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特許7358075車両管理システム、車両管理装置及び車両管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】車両管理システム、車両管理装置及び車両管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20231002BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20231002BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231002BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20231002BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20231002BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20231002BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/13
G08G1/09 V
G08G1/0968 B
G01C21/34
G06Q50/30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019105019
(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公開番号】P2020198013
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-02-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 庸平
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-216155(JP,A)
【文献】特開2004-069609(JP,A)
【文献】特開2014-098627(JP,A)
【文献】特開平10-208195(JP,A)
【文献】特開2009-085809(JP,A)
【文献】特開2014-092382(JP,A)
【文献】特開2009-276136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G06Q 10/00 - 10/10
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 50/34
G06Q 90/00 - 99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの依頼に基づき、自動運転機能を有する車両を配車する車両管理システムであって、
前記ユーザ及び前記ユーザに配車された配車車両が、前記ユーザが前記配車車両に乗車する乗車地点まで移動している間に、一定の周期で、前記ユーザの位置を示すユーザ位置情報及び前記配車車両の位置を示す車両位置情報を受信する通信部と、
前記乗車地点を設定する車両管理部と、
前記一定の周期、又は、予測した時刻通りに前記ユーザが移動していないと判定される場合に、前記ユーザ位置情報に基づき、前記ユーザが前記乗車地点に到着する時刻の予測範囲を示すユーザ到着時刻範囲を算出するユーザ到着時刻算出部と、
前記車両位置情報に基づき、前記配車車両が前記乗車地点に到着する時刻の予測範囲を示す車両到着時刻範囲を算出する車両到着時刻算出部と、
前記ユーザ及び前記配車車両が前記乗車地点まで移動している間に、前記車両到着時刻範囲のうち前記配車車両が最も早く到着する到着時刻が、前記ユーザ到着時刻範囲のうち前記ユーザが最も遅く到着する到着時刻より遅い時刻となるように、前記自動運転機能による前記配車車両の走行制御内容を更新し、更新後の走行制御を実行する自動運転制御部と、を備える車両管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両管理システムであって、
前記ユーザ到着時刻算出部は、
前記ユーザの位置から前記乗車地点までの移動経路を生成し、
前記移動経路の環境情報である移動経路環境情報を取得し、
前記移動経路環境情報に基づき、前記ユーザ到着時刻範囲を算出する車両管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両管理システムであって、
前記車両到着時刻算出部は、
前記配車車両の位置から前記乗車地点までの走行経路を生成し、
前記走行経路の環境情報である走行経路環境情報を取得し、
前記走行経路環境情報に基づき、前記車両到着時刻範囲を算出する車両管理システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の車両管理システムであって、
前記自動運転制御部は、車速の調整、走行経路の変更及び停車のうち、少なくともひとつにより前記配車車両の走行を制御する車両管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の車両管理システムであって、
前記自動運転制御部は、前記乗車地点から所定の距離以内に位置する停車可能エリアに停車することにより、前記配車車両の走行を制御する車両管理システム。
【請求項6】
ユーザ及び前記ユーザに配車された配車車両が、前記ユーザが前記配車車両に乗車する乗車地点まで移動している間に、一定の周期で、前記ユーザの位置を示すユーザ位置情報及び前記配車車両の位置を示す車両位置情報を受信する通信部と、
前記乗車地点を設定する車両管理部と、
前記一定の周期、又は、予測した時刻通りに前記ユーザが移動していないと判定される場合に、前記ユーザ位置情報に基づき、前記ユーザが前記乗車地点に到着する時刻の予測範囲を示すユーザ到着時刻範囲を算出するユーザ到着時刻算出部と、
前記車両位置情報に基づき、前記配車車両が前記乗車地点に到着する時刻の予測範囲を示す車両到着時刻範囲を算出する車両到着時刻算出部と、
前記ユーザ及び前記配車車両が前記乗車地点まで移動している間に、前記車両到着時刻範囲のうち前記配車車両が最も早く到着する到着時刻が、前記ユーザ到着時刻範囲のうち前記ユーザが最も遅く到着する到着時刻より遅い時刻となるように、自動運転機能による前記配車車両の走行制御内容を更新し、更新後の走行制御を実行する自動運転制御部と、を備える車両管理装置。
【請求項7】
車両管理装置が、ユーザの依頼に基づき、自動運転機能を有する車両を配車する車両管理方法であって、
前記車両管理装置は、
前記ユーザ及び前記ユーザに配車された配車車両が、前記ユーザが前記配車車両に乗車する乗車地点まで移動している間に、一定の周期で、前記ユーザの位置を示すユーザ位置情報及び前記配車車両の位置を示す車両位置情報を受信し、
前記乗車地点を設定し、
前記一定の周期、又は、予測した時刻通りに前記ユーザが移動していないと判定される場合に、前記ユーザ位置情報に基づき、前記ユーザが前記乗車地点に到着する時刻の予測範囲を示すユーザ到着時刻範囲を算出し、
前記車両位置情報に基づき、前記配車車両が前記乗車地点に到着する時刻の予測範囲を示す車両到着時刻範囲を算出し、
前記ユーザ及び前記配車車両が前記乗車地点まで移動している間に、前記車両到着時刻範囲のうち前記配車車両が最も早く到着する到着時刻が、前記ユーザ到着時刻範囲のうち前記ユーザが最も遅く到着する到着時刻より遅い時刻となるように、前記自動運転機能による前記配車車両の走行制御内容を更新し、更新後の走行制御を実行する車両管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理システム、車両管理装置及び車両管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザからの、出発地及び目的地の指定を含む乗車要求を受信すると、各車両のスケジュール情報に基づいて、ユーザに提供可能な乗車便を生成して、当該乗車便に関する情報として、乗車場所や予定乗車時刻をユーザに提示する輸送サービス予約方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-238831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、輸送サービスの予約をしたユーザが車両よりも後に乗車地点に到着した場合、ユーザより先に到着した車両が乗車地点に停車してユーザを待つことになり、交通流の妨げとなる可能性があるという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ユーザの乗車地点において、車両が交通流の妨げとなることを防止することができる車両管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ユーザ及びユーザに配車された配車車両が、ユーザが配車車両に乗車する乗車地点まで移動している間に、一定の周期で、ユーザの位置を示すユーザ位置情報及び配車車両の位置を示す車両位置情報を受信し、乗車地点を設定し、一定の周期、又は、予測した時刻通りにユーザが移動していないと判定される場合に、ユーザ位置情報に基づき、ユーザが乗車地点に到着する時刻の予測範囲を示すユーザ到着時刻範囲を算出し、車両位置情報に基づき、配車車両が乗車地点に到着する時刻の予測範囲を示す車両到着時刻範囲を算出し、ユーザ及び配車車両が乗車地点まで移動している間に、車両到着時刻範囲のうち配車車両が最も早く到着する到着時刻が、ユーザ到着時刻範囲のうちユーザが最も遅く到着する到着時刻より遅い時刻となるように、自動運転機能による配車車両の走行制御内容を更新し、更新後の走行制御を実行することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの乗車地点において、車両が交通流の妨げとなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態における車両管理システムの一実施の形態を示すブロック図である。
図2】本実施形態における車両管理システムにて実行される車両の走行制御の手順を示すフローチャートである。
図3】本実施形態における車両管理システムにて実行される車両の走行制御の変更の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態に係る車両管理システムは、車両の配車を依頼するユーザと配車車両が乗車地点において待ち合わせをする場面において適用されるシステムである。車両管理システムは、ユーザからの配車依頼を受け付けると、乗車地点を指定し、ユーザと車両に、乗車地点の位置に関する情報を通知する。その後、ユーザと車両が当該乗車地点まで移動し、ユーザが車両に乗車した後、車両は、ユーザが希望する目的地に向けて走行することになる。なお、本実施形態では、車両は、一人のユーザの依頼に応じて、車両の現在位置から乗車地点まで移動し、乗車地点からユーザの目的地である降車地点まで移動する一連の走行をひとつの配車スケジュールとして配車依頼を受け付けるものとしている。しかし、これに限らず、複数のユーザを相乗りで乗車させて、それぞれの乗車地点及び降車地点を走行経路に含んだ配車スケジュールに沿って移動をするものとしてもよい。配車スケジュールは、車両の出発地点から、ユーザの乗車地点及びユーザの降車地点を経由して、車両の到着地点までの走行経路、及び、各地点における到着時刻及び出発時刻によって示される。
【0010】
本実施形態に係る車両管理システムは、乗車地点でユーザと車両が待ち合わせをする場面で、車両が乗車地点で長時間停車することを防ぐために、車両が乗車地点に到着する時刻を、ユーザが到着する時刻よりも後になるように調整することで、車両を管理している。なお、一般に、ユーザの到着時刻の予測において、正確に実際の到着時刻を割り出すことは難しく、予測された到着時刻の前後にユーザが到着する可能性があるため、到着時刻の推定にはばらつきが出てくる。そこで、本実施形態では、予測しうるユーザの到着時刻のばらつきの範囲を算出し、当該範囲の最も遅い時刻よりも後に車両が到着するよう管理することで、ユーザの到着時刻が遅くなった場合にも、車両は、ユーザよりも後に乗車地点に到着することができる。また、ユーザの移動中にもユーザの到着時刻の推定を実行することで、乗車地点に近くなるほど、予測の精度を上げて、より正確に車両の到着時刻を管理することができる。
【0011】
本実施形態に係る車両管理システムの一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る車両管理システムを示すブロック図であり、本実施形態のシステムは、サーバ1と、ユーザ端末機2と、電気通信回線網を構成するネットワーク3と、輸送サービス車両4(以下、輸送サービス用車両4を「車両4」とも称す)とを含む。サーバ1とユーザ端末機2はネットワーク3を介して接続されていて、サーバ1と車両4も、同様に、ネットワーク3を介して接続されている。なお、サーバ1は、複数のユーザ端末機2及び複数の輸送サービス車両4と接続するものとしてもよい。車両4は、自律走行可能な車両であり、ナビゲーション装置が搭載されているとともに走行制御(速度制御と操舵制御)を自動制御する機能を備える自動車である。車両2は、有人であっても、無人であってもよい。ただし、必ずしも自動制御機能を備える車両である必要はなく、運転支援機能を備え、人間が運転する車両であってもよい。また、ユーザ端末機2は、ユーザが操作する端末であり、例えば、携帯電話や可搬のコンピュータ端末である。
【0012】
まず、サーバ1について説明する。本実施形態のサーバ1は、ハードウェア及びソフトウェアを有するコンピュータを備えており、このコンピュータはプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、ROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)を含むものである。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0013】
図1に示すように、サーバ1は、サーバ通信部11、車両管理部12、自動運転制御部13、到着時刻推定部14、インフラ情報取得部15及び地図データベース16を備えている。
【0014】
サーバ通信部11は、ネットワーク3を介して、ユーザ端末機2との間で、情報を含む信号の送信及び受信を行うことで、各種情報の入出力を行う通信機である。また、サーバ通信部11は、ネットワーク3を介して、車両4との間で、信号の送受信を行う。例えば、サーバ通信部11は、ユーザ端末機2から、ユーザの配車依頼に係る入力情報を受信し、ユーザ端末機2に、乗車地点等の情報を送信する。また、サーバ通信部11は、車両4から、車両位置情報を受信し、車両に、乗車地点等の情報を送信する。
【0015】
車両管理部12は、サーバ通信部11を介して、所定の時間間隔(たとえば、100msec)で、ユーザが操作するユーザ端末機2から送信される情報を受け付ける。また、車両管理部12は、サーバ通信部11を介して、車両4から送信される情報を受け付ける。ユーザが、ユーザ端末機2を介して、配車依頼情報をサーバ通信部11に送信すると、車両管理部12は、ユーザからの配車依頼情報に基づき、配車する車両を決定する。配車依頼情報は、出発地、目的地、利用時間等の情報を含む。そして、車両管理部12は、当該車両の出発地から、ユーザの乗車地点及びユーザの降車地点までの走行経路及び、各地点における到着時刻及び出発時刻を決定する。車両管理部12は、走行経路及び走行時刻を決定すると、それらの情報を、サーバ通信部11を介して、ユーザ端末機2に送信する。
【0016】
車両管理部12は、サーバ通信部11を介して、車両4の車両位置情報取得部42が取得した車両位置情報を取得することで、駐車中あるいは走行中の車両4の位置を管理している。また、車両管理部12は、車両4が配車スケジュールに沿って走行しているか否か管理している。また、車両管理部12は、インフラ情報取得部15が取得する道路交通情報に基づき、車両の配車スケジュールを更新する。例えば、交通渋滞等により、車両4の到着時刻が、配車スケジュールで示される時刻より遅れる場合には、車両管理部12は、取得された道路交通情報を用いて配車スケジュールを更新する。そして、配車スケジュールを更新した場合には、更新後の配車スケジュールの情報をユーザ端末機2に送信する。また、同様に、車両管理部12は、サーバ通信部11を介して、ユーザ位置情報取得部24が取得したユーザ位置情報を取得することで、乗車予定のユーザの位置を管理している。そして、乗車対象のユーザが乗車予定時刻どおりに乗車地点に到着できるか否かを判定している。
【0017】
車両管理部12は、後述する到着時刻推定部13によるユーザの到着時刻の予測結果に基づき、車両4の到着時刻及び走行経路を決定する。例えば、まず、車両4が乗車地点まで走行を開始する前に、到着時刻推定部13がユーザ及び車両4の到着時刻範囲を予測する。次に、ユーザの到着時刻範囲のうちユーザが最も遅く到着する時刻よりも、車両4の到着時刻範囲のうち車両4が最も早く到着する時刻が早い時刻である場合には、ユーザが最も遅く到着する時刻よりも車両4が最も早く到着する時刻が遅い時刻になるように車両4の走行を管理する。これは、ユーザが到着する時刻よりも、車両4が到着する時刻が早い時刻である場合には、車両4が乗車地点に停車してユーザを待つことになり、交通流の妨げとなってしまうからである。また、車両管理部12は、車両4が乗車地点まで走行している間にも、一定の周期でユーザの位置情報を取得し、ユーザの位置情報に応じて、ユーザの到着時刻範囲を算出して、ユーザが最も遅く到着する到着時刻よりも車両4が遅く到着する到着時刻やその走行経路を算出し、配車スケジュールを更新する。車両管理部12で作成された配車スケジュールは、自動運転制御部13に出力される。
【0018】
車両4の到着時刻の調整方法としては、例えば、車両4の走行速度を変更したり、走行経路を変更したり、待機可能な場所があれば、その場所に停車して時間を調整する。到着時刻を遅くする場合に、例えば、配車スケジュールで示される走行経路よりも、距離の長い経路へ変えることで走行経路の変更を行う。車両管理部12は、地図データベース16に基づき、車両の現在位置から乗車地点までの走行経路を複数検索し、ユーザが乗車地点に到着した後に、車両が到着できる走行経路を選定する。
【0019】
また、車両管理部12は、当初設定されていた車両の走行速度をより遅い走行速度に変更することで走行速度を変更する。車両管理部12は、例えば、現在時刻とユーザ到着時刻から、車両の移動に必要な走行時間を算出し、車両4の走行距離と走行時間から、走行速度を算出する。なお、当然ながら、走行速度の設定においては、法定速度等を加味して設定される。また、走行経路を走行している間、常に同じ走行速度で走行するだけではなく、走行経路のうち、ある一定の区間の距離のみを走行時間調整のために走行速度を変更することとしてもよい。
【0020】
また、車両管理部12は、車両4が、駐車場等の停車スペースに停車可能であれば、停車スペースに停車し、時間を調整する。例えば、車両4が、ユーザが最も遅く到着する到着時刻よりも3分早く到着すると予測がされる場合には、地図データベース16から、走行経路上の駐車場等の停車スペースの位置を取得し、停車可能なスペースがあれば、当該スペースで3分以上停車し、ユーザが最も遅く到着する到着時刻よりも遅い時間に到着できるよう調整する。停車可能なスペースがあるか否かについては、インフラ情報取得部15が取得する道路交通情報から空車情報を取得して判定することとしてもよいし、車両4に搭載された周囲環境情報を検出するセンサがあれば、センサが検出した情報によって判定することとしてもよい。
【0021】
また、車両管理部12は、走行モードを変更することで走行の調整を行うこととしてもよい。走行モードの変更は、例えばパワーモードからエコモードに変更することである。エコモードは、車両の走行で消費されるエネルギー量を抑える走行モードであって、走行速度の変化を抑制する走行モードである。一方、パワーモードは、エネルギーの消費量を高くして、より早く目標地点に到着するためのモードである。すなわち、エコモードに変更することで、不要なアイドリングを減らし、エネルギー消費量を抑制できる。車両管理部12は、これらの走行調整方法の少なくともひとつを用いて、走行の調整を行う。
【0022】
また、車両管理部12は、配車車両情報、乗車地点、降車地点及び乗車時刻等の情報を、サーバ通信部11に出力する。これらの情報が入力されたサーバ通信部11はユーザ端末機2の端末通信部21にこれらの情報を送信する。これにより、ユーザは、ユーザ端末機2の表示部22を介して、乗車地点、乗車予定時刻、降車地点、降車予定時刻、及び走行経路等を把握できる。
【0023】
自動運転制御部13は、車両管理部12により作成された配車スケジュールに基づいて、車両4の走行を制御する。自動運転制御部13は、配車スケジュールで示される位置情報及び時間情報から、自動運転に必要な車両制御情報を算出し、サーバ通信部11を介して、当該車両制御情報を車両4に送信する。車両制御情報は、車速情報や操舵情報などの情報を含むものである。自動運転制御部13は、例えば、走行経路上に車両4が通過する目標地点を複数設定し、それぞれの目標地点ごとに目標通過時刻を算出する。目標地点は、走行経路のノード等の位置に設定される。そして、自動運転制御部13は、車両が目標通過時刻に目標地点を通過しながら走行経路上を走行するように、車速、加速度、操舵量等を算出し、算出された車速、加速度及び操舵量等を示す車両制御情報を、配車スケジュールの情報に加えて、車両4に送信する。そして、車両4は、自動運転制御部13で生成された車両制御情報、及び、配車スケジュールの情報に基づき、自動運転制御を実行する。
【0024】
到着時刻推定部14は、ユーザの位置と乗車地点の位置から、ユーザの到着時刻の範囲を示すユーザ到着時刻範囲を予測する。例えば、まず、ユーザの現在位置から乗車地点までの移動距離を算出し、当該移動距離をユーザの移動速度で除算してユーザの移動時間を算出することで、ユーザ到着時刻を算出する。ユーザの現在位置情報は、ユーザ位置情報取得部24が取得し、端末通信部21を介して、サーバ通信部11が受信したものを用いる。ユーザの移動速度は、一般的な歩行速度を用いてもよいし、ユーザが自転車等に乗って移動する場合には、一般的な自転車の速度を用いることとしてもよい。また、ユーザが移動中であれば、移動速度取得部25が取得した移動速度を用いてもよい。
【0025】
次に、到着時刻推定部14は、算出したユーザ到着時刻に所定の時刻の範囲を設定し、ユーザ到着時刻範囲を算出する。例えば、ユーザ到着時刻が15:30と算出された場合には、前後5分を所定の時刻の範囲とすると、ユーザ到着時刻範囲は、15:25~15:35と算出される。なお、所定の時刻の範囲は、例えば、移動距離に応じて設定する。具体的には、移動距離が長いほど、所定の時刻の範囲を広く設定する。距離が長いほど、到着時刻の推定のばらつきが大きくなるからである。あるいは、ユーザの好みに応じて、所定の時刻の範囲を調整することとしてもよい。例えば、車両を待つことが好きではないユーザや時間に正確なユーザがいれば、所定の時刻の範囲を狭く設計する。ユーザの好みに関する情報は、初期設定時や配車依頼時に、ユーザ自身が設定することとしてもよいし、サービス利用履歴情報から推定することとしてもよい。
【0026】
また、同様に、到着時刻推定部14は、車両の位置と乗車地点の位置から、車両の到着時刻の範囲を示す車両到着時刻範囲を予測する。例えば、まず、車両の現在位置から乗車地点までの走行距離を算出し、当該移動距離、車両4の走行速度、交通情報に基づき、車両の走行時間を算出することで、車両到着時刻を算出する。車両4の現在位置情報は、車両位置情報取得部42が取得し、車載通信部41を介して、サーバ通信部11が受信したものを用いる。また、車両の走行速度は一般的な走行速度を用いてもよい。そして、到着時刻推定部14は、算出した車両到着時刻に所定の時刻の範囲を設定し、車両到着時刻範囲を算出する。車両到着時刻に設定する所定の時刻の範囲は、例えば、走行距離に応じて設定する。具体的には、走行距離が長いほど、所定の時刻の範囲を広く設定する。また、インフラ情報取得部15が取得する道路交通情報から、走行経路内に渋滞があるとの情報がある場合には、渋滞による遅延時間を加味して所定の時刻の範囲を設定することとしてもよい。
【0027】
到着時刻推定部14は、ユーザ到着時刻範囲と車両到着時刻範囲を算出した後、ユーザ到着時刻範囲の中でユーザが最も遅く到着する時刻と車両到着時刻範囲の中で車両が最も早く到着する時刻を比較する。そして、比較結果の情報を車両管理部12に出力する。また、到着時刻推定部14は、車両4が乗車地点まで走行している間、所定のタイミングでユーザ到着時刻範囲及び車両到着時刻範囲を算出する。その場合にも、当該比較結果の情報を車両管理部12に出力する。
【0028】
インフラ情報取得部15は、道路の渋滞情報等の道路交通情報を取得する。例えば、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)のインフラ情報から、道路交通情報を取得する。インフラ情報取得部15は、取得した道路交通情報を到着時刻推定部14に出力する。本実施形態では、到着時刻推定部14が、道路交通情報を用いて、車両4の乗車地点までの走行時間を算出する。
【0029】
地図データベース16は、道路情報を含む地図情報である。道路情報は、坂道等における高低差に関する情報を含む。本実施形態では、ユーザの移動経路や車両の走行経路を生成する際に利用され、ユーザの移動経路や走行経路の環境に関する情報を取得する際に用いられる。
【0030】
次に、ユーザ端末機2について説明する。ユーザ端末機2は、端末通信部21、表示部22、入力部23、ユーザ位置情報取得部24、移動速度取得部25を含む。
【0031】
端末通信部21は、サーバ1のサーバ通信部11とネットワーク3を介して、情報の送受信を行う。例えば、端末通信部21は、ユーザが入力した配車依頼情報や位置情報をサーバ1に送信し、サーバ1から、乗車地点の情報や配車車両の位置情報を受信する。
【0032】
表示部22は、端末通信部21が受信した情報をユーザに表示する。
【0033】
入力部23は、配車依頼情報等、ユーザによるサーバに送信する情報の入力を受付ける。
【0034】
ユーザ位置情報取得部24は、ユーザの現在位置を取得するものであり、例えば、GPS機器などの位置検出センサを用いることができる。
【0035】
移動速度取得部25は、ユーザの移動速度を取得する。例えば、ユーザが所有する端末のGPS機能により取得した位置情報と位置情報取得時の時刻情報により、移動速度を取得する。移動速度取得部25は、位置情報とその時の現在時刻をひとつの情報として取得・保存し、一定の周期で、2地点の位置情報から2地点の間の移動距離を求め、当該2地点における時刻の差から移動時間を求め、移動速度を算出する。したがって、移動速度取得部25は、一定の周期の間に、位置情報に変化がなければ、移動者は止まっているということも判定することができる。
【0036】
続いて、車両4について説明する。車両4は、車載通信部41及び車両位置情報取得部42を有する。また、車両4は、自動運転制御部13からサーバ通信部11を介して送信された走行制御情報に従って、自車両の加減速や操舵を含む走行制御を実行する。車両4には、走行駆動源である電動モータおよび/または内燃機関、これら走行駆動源からの出力を駆動輪に伝達するドライブシャフトや自動変速機を含む動力伝達装置、および車輪を制動する制動装置などの駆動機構を備えられている。また、ヘッドライト、方向指示器、ハザードランプ、ワイパー等、自車両の走行に必要なその他の機器が含まれていてもよい。
【0037】
車載通信部41は、ネットワーク3を介して、サーバ1との間で情報の送受信を行う。例えば、車載通信部41は、車両の位置情報を、サーバ1のサーバ通信部11に送信し、サーバ通信部11から、走行制御情報を受信する。
【0038】
車両位置情報取得部42は、車両の現在位置を取得するものであり、例えば、GPS機器を用いることができる。
【0039】
次に、図2を用いて、本実施形態のシステムにて実行される情報処理手順の概要を説明する。図2は、情報処理手順を示すフローチャートであり、ユーザからの配車依頼情報の受付から車両4の走行開始までの情報処理手順を示している。
【0040】
まず、ステップS201では、ユーザが、ユーザ端末機2を用いてサーバ1にアクセスすると、当該ユーザ端末機2には、出発地、目的地及び利用時間等、配車依頼に関する情報を入力する画面が表示され、ユーザは、各項目に対して必要な情報を入力する。車両管理部12は、ユーザが入力した依頼情報を受け付ける。また、同時に、ユーザ端末機2に備えられたユーザ位置情報取得部24により、緯度及び経度が検出され、これらの位置情報が、サーバ1に送信される。そして、車両管理部12は、ユーザからの依頼情報と位置情報から、乗車地点を設定する。あるいは、車両管理部12は、ユーザ端末機2から送信されたユーザの位置情報に基づき、車両の乗車に適した位置を出発地として設定し、目的地とともに、出発地・目的地候補リストを作成し、当該リストをユーザ端末機2に送信することとしてもよい。ユーザは、当該リストから、希望する出発地や目的地を選択し、選択情報を入力する。そして、車両管理部12は、ユーザの選択情報から、乗車地点を設定する。
【0041】
ステップS202では、サーバ通信部11は、車両4の車載通信部41から、車両情報として、配車スケジュール情報と、車両位置情報取得部42が取得した車両位置情報を取得する。
【0042】
ステップS203では、到着時刻推定部13は、ユーザの現在位置から乗車地点までの移動経路を算出し、当該移動経路に基づき、ユーザ到着時刻範囲を算出する。まず、到着時刻推定部13は、移動経路から移動距離を求め、移動距離を移動速度で除算することで移動時間を算出し、現在時刻に当該移動時間を加えてユーザ到着時刻を算出する。次に、到着時刻推定部13は、ユーザ到着時刻に対して所定の時刻の範囲を設定し、ユーザ到着時刻範囲を算出する。例えば、ユーザ到着時刻の前後数分間といった所定の時間範囲を設定する。これは、ユーザが、算出した到着時刻通りに乗車地点に到着するとは限らず、前後にずれる可能性があるため、予測のばらつきを考慮したものである。
【0043】
なお、ユーザ到着時刻範囲を算出する際には、ユーザの現在位置から乗車地点までの移動経路の環境に応じて、ユーザ到着時刻を算出してもよい。例えば、乗車地点までの道のりが坂道となっている場合には、地図データベース16から、移動経路の環境情報として、乗車地点までの道のりが坂道であるという情報を取得すると、前述のとおり算出された移動時間に所定の係数(係数は1よりも大きい値)をかけて移動時間を算出することとしてもよい。これは、同じ距離であっても、道路が坂道であるときのほうが、道路が平坦であるときよりも移動速度が遅くなり、移動時間がかかると考えられるからである。あるいは、ユーザの依頼時の天気情報を取得し、例えば、天気が雨であれば、天気が晴れであるときよりも、移動時間が長くなるように設定することとしてもよい。悪天候の場合、移動速度が遅くなると考えられるからである。
【0044】
ステップS204では、到着時刻推定部13は、ユーザからの配車依頼を待っている空車状態の複数の車両4を選択し、車両4の現在位置から乗車地点までの走行経路を算出し、当該走行経路に基づき、車両到着時刻範囲を算出する。そして、前述のユーザ到着時刻範囲に対して、車両の到着時間の調整が可能な車両到着時刻範囲が算出される車両4を特定し、当該車両4を配車車両として決定する。なお、相乗り可能な車両であれば、空車状態の車両でなくても、配車スケジュールを調整することでユーザを乗車地点から降車地点まで送迎可能な車両を特定することとしてもよい。
【0045】
なお、車両到着時刻範囲を算出する際には、車両の現在位置から乗車地点までの走行経路の環境に応じて、車両到着時刻を算出してもよい。例えば、インフラ情報取得部15により交通道路情報を取得し、走行経路上に渋滞の区間があると判定される場合には、到着時刻推定部13は、当該渋滞による遅延時間を考慮した車両到着時間の算出を行う。また、乗車地点までの道路が坂道となっている場合には、到着時刻推定部13は、地図データベース16から、走行経路が坂道であるという情報を取得すると、前述の通り算出された走行時間に所定の係数(係数は1よりも大きい値)をかけて走行時間を算出することとしてもよい。これは、道路が坂道であるときのほうが、道路が平坦であるときよりも走行速度が遅くなると考えられるからである。
【0046】
ステップS205では、車両管理部12は、ステップS202で算出されたユーザ到着時刻範囲の中でユーザが最も遅く到着する時刻T1と、ステップS204で算出された車両到着時刻範囲の中で車両が最も早く到着する時刻T2を比較し、T2がT1よりも早い時刻であるか否かを判定する。T2がT1よりも早い時刻であると判定される場合には、ステップS206に進み、T2がT1よりも早い時刻であると判定されない場合には、ステップS208に進む。
【0047】
ステップS206では、車両管理部12は、T2がT1よりも遅い時刻になるように車両の走行を調整する。車両の走行の調整の方法としては、例えば、車速の調整または走行経路の変更によって調整することとしてもよいし、待機エリアで待機することで調整することとしてもよいし、あるいは、走行モードをエコモードに変更することで調整することとしてもよい。車両管理部12は、これらの車両の走行の調整方法のうち少なくともひとつを用いて走行を調整する。
【0048】
ステップS207では、自動運転制御部13は、ステップS206で生成した調整後の走行経路や走行速度に基づく走行制御情報を生成し、当該情報を、サーバ通信部11を介して、車両4に送信する。また、車両管理部12は、ユーザ端末機2に車両の到着時刻に関する情報を、サーバ通信部11を介して、送信する。
【0049】
ステップS208では、車両管理部12が、ステップS204で算出した車両の走行経路を車両の走行経路として確定した後、自動運転制御部13は、当該走行経路に基づき走行制御情報を生成し、車両に送信する。また、車両管理部12は、車両の到着時刻に関する情報を、サーバ通信部11を介して、ユーザ端末機2に送信する。
【0050】
ステップS209では、サーバ通信部11から走行制御情報を受信した車両4は当該走行制御情報にしたがって走行を開始する。
【0051】
以上の説明が、ユーザから依頼を受けてから車両が走行を開始するまでのサーバ1の処理の手順となる。次に、車両が乗車地点まで走行している間の車両の走行の調整について、図3を用いて説明する。
【0052】
ステップS301では、車両管理部12は、一定の周期で、サーバ通信部11を介して、ユーザ端末機2の現在位置情報を取得する。
【0053】
ステップS302では、車両管理部12は、サーバ通信部11を介して、車両の現在位置の情報を取得する。
【0054】
ステップS303では、到着時刻推定部14は、ステップS301で取得したユーザの現在位置から乗車地点までのユーザ到着時刻範囲を算出する。具体的には、ユーザの現在位置から乗車地点までの移動距離を算出し、移動距離を移動速度で除算して移動時間を算出することで、ユーザ到着時刻を算出する。そして、当該ユーザ到着時刻に所定の時刻の範囲を設定し、ユーザ到着時刻範囲を算出する。ユーザの移動速度については、移動速度取得部25が取得したユーザの移動速度を用いることとしてもよい。また、ユーザ到着時刻範囲の算出に用いられる所定の時刻の範囲は、前述の通り、乗車地点までの距離に応じて設定されるため、乗車地点に近い位置でユーザの位置情報を取得するほど、所定の時刻の範囲は狭くなる。ユーザの乗車地点までの距離が近くなるほど、ユーザ到着時刻予測のばらつきが小さくなる、すなわち、予測の精度が高まると考えられるからである。
【0055】
なお、到着時刻推定部14によるユーザ到着時刻範囲の算出に関しては、ステップS301における一定の周期のタイミングで実行することとしてもよいし、予測した時刻通りにユーザが移動していないと判定される場合に、ユーザ到着時刻範囲を算出することとしてもよい。例えば、ユーザが移動経路途中で、寄り道をした等の場合が挙げられる。到着時刻推定部14は、ユーザの移動開始地点(ユーザが配車依頼をした地点)から乗車地点までの移動距離と、当該移動距離を移動した場合の移動時間に基づいて、移動中のユーザの位置情報を取得した時点の時刻においてユーザがどの位置にいる予定かを特定する。例えば、予定の移動時間の半分が経過するタイミングでユーザの位置情報を取得した場合には、そのタイミングにおいて、ユーザは移動距離の半分を移動した位置にいる予定であると特定される。それに対して、実際に取得されたユーザの位置が、予定の位置から所定の距離の範囲内にない場合には、予測通りにユーザが移動していないと判定する。あるいは、所定の時間、移動速度取得部25が取得した移動速度がゼロであれば、ユーザが予測通りに移動していないと判定することとしてもよい。この場合には、再度、当該タイミングにおけるユーザの現在位置に基づいて、ユーザ到着時刻範囲を算出する。また、ステップS301でユーザ位置情報を取得した際に、ユーザが移動経路上に位置していない、つまり、移動経路から外れていると判定される場合には、到着時刻推定部14は、判定された時点におけるユーザの位置から乗車地点までの移動経路を再度生成し、当該移動経路に沿って到着時刻を予測することとしてもよい。
【0056】
ステップS304では、到着時刻推定部13は、ステップS302で取得した車両の現在位置に基づき、車両が乗車地点に到着する車両到着時刻範囲を算出する。
【0057】
ステップS305では、車両管理部12は、ステップS303で算出されたユーザ到着時刻範囲の中でユーザが最も遅く到着する時刻T1と、ステップS304で算出された車両到着時刻範囲の中で車両が最も早く到着する時刻T2を比較し、T2がT1よりも早い時刻であるか否かを判定する。T2がT1よりも早い時刻であると判定される場合には、ステップS306に進み、T2がT1よりも早い時刻であると判定されない場合には、引き続き走行を継続し、フローはステップS309に進む。
【0058】
ステップS306では、車両管理部12は、T2がT1よりも遅い時刻になるように車両の走行を調整する。車両の走行の調整の方法としては、例えば、車速の調整または走行経路の変更によって調整することとしてもよいし、待機可能なスペースで待機することで調整することとしてもよいし、走行モードを変更することとしてもよい。車速を調整する場合には、車両管理部12は、車速を遅くすることで、ゆっくり走行するよう調整する。あるいは、走行経路を変更する場合には、遠回りになる経路を走行するようにしてもよいし、乗車地点近くを周回するようにしてもよい。また、待機可能なスペースで待機する場合には、乗車地点から所定の距離の範囲内に位置するスペースに停車することを選択することとしてもよい。あるいは、乗車地点から最も近い停車可能なスペースを特定し、当該スペースに停車することを選択する。これは、乗車地点に近い待機可能なスペースで調整することで、当該スペースから乗車地点まで走行する場合における到着時間のばらつきをより小さくすることができるからである。
【0059】
ステップS307では、自動運転制御部13は、ステップS306で生成した調整後の走行経路及び走行速度に基づく走行制御情報を生成し、当該走行制御情報を、サーバ通信部11を介して、車両4の車載通信部41に送信する。また、車両管理部12は、ユーザ端末機2に車両の到着時刻に関する情報を、サーバ通信部11を介して送信する。
【0060】
ステップS308では、サーバ通信部11から走行制御情報を受信した車両4は、当該走行制御情報に基づき走行制御内容を更新し、更新後の走行制御を実行する。
【0061】
ステップS309では、車両管理部12は、車両4が乗車地点に到着したか否かを判定する。例えば、車両の位置情報と乗車地点の位置情報に基づき、車両の位置が乗車地点から所定の距離の範囲内にあると判定される場合に、車両が乗車地点に到着したと判定する。到着したと判定される場合には、フローを終了する。到着したと判定されない場合には、ステップS301に戻り、以下、乗車地点に車両が到着するまで、フローを繰り返す。
【0062】
本実施形態では、ユーザの移動中、一定の周期でユーザ到着時刻範囲と車両到着時刻範囲を算出し、ユーザが最も遅く到着する到着時刻よりも車両が最も早く到着する到着時刻が遅い時刻になるよう走行の調整を繰り返すことで、車両の到着時刻の精度を高めることができる。以下、具体例を用いて、本実施形態における走行の調整を説明する。例えば、ユーザからの配車依頼を受けた車両管理システムは、ユーザが配車を依頼した時点で、ユーザの現在位置から乗車地点まで徒歩で移動するのに10~15分かかると予測する。その場合、車両が乗車地点まで移動するのにかかる時間が12~18分だと予測されると、車両管理システムは、ユーザの到着時刻の予測範囲(10~15分後)のうちユーザが最も遅く到着する時刻である15分後に車両が到着するように車両の走行を調整する。また、ユーザ及び車両が乗車地点まで移動している間にも、所定のタイミングで、そのタイミングにおけるユーザの現在位置からユーザの到着時刻の範囲を予測し、上記と同様に、予測されたユーザの到着時刻の範囲でユーザが最も遅く到着する到着時刻よりも後に車両が到着するよう車両の走行を調整する。例えば、移動経路を移動しているユーザの位置情報を取得し、取得時点のユーザの位置から7~10分後にユーザが乗車地点に到着するという予測がされたとする。その場合、車両が8~12分後に到着すると予測されると、車両管理システムは、車両が10分後(ユーザが最も遅く到着する到着時刻)より後に到着するように走行を調整する。また、さらに時間が経過した後、車両管理システムは、ユーザが乗車地点に近づいているタイミングでユーザの位置情報を取得する。ユーザが乗車地点に2~3分後に到着すると予測された場合、車両の到着時刻の予測範囲が2~4分後であると予測されると、車両管理システムは、車両が3分後(ユーザが最も遅く到着する到着時刻)より後に到着するように走行を調整する。以上のように、ユーザが乗車地点に近づくにつれて、ユーザの到着時刻範囲が狭くなることで、車両の到着時刻の精度を高めることができる。
【0063】
以上により、本実施形態では、ユーザの位置を示すユーザ位置情報及び車両の位置を示す車両位置情報を受信し、ユーザが車両に乗車する乗車地点を設定し、ユーザ位置情報に基づき、ユーザが乗車地点に到着する時刻の予測範囲を示すユーザ到着時刻範囲を算出し、車両位置情報に基づき、車両が乗車地点に到着する時刻の予測範囲を示す車両到着時刻範囲を算出し、車両到着時刻範囲のうち車両が最も早く到着する到着時刻が、ユーザ到着時刻範囲のうちユーザが最も遅く到着する到着時刻より遅い時刻となるように、自動運転機能による車両の走行を制御する。これにより、ユーザの乗車地点において、車両が交通流の妨げとなることを防止することができる。
【0064】
また、本実施形態では、ユーザが乗車地点まで移動している間に、所定のタイミングで、ユーザ位置情報を受信する。これにより、ユーザが乗車地点まで移動している間であっても、ユーザが最も遅く到着する時刻の変動に応じて、車両の到着時刻を調整することができる。
【0065】
また、本実施形態では、ユーザが依頼をした時のユーザの位置から乗車地点までの移動経路を生成し、移動経路の環境情報である移動経路環境情報を取得し、移動経路環境情報に基づき、ユーザ到着時刻範囲を算出する。これにより、ユーザが移動する経路の環境に即して正確なユーザ到着時刻を算出することができる。
【0066】
また、本実施形態では、ユーザが依頼をした時の車両の位置から乗車地点までの走行経路を生成し、走行経路の環境情報である走行経路環境情報を取得し、走行経路環境情報に基づき、車両到着時刻範囲を算出する。これにより、車両が走行する経路の環境に即して正確な車両到着時刻を算出することができる。
【0067】
また、本実施形態では、車速の調整、走行経路の変更及び停車のうち、少なくともひとつにより車両の走行を制御する。これにより、ユーザが乗車地点に最も遅く到着する時刻より遅い時刻に車両を到着させることができる。
【0068】
さらに、本実施形態では、乗車地点から所定の距離以内に位置する停車可能エリアに停車することにより、車両の走行を制御する。これにより、ユーザが乗車地点に最も遅く到着する時刻より遅い時刻に車両を到着させることができる。
【符号の説明】
【0069】
1…サーバ
11…サーバ通信部
12…車両管理部
13…自動運転制御部
14…到着時刻推定部
15…インフラ情報取得部
16…地図データベース
2…ユーザ端末機
21…端末通信部
22…表示部
23…入力部
24…ユーザ位置情報取得部
25…移動速度取得部
3…ネットワーク
4…輸送サービス車両
41…車載通信部
42…車両位置情報取得部
図1
図2
図3