(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】音波検査方法、音波検査装置、及び接触媒質
(51)【国際特許分類】
G01N 29/28 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
G01N29/28
(21)【出願番号】P 2019194490
(22)【出願日】2019-10-25
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平尾 明子
(72)【発明者】
【氏名】山本 紀子
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06298727(US,B1)
【文献】特開2011-002320(JP,A)
【文献】特開2002-181796(JP,A)
【文献】特開2008-089317(JP,A)
【文献】特開2010-117294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波の送信及び受信の少なくとも一方の機能を有する振動子を備える音波探触子の音波の送信面及び受信面の少なくとも一方として機能する音波機能面に、直接又は中間部材を介して設けられた、0.1MPa以上100MPa以下のヤング率を有するエラストマーを含み、かつ0.5mm以上2mm以下の厚さを有する接触媒質本体と、前記接触媒質本体の被検査体との接触面のみに設けられ、前記接触媒質本体より高いヤング率を有する凸部材とを備える接触媒質の前記凸部材に基づく凹凸構造の面を、前記被検査体に接触させる工程と、
前記接触媒質に対して荷重を加え、前記接触面の前記凸部材間に前記接触媒質本体を変形させて突出させることにより、前記接触媒質本体を前記被検査体に押し付ける工程と、
前記接触媒質本体を前記被検査体に押し付けた状態で、前記被検査体の音波による非破壊検査を行う工程と、
前記荷重を取り除く工程と、
前記荷重が取り除かれた前記音波探触子に設けられた前記接触媒質を、前記接触面の前記凸部材のみを前記被検査体に接触させた状態で、前記被検査体上を移動させる工程と
を具備する音波検査方法。
【請求項2】
前記凸部材は、前記接触面の法線方向から見た場合に、メッシュ状、棒状、円形状、又は多角形状の形状を有する、請求項1に記載の音波検査方法。
【請求項3】
音波の送信及び受信の少なくとも一方の機能を有する振動子を備え、音波の送信面及び受信面の少なくとも一方として機能する音波機能面を有する音波探触子と、
前記音波探触子の前記音波機能面に直接又は中間部材を介して設けられ、0.1MPa以上100MPa以下のヤング率を有するエラストマーを含み、かつ0.5mm以上2mm以下の厚さを有する接触媒質本体と、前記接触媒質本体の被検査体との接触面のみに設けられ、前記接触媒質本体より高いヤング率を有する凸部材とを備える接触媒質であって、前記接触媒質本体の前記接触面に設けられた前記凸部材に基づく凹凸構造の面を有する接触媒質と、
前記接触媒質に対する荷重の印加及び前記荷重の取り除きを行う荷重機構とを具備する音波検査装置であって、
前記接触媒質は、無荷重時に前記凸部材のみが被検査体と接触し、荷重印加時に前記凸部材間に前記接触媒質本体を変形させて突出させることにより前記接触媒質本体が前記被検査体と接触するように構成されている、音波検査装置。
【請求項4】
前記凸部材は、前記接触面の法線方向から見た場合に、メッシュ状、棒状、円形状、又は多角形状の形状を有する、請求項3に記載の音波検査装置。
【請求項5】
前記振動子は、超音波送受信用振動子又は音波受信用振動子である、請求項3または請求項4に記載の音波検査装置。
【請求項6】
前記エラストマーは、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、イソブチレン・イソプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、及びエピクロルヒドリンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の音波検査装置。
【請求項7】
前記凸部材はナイロンメッシュを備える、請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載の音波検査装置。
【請求項8】
0.1MPa以上100MPa以下のヤング率を有するエラストマーを含み、かつ0.5mm以上2mm以下の厚さを有する接触媒質本体と、前記接触媒質本体の被検査体との接触面のみに設けられ、前記接触媒質本体より高いヤング率を有する凸部材とを備える接触媒質であって、
前記接触媒質本体の前記接触面に設けられた前記凸部材に基づく凹凸構造の面を有する、接触媒質。
【請求項9】
前記凸部材は、
前記接触媒質本体の被検査体との接触面の法線方向から見た場合に、メッシュ状、棒状、円形状、又は多角形状の形状を有する、請求項8に記載の接触媒質。
【請求項10】
前記凹凸構造における凸部の最小幅が10μm以上500μm以下で、前記凹凸構造における凹部の最小幅が10μm以上500μm以下であり、
前記接触媒質本体の被検査体との接触面の法線方向から見た場合に、前記凹部の平面形状の総面積が前記凸部の平面形状の総面積より大きい、請求項8又は請求項9に記載の接触媒質。
【請求項11】
前記凸部は、
前記接触媒質本体の被検査体との接触面の法線方向から見た場合に、棒状、交差した棒状、円形状、又は多角形状の形状を有する、請求項
10に記載の接触媒質。
【請求項12】
前記エラストマーは、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、イソブチレン・イソプレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、及びエピクロルヒドリンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の接触媒質。
【請求項13】
前記凸部材はナイロンメッシュを備える、請求項8ないし請求項12のいずれか1項に記載の接触媒質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、音波検査方法、音波検査装置、及び接触媒質に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波や弾性波等の音波の伝播を用いた超音波検査装置は、様々な部材、装置、インフラ等の点検に用いられている。また、超音波検査装置は医療診断等にも利用されている。そのような検査装置に用いられる超音波探触子やAE(Acoustic Emission)センサ等に代表される音波受信機、音波送信機、音波送受信機等の音波検査用探触子を被検査体に設置する場合、被検査体との間で音波伝播を効率よく行うために、探触子の音波の送信面及び受信面の少なくとも一方として機能する音波機能面と被検査体との間に、グリセリンやワセリン等の液体状又は粘性体状の接触媒質を介在させている。
【0003】
上述した接触媒質は、探傷子から被検査体、又は被検査体から探傷子に超音波等の音波を効率よく伝達し、試験精度を高める上で重要であるが、液体状又は粘性体状の接触媒質を塗布したり、除去したりする工程が煩雑である。このため、検査の時間や工数を増加させる要因となっている。また、検査対象の被検査体によっては、接触媒質で汚染される場合もあり、その場合は検査自体を実施することができない。
【0004】
固体の接触媒質も提案されているが、音波の伝播は液体状の接触媒質を用いた場合と比較して大きく劣る。これは、音波送受信機や音波受信機等の接触媒質の被検査体に対する設置面と被検査体との間に、音響インピーダンスが大きく異なる空気が介在してしまうことが原因と考えられる。音波検査用接触媒質の設置面と被検査体との間に空気が介在するのを避けるために、粘着性のある固体の接触媒質も提案されている。しかしながら、この場合には、音波検査用接触媒質の設置面が被検査体に密着し、音波検査用接触媒質を滑らせることができない。そのため、設置位置を微小距離で動かす場合であっても、一度接触媒質と共に探触子を、被検査体から剥がす必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、検査時に接触媒質を被検査体と密着させることができ、かつ接触媒質の塗布や除去に要する手間を省いた上で、接触媒質を被検査体上を容易に移動させることを可能にした音波検査方法、音波検査装置、及び接触媒質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の音波検査方法は、音波の送信及び受信の少なくとも一方の機能を有する振動子を備える音波探触子の音波の送信面及び受信面の少なくとも一方として機能する音波機能面に、直接又は中間部材を介して設けられた、0.1MPa以上100MPa以下のヤング率を有するエラストマーを含み、かつ0.5mm以上2mm以下の厚さを有する接触媒質本体と、前記接触媒質本体の被検査体との接触面のみに設けられ、前記接触媒質本体より高いヤング率を有する凸部材とを備える接触媒質の前記凸部材に基づく凹凸構造を有する面を、前記被検査体に接触させる工程と、前記接触媒質に対して荷重を加え、前記接触面の前記凸部材間に前記接触媒質本体を変形させて突出させることにより、前記接触媒質本体を前記被検査体に押し付ける工程と、前記接触媒質本体を前記被検査体に押し付けた状態で、前記被検査体の音波による非破壊検査を行う工程と、前記荷重を取り除く工程と、前記荷重が取り除かれた前記音波探触子に設けられた前記接触媒質を、前記接触面の前記凸部材のみを前記被検査体に接触させた状態で、前記被検査体上を移動させる工程とを具備する。
【0008】
実施形態の音波検査装置は、音波の送信及び受信の少なくとも一方の機能を有する振動子を備え、音波の送信面及び受信面の少なくとも一方として機能する音波機能面を有する音波探触子と、前記音波探触子の前記音波機能面に直接又は中間部材を介して設けられ、0.1MPa以上100MPa以下のヤング率を有するエラストマーを含み、かつ0.5mm以上2mm以下の厚さを有する接触媒質本体と、前記接触媒質本体の被検査体との接触面のみに設けられ、前記接触媒質本体より高いヤング率を有する凸部材とを備える接触媒質であって、前記接触媒質本体の前記接触面に設けられた前記凸部材に基づく凹凸構造の面を有する接触媒質と、前記接触媒質に対する荷重の印加及び前記荷重の取り除きを行う荷重機構とを具備する音波検査装置であって、前記接触媒質は、無荷重時に前記凸部材のみが被検査体と接触し、荷重印加時に前記凸部材間に前記接触媒質本体を変形させて突出させることにより前記接触媒質本体が前記被検査体と接触するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の音波検査装置を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す音波検査装置における音波探触子を示す断面図である。
【
図3】
図1に示す音波検査装置における接触媒質の第1の例を示す断面図である。
【
図4】
図1に示す音波検査装置における接触媒質の第2の例を示す断面図である。
【
図5】
図1に示す音波検査装置における接触媒質の第3の例を示す断面図である。
【
図6】
図1に示す音波検査装置における接触媒質の第4の例を示す断面図である。
【
図7】
図3に示す接触媒質の荷重の印加状態を示す断面図である。
【
図8】
図5に示す接触媒質の荷重の印加状態を示す断面図である。
【
図9】
図1に示す音波検査装置における接触媒質の斜視図である。
【
図10】
図9に示す接触媒質の第1の例の下面図である。
【
図11】
図9に示す接触媒質の第1の例の下面を模式的に示す図である。
【
図12】
図9に示す接触媒質の第2の例の下面を模式的に示す図である。
【
図13】
図9に示す接触媒質の第3の例の下面を模式的に示す図である。
【
図14】
図9に示す接触媒質の第4の例の下面を模式的に示す図である。
【
図15】
図9に示す接触媒質の第5の例の下面を模式的に示す図である。
【
図16】実施形態の音波検査装置の第1の変形例を示す断面図である。
【
図17】実施形態の音波検査装置の第2の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の音波検査方法、音波検査装置、及び音波検査用接触媒質について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、その説明を一部省略する場合がある。図面は模式的なものであり、各部の厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。説明中の上下方向を示す用語は、被検査体の検査面を上とした場合の相対的な方向を示し、重力加速度方向を基準とした現実の方向とは異なる場合がある。
【0011】
図1は実施形態の音波検査装置を示す断面図である。
図1に示す音波検査装置1は、音波探触子2を有する。音波探触子2は、音波の送信及び受信の少なくとも一方の機能を有するものであり、例えば超音波送受信機や音波受信機が挙げられる。超音波送受信機の代表例としては、超音波プローブ又は超音波探傷子が挙げられる。音波受信機の代表例としては、AEセンサが挙げられる。また、音波探触子2は音波送信機であってもよい。ここに記載される音波とは、気体、液体、固体を問わず、弾性体を伝播するあらゆる弾性振動波の総称であり、可聴周波数域の音波に限らず、可聴周波数域より高い周波数を有する超音波、及び可聴周波数域より低い周波数を有する低周波音等も含まれる。音波の周波数は特に限定されるものではなく、高周波から低周波まで含まれるものである。
【0012】
実施形態の音波検査装置1において、音波の送信及び受信の少なくとも一方の機能を有する音波探触子2は、高分子材料からなるシュー(中間部材)3に搭載されている。音波探触子2は、音波の送受信面、受信面、送信面等を有する。ここでは、音波探触子2の音波の送信面及び受信面の少なくとも一方として機能する面を音波機能面と称する。シュー3は音波探触子2の音波機能面と接しており、さらにシュー3の音波の送信面及び受信面の少なくとも一方として機能する外周面には、音波伝播部として機能する接触媒質4が設けられている。音波検査装置1は、接触媒質4が被検査体(被処理体)Xと接するように配置される。音波検査装置1は、例えばパルス反射方式を有し、被検査体Xからの音波を計測することにより、被検査体X内の傷等の非破壊検査が行われる。
【0013】
音波検査装置1は、さらにシュー3の外周に設けられた荷重負荷治具5を有している。音波検査装置1においては、まず荷重負荷治具5を介して音波探触子2が搭載されたシュー3に荷重を印加し、さらにシュー3を介して接触媒質4に荷重を印加する。これによって、接触媒質4と被検査体Xとの間で音波を効率よく伝播させることができ、被検査体Xの非破壊検査を精度よく実施することが可能になる。さらに、荷重負荷治具5によりシュー3に印加された荷重を取り除くことによって、音波検査装置1の接触媒質4は被検査体Xの上を滑らせることができる。これによって、音波検査装置1を被検査体Xの次の検査位置に移動させることができる。接触媒質4への荷重の印加は、接触媒質4に力を加える様々な機構及び方法により実施することができる。例えば、ステッピングモータやACサーボモータを用いた電動アクチュエータ、油圧や空圧を利用したアクチュエータ等によって、接触媒質4に荷重を印加することができる。
【0014】
図1に示す音波検査装置1において、音波探触子2は例えば超音波送受信機としての超音波プローブである。超音波プローブ2は、
図2に示すように、超音波探傷用の振動子(圧電体)6と、振動子6の上下両面に設けられた電極7とを有する超音波送受信素子8を備えている。超音波送受信素子8は受波板9上に配置されており、この状態でケース10内に収容されている。超音波送受信素子8の電極7は、ケース10に設けられたコネクタ11と電気的に接続されている。振動子6、超音波送受信素子8、受波板9等には、公知の超音波探触子に用いられる構成材料や構造等を適用することができ、特に限定されるものではない。また、音波探触子2がAEセンサ等の音波受信機である場合、AE受信用の振動子(圧電体)6を有する音波受信素子8が用いられる以外は、超音波プローブと同様な構成が適用される。その場合、AE受信用の振動子6、音波受信素子8、受波板9等には、公知のAEセンサに用いられる構成材料や構造等を適用することができ、
【0015】
音波探触子2として超音波プローブを適用した場合、振動子6に電極7から電圧を印加することで、受波板9を介して超音波を発信すると共に、受波板9を介して超音波の反射波を受信する。超音波プローブ2において、受波板9の超音波送受信素子8と接する面9aとは反対側の面9bが超音波の送信面及び受信面(送受信面)となる。音波探触子2としてAEセンサを適用した場合、被検査体内のAE(Acoustic Emission)による音波(弾性波)を振動子6が受波板9を介して受信する。AEセンサ2において、受波板9の音波受信素子8と接する面9aとは反対側の面9bが音波の受信面となる。音波探触子2において、超音波送受信素子又は音波受信素子(以下、総称して音波素子と記す場合がある。)6が配置された受波板9の音波素子6と接する面9aとは反対側の面9bが音波の送信面及び受信面の少なくとも一方として機能する音波機能面となる。
【0016】
図1に示す音波検査装置1において、接触媒質4は振動子6を含む音波素子9の音波の送信面及び受信面の少なくとも一方として機能する音波機能面9bにシュー3を介して設けられており、例えば図示しない接着層を介してシュー3に固定される。音波検査装置1は、
図1に示すように、接触媒質4の外表面が被検査体Xと接するように、被検査体X上に配置される。接触媒質4において、シュー3に対する固定面4aとは反対側の面4bが被検査体Xとの接触面を構成している。接触媒質4の被検査体Xとの接触面4bには、凹凸構造12が設けられている。音波探触子2として超音波プローブを適用した場合、超音波送受信素子8から発信された超音波は、受波板9、シュー3、及び接触媒質4を介して被検査体Xに伝播され、被検査体Xで反射された反射波は、接触媒質4、シュー3、及び受波板9を介して超音波送受信素子5に伝播される。また、音波探触子2としてAEセンサを適用した場合、被検査体内で発生した音波(弾性波)は、接触媒質4、シュー3、及び受波板9を介して音波送信素子5に伝播される。
【0017】
接触媒質4は、少なくともエラストマーを含むものであり、上記したように被検査体Xと接触するための接触面4bと、接触面4bに設けられた凹凸構造12とを有している。接触媒質4の第1の具体例としては、例えば
図3や
図4に示すように、少なくともエラストマーを含む接触媒質本体13と、接触媒質4の接触面4bに凹凸構造12を形成するように、接触媒質本体13の表面13aに設けられた凸部材14とを有する接触媒質4Aが挙げられる。
図3は接触媒質本体13の表面13aに凸部材14を設けただけの構成、
図4は接触媒質本体13の表面13aに凸部材14を設けると共に、凸部材14間に突起体15をさらに設けた構成を示している。接触媒質4の第2の具体例としては、例えば
図5や
図6に示すように、少なくともエラストマーを含む接触媒質本体13を有し、接触媒質4の接触面4bに凹凸構造12を形成するように、接触媒質本体13の表面13aに接触媒質本体13の一部からなる凸部16を設けた接触媒質4Bが挙げられる。
図5は断面が半円形の凸部16を示し、
図6は断面が矩形の凸部16を示している。
【0018】
上述したように、少なくともエラストマーを含む接触媒質4を用いることによって、荷重の印加時に接触媒質4と被検査体Xとの間で音波を効率よく伝播させることができ、かつ荷重を取り除いた時に接触媒質4を被検査体X上を移動させることができる。これらによって、音波検査装置1による非破壊検査精度の向上と音波検査装置1の移動性とを両立させることができる。すなわち、粘着性のあるエラストマーは、液体の接触媒体と同様に超音波等の音波を透過させることができる。これは、エラストマーのもつ変形特性、すなわち「超低弾性率」、「可逆的大変形」、「粘弾性」によって発現すると考えられる。
【0019】
エラストマーの摩擦力を測定すると、他の材料と比較すると圧倒的に大きく、場合によっては1を超えるような摩擦が観測されることがある。この大きな摩擦力の起源は、ファンデルワールス力を起源としたエラストマーの被検査体Xへの吸着力によるもので、変形により接触面積が極めて大きくなるために観測される現象である。金属のような硬質材料同士を接触させようとしても、接触面の極一部である粗さ、具体的には微小突起の先端のみが接触するに留まる。しかし、エラストマーのように弾性率が低い場合、同じ荷重でも接触面積が多くなるため、接触面積に応じて吸着力が増すことになる。また、エラストマーの粘弾性は、接触した吸着界面を引き剥がす力を増す方向に作用するので、これも摩擦係数を大きくする要因となる。このように、エラストマーは被検査体Xとの実質の(微視的な)接触面積が大きいため、超音波をよく通すことができる。ただし、超音波を通しやすいものほど、摩擦力が大きく剥がしづらくなってしまう。
【0020】
そこで、
図3や
図4に示す接触媒質4Aにおいては、接触媒質本体13の表面13aに凸部材14を設けている。凸部材14は、エラストマーを含む接触媒質本体13より弾性率が大きい材料により構成される。
図3や
図4に示すように、接触媒質4Aの凹凸構造12において、接触媒質本体13の表面13aに設けられた複数の凸部材14が凸部を構成し、凸部材(凸部)14間に凹部17が設けられ、凹部17の底辺に接触媒質本体13が存在している。このような接触媒質4Aによれば、
図7(A)に示すように、荷重が印加されていない状態では弾性率が大きい凸部材(凸部)14が被検査体Xに接触し、エラストマーを含む接触媒質本体13が被検査体Xに接触していないため、小さい摩擦力で移動させることができる。荷重が印加された状態では、エラストマーを含む接触媒質本体13が変形し凸部材(凸部)14間に突出して、接触媒質本体13が被検査体Xに接触した状態となるため、音波を効率的に伝播させることができる。
【0021】
また、
図5や
図6に示す接触媒質4Bにおいては、接触媒質本体13の表面13aに接触媒質本体13からなる凸部16を設けている。
図5や
図6に示すように、接触媒質4Bの凹凸構造12において、接触媒質本体13の表面13aに設けられた凸部16間に凹部17が存在している。このような接触媒質4Bによれば、
図8(A)に示すように、荷重が印加されていない状態では面積が小さい凸部16の表面が被検査体Xに接触しているため、小さい摩擦力で移動させることができる。荷重が印加された状態においては、エラストマーを含む接触媒質本体13からなる凸部16が変形し、接触媒質本体13が被検査体Xに密着するため、音波を効率的に伝播させることができる。凸部16は、荷重が印加されていない状態において被検査体Xとの接触面積が小さくなるように、断面が半円形等の形状、すなわち表面が曲面で形成された形状を有することが好ましい。
【0022】
図3及び
図4に示す接触媒質4Aや
図5及び
図6に示す接触媒質4Bにおいて、凸部114、16の寸法(最小幅)は、10μm以上500μm以下であることが好ましい。凸部114、16の最小幅が500μmを超えると、荷重が印加されていない状態で凸部14、16のみを被検査体Xに接触させることによる摩擦力の低減効果を十分に得ることができないおそれがある。凸部114、16の最小幅が10μm未満であると、荷重を印加した状態において接触媒質本体13を被検査体Xに十分に接触させることができないおそれがある。凹部17の寸法(最小幅)は10μm以上500μm以下であることが好ましい。この範囲を超える場合にも、接触媒質4A、4Bによる摩擦力の低減効果や被検査体Xへの接触面積の拡大効果を十分に得ることができないおそれがある。
【0023】
さらに、
図3及び
図4に示す接触媒質4Aにおいては、凹凸構造12を有する表面4bを法線方向から見た場合に、凹部17の総面積(平面に投影した面積)が凸部14の総面積(平面に投影した面積)より大きいことが好ましい。また、
図5及び
図6に示す接触媒質4Bにおいては、凹凸構造12を有する表面4bを法線方向から見た場合に、凸部16の総面積(平面に投影した面積)が凹部17の総面積(平面に投影した面積)より大きいことが好ましい。これらによって、接触媒質4と被検査体Xとの間の音波の伝播効率を高めることができる。凸部14、16の最小幅、凹部17の最小幅、凸部14、16の総面積と凹部17の総面積との比等は、接触媒質本体13に用いる材料のヤング率や音響インピーダンスに応じて適宜選択することが好ましい。
【0024】
接触媒質4A、4Bの厚さは10μm以上10mm以下が好ましい。接触媒質4A、4Bを構成する材料の音響インピーダンスやヤング率により適した厚さは異なるが、特に0.5mm以上2mm以下程度の厚さのときに、音波の伝播性能が高く、かつ被検査体X上の潤滑性も高めることができる。接触媒質4A、4Bの構成材料に含まれるエラストマーには、熱硬化性エラストマーと熱可塑性エラストマーとがあるが、実施形態の接触媒質4にはどちらも使用することができる。熱可塑性エラストマーとは、例えば弾性率の温度依存性が異なる2種類以上のポリマーの共重合体である。実施形態で用いられるエラストマーは、所定の粘弾性を有し、対象物に貼り付くことができるため、水や油類等の他の接触媒質と比べて周囲を汚染することがなく、また固体であるため、取り除きも容易であり、再利用も可能である。接触媒質4を押し付けることで、空気層を排除するために、用いるエラストマーの弾性定数(ヤング率)は0.1MPa以上0.1GPa以下であることが好ましい。材料の塑性が開始する応力である降伏応力は大きいことが好ましく、2MPa以上が好ましく、さらに20MPa以上であることがより好ましい。引張り強度も大きほうが好ましく、2MPa以上が好ましい。
【0025】
接触媒質4A、4Bを主として構成する熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー(SBC、TPS)、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー(TPVC)、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE、TPC)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。熱硬化性エラストマーとしては、ジエン系ゴムに分類されるスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、非ジエン系ゴムに分類されるイソブチレン・イソプレンゴム(IIR)のようなブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム、フッ素ゴム(FKM)、その他のゴムとして、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、アクリルゴム(ACM)、多硫化ゴム(T)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)等が挙げられる。耐熱性、耐摩耗性、耐油性、耐薬品性等、それぞれの材料により特徴を有することから、検査対象によって適宜選ぶことが好ましい。用途によっては、複数のエラストマーを混合してもよい。音波の透過を妨げない大きさ、すなわち概ね直径200μm以下の添加物を混合してもよい。
【0026】
接触媒質4A、4Bは、荷重を印加していないときは凹凸構造12の凸部14、16によって、被検査体Xの上を滑らせることができる。これは、凸部14を構成する材料が接触媒質本体13より硬い材料からなるか、もしくは凸部16が被検査体Xとの接触面積が小さい形状を有するためである。凸部14を構成する材料は接触媒質本体13を構成するエラストマーを含有する材料でもよいし、金属、セラミックス、酸化物等の他の材料を用いてもよい。また、一部のエラストマーは光照射等により変質させることができ、この現象を用いて凹凸構造を作製してもよい。例えば、シリコーンゴムに波長156nmの光を当てると、光の照射部分がSiO2を主成分とする材料に変質し、その部分がこぶのように突出する。これをそのまま接触媒質4Aに用いることもできる。
【0027】
接触媒質4A、4Bの構成材料は、環動エラストマーを含んでいてもよい。これはエラストマーのヤング率を下げ、ヒステリシスを低減するためである。環動エラストマーとは、ヤング率が極めて低いことで知られるポリロタキサン構造に代表される環動高分子材料である。ロタキサンは、大環状分子を棒状分子が貫通し、軸の両末端に嵩高い部位を結合させることで、立体障害でリングが軸から抜けなくなったものである。その構造的特徴は、以下の3つに分類される。すなわち、(1)環状分子と線状高分子との間に共有結合が存在しない、(2)多数の環状分子が線状高分子に沿って回転・滑り運動が可能である、(3)ポリロタキサン中の環状分子の化学修飾による機能付与が可能である。
【0028】
上述した環動エラストマーは、原料において、軸分子としてポリエチレングリコール、環状分子としてシクロデキストリン誘導体、キャッピング分子としてアダマンタンを用いたポリロタキサンが好適である。特に、ポリロタキサンにポリカプロラクトン等をグラフトし、他の高分子をブレンドして架橋したエラストマーは、弾性率が1kPa程度と極めて小さい。このようなエラストマーを構成材料として用いることによって、凹凸を有する被検査体Xの表面への追従性をより一層高めることができる。また、ヒステリシスも低減されるため、継続使用回数を増大させることができる。
【0029】
接触媒質4A、4Bの凹凸構造12の平面形状は、特に限定されるものではない。例えば、
図9、
図10、及び
図11に示すように、縦横の棒状突起18を交差させた平面形状が例示される。
図3及び
図4に示す接触媒質4Aにおいては、縦横の棒状の凸部材14をメッシュ状に編み込んだ部材を適用してもよい。この場合も、平面形状は
図11に示した縦横の棒状突起18を交差させた形状となる。なお、
図11において、黒塗り部分が凸部14、16であり、その間の白塗り部分が凹部17である。これは
図12ないし
図15においても同様である。
図3及び
図4に示す凸部14や
図5及び
図6に示す凸部16は、凸部が凸部材14で構成されているか、あるいは接触媒質本体13の一部で構成されているかの違いがあるものの、接触媒質4の凹凸構造12を有する面4bの法線方向から見た平面形状は、凸部14及び凸部16のいずれにも適用可能である。
【0030】
接触媒質4A、4Bの凹凸構造12の平面形状は、
図11に示す形状に代えて、
図12に示すように、縦横の棒状突起18の一方のみを並列配置した平面形状や、
図12に示すように、一対の棒状突起18が所定の角度で配置されるような平面形状であってもよい。これら棒状突起18を組み合わせた平面形状を凸部材14で構成する場合、棒状の凸部材14の直径等の太さは、適用する音の波長の1/5より小さいことが好ましく、これにより凸部材14が音波の伝播を阻害することを抑制することができる。また、凸部材14の構成材料は、摩擦に強い等の耐久性に優れるものが好ましい。これは以下に示す単独状の凸部を凸部材14で構成する場合も同様である。
【0031】
また、接触媒質4A、4Bの凹凸構造12の平面形状は、
図11ないし
図13に示す複数の棒状突起18が組み合わされた形状に代えて、
図14及び
図15に示すように、多角形の突起19を複数配置した形状であってもよい。
図14は六角形の突起19を複数配置した平面形状を示している。
図15は四角形の突起19を複数配置した平面形状を示している。多角形の突起19は、六角形や四角形に限られるものではなく、多角形の辺数nは特に限定されるものではない。具体的な多角形としては、辺数nが3以上8以下の多角形が挙げられる。この際、多角形の各辺は、直線状に限らず、曲線状であってもよい。また、単独に存在する突起17の形状は、円形や楕円形等の曲線で構成された形状であってもよい。突起18、19の断面形状は円形でも矩形でもよい。
【0032】
接触媒質4に荷重を印加する機構は、
図1に示したような荷重負荷治具5を介して荷重を印加する機構に限られるものでない。例えば、
図16に示すように、シュー3に機械式、油圧式、空気圧式、電磁式等のアクチュエータの圧力印加部材20を突き当て、圧力印加部材20からシュー3に直接荷重を印加し、これにより接触媒質4に荷重を印加するようにしてもよい。また、
図17に示すように、シュー3のような中間部材を介することなく、音波探触子2の音波機能面9bに直接接触媒質4を設けた場合には、音波探触子2に対してアクチュエータの圧力印加部材20を突き当て、接触媒質4に荷重を印加するようにしてもよい。接触媒質4に対する荷重機構は、接触媒質4に対して荷重を印加した状態と、荷重を取り除いた状態との間で切り替えることが可能であればよく、具体的な荷重の印加方式や印加部材の形状等は特に限定されるものではない。
【実施例】
【0033】
以下、実施例およびその評価結果について述べる。
【0034】
(実施例1、比較例1)
まず、ヤング率が0.1~10MPaで、厚さが2mmのエラストマーシートを複数用意した。次に、ナイロン製メッシュを5種類(くればぁ社製、目開き59~200μm、線径60~100μm)を用意した。エラストマーシートにメッシュを載せ、さらにその上に重しを載せた状態で、窒素雰囲気下にて120℃で20分間加熱し、常温に戻すことによって、ナイロン製メッシュをエラストマーシートに密着させた状態とした。周波数3.5MHzの超音波探触子の表面(超音波の送受信面)に、上記したエンエラスマーシートのメッシュが張り付いていない表面を張り付けた。
図17に示したように、超音波探触子に電磁アクチュエータを装着して、複数の超音波検査装置を作製した。
【0035】
上述した超音波検査装置の移動特性を評価した。最初に、せん断引張試験を実施して、自重のみでそれ以上に荷重をかけない状態で超音波検査装置(超音波探触子)を移動できるかを調べた。超音波探触子にロードセルを接続し、表面粗さRzが18μmのステンレス板の上に載せ、ステンレス板を低速移動させて、静摩擦係数を測定した。比較例として、メッシュを貼り付けていないエラストマーシートのみでも測定を行った。その結果、いずれのエラストマーにおいても、メッシュを設置していない場合は、静摩擦係数が極めて大きく、探触子を移動させるのが困難であったが、メッシュを設置した場合は、静摩擦係数が一様に小さくなり、移動させることが可能であることが分かった。結果を表1に示す。
【0036】
次に、超音波探傷試験を実施した。長さ300mmの炭素鋼ブロックを用意した。超音波を入射する面の表面粗さRzは18μmとし、超音波が跳ね返ってくる面の表面粗さRzは1.6μmとした。電磁アクチュエータで、超音波探触子に0.15MPaの荷重を印加し、炭素鋼ブロックに押し付けた条件で、探傷試験を行った。その結果を摩擦係数の結果と共に表1に示す。メッシュの目開きが大きいほど、反射波波形の振幅が大きく、良好である。エラストマーのヤング率が10MPa以上になると、反射波波形の振幅は小さくなり、超音波探傷が難しくなる。また、エラストマーに環状エラストマーであるポリロタキサンを混合したものは、ヤング率が小さく、ヒステリシスも小さいため、超音波検査用接触媒質に適していることが分かった。なお、表1において、試料番号2~9、11~15、17~21が実施例、試料番号1、10、16が比較例である。
【0037】
【0038】
(実施例2、比較例2)
図5、
図6、及び
図11ないし
図15に示す接触媒質を形成するための型を用意した。寸法や形状は表2に示す通りである。次に、熱可塑性エラストマーを用意し、高熱で型に流し込み、所望の凹凸構造を有する接触媒質を得た。
図16に示す射角の超音波探触子のシューに、上記した接触媒質を貼り付けた。このとき、凹凸を形成した面が被検査体側に位置するように接触媒質を貼り付けた。用いた超音波探触子の周波数は2MHzである。
【0039】
上述した超音波検査装置の移動特性を評価した。最初に、せん断引張試験を実施して、自重のみでそれ以上に荷重をかけない状態で超音波検査装置(超音波探触子)を移動できるかを調べた。超音波探触子にロードセルを接続し、表面粗さRzが18μmのステンレス板の上に載せ、ステンレス板を低速移動させて、静摩擦係数を測定した。比較例として、凹凸構造を形成していないエラストマーシートのみでも測定を行った。その結果、いずれのエラストマーにおいても、凹凸構造を形成していない場合は、静摩擦係数が極めて大きく、探触子を移動させるのが困難であったが、凹凸構造を形成した場合は、静摩擦係数が一様に小さくなり、移動させることが可能であることが分かった。結果を表2に示す。
【0040】
次に、超音波探傷試験を実施した。長さ300mmの炭素鋼ブロックを用意した。超音波を入射する面の表面粗さRzは18μmとし、超音波が跳ね返ってくる面の表面粗さRzは1.6μmとした。油圧式アクチュエータで、超音波探触子に0.2MPaの荷重を印加し、炭素鋼ブロックに押し付けた条件で、探傷試験を行った。その結果を摩擦係数の結果と共に表1に示す。凹凸形状によって、反射波波形の振幅が大きく、良好である。なお、表2において、試料番号22~29が実施例、試料番号30が比較例である。
【0041】
【0042】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1…超音波検査装置、2…音波探傷子、3…シュー、4…接触媒質、6…振動子、13…接触媒質本体、14…凸部材(凸部)、16…凸部、17…凹部。