【0126】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0127】
2…交流電力系統、 3、4…直流送電線、 6…変圧器、 10…電力変換装置、 12…主回路部、 14…制御装置、 20a…第1直流端子、 20b…第2直流端子、 21a…第1交流端子、 21b…第2交流端子、 21c…第3交流端子、 22a…第1アーム部、 22b…第2アーム部、 22c…第3アーム部、 22d…第4アーム部、 22e…第5アーム部、 22f…第6アーム部、 23a~23f…バッファリアクトル、 24a~24f…電流検出器、 25…電圧検出部、 26…信号線、 41~44…スイッチング素子、 51~54…整流素子、 61~64…駆動回路、 71、72…接続端子と、 74…電荷蓄積素子、 76…主回路給電回路、 78、78a…過電圧保護回路、 100…電源生成回路、 102…駆動部、 110…電源生成回路、 112…信号生成部、 114…駆動部、 116…整流素子、 118…放電抵抗、 120…切替回路、 121…切替スイッチ、 122…駆動部、 123、124…整流素子、 125…抵抗素子、 CEL、CELa…変換器、 LG1…第1レグ、 LG2…第2レグ、 LG3…第3レグ
図1
図2
図3
図4
図5