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  • 特許-機械式駐車装置 図1
  • 特許-機械式駐車装置 図2
  • 特許-機械式駐車装置 図3
  • 特許-機械式駐車装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20231002BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
E04H6/42 C
E04H6/18 601G
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020031499
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021134557
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】金井 大樹
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-127690(JP,A)
【文献】特開2017-002524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/42
E04H 6/18
E04H 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗込室内に乗り込ませた駐車車両が昇降装置を用いて格納スペースへと搬送されて格納される機械式駐車装置において、
前記乗込室内に、前記駐車車両のリヤ側の高さ方向の許容値を超える突出を検出する高さ方向検出装置を備え、
前記高さ方向検出装置は、前記駐車車両における幅方向両側に分散されて所定高さ位置でそれぞれ対向するように取り付けられた発光部および受光部を有してビームを投受光する構成とされ、
前記所定高さ位置は、前記格納スペース内において、前記駐車車両を側面から見た前記リヤ側のすみ切りの範囲に突出する固定構造部材に前記駐車車両のリヤ側でボディから上方に突出する突出物である飾り部品が干渉しない位置とされ、
前記駐車車両における前記突出物が、高さ方向で前記発光部と前記受光部間のビームを遮ったときに、前記突出物が前記所定高さ位置の許容値を超えたことを検出する異常検出部を有する、
機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗込室を有した機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の機械式駐車装置として、特開2017-2524号公報(特許文献1)および特開2017-2525号公報(特許文献2)に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1には、仮想上の駐車スペースの幅方向の上端両側に設定された正面すみ切り部の内面に沿って、光ビームを照射する光電センサを備える機械式駐車装置が記載されている。
【0004】
また特許文献2には、車両が入庫する入庫部に設けられ、仮想上の駐車スペースの上部を水平に延び両端部が前記駐車スペースの幅方向外面に沿って下方に延びる上下動可能な検出フレームと、前記検出フレームに取り付けられ、前記駐車スペースの幅方向の上端両側に設定された正面すみ切り部の内面に沿って、第1光ビームを照射する第1光電センサとを備える機械式駐車装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-2524号公報
【文献】特開2017-2525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の機械式駐車装置は、駐車車両のリヤ側に飾り部品等の高さ方向に突出した突出物が存在する場合、そのまま機械式駐車装置側に送り込んでしまうと、機械式駐車装置側の固定部分に飾り部品等を衝突または接触させて破損させてしまう危険があり、このようなトラブルを回避することはできなかった。
【0007】
本発明の目的は、駐車車両の少なくともリヤ側に設けられた飾り部品等の高さ方向に突出した突出物が機械式駐車装置側との衝突または接触させて破損させてしまうのを未然に防止することができるようにした機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る機械式駐車装置は、乗込室内に乗り込ませた駐車車両を格納スペースへと搬送して格納する機械式駐車装置において、前記駐車車両の少なくともリヤ側における両側に分散されて所定高さ位置でそれぞれ対向するように取り付けられた発光部および受光部と、前記駐車車両におけるリヤ側の高さ方向で前記発光部と前記受光部間のビームを遮ったときに高さ方向の許容値を超えた突出物の存在を検出する異常検出部を有した高さ方向検出装置を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1態様に係る機械式駐車装置によれば、異常検出部でビームの遮光信号を取り込んだとき、機械式駐車装置側の構造物によって損傷する危険がある駐車車両の高さ方向の突出物を検出することができるので、飾り部品等の突出物の破損を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例による機械式駐車装置の乗込室を示す平面図である。
図2図1に示した乗込室の正面図である。
図3図1に示した乗込室の側面図である。
図4図1に示した機械式駐車装置による駐車車両の搬送中の危険状態を便宜的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1図2および図3は、本発明の一実施例による機械式駐車装置の乗込室を示す平面図、背面図および側面図である。
【0013】
乗込室1は、駐車車両2のための扉3Aを備えた出入口3を有しており、乗込室1内には、既に準備されたトレー4が配置されている。駐車車両の運転手は、出入口3から進入させた駐車車両2をトレー4上の所定位置に停止させた後、乗込室1を後にする。その後、トレー4に搭載された状態の駐車車両2は、例えば昇降装置を用いて地下側の格納スペースへと搬送されて格納される。
【0014】
乗込室1内には、図1および図3に示すように駐車車両2におけるフロント側での高さ方向の許容値を超えた突出を検出する第一の高さ方向検出装置5と、図1図3に示すように駐車車両2におけるリヤ側での高さ方向の許容値を超えた突出を検出する第二の高さ方向検出装置6が配置されている。
【0015】
第一の高さ方向検出装置5は、トレー4および駐車車両2のフロント側における両側に分散されて配置された支持柱7A,7Bと、支持柱7A,7Bに所定高さ位置でそれぞれ対向するように取り付けられた発光部8Aおよび受光部8Bと、駐車車両2におけるフロント側の高さ方向で発光部8Aと受光部8B間のビーム9を遮ったときに高さ方向の許容値を超えた突出物13の存在を検出する異常検出部等を有して構成されている。
【0016】
第二の高さ方向検出装置6は、トレー4および駐車車両2のリヤ側における両側に分散されて配置された支持柱10A,10Bと、支持柱10A,10Bに所定高さ位置でそれぞれ対向するように取り付けられた発光部11Aおよび受光部11Bと、駐車車両2におけるリヤ側の高さ方向で発光部11Aと受光部11B間のビーム12を遮ったときに高さ方向の許容値を超えた突出物13の存在を検出する異常検出部等を有して構成されている。
【0017】
ここで、各ビーム9,12の高さおよび位置は、トレー4上に搭載された状態の駐車車両2を昇降装置等を使用して搬送し格納スペースへと格納する一連の移動中に、駐車車両2の突出物13が機械式駐車装置側の固定構造部材等に衝突および接触しない許容範囲を越えて突出したことを検出できるように選定されている。駐車車両2の突出物13としては、例えば駐車車両2のリヤ側に取り付けられた飾り部品等を想定している。
【0018】
この検出対象となる駐車車両2側における突出物13の特定に応じて、駐車車両2のフロント側に配置した第一の高さ方向検出装置5を省略することもできる。また、トレー4上まで乗り込まれた駐車車両2が所定の停止位置となったとき、駐車車両2の長手方向両端部および幅方向両端部の異常突出を検出するために、高さ方向検出装置5,6と類似した構成の位置検出装置を高さ方向検出装置5,6の近傍に構成し、この位置検出装置と高さ方向検出装置5,6の異常検出部が連動するようにすることもできる。
【0019】
駐車車両2の運転手が上述した機械式駐車装置を利用して駐車する場合、乗込室1の出入口3から駐車車両2を運転してトレー4上に乗り込ませ、駐車車両2をトレー4上の所定位置に停止させる。
【0020】
このとき、駐車車両2のフロント側に構成されている第一の高さ方向検出装置5は、発光部8Aから受光部8B間にビーム9を照射している。また駐車車両2のリヤ側に構成されている第二の高さ方向検出装置6は、発光部11Aから受光部11B間にビーム12を照射している。
【0021】
従って、図3に示すように駐車車両2のリヤ側に上方への突出物13である飾り部品が装着されている場合、第二の高さ方向検出装置6は、この飾り部品によってビーム12が遮光されるかどうかを監視している。飾り部品が高さ方向の許容値を超えていないとき、第二の高さ方向検出装置6の異常検出部は、異常を検出しない。
【0022】
しかし、駐車車両2のリヤ側に、上方への突出物13である飾り部品が装着されていて、かつ飾り部品が高さ方向の許容値を超えているとき、第二の高さ方向検出装置6が設置されていない機械式駐車装置では、駐車車両2が乗込室1から格納スペースへと搬送されてしまう。
【0023】
図4は、このときの駐車車両近傍を便宜的に示した側面図である。
【0024】
同図に示すように、駐車車両2のリヤ側に取り付けられた飾り部品等の突出部13が高さ方向の許容値を超えているため、機械式駐車装置のすみ切りなどの固定構造部材14に突出物13が衝突したり接触したりして、飾り部品を損傷させてしまう危険がある。
【0025】
上述したように、このような飾り部品を付けた駐車車両2においては、図1図3に示した第二の高さ方向検出装置6のビーム12を遮光する。第二の高さ方向検出装置6は、詳細な図示を省略したが、ビーム12の遮光信号を取り込む異常検出部と、異常検出部での検知があったときに運転手に通知する異常報知部などを有しており、異常検出部でビーム12の遮光信号を取り込んだとき、運転手が駐車車両2内もしくはその近傍にいる間に、異常報知部によって異常を報知する。この異常報知は、例えば、近傍に配置されたスピーカからの警報や音声や、強調された表示などによって運転手に通知される。
【0026】
これによって、駐車車両2の運転手は飾り部品を取り外したり、駐車を断念するなどの処置を講じたりすることができ、結果として飾り部品の破損を未然に防ぐことができる。
【0027】
尚、上述した第一の高さ方向検出装置5および第二の高さ方向検出装置6の具体的な構成は、図示のものに限らず採用することができる。また、本発明は、垂直循環方式、エレベータ方式、多層循環方式、水平循環方式など種々の機械式駐車装置に適用することができる。
【0028】
以上説明したように本発明は、乗込室1内に乗り込ませた駐車車両2を格納スペースへと搬送して格納する機械式駐車装置において、駐車車両2の少なくともリヤ側における両側に分散されて所定高さ位置でそれぞれ対向するように取り付けられた発光部11Aおよび受光部11Bと、駐車車両2におけるリヤ側の高さ方向で発光部11Aと受光部11B間のビーム12を遮ったときに高さ方向の許容値を超えた突出物13の存在を検出する異常検出部を有した高さ方向検出装置6を設けたことを特徴とする。
【0029】
このような構成によれば、異常検出部でビーム12の遮光信号を取り込んだとき、機械式駐車装置側の固定構造部材によって損傷する危険がある駐車車両2の高さ方向の突出物13を検出することができるので、飾り部品等の破損を未然に防ぐことができる。
【符号の説明】
【0030】
1 乗込室
2 駐車車両
6 高さ方向検出装置
11A 発光部
11B 受光部
12 ビーム
13 突出物
図1
図2
図3
図4