(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】テーブル駆動装置、工作機械、および、ワーク加工方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/12 20060101AFI20231002BHJP
H02K 9/06 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
B23Q11/12 C
H02K9/06 A
(21)【出願番号】P 2023534247
(86)(22)【出願日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2023011057
【審査請求日】2023-06-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114787
【氏名又は名称】ヤマザキマザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】坂井 宣博
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-079521(JP,A)
【文献】特開2022-189362(JP,A)
【文献】特開2006-142385(JP,A)
【文献】特開2002-346860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/12
H02K 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを支持するテーブルを有するテーブル装置と、
前記テーブル装置を支持する支持台と、
前記支持台に接する第1部分、および、前記第1部分と比較して前記支持台から遠い位置に配置される第2部分を有し、前記支持台に対して前記テーブル装置を相対移動させる第1モータと、
前記第1モータを冷却する冷却装置と
を具備し、
前記冷却装置は、
エアに運動量を付与するファンと、
前記第1モータの前記第1部分に前記エアを供給する供給ダクトと、
前記第1モータの前記第2部分の周囲から前記エアを排気する排気ダクトと
を有する
テーブル駆動装置。
【請求項2】
前記テーブル装置は、前記テーブルを直接的または間接的に支持する支持ブロックを含み、
前記第1モータは、前記支持ブロックを傾動させるモータである
請求項1に記載のテーブル駆動装置。
【請求項3】
前記第1モータを囲むカバーを備え、
前記カバーは、前記第1モータの前記第1部分から前記第1モータの前記第2部分に向かうエア流路を規定する
請求項1または2に記載のテーブル駆動装置。
【請求項4】
前記テーブルが配置される第1領域と、前記第1モータおよび前記カバーが配置される第2領域とを仕切る仕切り壁を更に具備し、
前記カバーは、前記第1モータと前記仕切り壁との間に配置される第1壁を含む
請求項3に記載のテーブル駆動装置。
【請求項5】
前記供給ダクト、前記カバー、および、前記排気ダクトによって、略U字状のエア流路が規定される
請求項
3に記載のテーブル駆動装置。
【請求項6】
前記供給ダクトと前記カバーとのアセンブリが、略T字形状または略L字形状を有するように、前記供給ダクトと前記カバーとが接続されている
請求項
3に記載のテーブル駆動装置。
【請求項7】
前記第1モータに電力を供給する給電線、前記第1モータの回転部の回転を停止させる制御指令を送信する制御線、および、前記第1モータに設けられたエンコーダからの信号を制御装置に伝達する信号線のうちの少なくとも一つが、前記供給ダクトおよび前記排気ダクトのうちの少なくとも一方に形成された開口を通過するように配置されている
請求項
3に記載のテーブル駆動装置。
【請求項8】
前記第1モータは、前記支持台の直上に配置される
請求項
1または2に記載のテーブル駆動装置。
【請求項9】
冷却液を用いて第2モータを冷却する第2冷却装置を更に具備し、
前記テーブル装置は、
前記テーブルが固定され、前記支持ブロックによって第2軸まわりに回転可能に支持される回転体と、
前記回転体を前記第2軸まわりに回転させる前記第2モータと
を有し、
前記冷却液が流れる冷却液流路は、前記支持台を通過するように配置される
請求項2に記載のテーブル駆動装置。
【請求項10】
前記供給ダクトのエア取込口は、側方開口であり
前記排気ダクトのエア吹出口は、上方開口である
請求項
1または2に記載のテーブル駆動装置。
【請求項11】
ワークを加工する工具を支持する加工ヘッドと、
前記加工ヘッドを移動させる移動装置と、
テーブル駆動装置と
を具備し、
前記テーブル駆動装置は、
前記ワークを支持するテーブルを有するテーブル装置と、
前記テーブル装置を支持する支持台と、
前記支持台に接する第1部分、および、前記第1部分と比較して前記支持台から遠い位置に配置される第2部分を有し、前記支持台に対して前記テーブル装置を相対移動させる第1モータと、
前記第1モータを冷却する冷却装置と
を備え、
前記冷却装置は、
エアに運動量を付与するファンと、
前記第1モータの前記第1部分に前記エアを供給する供給ダクトと、
前記第1モータの前記第2部分の周囲から前記エアを排気する排気ダクトと
を有する
工作機械。
【請求項12】
平面視において、前記テーブル駆動装置および前記加工ヘッドを囲む外壁を更に具備し、
前記供給ダクトの第1端部は、前記外壁に形成された第1開口部に接続されている
請求項11に記載の工作機械。
【請求項13】
前記排気ダクトのエア吹出口は、平面視において前記外壁よりも内側に配置されている
請求項12に記載の工作機械。
【請求項14】
前記加工ヘッドを含む構造体を移動可能に支持するベース構造体と、
前記第1モータを囲むカバーと
を備え、
前記カバーは、前記第1モータと前記ベース構造体との間に配置される第1壁を含む
請求項12または13に記載の工作機械。
【請求項15】
支持台に接する第1モータを冷却する工程と、
テーブル装置のテーブルにワークを固定する工程と、
前記第1モータの駆動力を用いて、前記テーブル装置を支持する前記支持台に対して前記テーブル装置を相対移動させる工程と、
工具を用いて前記ワークを加工する工程と
を具備し、
前記第1モータを冷却する工程は、
ファンを用いてエアに運動量を付与することと、
前記第1モータの第1部分に、供給ダクトから前記エアを供給することと、
前記支持台から離れる方向に、前記第1モータの前記第1部分から前記第1モータの第2部分に向けて前記エアを流すことにより、前記エアを用いて前記第1モータを冷却することと、
前記第1モータの前記第2部分の周囲から、排気ダクトを介して、前記エアを排出することと
を含む
ワーク加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル駆動装置、工作機械、および、ワーク加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ等の発熱体を冷却する技術が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、工作機械用の割出し装置における発熱体の冷却回路が開示されている。特許文献1に記載の冷却回路は、発熱体の周囲に設けられた冷却流路を有する。より具体的には、特許文献1では、モータのステータに接するように冷却用ジャケットが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、モータから生じる熱がテーブル装置を支持する支持台に伝わることを抑制することが可能なテーブル駆動装置、工作機械、および、ワーク加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態におけるテーブル駆動装置は、ワークを支持するテーブルを有するテーブル装置と、前記テーブル装置を支持する支持台と、前記支持台に接する第1部分、および、前記第1部分と比較して前記支持台から遠い位置に配置される第2部分を有し、前記支持台に対して前記テーブル装置を相対移動させる第1モータと、前記第1モータを冷却する冷却装置と、を具備する。前記冷却装置は、エアに運動量を付与するファンと、前記第1モータの前記第1部分に前記エアを供給する供給ダクトと、前記第1モータの前記第2部分の周囲から前記エアを排気する排気ダクトと、を有する。
【0007】
いくつかの実施形態における工作機械は、ワークを加工する工具を支持する加工ヘッドと、前記加工ヘッドを移動させる移動装置と、テーブル駆動装置と、を具備する。前記テーブル駆動装置は、前記ワークを支持するテーブルを有するテーブル装置と、前記テーブル装置を支持する支持台と、前記支持台に接する第1部分、および、前記第1部分と比較して前記支持台から遠い位置に配置される第2部分を有し、前記支持台に対して前記テーブル装置を相対移動させる第1モータと、前記第1モータを冷却する冷却装置と、を備える。前記冷却装置は、エアに運動量を付与するファンと、前記第1モータの前記第1部分に前記エアを供給する供給ダクトと、前記第1モータの前記第2部分の周囲から前記エアを排気する排気ダクトと、を有する。
【0008】
いくつかの実施形態におけるワーク加工方法は、支持台に接する第1モータを冷却する工程と、テーブル装置のテーブルにワークを固定する工程と、前記第1モータの駆動力を用いて、前記テーブル装置を支持する前記支持台に対して前記テーブル装置を相対移動させる工程と、工具を用いて前記ワークを加工する工程と、を具備する。前記第1モータを冷却する工程は、ファンを用いてエアに運動量を付与することと、前記第1モータの第1部分に、供給ダクトから前記エアを供給することと、前記支持台から離れる方向に、前記第1モータの前記第1部分から前記第1モータの第2部分に向けて前記エアを流すことにより、前記エアを用いて前記第1モータを冷却することと、前記第1モータの前記第2部分の周囲から、排気ダクトを介して、前記エアを排出することと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、モータから生じる熱がテーブル装置の支持台に伝わることを抑制することが可能なテーブル駆動装置、工作機械、および、ワーク加工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態における工作機械を模式的に示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、供給ダクト、排気ダクト、および、カバーの配置の一例を模式的に示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、第1モータから支持ブロックに動力を伝達する機構の一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、第2モータから回転体に動力を伝達する機構の一例を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、供給ダクト、および、排気ダクトの配置の一例を模式的に示す概略断面図である。
【
図6】
図6は、第2冷却装置の一例について説明するための図である。
【
図7】
図7は、ダクトの配置の変形例を模式的に示す概略断面図である。
【
図8】
図8は、第1モータの配置の変形例を模式的に示す概略平面図である。
【
図9】
図9は、加工ヘッドを移動させる移動装置の一例について説明するための概略斜視図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態における工作機械を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態の変形例における工作機械を模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、第1モータから回転体に動力を伝達する機構の一例を模式的に示す図である。
【
図13】
図13は、第3の実施形態における工作機械の一部分を模式的に示す図である。
【
図14】
図14は、第3の実施形態における工作機械の一部分を模式的に示す概略断面図である。
【
図15】
図15は、加工ヘッドを移動させる移動装置の一例について説明するための概略斜視図である。
【
図16】
図16は、供給ダクト、排気ダクト、および、カバーの配置の一例を模式的に示す図である。
【
図17】
図17は、制御装置と制御対象機器との間の接続関係の一例を模式的に示す図である。
【
図18】
図18は、制御装置が、温度センサからの信号に基づいてファンモータを制御可能な様子を模式的に示す図である。
【
図19】
図19は、実施形態におけるワーク加工方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、実施形態におけるテーブル駆動装置1、工作機械100、および、ワーク加工方法について説明する。なお、以下の実施形態の説明において、同一の機能を有する部位、部材については同一の符号を付し、同一の符号が付された部位、部材についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1乃至
図9を参照して、第1の実施形態におけるテーブル駆動装置1A、および、工作機械100Aについて説明する。
図1は、第1の実施形態における工作機械100Aを模式的に示す概略断面図である。
図2は、供給ダクト51、排気ダクト54、および、カバー6の配置の一例を模式的に示す概略断面図である。なお、
図2において、第1モータ4が配置される領域にはドットによるハッチングが付与され、第1モータ4の内部構造の記載は省略されている。
図3は、第1モータ4から支持ブロック22に動力を伝達する機構の一例を模式的に示す図である。
図4は、第2モータ14から回転体24に動力を伝達する機構の一例を模式的に示す図である。
図5は、供給ダクト51、および、排気ダクト54の配置の一例を模式的に示す概略断面図である。なお、
図5において、第1モータ4が配置される領域にはドットによるハッチングが付与され、第1モータ4の内部構造の記載は省略されている。
図6は、第2冷却装置15の一例について説明するための図である。
図7は、ダクト50の配置の変形例を模式的に示す概略断面図である。なお、
図7において、第1モータ4が配置される領域にはドットによるハッチングが付与され、第1モータ4の内部構造の記載は省略されている。
図8は、第1モータ4の配置の変形例を模式的に示す概略平面図である。
図9は、加工ヘッドHDを移動させる移動装置103の一例について説明するための概略斜視図である。なお、
図9において、ダクト50、カバー6、仕切り壁11、外壁108等の記載は省略されている。
【0013】
図1に例示されるように、第1の実施形態におけるテーブル駆動装置1Aは、テーブル装置2と、支持台3と、第1モータ4と、冷却装置5と、を具備する。
【0014】
テーブル装置2は、加工対象物であるワークWを支持するテーブル21を有する。また、支持台3は、テーブル装置2を支持する。
【0015】
第1モータ4は、支持台3に接する第1部分41と、第1部分41と比較して支持台3から遠い位置に配置される第2部分42とを有する。
図2に記載の例では、第1モータ4の第1部分41が支持台3によって支持されている。
図2に記載の例では、第1部分41は第1モータ4の第1端部41aを含み、第2部分42は第1モータ4の第2端部42aを含む。第1端部41aは、第2端部42aと比較して支持台3に近い端部であり、第2端部42aは、第1端部41aと比較して支持台3から遠い端部である。
【0016】
図1に記載の例において、第1モータ4は、支持台3に対してテーブル装置2を相対移動させる。
図1に記載の例では、第1モータ4は、テーブル装置2を第1軸AX1まわりに傾動させる。支持台3に対してテーブル装置2が相対移動される際に、第1モータ4には電流が供給される。第1モータ4は、電気的エネルギを、運動エネルギに変換し、当該運動エネルギを用いて、支持台3に対してテーブル装置2が相対移動される。なお、第1モータ4に電流が流れることにより、第1モータ4は発熱する。
【0017】
冷却装置5は、第1モータ4を冷却する。冷却装置5は、エアに運動量を付与するファン58と、当該エアが流れるダクト50と、を有する。
図2に記載の例では、テーブル駆動装置1Aは、ファン58を駆動させるファンモータ59を有する。ファンモータ59によってファン58が回転駆動されると、ファン58によって、エアに運動量が付与される。こうして、運動量が付与されたエアは、ダクト50内を流れる。
【0018】
ダクト50は、供給ダクト51と、排気ダクト54とを含む。供給ダクト51は、第1モータ4の第1部分41(換言すれば、第1モータ4のうちの支持台3側の第1部分41)にエアを供給する。排気ダクト54は、第1モータ4の第2部分42の周囲(換言すれば、第1モータ4のうちの支持台3側とは反対側の第2部分42の周囲)からエアを排気する。
【0019】
図1に例示されるように、第1の実施形態における工作機械100Aは、上述のテーブル駆動装置1Aに加え、ワークWを加工する工具Tを支持する加工ヘッドHDと、加工ヘッドを移動させる移動装置103と、を具備する。加工ヘッドHDは、工具Tが鉛直方向に略平行な姿勢となるように工具Tを支持するように構成されてもよいし、工具Tが水平方向に略平行な姿勢となるように工具Tを支持するように構成されてもよいし、工具Tの姿勢を変更可能なように工具Tを支持するように構成されてもよい。工作機械100Aは、平面視において、テーブル駆動装置1A、および、加工ヘッドHDを囲む外壁108を有していてもよい。外壁108は、平面視において、テーブル駆動装置1A、加工ヘッドHD、および、移動装置103を囲むように配置されていてもよい。また、外壁108には、外壁108の外側から外壁108の内側にワークWを挿入可能な開口B1(必要であれば、
図8を参照。)が形成されていてもよい。また、工作機械100Aは、当該開口B1を開閉可能な扉109(必要であれば、
図8を参照。)を有していてもよい。
【0020】
第1の実施形態におけるテーブル駆動装置1Aおよび工作機械100Aでは、供給ダクト51によって第1モータ4の第1部分41にエアが供給されることにより、第1モータ4の第1部分41が、効果的に冷却される。よって、第1モータ4から生じる熱が、第1部分41から支持台3に伝達されることが防止または抑制される。また、第1の実施形態におけるテーブル駆動装置1Aおよび工作機械100Aでは、第1部分41にエアが供給され、第2部分42の周囲からエアが排気される。こうして、第1モータ4の第1部分41から第1モータ4の第2部分42に向かうエアの流れが形成される。よって、支持台3に近い第1部分41の冷却に用いられたエアが、第1モータ4の中央部分あるいは第1モータ4の第2部分42の冷却にも利用される。また、第1モータ4の第1部分41から第1モータ4の第2部分42に向かう方向は、支持台3から離れる方向である。よって、第1モータ4との接触により温度が上昇したエアが、支持台3に向かって移動することが防止または抑制される。
【0021】
第1の実施形態におけるテーブル駆動装置1Aおよび工作機械100Aでは、第1モータ4から、第1部分41あるいはエアを介して、支持台3に熱が伝わることが抑制されるため、支持台3およびテーブル装置2の熱変形が抑制される。よって、第1モータ4の使用時間の増加に伴って、テーブル装置2によって支持されるワークWの位置精度が低下することが抑制される。また、ワークWの位置精度の低下が抑制されるため、ワークWの加工精度の低下も抑制される。特に、第1モータ4のうちの支持台3に近い第1部分41がエアによって優先的に冷却され、且つ、第1部分41の冷却に用いられたエアが支持台3から離れる方向に移動することにより、支持台3およびテーブル装置2の熱変形が効率的に抑制される。
【0022】
第1の実施形態におけるテーブル駆動装置1Aおよび工作機械100Aでは、ダクト50およびファン58を用いた冷却装置5が用いられるため、支持台3の内部に冷却液等を循環させる場合と比較して、支持台3の構造の複雑化が抑制される。また、エアによって冷却が行われるため、冷却装置5による消費電力が小さくて済む(換言すれば、省エネタイプの冷却方式が実現される。)。また、エアによって冷却が行われるため、環境への負荷が小さい。
【0023】
(任意付加的な構成)
続いて、
図1乃至
図9を参照して、第1の実施形態におけるテーブル駆動装置1Aおよび工作機械100Aにおいて採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0024】
(テーブル装置2の傾動)
図1に記載の例では、支持台3は、テーブル装置2を第1軸AX1まわりに傾動可能に支持する。より具体的には、テーブル装置2は、テーブル21を直接的または間接的に支持する支持ブロック22を含み、支持台3は、当該支持ブロック22を第1軸AX1まわりに傾動可能に支持する。支持ブロック22は、複数の部品のアセンブリによって構成される。支持ブロック22は、第1支持台3aによって傾動可能に支持される第1ブロック22a(例えば、円柱状の第1ブロック)と、第2支持台3bによって傾動可能に支持される第2ブロック22b(例えば、円柱状の第2ブロック)と、テーブル21が固定された回転体を回転可能に支持する第3ブロック22cとを含むアセンブリによって構成されていてもよい。
【0025】
図1に記載の例において、第1モータ4は、支持ブロック22を第1軸AX1まわりに傾動させるモータである。第1軸AX1は、例えば、水平面に平行な軸である。
【0026】
図1に記載の例では、第1モータ4は、支持台3に内蔵されていない。換言すれば、第1モータ4は、支持台3の外側に配置されている。この場合、第1モータ4が支持台3に内蔵されたダイレクトドライブモータである場合と比較して、支持台3の構造がシンプルになる。また、第1モータ4が支持台3の外側に配置される場合、第1モータ4から生じる熱が支持台3内に籠らない。よって、冷却装置を用いて第1モータ4を冷却しない場合でも、第1モータ4の発熱に起因する支持台3の熱変形は相対的に小さい。上述の冷却装置5を用いて第1モータ4の第1部分41を優先的に冷却する場合には、第1モータ4の発熱に起因する支持台3の熱変形が更に小さくなる。
【0027】
図1に記載の例では、支持ブロック22は、支持台3(より具体的には、第1支持台3a)によって傾動可能に支持される第1端部2aと、支持台3(より具体的には、第2支持台3b)によって傾動可能に支持される第2端部2bとを有する。
図3に記載の例では、第1モータ4の出力軸44は、支持ブロック22(より具体的には、支持ブロック22の第1端部2a)に動力伝達可能に接続されている。
図3に記載の例において、第1モータ4の出力軸44が回転すると、支持ブロック22は、第1軸AX1まわりに傾動する。
【0028】
付加的に、
図4に例示されるように、テーブル装置2は、テーブル21(必要であれば、
図1を参照。)が固定される回転体24と、第2モータ14とを含んでいてもよい。第2モータ14は、回転体24を第2軸AX2まわりに回転させる。
【0029】
図4に記載の例では、回転体24は、支持ブロック22によって、第2軸AX2まわりに回転可能なように支持される。また、第2モータ14の出力軸144は、回転体24に動力伝達可能に接続されている。
図4に記載の例において、第2モータ14の出力軸144が回転すると、回転体24は、第2軸AX2まわりに回転する。こうして、回転体24に固定されたテーブル21が第2軸AX2まわりに回転する。
図4に記載の例では、第2軸AX2は、第1軸AX1に平行な方向に対して垂直な軸である。
図4に記載の例では、第2モータ14は、機械的な動力伝達機構M2を介して回転体24を回転させるモータである。代替的に、第2モータ14は、回転体24を直接的に駆動するダイレクトドライブモータであってもよい。より具体的には、第2モータ14は、回転体24に固定されるロータと、支持ブロック22に固定されるステータとを含んでいてもよい。
【0030】
(カバー6)
図2に記載の例では、テーブル駆動装置1Aは、第1モータ4を囲むカバー6を備える。カバー6は、第1ポート69aと、第2ポート69bと、壁60とを有する。
【0031】
第1ポート69aは、供給ダクト51からカバー6の内部領域SP1にエアを導入するための導入口として機能する。第2ポート69bは、カバー6の内部領域SP1から排気ダクト54にエアを排出する排出口として機能する。
【0032】
図2に記載の例では、カバー6は、第1ポート69aから第2ポート69bに至るエア流路を規定する。以下、カバー6によって規定されるエア流路(より具体的には、第1ポート69aから第2ポート69bに至るエア流路)を第1流路FP1と定義する。
【0033】
テーブル駆動装置1Aが、第1モータ4を囲むカバー6を有する場合、エアによる第1モータ4の冷却効率が向上する。また、第1モータ4から生じる熱が、排気ダクト54以外の経路で、第1モータ4の周囲から散逸しにくくなる。よって、第1モータ4の周囲に配置された部材の熱変形がより効果的に抑制される。
図2に記載の例では、カバー6は、第1モータ4の第1部分41から第2部分42に向かうエア流路(より具体的には、第1ポート69aから第2ポート69bに至る第1流路FP1)を規定する。この場合、第1モータ4の第1部分41が優先的に冷却されつつ、第1モータ4の全体も効率的に冷却される。
【0034】
図2に記載の例では、カバー6の内部領域SP1に第1モータ4が配置されるため、第1モータ4の占有分だけ、第1流路FP1の流路断面積が小さくなる。また、第1流路FP1の流路断面積が小さくなるため、第1流路FP1を流れるエアの速度が増加する。よって、速度が相対的に速いエアによって、更に効率的に第1モータ4が冷却される。また、速度が相対的に速いエアによって、カバー6も効率的に冷却される。よって、カバー6から、カバー6の外側に配置された部材に、熱が伝わることが抑制される。こうして、カバー6の外側に配置された部材の熱変形が更により効果的に抑制される。
【0035】
図2に記載の例では、カバー6は、第1壁62aおよび第2壁62bを含む複数の壁60を有する。また、複数の壁60によって、第1モータ4を収容するハウジングが構成されている。
図2に記載の例では、第2壁62bに第1ポート69aが形成されている。また、当該第2壁62bに第2ポート69bが形成されている。
図2に記載の例では、第2ポート69bが第1ポート69aよりも上方に配置されている。よって、カバー6は、全体として上に向かう運動量成分を有するエアの流れを形成する。
【0036】
複数の壁60は、第1モータ4の側面に対向配置される側壁62と、第1モータ4の頂部4tを覆う頂壁63とを含んでいてもよい。
【0037】
図2に記載の例では、カバー6の下端部が支持台3の頂部3tに取り付けられている。カバー6は、第1モータ4と、支持台3の一部分31t(より具体的には、支持台3の頂部3tの一部分31t)と、を囲んでいてもよい。
【0038】
図2に記載の例では、カバー6は、板材(より具体的には、金属製の板材)によって構成されている。
【0039】
代替的に、
図5に例示されるように、カバー6は省略されてもよい。
【0040】
(仕切り壁11)
図1に記載の例では、テーブル駆動装置1Aは、仕切り壁11を備える。仕切り壁11は、ワークWが加工される加工領域(換言すれば、ワークWを支持するテーブル21が配置される第1領域RG1)と、第1モータ4およびカバー6が配置される第2領域RG2とを仕切る。
【0041】
テーブル駆動装置1Aが仕切り壁11を備える場合、ワークWの加工によって生じる切屑、あるいは、加工時にワークWに供給されるクーラント液が、加工領域である第1領域RG1から第2領域RG2に飛散することが防止される。なお、クーラント液のミストは、仕切り壁11と他の部材との間の隙間を介して第2領域RG2に侵入し得る。第1モータ4がカバー6によって囲まれ、カバー6内の内部空間に供給ダクト51からエアが供給される場合、カバー6の内部空間に、当該ミストが侵入することが効果的に抑制される。
【0042】
カバー6は、第1モータ4と仕切り壁11との間に配置される第1壁62aを含んでいてもよい。また、第1モータ4と仕切り壁11との間に第1壁62aが配置される場合、第1モータ4から生じる熱が、仕切り壁11に伝わることが、第1壁62aによって抑制される。
図1に記載の例では、第1壁62aは、空間SP2を介して、仕切り壁11に対向配置されている。当該空間SP2が第1壁62aと仕切り壁11との間の空気層として機能するため、第1モータ4から生じる熱が、仕切り壁11に伝わることが、更により効果的に抑制される。
【0043】
(動力伝達部材13)
図3に記載の例では、第1モータ4は、機械的な動力伝達機構M1を介してテーブル装置2の支持ブロック22(より具体的には、第1ブロック22a)に動力を伝達する。
【0044】
図3に記載の例では、テーブル駆動装置1Aは、第1モータ4の駆動力を、テーブル装置2の支持ブロック22に伝達する動力伝達部材13を有する。
図3に記載の例では、動力伝達部材13は、(1)第1モータ4の出力軸44に連結される第1シャフト131と、(2)支持ブロック22に連結され、第1シャフト131の中心軸AX3まわりの第1シャフト131の回転を、第1軸AX1まわりの支持ブロック22の回転に変換する変換部材133と、を含む。なお、動力伝達部材13、あるいは、変換部材133としては、公知の任意の部材(例えば、シャフト、カム、歯車、伝動ベルト等)を採用可能である。
【0045】
図3に記載の例では、第1シャフト131は、ローラギヤカム131a(「グロボイダルカム」と呼ばれることもある。)を含み、変換部材133は、支持ブロック22の周囲に配置された複数のカムフォロワ133aを含む。代替的に、第1シャフト131がウォームギヤを含み、支持ブロック22がウォームギヤに噛み合う歯車を含んでいてもよい。更に代替的に、第1シャフト131が第1傘歯車を含み、支持ブロック22が第1傘歯車に噛み合う第2傘歯車を含んでいてもよい。
【0046】
図3に記載の例では、支持ブロック22の回動軸である第1軸AX1は、第1モータ4の出力軸44(あるいは、第1シャフト131の中心軸AX3)に垂直な面に対して平行である。代替的に、複数の汎用の歯車、あるいは、伝動ベルトを用いて、第1シャフト131と支持ブロック22との間で動力伝達が行われる場合には、支持ブロック22の回動軸である第1軸AX1は、第1シャフト131の中心軸AX3と平行であってもよい。
【0047】
(第2冷却装置15)
図6に例示されるように、テーブル駆動装置1Aは、冷却液を用いて第2モータ14を冷却する第2冷却装置15を備えていてもよい。第2冷却装置15は、冷却液が流れる冷却液流路FLを有する。冷却液流路FLは、例えば、支持台3を通過するように配置される。第2冷却装置15は、冷却液流路FL内で冷却液を循環させるポンプ151を有していてもよい。
【0048】
図6に記載の例では、第1モータ4が、供給ダクト51から供給されるエアによって冷却され、第2モータ14が、冷却液流路FLを流れる冷却液を用いて冷却される。よって、第1モータ4および第2モータ14の両方が冷却液を用いて冷却される場合と比較して、冷却液流路FLが複雑化しない。例えば、支持台3の内部に第1モータ4を冷却するための冷却液流路を設ける必要がないため、支持台3の構造が複雑化しない。また、支持台3の内部に第1モータ4を冷却するための冷却液流路を設ける必要がないため、支持台3の大型化が抑制される。
【0049】
図6に記載の例では、第1モータ4と比較してテーブル21に近い位置に配置される第2モータ14が冷却液を用いて冷却される。よって、第2モータ14の発熱に起因するテーブル装置2の熱変形が効果的に抑制される。また、第2モータ14と比較してテーブル21から遠い位置に配置される第1モータ4がエアを用いて冷却される。よって、テーブル駆動装置1Aの構造の複雑化が抑制されつつ、第1モータ4の発熱に起因する支持台3の熱変形が抑制される。
【0050】
(支持台3)
図1に記載の例では、支持台3は、テーブル装置2の第1端部2aを傾動可能に支持する第1支持台3aと、テーブル装置2の第2端部2bを傾動可能に支持する第2支持台3bとを含む。また、第1モータ4の第1部分41が、第1支持台3aに接している。より具体的には、第1モータ4の第1部分41が、第1支持台3aに取り付けられている。
【0051】
(ベース構造体9)
図1に記載の例では、工作機械100Aは、ベース構造体9を備える。ベース構造体9には、支持台3(より具体的には、第1支持台3a、および、第2支持台3b)が固定される。ベース構造体9には、加工ヘッドHDを移動させる移動装置103の固定部分が固定されていてもよい。
図1に記載の例では、ベース構造体9に支持台3が固定され、支持台3に第1モータ4を囲むカバー6が固定されている。換言すれば、カバー6は、ベース構造体9に対して相対移動不能なように、支持台3を介してベース構造体9によって支持されている。また、
図1に記載の例では、支持台3に第1モータ4の第1部分41が固定されている。換言すれば、第1モータ4の第1部分41は、ベース構造体9に対して相対移動不能なように、支持台3を介してベース構造体9によって支持されている。
【0052】
(ダクト50)
本明細書において、第1支持台3aから第2支持台3bに向かう方向を第1方向DR1と定義し、第1方向DR1とは反対の方向を第2方向DR2と定義する。
図2に記載の例では、供給ダクト51は、第1端部51aと、第2端部51bとを有する。第1端部51aには、エア取込口OP1が設けられ、第2端部51bには、エア吹出口OP2が設けられる。
図2に記載の例では、供給ダクト51の第1端部51aから供給ダクト51の内部にエアが取り込まれ、供給ダクト51の第2端部51bから、第1モータ4の第1部分41に向けてエアが吹き出される。
図2に記載の例では、第2端部51bは、第1端部51aよりも第1方向DR1側に配置されている。よって、供給ダクト51は、全体として第1方向DR1に沿う方向の運動量成分を有するエアの流れを形成する。
【0053】
平面視において、供給ダクト51の延在方向は、第1方向DR1に平行であってもよい。また、
図1に例示されるように、供給ダクト51の第1端部51aは、外壁108に形成された第1開口部E1に接続されていてもよい。
【0054】
図2に記載の例では、排気ダクト54は、第1端部54aと、第2端部54bとを有する。第1端部54aには、エア取込口OP3が設けられ、第2端部54bには、エア吹出口OP4が設けられる。換言すれば、排気ダクト54の第1端部54aから排気ダクト54の内部にエアが取り込まれ、排気ダクト54の第2端部54bからエアが吹き出される。
図2に記載の例では、第2端部54bは、第1端部54aよりも第2方向DR2側に配置されている。よって、排気ダクト54は、全体として第2方向DR2に沿う方向の運動量成分を有するエアの流れを形成する。
【0055】
図2に記載の例では、排気ダクト54は、供給ダクト51よりも上方に配置されている。排気ダクト54は、供給ダクト51の直上に配置されてもよい。この場合、平面視におけるダクト50のサイズをコンパクトにすることができる。
【0056】
平面視において、排気ダクト54の延在方向は、第1方向DR1に平行であってもよい。また、
図1に例示されるように、排気ダクト54の第2端部54bは、外壁108に形成された第2開口部E2に接続されていてもよい。
【0057】
図2に記載の例では、供給ダクト51と、カバー6と、排気ダクト54とによって、略U字状のエア流路が規定されている。U字状のエア流路によって、第1モータ4の第1部分41に向かうエアの流れと、第1モータ4の第1部分41から第1モータ4の第2部分42に向かうエアの流れと、第1モータ4の第2部分42から離れるエアの流れとが形成される(
図2における破線矢印を参照。)。また、エア流路がU字状であることにより、エア流路の全体がコンパクトに配置される。
【0058】
図2に記載の例では、供給ダクト51とカバー6とのアセンブリが、略T字形状を有するように、供給ダクト51とカバー6とが接続されている。代替的に、供給ダクト51とカバー6とのアセンブリが、略L字形状を有するように、供給ダクト51とカバー6とが接続されていてもよい(必要であれば、
図10を参照。)。
【0059】
(ファン58)
図2に記載の例では、供給ダクト51に(より具体的には、供給ダクト51の第1端部51aに)、ファン58が配置されている。この場合、ファン58は、供給ダクト51にエアを取り込む取込ファン58aとして機能する。代替的に、あるいは、付加的に、排気ダクト54に(より具体的には、排気ダクト54の第2端部54bに)、ファン58が配置されてもよい。この場合、ファン58は、排気ダクト54からエアを排出する排出ファン58b(
図5を参照。)として機能する。なお、実施形態におけるファン58の種類、ファン58の取り付け方法、および、ファン58の配置に制限はない。換言すれば、ダクト50内にエアの流れを生成可能である限りにおいて、どのようなファン58が採用されてもよい。
【0060】
(フィルタ57)
テーブル駆動装置1Aは、エアから塵埃等の異物を除去するフィルタ57を備えていてもよい。
図2に記載の例では、フィルタ57が、供給ダクト51(より具体的には、供給ダクト51の第1端部51a)に配置されている。
【0061】
(ダクト50の配置の変形例)
本明細書において、第1モータ4の第1部分41から第1モータ4の第2部分42に向かう方向を第3方向DR3と定義する。
図2に記載の例では、供給ダクト51の延在方向が、第3方向DR3と実質的に垂直である。また、排気ダクト54の延在方向が、第3方向DR3と実質的に垂直である。
【0062】
代替的に、
図7に例示されるように、排気ダクト54の延在方向は、第3方向DR3に沿う方向であってもよい。また、排気ダクト54の第1端部54aから排気ダクト54の第2端部54bに向かう方向は、上方向であってもよい。
【0063】
図2に記載の例では、排気ダクト54とカバー6とが別体であり、排気ダクト54がカバー6に取り付けられている。代替的に、
図7に例示されるように、第1モータ4を囲むカバー6と、第1モータ4の第2部分42の周囲からエアを排気する排気ダクト54とが一体的に成形されていてもよい。換言すれば、排気ダクト54の一部が、第1モータ4を囲むカバー6として機能してもよい。
【0064】
(第1モータ4の配置)
図2に記載の例では、第1モータ4は、支持台3の直上に配置されている。この場合、支持台3の直上の空間を有効に活用することができる。また、高い温度のエアは上方に向かうため、第1モータ4から生じる熱に起因して温められたエアが支持台3に向かいにくい。
【0065】
(第1モータ4の配置の変形例)
図2に記載の例では、第1モータ4の第1部分41が、支持台3(より具体的には、第1支持台3a)の頂部3tに接している。代替的に、
図8に例示されるように、第1モータ4の第1部分41が、支持台3(より具体的には、第1支持台3a)の側部に接していてもよい。
【0066】
図8に記載の例では、平面視において、第1モータ4の第1部分41から第1モータ4の第2部分42に向かう方向(換言すれば、第3方向DR3)は、第1方向DR1に垂直である。
図8に例示されるように、平面視において、供給ダクト51の延在方向は、第1方向DR1に平行であってもよい。また、平面視において、排気ダクト54の延在方向は、第1方向DR1に平行であってもよい。
【0067】
図8に例示されるように、外壁108は、扉109が配置される正面壁108aと、側壁108bと、背面壁108cとを有していてもよい。また、供給ダクト51の第1端部51aが取り付けられる壁は、扉109が配置される壁(例えば、正面壁108a)とは異なっていてもよい。
図8に記載の例では、供給ダクト51の第1端部51aが、側壁108bに取り付けられている。
【0068】
(移動装置103)
図9に記載の例では、加工ヘッドHDを移動させる移動装置103は、水平面に平行なX軸に沿う方向に加工ヘッドHDを移動させる第1移動装置103aと、水平面に平行なY軸に沿う方向に加工ヘッドHDを移動させる第2移動装置103bと、水平面に垂直なZ軸に沿う方向に加工ヘッドHDを移動させる第3移動装置103cとを含む。
図9に記載の例では、X軸は、第1方向DR1と平行であり、Y軸は、X軸方向と垂直である。
【0069】
図9に記載の例では、加工ヘッドHDを移動させる移動装置103は、第1部材104a(例えば、サドル)と、第2部材105a(例えば、コラム)と、第3部材106aと、を有する。第1部材104aは、X軸に沿う方向に移動可能なようにベース構造体9によって支持されている。第1移動装置103aは、第1部材104aを、ベース構造体9に対してX軸に沿う方向に相対移動させる。第2部材105aは、Y軸に沿う方向に移動可能なように第1部材104aによって支持されている。第2移動装置103bは、第2部材105aを、第1部材104aに対してY軸に沿う方向に相対移動させる。第3部材106aは、Z軸に沿う方向に移動可能なように第2部材105aによって支持されている。第3移動装置103cは、第3部材106aを、第2部材105aに対してZ軸に沿う方向に相対移動させる。第3部材106aは加工ヘッドHDを含む(換言すれば、加工ヘッドHDは第3部材106aと一体的に移動する。)。
【0070】
図9に記載の例では、移動装置103は、加工ヘッドHDを3次元的に移動させることができる。代替的に、移動装置103は、加工ヘッドHDを2次元的または1次元的に移動させる装置であってもよい。
【0071】
(第2の実施形態)
図10を参照して、第2の実施形態におけるテーブル駆動装置1B、および、工作機械100Bについて説明する。
図10は、第2の実施形態における工作機械100Bを模式的に示す図である。
図11は、第2の実施形態の変形例における工作機械100Bを模式的に示す図である。
図12は、第1モータ4から回転体24に動力を伝達する機構の一例を模式的に示す図である。
【0072】
第1の実施形態では、支持台3に接する第1モータ4が、テーブル装置2を第1軸AX1まわりに傾動させる例について説明された。第2の実施形態では、支持台3に接する第1モータ4が、テーブル21が固定された回転体24を第1軸AT1まわりに回転させる。第1軸AT1は、例えば、鉛直方向に平行な軸である。
【0073】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第2の実施形態では、第1の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第2の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態において説明済みの事項を第2の実施形態に適用できることは言うまでもない。
【0074】
図10に記載の例では、テーブル駆動装置1Bは、(1)加工対象物であるワークWを支持するテーブル21を有するテーブル装置2と、(2)テーブル装置2を支持する支持台3と、(3)支持台3に接する第1部分41、および、第1部分41と比較して支持台3から遠い位置に配置される第2部分42を有し、支持台3に対してテーブル装置2を相対移動させる第1モータ4と、(4)第1モータ4を冷却する冷却装置5と、を具備する。また、冷却装置5は、(5)エアに運動量を付与するファン58と、(6)第1モータ4の第1部分41にエアを供給する供給ダクト51と、(7)第1モータ4の第2部分42の周囲からエアを排気する排気ダクト54と、を有する。
【0075】
また、
図10に記載の例では、工作機械100Bは、上述のテーブル駆動装置1Bに加えて、ワークWを加工する工具Tを支持する加工ヘッドHDと、加工ヘッドHDを移動させる移動装置103と、を備える。
【0076】
以上のことから、第2の実施形態におけるテーブル駆動装置1Bおよび工作機械100Bは、それぞれ、第1の実施形態におけるテーブル駆動装置1Aおよび工作機械100Aと同様の効果を奏する。
【0077】
(任意付加的な構成)
続いて、
図10乃至
図12を参照して、第2の実施形態におけるテーブル駆動装置1Bおよび工作機械100Bにおいて採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0078】
図10に記載の例では、テーブル装置2は、テーブル21と、テーブル21が固定された回転体24とを有する。支持台3は、回転体24を第1軸AT1まわりに回転可能に支持する。また、第1モータ4は、テーブル21が固定された回転体24を第1軸AT1まわりに回転させる。
【0079】
図10に記載の例では、テーブル駆動装置1Bは、第1モータ4を囲むカバー6を備える。
図10に記載の例では、第1モータ4を囲むカバー6と、第1モータ4の第2部分42の周囲からエアを排気する排気ダクト54とが一体的に成形されている。換言すれば、排気ダクト54の一部が、第1モータ4を囲むカバー6として機能する。代替的に、排気ダクト54と、第1モータ4を囲むカバー6とが別体であってもよい。
【0080】
図12に記載の例では、回転体24の回動軸である第1軸AT1は、第1モータ4の出力軸44(あるいは、第1シャフト131の中心軸AT2)に垂直な面に対して平行である。
【0081】
図12に記載の例では、第1モータ4は、機械的な動力伝達機構M1を介してテーブル装置2の回転体24に動力を伝達する。より具体的には、テーブル駆動装置1Bは、第1モータ4の駆動力を、テーブル装置2の回転体24に伝達する動力伝達部材13を有する。
図12に記載の例では、動力伝達部材13は、(1)第1モータ4の出力軸44に連結される第1シャフト131と、(2)回転体24に連結され、第1シャフト131の中心軸AT2まわりの第1シャフト131の回転を、第1軸AT1まわりの回転体24の回転に変換する変換部材133と、を含む。なお、動力伝達部材13、あるいは、変換部材133としては、公知の任意の部材(例えば、シャフト、カム、歯車、伝動ベルト等)を採用可能である。
【0082】
図12に記載の例では、第1シャフト131は、ローラギヤカム131a(「グロボイダルカム」と呼ばれることもある。)を含み、変換部材133は、回転体24の周囲に配置された複数のカムフォロワ133aを含む。代替的に、第1シャフト131がウォームギヤを含み、回転体24がウォームギヤに噛み合う歯車を含んでいてもよい。更に代替的に、第1シャフト131が第1傘歯車を含み、回転体24が第1傘歯車に噛み合う第2傘歯車を含んでいてもよい。
【0083】
図10に記載の例では、第1モータ4の第1部分41から第1モータ4の第2部分42に向かう方向(換言すれば、第3方向DR3)は、テーブル装置2および支持台3から離れる方向である。また、第1モータ4の第1部分41から第1モータ4の第2部分42に向かう方向(換言すれば、第3方向DR3)は、水平面に平行な方向である。
【0084】
図10に記載の例では、工作機械100Bは、支持台3が固定されるベース構造体9を備える。
図10に記載の例では、ベース構造体9に支持台3が固定され、支持台3に第1モータ4を囲むカバー6が固定されている。また、
図10に記載の例では、支持台3に第1モータ4の第1部分41が固定されている。
【0085】
図11に例示されるように、供給ダクト51の第1端部51aは、工作機械100Bの外壁108の第1開口部E1に接続されていてもよい。また、排気ダクト54の第2端部54bは、工作機械100Bの外壁108の第2開口部E2に接続されていてもよい。
【0086】
(第3の実施形態)
図13乃至
図18を参照して、第3の実施形態におけるテーブル駆動装置1C、および、工作機械100Cについて説明する。
図13は、第3の実施形態における工作機械100Cの一部分を模式的に示す図である。
図14は、第3の実施形態における工作機械100Cの一部分を模式的に示す概略断面図である。
図15は、加工ヘッドHDを移動させる移動装置103の一例について説明するための概略斜視図である。なお、
図15において、ダクト50、カバー6、仕切り壁11、外壁108等の記載は省略されている。
図16は、供給ダクト51、排気ダクト54、および、カバー6の配置の一例を模式的に示す図である。
図17は、制御装置85と制御対象機器との間の接続関係の一例を模式的に示す図である。
図18は、制御装置86が、温度センサ81からの信号に基づいてファンモータ59を制御可能な様子を模式的に示す図である。
【0087】
第3の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第3の実施形態では、第1の実施形態または第2の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第3の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みの事項を第3の実施形態に適用できることは言うまでもない。逆に、第3の実施形態で説明される事項は、第1の実施形態または第2の実施形態に適用可能である。
【0088】
図13および
図14に記載の例では、テーブル駆動装置1Cは、(1)加工対象物であるワークWを支持するテーブル21を有するテーブル装置2と、(2)テーブル装置2を支持する支持台3と、(3)支持台3に接する第1部分41、および、第1部分41と比較して支持台3から遠い位置に配置される第2部分42を有し、支持台3に対してテーブル装置2を相対移動させる第1モータ4と、(4)第1モータ4を冷却する冷却装置5と、を具備する。また、冷却装置5は、(5)エアに運動量を付与するファン58と、(6)第1モータ4の第1部分41にエアを供給する供給ダクト51と、(7)第1モータ4の第2部分42の周囲からエアを排気する排気ダクト54と、を有する。
【0089】
また、
図15に記載の例では、工作機械100Cは、上述のテーブル駆動装置1Cに加えて、ワークを加工する工具Tを支持する加工ヘッドHDと、加工ヘッドHDを移動させる移動装置103と、を備える。
【0090】
以上のことから、第3の実施形態におけるテーブル駆動装置1Cおよび工作機械100Cは、それぞれ、第1の実施形態におけるテーブル駆動装置1Aおよび工作機械100Aと同様の効果を奏する。
【0091】
(任意付加的な構成)
続いて、
図1乃至
図18を参照して、第3の実施形態におけるテーブル駆動装置1Cおよび工作機械100Cにおいて採用可能な任意付加的な構成について説明する。第3の実施形態におけるテーブル駆動装置1Cおよび工作機械100Cにおいて、第1の実施形態で説明された任意付加的な構成を採用可能である。また、第3の実施形態におけるテーブル駆動装置1Cおよび工作機械100Cにおいて、第2の実施形態で説明された任意付加的な構成を採用可能である。
【0092】
(テーブル装置2の傾動)
図13に記載の例では、支持台3は、テーブル装置2を第1軸AX1まわりに傾動可能に支持する。より具体的には、テーブル装置2は、テーブル21を直接的または間接的に支持する支持ブロック22を含み、支持台3は、当該支持ブロック22を第1軸AX1まわりに傾動可能に支持する。支持ブロック22は、複数の部品のアセンブリによって構成される。
【0093】
第1モータ4が、テーブル装置2(より具体的には、支持ブロック22)を第1軸AX1まわりに傾動させる機構については、第1の実施形態において説明済みである(必要であれば、
図3を参照。)。よって、第1モータ4が、テーブル装置2(より具体的には、支持ブロック22)を第1軸AX1まわりに傾動させる機構についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0094】
図13に例示されるように、テーブル装置2は、テーブル21が固定される回転体24を有していてもよい。回転体24は、第2軸AX2まわりに回転可能なように、支持ブロック22によって支持される。また、テーブル装置2は、回転体24を第2軸AX2まわりに回転させる第2モータ14(
図4を参照。)を有する。
【0095】
第2モータ14が、回転体24を第2軸AX2まわりに回転させる機構については、第1の実施形態において説明済みである(必要であれば、
図4を参照。)。よって、第2モータ14が、回転体24を第2軸AX2まわりに回転させる機構についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0096】
(カバー6)
図14に記載の例では、テーブル駆動装置1Cは、第1モータ4を囲むカバー6を備える。カバー6については、第1の実施形態において説明済みであるため、カバー6についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0097】
(仕切り壁11)
図13に記載の例では、テーブル駆動装置1Cは、ワークが加工される加工領域(換言すれば、ワークWを支持するテーブル21が配置される第1領域RG1)と、第1モータ4およびカバー6が配置される第2領域RG2とを仕切る仕切り壁11を備える。仕切り壁11については、第1の実施形態において説明済みであるため、仕切り壁11についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0098】
(第2冷却装置15)
図6に例示されるように、テーブル駆動装置1Aは、冷却液を用いて第2モータ14を冷却する第2冷却装置15を備えていてもよい。第2冷却装置15については、第1の実施形態において説明済みであるため、第2冷却装置15についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0099】
(支持台3)
図15に記載の例では、支持台3は、テーブル装置2の第1端部を傾動可能に支持する第1支持台3aと、テーブル装置2の第2端部を傾動可能に支持する第2支持台3bとを含む。また、第1モータ4の第1部分41が、第1支持台3aに接している。より具体的には、第1モータ4の第1部分41が、第1支持台3aに取り付けられている。
図13に例示されるように、支持台3に第1モータ4を囲むカバー6が固定されていてもよい。
【0100】
(ベース構造体9)
図15に記載の例では、工作機械100Cは、ベース構造体9を備える。ベース構造体9には、支持台3(より具体的には、第1支持台3a、および、第2支持台3b)が固定される。
【0101】
(ダクト50)
図16に記載の例では、供給ダクト51は、第1端部51aと、第2端部51bとを有する。第1端部51aには、エア取込口OP1が設けられ、第2端部51bには、エア吹出口OP2が設けられる。
図16に記載の例では、第2端部51bは、第1端部51aよりも第1方向DR1側に配置されている。よって、供給ダクト51は、全体として第1方向DR1に沿う方向の運動量成分を有するエアの流れを形成する。
図16に記載の例では、第2端部51bの高さは、第1端部51aの高さよりも低い。代替的に、第2端部51bの高さは、第1端部51aの高さより低くてもよいし、両端部の高さは同等であってもよい。
【0102】
平面視において、供給ダクト51の延在方向は、第1方向DR1に平行であってもよい。また、
図14に例示されるように、供給ダクト51の第1端部51aは、外壁108に形成された第1開口部E1に接続されていてもよい。
【0103】
図14に記載の例では、排気ダクト54は、第1端部54aと、第2端部54bとを有する。第1端部54aには、エア取込口OP3が設けられ、第2端部54bには、エア吹出口OP4が設けられる。
図14に記載の例では、第2端部54bは、第1端部54aよりも第2方向DR2側に配置されている。よって、排気ダクト54は、全体として第2方向DR2に沿う方向の運動量成分を有するエアの流れを形成する。
【0104】
図14に記載の例では、排気ダクト54は、供給ダクト51よりも上方に配置されている。排気ダクト54は、供給ダクト51の直上に配置されてもよい。この場合、平面視におけるダクト50のサイズをコンパクトにすることができる。
【0105】
図14に記載の例では、供給ダクト51と、カバー6と、排気ダクト54とによって、略U字状のエア流路が規定されている。U字状のエア流路によって、第1モータ4の第1部分41に向かうエアの流れと、第1モータ4の第1部分41から第1モータ4の第2部分42に向かうエアの流れと、第1モータ4の第2部分42から離れるエアの流れとが形成される。
【0106】
図14に記載の例では、供給ダクト51のエア取込口OP1は、側方開口である。供給ダクト51のエア取込口OP1が側方開口である場合、供給ダクト51の第1端部51a(換言すれば、エア取込口OP1側の端部)を、外壁108(より具体的には、側壁108b)に取り付け易い。
図14に記載の例では、排気ダクト54のエア吹出口OP4は、上方開口である。排気ダクト54のエア吹出口OP4が上方開口である場合、エア吹出口OP4から吹き出される温かいエアが、排気ダクト54よりも下方の空間に戻りにくい。
【0107】
図13に記載の例では、排気ダクト54のエア吹出口OP4は、平面視において外壁108よりも内側に配置されている。エア吹出口OP4が外壁108よりも内側に配置される場合、排気ダクト54の長さを短くすることができる。また、外壁108よりも外側に位置する作業者が、エア吹出口OP4から吹き出されるエアに対して不快を感じることがない。
【0108】
図13に記載の例では、排気ダクト54のエア吹出口OP4は、平面視において、仕切り壁11と外壁108との間に配置されている。また、
図13に記載の例では、エア吹出口OP4は上方開口である。この場合、エア吹出口OP4から吹き出される温かいエアが、支持台3に向かいにくい。
【0109】
(点検用の開口B2、および、パネルPN)
図13に例示されるように、外壁108には、外壁108と仕切り壁11との間の第2領域RG2に配置された機器を保守または点検するための開口B2が形成されていてもよい。また、工作機械100Cは、当該開口B2を開閉可能なパネルPNを備えていてもよい。
図13に記載の例では、開口B2を塞ぐように、パネルPNが外壁108に取り付けられている。
【0110】
(移動装置103)
図15に記載の例では、加工ヘッドHDを移動させる移動装置103は、水平面に平行なX軸に沿う方向に加工ヘッドHDを移動させる第1移動装置103aと、水平面に平行なY軸に沿う方向に加工ヘッドHDを移動させる第2移動装置103bと、水平面に垂直なZ軸に沿う方向に加工ヘッドHDを移動させる第3移動装置103cとを含む。
図15に記載の例では、X軸は、第1方向DR1と平行であり、Y軸は、X軸方向と垂直である。
【0111】
図15に記載の例では、加工ヘッドHDを移動させる移動装置103は、第1部材104bと、第2部材105bと、第3部材106bと、を有する。第1部材104bは、Y軸に沿う方向に移動可能なようにベース構造体9によって支持されている。第2移動装置103bは、第1部材104bを、ベース構造体9に対してY軸に沿う方向に相対移動させる。第2部材105bは、X軸に沿う方向に移動可能なように第1部材104bによって支持されている。第1移動装置103aは、第2部材105bを、第1部材104bに対してX軸に沿う方向に相対移動させる。第3部材106bは、Z軸に沿う方向に移動可能なように第2部材105bによって支持されている。第3移動装置103cは、第3部材106bを、第2部材105bに対してZ軸に沿う方向に相対移動させる。第3部材106bは加工ヘッドHDを含む。
【0112】
図15に記載の例では、移動装置103は、加工ヘッドHDを3次元的に移動させることができる。代替的に、移動装置103は、加工ヘッドHDを2次元的または1次元的に移動させる装置であってもよい。
【0113】
(ベース構造体9)
工作機械100Cは、ベース構造体9を備える。
図15に記載の例では、ベース構造体9は、加工ヘッドHDを含む構造体(104b、105b、106b)を移動可能に支持する。
図13に例示されるように、第1モータを囲むカバー6は、第1モータとベース構造体9との間に配置される第1壁62aを含んでいてもよい。第1モータがカバー6によって囲まれ、且つ、第1モータとベース構造体9とが第1壁62aによって隔離されることにより、第1モータから生じる熱が、ベース構造体9に伝わりにくい。よって、ベース構造体9の熱変形が抑制される。
【0114】
図15に記載の例では、ベース構造体9は、移動装置103の第1部材104bの移動をガイドするガイド部材91(より具体的には、ガイドレール91r)を含む。また、
図13に記載の例では、第1モータを囲むカバー6は、第1モータとガイド部材91との間に配置される第1壁62aを含む。この場合、第1モータから生じる熱が、ガイド部材91に伝わりにくい。よって、ガイド部材91の熱変形が抑制され、加工ヘッドHDの位置精度の低下が抑制される。
【0115】
(給電線71、制御線73、信号線75、および、制御装置85)
図16に記載の例では、テーブル駆動装置1Cは、第1モータ4に電力を供給する給電線71を備える。付加的に、テーブル駆動装置1Cは、第1モータ4に、第1モータ4の回転部の回転を停止させる制御指令を送信する制御線73(例えば、第1モータ4の電磁ブレーキを作動させる制御線)を備えていてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、テーブル駆動装置1Cは、第1モータ4に設けられたエンコーダ74からの信号(より具体的には、第1モータ4の回転位相を示す信号)を制御装置85に伝達する信号線75を備えていてもよい。
図17に記載の例では、制御装置85は、第1モータ4、および、加工ヘッドHDを移動させる移動装置103(例えば、上述の第1移動装置103a、上述の第2移動装置103b、および、上述の第3移動装置103c)を制御する。付加的に、制御装置85は、第2モータ14、および、冷却液を循環させるポンプ151を制御してもよい。
【0116】
図16に例示されるように、上述の給電線71、上述の制御線73、および、上述の信号線75のうちの少なくとも一つが、供給ダクト51および排気ダクト54のうちの少なくとも一方に形成された開口OP5を通過するように配置されていてもよい。
図16に記載の例では、上述の給電線71が、排気ダクト54に形成された開口OP5を通過するように配置されている。付加的に、上述の制御線73、および/または、上述の信号線75が、排気ダクト54に形成された開口OP5を通過するように配置されていてもよい。
【0117】
第1モータ4がカバー6によって囲まれ、給電線71、制御線73、および、信号線75の各々が、ダクト50に形成された開口OP5を通過するように配置される場合、給電線71、制御線73、および、信号線75の各々と第1モータ4との接続部が、ダクト50およびカバー6によって保護される。
【0118】
(温度センサ81、および、制御装置85)
図16に例示されるように、テーブル駆動装置1Cは、温度センサ81を有していてもよい。温度センサ81は、第1モータ4の温度、カバー6の内部空間の温度、または、排気ダクト54の内部空間の温度を検出する。
【0119】
図18に例示されるように、テーブル駆動装置1Cは、ファンモータ59を制御する制御装置86を有していてもよい。ファンモータ59を制御する制御装置86は、第1モータ4を制御する制御装置85と同一であってもよい。換言すれば、1つの制御装置85が第1モータ4とファンモータ59とを制御してもよい。制御装置86は、温度センサ81から受け取る信号に基づいて、ファンモータ59を制御してもよい。例えば、制御装置86は、温度センサ81から受け取る信号に基づいて、ファンモータ59のON/OFFを制御してもよい。代替的に、あるいは、付加的に、制御装置86は、温度センサ81から受け取る信号に基づいて、ファンモータ59の回転数を制御してもよい。
【0120】
例えば、温度センサ81によって検出される検出温度が、第1閾値TH1を超えることに応じて、制御装置86は、ファンモータ59をOFFからONに切り替えてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、温度センサ81によって検出される検出温度が、第2閾値TH2を超えることに応じて、制御装置86は、ファンモータ59の回転数を増加させてもよい。また、温度センサ81によって検出される検出温度が、第3閾値TH3以下になることに応じて、制御装置86は、ファンモータ59をONからOFFに切り替えてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、温度センサ81によって検出される検出温度が、第4閾値TH4以下になることに応じて、制御装置86は、ファンモータ59の回転数を減少させてもよい。
【0121】
代替的に、温度センサ81によって検出される検出温度から参照温度を減算することにより得られる値が、第5閾値TH5を超えることに応じて、制御装置86は、ファンモータ59をOFFからONに切り替えてもよい。なお、参照温度は、第1モータ4が駆動される前に温度センサ81によって検出された温度であってもよい。代替的に、参照温度は、任意の参照位置(例えば、供給ダクト51のエア取込口の近傍位置)に配置される第2の温度センサ82によって検出される温度であってもよい。
【0122】
代替的に、あるいは、付加的に、温度センサ81によって検出される検出温度から上述の参照温度を減算することにより得られる値が、第6閾値TH6を超えることに応じて、制御装置86は、ファンモータ59の回転数を増加させてもよい。
【0123】
また、温度センサ81によって検出される検出温度から上述の参照温度を減算することにより得られる値が、第7閾値TH7以下になることに応じて、制御装置86は、ファンモータ59をONからOFFに切り替えてもよい。代替的に、あるいは、付加的に、温度センサ81によって検出される検出温度から上述の参照温度を減算することにより得られる値が、第8閾値TH8以下になることに応じて、制御装置86は、ファンモータ59の回転数を減少させてもよい。
【0124】
代替的に、ファンモータ59は、工作機械100Cの運転中に、あるいは、第1モータ4の駆動中に、常時駆動されてもよい。
【0125】
(ワーク加工方法)
図1乃至
図19を参照して、実施形態におけるワーク加工方法について説明する。
図19は、実施形態におけるワーク加工方法の一例を示すフローチャートである。
【0126】
実施形態におけるワーク加工方法は、工作機械100(例えば、第1の実施形態における工作機械100A、第2の実施形態における工作機械100B、第3の実施形態における工作機械100C、あるいは、他の工作機械)を用いて行われる。
【0127】
第1ステップST1において、工作機械100の電源がONにされる。第1ステップST1は、工作機械の起動工程である。
【0128】
第2ステップST2において、支持台3に接する第1モータ4が冷却される。第2ステップST2は、第1冷却工程である。第1冷却工程(第2ステップST2)は、工作機械100の電源がONにされると同時に開始されてもよい。代替的に、第1冷却工程(第2ステップST2)は、温度センサ81によって検出される検出温度が第1閾値TH1を超えることに応じて開始されてもよい。例えば、第1冷却工程(第2ステップST2)は、後述の移動工程(第5ステップST5)および/または後述のワーク加工工程(第6ステップST6)の実行中または実行後に、温度センサ81によって検出される検出温度が第1閾値TH1を超えることに応じて開始されてもよい。更に代替的に、第1冷却工程(第2ステップST2)は、温度センサ81によって検出される検出温度から参照温度を減算することにより得られる値が、第5閾値TH5より高くなることに応じて開始されてもよい。例えば、第1冷却工程(第2ステップST2)は、後述の移動工程(第5ステップST5)および/または後述のワーク加工工程(第6ステップST6)の実行中または実行後に、温度センサ81によって検出される検出温度から参照温度を減算することにより得られる値が、第5閾値TH5より高くなることに応じて開始されてもよい。
【0129】
第1冷却工程(第2ステップST2)は、(1)ファン58を用いてエアに運動量を付与すること、(2)第1モータ4の第1部分41に、供給ダクト51からエアを供給すること、(3)支持台3から離れる方向に、第1モータ4の第1部分41から第1モータ4の第2部分42に向けてエアを流すことにより、エアを用いて第1モータ4を冷却すること、および、(4)第1モータ4の第2部分42の周囲から、排気ダクト54を介して、エアを排出すること、を含む。
【0130】
付加的に、実施形態におけるワーク加工方法は、テーブル21を第2軸AX2まわりに回転させる第2モータ14を冷却する第2冷却工程を有していてもよい。第2冷却工程(第3ステップST3)は、第1冷却工程(第2ステップST2)と同時に実行されてもよい。
図6に記載の例では、テーブル装置2に設けられた第2モータ14の冷却が冷却液を用いて行われ、支持台3に接する第1モータ4の冷却がエアを用いて行われる。この場合、冷却液を用いて第2モータ14が冷却されることにより、テーブル装置2の熱変形が効果的に抑制される。また、エアを用いて第1モータ4の冷却が行われることにより、低コスト且つ省エネルギで、支持台3の熱変形が抑制される。
【0131】
第1冷却工程(第2ステップST2)は、第1モータ4と第1モータ4を囲むカバー6との間の領域において、第1モータ4の第1部分41から第1モータ4の第2部分42に向けてエアを流すことを含んでいてもよい。第1モータ4とカバー6との間の比較的狭い領域をエアが流れることにより、第1モータ4およびカバー6の両方が効果的に冷却される。よって、第1モータ4から生じる熱に起因して、カバー6の外側に配置された部材が熱変形することが効果的に抑制される。
【0132】
第1冷却工程(第2ステップST2)において、第1モータ4の第1部分41から第1モータ4の第2部分42に向かう方向は、上方向であってもよいし(
図1、
図14を参照。)、平面視において支持台3(より具体的には、第1支持台3a)から離れる方向であってもよい(
図8を参照。)。
【0133】
第4ステップST4において、テーブル装置2のテーブル21にワークWが固定される。第4ステップST4は、ワーク固定工程である。ワーク固定工程(第4ステップST4)は、上述の第1冷却工程(第2ステップST2)の開始後に実行されてもよし、上述の第1冷却工程(第2ステップST2)の開始前に実行されてもよい。
【0134】
第5ステップST5において、第1モータ4の駆動力を用いて、テーブル装置2を支持する支持台3に対してテーブル装置2が相対移動される。第5ステップST5は、移動工程である。
【0135】
移動工程(第5ステップST5)は、第1軸AX1まわりにテーブル装置2を傾動させることを含んでいてもよい。
図1、
図13に記載の例において、テーブル装置2の傾動は、第1モータ4の駆動力を用いて行われる。第1軸AX1は、例えば、水平面に平行な軸である。テーブル装置2の傾動は、支持台3に対して、支持ブロック22を第1軸AX1まわりに回動させることを含んでいてもよい。
【0136】
代替的に、あるいは、付加的に、移動工程(第5ステップST5)は、テーブル21を回転させることを含んでいてもよい。
【0137】
図6に記載の例では、テーブル21の回転は、第1モータ4とは異なる第2モータ14の駆動力を用いて行われる。
図6に記載の例では、第2モータ14は、テーブル21が固定された回転体24を、支持ブロック22に対して、第2軸AX2まわりに回転させる。第2軸AX2は、例えば、テーブル21の上面に垂直な軸である。
【0138】
図10に記載の例では、テーブル21の回転は、第1モータ4の駆動力を用いて行われる。
図10に記載の例では、第1モータ4は、テーブル21が固定された回転体24を、支持台3に対して、第1軸AT1まわりに回転させる。第1軸AT1は、例えば、水平面に垂直な軸である。
図10に記載の例では、第1軸AT1は、テーブル21の上面に垂直な軸である。
【0139】
代替的に、あるいは、付加的に、移動工程(第5ステップST5)は、テーブル装置2を直線的に移動させることを含んでいてもよい。
【0140】
第6ステップST6において、工具Tを用いてワークWが加工される。第6ステップST6は、ワーク加工工程である。ワーク加工工程(第6ステップST6)は、ワークWに対して工具Tを相対移動させることに行われる。当該相対移動は、加工ヘッドHDを移動させる移動装置103を用いて行われる。代替的に、あるいは、付加的に、当該相対移動は、上述の第1モータ4、および/または、上述の第2モータ14を用いて行われてもよい。
【0141】
実施形態におけるワーク加工方法では、供給ダクト51によって第1モータ4の第1部分41にエアが供給されることにより、第1モータ4の第1部分41が、効果的に冷却される。よって、第1モータ4から生じる熱が、第1部分41から支持台3に伝達されることが防止または抑制される。また、実施形態におけるワーク加工方法では、第1モータ4の第1部分41から第1モータ4の第2部分42に向かってエアが流れる。よって、支持台3に近い第1部分41の冷却に用いられたエアが、第1モータ4の第2部分42の冷却にも利用される。また、第1モータ4の第1部分41から第1モータ4の第2部分42に向かう方向は、支持台3から離れる方向である。よって、第1モータ4との接触により温度が上昇したエアが、支持台3に向かって移動することが防止または抑制される。
【0142】
実施形態におけるワーク加工方法では、第1モータ4から、第1部分41あるいはエアを介して、支持台3に熱が伝わることが抑制されるため、支持台3およびテーブル装置2の熱変形が抑制される。よって、第1モータ4の使用時間の増加に伴って、テーブル装置2によって支持されるワークWの位置精度が低下することが抑制される。また、ワークWの位置精度の低下が抑制されるため、ワークWの加工精度の低下も抑制される。
【0143】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態または各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態または各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態または他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態または各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0144】
1、1A、1B、1C…テーブル駆動装置、2…テーブル装置、2a…第1端部、2b…第2端部、3…支持台、3a…第1支持台、3b…第2支持台、3t…頂部、4…第1モータ、4t…頂部、5…冷却装置、6…カバー、9…ベース構造体、11…仕切り壁、13…動力伝達部材、14…第2モータ、15…第2冷却装置、21…テーブル、22…支持ブロック、22a…第1ブロック、22b…第2ブロック、22c…第3ブロック、24…回転体、31t…支持台の頂部の一部分、41…第1モータの第1部分、41a…第1モータの第1端部、42…第1モータの第2部分、42a…第1モータの第2端部、44…出力軸、50…ダクト、51…供給ダクト、51a…第1端部、51b…第2端部、54…排気ダクト、54a…第1端部、54b…第2端部、57…フィルタ、58…ファン、58a…取込ファン、58b…排出ファン、59…ファンモータ、60…壁、62…側壁、62a…第1壁、62b…第2壁、63…頂壁、69a…第1ポート、69b…第2ポート、71…給電線、73…制御線、74…エンコーダ、75…信号線、81…温度センサ、82…第2の温度センサ、85…制御装置、86…制御装置、91…ガイド部材、91r…ガイドレール、100、100A、100B、100C…工作機械、103…移動装置、103a…第1移動装置、103b…第2移動装置、103c…第3移動装置、104a…第1部材、104b…第1部材、105a…第2部材、105b…第2部材、106a…第3部材、106b…第3部材、108…外壁、108a…正面壁、108b…側壁、108c…背面壁、109…扉、131…第1シャフト、131a…ローラギヤカム、133…変換部材、133a…カムフォロワ、144…出力軸、151…ポンプ、B1…開口、B2…開口、E1…第1開口部、E2…第2開口部、FL…冷却液流路、FP1…第1流路、HD…加工ヘッド、M1…動力伝達機構、M2…動力伝達機構、OP1…エア取込口、OP2…エア吹出口、OP3…エア取込口、OP4…エア吹出口、OP5…開口、PN…パネル、RG1…第1領域、RG2…第2領域、SP1…内部領域、SP2…空間、T…工具、W…ワーク
【要約】
テーブル駆動装置は、ワークを支持するテーブルを有するテーブル装置と、テーブル装置を支持する支持台と、支持台に接する第1部分、および、第1部分と比較して支持台から遠い位置に配置される第2部分を有し、支持台に対してテーブル装置を相対移動させる第1モータと、第1モータを冷却する冷却装置と、を具備する。冷却装置は、エアに運動量を付与するファンと、第1モータの第1部分にエアを供給する供給ダクトと、第1モータの第2部分の周囲から前記エアを排気する排気ダクトと、を有する。