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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
H02M3/155 B
H02M3/155 Q
H02M3/155 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019169833
(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2021048698
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【氏名又は名称】柿本 恭成
(74)【代理人】
【識別番号】100178906
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充和
(72)【発明者】
【氏名】呉 益東
(72)【発明者】
【氏名】木島 正幸
(72)【発明者】
【氏名】藤井 紀行
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-163773(JP,A)
【文献】特開2017-077076(JP,A)
【文献】特開2016-163475(JP,A)
【文献】特開2010-130758(JP,A)
【文献】特開2017-045504(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0187199(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 - 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング信号によりオン/オフ動作するスイッチング素子を有し、前記スイッチング素子により直流の入力電圧をオン/オフして交流電圧及び交流電流を出力するスイッチング回路と、
前記交流電圧及び前記交流電流を整流素子により整流した後、出力コンデンサにより平滑して直流の出力電圧及び出力電流を送出する整流平滑回路と、
前記スイッチング信号を生成し、前記出力コンデンサに対するプリチャージ動作と、前記スイッチング回路のソフトスイッチング動作及び通常運転動作と、を制御する制御部と、
を備えるスイッチング電源装置であって、
前記制御部は、
負荷の大きさに応じてプリチャージ期間を変化させ、前記プリチャージ動作を制御するプリチャージ制御部と、
前記プリチャージ期間中に、前記スイッチング回路の過負荷起動を判定する過負荷起動判定部と、
前記ソフトスイッチング動作時及び前記通常運転動作時における前記出力電圧の第1目標電圧値を設定する目標電圧設定部と、
前記ソフトスイッチング動作時及び前記通常運転動作時における前記出力電流の目標電流値を設定する目標電流設定部と、
前記目標電流値と前記出力電流の計測値との電流差分を求め、フィーバック制御により前記電流差分を減少するような第2目標電圧値を求める定電流制御部と、
前記プリチャージ動作の完了後、前記過負荷起動判定部の判定結果が過負荷起動の場合には、前記プリチャージ動作の完了時点における前記出力電圧の計測値によって前記第2目標電圧値を初期化する目標電圧補正部と、
前記第1目標電圧値と前記第2目標電圧値との大小を比較演算し、小側を選択して基準電圧値を求める演算部と、
前記基準電圧値と前記出力電圧の計測値との電圧差分を求め、フィーバック制御により前記電圧差分を減少するような制御量を求める定電圧制御部と、
前記制御量に基づき前記スイッチング信号を生成するスイッチング信号生成部と、
を有することを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記過負荷起動判定部は、
前記プリチャージ動作が所定時間経過後に所定電圧に達していない場合、前記過負荷起動を判定する、
ことを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記過負荷起動判定部は、
前記出力電流の計測値が所定の電流値よりも大きいか否かにより、前記過負荷起動を判定する、
ことを特徴とする請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記演算部は、
前記初期化された第2目標電圧値を選択して前記基準電圧値を求める、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記第2目標電圧値は、前記定電流制御部において電圧値に変換され、
前記電圧値に変換された第2目標電圧値が、前記演算部において前記第1目標電圧値と比較演算される、
ことを特徴とする請求項4記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記制御量は、
周波数又はパルス幅であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記定電流制御部及び前記定電圧制御部における前記フィードバック制御は、
比例及び積分、又は、比例、積分及び微分のいずれか一方を用いて制御する、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
前記スイッチング回路と、
前記スイッチング回路から出力される前記交流電圧によって所定の共振周波数で共振する共振回路と、
前記共振回路の出力信号を所定の電圧レベルに変換する変圧器と、
前記変圧器の出力信号を整流及び平滑して前記出力電圧及び前記出力電流を出力する前記整流平滑回路と、
前記制御部と、
を備える電流共振型コンバータにより構成されている、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振回路を用いてソフトスイッチング動作を行わせる電流共振型コンバータ(これは「LLCコンバータ」とも言う。)等のスイッチング電源装置に係り、特に、その起動時の制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は、特許文献1に記載された従来のスイッチング電源装置(例えば、電流共振型コンバータ)の構成例を示す概略の回路図である。
この電流共振型コンバータは、直流の入力電圧Vinを入力する正側入力端子1a及びグランド側の負側入力端子1bを有している。入力端子1a,1b間には、平滑用の入力コンデンサ2を介して、ハーフブリッジ型のスイッチング回路3が接続されている。スイッチング回路3は、2つのスイッチング素子(例えば、電界効果トランジスタ、以下「FET」という。)3a,3bを有し、これらのFET3a,3bが、入力コンデンサ2の正側電極と負側電極との間に直列に接続されている。
【0003】
2つのFET3a,3bは、2つのスイッチング信号S1,S2により相補的にオン/オフ動作するものであり、これらのFET3a,3bのドレイン電極及びソース電極間に、転流用の寄生ダイオード3a1,3b1がそれぞれ逆並列に接続されている。FET3aのソース電極及びFET3bのドレイン電極間の接続点N1と、FET3bのソース電極と、には、共振回路4を介して、変圧器5が接続されている。
【0004】
共振回路4は、2つの共振用コンデンサ4a,4bと共振用インダクタ4cとを有している。2つの共振用コンデンサ4a,4bは、FET3aのドレイン電極とFET3bのソース電極との間に、直列に接続されている。接続点N1と、2つの共振用コンデンサ4a,4b間の接続点N2と、の間には、共振用インダクタ4cと変圧器5の1次巻線5aとが直列に接続されている。共振回路4は、共振用コンデンサ4a,4bのキャパシタンスと共振用インダクタ4cのインダクタンスとで決まる固有の共振周波数frを有している。
【0005】
変圧器5は、インダクタ4cの一端の電極と接続点N2との間に接続された1次巻線5aと、この1次巻線5aに対して電磁気結合される2次巻線5bと、を有している。1次巻線5aには、これと並列に、変圧器5の励磁インダクタンスが存在している。2次巻線5bの両端電極には、整流平滑回路6が接続されている。
【0006】
整流平滑回路6は、2次巻線5bに誘起される誘導電流を全波整流する4つのダイオード6a~6dからなるダイオードブリッジ回路と、平滑用の出力コンデンサ6eと、により構成されている。出力コンデンサ6eの両端電極には、正側出力端子7a及びグランド側の負側出力端子7bが接続されている。出力端子7a,7b間からは、直流の出力電圧Voutが出力される。この出力端子7a,7bには、制御部10が接続されている。
【0007】
制御部10は、出力電圧Voutが図示しない電圧センサで計測された出力電圧計測値voに基づき、パルス周波数変調(以下「PFM」という。)制御によって、FET3a,3bをオン/オフ動作させるスイッチング信号S1,S2を生成し、出力コンデンサ6eに対するプリチャージ動作と、FET3a,3bに対するソフトスイッチング動作及び通常運転動作と、を制御する回路である。制御部10による出力電圧Voutの制御は、スイッチング信号S1,S2のスイッチング周波数fを制御することにより行われる。スイッチング周波数fは、例えば、共振回路4の共振周波数frより低い周波数で動作するように設計されていて、スイッチング周波数fを上げると(即ち、共振周波数frに近づけると)、出力電圧Voutが低くなり、スイッチング周波数fを下げると(即ち、共振周波数frから離れると)、出力電圧Voutが高くなる。
【0008】
制御部10内には、出力コンデンサ6eに対するプリチャージ動作を制御するプリチャージ制御部や、FET3a,3bに対するソフトスイッチング動作及び通常運転動作を制御する目標電圧設定部等が設けられている。
【0009】
図6は、図5の電流共振型コンバータの出力電圧Voutを示す起動時の波形図である。
図6において、横軸は時間T、縦軸は出力電圧Voutである。横軸において、H12は第1固定期間H1と第2固定期間H2とからなるプリチャージ期間、H3はソフトスタート期間、H4は通常運転期間である。実線波形のVout1は、大容量コンデンサを有する過負荷の場合の出力電圧、破線波形のVout2は、過負荷ではない通常負荷の場合の出力電圧である。
【0010】
制御部10は、起動すると、以下の制御を行う。
第1固定期間H1の間、第1固定周波数f1を設定し、PFM制御によって制御パルスを作り、この制御パルスを駆動して相補的なスイッチング信号S1,S2を生成し、FET3a,3bをオン/オフ動作させる。
【0011】
例えば、スイッチング信号S1によってFET3aがオン状態になると共に、スイッチング信号S2によってFET3bがオフ状態になると、入力電圧Vinが印加された入力コンデンサ2の正側電極の蓄積電荷により、オン状態のFET3a、接続点N1、共振用インダクタ4c、変圧器5の1次巻線5a、接続点N2、及び共振用コンデンサ4bを経由して、入力コンデンサ2の負側電極へ電流が流れる。
【0012】
次に、スイッチング信号S1によってFET3aがオフ状態になると共に、スイッチング信号S2によってFET3bがオン状態になると、共振用コンデンサ4bの正側電極の蓄積電荷により、接続点N2、変圧器5の1次巻線5a、共振用インダクタ4c、接続点N1、及びオン状態のFET3bを経由して、共振用コンデンサ4bの負側電極へ電流が流れる。
【0013】
これにより、共振用インダクタ4c、変圧器5の1次巻線5a、及び共振用コンデンサ4bを流れる電流が共振し、変圧器5の2次巻線5bに誘導電流が発生する。発生した誘導電流は、整流平滑回路6にて全波整流された後に平滑され、出力電圧Voutが出力端子7a,7bから出力される。
【0014】
出力端子7a,7bに、大容量コンデンサの無い通常負荷が接続されている場合、図6の破線波形で示されるように、出力電圧Vout2が上昇していく。しかし、大容量コンデンサを有する過負荷が接続されている場合、図6の実線波形で示されるように、起動できないときがあり、そのため、出力電圧Vout1が上昇しない。
【0015】
そこで、制御部10は、予め設定された第1固定期間H1を計測し、この第1固定期間H1の終了時点で、出力電圧Vout(=Vout1,Vout2)が規定値のプリチャージ完了電圧Vpに達しているか否か(即ち、Vout1,Vout2≧Vpか否か)を判定する。通常負荷の場合には、出力電圧Vout2がプリチャージ完了電圧Vpに達しているのに対し、過負荷の場合には、出力電圧Vout1が上昇していない。
【0016】
制御部10は、第2固定期間H2の間、出力電圧Vout1がプリチャージ完了電圧Vpへ上昇するような第2固定周波数f2を設定し、PFM制御によってスイッチング信号S1,S2を生成し、FET3a,3bをオン/オフ動作させる。
第2固定期間H2において、出力電圧Vout1がプリチャージ完了電圧Vpに達しているか否か(即ち、Vout1≧Vpか否か)を判定する。通常負荷の場合には、出力電圧Vout2がプリチャージ完了電圧Vpに達しているのに対し、過負荷の場合には、出力電圧Vout1が上昇していない。
【0017】
制御部10は、第2固定期間H2を計測し、第2固定期間H2が終了しているか否かを判定する。
プリチャージ終了後のソフトスタート期間H3の間、出力電圧Vout(=Vout1,Vout2)が目標値へ徐々に上昇するようなソフトスタート周波数f3を設定し、PFM制御によってスイッチング信号S1,S2を生成し、FET3a,3bをオン/オフ動作させて、出力電圧Vout(=Vout1,Vout2)を目標値へ徐々に上昇させていく。出力電圧Vout(=Vout1,Vout2)が目標値まで上昇すると、起動制御を終了し、通常運転動作の制御へ移行する。
【0018】
制御部10は、ソフトスタート期間H3の終了後の通常運転期間H4において、出力電圧Voutが目標値に追従するような通常運転周波数f4を設定し、PFM制御によってスイッチング信号S1,S2を生成し、FET3a,3bをオン/オフ動作させる。これにより、出力電圧Voutの変動が抑制され、定格出力電圧になるような定電圧制御が行われる。
【0019】
このように、制御部10内のプリチャージ制御部は、負荷の大きさに応じてプリチャージ期間H12を変化させ、プリチャージ動作を制御している。過負荷の場合には、プリチャージ期間H12を延長することにより、出力電圧Voutをプリチャージ完了電圧vpまで上昇させてソフトスタート動作へ移行させている。これにより、起動を円滑に行い、滑らかな出力電圧波形の立ち上がりを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】特開2017-163773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、従来の電流共振型コンバータでは、過負荷の場合、電流制限にかからないため、プリチャージ完了後のソフトスタート期間H3において、出力電圧Voutのオーバーシュー卜が発生するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のスイッチング電源装置は、スイッチング信号によりオン/オフ動作するスイッチング素子を有し、前記スイッチング素子により直流の入力電圧をオン/オフして交流電圧及び交流電流を出力するスイッチング回路と、前記交流電圧及び前記交流電流を整流素子により整流した後、出力コンデンサにより平滑して直流の出力電圧及び出力電流を送出する整流平滑回路と、前記スイッチング信号を生成し、前記出力コンデンサに対するプリチャージ動作と、前記スイッチング回路のソフトスイッチング動作及び通常運転動作と、を制御する制御部と、を備えている。
【0023】
そして、前記制御部は、負荷の大きさに応じてプリチャージ期間を変化させ、前記プリチャージ動作を制御するプリチャージ制御部と、前記プリチャージ期間中に、前記スイッチング回路の過負荷起動を判定する過負荷起動判定部と、前記ソフトスイッチング動作時及び前記通常運転動作時における前記出力電圧の第1目標電圧値を設定する目標電圧設定部と、前記ソフトスイッチング動作時及び前記通常運転動作時における前記出力電流の目標電流値を設定する目標電流設定部と、前記目標電流値と前記出力電流の計測値との電流差分を求め、フィーバック制御により前記電流差分を減少するような第2目標電圧値を求める定電流制御部と、前記プリチャージ動作の完了後、前記過負荷起動判定部の判定結果が過負荷起動の場合には、前記プリチャージ動作の完了時点における前記出力電圧の計測値によって前記第2目標電圧値を初期化する目標電圧補正部と、前記第1目標電圧値と前記第2目標電圧値との大小を比較演算し、小側を選択して基準電圧値を求める演算部と、前記基準電圧値と前記出力電圧の計測値との電圧差分を求め、フィーバック制御により前記電圧差分を減少するような制御量を求める定電圧制御部と、前記制御量に基づき前記スイッチング信号を生成するスイッチング信号生成部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明のスイッチング電源装置によれば、制御部内に過負荷起動判定部を設け、プリチャージ期間中に、スイッチング回路の過負荷起動を判定し、過負荷起動の場合は、制御部内に設けた目標電圧補正部により、プリチャージ動作の完了時点における出力電圧の計測値によって第2目標電圧値を初期化している。これにより、起動直後の定電流制御部の応答遅れによる出力電圧の変動(電流制限の遅れ)を改善(出力過負荷起動改善)できる。従って、過負荷起動でも、出力電圧のオーバーシュー卜が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例1におけるスイッチング電源装置(例えば、電流共振型コンバータ)の構成例を示す概略の回路図
図2】比較例の電流共振型コンバータにおける電流制限なしの起動時(過負荷ではない通常負荷の場合)の波形図
図3】比較例の電流共振型コンバータにおける電流制限なしの起動時(過負荷の場合)の波形図
図4】実施例1の電流共振型コンバータにおける電流制限ありの起動時(過負荷の場合)の波形図
図5】従来のスイッチング電源装置(例えば、電流共振型コンバータ)の構成例を示す概略の回路図
図6図5の電流共振型コンバータの出力電圧Voutを示す起動時の波形図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0027】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1におけるスイッチング電源装置(例えば、電流共振型コンバータ)の構成例を示す概略の回路図である。
この電流共振型コンバータは、直流の入力電圧Vinを入力する正側入力端子11a及びグランド側の負側入力端子11bを有している。入力端子11a,11b間には、平滑用の入力コンデンサ12を介して、フルブリッジ型のスイッチング回路13が接続されている。スイッチング回路13は、4つのスイッチング素子(例えば、FET)13a,13b,13c,13dを有し、これらのFET13a~13dが、入力コンデンサ12の正側電極と負側電極との間に、ブリッジ接続されている。
【0028】
2つのFET13a,13cと2つのFET13b,13dとは、2つのスイッチング信号S11,S13と2つのスイッチング信号S12,S14とにより、相補的にオン/オフ動作するものである。各FET13a~13dのドレイン電極及びソース電極間には、転流用の寄生ダイオード13a1~13d1がそれぞれ逆並列に接続されている。FET13aのソース電極及びFET13bのドレイン電極間の接続点N11と、FET13cのソース電極及びFET13dのドレイン電極間の接続点N12とには、共振回路14を介して、変圧器15が接続されている。
【0029】
共振回路14は、1つの共振用コンデンサ14aと2つの共振用インダクタ14b,14cとの直列回路により構成されている。共振用インダクタ14cは、例えば、変圧器5の1次巻線15aの励磁インダクタンスにより構成されている。共振回路14は、共振用コンデンサ14aのキャパシタンスと共振用インダクタ14b,14cのインダクタンスとで決まる固有の共振周波数frを有している。
【0030】
変圧器15は、1次巻線15aと、この1次巻線15aに対して電磁気結合される2つの2次巻線15b,15cと、を有している。2次巻線15b,15cには、整流平滑回路16が接続されている。
【0031】
整流平滑回路16は、2次巻線15b,15cに誘起される誘導電流を整流する2つの整流素子(例えば、FET)16a,16bからなるブリッジ回路と、平滑用の出力コンデンサ16cと、により構成されている。各FET16a,16bのドレイン電極及びソース電極間には、転流用の寄生ダイオード16a1,16b1がそれぞれ逆並列に接続されている。出力コンデンサ16cの両端電極には、正側出力端子17a及びグランド側の負側出力端子17bが接続されている。出力端子17a,17b間からは、直流の出力電圧Vout及び出力電流Ioutが出力される。
【0032】
整流平滑回路16の出力側には、図示しない電圧センサ及び電流センサが接続されている。電圧センサにより計測された出力電圧Voutの出力電圧計測値voと、電流センサにより計測された出力電流Ioutの出力電流計測値ioとは、制御部20に入力される。
【0033】
制御部20は、出力電圧計測値vo及び出力電流計測値ioに基づき、PFM制御によって、FET13a~13d,16a,16bをオン/オフ動作させるスイッチング信号S11~S16を生成し、出力コンデンサ16cに対するプリチャージ動作と、スイッチング回路13のソフトスイッチング動作及び通常運転動作等と、を制御する回路である。
【0034】
制御部20は、プリチャージ制御部21を有している。プリチャージ制御部21は、出力電圧計測値voに基づき、負荷の大きさに応じてプリチャージ期間H12を変化させ、出力コンデンサ16cに対するプリチャージ動作を制御するものであり、この出力側に、目標電圧設定部22及び目標電流設定部23が接続されている。目標電圧設定部22は、ソフトスタート処理機能を有し、スイッチング回路13のソフトスイッチング動作時及び通常運転動作時における第1目標電圧値CVrefを設定するものであり、この出力側に、演算部27が接続されている。目標電流設定部23は、ソフトスタート処理機能であるカレントウォークイン処理機能を有し、スイッチング回路13のソフトスイッチング動作時及び通常運転動作時における目標電流値irefを設定するものであり、この出力側に、定電流制御部24が接続されている。
【0035】
定電流制御部24は、入力される目標電流値irefと出力電流計測値ioとの電流差分Δiを求め、フィードバック制御(以下「FB制御」という。)により、その電流差分Δiを減少するような第2目標電圧値CCrefを求めるものであり、例えば、減算部24a、FB制御演算部24b、及び電流/電圧変換部24cにより構成されている。減算部24aは、入力される目標電流値irefから出力電流計測値ioを減算して電流差分Δiを求めるものである。FB制御演算部24bは、FB制御(例えば、比例及び積分制御(以下「PI」制御という。)、又は比例、積分及び微分制御(以下「PID制御」という。))により、電流差分Δiを減少するような目標電流値を求めるものである。更に、電流/電圧変換部24cは、求められた目標電流値を電圧に変換して第2目標電圧値CCrefを求めるものであり、この出力側に、目標電圧補正部26が接続されている。
【0036】
目標電圧補正部26の入力側には、過負荷起動判定部25も接続されている。過負荷起動判定部25は、プリチャージ期間H12中に、スイッチング回路13の過負荷起動を判定する(例えば、プリチャージ動作が所定時間経過後に所定電圧に達していない場合、或いは、出力電流計測値ioが所定の電流値irよりも大きいか否かにより、過負荷起動を判定する)ものであり、この出力側に、目標電圧補正部26が接続されている。
【0037】
目標電圧補正部26は、入力される第2目標電圧値CCrer、過負荷起動判定部25の判定結果、及び出力電圧計測値voに基づき、プリチャージ動作の完了後、過負荷起動判定部25の判定結果が過負荷起動の場合には、プリチャージ動作の完了時点における出力電圧計測値voによって第2目標電圧値CCrefを初期化する(例えば、目標値以下のプリチャージ完了電圧vpにする)ものであり、この出力側に、演算部27が接続されている。
【0038】
演算部27は、第1目標電圧値CVrefと第2目標電圧値CCref(又は初期化された第2目標電圧値CCref)とを入力し、その第1目標電圧値CVrefと第2目標電圧値CCrefとの大小を比較演算し、小側を選択して基準電圧値Vrefを求めるものであり、この出力側に、定電圧制御部28が接続されている。
【0039】
定電圧制御部28は、基準電圧値Vrefと出力電圧計測値voとの電圧差分Δvを求め、FB制御により、その電圧差分Δvを減少するような制御量S28(例えば、スイッチング周波数f)を求めるものであり、減算部28a及びFB制御演算部28bにより構成されている。減算部28aは、入力される基準電圧値Vrefから出力電圧計測値voを減算して電圧差分Δvを求めるものである。更に、FB制御演算部28bは、FB制御(例えば、PI制御又はPID制御)により、電圧差分Δvを減少するような制御量S28を求めるものであり、この出力側に、スイッチング信号生成部29が接続されている。
【0040】
スイッチング信号生成部29は、制御量S28に基づき、FET13a~13d,16a,16bをオン/オフ動作させるためのスイッチング信号S11~S16を生成するものであり、例えば、PFM制御回路及びドライバ回路等により構成されている。制御量S28が例えばスイッチング周波数fの場合、出力電圧Voutの制御は、スイッチング信号S11~S14のスイッチング周波数fを制御することにより行われる。スイッチング周波数fは、例えば、共振回路14の共振周波数frより低い周波数で動作するように設計されていて、スイッチング周波数fを上げると(即ち、共振周波数frに近づけると)、出力電圧Voutが低くなり、スイッチング周波数fを下げると(即ち、共振周波数frから離れると)、出力電圧Voutが高くなる。
【0041】
このような制御部20は、例えば、デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサであるデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)等のプロセッサ、デジタル回路の実回路、或いは、集積回路等のアナログ回路の実回路、により構成されている。
【0042】
(比較例の説明)
例えば、図1の制御部20内に過負荷起動判定部25及び目標電圧補正部26が設けられていない比較例の電流共振型コンバータについて考える。
図2は、比較例の電流共振型コンバータにおける電流制限なしの起動時(過負荷ではない通常負荷の場合)の波形図である。更に、図3は、比較例の電流共振型コンバータにおける電流制限なしの起動時(過負荷の場合)の波形図である。
【0043】
図2及び図3において、横軸は時間T、縦軸は電圧Vである。横軸において、H12はプリチャージ期間、H2はプリチャージ延長期間、H3はソフトスタート期間、H4は通常運転期間である。実線波形のVoutは出力電圧、実線波形のS28は制御量(例えば、スイッチング周波数f)、破線波形のCVrefは第1目標電圧値、及び、破線波形のCCrerは第2目標電圧値である。
【0044】
制御部20は、起動すると、以下の制御を行う。
プリチャージ制御部21は、出力電圧計測値vo(=0V)に基づき、プリチャージ期間H12の間、スイッチング周波数f12を設定し、この設定結果を目標電圧設定部22及び目標電流設定部23に与える。目標電圧設定部22は、プリチャージ期間H12の間、第1目標電圧値CVref(=0V)を出力し、演算部27に与える。目標電流設定部23は、目標電流値irefを出力し、定電流制御部24に与える。定電流制御部24において、減算部24aにより、目標電流値irefから出力電流計測値io(=0A)が減算され、電流差分Δi(=iref)が求められる。FB制御演算部24bにより、電流差分Δiが減少するようなFB制御が行われ、この制御結果が、電流/電圧変換部24cにより、電圧に変換されて第2目標電圧値CCref(目標値よりも高い電圧値)が生成され、演算部27に与えられる。
【0045】
演算部27は、第1目標電圧値CVrefと第2目標電圧値CCrefとの大小を比較演算し、低レベル側の第1目標電圧値CVrefを選択し、これを基準電圧値Vrefとして出力し、定電圧制御部28に与える。定電圧制御部28において、減算部28aにより、基準電圧値Vrefから出力電圧計測値vo(=0V)が減算されて電圧差分Δv(=Vrer)が求められる。FB制御演算部28bにより、電圧差分Δvが減少するようなFB制御が行われ、制御量S28(=スイッチング周波数f12)が求められ、スイッチング信号生成部29に与えられる。スイッチング信号生成部29は、与えられた制御量S28(=スイッチング周波数f12)に基づき、PFM制御によって相補的なスイッチング信号S11,S14,S15とスイッチング信号S12,S13,S16とを生成し、FET13a~13d,16a,16bをオン/オフ動作させる。
【0046】
例えば、スイッチング信号S11,S14,S15によってFET13a,13d,16aがオン状態になると共に、スイッチング信号S12,S13,S16によってFET13b,13c,16bがオフ状態になると、入力電圧Vinが印加された入力コンデンサ12の正側電極の蓄積電荷により、オン状態のFET13a、接続点N11、共振用コンデンサ14a、共振用インダクタ14b、共振用インダクタ14cと変圧器15の1次巻線15a、接続点N2、及びオン状態のFET13dを経由して、入力コンデンサ12の負側電極へ電流が流れる。
【0047】
次に、スイッチング信号S11,S14,S15によってFET13a,13d,16aがオフ状態になると共に、スイッチング信号S12,S13,S16によってFET13b,13c,16bがオン状態になると、共振用コンデンサ14aの正側電極の蓄積電荷により、接続点N11,オン状態のFET13b、オフ状態のFET13dの寄生ダイオード13d1、接続点N12、共振用インダクタ14cと変圧器15の1次巻線15a、及び共振用インダク14bを経由して、共振用コンデンサ14aの負側電極へ電流が流れる。
【0048】
これにより、共振用コンデンサ14a及び共振用インダクタ14b,14cを流れる電流が共振し、変圧器15の2次巻線15b,15cに誘導電流が発生する。発生した誘導電流は、整流平滑回路16内のFET16a,16bで整流された後、出力コンデンサ16cで平滑される。例えば、FET16aがオン状態及びFET16bがオフ状態の場合、2次巻線15cの巻き初め側(黒丸側)に発生した誘導電流は、出力コンデンサ16c及びオン状態のFET16aを経由して、2次巻線15cの巻き終わり側へ流れる。又、FET16aがオフ状態及びFET16bがオン状態の場合、2次巻線15bの巻き初め側に発生した誘導電流は、オン状態のFET16b及び出力コンデンサ16cを経由して、2次巻線15bの巻き終わり側へ流れる。出力コンデンサ16cで平滑された出力電圧Vout及び出力電流Ioutは、出力端子7a,7bから出力され、負荷へ供給される。
【0049】
出力端子17a,17bに、過負荷ではない通常負荷が接続されている場合、図2の実線波形で示されるように、出力電圧Voutが上昇していく。出力電圧Voutがプリチャージ完了電圧vpまで上昇すると、制御部20内の目標電圧設定部22から出力される第1目標電圧値CVrefがプリチャージ完了電圧vpまで立ち上がり、ソフトスタートが開始されて、ソフトスタート期間H3へ遷移する。
【0050】
ソフトスタート期間H3において、定電流制御部24から出力される第2目標電圧値CCrefは、目標値よりも高い電圧値に維持される。これに対して、目標電圧設定部22から出力される第1目標電圧値CVrefは、目標値へ向かって漸増する。すると、演算部27を経由して定電圧制御部28により、制御量S28(=スイッチング周波数f3)が求められ、スイッチング信号生成部29に与えられる。スイッチング信号生成部29は、与えられた制御量S28(=スイッチング周波数f3)に基づき、PFM制御によって相補的なスイッチング信号S11,S14,S15とスイッチング信号S12,S13,S16とを生成し、FET13a~13d,16a,16bをオン/オフ動作させる。これにより、第1目標電圧値CVrefに追従して出力電圧Voutが目標値へ上昇していく。出力電圧Voutが目標値へ到達すると、通常運転期間H4へ遷移する。
【0051】
通常運転期間H4において、定電流制御部24から出力される第2目標電圧値CCrefは、目標値よりも高い電圧値に維持される。同様に、目標電圧設定部22から出力される第1目標電圧値CVrefも、目標値に維持される。すると、演算部27を経由して定電圧制御部28により、制御量S28(=スイッチング周波数f4)が求められ、スイッチング信号生成部29に与えられる。スイッチング信号生成部29は、与えられた制御量S28(=スイッチング周波数f4)に基づき、PFM制御によって相補的なスイッチング信号S11,S14,S15とスイッチング信号S12,S13,S16とを生成し、FET13a~13d,16a,16bをオン/オフ動作させる。これにより、第1目標電圧値CVrefに追従して出力電圧Voutが目標値に維持される。
【0052】
しかし、出力端子17a,17bに過負荷が接続されている場合、起動できないときがあり、そのため、図2のプリチャージ期間H12において、出力電圧Voutがプリチャージ完了電圧vpまで上昇しない。
【0053】
そこで、制御部20内のプリチャージ制御部21は、図3に示すように、プリチャージ延長期間H2を設け、出力電圧Voutをプリチャージ完了電圧vpまで上昇させている。プリチャージ延長期間H2では、目標電圧設定部22から出力される第1目標電圧値CVrefが、0Vに維持され、更に、定電流制御部24から出力される第2目標電圧値CCrefが、目標値よりも高い電圧値に維持される。
【0054】
プリチャージ延長期間H2が終了すると、ソフトスタート期間H3へ遷移し、目標電圧設定部22から出力される第1目標電圧値CVrefが、0Vからプリチャージ完了電圧vpまで立ち上がり、更に、定電流制御部24から出力される第2目標電圧値CCrefが、高い電圧値からプリチャージ完了電圧vpへと降下していく。
【0055】
このように、制御部20内のプリチャージ制御部21は、負荷の大きさに応じてプリチャージ期間H12を変化させ、プリチャージ動作を制御している。過負荷の場合には、プリチャージ延長期間H2を設けてプリチャージ期間H12を延長し、出力電圧Voutをプリチャージ完了電圧vpまで上昇させてソフトスタート動作へ移行させている。これにより、起動を円滑に行い、滑らかな出力電圧波形の立ち上がりを実現している。
【0056】
(比較例の課題)
比較例の電流共振型コンバータにおいて、図2のように、過負荷ではない場合、プリチャージ完了後、定電流制御部24から出力される第2目標電圧値CCrefが上限値で初期化され、又、電流制限にかからないため、その第2目標電圧値CCrefは、上限値に貼り付いたままの状態となる。これにより、ソフトスタート期間H3及び通常運転期間H4において、出力電圧Voutは、第1目標電圧値CVrefに追従制御する。
【0057】
しかしながら、過負荷の場合、図3のように、プリチャージ完了後のソフトスタート期間H3において、電流制限にかからないため、第2目標電圧値CCrefが、上限値からプリチャージ完了電圧vpへ降下していく。すると、下降する第2目標電圧値CCrefと上昇する第1目標電圧値CVrefとの交差箇所Aにおいて、CVref≧CCrefとなるので、演算部27が低レベル側の第2目標電圧値CCrefを選択し、基準電圧値Vrefとして定電圧制御部28へ出力する。これにより、スイッチング信号生成部29から出力されるスイッチング信号S11~S16により、FET13a~13d,16a,16bがオン/オフ動作する。そのため、出力電圧Voutは、交差箇所Aまでは、第1目標電圧値CVrefに追従し、その交差箇所A以降は、第2目標電圧値CCrefに追従する。そのため、プリチャージ完了後のソフトスタート期間H3の交差箇所Aにおいて、出力電圧Voutのオーバーシュー卜が発生してしまう。
このような課題を解決するために、実施例1の電流共振型コンバータは、以下のように動作する。
【0058】
(実施例1の動作)
実施例1の電流共振型コンバータでは、制御部20内に、過負荷起動判定部25及び目標電圧補正部26を追加している。
図4は、実施例1の電流共振型コンバータにおける電流制限ありの起動時(過負荷の場合)の波形図である。
【0059】
実施例1の過負荷起動判定部25は、プリチャージ期間H12中に、スイッチング回路13の過負荷起動を判定する。過負荷起動判定部25は、例えば、プリチャージ動作による出力電圧Voutが所定時間経過後にプリチャージ完了電圧vpに達していない場合、過負荷起動を判定し、この過負荷起動判定結果を目標電圧補正部26に与える。目標電圧補正部26は、過負荷起動判定結果に基づき、プリチャージ動作の完了時点における出力電圧計測値voによって第2目標電圧値CCrefを初期化する(つまり、第2目標電圧値CCrefをプリチャージ完了電圧vpまで降下する)。
【0060】
すると、CVref≧CCrefとなるので、演算部27が低レベル側の第2目標電圧値CCrefを選択し、基準電圧値Vrefとして定電圧制御部28へ出力する。これにより、スイッチング信号生成部29から出力されるスイッチング信号S11~S16により、FET13a~13d,16a,16bがオン/オフ動作する。そのため、出力電圧Voutは、プリチャージ動作の完了後、第2目標電圧値CCrefに追従し、プリチャージ完了電圧vpを維持する。
【0061】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、制御部20内に過負荷起動判定部25を設け、プリチャージ期間H12中に、スイッチング回路13の過負荷起動を判定し、過負荷起動の場合は、制御部20内に設けた目標電圧補正部26により、プリチャージ動作の完了時点における出力電圧計測値voによって第2目標電圧値CCrefを初期化している。これにより、起動直後の定電流制御部24の応答遅れによる出力電圧Voutの変動(電流制限の遅れ)を改善(出力過負荷起動改善)できる。従って、図4のように、電流制限にかかるため、過負荷起動でも、出力電圧Voutのオーバーシュー卜が発生しない。
【0062】
(変形例)
本発明は、上記実施例1に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)~(d)のようなものがある。
【0063】
(a) 図1のスイッチング回路13、共振回路14、変圧器15、及び整流平滑回路16を有するコンバータ主回路は、図示以外の構成に変更しても良い。例えば、スイッチング回路13を構成するFET13a~13dは、他のトランジスタ等のスイッチング素子で構成しても良い。スイッチング回路13は、図5のように、2つのスイッチング素子を用いたハーフブリッジ構成に変更しても良い。整流回路は、2つの整流素子(例えば、FET16a,16b)に代えて、図5のように、ダイオードを用いたブリッジ回路により構成しても良い。
(b) 制御部20は、図示以外の構成に変更しても良い。例えば、定電圧制御部28から出力される制御量S28は、周波数に代えて、パルス幅であっても良い。又、過負荷起動判定部25は、出力電流計測値ioが所定の電流値irよりも大きいか否かにより、過負荷起動を判定する構成にしても良い。
【0064】
(c) 実施例1は、定電圧制御を行う構成例について説明したが、回路構成を変更することにより、定電流制御を行う構成に変更したり、或いは、定電圧制御及び定電流制御を行う構成に変更することも可能である。
(d) 実施例1では、スイッチング電源装置の例として、電流共振型コンバータについて説明したが、本発明は、共振回路14を持たないスイッチング電源装置や、パルス幅変調制御(以下「PWM制御」という。)のスイッチング電源装置等にも適用が可能である。PWM制御の場合は、スイッチング周波数fではなく、デューティ制御されたPWM信号が駆動されたスイッチング信号S11~S16になる。
【符号の説明】
【0065】
12 入力コンデンサ
13 スイッチング回路
13a~13d,16a,16b FET
14 共振回路
15 変圧器
16 整流平滑回路
20 制御部
21 プリチャージ制御部
22 目標電圧設定部
23 目標電流設定部
24 定電流制御部
25 過負荷起動判定部
26 目標電圧補正部
27 演算部
28 定電圧制御部
29 スイッチング信号生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6