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  • 特許-ボイラ用バックステーの付設方法 図1
  • 特許-ボイラ用バックステーの付設方法 図2
  • 特許-ボイラ用バックステーの付設方法 図3
  • 特許-ボイラ用バックステーの付設方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】ボイラ用バックステーの付設方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/24 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
F22B37/24 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020100144
(22)【出願日】2020-06-09
(65)【公開番号】P2021196066
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】592009281
【氏名又は名称】株式会社IHIプラント
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】野村 欣央
(72)【発明者】
【氏名】内田 修
(72)【発明者】
【氏名】郡山 浩朗
(72)【発明者】
【氏名】中井 賢司
(72)【発明者】
【氏名】藤原 光輝
(72)【発明者】
【氏名】市川 揮章
(72)【発明者】
【氏名】高橋 優介
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-336703(JP,A)
【文献】特開2017-088085(JP,A)
【文献】特開2017-007767(JP,A)
【文献】特開2018-084101(JP,A)
【文献】特開平09-058329(JP,A)
【文献】特開昭60-171305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 37/24
E04B 1/35
E04G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ壁の上下方向に多段に付設されるボイラ用バックステーの付設方法であって、
複数の前記ボイラ用バックステーを複数の荷台上に個々に載置し、当該複数の荷台を可撓性を有する接続部材で一列に接続する準備工程と、
端部に位置する前記荷台に搬送装置の玉掛けワイヤーを係合させることにより、前記複数の荷台が上下方向に配列するように吊上げる吊上げ工程と、
前記荷台上の前記ボイラ用バックステーを個々に前記ボイラ壁に固定する固定工程と
を有することを特徴とするボイラ用バックステーの付設方法。
【請求項2】
前記荷台の下部には、当該荷台を移動自在に支持するローラが設けられていることを特徴とする請求項1記載のボイラ用バックステーの付設方法。
【請求項3】
前記吊上げ工程では、前記複数の荷台を吊上げた後に、前記玉掛けワイヤーを前記搬送装置からボイラ架台に掛け直すことを特徴とする請求項1または2記載のボイラ用バックステーの付設方法。
【請求項4】
前記固定工程では、上段の前記荷台に支持された荷役具によって前記ボイラ用バックステーの高さ位置を調節することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のボイラ用バックステーの付設方法。
【請求項5】
前記固定工程では、最上段の前記荷台の前記ボイラ用バックステーから順次固定することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のボイラ用バックステーの付設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ用バックステーの付設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ボイラ壁に多段に設けられるバックステ(ボイラ用バックステー)について、所定長さのポストと当該ポストの両端に設けられたヒンジとによって複数のバックステを折畳み可能にブロック化したブロック型バックステが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭60-171305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ボイラ用バックステーは、吊上げ後にボイラ壁に上下方向に多段に固定されるものであり、この固定作業によって敷設が完了する。上記背景技術では、所定長さのポストとヒンジとを用いて複数のバックステを折畳み自在に相互接続するものなので、ボイラ用バックステーの相互間隔がポストの長さによって規定される。一方、ボイラ壁におけるボイラ用バックステーの固定位置(上下方向位置)は、ボイラ壁の付設状態等によって変動し得る。
【0005】
上記背景技術では、複数のボイラ用バックステーをブロック化するので、一度に複数のボイラ用バックステーを吊上げることが可能であり、よってボイラ用バックステーの吊上げ回数を削減することが可能である。すなわち、上記背景技術によれば、ボイラ用バックステーの吊上げ作業の効率を向上させることが可能である。
【0006】
しかしながら、上記背景技術では、ボイラ用バックステーの固定作業におけるボイラ用バックステーの位置合わせが困難であり、よってボイラ用バックステーの付設作業を全体として効率化することができない。ボイラ用バックステーの付設作業を効率化するためには、ボイラ用バックステーの吊上げ作業だけではなくボイラ用バックステーの固定作業の作業効率をも向上させる必要がある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、固定作業の作業効率を従来よりも向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、ボイラ用バックステーの付設方法に係る第1の解決手段として、ボイラ壁の上下方向に多段に付設されるボイラ用バックステーの付設方法であって、複数の前記ボイラ用バックステーを複数の荷台上に個々に載置し、当該複数の荷台を可撓性を有する接続部材で一列に接続する準備工程と、端部に位置する前記荷台に搬送装置の玉掛けワイヤーを係合させることにより、前記複数の荷台が上下方向に配列するように吊上げる吊上げ工程と、前記荷台上の前記ボイラ用バックステーを個々に前記ボイラ壁に固定する固定工程とを有する、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、ボイラ用バックステーの付設方法に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記荷台の下部には、当該荷台を移動自在に支持するローラが設けられている、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、ボイラ用バックステーの付設方法に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記吊上げ工程では、前記複数の荷台を吊上げた後に、前記玉掛けワイヤーを前記搬送装置からボイラ架台に掛け直す、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、ボイラ用バックステーの付設方法に係る第4の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、前記固定工程では、上段の前記荷台に支持された荷役具によって前記ボイラ用バックステーの高さ位置を調節する、という手段を採用する。
【0012】
本発明では、ボイラ用バックステーの付設方法に係る第5の解決手段として、上記第1~第4のいずれかの解決手段において、前記固定工程では、最上段の前記荷台の前記ボイラ用バックステーから順次固定する、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、固定作業の作業効率を従来よりも向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態におけるボイラ用バックステーSの付設状態を示す正面図(a)及び上面図(b)である。
図2】本発明の一実施形態における荷台の要部構造を示す正面図(a)及び吊具の正面図(b)である。
図3】本発明の一実施形態における準備工程を示す模式図である。
図4】本発明の一実施形態における吊上げ工程及び固定工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
最初に、本実施形態におけるボイラ用バックステーSの付設状態を図1を参照して説明する。このボイラ用バックステーSは、図示するようにボイラ本体Hの外周に多段に設けられるものである。なお、この図1では、タワー型ボイラのボイラ本体Hを一例として示している。
【0016】
すなわち、このボイラ用バックステーSは、所定長さ及び所定幅を有する長尺状の板状部材であり、ボイラ本体Hが有するボイラ壁Mの外側において両面が水平姿勢となると共に上下方向に一定距離を隔てて多段に付設されている。このようなボイラ用バックステーSは、ボイラ壁Mに対抗する部位がボイラ壁に固定されることによって、ボイラ本体Hの架構に吊り下げ支持されているボイラ壁Mを補強する補強部材である。
【0017】
本実施形態に係るボイラ用バックステーの付設方法では、図2に示す付設用荷台D上にボイラ用バックステーSを載置してクレーン(搬送装置)で吊上げることにより、ボイラ壁の所定位置に固定する。上記付設用荷台Dは、図2に示すように本体部1、4つの吊具2及び4本のワイヤースリング3を備えている。
【0018】
本体部1は、ボイラ用バックステーSの載置は可能な大きさ、つまりボイラ用バックステーSの長さを上回る長さ、かつボイラ用バックステーSの幅を上回る幅を備える長尺平板状部材である。この本体部1は、図2(a)に示すように、一方の面(上面)がボイラ用バックステーSが載置される載置面1aであり、また4隅に吊具2が係合する係合部1bが形成されている。
【0019】
本体部1の他方の面(下面)つまり地面と対峙する面には、ローラ1cが複数設けられている。このローラ1cは、従動回転が可能なフリーローラであり、付設用荷台Dを移動自在に支持する。このように本体部1の下部に複数のローラ1cが設けられているので、付設用荷台Dは地面に対して移動自在である。
【0020】
この係合部1bは、図2(a)に示すように、具体的には本体部1に形成された係合孔である。すなわち、本体部1における一対の長辺部には、載置面1aに直交する方向に突出するリブ1dが形成されている。上記係合部1b(係合孔)は、これら一対のリブ1dの両端近傍部位に各々設けられている。
【0021】
4つの吊具2は、図2(b)に示すようにシャックルであり、各々にシャックル本体2a、ボルト2b(割ピン)及びナット2cを備える。これら4つの吊具2は、4つの係合部1bにおいて回動自在に本体部1に係合している。シャックル本体2aは、U字状の金属部品であり、両端部に貫通孔が各々形成されている。
【0022】
ボルト2bは、上記一対の貫通孔及び本体部1の係合部1b(係合孔)に挿通される所定長さの棒状部材であり、先端部にネジ溝(雄ネジ)が形成されている。ナット2cは、内周にネジ溝(雌ネジ)が形成された環状部材であり、雌ネジが雄ネジに螺合する。このような各吊具2は、本体部1の載置面1aに平行なボルト2bを回動軸として回動自在である。
【0023】
ワイヤースリング3は、所定長さ、かつ両端部に係合環3aが形成された索条であり、可撓性を有する。本実施形態に係るボイラ用バックステーSの付設方法では、複数の付設用荷台Dをクレーンを用いて上下多段に吊り上げる目的から、ワイヤースリング3は、一対の係合環3aの一方がある段に位置する付設用荷台Dの吊具2に係合し、また一対の係合環3aの他方がある段の上に位置する段における付設用荷台Dの吊具2に係合する。なお、最上段に位置する付設用荷台Dについては、一対の係合環3aの他方がクレーンのフックに係合する。
【0024】
ここで、上記4つの吊具2及びワイヤースリング3は、本発明における接続部材を構成している。すなわち、吊具2及びワイヤースリング3は、可撓性を有する接続部材の一形態である。
【0025】
次に、このような付設用荷台Dを用いたボイラ用バックステーSの付設方法について、図3及び図4を参照して詳しく説明する。
【0026】
この付設方法では、準備工程、吊上げ工程及び固定工程を経ることによってボイラ用バックステーSのボイラ壁Mへの付設が完了する。最初の準備工程では、図3(a)に示すように、ボイラの建設現場において複数の付設用荷台Dを整列させる。すなわち、この準備工程では、お互いの長辺部が対向するように複数の付設用荷台Dを同一姿勢で配列させる。
【0027】
そして、この準備工程では、各々の付設用荷台Dにボイラ用バックステーSを個々に載置する。各ボイラ用バックステーSは、例えばクレーン等の荷役装置を用いて各付設用荷台Dの載置面1a上に載置される。なお、この状態において付設用荷台Dの本体部1には4つの吊具2が装着されていない。
【0028】
さらに、この準備工程では、図3(b)に示すように、4つの吊具2及びワイヤースリング3つまり可撓性を有する接続部材を用いることにより、複数の付設用荷台Dを一列に接続する。すなわち、この準備工程では、互いに隣り合う付設用荷台Dの係合部1b同士を吊具2及びワイヤースリング3を用いて相互に接続することによって、複数の付設用荷台Dが一列に接続された状態を実現する。
【0029】
このようにして準備工程が完了すると、引き続いて吊上げ工程が行われる。この吊上げ工程では、図3(b)において左端部に位置する付設用荷台Dのワイヤースリング3にクレーンの玉掛けワイヤーWを係合させることにより、複数の付設用荷台Dが上下方向に配列するように吊上げる。
【0030】
この吊上げ工程では、左端部に位置する付設用荷台Dの重心近傍の直上にクレーンのフックを位置設定することにより、当該左端部の付設用荷台Dを直上方向に吊り上げる。この左端部の付設用荷台Dは、クレーンで吊上げた状態において最上段に位置することになる。
【0031】
また、この吊上げ工程では、準備工程において複数の付設用荷台Dが一列に接続されているので、図4(a)に示すように、最上段の付設用荷台Dの直下に上から2段目の付設用荷台Dが位置する。また、この吊上げ工程では、2段目の付設用荷台Dの直下に上から3段目の付設用荷台Dが位置し、(中略)、下から2段目の付設用荷台Dの直下に最下段の付設用荷台Dが位置する。
【0032】
ここで、準備工程では、図2(b)に示すように、1つの吊具2において本体部1の係合部1bと2本のワイヤースリング3とが連接される。すなわち、最上段の付設用荷台Dと最下段の付設用荷台Dとの間に存在する中間段の付設用荷台Dについて説明すると、上記2本のワイヤースリング3は、自らのワイヤースリング3と下の段の付設用荷台Dのワイヤースリング3とである。
【0033】
この準備工程では、各段の付設用荷台Dにおける本体部1の4隅に各々設けられた係合部1b(係合孔)を4つの吊具2を用いて自らの4つのワイヤースリング3の各係合環3aと下の段の4つのワイヤースリング3の各係合環3aと連接させる。可撓性を有する接続部材を構成する4つの吊具2及びワイヤースリング3によって付設用荷台Dの4隅の各係合部1b(係合孔)を相互に連接させることによって、地上における姿勢と同様に各段の付設用荷台Dを水平な姿勢のまま吊上げることができる。
【0034】
また、吊上げ工程では、クレーンの吊り位置が左端部の付設用荷台Dの直上なので、上から2段目以降の付設用荷台Dは、左端部の付設用荷台Dの直下に順次滑り込むようにして水平移動することにより左端部の付設用荷台Dの直下に一列に配列する。この際、付設用荷台Dの下部には複数のローラ1cが設けられているので、付設用荷台Dは、容易に左端部の付設用荷台Dの直下に移動することができる。
【0035】
このような吊上げ工程におけるクレーンの吊り位置つまり左端部の付設用荷台Dは、ボイラ用バックステーSを付設するボイラ壁Mの近傍である。すなわち、準備工程では、ボイラ本体Hを構成するボイラ壁M毎に、当該ボイラ壁Mの近傍に複数の付設用荷台Dを整列させる。
【0036】
そして、吊上げ工程では、図4(a)に示すようにボイラ壁Mの近傍において複数の付設用荷台Dを上下方向に一列に吊上げた後に、上述した玉掛けワイヤーWをクレーンからボイラ本体Hを構成するボイラ架台に掛け直す。この結果、複数の付設用荷台D及び付設用荷台D上に載置されたボイラ用バックステーSは、クレーンに代えてボイラ本体Hに支持される。すなわち、この玉掛けワイヤーWの掛け直しによって、クレーンは吊上げ工程から解放されて他の荷役作業を行い得る状態となる。
【0037】
このようにして吊上げ工程が完了すると、引き続いて固定工程が行われる。この固定工程では、付設用荷台D上のボイラ用バックステーSを個々にボイラ壁Hに固定する。より具体的には、ある段の付設用荷台D上のボイラ用バックステーSをボイラ壁Hに固定する場合、図4(b)に示すように上段の付設用荷台DにチェーンブロックBを係合させ、当該チェーンブロックBを用いて付設用荷台D上のボイラ用バックステーSを吊上げる。
【0038】
そして、この固定工程では、チェーンブロックBを操作することによって、ボイラ用バックステーSの高さ位置をボイラ壁Hに備えられた固定具m1の高さに調整する。すなわち、この高さ調整は、作業者がチェーンブロックBを操作することによってボイラ用バックステーSの吊り位置を調節する作業である。
【0039】
このような吊り位置の調節作業が完了すると、作業者がチェーンブロックBによって吊られた状態のボイラ用バックステーSをボイラ壁Hの固定具m1に固定する。このようなボイラ用バックステーSの吊り位置の調節作業及びボイラ壁Hへの固定作業は、各段の付設用荷台D上に載置されたボイラ用バックステーSについて所定の順番で順次行われる。
【0040】
ここで、チェーンブロックBによるボイラ用バックステーSの高さ調整は、下段の付設用荷台Dと上段の付設用荷台Dとの間で行われる。すなわち、チェーンブロックBによるボイラ用バックステーSの高さ調整範囲は、下段の付設用荷台Dの高さ位置と上段の付設用荷台Dの高さ位置によって決定される。
【0041】
したがって、チェーンブロックBによるボイラ用バックステーSの高さ調整が有効に機能するのは、下段の付設用荷台Dの高さ位置と上段の付設用荷台Dの高さ位置との間にボイラ壁Hの固定具m1が存在する場合である。本実施形態に係るボイラ用バックステーSの付設方法では、この条件を満足するように下段の付設用荷台Dの高さ位置と上段の付設用荷台Dとの間隔、つまり当該間隔を支配するワイヤースリング3の長さを最適設定している。また、上記条件を満足するように最上段の付設用荷台Dの吊り位置(高さ位置)を最適設定している。
【0042】
このような本実施形態によれば、ボイラ用バックステーSが付設用荷台D上に載置された状態で上下多段に吊上げられるので、チェーンブロックB等の荷役具を用いてボイラ用バックステーSの高さ調整を容易に行うことが可能である。したがって、本実施形態によれば、ボイラ用バックステーSをボイラ壁Hに付設する際の高さ調節作業及び固定作業の作業効率を従来よりも向上させることが可能である。
【0043】
また、本実施形態によれば、固定工程における各段のボイラ用バックステーSのボイラ壁Hへの取付順序に制約がない。すなわち、本実施形態によれば、各段の付設用荷台Dにおいてボイラ用バックステーSの高さ調節作業及び固定作業を自由な順番で行うことが可能である。例えば、最上段の付設用荷台Dのボイラ用バックステーSから順次固定することも可能である。
【0044】
このような上段から下段へのボイラ用バックステーSのボイラ壁Hへの取付順序によれば、ボイラ壁Hが吊り構造によって架構に支持されているので、ボイラ壁Hに与える機械的なストレスを軽減することが可能である。したがって、本実施形態によれば、ボイラ用バックステーSの付設によってボイラ壁Hに与えるストレスを抑制することが可能である。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、付設用荷台Dを用いたボイラ用バックステーSの付設方法について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、付設用荷台Dは本発明における荷台の一形態であり、本発明における荷台には付設用荷台Dに対する種々の変形例が考えられる。例えば、付設用荷台Dからローラ1cを削除したもの、あるいは吊具2としてシャックル以外のものを採用することが考えられる。
【0046】
(2)上記実施形態では、本発明をタワー型ボイラに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、ボイラ壁(煙道)が折り返し構造を有する一般的なボイラにも適用できる。
【0047】
(3)上記実施形態では、本体部1、4つの吊具2及び4本のワイヤースリング3を備える付設用荷台Dを採用したが、本発明はこれに限定されない。例えば、4つの吊具2及び4本のワイヤースリング3に代えて、ヒンジと長尺状の鋼板を用いてもよい。
【0048】
(4)上記実施形態では、本体部1の4隅に係合部1bを設けたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本体部1のバランスが取れる部位であれば、4隅以外の部位に係合部1bを設けてもよい。
【0049】
(5)上記実施形態では、搬送装置としてクレーンを用いたが、本発明はこれに限定されない。搬送装置として、クレーンに代えて例えばウインチやジャッキ等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
D 付設用荷台
H ボイラ本体
M ボイラ壁
m1 固定具
S ボイラ用バックステー
W 玉掛けワイヤー
1 本体部
1a 載置面
1b 係合部(係合孔)
1c ローラ
1d リブ
2 吊具(シャックル)
2a シャックル本体
2b ボルト(割ピン)
2c ナット
3 ワイヤースリング
3a 係合環
図1
図2
図3
図4