(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】電気化学セルとその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20231002BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20231002BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20231002BHJP
H01M 50/555 20210101ALI20231002BHJP
H01M 50/105 20210101ALN20231002BHJP
H01M 50/109 20210101ALN20231002BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/04 W
H01M50/533
H01M50/566
H01M50/555
H01M50/105
H01M50/109
(21)【出願番号】P 2019186941
(22)【出願日】2019-10-10
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 俊二
(72)【発明者】
【氏名】玉地 恒昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 和美
(72)【発明者】
【氏名】木村 長幸
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-129095(JP,A)
【文献】特開2016-076329(JP,A)
【文献】特開2003-123830(JP,A)
【文献】特開2005-310578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/39
H01M50/10-50/198
H01M50/50-50/598
H01G11/00-13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極体と負極体を折り畳みまたは巻回して構成される電極体が、正極側ラミネートフィルムからなる正極側容器と、負極側ラミネートフィルムからなる負極側容器とから構成される外装体に収容され、前記電極体の正極タブが前記正極側容器内の正極側電極板に接続され、前記電極体の負極タブが前記負極側容器内の負極側電極板に接続された電気化学セルであって、
前記正極タブが、前記電極体の側面視一端側から延出されて他端側にかけて延在される第1の正極タブ部と、該第1の正極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の他端側から反対側に向いて延在され前記正極側電極板の内面に接して電気的に接続される第2の正極タブ部からなり、
前記負極タブが、前記電極体の側面視他端側から延出されて一端側にかけて延在される第1の負極タブ部と、該第1の負極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の一端側から反対側に向いて延在され前記負極側電極板の内面に接して電気的に接続される第2の負極タブ部からなり、
前記第2の正極タブ部が前記正極側電極板の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記正極側電極板に接続され、前記第2の負極タブ部が前記負極側電極板の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記負極側電極板に接続されたことを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
正極体と負極体を折り畳みまたは巻回して構成される電極体が金属製の正極側容器と負極側容器から構成される外装体に収容され、前記電極体の正極タブが前記正極側容器に接続され、前記電極体の負極タブが前記負極側容器に接続された電気化学セルであって、
前記正極タブが、前記電極体の側面視一端側から延出されて他端側にかけて延在される第1の正極タブ部と、該第1の正極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の他端側から反対側に向いて延在され前記正極側容器の内面に接して電気的に接続される第2の正極タブ部からなり、
前記負極タブが、前記電極体の側面視他端側から延出されて一端側にかけて延在される第1の負極タブ部と、該第1の負極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の一端側から反対側に向いて延在され前記負極側容器の内面に接して電気的に接続される第2の負極タブ部からなり、
前記第2の正極タブ部が前記正極側容器の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記正極側容器の底板に接続され、前記第2の負極タブ部が前記負極側容器の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記負極側容器の底板に接続されたことを特徴とする電気化学セル。
【請求項3】
前記溶接部の外側であって、前記電極体の外縁よりの位置に前記V型折曲部が形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気化学セル。
【請求項4】
前記第2の正極タブ部が正極側電極板を介し前記正極側容器の底板に接続され、前記第2の負極タブ部が負極側電極板を介し前記負極側容器の底板に接続されたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電気化学セル。
【請求項5】
前記第1の正極タブ部の長さが、前記正極側電極板の中央部または前記正極側容器の中央部から前記V型折曲部までの前記第2の正極タブ部の長さより長いことを特徴とする請求項1
または請求項
4に記載の電気化学セル。
【請求項6】
前記第1の負極タブ部の長さが、前記負極側電極板の中央部または前記負極側容器の中央部から前記V型折曲部までの前記第2の負極タブ部の長さより長いことを特徴とする請求項1
または請求項
4に記載の電気化学セル。
【請求項7】
セパレータ層を介在させて前記正極体と前記負極体を折り畳みまたは巻回して前記電極体が構成されるとともに、前記電極体から前記第1の正極タブ部またはその近傍部分が折り返し延出される折り返し位置に前記セパレータ層の端縁または該端縁固定用部材の端縁が配置されたことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項8】
セパレータ層を介在させて前記正極体と前記負極体を折り畳みまたは巻回して前記電極体が構成されるとともに、前記電極体から前記第1の負極タブ部またはその近傍部分が折り返し延出される折り返し位置に前記セパレータ層の端縁が配置されたことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項9】
前記第1の正極タブ部と前記第1の負極タブ部の少なくとも一方の基端部両側であって、前記タブ部の折り返し位置を挟む位置に、前記正極体の一部または前記負極体の一部を除去した切欠部が形成されたことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項10】
正極体と負極体を折り畳みまたは巻回して構成される電極体を、正極側ラミネートフィルムからなる正極側容器と、負極側ラミネートフィルムからなる負極側容器とから構成される外装体に収容するとともに、前記電極体の正極タブを前記正極側容器内に設けた正極側電極板に接続し、前記電極体の負極タブを前記負極側容器内に設けた負極側電極板に接続する電気化学セルの製造方法であって、
前記電極体の片面一側から延出させた前記正極体の正極タブの先端に正極側電極板を溶接し、前記電極体の他面他側から延出させた前記負極体の負極タブの先端に負極側電極板を溶接し、
正極側と負極側のどちらか一方のラミネートフィルムの一部に形成した凹部の底面に、正極側と負極側のどちらか一方の電極板を前記凹部の開口側から収容して熱溶着し、
正極側と負極側の残り一方のラミネートフィルムを先の電極板熱溶着済みのラミネートフィルムに対向させて配置し、前記残り一方のラミネートフィルムの一部に形成した凹部の底面に、正極側と負極側の残り一方の電極板を前記凹部の開口側から収容して熱溶着し、 これら熱溶着の後に対向する一対のラミネートフィルムの凹部開口側どうしの位置合わせを行い、この後に前記凹部周辺のラミネートフィルムどうしを熱溶着して外装体を構成することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項11】
正極体と負極体を折り畳みまたは巻回して構成される電極体を、金属製の正極側容器と金属製の負極側容器とから構成される外装体に収容するとともに、前記電極体の正極タブを前記正極側容器側に接続し、前記電極体の負極タブを前記負極側容器側に接続する電気化学セルの製造方法であって、
前記電極体の片面一側から一側外方に延出させた前記正極体の正極タブの先端に正極
側電極板を溶接し、前記電極体の他面他側から他側外方に延出させた前記負極体の負極タブの先端に負極側電極板を溶接し、
前記正極側容器の開口部と前記負極側容器の開口部を前記電極体側に向けて、前記正極
側電極板を前記正極側容器の底板内面に、前記負極
側電極板を前記負極側容器の底板内面にそれぞれ接合した後、
対向する前記正極側容器の開口部と前記負極側容器の開口部を接近する方向にスライドさせて容器どうしの位置合わせを行い、この後に正極側容器と負極側容器を接合して外装体を構成することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項12】
正極体と負極体を折り畳みまたは巻回して構成される電極体を、金属製の正極側容器と金属製の負極側容器とから構成される外装体に収容するとともに、前記電極体の正極タブを前記正極側容器に接続し、前記電極体の負極タブを前記負極側容器に接続する電気化学セルの製造方法であって、
前記電極体の片面一側から一側外方に延出させた前記正極体の正極タブの先端に正極側容器底板を溶接し、前記電極体の他面他側から他側外方に延出させた前記負極体の負極タブの先端に負極側容器底板を溶接した後、
対向する前記正極側容器の開口部と前記負極側容器の開口部を接近する方向にスライドさせて容器どうしの位置合わせを行い、この後に正極側容器と負極側容器を接合して外装体を構成することを特徴とする電気化学セルの製造方法。
【請求項13】
前記正極タブを、前記電極体の側面視一端側から延出されて他端側にかけて延在される第1の正極タブ部と、該第1の正極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の他端側から反対側に向いて延在され前記正極側電極板の内面に接して電気的に接続される第2の正極タブ部から構成し、
前記負極タブを、前記電極体の側面視他端側から延出されて一端側にかけて延在される第1の負極タブ部と、該第1の負極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の一端側から反対側に向いて延在され前記負極側電極板の内面に接して電気的に接続される第2の負極タブ部から構成し、
前記第2の正極タブ部を前記正極側電極板の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記正極側電極板に接続し、前記第2の負極タブ部を前記負極側電極板の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記負極側電極板に接続することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項14】
前記正極タブを、前記電極体の側面視一端側から延出されて他端側にかけて延在される第1の正極タブ部と、該第1の正極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の他端側から反対側に向いて延在され前記正極側容器の内面に接して電気的に接続される第2の正極タブ部から構成し、
前記負極タブを、前記電極体の側面視他端側から延出されて一端側にかけて延在される第1の負極タブ部と、該第1の負極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の一端側から反対側に向いて延在され前記負極側容器の内面に接して電気的に接続される第2の負極タブ部から構成し、
前記第2の正極タブ部を前記正極側容器の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記正極側容器に接続し、前記第2の負極タブ部を前記負極側容器の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記負極側容器に接続することを特徴とする請求項12に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項15】
前記溶接部の外側であって、前記電極体の外縁よりの位置に前記V型折曲部を形成することを特徴とする請求項
13または請求項14
に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項16】
前記第1の正極タブ部の長さを、前記正極側電極板の中央
部から前記V型折曲部までの前記第2の正極タブ部の長さより長くすることを特徴とする請求項
13に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項17】
前記第1の正極タブ部の長さを
、前記正極側容器の中央部から前記V型折曲部までの前記第2の正極タブ部の長さより長くすることを特徴とする請求項
14に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項18】
前記第1の負極タブ部の長さを、前記負極側電極板の中央
部から前記V型折曲部までの前記第2の負極タブ部の長さより長くすることを特徴とする請求項
13に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項19】
前記第1の負極タブ部の長さを
、前記負極側容器の中央部から前記V型折曲部までの前記第2の負極タブ部の長さより長くすることを特徴とする請求項
14に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項20】
セパレータ層を介在させて前記正極体と前記負極体を折り畳みまたは巻回して前記電極体を構成するとともに、前記電極体から前記第1の正極タブ部またはその近傍部分が折り返し延出される折り返し位置に前記セパレータ層の端縁を配置することを特徴とする請求項
13~請求項
19のいずれか一項に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項21】
セパレータ層を介在させて前記正極体と前記負極体を折り畳みまたは巻回して前記電極体を構成するとともに、前記電極体から前記第1の負極タブ部またはその近傍部分が折り返し延出される折り返し位置に前記セパレータ層の端縁または該端縁固定用部材の端縁を配置することを特徴とする請求項
13~請求項
20のいずれか一項に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項22】
前記第1の正極タブ部と前記第1の負極タブ部の少なくとも一方の基端部両側であって、前記タブ部の折り返し位置を挟む位置に、前記正極体の一部または前記負極体の一部を除去した切欠部を形成することを特徴とする請求項
13~請求項
21のいずれか一項に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項23】
前記正極側ラミネートフィルムの凹
部を前記電極体の一側外方に延出させた正極側電極板と位置合わせし、前記負極側ラミネートフィルムの凹
部を前記電極体の他側外方に延出させた
負極側電極板と位置合わせするとともに、前記正極側ラミネートフィルムの凹
部と前記正極側電極板との接合と、前記負極側ラミネートフィルムの凹
部と前記負極側電極板との接合を同時に行うことを特徴とする請求項
10に記載の電気化学セルの製造方法。
【請求項24】
前記正極側容器を前記電極体の一側外方に延出させた正極側電極板と位置合わせし
、前記
負極側容器を前記電極体の他側外方に延出させた
負極側電極板と位置合わせするとともに
、前記正極側容器と前記正極側電極板との接合と
、前記負極側容器と前記負極側電極板との接合を同時に行うことを特徴とする請求項
11に記載の電気化学セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解化学セルとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン、ウエアラブル機器、補聴器などの小型機器の電源として、リチウムイオン二次電池、電気化学キャパシタ等の電気化学セルが広く活用されている。
この種の電気化学セルにおいて、電池容量並びに充電電流および放電電流を大きくする観点から、電気化学セル内で対向している電極どうしの面積を可能な限り大きくすることが必要とされている。電気化学セルの構造として、一対の帯状の正極電極と負極電極をセパレータを介し巻回するか、折り畳み構造としてケースに収め、電解液をケースに封入した構造が知られている。
【0003】
例えば、以下の特許文献1には、正極電極および負極電極からなる電極体と、第1のラミネート部材および第2のラミネート部材からなる外装体を備え、外装体の外周部に第1のラミネート部材の外周部と第2のラミネート部材の外周部を折曲して構成した外周壁を有する電池(電気化学セル)が記載されている。
前記外装体は、金属箔と樹脂層の積層型ラミネート部材からなり、第1と第2のラミネート部材の外周壁どうしを折り曲げつつ熱融着することにより封止されているので、体積当たりの容量を高めることができる電池を提供できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている電池100は、
図29、
図30に示すように、それぞれラミネート部材からなる薄型円筒容器状の第1容器101と第2容器102を組み合わせて構成されている。第2容器102の外周壁104は全周に渡り周縁部を断面U字型に折曲され、U字型折曲部分の外周側を取り囲むように第1容器101の円筒状の外周壁103が設けられている。そして、外周壁103と外周壁104の重ね合わせ部分が熱融着されている。
また、第1容器101の底板中央部の透孔内に円板状の負極端子板105が配置され、第2容器102の天板中央部の透孔内に円板状の正極端子板106が配置されている。負極端子板105の内側には負極側シーラントリング107が配置され、正極端子板106の内側には正極側シーラントリング108が配置されている。
【0006】
第1容器101と第2容器102の内部側であって、これらシーラントリング107、108の間に電極体110が収容されている。
電極体110は、帯状の負極体と正極体を巻回するか折り畳み積層して構成され、例えば
図30に示すように電極体110の下部側に負極電極111が配置され、上部側に正極電極112が配置されている。
【0007】
図29、
図30に示す構成の電池100を製造するには、例えば、ラミネート構造の
図31に示す円板状の第1容器素材115とラミネート構造のハット状の第2容器素材116を用意する。第2容器素材116の突部117の内側に電極体110を収容し、各電極を接続し、電解液を注入後、第2容器素材116の外周部116aと第1容器素材115の外周部115aを重ね合わせて熱溶着などの接合方法で接合し、
図31に示す接合体118とする。
次に、
図32に示すように下型121と上型122からなる金型120とパンチ123を用意する。下型121の中央部と上型122の中央部には接合体118の突部117を遊挿可能な成型孔121a、122aが形成されており、下型121と上型122の間に接合体118の外周部を挟持することができる。
【0008】
また、パンチ123の上端部に円環壁からなる成形突部124が設けられており、下型121と上型122の間に接合体118の外周部を挟持した状態でパンチ123を
図32に示す位置から上昇させることができる。
図33に示すように成形突部126を成型孔121aから122aまで上昇させると、接合体118の外周部を成形突部124で逆U字状に加工しつつ接合体118の外周縁部から切断することができ、このプレス加工によって
図29、
図30に示す電池100を得ることができる。
【0009】
以上説明のように、ラミネート構造の第1容器素材115と第2容器素材116の間に電極体110を収容し、第1容器素材115と第2容器素材116の外周部を加工することにより
図29、
図30に示す構造の電池100を製造することができる。
【0010】
しかし、
図29、
図30に示す構造の電池100を大量生産する工程について詳細に検討すると、ラミネートフィルムからなる第1容器素材115と第2容器素材116の間に電極体110を収容し、電極体110の正極側の電極端子と負極側の電極端子を負極端子板105と正極端子板106に接続する作業が容易ではないと考えられる。
【0011】
まず、
図31に示す接合体118を形成する場合、一例として、
図34に示す金属箔を樹脂層で覆ったラミネート構造の第1の積層フィルム125と第2の積層フィルム126を用意し、第1の積層フィルム125の一部と第2の積層フィルム126の一部に電池100の外径に相当する大きさであって、小さな透孔付きの凹部125a、126aをプレス加工で形成する。
【0012】
次に、
図35に示すように、凹部125aの内側に絶縁体からなるリング状のシーラントフィルム128と電極端子板129と短冊状の金属箔130を配置し、これらを加圧しながら加熱して熱溶着する。また、
図35に示すように、凹部126aの内側に絶縁体からなるリング状のシーラントフィルム132と電極端子板133と短冊状の金属箔134を配置し、これらを加圧しながら加熱して熱溶着する。
【0013】
次に、
図36に示すように、電極体135の正極端子135aを引き出し、超音波溶接する。超音波溶接機はアンビルと称される基台136とその上方に上下移動自在に設けられたホーンと称される共振体137を有している。
このため、基台136と共振体137の間に被溶接部材を配置する必要があり、
図36に示すように基台136と共振体137の左側に沿うように第1の積層フィルム125を立てかけ、金属箔130の先端部を基台136と共振体137の間の空間に水平向きに延在させる。また、電極体135から正極端子135aを引き出して金属箔130の先端部に重ねる。この重ね合わせ部分を基台136と共振体137の間に間に挟んで超音波溶接することで金属箔130と正極端子135aを接合できるので、
図37に示すように金属箔130と正極端子135aを凹部125a内に収容することができ、正極端子135aの接続が完成する。
【0014】
次に、超音波溶接機を用いて負極端子135bを溶接するには、
図38に示すように、第2の積層フィルム126を基台136と共振体137の左側に沿うように立てかけ、金属箔134の先端を基台136と共振体137の間に水平に延在させるとともに、この金属箔134の先端に重なるように電極体135の負極端子135bを配置する必要がある。
【0015】
ここで、この種の小型の電気化学セル100にあっては、高容量を確保するために内部に配する電極端子をできる限り短く形成し、電極体135の体積を少しでも大きく確保する必要がある。従って、負極端子135bを必要以上に長くは形成できないため、負極端子135bを正極端子135aと同程度の長さに形成する。
このため、負極端子135bのみを金属箔134まで接近させようとしても負極端子135bが金属箔134の先端に届かない。このことから、現状では
図38に示すように巻回するか折り畳んで構成されている電極体135の一部をほぐして繰り出し、負極端子135bを金属箔134の先端に到達させて重ね合わせてから超音波溶接する必要がある。
【0016】
負極端子135bの超音波溶接が終了すると、
図39に示すように正極端子135aが第1の積層フィルム125側に、負極端子135bが第2の積層フィルム126側にそれぞれ接続される。この後、第1の積層フィルム125と第2の積層フィルム126を重ねて凹部125a、126aを位置合わせし、これら凹部間に電解液を注入し、第1の積層フィルム125と第2の積層フィルム126を熱溶着すると、
図31に示す接合体118と類似構造となる。以下、
図32と
図33を基に先に説明した方法により金型123とパンチ125を用いてプレス加工を行うと、
図29、
図30に示す電池100と類似構造の電池を得ることができる。
なお、
図39では第1の積層フィルム125と第2の積層フィルム126の両方に凹部を形成した構成について示しているが、どちらか一方のフィルムにのみ凹部を形成し、他方のフィルムは平面状のフィルムのまま加工すると、
図31に示す接合体118を得ることができる。
【0017】
以上説明した製造工程を経ることにより、電池100あるいは類似構造の電池を製造することができる。
しかし、先に説明した製造方法においては、
図36~
図39を基に説明した製造工程において、正極端子135aを接合後、電極体135の一部をほぐして負極端子135bを繰り出してから端子を接合する必要がある。即ち、電極接続のために、繰り出し作業が必要であり、加えて、第1の積層フィルム125と第2の積層フィルム126を縦向きに、あるいは、横向きに方向変換し、基台136や共振体137との干渉を防ぎつつ超音波溶接する必要があるなど、極めて煩雑な工程を経なくては電極接続ができない問題がある。
また、電極接続の容易化のために正極端子135aと負極端子135bを長く形成すると薄型の電池100の体積に占める端子部分の体積が増加するので、電池100が必要以上に厚くなる問題がある。なお、電池100の厚みを同等にすると、必要な電池容量を確保できなくなるおそれがある。
【0018】
本発明は、以上説明のような従来の実情に鑑みなされたものであり、ラミネートフィルム間に介在される電極体の正極端子と負極端子を従来よりも簡単な工程で正極端子と負極端子に接続することが可能な構造の電気化学セルとその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(1)本発明に係る電気化学セルは、正極体と負極体を折り畳みまたは巻回して構成される電極体が、正極側ラミネートフィルムからなる正極側容器と、負極側ラミネートフィルムからなる負極側容器とから構成される外装体に収容され、前記電極体の正極タブが前記正極側容器内の正極側電極板に接続され、前記電極体の負極タブが前記負極側容器内の負極側電極板に接続された電気化学セルであって、前記正極タブが、前記電極体の側面視一端側から延出されて他端側にかけて延在される第1の正極タブ部と、該第1の正極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の他端側から反対側に向いて延在され前記正極側電極板の内面に接して電気的に接続される第2の正極タブ部からなり、前記負極タブが、前記電極体の側面視他端側から延出されて一端側にかけて延在される第1の負極タブ部と、該第1の負極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の一端側から反対側に向いて延在され前記負極側電極板の内面に接して電気的に接続される第2の負極タブ部からなり、前記第2の正極タブ部が前記正極側電極板の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記正極側電極板に接続され、前記第2の負極タブ部が前記負極側電極板の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記負極側電極板に接続されたことを特徴とする。
【0020】
(2)本発明に係る電気化学セルは、正極体と負極体を折り畳みまたは巻回して構成される電極体が金属製の正極側容器と負極側容器から構成される外装体に収容され、前記電極体の正極タブが前記正極側容器に接続され、前記電極体の負極タブが前記負極側容器に接続された電気化学セルであって、前記正極タブが、前記電極体の側面視一端側から延出されて他端側にかけて延在される第1の正極タブ部と、該第1の正極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の他端側から反対側に向いて延在され前記正極側容器の内面に接して電気的に接続される第2の正極タブ部からなり、前記負極タブが、前記電極体の側面視他端側から延出されて一端側にかけて延在される第1の負極タブ部と、該第1の負極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の一端側から反対側に向いて延在され前記負極側容器の内面に接して電気的に接続される第2の負極タブ部からなり、前記第2の正極タブ部が前記正極側容器の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記正極側容器底板に接続され、前記第2の負極タブ部が前記負極側容器の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記負極側容器底板に接続されたことを特徴とする。
【0021】
前述の構造であるならば、負極タブ先端を負極側電極板または負極側容器底板に、正極タブ先端を正極側電極板または正極側容器底板に接続し、負極側容器と正極側容器を接近する方向にスライドさせて両者を位置合わせて接合し、外装体を構成できる。このため、正極タブと負極タブを不要に長くしなくても電極板の接合と容器への電極体の収容が可能となり、電池構造の高密度化と製造工程の簡略化を実現できる。
また、従来構造では、負極側電極板または負極側容器と、正極側電極板または正極側容器のどちらかが邪魔となり、溶接機と干渉するため、電極タブを長くするか、電極タブに接続した容器あるいは容器の基となるラミネートフィルムを溶接機と干渉しないように種々の方向や位置に変更しながら接合する必要があった。本願構造では負極側容器と正極側容器を位置ずれするように配置しておき、負極側容器と正極側容器を位置ずれした状態で電極板を容器に接合後、容器のスライド移動により容器どうしを接合できる。このため、本願構造を採用することにより、製造工程の簡略化を従来構造より確実になし得る電気化学セルを提供できる。
【0022】
(3)本発明の一形態に係る電気化学セルにおいて、前記溶接部の外側であって、前記電極体の外縁よりの位置に前記V型折曲部が形成されたことが好ましい。
【0023】
溶接部において第2の正極タブ部または第2の負極タブ部は電極板または容器底板に固定されているので、溶接部を起点としてそれに隣接する位置で第2の正極タブ部または第2の負極タブ部をV型に確実に折り曲げることができ、これにより正極タブまたは負極タブを規定の位置でZ型に折り曲げることができ、電極体を容器内に確実に収容できる。
【0024】
(4)本発明の一形態に係る電気化学セルにおいて、前記第2の正極タブ部が正極側電極板を介し前記正極側容器の底板に接続され、前記第2の負極タブ部が負極側電極板を介し前記負極側容器の底板に接続されたことが好ましい。
【0025】
(5)本発明の一形態に係る電気化学セルにおいて、前記第1の正極タブ部の長さが、前記正極側電極板の中央部または前記正極側容器の中央部から前記V型折曲部までの前記第2の正極タブ部の長さより長いことが好ましい。
【0026】
(6)本発明の一形態に係る電気化学セルにおいて、前記第1の負極タブ部の長さが、前記負極側電極板の中央部または前記負極側容器の中央部から前記V型折曲部までの前記第2の負極タブ部の長さより長いことが好ましい。
【0027】
第1の正極タブ部あるいは第1の負極タブ部とV型折曲部までの長さを電極板中央部あるいは負極側容器の中央部から前記V型折曲部までの第2の正極タブ部あるいは第2の負極タブ部の長さより長くすることで、電極体を凹部内あるいは容器内に確実に収容することができる構造を提供できる。また、折り曲げた正極タブまたは負極タブを目的に位置に確実に配置した構造を提供できる。
【0028】
(7)本発明の一形態に係る電気化学セルにおいて、セパレータ層を介在させて前記正極体と前記負極体を折り畳みまたは巻回して前記電極体が構成されるとともに、前記電極体から前記第1の正極タブ部またはその近傍部分が折り返し延出される折り返し位置に前記セパレータ層の端縁または該端縁固定用部材の端縁が配置されたことが好ましい。
【0029】
(8)本発明の一形態に係る電気化学セルにおいて、セパレータ層を介在させて前記正極体と前記負極体を折り畳みまたは巻回して前記電極体が構成されるとともに、前記電極体から前記第1の負極タブ部またはその近傍部分が折り返し延出される折り返し位置に前記セパレータ層の端縁が配置されたことが好ましい。
【0030】
セパレータ層の端縁を第1の正極タブ部の折り返し位置近傍に、あるいは、第1の負極タブ部の折り返し位置近傍に配置することで、セパレータ層の端縁を起点として第1の正極タブ部の折り返し位置、あるいは、第1の負極タブ部の折り返し位置を正確に位置決めできる。
【0031】
(9)本発明の一形態に係る電気化学セルは、前記第1の正極タブ部と前記第1の負極タブ部の少なくとも一方の基端部両側であって、前記タブ部の折り返し位置を挟む位置に、前記正極体の一部または前記負極体の一部を除去した切欠部が形成されたことが好ましい。
【0032】
第1の正極タブ部あるいは第1の負極タブ部の基端部両側に切欠部を設けることで、切欠部の間に存在する正極タブの基端部から、あるいは、負極タブの基端部から確実に電極タブの折り曲げができる構造を提供できる。
【0033】
(10)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法は、正極体と負極体を折り畳みまたは巻回して構成される電極体を、正極側ラミネートフィルムからなる正極側容器と、負極側ラミネートフィルムからなる負極側容器とから構成される外装体に収容するとともに、前記電極体の正極タブを前記正極側容器内に設けた正極側電極板に接続し、前記電極体の負極タブを前記負極側容器内に設けた負極側電極板に接続する電気化学セルの製造方法であって、前記電極体の片面一側から延出させた前記正極体の正極タブの先端に正極側電極板を溶接し、前記電極体の他面他側から延出させた前記負極体の負極タブの先端に負極側電極板を溶接し、正極側と負極側のどちらか一方のラミネートフィルムの一部に形成した凹部の底面に、正極側と負極側のどちらか一方の電極板を前記凹部の開口側から収容して熱溶着し、正極側と負極側の残り一方のラミネートフィルムを先の電極板熱溶着済みのラミネートフィルムに対向させて配置し、前記残り一方のラミネートフィルムの一部に形成した凹部の底面に、正極側と負極側の残り一方の電極板を前記凹部の開口側から収容して熱溶着し、これら熱溶着の後に対向する一対のラミネートフィルムの凹部開口側どうしの位置合わせを行い、この後に前記凹部周辺のラミネートフィルムどうしを熱溶着して外装体を構成することを特徴とする。
【0034】
(11)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法は、
正極体と負極体を折り畳みまたは巻回して構成される電極体を、金属製の正極側容器と金属製の負極側容器とから構成される外装体に収容するとともに、前記電極体の正極タブを前記正極側容器側に接続し、前記電極体の負極タブを前記負極側容器側に接続する電気化学セルの製造方法であって、前記電極体の片面一側から一側外方に延出させた前記正極体の正極タブの先端に正極側電極板を溶接し、前記電極体の他面他側から他側外方に延出させた前記負極体の負極タブの先端に負極側電極板を溶接し、前記正極側容器の開口部と前記負極側容器の開口部を前記電極体側に向けて、前記正極側電極板を前記正極側容器の底板内面に、前記負極側電極板を前記負極側容器の底板内面にそれぞれ接合した後、対向する前記正極側容器の開口部と前記負極側容器の開口部を接近する方向にスライドさせて容器どうしの位置合わせを行い、この後に正極側容器と負極側容器を接合して外装体を構成することを特徴とする。
【0035】
(12)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法は、正極体と負極体を折り畳みまたは巻回して構成される電極体を、金属製の正極側容器と金属製の負極側容器とから構成される外装体に収容するとともに、前記電極体の正極タブを前記正極側容器に接続し、前記電極体の負極タブを前記負極側容器に接続する電気化学セルの製造方法であって、
前記電極体の片面一側から一側外方に延出させた前記正極体の正極タブの先端に正極側容器底板を溶接し、前記電極体の他面他側から他側外方に延出させた前記負極体の負極タブの先端に負極側容器底板を溶接した後、対向する前記正極側容器の開口部と前記負極側容器の開口部を接近する方向にスライドさせて容器どうしの位置合わせを行い、この後に正極側容器と負極側容器を接合して外装体を構成することを特徴とする。
【0036】
(13)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法は、前記正極タブを、前記電極体の側面視一端側から延出されて他端側にかけて延在される第1の正極タブ部と、該第1の正極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の他端側から反対側に向いて延在され前記正極側電極板の内面に接して電気的に接続される第2の正極タブ部から構成し、前記負極タブを、前記電極体の側面視他端側から延出されて一端側にかけて延在される第1の負極タブ部と、該第1の負極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の一端側から反対側に向いて延在され前記負極側電極板の内面に接して電気的に接続される第2の負極タブ部から構成し、前記第2の正極タブ部を前記正極側電極板の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記正極側電極板に接続し、前記第2の負極タブ部を前記負極側電極板の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記負極側電極板に接続することを特徴とする。
【0037】
(14)前記正極タブを、前記電極体の側面視一端側から延出されて他端側にかけて延在される第1の正極タブ部と、該第1の正極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の他端側から反対側に向いて延在され前記正極側容器の内面に接して電気的に接続される第2の正極タブ部から構成し、前記負極タブを、前記電極体の側面視他端側から延出されて一端側にかけて延在される第1の負極タブ部と、該第1の負極タブ部に対しV型折曲部を介し前記電極体の一端側から反対側に向いて延在され前記負極側容器の内面に接して電気的に接続される第2の負極タブ部から構成し、前記第2の正極タブ部を前記正極側容器の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記正極側容器に接続し、前記第2の負極タブ部を前記負極側容器の中央部とV型折曲部との中間位置に形成された溶接部により前記負極側容器に接続することを特徴とする。
【0038】
(15)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法において、前記溶接部の外側であって、前記電極体の外縁よりの位置に前記V型折曲部を形成することが好ましい。
【0039】
(16)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法において、前記第1の正極タブ部の長さを、前記正極側電極板の中央部から前記V型折曲部までの前記第2の正極タブ部の長さより長くすることを特徴とすることが好ましい。
(17)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法において、前記第1の正極タブ部の長さを、前記正極側容器の中央部から前記V型折曲部までの前記第2の正極タブ部の長さより長くすることが好ましい。
【0040】
(18)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法において、前記第1の負極タブ部の長さを、前記負極側電極板の中央部から前記V型折曲部までの前記第2の負極タブ部の長さより長くすることを特徴とすることが好ましい。
(19)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法において、前記第1の負極タブ部の長さを、前記負極側容器の中央部から前記V型折曲部までの前記第2の負極タブ部の長さより長くすることが好ましい。
【0041】
(20)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法において、セパレータ層を介在させて前記正極体と前記負極体を折り畳みまたは巻回して前記電極体を構成するとともに、前記電極体から前記第1の正極タブ部またはその近傍部分が折り返し延出される折り返し位置に前記セパレータ層の端縁を配置することが好ましい。
【0042】
(21)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法において、セパレータ層を介在させて前記正極体と前記負極体を折り畳みまたは巻回して前記電極体を構成するとともに、前記電極体から前記第1の負極タブ部またはその近傍部分が折り返し延出される折り返し位置に前記セパレータ層の端縁または該端縁固定用部材の端縁を配置することが好ましい。
【0043】
(22)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法において、前記第1の正極タブ部と前記第1の負極タブ部の少なくとも一方の基端部両側であって、前記タブ部の折り返し位置を挟む位置に、前記正極体の一部または前記負極体の一部を除去した切欠部を形成することが好ましい。
【0044】
(23)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法において、前記正極側ラミネートフィルムの凹部を前記電極体の一側外方に延出させた正極側電極板と位置合わせし、前記負極側ラミネートフィルムの凹部を前記電極体の他側外方に延出させた負極側電極板と位置合わせするとともに、前記正極側ラミネートフィルムの凹部と前記正極側電極板との接合と、前記負極側ラミネートフィルムの凹部と前記負極側電極板との接合を同時に行うことが好ましい。
(24)本発明に係る一形態の電気化学セルの製造方法において、前記正極側容器を前記電極体の一側外方に延出させた正極側電極板と位置合わせし、前記負極側容器を前記電極体の他側外方に延出させた負極側電極板と位置合わせするとともに、前記正極側容器と前記正極側電極板との接合と、前記負極側容器と前記負極側電極板との接合を同時に行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係る電気化学セルであるならば、正極タブに正極側電極板を接続し、負極タブに負極側電極板を接続し、電極体の一側と他側の正極タブと負極タブをそれぞれV型折曲部の向きを変えて負極側容器と正極側容器の内部に収容した構造を有する。この構造であるならば、電極体の一側に延ばした負極タブ先端の負極側電極板を負極側容器に、他側に延ばした正極タブ先端の正極側電極板を正極側容器に接続し、負極側容器と正極側容器を接近する方向にスライドさせて両者を位置合わせて接合し、外装体を構成することができる。本願構造により、この接合方法を利用して電気化学セルを製造できるため、正極タブと負極タブを不要に長くしなくても電極板の接合と容器への電極体の収容ができるようになり、電池構造の高密度化と製造工程の簡略化を実現できる。
また、従来構造では、負極側容器または負極側電極板と、正極側容器または正極側電極板のどちらかが邪魔となり、溶接機と干渉するため、電極タブを長くするか、電極タブに接続した容器あるいは容器の基となるラミネートフィルムを溶接機と干渉しないように種々の方向や位置に変更しながら接合する必要があった。このため、本願構造を採用することにより、製造工程の簡略化を従来構造より確実になし得る電気化学セルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】第1実施形態に係る電気化学セルの外観を示す斜視図である。
【
図2】同電気化学セルの内部構造を示す部分断面斜視図である。
【
図3】同電気化学セルに収容される電極体の一例を示す斜視図である。
【
図4】同電極体に電極板を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図5】電極板を備えた電極体の負極側電極板を負極側ラミネートフィルムの凹部に収容して熱溶着する状態を示す断面図である。
【
図6】電極板を備えた電極体の正極側電極板を正極側ラミネートフィルムの凹部に収容して熱溶着する状態を示す断面図である。
【
図7】負極側ラミネートフィルムの凹部と正極側ラミネートフィルムの凹部の間に電極体を収容した状態を示す部分断面図である。
【
図8】電極体の正極タブに対し正極側電極板を超音波溶接により接合した状態を示す平面図である。
【
図9】電極体の負極タブに対し負極側電極板を超音波溶接により接合した状態を示す平面図である。
【
図10】負極側のラミネートフィルムに対し正極側のラミネートフィルムをスライドさせて両方のラミネートフィルムの凹部を位置合わせする状態について示す説明図である。
【
図11】正極側ラミネートフィルムの凹部に電極体と正極側電極板を収容する場合に第1の正極タブ部と第2の正極タブ部の位置関係を示す部分断面図である。
【
図12】正極側ラミネートフィルムの凹部に電極体と正極側電極板を収容する場合に第1の正極タブ部と第2の正極タブ部との長さ関係の一例を示す部分断面図である。
【
図13】正極側ラミネートフィルムの凹部に電極体と正極側電極板を収容する場合に第1の正極タブ部と第2の正極タブ部との長さ関係の他の例を示す部分断面図である。
【
図14】第1実施形態に係る正極タブの基端側と電極タブの位置関係を示す説明図である。
【
図15】変形例に係る正極タブの基端側と電極体との位置関係を示す説明図である。
【
図16】電極体を収容して重ねた正極側ラミネートフィルムと負極側のラミネートフィルムに対し3辺に沿う部分を熱溶着によりシールした状態を示す平面図である。
【
図17】電極体を収容して重ねた正極側ラミネートフィルムと負極側のラミネートフィルム間に電解液を注入し、4辺全周を熱溶着によりシールした状態を示す平面図である。
【
図18】正極側と負極側のラミネートフィルムにおいて電極体を収容した部分の周囲を超音波溶接機でリング状に溶着した状態を示す平面図である。
【
図19】
図18に示すラミネートフィルムから切り出して得た接合体を示す平面図である。
【
図20】凹部に電極体を収容した他の形状のラミネートフィルムどうしをスライドさせて凹部どうしの位置合わせを行う場合の他の例を示す図であり、(a)はラミネートフィルムどうしの位置関係を示す平面図、(b)は電極体と電極タブおよび凹部どうしの位置関係を示す平面図である。
【
図21】
図20に示すラミネートフィルムを用いて電極体をラミネートフィルムの凹部に収容する工程について示すもので、(a)は電極体の正極側と負極側の両方にラミネートフィルムを配置した状態を示す部分断面図、(b)はラミネートフィルムどうしをスライドさせて位置合わせした凹部内に電極体を収容した状態を示す部分断面図である。
【
図22】金属製の正極容器と負極容器に対し電極板を備えた電極体を接合する工程について示す部分断面図である。
【
図23】
図22に示す状態から正極側容器と負極側容器をスライドさせて両者を位置合わせした状態を示す部分断面図。
【
図24】
図23に示す状態から正極側容器と負極側容器を接合して電気化学セルを構成した状態を示す部分断面図である。
【
図25】正極タブと負極タブを90°異なる向きに設けた電極体の一例を示す斜視図。
【
図26】電極体の正極タブと負極タブを90°異なる向きに向けた電極体の場合に正極側容器と負極側容器をスライドさせる方向について示す説明図である。
【
図27】他の形態に係るレーストラック形状の電気化学セルの内部構造について示すもので、(a)は内部構造を示す分解斜視図、(b)は電極体のタブに電極板を接合した状態を示す斜視図である。
【
図28】
図27に示すレーストラック形状の電気化学セルを製造する工程の一例を示すもので、(a)は正極体と負極体を巻回する工程を示す斜視図、(b)は電極体の位置を示す斜視図、(c)は電極体に電極板を溶接した状態を示す斜視図、(d)は凹部を形成した正極側と負極側のラミネートフィルムの間に電極板を備えた電極体を配置した状態を示す斜視図、(e)は正極側と負極側のラミネートフィルムを重ね合わせて接合した状態を示す斜視図、(f)はラミネートフィルムから接合体を切り出した状態を示す斜視図、(g)は接合体の外周壁をプレス加工した状態を示す斜視図、(h)は製造された電気化学セルの拡大図である。
【
図29】第1容器と第2容器の周壁を重ねて溶着した外周壁を有する従来の電気化学セルの一例を示す斜視図である。
【
図31】
図29、
図30に示す電気化学セルを製造する場合に用いる接合体の一例を示す斜視図である。
【
図32】
図29、
図30に示す電気化学セルを製造する場合に行う絞り加工の初期段階を示す部分断面図である。
【
図33】
図29、
図30に示す電気化学セルを製造する場合に行う絞り加工の終了段階を示す部分断面図である。
【
図34】
図29、
図30に示す電気化学セルを製造する場合に用いる正極側と負極側のラミネートフィルムに凹部を形成した状態を示す平面図である。
【
図35】同正極側と負極側のフィルムの凹部にシーラントフィルムと電極端子板と短冊状の金属箔を熱溶着した状態を示す平面図である。
【
図36】超音波溶接機の架台と共振体の間に第1の積層フィルムから延在する金属箔の先端部と電極体から延在する正極端子を配置した状態を示す説明図である。
【
図37】第1の積層フィルムの凹部に電極体の正極端子を接合した状態を示す説明図である。
【
図38】架台と共振体の間に第2の積層フィルムから延在する金属箔の先端部と電極体の繰り出し部から延在させた負極端子を配置した状態を示す説明図である。
【
図39】第1の積層フィルムの凹部と第2の積層フィルムの凹部間に電極体を収容した状態を示す説明図である。
【
図40】金属製の正極容器と負極容器に対し電極体を接合する工程について示す部分断面図である。
【
図41】
図22に示す状態から正極側容器と負極側容器をスライドさせて両者を位置合わせした状態を示す部分断面図。
【
図42】
図23に示す状態から正極側容器と負極側容器を接合して電気化学セルを構成した状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明に係る電極の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、電気化学セルの一例として、コイン型のリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」という。)を挙げ、この電池に搭載される電極について説明する。
なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0048】
<第1実施形態>
図1は本発明に係る電解化学セルを二次電池に適用した第1実施形態を示す斜視図、
図2は部分断面図である。
本実施形態の電池(電気化学セル)1は、平面視円形状のボタン型の電池である。この電池1は、容器状の外装体2と外装体2の内部に収容された電極体3を備えている。なお、
図2では略されているが、外装体2の内部に電解液が充填されている。この電解液は支持塩を非水溶媒に溶解した電解液などが好適に用いられる。
【0049】
(外装体)
外装体2は、電極体3を収容する収容部4と、収容部4の外周に沿って折り曲げられた封止部5と、を備える。封止部5は、例えば絞り成形によって、収容部4の外周に沿って折り曲げられて形成されている。
外装体2は、電極体3を間に挟む第1容器(外側容器)10および第2容器(内側容器)20を備える。第1容器10および第2容器20は、それぞれラミネートフィルム(ラミネート構造体)により形成されている。ラミネートフィルムは、金属箔(金属層)と、重ね合わせ面(内側面)に設けられ金属箔を被覆する融着層(樹脂層)と、外側面に設けられ金属箔を被覆する保護層(樹脂層)とを有する。金属層は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等からなり、外気や水蒸気を遮断する金属箔により形成されている。
重ね合わせ面の融着層は、例えば、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂の単体やコポリマーから形成されている。外側面の保護層は、例えば、上述のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等から形成される。
【0050】
第1容器(負極側容器;外側容器)10は、円形状の第1底壁部11と、第1底壁部11の外周から筒状に延びる第1周壁部12を備える。第1底壁部11の中心には第1底壁部11の内径の数分の一程度の内径を有する第1貫通孔13が形成されている。
第1底壁部11の内面には、第1シーラントリング14を介してニッケルプレートあるいは銅板にニッケルメッキを施した金属プレートなどの負極側電極板15が熱融着されている。第1シーラントリング14は、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を用いて形成された、シーラントフィルムをリング状に成形したものである。
【0051】
負極側電極板15の内面は、電極体3の後述する負極タブ35(
図3参照)に接続されている。負極側電極板15は、第1貫通孔13を介して外部に露出され、電池1の負極端子として機能する。
【0052】
第2容器(正極側容器:内側容器)20は、円形状の第2底壁部21と、第2底壁部21の外周縁から筒状に延びる第2周壁部22と、第2周壁部22の開口縁から第2周壁部22の外側に向けて断面U字状になるように折り曲げられて第2底壁部21側に延びる折曲部23を備えている。
第2底壁部21は、電極体3を挟んで第1容器10の第1底壁部11と反対側に配置されている。第2底壁部21は、第1容器10の第1底壁部11と同等の外径に形成されている。第2底壁部21の中心には、第2底壁部21の内径の数分の一程度の内径を有する第2貫通孔24が形成されている。
【0053】
第2底壁部21の内面には、第2シーラントリング25を介して正極側電極板16が熱融着されている。正極側電極板16の外面の中央には、ニッケルプレート、Auメッキプレートなどの金属プレート26が溶接されている。正極側電極板16をニッケルまたはニッケル合金製とするならば、金属プレート26は省略してもよい。第2シーラントリング25は、第1シーラントリング14と同様に、熱可塑性樹脂により形成されている。
正極側電極板16の内面は、電極体2の後述する正極タブ45(
図3参照)に接続されている。正極側電極板16はSUS316などのステンレス鋼板からなり、第2貫通孔24を介し外部に露出され、電池1の正極端子として機能する。
【0054】
第2周壁部22は、第2底壁部21の外周から第1容器10の第1底壁部11に向けて筒状に延びている。第2周壁部22は、収容部4の外周を形成する。折曲壁23は、第2周壁部22のうち、第1底壁部11側の端部から第2周壁部22に沿って第2底壁部21側へ筒状になるように折り曲げられている。折曲壁23は、第2周壁部22に対して外側に間隔をおいて配置されている。
第2周壁部22は、第1周壁部12の内側に配置されている。また、折曲壁23は、第1周壁部12の内側に配置され、折曲壁23の融着層と第1周壁部12の融着層とが熱融着されている。
【0055】
折曲壁23の融着層と第1周壁部12の融着層とが融着されることにより、封止部5が形成されている。よって、収容部4の外周が封止部5で封止されている。以上の構造により、第1容器10および第2容器20が重ね合わされて接合され、外装体2が形成されている。封止部5は、収容部4の外側に筒状に形成されている。
収容部4には、第1容器10と第2容器20とが重ね合されることにより密封空間が形成されている。具体的に、収容部4は、第1底壁部11、第2底壁部21、および第2周壁部22により画成され、平面視で円形に形成されている。
【0056】
(電極体)
図3は、電極体3を示す斜視図であり、この電極体3は、負極側セパレータ層36で被覆された負極体30と正極側セパレータ層46で被覆された正極体40からなる。
電極体3は、負極体30および正極体40を互い違いに積層するように巻回された電極体である。具体的に、電極体3は、セパレータ層36を介して負極体30と正極体40とを重ね合わせて扁平状に巻回することにより形成されている。負極体30の負極タブ35は、上述の負極側電極板15に接続され、正極体40の正極タブ45は、上述の正極側電極板16に接続される。
なお、本実施形態において、負極タブ35が負極側電極板16に接続される部分と正極タブ45が正極側電極板15に接続される部分の構造は特別な構造とされているが、この構造の詳細については後に説明する。
【0057】
負極側セパレータ層36は負極体30において負極タブ35とその基端側の周囲部分を除き、残り全体を覆うように形成されている。正極側セパレータ層46は正極体40において正極タブ45とその基端側周囲部分を除き、残り全体を覆うように形成されている。
このため、セパレータ層36、46は、負極体30と正極体40を巻回した状態において負極体30および正極体40の周囲およびこれらの層間に配置され、負極体30と正極体40とが絶縁分離される。なお、
図3においては層厚を無視してセパレータ層36、46の存在位置のみを表示しているが、セパレータ36、46は少なくとも負極体30と正極体40とが対向する領域の全体で負極体30と正極体40との間に介在するように、かつ、負極側セパレータ層36が負極体30を覆うように、正極側セパレータ層46が正極体40を覆うように配置されている。
以下、負極体30および正極体40が巻回されて積層された方向を積層方向と称する。なお、巻回とは、特定の巻回中心軸の周囲を周回するように巻かれることである。
【0058】
負極体30は、金属材料により形成された箔状の負極集電体と、負極集電体の片面または両面に塗工された負極活物質層とを備えたシート状の部材である。負極集電体は、例えば銅やニッケル等の金属箔により形成されている。金属箔の厚さは一例として数μm程度である。負極活物質は、例えば、シリコンやシリコン酸化物、グラファイト、ハードカーボン、チタン酸リチウム等の単体又は混合物である。負極集電体は円形状の複数の負極本体と隣接する負極本体を接続する帯状の接続部とからなり、配列方向一端の負極集電体の外周部から負極タブが延出されている。
【0059】
負極活物質層の形成材料として、負極活物質に加え、導電助剤(例えば、アセチレンブラック等)、バインダ(例えば、ポリフッ化ビニリデンやスチレンブタジエンゴム(SBR)のディスパージョン等)、増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等)、溶剤(例えば、水、N-メチルピロリドン等の任意の溶媒)を混合して負極用スラリーを作製することができる。負極活物質層を形成するための構成材料を含む塗布液を「負極用スラリー」ということができる。この負極用スラリーを負極側集電体に塗布し、乾燥させることにより負極活物質層を形成できる。
【0060】
正極体40は、金属材料により形成された箔状の正極集電体と、正極集電体の片面または両面に塗工された正極活物質層と、を備えた1枚のシート状の部材である。正極集電体は、例えばアルミニウムやステンレス等の金属箔により形成されている。金属箔の厚さは一例として10数μm程度である。正極活物質は、例えば、コバルト酸リチウムやチタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のように、リチウムと遷移金属とを含む複合酸化物である。正極集電体は円形状の複数の正極本体と隣接する正極本体を接続する帯状の接続部とからなり、配列方向一端の正極集電体の外周部から正極タブが延出されている。
【0061】
正極活物質層の形成材料として、上述の正極活物質に加え、導電助剤(例えば、アセチレンブラック等)、バインダ(例えば、ポリフッ化ビニリデン等)、溶剤(例えばN-メチルピロリドン等の任意の溶媒)を混合して正極用スラリーを作製することができる。正極活物質層を形成するための構成材料を含む塗布液を「正極用スラリー」ということができる。この正極用スラリーを正極側集電体に塗布し、乾燥させることにより正極活物質層を形成できる。
【0062】
セパレータ層36、46は、一例としてリチウムイオン導電性を有する樹脂層である。
セパレータ層36、46は、例えばポリオレフィン製の樹脂ポーラスフィルムやガラス製不織布、樹脂製不織布、セルロース繊維の積層体等により形成されている。なお、セパレータ層36、46は正極体30と負極体40の分離を行えば良いため、どちらか一方を略しても良い。
【0063】
図2、
図3に示すように、電極体3は、外装体2の収容部4内に高密度で配置されるように、収容部4内の密封空間の形状に対応する形状に形成されている。すなわち、電極体3は、積層方向から見て、円形状に形成されている。
負極体30は円形状の複数の負極本体を帯状などの形状に配列するように接続部を介し接続した構成を有し、正極体40は円形状の複数の正極本体を帯状などの形状に配列するように接続部を介し接続した構成を有する。このため、負極体30の円形状の負極集電体と正極体40の円形状の正極集電体を交互に積み重ねるか巻回することにより、
図3に示す構造の電極体3が構成される。
以下、電池1の製造方法に関連付けて電池1の内部構造の詳細について更に説明する。
【0064】
「電気化学セルの製造方法」
図1、
図2に示す構造の電池(電気化学セル)1を製造するには、まず、正極体と負極体を巻回するか、つづら折り積層するなどの方法により
図3に示す構成の電極体3を形成する。
「電極板の接合工程」
次に、
図4に示すように電極体3に負極側電極板15と正極側電極板16を超音波溶接法などの接合方法により接合する。
図4は、電極体3の負極タブ35の先端部に超音波溶接により負極側電極板15を接合し、正極タブ45の先端部に正極側電極板16を超音波溶接により接合した状態を示す。
図4に示す例では、電極体3の最上面から左側に正極タブ45が延出され、電極体3の最下面から右側に負極タブ35が延出され、正極タブ45の先端部上面側に金属プレート26を上に配置した正極側電極板16が溶接され、負極タブ35の先端部下面側に負極側電極板15が溶接されている。負極タブ35の先端部は正極側電極板16の中央部まで延在され、正極タブ45の先端部は負極側電極板15の中央部まで延在されている。
なお、この例では
図4に示すように負極タブ35の先端35aを負極側電極板15の中心部まで延在させているが、負極タブ35の先端35aを2点鎖線に示すように負極側電極板15の外周縁部まで延在させても良い。正極タブ45の先端部も同様に正極側電極端の外周縁部まで延在させても良い。
【0065】
「電極板と負極側ラミネートフィルムの接合工程」
この状態の電極体3に対し、金属箔を樹脂層で覆ったラミネート構造の
図5に示す負極側ラミネートフィルム50を用意し、この負極側ラミネートフィルム50の一部に形成した凹部50aに負極側電極板15を収容し、負極側電極板15を熱溶着する。
【0066】
負極側ラミネートフィルム50は、
図34を基に先に説明した第1の積層フィルム125と同等構造のラミネートフィルムでよい。負極側ラミネートフィルム50に形成する凹部50aは電極体3を収容可能な大きさであって、以下に説明する加工を経た後、第1容器10を構成できる大きさとする。また、凹部50aの底面中央部には第1容器10を構成した場合に透孔13となる透孔50bを予めプレス加工により形成しておく。
この負極側ラミネートフィルム50は以下に説明する製造方法により第1容器10を構成する基となるので、構成材料は先に説明した第1容器10の構成材料と同等で良い。
【0067】
図5の例では、水平に配置した負極側ラミネートフィルム50において、負極側ラミネートフィルム50の左右方向中央部より、左側よりの位置に凹部50aが形成されている。開口部を上向きとした凹部50の底面に対し、凹部50aの中心と負極側電極板15の中心を位置合わせして負極側電極板15を収容し、その左側斜め上方に順次電極体3と正極側電極板16を配置するように電極体3を配置する。
なお、
図5では略されているが凹部50aの底面に予めシーラントリングを配置しておき、このシーラントリングの上に負極側電極板15を配置する。この状態から凹部50aの底壁とシーラントリングと負極側電極板15を上下から挟み付けるように加圧しながら加熱することによりこれらを熱溶着できる。
この熱溶着を行う場合、凹部50aの底板と負極側電極板15を上下から熱溶着装置のプレス機等で挟み付ける必要があることから、
図5に示すように負極側電極板15を凹部内に配置した場合、電極体3が凹部50aの斜め外側に位置している必要がある。このため、負極タブ35は
図5に示すように配置が可能な長さを有することが必要である。
【0068】
「電極板と正極側ラミネートフィルムの接合工程」
次に、正極側ラミネートフィルム51を用意する。
正極側ラミネートフィルム51は、
図34を基に先に説明した第2の積層フィルム126と同等構造のラミネートフィルムでよい。正極側ラミネートフィルム51に形成する凹部51aは電極体3を収容可能な大きさであって、後述する加工を経た後、第2容器20を構成できる大きさとする。また、凹部51aの底面中央部には第2容器20を構成した場合に透孔24となる透孔51bを予め形成しておく。ラミネートフィルムに凹部51aを形成することで、ラミネートフィルムには突部51cが形成される。
この正極側ラミネートフィルム51は以下に説明する製造方法により第2容器20を構成する基となるので、構成材料は先に説明した第2容器20の構成材料と同等で良い。
【0069】
図6に示すように凹部51aの開口部を下向きとして正極側ラミネートフィルム51を水平に配置し、凹部51aの中心と正極側電極板16の中心の位置合わせを行う。また、凹部51aの底に沿うようにシーラントリングと正極側電極板16を配置し、これらを上下から挟み付けるように加圧しながら加熱することによりこれらを熱溶着できる。
図6では凹部51a内に配置したシーラントリングの記載は略している。
なお、この熱溶着を行う場合、凹部51aの底板と正極側電極板16を上下から熱溶着装置のプレス機等で挟み付ける必要があることから、
図6に示すように正極側電極板16を凹部内に配置した場合、電極体3が凹部51aの斜め下方外側に位置している必要がある。このため、正極タブ45は
図6に示すように配置が可能な長さを有することが必要である。
【0070】
「折り曲げ工程」
図6に示すように負極側電極板15の熱溶着後、正極側電極板16の熱溶着を行ったならば、負極側ラミネートフィルム50に対し正極側ラミネートフィルム51を
図7に示す矢印方向にスライド移動させて凹部50a、51aの位置合わせを行う。
図7に示す矢印方向へのスライド移動により負極側電極板15の上で負極タブ35を側面視Z型に折り曲げることができるとともに、正極側電極板16の下で正極タブ45を側面視Z型に折り曲げることができる。
【0071】
図7、
図8に正極側電極板16を備えた正極タブ45の超音波溶接位置と上述のZ型に折り曲げる場合の折り曲げ位置の関係を示す。なお、
図8はZ型に折り曲げる前の正極タブ45の展開状態を示す。
図8に示すように、正極タブ45が形成されている最外層の正極本体40Aを覆うセパレータ層46の端縁46aは、正極タブ45の基端部よりも正極本体40Aの内側よりの位置に形成されている。換言すると、最外層の正極側のセパレータ層46の端縁46aは正極タブ45の幅方向に平行に沿うように電極体3の一面側中央よりに配置されている。正極タブ45においては、上述の折り畳みにより、正極側の端縁46aの若干外側よりの位置に直線状に第1の折曲部(V型折曲部)45Aが形成される。
【0072】
図8に示すように、正極タブ45の先端45aが正極側電極板16の中央まで延出され、超音波溶接部45bは正極側電極板16の中心と外周縁の中間位置より若干外側よりの位置に形成されている。
超音波溶接部45bは先に
図36を基に説明したように基台136と共振体137で被接合物を上下から挟み込み、超音波振動を付加して被接合物どうしを溶接することにより形成される。このため、
図8に示すように超音波溶接部45bは2本の鎖線で示すように正極タブ45の幅方向に沿って帯状に形成される。
この超音波溶接部45bに対し、正極タブ45の若干基端側、換言すると、超音波溶接部45bとそれに接している正極側電極板16の外周縁との間の部分に第2の折曲部(V型折曲部)45Bが形成される。また、超音波溶接部45bは正極側電極板16に溶接されている金属プレート26と干渉しない位置、即ち、金属プレート26の外周縁の若干外側に形成されている。
【0073】
これは、正極側電極板16に対し金属プレート26をスポット溶接あるいは超音波溶接などの溶接法により取り付けた後、基台136と共振体137で正極タブ45と正極電極板16を上下から挟み込んで超音波溶接する場合、金属プレート26の溶接部分に悪影響を与えないためである。基台136と共振体137で金属プレート26を含めて上下から挟み込み超音波振動を付与すると、既に溶接した金属プレート26の溶接部分に超音波振動が付与される。この超音波振動により金属プレート26の溶接部分に支障を来さないように、金属プレート26から離れた位置に超音波溶接部45bを形成することが好ましい。
【0074】
図8に示す構造について、
図7に示すように折り曲げることで第1の折曲部45Aと第2の折曲部45Bを折り返し位置として正極タブ45をZ型に曲げることができる。
また、この折り曲げにより正極タブ45において第1の折曲部45Aから第2の折曲部45Bまでの部分を第1の正極タブ部45Dとすることができ、第2の折曲部45Bから正極タブ45の先端までの部分を第2の正極タブ部45Eとすることができる。
【0075】
図7、
図9に負極側電極板15を備えた負極タブ35の超音波溶接位置と上述のZ型に折り曲げる場合の折り曲げ位置の関係を示す。なお、
図9はZ型に折り曲げる前の負極タブ35の展開状態を示す。
図9に示すように、負極タブ35が形成されている最外層の負極本体30Aを覆うセパレータ層36の端縁36aは、負極タブ35の基端部よりも負極本体30Aの内側よりの位置に形成されている。換言すると、最外層の負極側のセパレータ層36の端縁36aは負極タブ35の幅方向に平行に沿うように電極体3の一面側中央よりに配置されている。負極タブ35においては、上述の折り曲げにより、負極側の端縁36aの若干外側よりの位置に直線状に第1の折曲部(V型折曲部)35Aが形成される。
なお、
図8に示す構成において、セパレータ層46の端縁46aとして描いた部分は、セパレータ層46の端縁46aの手前側の部分を固定するためにセパレータ層46上に貼り付けた巻止めテープ(端縁固定部材)の端縁であっても良い。
また、
図9に示す構成において、セパレータ層36の端縁36aとして描いた部分は、セパレータ層36の端縁36aの手前側の部分を固定するためにセパレータ層36上に貼り付けた巻止めテープ(端縁固定部材)の端縁であっても良い。
【0076】
図9に示すように、負極タブ35の先端35aが負極側電極板15の中央まで延出され、超音波溶接部35bは負極側電極板15の中心と外周縁の中間位置より若干外側よりの位置に形成されている。
超音波溶接部35bは先に
図38を基に説明したように基台136と共振体137で被接合物を上下から挟み込み、超音波振動を付加して被接合物どうしを溶接することにより形成される。このため、
図9に示すように超音波溶接部35bは2本の鎖線で示すように負極タブ35の幅方向に沿って帯状に形成される。
この超音波溶接部35bに対し、負極タブ35の若干基端側、換言すると、超音波溶接部35bとそれに接している負極側電極板15の外周縁との間の部分に第2の折曲部(V型折曲部)35Bが形成される。また、超音波溶接部35bは負極側電極板15の中心位置と負極側電極板15の外周縁位置の中間位置より若干外周縁側に形成されている。
【0077】
図9に示す構造について、
図7に示すように折り畳むことで第1の折曲部35Aと第2の折曲部35Bを折り返し位置として負極タブ35をZ型に折り曲げることができる。
また、この折り曲げにより負極タブ35において第1の折曲部35Aから第2の折曲部35Bまでの部分を第1の負極タブ部35Dとすることができ、第2の折曲部35Bから負極タブ35の先端までの部分を第2の負極タブ部35Eとすることができる。
【0078】
「ラミネートフィルムの熱仮封止工程」
図7に示す状態から、負極側ラミネートフィルム50と正極側ラミネートフィルム51を接近させて凹部50aの開口部と凹部51aの開口部を突き合わせると凹部以外のラミネートフィルムを重ねることができるので、凹部周囲のラミネートフィルム重ね合わせ部分の一部を熱溶着すると、ラミネートフィルムどうしの熱仮封止ができる。
図10に負極側ラミネートフィルム50に対し正極側ラミネートフィルム51をスライド移動させる場合の方向の一例について示した。この例では、平面視長方形状のラミネートフィルムを用い、ラミネートフィルムを長手方向にスライド移動させて両方のラミネートフィルムの位置合わせを行う場合を示している。
【0079】
図11は正極側ラミネートフィルム51の凹部51aに電極体3を収容する構造において、正極タブ45を側面視Z型に折り曲げた場合、第1の正極タブ部45Dと第2の正極タブ部45Eの長さの関係を示す説明図である。第1の正極タブ部45Dの長さをbと仮定し、第2の正極タブ部45Eの長さをaと仮定する。
図11に示す構造において、a<bの関係とすることが好ましい。bの長さは凹部51aの内直径dに対し、b<dの関係とすることが必要である。また、bの長さは正極側電極板16の直径より小さいか、凹部51aの内径より小さいことが好ましい。また、aの長さは、この例では正極側電極板16の半径程度とされているが、直径と同等まで延出させても良い。ただし、凹部51aの内周壁と正極側電極板16の外周部が接近し過ぎると、正極側ラミネートフィルム51にピンホールや亀裂が生じていた場合等、容器を構成する金属箔が損傷するおそれがあるので、正極側電極板16の外周縁と凹部51aの内周壁との間に適度の間隔をあけることが望ましい。また、第2折曲部45Bの位置についても同様であり、第2折曲部45Bと凹部51aの内周壁との間に適度の間隔をあけることが望ましい。
【0080】
b>dの場合、
図12に示すように電極体3が凹部51aからはみ出すこととなり、凹部51aに電極体3を収容する場合に正極タブ45を更に別の位置で折り曲げる必要を生じる。
図10に示すように負極側ラミネートフィルム50に対し正極側ラミネートフィルム51をスライド移動させても、凹部51aに電極体3をスムーズに収容することができなくなり、更に何らかの作業で正極タブ45の折り曲げ位置を調節するなどの余計な作業が必要となる。
a>bの場合、
図13に示す関係となるが、
図13に示す構造の場合、正極タブ45を正極側電極板16に超音波溶接する位置を変更しなくては実現できず、また、
図36を基に説明した基台136と共振体137を利用する超音波溶接そのものを行うことができないので、実施不能な構造となる。
【0081】
なお、
図7、
図11に示すように負極タブ35と正極タブ45をZ型に折り曲げた場合、折り曲げ位置が正確な位置に設定されない場合、第2の折曲部35B、45Bが凹部の内周壁に接近し過ぎるおそれがある。この点において、本形態の構造では、負極タブ35においては、負極側セパレータ層36の端縁36aの存在により第1の折曲部35Aを位置決めし、超音波溶接部35bの存在により第2の折曲部35Bの位置決めができるので、負極タブ35のZ型を目的の形に形成できる。また、正極タブ45においても、正極側セパレータ層46の端縁46aの存在により第1の折曲部45Aを位置決めし、超音波溶接部45bの存在により第2の折曲部45Bの位置決めができるので、正極タブ45のZ型を目的の形に形成できる。
このため、本形態の構造によれば、目的の正確な位置にZ型に折り曲げた正極タブ45と負極タブ35を形成できる。
【0082】
図14は、
図3に示した電極体3における最外層の負極本体30Aを覆う負極側セパレータ層36とその端部36aの位置関係を示す略図である。
図14に示すように負極側セパレータ層36の端縁36aは負極タブ35の基端部よりも負極本体30Aの内側よりに形成されている。また、
図14に示す構造において、端縁36aの若干外側寄りの位置に第1の折曲部35Aが形成される。
これに対し、
図15は電極体3における最外層の負極本体30Aを覆う負極側セパレータ層36とその端部36aの他の例を示す略図である。
図15に示すように負極側セパレータ層36の端縁36aは負極タブ35の基端部よりも負極本体30Aの内側よりに形成されているが、更に、負極タブ35の基端部の幅方向両側に切欠部35eが形成された例を示している。
負極タブ35の基端部両側に切欠部35eを形成することにより、負極タブ35は帯状の形を保ったまま負極側セパレータ層36の端縁36aの部分から延出されている。
【0083】
図15に示す構成であると、ほぼ端縁36aの位置に沿って確実に第1の折曲部35Aを形成できる。
図15に示す構成であると、負極側セパレータ層36の端縁36aを起点として第1の折曲部35Aを構成するように負極タブ35を折り曲げる場合、
図7に示すように側面視Z型に折り曲げる場合、いずれにしても切欠部35eの存在により折り曲げが容易となる。また、折り曲げ起点となる位置をほぼ端縁36aに沿う位置に形成できるので、折り曲げ位置をより正確に規定できる。
なお、
図14、
図15に示す構成において、セパレータ層36の端縁36aとして描いた部分は、セパレータ層36の端縁36aの手前側の部分を固定するためにセパレータ層36上に貼り付けた巻止めテープ(端縁固定部材)の端縁であっても良い。
【0084】
「ラミネートフィルムの封止工程」
図7を基に説明したように負極側ラミネートフィルム50と正極側ラミネートフィルム51を熱仮封止したならば、
図16~
図18を基に以下に説明する手順でラミネートフィルムの封止と電解液の注入を行う。
図16は負極側と正極側のラミネートフィルム50、51を熱仮封止した状態から、負極側と正極側のラミネートフィルム50、51の3辺側を必要な幅に渡り、熱溶着して熱封止した状態を示す。
図16に平面視するようにラミネートフィルム50、51において突部5cの直径の半分程度の幅で左右両側の長辺部と一方の短辺部(下辺部)にそれぞれ熱融着部55を形成すると、ラミネートフィルム50、51の他方の短辺側(上辺側)のみ熱溶着されていない状態とすることができる。
【0085】
図16に示す熱溶着していない部分から凹部50a、51aに電解液を注入し、その後、
図17に示すようにラミネートフィルム50、51の上辺側を熱溶着して熱溶着部56を形成し、ラミネートフィルム50、51の4辺全周を所定幅で熱溶着する。
この後、化成処理を行い、ラミネートフィルム50、51間のガス抜きを行い、更に、
図18に示すように突部51cの周囲をリング状に所定幅で取り囲むように超音波溶接機で溶着し、リング状の溶接部57を形成して最終封止を行う。
リング状の溶接部57の外周部に沿って平面視円形状に打ち抜きを行うと、
図19に示す接合体58を得ることができる。
【0086】
接合体58は概形が
図31に示した接合体118と同等である。
この接合体58と、
図32、
図33に示した下型121と上型122からなる金型120とパンチ123を用いて
図32~
図33を基に先に説明した方法と同様の絞り加工を行うと、
図1、
図2に示した電池1と同等構造の電池を得ることができる。
【0087】
図20、
図21は凹部60aを形成した負極側ラミネートフィルム60と凹部61aを形成した正極側ラミネートフィルム61を用い、これらの凹部60a、61aに電極体3を収容してスライド移動させる場合の他の例を示す。
この例では、
図20(a)に示す縦長の長方形状の負極側ラミネートフィルム60と縦長の長方形状の正極側ラミネートフィルム61を用い、各ラミネートフィルム60、61の上辺に近い位置に凹部60a、61aを形成する。
また、負極側ラミネートフィルム60と正極側ラミネートフィルム61において、凹部60a、61aの形成位置の左右両側部分にそれぞれ一定幅を除去した切欠部60b、61bを形成し、凹部60a、61aの左右両側のラミネートフィルム幅を小さく調整しておく。
【0088】
図20(a)に示すラミネートフィルム60、61と、先に
図4に基づき説明した電極板15、16を接合した電極体3を用いて電池を製造するには、
図21(a)に示すように凹部60aの開口部を上に向けて負極側ラミネートフィルム60を水平に設置する。また、負極側ラミネートフィルム60から少し離れた斜め上方に凹部61aの開口部を下向きとした正極側ラミネートフィルム61を水平に設置する。これら負極側ラミネートフィルム60と正極側ラミネートフィルム61の設置は図示略の適切な治具等を用いて
図20(a)に示す位置に設置することが好ましい。
また、凹部60aに負極側電極板15を収容し、凹部61aに正極側電極板16を収容し、負極側ラミネートフィルム60と正極側ラミネートフィルム61の間に電極体3を設置する。この際、負極側電極板15と正極側電極板16および電極体3を適切な治具により支持して目的の位置に設置することが好ましい。
【0089】
この際、先に、電極体3と負極側電極板15および正極側電極板16を適切な治具等で
図21(a)に示すように支持した後、負極側ラミネートフィルム60と正極側ラミネートフィルム61を
図21(a)に示すように配置しても良い。
図21(a)に示す状態において、負極側ラミネートフィルム60の凹部60aと正極側ラミネートフィルム61の凹部61aは
図20(a)に示す平面視状態でも明らかなように、水平方向に所定距離位置ずれしているので、凹部60aの上下空間と凹部61aの上下空間には熱溶着装置に対する干渉物がない。
このため、凹部60aの周囲と凹部61aの周囲にそれぞれ熱溶着装置を設けておくと、凹部60aに収容した負極側電極板15と凹部61aに収容した正極側電極板16を同時に一度で熱溶着できる。これにより、
図5~
図6を基に説明した場合より簡単かつ迅速に熱溶着ができる。即ち、組立時間の短縮に寄与する。
図20、
図21に示す手順で凹部60a、61aに対し電極体3を収容すると、自動機械等で組立を行う場合、組立機のタクト短縮が可能となり、生産性の向上に寄与する。
【0090】
電極板15、16の凹部60a、61aに対する熱溶着が終了したならば、
図21(a)に示す状態から、
図21(b)に示すように正極側ラミネートフィルム61を右側にスライド移動させて凹部60aと凹部61aの位置合わせを行う。
この位置合わせにより、
図21(b)に示すように負極タブ35を側面視Z型に、正極タブ45を側面視Z型に折り曲げることができる。理解を容易にするために、
図20(b)に凹部60a、61aの位置関係とそれらの間に配置されている電極体3と負極タブ35の位置、並びにスライドさせた場合に凹部60a、61aが接近する方向を矢印で示しておく。
図21(b)に示す状態は、
図7に示す状態と同等であるので、この後、負極側ラミネートフィルム60と正極側ラミネートフィルム61を重ね合わせて熱仮封止すると、熱仮封止状態にできるので、以下、
図16~
図19を基に先に説明した方法と同等の方法を実施することにより、
図19に示す接合体を得ることができる。
【0091】
この接合体を用いて先に説明した場合と同様に、
図32、
図33に示した下型121と上型122からなる金型120とパンチ123を用いて
図32~
図33を基に先に説明した方法と同様のプレス加工を行うと、
図1、
図2に示した電池1と同等構造の電池を得ることができる。
【0092】
図20に示すようにラミネートフィルム60、61に切欠部60b、61bを形成して凹部60a、61aの両側の幅を小さくしておくならば、
図6に示す状態と同様に電極体3とラミネートフィルム60,61を配置してスライド移動する場合、正極タブ45と負極タブ35をできるだけ短くした場合に対応できる。即ち、短い電極タブ35、45に対応しつつラミネートフィルム60、61の干渉を避けながら電極板15、16の同時熱溶着が可能であり、また、熱溶着後のスライド移動に対応することができる。
【0093】
「第2実施形態」
図24は本発明に係る電気化学セルを二次電池に適用した第2実施形態の電池64の断面構造を示すもので、この電池64は円形のボタン型電池である。
図24に示す電池64は
図22、
図23を基に後に説明する方法で製造される。
この第2実施形態の電池64は、偏平な容器状の外装体62と外装体62の内部に図示略の電解液とともに収容された電極体3を備えている。なお、電解液は支持塩を非水溶媒に溶解した電解液などが好適に用いられる。
【0094】
外装体62は、平面視で円形状を呈している。具体的に、外装体62は、有底筒状の正極側容器65と、この正極側容器65にガスケット66を介し組み付けられ、正極側容器65との間に収納空間Sを画成する有頂筒型の負極側容器67を有している。
図24に示す第2実施形態において、正極側容器65および負極側容器67のそれぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。
【0095】
正極側容器65および負極側容器67は、例えばステンレス鋼板等の金属板材を絞り加工等して形成されている。図示の例において、正極側容器65の外径は、負極側容器67の内径よりも大きくされている。
ガスケット66は、中心軸線と同軸状に配置された環状とされ、負極側容器67の周壁部67aに嵌合されている。ガスケット66には、負極側容器67の周壁部67aを保持する部分が全周に渡り形成されている。負極側容器67は、周壁部67aをガスケット66と一体化した状態で正極側容器65の内周側に固定されている。
ガスケット66は、樹脂材料(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))等の絶縁性を有する材料により形成されている。
【0096】
電極体3は先の実施形態に適用された電極体3であり、負極タブ35と正極タブ45を有し、これらの先端部に負極側電極板15、正極側電極板16が溶接されている。
負極側容器67を先の
図21(a)に示す形態の場合の負極側ラミネートフィルム60の凹部60aと同等位置に設置し、正極側容器65を先の
図21(a)に示す形態の場合の正極側ラミネートフィルム61の凹部61aと同等位置に設置する。この状態を
図22に示す。
図22に示す場合、負極側容器67の周囲と正極側容器65の周囲には特に障害物がないため、
図22に示す状態から、超音波溶接機などを用いて負極側容器67に負極電極板15を溶接する工程と、正極側容器65に正極電極板16を溶接する工程を同時に行うことができる。
【0097】
負極電極板15と正極電極板16の溶着作業が終了したならば、
図23に示すように正極側容器65と負極側容器67のそれらの中心軸位置を合わせるようにこれらをスライド移動させ、中心軸の位置合わせ後、正極側容器65と負極側容器67を嵌合することで
図24に示す構成の電池64を得ることができる。
図24に示す構成の電池64においても、電極体3の負極タブ35と正極タブ45はそれぞれ側面視Z型に折り曲げられている。
図22~
図23を基に説明した製造方法によって、先の実施形態の電極3を備えた電池1を製造する場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0098】
「第3実施形態」
図25は、正極体と負極体から構成される電極体の他の例を示すもので、この例の電極体70は、円板状の複数の負極本体71を接続部72を介し接続した帯状の正極体と、円板状の複数の正極本体73を接続部74を介し接続した帯状の負極体を交互につづら折り状に積層した構成の電極体70である。最外層の負極本体71から負極タブ76が延出され、最外層の正極本体73から正極タブ77が延出されている。
つづら折り構造の電極体70にあっては、折り畳み状態により、
図25に示すように平面視90°交差位置に負極タブ76と正極タブ77が延出されることがある。
このような構造の電極体70に対する場合であっても、上述した例と同様に側面視Z状に負極タブ76と正極タブ77を折り曲げて配置し、電池を構成することができる。
【0099】
図26は、
図25に示す構成の電極体70について、負極側電極板15と正極側電極板16を接合し、それらを
図20(a)に示す構成の負極側ラミネートフィルム60の凹部60aと正極側ラミネートフィルム61の凹部61aに収容してそれぞれ溶接した状態を示す。
図26に示す状態から、図中右向きの矢印に示す方向に凹部61aが移動し、図中上向きの矢印に示す方向に凹部60aが移動するように負極側ラミネートフィルム60と正極側ラミネートフィルム61を移動させる。これにより、凹部60aと凹部61aの位置合わせが可能であり、これらの矢印方向にラミネートフィルム60、61を移動することで負極タブ76と正極タブ77を個々にZ型に折り曲げることができる。
例えば、
図26に示すように、折り曲げ後の負極タブ76を電極体70の右側から側面視すると負極タブ76はZ型に折り曲げられており、折り曲げ後の正極タブ77を電極体70の正面側から側面視すると正極タブ77はZ型に折り曲げられている。
【0100】
なお、
図25と
図26に示す例は、負極タブ76と正極タブ77を平面視90°交差させた状態の一例として示した。負極タブ76と正極タブ77がなす角度は先の実施形態のように180°であっても良く、その他の角度であっても良い。
図26に示す状態から負極タブ76と正極タブ77を個々にZ型に折り曲げ可能な構造であれば、負極タブ76と正極タブ77のなす角度は問わない。
【0101】
「第4実施形態」
図27は本発明に係る第4実施形態の電池80の分解図を示し、
図28は電池80を製造する場合の工程概要を示す説明図である。
この形態の電池80において、基本構造は
図1~
図9を基に先に説明した第1実施形態の電池1と同等であるが、平面視形状がレーストラック形状とされており、このため、細部の形状や構造が異なる。
【0102】
図27(a)、(b)に示すように、電極体81は、平面視レーストラック形状に形成されており、この電極体81は、一例として、
図28(a)に示すように、レーストラック形状の複数の負極本体82と、隣接する負極本体82を接続する帯状の接続部83と、複数の負極本体82のうち、一側終端の負極本体82から延出された負極タブ84から負極体85が構成されている。また、レーストラック形状の複数の正極本体86と、隣接する正極本体86を接続する帯状の接続部87と、複数の正極本体86のうち、他側終端の正極本体86から延出された正極タブ88から正極体89が構成されている。
【0103】
負極体85と正極体89を
図28(a)に示すように並べて配置し、それらの間に配置した巻棒90に交互に重なるように巻き付けることで
図28(b)に示す構成の電極体81を形成することができる。
なお、負極体85において負極タブ84を除いた部分と負極タブ84の基端側の周囲部分を除いた部分はいずれも負極セパレータ層85aにより覆われ、正極体89において正極タブ88を除いた部分と正極タブ88の基端側の周囲部分を除いた部分はいずれも正極セパレータ層89aにより覆われている。
この電極体81において、最外層の負極体85におけるセパレータ層85aの端縁85bは、負極タブ84の基端部より負極本体82の内側に配置されている。同様に、最外層の正極体89におけるセパレータ層85aの端縁85bは、正極タブ88の基端部より正極本体86の内側に配置されている。
なお、
図27に示す構成において、セパレータ層85の端縁85aとして描いた部分は、セパレータ層85の端縁85aの手前側の部分を固定するためにセパレータ層85上に貼り付けた巻止めテープ(端縁固定部材)の端縁であっても良い。
【0104】
電極体81の負極タブ84に負極側電極板91を接合し、正極タブ88の先端に正極側電極板92を接合した状態を
図28(c)に示す。
この後、
図28(d)に示すように負極側ラミネートフィルム94と正極側ラミネートフィルム95を用意する。正極側ラミネートフィルム95には透孔付きの平面視レーストラック形状の凹部95aをプレス加工で形成しておき、負極側ラミネートフィルム94には透孔付きの平面視レーストラック形状の凹部94aをプレス加工で形成しておく。
負極側ラミネートフィルム94と正極側ラミネートフィルム95の間に電極体81を設置し、負極側電極板91を凹部94aに接合し、正極側電極板92を凹部95aに接合し、負極タブ84と正極タブ88をいずれもZ型に折り曲げる点に関し、先に
図6、
図7を基に説明した実施形態の場合と同様に接合できる。
【0105】
この後、
図28(d)に示すように負極側ラミネートフィルム94と正極側ラミネートフィルム95を熱溶着し、電解液を注入し、ラミネートフィルムの全周を封止するのは
図16~
図18を基に先に説明した工程と同様である。
この後、化成処理後、ガス抜きを行い、凹部94a、95aの全周をレーストラック形状に打ち抜くことで
図28(f)に示す接合体96を得ることができる。
この後、
図32、
図33を基に先に説明した下型121と上型122からなる金型120とパンチ123と同等構造であるが、成型孔121aと成型孔122aを平面視レーストラック形状の孔形状とした下型と上型からなる金型とパンチを用いてプレス加工を行えば、
図28(g)に示す平面視レーストラック形状の電池80を得ることができる。
【0106】
図27(a)に電池80の内部構造全体を分解斜視図で示す。
先の第1実施形態の電池1において負極タブ35と正極タブ45がZ型に折り曲げられている構造と同様に、電池80においても、負極タブ84と正極タブ88がいずれも側面視Z型に折り曲げられている。
例えば、正極タブ88が第1の折曲部88Aと第2の折曲部88Bを有してZ型に折り曲げられている。第1の折曲部88Aは負極セパレータ層85aの端縁85bの部分に沿って形成されている。
なお、第1の折曲部88Aを有して正極タブ88がZ型に折り曲げられている部分は、セパレータ層85上に貼り付けた巻止めテープ(端縁固定部材)の端縁を介して折り曲げられた部分であっても良い。
【0107】
図27(a)に示すように電極体81の下方に第1シーラントリング150と第1容器151が設けられ、電極体81の上方に第2シーラントリング152と第2容器153が設けられている。第2容器153の外周部にはU字状に折曲した第2周壁部155が設けられ、この第2周壁部155の外周に被さるように第1容器151の第1周壁部156がもうけられ、これらが前述の絞り加工により溶着一体化されている。
また、第1容器151の中央部に透孔151aが形成され、第2容器153の中央部に透孔153aが形成され、第1容器151の透孔外周を覆うように絶縁リングフィルム157が貼着され、第2容器153の透孔外周を覆うように絶縁リングフィルム158が貼着されている。
【0108】
図27に示す構成の電池80においても、負極タブ84と正極タブ88がZ型に折り曲げられているので、先の第1実施形態の電池1の構造と同様に、負極側電極板91とシーラントリング150を第1容器151の内面側に確実に熱溶着できる。
また、正極側電極板92とシーラントリング152を第2容器153の内面側に確実に熱溶着できる。
電池80において、電極体81は平面視レーストラック形状に形成されているので、正極セパレータ層85aの端縁85bは電極体81の一方の長辺の若干内側に直線状に配置されている。この端縁85bを起点として正極タブ88がZ型に折り曲げらている。
あるいは、正極タブ88がZ型に折り曲げられている部分は、正極セパレータ層85上に貼り付けた巻止めテープ(端縁固定部材)の端縁を介して折り曲げられた部分であっても良い。
【0109】
また、負極セパレータ層の端縁も
図27では略されているが、同様に電極体81の長辺の若干内側に直線状に配置されていて、この端縁を起点として負極タブ84がZ型に折り曲げられている。あるいは、負極タブ84も負極セパレータ層上に貼り付けた巻止めテープ(端縁固定部材)の端縁を介して折り曲げられた部分であっても良い。
その他の作用効果についても、第1実施形態の電池1と同等の作用効果を電池80により得ることができる。
【0110】
なお、ここまで説明した実施形態においては、いずれも電極体の電極タブに対し負極側電極板と正極側電極板を接合し、負極側電極板と正極側電極板を第1容器または第2容器に接合して電池を構成した。
しかし、
図24に示すように、正極側容器65および負極側容器67をステンレス鋼板等の金属板材を絞り加工等して形成した場合、負極側電極板と正極側電極板は省略しても差し支えない。
図42に負極側電極板と正極側電極板を略した構造の電池160を示す。
【0111】
「第5実施形態」
図42は本発明に係る電気化学セルを二次電池に適用した第5実施形態の電池160の断面構造を示すもので、この電池160は円形のボタン型電池である。
電池160は、偏平な容器状の外装体62と外装体62の内部に図示略の電解液とともに収容された電極体3を備えている。
【0112】
外装体62は、有底筒状の正極側容器65と、この正極側容器65にガスケット66を介し組み付けられ、正極側容器65との間に収納空間Sを画成する有頂筒型の負極側容器67を有している。正極側容器65および負極側容器67のそれぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。
負極側容器67は、周壁部67aをガスケット66の外周部に保持した状態で正極側容器65に固定されている。
【0113】
電極体3は先の実施形態に適用された電極体3であり、負極タブ35と正極タブ45を有し、これらの先端部が負極側容器67の内面あるいは正極側容器65の内面に溶接されている。
負極側容器67を先の
図21(a)に示す形態の場合の負極側ラミネートフィルム60の凹部60aと同等位置に設置し、正極側容器65を先の
図21(a)に示す形態の場合の正極側ラミネートフィルム61の凹部61aと同等位置に設置する。この状態を
図40に示す。
図40に示す場合、負極側容器67の周囲と正極側容器65の周囲には特に障害物がないため、
図40に示す状態から、超音波溶接機などを用いて負極側容器67に負極タブ35を溶接する工程と、正極側容器65に正極タブ45を溶接する工程を同時に一度に行うことができる。
【0114】
負極タブ35と正極タブ45の溶接作業が終了したならば、
図41に示すように正極側容器65と負極側容器67の互いの中心軸位置を合わせるようにこれらをスライド移動させ、互いの中心軸の位置合わせ後、正極側容器65と負極側容器67を嵌合することで
図42に示す構成の電池160を得ることができる。
図42に示す構成の電池160においても、電極体3の負極タブ35と正極タブ45はそれぞれ側面視Z型に折り曲げられている。
図40~
図42を基に説明した製造方法によって、先の実施形態の電極3を備えた電池1を製造する場合と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0115】
1…電池(電気化学セル)、2…外装体、3…電極体、4…収容部、5…封止部、10…第1容器(負極側容器:外側容器)、11…第1底壁部、12…第1周壁部、15…負極側電極板、16…正極側電極板、20…第2容器(正極側容器;内側容器)、21…第2底壁部、22…第2周壁部、23…折曲部、30…負極体、30A…負極本体、35…負極タブ、35A…第1の折曲部(V型折曲部)、35B…第2の折曲部(V型折曲部)、35b…超音波溶接部、35D…第1の負極タブ部、35e…切欠部、35E…第2の負極タブ部、36…負極側セパレータ層、40…正極体、40A…正極本体、45…正極タブ、45A…第1の折曲部(V型折曲部)、45B…第2の折曲部(V型折曲部)、45b…超音波溶接部、45D…第1の正極タブ部、45E…第2の正極タブ部、46…正極側セパレータ層、50…負極側ラミネートフィルム、51…正極側ラミネートフィルム、60…負極側ラミネートフィルム、60a…凹部、61…正極側ラミネートフィルム、61a…凹部、64…電池、65…正極側容器、67…負極側容器、70…電極体、76…負極タブ、77…正極タブ、80…電池、81…電極体、84…負極タブ、88…正極タブ、151…第1容器、153…第2容器、160…電池。