(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】混練機のための2条スクリュシャフト
(51)【国際特許分類】
B01F 27/1144 20220101AFI20231002BHJP
B29B 7/42 20060101ALI20231002BHJP
B29B 7/48 20060101ALI20231002BHJP
B29C 48/40 20190101ALI20231002BHJP
B29C 48/395 20190101ALI20231002BHJP
B01F 27/724 20220101ALI20231002BHJP
【FI】
B01F27/1144
B29B7/42
B29B7/48
B29C48/40
B29C48/395
B01F27/724
(21)【出願番号】P 2020521593
(86)(22)【出願日】2018-10-02
(86)【国際出願番号】 EP2018076880
(87)【国際公開番号】W WO2019076631
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-09-30
(32)【優先日】2017-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507040264
【氏名又は名称】ブス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】シェッツァウ, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター, ヴォルフガング
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-079048(JP,A)
【文献】米国特許第03938783(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第00140846(EP,A1)
【文献】米国特許第06547431(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0284236(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/00 - 27/96
B29B 7/00 - 7/94
B29C 48/00 - 48/96
B65G 33/00 - 33/38
B01J 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混練機(100)のためのウォームシャフト(12)であって、
円形の断面を有するシャフトバー(20)を有しており、前記ウォームシャフト(12)は、軸方向に延びて互いに結合されている一つ又は複数の部分からなり、前記シャフトバー(20)の周面上に、前記シャフトバー(20)の周面から外向きに延びるブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)が、互いに間隔を空けて位置するように配置され、前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)は、前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる少なくとも一つの部分において、前記シャフトバー(20)の周面上に、前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる2つの列(40、40’)にて配置され、前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる前記部分は、前記2つの列にて配置されたブレード要素を除いて、さらなるブレード要素を備えず、前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)が前記シャフトバー(20)の周面上に前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる2つの列(40、40’)にて配置されている、前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる前記部分は、前記ウォームシャフト(12)の長さのうちの少なくとも0.2Dであり、Dは前記ウォームシャフト(12)の直径である、ウォームシャフト(12)。
【請求項2】
前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)は、前記シャフトバー(20)の周面から半径方向外向きに延びている、ことを特徴とする請求項1に記載のウォームシャフト(12)。
【請求項3】
前記2つの列(40、40’)の前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)は、前記シャフトバー(20)の断面において見たときに、前記シャフトバー(20)の周面上に互いに対向して配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のウォームシャフト(12)。
【請求項4】
前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる前記少なくとも一つの部分の前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の各々は、前記ウォームシャフト(12)の軸方向に対して45°~135°の角度で延びる長手方向の延在Lを有する、ことを特徴とする請求項1に記載のウォームシャフト(12)。
【請求項5】
前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる前記少なくとも一つの部分の前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の各々は、上面図において楕円形、長円形、または両凸の外周面を有しており、前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の各々が外周面の上述の形態を有している前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる前記部分は、前記ウォームシャフト(12)の長さのうちの少なくとも0.2Dである、ことを特徴とする請求項1に記載のウォームシャフト(12)。
【請求項6】
前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の各々は、同じ楕円形、長円形、または両凸の外周面を有する、ことを特徴とする請求項5に記載のウォームシャフト(12)。
【請求項7】
前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の各々は、幅Bに対する長さLの比が3~11である両凸の外周面を有し、長さLは、前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の外周面の最長の直線の延在であり、幅Bは、前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の長さLに対して垂直に延びる前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の外周面の最長の直線の延在である、ことを特徴とする請求項5に記載のウォームシャフト(12)。
【請求項8】
各々のブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の側面(42)が、前記シャフトバー(20)の周方向から前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の外周面(22、22’、22’’、22’’’)へと、垂直に上方へと延びており、あるいは前記シャフトバー(20)の断面の平面に対して1°~60°の角度αで延びている、ことを特徴とする請求項5に記載のウォームシャフト(12)。
【請求項9】
ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の幅Bに対する列(40、40’)の2つの隣り合うブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の軸方向の間隔Aの比が、0.5~5であり、幅Bは、前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の長さLに対して垂直に延びる前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の外周面の最長の直線の延在であり、2つの軸方向に隣り合うブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の軸方向の間隔Aは、前記隣り合うブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の外周面の中心点Mの間の距離であり、ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の中心点Mは、前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の外周面の最長の直線の延在Lの中央に位置する地点である、ことを特徴とする請求項1に記載のウォームシャフト(12)。
【請求項10】
前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる前記少なくとも一つの部分の前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の各々は、前記シャフトバー(20)の断面において見たときに、前記シャフトバー(20)の周面の少なくとも160°の角度距離にわたって延びており、前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の各々が前記シャフトバー(20)の周面の上述の角度距離にわたって延びている前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる前記部分は、前記ウォームシャフト(12)の長さのうちの少なくとも0.2Dである、ことを特徴とする請求項1に記載のウォームシャフト(12)。
【請求項11】
前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる前記少なくとも一つの部分の前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の各々は、前記シャフトバー(20)の断面において見たときに、前記シャフトバー(20)の周面の20°~160°の角度距離にわたって延びており、前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の各々が前記シャフトバー(20)の周面の上述の角度距離にわたって延びている前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる前記部分は、前記ウォームシャフト(12)の長さのうちの少なくとも0.5Dである、ことを特徴とする請求項1に記載のウォームシャフト(12)。
【請求項12】
前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる前記少なくとも一つの部分の前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の各々は、前記シャフトバー(20)の断面において見たときに、前記シャフトバー(20)の周面の同じ角度距離にわたって延びており、前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)の各々が前記シャフトバー(20)の周面の同じ角度距離にわたって延びている前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる前記部分は、前記ウォームシャフト(12)の長さのうちの少なくとも0.2Dである、ことを特徴とする請求項1に記載のウォームシャフト(12)。
【請求項13】
円形の断面を有するシャフトバー(20)を有しているウォームシャフト(12)の部分であって、
一つ又は複数の前記部分は、軸方向に延びて互いに結合して前記ウォームシャフト(12)を形成し、
前記シャフトバー(20)の周面上に、前記シャフトバー(20)の周面から外向きに延びるブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)が、互いに間隔を空けて位置するように配置され、
前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)は、前記シャフトバー(20)の周面の少なくとも一つの部分にわたって前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる2つの列(40、40’)にて前記シャフトバー(20)上に配置され、前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる前記部分は、前記2つの列にて配置されたブレード要素を除いて、さらなるブレード要素を備えず、前記ブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)が前記シャフトバー(20)の周面上に前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる2つの列(40、40’)にて配置されている、前記ウォームシャフト(12)の軸方向に延びる前記部分は、前記ウォームシャフト(12)の長さのうちの少なくとも0.2Dであり、Dは前記ウォームシャフト(12)の直径であり、各々の列(40、40’)は、互いに軸方向に間隔を空けて位置するように配置された1つ、2つ、3つ、または4つのブレード要素(22、22’、22’’、22’’’)を備える、部分。
【請求項14】
連続処理用の混練機(100)のハウジング(10)であって、
前記ハウジング(10)内に、少なくともいくつかの部分
で請求項1~12のいずれか一項に記載のウォームシャフト(12)あるいは請求項13に記載のウォームシャフト(12)の
1つ又は複数の部分が軸方向に延びる、中空な内部(18)が設計され、前記ハウジング(10)内に、前記ハウジング(10)の前記中空な内部(18)において前記ハウジング(10)の内周面へと延びるいくつかの混練要素(24)が設けられ、前記混練要素(24)は、前記ハウジング(10)の内周面の少なくとも一つの部分にわたって軸方向に延びる少なくとも2つの列にて配置されている、ハウジング(10)。
【請求項15】
ポリマー顆粒、ポリマー押出プロファイル、またはポリマー成形部品の製造のための連続処理用の混練機(100)であって、
請求項14に記載のハウジングを備える、混練機(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特には連続処理用の混練機のためのウォームシャフト、対応するウォームシャフト部分、ウォームシャフトまたはウォームシャフト部分を含むハウジング、ならびにハウジングを備える連続処理用の混練機に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のウォームシャフトを備えた混練機は、特には打ち延ばし可能かつ/またはペースト状の塊の調製に使用される。例えば、それらは、粘塑性の塊の調製、プラスチックやゴムなどの均質化および可塑化、充てん材および補強材の導入、ならびに食品業界用の原材料の製造に使用される。これにより、ウォームシャフトは、処理対象の材料を軸方向に前方へと輸送または搬送することによって材料の成分を混ぜ合わせる作動要素を形成する。
【0003】
上述の混練機は、ポリマー顆粒、ポリマー押出プロファイル、ポリマー成形部品、などの製造に特に適している。これにより、混練機において、均質なポリマー溶融物が生成され、例えばデリバリ装置へと搬送され、デリバリ装置から造粒装置、シャフト、コンベヤベルト、などへと搬送される。
【0004】
上述の混練機は、例えばスイス特許出願公開第278 575号明細書およびスイス特許出願公開第464 656号明細書から知られている。
【0005】
これらの混練機において、ウォームシャフトは、好ましくは回転運動を行うだけでなく、同時に軸方向、すなわちウォームシャフトの長手方向にも、並進運動にて行き来する。したがって、運動シーケンスは、好ましくは、ウォームシャフトが、軸方向について見たときに、回転に重畳される振動運動を実行することを特徴とする。この運動シーケンスにより、フィッティング、すなわち混練ボルトまたは混練コグなどの混練要素を、混練機のハウジングへと導入することが可能になる。混練要素の存在により、シャフトバーと呼ばれるメインシャフト上に配置されるウォームは、シャフトバーの断面について見たとき、連続的には延びておらず、むしろシャフトバーの断面の外周の計算された角度部分についてそれぞれ延びる多数の個別のブレード要素へと分割される。シャフトバーの軸方向および外周方向の両方において、隣り合うブレード要素は互いに離れており、すなわちシャフトバーの軸方向および外周方向の両方において、隣り合うブレード要素の間にギャップがそれぞれ設けられている。例えば、ウォームシャフトのシャフトバーの全体またはウォームシャフトのシャフトバーの軸方向における一部分が、シャフトバーの断面について見たときに、例えばシャフトバーの断面の全周のうちの100°の角度部分にわたってそれぞれ延びる3つのブレード要素を備える場合、これは、3ブレードのウォームシャフトと称され、あるいはこのブレード要素の配置がシャフトバーの軸方向の長さの全体には及ばず、軸方向の長さの一部分だけに限られる場合には、3ブレードのウォームシャフト部分と称される。回転および軸方向のウォームシャフトの並進運動は、混練要素をブレード要素に衝突させることなく、混練される材料を濃縮し、混合および/または混練のプロセスを促進するために材料へとせん断作用を加えるために、回転および並進運動の最中に個々のブレード要素の側面が対応する混練要素に接近するように制御される。さらに、ウォームシャフトの回転および並進運動の最中にブレード要素の側面に接近するがゆえに、混練要素は、ブレード要素の側面に形成される混合物の成分の堆積を防止し、したがって混練要素はブレード要素の清掃も結果として達成する。ブレード要素の数および形状は、当然ながら、混練要素の数に適合させる必要がある。通常は、個々の混練要素は、軸方向に間隔を空けて位置する混練要素のいくつかの列にて、混練機のハウジングの内周面に軸方向に配置され、これらの列は、ブレード要素の形状および数に調和して、ハウジングの内周面の軸方向における少なくとも1つの部分について延びている。例えば、軸方向に延びる4列の混練要素がハウジングの内周面に配置される場合、ウォームシャフトは、断面について見たとき、例えば4つのブレード要素を外周面に有することができ、ブレード要素間には、ウォームシャフトの回転および軸方向運動の際に混練要素がこれらのすき間を通って移動できるように、充分に大きな距離がそれぞれ設けられる。
【0006】
上述の混練機は、多くの場合、軸方向においてさまざまなプロセス部分に分けられ、各々のプロセス部分は、動作時にそのプロセス部分に割り当てられるタスクに応じて、対応する数または形状のブレード要素および混練要素で占められている。例えば、混合すべき材料に応じて、混練機は、軸方向に、混合または混練される成分が混練機へと導入される上流端に位置する送り込み部分と、送り込み部分の下流に接続され、成分を溶融させる溶融部分と、材料の成分の凝集体を砕いて互いに可能な限り均一に混合する混合および分散部分と、混合物の脱気が生じる脱気部分とを備える。個々のプロセス部分の条件を、種々のプロセス部分の要件に合わせて調整するために、混練機の個々のプロセス部分に、他の部分とは異なる数の混練要素およびそれに適合した他のブレード要素を設けることが、すでに提案されている。例えば、混練機のウォームシャフトを、いくつかの部分において3つのブレードを有し、いくつかの部分において4つのブレードを有するように構成し、これに応じて、混練機のハウジング内壁の対応するプロセス部分に3列または4列の混練要素を備えることが知られている。これを、ハウジングをいくつかのハウジングシェルに分割し、そのいくつかに3列の混練要素を持たせ、他のいくつかに4列の混練要素を持たせることで実現することができる。
【0007】
しかしながら、例えば、3ブレードのウォームシャフト、4ブレードのウォームシャフト、またはいくつかの部分において3ブレードであり、いくつかの部分において4ブレードであるように設計されたウォームシャフトを備える上述の形式のこれまでに知られた混練機は、ウォームシャフトの搬送方向に搬送される材料の効果的な可塑化を保証するために、1つ以上のいわゆる保持リングが必要であるという欠点を有する。これは、いわゆる保持リングがないと、可塑化が困難な材料の場合に、可塑化されていない材料が混練機を通過してしまう可能性があるからである。保持リングは、ハウジングの内周面上の正弦波状の突起であり、ハウジングの内壁によって形成される中空の内部のいくつかの部分に狭窄部をもたらす。結果として、保持リングは、小さな軸方向部分においてハウジングの内周面から中空の内部へと半径方向に延びるシケインであり、材料がシケインを通過できるように充分に可塑化されるまでの適切なバックログを中空の内部に設定する。しかしながら、保持リングの位置にブレード要素および混練要素を配置することは、これらが衝突しかねないがゆえに不可能であり、結果として、これらの位置において堆積物が集まりやすく、これを混練機から取り除くことは、自動清掃の欠如ゆえに困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】スイス特許出願公開第278 575号明細書
【文献】スイス特許出願公開第464 656号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この理由で、本発明の目的は、上述の欠点を克服し、混練機のハウジングにおいて摩耗しやすい保持リングの必要性を回避できるようにする混練機用のウォームシャフトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、特には連続処理用の混練機のためのウォームシャフトであって、シャフトバーを有しており、シャフトバーの周面上に、シャフトバーの周面から外向きに延びるブレード要素が、互いに間隔を空けて位置するように配置され、これらのブレード要素は、ウォームシャフトの軸方向に延びる少なくとも一部分において、シャフトバーの周面上に、ウォームシャフトの軸方向に延びる2つの列にて配置されている、ウォームシャフトによって達成される。
【0011】
この解決策は、ウォームシャフトを少なくともいくつかの部分において保持リングの代わりに2ブレードとなるように設計した場合に、ブレード要素の耐摩耗性およびウォームシャフトの直径に対して単位時間当たりに長手方向に搬送できる混合物の量の両方を、向上させることができるという認識に基づく。これは、2ブレードのウォームシャフト部分では、混練機のストロークによって前方への輸送が達成されるのに対し、保持リングはバックログを常に発生させ、すなわち搬送効果が実質的にゼロであるからである。ブレード要素の幅ゆえに、ブレード要素は、保持リングあるいは3ブレードまたは4ブレードのウォームシャフト部分のブレード要素よりも摩耗しにくい。最後に、関連のブレード要素の設計を有する2ブレードのウォームシャフト部分は、対応する設計のブレード要素がハウジングに取り付けられた混練要素と協働して混合物の可塑化を実行するため、ハウジングの内周面における保持リングの使用を回避可能にし、混合物にとって保持リングよりも大幅に穏やかでもある。
【0012】
本発明によれば、ウォームシャフトは、シャフトバーの周面上に、外向きに延びるブレード要素を有し、これらのブレード要素は、ウォームシャフトの軸方向に延びる少なくとも一部分において、シャフトバーの周面上に、ウォームシャフトの軸方向に延びる2つの列にて配置される。結果として、本発明は、少なくともいくつかの部分において2ブレードであるように設計されたウォームシャフト、すなわちその周面、つまりはシェル表面が、シャフトバーの断面において見たときに2つのブレード要素を備えているウォームシャフトに関し、ウォームシャフトの軸方向において、隣り合う間隔を空けて位置したブレード要素が、列をそれぞれ形成している。この2ブレードの部分は、2つの列にて配置されたブレード要素を除いて、さらなるブレード要素、すなわちこれらの列の間に配置される個々のブレード要素を備えない。したがって、シャフトバーの周面の少なくとも1つの部分にわたってウォームシャフトの軸方向に延びる混練要素の列は、本発明の意味において、軸方向に互いに間隔を空けて位置する各列のブレード要素の中心点の上方に配置される接続線が、少なくとも実質的に直線であり、直線からの接続線の最大の逸脱が、10°未満、好ましくは5°未満、さらに好ましくは2°未満であると理解される。したがって、ブレード要素の中心点は、ブレード要素の長さの中心に位置する地点を意味すると理解され、長さは、ブレード要素の外周面の最長の延在または長手方向の延在であり、すなわちブレード要素の外周面上の2つの異なる地点の間の可能な最長の直線である。
【0013】
上述したように、ブレード要素は、ウォームシャフトの軸方向に延びる少なくとも1つの部分において、シャフトバーの周面上に2列に配置される。ウォームシャフトの軸方向の他の部分は、違う設計とされてよく、例えば3ブレード、4ブレード、あるいは交互の3ブレードおよび4ブレードであるように設計されてよい。さらに、本発明によるウォームシャフトは、2つ、3つ、またはいくつかの2ブレード部分をそれぞれ1つ以上の他の部分によって互いに隔てて備えることができ、この1つ以上の他の部分は、3ブレード、4ブレード、あるいは交互の3ブレードおよび4ブレードであるように設計されてよい。
【0014】
問題の混練機に関して一般的であるとおり、本発明によるウォームシャフトのシャフトバーは、好ましくは円形の断面を有し、個々のブレード要素は、シャフトバーの周面から半径方向外向きに延びる。
【0015】
したがって、本発明は、ウォームシャフトの製造の種類に限定されない。例えば、ウォームシャフトを、金属円柱をフライス加工してブレード要素を形成することによって製造することができ、あるいはブレード要素をシャフトバーに溶接することによって製造することができる。しかしながら、実際には、ウォームシャフトは、個々のウォームシャフト部分をベースロッドへと取り付けることによって製造され、各々のウォームシャフト部分は、例えば、それぞれ1~4個の隣接するブレード要素からなる2つの列を備える。
【0016】
好ましくは、ウォームシャフトの半径方向に延びる2つの列のブレード要素は、シャフトバーの断面において見たときに、シャフトバーの周面においてブレード要素と対向して配置される。ここで、対向して配置とは、シャフトバーの周方向における2つの隣り合うブレード要素の中心点が、シャフトバーの円周面上で180°オフセットされていることと理解される。さらに、以下に示されるように、対向するブレード要素は、好ましくは軸方向にもオフセットされる。
【0017】
搬送方向に搬送される混合物の良好な搬送を生み出すために、ウォームシャフトの軸方向に延びる少なくとも1つの2ブレードの部分のブレード要素の各々が、ウォームシャフトの長手方向に少なくとも実質的に垂直、すなわちウォームシャフトの周方向に平行に延びる長手方向の延在を有することも好ましい。ウォームシャフトの長手方向に少なくとも実質的に垂直な延在は、ブレード要素の長手方向の延在が、ウォームシャフトの軸方向に対して45°~135°、好ましくは60°~120°、特に好ましくは80°~100°、極めて特に好ましくは85°~95°、最も好ましくは約90°の角度で延びることを意味すると理解される。
【0018】
搬送される混合物について、ウォームシャフトの直径に対して単位時間当たりに達成される搬送出力、ブレード要素の耐摩耗性、および所望の可塑化の達成に鑑み、本発明の考え方のさらなる発展において、ウォームシャフトの軸方向に延びる少なくとも1つの2ブレードの部分のブレード要素の各々が、上面図において楕円形、長円形、または両凸である外周面を有することが提案される。好ましくは、本発明のこの実施形態において、ウォームシャフトの少なくとも1つの2ブレードの部分は、ウォームシャフトの長さのうちの少なくとも0.2D(すなわち、少なくとも直径の20%に対応する距離)、好ましくは少なくとも0.5D(すなわち、少なくとも直径の50%に対応する距離)、特に好ましくは少なくとも1D(すなわち、少なくとも直径に対応する距離)、極めて特に好ましくは少なくとも10D(すなわち、少なくとも直径の10倍に対応する距離)にわたって延びる。とりわけ本発明のこの実施形態において、ブレード要素の長手方向の延在が、ウォームシャフトの長手方向に対して少なくとも実質的に垂直に延びることが好ましく、実質的に垂直とは、上記で定義したとおりである。あるいは、あまり好ましくない場合でも、すべてではなく、すべてのブレード要素のうちの少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%が、このように形成された外周面を有することができる。
【0019】
好ましくは、本発明によるウォームシャフトは、ブレード要素に関して対称に設計される。これにより、ウォームシャフトの軸方向に延びる2列のブレード要素のブレード要素は、互いに対向して配置され、ブレード要素は、それらの形状および寸法に関して少なくとも実質的に同一であり、すなわちそれらの寸法の違いが、最大で10%、好ましくは最大で5%、特に好ましくは最大で2%、さらに特に好ましくは最大で1%、極めて特に好ましくは最大で0.5%、最も好ましくは皆無であると理解される。したがって、ウォームシャフトの少なくとも1つの2ブレードの部分のブレード要素の各々が、同じ楕円形、長円形、または両凸の外周面を有することが好ましい。あるいは、あまり好ましくない場合でも、すべてではなく、すべてのブレード要素のうちの少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%を、対称に設計することができる。
【0020】
特には、ウォームシャフトの少なくとも1つの2ブレードの部分のブレード要素の各々が両凸の外周面を有する場合に良好な結果が得られ、両凸の外周面は、特に好ましくは幅Bに対する長さLの比が3~11である。ここで、この文脈におけるブレード要素の外周面の長さLは、すでに示したように、ブレード要素の外周面の最長の直線の延在である。さらに、この文脈におけるブレード要素の外周面の幅Bは、ブレード要素の長さに対して垂直に延びるブレード要素の外周面の最長の直線の延在である。本発明の考え方のさらなる発展において、ウォームシャフトの少なくとも1つの2ブレードの部分のブレード要素の外周面の幅Bに対する長さLの比を、4~10、特に好ましくは5~9、極めて特に好ましくは6~8、最も好ましくは7~7.5にすることが提案される。あるいは、あまり好ましくない場合でも、すべてではなく、すべてのブレード要素のうちの少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%が、上述の形状を有することができる。
【0021】
原則として、本発明は、ウォームシャフトの少なくとも1つの2ブレードの部分のブレード要素の側面の設計に関して限定されない。したがって、ブレード要素の側面は、シャフトバーの周方向からブレード要素の外周面まで垂直に上方へと延びてよい。しかしながら、長手方向に搬送される混合物の量に関して、ウォームシャフトの直径に対する単位時間当たりの搬送能力を改善するために、ブレード要素の側面は、シャフトバーの周方向からブレード要素の外周面まで垂直に上方へと延びるよりもむしろ、斜めであることが好ましい。したがって、本発明の特に好ましい実施形態によれば、ウォームシャフトの少なくとも1つの2ブレードの部分の各々のブレード要素の側面が、シャフトバーの断面の平面に対して1°~60°、好ましくは2°~40°、特に好ましくは3°~20°、極めて特に好ましくは4°~10°の角度αでブレード要素の外周面まで上方へと延びる。あるいは、あまり好ましくない場合でも、すべてではなく、すべてのブレード要素のうちの少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%が、上述の角度でシャフトバーの周面から上方へと延びる側面を有することができる。
【0022】
ブレード要素の耐摩耗性および搬送能力の両方の観点に関して、本発明の考え方のさらなる発展においては、列の2つの隣り合うブレード要素の軸方向の間隔Aのブレード要素の幅Bに対する比を、0.5~7にすることが提案される。これにより、ブレード要素の幅Bは上述のように定義され、2つの軸方向において隣り合うブレード要素’の軸方向の間隔Aは、軸方向において隣り合うブレード要素の外周面の中心点の間の距離であり、ブレード要素の外周面の中心点は上述のように定義される。好ましくは、列の2つの隣り合うブレード要素の軸方向の間隔Bのブレード要素の幅Bに対する比は、0.75~3、特に好ましくは1.0~2.0、極めて特に好ましくは1.25~1.75、最も好ましくは1.4~1.6である。あるいは、あまり好ましくない場合でも、すべてではなく、すべてのブレード要素のうちの少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも80%が、上述の比を有することができる。
【0023】
本発明のさらなる極めて特に好ましい実施形態によれば、ウォームシャフトの少なくとも1つの2ブレードの部分のブレード要素の各々は、シャフトバーの断面において見たときに、シャフトバーの周面の少なくとも160°の角度距離にわたって延びる。特に好ましくは、ブレード要素の各々は、シャフトバーの周面の少なくとも170°、特に好ましくは少なくとも175°、さらにより好ましくは少なくとも180°以上、さらにより好ましくは180°超かつ270°以下、さらにより好ましくは185°~230°、特に好ましくは185°~210°、極めて特に好ましくは190°~200°、最も好ましくは192°~197°、例えば特には約195°の角度距離にわたって延びる。好ましくは、本発明のこの実施形態において、ウォームシャフトの少なくとも1つの2ブレードの部分は、ウォームシャフトの長さのうちの少なくとも0.2D、好ましくは少なくとも0.5D、特に好ましくは少なくとも1D、極めて特に好ましくは少なくとも10Dにわたって延びる。また、本発明のこの実施形態において、ブレード要素の長手方向の延在が、ウォームシャフトの長手方向に対して実質的に垂直に延びることが特に好ましく、実質的に垂直とは、上記で定義したとおりである。あるいは、あまり好ましくない場合でも、すべてではなく、すべてのブレード要素のうちの少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%が、シャフトバーの上述の角度範囲にわたって延びてよい。
【0024】
上述の実施形態において、極めて特に好ましくは、すべてのブレード要素がシャフトバーの周面の少なくとも実質的に同じ角度部分にわたって延在し、ウォームシャフトの半径方向に延びる列のブレード要素は、シャフトバーの断面において見たときに、シャフトバーの周面上に対向して配置される。少なくとも実質的に同一の角度部分とは、この文脈において、すべての角度部分が、最大で10%、好ましくは最大で5%、特に好ましくは最大で2%、さらに特に好ましくは最大で1%、極めて特に好ましくは最大で0.5%しか相違せず、最も好ましくは全く相違しないことであると理解される。したがって、この実施形態において、シャフトバーの周方向において隣り合うブレード要素の端部は、好ましくは重なり合う。この理由で、この実施形態においては、シャフトバーの断面において見たときにシャフトバーの周方向において隣り合う2つのブレード要素が、軸方向に互いに少しずらされることが特に好ましく、したがって好ましくは周方向に配置されているブレード要素の2つの端部が軸方向にオフセットされるが、これら2つのブレード要素の一領域、例えば一方のブレード要素の右側3分の1および他方のブレード要素の左側3分の1が、シャフトバーの周方向において見たときに重なり合う。好ましくは、シャフトバーの断面において見たときにシャフトバーの周方向において隣り合う2つのブレード要素は、シャフトバーの周方向において隣り合う2つのブレード要素の軸方向の間隔Aのブレード要素の幅Bに対する比が、0.25~3.5、好ましくは0.375~1.5、特に好ましくは0.5~1.0、極めて特に好ましくは0.625~0.875、最も好ましくは0.7~0.8となるように、互いに軸方向にオフセットされる。あるいは、あまり好ましくない場合でも、すべてではなく、すべてのブレード要素のうちの少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも80%が、上述の比を有することができる。これにより、ブレード要素がシャフトバーの周面の同じ角度部分にわたって延在し、ウォームシャフトの軸方向に延びる2列のブレード要素のブレード要素が互いに対向して位置しつつ重なり合うことで、ウォームシャフトの直径に対して単位時間当たりに搬送方向に搬送される混合物の量について、優秀な搬送能力が達成されるだけでなく、搬送方向に逆らって搬送される混合物の一部の逆流も、極めて確実に回避され、あるいは少なくとも大幅に低減される。これにより、ウォームシャフトが配置されるハウジングの内部において、先行技術において必要とされるようなハウジングの内周面上の保持リングを省略することができ、ウォームシャフト上または保持リング上、特には保持リングの下流側に望ましくない堆積物が集まることがない。
【0025】
上述の実施形態の代わりに、本発明によれば上述の利点が少なくともこの範囲においては達成されないがゆえに少し好ましくないかもしれないが、ウォームシャフトの少なくとも1つの2ブレードの部分のブレード要素の各々が、シャフトバーの断面において見たときに、シャフトバーの周面の20°~160°の角度距離にわたって延在することも可能である。あるいは、ブレード要素は、45°~135°、60°~120°、70°~110°、80°~100°、または85°~95°、例えば90°などの角度距離にわたって延在してもよい。この実施形態においても、ウォームシャフトの少なくとも1つの2ブレードの部分は、ウォームシャフトの長さのうちの少なくとも0.2D、好ましくは少なくとも0.5D、特に好ましくは少なくとも1D、極めて特に好ましくは少なくとも10Dにわたって延びる。また、本発明のこの実施形態において、ブレード要素の長手方向の延在が、ウォームシャフトの長手方向に対して実質的に垂直に延びることが特に好ましく、実質的に垂直とは、上記で定義したとおりである。
【0026】
本発明のさらなる目的は、好ましくは円形の断面を有するシャフトバーを有しているウォームシャフトの一部分またはウォームシャフト部分であって、シャフトバーブレードの周面上に、シャフトバーの周面から外向きに延びる要素が、互いに間隔を空けて位置するように配置され、シャフトバー上のブレード要素は、シャフトバーの周面の少なくとも一部分にわたってウォームシャフトの軸方向に延びる少なくとも2つの列にて配置されており、各列は、互いに軸方向に間隔を空けて位置するように配置された1つ、2つ、3つ、または4つのブレード要素を備えている、ウォームシャフトの一部分またはウォームシャフト部分である。ウォームシャフトに関して上記で好ましいと説明された特性は、ウォームシャフト部分に関しても好ましい。
【0027】
さらに、本発明は、連続処理用の混練機のハウジングであって、ハウジング内に、少なくともいくつかの部分を上述のウォームシャフトまたは1つ以上の上述のウォームシャフト部分が軸方向に延びる中空な内部が設計され、ハウジング内に、ハウジングの中空な内部へとハウジングの内周面から延びるいくつかの混練要素が設けられ、これらの混練要素は、ハウジングの内周面の少なくとも一部分にわたって軸方向に延びる少なくとも2つの列にて配置されている、ハウジングに関する。混練要素が軸方向に延びる少なくとも2つの列にて配置されているハウジングの部分は、好ましくは、ウォームシャフト上のブレード要素が2つの列にて配置されている部分に対応する。
【0028】
さらに、本発明は、ポリマー顆粒、ポリマー押出プロファイル、またはポリマー成形部品の製造などのための連続処理用の混練機であって、供給および混合装置を有し、好ましくは排出装置を有しており、供給および混合装置が上述のハウジングを備えている、混練機に関する。
【0029】
混練機のハウジングは、好ましくは、その内周面において、少なくともいくつかの部分に、ハウジングの断面において見たときに互いに対向しており、すなわち180°の角度だけオフセットされた混練要素の2つの列を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下で、本発明を、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0031】
【
図1】本発明による混練機の概略の縦断面図を示している。
【
図1b】
図1aに示した混練機のハウジングの斜視図を示している。
【
図2a】本発明の実施形態によるウォームシャフトの軸方向における一部分の斜視図を示している。
【
図2b】
図2aに示したウォームシャフトの軸方向における一部分の上面図を示している。
【
図2c】ブレード要素が配置された
図2aに示したウォームシャフトの軸方向における一部分のシャフトバーのシェル表面を平らに投影して示している。
【
図3】本発明の別の実施形態によるブレード要素が配置されたウォームシャフトの軸方向における一部分のシャフトバーのシェル表面およびブレード要素の間のすき間へと突出した混練要素を、平らに投影して示している。
【
図4】本発明の別の実施形態によるブレード要素が配置されたウォームシャフトの軸方向における一部分のシャフトバーのシェル表面およびブレード要素の間のすき間へと突出した混練要素を、平らに投影して示している。
【
図5】本発明の別の実施形態によるブレード要素が配置されたウォームシャフトの軸方向における一部分のシャフトバーのシェル表面およびブレード要素の間のすき間へと突出した混練要素を、平らに投影して示している。
【
図6】本発明の別の実施形態によるブレード要素が配置されたウォームシャフトの軸方向における一部分のシャフトバーのシェル表面およびブレード要素の間のすき間へと突出した混練要素を、平らに投影して示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1aおよび
図1bに示され、全体を通して100と標記された混練機は、ハウジング10と、ハウジング10内に配置されたウォームシャフト12とを備える。ハウジング10は、いわゆるハウジングシェル16で内側が覆われた2つのハウジング半分14、14’を備える。本特許出願において、ハウジングシェル16は、ハウジング10の構成要素であると見なされる。2つのハウジング半分14、14’が閉じられたとき、ハウジング10の内周面は、円柱形の中空な内部18、すなわち円形の断面を有する内部18を定める。ウォームシャフト12は、シャフトバー20を備え、シャフトバー20の周面にブレード要素22が配置され、ブレード要素22は、シャフトバー20の周面に対して半径方向外向きに延び、個々のブレード要素22は、互いに離れて位置するように配置される。2つのハウジング半分14、14’には、混練要素24、すなわち混練ボルト、混練コグ、などのためのレセプタクル28が設けられている。したがって、レセプタクル28の各々は、ハウジングシェル16の内周面からハウジング壁を貫いて延びるボア28である。各々のレセプタクル28の下側の半径方向内側の端部を、例えば断面が正方形となるように設計することができる。したがって、各々の混練ボルト24は、例えば、その下端に、レセプタクル28の正方形の半径方向内側の端部に正確にはまり込む端部を有することができ、これにより、使用の状態においてレセプタクル28に回転できないように固定される。混練ボルト24は、レセプタクル28内に位置する端部において、レセプタクル28の上方の端部に用いられた固定要素(図示せず)にねじ込みによって接続される。あるいは、固定要素およびナットを使用する代わりに、混練ボルト24は、ねじ用の雌ねじを有し、ねじで固定されてもよい。
【0033】
特には
図1bから見て取ることができるとおり、混練ボルト24用の互いに等間隔に配置されたレセプタクル28は、軸方向において見たときに、3つの列29、29’、29’’の形態で2つのハウジング半分14、14’の各々へと延びている。したがって、ハウジングのレセプタクルの列29、29’、29’’の総数は、6である。本発明の意味において、列とは、列29、29’、29’’の軸方向に間隔を空けて並んだレセプタクル28の上方に配置される接続線が、直線であることを意味すると解釈される。
図1aおよび
図1bに示されるように、混練機100は、軸方向においていくつかのプロセス部分34、34’、34’’に分けられ、各々のプロセス部分34、34’、34’’は、混練ボルト24の数ならびにシャフトバー20上のブレード要素22の数および延在に関して、個々のプロセス部分34、34’、34’’の機能に合わせて構成される。
図1bに示されるとおり、上側ハウジング半分14の左側の部分34および右側の部分34’’における混練ボルト24用のレセプタクル28の3つの列29、29’、29’’のうち、2つの列、すなわち上側の列29および下側の列29’’が、混練ボルト24を備える一方で、中央の列29’は、混練ボルト24を備えていない。これとは対照的に、上側ハウジング半分14の中央の部分34’における混練ボルト24用のレセプタクル28の3つの列29、29’、29’’のうち、1つの列、すなわち中央の列29’が、混練ボルト24を備える一方で、上側の列29および下側の列29’’は、混練ボルト24を備えていない。また、下側ハウジング半分14’の中央の部分34’においても、中央の列だけが混練ボルト24を備え、したがってハウジング10の中央の部分34’は、合計2列の対向する混練ボルト24を有し、すなわちハウジング10の内周面上の混練ボルト24の2つの列の間の角度が、180°である。混合されるべき原材料は、供給ホッパー36によって混練機100へと加えられ、次いでプロセス部分34、34’、34’’を通って案内され、最終的に出口開口部38を通って排出される。図示のプロセス部分34、34’、34’’の代わりに、本発明による混練機100は、より多数のプロセス部分、例えば特には4つのプロセス部分を有してもよく、あるいはより少数のプロセス部分、例えば2つまたは1つのプロセス部分を有してもよい。
【0034】
本発明によれば、本発明による混練機のためのウォームシャフト12は、シャフトバー20の周面上のブレード要素22が、少なくともウォームシャフト12の軸方向に延びている一部分において、
図1bに示した中央のプロセス部分34’と同様に、ウォームシャフト12の軸方向に延びる2つの列に配置されるように設計され、すなわちウォームシャフト12がいくつかの部分において2ブレードとなるように設計される。
【0035】
図2a~
図2cが、本発明の好ましい実施形態によるウォームシャフト12のそのような2ブレードの部分を示している。ウォームシャフト12の円筒形のシャフトバー20上に、シャフトバー20の周面から半径方向外向きに延びるブレード要素22、22’、22’’、22’’’が配置されている。したがって、個々のブレード要素22、22’、22’’、22’’’は、それらが上面図において両凸の外周面を有するように設計され、ブレード要素22、22’、22’’、22’’’の長手方向の延在Lは、ウォームシャフト12の長手方向の延在に対して垂直に延びている。長手方向の延在Lは、ブレード要素22、22’、22’’、22’’’の外周面上の2つの異なる地点の間に可能な最長の直線、すなわちこの場合には長さLを意味すると理解される。すべてのブレード要素22、22’、22’’、22’’’は、同じ形態とおよび同じ寸法である。個々のブレード要素22、22’、22’’、22’’’の幅Bに対する長さLの比は、約7.25であり、ここで幅Bは、ブレード要素22、22’、22’’、22’’’の長さLに対して垂直に延びるブレード要素22、22’、22’’、22’’’の外周面の最長の直線の延在である。特には
図2aおよび
図2bから見て取ることができるとおり、ブレード要素22、22’、22’’、22’’’の側面42は、シャフトバー20の周面からブレード要素22、22’、22’’、22’’’の外周面へと垂直に延びているのではなく、むしろ2°の角度αで延びている。隣り合うブレード要素22、22’、22’’、22’’’は、シャフトバー20の周方向および軸方向の両方において、互いに間隔を空けて配置されている。
【0036】
これにより、軸方向に間隔を空けて位置するブレード要素22、22’が、軸方向に延びる列40にて配置され、軸方向に間隔を空けて位置するブレード要素22’’、22’’’も、軸方向に延びる列40’にて配置される。本発明によれば、ブレード要素22、22’、22’’、22’’’の軸方向に延びる列40、40’は、
図2a、
図2b、および
図2cに示される実施形態のように、軸方向に互いに間隔を空けて位置するように配置されているブレード要素22、22’または22’’、22’’’の外周面の中心点M上に配置された接続線が、直線である場合に存在する。したがって、ブレード要素22、22’、22’’、22’’’の中心点Mは、ブレード要素22、22’、22’’、22’’’の長さLの中央に位置する点である。列40の個々のブレード要素22、22’は、シャフトバー20の断面において見たとき、シャフトバー20の周面上で列40’のブレード要素22’’、22’’’の反対側に位置しており、すなわち両方の列40、40’のブレード要素22、22’、22’’、22’’’の外周面の中心点Mが、シャフトバーの周面上で互いに180°ずれている。ブレード要素22、22’の幅Bに対する列40の隣り合うブレード要素22、22’および列40’の隣り合うブレード要素22’’、22’’’の軸方向の間隔Aの比は、それぞれ約1.5である。これにより、ブレード要素の幅Bは上述のように定義され、2つの軸方向において隣り合うブレード要素22、22’または22’’、22’’’の軸方向の間隔Aは、軸方向において隣り合うブレード要素22、22’または22’’、22’’’の外周面の中心点Mの間の距離である。
【0037】
ブレード要素22、22’、22’’、22’’’のすべての長さLは、シャフトバー20の周面またはシェル表面において195°という同じ角度部分にわたってそれぞれ延びている。これらの角度は180°よりも大きいため、シャフトバー20の周方向において隣り合うブレード要素20、20’’’または20’、20’’の端部は、一部において重なり合う。このため、シャフトバー20の断面において見たときにシャフトバー20の周方向において隣り合うブレード要素20、20’’’または20’、20’’は、軸方向に互いに少しずらされ、したがってシャフトバー20の周方向に配置されているブレード要素の2つの端部が、ブレード要素22、22’、22’’、22’’’の幅Bの約60%だけ軸方向にオフセットされ、これら2つのブレード要素の一領域、例えば一方のブレード要素22の右側3分の1および他方のブレード要素22’’’の左側3分の1が、シャフトバーのシャフトバー20の周方向において見たときに重なり合う。ブレード要素22、22’、22’’、22’’’のこの比較的長い延在および結果として得られるブレード要素22、22’、22’’、22’’’の部分的な重なり合いによって、ウォームシャフトの直径に対して単位時間当たりに搬送方向に搬送される混合物の量について、優秀な搬送能力が達成されるだけでなく、搬送方向に逆らって搬送される混合物の一部の逆流も、極めて確実に回避され、あるいは少なくとも大幅に低減される。これにより、ウォームシャフト12が配置されるハウジング20の内部18において、先行技術において必要とされるようなハウジング10の内周面上の保持リングを、ウォームシャフト12上に望ましくない堆積物が集まることなく省略できるように、適切な可塑化がもたらされる。
【0038】
図3が、本発明の別の実施形態によるブレード要素22、22’、22’’、22’’’が配置されたウォームシャフト12の軸方向における一部分のシャフトバー20のシェル表面およびブレード要素22、22’、22’’、22’’’の間のすき間へと突出した混練要素24を、平らに投影して示している。混練機の動作時に、ウォームシャフト12が回転し、同時にウォームシャフト12は、1回転について1回、前後に並進運動する。これにより、ブレード要素22、22’、22’’、22’’’の側面42が、混練要素24に沿って移動する。
【0039】
図4~
図6が、
図3の実施形態の代案の実施形態を示している。
図4に示される実施形態においては、ブレード要素22、22’、22’’、22’’’の角度部分が、
図3の実施形態よりも小さい。加えて、この実施形態においては、ハウジング内周面が3列の混練ボルト24を備える。
図5に示される実施形態においては、ハウジング内周面が4列の混練ボルト24を備え、
図6に示される実施形態においては、6列の混練ボルト24が存在する。加えて、
図5および
図6に示されるブレード要素22、22’、22’’、22’’’は、
図3および
図4に示したものとは異なる形状を有している。
【符号の説明】
【0040】
10 ハウジング
12 ウォームシャフト
14,14’ ハウジング半分
16 ハウジングシェル
18 中空な内部
20 シャフトバー
22,22’,22’’,22’’’ ブレード要素
24 混練要素/混練ボルト
28 混練要素用のレセプタクル/ボア
29,29’,29’’ 混練要素用のレセプタクルの(軸方向に延びる)列
34,34’,34’’ プロセス部分
36 供給ホッパー
38 出口開口部
40,40’ ブレード要素の(軸方向に延びる)列
42 ブレード要素の側面
100 混練機
α シャフトバーの周面とブレード要素の側面との間の角度
A 1つの列の2つの隣り合うブレード要素の軸方向の間隔A
B 幅(ブレード要素の長さに対して垂直に延びるブレード要素の外周面の最長の直線の延在)
L 長さ(ブレード要素の外周面の最長の直線の延在)
M ブレード要素の外周面の中心点