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特許7358341車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置および放出物処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置および放出物処理方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/00 20060101AFI20231002BHJP
   B01D 45/12 20060101ALI20231002BHJP
   B04C 1/00 20060101ALI20231002BHJP
【FI】
B60T17/00 B
B01D45/12
B04C1/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020517995
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018053334
(87)【国際公開番号】W WO2019067849
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】15/720,558
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506137365
【氏名又は名称】ベンディックス コマーシャル ビークル システムズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bendix Commercial Vehicle Systems LLC
【住所又は居所原語表記】35500 Chester Road, Avon, OH 44011, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン ハウ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ダブリュー ペリー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー アール アシュリー
(72)【発明者】
【氏名】フレッド ダブリュー ホフマン
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-163326(JP,A)
【文献】特開2003-126633(JP,A)
【文献】特開2013-032089(JP,A)
【文献】特開平11-147014(JP,A)
【文献】実開昭56-129846(JP,U)
【文献】国際公開第2015/033414(WO,A1)
【文献】特開2008-137003(JP,A)
【文献】特開2016-215146(JP,A)
【文献】特開2009-113035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/00-45/18
B60T 15/00-17/22
B04C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置であって、
空気乾燥器のパージ弁からの放出物を受け入れ可能な流入ポートと、
流出ポートと、
前記流入ポートと前記流出ポートとの間に配置された減少するチャネル幅部分を有する渦巻状放出物チャネルであって、放出物流が該渦巻状放出物チャネルの前記減少するチャネル幅部分を通って流れるときに、該放出物流の速度を増加させる前記渦巻状放出物チャネルと、を備え、
前記渦巻状放出物チャネルが、二次元的な渦巻形状を有する車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置。
【請求項2】
チャネル幅が減少する前記渦巻状放出物チャネルは、前記流入ポートと前記流出ポートとの間で延在しており、前記放出物流から汚染物質を抽出するための連続壁を含む、請求項1記載の放出物処理装置。
【請求項3】
前記連続壁の汚染物質抽出効率を高めるために、細密メッシュ、スポンジ、および合体媒体から選択された1つが前記連続壁に被覆または接着されている、請求項2記載の放出物処理装置。
【請求項4】
前記渦巻状放出物チャネルの下方に配置されたろ物を収容する分離溜めであって、抽出された汚染物質を該分離溜めから除去できるまでの間、該抽出された汚染物質を受け入れて保持するための前記分離溜めをさらに備える、請求項1記載の放出物処理装置。
【請求項5】
チャネル幅が減少する前記渦巻状放出物チャネルは、前記流入ポートと前記流出ポートとの間で延在するとともに前記分離溜めに通じる床開口部を有する床を含む、請求項4記載の放出物処理装置。
【請求項6】
前記床開口部は、前記渦巻状放出物チャネルの範囲に沿って分散配置され、前記渦巻状放出物チャネルから前記分離溜め内への排液が可能である、請求項5記載の放出物処理装置。
【請求項7】
(i)前記床は、前記渦巻状放出物チャネルの実質的に中心に配置された傾斜路を含み、
(ii)前記流出ポートは、前記渦巻状放出物チャネルの実質的に中心の前記傾斜路の上方に配置されている、請求項6記載の放出物処理装置。
【請求項8】
前記ろ物を収容する前記分離溜めは、該分離溜めをユニットとして取り外し、別の分離溜めと交換できるように、カートリッジとして前記渦巻状放出物チャネルから取り外し可能である、請求項4記載の放出物処理装置。
【請求項9】
前記放出物処理装置全体がプラスチック材料から成る、請求項4記載の放出物処理装置。
【請求項10】
車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置であって、
空気乾燥器のパージ弁からの放出物を受け入れ可能な流入ポートと、
流出ポートと、
前記流入ポートと前記流出ポートとの間で延在する渦巻状放出物チャネルであって、放出物流が前記流入ポートから前記渦巻状放出物チャネルを通って前記流出ポートまで流れるときに、該放出物流から汚染物質を抽出する前記渦巻状放出物チャネルと、を備え、
前記渦巻状放出物チャネルは、前記流入ポートと前記流出ポートとの間で延在する床であって、前記流入ポートと前記流出ポートとの間の前記渦巻状放出物チャネルの範囲に沿って分散配置され、前記流入ポートと前記流出ポートとの間に排液パターンを形成する床開口部を有する前記床を含み、
(i)前記床は、前記渦巻状放出物チャネルの実質的に中心に配置された傾斜路を含み、
(ii)前記流出ポートは、前記渦巻状放出物チャネルの実質的に中心の前記傾斜路の上方に配置されている、車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置。
【請求項11】
前記床は、前記傾斜路の底に位置する床開口部を含む、請求項10記載の放出物処理装置。
【請求項12】
前記渦巻状放出物チャネルの前記床の前記排液パターンの下方に配置された、ろ物を収容する分離溜めであって、抽出された汚染物質を該分離溜めから除去できるまでの間、該抽出された汚染物質を受け入れて保持するための前記分離溜めをさらに備える、請求項10記載の放出物処理装置。
【請求項13】
前記ろ物を収容する前記分離溜めは、該分離溜めをユニットとして取り外し、別の分離溜めと交換できるように、カートリッジとして前記渦巻状放出物チャネルから取り外し可能である、請求項12記載の放出物処理装置。
【請求項14】
前記処理装置全体がプラスチック材料から成る、請求項12記載の放出物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本出願は、車両空気ブレーキ充填システムに関し、特に、トラック空気ブレーキ充填システムなどの車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置および放出物処理方法に向けられている。
【0002】
トラック空気ブレーキ充填システムは、空気ブレーキシステム用に空気圧を増大させる車両空気コンプレッサを含む。コンプレッサは通常、エンジン油の供給によって潤滑されている。ガバナは、供給リザーバ内の空気圧を監視することにより、システム空気圧を事前設定された最大圧力レベルと最小圧力レベルとの間に制御する。供給リザーバの空気圧がガバナの事前設定された「カットアウト」調節点の空気圧よりも大きくなると、ガバナはコンプレッサを制御してコンプレッサの空気増圧を停止するとともにコンプレッサの下流の空気乾燥器もパージモードにする。供給リザーバの空気圧がガバナの事前設定された「カットイン」調節点まで低下すると、ガバナはコンプレッサを空気増圧に戻すとともに、空気乾燥器を空気乾燥モードに戻す。
【0003】
空気乾燥器は、コンプレッサから出た後のコンプレッサの吐出空気から水蒸気および油滴の両方を除去するインラインろ過システムである。この結果、より浄化され、より乾燥した空気が空気ブレーキシステムに供給され、これは、冬の天候で空気ラインおよび構成部品の凍結防止に役立つ。空気乾燥器は通常、デシカント材および油分離器を収容する交換可能なカートリッジを使用する。空気が空気乾燥器に入ると、ほとんどの油滴が油分離器によって除去される。その後、空気はデシカント材を通って移動し、該デシカント材は水蒸気のほとんどを除去する。
【0004】
供給リザーバ内の空気圧がガバナの事前設定されたカットアウト調節点に達すると、ガバナはコンプレッサに空気増圧を停止させるとともに、空気乾燥器の「パージサイクル」の開始を可能にする。パージサイクル中、デシカント材は、飽和プロセスの逆転によって再生される(すなわち、水を除去する能力が復活する)。少量の乾燥空気がデシカント材を通過して戻り、収集された水も油分離器によって収集されたいかなる油滴もパージ弁を通して大気にパージされる。パージ弁からパージされた空気には油滴が含まれているため、トラックによって道路に油が堆積する。したがって、当業者は、パージ弁からパージされた空気を浄化する研究開発努力を続けている。
【0005】
発明の概要
一実施形態に従い、車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置が提供される。放出物処理装置は、空気乾燥器のパージ弁からの放出物を受け入れ可能な流入ポートと、流出ポートとを備える。放出物処理装置は、流入ポートと流出ポートとの間に配置された減少するチャネル幅部分を有する渦巻状放出物チャネルも備える。渦巻状放出物チャネルは、放出物流が渦巻状放出物チャネルの減少するチャネル幅部分を通って流れるときに、該放出物流の速度を増加させるために設けられている。
【0006】
別の実施形態に従い、車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置が提供される。放出物処理装置は、空気乾燥器のパージ弁からの放出物を受け入れ可能な流入ポートと、流出ポートとを備える。放出物処理装置は、流入ポートと流出ポートとの間に延びる渦巻状放出物チャネルも備える。渦巻状放出物チャネルは、放出物流が流入ポートから渦巻状放出物チャネルを通って流出ポートまで流れるときに、該放出物流から汚染物質を抽出するために設けられている。渦巻状放出物チャネルは、流入ポートと流出ポートとの間に延びる床を含む。この床は、流入ポートと流出ポートとの間の渦巻状放出物チャネルの範囲に沿って分散され、流入ポートと流出ポートとの間に排液パターンを形成する床開口部を有する。
【0007】
さらに別の実施形態に従い、車両空気ブレーキ充填システム用の放出物処理装置が提供される。放出物処理装置は、空気乾燥器のパージ弁からの放出物を受け入れ可能な流入ポートと、流出ポートとを備える。放出物処理装置は、流入ポートから流出ポートまで延びる渦巻状放出物チャネルも備える。渦巻状放出物チャネルは、放出物流が流入ポートから放出物チャネルを通って流出ポートまで流れるときに、該放出物流から汚染物質を抽出するために設けられている。渦巻状放出物チャネルは、放出物流が流入ポートから流出ポートまで流れるときに、該放出物流からの汚染物質の抽出率を変化させる手段を含む。
【0008】
さらに別の実施形態に従い、放出物処理装置を動作させ、空気乾燥器のパージ弁からの放出物流が流入ポートから放出物チャネルを通って流出ポートまで流れるときに、該放出物流から汚染物質を除去する方法が提供される。この方法は、放出物流が流入ポートに進入するときに該放出物流中の汚染物質に遠心力を印加し、該放出物流からより大きい汚染物質を除去することを備える。この方法はまた、放出物流が放出物チャネルの一部分を通って流出ポートまで流れるときに、該放出物流中の汚染物質に印加した遠心力を連続的に増加させ、該放出物流からより小さい汚染物質を除去することを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に従って構成された放出物処理装置を含む車両空気ブレーキ充填システムの概略図である。
図2図1に示した放出物処理装置の斜視図である。
図3A図2に示す3-3線にほぼ沿った断面立面図であり、例示的な実施による渦巻状放出物処理チャネルの断面プロファイルを示している。
図3B図2に示す3-3線にほぼ沿った断面立面図であり、例示的な実施による渦巻状放出物処理チャネルの断面プロファイルを示している。
図3C図2に示す3-3線にほぼ沿った断面立面図であり、例示的な実施による渦巻状放出物処理チャネルの断面プロファイルを示している。
図3D図2に示す3-3線にほぼ沿った断面立面図であり、例示的な実施による渦巻状放出物処理チャネルの断面プロファイルを示している。
図3E図2に示す3-3線にほぼ沿った断面立面図であり、例示的な実施による渦巻状放出物処理チャネルの断面プロファイルを示している。
図3F図2に示す3-3線にほぼ沿った断面立面図であり、例示的な実施による渦巻状放出物処理チャネルの断面プロファイルを示している。
図4A図2に示す4A-4A線にほぼ沿った断面斜視図であり、放出物処理装置における渦巻状放出物処理チャネルの詳細を示している。
図4B図4Aと同様の断面斜視図であり、別の実施形態による渦巻状放出物処理チャネルを示している。
図5図4のページ内にほぼ見た上面図であり、渦巻状放出物処理チャネルの減少するチャネル幅の詳細を示している。
図6図4においてページの外をほぼ見た底面図であり、渦巻状放出物処理チャネルの床開口部の詳細を示している。
図7】一実施形態による、放出物処理装置を動作させる方法を示すフロー図である。
図8図3A図4および図5に示した渦巻状放出物処理チャネルに沿った例示的な放出物流通パターンを示す速度流線図である。
【0010】
詳細な説明
図1を参照すると、一実施形態に従って構成された放出物処理装置200を含む車両空気ブレーキ充填システム100の概略図が図示されている。車両空気ブレーキ充填システム100は、従来の方式で圧縮空気を生成する空気コンプレッサ102を含む。空気コンプレッサの構造および動作は既知であるため、説明しない。
【0011】
第1の吐出ライン109は、コンプレッサ102と空気乾燥器108との間を空気圧的に接続する。第2の吐出ライン110は、空気乾燥器108と供給リザーバ112との間を空気圧的に接続する。空気供給ライン114は、供給リザーバ112と車両の空気ブレーキシステムおよび空気付属品(図示せず)との間を空気圧的に接続する。
【0012】
ガバナ120は、供給リザーバ112からの空気圧制御ライン122内の空気圧を監視することにより、システム空気圧を事前設定された最大圧力レベルと最小圧力レベルとの間に制御する。供給リザーバ112の空気圧がガバナ120の事前設定された「カットアウト」調節点の空気圧よりも大きくなると、ガバナは空気圧制御ライン124を介してコンプレッサ102を制御してコンプレッサの空気増圧を停止する。ガバナ120はまた、空気圧制御ライン128を介してパージ弁126を制御し、パージモードで空気乾燥器108から空気をパージする。供給リザーバ112の空気圧がガバナ120の事前設定された「カットイン」調節点まで低下すると、ガバナはコンプレッサ102を空気増圧に戻すとともに、空気乾燥器108を空気乾燥モードに戻す。
【0013】
図2を参照すると、図1に示した例示的な放出物処理装置200の斜視図が図示されている。放出物処理装置200は、以下で説明するように、流入ポート部分202、流入ポート部分202の上方に位置する流出ポート部分204、渦巻状放出物処理チャネル部分206、および分離溜め部分208を含む。放出物処理装置200の例示的な全体的な物理的寸法は、直径が約6インチ(15.2センチメートル)であり、高さが約4インチ(10.2センチメートル)である。十分な流通路を提供するとともに背圧を回避するため、最小直径は約2インチ(5.1センチメートル)であり得る。
【0014】
図3Aを参照すると、図2に示す3-3線にほぼ沿った断面立面図が図示されている。図3Aは、例示的な実施による渦巻状チャネル206の断面プロファイルを示している。図4Aは、図2に示す4A-4A線にほぼ沿った断面斜視図であり、渦巻状チャネル206の詳細を示している。図5は、ほぼ図4の図平面を示す平面図であり、渦巻状チャネル206の減少するチャネル幅の詳細を示している。
【0015】
図3A図4A、および図5に示すように、渦巻状チャネル206は、流入ポート202と流出ポート204との間に延びる連続壁210を含む。連続壁210は、放出物流が流入ポート202から渦巻状チャネル206を通って流出ポート204まで流れるときに、該放出物流から汚染物質を抽出するために設けられている。より具体的には、放出物流中の汚染物質は、遠心力により連続壁210に衝突する。その結果、汚染物質は連続壁210に付着し、最終的には分離溜め部分208に排出される。放出物流中の汚染物質には、エアロゾル中の水蒸気および油滴が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、連続壁210の汚染物質抽出効率を高めるために、細密メッシュ、スポンジ、および合体媒体(coalescing media)から選択された1つが連続壁210に被覆および/または接着されてよい。
【0016】
図5に最もよく示すように、渦巻状チャネル206は、流入ポート202から流出ポート204までの間で徐々に減少する半径を有する。渦巻状チャネル206はまた、比較的大きいチャネル幅部分(文字「X」で示す)および比較的小さいチャネル幅部分(文字「Y」で示す)を有する。チャネル幅は、指数関数的に、XからYへと(さらにY以降は渦巻の中心に向けても)減少する。比較的大きいチャネル幅部分Xは流入ポート202の近くにあり、比較的小さいチャネル幅部分Yは流入ポート202からより遠くにある。したがって、放出物流が比較的大きいチャネル幅部分Xから比較的小さいチャネル幅部分Yに流れるとき、放出物流は、徐々に小さくなるチャネル幅を有する放出物チャネル206を通って流れる。
【0017】
流入ポート202から放出物チャネル206内に流れる放出物流が、比較的大きいチャネル幅部分としての図5にXと記した地点にほぼ到達するまで、放出物チャネル206のチャネル幅は減少し始めないことに留意されたい。これに関して、流れ剥離を防ぐために、チャネル幅は流入ポート202においてより小さくなっている。チャネル幅はその後にXでの最大チャネル幅に到達するまで広がる。Xでの最大チャネル幅は、流入ポート202の直径に関係している。約0.8インチ(2.0センチメートル)の最大チャネル幅の例のように、チャネル幅は流入ポート202における寸法から0.8インチまで増加し、その後、渦巻の中心の流出ポート204で最小チャネル幅に到達するまで連続的に減少する。この設計により、抗力を増加させるであろう流入ポート202での流れ剥離が防止される。
【0018】
図6には、図4Aとは反対側から見た底面図が図示されている。図6は、渦巻状チャネル206の床212の床開口部214の詳細を示している。床212は、流入ポート202と流出ポート204との間で延在し、渦巻状チャネル206と分離溜め208とを分離している。床212の床開口部214は、図6に示すように、渦巻状チャネル206の範囲に沿って分散され、流入ポート202と流出ポート204との間に渦巻状の排液パターンを形成する。床212は、連続壁210と接続して、図3Aに示すように実質的に矩形のチャネル断面プロファイルを提供する。
【0019】
再び図4Aおよび図5を参照すると、床212は、渦巻状チャネル206の実質的に中心に配置された傾斜路216を含む。流出ポート204(図3)は、渦巻状チャネル206の実質的に中心にある傾斜路216の上方に配置される。傾斜路216は、渦巻状チャネル206を通って処理された放出物流を流出ポート204に向けて上向きに変向し得る表面を提供する。浄化された空気(すなわち、汚染物質が除去された放出物)は、その後、流出ポート204を通過して大気に至る。
【0020】
図3Aに最もよく示すように、分離溜め部分208は、該分離溜め208の左下隅に小円「220」として示すろ物を収容する。いくつかの実施形態では、ろ物220はスポンジ材料を含む。いくつかの実施形態では、ろ物220は、一般的な疎水性材料を含む。放出物処理装置200は、分離溜め208への汚染物質の流れを促進するために水平に取り付けられるようになっている。
【0021】
分離溜め208は、渦巻状チャネル206の床212の下方に配置される。分離溜め208は、渦巻状チャネル206を通って流れてきた放出物流から抽出された汚染物質を分離溜め208から除去するまでの間、該抽出された汚染物質を受け入れて保持するために設けられている。いくつかの実施形態では、ろ物220を収容する分離溜め208は、分離溜め208をユニットとして取り外し、別の分離溜めと交換できるように、渦巻状チャネル206からカートリッジとして取り外し可能である。
【0022】
放出物処理装置200の動作中、空気乾燥器108のパージ弁126からの放出物(すなわち、液体およびエアロゾルの形態の油および水を含む空気)は、流入ポート202を通って、減少する半径の渦巻状チャネル206内に押し込まれる。放出物が渦巻状チャネル206を通って流れるとき、遠心力によってより重いエアロゾルおよび液滴が連続壁210に衝突させられる。減少する半径と、減少するチャネル幅に起因する渦巻状チャネル206の横断面減少とによって、放出物流は加速される。放出物流の増加した速度は、放出物流から離脱するエアロゾルの分離量を増加させる。
【0023】
液体が放出物流から離脱すると、該液体は連続壁210を流れ落ち、床212の床開口部214を通って、ろ物220を収容する分離溜め208の容積部内に排出される。ろ物220は、ろ物220または分離溜め208、あるいはその両方が交換されるまで、汚染物質(すなわち、油および水)を保持する。汚染物質が除去された放出物流は、その後、渦巻状チャネル206の中心の、放出物流を上向きに変向させる傾斜路216に衝突し、流出ポート204を通って大気に放出される。
【0024】
図4Bは、渦巻状チャネル206の別の実施形態の、図4Aと同様の断面斜視図を示している。特に図4Bに示すように、渦巻状チャネル206の床212は、傾斜路216の底に位置する床開口部217を有する。傾斜路216の底の床開口部217は、汚染物質、特に傾斜路部分216に衝突する汚染物質の追加的な排液能力を提供する。
【0025】
図7には、放出物処理装置を動作させ、空気乾燥器のパージ弁からの放出物流が流入ポートから放出物チャネルを通って流出ポートまで流れるときに、該放出物流から液体エアロゾル汚染物質を除去する、一実施形態による方法を示すフロー700が図示されている。ブロック702では、放出物流が流入ポートに進入するときに該放出物流中の汚染物質に遠心力を作用させ、該放出物流からより大きい汚染物質を除去する。次に、ブロック704において、放出物流が放出物チャネルの一部分を通って流出ポートまで流れる際に、該放出物流中の汚染物質に作用する遠心力を連続的に増加させ、該放出物流からより小さい汚染物質を除去する。
【0026】
いくつかの実施形態では、放出物流が放出物チャネルの指数関数的に減少するチャネル幅部分を通って流出ポートまで流れるときに、該放出物流中の汚染物質に作用する遠心力を連続的に増加させ、該放出物流からより小さい汚染物質を除去する。
【0027】
いくつかの実施形態では、この方法は、より大きい汚染物質およびより小さい汚染物質の両方が除去された放出物流を、大気への流出ポートに向けて上向きに変向させることをさらに備える。
【0028】
いくつかの実施形態では、この方法は、除去されたより大きい汚染物質および除去されたより小さい汚染物質の両方を、床開口部を通って下向きに、ろ物を収容する分離溜めの容積部内に排出することをさらに備える。
【0029】
図8には、流入ポート202内へのかつ渦巻状チャネル206を通って流出ポート204までの例示的な放出物流通パターンを示す流線図800が図示されている。一般に、流線は、実線の矢印で示される方向に流れ、流入ポート202で始まり、渦巻状チャネル206を通過し、流出ポート204で終わる。図8に示す流線の速度範囲は、最も遅い場合の約0.15ミリメートル/秒~最も速い場合の約9.64メートル/秒である。
【0030】
図8に示すように、流線が流入ポート202から渦巻状チャネル206を通って流出ポート204まで流れるとき、異なる速度の流線は互いに交わる。チャネル206が渦巻状であるため、放出物流の方向はほぼ同じままである。また、チャネル206はチャネル幅がXでのその最大チャネル幅から減少するため、放出物流の速度が増加し、それにより遠心力が増加する。増加する遠心力は、放出物流中のより小さい汚染物質が連続壁210に衝突する可能性を増加させる。これにより、より小さい汚染物質が放出物流から離脱し、続いて分離溜め208内に排出される。したがって、渦巻状でありかつ放出物チャネルの(例えば、図5に示したXでの)最大チャネル幅から渦巻の中心での放出物チャネルの最小チャネル幅まで減少するチャネル幅部分を有する放出物チャネルを使用することにより、より大きい汚染物質およびより小さい汚染物質の両方が放出物流から抽出され、分離溜め内に排出される。
【0031】
放出物が流入ポート202から流出ポート204まで流れるにつれて放出物流の速度が増加し、これが今度は放出物流からの汚染物質の抽出を増加させることは明らかであろう。床212における排液床開口部214の渦巻状の分散配置は、分離溜め208の分離容積部内に堆積するろ物220上への放出物のより良好な分配を可能にすることも明らかであろう。このように、ろ物220の一区分に、すべての放出物が集中して堆積することはない。その結果、より浄化された空気が大気に排出され、道路に堆積し蓄積する油が少なくなる。
【0032】
放出物処理装置200が2つの処理段階を備えることはさらに明らかであろう。渦巻状チャネル206は第1の処理段階を備え、分離溜め208は第2の処理段階を提供する。2つの処理段階により、放出物処理装置200は、パージ弁126(図1)で最小の背圧を生じさせる。さらに、放出物処理装置200は加圧されないので、第1の処理段階または第2の処理段階のいずれか、あるいは両方は、プラスチック材料で製作することができる。いくつかの実施形態では、放出物処理装置200全体がプラスチック材料から成る。
【0033】
また、図2に示した放出物処理装置200は、比較的低いプロファイルおよび比較的小さい全体的な物理的寸法を有する形状を有することも明らかであろう。これにより、放出物処理装置200は、利用可能な設置スペースが比較的狭い用途において、より簡単に設置することができる。放出物処理装置200は、特定の用途の必要性に応じて、他のプロファイル形状および他の全体的な物理的寸法を有してもよいことが考えられる。
【0034】
上記の説明は、(図3Aに示したように)実質的に矩形のチャネル横断面プロファイルを有する渦巻状チャネル206を説明しているが、他の横断面プロファイルが可能であると考えられる。図3Bに示す別の例示的な実施のように、1つまたは複数の隅肉部219が連続壁210と床212との間に設けられて、連続壁210と床212との間に滑らかな移行表面を提供する。放出物流からの汚染物質の抽出率は、1つまたは複数の隅肉部219によって変化する。
【0035】
図3Cに示すような別の例示的な実施のように、床212は勾配が付されるとともに連続壁210と接続して、渦巻状放出物チャネルの中心に向かって内向きに勾配が付された床212を有するチャネル横断面プロファイルを提供する。放出物流からの汚染物質の抽出率は、この内向き勾配床212によって変化する。
【0036】
図3Dに示すようなさらに別の例示的な実施のように、床212は勾配が付されるとともに連続壁210と接続して、渦巻状放出物チャネルの中心から外向きに勾配が付された床を有するチャネル横断面プロファイルを提供する。放出物流からの汚染物質の抽出率は、この外向き勾配床212によって変化する。
【0037】
図3Eに示すようなさらに別の例示的な実施のように、管状表面211は、実質的に円形であるチャネル横断面プロファイルを提供する。この管状表面211は、壁としても床としても機能する。放出物流からの汚染物質の抽出率は、放出物チャネル206の実質的に円形の横断面プロファイルによって変化する。
【0038】
図3Fに示すような別の例示的な実施のように、連続壁210は勾配が付されるとともに床212と接続して、床212に向かって下向きに勾配が付された連続壁210を有するチャネル断面プロファイルを提供する。連続壁210の勾配は、主として液体の排出を補助するために設計されている。放出物流からの汚染物質の抽出率は、この下向き勾配連続壁210によっても変化し得る。
【0039】
上記の説明は、放出物処理装置200をトラックなどの大型車両で使用することを説明しているが、放出物処理装置200は、例えばバスなどの他のタイプの大型車両で使用してもよいことが考えられる。
【0040】
本発明は、例示的な処理およびシステム構成部品の説明によって例示されており、また様々な処理および構成部品が詳細に説明されているが、出願人は、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限またはいかなる形でも限定する意図はない。追加の修正も当業者には容易に明らかになるであろう。したがって、本発明は、その最も広い態様において、図示され説明された特定の詳細、実施、または例示的な例に限定されない。したがって、出願人の包括的発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、そのような詳細からの逸脱がなされてもよい。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8