(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】浴室の水栓システム
(51)【国際特許分類】
E03C 1/044 20060101AFI20231002BHJP
E03C 1/05 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
E03C1/044
E03C1/05
(21)【出願番号】P 2020057571
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 高賀夫
(72)【発明者】
【氏名】山口 真樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 成吾
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-306(JP,A)
【文献】特開平10-323296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00- 1/10
A47K 3/02- 4/00
F24D 17/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内に吐水する水栓と、
該水栓に冷水及び温水を供給する各管路の途中に設けられ、冷水及び温水の供給源側への水の逆流を阻止する逆流防止弁と、
該逆流防止弁及び前記水栓の間で、冷水及び温水を混合させ、その混合比を調整する混合弁と
を備える浴室の水栓システムであって、
前記水栓が閉じられた状態で、前記逆流防止弁及び前記水栓の間で密閉された領域の水温が警戒温度を超えると、前記水栓を開放して浴室内に吐水する制御装置を備える
浴室の水栓システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記混合弁へ供給される冷水の温度を、前記逆流防止弁の上流側で検出する供給水温度センサを備え、
前記制御装置は、前記密閉された領域の水温が警戒温度を超えたか否かの判定を、前記供給水温度センサの検出水温が警戒温度を超えるか否かに基づいて行う
浴室の水栓システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記混合弁の下流側の水温を検出する混合水温度センサを備え、
前記制御装置は、前記密閉された領域の水温が警戒温度を超えたか否かの判定を、前記混合水温度センサの検出水温が所定温度を超え、且つ時間経過と共に上昇するか否かに基づいて行う
浴室の水栓システム。
【請求項4】
請求項1において、
前記混合弁の下流側の水温を検出する混合水温度センサを備え、
前記制御装置は、前記密閉された領域の水温が警戒温度を超えたか否かの判定を、前記混合水温度センサの検出水温が時間経過と共に下降する場合を除いて、所定温度を超えるか否かに基づいて行う
浴室の水栓システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかにおいて、
前記水栓は、浴室内への吐水をカランから行うかシャワーから行うかを切り替える切替弁を含み、前記制御装置により開放される水栓は、カランから吐水する前記切替弁である
浴室の水栓システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室に設定温度の水を供給する水栓システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の発明は、浴室等に適用される水栓システムに係る。この水栓システムは、混合弁からの吐水温度が設定温度となるように、混合弁で混合する冷水及び温水の混合比をフィードバック制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴室をミストサウナ、乾燥室として使用可能に構成するものがある。また、浴室を暖房可能に構成するものがある。このように構成された浴室では、浴室がミストサウナ、乾燥室として使用された場合、若しくは浴室を暖房する場合、浴室に設置された水栓が高温に晒されて、水栓により密閉された領域の内部水が高温となり、内部水の圧力上昇により水栓が損傷を受ける恐れがある。
【0005】
本発明の課題は、水栓を閉じることで内部に水が密閉された領域が形成される浴室の水栓システムにおいて、密閉された領域内の水の圧力が高くなる状況では密閉状態を開放することにより、内部水の圧力上昇による水栓への悪影響を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、浴室内に吐水する水栓と、該水栓に冷水及び温水を供給する各管路の途中に設けられ、冷水及び温水の供給源側への水の逆流を阻止する逆流防止弁と、該逆流防止弁及び前記水栓の間で、冷水及び温水を混合させ、その混合比を調整する混合弁とを備える浴室の水栓システムであって、前記水栓が閉じられた状態で、前記逆流防止弁及び前記水栓の間で密閉された領域の水温が警戒温度を超えると、前記水栓を開放して浴室内に吐水する制御装置を備える。
【0007】
第1発明において、水栓は、カランかシャワーのいずれかに切り替えて吐水する切替弁である。また、逆流防止弁は、逆止弁でよいが、電磁弁により構成してもよい。この電磁弁は、逆流が発生する状況で電磁弁が閉じられるものとする。制御装置において、密閉された領域の水温が予め設定された温度を超えたか否かを判定する構成は、各種構成が採用可能である。制御装置により開放される水栓は、カランかシャワーのいずれでもよい。
【0008】
第1発明によれば、浴室をミストサウナ、乾燥室として使用する、又は浴室を暖房するなどにより、逆流防止弁と水栓との間で密閉された領域の水温が警戒温度を超えると、水栓を開放する。そのため、上記密閉された領域の水圧が上昇することを抑制して、水栓に損傷を与えるなどの不具合の発生を抑制することができる。
【0009】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記混合弁へ供給される冷水の温度を、前記逆流防止弁の上流側で検出する供給水温度センサを備え、前記制御装置は、前記密閉された領域の水温が警戒温度を超えたか否かの判定を、前記供給水温度センサの検出水温が警戒温度を超えるか否かに基づいて行う。
【0010】
第2発明によれば、密閉された領域の水温の上昇を供給水温度センサにより検出する。供給水温度センサは、常時は冷水の温度を検出しており、密閉された領域の水温が上昇したとき、その影響で流れの停まった冷水の温度が上昇するのを検出する。そのため、密閉された領域の水温の上昇を供給水温度センサにより容易に検出することができる。
【0011】
本発明の第3発明は、上記第1発明において、前記混合弁の下流側の水温を検出する混合水温度センサを備え、前記制御装置は、前記密閉された領域の水温が警戒温度を超えたか否かの判定を、前記混合水温度センサの検出水温が所定温度を超え、且つ時間経過と共に上昇するか否かに基づいて行う。
【0012】
第3発明によれば、密閉された領域の水温の上昇を混合水温度センサにより検出する。混合水の温度は、混合弁の混合比の調整により頻繁に変動するが、水温が高く、その水温が徐々に上昇することを判断して、浴室をミストサウナ、乾燥室として使用する、又は浴室を暖房するなどにより、密閉された領域の水温が上昇した状況にあることを検出することができる。従って、混合弁の混合比を調整するために混合水温度センサが使用される場合は、それを利用して密閉された領域の水温が上昇したことを検出することができる。
【0013】
本発明の第4発明は、上記第1発明において、前記混合弁の下流側の水温を検出する混合水温度センサを備え、前記制御装置は、前記密閉された領域の水温が警戒温度を超えたか否かの判定を、前記混合水温度センサの検出水温が時間経過と共に下降する場合を除いて、所定温度を超えるか否かに基づいて行う。
【0014】
第4発明によれば、混合水の温度が一時的に上昇して、その後低下する場合を除いて、密閉された領域の水温の上昇を混合水温度センサにより検出する。混合弁に温水が流入して一時的に混合水の温度が高くなり、その後、時間経過と共に徐々に低下することは有り得る。そのため、このようなときを除いて混合水の温度上昇を検出することにより、浴室をミストサウナ、乾燥室として使用する、又は浴室を暖房するなどにより、密閉された領域の水温が上昇したことを検出することができる。従って、混合弁の混合比を調整するために混合水温度センサが使用される場合は、それを利用して密閉された領域の水温が上昇したことを検出することができる。
【0015】
本発明の第5発明は、上記第1~第4発明のいずれかにおいて、前記水栓は、浴室内への吐水をカランから行うかシャワーから行うかを切り替える切替弁を含み、前記制御装置により開放される水栓は、カランから吐水する前記切替弁である。
【0016】
第5発明によれば、浴室をミストサウナとして使用する、又は浴室を暖房するなどにより、密閉された領域の水温が上昇したとき、カランから吐水して密閉された領域の水温を低下させる。そのため、入浴中の人がシャワーから高温の水を浴びることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態のシステム構成図である。
【
図2】上記実施形態における制御部による制御内容を示すフローチャートである。
【
図3】
図2のフローチャートにおける異常処理ルーチンの第1例を示すフローチャートである。
【
図4】
図2のフローチャートにおける異常処理ルーチンの第2例を示すフローチャートである。
【
図5】
図2のフローチャートにおける異常処理ルーチンの第3例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<一実施形態の構成>
図1は、本発明の水栓システムの一実施形態をシステム構成図により示す。
【0019】
混合弁11は、常温の水を加熱して得られる温水を管路16から取り入れ、常温の冷水を管路17から取り入れて、それら温水及び冷水の混合比を変化させて下流へ送る水の温度を調整する。管路16、17には、逆流防止弁である逆止弁23、24がそれぞれ設けられている。逆止弁23、24は、混合弁11により混合された水が温水供給源、冷水供給源に逆流するのを阻止するように構成されている。混合弁11は、公知のものであり、温水及び冷水が混合されて温度調整された後の水は管路18へ吐出される。管路18の水は、切替弁13に送られる。切替弁13は、混合弁11からの水を管路19に設けられた浴室のカラン21に流すか、管路20に設けられた浴室のシャワー22に流すかを切り替える。しかも、切替弁13は、カラン21又はシャワー22からの吐水量を調整する。
【0020】
混合弁11及び切替弁13は、駆動部12、14を備え、駆動部12、14は、共にモータを含んで構成されている。混合弁11は、駆動部12によって温水及び冷水の混合比を変化される。また、切替弁13は、駆動部14によって混合弁11からの水をカラン21かシャワー22かどちらかに流すように切り替えられる。しかも、切替弁13は、カラン21又はシャワー22からの吐水量を調整する。
【0021】
駆動部12及び14は、制御部(本発明の制御装置に相当)30の出力を受けて作動を制御される。制御部30は、コンピュータ(図示略)を含んで構成されている。制御部30には、操作部40並びに混合水温度センサ51及び供給水温度センサ52の信号が入力されている。操作部40は、温度設定操作部41、吐水形態設定操作部42及び吐水量設定操作部43を含む。温度設定操作部41は、カラン21又はシャワー22からの吐水温度を使用者が任意に設定する際に操作されるものである。温度設定操作部41により設定温度に関する信号が制御部30に入力される。なお、温度設定操作部41は、外気温等の入力情報に基づいて自動的に設定されるように構成することもできる。また、吐水形態設定操作部42は、カラン21から吐水するか、シャワー22から吐水するかを使用者が任意に設定する際に操作されるものである。吐水形態設定操作部42によりカラン21又はシャワー22のどちらからの吐水が選択されたかの信号が制御部30に入力される。更に、吐水量設定操作部43は、カラン21又はシャワー22からの吐水量を使用者が任意に設定する際に操作されるものである。吐水量設定操作部43により吐水量に関する信号が制御部30に入力される。一方、混合水温度センサ51は、混合弁11と切替弁13とをつなぐ管路18の水の温度を検出して、その水温に関する信号を制御部30に入力する。また、供給水温度センサ52は、逆止弁24の上流側の管路17における水の温度を検出して、その水温に関する信号を制御部30に入力する。
【0022】
<制御部による制御内容>
図2は、制御部30のコンピュータによる制御内容を示す。
図2の湯水混合制御ルーチンが実行されると、まず、後述の異常処理ルーチンS20が実行される。その後、ステップS1において、温度設定操作部41による設定温度に関する信号を取り込む。次のステップS2では、温度設定操作部41による設定温度、並びに混合水温度センサ51によって検出されている温度に基づいて予め決められた量だけ駆動部12を駆動して、混合弁11の弁体(図示略)の位置を暫定的に設定する。駆動部12の駆動量は、所定の演算式若しくはマップに基づいて決定される。ステップS3では、吐水形態設定操作部42による設定状態に関する信号を取り込む。また、ステップS4では、吐水量設定操作部43による設定吐水量に関する信号を取り込む。そして、ステップS5では、吐水形態設定操作部42により設定された吐水形態に基づいて、カラン21若しくはシャワー22から吐水するように切替弁13の駆動部14を駆動する。また、吐水量設定操作部43による設定に基づいた量だけカラン21若しくはシャワー22から吐水するように駆動部14を駆動する。
【0023】
ステップS6では、混合水温度センサ51により検出される水温に関する信号を取り込む。そして、ステップS7において、設定温度と検出された水温との偏差が許容値X以上か否かが判定される。偏差が許容値X以上の場合は、ステップS8において、ステップS6で取り込んだ混合水温度センサ51の検出水温が温度設定操作部41により設定された設定温度以上か否かが判定される。検出水温が設定温度以上の場合は、ステップS8が肯定判断され、ステップS9において、混合弁11の弁体を冷水増加側へ動かすように駆動部12を所定量駆動する。その結果、混合弁11には管路17からの冷水がそれまでより多く入るようになり、混合弁11から管路18を通じて吐出される水の温度がそれまでよりも低下される。一方、検出水温が設定温度未満の場合は、ステップS8が否定判断され、ステップS10において、混合弁11の弁体を温水増加側へ動かすように駆動部12を所定量駆動する。その結果、混合弁11には管路16からの温水がそれまでより多く入るようになり、混合弁11から管路18を通じて吐出される水の温度がそれまでよりも上昇される。このようにステップS7~S10の処理を繰り返すことにより混合弁11からの水の温度が設定温度と一致する(正確には、設定温度±許容値Xとなる)ようにフィードバック制御される。ステップS7において、偏差が許容値X未満の場合は、ステップS7が否定判断されてステップS8以降の処理はスキップされる。
【0024】
<異常処理ルーチンの第1例>
図3は、
図2の異常処理ルーチンS20の第1例を示す。この異常処理ルーチンが起動されると、まずステップS22において、供給水温度センサ52からの検出温度が取り込まれる。次のステップS23では、供給水温度センサ52により検出された水温が予め決められた第1所定温度X1以上か否かが判定される。第1所定温度X1は、本発明における警戒温度に相当し、例えば60度程度に設定される。
【0025】
切替弁13が閉じられている状態では、逆止弁23、24と切替弁13との間の管路16~18に水が密閉される。この状態で、浴室がミストサウナ又は乾燥室として使用された場合、若しくは浴室を暖房する場合、浴室に設置された水栓であるカラン21及びシャワー22が高温に晒される。やがてカラン21及びシャワー22からの高温の伝熱により、逆止弁23、24及び切替弁13により密閉された領域の内部水が高温となる。供給水温度センサ52は、管路17の冷水の温度を検出しているが、上記内部水の温度が高温となると、その高温が管路17の冷水にも徐々に伝わる。その結果、供給水温度センサ52により検出された水温が第1所定温度X1以上になると、ステップS23は肯定判断され、ステップS24において切替弁13が作動され、カラン21から少量の吐水が行われる。そのため、逆止弁23、24及び切替弁13により密閉された領域には管路16、17、18、19を通じて水が流れ、上記領域の内部水の温度が低下される。従って、上記領域の内部水の温度の上昇による圧力の上昇が抑制され、逆止弁23、24、混合弁11及び切替弁13を損傷させる不具合の発生を抑制することができる。カラン21から吐水が行われることによって管路17から管路18に水が流れるため、供給水温度センサ52の検出温度は冷水供給源からの水温程度まで低下する。
【0026】
次のステップS25では、供給水温度センサ52によって検出される温度が第1所定温度X1よりも低く設定された第2所定温度X2以下か否かが判定される。第2所定温度X2は、例えば30度程度に設定される。供給水温度センサ52によって検出される温度が、第2所定温度X2以下となるまではステップS25は否定判断されるが、第2所定温度X2以下となってステップS25が肯定判断されると、ステップS26において、切替弁13を閉じてカラン21からの吐水を停止する。その後の異常処理ルーチンでは、供給水温度センサ52によって検出される温度が第1所定温度X1以上になるまでは、ステップS23は否定判断されて、ステップS24以下の処理がスキップされる。
【0027】
以上のとおり、異常処理ルーチンでは、浴室がミストサウナ又は乾燥室として使用された場合などに、逆止弁23、24及び切替弁13により密閉された領域の内部水が高温となると、供給水温度センサ52がそれを検出して、カラン21から吐水するように切替弁13を開く。そのため、逆止弁23、24及び切替弁13により密閉された領域には、混合弁11により温度調整された水が流入し、内部水の温度を低下させる。従って、逆止弁23、24、混合弁11及び切替弁13を損傷させる不具合の発生を抑制することができる。
【0028】
<異常処理ルーチンの第2例>
図4は、
図2の異常処理ルーチンS20の第2例を示す。
図4の異常処理ルーチンの第2例が
図3の異常処理ルーチンの第1例に対して相違する点は、逆止弁23、24及び切替弁13により密閉された領域の内部水の温度上昇を供給水温度センサ52ではなく、混合水温度センサ51により検出する点である。混合水温度センサ51により内部水の温度上昇を検出する以外の処理内容は、
図4の異常処理ルーチンにおいても
図3の異常処理ルーチンと同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
【0029】
ステップS22Aでは、混合水温度センサ51によって検出される温度を取り込む。次のステップS23Aでは、混合水温度センサ51によって検出される温度が第3所定温度X3以上か否かが判定される。また、ステップS23Bでは、混合水温度が第3所定温度X3以上となって後、所定時間が経過したか否かが判定される。所定時間が経過すると、ステップS23Bが肯定判断され、ステップS23Cにおいて、混合水温度が所定時間内で時間経過と共に上昇したか否かが判定される。従って、ステップS23A~S23Cでは、混合水温度が第3所定温度X3以上で、且つ時間経過と共に温度上昇したか否かを判定している。第3所定温度X3は、本発明の所定温度に相当し、例えば60度程度とされ、所定時間は5秒程度とされる。
【0030】
ステップS23A~S23Cが全て肯定判断されると、ステップS24において切替弁13が開かれてカラン21から少量の吐水が行われる。そのため、逆止弁23、24及び切替弁13により密閉された領域には管路16、17、18、19を通じて水が流れ、上記領域の内部水の温度が低下される。
【0031】
切替弁13が開かれたとき、管路18には、混合弁11を介して管路16からの温水と管路17からの冷水の両方が流入する。混合弁11は管路18に温度設定操作部41によって設定された温度の水が流れるように調整されているため、混合弁11を介して管路18に流入する混合水の温度は第2所定温度(例えば、30度)に比べて低い温度とされる。例えば、温度設定操作部41によって設定された温度は40度程度とされるのが普通であるので、混合弁11を介して管路18に流入する水の温度は40度程度とされる。しかも、切替弁13が開かれるまでは混合水温度は第3所定温度X3以上となっていたため、切替弁13が開かれた当初は、混合弁11には管路17からの冷水が管路16からの温水よりも多く流入し、混合弁11からの吐水温は40度よりも低くなる。
【0032】
ステップS25Aでは、混合水温度センサ51によって検出される温度が第2所定温度X2以下か否かが判定される。第2所定温度X2は、例えば30度程度に設定される。混合水温度センサ51によって検出される温度が、第2所定温度X2以下となるまではステップS25Aは否定判断されるが、第2所定温度X2以下となってステップS25Aが肯定判断されると、切替弁13を閉じてカラン21からの吐水を停止する。その後の異常処理ルーチンでは、混合水温度センサ51によって検出される温度が第3所定温度X3以上で、且つ時間経過と共に温度上昇するまでは、ステップS23A、S23Cは否定判断されて、ステップS24以下の処理がスキップされる。
【0033】
異常処理ルーチンを
図4のものとした場合でも、
図3の異常処理ルーチンの場合と同様に、浴室がミストサウナ又は乾燥室として使用された場合などに、逆止弁23、24及び切替弁13により密閉された領域の内部水が高温となるのを抑制して、逆止弁23、24、混合弁11及び切替弁13を損傷させる不具合の発生を抑制することができる。
【0034】
図4の異常処理ルーチンの第2例では、逆止弁23、24及び切替弁13により密閉された領域の内部水の温度の異常な上昇を混合水温度センサ51により検出している。そのため、供給水温度センサ52を設ける必要がなくなり、システム構成を簡素化することができる。但し、上記内部水の温度の異常な上昇を混合水温度センサ51により検出するためには、上述したように、混合水温度センサ51によって検出される水温が第3所定温度X3以上で、且つ時間経過と共に温度上昇するか否かを判定する必要がある。これは、混合水の温度を高めるために、混合弁11に80度程度の温水が流入して一時的に混合水の温度が高くなり、その後、時間経過と共に混合水の温度が徐々に低下した場合と区別する必要があるからである。
【0035】
<異常処理ルーチンの第3例>
図5は、
図2の異常処理ルーチンS20の第3例を示す。
図5の異常処理ルーチンの第3例が
図4の異常処理ルーチンの第2例に対して相違する点は、逆止弁23、24及び切替弁13により密閉された領域の内部水の温度が高くなっていることに関する混合水温度センサ51の検出温度による判定の仕方を変更した点である。係る判定の仕方以外の処理内容は、
図5の異常処理ルーチンにおいても
図4の異常処理ルーチンと同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
【0036】
図5の異常処理ルーチンの第3例では、ステップS23A、S23B、S23Dにおいて、混合水温度センサ51によって検出される水温が第3所定温度X3以上で、且つ時間経過と共に温度が下降するか否かを判定している。
図4の異常処理ルーチンの第2例と比べると、時間経過と共に温度が上昇しているか下降しているかの違いがある。上述のように、混合水温度が第3所定温度X3以上で、且つ時間経過と共に温度が上昇する状況は、浴室がミストサウナ又は乾燥室として使用された場合などに、逆止弁23、24及び切替弁13により密閉された領域の内部水が高温となる場合である。それに対し、混合水温度が第3所定温度X3以上で、且つ時間経過と共に温度が下降する状況は、上述のように混合水の温度を高めるために、混合弁11に80度程度の温水が流入して一時的に混合水の温度が高くなり、その後、時間経過と共に温水の流入が減少して混合水の温度が徐々に低下した場合である。従って、ステップS23Dが否定判断される場合は、前者の場合であり、肯定判断される場合は、後者の場合であると判断することができる。
【0037】
そのため、ステップS23Dが否定判断される場合は、ステップS24以降の処理によって、上述のようにカラン21から少量の吐水を行って、逆止弁23、24及び切替弁13により密閉された領域の内部水の温度を低下させる。一方、ステップS23Dが肯定判断される場合は、ステップS24以降の処理がスキップされる。
【0038】
図5の異常処理ルーチンでも、
図4の異常処理ルーチンの場合と同様に、浴室がミストサウナ又は乾燥室として使用された場合などに、逆止弁23、24及び切替弁13により密閉された領域の内部水が高温となるのを抑制して、逆止弁23、24、混合弁11及び切替弁13を損傷させる不具合の発生を抑制することができる。
【0039】
<他の実施形態>
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。上記実施形態では、混合弁11が吐水温度を設定温度に保つようにフィードバック制御されるものとしたが、混合弁11はフィードバック制御を伴わない単なる手動弁であってもよい。また、上記実施形態では、異常処理ルーチンが湯水混合制御ルーチンの中で常時行われるようにしたが、浴室をミストサウナ、乾燥室として使用する、又は浴室を暖房する場合にのみ実行されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
11 混合弁
12 駆動部
13 切替弁
14 駆動部
16、17、18、19、20 管路
21 カラン
22 シャワー
23、24 逆止弁(逆流防止弁)
30 制御部(制御装置)
40 操作部
41 温度設定操作部
42 吐水形態設定操作部
43 吐水量設定操作部
51 混合水温度センサ
52 供給水温度センサ