(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】高血糖症の治療で使用するためのヘテロアリール置換されたベータ-ヒドロキシエチルアミン
(51)【国際特許分類】
C07D 213/38 20060101AFI20231002BHJP
C07D 213/64 20060101ALI20231002BHJP
C07D 239/42 20060101ALI20231002BHJP
C07D 213/65 20060101ALI20231002BHJP
C07D 213/60 20060101ALI20231002BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20231002BHJP
A61K 31/4412 20060101ALI20231002BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20231002BHJP
A61K 31/4409 20060101ALI20231002BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
C07D213/38 CSP
C07D213/64
C07D239/42 Z
C07D213/65
C07D213/60
A61P3/10
A61K31/4412
A61K31/505
A61K31/4409
A61K31/44
(21)【出願番号】P 2020514503
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(86)【国際出願番号】 GB2018052595
(87)【国際公開番号】W WO2019053427
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-10
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518320845
【氏名又は名称】アトロジー アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペルクマン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ベングトソン,トレ
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-042468(JP,A)
【文献】特開昭51-122073(JP,A)
【文献】米国特許第05019578(US,A)
【文献】米国特許第04024156(US,A)
【文献】英国特許出願公開第01142508(GB,A)
【文献】TANIS S. P. et al.,The design and development of 2-aryl-2-hydroxy ethylamine substituted 1H,7H-pyrido[1,2,3-de]quinoxaline-6-carboxamides as inhibitors of human cytomegalovirus polymerase,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2010年,20(6),,1994-2000
【文献】TANIS S. P. et al.,Solvent and in situ catalyst preparation impacts upon Noyori reductions of aryl-chloromethyl ketones: application to syntheses of chiral 2-amino-1-aryl-ethanols,Tetrahedron: Asymmetry,,2006年,17(14),,2154-2182
【文献】Chiarino, D. et al.,New isoxazole derivatives with a potent and selective β2-adrenergic activity,Farmaco, Edizione Scientifica,1986年,41(6),,440-53
【文献】Conde, S. et al.,Beta.-Adrenoceptor blocking activity of halogenated thienylethanolamine derivatives,Journal of Medicinal Chemistry,1977年,20(7),,970-974
【文献】Farmaco. Ed. Sc.,1963年,18,972-980
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K 31/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IAの化合物、
【化114】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1が、1つ以上のFで任意に置換されたC
4-12アルキル、C
4-12アルケニルまたはC
4-12アルキニルを表し、
R
2およびR
3が、それぞ
れHを表し、
Q
1~Q
5を含む前記環は、
1以上のXで置換された6員のヘテロアリールを表し、
Xは、それぞれ独立してハロ、R
a
、-CN、-N
3
、-NO
2
、-ONO
2
、-OR
d
、-S(O)
p
R
e
、または-S(O)
q
N(R
f
)R
g
を適宜表し、
Q
1~Q
5のいずれか1つが
、Nを表し、Q
1~Q
5のうちさらに最大3つが、Nを表してもよく、
式中、Q
1~Q
5の残りの部分が、それぞれCX
2を表
し、
各X
2が、独立して、H、ハロ、R
a、-CN、-N
3、-NO
2、-ONO
2、-OR
d、-S(O)
pR
e、または-S(O)
qN(R
f)R
gを表し、
R
aが、独立してGから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC
1-6アルキル、C
2-6アルケニルまたはC
2-6アルキニルを表し、
各R
d、R
e、R
fおよびR
gが、独立して、Hか、または独立してGから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC
1-6アルキル、C
2-6アルケニルもしくはC
2-6アルキニルを表し、
あるいは代替的に、R
fおよびR
gのうちのいずれかが、それらが結合している窒素原子と一緒に連結して、4~6員環を一緒に形成してもよく、前記環が、さらに1つのヘテロ原子を任意に含み、かつ、前記環が、ハロ、1つ以上のハロで任意に置換されたC
1-3アルキル、および=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
Gが、ハロ、-CN、-N(R
a1)R
b1、-OR
c1、-S(O)
pR
d1、-S(O)
qN(R
e1)R
f1、または=Oを表し、
各R
a1、R
b1、R
c1、R
d1、R
e1、およびR
f1が、独立して、Hか、または1つ以上のハロで任意に置換されたC
1-6アルキルを表し、
あるいは代替的に、R
a1およびR
b1ならびに/またはR
e1およびR
f1のうちのいずれかが、それらが結合している窒素原子と一緒に連結して、4~6員環を一緒に形成してもよく、前記環が、さらに1つのヘテロ原子を任意に含み、かつ、前記環が、ハロ、1つ以上のハロで任意に置換されたC
1-3アルキル、および=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
各pが、独立して、0、1、または2を表し、
各qが、独立して、1または2を表し、
アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は直鎖であってもよく、または十分な数の炭素原子が存在する場合、分岐鎖状および/または環状もしくは部分的に環状であってもよ
く、
前記化合物は少なくとも90%のエナンチオマー過剰(e.e.)で存在する、
化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
1が、1つ以上のFで任意に置換されたC
4-6アルキルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Q
1~Q
5のうちのいずれか1つまたは2つが、Nを表し、
かつQ
1~Q
5の残りの部分が、それぞれCX
2を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
各X
2が、独立して、H、ハロ、R
a、-CN、-N
3、-NO
2、またはOR
dを表し、ここでR
aが、1つ以上のFで任意に置換されたC
1-4アルキルを表し、R
dが、Hか、または1つ以上のFもしくは=Oで任意に置換されたC
1-4アルキル、C
2-4アルケニルもしくはC
2-4アルキニルを表す、請求項1または請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、
(S)-6-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-オール、
(R)-5-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-オール、
(S)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-フルオロピリジン-2-イル)エタン-1-オール、
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-フルオロピリジン-3-イル)エタン-1-オール、
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロピリジン-4-イル)エタン-1-オール、
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-クロロピリジン-3-イル)エタン-1-オール、
(S)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール、および
(S)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール、
からなる群より選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
医薬品で使用するための、請求項1~
5のいずれか一項で定義された化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
請求項1~
5のいずれか一項で定義された化合物、またはその薬学的に許容される塩、ならびに任意に1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤および/または担体を含み、
前記化合物は少なくとも90%のエナンチオマー過剰(e.e.)で存在する、
薬学的組成物。
【請求項8】
高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療で使用するための、請求項1~
5のいずれか一項で定義された化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
前記治療が2型糖尿病の治療である、請求項8に記載の使用のための化合物。
【請求項10】
前記高血糖症または高血糖症を特徴とする障害が、重度のインスリン抵抗性を示す患者であるか、または前記患者を特徴とする、請求項8または9に記載の、使用のための化合物。
【請求項11】
前記高血糖症を特徴とする障害が、ラブソン・メンデンホール症候群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型およびB症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性、および黒色表皮腫)症候群、偽末端肥大症、および脂肪異栄養症からなる群から選択される、請求項8または10に記載の使用のための化合物。
【請求項12】
請求項1~
5のいずれか一項で定義された化合物、またはその薬学的に許容される塩、ならびに任意に1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、および/または担体を含む、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療に使用するための、薬学的組成物。
【請求項13】
前記治療が2型糖尿病の治療である、請求項
12に記載の使用のため
の組成物。
【請求項14】
前記高血糖症または高血糖症を特徴とする障害が、重度のインスリン抵抗性を示す患者であるか、または前記患者を特徴とする、請求項
12~
13のいずれか一項に記載の、使用のため
の組成物。
【請求項15】
前記高血糖症を特徴とする障害が、ラブソン・メンデンホール症候群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型およびB症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性、および黒色表皮腫)症候群、偽末端肥大症、および脂肪異栄養症からなる群から選択される、請求項
12または14に記載の使用のため
の組成物。
【請求項16】
高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療のための医薬品の製造のための、請求項1~
5のいずれか一項で定義された化合物の使用。
【請求項17】
前記治療が2型糖尿病の治療である、請求項
16に記載の使用。
【請求項18】
前記高血糖症または高血糖症を特徴とする障害が、重度のインスリン抵抗性を示す患者であるか、または前記患者を特徴とする、請求項
16または
17に記載の使用。
【請求項19】
前記高血糖症を特徴とする障害が、ラブソン・メンデンホール症候群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型およびB症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性、および黒色表皮腫)症候群、偽末端肥大症、および脂肪異栄養症からなる群から選択される、請求項
16または
18に記載の使用。
【請求項20】
組み合わせ製品であって、
(a)請求項1~
5のいずれか一項で定義された化合物、またはその薬学的に許容される塩と、
(b)高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療に有用な1つ以上の他の治療剤と、を含み、
成分(a)および(b)の各々が、任意に1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と混合して製剤化される、組み合わせ製品。
【請求項21】
パーツキットであって、
(a)請求項12で定義された薬学的組成物と、
(b)1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と任意に混合した、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療に有用な1つ以上の他の治療剤と、を含み、
前記成分(a)および(b)がそれぞれ、他方と一緒に投与するのに好適な形態で提供される、パーツキット。
【請求項22】
請求項1~
5のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、
式IIの化合物
【化115】
(式中、Q
1~Q
5(および、したがって環Q)、R
2およびR
3が、請求項1~
5のいずれか一項で定義したとおりである)と、式IIIの化合物
【化116】
(式中、R
1が、請求項1~
5のいずれか一項で定義したとおりであり、任意に、好適な溶媒の存在下で)との反応の工程、を含む、プロセス。
【請求項23】
請求項1~
5のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、
式IVの化合物
【化117】
(式中、Q
1~Q
5、R
1、R
2、およびR
3が、請求項1~
5のいずれか一項で定義したとおりであり、Y
1が、HまたはPG
1を表し、ここでPG
1が好適な保護基である)と、好適な還元剤との、または好適な触媒の存在下での水素化による反応の工程、を含む、プロセス。
【請求項24】
請求項1~
5のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、
式IAの化合物の場合の、好適な触媒の存在下、および水素または好適な水素供与体の存在下、ならびに任意に塩基の存在下、および好適な溶媒の存在下での、式IVの化合物
【化118】
(式中、Q
1~Q
5、R
1、R
2、およびR
3が、請求項1~
5のいずれか一項で定義したとおりであり、Y
1がPG
1を表し、PG
1が、好適な保護基である)の反応の工程、を含む、プロセス。
【請求項25】
請求項1~
5のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩の調製のためのプロセスであって、
少なくとも1つのXが存在し、かつ-OHを表す化合物の場合の、対応する-OH基が、-OPG
2で表され、ここでPG
2が、好適な保護基を表す化合物の、脱保護の工程、を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物および組成物、ならびに高血糖症および2型糖尿病などの高血糖症を特徴とする障害の治療におけるそれらの使用に関する。特に、本発明は、β2アドレナリン作動性受容体の活性化を介する、2型糖尿病などの状態の治療のための、新規な化合物、組成物および方法に関する。重要なことに、このような化合物は、有意なcAMP放出を介するそれらの効果を発揮しないので、有益な副作用プロファイルを有すると考えられる。
【背景技術】
【0002】
本明細書で明らかに先に公表された文献のリストまたは議論は、その文献が最新技術の一部であるか、または共通の一般知識であることを認めるものと必ずしも解釈されるべきではない。
【0003】
高血糖症または高血糖は、過剰量のグルコースが血漿中を循環する状態である。治療されない場合、高血糖症は重大な問題となり得、潜在的にケトアシドーシスなどの生命を脅かす状態に発展する可能性がある。例えば、慢性的な高血糖症は、心臓への損傷を引き起こすこともあり、冠動脈性心疾患または心不全の病歴のない対象における心臓発作と死亡とに強く関連する。糖尿病および重度のインスリン抵抗性を含む高血糖症の原因は多岐にわたる。
【0004】
重度のインスリン抵抗性(SIR)は、患者が、非常に低いレベルの(または極端な場合には、有意でない)インスリンに対する応答を患っている状態である。ラブソン・メンデンホール症候群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型およびB型症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性および黒色表皮腫)症候群、偽末端肥大症および脂肪異栄養症を含む、SIRを特徴とするいくつかの症候群がある。これらの状態の大部分は、インスリン受容体遺伝子の突然変異のような遺伝的原因を有する。ドナヒュー症候群、ラブソン・メンデンホール症候群およびインスリン抵抗性のA型症候群の有病率は、100,000例中、約50例の報告事例から1例まで変動することが報告されている。しかしながら、いくつかの疾患は重度で非常にまれであるため、特に世界の途上地域では、多くの患者が死亡する前に診断されない可能性が高い。したがって、これらの症候群を有する患者の正確な数を評価することは困難である。
【0005】
SIRを有する患者における高血糖症治療のための現在の標準は、メトホルミンのようなインスリン受容体感受性に影響する薬物を補充した制御食またはインスリン補充である。しかしながら、特にインスリン受容体遺伝子の変異によって引き起こされる障害については、この治療は十分に効果的ではなく、最終的には不成功であることが判明する。
【0006】
糖尿病は、グルコース恒常性の機能不全を伴う2つの異なる疾患、すなわち1型(またはインスリン依存性糖尿病)および2型(インスリン非依存性糖尿病)を含む。2型糖尿病は世界の4億人以上の人々に影響を及ぼし、その数は急速に増加している。2型糖尿病の合併症には、重度の心血管障害、腎不全、末梢神経障害、失明が含まれ、かつ該疾患の後期には、さらには手足の喪失、最終的には死亡が含まれる。2型糖尿病は、骨格筋および脂肪組織におけるインスリン抵抗性を特徴とし、現在のところ決定的な治療法はない。今日使用されるほとんどの治療法は、機能不全のインスリンシグナル伝達を改善することか、または肝臓からのグルコース産出を阻害することに焦点を当てているが、それらの治療の多くはいくつかの欠点および副作用を有する。したがって、2型糖尿病を治療するためのインスリン非依存性の新規な方法の特定に大きな関心が寄せられている。
【0007】
2型糖尿病では、インスリンシグナル伝達経路は、脂肪組織および骨格筋などの末梢組織で鈍くなる。2型糖尿病を治療するための方法には、典型的には、生活習慣の変更、ならびにグルコース恒常性を調節するためのインスリン注射または経口薬が含まれる。この疾患の後期段階の2型糖尿病を有する人々は、「ベータ細胞障害」、すなわち、高血糖値に応答して膵臓がインスリンを放出できないという障害を発症する。この疾患の後期段階では、患者はしばしば、糖尿病を管理するために経口薬と組み合わせてインスリン注射を必要とする。さらに、最も一般的な薬物は、インスリン経路のダウンレギュレーションまたは脱感作および/または脂肪組織、肝臓および骨格筋における脂質取り込みの促進を含む副作用を有する。したがって、これらの副作用を含まない2型糖尿病を含む代謝性疾患を治療するための新規な方法の特定に大きな関心が寄せられている。
【0008】
食事後、血糖値の上昇は膵臓からのインスリン放出を刺激する。インスリンは、血糖値の正常化を媒介する。グルコース代謝に対するインスリンの重要な効果は、骨格筋および脂肪細胞へのグルコースの取り込みの促進、および肝臓におけるグリコーゲン貯蔵の増加を含む。骨格筋および脂肪細胞は、摂食状態でのインスリン媒介性のグルコース取り込みおよび利用に関与し、グルコース代謝にとって非常に重要な部位となる。
【0009】
インスリン受容体の下流のシグナル伝達経路は、詳細に理解することが困難であった。要約すると、インスリンによるグルコースの取り込みの制御は、インスリン受容体(IR)、インスリン受容体基質(IRS)、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)の活性化を含み、したがってホスファチジルイノシトール(3,4,5)-トリホスフェート(PIP3)、ラパマイシンの哺乳動物標的(ラパマイシンの機序標的、mTORとも呼ばれる)、Akt/PKB(Akt)およびTBC1D4(AS160)の刺激を含み、グルコーストランスポーター4(GLUT4)の細胞膜への転位をもたらす。Akt活性化はGLUT4転位に必要と考えられる。
【0010】
骨格筋は哺乳動物の体重の大部分を構成し、全身グルコース処理の最大85%までを担う全身グルコース代謝の調節に重要な役割を果たすことに留意すべきである。骨格筋におけるグルコース取り込みは、いくつかの細胞内および細胞外シグナルによって調節される。インスリンは最もよく研究された介在物質であるが、他にも存在する。例えば、AMP活性化キナーゼ(AMPK)は細胞内のエネルギーセンサーとして機能し、グルコース取り込みおよび脂肪酸酸化を増加させることができる。骨格筋がグルコース恒常性に及ぼす大きな影響のために、さらなる機序が存在すると考えられる。2型糖尿病の罹患率の増加に照らして、筋肉細胞におけるグルコース取り込みを増加させる新規なインスリン非依存性機序を見出し、特徴づけることは非常に興味深い。
【0011】
血糖値はインスリンとカテコールアミンの両方によって調節され得るが、それらは異なる刺激に応答して体内で放出される。インスリンは、血糖値の上昇(例えば、食事後)に応答して放出されるが、エピネフリンおよびノルエピネフリンは、運動、感情およびストレスなどの様々な内的および外的刺激に応答して、ならびに組織恒常性の維持のために、放出される。インスリンは、グルコース取り込み、グリコーゲンおよびトリグリセリド形成を含む成長に関与する多くのプロセスを刺激する同化ホルモンであり、一方、カテコールアミンは主に異化作用を有する。
【0012】
インスリンおよびカテコールアミンは、通常反対の効果を有するが、これらは骨格筋におけるグルコースの取り込みに関して同様の作用を有することが示されている(Nevzorova et al.,Br.J.Pharmacol,137,9,(2002))。具体的には、カテコールアミンは、アドレナリン受容体を介してグルコースの取り込みを刺激して、筋肉細胞にエネルギーが豊富な基質を供給することが報告されている(Nevzorova et al.,Br.J.Pharmacol,147,446,(2006);Hutchinson, Bengtsson Endocrinology 146,901,(2005))。したがって、ヒトを含む哺乳動物では、アドレナリン系およびインスリン系は、異なる状況において骨格筋のエネルギー需要を調節するために独立して働き得る可能性がある。インスリンは、血糖値の上昇(例えば、食事後)に応答して放出されるが、エピネフリンおよびノルエピネフリンは、運動、感情およびストレスなどの様々な内的および外的刺激に応答して、ならびに組織恒常性の維持のために、放出される。
【0013】
全てのARは、細胞膜に位置するGタンパク質共役受容体(GPCR)であり、細胞外N末端、それに続く7回膜貫通αヘリックス(TM-1~TM-7)、それに連結する3つの細胞内(IL-1~IL-3)および3つの細胞外ループ(EL-1~EL-3)、ならびに最終的な細胞内C末端を特徴とする。ARには、異なる発現パターンおよび薬理学的プロファイルを有する3つの異なるクラス、α1-、α2-およびβ-ARがある。α1-ARは、α1A、α1B、およびα1Dサブタイプを含むが、α2-ARは、α2A、α2B、およびα2Cに分類される。β-ARもまたサブタイプβ1、β2、およびβ3に分類されるが、そのうちのβ2-ARは、骨格筋細胞における主要なアイソフォームである。ARは、環状アデノシン一リン酸(cAMP)およびホスホリパーゼC(PLC)などの古典的な二次メッセンジャーを介してシグナル伝達するGタンパク質共役受容体(GPCR)である。
【0014】
骨格筋におけるARの下流に生じる多くの影響は、cAMPレベル、PLC活性およびカルシウムレベルの上昇などの古典的な二次メッセンジャーシグナル伝達に起因すると考えられる。古典的な二次メッセンジャーに関与する刺激は、異なる組織において多くの効果を有する。例えば、上記刺激は、心拍数、血流、肺における気流および肝臓からのグルコースの放出を増大させ、ARの刺激が2型糖尿病治療とみなされるべきである場合、それらは全てが有害であるか、または望ましくない副作用とみなされ得る。古典的なAR作動薬の有害作用は、例えば、頻脈、動悸、振戦、発汗、激越および血液中のグルコースレベル(肝臓からのグルコース産出)の増加である。したがって、cAMPなどのこれらの古典的な二次メッセンジャーを活性化せずにARを活性化して、望ましくない副作用を刺激することなく末梢組織におけるグルコース取り込みを増加することができれば、有益となるだろう。
【0015】
グルコース取り込みは、ほとんどの細胞へのグルコース取り込みを媒介する促進性グルコース輸送体(GLUT)を介して主に刺激される。GLUTは、濃度勾配下で細胞膜にわたってグルコースおよび/またはフルクトースの輸送を媒介する輸送体タンパク質である。GLUTファミリーには、それらの基質特異性および組織発現に依存して、3つのクラス(クラスI、クラスIIおよびクラスIII)に分類される、GLUT1~14と命名された14の既知のメンバーがある。GLUT1およびGLUT4は、最も集中的に研究されたアイソフォームであり、GLUT2およびGLUT3とともに、(フルクトースも輸送するクラスIIとは対照的に)主にグルコースを輸送するクラスIに属する。GLUT1は、遍在的に発現し、基礎的なグルコース輸送に関与する。GLUT4は、骨格筋、心筋および脂肪組織のような末梢組織においてのみ発現する。GLUT4はまた、例えば、脳、腎臓および肝臓において発現することが報告されている。GLUT4は、インスリン刺激グルコースの取り込みに関与する主要なアイソフォームである。インスリンシグナル伝達がグルコースの取り込みを増加させる機序は、主に細胞内貯蔵から細胞膜へのGLUT4転位を介して行われる。GLUT4転位はβ2アドレナリン作動性受容体の刺激によって誘導されることが知られている。
【0016】
したがって、2型糖尿病のような、哺乳動物におけるグルコース恒常性またはグルコース取り込みの調節不全を伴う状態の治療候補には、細胞膜へのGLUT4転位をもたらすβ2アドレナリン作動性受容体の活性化、ならびに全身のグルコース恒常性の正常化につながる骨格筋へのグルコース取り込みの促進が含まれ得る。さらに、治療がcAMPによるシグナル伝達を伴わない場合、好都合な副作用プロファイルにつながるので有利であろう。
【0017】
末梢血管障害の治療に使用されている血管拡張薬、4-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)フェノールは、はじめ、血糖を上昇させることが判明し、糖尿病および前糖尿病において禁忌であった(Unger,H.,Zeitschrift fur die Gesamte Innere Medizin und Ihre Grenzgebiete,16,742(1961)参照)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本発明者らは、驚くべきことに、β2-アドレナリン作動性受容体にて作動薬として作用する特定のヘテロリール置換されたβ-ヒドロキシエチルアミンが、骨格筋におけるグルコース取り込みを増大させることを見出した。
【0019】
また、本発明者らは、この効果が有意なcAMP放出を介して媒介されず、伝統的なβ2アドレナリン作動薬で見られる一般的に記載されている副作用の多く(例えば、頻脈、動悸、振戦、発汗、激越など)が軽減され得ることを見出した。
【0020】
医薬におけるそのような化合物の使用は、2型糖尿病などの高血糖値を特徴とする状態(すなわち、高血糖症)の治療のための有望な戦略となる。
【0021】
本発明の化合物
本発明の第1の態様では、式Iの化合物
【化1】
またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
R
1は、1つ以上のハロで任意に置換されたC
1-12アルキルを表し、
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のハロで任意に置換されたC
1-3アルキルを表し、
あるいはR
2およびR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒に連結して、3~6員環を一緒に形成してもよく、前記環は、ハロ、および1つ以上のハロで任意に置換されたC
1アルキルから独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
Q
1~Q
5を含む環は、1つ以上のXで任意に置換された5員または6員のヘテロアリールを表し、
各Xは、独立して、ハロ、R
a、-CN、-N
3、-N(R
b)R
c、-NO
2、-ONO
2、-OR
d、-S(O)
pR
e、または-S(O)
qN(R
f)R
gを適宜表し、
R
aは、独立してGから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC
1-6アルキルを表し、
各R
b、R
c、R
d、R
e、R
fおよびR
gは、独立して、Hか、または独立してGから選択される1つ以上の基で任意に置換されたC
1-6アルキルを表し、
あるいは代替的に、R
bおよびR
cならびに/またはR
fおよびR
gのうちのいずれかは、それらが結合している窒素原子と一緒に連結して、4~6員環を一緒に形成してもよく、前記環は、さらに1つのヘテロ原子を任意に含み、かつ、前記環は、ハロ、1つ以上のハロで任意に置換されたC
1-3アルキル、および=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
Gは、ハロ、-CN、-N(R
a1)R
b1、-OR
c1、-S(O)
pR
d1、-S(O)
qN(R
e1)R
f1、または=Oを表し、
各R
a1、R
b1、R
c1、R
d1、R
e1、およびR
f1は、独立して、Hか、または1つ以上のハロで任意に置換されたC
1-6アルキルを表し、
あるいは代替的に、R
a1およびR
b1ならびに/またはR
e1およびR
f1のうちのいずれかは、それらが結合している窒素原子と一緒に連結して、4~6員環を一緒に形成してもよく、前記環は、さらに1つのヘテロ原子を任意に含み、かつ、前記環は、ハロ、1つ以上のハロで任意に置換されたC
1-3アルキル、および=Oから独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
各pは、独立して、0、1、または2を表し、
各qは、独立して、1または2を表し、
かかる化合物(薬学的に許容される塩を含む)は、本明細書において「本発明の化合物」として言及されてもよい。
【0022】
疑義を避けるために、当業者は、明細書中での本発明の特定の態様の化合物(例えば、本発明の第1の態様、例えば式Iの化合物)への言及は、その全ての実施形態および特定の特徴への言及を含み、その実施形態および特定の特徴を組み合わせて、さらなる実施形態が形成されてもよいことを理解するだろう。
【0023】
他に示されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0024】
薬学的に許容される塩には、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。このような塩は、慣用的手段により、例えば、本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形態と、1当量以上の適切な酸または塩基とを、任意の溶媒中で、または塩が不溶である媒体中で反応させ、次いで、標準的技法を用いて(例えば、真空中、凍結乾燥または濾過によって)、前記溶媒または前記媒体を除去することにより、形成されてもよい。塩はまた、例えば好適なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の本発明の化合物の対イオンを別の対イオンと交換することによって、調製されてもよい。
【0025】
言及され得る特定の酸付加塩としては、カルボン酸塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、ヘプタン酸塩、デカン酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、ステアリン酸塩、アクリル酸塩、カプロン酸塩、プロピオール酸塩、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、α-ヒドロキシ酪酸塩、乳酸塩、洒石酸塩、フェニル酢酸塩、マンデル酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、サリチル酸塩、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、桂皮酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、馬尿酸塩、フタル酸塩またはテレフタル酸塩)、ハロゲン塩(例えば、塩化物塩、臭化物塩またはヨウ化物塩)、スルホネート塩(例えば、ベンゼンスルホネート塩、メチル-、ブロモ-、またはクロロ-ベンゼンスルホネート塩、キシレンスルホネート塩、メタンスルホネート塩、エタンスルホネート塩、プロパンスルホネート塩、ヒドロキシエタンスルホネート塩、1-または2-ナフタレンスルホネート塩、または1、5-ナフタレンジスルホネート塩)、または硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、または硝酸塩などが含まれる。
【0026】
言及され特定の酸付加塩には、塩酸塩が含まれる。
【0027】
疑義を避けるために、当業者は、酸付加塩が二塩基酸(例えば、二塩酸塩)を含み得ることを理解するであろう。
【0028】
言及され得る特定の塩基付加塩には、アルカリ金属(Na塩およびK塩など)、アルカリ土類金属(Mg塩およびCa塩など)、有機塩基(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミンおよびリジンなど)および無機塩基(例えば、アンモニアおよび水酸化アルミニウム)によって形成される塩が含まれる。より具体的には、言及され得る塩基付加塩には、Mg塩、Ca塩が含まれ、また最も具体的には、K塩およびNa塩が含まれる。
【0029】
疑義を避けるために、本発明の第1の態様の化合物は固体として存在してもよく、したがって、本発明の範囲は、その全ての非晶質、結晶および部分結晶形を含み、油として存在してもよい。本発明の第1の態様の化合物が結晶および部分結晶形で存在する場合、このような形態は溶媒和物を含んでもよく、これも本発明の範囲に含まれる。本発明の第1の態様の化合物はまた、溶液中に存在してもよい。
【0030】
本発明の第1の態様の化合物は、二重結合を含んでいてもよく、したがって、各個々の二重結合についてE(entgegen)およびZ(zusammen)幾何異性体として存在してもよい。全てのそのような異性体およびそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0031】
本発明の第1の態様の化合物は、互変異性を示してもよい。全ての互変異性形およびそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。例えば、本発明の第1の態様の化合物は、Q
1、Q
4、およびQ
5が、C-Hを表し、Q
2が、Nを表し、かつQ
3がC-OHを表す化合物であり得る。このような場合、当業者は、このような化合物が、以下に示すように、2-ヒドロキシピリジン型(化合物A)または2-ピリドン型(化合物b)で存在し得ることを理解するであろう。
【化2】
【0032】
本発明の第1の態様の化合物はまた、2つ以上の不斉炭素原子を含有してもよく、したがって、光学異性および/またはジアステレオ異性を示してもよい。ジアステレオマーは、慣用的な技法、例えば、クロマトグラフィーまたは分別結晶化を用いて分離されてもよい。種々の立体異性体(すなわち、エナンチオマー)は、慣用的な、例えば分別結晶化またはHPLCの技法を用いて、化合物のラセミ混合物または他の混合物を分離することによって単離されてもよい。代替的には、所望の光学異性体は、適切な光学活性をもつ出発物質から、ラセミ化またはエピマー化を引き起こさない条件下で(すなわち、「キラルプール」法)、適切な出発物質とその後適切な段階で除去され得る「キラル補助剤」とを反応させることにより得られてもよく、誘導体化(すなわち、動的分解を含む分解)により得られてもよく、例えば、ホモキラル酸で処理した後、ジアステレオマー誘導体をクロマトグラフィーなどの慣用的手段によって分離することにより得られてもよく、あるいは適切なキラル試薬またはキラル触媒と反応させることにより得られてもよく、これらの全ては当業者に知られた全ての条件下で行われる。全ての立体異性体およびそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0033】
本明細書で使用される場合、ハロおよび/またはハロゲン基への言及は、それぞれ独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード(例えば、フルオロ(F)およびクロロ(Cl))を意味するであろう。
【0034】
別記されない限り、本明細書で定義されるC1-zアルキル基(zは範囲の上限である)は、直鎖であってもよく、または十分な数(すなわち最低3個)の炭素原子が存在する場合、分岐鎖状および/または環状であってもよい(したがって、C3-z-シクロアルキル基を形成する)。十分な数(すなわち最低4個)の炭素原子が存在する場合、そのような基は部分的に環状であってもよい。言及され得る部分環状アルキル基には、シクロプロピルメチルおよびシクロヘキシルエチルが含まれる。十分な数の炭素原子が存在する場合、このような基は、多環式(例えば、二環式もしくは三環式)またはスピロ環式であってもよい。そのようなアルキル基は、飽和されていてもよく、または十分な数(すなわち最低2個)の炭素原子が存在する場合、不飽和であってもよい(例えば、C2-ZアルケニルまたはC2-Zアルキニル基を形成する)。言及され得る特定のアルキル基には、飽和アルキル基が含まれる。
【0035】
本明細書に記載されるように、Q1~Q5を含む環(環Qと呼ばれることもある)は、1つ以上のXで任意に置換された5員または6員のヘテロアリールを表す。
【0036】
このように、当業者は、当業者に既知である好適なヘテロアリール基を形成するように、代表的なQ1~Q5を含む環が、炭素原子に加えて、1つ以上のヘテロ原子を含んでもよいことを理解するであろう。さらに、当業者は、Q1~Q5含有する環が、5員環であり、Q1~Q5のうちの1つ(例えば、Q5)が、直接結合(すなわち、基が存在しないこと)を表すことになることを理解するであろう。
【0037】
疑義を避けるために、その中に円を有するQ1~Q5を含有する環の描写(例えば、式Iにおけるような)は、環が芳香族であることを示すように理解されるであろう。
【0038】
ピリジニル、ピリドニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリルなどの様々なヘテロアリール基は、当業者に周知であろう。ヘテロアリール/ヘテロ芳香族基の酸化物もまた、本発明の範囲内に包含される(例えば、N-オキシド)。
【0039】
特に、ヘテロアリール(またはヘテロ芳香族)という用語は、少なくとも1つのN原子と、任意に、(例えば、酸素、窒素および/またはイオウから)選択された1つの追加のヘテロ原子とを含有する5員または6員のヘテロ芳香族基への言及を含む。言及され得る特定のヘテロアリール基には、ヘテロアリール環に少なくとも1つのN原子を含むものが含まれる。
【0040】
言及され得る特定のヘテロアリール基(例えば、環Qを表す)には、チアゾリル(例えば、エチアゾール-4-イルおよびチアゾール-5-イル、またチアゾール-2-イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン-4-イルまたはピリミジン-5-イル)およびピリドニル(例えば、ピリドン-4-イルまたはピリドン-5-イル)が挙げられる。疑義を避けるために、当業者は、ピリドニル基が、その芳香族互変異性体として、すなわち、ヒドロキシピリジニル基として存在し得ることを理解するであろう。
【0041】
言及され得るさらなるヘテロアリール基(例えば、環Qを表す)には、ピリジニル(例えば、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、およびピリジン-4-イル)が含まれる。
【0042】
当業者によって理解されるように、ヘテロシクリル基上の置換基は、ヘテロ原子を含む環系中の任意の原子(すなわち、N原子)上に適宜位置し得る。このような状況では、当業者は、「適宜」存在する置換基への言及は、当業者によって理解されるように、特定の置換基が、このような置換基の存在が化学的に許容される位置にのみ存在し得ることを示すことを理解するであろう。
【0043】
例えば、XがN原子上に存在する場合(この場合、X1と呼ばれてもよい)、各Xは、独立してRaを表し得る。同様に、XがC原子上に存在する場合(この場合、X2と呼ばれてもよい)、各Xが、独立して、ハロ、Ra、-CN、-N3、-N(Rb)Rc、-NO2、-ONO2、-ORd、-S(O)pRe、または-S(O)qN(Rf)Rgを表し得る。
【0044】
疑義を避けるために、当業者には既知であるように、得られるヘテロアリールが好適なヘテロアリールであるようにQ1~Q5の同一性が選択されることが、当業者には理解されるであろう。
【0045】
例えば、5員のヘテロアリール環には、OまたはSが1つしか存在できないが、N原子は最大4つ存在でき(合計で最大4つのヘテロ原子)、N原子は、NまたはNX1として適宜存在してもよい(特に、最大1つがNX1として存在し、残りがN)として存在する)。同様に、6員のヘテロアリール環では、環にOまたはSは存在しないが、最大4つの(例えば、1つまたは2つの)、Nとして存在するであろうN原子がある。
【0046】
疑義を避けるために、本明細書で使用される場合、ヘテロ原子への言及は、当業者によって理解されるようにそれらの通常の意味をとるであろう。言及され得る特定のヘテロ原子には、リン、セレン、テルル、ケイ素、ホウ素、酸素、窒素、および硫黄(例えば、酸素、窒素、および硫黄)が含まれる。
【0047】
疑義を避けるために、多環式(例えば、二環式もしくは三環式)基(例えば、シクロアルキル基の文脈で使用する場合)への言及は、そのような環を直鎖に変換するために少なくとも2つの切断が必要とされ得る環系を意味し、そのような切断の最小数は定義された環の数に対応する(例えば、二環式という用語は、その環を直鎖に変換するために最低2つの切断が必要とされ得ることを示してもよい)。疑義を避けるために、二環式(例えば、アルキル基の文脈で使用される場合)という用語は、二環系の第2の環が第1の環の2つの隣接する原子の間に形成される基を意味してもよく、また2つの隣接していない原子がアルキレン基によって連結されている基を意味してもよく、後者の基は架橋されているものを意味してもよい。
【0048】
本発明はまた、1個以上の原子が、通常自然界で見られる原子量または質量数(または自然界に見られる最も豊富なもの)とは異なる原子量または質量数を有する原子で置き換えられているという事実はあるが、本明細書に列挙されたものと同一である、本発明の同位体的に標識された化合物も包含する。本明細書で特定される任意の特定の原子または元素の全ての同位体は、本発明の化合物の範囲内であると考えられる。したがって、本発明の化合物はまた、重水素化化合物、すなわち、1個以上の水素原子が、水素同位体重水素で置き換えられている化合物も含む。
【0049】
疑義を避けるために、本発明の化合物中の2つ以上の置換基の同一性が同じであり得る場合、それぞれの置換基の実際の同一性は、決して相互依存しない。例えば、2個以上のX基が存在する状況では、それらのX基は同じであっても異なっていてもよい。同様に、2個以上のX基が存在し、それぞれがハロを表す場合、問題となるハロ基は同じであっても異なっていてもよい。同様に、複数のRaが存在し、それぞれが独立して1個以上のG基で置換されたC1-6アルキルを表す場合、各Gの同一性は決して相互依存性ではない。
【0050】
当業者は、本発明の主題である本発明の化合物が、安定であるものを含むことを認識するであろう。すなわち、本発明の化合物は、例えば、反応混合物からの、有用な純度までの単離に耐えるほどに十分に頑強なものを含む。
【0051】
本発明の開示から逸脱することなく、本明細書で言及される本発明の全ての実施形態および特定の特徴を単独で、または本明細書で言及される他のいずれかの実施形態および/または特定の特徴と組み合わせて採用することができる(したがって、本明細書に開示されるように、より具体的な実施形態および具体的な特徴を記載する)。
【0052】
疑義を避けるために、当業者は、特定の実施形態では、Q1~Q5を含む環が、1つ以上のXで置換された5員または6員のヘテロアリールを表すことを理解するだろう。したがって、Q1~Q5を含む環上に存在する置換基が、X1およびX2によって表される場合、少なくとも1つのX1またはX2は、H以外を表す(例えば、X1がHを表す実施形態では、少なくとも1つのX2は、H以外を表す)。
【0053】
本発明の第1の態様のある特定の実施形態では、R1は、1個以上のFで任意に置換されたC2-12アルキルを表し、例えば、1つ以上のFで任意に置換されたC2-8アルキルを表す。
【0054】
本発明の第1の態様のある特定の実施形態では、R1は、1つ以上のFで任意に置換されたC3-12アルキルを表し、例えば、1つ以上のFで任意に置換されたC3-8アルキルを表す。
【0055】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、R1は、1個以上のFで任意に置換されたC4-12アルキルを表し、例えば、1つ以上のFで任意に置換されたC4-8アルキルを表す。
【0056】
本発明の第1の態様のより特定の実施形態では、R1は、1つ以上のFで任意に置換されたC4-6アルキルを表し、例えば、1つ以上のFで任意に置換されたC4-8アルキルを表す。
【0057】
本発明の第1の態様の代替実施形態では、R1は、1つ以上のFで任意に置換されたC4-10アルキルを表し、例えば、1つ以上のFで任意に置換されたC4-6アルキルを表す。
【0058】
特定の実施形態では、R
1は、構造(すなわち、部分構造)の基を表し、
【化3】
式中、
R
x、R
y、およびR
zは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFで任意に置換されたC
1-11アルキル(例えば、C
1-9アルキル、例えば、C
1-7アルキルなど)を表し、
あるいは代替的に、R
xおよびR
zは、それらが結合している炭素原子と一緒に連結して、3~6員環を一緒に形成してもよく、この環は、1つ以上のFで任意に置換されている。
【0059】
本明細書で使用される場合、当業者は、
【化4】
で終わる結合が結合点(例えば、そのすべての実施形態を含む式Iの化合物の必須N原子への)を表すことを理解するであろう。
【0060】
疑義を避けるために、当業者であれば、R1が、Rx、Ry、およびRz基を担持する部分構造によって表される場合、Rx、Ry、およびRz基に存在する炭素の総数が、それらが結合している炭素と一緒に、本明細書で定義される対応するR1基に存在する炭素を超えてはならない(そのすべての実施形態を含む)ことを理解するであろう。
【0061】
疑義を避けるために、R1(例えば、Rx、Ry、およびRz、およびそれらが結合する炭素)を表す構造の一部を形成する基は、R1について本明細書で定義されるように任意に置換されてもよい。
【0062】
さらなる特定の実施形態では、R
1は、下記を表すことができ、
【化5】
式中、R
x、R
y、およびR
zは、それぞれ独立して、HまたはC
1-11アルキル(例えば、メチル、エチル、またはn-プロピル)を適宜表す。
【0063】
特定の実施形態では、Rx、Ry、およびRzは、それぞれメチルを表す。
【0064】
より特定の実施形態では、R
1は、下記を表すことができ、
【化6】
式中、R
xおよびR
zは、それぞれ独立して、HまたはC
1-11アルキル(例えば、メチル、エチル、またはn-プロピル)を適宜表す。特定の実施形態では、R
xおよびR
zがHではない場合、これらは同じであってもよい(例えば、R
xおよびR
zは、R
1がイソプロピルであり得るように、両方共メチルであってもよい)。
【0065】
代替的な実施形態では、RxおよびRzがHではない場合、それらは異なっていてもよい(例えば、Rxがプロピルであってもよく、Rzがメチルであってもよく、すなわち、R1が2-ペンチルであってもよい)。
【0066】
そのような場合、当業者は、R
xおよびR
zが立体中心であり、したがってR
1が、下記のように表示されてもよいことを理解するであろう。
【化7】
【0067】
当業者は、そのような立体中心が、RxまたはRzがより高い優先度を割り当てられているかどうかに応じて、(R)または(S)立体配置にあると呼ばれることを理解するであろう(当業者に理解されるように、カーン・インゴルド・プレローグシステムによる)。
【0068】
特定のこのような実施形態では、RxおよびRzは、それぞれ独立して、C1-11アルキル基を表すことができ、ここでは、RxがRzより大きなアルキル基である(すなわち、該アルキル基を形成する炭素原子のより大きな数を有する)。例えば、このような実施形態では、Rzは、C1-2アルキルを表してもよく、Rxは、C3-10アルキルを表してもよい。
【0069】
代替実的な施形態では、R
1は、下記を表し、
【化8】
式中、R
xは、HまたはC
1-11アルキル、例えば、メチル、エチル、またはn-プロピルを表す(すなわち、R
1は、メチル、エチル、n-プロピル、またはn-ブチルであってもよい)。
【0070】
したがって、本発明の特定の実施形態では、R1は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、または2-ペンチルであってもよい。特に、R1は、n-ブチルを表してもよい。より具体的には、R1は、tert-ブチルを表してもよい。
【0071】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、各R2およびR3は、独立して、HまたはC1-2アルキル(例えば、メチル)を表す。
【0072】
当業者であれば、アルキル基に適用される場合、接頭辞「n-」、「sec-」、および「tert-」は、用語「ノルマル」、「二級」、および「三級」を示すことを理解するであろう。「ノルマル」という用語は、分子の残りへの基の結合点が、炭素鎖の末端の炭素原子を介しており、したがって、その炭素原子が他の1つの炭素原子に結合している、直鎖アルキル基を示す。「二級」という用語は、分子の残りのアルキル基への結合点が、炭素鎖の末端に隣接する炭素原子を介しており、したがって、その炭素自体が2つの他の炭素原子に結合していることを示す。「三級」という用語は、分子の残りの部分へのアルキル基の結合点が、3つの他の炭素原子に結合している炭素原子を介していることを示す。
【0073】
本発明の第1の態様のさらなる実施形態では、各R2およびR3は、独立して、H、メチル、またはエチルを表す。
【0074】
より特定の実施形態では、R2およびR3は、それぞれHを表す。
【0075】
特定の実施形態では、
Q1~Q5のいずれか1つが、O、S、N、またはNX1を適宜表し、Q1~Q5のうちの最大3つ(例えば、最大1つ)以上が、Nを表してもよく、
式中、Q1~Q5の残りの部分が、それぞれCX2を表すか、あるいは、Q5が、直接結合を表してもよく、
各X1が、存在する場合、独立してHまたはRaを表し、
各X2が、独立して、H、ハロ、Ra、-CN、-N3、-N(Rb)Rc、-NO2、-ONO2、-ORd、-S(O)pRe、または-S(O)qN(Rf)Rgを表す、本発明の化合物が提供される。
【0076】
より特定のこのような実施形態では、
(a)5員ヘテロアリールの場合には、
Q5は、直接結合を表し、
Q1~Q4のいずれか1つが、O、S、N、またはNX1を適宜表し、Q1~Q5のうちの最大3つ(例えば、最大1つ)以上が、Nを表してもよく、
かつQ1~Q5の残りの部分は、それぞれCX2を表し、
および
(b)6員ヘテロアリールの場合には、
Q1~Q5のうちのいずれか1つから4つ(例えば、1つまたは2つ)は、Nを表し、
かつQ1~Q5の残りの部分は、それぞれCX2を表す、いずれかである。
【0077】
したがって、
Q5は、直接結合を表し、
Q1~Q4のいずれか1つは、O、S、N、またはNX1を適宜表し、Q1~Q4のうちの最大3つ(例えば、最大1つ)以上が、Nを表してもよく、
かつQ1~Q4の残りの部分は、それぞれCX2を表すか、
あるいは
Q1~Q5のうちのいずれか1つから4つは、Nを表し、
Q1~Q5の残りの部分は、それぞれCX2を表す(例えば、少なくとも1つのX2は、H以外を表す)かのいずれかである。
【0078】
言及され得る特定のヘテロアリール基は、少なくとも1つのN原子を含むものである。言及され得るより特定のヘテロアリール基は、Q1~Q5のうちの1つが、Nを表し(例えば、Q2またはQ4が、Nを表し)、かつQ1~Q5の残りの部分が、CX2を表すものである。
【0079】
したがって、特定の実施形態では、Q5が直接結合を表す場合、
Q1~Q4のいずれか1つは、O、S、N、またはNX1を適宜表し、Q1~Q4のうちの最大3つ(例えば、最大1つ)以上は、Nを表してもよく、
かつQ1~Q4の残りの部分は、それぞれCX2を表し、
但し、Q1~Q4のうちの少なくとも1つが、NまたはNX1を表すことを条件とする。
特定の実施形態では、各X1は、存在する場合、Hを表す。
【0080】
ある特定の実施形態では、
各X2が、独立して、H、ハロ、Ra、-CN、-N3、-N(Rb)Rc、-NO2、またはORdを表し、ここでRaが、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、Rb、Rc、およびRdが、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFもしくは=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表す、本発明の化合物が提供される。
【0081】
特定の実施形態では、各X2が、独立して、H、ハロ、Ra、-CN、-N3、-NO2、または-ORdを表し、具体的には、Raが、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4を表し、Rb、Rc、およびRdが、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFもしくは=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表す、本発明の化合物が提供される。
【0082】
より特定の実施形態では、各X2が、独立してH、ハロ、-CN、Ra、またはORdを表し(例えば、少なくとも1つのX2が、H以外を表し)、特にRdが、Hを表す、本発明の化合物が提供される。
【0083】
さらにより特定の実施形態では、各X2が、独立してH、ハロ(例えば、F)、Ra、または-OHを表す(例えば、少なくとも1つのX2が、H以外を表す)、本発明の化合物が提供される。
【0084】
さらにより特定の実施形態では、各X2が、独立してH、ハロ(例えば、F)、-CF3、または-OHを表す(例えば、少なくとも1つのX2が、H以外を表す)、本発明の化合物が提供される。
【0085】
さらなる実施形態では、各X2は、独立して、H、ハロ、Ra、-CN、-N(Rb)Rc、または-ORdを表してもよく、ここで、Raは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキルを表し、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、Hか、または1つ以上のFもしくは=Oで任意に置換されたC1-4アルキルを表す。
【0086】
より特定の実施形態では、各X2は独立して、H、F、Cl、Ra、-NH2、-NHC(O)CH3、-CN、または-OHを表し、ここでRaは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-4アルキル(例えば、C1-2アルキル)を表す(例えば、Raは、-CH3、-CHF2、または-CF3(例えば、-CF3)を表す)。
【0087】
さらにより特定の実施形態では、各X2は、独立して、H、F、Cl、Ra、-NH2、-NHC(O)CH3、または-OHを表し、ここでRaは、1つ以上のFで任意に置換されたC1-2アルキルを表す。
【0088】
特定の実施形態では、Raは、-CH2-OHを表さない。
【0089】
なおさらに特定の実施形態では、各X2は、独立して、H、F、-NH2、-NHC(O)CH3、-CF3、または-OHを表す(例えば、少なくとも1つのX2は、H以外を表す)。
【0090】
本発明の特定の実施形態では、各X2が、独立して、H、F、-NH2、-NHC(O)CH3、-CF3、または-OH(例えば、-NH2、-OH、または-CF3)を表す、式Iの化合物が提供される。
【0091】
ある特定の実施形態では、各X2は、独立して、H、F、Cl、-CN、-NH2、-CH3、-CF3、または-OHを表す(例えば、少なくとも1つのX2は、H以外を表す)。
【0092】
ある特定の実施形態では、各X2は、独立して、H、F、Cl、-CN、-CH3、-CF3、または-OHを表す(例えば、少なくとも1つのX2は、H以外を表す)。
【0093】
ある特定の実施形態では、各X2は、独立して、H、F、Cl、-CH3、-CF3、または-OHを表す(例えば、少なくとも1つのX2は、H以外を表す)。
【0094】
ある特定の実施形態では、各X2は、独立して、H、F、Cl、-CF3、または-OHを表す(例えば、少なくとも1つのX2は、H以外を表す)。
【0095】
例えば、特定の実施形態では、各X2は、独立してHまたはFを表し、例えば、1つのX2は、Fを表し、X2基の残りの部分は、Hを表す。
【0096】
言及され得るある特定の実施形態において、少なくとも1つのX2基が存在し、Hを表さない(すなわち、少なくとも1つのX2基が存在し、H以外である)。
【0097】
言及され得る、ある特定の実施形態では、2つ以上のX2置換基が存在する場合、1つ以下のX2が、-N(Rb)Rcおよび-ORdから選択される基を表してもよい(特に、Rb、Rc、およびRdが、Hを表す場合)。
【0098】
さらにより特定の実施形態では、
Q1は、Nを表し、
Q2およびQ3は、それぞれ独立して、N、CNH2、またはCOHを表し、かつ
Q4およびQ5は、それぞれCHを表す。
【0099】
本発明の他の特定の実施形態では、
Q1およびQ5は、それぞれCHを表し、
Q2およびQ3は、それぞれ独立して、N、CNH2、またはCOHを表し、かつ
Q4は、Nを表す。
【0100】
本発明のある特定の実施形態では、
Q1、Q4、およびQ5は、CHを表し、
Q2またはQ3のうちの少なくとも1つは、Nを表し、他方は、CX2表し、かつ
X2は、F、-NH2、-NHC(O)CH3、-CF3、または-OH(例えば、F)を表す。
【0101】
本発明のある特定の実施形態では、
Q1、Q2、またはQ3のうちの少なくとも1つは、Nを表し、Q1~Q5の残りの部分は、CX2表し、かつ
1つのX2は、FまたはClを表し、残りの部分は、Hを表す。
【0102】
疑義を避けるために、R
1が、n-ブチルを表し、R
2およびR
3が、Hを表し、Q
1が、Nを表し、Q
2が、CNH
2を表し、Q
3が、Nを表し、かつQ
4およびQ
5が、CHを表す場合、式Iの化合物は、次のように描かれてもよい。
【化9】
【0103】
ある特定の実施形態では、Q5は、直接結合を表す。このような例では、Q1~Q5基を含有する環(環Q)は、5員ヘテロアリール環である。
【0104】
特定の実施形態では、
Q1~Q3のうちの少なくとも1つは、Nを表し、
Q1~Q3の残りの部分は、それぞれ独立して、NまたはCX2表すか、あるいはQ1~Q3の残りの部分のうちの1つは、代替的にOまたはS(例えば、S)を表し、
C4は、CHを表し、かつ
Q5は、直接結合を表し、
具体的には、各X2は、独立して、H、F、-NH2、-NHC(O)CH3、-CF3、または-OH(例えば、H、-NH2、または-CF3または-OH)を表す。
【0105】
さらにより特定の実施形態では、
Q1は、Nを表し、
Q2は、CNH2またはCCF3を表し、
Q3は、Sを表し、
Q4は、CHを表し、かつ
Q5は、直接結合を表す。
【0106】
代替的な特定の実施形態では、
Q1が、Sを表し、
Q2が、CNH2またはCCF3を表し、
Q3が、Nを表し、
Q4が、CHを表し、かつ
Q5が、直接結合を表す、式Iの化合物が提供される。
【0107】
ある特定の実施形態では、
Q1が、CHを表し、
Q2が、CFまたはC-Cl(例えば、CF)を表し、
Q3が、CHを表し、
Q4が、Nを表し、かつ
Q5が、CHを表す、式Iの化合物が提供される。
【0108】
言及され得るある特定の実施形態では、Rdは、Hを表す。
【0109】
さらなる実施形態では、Gは、-OHを表さない。
【0110】
なおさらなる実施形態では、Gは、ハロ(例えば、F)を表す。
【0111】
疑義を避けるために、R
1が、n-ブチルを表し、R
2およびR
3が、Hを表し、Q
1が、Nを表し、Q
2が、CNH
2を表し、Q
3が、Sを表し、かつQ
4が、CH
2を表し、かつQ
5が、化学結合を表す場合、式Iの化合物は、次のように描かれてもよい。
【化10】
【0112】
疑義を避けるために、当業者は、本発明の教示から逸脱することなく、Q1~Q5を表す基が、式Iの化合物に関して示され得ることを理解するであろう。
【0113】
例えば、Q
4が、Nを表し、Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
5のそれぞれが、CHまたはCX
2を表す場合、得られる化合物は、以下に描かれた化合物としてより便利に表すことができ、
【化11】
式中、R
1、R
2、R
3、およびX
2は、本明細書で定義されるとおりであり、n、は0~4(例えば0~2、1または2など、例えば1)を表す。
【0114】
当業者であれば、言及され得る特定のQ基(ならびに、例えば、式Iの化合物中のQ1~Q5基(但し、Q1~Q5のうちの少なくとも1つが、Nを表すことを条件とする)に対応し得るような、その位置および数)には、本明細書で提供される実施例に示されるものが含まれることを理解するだろう。
【0115】
同様に、当業者であれば、言及され得る特定のR1、R2、およびR3基、環Qを表す基、ならびにX1およびX2には、本明細書で提供される実施例に示されるものが含まれることを理解するであろう。
【0116】
言及され得る本発明の第1の態様の特定の化合物には、本明細書で提供される実施例の化合物およびその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0117】
例えば、言及され得る式Iのさらなる化合物には、
1-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
2-(ブチルアミノ)-1-(2-(トリフルオロメチル)チアゾール-4-イル)エタン-1-オール、
4-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2(1H)-オン、
5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2(1H)-オン、および
1-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0118】
言及され得る式Iのさらなる化合物には、
2-(ブチルアミノ)-1-(ピリジン-4-イル)エタン-1-オール、
2-(ブチルアミノ)-1-(ピリジン-3-イル)エタン-1-オール、
N-(5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)チアゾール-2-イル)イソブチルアミド、
1-(2-アミノチアオール-5-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
N-(5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド、
1-(2-アミノピリミジン-5-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール
6-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-オール
5-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-ピリジン-3-オール、
4-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-ピリジン-3-オール、
4-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-メチルピリジン-2(1H)-オン、
2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-フルオロピリジン-2-イル)エタン-1-オール、
2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-フルオロピリジン-3-イル)エタン-1-オール、
2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロピリジン-4-イル)エタン-1-オール、
2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-クロロピリジン-3-イル)エタン-1-オール、
2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール、および
2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0119】
本明細書に記載されているように、本発明の第1の態様の化合物は、1個以上の不斉炭素原子を含有してもよく、したがって、光学的および/またはジアステレオ異性を示してもよい。さらに、ある種のこのような光学異性体および/またはジアステレオ異性体は、本明細書に記載のような高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(2型糖尿病など)の治療において有用性の増大を示し得ることが見出された。
【0120】
本発明の第1の態様の特定の一実施形態では、式Iの化合物は、当業者に理解されるように、必須-OH基で置換された炭素が(R立体)配置であるようなものである。
【0121】
あるいは、式Iの化合物は、当業者に理解されるように、必須-OH基で置換された炭素が(S)立体配置にあるようなものである。
【0122】
したがって、特定の一実施形態では、式Iの化合物は、式IAの化合物であり、
【化12】
式中、Q
1~Q
5(したがって、環Q)、R
1、R
2、およびR
3は、本明細書で定義されるとおりである。
【0123】
同様に、当業者は、本発明の教示から逸脱することなく、Q1~Q5を表す基が、式IAの化合物に関して示され得ることを理解するであろう。
【0124】
例えば、Q
4が、Nを表し、Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
5のそれぞれが、CHまたはCX
2を表す場合、得られる化合物は、以下に描かれた化合物としてより便利に表すことができ、
【化13】
式中、R
1、R
2、R
3、およびX
2は、本明細書で定義されるとおりであり、n、は0~4(例えば0~2、1または2など、例えば1)を表す。
【0125】
本明細書に記載されているように、言及され得る本発明の第1の態様の特定の化合物には、本明細書で提供される実施例の化合物およびその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0126】
言及され得る式IAのさらなる化合物には、
(S)-1-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
(S)-2-(ブチルアミノ)-1-(2-(トリフルオロメチル)チアゾール-4-イル)エタン-1-オール、および
(S)-1-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0127】
言及され得る式IAのさらなる化合物には、
(S)-N-(5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)チアゾール-2-イル)イソブチルアミド、
(S)-1-(2-アミノチアゾール-5-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール二塩酸塩、
(R)-N-(5-(2-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド、
(R)-1-(2-アミノピリミジン-5-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール、
(S)-6-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-オール、
(R)-5-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-オール、
(R)-4-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-メチルピリジン-2(1H)-オン、
(S)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-フルオロピリジン-2-イル)エタン-1-オール、
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-フルオロピリジン-3-イル)エタン-1-オール、
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロピリジン-4-イル)エタン-1-オール、
(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-クロロピリジン-3-イル)エタン-1-オール、
(S)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール、および
(S)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール、
ならびにそれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0128】
当業者であれば、式Iの化合物の特定の立体異性体への言及(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素が、例えば(R)立体配置である場合)は、対応する反対の立体異性体の実質的に不在下で存在する特定の立体異性体(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素が、例えば(S)立体配置である場合)を意味することを理解するだろう。
【0129】
例えば、対応する反対の立体異性体(すなわち、(R)または(S)立体配置であり得る場合のような)の実質的に不在下で存在する式IAの化合物への言及は、以下に描かれるような対応する化合物の実質的な不在を意味するであろう。
【化14】
【0130】
本明細書で使用される場合、対応する反対の立体異性体の実質的な不在への言及は、所望の立体異性体(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素が(R)立体配置である場合)が、反対の立体異性体(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素が(S)立体配置である場合)に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%)の純度で存在することを意味するであろう。あるいは、このような例では、化合物は、他の立体配置(すなわち、例えば、(S)立体配置)では、化合物の実質的な非存在下で存在することが示されてもく、これは、関連する立体配置にある化合物が、少なくとも90%(少なくとも95%、少なくとも98%、または具体的には、少なくとも99%、例えば、少なくとも99.9%)のエナンチオマー過剰(e.e.)で存在することを示し得る。
【0131】
疑義を避けるために、定義された位置に特定の立体化学を有するものとして言及された化合物(例えば、式Iの化合物の場合、必須-OH基で置換された炭素が(R)または(S)立体配置にある場合)は、1つ以上の他の位置に立体化学を有してもよく、したがって、それらの位置での立体化学に関連するエナンチオマーまたはジアステレオ異性体の混合物として存在してもよい。
【0132】
言及され得るある特定の実施形態では、本発明の化合物は、6-[2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル]-2-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール((R)-6-[2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル]-2-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オールおよび(S)-6-[2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル] -2-(ヒドロキシメチル)ピリジン-3-オール)、またはその薬学的に許容される塩である。
【0133】
医薬用途
本明細書で示すように、本発明の化合物、したがってそれを含む組成物およびキットは、医薬品として有用である。
【0134】
したがって、本発明の第2の態様によれば、医薬品として使用するための、上に定義された本発明の第1の態様の化合物(すなわち、全ての実施形態およびそれらの特定の特徴を含むが、本発明の第1の態様で定義された化合物)が提供される。
【0135】
疑義を避けるために、本発明の第1の態様で定義された化合物への言及には、式Iの化合物(そのすべての実施形態を含む)およびその薬学的に許容される塩への言及が含まれる。
【0136】
本明細書に示されるように、本発明の化合物は、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療に特に有用であり得る。
【0137】
したがって、本発明の第3の態様では、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療で使用するための、上記で定義した本発明の第1の態様の化合物が提供される。
【0138】
本発明の代替的な第3の一態様では、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害の治療に使用するための医薬の製造における、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0139】
本発明のさらなる代替的な第3の一態様では、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害を治療する方法であって、それを必要とする患者に式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与することを含む方法が提供される。
【0140】
疑義を避けるために、本明細書で使用する「高血糖症」という用語は、過剰量のグルコースがその症状を患っている対象の血漿中を循環している状態を意味することが、当業者に理解されよう。特に、この用語は、約10.0mmol/Lよりも高い(例えば、約11.1mmol/Lよりも高い、例えば、約15mmol/Lよりも高い)血糖値を有する対象(例えば、ヒト対象)を意味してもよいが、この用語は、また、長期間(例えば、24時間超、例えば、48時間超など)、約7mmol/Lよりも高い血糖値を有する対象(例えば、ヒト対象)も意味してもよい。
【0141】
当業者は、特定の状態の「治療」(または同様に、その状態を治療すること)についての言及は、医学分野におけるそれらの通常の意味であると理解するであろう。特に、この用語は、上記状態に関連する1つ以上の臨床症状の重篤度の低下を達成することを意味してもよい。例えば、2型糖尿病の場合、この用語は、血糖値の低下を達成することを意味してもよい。特定の実施形態では、高血糖症または高血糖症を特徴とする状態を治療する場合、この用語は、血糖値の低下を達成すること(例えば、約10.0mmol/mL以下(例えば、約4.0mmol/L~約10.0mmol/Lの範囲のレベルに)、例えば、約7.5mmol/mL以下(例えば、約4.0mmol/L~約7.5mmol/Lの範囲のレベルに)、または約6mmol/mL以下(例えば、約4.0mmol/L~約6.0mmol/Lの範囲のレベルに))を意味してもよい。
【0142】
本明細書で使用される場合、患者への言及は、哺乳動物(例えば、ヒト)患者を含む、治療される生体を指すであろう。したがって、本発明の第1の態様の特定の実施形態では、治療は哺乳動物(例えば、ヒト)において行われる。
【0143】
本明細書で使用される場合、「治療上有効量」という用語は、治療される患者に治療効果を与える化合物の量を意味し得る。その効果は、客観的(すなわち、ある試験またはマーカーによって測定可能)または主観的(すなわち、対象が効果の指標を与えるか、および/または効果を感じる)であってもよい。
【0144】
本発明の第1の態様の化合物は、それ自体で薬理学的活性を有してもよいが、かかる活性を有しないこともある、本発明の化合物のある種の薬学的に許容される(例えば、「保護された」)誘導体が、存在または調製されてもよく、それらは、非経口的にまたは経口的に投与され、その後、体内で代謝されて、本発明の化合物を形成してもよい。したがって、そのような化合物(該化合物はいくらかの薬理学的活性を有し得るが、但し、そのような活性は該化合物が代謝される活性化合物の活性よりもかなり低い)は、本発明の化合物の「プロドラッグ」として記載され得る。
【0145】
本明細書で使用される場合、プロドラッグについての言及は、経腸または非経口投与(例えば、経口または非経口投与)後の所定の時間内に、実験的に検出可能な量で本発明の化合物を形成する化合物を含むであろう。本発明の第1の態様の化合物の全てのプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。
【0146】
疑義を避けるために、本発明の第1の態様の化合物は、薬理学的活性を有する、および/または経口もしくは非経口投与後に体内で代謝されて薬理学的活性を有する化合物を形成するので、有用である。特に、本明細書に記載されているように、本発明の第1の態様の化合物は、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(2型糖尿病など)の治療に有用であり、この用語は、(本明細書に記載されているように)当業者によって容易に理解されよう。
【0147】
特定の一実施形態では、治療は、高血糖症を特徴とする障害(状態または疾患として言及されてもよい)の治療である。
【0148】
特定の実施形態では、本発明の化合物(すなわち、その全ての実施形態を含む、式Iの化合物)は、2型糖尿病の治療における使用のためである(または、本明細書に記載のように、かかる治療のための医薬の製造において有用であるか、または、かかる治療のための方法において有用である)。
【0149】
本発明の第1の態様の特定の実施形態では、障害は、2型糖尿病であり、例えば、若年発症成人型糖尿病(MODY)、成人型ケトーシス性(ketosis-prone)糖尿病、成人型潜伏性自己免疫性糖尿病(LADA)、および妊娠糖尿病からなる群より選択されるサブタイプの2型糖尿病である。
【0150】
さらなる特定の実施形態では、2型糖尿病の治療は、非肥満患者で行われる。
【0151】
疑義を避けるために、当業者は、30を超える体格指数(BMI)を有する患者が肥満であると考えられることを理解するであろう。
【0152】
特定の実施形態では、治療は、2型糖尿病を発症する危険性のある患者における高血糖症の治療であってもよく、この状態は前糖尿病と定義され得る。したがって、本発明の化合物は、2型糖尿病の予防に(例えば、前糖尿病を患っている患者において)有用であり得る。
【0153】
本明細書で使用される場合、予防(および同様に、予防すること)という用語は、疾患または障害の予防への言及を含む(逆もまた同様である)。そのようなものとして、予防(prevention)への言及はまた、防止(prophylaxis)への言及であってもよく、逆もまた同様である。特に、この用語は、患者(または、健康な対象)が状態を発症する可能性の低下(例えば、少なくとも10%の減少、少なくとも20%、30%、または40%の減少、例えば、少なくとも50%の減少)を達成することを意味してもよい。
【0154】
より特定の実施形態では、2型糖尿病は、重度のインスリン抵抗性(SIR)を示す患者を特徴とする。
【0155】
さらなる実施形態では、治療は、1型糖尿病を有する患者の高血糖症の治療であってもよい。したがって、本発明の化合物は、1型糖尿病の高血糖症の治療に有用であってもよい。
【0156】
当業者は、本発明の化合物が、嚢胞性線維症を有する患者のような、インスリン産生の障害を有する患者における高血糖症を治療するのに有用であってもよいことを理解するであろう。したがって、さらなる実施形態では、高血糖症を特徴とする障害は、嚢胞性線維症関連糖尿病である。
【0157】
言及され得る特定の実施形態では、高血糖症を特徴とする障害は、重篤なインスリン抵抗性(SIR)である(またはそれを特徴とする)が、典型的に対象が正常なインスリン産生を有するか、またはいくつかの場合には、増大したインスリン産生を有するが、インスリン感受性が有意に低下している障害を意味することが、当業者に理解され得る。特定の場合では、このような患者は非肥満(例えば、健康的な体重であるもの)であってもよい。したがって、特定の実施形態では、このような治療は、肥満であると定義されていない患者(例えば、健康的な体重であると定義されている患者)において行われる。
【0158】
例えば、SIRは、患者において、該患者の絶食時インスリンが>150pmol/L、および/またはグルコース耐性試験におけるピークインスリンが>1,500pmol/Lであることに基づいて、特に、BMI<30kg/m2を有する個人において(この患者はあるいは正常な耐糖能を有してもよい)、同定されてもよい。
【0159】
より具体的には、SIRは、インスリン受容体の機能における欠陥(例えば、遺伝子欠損)に起因してもよい、インスリンの存在に対して有意な応答を有しない患者を特徴とし得る。
【0160】
SIRを特徴とし得る特定の障害は、ラブソン・メンデンホール症群、ドナヒュー症候群(妖精症)、インスリン抵抗性のA型およびB型症候群、HAIR-AN(高アンドロゲン症、インスリン抵抗性および黒色表皮腫)症候群、偽末端肥大症、ならびに脂肪異栄養症を含む。
【0161】
SIRを特徴とし得るより具体的な障害には、ドナヒュー症候群およびインスリン抵抗性のA型症候群が含まれ、さらにより具体的には、ラブソン・メンデンホール症候群が含まれる。
【0162】
当業者であれば、本発明の第1の態様の化合物での治療は、同じ状態のためのさらなる(すなわち、追加の/他の)治療をさらに含んでもよい(すなわち、組み合わせられてもよい)ことを理解するであろう。特に、本発明の化合物での治療は、2型糖尿病の治療のための他の手段、例えば、当業者に知られている2型糖尿病の治療に有用な1個以上の他の治療薬を用いた治療、例えば、患者に食事の変更および/または一連の運動を義務づけることを含む療法、ならびに/または(例えば、胃バンド手術のような)体重減少を促進するように設計された外科的処置と組み合わされてもよい。
【0163】
特に、本発明の化合物を用いた治療は、(例えば、治療されている患者においても)、1つ以上の(例えば、1つの)追加の化合物(すなわち、治療薬)と組み合わせて、実施されてもよく、この組み合わされる化合物は、
(i)血糖値を低下させることができる、および/または
(ii)インスリン増感剤である、および/または
(iii)インスリン放出を増強するものであり、
これらの全ては本明細書中、以下に記載されている。
【0164】
代替的な実施形態では、本発明の第1の態様の化合物(すなわち、本発明の化合物)は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の治療に有用であり得る。
【0165】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓におけるトリグリセリドの形での過度の脂肪蓄積(脂肪症)として定義される(組織学的に肝細胞の5%超の蓄積として指定される)状態である。これは、先進国において、最も一般的な肝障害であり(例えば、米国の成人の約30%が罹患している)、ほとんどの患者は、無症候性である。未治療のまま放置すると、状態が次第に悪化し、最終的に肝硬変に至ることがある。NAFLDは、肥満患者において特に一般的であり、約80%がこの疾患を有すると考えられる。
【0166】
NAFLD患者のサブグループ(例えば、米国の成人の2~5%)は、過剰な脂肪の蓄積に加えて、肝細胞の損傷および炎症を示す。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)として示されるこの状態は、実質的にアルコール性脂肪性肝炎と組織学的に区別できない。NAFLDで見られる単純な脂肪症は、短期の罹患率または死亡率の増加と直接相関していないが、この状態からNASHへの進行は、肝硬変、肝不全、および肝細胞癌のリスクを劇的に増加させる。実際、NASHは現在、先進国の肝硬変(原因不明の肝硬変を含む)の主な原因の1つであると考えられている。
【0167】
NASHの正確な原因はまだ解明されておらず、全ての患者で同じとは限らない。インスリン抵抗性、肥満、およびメタボリックシンドローム(2型糖尿病、インスリン抵抗性、中枢性(トルン)肥満、高脂血症、低高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール、高トリグリセリド血症、および高血圧に関連する疾患が含まれる)と最も密接に関連している。しかしながら、これらの状態の全ての患者がNASHを有しているわけではなく、NASHの全ての患者がこれらの状態の1つに罹患しているわけでもない。それにもかかわらず、NASHは肝硬変、肝不全、および肝細胞癌に繋がる潜在的に致命的な状態であることを考えると、効果的な治療が明らかに必要である。
【0168】
特定の実施形態では、本発明の化合物(すなわち、その全ての実施形態を含む、式Iの化合物)は、非アルコール性脂肪性肝疾患の治療における使用のためである(または、本明細書に記載のように、かかる治療のための医薬の製造において有用であるか、または、かかる治療のための方法において有用である)。
【0169】
トリグリセリド脂肪が肝細胞に蓄積するプロセスは、脂肪症(すなわち、肝臓脂肪症)と呼ばれる。当業者は、「脂肪変性」という用語が、細胞内の脂肪(すなわち脂質)の異常な保持を包含することを理解するであろう。したがって、本発明の第1の態様の特定の実施形態では、治療または予防は、脂肪変性を特徴とする脂肪性肝疾患の治療または予防である。
【0170】
脂肪変性の間、過剰な脂質が小胞に蓄積し、これが細胞の細胞質に置き換わる。時間が経つにつれて、小胞は核を歪めるほど大きく成長する可能性があり、その状態は大胞性脂肪変性として知られている。それ以外の場合には、状態は微小胞性脂肪症と呼ばれる場合がある。脂肪変性は、軽度の場合にはほとんど無害であるが、肝臓に脂肪が大量に蓄積すると、重大な健康上の問題を引き起こす可能性がある。脂肪変性に関連する危険因子には、真性糖尿病、タンパク質栄養不良、高血圧、肥満、無酸素症、睡眠時無呼吸症、および細胞内の毒素の存在が挙げられる。
【0171】
本明細書に記載されるように、脂肪性肝疾患は、アルコールまたはメタボリックシンドローム(例えば、糖尿病、高血圧、肥満、または脂質異常症)と最も一般的に関連している。したがって、根本的な原因に応じて、脂肪性肝疾患はアルコール関連脂肪性肝疾患または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と診断される場合がある。
【0172】
アルコールに関連しない脂肪性肝疾患に関連する特定の疾患または状態には、糖尿病、高血圧、肥満、脂質異常症、無ベータリポタンパク血症、グリコーゲン蓄積症、ウェーバークリスチャン病、妊娠の急性脂肪肝、および脂肪異栄養症などの代謝状態が挙げられる。脂肪性肝疾患に関連するその他の非アルコール関連因子には、栄養失調、完全非経口栄養、重度の体重減少、再摂食症候群、空腸バイパス、胃バイパス、多嚢胞性卵巣症候群、および憩室症が挙げられる。
【0173】
本発明の化合物は、アルコール関連ではない脂肪性肝疾患と呼ばれることがあるNAFLDの治療または予防に特に有用であることが判明した。「アルコール関連ではない」脂肪性肝疾患は、患者のアルコール消費が主要な原因因子とみなされない場合に診断され得る。脂肪性肝疾患を「アルコール関連ではない」と診断するための典型的な閾値は、女性被験者では20g未満、男性被験者では30g未満である。
【0174】
治療せずに放置した場合、脂肪肝疾患に罹患している対象は、肝臓の炎症(肝炎)を経験し始める可能性がある。この炎症の考えられる原因の1つは、肝臓細胞の膜への脂質過酸化損傷であり得ると仮定されている。脂肪肝の炎症は多くの重篤な状態を引き起こす可能性があるため、炎症が起こる前に脂肪性肝疾患を治療または予防することが望ましい。したがって、本発明の第1の態様の特定の実施形態では、治療または予防は、炎症に関連するNAFLDのものである。
【0175】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)はNAFLDの最も攻撃的な形態であり、過剰な脂肪蓄積(脂肪変性)が肝臓の炎症を伴う状態である。進行すると、NASHは肝臓の瘢痕組織の発達(線維症)を引き起こし、最終的に肝硬変を引き起こす。上記のように、本発明の化合物は、特に肝臓の炎症を伴う場合、NAFLDの治療または予防に有用であることが判明した。本発明の化合物は、当然、NASHの治療または予防にも有用であるということになる。したがって、本発明の第1の態様のさらなる実施形態では、治療または予防は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のためのものである。
【0176】
当業者であれば、本発明の第1の態様の化合物での治療は、同じ状態のためのさらなる(すなわち、追加の/他の)治療をさらに含んでもよい(すなわち、組み合わせられてもよい)ことを理解するであろう。特に、本発明の化合物での治療は、本明細書に記載される脂肪性肝疾患の治療のための他の手段、例えば、当業者に知られている脂肪性肝疾患の治療に有用な1つ以上の他の治療薬を用いた治療、例えば、患者に食事の変更および/または一連の運動を義務づけることを含む療法、ならびに/または(例えば、胃バンド手術のような)体重減少を促進するように設計された外科的処置と組み合わされてもよい。
【0177】
特に、本発明の化合物を用いた治療は、(例えば、治療されている患者においても)、肝臓の脂肪(例えば、トリグリセリド)のレベルを減少させることができる1つ以上の(例えば、1つの)追加の化合物(すなわち、治療薬)と組み合わせて、実施されてもよい。
【0178】
脂肪性肝疾患の治療への言及は、肝細胞の治療上有意な脂肪(例えば、トリグリセリドレベル)の減少の達成(例えば、少なくとも5重量%の減少、例えば、少なくとも10%、または少なくとも20%、またはさらには25%の減少)を意味してもよい。
【0179】
薬学的組成物
本明細書に記載されるように、本発明の第1の態様の化合物は、医薬品として有用である。このような化合物は、単独で投与されてもよく、または既知の薬学的組成物/製剤を経由して投与されてもよい。
【0180】
本発明の第4の態様では、本発明の第1の態様で定義された化合物(すなわち、本発明の化合物)、ならびに任意に1つ以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤および/または担体を含む、薬学的組成物が提供される。
【0181】
当業者であれば、特定の用途のためである本発明の第1の態様の化合物(ならびに同様に、本発明の化合物に関する使用および使用方法)への本明細書における言及は、本明細書に記載される本発明の化合物を含む薬学的組成物に適用されてもよいことを理解するであろう。
【0182】
本発明の第5の態様では、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(本明細書に定義されるような、2型糖尿病など)の治療に用いるための、本発明の第1の態様で定義した化合物、ならびに任意に1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤および/または担体を含む、薬学的組成物が提供される。
【0183】
本発明の代替の第5の態様では、本明細書で定義される非アルコール性脂肪性肝疾患の治療または予防で使用するための薬学的組成物が提供される。
【0184】
当業者は、本発明の第1の態様(ならびに、したがって、第2および第3態様)の化合物が、全身および/または局所的に(すなわち、特定の部位で)作用してもよいことを理解するであろう。
【0185】
当業者は、本発明の第1~第5の態様に記載された化合物および組成物が、通常、経口、静脈内、皮下、頬側、直腸、皮膚、鼻腔、気管、気管支、舌下、鼻腔内、局所的、任意の他の非経口経路または吸入を介して、薬学的に許容される剤形で投与され得ることを理解するであろう。本明細書に記載の薬学的組成物は、経口投与のための錠剤、カプセル剤またはエリキシル、直腸投与のための坐剤、非経口または筋肉内投与のための滅菌溶液または懸濁液などの形態の組成物を含み得る。あるいは、特に本発明のそのような化合物が局所的に作用する場合、薬学的組成物は局所投与用に製剤化され得る。
【0186】
したがって、本発明の第4および第5の態様の特定の実施形態では、薬学的製剤は、錠剤またはカプセル剤、経口的にまたは注射により摂取される液体形態、坐剤、クリーム剤、ゲル剤、フォーム剤、吸入剤(例えば、鼻腔内投与される)、または局所投与に好適な形態を含む、薬学的に許容される剤形で提供される。疑義を避けるために、そのような実施形態では、本発明の化合物は、固体(例えば、固体分散物)、液体(例えば、溶液中)、またはミセルの形態などの他の形態で存在してもよい。
【0187】
例えば、経口投与のための薬学的製剤の調製において、化合物は、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体、ゼラチンまたは他の好適な成分などの固体粉末成分と、ならびにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムおよびポリエチレングリコールワックスなどの崩壊剤および滑沢剤と、混合されてもよい。次いで、混合物は、顆粒に加工されるか、または錠剤に圧縮されてもよい。
【0188】
軟質ゼラチンカプセル剤は、例えば、植物油、脂肪、または軟質ゼラチンカプセルのための他の好適なビヒクルと一緒に、1つ以上の活性化合物(例えば、本発明の第1の態様の化合物、したがって、本発明の第2および第3の態様の化合物、ならびに任意に追加の治療剤)を収容するカプセル剤で調製されてもよい。同様に、硬質ゼラチンカプセル剤は、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、アミロペクチン、セルロース誘導体またはゼラチンなどの固体粉末成分と組み合わせてそのような化合物(複数可)を含有してもよい。
【0189】
直腸投与のための投薬単位は、(i)中性脂肪基剤と混合された化合物(複数可)を収容する坐剤の形態で、(ii)植物油、パラフィン油、またはゼラチン直腸用カプセル用の他の好適なビヒクルとの混合物中に活性物質を収容するゼラチン直腸用カプセルの形態で、(iii)既製の微小浣腸剤の形態で、あるいは(iv)投与直前に好適な溶媒中で再構成される乾燥微小浣腸製剤の形態で、調製されてもよい。
【0190】
経口投与のための液体製剤は、シロップまたは懸濁液の形態で調製されてもよい(例えば、化合物(複数可)、および糖または糖アルコールからなる製剤の残りの部分、ならびにエタノール、水、グリセロール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールの混合物を含有する、溶液または懸濁液)。所望であれば、そのような液体製剤は、着色剤、着香剤、サッカリンおよびカルボキシメチルセルロースまたは他の増粘剤を含有してもよい。経口投与のための液体製剤は、使用前に好適な溶媒で再構成する乾燥粉末の形態で調製されてもよい。
【0191】
非経口投与のための溶液は、薬学的に許容される溶媒中の化合物(複数可)の溶液として調製されてもよい。これらの溶液はまた、安定化成分および/または緩衝成分を含有してもよく、アンプルまたはバイアルの形態で単位用量に分配されてもよい。非経口投与のための溶液は、使用前に好適な溶媒で即座に再構成される乾燥調製物として調製されてもよい。
【0192】
当業者は、本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩を、様々な用量で(例えば、上記の製剤として)投与することができ、好適な用量は、当業者によって容易に決定されることを理解するであろう。経口的、肺的および局所的投薬量(ならびに皮下投薬量、但し、これらの投薬量は相対的により低くてもよい)は、約0.01μg/kg体重/日(μg/kg/日)~約200μg/kg/日の範囲であってもよく、好ましくは、約0.01~約10μg/kg/日、より好ましくは、約0.1~約5.0μg/kg/日であってもよい。例えば、経口投与される場合、そのような化合物での治療は、約0.01μg~約2000mg、例えば、約0.1μg~約500mg、または1μg~約100mg(例えば約20μg~約80mg)の有効成分(複数可)を典型的に収容する製剤の投与を含んでいてもよい。静脈内投与される場合、最も好ましい用量は、定速注入の間、約0.001~約10μg/kg/時の範囲であろう。有利には、治療は、このような化合物および組成物の1日1回用量での投与を含んでいてもよく、または1日総投薬量を、1日2回、3回または4回の分割用量で(例えば、本明細書で記載の用量に関連して、1日2回、例えば、1日2回、10mg、20mg、30mgまたは40mgの用量で、または、1日2回、10μg、20μg、30μgまたは40μgの用量で)投与してもよい。
【0193】
いずれの場合でも、当業者(例えば、医師)は、個々の患者に最も好適な実際の投薬量を決定することができ、これは、投与経路、治療されるべき症状の種類および重篤度、ならびに治療されるべき特定の患者の種、年齢、体重、性別、腎機能、肝機能および応答によって様々である可能性が高い。上述の投与量は、平均の場合の例であり、当然のことながら、より高いまたはより低い投与量範囲が妥当である個々の事例があり得、それらも本発明の範囲内に含まれる。
【0194】
上記のように、当業者であれば、本発明の第1の態様の化合物での治療が、同じ状態のためのさらなる(すなわち、追加/他の)治療をさらに(すなわち、組み合わせて)含んでもよいことを理解するであろう。特に、本発明の化合物での治療は、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(本明細書で定義されるように、2型糖尿病など)の治療のための他の手段と、例えば、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(本明細書で定義されるような、2型糖尿病など)の治療に有用な1種以上の他の治療薬での治療と、組み合わされてもよい。
【0195】
本発明の第4および第5の態様の特定の実施形態では、薬学的組成物は、1種以上の追加の(すなわち、他の)治療薬をさらに含んでもよい。
【0196】
より具体的な実施形態では、1種以上のさらなる治療剤は、メトホルミン、スルホニル尿素(例えば、カルバタミド、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トルブタミド.グリピジド(グルコトール)、グリクラジド、グリベンクラミド、グリブリド(Micronase)、グリボルヌリド、グリキドン、グリソキセピド、グリコピラミド、グリメプリド(Amaryl)、グリミプリム、JB253またはJB558)、チアゾリジンジオン(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン(Avandia)、ロベグリタゾン(Duvie)およびトログリタゾン(Rezulin))、ジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、トレラグリプチン、ゲミグリプチン、ドゥトグリプチンおよびオマリグリプチン)、SGLT2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、トホグリフロジン、セルグリフロジンエタボナート、レモグリフロジンエタボナート、およびエルツグリフロジン)、ならびにグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)類似体などの、当業者に既知の2型糖尿病の治療のための薬剤である。
【0197】
当業者であれば、治療剤の組み合わせは、組み合わせ製品として記載されてもよく、および/またはパーツキットとして提供されてもよいことを理解するであろう。
【0198】
本発明の第6の一態様では、
(A)本発明の第1の態様で定義した化合物と、
(B)1種以上の追加の治療剤と、を含む、組み合わせ製品が提供され、
成分(A)および(B)の各々が、任意に1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と混合して製剤化される、組み合わせ製品が提供される。
【0199】
本発明の第7の一態様では、
(a)本発明の第1の(または第2および/もしくは第3の)態様で定義される化合物(またはそれを含む薬学的組成物)あるいは本発明の第4または第5の態様で定義される薬学的組成物と、
(b)1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体と任意に混合された1種以上の他の治療剤と、を含むパーツキットが提供され、
前記成分(a)および(b)がそれぞれ、他方と一緒に投与するのに好適な形態で提供される、パーツキット。
【0200】
特定の実施形態(例えば、本発明の第6および第7の態様の)において、さらなる治療剤は、当業者に知られているように(例えば、本明細書に記載されているもの)、高血糖症または高血糖症を特徴とする障害(例えば、2型糖尿病)の治療に有用な治療剤である。
【0201】
例えば、本発明の第4から第5の態様の特定の実施形態では、追加の治療剤は、
(i)血糖値を低下させることができる、および/または
(ii)インスリン増感剤である、および/または
(iii)インスリン放出を増強することができる、薬剤であり、
上記の薬剤は、当業者によって容易に同定され、特に、市販されているそのような治療剤(例えば、欧州または米国での販売許可のような1地域以上における販売許可の対象である薬剤)を含む。
【0202】
当業者であれば、血糖値を低下させることができる治療剤への言及は、関連する化合物での治療前の血糖値と比較して、その血液レベルを少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも80%、例えば、少なくとも90%)低下させることができる化合物を意味してもよいことを理解するであろう。
【0203】
本発明の第6および第7の態様の代替的な実施形態では、追加の治療剤は、当業者によって容易に特定され、特に、市販のそのような治療薬が含まれる、非アルコール性脂肪肝疾患(NASHなど)の治療または予防のための薬剤(例えば、欧州または米国の販売承認などの、1つ以上の地域での販売承認の対象となる薬剤)である。
【0204】
化合物/組成物の調製
本明細書で定義される薬学的組成物/製剤、組み合わせ製品、およびキットは、標準的および/または容認されている薬務に従って調製することができる。
【0205】
したがって、本発明のさらなる態様では、上に定義された薬学的組成物/製剤を調製するためのプロセスが提供され、該プロセスは、上に定義された本発明の化合物を1種以上の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と関連付けることを含む。
【0206】
本発明のさらなる態様では、本明細書にて上記で定義した組み合わせ製品またはパーツキットの調製方法であって、本明細書中にて上記で定義した本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を、血糖症または血糖症を特徴とする障害(例えば、2型糖尿病)の治療に有用である他の治療剤、および少なくとも1種の薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤または担体とを関連付けることを含む方法が、提供される。
【0207】
本明細書で使用される場合、関連付けることへの言及は、2つの構成要素が互いに組み合わせて投与するのに適格とすることを意味し得る。
【0208】
したがって、2つの成分を互いに「関連付ける」ことによって、上に定義されたパーツキットを調製するためのプロセスに関して、該パーツキットの2つの成分が、
(i)別々の製剤(すなわち、互いに独立して)として提供されてもよく、その後、併用療法において互いに組み合わせて併用されるか、または
(ii)併用療法において互いに併用するための「コンビネーションパック」の別個の成分として一緒に包装され提示されてもよい、ということを含める。
【0209】
本発明の第1の態様(ならびに、したがって第2および第3の態様)で定義される化合物(すなわち、本発明の化合物)は、以下に提供される実施例に記載されるような、当業者に周知の技法に従って調製されてもよい。
【0210】
例えば、本発明の第1の態様において定義された式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の調製方法が提供され(これは、例えば、本発明の第2の態様において定義される化合物の調製に利用されてもよい)、この方法は、以下を含む。
(i)式IIの化合物
【化15】
(式中、Q
1~Q
5(および、したがって環Q)、R
2およびR
3は、上記で定義したとおりである)と、式IIIの化合物
【化16】
(式中、R
1は、本明細書の上記で定義したとおりであり、任意に、当業者に既知である好適な溶媒の存在下で)との反応、
(iia)式IVの化合物
【化17】
(式中、Q
1~Q
5、R
1、R
2、およびR
3は、本明細書の上記で定義したとおりであり、Y
1は、HまたはPG
1を表し、ここでPG
1は、当業者に既知である好適な保護基である(例えば、-C(O)OtBuまたは-SO
2CH
3)と、当業者に既知である好適な還元剤(NaBH
4またはLiAlH
4など)との、または好適な触媒の存在下での水素化による反応、
(iib)式IAの化合物の場合の、好適な触媒(例えば、(1S,2S)-(+)-N-(4-トルエンスルホニル)-1,2-ジフェニルエチレンジアミンと[RU(シメン)Cl
2]
2)との錯体)の存在下、および水素または好適な水素供与体(ギ酸など)の存在下、ならびに任意に塩基(例えば、Et
3N)の存在下、および好適な溶媒(例えば、CH
2Cl
2)の存在下での、本明細書に上記で定義したものであるが、式中、Y
1が、PG
2を表し、PG
2が、当業者に既知である好適な保護基(例えば、-C(O)OtBu)である、式IVの化合物の反応、
(iii)少なくとも1つのX
2が存在し、かつ-OHを表す化合物の場合の、対応する-OH基が、-OPG
2で表され、ここでPG
2が、当業者に既知である好適な保護基(例えば、ベンジルまたはアルキル、メチルなど)を表す化合物の、当業者に既知の条件下(例えば、ベンジルの場合、水素および好適な触媒または好適な酸の存在下、メチルのようなアルキルの場合、BBr
3、HBr、またはアルキルスルフィドの存在下)での脱保護、
(iv)少なくとも1つのX
2が存在し、かつ-NH
2を表す化合物の場合の、対応する-NH
2基が、-NHPG
3または-N(PG
3)
2で表され、ここでPG
3が、当業者に既知である好適な保護基(例えば、カルバメート保護基(tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、およびカルボキシベンジル(Cbz)など)ならびにアミド保護基(アセチルおよびベンゾイルなど)を表す化合物の、当業者に既知の条件下(例えば、Bocの場合、好適な酸(例えば、トリフルオロ酢酸またはHCl)の存在下での脱保護、(2つ以上のPG
2が存在する場合、各PG
2は、それぞれ同じ保護基を表してもよく、したがって、単一セットの条件下で脱保護されてもよい)、
(v)少なくとも1つのX
2が存在し、かつ-NH
2を表す化合物の場合の、対応する基が、-NO
2で表される化合物の、当業者に既知の条件下(例えば、水素ガスおよび当業者に既知である好適な触媒(例えば、Pd-C、PtO
2、ラネーニッケル)、酸性媒体(例えば、AcOH)中のFeまたはZn、ホウ化水素と共に好適な触媒(例えば、NaBH
4およびラネーニッケル)、または例えば、SnCl
2、TiCl
3、SmI
2などの薬剤を使用する水素化などの水素化による)還元。
【0211】
当業者であれば、必須-OHおよび/または-NHR1基などの特定の官能基は、反応中に1回以上保護(および脱保護)する必要があってもよく、このような保護(および脱保護)は、当業者に既知の技法を用いて実施されてもよいことを理解するだろう。
【0212】
式II、III、およびIVの化合物は、市販されているか、文献中にて知られているか、または本明細書に記載の方法と同様にしてか、または慣用的な合成法により、適切な試薬および反応条件を使用して、利用可能な出発材料(例えば、適切に置換されたベンズアルデヒド、スチレンまたは臭化フェナシル(または塩化フェナシルなど))から、標準的な技法に従って、得られてもよい。これに関して、当業者は、特に、B.M.TrostおよびI.Flemingによる“Comprehensive Organic Synthesis”,Pergamon Press,1991を参照することができる。使用されてもよいさらなる参考文献には、“Science of Synthesis”,Volumes 9-17(Hetarenes and Related Ring Systems),Georg Thieme Verlag,2006が含まれる。
【0213】
本明細書に上記で定義された置換基X1、X2、R1、R2、およびR3は、当業者に周知の方法により、式Iの化合物の調製のための上記方法の間または後に、1回以上修飾されてもよい。そのような方法の例には、置換、還元、酸化、脱水素、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、加水分解、エステル化、エーテル化、ハロゲン化およびニトロ化が含まれる。前駆体基は、反応順序の間いつでも、異なるそのような基または式Iで定義された基に変えることができる。当業者はまた、A.R.Katritzky,O.Meth-CohnおよびC.W.Reesによる“Comprehensive Organic Functional Group Transformations”,Pergamon Press,1995、および/またはR.C.Larockによる“Comprehensive Organic Transformations”,Wiley-VCH,1999を参照し得る。
【0214】
そのような化合物は、それらの反応混合物から単離されてもよく、必要であれば、当業者に周知の慣用的技法を用いて精製されてもよい。したがって、本明細書に記載の本発明の化合物の調製方法は、最終工程として、本発明の化合物の単離および任意の精製(例えば、式の化合物の単離および任意の精製)を含んでもよい。
【0215】
当業者であれば、本明細書に記載の方法において、必要とされる立体化学を有する好適な出発物質を反応させることによって、特定の立体化学を有する式Iの化合物(例えば、式IAの化合物)が提供されてもよいことを理解するであろう。
【0216】
例えば、式IAの化合物は、本明細書に記載の上記の工程において、工程(i)または工程(iii)~(v)に記載の方法において、必要とされる立体化学を有する化合物を反応させることによって、提供されてもよい。
【0217】
さらに、当業者であれば、必要な立体化学を有する好適な出発物質(例えば、式IIおよびVの好適な化合物、ここで、必須酸素で置換された炭素は、式IAの化合物の調製に必要とされるように、(R)立体配置である)が、本明細書に記載の上記の工程(iib)に記載の方法と同様にして調製されてもよいことを理解するであろう。
【0218】
上記および下記の方法において、中間体化合物の官能基を保護基によって保護する必要があり得ることは当業者によって理解されるであろう。官能基の保護および脱保護は、先に言及したスキームにおける反応の前または後に行ってもよい。
【0219】
保護基は、当業者に周知であって以下に記載されるような技法に従って適用および除去することができる。例えば、本明細書に記載の保護された化合物/中間体は、標準的な脱保護技術を用いて、保護されていない化合物に化学的に変換することができる。関与する化学の種類は、保護基の必要性および種類および合成を達成するための順序を決定付けるであろう。保護基の使用は、“Protective Groups in Organic Synthesis”,3rd edition,T.W.Greene&P.G.M.Wutz,Wiley-Interscience(1999)に完全に記載されている。
【0220】
本明細書に記載の化合物(特に、本発明の第1の、ならびにしたがって、第2および第3の態様で定義された化合物)は、前述した症状において使用するためであるかに関わらず、先行技術において知られている化合物よりも、より有効であり、より毒性が低く、より長く作用し、より効能があり、より副作用が少なく、より容易に吸収され、および/またはより優れた薬物動態プロファイル(例えば、より高い経口バイオアベイラビリティおよび/またはより低いクリアランス)を有し、および/または他の有用な薬理学的、物理的または化学的特性を有する、という利点を有してもよい。特に、このような化合物は、それらがより有効であり、および/またはインビボで有利な特性を示すという利点を有してもよい。
【0221】
理論に束縛される意図はないが、本明細書に記載の化合物は、骨格筋細胞におけるグルコース取り込みの増大を可能にする、β2-アドレナリン作動性受容体の強力な作動薬であると考えられる。
【0222】
加えて、本明細書に記載の化合物は、cAMP産生を誘導しない(または最小の効果だけを有する)、β2-アドレナリン作動性受容体の作動薬であると考えられている。このことは、他の治療により生じ得るものより低いレベルの副作用を伴って、骨格筋細胞におけるグルコース取り込みの増加を可能にする、と考えられている。さらに、本明細書に記載の化合物を、血糖値を低下させることができる治療剤(複数可)と組み合わせることは、有効な併用療法を提供すると考えられる。
【実施例】
【0223】
本発明を以下の実施例により説明する。
【0224】
別記しない限り、化学製品および試薬は、商業的供給元から入手し、受け取った状態で使用した。水分に敏感な試薬を含む全ての反応は、窒素またはアルゴンの正圧下で、オーブンまたはフレーム乾燥ガラス器具内で行った。
【0225】
略語
本明細書で使用される省略形は、当業者に知られているだろう。特に、以下の省略形が本明細書で使用されてもよい。
【表0】
【0226】
実施例化合物
命名法とグラフで示される化合物の構造との間に食い違いがある場合には、後者が支配的である(与えられ得る実験的詳細と矛盾しない限りおよび/または文脈から明らかでない限り)。
【0227】
実施例1:(S)-1-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール塩酸塩
【化18】
(a)1-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-ブロモエタン-1-オン
【化19】
EtOH(60mL)中のチオ尿素(1.4g、18.4mmol)の溶液を、EtOH(60mL)中の1,4-ジブロモ-2,3-ジオンの溶液に還流しながら滴加した。混合物を30分間加熱還流し、室温に冷却させた。混合物を濾過し、濃縮し、残渣をEtOH(20mL)で処理した。固形物質を集め、副題化合物の最初の収穫物を得た。EtOAc(100mL)を濾液に添加し、沈殿物を集めることにより、第2の収穫物を得た。総収量は(1.28g、5.79mmol、32%)であり、この物質をさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0228】
(b)N-(4-(2-ブロモアセチル)チアゾール-2-イル)イソブチルアミド
【化20】
1-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-ブロモエタン-1-温(250mg、1.13mmol)と無水酢酸(0.56mL、3.40mmol)との混合物を90℃で19時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、EtOAcと共に10分間撹拌し、固形物を集めた。濾液を濃縮し集めた固形物と共にプールした。クロマトグラフィーによる精製により、副題化合物(150mg、0.51mmol、46%)を得た。
【0229】
(c)tert-ブチルブチル(2-(2-イソブチルアミドチアゾール-4-イル)-2-オキソエチル)カルバメート
【化21】
CH
2Cl
2(15mL)中のN-(4-(2-ブロモアセチル)チアゾール-2-イル)イソブチルアミド(960mg、3.30mmol)の溶液を、n-ブチルアミン(0.65mL、6.60mmol)、DIPEA(0.57mL、3.30mmol)およびCH
2Cl
2(8mL)の混合物に、℃で滴加した。冷却浴を除去し、混合物を室温で1時間撹拌した。CH
2Cl
2(5mL)中のBoc
2O(2.27mL、9.90mmol)溶液を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。混合物をCH
2Cl
2で希釈し、H
2O、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(690mg、1.80mmol、55%)を得た。
【0230】
(d)tert-ブチル(S)-ブチル(2-ヒドロキシ-2-(2-イソブチルアミドチアゾール-4-イル)エチル)カルバメート
【化22】
ギ酸/Et
3N(5:2、1mL)、続いて(S,S)-N-(p-トルエンスルホニル)-1,2-ジフェニルエタン-ジアミン(クロロ)(p-シメン)ルテニウム(II)(10mg、0.016mmol)を、DMF(4mL)中のtert-ブチルブチル(2-(2-イソブチルアミドチアゾール-4-イル)-2-オキソエチル)カルバメート(120mg、0.31mmol)の溶液に室温で添加した。混合物を、大気圧下、室温で23時間撹拌し、CH
2Cl
2で希釈した。これをH
2O、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(90mg、0.23mmol、75%)を得た。
【0231】
(e)(S)-1-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化23】
HCl(水溶液、6M、3mL)を、EtOH(3mL)中のtert-ブチル(S)-ブチル(2-ヒドロキシ-2-(2-イソ-ブチルアミドチアゾール-4-イル)エチル)カルバメート(420mg、1.09mmol)の溶液に添加した。混合物をマイクロ波反応器で85℃で4時間加熱し、冷却して濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(180mg、0.62mmol、57%)を得た。
1H NMR(400MHz、D
2O):δ6.82(d、J=1.0Hz、1H)、5.05(ddd、J=9.6、3.7、1.0Hz、1H)、3.43(dd、J=13.0、3.6Hz、1H)、3.35(dd、J=13.0、9.6Hz、1H)、3.20-3.08(m、2H)、1.71(tt、J=7.9、6.5Hz、2H)、1.40(ヘプト、J=7.6Hz、2H)、0.94(t、J=7.4Hz、3H)。
【0232】
実施例2:(S)-2-(ブチルアミノ)-1-(2-(トリフルオロメチル)チアゾール-4-イル)エタン-1-オール塩酸塩
【化24】
(a)トリフルオロチオアセトアミド
トリフルオロアセトアミド(1.2g、10.6mmol)、ローソン試薬(2.36g、5.84mmol)、THF(10mL)の混合物を、室温で2時間加熱還流した。この混合物を濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(0.89g、6.9mmol、65%)を得た。
【0233】
(b)2-ブロモ-1-(2-(トリフルオロメチル)チアゾール-4-イル)エタン-1-オン
【化25】
MeCN(13mL)中のトリフルオロチオアセトアミド(0.89g、6.9mmol)の溶液を、MeCN(13mL)中の1,4-ジブロモ-2,3-ジオンの溶液に、60℃で1時間かけて滴加した混合物を60℃で90分間加熱し、室温まで冷却させて濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(712mg、2.6mmol、38%)を得た。
【0234】
(c)(R)-2-ブロモ-1-(2-(トリフルオロメチル)チアゾール-4-イル)エタン-1-オール
【化26】
ボラン(THF中1M、0.58mL、0.58mmol)を、(R)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジン(トルエン中1M、0.07mL、0.07mmol)とTHF(0.2mL)との混合物に、室温で滴加した。混合物を室温で15分間撹拌し、THF(0.8mL)中の2-ブロモ-1-(-(トリフルオロメチル)チアゾール-4-イル-エタン-1-オン(200mg、0.73mmol)の溶液を滴加した(0.09mL/分)。室温で90分後、MeOH(2mL)を添加した。混合物を30分間撹拌し、注意深く濃縮した。残渣をCH
2Cl
2で処理し、混合物をKH
2PO
4(0.5M)、H
2Oで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させた。溶媒を注意深く除去し、副題化合物(190mg、0.68mmol、94%)を得た。
【0235】
(d)(R)-4-(オキシラン-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)チアゾール
【化27】
K
2CO
3(36mg、0.26mol)を、MeOH(1.8mL)中の(R)-2-ブロモ-1-(2-(トリフルオロメチル)-チアゾール-4-イル)エタン-1-オール(48mg、0.17mmol)の混合物に室温で添加した。混合物を室温で30分間撹拌し、濾過し、濃縮した。残渣を、CH
2Cl
2で抽出し、合わせた抽出物を濾過し、濃縮して、副題化合物(26mg、0.13mmol、72%)を得た。
【0236】
(d)(S)-2-(ブチルアミノ)-1-(2-(トリフルオロメチル)チアゾール-4-イル)エタン-1-オール塩酸塩
【化28】
(R)-4-(オキシラン-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)チアゾール(30mg、0.22mmol)とn-ブチルアミン(2.5mL、25.6mmol)の混合物を密閉バイアル中で60℃で2時間加熱して、冷却させて濃縮した。残渣をMTBE/ペンタンから結晶化させた。固形物を集め、少量のMTBE中に溶解した。ペンタンを添加し、溶液を冷凍庫内に一晩維持した。形成された固体を集め、キラルHPLCにより精製して、表題化合物(189mg、0.70mmol、55%。ee>99%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3):δ7.56(d、J=1.0Hz、1H)、4.90(ddd、J=1.0、4.0、7.7Hz、1H)、3.14(dd、J=4.0、12.3Hz、1H)、2.88(dd、J=7.7、12.3Hz、1H)、2.94(br.s.、2H、重複)、2.71-2.57(m、2H)、1.51-1.41(m、2H)、1.40-1.28(2H、m)、0.91(t、J=7.3Hz、3H)。
【0237】
実施例3:5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2(1H)-オン
【化29】
(a)6-ベンジルオキシニコチンアルデヒド
【化30】
臭化ベンジル(500mg、2.92mmol)を、6-ヒドロキシニコチンアルデヒド(300mg、2.44mmol)、Ag
2CO
3(1.0g、3.66mmol)、およびMeCN(15mL))の混合物に添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、濾過し、濃縮した。残渣をH
2OとEtOAcとの間で分配し、有機層をH
2O、ブラインで洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(455mg、2.14mmol、88%)を得た。
【0238】
(b)2-(ベンジルオキシ)-5-(オキシラン-2-イル)ピリジン
【化31】
DMSO(7.5mL)中のヨウ化トリメチルスルホニウム(495mg、2.43mg)の溶液を、THF(7.5mL)中のNaH(Et
2Oによる洗浄によって、鉱油中101mg、2.53mmol、60%のNaHから調製した)の懸濁液に0℃で滴加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、THF(3mL)中の6-ベンジルオキシニコチンアルデヒド(450mg、2.11mmol)の溶液を滴加した。冷却浴を除去し、混合物を室温で1時間撹拌し、氷上に注ぎ入れた。混合物をEtOAcで抽出し、合わせた抽出物をH
2O、ブラインで洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濃縮して副題化合物の定量的収率を得、これをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0239】
(c)2-(ベンジル(ブチル)アミノ)-1-(6-ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル)エタン-1-オール
【化32】
2-(ベンジルオキシ)-5-(オキシラン-2-イル)ピリジン(200mg、0.88mmol)、n-ブチルアミン(0.19mL、1.06mmol)およびiPrOH(0.5mL)の混合物をマイクロ波反応器で、100℃で90分間加熱した。混合物を冷却し、濃縮し、クロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(227mg、0.58mmol、66%)を得た。
【0240】
(d)5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2(1H)-オン
【化33】
2-(ベンジル(ブチル)アミノ)-1-(6-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル)エタン-1-オールの混合物(134mg、0.34mg)、Pd(OH)
2(炭素上20%、50%(w/w)の水性懸濁液、96mg、48mg、0.07mmol)およびシクロヘキセン(3.5mL)を密封バイアルで85℃で2時間加熱した。Pd(OH)
2の別の部分(炭素上20%、50%(w/w)の水性懸濁液、96mg、48mg、0.07mmol)を加え、さらに3時間加熱を続けた。混合物を冷却し、セライトを通して濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(30mg、0.14mmol、42%)を得た。
【0241】
実施例4:4-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-2(1H)-オンアセテート
【化34】
実施例3の手順に従って、2-ヒドロキシピリジン-4-カルバルデヒドから、表題化合物を得た。
1H NMR(400MHz、D
2O):δ7.43(dd、J=6.7、0.7Hz、1H)、6.54-6.53(m、1H)、6.45(ddd、J=6.9、1.7、0.5Hz、1H)、4.84(dd、J=9.6、3.2Hz、1H)、3.24(dd、J=13.1、3.2Hz、1H)、3.07(dd、J=13.1、9.6Hz、1H)、3.00-2.93(m、2H)、1.77(s、3H)、1.59-1.49(m、2H)、1.25(dq、J=14.8、7.4Hz、2H)、0.78(t、J=7.4Hz、3H)。
【0242】
実施例5:(S)-1-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化35】
(a)3,3-ジメトキシブタン-2-オン
【化36】
ジアセチル(26.3mL、300mmol)を、室温でMeOH(150mL)中の塩化トリメチルシリル(11.4mL、90mmol)の溶液に滴加した。混合物を室温で2日間撹拌し、NaHCO
3(飽和水溶液、200mL)とNaOH(2M水溶液100mL)との混合物に注ぎ入れた。混合物をCH
2Cl
2で抽出し、合わせた抽出物を、MgSO
4上で乾燥させた。濃縮および蒸留(20mbarでの沸点44℃)により、副題化合物(23.0g、174mmol、58%)を得た。
【0243】
(b)1-(ジメチルアミノ)-4,4-ジメトキシペンタ-1-エン-3-オン
【化37】
3,3-ジメトキシブタン-2-オン(23.0g、174mmol)とジメチルホルムアミドジメチルアセタール(23mL、174mmol)との混合物を、160℃で16時間加熱し、揮発性物質約5mLを留去しさせた。ジメチルホルムアミドジメチルアセタールの別の部分(5mL)を添加し、容器を閉じ、混合物を160℃で3時間加熱し、冷却した。混合物を注意深く濃縮し、蒸留して(115℃、約1torrで)、副題化合物(25g、134mmol、77%)を得た。
【0244】
(c)4-(1,1-ジメトキシエチル)ピリミジン-2-アミン
【化38】
1-(ジメチルアミノ)-4,4-ジメトキシペンタ-1-エン-3-オン(1.0g、5.34mmol)、1-アセチルグアニジン(0.54g、5.34mmol)、およびEtOH(5mL)の混合物を、100℃で16時間加熱した。1-アセチルグアニジンの追加の部分(0.54g、5.34mmol)を添加し、加熱を4時間続けた。混合物を室温で一晩放置した。固形物を集め、冷EtOHおよびEt
2Oで洗浄し、乾燥させて、副題化合物(0.5g、2.73mmol、51%)を得た。
【0245】
(d)N-(4-(1,1-ジメトキシエチル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド
【化39】
4-(1,1-イメトキシエチル)ピリミジン-2-アミン(100mg、0.55mmol)と無水イソ酪酸(260mg、1.63mmol)との混合物を、密封バイアル中で、120℃で3時間加熱して、冷却させた。石油エーテル(3mL)を添加し、溶液を-20℃で1時間維持した。固形物を集め、石油エーテルで洗浄し、乾燥させて、副題化合物(70mg、0.28mmol、51%)を得た。
【0246】
(e)N-(4-(1-メトキシビニル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド
【化40】
トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(0.94mL、5.2mmol)を、N-(4-1,1-ジメトキシエチル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド(600mg、2.4mmol)、DIPEA(1.0mL、5.9mmol)、およびCH
2Cl
2(4mL)の混合物に、0℃で滴加した。混合物を室温で1日間撹拌し、濃縮した。残渣をH
2OとEtOAcとの間で分配し、有機層をH
2O、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させて、濃縮した。残渣をTHF(4mL)およびH
2O(1mL)中に溶解し、NH
4F(0.44g、11.8mmol)を添加した。混合物を100℃で30分間加熱し、EtOAcで希釈し、H
2O、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させて、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(400mg、1.8mmol、76%)を得た。
【0247】
(f)N-(4-(2-クロロアセチル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド
【化41】
N-ブロモスクシンイミド(38.0mg、0.19mmol)を、N-(4-(1-メトキシビニル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド(43mg、0.19mmol)、THF(1mL)、およびH
2O(0.25mL)の混合物に、0℃で少しずつ添加した。混合物を1時間かけて室温に戻した。NaCl(114mg、1.94mmol)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌し、EtOAcで希釈した。混合物をH
2O、ブラインで洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(45mg、0.18mmol、96%)を得た。
【0248】
(g)(R)-N-(4-(2-クロロ-1-ヒドロキシエチル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド
【化42】
副題化合物を、実施例1、工程(d)の手順に従って、N-(4-(2-クロロアセチル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミドから調製した。
【0249】
(h)(R)-N-(4-(オキシラン-2-イル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド
【化43】
NaOH(4M水溶液、0.12mL、0.5mmol)を、THF(1mL)中の(R)-N-(4-(2-クロロ-1-ヒドロキシエチル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド(12.0mg、0.05mmol)の溶液に添加した。混合物を、室温で30分間攪拌し、EtOAcで希釈し、H
2O、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮して、副題化合物(10mg、0.048mmol、98%)を得、それをさらに精製することなく、次の工程で使用した。
【0250】
(i)(S)-1-(2-アミノピリミジン-4-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化44】
(R)-N-(4-(オキシラン-2-イル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド(300mg、1.45mmol)とn-ブチルアミン(2.8mL、29mmol)との混合物をマイクロ波照射下、100℃で2時間加熱し、冷却させて、濃縮した。反応で形成されたN-ブチルイソブチルアミドを、真空蒸留(Kugelrohr、125℃)で除去した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(90mg、0.43mmol、30%)を得た。
1H NMR(400MHz、CD
3OD):δ9.77(d、J=5.2Hz、1H)、8.37(dd、J=5.2、0.6Hz、1H)、6.14(ddd、J=8.6、3.8、0.6Hz1H)、4.49(dd、J=12.3、3.9Hz、1H)、4.29(dd、J=12.3、8.6Hz、1H)、4.25-4.11(m、2H)、3.12-3.03(m、2H)、3.00-2.87(m、2H)、2.50(t、J=7.3Hz、3H)。
【0251】
実施例6:2-(ブチルアミノ)-1-(ピリジン-4-イル)エタン-1-オール
【化45】
(a)2-ブロモ-1-(ピリジン-4-イル)エタン-1-オン塩酸塩
【化46】
トルエン(4mL)中のブロミン(0.23mL、4.54mmol)を、4-アセチルピリジン(500mg、4.13mmol)、AcOH(2mL)、およびトルエン(8mL)の混合物に、0℃で滴加した。混合物を室温で一晩攪拌した。固形物を集め、Et
2Oで洗浄し、乾燥させて、表題化合物(650mg、2.31mmol、56%)を得た。
【0252】
(b)2-(ブチルアミノ)-1-(ピリジン-4-イル)エタン-1-オール
【化47】
NaBH
4(72.7mg、1.92mmol)を、2-ブロモ-1-(ピリジン-4-イル)エタン-1-オン塩酸塩(150mg、0.53mmol)とEtOH(2mL)との混合物に0℃で少量ずつ添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、濾過した。n-ブチルアミン(0.13mL、1.33mmol)を濾液に添加し、混合物を室温で3時間加熱し、冷却させて、濃縮した。CHCl
3(4mL)を残渣に添加し、固形物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(20mg、0.10mmol、19%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3):δ8.55-8.53(m、2H)、7.30-7.28(m、2H)、4.68(dd、J=8.8、3.6Hz、1H)、2.93(dd、J=12.0、3.6Hz、1H)、2.71-2.58(m、3H)、1.50-1.29(m、4H)、0.91(t、J=7.2Hz、3H)。
【0253】
実施例7:2-(ブチルアミノ)-1-(ピリジン-3-イル)エタン-1-オール
【化48】
表題化合物を、実施例6に従って、3-アセチルピリジンから調製した。
1H NMR(400MHz、CDCl
3):δ8.58(d、J=1.9Hz、1H)、8.51(dd、J=4.8、1.6Hz、1H)、7.74-7.71(m、1H)、7.29-7.24(m、1H)、4.72(dd、J=9.6、3.6Hz、1H)、2.91(dd、J=12.4、3.6Hz、1H)、2.73-2.60(m、3H)、1.51-1.31(m、4H)、0.92(t、J=7.2Hz、3H)。
【0254】
実施例8:(S)-N-(5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)チアゾール-2-イル)イソブチルアミド
【化49】
(a)2-イソブチルアミドチアゾール-5-カルボン酸
【化50】
2-アミノチアゾール-5-カルボン酸(600mg、4.16mmol)とイソ酪酸(2.76mL、16.6mmol)との混合物を、100ドで一晩加熱し、冷却させた。固形物をEt
2Oで洗浄し、残渣をさらに精製することなく次の工程で使用した(847mg、3.95mmol、95%)。
【0255】
(b)N-(5-(2-ブロモアセチル)チアゾール-2-イル)イソブチルアミド
【化51】
SOCl
2(2.8mL、39.2mmol)およびDMFの1滴を、CH
2Cl
2(15mL)中の2-イソブチルアミドチアゾール-5-カルボン酸(1.20g、5.60mmol)の溶液に室温で添加した。混合物を、室温で7時間撹拌した。DMFの1滴を添加し、混合物を濃縮した。CH
2Cl
2を添加し、混合物を濃縮した。CH
2Cl
2を添加し、続いて濃縮する手順を、2回繰り返した。残渣を真空中で乾燥させ、CH
2Cl
2中に溶解し、トリメチルシリルジアゾメタン(8.40mL、16.80mmol)を0℃で滴加した。混合物を10時間かけて室温に戻し、0℃に冷却した。HBr(AcOH中33%、1.28mL、22.4mmol)を0℃で滴加した。冷却浴を取り外し、混合物を室温で1時間撹拌し、CH
2Cl
2で希釈し、NaHCO
3(飽和水溶液)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をさらに精製することなく次の工程で使用した(950mg、3.27mmol、58%)。
【0256】
(c)tert-ブチルブチル(2-(2-イソブチルアミドチアゾール-5-イル)-2-オキソエチル)カルバメート
【化52】
副題化合物を、実施例1、工程(c)の手順に従って、N-(4-(2-クロロアセチル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミドから調製した。
【0257】
(d)tert-ブチル(S)-ブチル(2-ヒドロキシ-2-(2-イソブチルアミドチアゾール-5-イル)エチル)カルバメート
【化53】
副題化合物を、実施例1、工程(d)の手順に従って、tert-ブチルブチル(2(2-イソブチルアミドチアゾール-5-イル)-2-オキソエチル)カルバメートから調製した。反応時間は、140時間であった。収率54%、ee=98%。
【0258】
(e)(S)-N-(5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)チアゾール-2-イル)イソブチルアミド
【化54】
表題化合物を、実施例8の手順に従って、tert-ブチル(S)-ブチル(2-ヒドロキシ-2-(2-イソブチルアミドチアゾール-5-イル)エチル)カルバメートから調製した。
1H NMR(400MHz、CD
3OD):δ7.46(d、J=0.9Hz、1H)、5.27(ddd、J=9.2、4.1、0.7Hz、1H)、3.40-3.29(m、2H)、3.13-3.03(m、2H)、2.79(ヘプタ、J=6.9Hz、1H)、1.72-1.64(m、2H)、1.39(h、J=7.4Hz、2H)、1.19(d、J=6.9Hz、6H)、0.93(t、J=7.4Hz、3H)。
【0259】
実施例9:(S)-1-(2-アミノチアゾール-5-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール二塩酸塩
【化55】
HCl(ジオキサン中4M、0.29mL、9.4mmol)を、ジオキサン(0.5mL)中のtert-ブチル(S)-ブチル(2-ヒドロキシ-2-(2-イソブチルアミドチアゾール-5-イル)エチル)カルバメート(195mg、0.47mmol、実施例8の工程(d)を参照されたい)の混合物に、室温で滴加した。混合物を室温で24時間撹拌し、濃縮した。残渣をMeCN/MeOH(10:1)から2回結晶化して、表題化合物(63mg、0.22mmol、47%)を得た。
1H NMR(400MHz、D
2O):δ7.21(d、J=0.8Hz、1H)、5.22(ddd、J=9.6、3.6、0.8Hz、1H)、3.46-3.33(m、2H)、3.18-3.10(m、2H)、1.76-1.67(m、2H)、1.48-1.37(m、2H)、0.95(t、J=7.6Hz、3H)。
【0260】
実施例10:(R)-N-5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド塩酸塩
【化56】
(a)N-(5-ブロモピリミジン-2-イル)イソブチルアミド
【化57】
無水イソ酪酸(2.20mL、13.3mmol)を、5-ブロモピリミジン-2-アミン(550mg、3.16mmol)、DMAP(405.5mg、3.32mmol)、およびピリジン(5mL)の混合物に一度に添加した。混合物を100℃で18時間撹拌し、冷却させた。水を添加し、混合物を室温で30分間攪拌し、Et
2Oで抽出した。合わせた抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮して、副題化合物(376mg、1.54mmol、49%)を得た。
【0261】
(b)N-(5-(1-エトキシビニル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド
【化58】
1-エトキシビニルトリブチルスズ(0.30mL、0.74mmol)を、N-(5-ブロモピリミジン-2-イル)イソブチルアミド(165mg、0.68mmol)、(Ph
3P)
2PdCl
2(14.2mg、0.02mmol)、およびDMF(3mL)の混合物に添加した。混合物をマイクロ波照射下で、70℃で3時間加熱し、冷却させた。KF(水溶液)を添加し、混合物を1時間超音波処理した。水を添加し、混合物を室温で30分間攪拌し、CH
2Cl
2で抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(132mg、0.56mmol、83%)を得た。
【0262】
(c)N-(5-(2-ブロモアセチル)-ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド
【化59】
N-ブロモスクシンイミド(345mg、1.94mmol)を、N-(5-(1-エトキシビニル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド(415mg、1.94mmol)、THF(5mL)、およびH
2O(5mL)の混合物に0℃で一度に添加した。混合物を1時間かけて室温に戻し、濃縮してTHFを除去した。H
2Oを添加し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出物を、MgSO
4上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(185mg、0.65mmol、37%)を得た。
【0263】
(d)tert-ブチルブチル(2-(2-イソブチルアミドピリミジン-5-イル)-2-オキソエチル)カルバメート
【化60】
副題化合物は、実施例1、工程(c)の手順に従って、N-(5-(2-ブロモアセチル)ピリミジン-2-イル)-イソブチルアミドから調製した。
【0264】
(e)tert-ブチル(R)-ブチル(2-ヒドロキシ-2-(2-イソブチルアミドピリミジン-5-イル)エチル)カルバメート
【化61】
(S,S)-N-(p-トルエンスルホニル)-1,2-ジフェニルエタンジアミン(クロロ)(p-シメン)ルテニウム(II)(9.4mg、0.015mmol)を、tert-ブチルブチル(2-(2-イソブチルアミドピリミジン-5-イル)-2-オキソエチル)カルバメート(56mg、0.15mmol)、ギ酸/Et
3N(5:2、0.30mL)、およびDMF(3mL)の混合物に添加した。混合物を、室温で2.5時間撹拌した。H
2Oを添加し、混合物をCH
2Cl
2で抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(45mg、0.12mmol、80%)を得た。
【0265】
(f)(R)-N-(5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド塩酸塩
【化62】
HCl(Et
2O中1M、6mL)を、tert-ブチル(R)-ブチル(2-ヒドロキシ-2-(2-イソブチルアミド-ピリミジン-5-イル)エチル)カルバメート(50mg、0.13mmol)に室温で添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。固形物を集め、逆相クロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(15mg、0.047mmol、36%)を得た。
【0266】
実施例11:(R)-1-(2-アミノピリミジン-5-イル)-2-(ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化63】
K
2CO
3(35.5mg、0.26mmol)を、(R)-N-(5-(2-(ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリミジン-2-イル)イソブチルアミド塩酸塩(実施例11、工程(f)を参照されたい、24mg、0.076mmol)とMeOH(4mL)との混合物に添加した。混合物を65℃で2時間加熱還流し、冷却させ、濾過して、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(11mg、0.052mmol、69%)を得た。
1H NMR(400MHz、D
2O):δ8.35(s、2H)、4.77-4.81(m、1H(溶媒と交差する)、2.96(dd、J=12.7、8.2Hz、1H)、2.87(dd、J=12.7、5.2Hz、1H)、2.66(tt、J=7.2、3.7Hz、1H)、1.43-1.53(m、2H)、1.26-1.39(m、2H)、0.91(t、J=7.4Hz.3H)。
【0267】
実施例12:(S)-6-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-オール
【化64】
(a)1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-2-イル)エタン-1-オン
【化65】
K
2CO
3(504mg、3.65mmol)、続いて臭化ベンジル(0.22mL、1.82mmol)を、MeCN(8mL)中の1-(5-ヒドロキシピリジン-2-イル)エタノン(250mg、1.82mmol)の溶液に、室温で添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(360mg、1.58mmol、87%)を得た。
【0268】
(b)1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-2-イル)-2-ブロモエタン-1-オン
【化66】
HBr(AcOH中33%、3.2mL)を、AcOH(6.4mL)中の1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-2-イル)エタン-1-オン(320mg、1.41mmol)の溶液に室温で添加した。混合物を氷浴で冷却し、Br
2(72.4μL、0.141mmol)を滴加した。冷却浴を取り外し、混合物を室温で2時間撹拌して、濾過した。固形物をEt
2Oで洗浄し、NaHCO
3(飽和水溶液)で処理した。混合物をCH
2Cl
2で抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮して、副題化合物(355mg、1.16mmol、82%)を得た。
【0269】
(c)1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-2-イル)-2-クロロエタン-1-オン
【化67】
NaCl(1.15g(19.6mmol)を、1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-2-イル)エタン-1-オン(300mg、0.98mmol)、THF(5.2mL)、およびH
2O(3.5mL)の混合物に室温で添加した。混合物を70℃で20時間激しく攪拌し、EtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)上で乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(240mg、0.92mmol、94%)を得た。
【0270】
(d)(R)-1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-2-イル)-2-クロロエタン-1-オール
【化68】
RhClCp*[(1S,2S)-p-TsNCH(C
6H
5)CH(C
6H
5)NH
2]/HCl.Et
3N(30.4mg、39μmol)(ジクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ロジウム(III)二量体、(1S,2S)-(+)-N-(4-トルエン-スルホニル)-1,2-ジフェニルエチレンジアミンおよびEt
3NからWO2008/054155に記載されているように調製)を、THF(2.8mL)中の1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-2-イル)-2-クロロエタン-1-オン(205mg、0.78mmol)の混合物に添加した。ギ酸/Et
3N(5:2、0.28mL)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、H
2Oで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーで精製して、副題化合物(201mg、0.76mmol、97%、ee=95%)を得た。
【0271】
(e)(R)-5-(ベンジルオキシ)-2-(オキシラン-2-イル)ピリジン
【化69】
NaOH(1M水溶液、1.73mL、1.73mmol)を、iPrOH(1.2mL)中の(R)-1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-2-イル)-2-クロロエタン-1-オール(12.0mg、0.05mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、EtOAcで希釈した。混合物を、H
2O、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濃縮して、副題化合物(123mg、0.54mmol、94%)を得、それをさらに精製することなく、次の工程で使用した。
【0272】
(f)(S)-1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-2-イル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化70】
tert-ブチルアミン(0.52mL、4.93mmol)を、(R)-5-(ベンジルオキシ)-2-(オキシラン-2-イル)ピリジン(112mg、0.49mmol)とiPrOH(0.39mL)との混合物に室温で添加した。混合物を70℃で16時間加熱し、冷却して、濃縮した。残渣をCH
2Cl
2/ヘキサン(1:5)から結晶化して、副題化合物を得た(136mg、0.45mmol、92%)。
【0273】
(g)(S)-6-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-オール
【化71】
Et
3SiH(0.40mL、2.50mmol)を、(S)-1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-2-イル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール(75mg、0.25mmol)、Pd-C(10%、53.1mg、0.05mmol)、およびMeOH(0.6mL)の混合物に、室温で添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、セライトを通して濾過し、濃縮した。H
2Oを残渣に添加し、混合物をCH
2Cl
2で抽出した。水相を濃縮し、EtOHで処理し、セライトを通して濾過した。濃縮により、表題化合物(49mg、0.23mmol、93%、ee=95%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3):δ.56(d、J=2.4Hz、1H)、7.08(d、J=8.4Hz、1H)、6.82(dd、J=8.4、2.8Hz、1H)、4.86(t、J=3.8Hz、1H)、3.21(dd、J=11.6、4.0Hz、1H)、3.00(dd、J=11.6、3.6Hz、1H)、1.22(s、9H)。
【0274】
実施例13:(R)-5-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-オール二塩酸塩
【化72】
(a)3-(ベンジルオキシ)-5-ブロモピリジン
【化73】
NaH(鉱油中60%、1.27g、31.66mmol)をヘキサンで洗浄した。DMF(20mL)水を添加し、混合物を氷浴で冷却した。ベンジルアルコール(3.28mml、31.66mmol)を30分かけて滴加し、混合物を室温で20分間撹拌した。3,5-ジブロモピリジン(5.00g、21.11mmol)を、一度に添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。NH
4Cl(水溶液、10%)をゆっくりと添加し、続いてEt
2Oを添加した。層を分離させ、水相をEt
2Oで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(3.86g、14.61mmol、69%)を得た。
【0275】
(b)1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル)-2-クロロエタン-1-オン
【化74】
塩化イソプロピルマグネシウム(THF中2M、7.63mL、15.26mmol)を、THF(20mL)中の3-(ベンジルオキシ)-5-ブロモピリジン(3.10g、11.74mmol)の溶液に、0℃で滴加した。混合物を室温で90分間撹拌し、THF(20mL)中の2-クロロ-N-メトキシ-N-メチル-アセトアミド(1.78g、12.9mmol)の溶液を滴加した。混合物を室温で1時間撹拌した。NH
4Cl(10%水溶液)を添加し、混合物をEt
2Oで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(1.00g、3.82mmol、33%)を得た。
【0276】
(c)(R)-1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル)-2-クロロエタン-1-オール
【化75】
副題化合物を、実施例13、工程(d)の手順に従って、1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル)-2-クロロエタン-1-オンから調製した。
【0277】
(d)(R)-1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化76】
tert-ブチルアミン(2.43mL、23.13mmol)、続いてNaOH(101.77mg、2.54mmol)を、(R)-1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル)-2-クロロエタン-1-オール(610mg、2.31mmol)とiPrOH(0.35mL、4.63mmol)との混合物に室温で添加した。混合物を85℃で9時間攪拌し、EtOAcで希釈し、H
2Oおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーで精製して、副題化合物(305mg、1.02mmol、44%、ee=80%)を得た。
【0278】
(e)(R)-5-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-オール二塩酸塩
【化77】
(R)-1-(5-(ベンジルオキシ)ピリジン-3-イル)-2-(tert-ブチュアミノ-エタン-1-オール(300mg、1.00mmol)、10%のPd-C(212.56mg、0.20mmol)、およびiPrOH(15mL)の混合物を、室温で2時間8気圧にて水素化し、セライトを通して濾過し、濃縮した。残渣をEt
2O(20mL)およびMeOH(3mL)中に溶解し、HCl(Et
2O中2M、1.00mL、2.00mmol)を添加した。混合物を室温で20分間攪拌し、20℃で2時間維持した。固形物を集め、Et
2Oで洗浄し、乾燥させて、表題化合物(210mg、0.74mmol、74%)を得た。
1H NMR(400MHz、D2O)δ8.43(s、1H)、8.35(d、J=2.6Hz、1H)、8.13-8.06(m、1H)、5.25(dd、J=10.2、3.0Hz、1H)、3.44(dd、J=12.9、3.1Hz、1H)、3.26(dd、J=12.9、10.2Hz、1H)、1.42(s、9H)。
【0279】
実施例14:4-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-オール塩酸塩
【化78】
(a)1-(3-(ベンジルオキシ)ピリジン-4-イル)エタン-1-オン
【化79】
NaH(鉱油中60%、35mg、0.88mmol)をn-ペンタンで洗浄し、THF(2mL)を添加した。混合物を氷浴で冷却し、4-アセチル-3-ヒドロキシピリジン(100mg、0.73mmol)を少しずつ添加した。5分後、15-クラウン-5(16mg、73μmol)を添加し、混合物を0℃で20分間撹拌した。臭化ベンジル(95μL、0.80mmol)を滴加し、混合物を0℃で10分間、室温で16時間攪拌した。MeOH(5mL)を添加し、混合物を濃縮した。CH
2Cl
2を残渣に添加し、混合物をセライトを通して濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(62mg、0.27mmol、37%)を得た。
【0280】
(b)1-(3-(ベンジルオキシ)ピリジン-4-イル)-2-ブロモエタン-1-オン
【化80】
副題化合物を、実施例13、工程(b)の手順に従って、1-(3-(ベンジルオキシ)ピリジン-4-イル)エタン-1-オンから調製した。
【0281】
(c)3-(ベンジルオキシ)-4-(オキシラン-2-イル)ピリジン
【化81】
NaBH
4(2.93mg、77μmol)を1-(3-(ベンジルオキシ)ピリジン-4-イル)-2-ブロモエタン-1-オン(100mg、0.26mmol)とiPrOH(0.5mL)との混合物に0℃で添加した。冷却浴を除去し、混合物を室温で1時間撹拌した。K
2CO
3 (35.7mg、0.26mmol)を室温で添加し、混合物を室温で5時間撹拌した。混合物をセライトを通して濾過し、固形物をiPrOH(0.3mL)で洗浄した。濾液を次の工程でそのまま使用した。
【0282】
(d)1-(3-(ベンジルオキシ)ピリジン-4-イル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール
【化82】
tert-ブチルアミン(0.19mL、1.85mmol)を、3-(ベンジルオキシ)-4-(オキシラン-2-イル)ピリジン(iPrOH中0.18mmol;実施例15、ステップ(b)を参照)の溶液に室温で添加した。混合物を70℃で16時間加熱し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(36mg、0.12mmol、65%)を得た。
【0283】
(e)4-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)ピリジン-3-オール塩酸塩
【化83】
Et
3SiH(0.19mL、1.20mmol)を、1-(3-(ベンジルオキシ)ピリジン-4-イル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタン-1-オール(36mg、0.12mmol)、Pd-C(10%、25.5mg、0.024mmol)、およびMeOH(0.2mL)の混合物に、室温で添加した。混合物を室温で10分間撹拌し、セライトを通して濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、ジオキサン中に溶解した。HCl(ジオキサン中4M、50μL、0.20mmol)を添加し、固形物を集め、乾燥させて、表題化合物(26mg、0.11mmol、88%)を得た。
1H NMR(400MHz、CD
3OD):δ8.03-8.01(m、1H)、7.37(d、J=8.4Hz、1H)、7.18(dd、J=8.4、2.8Hz、1H)、4.78(dd、J=8.8、3.6Hz、1H)、3.09(dd、J=12.0、4.0Hz、1H)、2.96(dd、J=11.8、9.0Hz、1H)、1.27(s、9H)。
【0284】
実施例15:(R)-4-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-メチルピリジン-2(1H)-オン
【化84】
(a)4-ブロモ-1-メチルピリジン-2(1H)-オン
【化85】
ヨウ化メチル(1.79mL、28.74mmol)を、4-ブロモ-2-ヒドロキシピリジン(1.00g、5.75mmol)、K
2CO
3(4.05g、29.31mmol)、およびMeCN(30mL)の混合物に室温で添加した。混合物を50℃で3時間加熱し、濃縮し、H
2Oで処理した。水相をCH
2Cl
2で抽出し、合わせた抽出物を乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をEt
2O/ヘキサンから結晶化して、副題化合物を得た(640mg、3.40mmol、59%)。
【0285】
(b)4-(1-エトキシビニル)-1-メチルピリジン-2(1H)-オン
【化86】
1-エトキシビニルトリブチルスズ(1.00mL、2.93mmol)を、4-ブロモ-1-メチルピリミジン-2(1H)-オン(500mg、2.65mmol)、(Ph
3P)
2PdCl
2(18.7mg、26.6μmol)、およびトルエン(10mL)の混合物に添加した。混合物を100℃で20時間加熱し、冷却させた。KF(12mLのH
2O中に0.6g)を添加し、混合物を室温で15分間撹拌した。EtOAc(20mL)を添加し、混合物をセライトを通して濾過した。濾液中の層を分離させ、水相をEtOAcで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(420mg、2.34mmol、88%)を得た。
【0286】
(c)4-(2-クロロアセチル)-1-メチルピリジン-2(1H)-オン
【化87】
H
2O(3.2mL)、続いてN-クロロスクシンイミド(297mg、2.23mmol)を、THF(16mL)中の4-(1-エトキシビニル)-1-メチルピリジン-2(1H)-オン(380mg、2,12mmol))の溶液に、室温で一度に添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、CH
2Cl
2を添加した。有機相を集め、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をMeCNから結晶化して、副題化合物(190mg、1.02mmol、48%)を得た。
【0287】
(d)(R)-4-(2-クロロ-1-ヒドロキシエチル)-1-メチルピリジン-2(1H)-オン
【化88】
副題化合物を、実施例13、工程(d)の手順に従って、4-(2-クロロアセチル)-1-メチルピリジン-2(1H)-オンから調製した。
【0288】
(e)(R)-4-(2-(tert-ブチルアミノ)-1-ヒドロキシエチル)-1-メチルピリジン-2(1H)-オン
【化89】
tert-ブチルアミン(0.45mL、4.26mmol)、続いてNaOH(17.05mg、0.43mmol)を、((R)-4-(2-クロロ-1-ヒドロキシエチル)-1-メチルピリジン-2(1H)-オン(80mg、0.43mmol)とMeOH(0.20mL)との混合物に、室温で添加した。混合物を80℃で90分間撹拌し、冷却させて、濃縮した。H
2Oを残渣に添加し、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣を逆相クロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(21mg、93.6μmol、22%、ee=95%)を得た。
1H NMR(400MHz、D
2O):δ7.51(d、J=6.9Hz、1H)、6.48-6.47(m、1H)、6.40(dd、J=6.9、1.9Hz、1H)、4.51(dd、J=8.2、4.3Hz、1H)、3.43(s、3H)、2.72-2.57(m、2H)、0.95(s、9H)。
【0289】
実施例16:(S)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-フルオロピリジン-2-イル)エタン-1-オール
【化90】
(a)2-クロロ-1-(6-フルオロピリジン-3-イル)エタン-1-オン
【化91】
塩化イソプロピルマグネシウム(THF中2M、4.26mL、8.52mmol)を、THF(6mL)中の2-ブロモ-5-フルオロピリジン(750mg、4.26mmol)の溶液に滴加した。混合物を室温で2時間撹拌し、THF(6mL)中の2-クロロ-N-メトキシ-N-メチルアセトアミド(703.5mg、11mmol)の溶液を滴加した。混合物を室温で一晩撹拌し、HCl(2M水溶液、8mL)および氷(150g)中に注ぎ入れた。混合物をEt
2Oで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(280mg、1.61mmol、38%)を得た。
【0290】
(b)(R)-2-クロロ-1-(5-フルオロピリジン-2-イル)エタン-1-オール
【化92】
副題化合物を、実施例13、工程(d)の手順に従って、2-クロロ-1-(6-フルオロピリジン-3-イル)エタン-1-オンから調製した。
【0291】
(c)(S)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-フルオロピリジン-2-イル)エタン-1-オール
【化93】
tert-ブチルアミン(1.56mL、14.86mmol)、続いてNaOH(59.45mg、1.48mmol)を、((R)-2-クロロ-1-(5-フルオロピリジン-2-イル)エタン-1-オール(261mg、1.49mmol)とiPrOH(1.14mL、14.86mmol)との混合物に、室温で添加した。混合物を65℃で2時間加熱し、冷却させ、濃縮した。残渣を、CH
2Cl
2(100mL)で超音波処理し、H
2Oで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(92mg、10.43mmol、29%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3):δ8.38(d、1H、J=2.6Hz)、7.49(dd、1H、J=8.6Hz、4.6Hz)、7.40(td、1H、J=8.6Hz、2.7Hz)、4.67(dd、1H、J=7.9Hz、3.9Hz)、3.02(dd、1H、J=11.7Hz、3.9Hz)、2.68(dd、1H、J=11.7、8.0Hz)、2.95-2.23(bs、2H)、1.09(s、9H)。
【0292】
実施例17:(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-フルオロピリジン-3-イル)エタン-1-オール
【化94】
(a)2-クロロ-1-(5-フルオロピリジン-3-イル)エタン-1-オン
【化95】
塩化イソプロピルマグネシウム(THF中2M、10.47mL、20.94mmol)を、THF(8mL)中のLiCl(887.69mg、20.94mmol)の溶液に、室温で添加した。室温で15分後、THF(30mL)中の3-ブロモ-5-フルオロピリジン(3.35g、19.04mmol)を0℃で滴加した。混合物を室温で2時間撹拌し、氷浴で冷却した。THF(30mL)中の2-クロロ-N-メトキシ-N-メチルアセトアミド(2.62g、19.04mmol)の溶液を滴加し、混合物を室温で2時間撹拌した。NH
4Cl(10%水溶液)を添加し、混合物をEt
2Oで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製して、副題化合物(1.52 g、20.94mmol、46%)を得た。
【0293】
(b)(R)-2-クロロ-1-(5-フルオロピリジン-3-イル)エタン-1-オン
【化96】
副題化合物は、反応時間が15分であったことを除いて、実施例13、工程(d)の手順に従って、2-クロロ-1-(5-フルオロピリジン-3-イル)エタン-1-オンから調製した。ee=92.5%。
【0294】
(c)(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-フルオロピリジン-3-イル)エタン-1-オール
【化97】
tert-ブチルアミン(11.37mL、108.21mmol)、続いてNaOH(476.08mg、11.90mmol)を、2-クロロ-1-(5-フルオロピリジン-3-イル)エタン-1-オール(1.90g、10.82mmol)とiPrOH(1.66mL、21.64mmol)との混合物に、室温で添加した。混合物を75℃で4時間加熱し、冷却させ、EtOAcで希釈し、H
2Oおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣を熱EtOAcに溶解し、冷却させた。ペンタンを添加し、混合物を-20℃で一晩維持した。固形物を集め、クロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(1.43g、6.74mmol、62%、ee=98%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3):δ8.43-8.27(m、2H)、7.57-7.42(m、1H)、4.62(dd、J=8.8、3.7Hz、1H)、2.94(dd、J=12.1、3.8Hz、1H)、2.53(dd、J=12.1、8.8Hz、1H)、1.10(s、9H)。
【0295】
実施例18:(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロピリジン-4-イル)エタン-1-オール
【化98】
(a)2-クロロ-1-(3-フルオロピリジン-4-イル)エタン-1-オン
【化99】
n-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、2.58mL、6.44mmol)を、Et
2O(30mL)中のジイソプロピルアミン(0.87mL、6.18mmol)の混合物にー10℃で滴加した。30分後、混合物を-60℃に冷却し、Et
2O(10mL)中の3-フルオロピリジン(0.44mL、5.15mmol)の溶液を-60℃で滴加した。45分後、Et
2O(10mL)中の2-クロロ-N-メトキシ-N-メチルアセトアミド(708.49mg、5.15mmol)の溶液を-60℃で滴加し、混合物を-60℃で1時間撹拌した。冷却浴を取り外し、NH
4Cl(10%の水溶液、20mL)を注意深く添加した。有機相を集め、EtOAcで希釈し、NH
4Cl(10%の水溶液)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、シリカゲルを通して濾過し、濃縮した。残渣をH
2OとCH
2Cl
2との間で分配し、水相をCH
2Cl
2で洗浄した。合わせた有機相を、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮して、副題化合物(750mg、4.32mmol、84%)を得た。
【0296】
(b)(R)-2-クロロ-1-(3-フルオロピリジン-4-イル)エタン-1-オール
【化100】
副題化合物は、反応時間が90分であったことを除いて、実施例13、工程(d)の手順に従って、2-クロロ-1-(3-フルオロピリジン-4-イル)エタン-1-オンから調製した。
【0297】
(c)(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-フルオロピリジン-4-イル)エタン-1-オール
【化101】
tert-ブチルアミン(1.71mL、16.23mmol)、続いてNaOH(43.28mg、1.08mmol)を、(R)-2-クロロ-1-(3-フルオロピリジン-4-イル)エタン-1-オール(1.90g、10.82mmol)とiPrOH(1.66mL、21.64mmol)との混合物に、室温で添加した。混合物を75℃で一晩加熱し、冷却させ、EtOAcで希釈し、H
2Oおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をEt
2O中に溶解し、アミノ官能化シリカゲルを通して濾過し、濃縮した。残渣を少量のEtOAc中に溶解し、ペンタンを添加した。混合物を-20℃で一晩維持し、固形物を集め、乾燥させて、表題化合物(40mg、0.19mmol、17%、ee=58%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3):δ8.41(dd、J=4.9、1.2Hz、1H)、8.37(d、J=1.9Hz、1H)、7.54(s、1H)、4.89(dd、J=8.3、4.0Hz、1H)、3.04(ddd、J=12.1、3.8、1.2Hz、1H)、2.52(dd、J=12.1、8.3Hz、1H)、1.11(s、9H)。
【0298】
実施例19:(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-クロロピリジン-3-イル)エタン-1-オール
【化102】
(a)2-クロロ-1-(5-クロロピリジン-3-イル)エタン-1-オン
【化103】
副題化合物を、実施例17、工程(a)の手順に従って、3-ブロモ-5-クロロピリジンから調製した。
【0299】
(b)(R)-2-クロロ-1-(5-クロロピリジン-3-イル)エタン-1-オール
【化104】
副題化合物を、実施例18、工程(b)の手順に従って、2-クロロ-1-(5-クロロピリジン-3-イル)エタン-1-オンから調製した。ee=92.5%
【0300】
(c)(R)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-クロロピリジン-3-イル)エタン-1-オール
【化105】
tert-ブチルアミン(2.46mL、23.43mmol)、続いてNaOH(103.09mg、2.58mmol)を、(R)-2-クロロ-1-(5-クロロピリジン-3-イル)エタン-1-オール(450mg、2.34mmol)とiPrOH(0.36mL、4.69mmol)との混合物に、室温で添加した。混合物を90℃で5時間加熱し、室温に冷却させ、EtOAcで希釈し、H
2Oおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣を少量のEtOAc中に溶解し、ペンタンを添加した。混合物を-20℃で一晩維持し、固形物を集め、表題化合物(340mg、1.49mmol、63%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl
3):δ8.48(d、J=2.4Hz、1H)、8.45(d、J=1.8Hz、1H)、7.75(ddd、J=2.5、1.9、0.7Hz、1H)、4.61(dd、J=8.9、3.7Hz、1H)、2.96(dd、J=12.1、3.8Hz、1H)、2.54(dd、J=12.1、8.9Hz、1H)、1.12(s、9H)。
【0301】
実施例20:(S)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール二塩酸塩
【化106】
(a)2-ブロモ-1-(3-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オン臭化水素酸塩
【化107】
副題化合物を、実施例13、工程(b)の手順に従って、2-アセチル-3-クロロピリジンから調製した。
【0302】
(b)2-クロロ-1-(3-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オン
【化108】
副題化合物を、実施例13、工程(c)の手順に従って、2-ブロモ-1-(3-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オン臭化水素酸塩から調製した。
【0303】
(c)(R)-2-クロロ-1-(3-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール
【化109】
副題化合物を、反応時間が2時間であり、かつ溶媒がTHFの代わりにDMFであったことを除いて、実施例13、工程(d)の手順に従って、2-クロロ-1-(3-フルオロピリジン-4-イル)エタン-1-オンから調製した。ee=91%。
【0304】
(d)(S)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(3-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール二塩酸塩
【化110】
tert-ブチルアミン(2.71mL、25.77mmol)、続いてNaOH(75.60mg、1.89mmol)を、(R)-2-クロロ-1-(3-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール(330mg、1.72mmol)とiPrOH(0.26mL、3.44mmol)との混合物に、室温で添加した。混合物を90℃で3時間加熱し、冷却させ、EtOAcで希釈し、H
2Oおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣を熱MeCN(10mL)に溶解し、室温で1時間維持した。固形物を集め、乾燥させて、表題化合物(140mg、0.46mmol、27%)を得た。
1H NMR(400MHz、D
2O):δ8.73(dd、J=5.4、1.4Hz、1H)、8.44(dd、J=8.4、1.4Hz、1H)、7.88(dd、J=8.4、5.4Hz、1H)、5.65(dd、J=9.6、2.8Hz、1H)、3.57(dd、J=13.0、2.9Hz、1H)、3.31(dd、J=13.0、9.6Hz、1H)、1.44(s、9H)。
【0305】
実施例21:(S)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール二塩酸塩
【化111】
(a)(R)-2-クロロ-1-(5-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール
【化112】
副題化合物を、実施例21、工程(a)~(c)の手順に従って、2-アセチル-5-クロロピリジンから調製した。
【0306】
(b)(S)-2-(tert-ブチルアミノ)-1-(5-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール二塩酸塩
【化113】
tert-ブチルアミン(1.56mL、14.84mmol)、続いてNaOH(43.53mg、1.09mmol)を、(R)-2-クロロ-1-(5-クロロピリジン-2-イル)エタン-1-オール(190mg、0.99mmol)とiPrOH(0.15mL、1.99mmol)との混合物に、室温で添加した。混合物を90℃で3時間加熱し、冷却させ、EtOAcで希釈し、H
2Oおよびブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。残渣をEt
2O中に溶解し、HCl(Et
2O中2M、0.99mL、1.98mmol)を添加した。混合物を濃縮し、残渣をMeCNから結晶化し、表題化合物(120mg、0.40mmol、40%、ee=90%)を得た。
1H NMR(400MHz、D
2O):δ8.70(d、J=2.4Hz、1H)、8.22(dd、J=8.6、2.4Hz、1H)、7.79(d、J=8.6Hz、1H)、5.22(dd、J=9.5、3.3Hz、1H)、3.50(dd、J=12.9、3.3Hz、1H)、3.30(dd、J=12.9、9.5Hz、1H)、1.41(s、9H)。
【0307】
生物学的実施例
L6-筋芽細胞を、10% ウシ胎仔血清、2mM L-グルタミン、50U/ml ペニシリン、50μg/ml ストレプトマイシンおよび10mM HEPESを補充した、4.5g/l グルコースを含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)にて、増殖させた。細胞を、24ウェルプレートに、1×105細胞/mlで播種した。90%コンフルエンスに達した後、細胞を2%FBSを含む培地中で7日間増殖させ、そこで細胞を筋管に分化させた。
【0308】
生物学的実施例1:グルコース取り込み
分化したL6-筋管を、0,5%の脂肪酸不含BSAを含む培地中で一晩血清飢餓状態にし、作動薬で刺激し、最終濃度を1×10-5にした。1時間40分後、細胞を、温かいグルコース不含培地またはPBSで洗浄し、追加部分の作動薬をグルコース不含培地に加えた。20分後、細胞を、50nMの3H-2-デオキシ-グルコースにさらに10分間暴露した後、氷冷のグルコース不含培地またはPBSで洗浄し、次いで、60℃で1時間、0.2MのNaOHで溶解した。細胞溶解物をシンチレーション緩衝液(Emulsifier Safe、Perkin Elmer)と混合し、放射能をβ-カウンター(Tri-Carb 2800TR、Perkin Elmer)で検出した。各化合物の活性は、イソプロテレノールの活性と比較される。化合物がイソプレナリンの75%を超える活性を示す場合、その活性は+++で示され、75~50%の場合、++で示される。50~25%の場合、+で示され、25%未満の場合は、-で示される。
【0309】
生物学的実施例2:細胞内cAMPレベルの測定
分化した細胞を、一晩血清飢餓状態にし、刺激緩衝液(1%のBSA、5mMのHEPES、および1mMのIBMXで補充したHBSS、pH7.4)中で15分間、最終濃度1x10-5の作動薬で刺激した。次いで、培地を吸引し、反応を終了させるために、100μLの95%EtOHを24ウェルプレートの各ウェルに添加し、細胞を一晩-20℃に維持した。EtOHを蒸発させておき、500μLの溶解バッファ(1% BSA、5mM HEPESおよび0,3% Tween-20、pH7.4)を各ウェルに加え、その後、80℃で30分間放置し、次いで-20℃で保持した。アルファスクリーンcAMPキット(Perkin Elmer、6760635D)を用いて、細胞内cAMPレベルを検出した。各化合物の活性は、イソプロテレノールの活性と比較される。化合物がイソプレナリンの75%を超える活性を示す場合、その活性は+++で示され、75~50%の場合、++で示される。50~25%の場合、+で示され、25%未満の場合は、-で示される。
【0310】
生物学的実施例1および2に記載のアッセイを用いて、以下の結果を得た。
【表1】