(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】チップ形ウルトラキャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 11/74 20130101AFI20231002BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20231002BHJP
H01G 11/36 20130101ALI20231002BHJP
H01G 11/54 20130101ALI20231002BHJP
H01G 11/60 20130101ALI20231002BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20231002BHJP
【FI】
H01G11/74
H01G11/78
H01G11/36
H01G11/54
H01G11/60
H01G11/84
(21)【出願番号】P 2020519291
(86)(22)【出願日】2018-10-03
(86)【国際出願番号】 US2018054231
(87)【国際公開番号】W WO2019070897
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-09-27
(32)【優先日】2017-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513295777
【氏名又は名称】ファーストキャップ・システムズ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】FastCAP SYSTEMS Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ニコロ・ブランビッラ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ハイド
(72)【発明者】
【氏名】ワイアット・アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】スシール・エム・ジェイ・カラバトゥラ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ケイ・レイン
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-014859(JP,A)
【文献】特開2016-162993(JP,A)
【文献】特表2008-522410(JP,A)
【文献】特開2008-300692(JP,A)
【文献】特開2012-104571(JP,A)
【文献】特開2012-049507(JP,A)
【文献】特表2014-524146(JP,A)
【文献】特表2015-515741(JP,A)
【文献】特開2002-100411(JP,A)
【文献】国際公開第2016/055908(WO,A1)
【文献】特表2013-527628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/74
H01G 11/78
H01G 11/36
H01G 11/54
H01G 11/60
H01G 11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだリフロー処理を使用してプリント回路基板上に搭載するのに適するエネルギー貯蔵装置であって、
密封されたハウジング本体であって、前記本体内にそれぞれ配置され、正極外部接点及び負極外部とそれぞれ電気的に連通して正極内部接点及び負極内部接点を備え、前記外部接点の各々が前記本体の外部へ電気通信を提供するハウジング本体と、
前記本体の空胴内に配置され、交互の電極層及び電気絶縁性セパレーター層のスタックからなる電気二重層キャパシタ(EDLC)エネルギー貯蔵セルと、
前記空胴内に配置され、前記電極層を湿らせる電解液と、
1つ以上の前記電極層の第1グループを前記正極内部接点に電気的に接続する正極リードと、
1つ以上の前記電極層の第2グループを前記負極内部接点に電気的に接続する負極リードと、
を備え、
前記電極層の各々は、結合剤を実質的に含まないエネルギー貯蔵媒体を備え、前記エネルギー貯蔵媒体は、空所を画定するカーボンナノチューブのネットワークを備え、炭素質材料は、前記空所に配置され、前記カーボンナノチューブのネットワークによって結合されて
おり、
少なくとも1つの電極層は、導電性の集電体層の対向面に配置され、結合剤を実質的に含まないエネルギー貯蔵媒体を有する両面電極層を備える、
エネルギー貯蔵装置。
【請求項2】
本体と物理的に接触する前記エネルギー貯蔵セルの表面は、電気絶縁材料からなる、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記電極層の各々は、正極リード及び負極リードの一方に付着された導電性タブを備える、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
前記内部接点のうちの1つの近くに配置され、前記装置の動作中に前記内部接点と前記電解液との間の電気化学反応を制限するように構成された防食機能部を備える、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記内部接点は前記電解液に対して比較的高い電気化学活性を有する第1の物質を備え、前記防食機能部は前記電解液に対して前記第1の物質より比較的低い電気化学活性を有する第2の物質の保護層を備え、前記保護層は前記第1の物質と前記電解液との間の接触を防止するように配置される、請求項
4の装置。
【請求項6】
前記保護層はシーラントの層を備える、請求項
5の装置。
【請求項7】
前記保護層は、第1の物質の表面に配置された金属層を備える、請求項
5の装置。
【請求項8】
前記保護層は、前記第1の物質の表面に配置された金属層と、前記金属層に配置されたシーラント層と、を備える、請求項
5の装置。
【請求項9】
前記金属層
は、少なくとも前記内部接点の一部を被覆し、前記シーラント層によって固定された金属シムを備える、請求項
8の装置。
【請求項10】
前記本体の内表面は、前記防食機能部の少なくとも一部を受容するように構成された凹設部を備える、請求項
4に記載の装置。
【請求項11】
前記正極又は負極リードの一部は、前記防食機能部を貫通して延びて前記内部接点のうちの1つに接続する、請求項
4に記載の装置。
【請求項12】
前記防食機能部はアルミニウム金属層を備える、請求項
4に記載の装置。
【請求項13】
前記防食機能部はエポキシシーラントを備える、請求項
4に記載の装置。
【請求項14】
前記電解液及び前記エネルギー貯蔵セルと前記空胴の表面との接触を防止するように構成さ
れ、前記エネルギー貯蔵セル及び前記電解液を囲む電気絶縁性エンベロープバリアを更に備える、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記リードは前記エネルギー貯蔵セルから前記内部接点まで前記バリアを貫通して延びる、請求項
14の装置。
【請求項16】
前記バリアは、前記リードに加熱封止されて、バリアエンベロープ内からの電解液の漏れを防止する、請求項
15の装置。
【請求項17】
前記本体は、プリント回路基板上に表面実装するために構成されたチップであり、ここでは、そのように実装された時、前記チップは、前記プリント回路基板の主面から上に約5.0mm以下だけ延びる、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記本体は、プリント回路基板上に表面実装するために構成されたチップであり、ここでは、そのように実装された時、前記チップは、前記プリント回路基板の主面から上に約4.0mm以下だけ延びる、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記本体は、プリント回路基板上に表面実装するために構成されたチップであり、ここでは、そのように実装された時、前記チップは、前記プリント回路基板の主面から上に約3.0mm以下だけ延びる、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも2.0Vの動作電圧を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
少なくとも2.1Vの動作電圧を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
少なくとも2.5Vの動作電圧を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
少なくとも3.0Vの動作電圧を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
少なくとも300mFのキャパシタンスを有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
少なくとも400mFのキャパシタンスを有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
少なくとも4.0J/ccのエネルギー密度を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
少なくとも15W/ccのピークパワー密度を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
少なくとも20W/ccのピークパワー密度を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
少なくとも22W/ccのピークパワー密度を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
500mΩ以下の等価直列抵抗を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
400mΩ以下の等価直列抵抗を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
300mΩ以下の等価直列抵抗を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
30%未満のキャパシタンス劣化及び100%未満の等価直列抵抗増加を示しつつ、少なくとも2.0Vの動作電圧及び少なくとも65°Cの動作温度で、少なくとも2,000時間の動作寿命を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項34】
30%未満のキャパシタンス劣化及び100%未満の等価直列抵抗増加を示しつつ、少なくとも2.0Vの動作電圧及び少なくとも85°Cの動作温度で、少なくとも2,000時間の動作寿命を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
30%未満のキャパシタンス劣化及び100%未満の等価直列抵抗増加を示しつつ、少なくとも2.0Vの動作電圧及び少なくとも100°Cの動作温度で、少なくとも2,000時間の動作寿命を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
少なくとも200°Cのピーク温度で、少なくとも30秒の少なくとも1回の温度サイクルを有するリフロー処理を使用して、前記装置をプリント回路基板にはんだ付けした後に、前記動作寿命が発生する、請求項
33に記載の装置。
【請求項37】
少なくとも200°Cのピーク温度で、少なくともそれぞれが30秒の少なくとも4回の温度サイクルを有するリフロー処理を使用して、前記装置をプリント回路基板にはんだ付けした後に、前記動作寿命が発生する、請求項33に記載の装置。
【請求項38】
前記エネルギー貯蔵セルは、前記回路基板に搭載された少なくとも1つの追加要素にバックアップ電力を提供する、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項39】
前記電解液はイオン性液体を含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
前記電解液は更に塩を含む、請求項
39の装置。
【請求項41】
前記電解液は更に溶媒を含む、請求項
39の装置。
【請求項42】
前記ハウジング本体は気密に密閉される、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項43】
前記エネルギー貯蔵セルを収納している前記ハウジング本体の前記空胴内では、ハロゲン化物イオンの総濃度は約1,000ppmを下回るように保持される、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項44】
前記エネルギー貯蔵セルを収納している前記ハウジング本体の前記空胴内では、金属種不純物は約1,000ppmを下回るように保持される、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項45】
前記エネルギー貯蔵セルを収納している前記ハウジング本体の前記空胴内では、ブロモエタン、塩化エチル、1-ブロモブタン、1-クロロブタン、1-メチルイミダゾール、酢酸エチル、及び塩化メチレン、の不純物は、約1,000ppmを下回るように保持される、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項46】
前記エネルギー貯蔵セルを収納している前記ハウジング本体の前記空胴内では、水分は約100ppmを下回るように保持される、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項47】
前記エネルギー貯蔵セルを収納している前記ハウジング本体の前記空胴内では、ハロゲン化物不純物は約200ppmを下回るように保持される、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項48】
前記装置は、前記密封されたハウジング本体に収納された単一のエネルギー貯蔵セルを備える、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項49】
2.1Vの動作電圧で少なくとも65°Cの動作温度を有している、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項50】
2.1Vの動作電圧で少なくとも85°Cの動作温度を有している、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項51】
2.1Vの動作電圧で少なくとも100°Cの動作温度を有している、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項52】
前記電解液は、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウム、1、2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム、1、3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウム、1、3-ジエトキシイミダゾリウム、1-ブチル-1-メチルピペリジニウム、1-ブチル-2、3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、3-メチル-1-プロピルピリジニウム、及び1-ブチル-1-メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、からなるリストから選択されたカチオンを含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項53】
前記電解液は、ビス(トリフルオロメタンスルフォナート)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルフォナート)メチド、ジシアナミド、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスファート、トリフルオロメタンスルフォナート、ビス(ペンタフルオロエタンスルフォナート)イミド、チオシアナート、トリフルオロ(トリフルオロメチル)ボラート、スピロ-(1、1’)-ビピロリジニウムテトラフルオロボラート塩
、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボラート
塩、及びそれらの組合
せからなるリストから選択されたアニオンを含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項54】
前記電解液は、アセトニトリル、アミド、ベンゾニトリル、ブチロラクトン、環状エーテル、炭酸ジブチル、炭酸ジエチル、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、炭酸ジメチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホン、ジオキサン、ジオキソラン、ギ酸エチル、炭酸エチレン、炭酸エチルメチル、ラクトン、鎖状エーテル、ギ酸メチル、プロピオン酸メチル、メチルテトラヒドロフラン、ニトリル、ニトロベンゼン、ニトロメタン、n-メチルピロリドン、炭酸プロピレン、スルフォラン、スルホン、テトラヒドロフラン、テトラメチレンスルフォン、チオフェン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、炭酸エステル、γ-ブチロラクトン、ニトリル、トリシアノヘキサン、ブチロニトリル、炭酸エチレン、及びメチレンジクロリド、からなるリストから選択された溶媒を含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項55】
前記電解液はゲルを含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項56】
電解液は固体電解質を含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項57】
前記スタックは、前記電解液内のカチオン及びアニオンの相対的サイズに基づいて前記スタックを質量の釣り合いを促進するように構成された不等数の正極層及び負極層を含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の装置。
【請求項58】
はんだリフロー処理を使用してプリント回路基板上に搭載するのに適するエネルギー貯蔵装置を作成するための方法であって、
交互の電極層及び電気絶縁性セパレーター層のスタックを含む電気二重層キャパシタ(EDLC)エネルギー貯蔵セルを形成すること、
前記本体内部に配置された正極内部接点及び負極内部接点を含むハウジング本体内に、前記エネルギー貯蔵セルを配置すること、
前記本体に少なくとも部分的に電解液を充填して前記電極層を湿らせること、
正極リードを1つ以上の前記電極層の第1グループから前記正極内部接点に電気的に接続すること、
負極リードを1つ以上の前記電極層の第2グループから前記負極内部接点に電気的に接続すること、及び
前記エネルギー貯蔵セルが内部に配置された前記ハウジング本体を密閉すること、
を備える方法で
あり、
前記電極層の各々は、結合剤を実質的に含まないエネルギー貯蔵媒体を備え、
少なくとも1つの電極層は、導電性の集電体層の対向面に配置され、結合剤を実質的に含まないエネルギー貯蔵媒体を有する両面電極層を備え、及び
前記エネルギー貯蔵媒体は、空所を画定するカーボンナノチューブのネットワークを備え、炭素質材料は、前記空所に配置され、前記カーボンナノチューブのネットワークによって結合されている、方法。
【請求項59】
前記ハウジング本体を密閉することは前記ハウジング本体を気密に密閉することを備える、請求項
58の方法。
【請求項60】
プリント回路基板上に搭載されたデバイスにエネルギーを提供する方法であって、
はんだリフロー処理を使用して、前記プリント回路基板に、請求項1~2のうちのいずれか1項に記載された装置を搭載すること、及び
動作電圧と動作温度で前記装置を繰り返し充放電させてエネルギーをデバイスに提供すること、を備え
前記動作電圧は少なくとも2Vであり、また、前記動作温度は少なくとも65°Cである、方法。
【請求項61】
前記動作温度は少なくとも85°Cである、請求項
60の方法。
【請求項62】
前記装置が30%未満のキャパシタンス劣化及び100%未満の等価直列抵抗増加を示している間、少なくとも2,000時間、動作電圧及び動作温度で前記装置を繰り返し充放電させてエネルギーをデバイスに提供することを備える、請求項
60に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、37CFR§1.53(b)の下で出願され、更に、35USC§1.119(e)の下で2017年10月3日に出願された「Chip Ultracapacitor(チップ・ウルトラキャパシタ)」と題する、以前に出願された仮出願62/567,752の利益を主張するものであり、如何なる目的でも該出願の内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
ここに開示された本発明は、エネルギー蓄積装置に関し、特に、電気回路基板に搭載するように構成されたウルトラキャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0003】
無数の装置が、回路基板に配置された構成部品を有する電子装置を利用している。全ての電子装置でのように、有効な電源はそれらの構成部品に電力を供給するために必要な要件である。回路基板上で局所的電力を供給するための1つの技術は、バッテリーやキャパシタのようなエネルギー蓄積装置の使用を含む。
【0004】
一般的に、従来のキャパシタは1 kg当たり約360ジュール未満の比エネルギーを供給し、一方、従来のアルカリバッテリーは約590kj/kgの密度を有する。ウルトラキャパシタ(スーパーキャパシタとも呼ばれる)は、充電式バッテリーよりも、遙かに速く充放電することができるし、遙かに多くの充放電サイクルに耐えることができる。これにより、ウルトラキャパシタを実装することが、電気技術者にとって魅力的な解決策になる。
【0005】
第1の設計上の障害は、典型的なウルトラキャパシタが所与の充電に対して従来のバッテリーより著しく大きくなりえるということである。パワー密度が向上しても、他の問題は、指向されるプロセスである。すなわち、電気回路の組立てには、構成部品の回路基板へのはんだ付けを必要とする。この「リフロー処理」は、従来のウルトラキャパシタを劣化させたり破壊したりするのに充分な大きさの熱を発生させる。従って、ウルトラキャパシタの使用は回路基板上に搭載される電子装置に電力を供給するための魅力的な解決策かもしれないが、この解決策は高電源出力を必要とするコンパクト設計には利用できていない。その他にも、既存のウルトラキャパシタ技術に関する更なる問題は、そのような構成部品の限定的な寿命である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
必要とされるものは、回路基板上に配置された電気部品に電力を供給するのに役立つウルトラキャパシタである。好ましくは、ウルトラキャパシタは、構成部品のどんどん縮小しているサイズに適するコンパクト設計を提供し、リフロー処理に耐えることができ、そして有用な動作寿命を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
或る態様では、はんだリフロー処理を使用してプリント回路基板上に搭載するのに適するエネルギー貯蔵装置が開示される。幾つかの実施例では、該装置は、正極内部接点及び負極内部接点(例えば、金属接触パッド)を有する密閉ハウジング本体(例えば、蓋が取り付けられた下部本体)を含み、正極内部接点及び負極内部接点は本体内に配置され、また正極外部接点及び負極外部接点にそれぞれ電気的に連通している。外部接点の各々は、本体の外部へ電気通信を提供し、また該本体の外表面に配置されてもよい。電気二重層キャパシタ(EDLC)(ここでは、ウルトラキャパシタ又はスーパーキャパシタとも呼ばれる)エネルギー貯蔵セルは、交互の電極層及び電気絶縁性セパレーター層のスタックを含む本体内の空胴内に配置される。電解液は空胴内に配置され、電極層を湿らせる。正極リードは1つ以上の電極層の第1グループを正極内部接点に電気的に接続し、負極リードは1つ以上の電極層の第2グループを負極内部接点に電気的に接続する。
【0008】
幾つかの実施例では、電極層の各々は、結合剤を実質的に含まない、主として炭素質材料からなるエネルギー貯蔵媒体を含む。幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵媒体は、空所を画成するカーボンナノチューブのネットワークと、該空所に配置され、カーボンナノチューブのネットワークによって結合された炭素質材料(例えば、活性炭)と、を含む。幾つかの実施例では、少なくとも1つの電極層は、導電性の集電体層の対向面に配置されたエネルギー貯蔵媒体を有する両面電極層を含む。
【0009】
幾つかの実施例では、本体に物理的に接触するエネルギー貯蔵セルの表面は、電気絶縁材料(例えば、層セパレーター材料、或いは幾つかの実施例では、セルの周りに配置された絶縁性エンベロープバリア)からなる。
【0010】
幾つかの実施例では、電極層の各々は、正極リード及び負極リードのいずれか一方に付着された導電性タブを含む。例えば、正極電極のグループは、例えば、超音波溶接又は他の適切な技術を用いて、正極リードに接続されたタブを含んでもよい(また、負極の場合にも同様に)。
【0011】
様々な実施例では、動作中に電解液に接触するかもしれない本装置の電気化学的に活性な部分を絶縁することによって、腐食及び他の関連する有害な影響を防ぐことが望ましい。従って、幾つかの実施例は、1つ以上の防食機能部、例えば、内部接点のうちの1つの近くに配置され、動作中に該内部接点と電解液との間の電気化学反応を制限するように構成された機能部、を含む。幾つかの実施例では、内部接点は電解液に対して比較的高い電気化学活性を有する第1の物質を含み、防食機能部は電解液に対して第1の物質より比較的低い電気化学活性を有する第2の物質の保護層を含み、該保護層は第1の物質と電解液との間の接触を防止するように配置されている。幾つかの実施例では、保護層は、例えば、ここに記載された種類のシーラントの層を含む。幾つかの実施例では、保護層は、第1の物質の表面に配置された金属層を含む。幾つかの実施例では、保護層は、第1の物質の表面に配置された金属層と、金属層に配置されたシーラント層と、を含む。幾つかの実施例では、金属層は、シーラント層によって(例えば、内部接点に)固定された、又は部分的に固定された金属のシムを含む。幾つかの実施例では、本体の内表面は、防食機能部の少なくとも一部を受容するように構成された凹設部を含む。幾つかの実施例では、正極又は負極リードの一部は、防食機能部を貫通して延びて内部接点のうちの1つに接続する。幾つかの実施例では、防食機能部はアルミニウム金属層を含む。幾つかの実施例では、防食機能部はエポキシシーラントを含む。
【0012】
幾つかの実施例は、電解液及びエネルギー貯蔵セルと空胴の表面との接触を防止するように構成された、エネルギー貯蔵セル及び電解液を囲む電気絶縁性エンベロープバリアを含む。幾つかの実施例では、リードはエネルギー貯蔵セルから内部接点までバリアを貫通して延びる。幾つかの実施例では、バリアは、ダイリードに加熱封止されて、バリアエンベロープ内からの電解液の漏れを防止する。
【0013】
幾つかの実施例では、本体は、プリント回路基板上に表面実装するために構成されたチップ(例えば、セラミック系のマイクロチップパッケージ)であり、ここでは、そのように実装された時、チップは、プリント回路基板の主面から上に、約5.0mm、4.0mm、3.5mm、3.0mm又はそれ以下だけ、延びる。
【0014】
幾つかの実施例では、本装置は、少なくとも、2.0V、2.1V、2.2V 2.3V、2.4V、2.5V、3.0V、又はそれ以上の動作電圧を有しうる。幾つかの実施例では、本装置は、少なくとも、300mF、400mF、450mF、500mF又はそれ以上のキャパシタンスを有しうる。幾つかの実施例では、本装置は、少なくとも、4.0J/cc、4.5J/cc、5.0J/cc、5.1J/cc、又はそれ以上のエネルギー密度を有しうる。幾つかの実施例では、本装置は、少なくとも15W/cc、少なくとも20W/cc、少なくとも22W/cc、又はそれ以上のピーク密度を有しうる。幾つかの実施例では、本装置は、500mΩ以下の等価直列抵抗、400mΩ以下の等価直列抵抗、300mΩ以下の等価直列抵抗を有しうる。幾つかの実施例では、本装置は、少なくとも、65°C、75°C、85°C、100°C、125°C、150°C、又はそれ以上の動作温度定格を有しうる。
【0015】
幾つかの実施例では、本装置は、30%未満のキャパシタンス劣化及び100%未満の等価直列抵抗増加を示しつつ、少なくとも2.0V(又は、少なくとも2.1V以上)の動作電圧及び少なくとも65°Cの動作温度で、少なくとも2,000時間の動作寿命を有しうる。幾つかの実施例では、本装置は、少なくとも30%未満のキャパシタンス劣化及び100%未満の等価直列抵抗増加を示しつつ、少なくとも2.0V(又は、少なくとも2.1V以上)の動作電圧及び85°Cの動作温度で、少なくとも1,000時間、少なくとも1,500時間、少なくとも2,000時間、少なくとも3,000時間、又はそれ以上の動作寿命を有しうる。幾つかの実施例では、本装置は、少なくとも30%未満のキャパシタンス劣化及び100%未満の等価直列抵抗増加を示しつつ、少なくとも2.0V(又は、少なくとも2.1V以上)の動作電圧及び100°Cの動作温度で、少なくとも1,000時間、少なくとも1,500時間、少なくとも2,000時間、少なくとも3,000時間、又はそれ以上の動作寿命を有しうる。幾つかの実施例では、少なくとも100°C、200°C、250°C、300°C、又はそれ以上のピーク温度で、少なくとも30秒、60秒、120秒、180秒、240秒、360秒、又はそれ以上の、少なくとも1、2、3、4、5、6、又はそれ以上の回数の温度サイクルを有するリフロー処理を使用して、本装置をプリント回路基板にはんだ付けした後に、前述の動作寿命が発生する。
【0016】
幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵セルは、回路基板に搭載された少なくとも1つの追加要素(例えば、固体メモリ装置)に電力(バックアップ電力)を提供する。
【0017】
幾つかの実施例では、電解液は、幾つかの実施例においては、例えばここに記載された種類の塩及び/又は溶媒と混合されてもよいイオン性液体を含む。
【0018】
幾つかの実施例では、ハウジング本体は気密に封止される。例えば、幾つかの実施例では、ここに詳細に記載されるように、金属蓋がセラミックス素子に付着(例えば、溶着)されてハウジング本体を形成するようにしてもよい。
【0019】
幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵セルを含んでいるハウジング本体の空胴内では、ハロゲン化物イオンの総濃度は、約1,000ppm、500ppm、200ppm、100ppm以下に保持される。幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵セルを含んでいるハウジング本体の空胴内では、金属種不純物は、約1,000ppm、500ppm、200ppm、100ppm以下に保持される。幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵セルを含んでいるハウジング本体の空胴内では、ブロモエタン、塩化エチル、1ーブロモブタン、1ークロロブタン、1ーメチルイミダゾール、酢酸エチル、及び塩化メチレン、の不純物は、約1,000ppm、500ppm、200ppm、100ppm以下に保持される。幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵セルを含んでいるハウジング本体の空胴内では、水分は、約1,000ppm、500ppm、200ppm、100ppm、50ppm、10ppm以下に保持される。幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵セルを含んでいるハウジング本体の空胴内では、ハロゲン化物不純物は、約1,000ppm、500ppm、200ppm、100ppm、50ppm、10ppm以下に保持される。
【0020】
幾つかの実施例では、本装置は、密封されたハウジング本体に含まれる単一のエネルギー貯蔵セルを含み、換言すれば、チップ当たり1つのエネルギー貯蔵セルを含む。他の実施例では、各チップは、例えば、共通の空胴内に一緒に、又は別々の空胴内に、又はその組合せで、配置された複数のエネルギー貯蔵セルを含んでもよい。
【0021】
別の態様では、はんだリフロー処理を使用してプリント回路基板上に搭載するのに適するエネルギー貯蔵装置を作成する方法が開示される。幾つかの実施例では、本方法は、交互の電極層及び電気絶縁性セパレーター層のスタックを含む電気二重層キャパシタ(EDLC)エネルギー貯蔵セルを形成すること、ハウジング本体内に、該本体内に配置された正極内部接点及び負極内部接点を有するエネルギー貯蔵セルを配置すること、本体に少なくとも部分的に電解液を充填して電極層を湿らせること、正極リードを1つ以上の電極層の第1グループから正極内部接点に電気的に接続すること、負極リードを1つ以上の電極層の第2グループから負極内部接点に電気的に接続すること、及び空胴内に配置されたエネルギー貯蔵セルを有するハウジング本体を密閉すること、を含む。幾つかの実施例では、ハウジング本体を密閉することは、ハウジング本体を気密に封止すること(例えば、ここに記載されるような低不純物条件を提供すること)を含む。
【0022】
別の態様では、プリント回路基板上に搭載された装置にエネルギーを提供する方法が開示される。幾つかの実施例では、本方法は、はんだリフロー処理を使用して、ここに記載された種類の装置をプリント回路基板に搭載すること、及び動作電圧と動作温度で該装置を繰り返し充放電させてエネルギーをデバイスに提供すること、を含んでもよい。幾つかの実施例では、動作電圧は、少なくとも2.0V、2.1V、2.2V、2.3V、2.4V、2.5V、2.75V、3.0V、又はそれ以上である。幾つかの実施例では、動作温度は、少なくとも65°C、少なくとも85°C、少なくとも100°C、少なくとも125°C、少なくとも150°C、又はそれ以上である。幾つかの実施例では、本方法は、装置が30%未満のキャパシタンス劣化及び100%未満の等価直列抵抗増加を示している間、少なくとも2,000時間、動作電圧及び動作温度で該装置を繰り返し充放電させてエネルギーをデバイスに提供することを含む。
【0023】
様々な実施例は、ここに記述した上記特徴及び要素のいずれかを、単独で又は任意の適切な組合せで、含んでもよい。
【0024】
本発明の特徴及び利点は、添附図面に関連した以下の記述から明白であろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、例示的なウルトラキャパシタの態様を表す概略図である。
【
図2】
図2は、ここでの教示によるチップキャップの実施例を表す等角投影図である。
【
図3】
図3は、
図2(対向角度からの)のチップキャップの分解図である。
【
図4】
図4A、4B及び4Cは、ここでは
図4と総称されるが、
図2のチップキャップ用の電極の説明図である。
【
図5】
図5は、
図2のチップキャップ用の蓄電セル内に使用するためのエネルギー貯蔵媒体のスタックの描写である。
【
図6】
図6は、
図2のチップキャップ用の蓄電セルを表す等角投影図である。
【
図7】
図7は、
図2のチップキャップ用の本体を表す等角投影図である。
【
図9】
図9は、は
図7の本体内に配置された
図6の蓄電セルを表す等角投影図である。
【
図10】
図10は、蓄電セルの組み込みのための準備状態にある
図7の本体の断面の部分概略図である。
【
図12】
図12は、
図11に示されるアセンブリの横断面図で、その断面は「A」とラベル付された軸線に沿ってとられたものである。
【
図13】
図13は、
図2のチップキャップのリフロー用の時間-温度プロフィールを表すグラフである。
【
図14】
図14~16は、チップキャップの実施例に対する性能データの態様を表すグラフである。
【
図17】
図17A~17Bは、チップキャップの実施例に対する性能データの態様を表すグラフである。
【
図18】
図18A~18Bは、チップキャップの実施例に対する性能データの態様を表すグラフである。
【
図19】
図19は、
図2のチップキャップを利用するためのシステムを表す概略図である。
【
図20】
図20は、
図2のチップキャップを作成するための処理フローを表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
回路基板にエネルギーを提供するのに役立つエネルギー蓄積装置がここに開示される。一般的に、「チップキャップ」と呼ばれるエネルギー蓄積装置は、回路基板への表面実装に適したフォームファクタで構成された特殊なウルトラキャパシタである。有利には、チップキャップは、基板に搭載された回路の製造及び組み立てに関連した要求に耐えることができ、それに続いて既存のエネルギー蓄積装置よりも優れた性能をもたらすことができる。
【0027】
エネルギー蓄積装置ついて紹介する前に、ここでの教示の背景を説明するために幾つかの用語が提供される。
【0028】
エネルギー蓄積装置の実施例は、ここでは「ウルトラキャパシタ」と呼ばれたり、また更には「チップキャップ」と呼ばれる。用語「チップキャップ」は、一般的にプリント回路基板(PCB)上への表面実装に適するウルトラキャパシタの実施例を指す。一般的に、用語「チップキャップ」は、回路基板(すなわち、チップ)に搭載可能な従来のマイクロチップ型構成部品、及びそれに含まれるウルトラキャパシタ技術に関連している。
【0029】
ここで使用されているように、用語「リフロー可能な」は、一般的に、回路基板への表面実装に関連した製造プロセスに耐えるための、ここに開示されたエネルギー蓄積装置の能力を意味する。該製造プロセスは、プロセス温度が摂氏150度以上に、場合によっては、摂氏200度まで、また恐らく摂氏220度まで、構成部品を加熱する加熱サイクルを含むはんだ付け(すなわち、リフロー処理)を含んでいてもよい。そのような加熱サイクルは、30、60、90、120、240、360秒、及びそれ以上の期間続いてもよい。従って、ここに議論されるように、「リフロー可能な」構成部品は、実質的に将来の性能劣化を経験することなく、基板搭載回路への構成部品の組み込みに適切な加熱サイクルに耐えることができるものである。幾つかの実施例では、ここに記載された構成部品は、複数回のそのようなリフローサイクル、例えば2、3、4、5回又はそれ以上のそのようなサイクルに耐えうる。
【0030】
幾つかの実施例では、リフロー可能な構成部品は、実際には劣化した性能を示すかもしれないが、しかし、劣化は予想されうるし、また、最終的な設置(すなわち、組み立てられたり又は実装された構成部品)は、容認可能とみなされる予測性能レベルを示すかもしれない。
【0031】
チップキャップについて紹介する前に、電気化学二重層キャパシタ(EDLC)の幾つかの一般的な態様について、
図1に関連して以下に述べる。ここに提示された例は、当該技術を制限するものではなく、説明の目的のために単に例示、提供されるものである。
【0032】
図1は、「ウルトラキャパシタ」とも称される電気化学二重層キャパシタ(EDLC)10の例示的な実施例に関連した概念を表す。ウルトラキャパシタ10は2つの電極(負極電極3及び正極電極4)を含み、各電極3、4は電解液界面で電荷の二重層を有する。幾つかの実施例では、複数の電極が含まれている。しかしながら、論議及び図解の目的のために、2つの電極3、4だけが
図1に示される。ここでは慣例として、電極3、4の各々は、エネルギー貯蔵を提供するために、炭素系のエネルギー貯蔵媒体(ここで更に議論されるように)を使用する。
【0033】
電極3,4の各々は、それぞれの集電装置2を含む。ウルトラキャパシタ10では、電極3,4がセパレーター5によって分離されている。一般的に、セパレーター5は、電極3、4を2つ以上のコンパートメントへ分離するために使用される薄い構造材(通常はシート)である。
【0034】
少なくとも1つの形態の電解液6が含まれている。電解液6は、電極3、4及びセパレーター5内の及びそれらの間の空所を満たしている。一般的に、電解液6は、帯電イオンに解離する化合物である。化合物を溶かす溶剤は、幾つかの実施例には含まれていてもよい。結果として生じる電解液は、イオンの輸送によって電気を通す。
【0035】
便宜上、電極3、4、セパレーター5及び電解液6の組合せは、「蓄電セル12」と呼ばれる。幾つかの実施例では、用語「蓄電セル」は、単に電極3、4及び電解液6の無いセパレーター5に言及する。
【0036】
一般的に、例示的なウルトラキャパシタ10は、ここで更に議論されるように、ハウジング7内にパッケージ(それは単に「ハウジング7」と呼ばれてもよい)される。ハウジング7は気密に密閉される。様々な例示において、パッケージは、レーザー、超音波、及び/又は溶着技術を利用する技術によって気密に封止される。ハウジング7(また、「ケース」とも呼ばれる)は少なくとも1つの端子8を含む。各端子8は、エネルギー貯蔵媒体1に貯蔵されたエネルギーへの電気的アクセスを提供する。
【0037】
例示的なEDLC10には、エネルギー貯蔵媒体1は、活性炭、カーボンファイバー、レーヨン、グラフェン、エアロゲル、炭素繊維布、及び/又はカーボンナノチューブによって提供されてもよいし、またそれらを含んでいてもよい。活性炭電極は、例えば、炭素化合物の炭化によって得られたカーボン材料に第1の賦活処理を行って炭素基材を生成し、バインダーを該炭素基材に加えることによって成型体を生成し、この成型体を炭化させ、最終的に、炭化された成型体に第2の賦活処理を行って活性炭素電極を生成することによって、製造することができる。
【0038】
カーボンファイバー電極は、例えば、高表面積のカーボンファイバーを有する紙又は布地プレフォームを使用して生成することができる。
【0039】
一特定例においては、化学蒸着法(CVD)を使用する様々な基板上の多層カーボンナノチューブ(MWNT)は、電極3,4で使用するために製造される。一実施の形態では、低圧化学蒸着法(LPCVD)が使用される。製造プロセスは、アセチレン、アルゴン及び水素のガス混合物と、電子ビーム蒸着及び/又はスパッタリング蒸着を使用して基質に蒸着された鉄触媒とを使用してもよい。
【0040】
幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵媒体1を形成するために使用される物質は、純粋なカーボン以外の物質を含んでもよい。例えば、バインダーを提供するための材料の様々な組合せが含まれてもよい。しかしながら、一般的には、エネルギー貯蔵媒体1は、カーボンから実質的に形成され、従って、「炭素質材料」と呼ばれる。
【0041】
要するに、エネルギー貯蔵媒体1は、主にカーボンから形成されるが、任意の形態のカーボンと、エネルギー貯蔵媒体1としての所望の機能性を提供するために適切又は許容可能と思われるような添加剤又は不純物と、を含んでいてもよい。
【0042】
電解液6は、複数のカチオン9及びアニオン11のペアリングを含み、幾つかの実施例では、溶剤を含んでもよい。それら各々の様々な組合せが使用されてもよい。例示的なEDLC10では、カチオン11は、1-(3-シアノプロピル)-3-メチルイミダゾリウム、1、2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム、1、3-ビス(3-シアノプロピル)イミダゾリウム、1、3-ジエトキシイミダゾリウム、1-ブチル-1-メチルピペリジニウム、1-ブチル-2、3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-4-メチルピリジニウム、1-ブチルピリジニウム、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、3-メチル-1-プロピルピリジニウム、1-ブチル-1-メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、及びそれらの組合せ、同様に適切と認められる他の等価物、を含んでいてもよい。
【0043】
また、例示的なEDLC10では、アニオン9は、ビス(トリフルオロメタンスルフォナート)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルフォナート)メチド、ジシアナミド、テトラフルオロボラート、ヘキサフルオロホスファート、トリフルオロメタンスルフォナート、ビス(ペンタフルオロエタンスルフォナート)イミド、チオシアナート、トリフルオロ(トリフルオロメチル)ボラート、スピロ-(1、1’)-ビピロリジニウムテトラフルオロボラート塩、他の潜在的な塩であるテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボラート、及びそれらの組合せ、同様に適切と認められるような他の等価物を含んでいてもよい。
【0044】
溶剤は、アセトニトリル、アミド、ベンゾニトリル、ブチロラクトン、環状エーテル、炭酸ジブチル、炭酸ジエチル、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、炭酸ジメチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホン、ジオキサン、ジオキソラン、ギ酸エチル、炭酸エチレン、炭酸エチルメチル、ラクトン、鎖状エーテル、ギ酸メチル、プロピオン酸メチル、メチルテトラヒドロフラン、ニトリル、ニトロベンゼン、ニトロメタン、n-メチルピロリドン、炭酸プロピレン、スルフォラン、スルホン、テトラヒドロフラン、テトラメチレンスルフォン、チオフェン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、炭酸エステル、γ-ブチロラクトン、ニトリル、トリシアノヘキサン、ブチロニトリル、炭酸エチレン、メチレンジクロリド、及びそれらのあらゆる組合せ、又は適切な性能特性を示すその他の物質、を含んでいてもよい。
【0045】
セパレーター5は不織布ガラスから製造されてもよい。セパレーター5はまた、繊維ガラス、ふっ素重合体、テフロン(登録商標)(PTFE)、及びセラミックスから製造されてもよい。例えば、不織布のガラスを使用して、セパレーター5は、主ファイバと、各々それより小さなファイバ径を有し、且つ主ファイバ同士が接合されることを可能にするバインダーファイバと、を含んでいてもよい。
【0046】
ウルトラキャパシタ10に関係する上述の概念の記述は、ここに開示されて議論されるチップキャップに対する背景を提供するものである。
【0047】
図2及び
図3の図示において、チップキャップ100は本体101及びそれに搭載された蓋102を含む。本体101及び蓋102内には、電解液126に浸漬され又はそれにより湿らせられたチップキャップ蓄電セル105を含む容量103が配置される。本体101はまた、ハウジング7の一部、又は「容器」又は「パッケージ」と呼ばれてもよいし、また他の同類の用語で呼ばれてもよい。一般的には、チップキャップ蓄電セル105は、ウルトラキャパシタ蓄電セル12に関して上述された原理によって動作する。チップキャップ蓄電セル105(以後「蓄電セル105」と呼ばれる)の更なる態様について以下に述べる。
【0048】
幾つかの実施例では、本体101及びそれに搭載された蓋102は、超小型電子技術用途に適しているとして選ばれた大きさを有してもよい。例えば、幾つかの実施例では、本体101及びそれに搭載された蓋は、プリント回路基板上に表面実装するために構成され、ここでは、表面実装される際に、本体101及び蓋102は、ダイプリント回路基板の主面から上に、約5.0mm、4.0mm、3.5mm、3.0mm又はそれ以下だけ、延びる。幾つかの実施例では、本体101は、約5.0cm、4.0cm、3.0cm、2.0cm、1.0cm、0.5cm、0.25cm又はそれ以下の最大横寸法を有している。幾つかの実施例では、本体101は、25.0cm2、16.0cm2、9.0cm2、1.0cm2、0.25cm2、0.1cm2、0.075cm2、0.05cm2又はそれ以下の横面積を占めている。
【0049】
幾つかの実施例では、本体101の内部に面する蓋102の側面は、該蓋と蓄電セル105との間の不要な物理的な又は電気的なコンタクトを防止するために、(例えば、PTFE又はポリイミドのような重合体又は塑性物質の)防食皮膜又は層を含んでいてもよい。
【0050】
チップキャップ100を構築するプロセスは、蓄電セル105の製造及び本体101の作成から始まる。
【0051】
蓄電セル105の構築の第1工程は、電極の作成を含む。両面電極600の一例は
図4Aに示される。一般的には、また
図4Aに示されるように、各両面電極600はその一方の側に配置されたエネルギー貯蔵媒体1を備えた集電器2を含む。
【0052】
電極の幾つかの実施例は、5つの主要構成部品を含む。該構成部品は、アルミニウム集電器2と、エネルギー貯蔵媒体1の接着を促進するために提供される重合体プライマー層(また、「活性物質」とも呼ばれる)と、三成分活性物質と、を含む。活性物質は、例えば、活性炭(キャパシタンスを向上させるため)と、カーボンブラック(高導電性を提供し、且つ等価直列抵抗(ESR)を低減するため)と、重合体バインダー(パウダーを結合させるため)と、を含んでいてもよい。
【0053】
幾つかの実施例では、カーボンナノチューブ(CNT)は、接着剤及び結合マトリックスに対して提供するべき代替物質として使用される。すなわち、プライマーは、CNT粘着層(AL)と置換してもよく、また、活性物質用の重合体バインダーもCNTと置換してもよい。CNTはまた、導電性の補助としてカーボンブラックを低減したり、又は置換してもよい。結果として生じる電極(すなわち、重合体(ポリマー)又は他の接着剤を含まない電極)は「バインダーフリー」である。そのようなバインダーフリー電極は、極限条件(例えば、高圧及び/又は高温)で、バインダーと周囲の物質(例えば、電解液)との間の電気化学反応による劣化が無く有利に動作しうる。理論に拘束されることを望むものではないが、幾つかの実施例では、バインダーフリー電極内の炭素間の静電引力(例えばファンデルワールス結合)は厳しい条件の下でさえ電極の完全性を維持するために十分な粘着力及び結合力を提供することが理解されよう。例えば、幾つかの実施例では、リフロー処理を受けた時(ここに詳述されるように)や、又は、65°C、85°C、100°C、125°C、150°C又はそれ以上の動作温度で、少なくとも2.0V、又は少なくとも2.1V又はそれ以上の動作電圧を受けた時でさえも、バインダーフリー電極は、有害な剥離を殆ど又は全く示さないこともある。
【0054】
バインダーフリー電極の幾つかの実施例では、活性媒質は、カーボンナノチューブ(CNT)のマトリックスによって結合された活性炭(又は他の種類の炭素質材料)を含み、また、活性層は、他の充填材を含まないカーボンナノチューブ(CNT)のマトリックスである。有利には、(例えば、製造原価を下げるために)、幾つかの実施例では、活性層内のCNTの重量濃度は、比較的低くてもよく、電極の所望の性能特性に応じて、例えば、50%、40%、30%、20%、10%、7.5%、5.0%、2.5%又はそれ以下、よりも小さくてもよい。
【0055】
幾つかの実施例では、マトリックスは、超音波処理とカーボンナノチューブ(CNT)を互に解束するのに十分なエネルギーとを使用して、イソプロピルアルコール内の活性炭粉末及び/又はカーボンナノチューブ(CNT)を含むパウダーを分散させることにより達成される。成功した分散は、素材分離及び外観により特徴づけられうる。例えば、カーボンナノチューブ(CNT)物質が溶媒から分離するか、また、乾燥された時、滑らかなフィルムが現われるかどうか、である。
【0056】
活性媒質及び活性層各々の結合及び接着強度は、両方とも、(カーボンナノチューブ(CNT)の特性、乾燥時間、層の厚さ、基板材料、基板テクスチャー等と共に)、それらのスラリー内のカーボンナノチューブ(CNT)の分散性能による影響を受ける。カーボンナノチューブ(CNT)の分散は、溶媒(及びカーボンナノチューブ(CNT)の特性、濃度、物質純度、界面活性剤の使用、バッチサイズ、分散設定、例えばソニケーター振幅、負荷サイクル、温度、プローブ深度、攪拌性能等)の選択による影響を受ける。
【0057】
活性媒質の集電器2への接着力は、カーボンナノチューブ(CNT)の接着層(AL)を集電器2へ付加することによって改善されうる。これは、ステンレス鋼(SS)のプレート(板)上に活性媒質の層を鋳造して乾燥し、ロール・ツー・ロール装置を使用して、垂直整列されたカーボンナノチューブを備えた異なるプレートを炭化アルミニウム被覆された集電器2に対して圧縮してカーボンナノチューブ(CNT)を転写し、その後、活性媒質を備えたプレートを集電器2/カーボンナノチューブ(CNT)層に対して押圧して電極を形成することにより行われてもよい。
【0058】
幾つかの実施例では、電極の製造は、集電器2上にカーボンナノチューブ(CNT)スラリーの薄い層を直接鋳造し、薄層を乾燥させて、次に、その上に活性媒質スラリーを鋳造することにより遂行される。
【0059】
幾つかの技術が、全ての活性媒質の層を電極上に配置するために用いられてもよい。カレンダリングに関する一実施例では、ステンレス鋼(SS)プレート上に活性媒質の層を鋳造して乾燥させることが行われ、次に、ロール・ツー・ロール装置を使用して、垂直整列されたカーボンナノチューブ(VACNTs)を備えた異なるプレートを炭化アルミニウム被覆された集電器2に対して圧縮して垂直整列されたカーボンナノチューブ(VACNTs)を転写し、その後、活性媒質を備えたプレートを、垂直整列されたカーボンナノチューブ(VACNTs)をホストする炭化アルミニウム被覆された集電器2に対して押圧して電極を形成する。他の実施例では、カーボンナノチューブ(CNT)の薄い層が、集電器2上にスラリーとして直接鋳造され、乾燥され、そして、活性媒質が、カーボンナノチューブ(CNT)の薄い層の上にスラリーとして鋳造される。
【0060】
活性炭の選択は、キャパシタンス対寿命の評価を含む。すなわち、多くの場合、最高キャパシタンスの材料と最長寿命の材料との間にはトレードオフがあることが分かった。一般的に、活性炭の品質は経験的に判定されるべきであることが分かった。また、活性物質のカーボンナノチューブ(CNT)パウダーの選択に関しては、カーボンナノチューブ(CNT)がより長いほどマトリックスがより強くなること、カーボンナノチューブ(CNT)における壁(層)がより低いほど密度効率がより良くなること、カーボンナノチューブ(CNT)の高い純度はリアクティブ・コンテンツを回避すること、細孔は酸化してカーボンナノチューブ(CNT)の内表面を露出させることができるが、不純物の添加に帰着するかもしれないこと、が分かった。接着層パウダーの選択に関して、長さに対しては、長すぎるカーボンナノチューブ(CNT)は自己付着しすぎ、また集電器2から剥がれるので、結合力対接着力が評価されるべきであること、及びCNTのより薄い層は集電器2から剥がれる危険を緩和すること、が分かった。カレンダリング技術に関して、カーボンナノチューブ(CNT)マトリックスは、加圧で「活性化」されてもよく、CNTが接着された後には、それほど粉状ではなくなり、より高圧にすることでより良い密度が得られるが、効果は逓減する、すなわち、カレンダリングプロセス(カレンダー処理)を低圧で始めて追加の通過で徐々に増大することにより、場合によっては、層同士を接着させることを促進するように思われる。酷使は剥離に至る場合があるので、これを避けるように注意すべきである。より多くのカレンダー通過は密度を僅かに増大することができるが、しかし、集電器2を酷使したり又は皺を寄せるリスクは増大するであろう。
【0061】
接着層は、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー、金属ナノワイヤー、及びセラミックナノファイバーを含んでもよい。活性物質に対して、コーヒージョン(結合)カーボンナノチューブ(CNT)は、カーボンナノファイバー、金属ナノワイヤー、及び/又はセラミックナノファイバーと同様に、使用されてもよい。活性物質エネルギー貯蔵に対して、活性炭が使用されてもよいし、及び/又は炭素(カーボン)の他の形態と共に、カーボンブラック、追加のカーボンナノチューブ(CNT)、すす、ジェットブラック、バッキーボール、フラーレン、グラファイト、グラフェン、ナノホーン、ナノオニオン、が使用されてもよい。使用されるカーボンナノチューブ(CNT)は、単層、2層、多層でもありうるし、任意の長さ、直径、純度、結晶度、又は適切であると思われるような他の態様、でもありうる。
【0062】
様々な実施例では、電極の大きさ(寸法)は、約20μmから約350μmまでの間の範囲である。様々な実施例では、集電器の厚さは、約10μmから約50μmまでの間の範囲にある。様々な実施例では、接着層の厚さは、約2μmから約10μm又はそれ以上の間にある。接着層上に配置された活性物質の厚さは、約5μmから約150μm又はそれ以上の間にあってもよい。幾つかの実施例では、接着層において使用されるカーボンナノチューブ(CNT)は、1nmから約200nmまでの間の直径であり、約1μmから約1000μmまでの間の長さであり、約1から100までの間の壁(層)数を有する。幾つかの実施例では、活性物質において使用されるカーボンナノチューブ(CNT)は、1nmから約200nmまでの間の直径であり、約1μmから約1000μmまでの間の長さであり、約1から100までの間の壁(層)数を有する。幾つかの実施例では、活性物質は、約2μmから約30μmまでの間の直径を示す略球状の粒子を含む。
【0063】
幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵媒体の圧縮は、乾燥の後に適用される。一般的に、これは、カーボンナノチューブ(CNT)を適所に固定するのを促進する。ロールプレス、液圧プレス又は他の種類のプレスが使用されてもよい。集電器の破損を回避するために、注意をするべきである。
【0064】
様々な実施例では、電極層は、その内容全体が参照によってここに組み込まれる、2018年6月7日に公表された国際出願公開第WO/2018/102652号に記載された何れの技術を使用して、形成されてもよい。
【0065】
正極電極及び負極電極のグループから集電するために、複数の左手系(
図4B)及び右手系(
図4C)両面電極600が製造される。一般的に、左手系又は右手系の両面電極600の各々は、その何れか一方の側に配置されたエネルギー貯蔵媒体1を含み、またエネルギー貯蔵媒体1が実質的に無い導電性タブ602を含む。
【0066】
電極は、適切なプレスを使用して、薄板材から打抜きされてもよい。薄板材から打抜かれた電極は、蓄電セル105で使用するのに適切な寸法を示す。一旦、適切な寸法の電極が切り出されてから、それらが作成されてもよい。適切な寸法の電極の作成は、例えば、エネルギー貯蔵媒体1の保持率を保証するために各電極にカレンダー処理を行うこと、エッジをトリミングすること、及び任意の不純物の移動及び減少を促進するために熱処理を行うこと、を含んでもよい。作成後に、電極は、組み立てに備えて適切な環境に移動されてもよい。
【0067】
一旦製造されて使用に適していれば、両面電極600はスタックアセンブリに組み込まれる。スタックの組み立てに進むために、適切なセパレーター5が提供される。セパレーター5はセパレーター材料から製造されてもよい。
【0068】
幾つかの実施例では、セパレーター5は、一実施例においてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の供給物であるセパレーター材料の供給物から切り出される。PTFEは、テトラフルオロエチレンの合成フッ素重合体(一般に、デラウェアのケマーズ(Chemours)社から入手できるTEFLON(登録商標)と呼ばれる)である。PTFEは、全体がカーボン及びフッ素からなる高分子化合物であるので、フルオロカーボン固体である。例示的な実施例では、セパレーター5は25μmの厚さである。単一のセパレーター5を備えた活性スタックアセンブリの一例は
図5に示される。
【0069】
図5は、エネルギー貯蔵媒体1の「z折り」配置の概念の態様を表す。z折りの実施例では、セパレーター5の層は、z折り状に折り重ねられたセパレーター材料の単一ピースから形成される。z折りセパレーター5は、対向する正極電極4及び負極電極3と、そこで折り重ねられた関連する集電器2と、を含む。一般的に、ここで言及されるように、電極、集電器及びセパレーターの多層のアセンブリは、「スタック201」と呼ばれ、また「活性スタック」と呼ばれてもよいし、さらに他の同様の用語で呼ばれてもよい。
【0070】
z折りスタック201を製造するために、一旦、セパレーター5が切り出されてから、両面電極600のうちの第1の電極はセパレーター5の一端上に配置される。そして、セパレーター5は折り重ねられ、また、一つの対向する両面電極600がセパレーター5上に配置される。そのプロセスは、完成したスタック201が提供されるまで、継続する。一実施例では、完成したスタック201は15個の両面電極600を含む。この例では、完成したスタック201は、負側の電極の八つ(8)の層、及びプラス側の電極の七つ(7)の層を有するであろう。この実施例では、各両面電極600は、およそ6mm×8mmのエネルギー貯蔵材料1の領域を有する。統合タブとして機能する集電器2の露出した部分は、およそ1.5mm×8mmの寸法を有している。
【0071】
一般的に、スタック201は所望のレベルの電気性能を提供するように構成される。スタック201がz折り配置で提供されることは、要求されず、また必要でもない。幾つかの実施例では、スタック201の各層は個々のセパレーター5によって分離される。幾つかの実施例では、スタック201の各層は、セパレーター材料のエンベロープ内に収容されてもよい(すなわち、セパレーター材料に囲まれてもよい)。
【0072】
同様に、全蓄電セル105は、セパレーター材料のエンベロープ又は他の適切な保護バリア(例えば、電気的絶縁性の熱可塑性材料又は他の適切な材料)内に提供されてもよい。幾つかの実施例では、このエンベロープは、スタック201を湿らせる電解液を含み、該電解液がバリアの外部の素子に接触するのを防止するようにしてもよい。幾つかのそのような実施例では、導電性タブ602は、スタック201及びリード線(123、124)の間の電気通信を提供するために、エンベロープを貫通して外方へ延びてもよい。あるいは、幾つかの実施例では、リード線(123、124)はタブ602への接続のために、エンベロープを貫通して延びてもよい。一般的に、エンベロープからの電解液の漏れを防止するために、エンベロープはそのような電気的接続部のまわりで密閉(例えば、加熱封止)されてもよい。
【0073】
様々な実施例では、蓄電セル105は、その内容全体が参照によってここに組み込まれる、2015年11月26日に公表された国際出願公開第WO2015102716A8号又は2016年6月30日に公表された国際出願公開第WO/2016057983A3に記載された何れの技術を使用して、形成されてもよい。
【0074】
幾つかの実施例では、スタック201は、1枚の電極物質から電極層を切り出す(例えば、ブレード又は切断レーザーを使用して)か打ち抜くことにより構成される。電極物質は、何れか一方の側に配置されたエネルギー貯蔵材料1を有する集電器2として使用するのに適した薄板材を含んでもよい。スタック201内の交互層は、負極電極及び正極電極を構築する。セパレーター材料は各層の間に交互配置され、完成したスタック201を形成するために最終アセンブリの回りに巻き付けられる。
【0075】
スタック201が多層の電極を含んでいるように、複数の導電性タブ602が存在する。複数の導電性タブ602はエネルギー貯蔵媒体1を越えて延びて、電気的接触を提供する。スタック201では、導電性タブ602は、極性によってグループ化され、単一の負極リード123及び単一の正極リード124に形成される。総体として、負極リード123及び正極リード124を有するスタック201の組み立て体は、蓄電セル105を提供する。組み立てられた形状の蓄電セル105の説明図は、
図6に提供される。
【0076】
幾つかの実施例では、導電性タブ602を単一の負極リード123及び単一の正極リード124の各々の1つへグループ化することは、蓄電セル105の組み立てに先立って、導電性リードを予め曲げることにより実行される。蓄電セル105が本体101内に配置される時に、導電性タブ602のグループは各パッド110(
図7)に溶接され、それにより、一体型のリード(123、124)を形成する。溶接は、例えば、超音波溶接又はレーザー溶接によって遂行されてもよい。
【0077】
図7は、本体101の態様を表す。チップキャップ100の本体101は、様々な形態のセラミック材のような誘電材料から製造されてもよい。本体101内には、一旦そこに配置された蓄電セル105から電流を導くための電気パッド110が収容されている。電気パッド110はまた、チップキャップ100を再充電するために、蓄電セル105へ電流を導いてもよい。
【0078】
図7の説明図では、本体101は一般的に、底部111と、該底部111の周囲回りに延びる四つの壁部112とを含む。従って、本体101は、その内部に蓄電セル105が配置されうる容器を提供する。本体101のこの例の下側は、
図8に示される。
【0079】
図8に示されるように、本体101の底部111の下側は、誘電体120によって分離された電気接点121を含む。接点121のうちの少なくともいくつかは、電気パッド110と電気的に接続しており、チップキャップ蓄電セル105からチップキャップ100が搭載されうる回路基板へのエネルギー伝送を可能にする。一般的に、エネルギーは、本体101内に収納されて誘電体121に囲まれた導電体又はビア(図示せず)を介して電気パッド110から接点121へ伝えられる。例えば、幾つかの実施例では、本体は、電気パッド110と接点121との間の電気通信を確立する1つ以上の導電性のスラブ(例えば、本体101の底部110内に埋設される)を収納してもよい。これらのスラブは、例えばタングステン又は他の適切な導電材料で作成されてもよい。
【0080】
従って、両面電極600の各々に対して、導通通路が、集電器2から導電性タブ602及び各リード(123、124)を介して各電気パッド110まで、そして該電気パッド110から本体101内の導電性ビアを介して本体101の底面上の1つ以上の接点121まで、形成される。
【0081】
内部の電気パッド110は、本体101内で容量103(また、ここでは「空胴」とも呼ばれる)に露出される。蓋102は、セラミック又は金属材料のような互換性をもつ物質を含んでもよい。チップキャップ100の組み立て中に、蓋102は、シールリング114に密閉されることにより、本体101に気密に封止される。結果として生じる気密封止は、チップキャップ100からの電解液の漏れと共に、チップキャップ100への環境侵入を防止することにより、環境保全を示す。気密封止は、意図したサービス間隔で適切な性能を保証するために、チップキャップ100を実質的に気密にする(電解液、空気、酸素又は他の気体状の物質の通過を遮断する)任意の種類の封止を含む。
【0082】
本体101としての使用に適した装置の例は、日本国名古屋市のNTKテクノロジーズから市販されている表面実装装置(SMD)製品ラインにおける装置を含む。他の例は、ドイツ国ランツフート(Landshut)のショット社(Schott AG)及び米国テネシー州チャタヌーガ(Chattanooga)のアドテックセラミック社(Adtech Ceramics Company)から入手可能である。
【0083】
幾つかの実施例では、本体101は高温同時焼成セラミックデバイスである。一般的に、同時焼成セラミックデバイスは、セラミック支持構造全体及び任意の導電性、抵抗性及び誘電性の材料がキルン内で同時に焼成された、単一体のセラミックマイクロ電子デバイスである。
【0084】
典型的には、同時焼成セラミックデバイスは、複数の層を独立して処理し、そして最終工程としてそれらを装置へ組み立てることにより作成される。共同焼成は、低温(LTCC)及び高温(HTCC)用途に分割されてもよい。すなわち、低温デバイスは摂氏1,000度未満(華氏1,830度)の焼結温度で製造され、一方、高温は摂氏約1,600度(華氏2,910度)である。LTCCと比較して、HTCCはより高抵抗の導電層を有する。
【0085】
HTCCパッケージは、一般的に、タングステン(W)及びモリマンガン(MoMn)金属被覆を有するアルミナ酸化物(Al2O3)の多層を含む。HTCCの利点は機械剛性及び気密性を含み、それらの両方が高信頼性及び環境上ストレスの多い用途において重要である。HTCC技術の他の利点は熱放散能力である。
【0086】
典型的なセラミックパッケージは、異なる用途をサポートする様々な純度及び成分であるアルミナセラミック(Al203)を使用する。典型的なセラミックパッケージは90-94パーセントのアルミナからなり、残余部分は、粒度を制御すると共にアルミナ同士を結合させるために、マグネシア(MgO)又はシリカ(Si02)のような、アルカリ土類ケイ酸塩又は他の接着材から構成されてもよい。
【0087】
本体101は、電力を蓄電セル105から外部接点121へ搬送する金属化層を有する、多層セラミックパッケージとして提供されてもよい。この金属化層は、高温同時焼成セラミクス(HTCC)の場合には、タングステン(W)又はモリマンガン(MoMn)から作成することができ、又は低温同時焼成セラミクス(LTCC)の場合には金(Au)又は銅(Cu)から作成できる。
【0088】
典型的には、メッキ処理は、酸化から金属化層を保護するために、金属化層に亘って行なわれる。LTCCにおいて使用される金(Au)メタライズ処理のような金属化処理が用いられる場合、追加のメッキは不要である。一般に、メッキ層はベースとしてニッケル(Ni)を含み、酸化保護のために金(Au)の薄い(0.3μm)層が後続する。代替のメッキ金属はチタン(Ti)及びパラジウム(Pd)を含む。メッキ金属の選択された組合せは、強く且つ信頼できるワイヤボンドの形成に関するものであってもよい。
【0089】
とりわけ、蓄電セル105が本体101(
図9)内に配置される場合、スタック201(すなわち、集電器2及びエネルギー貯蔵媒体1)の構成要素は、セパレーター材料の層によって本体101(及び/又は蓋102)から分離されてもよい。「分離されたスタック」と呼ばれるこの実施例は、蓄電セル105の短絡による潜在的な故障からの実質的な保護になる。幾つかの実施例では、分離されたスタックは、セパレーター材料から製造されたエンベロープのような電気絶縁性エンベロープ内に蓄電セル105を設けることにより達成される。一旦蓄電セル105が製造されたならば、本体101内へのその後の設置のために取っておかれてもよい。
【0090】
本体101は、所望の仕様(寸法、電気設計、環境上の制限条件等のような)に従って製造されてもよい。少なくとも1つのポケット又はウェルは、電気パッド110の周辺の領域にシーラントを閉じ込めるために、付加されてもよい。
【0091】
図10に示されるように、幾つかの実施例では、電気パッド110は各ウェル205内に配置される。ウェル205の各々は、底部111の上面内の凹みを表わす。一般的に、各ウェル205によって提供されるスペースは、各リード線(123、124)の一部を折り畳んで、それによりスタック201のために利用可能な容量を最大化するために使用されてもよい。尚、用語「ウェル」は、「凹設部」、「凹部」、「ポケット」及び他の同様の用語のような他の用語と交換可能に使用されてもよい。
【0092】
各電気パッド110は均質な材料でもよい。例えば、電気パッド110は、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、金(Au)又は他の導電材料のうちの1つでもよい。幾つかの実施例では、電気パッド110は任意のメッキ材料でメッキされる。メッキ層又は単にメッキ131は、例えば、金(Au)、ニッケル(Ni)又は銅(Cu)を含んでもよい。幾つかの更なる実施例では、電気パッド110は層化される。例えば、電気パッド110は、ニッケル(Ni)の上層と共に、タングステン(W)の下層を含んでいてもよい。ニッケル(Ni)の上層はさらに、金(Au)メッキ131を有する。
【0093】
一般的に、電気パッド110及び任意のメッキ131において使用される材料は、選択された電解液126での導電率と低リアクタンスとのバランスとして選択される。電解液の相互作用の制限は、本体101の適切な作成及びリード線(123、124)の接合によって、さらに達成される。少なくとも1つのシーラントが、そうした作成及び接合の一部として使用されてもよい。
【0094】
金(Au)、ニッケル(Ni)及びタングステン(W)は、特に電位差の下では、一般的な電解液が存在する状態で腐食する場合がある。メッキ又は金属化層の結果として生じる腐食は電解液の早期劣化及びチップキャップ100の溶接接合性能の低下を引き起こすであろう。従って、メッキ/金属化層間の電解液との接触を防止するために、非反応性のシーラントが使用されてもよい。ここで議論されるように、用語「非反応性」は、一般的に相対的な性能向上をもたらすと考えられる反応性のレベルを示すものを指す。
【0095】
電気パッド110の各々に対して、導電性リーダー210が電気パッド110に接合されてもよい。接合は、例えば、溶接によって行われてもよい。溶接は、レーザー溶接、超音波溶接又は抵抗溶接でもよい。他の幾つかの実施例では、導電性タブ210を電気パッド110に接合するために、導電性のエポキシが使用されてもよい。幾つかの実施例では、導電性リーダー210はアルミニウム(Al)から形成される。導電性リーダー210の構成は、例えば、それぞれの電極の位置及び本体101の構成によって変わりうる。
【0096】
一実施例では、導電性リーダー210は、電極スタック201のためのリード線(123、124)のうちの1つである。これらの実施例では、それは、電極スタック201を本体101に接合するために、溶接だけが要求されるようなものでもよい。別の実施例では、導電性リーダー210は、各リード線(123、124)及び電気パッド110から当初は離れている中間材である。そして、導電性リーダー210は、シーラントが適用された後に、各リード線(123、124)に接合される。
【0097】
導電性タブ210が一旦電気パッド110に接合されたならば、シーラントが、パッド110の周辺の領域及び導電性タブ210のまわりの領域上に流されてもよい。その後、シーラントは硬化される。硬化方法は、熱、紫外放射、水/酸素、蒸発の使用、又は適切なシーラント材料を硬化させるための他の技術によって行うことを含んでいてもよい。
【0098】
様々な実施例では、他のシーラント技術が使用されてもよい。例えば、幾つかの実施例では、シーラントの共形(コンフォーマル)層が、パッケージの所望の部分に配置されてもよい。一般的に、共形層は、いかなる不完全性にも対処し且つその透過性を制限するように本体101の輪郭に「適合する」薄膜を含む。共形層は、流動しやすい高粘度の構成部品として提供されてもよい。
【0099】
一般的に、内部電気パッド110を不動態化するために使用される任意のコンフォーマルコーティング方法に対しては、コンフォーマルコーティングが、必要に応じて、外部形体、シールリング及び他の適切な形体を被覆しないようにするために、注意が払われる。幾つかの実施例では、コンフォーマルコーティングのために選択された物質は、接合工程(溶接のような)を妨げない。
【0100】
一実施例では、コンフォーマルコーティングは高温熱可塑性ポリイミドを含む。高温熱可塑性ポリイミドは、水より僅かに高い粘性を示す、注射器を介して分配できる物質として提供されてもよい。結果として生じる物質の絶縁層は、約3-20μmの間の厚さで、セラミック、アルミニウム、金、シリコーン及び他の物質との強い結合を示す。幾つかの実施例では、高温熱可塑性ポリイミドは、該物質を導電性にするために、銀又は他の金属フレークを含んでもよい。一実施例では、高温熱可塑性ポリイミドは、摂氏約マイナス40度で貯蔵され、周囲温度で作動され、また摂氏約150度で約10分の硬化サイクルを受ける。硬化サイクルは、高温熱可塑性ポリイミドを結晶化させて大部分の余材(NMP及びH20)をガスの形態で放出させるであろう。約2分及び摂氏約250度の追加の加熱サイクルが、余材を除去するために行われてもよい。該処理により、高い絶縁特性及び非常に低い熱膨張を有するコンフォーマルコーティングが得られる。
【0101】
適切な物質の一例は、米国ニューヨーク州バッファローのマテリオン社(MATERION)から入手可能であり、ボンドフロー(BONDFLOW)として販売されている。ボンドフロー(BONDFLOW)は、RM1-メチル-2-ピロリドン(CAS 872-50-4)を含む。
【0102】
スタック201が一旦本体101内に配置されて、電気パッド110に電気的に接続されれば、電解液126が本体101内の残りの容量103に加えられる。
【0103】
幾つかの実施例では、電解液126は、イオン性液体、イオン性塩及び溶媒の組合せである。一般的には、イオン性液体及び溶媒は、混合物を達成するために混合される。その混合物は、溶媒の無い完全にイオン性液体でもよい。幾つかの実施例では、電解液は、約20パーセントのイオン性液体及び80パーセントの溶媒(容量で)である。部分範囲での混合物が、使用されてもよい。
【0104】
一般的に、イオン性塩は、電極によって与えられる表面積を考慮して効率を増大するために提供される、異なるカチオン及びアニオンサイズで、追加のイオン貯蔵源としてイオン性液体に加えられてもよい。イオン性塩は、約0Mから2M(モル濃度、又はモル塩/リットル溶液)までの範囲で、混合物に加えられてもよい。
【0105】
続いて、そこに設置された本体101及び蓄電セル105は、秤量され、そして適量の電解液で充填されてもよい。充填は、例えば、マイクロピペットの使用によって行ってもよい。一旦充填されと、本体101と蓄電セル105との組合せ体は、低圧環境(すなわち、真空の下の)に置かれてもよい。低圧は、蓄電セル105内への電解液126の移動を促進する。続いて、そのアセンブリは、電解液126の安定供給を保証するために、再び秤量されてもよい。組み立てられた本体101、蓄電セル105及び電解液のアセンブリが所望のパラメータ内である場合、該アセンブリは蓋102の溶接のために送られる。その後、蓋102が本体101に溶接されてもよい。溶接は、例えばシーム溶接機を使用して、不活性環境において遂行されてもよい。
【0106】
様々な実施例では、蓄電セル105を収納している容量103内で不要な不純物を回避するために、注意が払われる。幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵セルを含んでいるハウジング本体の空胴内では、ハロゲン化物イオンの総濃度は、約1,000ppm、500ppm、200ppm、100ppm以下に保持される。幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵セルを含んでいるハウジング本体の空胴内では、金属種不純物は、約1,000ppm、500ppm、200ppm、100ppm以下に保持される。幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵セルを含んでいるハウジング本体の空胴内では、ブロモエタン、塩化エチル、1-ブロモブタン、1-クロロブタン、1-メチルイミダゾール、酢酸エチル、及び塩化メチレン、の不純物は、約1,000ppm、500ppm、200ppm、100ppm以下に保持される。幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵セルを含んでいるハウジング本体の空胴内では、水分は、約1,000ppm、500ppm、200ppm、100ppm、50ppm、10ppm以下に保持される。幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵セルを含んでいるハウジング本体の空胴内では、ハロゲン化物不純物は、約1,000ppm、500ppm、200ppm、100ppm、50ppm、10ppm以下に保持される。
【0107】
様々な実施例では、電解液は、その内容全体が参照によってここに組み込まれる、2015年11月26日に公表された国際出願公開第WO2015102716A8号及び2016年12月22日に公表された国際出願公開第WO/2016204820A2に記載された何れの種類のものでもよい。例えば、幾つかの実施例では、電解液は、前述の文献に記載されている種類のゲル又は固体電解質を含んでもよい。
【0108】
図11は、
図9のアセンブリのトップダウン図を提供する。
図11において、蓄電セル105及び本体101は、仮想軸線-Aによって二分される。
図12は、仮想軸線-Aに沿った、蓄電セル105及び本体101の一部を切り取った描写である。
【0109】
図12に示されるように、蓄電セル105は多層を含む。多層から突き出しているのは、複数の導電性タブ602である。この断面には、複数の導電性タブ602が、総体として負極リード123を提供するために集められている。組み立て中に、負極リード123は適切な形状に形成されて電気パッド110の各々1つに接合され、また同一の処理が正極リード124に対しても行われる(この横断面図においては示されていない)。続いて、本体101は、チップキャップ100に適した電解液126の実施例で満たされる。電解液126はリード線(123、124)及び蓄電セル105の内容物を湿らせる。
【0110】
幾つかの実施例では、エネルギー貯蔵セル105は、キャパシタの正極電極及び負極電極上に等しい質量の活性物質が設けられた、対称的なEDLCでもよい。しかしながら、電極及び電解液が完全には利用されないかもしれないため、等しい電極質量を有していることは、電解液内のアニオン及びカチオンのサイズが異なる場合に、EDLCが可能な最大比静電容量を有することを防止しうる。幾つかの実施例では、この問題は、イオンのサイズに応じて電極質量を調節すること、例えば、EDLCの比静電容量を増大することにより質量を釣り合わせることによって解決することができる。幾つかの実施例では、スタック201は、改善された質量の釣り合いを提供するために、不等数の正極層及び負極層を含んでいてもよい。
【0111】
結果として生じるチップキャップ100は、典型的には競合的な装置を破壊する製造プロセスに対して堅牢である。そのような製造プロセスの一例は「リフロー」のそれである。リフロー処理では、構成部品は、はんだの流れを生じさせるのに十分な温度に加熱される。一般的に、電子部品の効率的な大量生産は、リフロー工程の使用を必要とする。更に、コンパクト設計は、構成部品によって使用されるスペースを制限するために表面実装装置をしばしば利用しており、また同様にリフロー処理に頼っている。
【0112】
一実施例では、チップキャップ100は、推奨はんだリフロープロフィールに従ってプリント回路基板に実装される。時間対温度のグラフ図が
図13に提供される。
図13の例では、温度が毎秒摂氏三(3)度で予熱段階(「ソーク」と呼ばれる)まで増大される。予熱段階では、チップキャップ100は、摂氏約150度から摂氏約160度までの間の温度で約100秒間維持される。その後、温度は毎秒摂氏三(3)度でリフロー温度(「リフロー」と呼ばれる)まで増大される。摂氏約260度でリフロー温度に到達しうる。一般的に、摂氏200度以上の時間は、約60秒未満であるべきであり、その後、実装されたチップキャップ100は摂氏約6度以下の割合で冷却される。
【0113】
幾つかの実施例では、チップキャップ100は、1、2、3、4回又はそれ以上のリフローサイクル処理に応じて10%、5%、2.5%又はそれ以下のキャパシタンスの劣化を示しうる。幾つかの実施例では、チップキャップ100は、1、2、3、4回又はそれ以上のリフローサイクル処理に応じて10%、5%、2.5%又はそれ以下のESR増加を示しうる。幾つかの実施例では、リフロー処理は、有利にもキャパシタンスを増大させ、及び/又は、チップキャップのESRを減少させて、デバイスのシーズニング処理として本質的に動作してもよい。
【0114】
チップキャップ100の評価は優れた性能を実証した。評価のための幾らかの背景を提供するために、幾つかの用語について紹介する。
【0115】
電気回路理論は、各々が回路に単に抵抗、キャパシタンス又はインダクタンスを与えると仮定された、理想抵抗器、キャパシタ及びインダクタを扱う。しかしながら、全ての構成部品は、これらのパラメータの各々の非零値を有している。特に、全ての物理的なデバイスは有限の電気抵抗を有する物質から構成され、その結果、物理的構成部品は、その他の特性に加えて、いくらかの抵抗を有する。ESRの物理的原因は問題のデバイスに依存する。
【0116】
固体電解質を有する非電解コンデンサ及び電解コンデンサでは、リード線及び電極の金属抵抗及び誘電体の損失が、ESRを引き起こす。セラミックコンデンサ用のESRの典型的な見積値は、0.01~0.1オームである。非電解コンデンサのESRは、かなり経時的に安定している傾向がある、すなわち、殆どの目的に対して、実際の非電解コンデンサは理想的な構成部品として扱うことができる。
【0117】
非固体電解質を有するアルミニウム及びタンタル電解コンデンサは、数オームまで、非常に高いESR値を有する。より高いキャパシタンスの先行技術の電解コンデンサは、より低いESRを有する。ESRは、キャパシタの自己共振周波数まで周波数とともに減少する。特にアルミニウム電解質での重大な問題は、ESRが使用とともに経時的に増大するということである。測定されたキャパシタンスが許容誤差範囲内に留まっていても、ESRは回路故障及び構成部品の破損をさえ引き起こすのに十分な程に増大する場合がある。これは正常なエージングで起こっているものの、高温及び大きなリプル電流はその問題を悪化させる。著しいリプル電流を有する回路では、ESRの増加が熱放散を増大させ、それによりエージングを加速するであろう。
【0118】
高温運転に対して評価され且つ基本的な消費者等級部品より高品質な電解コンデンサは、ESR増加により早期に使用不可能にはなりにくい。安価な電解コンデンサは、85°Cで1000時間未満の寿命と評価されうる。より高い等級の部品は、典型的には、最大の定格温度で数千時間で評価される。ESRが重要な場合には、より高い温度定格、「低ESR」又は別に必要とされるより大きなキャパシタンスを有する一部の仕様は有利でありうる。
【0119】
ここでの種類のチップキャップは、厳しい条件の下で優れた性能を実証した。幾つかの実施例では、チップキャップは、少なくとも、2.0V、2.1V、2.2V 2.3V、2.4V、2.5V、3.0V、又はそれ以上の動作電圧を有しうる。幾つかの実施例では、チップキャップは、少なくとも、300mF、400mF、450mF、500mF又はそれ以上のキャパシタンスを有しうる。幾つかの実施例では、チップキャップは、少なくとも、4.0J/cc、4.5J/cc、5.0J/cc、5.1J/cc、又はそれ以上のエネルギー密度を有しうる。幾つかの実施例では、チップキャップは、少なくとも15W/cc、少なくとも20W/cc、少なくとも22W/cc、又はそれ以上のピークパワー密度を有しうる。幾つかの実施例では、本装置は、500mΩ以下の等価直列抵抗、400mΩ以下の等価直列抵抗、300mΩ以下の等価直列抵抗を有しうる。幾つかの実施例では、本装置は、少なくとも、65°C、75°C、85°C、100°C、125°C、150°C、又はそれ以上の動作温度定格を有しうる。一般的に、前述の性能パラメータは単一のエネルギー貯蔵セルを収納しているチップキャップを使用して達成されうる。拡張性能(例えば、高電圧動作)は、複数のチップキャップ及び/又は複数のエネルギー貯蔵セルを組み込んだチップキャップを使用することにより達成されうる。
【0120】
酷使試験では、ここに記述された種類のチップキャップは、少なくとも30%未満のキャパシタンス劣化及び100%未満の等価直列抵抗増加を示しつつ、少なくとも2.0V又は2.1V又はそれ以上(例えば、2.5V、3.0V又はそれ以上)の動作電圧及び65°C, 85°C, 100°C又はそれ以上の動作温度で、少なくとも1,000、少なくとも1,500、少なくとも2,000時間、又はそれ以上の動作寿命を実証しうる。幾つかの実施例では、前述の動作寿命は、少なくとも100°C、200°C、300°C、又はそれ以上のピーク温度で、少なくとも30秒、60秒、120秒、180秒、240秒、360秒、又はそれ以上の、少なくとも1、2、3、4、5、6、又はそれ以上の回数の温度サイクルを有するリフロー処理を使用して、本装置をプリント回路基板にはんだ付けした後に、実証されうる。有利には、前述の酷使試験性能のレベルは、非酷使条件の下で2,000時間を遙かに超える動作寿命に相当すると予想される。例えば、幾つかの代表的な応用例(例えば、企業のコンピュータ環境内のソリッドステートドライブのための維持電力を提供すること)において、チップキャップは、何千、何万、何十万、又は何百万回もの充放電サイクルを必要とする条件の下でさえ、5,000時間、7,500時間、10,000時間、12,500時間、又はそれ以上の動作寿命を有しうる。
【0121】
図14~16は、チップキャップ100の実施例に対する性能の態様を表している。
図14は、85°Cで作動する試料チップキャップ用のESR性能データを表す。グラフに示されるように、該温度で3800時間に対して、チップキャップ性能のESR劣化は98パーセントである。比較データは
図15に提供され、それは先行技術デバイスに対する実質的により大きなESR劣化を示している。チップキャップ用の追加の性能データは
図16に提供される。
図16において、85°Cのキャパシタンス劣化データは、3800時間の試験後に、初期セル性能の72%だけである。
【0122】
図17A~17Bは、チップキャップ100の実施例に対する性能の態様を表す。
図17Aは、2.1Vの電圧で85°Cで作動する試料チップキャップ用のESR性能データを表す。グラフに示されるように、該温度及び電圧で2,500時間に対して、チップキャップ性能のESR劣化は40パーセント未満である。チップキャップ用の追加の性能データは
図17Bに提供される。
図17Bにおいて、2.1Vの電圧で85°Cでのキャパシタンス劣化データは、2,500時間の試験後に、初期セル性能の14%未満である。尚、はんだリフロー処理をチップキャップに成功裡に行った後に、試験が行われた。
【0123】
図18A~18Bは、チップキャップ100の実施例に対する性能の態様を表す。
図18Aは、2.1Vの電圧で100°Cで作動する試料チップキャップ用のESR性能データを表す。グラフに示されるように、該温度及び電圧で1,500時間に対して、チップキャップ性能のESR劣化は65パーセント未満である。チップキャップ用の追加の性能データは
図18Bに提供される。
図18Bにおいて、2.1Vの電圧で100°Cでのキャパシタンス劣化データは、1,500時間の試験後に、初期セル性能の14%未満である。尚、はんだリフロー処理をチップキャップに成功裡に行った後に、試験が行われた。
【0124】
図19に言及すると、チップキャップ100を利用しうるコンピューティング装置500の例が示される。コンピューティング装置500は、パーソナルコンピュータ(PC)501、ラップトップ502、タブレット503、モバイルデバイス(スマートフォンのようなもの)及びサーバー505のいずれか1つでもよい。他の種類のコンピューティング装置が含まれていてもよい。例は、産業用システム、住宅用システム(電化製品、ホームエレクトロニクス等)だけでなく自動車システム用のコントローラーを含む。要するに、チップキャップ100を利用するコンピューティング装置は、基板レベル電力が求められる、あらゆる電子デバイス(例えば、企業コンピューティングにおいて使用されるソリッドステートドライブ)を含みうる。幾つかの実施例では、例えば、チップが100°C、125°C、150°C又はそれ以上の動作温度定格を有する場合、チップキャップは、石油及びガスの採掘及び生産の分野において知られている極端なダウンホール条件で使用されてもよい。
【0125】
示された図においては、チップキャップ100は、コンピューターメモリ501へ電力を供給するために使用される。記憶装置510は如何なる種類のメモリでもよい。チップキャップ100からの電力を変換するのに適したパワーコンバータ及びコントローラーは、そのようなデバイスが当該技術分野において知られているので、ここには示されない。
【0126】
図20に言及すると、ここに開示された種類のチップキャップを組み立てるための処理フローが示されている。ステップ2001では、電極ロールが提供される。電極ロールは、金属箔集電器の対向面に炭素質エネルギー貯蔵媒体を有する両面電極ロールでもよい。ステップ2002では、炭素質エネルギー貯蔵媒体の一部は、集電器の細長片を露出するために、(例えば擦過によって)除去される。ステップ2003では、上記ロールの露出部分から形成される導電性タブと共に、左手系及び右手系電極層は該ロールから打ち抜かれ又は切り出される。ステップ2004では、ここに詳細に記載された種類のスタックを形成するために、打ち抜かれた電極層はセパレーターに組み付けられる。ステップ2005では、いかなる余分なセパレーターもカットされ、またスタックは導電性タブが該スタックから延びるように固定される。ステップ2006では、電極スタックは水分を除去するために真空乾燥される。ステップ2007では、スタックはそれぞれのパッケージの開いた本体内へ移動される。ステップ2008では、ここに詳述されるように、スタックからパッケージ内の接触パッドまでが電気的に接続される。ステップ2009では、スタックはパッケージ内に配置される。ステップ2010では、電解液がスタックの電極層を湿らせるために分配される。ステップ2011では、蓋がパッケージに載せられる。ステップ2012では、蓋は気密封止を形成するためにパッケージに溶接される。ステップ2013では、完成したチップキャップは目視検査及び電気的試験を受ける。ステップ2014では、チップキャップは、例えば、当該技術分野においてよく知られているピックアンドプレース設置技術に適したフォーマットでパッケージをテーピングして巻き取ることによって、パッケージ化される。
【0127】
一般的に、ここで使用されている用語「メモリ」は、コンピュータでの即時使用のための情報を貯蔵するコンピューターハードウェア集積回路を指し、また、用語「一次的記憶装置」と同義である。コンピューターメモリは高速で動作し、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)であり、低速アクセス情報を提供するが高い容量を提供する記憶装置から区別されるものである。
【0128】
用語「記憶装置」、「一次記憶装置」、「メインメモリ」、「システムメモリ」及び他の同様の用語は、アドレス可能な半導体メモリ、すなわち、例えば一次記憶装置として使用されるばかりでなくコンピュータ及び他のデジタル電子デバイスにおいて他の目的でも使用されるシリコン系トランジスタを含む集積回路に、しばしば関連付けられる。揮発性及び不揮発性である2つの主要な種類の半導体メモリがある。不揮発性メモリの例は、フラッシュメモリ(二次記憶装置として使用される)及びROM、PROM、EPROM及びEEPROMメモリ(BIOSのようなファームウェアを記憶するために使用される)である。揮発性メモリの例は、典型的にはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)である一次記憶装置と、典型的には高速であるがエネルギーを消費してDRAMより低い記憶領域密度を提供するスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)である高速なCPUキャッシュメモリとである。
【0129】
揮発性メモリは、記憶させた情報を維持するために電力を必要とするコンピューターメモリである。殆どの現代の半導体揮発性メモリは、スタティックRAM(SRAM)又はダイナミックRAM(DRAM)のいずれかである。電源が接続されている限り、SRAMはその内容を保持する。ダイナミックRAMはインターフェース及び制御のためにはより複雑であり、その内容を失うことを防止するために規則的なリフレッシュサイクルを必要とする。
【0130】
不揮発性メモリは、給電されなかった時でさえ、記憶させた情報を保持することができるコンピューターメモリである。不揮発性メモリの例は、リードオンリーメモリ(ROMを参照)、フラッシュメモリ、殆どの種類の磁気コンピュータ記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスク及び磁気テープ)、光ディスク、及び紙テープや穿孔カードのような初期のコンピュータ記憶方法を含む。近い将来の不揮発性メモリ技術は、FeRAM、CBRAM、PRAM、STT-RAM、SONOS、RRAM(登録商標)、レーストラックメモリ、NRAM、スリーディークロスポイント及びミリピードメモリを含む。
【0131】
三番目のカテゴリーの記憶装置は「半揮発性」である。用語「半揮発性」は、電源切断後の或る限定された不揮発性の持続時間を有するがその後データが最終的に失われるメモリを一般的に示す。半揮発性メモリを使用する場合の典型的なゴールは、真の不揮発性メモリの幾つかの利点を提供しながら、揮発性メモリに関連した高性能/耐久性/等々を提供することである。
【0132】
ソリッドステートドライブ(SSD)は、データを永続的に保存するためのメモリとして集積回路アセンブリを使用するソリッドステート記憶デバイスである。SSDは移動する機械部品を有していない。これは、回転するディスク及び移動可能な読取り/書込みへッドを含むハードディスクドライブ(HDD)又はフロッピーディスクのような従来の電気機械駆動装置からSSDを区別する。電気機械駆動装置と比較して、SSDは、典型的には、物理的なショックにより強く、静かに動作し、より速いアクセスタイム及びより低いレイテンシーを有している。
【0133】
2017時点で、殆どのSSDは、電源喪失時にもデータを保持する一種の不揮発性メモリであるNAND系フラッシュメモリを使用する。電源喪失後に高速アクセスを必要とするが必ずしもデータの永続性を必要としない用途に対しては、SSDはランダムアクセスメモリ(RAM)から構成されてもよい。そのようなデバイスは、外部電源の喪失後の或る期間の間データを保持するために、統合電源としてバッテリーを用いてもよい。
【0134】
しかしながら、全てのSSDはまだデータを電荷に保存しており、それは、もし電力の無い状態のままにされれば、時間の経過と共にゆっくり漏れる。これは、(耐久定格を超過した)記憶装置を疲弊させて、典型的には記憶装置内のデータをいつしか失わせる始める。従って、現在のSSDはアーカイブの目的に適していない。
【0135】
従って、SSDの性能は、改善された電源の付加で実質的に改善される得る。多くのSSDが、揮発性メモリを不揮発性メモリに書き込むためにDRAMモジュールにバックアップ電力を提供するためにキャパシタを使用する。あいにく、利用可能なキャパシタは大きくて、低機能を示す。
【0136】
要するに、SSD環境は、ウルトラキャパシタ技術だけでなく全ての容量性エネルギー貯蔵に対してユニークな難題を提示する。容量性記憶装置は、揮発性メモリ(SRAM/DRAM)に保存されたデータを不揮発性メモリ(NAND、FLASH(登録商標))内へ転送するための内蔵電気エネルギーバックアップとして使用される。その動作は、電力系統の事故の場合にもデータが失われないことを保証する上で、重要である。コンピューティング記憶装置はほとんど全ての商業部門にとってさらに重要になっていくので、きわめて信頼できるメモリバックアップの解決策の必要性は最優先事項である。
【0137】
このように、電気回路に電力を供給するためのエネルギー蓄積装置の実施例について紹介したので、幾つかの追加の態様がここで提示される。
【0138】
ここでの教示の態様を提供するために、様々な他の構成要素が含まれ、また必要とされうる。例えば、追加の物質、物質の組合せ及び/又は物質の省略はここでの教示の範囲内において追加の実施例を提供するために使用されてもよい。
【0139】
ここでの教示の様々な変更が行われてもよい。一般的に、変更は、ユーザー、デザイナー、製造業者又は他の同様の利害関係者の必要に応じて設計されてもよい。その変更は、その当事者によって重要であると考えられる性能の特定の基準を満たすように意図されてもよい。
【0140】
添付された請求項又は請求項の要素は、語「ための手段」又は「ためのステップ」が特定の請求項において明示的に使用されていなければ、35U.S.C.§112(f)を発動するように解釈すべきではない。
【0141】
本発明又はその実施例の要素を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」はその要素の1つ以上があることを意味するように意図される。同様に、形容詞「another」は、要素を紹介するために使用された時、1つ以上の要素を意味するように意図される。用語「including」及び「having」は、記載された要素以外の追加要素があるかもしれないように包括的になるように意図される。用語「例示的な」は、最上の例を意味するようには意図されない。寧ろ、「exemplary」は多くの可能な実施例のうちの1つである実施例を指している。
【0142】
本発明は例示的な実施例を参照して記載されたが、当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことが可能であり、また諸構成要素を均等物で代替し得ることが、理解されよう。また、多くの改変が、本質的な範囲から逸脱することなく、特定の機器、状況又は物質を本発明の教示に適応させるために為されることが、当業者には理解されよう。従って、本発明は、この発明を実施するために考案された最良の形態として開示された特定の実施例に限定されず、添付の請求の範囲に属する全ての実施例を包含するものとする。