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特許7358120情報処理装置、断層撮影装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、断層撮影装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20231002BHJP
   A61B 5/055 20060101ALN20231002BHJP
   A61B 8/14 20060101ALN20231002BHJP
【FI】
A61B6/03 330A
A61B6/03 360D
A61B6/03 360E
A61B5/055 390
A61B8/14
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019158315
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021036932
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 孝太郎
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-093137(JP,A)
【文献】特開2017-192453(JP,A)
【文献】特開2006-051198(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0103512(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
A61B 5/055
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を撮影した医用画像を取得する第1の取得部と、
前記医用画像に対する検像結果を取得する第2の取得部と、
前記医用画像に対する推論を行う推論部と、
前記第2の取得部によって取得された前記医用画像に対する検像結果に基づいて、前記推論部による前記医用画像に対する推論結果の外部装置への出力を制御する制御部と
を有し、
前記第2の取得部による前記医用画像に対する検像結果の取得と前記推論部による前記医用画像に対する推論とを実施し、前記第2の取得部による前記医用画像に対する検像結果の取得よりも前記推論部による前記医用画像に対する推論が先に完了した場合、前記制御部は、前記医用画像に対する検像結果が合格となるまで前記医用画像に対する推論結果を外部装置に出力しない
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検像結果が合格である医用画像に対する前記推論結果を前記外部装置に出力し、前記検像結果が不合格である医用画像に対する前記推論結果を前記外部装置に出力しない、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検像結果が不合格である場合に、前記第1の取得部は、再撮影による前記被検体の医用画像を取得し、前記第2の取得部は、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する検像結果を取得し、
前記推論部は、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する推論を行い、
前記制御部は、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する前記検像結果が合格である場合に、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する前記推論の推論結果を前記外部装置に出力する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
被検体を撮影した医用画像を取得する第1の取得部と、
前記医用画像に対する検像結果を取得する第2の取得部と、
前記医用画像に対する推論を行う推論部と、
前記第2の取得部によって取得された前記医用画像に対する検像結果に基づいて、前記推論部による前記医用画像に対する推論の実行を制御する制御部と
を有し、
撮影オーダから特定される前記被検体の撮影部位に対応する部分に限定して前記医用画像に対する検像が行われ、前記医用画像に対する検像結果が合格となる場合、前記制御部は、前記推論部による推論結果が外部装置に出力されるように制御する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検像結果が不合格である場合に、前記推論部によって実行中の前記医用画像に対する推論を中断する、ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記検像結果が不合格である場合に、前記第1の取得部は、再撮影による前記被検体の医用画像を取得し、前記第2の取得部は、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する検像結果を取得し、
前記制御部は、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する前記検像結果が合格である場合に、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する推論を実行するように前記推論部を制御する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2の取得部による前記医用画像に対する検像結果の取得と前記推論部による前記医用画像に対する推論とを並行に実行するよう前記第2の取得部および前記推論部を制御する、ことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記推論部は、医用画像を用いた機械学習によって作成されたモデルを用いて前記推論を行う、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第2の取得部は、前記被検体の撮影部位の情報を取得して、前記撮影部位の情報に基づいて前記医用画像に対する検像を行う、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
第1の取得手段が、被検体を撮影した医用画像を取得するステップと、
第2の取得手段が、前記医用画像に対する検像結果を取得するステップと、
推論手段が、前記医用画像に対する推論を行うステップと、
制御手段が、前記第2の取得手段によって取得された前記医用画像に対する検像結果に基づいて、前記推論手段による前記医用画像に対する推論結果の外部装置への出力を制御するステップと
を有し、
前記第2の取得手段による前記医用画像に対する検像結果の取得と前記推論手段による前記医用画像に対する推論とを実施し、前記第2の取得手段による前記医用画像に対する検像結果の取得よりも前記推論手段による前記医用画像に対する推論が先に完了した場合、前記制御するステップは、前記医用画像に対する検像結果が合格となるまで前記医用画像に対する推論結果を外部装置に出力しない
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
前記制御手段は、前記検像結果が合格である医用画像に対する前記推論結果を前記外部装置に出力し、前記検像結果が不合格である医用画像に対する前記推論結果を前記外部装置に出力しない、ことを特徴とする請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記検像結果が不合格である場合に、前記第1の取得手段が、再撮影による前記被検体の医用画像を取得し、前記第2の取得手段が、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する検像結果を取得するステップと、
前記推論手段が、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する推論を行うステップと、
前記制御手段が、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する前記検像結果が合格である場合に、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する前記推論の推論結果を前記外部装置に出力するステップと
をさらに有する、
ことを特徴とする請求項10または11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
第1の取得手段が、被検体を撮影した医用画像を取得するステップと、
第2の取得手段が、前記医用画像に対する検像結果を取得するステップと、
推論手段が、前記医用画像に対する推論を行うステップと、
制御手段が、前記第2の取得手段によって取得された前記医用画像に対する検像結果に基づいて、前記推論手段による前記医用画像に対する推論の実行を制御するステップと
を有し、
撮影オーダから特定される前記被検体の撮影部位に対応する部分に限定して前記医用画像に対する検像が行われ、前記医用画像に対する検像結果が合格となる場合、前記制御手段は、前記推論手段による推論結果が外部装置に出力されるように制御する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項14】
前記制御手段は、前記検像結果が不合格である場合に、前記推論手段によって実行中の前記医用画像に対する推論を中断する、ことを特徴とする請求項13に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記検像結果が不合格である場合に、前記第1の取得手段が、再撮影による前記被検体の医用画像を取得し、前記第2の取得手段が、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する検像結果を取得するステップと、
前記制御手段が、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する前記検像結果が合格である場合に、前記再撮影による前記被検体の前記医用画像に対する推論を実行するように前記推論手段を制御するステップと
をさらに有する、ことを特徴とする請求項13または14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記第2の取得手段は、前記医用画像に対する検像を実行して前記検像結果を取得し、
前記制御手段は、前記第2の取得手段による前記医用画像に対する検像と前記推論手段による前記医用画像に対する推論とを並行に実行するよう前記第2の取得手段と前記推論手段を制御する、
ことを特徴とする請求項13から15のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項17】
前記推論手段は、医用画像を用いた機械学習によって作成されたモデルを用いて前記推論を行う、ことを特徴とする請求項10から16のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項18】
前記第2の取得手段は、前記被検体の撮影部位の情報を取得して、前記撮影部位の情報に基づいて前記医用画像に対する検像を行う、ことを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項19】
コンピュータに請求項10から18のいずれか一項に記載の情報処理方法を実行させる、ことを特徴とするプログラム。
【請求項20】
請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記被検体の断層データを収集するデータ収集部と
を有し、
前記第1の取得部は、前記データ収集部によって収集された前記断層データを基に前記医用画像を取得する
ことを特徴とする断層撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像を処理する情報処理装置、断層撮影装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野において、様々なモダリティによって医用画像が撮影される。モダリティには、コンピュータ断層撮影装置(CT(Computed Tomography)装置)、X線診断装置、磁気共鳴イメージング装置(MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置)、超音波診断装置等がある。そして、撮影技師によって、モダリティで撮影された医用画像が臨床的な要求を満たしているか(医用画像が適切に撮影されているか)否かを確認することが行われる。この確認作業は例えば検像と呼ばれる。検像が行われた医用画像は、医用画像の保管や管理を行うための医用画像管理システム(PACS(Picture Archiving and Communication System)に送信される。
【0003】
検像は、コンピュータによって行われる場合もある。特許文献1には、モダリティで撮影された医用画像に対して画像処理が行われる場合に、画像処理が行われた医用画像の画質などに基づいて警告を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-150062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、医用画像に対しては、病変の検出や異常部位の有無の判定などを目的とした推論と呼ばれる作業が行われることがある。ただし、検像に合格した医用画像を基に推論が行われないと、推論を正しく行なうことができない可能性がある。
【0006】
本件開示の技術は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、医用画像に対して適切な検像結果に基づいて推論を行うことを支援することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本件開示の技術に係る情報処理装置は、
被検体を撮影した医用画像を取得する第1の取得部と、
前記医用画像に対する検像結果を取得する第2の取得部と、
前記医用画像に対する推論を行う推論部と、
前記第2の取得部によって取得された前記医用画像に対する検像結果に基づいて、前記推論部による前記医用画像に対する推論結果の外部装置への出力を制御する制御部と
を有し、
前記第2の取得部による前記医用画像に対する検像結果の取得と前記推論部による前記医用画像に対する推論とを実施し、前記第2の取得部による前記医用画像に対する検像結果の取得よりも前記推論部による前記医用画像に対する推論が先に完了した場合、前記制御部は、前記医用画像に対する検像結果が合格となるまで前記医用画像に対する推論結果を外部装置に出力しない
ことを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本件開示の技術に係る情報処理装置は、
被検体を撮影した医用画像を取得する第1の取得部と、
前記医用画像に対する検像結果を取得する第2の取得部と、
前記医用画像に対する推論を行う推論部と、
前記第2の取得部によって取得された前記医用画像に対する検像結果に基づいて、前記推論部による前記医用画像に対する推論の実行を制御する制御部と
を有し、
撮影オーダから特定される前記被検体の撮影部位に対応する部分に限定して前記医用画像に対する検像が行われ、前記医用画像に対する検像結果が合格となる場合、前記制御部は、前記推論部による推論結果が外部装置に出力されるように制御する
ことを特徴とする。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本件開示の技術に係る情報処理方法は、
第1の取得手段が、被検体を撮影した医用画像を取得するステップと、
第2の取得手段が、前記医用画像に対する検像結果を取得するステップと、
推論手段が、前記医用画像に対する推論を行うステップと、
制御手段が、前記第2の取得手段によって取得された前記医用画像に対する検像結果に
基づいて、前記推論手段による前記医用画像に対する推論結果の外部装置への出力を制御するステップと
有し
前記第2の取得手段による前記医用画像に対する検像結果の取得と前記推論手段による前記医用画像に対する推論とを実施し、前記第2の取得手段による前記医用画像に対する検像結果の取得よりも前記推論手段による前記医用画像に対する推論が先に完了した場合、前記制御するステップは、前記医用画像に対する検像結果が合格となるまで前記医用画像に対する推論結果を外部装置に出力しない
ことを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本件開示の技術に係る情報処理方法は、
第1の取得手段が、被検体を撮影した医用画像を取得するステップと、
第2の取得手段が、前記医用画像に対する検像結果を取得するステップと、
推論手段が、前記医用画像に対する推論を行うステップと、
制御手段が、前記第2の取得手段によって取得された前記医用画像に対する検像結果に基づいて、前記推論手段による前記医用画像に対する推論の実行を制御するステップと
を有し、
撮影オーダから特定される前記被検体の撮影部位に対応する部分に限定して前記医用画像に対する検像が行われ、前記医用画像に対する検像結果が合格となる場合、前記制御手段は、前記推論手段による推論結果が外部装置に出力されるように制御する
ことを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本件開示の技術に係るプログラムは、コンピュータに上記の情報処理方法を実行させる、ことを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本件開示の技術に係る断層撮影装置は、
上記の情報処理装置と、
前記被検体の断層データを収集するデータ収集部と
を有し、
前記第1の取得部は、前記データ収集部によって収集された前記断層データを基に前記医用画像を取得する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本件開示の技術によれば、医用画像に対して適切な検像結果に基づいて推論を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る情報処理システムの機能ブロック図である。
図2】第1実施形態に係る情報処理装置の概略構成図である。
図3】第1実施形態において実行される処理のフローチャートである。
図4】第1実施形態に係る医用画像の表示例を示す図である。
図5】第2実施形態において実行される処理のフローチャートである。
図6】一変形例において実行される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照しつつ、本件開示の技術の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。よって、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。特に図示あるいは記述をしない構成や工程には、当該技術分野の周知技術または公知技術を適用することが可能である。また、重複する説明は省略する場合がある。
【0012】
(第1実施形態)
まず、本実施形態における情報処理装置によって解決される問題の一例について説明する。図1に、本実施形態における断層撮影装置1、PACS30、モニタ40、50、入力装置60を備える情報処理システム2の機能ブロック図を示す。断層撮影装置1は、架
台10とコンソール100とを有する。
【0013】
例えば、架台10はCT検査室に設置され、コンソール100はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台10とコンソール100とは互いに通信可能に接続されている。架台10は、X線CT撮影のための撮影機構を搭載する。コンソール100は、架台10を制御するコンピュータである。また、コンソール100は、PACS30、モニタ50、入力装置60に接続されている。コンソール100の使用者(撮影技師等)は、入力装置60を操作してコンソール100に種々の指示を行い、コンソール100の処理結果をモニタ50によって確認する。また、PACS30は、モニタ40に接続されている。医師等は、PACS30によって管理されている医用画像をモニタ40に表示して読影等を行う。各装置の接続形態は、有線接続や無線接続の他、特に限定されない。なお、PACS30、モニタ40、50が外部装置の一例である。
【0014】
図1に示すように、架台10は、架台制御回路11、X線発生部12、回転フレーム13、X線検出部14、データ収集回路15を有する。架台10が、被検体の断層データを収集するデータ収集部の一例である。架台制御回路11は、X線発生部12、回転フレーム13、X線検出部14、データ収集回路15の駆動を制御する。X線発生部12は、X線管によって発生されるX線をコリメータによって整形し、整形したX線を回転フレーム13に向けて照射する。回転フレーム13は、開口を有する略円筒形状の金属枠であり、架台10内において回転可能に支持されている。また、回転フレーム13の開口内には、寝台が設けられ、寝台に被検体が載置される。
【0015】
X線検出部14は、X線発生部12から回転フレーム13の寝台に載置された被検体に照射されたX線を検出素子によって検出する。検出素子は、シンチレータと光センサを有する。検出素子では、シンチレータによって検出素子に入射するX線が入射X線量に応じた光子量の光に変換され、光センサによって当該光が増幅されて電気信号に変換される。データ収集回路15は、X線検出部14によって検出されたX線の線量に応じた電気信号を読み出して増幅し、増幅した電気信号をビュー期間にわたって積分することによりX線の線量に応じたデジタル値を有する、被検体の断層データを生成する。
【0016】
図2は、コンソール100のハードウェア構成を示す概略構成図である。コンソール100は、CPU(Central Processing Unit)111を有する。また、コンソール100は、RAM(Random Access Memory)112、ROM(Read Only Memory)113、HDD(Hard Disk
Drive)114を有する。さらに、コンソール100は、GPU(Graphics Processing Unit)115、通信インタフェース(I/F)116を有する。CPU111、RAM112、ROM113、HDD114、GPU115、通信I/F116は、システムバス117を介して互いに接続されている。本実施形態では、CPU111が、HDD114に記憶されている各種プログラムをRAM112に展開して実行することで、図1に示す画像処理部101、制御部102、検像結果取得部103、推論部104、出力部105として機能する。
【0017】
また、コンソール100の各構成はそれぞれ別の装置として構成されてもよいし、一体となった1つの装置として構成されてもよい。また、コンソール100の少なくとも一部の構成が一体となった1つの装置として構成されてもよい。
【0018】
(画像処理部101)
画像処理部101は、架台10のデータ収集回路15から上記の通り生成された断層データを受信し、断層データに対数変換等の前処理や補正処理を行い、処理されたデータを基に被検体のCT画像を生成する。なお、CT画像が医用画像の一例であり、画像処理部
101が被検体の医用画像を取得する第1の取得部および第1の取得手段の一例である。本実施形態では、撮影に関連する被検体の情報や確認事項などが含まれる撮影オーダがあらかじめ提供されており、断層撮影装置1の撮影技師は、撮影オーダを踏まえて被検体の撮影を行う。なお、データ収集回路15によって収集された断層データは、コンソール100に自動で送信されてもよい。あるいは、コンソール100の使用者である撮影技師等がモニタ50に表示される不図示のGUI(Graphical User Interface)を操作してCT画像を指定してもよい。この場合、画像処理部101が、指定されたCT画像の生成に使用する断層データをデータ収集回路15から取得する。
【0019】
(検像結果取得部103)
検像結果取得部103は、画像処理部101が取得した医用画像が適切に撮影されているかを確認する検像の結果を取得する。検像とは、モダリティで撮影した画像が診断に使用可能な画像であることを確認することである。検像には、例えば、医用画像に虚像が含まれているか否か、医用画像にアーチファクト等に起因するハレーションが生じているか否か、医用画像に含まれる撮影対象の像が歪んでいるか否かを確認することが含まれる。さらに、検像には、医用画像が診断に適した解像度になっているか否か、医用画像が診断に適切な配置になっているか否か、被検体中の関心領域が撮影されているか否か等を確認することが含まれてもよい。以下の説明では、検像の結果、医用画像が適切に撮影されている場合を合格と呼び、医用画像が適切に撮影されていない場合を不合格と呼ぶ。なお、検像結果取得部103が、医用画像に対する検像結果を取得する第2の取得部および第2の取得手段の一例である。
【0020】
本実施形態では、撮影技師等が入力装置60を操作して医用画像の検像を行う。撮影技師等は、入力装置60を操作してモニタ50に画像処理部101が取得した医用画像を表示する。そして、撮影技師等がモニタ50に表示されるGUI等を操作して医用画像を確認し、医用画像が合格である場合はモニタ50に表示される合格ボタン(不図示)を押す。また、撮影技師等は、医用画像が不合格である場合はモニタ50に表示される不合格ボタン(写損ボタン)(不図示)を押す。また、撮影技師等は、再撮影ボタンを押すことで再撮影の要求を行う。また、撮影技師等は、モニタ50に表示されるGUI等を操作して、医用画像の検像に関するコメントを入力することもできる。例えば、撮影技師等は、医用画像の検像が不合格であると判断した場合に、モニタ50に表示されるGUI等を操作して検像が不合格である理由を入力する。検像結果取得部103は、モニタ50に表示された医用画像に対する撮影技師等による合否判定やコメントを検像結果として取得する。なお、入力装置60が、合格ボタン、不合格ボタン(写損ボタン)や再撮影ボタンを備えていてもよい。
【0021】
(推論部104)
推論部104は、画像処理部101が取得した医用画像に対する推論を行う。本実施形態では、CNN(Convolutional Neural Network)等の公知の深層ネットワークを用いた機械学習によって大動脈解離の部位が含まれる医用画像を対象とした学習済みのモデルがあらかじめ作成されている。推論部104は、作成されたモデルを用いて医用画像に対する推論を行い、医用画像内の大動脈解離の領域を検出したり局所的な領域を描出したりする。なお、推論の内容はこれに限らず、推論によって、医用画像内の局所的な領域に大動脈解離が含まれている確率等が算出されたり、医用画像に大動脈解離が含まれている確率等が算出されたりしてもよい。なお、推論部104は、上記のモデルを用いる代わりにあるいは/加えて、大動脈解離が発生している確率を算出するための算出式等を用いて推論を行ってもよい。なお、推論部104が、医用画像に対する推論を行う推論手段の一例である。
【0022】
(出力部105)
出力部105は、制御部102からの指示に基づいて、コンソール100において取得される医用画像、検像結果、推論結果をPACS30やモニタ50等に出力する。
【0023】
(制御部102)
制御部102は、コンソール100内の各部の制御を司る。また、制御部102は、架台10の架台制御回路11を制御することで架台10における被検体の撮影を制御する。また、制御部102は、検像結果取得部103が取得した検像結果に基づいて、推論部104による医用画像に対する推論の実行を制御する。ここで、制御部102による推論部104の推論の実行の制御は、制御部102が推論部104に対して推論の実行に関する種々の指示を行うことを意味する。例えば、制御部102は、検像結果取得部103が取得した検像結果が合格である医用画像に対して推論を行うよう、推論部104に指示する。一方、制御部102は、検像結果取得部103が取得した検像結果が不合格である医用画像に対して推論を行わないよう、推論部104に指示する。また、制御部102は、検像結果取得部103が取得した検像結果が不合格である場合に、検像結果が不合格である当該医用画像に対する推論が推論部104によって実行中であるときは、推論部104に推論を中断するよう指示する。また、推論部104は、ある医用画像に対する推論を中断した場合は、次の医用画像に対する推論に移行する。
【0024】
なお、本実施形態では、制御部102が、医用画像と検像結果と推論結果とを、出力部105からコンソール100内の後述するHDDに出力してもよい。また、検像結果取得部103が取得した検像結果が不合格である場合に、制御部102は、出力部105から図示しないスピーカやランプ等によって音や光等を出力して撮影技師等に報知してもよい。あるいは/加えて、検像結果取得部103が取得した検像結果が合格である場合に、制御部102は、出力部105からスピーカやランプ等によって音や光等を出力して撮影技師等に報知してもよい。検像結果が不合格である場合と合格である場合とでの出力部105による報知方法は、それぞれ適宜設定することができる。さらに、制御部102が、推論部104による推論を中断するよう指示した場合に、出力部105から推論が中断されたことを撮影技師等に報知してもよい。
【0025】
また、制御部102は、検像結果が不合格である医用画像の再撮影を要求するメッセージを出力部105からモニタ50に出力して、撮影技師等に医用画像の再撮影を促してもよい。また、制御部102は、検像結果が合格である場合に、検像結果が合格であることを示すメッセージや推論結果が出力されることを示すメッセージを出力部105からモニタ50に出力してもよい。さらに、検像結果取得部103が取得した検像結果が不合格である場合に、制御部102が架台制御回路11を制御して架台10において被検体の再撮影を自動で行うように構成されてもよい。さらに、制御部102は、再撮影が行われる場合に推論部104による推論を中断するよう構成されてもよい。また、制御部102は、再撮影が行われなければ推論部104による推論を中断しないよう構成されてもよい。
【0026】
本実施形態では、画像処理部101、制御部102、検像結果取得部103、推論部104、出力部105は、コンソール100で実行できるアプリケーションとして存在する。ただし、コンソール100のこれらの処理部は、オンプレミスなシステムとして存在していてもよい。あるいは、画像処理部101、制御部102、検像結果取得部103、推論部104、出力部105は、サーバなどのネットワークやクラウド上でプログラムとして存在して処理を実行してもよい。
【0027】
(処理フロー)
次に、本実施形態におけるコンソール100のCPU111が実行する処理について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。本実施形態では、CPU111が、架台10において撮影された被検体の医用画像の検像結果に基づいて、当該医用画像に対する
推論の実行を制御する。
【0028】
ステップS1において、CPU111は、架台10のデータ収集回路15から受信したデータを基に被検体の医用画像を生成する。これにより、CPU111は、被検体の医用画像を取得する。次に、ステップS2において、CPU111は、撮影技師等による入力装置60の操作を基に、ステップS1において取得した医用画像をモニタ50に表示する。撮影技師等は、モニタ50に表示された医用画像に対して検像を行う。そして、撮影技師等は、モニタ50に表示される合格ボタンおよび不合格ボタンを使用して、医用画像が合格であるか不合格であるかを決定する。また、撮影技師等は、入力装置60を操作して、医用画像が不合格である理由を入力する。CPU111は、撮影技師等による医用画像の合格または不合格の決定や不合格の理由を示す情報を医用画像に対する検像結果として取得する。また、ステップS3において、CPU111は、ステップS1において取得した医用画像に対して推論を行う。ここで、CPU111は、ステップS2の検像結果の取得処理とステップS3の推論処理とを並行に実行する。
【0029】
次に、ステップS4において、CPU111は、ステップS2において取得した検像結果が合格であるか否かの判定を行う。CPU111は、検像結果が合格である場合は(S4:Y)ステップS7に処理を進め、検像結果が不合格の場合は(S4:N)ステップS5に処理を進める。ステップS5において、CPU111は、ステップS1において取得した医用画像に対する推論を実行中であるか否かを判定する。CPU111は、推論が実行中である場合は(S5:Y)、ステップS6に処理を進め、推論が実行中でない場合は(S5:N)、ステップS7に処理を進める。ステップS6において、CPU111は、実行中の推論を中断し、ステップS7に処理を進める。
【0030】
ステップS7において、CPU111は、検像結果および/または推論結果が得られた医用画像をモニタ50に表示する。図4にモニタ50における医用画像の表示例を示す。図4の表示例では、モニタ50には、医用画像の確認画面501に、4枚の医用画像が表示されている。また、医用画像には、疾患リスクが高いことを示す推論結果が得られた場合など緊急度が比較的高いことを示す指標502も表示される。また、医用画像には、ステップS2において取得された検像結果が不合格であることを示す指標503、504も表示される。撮影技師等が入力装置60を操作していずれかの指標を押すと、指標の内容を示す情報が詳細情報表示部505に表示される。詳細情報表示部505に表示される指標の内容は、ステップS2において撮影技師等によって入力された、検像結果が不合格である理由のコメントである。
【0031】
本実施形態では、検像結果が合格である医用画像に対して推論結果が表示され、検像結果が不合格である医用画像に対しては推論結果は表示されない。したがって、図4の表示例では、検像結果が不合格であることを示す指標503、504が表示されている医用画像には、推論結果を示す指標502などの指標は表示されない。これにより、撮影技師等は、適切な検像結果が得られた医用画像を対象として推論結果を確認することができる。
【0032】
図4の表示例では、撮影技師等が指標503を押し、詳細情報表示部505に医用画像に虚像(検像結果が不合格)があることを示すメッセージが表示されている例を示す。なお、図4において、指標504が表示されている医用画像は、一部にハレーションが生じている医用画像である。このため、指標504が押されると、詳細情報表示部505には、検像結果が不合格である理由として医用画像にハレーションが生じていることを示す情報が表示される。また、モニタ50には、再撮影を要求するための再撮影ボタン506が表示される。撮影技師等は、それぞれの指標を押して詳細情報表示部505に表示される情報を確認しつつ、必要に応じて再撮影ボタン506を押すことで再撮影を要求することができる。
【0033】
また、モニタ50には、各医用画像に対応するチェックボックス507が表示される。撮影技師等は、チェックボックス507のオン/オフを切り替えることで、医用画像をPACS30に送信するか否かを決定することができる。また、モニタ50には、確認画面501に表示された医用画像の確認を完了する完了ボタン508が表示される。撮影技師等がモニタ50に表示される医用画像を確認したり再撮影の要求などの必要な操作を行ったりした後に完了ボタン508を押すと、チェックボックス507がオンである医用画像がPACS30に送信される。
【0034】
ステップS8において、CPU111は、ステップS7において表示した医用画像について、再撮影ボタン506が押されたか否かに基づいて、医用画像の再撮影が要求されたか否かを判定する。CPU111は、再撮影ボタン506が押された場合は(S8:Y)、処理をステップS1に戻し、再撮影の対象となる医用画像を再度取得する。そして、CPU111は、再撮影された医用画像を取得し、再撮影された医用画像を対象として上記の処理を繰り返す。一方、ステップS7において表示した医用画像に対して再撮影ボタン506が押されていない場合は(S8:N)、処理をステップS9に進める。
【0035】
ステップS9において、CPU111は、完了ボタン508が押されたか否かに基づいて、ステップS7において表示した医用画像の確認が完了したか否かを判定する。CPU111は、完了ボタン508が押された場合は(S9:Y)、処理をステップS10に進める。一方、CPU111は、完了ボタン508が押されていない場合は(S9:N)、処理をステップS8に戻す。ステップS10において、CPU111は、モニタ50に表示された医用画像のうちチェックボックス507がオンである医用画像をPACS30に送信する。そして、CPU111は、本フローチャートの処理を終了する。
【0036】
以上により、本実施形態に係るコンソール100によれば、架台10において撮影された被検体の医用画像に対する検像結果の取得と推論とを並行して行い、検像結果に基づいて推論の実行が制御される。これにより、検像に合格した医用画像に基づく推論結果が提供されるため、医用画像に基づく推論結果の信頼性をより高めることができる。また、コンソール100においては検像結果の取得と推論が並行して実行されるため、医用画像の撮影が完了してから検像および推論が完了するまでの時間をより短縮することができる。また、検像結果が不合格である場合は、不合格である医用画像に対して実行中の推論が中断されるため、不要な推論処理を省略することができる。したがって、本実施形態によれば、被検体において大動脈解離が発症している場合に、コンソール100による上記の処理によって、適切な検像結果に基づく推論結果が得られ、従来よりも迅速に被検体に対する診断が行われることが期待できる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。第2実施形態におけるコンソール100では、架台10において撮影された被験体の医用画像が生成され、生成された医用画像に対する推論が行われた後に検像結果の取得が行われる。そして、コンソール100の制御部102は、検像結果に基づいて外部装置への推論結果の出力を制御する。なお、第1実施形態における検像結果の取得および推論の対象疾患は大動脈解離であるが、第2実施形態における検像結果の取得および推論の対象疾患は気胸であるとする。
【0038】
本実施形態では、推論部104は、CNN等の公知の深層ネットワークを用いた機械学習によって気胸の部位が含まれる医用画像を対象とした学習済みのモデルがあらかじめ作成されている。推論部104は、作成されたモデルを用いて医用画像に対する推論を行い、医用画像内の気胸の領域を検出したり局所的な領域を描出したりする。なお、推論の内
容はこれに限らず、第1実施形態と同様、推論によって、医用画像内に気胸が含まれている確率等が算出されてもよい。
【0039】
第2実施形態では、画像処理部101は、架台10において撮影された被検体の断層データをデータ収集回路15から取得し、取得したデータを基に医用画像を生成する。また、推論部104が、画像処理部101によって取得された医用画像に対する推論を行う。そして、推論部104による推論が完了した後に、検像結果取得部103が撮影技師等による医用画像の検像結果を取得する。制御部102は、画像取得部101から当該医用画像を取得する。なお、制御部102は、推論部104から医用画像を取得してもよい。制御部102は、検像結果取得部103が取得した検像結果と推論部104による推論結果を基に医用画像を表示する。また、制御部102は、撮影技師等によって選択された医用画像を出力部105からPACS30に送信する。
【0040】
(処理フロー)
次に、本実施形態におけるコンソール100のCPU111が実行する処理について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。本実施形態では、CPU111が、架台10において撮影された被検体の医用画像に対する推論を行った後に、検像結果を取得し、取得した検像結果を基に推論結果を撮影技師等に表示する。
【0041】
ステップS11において、CPU111は、架台10のデータ収集回路15から受信したデータを基に被検体の医用画像を生成する。これにより、CPU111は、被検体の医用画像を取得する。次に、ステップS12において、CPU111は、ステップS11において取得した医用画像に対して推論を行う。ステップ12における推論が完了した後、ステップS13において、CPU111は、撮影技師等による入力装置60の操作を基に、ステップS11において取得した医用画像をモニタ50に表示する。撮影技師等は、モニタ50に表示された医用画像に対して検像を行う。そして、撮影技師等は、モニタ50に表示される合格ボタンおよび不合格ボタンを使用して、医用画像が合格であるか不合格であるかを決定する。また、撮影技師等は、入力装置60を用いて、医用画像が不合格である理由を入力する。CPU111は、撮影技師等による医用画像の合格または不合格の決定や不合格の理由を示す情報を医用画像に対する検像結果として取得する。
【0042】
CPU111は、ステップS13の処理を完了すると、処理をステップS7に進める。本フローチャートのステップS7~S10の処理は、第1実施形態の処理と同じである。これにより、モニタ50には図4に例示するように医用画像が表示される。そして、撮影技師等は、各医用画像を確認して再撮影など必要な操作を行った後に完了ボタン508を押して、チェックボックス507をオンにした医用画像をPACS30に送信することができる。
【0043】
以上のように、本実施形態に係るコンソール100によれば、架台10において撮影された被検体の医用画像に対して推論が行われた後に検像を行い、検像結果に基づいて、推論結果を出力するか否かが決定される。これにより、検像結果が合格である場合にのみ推論結果が出力されるため、適切な検像に基づく推論結果が提供される。また、例えば、医用画像に対する検像よりも推論がより短時間で完了する場合には、先に推論を完了しておくことで検像が完了次第、検像結果を基に推論結果が出力される。この結果、医用画像の撮影が完了してから検像および推論が完了するまでの時間をより短縮することができる。したがって、本実施形態によれば、被検体において気胸が発症している場合に、コンソール100による上記の処理によって、適切な検像結果に基づく推論結果が得られ、従来よりも迅速に被検体に対する診断が行われることが期待できる。
【0044】
なお、各実施形態の説明は本件開示の技術を説明する上での例示であり、本件開示の技
術は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更または組み合わせて実施することができる。例えば、上記の実施形態において、コンソール100の画像処理部101、制御部102、検像結果取得部103、推論部104、出力部105は、演算回路によって実現されてもよい。さらに、これらの処理部のうち少なくとも1つが、専用に設計されたワークステーションであってもよい。また、これらの処理部の演算回路の各構成は、異なるハードウェアによって構成されてもよい。また、これらの処理部の演算回路の少なくとも一部の構成は単一のハードウェアで構成されてもよい。つまり、コンソール100のこれらの処理部は、CPUやGPU等のプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)チップ等の演算回路で構成されていてもよい。さらに、これらの処理部は、単一のプロセッサや演算回路から構成されるだけでなく、複数のプロセッサや演算回路から構成されていてもよい。
【0045】
また、上記の実施形態では、画像取得部101によって取得された医用画像の検像を撮影技師等が行うことを想定しているが、コンソール100によって医用画像の検像が実行されるように構成されていてもよい。この場合、CPU11は、上記のステップS2、S13の処理を実行する代わりに、ステップS1、S11によって取得した医用画像の検像を実行して検像結果を取得する処理を実行する。
【0046】
また、医用画像の検像は、1医用画像ごとに実行されてもよいし、複数の医用画像に対して一括して実行されてもよい。ここで、患者単位、すなわち患者ごとに複数の医用画像の検像が一括で実行されてもよい。また、1患者に対して複数種類の検査が行われる場合に、検査単位で複数の医用画像の検像が一括で実行されてもよい。また、検査において複数の部位を一連の順序に従って撮影するようないわゆる撮影シーケンスが存在する場合は、撮影シーケンス単位で複数の医用画像の検像が一括で実行されてもよい。また、撮影対象の部位のボリュームデータいわゆる撮影ボリューム単位で複数の医用画像の検像が一括で実行されてもよい。
【0047】
また、第2実施形態では、CPU111は、医用画像に対する推論が完了した後に検像結果を取得するが、一変形例として医用画像に対する検像結果を取得した後に推論を行ってもよい。図6に本変形例においてCPU111が実行する処理のフローチャートを示す。図6のフローチャートに示すように、CPU111は、上記のステップS11の処理によって医用画像を取得した後に、上記のステップS13の処理によって検像結果を取得する。そして、CPU111は、ステップS13の検像結果の取得処理の完了後に、上記のステップS4の判定処理を行う。そして、CPU111は、ステップS4において検像結果が合格である場合に(S4:Y)処理をステップS12に進め、検像結果が不合格である場合に(S4:N)処理をステップS7に進める。ステップS7~ステップS10の処理は上記と同じであるため、詳細な説明は省略する。本変形例では、CPU111は、検像結果を取得した段階で推論の実行の要否を決定する。これにより、検像結果が不合格である場合に不要な推論を行わないことで、医用画像の表示や撮影技師等による再撮影の要求がより短時間で行えることが期待できる。
【0048】
また、上記の実施形態において、推論結果が異常であることを示す医用画像が、推論結果が正常であることを示す医用画像よりも優先して読影されるよう、医師等に促す処理が実行されてもよい。例えば、CPU111は、優先して読影されるべき医用画像を示す情報を医用画像と推論結果とともにPACS30に送信する。この場合に、推論結果の緊急度に応じて優先順位が設定されてもよい。優先順位は、撮影技師等がコンソール100において設定してもよいし、推論結果の緊急度に応じた優先順位があらかじめコンソール100に設定されていてもよい。
【0049】
また、上記の実施形態では、断層撮影装置1において撮影された被検体の医用画像を検
像および推論の対象とする場合を想定した。ただし、各実施形態において医用画像を撮影するモダリティはこれらに限定されない。例えば、断層撮影装置1の代わりに、MRI装置、超音波診断装置、X線マンモグラフィ装置などが用いられてもよい。したがって、本件開示の技術は、X線などの電磁波や超音波など、所定波長の波が被検体に照射される種々の断層撮影装置に適用できる。さらに、第1実施形態では対象疾患が大動脈解離である場合を想定し、第2実施形態では対象疾患が気胸である場合を想定したが、対象疾患はこれらに限定されず、悪性新生物(悪性腫瘍、がん)やその他の疾患であってもよい。
【0050】
また、上記の実施形態において、推論結果は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)のデータ要素を識別する付帯情報であるタグに追加されてもよい。また、推論結果が医用画像に治療が必要となる可能性がある部位が含まれていることを示す場合に、その旨を示す情報が電子カルテに追加されてもよい。
【0051】
また、上記の実施形態において、医用画像の検像結果が不合格でも、撮影オーダから特定される撮影部位に対応する部分に限定すれば検像結果が合格となる場合も想定される。そこで、撮影オーダの情報に基づいて撮影部位が特定され、当該部位については検像結果が合格となる場合には、上記の処理によって得られる推論結果が出力されるようにコンソール100が構成されていてもよい。
【0052】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0053】
100・・・コンソール、101・・・画像処理部、102・・・制御部、103・・・検像結果取得部、104・・・推論部、111・・・CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6