IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マキタの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20231002BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231002BHJP
   H01M 10/6561 20140101ALI20231002BHJP
   H01M 10/6235 20140101ALI20231002BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20231002BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20231002BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/6561
H01M10/6235
H01M10/643
H01M50/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019180793
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021057253
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 晃
(72)【発明者】
【氏名】長濱 達也
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0110656(US,A1)
【文献】特開2001-256940(JP,A)
【文献】特開2016-149841(JP,A)
【文献】特開2005-209369(JP,A)
【文献】特開2007-172981(JP,A)
【文献】特開2014-170635(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073201(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52-10/667
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターケースと、
前記アウターケースに収容されている電池セルと、を備え、
前記アウターケースは、
端子を露出させるための端子開口部が設けられている上面と、
底面と、
前記底面から上方に延びている複数の側面と、を備え、
前記電池セルは、前記底面に平行に配置されており、
前記複数の側面のうち、前記電池セルの長手方向の端面に向かい合う特定の側面には、開口が設けられており
前記電池セルは、下方側電池セルと、前記下方側電池セルよりも上方に配置される上方側電池セルと、を備え、
前記開口は、前記特定の側面において、前記下方側電池セルの長手方向の端面に向かい合う位置に設けられており、前記上方側電池セルの長手方向の端面と向かい合う位置には設けられていない、電池パック。
【請求項2】
アウターケースと、
電池セルと、
前記アウターケースに収容され、前記電池セルを収容するセルケースと、を備え、
前記アウターケースは、
端子を露出させるための端子開口部が設けられている上面と、
底面と、
前記底面から上方に延びている複数の側面と、を備え、
前記電池セルは、前記底面に平行に配置されており、
前記複数の側面のうち、前記電池セルの長手方向の端面に向かい合う特定の側面には、開口が設けられており
前記電池セルは、下方側電池セルと、前記下方側電池セルよりも上方に配置される上方側電池セルと、を備え、
前記開口は、前記特定の側面において、前記下方側電池セルの長手方向の端面に向かい合う位置に設けられており、前記上方側電池セルの長手方向の端面と向かい合う位置には設けられていない、電池パック。
【請求項3】
前記アウターケースには、前記底面に対して平行に2個以上の前記電池セルが並んで設けられており、
前記特定の側面には、前記2個以上の電池セルのそれぞれに対応する2個以上の前記開口が設けられている、請求項1又は2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記2個以上の開口が設けられている前記アウターケースの前記特定の側面には、内側に突出するリブが設けられており、
前記リブは、前記2個以上の開口のうち、第1の前記開口と第2の前記開口の間に設けられている、請求項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記開口の下端は、前記電池セルの長手方向軸よりも下側に位置する、請求項1~のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記電池パックは、さらに、
前記長手方向に垂直な向きで前記電池セルの前記端面に接続される金属板を備え、
前記開口の下端は、前記金属板の下端よりも下側に位置する、請求項1~のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記アウターケースには、前記底面に対して平行に3個以上の前記電池セルが並んで設けられており、
前記3個以上の電池セルは、前記アウターケースの角部から最も近い位置に配置される外側電池セルと、前記外側電池セルよりも内側に配置される内側電池セルと、から構成され、
前記外側電池セルに対応する前記開口の幅は、前記内側電池セルに対応する前記開口の幅よりも小さい、請求項1~のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項8】
前記アウターケースの上部に通気孔が設けられている、請求項1~のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項9】
前記電池パックは、充電器に取付け可能であり、
前記電池パックが前記充電器に取付けられている状態において、前記開口は、前記充電器によって覆われない、請求項1~のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項10】
前記電池パックが前記充電器に取付けられている状態において、前記開口は、吸気孔である、請求項に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、電池パックが開示されている。特許文献1の電池パックは、アウターケースと、電池セルと、アウターケースに収容され、電池セルを収容するセルケースと、アウターケースと、を備えている。アウターケースは、端子を露出させるための端子開口部が設けられている上面と、底面と、記底面から上方に延びている複数の側面と、を備えている。電池セルは、底面に平行に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-203703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パックが電動工具に取付けられ、電動工具を駆動させた後において、電池パックは高温になる。具体的には、セルケースに収容されている電池セルが高温になる。このような状況において、電池セルを素早く冷却することが望まれている。
【0005】
本明細書は、電池セルを素早く冷却させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される電池パックは、アウターケースと、電池セルと、前記アウターケースに収容され、前記電池セルを収容するセルケースと、を備え、前記アウターケースは、前記アウターケースは、端子を露出させるための端子開口部が設けられている上面と、底面と、前記底面から上方に延びている複数の側面と、を備え、前記電池セルは、前記底面に平行に配置されており、前記複数の側面のうち、前記電池セルの長手方向の端面に向かい合う特定の側面には、開口が設けられている。
【0007】
上記の電池パックでは、電池セルの特定の側面に開口が設けられている。電池パックが高温である場合、電池パックの周りの空気が温められ、アウターケースの開口からアウターケース内に空気が流れ込む。アウターケース内に流れ込んだ空気は、電池セルを冷却しながら、アウターケース内を上昇する。従って、電池セルを素早く冷却させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】第1実施例の電池パック2を前方右方上方から見た斜視図である。
図1B】第1実施例の電池パック2を前方右方下方から見た斜視図である。
図1C】第1実施例の電池パック2を後方右方上方から見た斜視図である。
図2】第1実施例の電池パック2を下方から見た下面図である。
図3】第1実施例の電池パック2を右方から見た右側面図である。
図4A】第1実施例の上部ケース14を下方から見た下面図である。
図4B】第1実施例の上部ケース14を前方左方下方から見た斜視図である。
図4C】第1実施例の上部ケース14のスライドレール20を後方から見た断面図である。
図5図4Aの破線V部の拡大図である。
図6】第1実施例の下部ケース15を上方から見た上面図である。
図7図6の破線VII部を後方右方上方から見た拡大斜視図である。
図8】第1実施例の下部ケース15を左方後方上方から見た斜視図である。
図9A】第1実施例の電池モジュール10を前方右方上方から見た斜視図である。
図9B】第1実施例の電池モジュール10を後方左方上方から見た斜視図である。
図10図9AのX-X線に沿った断面図である。
図11A】第1実施例のセルケース80を前方右方上方から見た斜視図である。
図11B】第1実施例の右セルケース85を後方左方上方から見た斜視図である。
図11C】第1実施例のセルケース80を上方から見た上面図である。
図12A】第1実施例において、電池モジュール10と下部ケース15が固定されている状態の上面図である。
図12B】第1実施例の電池パック2を上面から見た上面図である。
図13A図12Aの破線XIII部の拡大図である。
図13B図13AのXIIIB-XIIIB線に沿った断面図である。
図14】本実施に係る電池パック2の上方断面図である。
図15図14の破線XV部の拡大図である。
図16】本実施に係る電池パック2の上方断面図である。
図17図16の破線XVII部の拡大図である。
図18】第1実施例に係る電池パック2を右方から見た断面図である。
図19】第1実施例に係る電池パック2を右方から見た断面図である。
図20】第1実施例に係る電池パック2を後方から見た断面図である。
図21図12A図12BのXXI-XXI線に沿った断面図である。
図22】第1実施例に係る電池パック2を充電器300に取付けた状態を左方から見た断面図である。
図23】第1実施例に係る電池パック2を充電器300に取付けた状態を左方から見た断面図である。
図24A】第1実施例に係る電池パック2を電動工具200に取付けた状態を右方上方前方から見た斜視図である。
図24B】第1実施例に係る電池パック2を電動工具200に取付けた状態において、後方から見た断面図である。
図25A】第1実施例に係る電池パック2を充電器300に取付けた状態を左方下方後方から見た斜視図である。
図25B】充電器300を左方後方下方から見た斜視図である。
図26】第2実施例の電池パック602を前方右方下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1またはそれ以上の実施形態において、開口は、特定の側面において電池セルの長手方向の端面に向かい合う位置に設けられていてもよい。
【0010】
上記の構成によれば、電池セルに、開口からアウターケース内に流れ込んだ空気を確実に接触させることができる。
【0011】
1またはそれ以上の実施形態において、電池セルは、底面側電池セルと、底面側電池セルよりも上方に配置される上方側電池セルと、を備えてもよい。開口は、特定の側面において、底面側電池セルの長手方向の端面に向かい合う位置に設けられており、上方側電池セルの長手方向の端面と向かい合う位置には設けられていない。
【0012】
開口からアウターケース内に流れ込んだ空気は、アウターケース内を上昇する。このため、底面側電池セルの長手方向の端面に向かい合う位置に設けられている開口からアウターケース内に流れ込んだ空気は、アウターケース内を上昇して、上方側電池セルに接触する。従って、特定の側面において、上方側電池セルの長手方向の端面と向かい合う位置に開口を設ける場合と比較して、特定の底面に設ける開口の数を少なくすることができる。
【0013】
1またはそれ以上の実施形態において、アウターケースには、底面に対して平行に2個以上の電池セルが並んで設けられており、特定の側面には、2個以上のセルのそれぞれに対応する2個以上の開口が設けられていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、各電池セルに、各電池セルに対応する開口からアウターケース内に流れ込んだ空気を接触させることができる。
【0015】
1またはそれ以上の実施形態において、アウターケース特定の側面には、内側に突出するリブが設けられており、リブは、2個以上の開口のうち、第1の開口と第2の開口の間に設けられていてもよい。
【0016】
上記に構成によれば、リブによって、開口から流れ込んだ空気が拡散することを防止することができる。従って、各電池セルに、各電池セルに対応する開口からアウターケース内に流れ込んだ空気を確実に接触させることができる。
【0017】
1またはそれ以上の実施形態において、開口の下端は、電池セルの長手方向軸よりも下側に位置してもよい。
【0018】
上記の構成によれば、開口からアウターケース内に流れ込んだ空気と接触する電池セルの面積を大きくすることができる。従って、電池セルをより素早く冷却させることができる。
【0019】
1またはそれ以上の実施形態において、電池パックは、さらに、長手方向に垂直な向きで電池セルの端面に接続される金属板を備え、開口の下端は、金属板の下端よりも下側に位置してもよい。
【0020】
上記の構成によれば、開口からアウターケース内に流れ込んだ空気と接触する電池セルの面積をより大きくすることができる。従って、電池セルをより素早く冷却させることができる。
【0021】
1またはそれ以上の実施形態において、アウターケースには、底面に対して平行に3個以上の電池セルが並んで設けられていてもよい。3個以上の電池セルは、アウターケースの角部から最も近い位置に配置される外側電池セルと、外側電池セルよりも内側に配置される内側電池セルと、から構成され、外側電池セルに対応する開口の幅は、内側電池セルに対応する開口の幅よりも小さい。
【0022】
例えば、ユーザが電池パックを落下させた場合において、アウターケースの角部に衝撃が加わる。外側電池セルに対応する開口は、アウターケースの角部に最も近い開口である。開口の幅が大きいと、開口近傍のアウターケースの剛性は弱くなる。上記の構成では、外側電池セルに対応する開口の幅は、それ以外の開口の幅よりも小さい。従って、全ての開口の幅が同じ場合と比較して、アウターケースの角部の剛性を強くすることができる。この結果、ユーザが電池パックを落下させた場合において、アウターケースが変形することを抑制することができる。
【0023】
1またはそれ以上の実施形態において、アウターケースの上部に通気孔が設けられていてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、開口からアウターケース内に流れ込んだ空気は、電池セルを冷却しながら上昇し、アウターケースの上部の通気孔から排出される。従って、電池セルに、開口からアウターケース内に流れ込んだ空気を確実に接触させることができる。
【0025】
1またはそれ以上の実施形態において、電池パックは、充電器に取付け可能であり、
電池パックが充電器に取付けられている状態において、開口は、充電器によって覆われなくてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、電池パックが充電器に取付けられている状態において、開口からアウターケース内に流れ込んだ空気が通気孔から排出される、又は、通気孔からアウターケース内に流れ込んだ空気が開口から排出される。従って、開口を、吸気孔、及び、排出孔として利用することができる。
【0027】
1またはそれ以上の実施形態において、電池パックが充電器に取付けられている状態において、開口は、吸気孔であってもよい。
【0028】
電池パックが充電器に取付けられている状態において、アウターケースの開口は、充電器よりも高さが高い位置にある。埃などは、高さが低い位置に溜まっていく。従って、開口が低い位置にある場合と比較して、開口から埃などを吸い込みにくくなる。
【0029】
(第1実施例)
以下では図面を参照しながら、実施例の電池パック2について説明する。図24Aに示すように、電池パック2は、電動工具200に着脱可能に取付けることができる。図24Aでは、電動工具200が電動ドライバである場合を例示しているが、電動工具200は、例えば電動ドリル、電動グラインダ、電動マルノコ、電動チェーンソー、電動レシプロソー、電動芝刈り機、電動刈払機、電動ブロア等であってもよい。電動工具200に取付けられると、電池パック2は、電動工具200に電力を供給する。また、図25に示すように、電池パック2は、充電器300に着脱可能に取付けることができる。充電器300に取付けられると、電池パック2は、充電器300から電力を供給される。なお、以下の説明では、電池パック2に関して、電動工具200や充電器300に取付けられた時に、電池パック2から見て電動工具200や充電器300が位置する方向を上方といい、その反対方向を下方という。また、電池パック2に関して、電動工具200や充電器300に取付けられる時に、電池パック2をスライドさせる方向を後方といい、電動工具200や充電器300から取り外される時に、電池パック2をスライドさせる方向を前方という。すなわち、以下の説明において、前後方向は、電池パック2を電動工具200または充電器300に対してスライドさせるスライド方向に相当する。
【0030】
図1図13Bに示すように、電池パック2は、電池モジュール10(図9参照)と、電池モジュール10を収容するアウターケース12(図1参照)を備えている。アウターケース12は、全体が略直方体形状に形成されており、上部ケース14と、下部ケース15に分割されている。図2に示すように、上部ケース14と下部ケース15は、4個のねじ18によって互いに固定されている。
【0031】
(上部ケース14の構成)
図1Aに示すように、上部ケース14には、スライドレール20と、端子受入部22と、フック24と、通気孔26が形成されている。
【0032】
スライドレール20は、前後方向に沿って伸びており、上部ケース14の上部の左右端部に配置されている。図1Aに示すように、スライドレール20は、基部20aと、上方延伸部20bと、第1右方延伸部20cと、第2右方延伸部20dを備えている。図4Cに示すように、上方延伸部20bは、基部20aの左端から上方に延伸している。第1右方延伸部20cは、上方延伸部20bから右方に延伸している。第1右方延伸部20cの下端は、基部20aの上端よりも上方に位置する。第1右方延伸部20cの右端は、基部20aの右端よりも左方に位置する。第2右方延伸部20dは、上方延伸部20bから右方に延伸している。第2右方延伸部20dの右端は、第1右方延伸部20cの右端の左右方向の位置と一致する。図1Aに示すように、第2右方延伸部20dは、基部20aに接続されている。第1右方延伸部20c及び第2右方延伸部20dには、前後方向に並ぶ複数のへこみ部20eが設けられている。スライドレール20は、電動工具200や充電器300に電池パック2を着脱する際に、電動工具200のスライドレール(図示省略)や、充電器300のスライドレール302(図25B参照)に対して、摺動可能に係合する。具体的には、基部20aと第1右方延伸部20cの間を、電動工具200のスライドレール(図示省略)や、充電器300のスライドレール302が摺動する。
【0033】
端子受入部22は、上部ケース14の前方上面14b1に設けられている4個の端子開口部22a~22dを備えている。端子開口部22a~22dは、左右のスライドレール20の間に配置されており、電動工具200や充電器300に電池パック2を取付ける際に、電動工具200の端子208a、208b、210a、210c(図24B参照)や、充電器300の端子(図示省略)を受け入れる。端子開口部22a~22dは、右側のスライドレール20から左側のスライドレール20に向かって、端子開口部22a、端子開口部22b、端子開口部22c、端子開口部22dの順に設けられている。図1C図12B図24Bに示すように、端子開口部22a~22dを囲むように電池側へこみ部23a~23dが設けられている。端子開口部22a~22d及び電池側へこみ部23a~23dは、電池パック2を上面視した時にU字形状を有している。電池側へこみ部23a~23dは、アウターケース12の前方上面14b1よりもわずかに下方に設けられている。即ち、前方上面14b1と電池側へこみ部23a~23dは段差形状を有している。
【0034】
フック24は、上部ケース14の前上部に配置されている。フック24は、樹脂製の部材であって、操作部24aと、突出部24bを備えている。操作部24aは、上部ケース14の前面14aに設けられている。フック24は、上下方向に移動可能に上部ケース14に保持されている。フック24は、図示しない圧縮バネによって上方向に向けて付勢されており、操作部24aや突出部24bが下方に向けて押圧されると下方に移動する。突出部24bは、電動工具200や充電器300に電池パック2が取付けられた時に、電動工具200のハウジング(図示省略)や充電器300のハウジング304(図25B参照)に係合して、電動工具200や充電器300に電池パック2を固定する。電動工具200や充電器300から電池パック2を取り外す際には、ユーザが操作部24aを下方に押し下げることで、突出部24bが下方に移動する。この状態で、電池パック2をスライドさせることで、電動工具200や充電器300から電池パック2を取り外すことができる。操作部24aは、内側に窪んだ形状を有している。このため、ユーザが操作部24aに指をかけて操作部24aを下方に押し下げる際に、指が滑ることなく操作部24aを押し下げることができる。
【0035】
通気孔26は、スライドレール20よりも後方に設けられている。通気孔26は、アウターケース12の後方上面14b2の後部に設けられている。後方上面14b2は、前方上面14b1よりも下方に位置しており、スライドレール20の基部20aよりも上方に位置している。通気孔26の右方の一部、左方の一部、及び、前方には、電池側へこみ部27が設けられている。電池側へこみ部27は、後方上面14b2よりもわずかに下方に設けられている。即ち、後方上面14b2と電池側へこみ部27は段差形状を有している。充電器300には、電池側へこみ部27に対応する形状を有する充電器側突条部306(図25B参照)が設けられている。このため、電池パック2を充電器300に取付けると、充電器側突条部306が電池側へこみ部27に挿入される。
【0036】
図4Aに示すように、上部ケース14には、4個のねじ穴28と、5個の第1突条部30a~30eが設けられている。4個のねじ穴28には、ねじ18(図2参照)が螺合される。図4Bに示すように、第1突条部30a~30eは、上部ケース14の上面から下方(即ちセルケース80側)に突出している。図4Cに示すように、第1突条部30dは、スライドレール20(詳細には、基部20a)の下方、即ち、上部ケース14の内側に設けられている。第1突条部30a~30c、30eについても、スライドレール20の下方に設けられている。図5に示すように、第1突条部30は、肉厚部32aと、肉薄部32bから構成されている。肉厚部32aの左右方向の厚みは、肉薄部32bの左右方向の厚みよりも大きい。第1突条部30では、肉厚部32aと肉薄部32bが交互に形成されている。図4Aに示すように、第1突条部30a~30dは、4個の肉厚部32aと、3個の肉薄部32bから構成されている。第1突条部30eは、3個の肉厚部32aと、2個の肉薄部32bから構成されている。図5に示すように、第1突条部30a~30dの前後方向の長さL1は、第1突条部30eの前後方向の長さL2よりも長い。
【0037】
図4Aに示すように、上部ケース14には、上部ケース14と下部ケース15を位置合わせするための6個の第2突条部34a~34fが設けられている。
【0038】
(下部ケース15の構成)
図1B図8に示すように、下部ケース15は、前面15aと、右側面15bと、後面15cと、左側面15dと、底面15eで構成されている。前面15aは、底面15eに対して垂直に延びる第1上方延伸面17aと、底面15eに対して傾斜している傾斜面17bと、底面15eに対して垂直に延びる第2上方延伸面17cで構成されている。図13Bに示すように、傾斜面17bは、後方が下方に傾くように傾斜している。図1Aに示すように、下部ケース15には、通気孔40と、表示部42が設けられている。表示部42は、下部ケース15の前面15aに設けられている。表示部42は、電池パック2の充電残量をユーザに提示する残量表示部42aと、充電残量の表示のオン・オフを切り替えるボタン42bを備えている。また、図1Bに示すように、下部ケース15の傾斜面17bには、通気孔58a~58dが設けられている。また、下部ケース15の底面15eには、引っ掛け部19が設けられている。引っ掛け部19は、電動工具200や充電器300から電池パック2を取り外す際に使用される。具体的には、ユーザは、人差し指又は中指を引っ掛け部19に引っ掛けた状態で、親指で操作部24a(図1A参照)を下方に押し下げる。
【0039】
図3に示すように、通気孔40は、下部ケース15の右側面15bの下部に設けられている。通気孔40は、10個の孔40a~40jで構成されている。10個の孔40a~40jは、上下2段に並んで配置されている。下段に設けられている5個の孔40a~40eのうち、最も後方側に設けられている孔40a及び最も前方側に設けられている孔40eの前後方向の長さは、孔40b~44dの前後方向の長さよりも短い。また、上段に設けられている5個の孔40f~44jのうち、最も後方側に設けられている孔40f及び最も前方側に設けられている孔40jの前後方向の長さは、孔40g~44iの前後方向の長さよりも短い。また、図8に示すように、下部ケース15の左側面15dの下部にも、通気孔40と同様の通気孔41が設けられている。通気孔41は、10個の孔41a~41jで構成されている。
【0040】
また、図6に示すように、下部ケース15には、4個のねじ穴46と、5個の前部リブ48、50、52、54、56と、4個の通気孔58a~58dと、8個の側部リブ60a~60hと、4個のねじ穴62と、6個の第2へこみ部64a~64fが設けられている。4個のねじ穴46は、上部ケース14の4個のねじ穴28(図4A参照)に対応する位置に設けられている。4個のねじ穴62は、下部ケース15と電池モジュール10とを固定するためのねじ穴である。第2へこみ部64a~64fは、それぞれ、上部ケース14の第2突条部34a~34f(図4A参照)に対応する位置に設けられている。下部ケース15の底面15eは、平坦部16aと、突出部16bと、へこみ部16cと、段差部16dで構成されている。突出部16bは、平坦部16aから上方に突出している。図18に示すように、突出部16bは、後述するセルケース80の下面に沿った形状を有している。図6に示すように、へこみ部16cは、下部ケース15の底面15eの四隅の角部15fに設けられている。図19に示すように、段差部16dは、平坦部16aとへこみ部16cを接続している。段差部16dは、下部ケース15の内側から外側に向かって下方に下がっている。平坦部16aにおける下部ケース15の厚みt1と、へこみ部16cにおける下部ケース15の厚みt1は同じである。
【0041】
図7に示すように、前部リブ48、50、52、54、56は、傾斜面17b上に設けられている。前部リブ48、50、52、54、56は、傾斜面17bから上方に延びるとともに、下部ケース15の前面15aから後方に延びている。前部リブ48の後端は、傾斜面17bの後端と略一致し、前部リブ48の上端は、傾斜面17bの最上端と略一致する。前部リブ48の上面は平坦面である。前部リブ50の後端は、傾斜面17bの後端と略一致し、前部リブ50の上端は、残量表示部42aの上端よりも上方に位置する。また、前部リブ50には、溝部50aが設けられている。溝部50a内を後述するLED基板84(図13A参照)が通過する。前部リブ52、54の後端は、傾斜面17bの後端よりも前方に位置する。また、前部リブ52、54の上端は、残量表示部42aの上端よりも上方に位置する。前部リブ56は、遮光壁部56aと、平坦部56bで構成されている。遮光壁部56aは、前部リブ52、54と同様の構造を有する。平坦部56bは、前部リブ48と同様の構造を有する。
【0042】
傾斜面17bの上方の空間は、前部リブ48、50、56によって、4つの空間S1~S4に区分けされている。具体的には、前部リブ48によって第1空間S1が画定され、前部リブ48、50によって第2空間S2が画定され、前部リブ50、56によって第3空間S3が画定され、前部リブ56によって第4空間S4が画定されている。各空間S1~S4には、それぞれ、通気孔58a~58dが設けられている。通気孔58a~58dは、下部ケース15を上下方向に貫通する。このため、アウターケース12内に侵入した水のうち、空間S1~S4に流れ込む水は、通気孔58a~58dから排水される。
【0043】
図6に示すように、側部リブ60a~60dは、下部ケース15の右側面15bから左方に延びている。また、図8に示すように、側部リブ60a~60dの下端は、下部ケース15の底面15eから上方に延びている。側部リブ60a~60dの上端は、下部ケース15の上端よりもわずかに下方に位置する。側部リブ60a~60dは、前後方向において、隣接する孔40の間に設けられている。具体的には、側部リブ60aは、孔40a、40fと孔40b、40gの間に設けられており、側部リブ60bは、孔40b、40gと孔40c、40hの間に設けられており、側部リブ60cは、孔40c、40hと孔40d、40iの間に設けられており、側部リブ60dは、孔40d、40iと孔40e、40jの間に設けられている。側部リブ60e~60hは、下部ケース15の左側面15dから右方に延びている点を除いて、側部リブ60e~60hと同様の構造を有する。
【0044】
(電池モジュール10の構成)
図9Aに示すように、電池モジュール10は、セルケース80と、制御基板82と、LED基板84を備えている。セルケース80は、絶縁性の材料からなり、例えば、樹脂材料からなる。図11Aに示すように、セルケース80は、右セルケース85と、左セルケース86に分割されている。セルケース80の前部80aには、通気孔81aが設けられており、セルケース80の後部80bには、通気孔81bが設けられている。セルケース80の下部の四隅の角部には、肉厚部80cが設けられている。図19に示すように、肉厚部80cにおける厚みt11は、後述するセル保持部87における厚みt12よりも厚い。図11Aに示すように、セルケース80の上面80dは、後述する電池セル90(図10参照)の長手方向の側面に対応する形状を有している。セルケース80の上面80dにおいて、隣り合う2つの電池セル90の間には窪み部80gが設けられている。セルケース80の上面80dには、制御基板82とセルケース80を接続するために使用される4個のねじボス83が設けられている。図9Bに示すように、セルケース80の左側面80fの上部には、セルケース80の上面80dよりも上方に突出する突出部116a~116cが設けられている。図11Cに示すように、突出部116a~116cは、隣り合う2個の電池セル90に跨るように配置されている。突出部116a~116cには、第1へこみ部110a~110cが設けられている。第1へこみ部110a~110cは、それぞれ、上部ケース14の第1突条部30a~30c(図4A参照)に対応する位置に設けられている。図9Aに示すように、セルケース80の右側面80eの上部には、セルケース80の上面80dよりも上方に突出する突出部116d、116eが設けられている。図11Cに示すように、突出部116d、116eは、隣り合う2個の電池セル90に跨るように配置されている。突出部116d、116eには、第1へこみ部110d、110eが設けられている。第1へこみ部110d、110eは、それぞれ、上部ケース14の第1突条部30d、30e(図4A参照)に対応する位置に設けられている。図11Cに示すように、突出部116a~116e、及び、第1へこみ部110a~110eは、電池モジュール10を上面視した場合に、制御基板82よりも外側に設けられている。第1へこみ部110a~110eは、後述する2個のリード板92の間に設けられている。図9Aに示すように、突出部116d及び第1へこみ部110dは、リード板92c、92dの間に設けられており、突出部116e及び第1へこみ部110eは、リード板92d、92eの間に設けられている。また、図9Bに示すように、突出部116a及び第1へこみ部110aは、リード板92j、92kの間に設けられており、突出部116b及び第1へこみ部110bは、リード板92i、92jの間に設けられており、突出部116c及び第1へこみ部110cは、リード板92h、92iの間に設けられている。
【0045】
図11Bに示すように、右セルケース85には、10個のセル保持部87a~87jが設けられている。10個のセル保持部87a~87jは上下2段に並んで配置されている。左右方向の中心位置における電池パック2の断面図である図18に示すように、セル保持部87a~87cは、後述する電池セル90の中央側を保持する中央側保持部89aを有している。また、下部ケース15の右側後方のへこみ部16cが設けられている位置における電池パック2の断面図である図19に示すように、セル保持部87a~87cは、電池セル90の長手方向の右端面側を保持する端面側保持部89bを有している。図示省略しているが、セル保持部87d、87eも、中央側保持部と、端面側保持部を有している。図11Bに示すように、セル保持部87a、87b、87f、87gの間、及び、セル保持部87d、87e、87i、87jの間には、右セルケース85と左セルケース86を連結するための連結部88が設けられている。なお、図示省略しているが、左セルケース86には、右セルケース85の10個のセル保持部87a~87jに対応する10個のセル保持部と、右セルケース85の2個の連結部88に対応する2個の連結部が設けられている。
【0046】
図10に示すように、セルケース80には、10本の電池セル90a~90jが上下2段に並んで配置されている。電池セル90は、一方の端部に正極が形成され、他方の端部に負極が形成された、円筒形状の二次電池セル、例えばリチウムイオン電池セルである。本実施例では、電池セル90は、18650型のリチウムイオン電池セルであり、定格電圧は、3.6[V]である。電池セル90は、上下方向に隣接する電池セル90において正極から負極への向きが互いに逆方向となるように配置されている。下段の電池セル90a~90eにおいて、最も後方側の電池セル90aは、右端面側が負極となり、左端面側が正極となるように配置されている。また、電池セル90b~90eは、右端面側が正極となり、左端面側が負極となるように配置されている。また、上段の電池セル90f~90jにおいて、最も後方側の電池セル90fは、右端面側が正極となり、左端面側が負極となるように配置されている。また、電池セル90g~90jは、右端面側が負極となり、左端面側が正極となるように配置されている。それぞれの電池セル90の正極を構成する金属部91(例えば図20参照)および負極を構成する金属部は電池セル90の端面に接続されている。電池セル90の一方の端部は、金属部を介して、セルケース80の右側面80e側に設けられた金属製のリード板92a~92fに接続されており(図9A参照)、電池セル90の他方の端部は、金属部を介して、セルケース80の左側面80f側に設けられた金属製のリード板92g~92kに接続されている(図9B参照)。なお、図20に示すように、電池セル90の正極を構成する金属部91には、防水リング95が設けられている。図9A図9Bにおいて、リード板92の表面に太線の丸が記載されている部分は、その内側に防水リング95が配置されることを示している。従って、リード板92の表面に太線の丸が記載されている部分には、電池セル90の正極が接続されている。
【0047】
図9Aに示すように、複数のリード板92a~92fは、互いに間隔を空けて配置されている。従って、複数のリード板92a~92fは、互いに絶縁されている。リード板92aは、電池セル90fの正極にのみ接続されている。リード板92fは、電池セル90jの負極にのみ接続されている。リード板92bは、前後方向において隣り合う2つの電池セル90a、90bを接続している。リード板92c~92eは、斜め方向に隣り合う2つの電池セル90を接続している。具体的には、リード板92cは、電池セル90gの負極と電池セル90cの正極に接続されている。リード板92dは、電池セル90hの負極と電池セル90dの正極に接続されている。リード板92eは、電池セル90iの負極と電池セル90eの正極に接続されている。
【0048】
また、図9Bに示すように、複数のリード板92g~92kは、互いに間隔を空けて配置されている。従って、複数のリード板92g~92kは、互いに絶縁されている。リード板92g~92kは、上下方向に隣り合う電池セル90を接続している。具体的には、リード板92gは、電池セル90eの負極と電池セル90jの正極を接続している。また、リード板92hは、電池セル90dの負極と電池セル90iの正極を接続している。また、リード板92iは、電池セル90cの負極と電池セル90hの正極を接続している。また、リード板92jは、電池セル90bの負極と電池セル90gの正極を接続しているまた、リード板92kは、電池セル90aの正極と電池セル90fの負極を接続している。上記の構成によって、10個の電池セル90が電気的に直列に接続される。従って、電池パック2の定格電圧は36[V]である。なお、図示省略しているが、セルケース80の右側面80e及び左側面80fには、絶縁シートが貼着されている。
【0049】
上記の構成によれば、電源ライン(図示省略)を介して制御基板82と接続されるリード板92a、92fを、上側の電池セル90f、90jに接続させることができる。制御基板82と接続されるリード板92a、92fには、他のリード板よりも大きな電流が流れる。このため、リード板92a、92fの幅が大きいことが望ましい。上記の構成によれば、リード板92a、92fの幅を十分に確保することができる。また、仮に、制御基板82と接続されるリード板92a、92fのうちの少なくとも一方が、下側の電池セルと接続されている場合、セルケース60の下部から電源ラインを配線する必要がある。セルケース60の下部において、セルケース60とアウターケース12の右側面の間のクリアランスが小さいために、電源ラインを配線することは困難である。上記の構成によれば、制御基板82と接続されるリード板92a、92fの両方が上側の電池セル90f、90jに接続されているため、リード板92a、92fと制御基板82を接続する電源ラインを容易に配線することができる。また、リード板92a、92fのうちの少なくとも一方が下段の電池セル90に接続されている場合と比較して、リード板92a、92fと制御基板82を接続する電流ラインの長さを短くすることができるために、リード板92a、92fと制御基板82を接続する電源ラインによる抵抗を小さくすることができる。
【0050】
図10に示すように、セルケース80が10本の電池セル90a~90jを保持している状態において、上段の電池セル90f~90jと下段の電池セル90a~90eは、上下方向に間隔を空けて配置されている。また、電池セル90a、90b、90f、90gと後方側の連結部88の間、及び、電池セル90d、90e、90i、90jと前方側の連結部88の間にはクリアランスが設けられている。このため、セルケース80の通気孔81a又は通気孔81bからセルケース80内に流れ込んだ空気は、上段の電池セル90f~90jと下段の電池セル90a~90eの間、電池セル90a、90b、90f、90gと後方側の連結部88の間、及び、電池セル90d、90e、90i、90jと前方側の連結部88の間を通過することができる。
【0051】
図9Aに示すように、制御基板82は、セルケース80の上方に配置されている。制御基板82は、上下方向に直交する面に沿うように配置されている。制御基板82は、締結具100を介してセルケース80に固定されている。
【0052】
制御基板82の上面には、複数の端子102が設けられている。複数の端子102は、電池パック2が電動工具200や充電器300に取付けられた際に、放電または充電のために使用される電池側負極端子104aと、放電または充電のために使用される電池側正極端子104bと、信号の送受信のために使用される複数の電池側信号端子106a~106dが設けられている。電池側負極端子104a及び電池側正極端子104bは、左右方向において、電池側信号端子106a~106dよりも外側に設けられている。電池側負極端子104aは、制御基板82上の右側に設けられており、電池側正極端子104bは、制御基板82上の左側に設けられている。電池側信号端子106a、106bは、前後に並んで設けられている。電池側信号端子106c、106dは、前後に並んで設けられている。図12Bに示すように、電池側負極端子104aは、上部ケース14の端子開口部22aに対応する位置に配置されており、電池側信号端子106a、106bは、端子開口部22bに対応する位置に配置されており、電池側信号端子106c、106dは、端子開口部22cに対応する位置に配置されており、電池側正極端子104bは、端子開口部22dに対応する位置に配置されている。
【0053】
図9A図9Bに示すように、セルケース80には、4個の固定部112が設けられている。各固定部112は、下部ケース15のねじ穴62に対応する位置に設けられている。図12Aに示すように、下部ケース15と電池モジュール10は、4個のねじ114によって互いに固定される。
【0054】
図9Aに示すように、LED基板84は、信号線120を介して、制御基板82に接続されている。LED基板84は、4個のLED84aと、スイッチ84bを備えている。図13Aに示すように、電池モジュール10と下部ケース15が固定されている状態において、LED基板84は、下部ケース15の表示部42の裏面近傍に配置される。具体的には、LED84aは、残量表示部42aの裏面に配置され、スイッチ84bは、ボタン42bの裏面に配置される。即ち、LED基板84は、下部ケース15の内側において、前面14aに対向している。また、LED基板84は、下部ケース15の前部リブ50の溝部50aに挿入されており、前部リブ48、56上に載置されている。このため、LED基板84は、下部ケース15によって保持される。また、LED基板84の前面は、前部リブ52、54の後端、及び、前部リブ56の遮光壁部56aに接触している。また、LED基板84の下面84cに対向する面には、通気孔58a~58dが設けられている。
【0055】
以下では、図14図17を参照して、上部ケース14の第1突条部30と電池モジュール10の第1へこみ部110の間の係合クリアランスC1、及び、上部ケース14の第2突条部34と下部ケース15の第2へこみ部64の間の係合クリアランスC2について説明する。
【0056】
図14に示すように、上部ケース14の第1突条部30a~30eのそれぞれが、電池モジュール10の第1へこみ部110a~110eのそれぞれに受容される。図15に示すように、第1突条部30dと第1へこみ部110dとの間には、係合クリアランスC1が設けられている。
【0057】
また、図16に示すように、上部ケース14の第2突条部34a~34fのそれぞれが、下部ケース15の第2へこみ部64a~64fのそれぞれに受容される。図17に示すように、第2突条部34eと第2へこみ部64eとの間には、係合クリアランスC2が設けられている。係合クリアランスC2は、上部ケース14と下部ケース15の位置決めのために利用される。図14の係合クリアランスC1は、上部ケース14とセルケース80の位置ずれの抑制のために利用される。係合クリアランスC1は、上部ケース14とセルケース80の間の位置ずれを抑制し、上部ケース14と制御基板82の接触を防止することができるように設定されていればよい。このため、係合クリアランスC1は、係合クリアランスC2よりも大きい。なお、図16に示すように、第2突条部34a~34fと第2へこみ部64a~64fによってラビリンス構造が形成される。これにより、アウターケース12内への水の侵入が抑制される。
【0058】
続いて、図18図19を参照して、電池モジュール10のセルケース80の下面と下部ケース15との間のケースクリアランスC11~C13について説明する。上述のように、図18は、左右方向の中心位置における電池パック2の断面図を示し、図19は、下部ケース15の右側後方のへこみ部16cが設けられている位置における電池パック2の断面図を示す。
【0059】
図18に示すように、セルケース80の下面は、下部ケース15の底面15eに接触していない。具体的には、セル保持部87a~87cの中央側保持部89aと下部ケース15の底面15eから上方(即ち内側)に突出している突出部16bの間には、ケースクリアランスC11が設けられている。また、中央側保持部89aと平坦部16aの間には、ケースクリアランスC12が設けられている。ケースクリアランスC12は、ケースクリアランスC11よりも大きい。
【0060】
また、図19に示すように、下部ケース15の角部15fから最も近い位置に配置されている電池セル90aに対応する端面側保持部89bとへこみ部16cとの間には、ケースクリアランスC13が設けられている。下部ケース15の底面15eのうち、電池セル90aの側面93aに対向する面と電池セル90bの側面93bに対向する面の間には、段差部16dが設けられている。なお、下部ケース15の底面15eのうち、電池セル90bの側面93bに対向する面と電池セル90cの側面93cに対向する面の間には、段差部16dは設けられていない。このため、ケースクリアランスC13は、ケースクリアランスC12よりも大きい。
【0061】
続いて、図20を参照して、複数の電池セル90のうち、下段の中央に位置する電池セル90cと、電池セル90cの右方に設けられている孔40c、40hの位置関係について説明する。なお、図20では、理解し易くするために、リード板92iを省略している。
【0062】
図20に示すように、右側面15bにおいて、電池セル90cの長手方向の端面に向かい合う位置に孔40c、40hが設けられている。なお、右側面15bにおいて、電池セル90cの上方に位置する電池セル90hの長手方向の端面に向かい合う位置には、孔は設けられていない。孔40c、40hは、その一部が電池セル90hの長手方向の端面に向かい合っている。
【0063】
電池セル90cの正極を構成する金属部91は、電池セル90cの右側の端面上に設けられている。上段の孔40hの下端43h及び下段の孔40cの下端43cは、電池セル90cの上端94a、及び、電池セル90cの長手方向軸A1よりも下方に設けられている。また、下段の孔40cの下端43cは、金属部91の下端91a、及び、電池セル90cの下端94bよりも下方に設けられている。
【0064】
続いて、図21を参照して、電池パック2内の空気の流れを説明する。例えば、電池パック2が電動工具200に取付けられ、電動工具200がユーザによって使用され、電動工具200から電池パック2が取り外された状況を想定する。この場合、電池パック2は高温になっている。このような状況においては、図1A図3図8に示す下部ケース15の下部に設けられている通気孔40、41が、電池パック2の外部から内部へ空気が導入される吸気孔として機能する。具体的には、電池パック2の周りの空気が温められ、電池パック2の周りの空気が通気孔40、41を介して、電池パック2内に流れ込む。通気孔40から電池パック2内に導入された空気は、複数の電池セル90と下部ケース15の間の空間に流れ込む。上述のように、各孔40a~40jの間に側部リブ60a~60dが設けられている。このため、図20に示すように、孔40c、40hから導入された空気は、電池セル90c、90hと下部ケース15の右側面15bの間の空間に流れ込む。同様に、孔40a、40fから導入された空気は、電池セル90b、90gと下部ケース15の右側面15bの間の空間に流れ込み、孔40b、40gから導入された空気は、電池セル90b、90gと下部ケース15の右側面15bの間の空間に流れ込み、孔40d、40iから導入された空気は、電池セル90d、90iと下部ケース15の右側面15bの間の空間に流れ込み、孔40e、40jから導入された空気は、電池セル90e、90jと下部ケース15の右側面15bの間の空間に流れ込む。従って、複数の電池セル90が確実に冷却される。複数の電池セル90と下部ケース15の右側面15bの間の空間に流れ込んだ空気は、複数の電池セル90を冷却した後、上部ケース14の端子受入部22の端子開口部22a等を介して電池パック2の外部へ流出する。このように、電池パック2が高温である状況においては、自然対流が生じる。なお、通気孔41から電池パック2内に導入される空気も各電池セル90と下部ケース15の左側面15dの間の空間に流れ込み、電池セル90の冷却に利用される。
【0065】
続いて、図22図23を参照して、電池パック2が充電器300に取付けられている状態における電池パック2内の空気の流れについて説明する。充電器300には、送風ファン(図示省略)が搭載されており、電池パック2から空気を吸引するように構成されている。この状態において、電池パック2の通気孔40(図1参照)、58a~58d(図6参照)は、電池パック2の外部から内部へ空気が導入される吸気孔として機能し、電池パック2の通気孔26(図1参照)は、電池パック2の内部から充電器300へ空気を排出する排気孔として機能する。
【0066】
図22に示すように、充電器300の送風ファンが駆動されると、通気孔58(図1B参照)から電池パック2内に導入された空気は、セルケース80の前部80aと下部ケース15の前面15aの間の空間に流れ込む。セルケース80の前部80aと下部ケース15の前面15aの間には、LED基板84が設けられている。セルケース80の前部80aと下部ケース15の前面15aの間の空間に流れ込んだ空気は、セルケース80の前部80aとLED基板84の間、及び、セルケース80の通気孔81aを通って、セルケース80内に流れ込む。セルケース80内に導入された空気は、上段の電池セル90f~90jと下段の電池セル90a~90eの間、電池セル90a、90b、90f、90gと後方側の連結部88の間、及び、電池セル90d、90e、90i、90jと前方側の連結部88の間を通過する。セルケース80内を通過する空気は、複数の電池セル90を冷却する。そして、複数の電池セル90を冷却した空気は、セルケース80の後部80bの通気孔81b、上部ケース14の通気孔26、及び、通気孔26に対応する充電器300の通気孔308(図25B参照)を介して、充電器300へ導入される。上述のように、電池パック2が充電器300に取付けられている状態において、通気孔26の周りの電池側へこみ部27には、充電器300の充電器側突条部306が挿入される。このため、通気孔26の周りに電池側へこみ部27が設けられていない場合と比較して、電池パック2と充電器300の隙間から充電器300に吸い込まれる空気の量を少なくすることができる。これにより、電池パック2内を流れる空気の量を多くすることができる。従って、電池パック2内の電池セル90やリード板92を効率的に冷却することができる。
【0067】
また、図23に示すように、通気孔40から電池パック2内に導入された空気は、複数の電池セル90(詳細にはリード板92)と下部ケース15の右側面15bの間の空間に流れ込む。電池セル90と下部ケース15の右側面15bの間の空間に流れ込んだ空気は、複数の側部リブ60a~60dの上方において、前方側に流れ、セルケース80の前部80aと下部ケース15の前面15aの間の空間に流れ込む。その後の空気の流れは、図22の場合と同様である。このように、通気孔58、40から導入される空気が、複数の電池セル90を冷却するために利用される。なお、本実施例では、通気孔40が下部ケース15の下部に設けられているために、電池パック2が充電器300に取付けられている状態において、通気孔40が、充電器300よりも高さが高い位置にある。埃などは、高さが低い位置に溜まるこのため、電池パック2が充電器300に取付けられている状態において、埃などを吸い込みにくくなっている。
【0068】
図24Bを参照して、電池パック2の上部ケース14の電池側へこみ部23a~23dによる効果について説明する。なお、図24Bは、電池パック2が電動工具200に取付けられている状態における電池パック2の電池側信号端子106a(図12A参照)の前後方向の中心位置における断面図である。図24Bに示すように、電動工具200の端子保持部202を備え、端子保持部202には、下方側(即ち電池パック2側)に突出する工具側突条部206a~206dが設けられている。工具側突条部206aには、電池側負極端子104aに対応する工具側負極端子208aが設けられており、工具側突条部206dには、電池側正極端子104bに対応する工具側正極端子208bが設けられている。工具側突条部206bには、電池側信号端子106aに対応する工具側信号端子210aが設けられている。なお、工具側突条部206bには、電池側信号端子106bに対応する工具側信号端子(図示省略)が工具側信号端子210aの前方に設けられている。工具側突条部206cには、電池側信号端子106cに対応する工具側信号端子210cが設けられている。なお、電池側信号端子106dは、電池パック2が充電器300に取付けられた場合にのみ使用される端子であるため、工具側突条部206cにおいて、工具側信号端子208cの前方に電池側信号端子106dに対応する工具側信号端子は設けられていない。電池パック2を電動工具200に取付けると、工具側突条部206a~206dのそれぞれが、電池側へこみ部23a~23d内に挿入される。このような構成によれば、電動工具200の端子保持部202に工具側突条部206a~206dが設けられていない場合と比較して、電動工具200の複数の端子のうち、左右方向において隣り合う2つの端子間の沿面距離を長くすることができる。具体的には、工具側突条部206a~206dの高さの分だけ沿面距離を長くすることができる。従って、電動工具200の複数の端子のうち、左右方向において隣り合う2つの端子が短絡することを抑制することができる。
【0069】
1またはそれ以上の実施形態において、図1図17に示すように、電池パック2は、アウターケース12と、電池セル90と、アウターケース12に収容され、電池セル90を収容するセルケース80と、を備える。アウターケース12は、端子102を露出させるための端子開口部22aが設けられている上面14bと、底面15eと、底面15eから上方に延びている複数の側面15a~15dと、を備える。電池セル90は、底面15eに平行に配置されている。複数の側面15a~15dのうち、電池セル90の長手方向の端面に向かい合う右側面15bには、通気孔40が設けられている。上記の構成によれば、通気孔40からアウターケース12内に流れ込んだ空気は、電池セル90を冷却しながら、アウターケース12内を上昇する。従って、電池セル90を素早く冷却させることができる。
【0070】
1またはそれ以上の実施形態において、図20に示すように、通気孔40は、右側面15bにおいて電池セル90cの長手方向の端面に向かい合う位置に設けられている。上記の構成によれば、電池セル90cに、通気孔40からアウターケース内に流れ込んだ空気を確実に接触させることができる。
【0071】
1またはそれ以上の実施形態において、図10に示すように、電池セル90は、下段に配置される電池セル90a~90eと、電池セル90a~90eよりも上方に配置される電池セル90f~90jと、を備えている。通気孔40は、右側面15bにおいて、下段の電池セル90a~90eの長手方向の端面に向かい合う位置に設けられており、上段の電池セル90f~90jの長手方向の端面と向かい合う位置には設けられていない。通気孔40からアウターケース12内に流れ込んだ空気は、アウターケース12内を上昇する。このため、下段の電池セル90a~90eの長手方向の端面に向かい合う位置に設けられている通気孔40からアウターケース12内に流れ込んだ空気は、アウターケース12内を上昇して、上段の電池セル90h~90jに接触する。従って、右側面15bにおいて、上段の電池セル90f~90jの長手方向の端面と向かい合う位置に通気孔を設ける場合と比較して、右側面15bに設ける通気孔の数を少なくすることができる。
【0072】
1またはそれ以上の実施形態において、図10に示すように、セルケース80には、アウターケース12の下部ケース15の底面15eに対して平行に5個の電池セル90a~90eが並んで設けられている。また、図1図3に示すように、アウターケース12には、5個の電池セル90a~90eのそれぞれに対応する5個の孔40a~40eが設けられている。上記の構成によれば、各電池セル90に、各電池セル90に対応する孔40からアウターケース12内に流れ込んだ空気を接触させることができる。
【0073】
1またはそれ以上の実施形態において、図8に示すように、アウターケース12の下部ケース15の右側面15bには、内側に突出する側部リブ60a~60dが設けられている。側部リブ60a~60dは、2個の孔40の間に設けられている。上記の構成によれば、リブ60a~60dによって、孔40から流れ込んだ空気が拡散することを防止することができる。従って、各電池セル90に、各電池セル90に対応する孔40からアウターケース12内に流れ込んだ空気を確実に接触させることができる。
【0074】
1またはそれ以上の実施形態において、図20に示すように、孔40cの下端43cは、電池セル90cの長手方向軸A1よりも下方に設けられている。このため、孔40cからアウターケース12内に流れ込む空気が、電池セル90cに接触し、電池セル90cが冷却される。従って、電池セル90cを素早く冷却させることができる。
【0075】
1またはそれ以上の実施形態において、図20に示すように、孔40cの下端43cは、金属部91の下端91aよりも下側に位置する。上記の構成によれば、孔40cからアウターケース12内に流れ込んだ空気と接触する電池セル90cの面積を大きくすることができる。従って、電池セル90cをより素早く冷却させることができる。
【0076】
1またはそれ以上の実施形態において、図10に示すように、セルケース80には、アウターケース12の下部ケース15の底面15eに対して平行に5個の電池セル90a~90eが並んで設けられている。また、図1図3に示すように、5個の電池セル90a~90eは、アウターケース12の下部ケース15の角部15fから最も近い位置に配置される電池セル90a、90eと、電池セル90a、90eの内側に配置される電池セル90b~90dと、から構成される。図3に示すように、電池セル90a、90eに対応する孔40a、40eの幅は、電池セル90b~90dに対応する孔40b~40dの幅よりも小さい。上記の構成によれば、全ての孔40の幅が同じ場合と比較して、アウターケース12の下部ケース15の角部15fの剛性を強くすることができる。この結果、ユーザが電池パック2を落下させた場合において、アウターケース12が変形することを抑制することができる。
【0077】
1またはそれ以上の実施形態において、図1に示すように、アウターケース12の上部に通気孔26が設けられている。上記の構成によれば、孔40からアウターケース12内に流れ込んだ空気は、電池セル90を冷却しながら上昇し、アウターケース12の上部の通気孔26から排出される。従って、電池セル90に、孔40からアウターケース12内に流れ込んだ空気を確実に接触させることができる。
【0078】
1またはそれ以上の実施形態において、図25に示すように、電池パック2は、充電器300に取付け可能であり、電池パック2が充電器300に取付けられている状態において、孔40は、充電器300によって覆われない。上記の構成によれば、電池パック2が充電器300に取付けられている状態において、孔40からアウターケース12内に流れ込んだ空気が通気孔26から排出される。従って、孔40を、吸気孔として利用することができる。
【0079】
1またはそれ以上の実施形態において、図22図23に示すように、電池パック2が充電器300に取付けられている状態において、孔40は、吸気孔である。電池パック2が充電器300に取付けられている状態において、アウターケース12の孔40は、充電器300よりも高さが高い位置にある。埃などは、高さが低い位置に溜まっていく。従って、孔40が低い位置にある場合と比較して、孔40から埃などを吸い込みにくくなる。
【0080】
(対応関係)
通気孔40、孔40a~40jが、「開口」の一例である。側部リブ60a~60hが、「リブ」の一例である。下部ケース15の右側面15b及び左側面15dが、「特定の側面」の一例である。電池セル90a~90e、電池セル90f~90jが、それぞれ、「下方側電池セル」、「上方側電池セル」の一例である。電池セル90a、90eが、「外側電池セル」の一例である。電池セル90b~90dが、「内側電池セル」の一例である。
【0081】
(第2実施例)
図26を参照して、第2実施例の電池パック602について説明する。第2実施例の電池パック602は、アウターケース612の下部ケース615の構造が、第1実施例の電池パック2のアウターケース12の下部ケース15の構造と異なる。また、本実施例の電池パック602は、アウターケース612内に収容される電池セル(図示省略)のサイズなどが、第1実施例のアウターケース12内に収容される電池セル90とは異なる。具体的には、本実施例の電池セルは、21700型のリチウムイオン電池セルであり、定格電圧は、3.6[V]である。このため、アウターケース612は、第1実施例のアウターケース12よりもサイズが大きい。なお、アウターケース612内に10個の電池セルが収容される点、及び、各電池セルの接続方法は、第1実施例の電池パックと同様である。従って、本実施例の電池パック602の定格電圧も、36[V]である。
【0082】
図26に示すように、下部ケース615の底面615eには、前後方向に並ぶ2個の引っ掛け部619a、619bが設けられている。このような構成によると、ユーザは、電動工具200や充電器300から電池パック2を取り外す際に、2個の引っ掛け部619a、619bのうち、当該ユーザの指の長さに適した引っ掛け部619を利用することができる。従って、電動工具200や充電器300から電池パック2を取り外しやすくすることができる。
【0083】
本明細書によって開示される電池パックのさらなる特徴を以下に記す。
(特徴1)
スライドして電動工具に取付け可能な電池パックであって、
第1端子と、
第2端子と、
前記第1端子及び前記第2端子を収容するアウターケースと、を備え、
前記アウターケースの上面には、前記第1端子に対応する位置に設けられている第1の端子開口部と、前記第2端子に対応する位置に設けられている第2の端子開口部と、が設けられており、
前記第1端子開口部と前記上面の間、及び、前記第2端子開口部と前記上面の間には、電池側へこみ部が設けられている、電池パック。
(特徴2)
前記電池側へこみ部は、電動工具の工具側突条部に対応する形状を有する、特徴1に記載の電池パック。
(特徴3)
前記第1端子は、放電端子であり、
前記第2端子は、信号端子である、特徴1又は2に記載の電池パック。
(特徴4)
第1端子と、
第2端子と、
第3端子と、
第4端子と、
前記第1端子、前記第2端子、前記第3端子、及び、前記第4端子を収容するアウターケースと、を備え、
前記アウターケースは、電動工具をスライドさせて受け入れる一対のスライドレールを備え、
前記アウターケースの前記一対のスライドレールの間の上面には、第1端子に対応する位置に設けられている第1端子開口部と、第2端子に対応する位置に設けられている第2端子開口部と、第3端子に対応する位置に設けられている第3端子開口部と、第4端子に対応する位置に設けられている第4端子開口部と、が設けられており、
前記第1端子開口部、第2端子開口部、第3端子開口部、及び、第4端子開口部は、前記一対のスライドレールのうちの一方のスライドレールから他方のスライドレールに向かって、第1端子開口部、第2端子開口部、第3端子開口部、第4端子開口部の順に配置されており、
前記第1端子開口部と前記上面の間、前記第2端子開口部と前記上面の間、前記第3端子開口部と前記上面の間、及び、前記第4端子開口部と前記上面の間には、電池側へこみ部が設けられている、電池パック。
(特徴5)
前記電池側へこみ部は、前記電動工具の工具側突条部に対応する形状を有する、特徴4に記載の電池パック。
(特徴6)
前記第1端子及び第4端子は、放電端子であり、
前記第2端子及び第3端子は、信号端子である、特徴4又は5に記載の電池パック。
(特徴7)
前方から後方にスライドして外部装置に取付け可能な電池パックであって、
アウターケースを備え、
前記アウターケースは、
前記外部装置をスライドさせて受け入れる一対のスライドレールと、
前記一対のスライドレールの間に設けられている端子開口部と、
前記一対のスライドレールの間であり、前記端子開口部よりも後方の面と、
通気孔と、
前記一対のスライドレールの間であり、前記端子開口部よりも後方の前記面と前記通気孔との間に設けられている電池側へこみ部と、を備える、電池パック。
(特徴8)
前記電池側へこみ部は、前記外部装置の装置側突条部に対応する形状を有する、特徴7に記載の電池パック。
【0084】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0085】
(第1変形例)通気孔40は、右側面15bにおいて、電池セル90cの長手方向の端面に向かい合う位置とは異なる位置に設けられていなくてもよい。
【0086】
(第2変形例)第1実施例の通気孔40に加えて、右側面15bにおいて、上段の電池セル90f~90jの長手方向の端面に向かい合う位置に通気孔が設けられていてもよい。また、別の変形例では、上段の電池セル90f~90jの長手方向の端面に向かい合う位置に通気孔が設けられており、下段の電池セル90a~90eの長手方向の端面に向かい合う位置に通気孔が設けられていなくてもよい。
【0087】
(第3変形例)通気孔40を構成する孔の数は、電池セル90の数よりも少なくてもよいし、多くてもよい。
【0088】
(第4変形例)下部ケース16は、側部リブ60a~60hを有していなくてもよい。
【0089】
(第5変形例)通気孔40の孔は、電池セル90a~90eの上端よりも下方に設けられていればよい。例えば、通気孔40の孔は、電池セル90a~90eの上端と電池セル90a~90eの長手方向軸Aの間に設けられていてもよい。
【0090】
(第6変形例)上下方向の位置が一致する複数の孔40の左右方向の幅が同じであってもよい。また、別の変形例では、左右方向の中心位置から外側に向かうにつれて、孔40の左右方向の幅が徐々に大きくなっていってもよい。
【0091】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的な有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0092】
2:電池パック、10:電池モジュール、12:アウターケース、14:上部ケース、14a:前面、14b1:前方側上面、14b2:後方側上面、15:下部ケース、15a:前面、15b:右側面、15c:後面、15d:左側面、15e:底面、15f:角部、16a:平坦部、16b:突出部、16c:へこみ部、16d:段差部、17a:第1上方延伸面、17b:傾斜面、17c:第2上方延伸面、18:ねじ、19:引っ掛け部、20:スライドレール、20a:基部、20b:上方延伸部、20c:第1右方延伸部、20d:第2右方延伸部、20e:へこみ部、22:端子受入部、22a~22d:端子開口部、23a~23d:電池側へこみ部、24:フック、24a:操作部、24b:突出部、26:通気孔、27:電池側へこみ部、28:ねじ穴、30a~30e:第1突条部、32a:肉厚部、32b:肉薄部、34a~34f:第2突条部、40:通気孔、40a~40j:孔、41:通気孔、41a~41j:孔、42:表示部、42a:残量表示部、42b:ボタン、43c:下端、43h:下端、46:ねじ穴、48:前部リブ、50:前部リブ、50a:溝部、52:前部リブ、54:前部リブ、56:前部リブ、56a:遮光壁部、56b:平坦部、58a~58d:通気孔、60a~60h:側部リブ、62:ねじ穴、64a~64f:第2へこみ部、80:セルケース、80a:前部、80b:後部、80c:肉厚部、80d:上面、80e:右側面、80f:左側面、80g:窪み部、81a:通気孔、81b:通気孔、82:制御基板、83:ねじボス、84:LED基板、84a:LED、84b:スイッチ、84c:下面、85:右セルケース、86:左セルケース、87a~87j:セル保持部、88:連結部、89a:中央側保持部、89b:端面側保持部、90a~90j:電池セル、91:金属部、91a:下端、92a~92k:リード板、93a~93c:側面、93b:側面、93c:側面、94:防水リング、94a:上端、94b:下端、100:締結具、102:端子、104a:電池側負極端子、104b:電池側正極端子、106a~106d:電池側信号端子、110a~110e:第1へこみ部、112:固定部、114:ねじ、116a~116e:突出部、120:信号線、200:電動工具、202:端子保持部、206a~206d:工具側突条部、208a:工具側負極端子、208b:工具側正極端子、210a、210c:工具側信号端子、300:充電器、302:スライドレール、304:ハウジング、306:充電器側突条部、308:通気孔、602:電池パック、612:アウターケース、615:下部ケース、615e:底面、619a、619b:引っ掛け部
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図25A
図25B
図26