(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/91 20060101AFI20231002BHJP
B65G 21/12 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
B65G47/91 A
B65G21/12 B
B65G21/12 A
(21)【出願番号】P 2019094063
(22)【出願日】2019-05-17
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】丸山 修
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 康之
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-108896(JP,A)
【文献】特開平11-079397(JP,A)
【文献】特開昭62-004107(JP,A)
【文献】実開昭62-150431(JP,U)
【文献】特開平11-049353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/91
B65G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置であって、
対象物を搬送する搬送部と、
前記対象物を保持する保持部と、
前記保持部を略水平方向に移動する水平方向移動装置と、
前記保持部を略上下方向に移動する上下方向移動装置と、
前記搬送部、前記保持部、前記水平方向移動装置、及び前記上下方向移動装置を一体に移動する自走可能な走行装置と、
を備え、
前記上下方向移動装置は、前記搬送部を前記走行装置に支持し、かつ前記搬送部を前記走行装置に対して上下方向に移動する搬送部上下方向移動装置を含み、
前記保持部の略上下方向への移動、及び、前記搬送部の上下方向への移動によって前記搬送装置の高さを調整する、搬送装置。
【請求項2】
前記搬送部の上方に配置され、前記水平方向移動装置を支持する支持部を備える、
請求項
1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記上下方向移動装置は、
前記保持部を前記支持部に対して上下方向に移動可能に支持する保持部上下方向移動装置と、
前記支持部を前記搬送部に対して上下方向に移動可能に支持する支持部上下方向移動装置と
を含む、
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記搬送部は、直線方向に前記対象物を搬送し、
前記水平方向移動装置は、前記保持部を支持し、前記搬送部による前記対象物の搬送方向に沿って前記保持部を移動する第1の水平方向移動装置、及び前記搬送方向に交差する方向に沿って前記第1の水平方向移動装置を移動可能に支持する第2の水平方向移動装置を備える、請求項1ないし
請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第2の水平方向移動装置は、レール装置を備え、前記保持部を、前記搬送部の搬送方向に交差する方向で前記搬送部または前記支持部の外側まで移動可能に構成される、
請求項2に従属する
請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記搬送部は、前記支持部が固定される主搬送部と、前記主搬送部に接続され、前記搬送部上下方向移動装置によって上下方向に移動される前記主搬送部の動きに倣って傾斜可能な副搬送部を備える、
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記副搬送部に隣接し、搬送方向に伸縮可能な伸縮搬送部を備える、
請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記搬送部は、搬送する前記対象物を前記保持部で保持する際の位置を所定の位置に位置決める位置決め装置を備える、請求項1に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、トラック等の貨車により搬送されるコンテナに対する荷物の荷役に、コンベヤが用いられている。コンベヤは、荷役作業を行うときに、コンテナ内及びコンテナ外に亘って設置される。作業者は、コンテナ外からコンベヤによりコンテナ内に搬送された荷物を、手作業によりコンテナの所定位置に積む。また、作業者は、コンテナ内に積まれた荷物を、手作業によりコンベヤに移動し、コンベヤにより荷物をコンテナ内からコンテナ外へ移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、荷物を搬送する搬送作業の効率を向上できる搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、搬送装置は、搬送部と、保持部と、水平方向移動装置と、上下方向移動装置と、走行装置と、を備える。前記搬送部は、対象物を搬送する。前記保持部は、前記対象物を保持する。前記水平方向移動装置は、前記保持部を略水平方向に移動する。前記上下方向移動装置は、前記保持部を略上下方向に移動する。前記走行装置は、前記搬送部、前記保持部、前記水平方向移動装置、及び前記上下方向移動装置を一体に移動する。前記走行装置は、自走可能に構成される。上下方向移動装置は、搬送部を走行装置に支持し、かつ搬送部を走行装置に対して上下方向に移動する搬送部上下方向移動装置を含む。
保持部の略上下方向への移動、及び、搬送部の上下方向への移動によって搬送装置の高さを調整する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る搬送装置の構成を模式的に示す説明図。
【
図2】同搬送装置に用いられる搬送装置本体の構成を示す模式的に示す斜視図。
【
図3】同搬送装置本体の構成を示す模式的に示す正面図。
【
図4】同搬送装置本体に用いられる保持部及びその周辺の構成を模式的に示す側面図。
【
図5】同搬送装置本体に用いられる水平方向移動装置の動作を示す模式図。
【
図6】同搬送装置による収容部に荷物を積む動作の一例を示す説明図。
【
図7】同搬送装置による収容部に荷物を積む動作の一例を示す説明図。
【
図8】同搬送装置による収容部に荷物を積む動作の一例を示す説明図。
【
図9】同搬送装置の変形例の要部を模式的に示す平面図。
【
図10】同搬送装置の保持部の変形例の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施形態に係る搬送装置10を、
図1乃至
図8を用いて説明する。
図1は、搬送装置10の構成を模式的に示す説明図である。
図2は、搬送装置10に用いられる搬送装置本体20の構成を模式的に示す斜視図である。
図3は、搬送装置本体20の構成を模式的に示す正面図である。なお、
図3は、搬送装置本体20に用いられる第3の上下方向移動装置73、及び保持部40が省略されている。
図4は、搬送装置本体20に用いられる保持部40及びその周辺の構成を模式的に示す側面図である。
図5は、搬送装置本体20の水平方向移動装置60の動作を示す模式図である。
【0008】
図6は、収容部6内に荷物5を積むときの搬送装置本体20の動作の一例を示す説明図である。
図7は、搬送装置本体20に用いられる上下方向移動装置70の動作の一例を示す説明図である。
図8は、上下方向移動装置70の動作の一例を示す説明図である。
【0009】
図1に示すように、搬送装置10は、荷物5を収容する収容部6内の目標位置に荷物を搬送し、または収容部6内の荷物5を取り出す搬送装置本体20と、収容部6の外側及び搬送装置本体20の間で荷物5を搬送する伸縮搬送部125と、を備える。
【0010】
荷物5は、搬送装置10により搬送される対象物の一例である。収容部6は、例えばトラック7により搬送されるコンテナである。搬送装置10は、例えば、出荷バース1で用いられる。なお、収容部6は、コンテナに限定されない。収容部6は、例えば、トラックの荷台、または、工場の一画に設けられた荷物5の保管スペースであってもよい。また、収容部6に収容するとは、保管スペース等に荷物5を載置することも含む概念である。収容部6は、荷物5が載置される床面、2つの側面、天井面、及び前面を有する。
【0011】
搬送装置10は、伸縮搬送部125により、収容部6の外側から搬送装置本体20に荷物5を搬送し、搬送装置本体20により荷物5を収容部6内の目標位置に搬送する。搬送装置10は、搬送の一例として、目標位置への荷積みを行う。また、搬送装置10は、収容部6内の荷物5を搬送装置本体20により伸縮搬送部125に移動する。そして、伸縮搬送部125は、荷物の集積所等の目的地に荷物5を搬送する。
【0012】
このように、搬送装置10は、搬送の一例として、荷役動作を行うことが可能である。また、搬送装置10は、伸縮搬送部125により搬送された荷物5を、別のコンベヤ等の装置に移動することも可能である。搬送装置10による搬送先となる目標位置は、適宜設定可能である。
【0013】
集積所等では、伸縮搬送部125に対して荷物5の荷役が行われる。伸縮搬送部125に対する荷役には、例えばロボットアーム2が用いられる。また、このロボットアーム2により、例えば伸縮搬送部125とパレット3との間で荷物5が移動される。パレット3は、例えばフォークリフト4により搬送される。
【0014】
図1及び
図2に示すように、搬送装置本体20は、伸縮搬送部125から搬送された荷物5を収容部6の目標位置に移動すること、及び収容部6内の荷物5を伸縮搬送部125に移動することを可能に構成される。収容部6の目標位置に移動することは、収容部6の床面に平積みすること、及び床面に荷物5を複数積むことを含む。また、搬送装置本体20は、自走可能に構成される。
【0015】
搬送装置本体20は、例えば、自走可能に構成される走行装置30と、荷物5を保持する保持部40と、荷物5を伸縮搬送部125及び保持部40の間で搬送する搬送部50と、保持部40を略水平方向に移動する水平方向移動装置60と、保持部40を略上下方向に移動する上下方向移動装置70と、水平方向移動装置60を支持する支持部80と、収容部6内の様子を検出する検出部90と、搬送部50上の荷物5を検出する荷物検出部100と、制御部110と、を備える。搬送装置本体20は、走行装置30により移動し、荷物5を保持部40で保持し、荷物5を水平方向移動装置60及び上下方向移動装置70により移動することで、荷物5を移動する。
【0016】
走行装置30は、搬送装置本体20を、収容部6外から収容部6内へ移動可能に、かつ収容部6内から収容部6外へ移動可能に構成される。走行装置30は、走行装置用基部31と、走行装置用基部31に設けられる走行部32と、を備える。
【0017】
走行装置用基部31は、例えば、一方向に長い形状に構成される。走行装置用基部31は、上下方向移動装置70の少なくとも一部を配置可能な凹部31aと、凹部31aの長手方向に沿う縁に形成されるフランジ部31bと、を有する。
【0018】
凹部31aは、例えば、上下方向移動装置70の後述する第1の上下方向移動装置71を収納し、かつフランジ部31bに搬送部50の後述する主搬送部51を載置可能に構成される。具体的には、凹部31aは、第1の上下方向移動装置71が主搬送部51を下方に移動したときに、主搬送部51をフランジ部31bに当接させることが可能な深さを有している。
【0019】
走行部32は、駆動することで搬送装置本体20を走行可能に構成される。また、走行部32は、例えば、搬送装置本体20を互いに直交する2方向に走行可能に構成される。走行部32は、例えば複数のホイール32aを備える。ホイール32aは、例えば、メカナムホイール、またはオムニホイールである。または、走行部32は、ホイール32aに代えて、ゴムクローラが用いられてもよい。この場合、ゴムクローラは、1つまたは複数が用いられる。
【0020】
このように構成される走行装置用基部31の長手方向の長さは、走行装置用基部31が収容部6の内側及び収容部6の外側に亘って配置された状態において、収容部6の床面及び収容部6の外側の床面の間の高低差によっても、収容部6の床面及び収容部6の外側の床面の間の段差部が走行装置用基部31の下面に接触しない長さに設定される。なお、ここで言う高低差は、例えば、収容部6に積まれた荷物5の重さにより収容部6の床面が下がることで変化する場合がある。
【0021】
また、走行装置30は、搬送部50の後述する副搬送部52を支持する副搬送部用支持部33と、副搬送部用支持部33を走行装置用基部31に連結する連結部34と、を備える。
【0022】
副搬送部用支持部33は、走行部32による走行装置用基部31の走行に合わせて移動可能に構成される。副搬送部用支持部33は、例えば、車輪や、または収容部6の床面等に対して摺動する複数のスライド部35を有する。また、副搬送部用支持部33は、連結部34を支持する支持部33aが形成される。
【0023】
連結部34は、支持部33aに、回転軸36回りに回転可能に支持部33aに構成される。回転軸36は、副搬送部用支持部33が水平面に配置されたときに水平方向に平行な軸に構成される。連結部34は、例えば、走行装置用基部31に着脱可能に構成されてもよい。
【0024】
連結部34は、収容部6の床面及び収容部6外の床面の間に高低差がある場合であって、かつ走行装置用基部31が収容部6の床面に配置され、副搬送部用支持部33が収容部6外の床面に配置された場合に、連結部34が回転軸36回りに回転することで、この高低差を吸収可能に構成される。
【0025】
保持部40は、例えば、吸着により荷物5を吸着することで荷物を保持可能に構成される。保持部40は、例えば、保持部用基部41と、保持部用基部41に設けられる吸着部42と、を備える。保持部用基部41は、例えば板状に構成され、一方の主面に吸着部42が固定される。
【0026】
吸着部42は、真空ポンプに流体的に接続される。吸着部42は、荷物5に密着された状態で真空ポンプにより真空引きされることで、内部が負圧となり荷物5を吸着する。
【0027】
搬送部50は、保持部40により荷物5の着脱が可能な位置に配置される主搬送部51と、主搬送部51及び伸縮搬送部125の間に配置される副搬送部52と、を備える。
【0028】
主搬送部51は、水平方向に平行な一方向に荷物5を搬送可能に構成される。主搬送部51の荷物5の載置面は、搬送装置本体20が水平面に載置されると水平方向に平行となる。主搬送部51は、その中途部の上方に支持部80が配置される。換言すると、主搬送部51は、支持部80と上下方向に対向する第1の領域R1と、第1の領域R1に対して一端側の第2の領域R2と、第1の領域R1に対して他端側の第3の領域R3と、を有する。
【0029】
また、主搬送部51は、第1の領域R1、第2の領域R2、及び第3の領域R3が、それぞれ独立して荷物5を搬送可能に構成される。例えば、主搬送部51は、第1の領域R1を構成する第1の搬送部53と、第2の領域R2を構成する第2の搬送部54と、第3の領域R3を構成する第3の搬送部55と、を備える。
【0030】
第1の搬送部53、第2の搬送部54、及び第3の搬送部55は、それぞれ独立して、両方向に荷物5を搬送可能に構成される。ここで言う両方向は、保持部40により荷物5の着脱が可能な位置側に荷物を搬送する方向、及び伸縮搬送部125側に荷物5を搬送する方向である。第1の搬送部53、第2の搬送部54、及び第3の搬送部55は、それぞれ、例えば、ローラコンベヤである。
【0031】
なお、第1の搬送部53は、第1の搬送部53の搬送方向に沿って支持部80より長い形状に構成されてもよく、第1の搬送部53の搬送方向の両端が、第1の搬送部53の搬送方向に平行な方向で支持部80の両端より外側に配置される構成であってもよい。
【0032】
副搬送部52は、伸縮搬送部125から主搬送部51へ荷物を搬送可能に、かつ、主搬送部51から伸縮搬送部125へ荷物5を搬送可能に構成される。副搬送部52は、例えばベルトコンベヤである。
【0033】
また、副搬送部52は、伸縮搬送部125及び第3の搬送部55の高低差に応じて傾斜角度を可変できる構成である。副搬送部52は、具体的には、その搬送方向で一端部が副搬送部用支持部33に、所定の高さ位置に回転軸36に平行な回転軸59回りに回転可能に支持されている。
【0034】
このように構成される副搬送部52は、搬送方向で他端部が主搬送部51の第3の搬送部55の近傍に着脱可能に取り付けられ、回転軸59回りに回転することで、傾斜角度を主搬送部51の高さ位置に応じて変化する。もしくは、副搬送部52は、上下方向に高さを変更可能なリフタにしても良い。
【0035】
水平方向移動装置60は、例えば、水平方向に略平行であって、かつ互いに交差する2軸方向のそれぞれに保持部40を移動する2つの装置を備え、これら2つの装置により、保持部40を略水平方向に移動可能に構成される。
なお、ここで言う、略水平方向とは、水平方向と、水平方向に対して若干傾斜する方向と、を含む。水平方向移動装置60は、搬送装置本体20が例えば鉛直方向に直交する平面に対して傾斜する床面等に載置されて使用される場合に、保持部40を水平方向に対して若干傾斜する方向に移動する場合がある。また、水平方向移動装置60の部品の組み立ての精度によっては、移動方向が水平方向に対して若干傾斜する方向となる場合もある。このように、水平方向移動装置60は、保持部40を水平方向または水平方向に若干傾斜する方向に移動する。
【0036】
水平方向移動装置60は、具体例として、保持部40を支持し、主搬送部51の搬送方向に沿う略水平方向の一軸方向に保持部40を移動可能に構成される第1の水平方向移動装置61と、支持部80の上部に固定され、第1の水平方向移動装置61を主搬送部51の搬送方向に交差する略水平方向の一軸方向に移動可能に支持する第2の水平方向移動装置62と、を備える。
【0037】
第1の水平方向移動装置61は、例えば、搬送部50の搬送方向に伸縮可能に構成される。第1の水平方向移動装置61は、直接または間接的に保持部40を支持する。第1の水平方向移動装置61は、一例として、その先端に、上下方向移動装置70の後述する第3の上下方向移動装置73を介して保持部40が支持される。
【0038】
第1の水平方向移動装置61は、保持部40を、少なくとも、第2の搬送部54と上下方向に対向する位置、及びこの位置よりも第1の搬送部53から第2の搬送部54へ向かう方向に沿って主搬送部51よりも外側の位置まで移動可能に構成される。
【0039】
図3に示すように、第2の水平方向移動装置62は、主搬送部51による荷物5の搬送方向に交差する略水平方向の一例として、主搬送部51による荷物5の搬送方向に直交する略水平方向に、保持部40を移動する。他の例では、60度または45度で交差してもよい。
【0040】
第2の水平方向移動装置62は、主搬送部51による搬送方向に交差する方向で、主搬送部51の外側の位置または支持部80の外側の位置まで保持部40を移動可能に構成される。第2の水平方向移動装置62は、例えば、主搬送部51による搬送方向に直交する方向で、主搬送部51の外側の位置または支持部80の外側の位置まで保持部40を移動可能に構成される。
【0041】
ここで、主搬送部51の搬送方向に直交し、かつ、上下方向に直交する方向を幅方向とする。本実施形態では、主搬送部51の幅方向の寸法は、支持部80の当該幅方向に沿う寸法よりも小さい。そして、主搬送部51は、幅方向で支持部80の内側に配置される。そして、第2の水平方向移動装置62は、一例として、
図5に2点鎖線で示すように、幅方向で支持部80を挟んで両外側の位置まで保持部40を移動可能に構成される。この為、第2の水平方向移動装置62は、支持部80及び主搬送部51の両方に対して両外側に保持部40を移動可能に構成される。なお、
図5中では、保持部40を2点鎖線で示している。
【0042】
第2の水平方向移動装置62は、例えば、レール63及びこのレール63に沿って移動可能なスライド部64を備えるレール装置65を複数備える多段レール装置である。第2の水平方向移動装置62は、例えば2つのレール装置65を備える。ここで、一方のレール装置65を第1のレール装置65Aと称し、他方のレール装置65を第2のレール装置65Bと称する。
【0043】
第1のレール装置65Aは、支持部80の上部に、レール63が搬送部50による搬送方向に直交する方向に平行となる姿勢で固定される。第1のレール装置65Aのレール63は、例えば、搬送方向で支持部80の一端の近傍の位置から他端の近傍の位置まで延びる長さを有する。
【0044】
また、第1のレール装置65Aの長手方向の長さは、支持部80の主搬送部51の搬送方向及び上下方向のそれぞれに直交する方向に平行な長さよりも短い長さに設定される。そして、第1のレール装置65Aの全体は、支持部80の搬送方向に直交する方向で支持部80の両端より内側に配置される。
【0045】
第2のレール装置65Bは、第1のレール装置65Aのスライド部64に、レール63が主搬送部51による搬送方向に直交する方向に平行となる姿勢で固定される。第2のレール装置65Bの長手方向の長さは、例えば第1のレール装置65Aの長手方向の長さより短い長さに設定される。
【0046】
図5に示すように、これら複数のレール装置65のそれぞれのレール63の長さは、保持部40を、主搬送部51の搬送方向に直交する方向で支持部80の外側の位置まで移動可能な長さに設定される。なお、
図5中では、一例として、保持部40を支持部80に対して幅方向で一方の外側に移動した第2のレール装置65を実線で示し、保持部40を他方の外側に移動した第2のレール装置65を2点鎖線で示している。
【0047】
上下方向移動装置70は、保持部40を、少なくとも、第2の搬送部54で荷物5を保持する高さ位置、及び収容部6の荷物5を配置する目標位置の高さ位置の間で略上下方向に移動可能に構成される。上下方向移動装置70は、例えば、収容部6の床面に荷物5を配置可能な高さ位置と、及び第2の搬送部54で荷物5を保持する高さ位置よりも高い位置との間で、保持部40を移動可能に構成される。
【0048】
なお、ここで言う、略上下方向とは、上下方向と、上下方向に対して若干傾斜する方向と、を含む。搬送装置本体20が例えば鉛直方向に直交する平面に傾斜する床面等に載置された状態で使用されると、上下方向移動装置70は、保持部40を上下方向に対して若干傾斜する方向に移動する場合がある。また、上下方向移動装置70の部品の組み立ての精度によっては、移動方向が上下方向に対して若干傾斜する方向となる場合もある。このように、上下方向移動装置70は、保持部40を上下方向または上下方向に若干傾斜する方向に移動する。
【0049】
上下方向移動装置70は、具体的には、
図2乃至
図4に示すように、搬送部50を走行装置用基部31に上下方向に移動可能に支持する第1の上下方向移動装置71と、支持部80を搬送部50に対して略上下方向に移動可能に支持する第2の上下方向移動装置72と、保持部40を水平方向移動装置60に上下方向に移動可能に支持する第3の上下方向移動装置73と、を備える。
【0050】
第1の上下方向移動装置71は、走行装置用基部31の例えば凹部31a内に固定される。第1の上下方向移動装置71は、例えば凹部31aの内面の長手方向に沿う面に固定される。また、第1の上下方向移動装置71の上端に搬送部50が固定される。第1の上下方向移動装置71は、例えば、上下方向に伸縮可能なリンク機構71aと、リンク機構71aを駆動する駆動部と、を備える。
【0051】
リンク機構71aは、例えば2つ設けられる。一方のリンク機構71aは、凹部31aの搬送部50の搬送方向に沿う一方の縁部に固定される。他方のリンク機構71aは、他方の縁部に固定される。第1の上下方向移動装置71は、主搬送部51の少なくとも一部を凹部31a内に配置可能に構成される。
【0052】
第2の上下方向移動装置72は、搬送部50に固定される。第2の上下方向移動装置72は、例えば、主搬送部51の基部51aに固定される。基部51aは、第1の搬送部53、第2の搬送部54、及び第3の搬送部55を支持する、例えば板状に構成される。また、第2の上下方向移動装置72の上端に支持部80が固定される。第2の上下方向移動装置72は、例えば、上下方向に伸縮可能なリンク機構72aと、リンク機構72aを駆動する駆動部と、を備える。第2の上下方向移動装置72は、支持部80を、搬送部50及び支持部80の間上下方向の隙間が、荷物5の高さよりも小さくなる高さ位置から搬送部50及び支持部80の間を荷物5が通過可能な高さ位置まで移動可能に構成される。
【0053】
第3の上下方向移動装置73は、例えば、第1の水平方向移動装置61の先端に設けられる。第3の上下方向移動装置73は、保持部用基部41を上下方向に移動可能に支持する。
【0054】
なお、第2の上下方向移動装置72及び第3の上下方向移動装置73は、少なくとも、保持部40を、第2の搬送部54上で荷物5を保持する高さ位置に移動可能に構成される。
【0055】
支持部80は、搬送部50の第1の搬送部53の上方に配置される。支持部80は、第2の水平方向移動装置62を支持する。支持部80は、例えば、第1の搬送部53の両側に配置される一対の側壁部81と、一対の側壁部81のそれぞれの上端に設けられる上壁部82と、を備える。
【0056】
検出部90は、収容部6の床面に積まれた荷物5、保持部40に保持された荷物5、及び搬送部50の第3の搬送部55に配置される荷物5を検出可能に構成される。検出部90は、例えば、第1の搬送部53から第2の搬送部54に向かう方向に沿って搬送装置本体20の前方の範囲、及び第2の搬送部54を撮影可能なカメラである。検出部90は、例えば、支持部80に固定される。検出部90は、撮影した情報を制御部110に送信する。
【0057】
荷物検出部100は、第1の搬送部53上に位置した荷物5検出する第1の検出部101と、第2の搬送部54に位置した荷物5を検出する第2の検出部102と、第3の搬送部55に位置した荷物5を検出する第3の検出部103と、を備える。第1の検出部101は、第1の搬送部53に設けられる。第2の検出部102は、第2の搬送部54に設けられる。第3の検出部103は、第3の搬送部55に設けられる。第1の検出部101、第2の検出部102、及び第3の検出部103は、検出結果を制御部110に送信する。
【0058】
制御部110は、保持部40、搬送部50、水平方向移動装置60、及び上下方向移動装置70を制御する。制御部110は、例えば搬送装置本体20に設けられており、具体例として、支持部80に固定される。
【0059】
制御部110は、例えば、作業者により操作される操作部からの信号に基づいて、保持部40、搬送部50、水平方向移動装置60、及び上下方向移動装置70を制御可能に構成される。なお、制御部110は、検出部90及び荷物検出部100の検出結果や予め記憶されたプログラムに基づいて保持部40、搬送部50、水平方向移動装置60、及び上下方向移動装置70を制御可能に構成されてもよい。
【0060】
伸縮搬送部125は、例えば収容部6外の荷物5の集積所、及び搬送部50の間で荷物を搬送する。伸縮搬送部125は、搬送方向に伸縮可能に構成され、例えば、搬送方向に伸縮可能に構成されるコンベヤである。
【0061】
次に、搬送装置10の動作の一例として、収容部6の床面に荷物5を1段積む作業時の搬送装置10の動作の一例を、
図6乃至
図8を用いて説明する。
【0062】
作業者は、まず、目視や検出部90から送信された映像に基づいて、操作部を操作することで走行装置30により搬送装置本体20を走行させて搬送装置本体20を収容部6内に移動する。
【0063】
検出部90が撮影した映像は、作業者が確認できる位置に設置されたモニタに表示される。作業者が検出部90により撮像された映像に基づいて操作部を操作する場合では、操作部は、搬送装置本体20から離れた位置に設けられてもよい。
【0064】
なお、搬送装置10は、初期状態で移動される。搬送装置10の初期状態は、
図6の(A)に示すように、例えば、第1の上下方向移動装置71により主搬送部51が上下方向の移動範囲の最低高さ位置に配置され、第2の上下方向移動装置72により支持部80が移動範囲の最低高さ位置に配置され、第3の上下方向移動装置73により保持部40が移動範囲の最低高さ位置に配置される状態である。初期状態では、第1の上下方向移動装置71は凹部31a内に収納され、主搬送部51は両フランジ部31bに当接されて支持される。この為、初期状態では、搬送装置本体20は、安定して走行が可能となる。
【0065】
制御部110は、操作部から受信した信号に基づいて走行装置30の走行部32を駆動することで、搬送装置10を走行させる。制御部110は、搬送装置10が収容部6内の所定の位置に配置されると、作業者の操作による操作部からの信号に基づいて、走行部32の駆動を停止して搬送装置本体20の走行を停止する。ここで言う収容部6の所定位置は、保持部40が収容部6の床面の目標位置に荷物5を移動することが可能な位置である。
【0066】
次に、作業者は、
図1に示すように、伸縮搬送部125を副搬送部52に隣接する位置に配置する。なお、当該作業者による作業は、その一部、若しくは全てを制御部110によって制御され、自動で実施されても良い。
【0067】
次に、制御部110は、作業者の操作による操作部からの信号に基づいて、副搬送部52及び第3の搬送部55を駆動する。次に、作業者は、伸縮搬送部125を介して荷物5を搬送装置本体20に搬送する。なお、伸縮搬送部125は、制御部110により駆動が制御されてもよい。搬送装置本体20に到達した荷物5は、副搬送部52により第3の搬送部55に搬送される。
【0068】
図6の(A)に示すように、荷物5が搬送部50の第3の搬送部55に到達すると、第3の検出部103が荷物を検出する。第3の検出部103は、荷物5を検出すると、制御部110に信号を送信する。制御部110は、第3の検出部103から信号を受信すると、報知部に、第3の検出部103が信号を受信したことを示す信号を送信する。
【0069】
報知部は、作業者の目視可能な位置に設けられている。報知部は、制御部110からの信号に基づいて、第3の搬送部55に荷物が到達したことを周囲に報知する。この報知は、例えばランプを点灯させることでなされる。
【0070】
作業者は、操作部からの報知により第3の搬送部55に荷物5が到達したことを確認すると、第3の搬送部55の駆動を停止すべく操作部を操作する。制御部110は、操作部から第3の搬送部55の駆動停止の信号を受信すると、第3の搬送部55を停止する。第3の搬送部55の駆動が停止されることで、荷物5が第3の搬送部55に保持される。
【0071】
次に、制御部110は、作業者の操作による操作部からの信号に基づいて、
図6の(B)に示すように、支持部80を荷物5が主搬送部51及び支持部80の間を通過可能な高さ位置に移動する。
【0072】
次に、制御部110は、作業者の操作による操作部からの信号に基づいて、第3の搬送部55、第1の搬送部53、及び第2の搬送部54を駆動する。
図6の(C)に示すように、荷物5が第2の搬送部54に到達すると、第2の検出部102が荷物5を検出し、信号を制御部110に送信する。制御部110は、第2の検出部102から信号を受信すると、操作部に、第2の搬送部54に荷物5が到達したことを示す信号を報知部に送信する。報知部は、制御部110からの信号に基づいて、第2の搬送部54に荷物5が到達したことを周囲に報知する。
【0073】
次に、制御部110は、作業者の操作による操作部からの信号に基づいて、第1の搬送部53及び第2の搬送部54の駆動を停止する。第2の搬送部54の駆動が停止されることで、荷物5が第2の搬送部54上に保持される。
【0074】
次に、制御部110は、作業者の操作による操作部からの信号に基づいて、
図6の(D)に示すように、例えば水平方向移動装置60及び上下方向移動装置70を駆動して保持部40を荷物5の直上に移動して吸着部42を荷物5に上部に当接させるとともに、真空ポンプを駆動することで吸着部42により荷物を吸着する。吸着部42により荷物5が吸着されることで、荷物5が保持部40に保持される。
【0075】
次に、制御部110は、作業者の操作による操作部からの信号に基づいて、例えば
図6の(E)及び(F)に示すように第1の水平方向移動装置61及び第1の上下方向移動装置71を駆動して保持部40及び荷物5を収容部6の目的位置に移動する。
【0076】
次に、制御部110は、作業者の操作による操作部からの信号に基づいて、真空ポンプの動作を停止する、もしくは真空ポンプと吸着部42を繋ぐ流路のバルブを閉じるなどして、吸着部42の真空破壊を行う。吸着部42の真空破壊がなされることで、荷物5の保持が解除される。
【0077】
搬送装置10のこれらの動作により、荷物5が収容部6に移動される。なお、作業者は、次の荷物5を積む際に、荷物5を移動する目標位置が水平方向移動装置60による保持部40の移動範囲の外となる場合は、走行装置30を駆動することで、搬送装置本体20を保持部40が目標位置まで移動可能となる位置まで移動する。
【0078】
なお、収容部6の1段目に荷物5を移動する場合等、荷物5の上下方向の移動範囲が比較的小さい場合は、第1の上下方向移動装置71、第2の上下方向移動装置72、及び第3の上下方向移動装置73の全てが駆動される必要はなく、これらのいずれかのみが駆動されてもよい。上述の例では、この一例として、第2の上下方向移動装置72のみが用いられた。
【0079】
図7に示すように、収容部6の6段目に荷物5を移動する場合は、例えば、第2の上下方向移動装置72及び第3の上下方向移動装置73が駆動される。また、
図8に示すように、収容部6の15段目に荷物5を移動する場合は、例えば、第1の上下方向移動装置71、第2の上下方向移動装置72、及び第3の上下方向移動装置73が駆動される。
【0080】
なお、搬送装置10は、収容部6から荷物5を収容部6の外へ移動する場合は、例えば、上述の、荷物5を収容部6に移動する動作の逆の動作を行う。具体的には、搬送装置10は、水平方向移動装置60及び上下方向移動装置70を駆動することで保持部40を荷物5に移動し、次に保持部40により荷物5を保持する。次に、搬送装置10は、水平方向移動装置60及び上下方向移動装置70を駆動することにより保持部40及び荷物5を搬送部50の第2の搬送部54に移動する。次に、搬送装置10は、搬送部50を駆動することで、荷物5を伸縮搬送部125に搬送する。次に、搬送装置10は、伸縮搬送部125により荷物5を搬送する。
【0081】
このように構成される搬送装置10の搬送装置本体20は、荷物5を収容部6に移動する搬送部50と、荷物5を保持する保持部40と、搬送部50及び収容部6の目標位置の間で荷物5を移動する水平方向移動装置60及び上下方向移動装置70と、走行装置30と、を備える。この為、走行装置30によって搬送装置本体20を収容部6内に設置することが可能となるので、作業者が荷物5を手作業により収容部6外から収容部6の目標位置に移動する作業を行うことがなく、かつ作業者が荷物5を手作業により収容部6から収容部6外へ移動する作業を行うことがない。この為、荷物5の収容部6の目標位置への搬送作業の効率、または、収容部6の荷物5の収容部6外への搬送作業の効率を向上できる。
【0082】
さらに、搬送装置本体20が、第1の上下方向移動装置71、第2の上下方向移動装置72、及び第3の上下方向移動装置73を備える構成である。この為、これら第1の上下方向移動装置71、第2の上下方向移動装置72、及び第3の上下方向移動装置73を好適に配置することで、搬送装置本体20をコンパクトにすることが可能となる。具体的には、第1の上下方向移動装置71によって走行装置用基部31に対して主搬送部51を上下方向に移動可能に支持し、第2の上下方向移動装置72によって支持部80を主搬送部51に対して上下方向に移動可能に支持する構成である。この為、走行装置用基部31に対する主搬送部51の高さを下げ、かつ、主搬送部51に対する支持部80の高さを下げることで、搬送装置本体20をコンパクトにすることが可能となる。
【0083】
さらに、水平方向移動装置60が、第1の水平方向移動装置61及び第2の水平方向移動装置62を備えることで、保持部40の移動の範囲を広げることが可能となる。
【0084】
さらに、第2の水平方向移動装置62は、保持部40を、主搬送部51の搬送方向に直交する方向で支持部80の外側の位置まで移動可能に構成される。この為、第2の搬送部54の近傍に荷物5を安定して配置することが可能であり、また、第2の搬送部54の近傍に配置される荷物5を保持部40により安定して保持することが可能となる。この効果について、具体的に説明する。
【0085】
例えば、収容部6の、荷物5を搬送する目標位置が第2の搬送部54の近傍の位置であると、第2の搬送部54が障害となり、荷物5を目標位置に搬送できない場合が想定される。しかしながら、保持部40を、主搬送部51の搬送方向に直交する方向で支持部80の外側まで移動可能な構成であることで、搬送装置本体20を目標位置に対して主搬送部51の搬送方向に直交する方向にずれた位置に移動し、保持部40を主搬送部51の搬送方向に直交する方向に支持部80の外側に移動することで、荷物5を目標位置に移動、または、目標位置の荷物5を保持部40により保持することが可能となる。
【0086】
さらに、第2の水平方向移動装置62は、複数のレール装置65を備える構成であることから、第2の水平方向移動装置62の全長を短くすることが可能となる。この為、搬送装置10を使用していない状態等に第2の水平方向移動装置62の全長を短い状態とすることにより、搬送装置本体20の設置スペースを省スペース化できる。さらに、第2の水平方向移動装置62は、複数のレール装置65を備えることで、保持部40の移動範囲の長さを長くすることが可能となる。
【0087】
さらに、主搬送部51が、第1の搬送部53、第2の搬送部54、及び第3の搬送部55を備えることで、搬送装置本体20の状態に応じた適切な荷物5の搬送が可能となる。例えば、第2の上下方向移動装置72により保持部40を下方に移動するときに、第1の搬送部53の駆動を停止することで第1の搬送部53への荷物5の搬送を停止しつつ、第3の搬送部55を駆動することで副搬送部52から第3の搬送部55へ荷物を搬送し、その後、第3の搬送部55の駆動を停止することで第3の搬送部55に荷物5を待機させることが可能となる。第3の搬送部55に荷物5を待機させることで、荷物5の搬送作業の効率を向上できる。
【0088】
さらに、搬送部50が副搬送部52を備えることで、主搬送部51及び伸縮搬送部125に高低差が生じても、主搬送部51及び伸縮搬送部125の間で荷物5を搬送可能である。
【0089】
さらに、搬送装置10が、伸縮搬送部125を備えることで、収容部6外の例えば荷物集積所及び搬送部50の間で荷物5を搬送することが可能となる。この為、荷物5の搬送作業の効率を向上できる。
【0090】
以上述べた実施形態の搬送装置10によれば、走行装置30により搬送装置本体20を収容部6内に配置できるので、作業者が荷物5を手作業により収容部6外から収容部6の目標位置に搬送する作業を行うことがなく、かつ作業者が荷物5を手作業により収容部6から収容部6外へ搬送する作業を行うことがない為、荷物5の搬送作業の効率を向上できる。
【0091】
なお、上述の例では、上下方向移動装置70は、第1の上下方向移動装置71、及び第2の上下方向移動装置72、及び第3の上下方向移動装置73を備える構成が一例として説明されたがこれに限定されない。他の例では、上下方向移動装置70は、第1の上下方向移動装置71、第2の上下方向移動装置72、及び第3の上下方向移動装置73の少なくとも1つを備える構成であってもよい。
【0092】
上下方向移動装置70が第1の上下方向移動装置71のみを備える構成である場合は、例えば、支持部80は主搬送部51の間に荷物5を通過可能な隙間を有して主搬送部51に固定され、保持部40は第1の水平方向移動装置61に固定される。
【0093】
上下方向移動装置70が第2の上下方向移動装置72のみを備える構成である場合は、例えば、主搬送部51は走行装置用基部31に固定され、保持部40は第1の水平方向移動装置61に固定される。
【0094】
上下方向移動装置70が第3の上下方向移動装置73のみを備える構成である場合は、例えば、主搬送部51は走行装置用基部31に固定され、支持部80は主搬送部51の間に荷物5を通過可能な隙間を有して主搬送部51に固定される。
【0095】
上下方向移動装置70が、第1の上下方向移動装置71、第2の上下方向移動装置72、及び第3の上下方向移動装置73のいずれか2つを備える構成である場合は、上下方向移動装置70の構成は、例えば、上述の、第1の上下方向移動装置71、第2の上下方向移動装置72、及び第3の上下方向移動装置73のいずれか1つを備える構成を適宜組わせた構成であってもよい。
【0096】
また、上述の例では、水平方向移動装置60は、第1の水平方向移動装置61、及び第2の水平方向移動装置62を備える構成が、一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、水平方向移動装置60は、第1の水平方向移動装置61または第2の水平方向移動装置62の一方を備える構成であってもよい。
【0097】
また、上述の例では、搬送装置10は、作業者が操作部を操作することで動作される構成が一例として説明されたがこれに限定されない。他の例では、搬送装置10は、例えば、検出部90及び荷物検出部100の検出結果、並びに予め記憶されたプログラム等に基づいて自動で荷役動作を行う構成であってもよい。さらに、搬送装置10が自動で荷役を行う構成の場合は、収容部6の外に、搬送装置10の走行を案内する案内部が設けられてもよい。搬送装置10は、この案内部により収容部6の外から収容部6に移動が案内される。例えば、収容部6の外に搬送装置10の走行を案内する線状の表示が設けられており、搬送装置10がこの線状の表示を検出する検出部が設けられてもよい。
【0098】
また、上述の例では、搬送装置10は、第2の搬送部54上に保持された荷物5の位置に応じて保持部40の水平方向の位置が水平方向移動装置60により調整される構成が一例として説明されたがこれに限定されない。例えば、搬送装置10は、
図9に示すように、第2の搬送部54に保持された荷物5の位置を所定の位置に位置決めする位置決め装置120を備えてもよい。
【0099】
位置決め装置120は、例えば、第2の搬送部54に保持された荷物5の周囲を押圧する押圧部121を備え、押圧部121により荷物5を第2の搬送部54の所定位置に移動する構成であってもよい。
【0100】
荷物5が第2の搬送部54の所定位置に位置決められることで、保持部40による荷物5の保持を効率よく行うことが可能となる。また、搬送装置10が自動で荷役を行う構成である場合は、荷物5が第2の搬送部54上の所定位置に位置決められることで、例えば保持部40を、荷物5を安定して保持できる部位を保持させることが可能となる。
【0101】
また、上述の例では、搬送装置10は、直方体状の荷物5を荷役する構成が一例として説明されたが、搬送装置10が荷役する荷物5の形状は、直方体状に限定されない。搬送装置10は、例えば、タイヤ、筒状の荷物、米俵等の円柱状の荷物、セメント袋等の不定形の荷物を荷役する構成であってもよい。保持部40は、荷役する荷物を保持するに適した構成が用いられる。
【0102】
例えば、搬送装置10がタイヤを荷役する構成の場合は、保持部40は、
図10に示すように、フレーム130と、フレーム130に対して回動可能に支持される複数のアーム131と、複数のアーム131を駆動する駆動装置132と、を備える構成であってもよい。なお、
図10では、保持部40は、上下を反転した状態を示している。
【0103】
フレーム130は、例えば板状に構成される。複数のアーム131のそれぞれは、長手方向の一端部が、フレーム130の下面133に、上下方向に平行な回動軸回りに回動可能に支持される。複数のアーム131の一端部は、等間隔離間して配置される。複数のアーム131は、例えば3つアームである。
【0104】
複数のアーム131のそれぞれの他端部には、爪部134が設けられる。爪部134は、タイヤのビード部に上下方向に係合可能に構成される。爪部134は、例えば、支持部135と、フランジ部136と、を備える。
【0105】
支持部135は、アーム131から下方に延びる形状に構成される。フランジ部136は、支持部135の下端に形成される。
【0106】
駆動装置132は、アクチュエータ137と、連結機構138と、を備える。連結機構138は、アクチュエータ137、及び複数のアーム131のそれぞれを連結し、アクチュエータ137による駆動力を複数のアーム131のそれぞれに伝達する。連結機構138は、例えば、複数の歯車を含む。連結機構138は、複数のアーム131を、同時に回動する。また、連結機構138は、複数のアーム131を、複数のアーム131のそれぞれの爪部134が
図10に示すように互いに離れる位置と、爪部134が互いに近づく一との間で回動可能に構成される。
【0107】
このように構成される保持部40は、アクチュエータ137により複数のアーム131のそれぞれが、フレーム130に対して回動される。そして、フランジ部136がタイヤのビード部に上下方向に係合させることで、タイヤを保持する。
【0108】
また、上述の例では、検出部90としてカメラが用いられる構成が一例として説明されたが、これに限定されない。検出部90は、収容部6の床面に積まれた荷物5、保持部40に保持された荷物5、及び搬送部50の第3の搬送部55に配置される荷物5を検出可能であればよく、それぞれを検出する複数のセンサであってもよい。センサの具体例としては、レーザ光を用いたレーザレンジファインダが用いられてもよい。
【0109】
また、上述の例では、第2の水平方向移動装置62は、レール装置65を備える構成として第1のレール装置65A及び第2のレール装置65Bを備える構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、第2の水平方向移動装置62は、3つ以上のレール装置65を備えてもよい。3つ以上のレール装置65が用いられる構成では、1つのレール装置65が支持部80に固定され、他の1つのレール装置65のスライド部64に第1の水平方向移動装置61が固定される。他の1つ以上スライド部は、支持部80に固定されるレール装置65のスライド部64、及び第1の水平方向移動装置61が固定されるレール装置65のレール63の間に連結される。もしくは、第2の水平方向移動装置62は、1つのレール装置65を備える構成としても良い。
【0110】
このように、3つ以上のレール装置65を用いる構成により、保持部40の移動範囲をより安全に広げることが可能となる。
【0111】
また、上述の例では、副搬送部52は、副搬送部用支持部33に支持される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。他の例では、副搬送部52は、走行装置用基部31に支持されてもよい。
【0112】
また、上述の例では、第1の上下方向移動装置71及び第2の上下方向移動装置72は、上下方向に伸縮する構成としてリンク機構71a,72aを備える構成が一例として説明されたが、これに限定されない。第1の上下方向移動装置71及び第2の上下方向移動装置72は、他の例では、上下方向に伸縮する構成としてシリンダを備える構成であってもよい。
【0113】
また、上述の例では、第2の水平方向移動装置62は、主搬送部51による荷物5の搬送方向に直交する両方向で、主搬送部51及び支持部80の外側の位置に、保持部40を移動可能に構成される例が説明された。換言すると、第2の水平方向移動装置62は、主搬送部51による荷物5の搬送方向に直交する方向で、主搬送部51及び支持部80を挟んで両側に、保持部40を移動可能に構成された。
【0114】
しかしながら、これに限定されない。第2の水平方向移動装置62は、主搬送部51及び支持部80を挟んで一方の外側の位置のみに、保持部40を移動可能に構成されてもよい。または、第2の水平方向移動装置62は、主搬送部51または支持部80に対して、保持部40を主搬送部51の搬送方向に直交する方向で、一方の外側または両方の外側に移動可能に構成されてもよい。
【0115】
また、上述の例では、走行装置用基部31の凹部31a内に、上下方向移動装置70の少なくとも一部が配置される構成が一例として説明されたが、これに限定されない。例えば、凹部31a及び第1の上下方向移動装置71は、主搬送部51の少なくとも一部を、凹部31a内に配置可能に構成されてもよい。この一例としては、例えば、搬送装置本体20が、初期状態にあるときに、凹部31a内に主搬送部51の少なくとも一部が配置される構成であってもよい。この構成により、搬送装置本体20をコンパクトにすることが可能となる。
【0116】
また、上述の例では、搬送装置本体20は、収容部6の床面等、水平面に載置されて使用されることが想定されており、この為、一軸方向に保持部40を移動可能な装置、及びこの一軸方向に直交する一軸方向に保持部40を移動可能な装置を備え、一方の装置による保持部40の移動方向が上下方向となり、他方の装置による保持部40の移動方向が水平方向となる姿勢で使用された例が説明された。すなわち、一方の装置が上下方向移動装置70であり、他方の装置が水平方向移動装置60である。しかしながら、これに限定されない。
【0117】
上述の2つの装置のそれぞれの保持部40の移動方向は、搬送装置本体20が使用される際に載置される面に応じて適宜設定されてもよい。例えば、搬送装置本体20が水平面に交差する面に載置されて使用される場合では、2つの装置のそれぞれの保持部40の移動方向は、この面に搬送装置本体20が載置されたときに、一方の装置が上下方向に保持部40を移動可能となり、他方の装置が水平方向に保持部40を移動可能となる方向に設定されてもよい。なお、この構成の場合は、搬送部50は、例えば、搬送装置本体20が載置される面に平行な方向に荷物5を搬送可能に構成されてもよい。
【0118】
以上述べた少なくとも一つの変形例に係る搬送装置10によれば、走行装置30により搬送装置本体20を収容部6内に配置できるので、作業者が荷物5を手作業により収容部6外から収容部6の目標位置に搬送する作業を行うことがなく、かつ作業者が荷物5を手作業により収容部6から収容部6外へ搬送する作業を行うことがない為、荷物5の搬送作業の効率を向上できる。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、出願時特許請求の範囲を付記する。
(1)
対象物を搬送する搬送部と、
前記対象物を保持する保持部と、
前記保持部を略水平方向に移動する水平方向移動装置と、
前記保持部を略上下方向に移動する上下方向移動装置と、
前記搬送部、前記保持部、前記水平方向移動装置、及び前記上下方向移動装置を一体に移動する自走可能な走行装置と、
を備える搬送装置。
(2)
前記上下方向移動装置は、前記搬送部を前記走行装置に支持し、かつ前記搬送部を前記走行装置に対して上下方向に移動する搬送部上下方向移動装置を含む、付記1に記載の搬送装置。
(3)
前記搬送部の上方に配置され、前記水平方向移動装置を支持する支持部を備える、
付記1または2に記載の搬送装置。
(4)
前記上下方向移動装置は、前記保持部を前記支持部に対して上下方向に移動可能に支持する保持部上下方向移動装置を含む、付記3に記載の搬送装置。
(5)
前記上下方向移動装置は、前記支持部を前記搬送部に対して上下方向に移動可能支持する支持部上下方向移動装置を含む、付記3に記載の搬送装置。
(6)
前記搬送部は、直線方向に前記対象物を搬送し、
前記水平方向移動装置は、前記保持部を支持し、前記搬送部による前記対象物の搬送方向に沿って前記保持部を移動する第1の水平方向移動装置、及び前記搬送方向に交差する方向に沿って前記第1の水平方向移動装置を移動可能に支持する第2の水平方向移動装置を備える、付記1又は3に記載の搬送装置。
(7)
前記第2の水平方向移動装置は、レール装置を備え、前記保持部を、前記搬送部の搬送方向に交差する方向で前記搬送部または前記支持部の外側まで移動可能に構成される、付記3に従属する付記6に記載の搬送装置。
(8)
前記搬送部は、前記支持部が固定される主搬送部と、前記主搬送部に接続され、前記搬送部上下方向移動装置によって上下方向に移動される前記主搬送部の動きに倣って傾斜可能な副搬送部を備える、付記2に従属する付記3に記載の搬送装置。
(9)
前記副搬送部に隣接し、搬送方向に伸縮可能な伸縮搬送部を備える、付記8に記載の搬送装置。
(10)
前記搬送部は、搬送する前記対象物を前記保持部で保持する際の位置を所定の位置に位置決める位置決め装置を備える、付記1に記載の搬送装置。
【符号の説明】
【0120】
5…荷物、6…収容部、10…搬送装置、15…外部コンベヤ、20…搬送装置本体、30…走行装置、31…走行装置用基部、32…走行部、33…副搬送部用支持部、34…連結部、35…スライド部、36…回転軸、40…保持部、41…保持部用基部、42…吸着部、50…搬送部、51…主搬送部、52…副搬送部、53…第1の搬送部、54…第2の搬送部、55…第3の搬送部、60…水平方向移動装置、61…第1の水平方向移動装置、62…第2の水平方向移動装置、63…レール、64…スライド部、65…レール装置、65A…第1のレール装置、65B…第2のレール装置、70…上下方向移動装置、71…第1の上下方向移動装置、71a…リンク機構、72…第2の上下方向移動装置、72a…リンク機構、73…第3の上下方向移動装置、80…支持部、81…側壁部、82…上壁部、90…検出部、100…荷物検出部、101…第1の検出部、102…第2の検出部、103…第3の検出部、110…制御部、120…位置決め装置、121…押圧部。