(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】選択されたレシピに従って食品を自動的に調理するためのシステム及びその作動方法
(51)【国際特許分類】
A47J 44/00 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
A47J44/00
(21)【出願番号】P 2020528532
(86)(22)【出願日】2018-08-02
(86)【国際出願番号】 IB2018055830
(87)【国際公開番号】W WO2019026027
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-21
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520041105
【氏名又は名称】シェフ ジャスパー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ガンナー グラス
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09131807(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0015219(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0128536(US,A1)
【文献】特表2017-506169(JP,A)
【文献】特開2004-220414(JP,A)
【文献】特開2006-215837(JP,A)
【文献】特開2015-150424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 44/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択されたレシピに従って食品を自動的に調理するためのシステムであって、
混合、撹拌、及びみじん切りより成る群から選択される第1食品調理タスク、並びに加熱を含む第2食品調理タスクを行うよう適合された複数の多機能調理装置を有する、一連の食品調理タスクを実行するための食品処理ユニットと、
それぞれ所定の材料を保存するための複数の食品容器と、
選択された所定の前記食品容器を識別するための識別ユニットと、
収集要素であって、前記収集要素の近傍に位置する前記複数の食品容器、又は前記収集要素の近傍における冷蔵庫及び冷凍庫の一方内に位置する他の複数の食品容器から、選択された所定の食品容器を収集し、前記選択された所定の食品容器を把持するための掴み部材を有し、実質的に垂直な軸線に沿って移動可能な前記収集要素と、
前記食品処理ユニット、前記識別ユニット、及び前記収集要素に動作可能に接続されると共に、前記食品処理ユニット及び前記収集要素を管理して、それによって前記選択されたレシピに従って食品を調理するように適合される制御システムと、
を備え、
前記制御システムは、少なくとも1つのステップを完了する時間、前記選択されたレシピを調理するのに必要な少なくとも1種の材料、及び必要な調理装置を指定するタスクスケジュールを生成して実施する、
システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記食品処理ユニットが、第3食品調理タスクを実行するよう適合された水調理器を更に有するシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、食品容器開放機構を更に備えるシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、家具ユニット内に、少なくとも1個の食品容器が保管されているシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、前記家具ユニットが、少なくとも1個の対応する食品容器を保管するための少なくとも1つの保管コンパートメントを有するシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、前記少なくとも1つの保管コンパートメントの少なくとも1つが、前記少なくとも1個の食品容器における少なくとも1個の対応する食品容器を保管するための少なくとも1つの引き出しを有するシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記複数の食品容器の各食品容器が、対応する識別手段を有するシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、各識別手段が、SKUバーコード、RFIDタグ、グラフィック要素、QRコード
(登録商標)、及びテキストより成る群から選択されているシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、前記グラフィック要素が、アイコン及びシンボルの少なくとも1つを含むシステム。
【請求項10】
請求項7~9の何れか一項に記載のシステムであって、前記識別ユニットが、少なくとも1個の前記食品容器における前記識別手段を識別するための識別カメラを有するシステム。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載のシステムであって、前記収集要素が、水平面内で変位可能な少なくとも1個の部材を有するシステム。
【請求項12】
請求項4~6の何れか一項に記載のシステムであって、前記収集要素が、
前記実質的に垂直な軸線に沿って変位可能な近位部材と、
水平面内で回転可能であると共に、前記近位部材に回転可能に結合された少なくとも1個の中間部材と、
前記水平面内で回転可能であると共に、前記少なくとも1個の中間部材に回転可能に結合され、選択された食品容器を把持するための掴み部材を有する遠位部材と、
を有するシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記近位部材が、モータを使用して前記少なくとも1個の中間部材に結合されているシステム。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載のシステムであって、材料の対応する重量を測定するための少なくとも1個のロードセルを更に備えるシステム。
【請求項15】
請求項12及び13の何れか一項に記載のシステムであって、少なくとも1個の中間部材及び遠位部材が、少なくとも1個のモータを使用して結合されているシステム。
【請求項16】
請求項14及び15の何れか一項に記載のシステムであって、近位部材を前記少なくとも1個の中間部材に結合する前記モータ、及び少なくとも1個の中間部材を遠位部材に結合する前記モータが、それぞれ、前記少なくとも1個の中間部材及び前記遠位部材に関する空間情報を前記制御システムに提供するエンコーダを有するシステム。
【請求項17】
請求項12に記載のシステムであって、前記近位部材が、前記家具ユニットの壁に沿って移動するシステム。
【請求項18】
請求項1~17の何れか一項に記載のシステムであって、前記掴み部材が選択された食品容器を把持又は解放する位置で回転するよう構成されると共に、前記掴み部材が第1回転軸線周り及び第2回転軸線周りで回転可能であり、前記第1回転軸線が、前記第2回転軸線に対して垂直であるシステム。
【請求項19】
請求項1~18の何れか一項に記載のシステムであって、前記掴み部材が、可動手段によって作動する少なくとも2個の把持部を有し、把持部のそれぞれが、選択された食品容器に接触する接触面を有し、少なくとも1個の把持部が、選択された食品容器を把持又は解放するよう移動可能であるシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、前記少なくとも2個の把持部のうちの少なくとも1個の把持部が、食品品質検出器を有するシステム。
【請求項21】
請求項19及び20の何れか一項に記載のシステムであって、前記少なくとも2個の把持部のうちの少なくとも1個の把持部が、材料を分配するよう所定の食品容器を振る振動要素を有するシステム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムであって、前記振動要素が、モータを有するシステム。
【請求項23】
請求項1に記載のシステムであって、前記掴み部材が、真空を形成することによって適合面を把持するための吸引アセンブリを有するシステム。
【請求項24】
請求項1に記載のシステムであって、前記制御システムが、ユーザインターフェイスを介して作動するシステム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムであって、前記ユーザインターフェイスが、タッチスクリーン、音声認識ソフトウェア、アプリケーション・プラットフォーム、及びキーボードの少なくとも1つを含む群から選択されているシステム。
【請求項26】
請求項24及び25の何れか一項に記載のシステムであって、前記制御システムが、無線接続を介して、使用者によって作動されるシステム。
【請求項27】
請求項1~6の何れか一項に記載のシステムを使用して選択したレシピに従って食品を自動的に調理するための方法であって、
少なくとも1種の材料を必要とする食品調理の指示を提供するステップと、
使用者が少なくとも1種の不足材料を供給可能か否かを決定するステップと、
レシピを選択するステップと、
前記選択したレシピを調理するために、少なくとも1種の必須材料が使用可能か否かを確認するステップと、
前記少なくとも1種の必要な材料が使用可能であるときに、
前記食品調理のためのタスクスケジュールを取得するステップと、
取得した前記タスクスケジュールを実施し、それによって前記食品を調理するステップと、
を含む方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、調理すべき食品調理の前記指示が、調理すべき食品に関する選択の指示、前記食品調理を完了するための所望の時間に関する指示、及び前記食品調理をすべきゲストの人数に関する指示を含む方法。
【請求項29】
請求項27及び28の何れか一項に記載の方法であって、前記システムが、前記使用者のプロファイルに基づいて、レシピをランダムに選択する方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、前記使用者のプロファイルが、前記使用者が選択した少なくとも1つのレシピを含む方法。
【請求項31】
請求項27に記載の方法であって、前記選択したレシピを調理するために、少なくとも1種の必須材料が使用可能か否かを確認するステップを、
収集要素であって、前記収集要素の近傍に位置する選択した食品容器を把持するための変位可能な前記収集要素と、
前記選択した食品容器を把持するための前記収集要素における掴み部材と、
前記選択した食品容器の重量を測定すると共に、測定した前記重量を制御システムに送信するための前記収集要素における少なくとも1個のロードセルと、
前記把持した食品容器の識別手段を識別すると共に、把持した前記食品容器の情報を前記制御システムに送信するための識別ユニットと、
前記少なくとも1個のロードセル及び前記識別ユニットが提供する前記情報を受信すると共に、前記選択したレシピの実現可能性を評価するための前記制御システムと、
を使用することによって実施する方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記収集要素及び前記識別ユニットが前記制御システムに送信する前記情報が、所定の食品容器に保管した材料の種類、前記材料の消費期限、及び前記所定の食品容器の重量を含む方法。
【請求項33】
請求項27に記載の方法であって、前記使用者が前記少なくとも1種の不足材料を供給できないときに、少なくとも1種の代替的なレシピのリストを提供するステップを更に含む方法。
【請求項34】
請求項31に記載の方法であって、食品容器の識別手段を、SKUバーコード、RFIDタグ、グラフィック要素、QRコード
(登録商標)、及びテキストの少なくとも1つを含む群から選択する方法。
【請求項35】
請求項27~34の何れか一項に記載の方法であって、前記タスクスケジュールを実施すると、前記使用者に通知を提供するステップを更に含む方法。
【請求項36】
請求項1に記載のシステムであって、前記収集要素が、多軸ロボットの一部を含むシステム。
【請求項37】
請求項36に記載のシステムであって、前記多軸ロボットが、六軸ロボットを含むシステム。
【請求項38】
請求項1に記載のシステムであって、前記収集要素が、それぞれリニアアクチュエータによって作動する複数のリニア接続部を有するデカルト座標アームを含むシステム。
【請求項39】
請求項1~26の何れか一項に記載のシステムであって、前記システムに近接した人の存在を検出するための装置を更に備えるシステム。
【請求項40】
請求項1~26の何れか一項に記載のシステムであって、前記掴み部材が、食品との直接相互作用を回避するよう適合されているシステム。
【請求項41】
請求項1~5の何れか一項に記載のシステムであって、前記識別ユニットが、前記制御システムに作動接続されたルックアップテーブルを有し、各食品容器に関して、それぞれの内容物及びそれぞれの物理的位置に関する表示を有するシステム。
【請求項42】
請求項1~9及び36~38の何れか一項に記載のシステムであって、前記制御システムに作動接続され、前記食品処理ユニット、前記複数の食品容器、及び前記収集要素の少なくとも1個に対応し関連する位置決めデータを提供するカメラを更に備えるシステム。
【請求項43】
請求項1~26及び36~42の何れか一項に記載のシステムであって、前記食品処理ユニットが、USB接続、WLAN接続、ネットワークケーブル、及びブルートゥース
(登録商標)接続の少なくとも1つを使用して前記制御システムに作動接続されているシステム。
【請求項44】
請求項1~26及び36~43の何れか一項に記載のシステムであって、前記制御システムが、支払い端末、タッチスクリーン、QRコード
(登録商標)リーダ、及びバーコードスキャナの少なくとも1つを含むポイント・オブ・セールスシステムに作動接続されているシステム。
【請求項45】
請求項1~26及び36~44の何れか一項に記載のシステムであって、前記収集要素が、フェンスで包囲された領域内に位置しているシステム。
【請求項46】
請求項45に記載のシステムであって、前記フェンスで包囲された領域の少なくとも一部が、透明材料を含むシステム。
【請求項47】
請求項45及び46
の何れか一項に記載のシステムであって、前記フェンスで包囲された領域の少なくとも一部が、前記食品処理ユニットにアクセス可能な寸法及び形状の開口を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、本出願人による2017年8月4日付の米国特許出願第62/541,419号の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、食品調理の自動化の分野に関し、特に、選択されたレシピに従って食品を自動的に調理するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
自動調理システム及び機器は、使用者が自分自身、家族、友人、又は顧客のために食品を調理するのを支援するために、家庭のみならず、レストラン又はカフェテリアにおいても広く使用されている。
【0004】
自動調理システム及び機器、例えば、炊飯器、ミキサー、ブレンダー、圧力調理器、スロー調理器、又はスチーマーは、使用者が調理するのを支援するために長年にわたって開発され、通常は、ブレンド、撹拌、加熱、スチーミング、混合などの幾つかの機能を提供する。自動調理システム及び機器は、より統合化されるよう長年にわたって進化してきたため、今日において、調理機器は、スロー調理器及びブレンダー又はスチーマーとして同時に機能し得る。
【0005】
しかしながら、自動調理システム及び機器は通常、少なくとも1つの物理的インプット、例えば、食品を提供するか、又はシステム或いは機器をオンにするか、又はレシピにおける特定のステップが完了したときに材料を変えるなど、人に大きく依存している。更に、今日においては調理にかける時間や関心が減ってきており、また人によっては調理のスキルが低く及び/又は食生活が乱れており過度に支出することなく良質な食品を食べることを望んでいる。加えて、上述したような自動化調理システム及び機器においては、食品の調理の一部しかできないため、食品の調理を完了するのに使用者による大幅な関与を必要とする。
【0006】
更に、レストランやカフェテリアのような場所においては、顧客のために食品の調理を従業員に教えたり、その調理に伴う報酬を支払ったりするコストがかかる。
【0007】
従って、選択されたレシピに従って、食品を自動的に調理するためのシステム及びその作動方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
広範な態様によれば、選択されたレシピに従って自動的に食品を調理するためのシステムが開示されている。このシステムは、混合、撹拌、及びみじん切りより成る群から選択される第1食品調理タスク、並びに加熱を含む第2食品調理タスクを行うよう構成された少なくとも1個の多機能調理装置を有する、一連の食品調理タスクを実行するための食品処理ユニットと、所定の材料を保存するための複数の食品容器と、選択された所定の食品容器を識別するための識別ユニットと、収集要素であって、その収集要素の近傍に位置する複数の食品容器、又は収集要素の近傍における冷蔵庫又は冷凍庫内に位置する他の複数の食品容器から、選択された所定の食品容器を収集し、選択された所定の食品容器を把持するための掴み部材を有し、実質的に垂直な軸線に沿って移動可能な収集要素と、食品処理ユニット、識別ユニット、及び収集要素に接続されると共に、食品処理ユニット及び収集要素を管理して、選択されたレシピに従って食品を調理する制御システムとを備える。
【0009】
一実施形態によれば、食品処理ユニットは、通常の調理タスク又は真空食品調理タスクを実行するよう構成された水調理器を更に有する。
【0010】
一実施形態によれば、システムは、食品容器開放機構を更に備える。
【0011】
一実施形態によれば、家具ユニット内に、少なくとも1個の食品容器が保管されている。
【0012】
一実施形態によれば、家具ユニットは、少なくとも1個の対応する食品容器を保管するための少なくとも1つの保管コンパートメントを有する。
【0013】
一実施形態によれば、少なくとも1つの保管コンパートメントにおける少なくとも1つの保管区画は、少なくとも1個の食品容器を保管するための少なくとも1つの引き出しを有する。
【0014】
一実施形態によれば、複数の各食品容器は、対応する識別手段を有する。
【0015】
一実施形態によれば、各識別手段は、SKUバーコード、RFIDタグ、グラフィック要素、QRコード(登録商標)、及びテキストより成る群から選択されている。
【0016】
一実施形態によれば、グラフィック要素は、アイコン及びシンボルの少なくとも1つを含む。
【0017】
一実施形態によれば、識別ユニットは、少なくとも1個の食品容器における識別手段を識別するための識別カメラを有する。
【0018】
一実施形態によれば、収集要素は、水平面内で変位可能な少なくとも1個の部材を有する。
【0019】
一実施形態によれば、収集要素は、実質的に垂直な軸線に沿って変位可能な近位部材と、水平面内で回転可能であると共に、近位部材に回転可能に結合された少なくとも1個の中間部材と、水平面内で回転可能であると共に、少なくとも1個の中間部材に回転可能に結合され、選択された食品容器を把持するための掴み部材を有する遠位部材とを有する。
【0020】
一実施形態によれば、システムは、材料の対応する重量を測定するための少なくとも1個のロードセルを更に備える。
【0021】
一実施形態によれば、近位部材は、モータを使用して少なくとも1個の中間部材に結合されている。
【0022】
一実施形態によれば、少なくとも1個の中間部材及び遠位部材は、少なくとも1個のモータを使用して結合されている。
【0023】
一実施形態によれば、近位部材を少なくとも1個の中間部材に結合するモータ、及び少なくとも1個の中間部材を遠位部材に結合するモータは、それぞれ、少なくとも1個の中間部材及び遠位部材に関する空間情報を制御システムに提供するエンコーダを有する。
【0024】
一実施形態によれば、近位部材は、家具ユニットの壁に沿って移動する。
【0025】
一実施形態によれば、掴み部材は、選択された食品容器を把持又は解放する位置で回転するよう構成されると共に、第1回転軸線周り及び第2回転軸線周りで回転可能であり、第1回転軸線は、第2回転軸線に対して垂直である。
【0026】
一実施形態によれば、掴み部材は、可動手段によって作動する少なくとも2個の把持部を有し、その把持部のそれぞれが、選択された食品容器に接触する接触面を有し、少なくとも1個の把持部が、選択された食品容器を把持又は解放するよう移動可能である。
【0027】
一実施形態によれば、少なくとも2個の把持部のうちの少なくとも1個の把持部は、食品品質検出器を有する。
【0028】
一実施形態によれば、少なくとも2個の把持部のうちの少なくとも1個の把持部が、材料を分配するよう所定の食品容器を振る振動要素を有する。
【0029】
一実施形態によれば、振動要素は、モータを有する。
【0030】
一実施形態によれば、掴み部材は、真空を形成することによって適合面を把持するための吸引アセンブリを有する。
【0031】
一実施形態によれば、制御システムは、ユーザインターフェイスを介して作動する。
【0032】
一実施形態によれば、ユーザインターフェイスは、タッチスクリーン、音声認識ソフトウェア、アプリケーション・プラットフォーム、及びキーボードの少なくとも1つを含む群から選択されている。
【0033】
一実施形態によれば、制御システムは、無線接続を介して、使用者によって作動される。
【0034】
広範な態様によれば、選択したレシピに従って自動的に食品を調理するための方法が開示されている。この方法は、少なくとも1種の材料を必要とする食品調理の指示を提供するステップと、使用者が少なくとも1種の不足材料を供給可能か否かを決定するステップと、レシピを選択するステップと、選択したレシピを調理するために、少なくとも1種の必須材料が使用可能か否かを確認するステップと、少なくとも1種の必要な材料が使用可能である場合、食品調理のためのタスクスケジュールを取得するステップと、上述したシステムを使用して、取得したタスクスケジュールを実施するステップとを含む。
【0035】
一実施形態によれば、食品調理の指示は、調理すべき食品に関する選択の指示、食品調理を完了するための所望の時間に関する指示、及び食品調理をすべきゲストの人数に関する指示を含む。
【0036】
一実施形態によれば、システムは、使用者のプロファイルに基づいて、レシピをランダムに選択する。
【0037】
一実施形態によれば、使用者のプロファイルは、使用者が選択した少なくとも1つのレシピを含む。
【0038】
一実施形態によれば、少なくとも1種の必須材料が使用可能か否かを確認するステップを、収集要素であって、その収集要素の近傍に位置する選択した食品容器を把持するための変位可能な上記収集要素と、選択した食品容器を把持するための収集要素における掴み部材と、選択した食品容器の重量を測定すると共に、測定した重量を制御システムに送信するための収集要素における少なくとも1個のロードセルと、把持した食品容器の識別手段を識別すると共に、把持した食品容器の情報を制御システムに送信するための識別ユニットと、少なくとも1個のロードセル及び識別ユニットが提供する情報を受信すると共に、選択したレシピの実現可能性を評価するための制御システムとを使用することによって実施する。
【0039】
一実施形態によれば、収集要素及び識別ユニットが制御システムに送信する情報は、所定の食品容器に保管した材料の種類、その材料の消費期限、及び所定の容器の重量を含む。
【0040】
一実施形態によれば、本発明の方法は、使用者が少なくとも1種の不足材料を供給できない場合、少なくとも1種の代替的なレシピのリストを提供するステップを更に含む。
【0041】
一実施形態によれば、食品容器の識別手段を、SKUバーコード、RFIDタグ、グラフィック要素、QRコード(登録商標)、及びテキストの少なくとも1つを含む群から選択する。
【0042】
一実施形態によれば、本発明の方法は、タスクスケジュールを実施すると、使用者に通知を提供するステップを更に含む。
【0043】
一実施形態によれば、収集要素は、多軸ロボットの一部を含む。
【0044】
一実施形態によれば、多軸ロボットは、六軸ロボットを含む。
【0045】
一実施形態によれば、収集要素は、リニアアクチュエータによって作動する複数のリニア接続部を有する多軸アームを含む。
【0046】
一実施形態によれば、システムは、近接した人の存在を検出するための装置を更に備える。
【0047】
一実施形態によれば、掴み部材は、食品との相互作用を回避するよう構成されている。
【0048】
一実施形態によれば、識別ユニットは、制御システムに作動接続されたルックアップテーブルを有し、各食品容器に関して、それぞれの内容物及びそれぞれの物理的位置に関する情報を有する。
【0049】
一実施形態によれば、システムは、制御システムに作動接続され、食品処理ユニット、複数の食品容器、及び収集要素の少なくとも1個に関連する位置決めデータを提供するカメラを更に備える。
【0050】
一実施形態によれば、食品処理ユニットは、USB接続、WLAN接続、ネットワークケーブル、及びブルートゥース(登録商標)接続の少なくとも1つを使用して制御システムに接続されている。
【0051】
一実施形態によれば、制御システムは、支払い端末、タッチスクリーン、QRコード(登録商標)リーダ、及びバーコードスキャナの少なくとも1つを含むポイント・オブ・セールスシステムに作動接続されている。
【0052】
一実施形態によれば、収集要素は、フェンスで包囲された領域内に位置している。
【0053】
一実施形態によれば、フェンスで包囲された領域の少なくとも一部は、透明材料を含む。
【0054】
一実施形態によれば、フェンスで包囲された領域の少なくとも一部は、処理ユニットにアクセス可能な寸法及び形状の開口を含む。
【0055】
以上、本発明の趣旨を記載した。以下、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】選択されたレシピに従って食品を自動的に調理すると共に、食品処理ユニットと、識別ユニットと、収集要素と、冷蔵庫と、その冷蔵庫の近傍に配置された冷凍庫を備えるシステムの正面図である。
【
図2】システムにおいて、掴み部材を有する収集要素、識別ユニット、及び食品処理ユニットをより明瞭に示す斜視図である。
【
図3】
図2におけるシステムにおいて、複数の引き出しを有する上側及び下側保管コンパートメントを、下側保管コンパートメントが開放され、かつ収集要素が展開された状態で示す斜視図である。
【
図4】複数の調理装置、真空調理器、及び食品容器開放機構を有する
図2における食品処理ユニットをより明瞭に示す斜視図である。
【
図5】一実施形態に係る、識別ユニット及び移動機構をより明瞭に示す上面斜視図である。
【
図6】システムにおいて、家具ユニットの引き出し及び冷凍庫に保管されると共に、識別手段を有する食品容器を示す上面図である。
【
図7】システムにおいて、一実施形態に係る移動機構をより明瞭に示す右側面図である。
【
図8】一実施形態に係る、近位部材、中間部材、及び掴み部材を有する遠位部材を含む収集要素を示す右側面図である。
【
図9】一実施形態に係る、移動機構に取り付けられた収集要素の近位部材をより明瞭に示す斜視図である。
【
図10】一実施形態に係る、把持アセンブリを有する掴み部材を示す上面図である。
【
図11】一実施形態に係る
図9における把持アセンブリを示す分解上面図である。
【
図12】吸引アセンブリを有する掴み部材を示す斜視図である。
【
図13】制御システムが作動接続されたシステムにおける異なる構成要素を示す説明図である。
【
図14】選択されたレシピに従って食品を自動的に調理するための方法のブロック図である。
【
図15】システムとレシピデータベースとレシピコミュニティとの間の通信を示す説明図である。
【
図16】システムにおける在庫情報のプロセスを示すブロック図である。
【
図17】選択されたレシピに関して、制御システムによって生成されたタスクスケジュールの一例を示す説明図である。
【
図18】収集要素によって実施される、食品容器からの材料の分配を示すブロック図である。
【
図19】収集要素が多軸ロボットの一部を含むシステムの一実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本明細書に記載された多数の実施形態は、単なる例示に過ぎない。記載された実施形態は、いかなる意味においても限定するものではなく、また限定することを意図しない。本開示の発明は、本開示から容易に理解されるように、多数の実施形態に広く適用可能である。当業者であれば、開示された発明は、種々の修正及び変更、例えば構造的及び論理的な修正を加えて実施できることを理解するであろう。開示された発明の特定の特徴は、1つ以上の特定の実施形態及び/又は図面に関して記載することができるが、明示的に別段の記載がない限り、そのような特徴は、記載された1つ以上の特定の実施形態又は図面における使用に限定されないことを理解されたい。
【0058】
以上のことを踏まえつつ、本発明は、選択されたレシピに従って食品を自動的に調理するシステム100及びその作動方法に関する。
【0059】
先ず
図1及び
図2を参照すると、システム100は、選択されたレシピに従って食品を自動的に調理するよう構成されると共に、様々な環境又は場所、例えば、家庭用キッチン、レストラン用キッチン、カフェテリアに設置されるよう構成されている。
図1の実施形態において、システム100は、冷蔵庫110及び冷凍庫120の近傍に配置されている。
【0060】
システム100は、食品処理ユニット200を備える。食品処理ユニット200は、食品調理タスクを実行するよう使用されることは言うまでもない。より正確に述べると、食品処理ユニット200は、混合、撹拌、及びみじん切りより成る群から選択される第1食品調理タスクと、加熱を含む第2食品調理タスクを実行するよう構成された少なくとも1個の多機能調理装置を有する。多機能調理装置を使用すれば、様々な食品調理タスクが安定的で統合された方式で実行可能となるため、極めて有利であることは言うまでもない。食品処理ユニット200は、選択されたレシピに従って食品を自動的に調理するための制御システム500(図示せず)に作動接続されている。言うまでもなく、食品処理ユニット200は、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)接続、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)接続、ネットワークケーブル、及びブルートゥース(登録商標)接続の少なくとも1つを使用して、制御システム500に作動接続することができる。当業者であれば、様々な代替的な実施形態が実現可能であることを理解するであろう。
【0061】
一実施形態において、食品処理ユニット200は、以下においてより詳細に説明するように、家具ユニット202内に配置され、少なくとも1個の調理装置、少なくとも1個の真空調理器、及び食品容器開放機構などを更に有することができる。
【0062】
一実施形態によれば、多機能調理装置は、フォアベルク社によって製造されたサーモミックス(登録商標)とする。代替的に、他の多機能装置も想定可能である。
【0063】
システム100は、その近傍に保管された複数の食品容器(図示せず)を更に備え、各食品容器は、所定の材料を保存するよう構成されている。
【0064】
一実施形態において、複数の食品容器は、家具ユニット202における複数の保管コンパートメント内に保管されている。
【0065】
一実施形態において、複数の保管コンパートメントのそれぞれは、複数の食品容器を収容するよう適合された複数の引き出しを有する。
【0066】
代替的な実施形態において、複数の食品容器は、冷蔵庫110内及び/又は冷凍庫120内に保管されている。
【0067】
一実施形態において、複数の食品容器は、同じ材料を含むよう適合されている。
【0068】
代替的な実施形態において、複数の食品容器は、異なる材料を含むよう適合されている。
【0069】
一実施形態において、各食品容器は、識別手段の一例であるグラフィック要素を有する。
【0070】
一実施形態において、グラフィック要素は、標準化されたアイコン又はシンボルを含む。代替的に、識別手段は、テキストを含んでいてもよい。識別手段は、以下においてより詳細に説明するように、生成される信号を処理するためのコンピュータビジョンソフトウェアと協働する識別カメラによって識別される。識別手段は、食品容器内に保存された材料、例えば、材料の種類、材料の量、購入日に応じた材料の消費期限に関する情報を記録するよう構成されている。
【0071】
代替的な実施形態において、食品容器は、ストック・キーピング・ユニット(SKU)バーコード(以下においてはSKUバーコードと称する)又はRFIDタグ、クイック・レスポンス(QR)コード(登録商標)などの異なる識別手段を含むことができる。この実施形態において、SKUバーコード又はRFIDタグは、各食品容器に割り当てられ、食品容器内に保存された材料、例えば、材料の種類、材料の量、購入日に応じた材料の消費期限に関する情報を記録するよう構成されている。
【0072】
一実施形態において、食品容器は、真空バッグを含む。
【0073】
システム100は、選択された所定の食品容器を識別するための識別ユニット300を更に備える。識別ユニット300は、選択された食品容器の識別手段を自動的に識別して、選択されたレシピに関して適切な食品容器を食品処理ユニット200に提供するために、制御システム500に作動接続されている。
【0074】
一実施形態において、識別ユニット300は、食品容器の識別手段、例えば標準化されたアイコン、単純なテキスト、SKUバーコード、QRコード(登録商標)、又はRFIDタグを識別するよう構成されている。所定の食品容器に関して識別された情報はその後、以下において説明するように、処理のために制御システム500に送信される。
【0075】
他の実施形態において、識別ユニット300は、制御システム500に作動接続されたルックアップテーブルを有する。そのようなルックアップテーブルは、各食品容器に関して、それぞれの内容物及びそれぞれの物理的位置に関する情報を含む。
【0076】
一実施形態において、識別ユニット300は、家具ユニット202における複数の引き出し、冷蔵庫110及び/又は冷凍庫120に配置された食品容器を識別する。
【0077】
一実施形態において、識別ユニット300は、システム100の近傍に保管された複数の食品容器の識別を可能とするために、家具ユニット202の上部に取り外し可能に配置されている。
【0078】
代替的な実施形態において、識別ユニット300は、複数の食品容器の識別を依然として可能としつつ、他の場所に配置することができる。
【0079】
システム100は、収集要素400を更に備え、その収集要素400により、収集要素400の近傍に位置する複数の食品容器のうち、選択された複数の所定の食品容器、又は収集要素400の近傍に位置する冷蔵庫110及び/又は冷凍庫120内に配置された他の複数の食品容器のうち、選択された複数の所定の食品容器が収集される。
【0080】
一実施形態において、収集要素400は、家具ユニット202の保管コンパートメントにおける複数の引き出し内、冷蔵庫110内、又は冷凍庫120内に配置された食品容器又は真空バッグを把持する。
【0081】
一実施形態において、収集要素400は、選択された所定の食品容器(識別ユニット300によって識別済み)を把持するための掴み部材600(
図2参照)を有する。収集要素400は、以下において説明するように、垂直軸線に沿って移動可能であり、制御システム500に作動接続されると共に、制御システム500によって作動する。
【0082】
言うまでもなく、収集要素400は、僅かに傾斜した軸線に沿って移動可能でありながら、選択されたレシピを調理するために所定の食品容器を依然として把持して変位させることができる。更に、以下において説明するように、一実施形態において、掴み部材600は、食品との直接的な相互作用を回避するよう構成されており、このことは様々な理由で極めて有利であることが理解されよう。その第1の理由は、食品との直接的な相互作用を回避することで食品の安全性が確保されることである。他の理由は、掴み部材600が食品と直接的に相互作用できた場合に比べて、食品廃棄物が大幅に減少することである。更なる理由は、掴み部材600と食品との直接的な相互作用がなければ、食品を掴み部材600から除去する必要がないため、洗浄が遥かに容易なことである。
【0083】
システム100は、食品処理ユニット200と、識別ユニット300と、収集要素400に作動接続された制御システム500を更に備える。制御システム500は、食品処理ユニット200及び収集要素400を管理し、選択されたレシピに従って食品を調理するよう構成されている。制御システム500は更に、収集要素400によって把持されると共に、食品処理ユニット200内に分配される食品容器を識別するための識別ユニット300に接続されている。
【0084】
一実施形態において、制御システム500は、従来のネットワークワイヤによって食品処理ユニット200、識別ユニット300、及び収集要素400に配線されている。
【0085】
代替的な実施形態において、制御システム500は、Wi-Fi又はBluetooth(登録商標)などの従来の短距離無線手段により、食品処理ユニット200、識別ユニット300、及び収集要素400に作動接続することができる。
【0086】
より正確に述べると、
図3及び
図4に示す食品処理ユニット200は、選択されたレシピのステップに従うことにより、混合及び調理などの一連の食品調理タスクを実行するよう構成されている。食品処理ユニット200は、食品容器を保管するよう適合された下側保管コンパートメント204と上側保管コンパートメント206との間の家具ユニット202に配置されている。
【0087】
図4に示す一実施形態において、食品処理ユニット200は、2個の調理装置208a,208b、真空調理器210、及び水平壁214上に配置された食品容器開放機構212を有する。食品処理ユニット200は、以下において更に説明するように、選択されたレシピに従って、又はシステム100の近傍に位置する食品容器における利用可能な材料に従って、食品を調理するよう構成されている。図示の真空調理器210は、水調理器の一例であることは言うまでもない。水調理器は、通常の調理タスク及び真空食品調理タスクのうちの1つを実行するのに使用することができる。
【0088】
一実施形態において、調理装置208a,208bの少なくとも1個は、多機能調理装置である。
【0089】
一実施形態において、食品容器開放機構212は、食品容器と相補的な形状を有するキャビティ213を含む。キャビティ213は、以下において更に詳細に説明するように、掴み部材600が回転すると共に食品容器の蓋を取り外す間、食品容器を収容して維持するよう適合されており、その後に食品容器内の材料が調理装置208a及び/又は調理装置208bに分配される。
【0090】
一実施形態において、調理装置208a,208bは、その下方に配置されたロードセル216を含むことができる。ロードセル216は、材料が調理装置208a,208b内に入れられるときに材料を正確に計量するよう構成されている。ロードセル216は、制御システム500に遠隔接続可能であり、これによりシステム100は、材料の分量に関するレシピの指示、及び調理すべき食事数に正確に従うことができる。
【0091】
代替的な実施形態においては、食品容器から調理装置208a及び/又は208b内に分配された材料の量を測定するのに他の装置を使用してもよい。制御システム500は、例えば、食品容器の形状に従って、ある量の材料を分配するのに食品容器をどのように傾けるかを計算することができる。更に、食品処理ユニット200は、食品容器から調理装置208a及び/又は調理装置208bへ分配される材料の量を推定するための視覚能力を有することができる。
【0092】
当業者であれば、食品処理ユニット200が3個以上の調理装置208a,208bを有し得ることを理解するであろう。更に、スチーム調理器、フライヤー、圧力調理器なども食品処理ユニット200内に設けることができる。
【0093】
一実施形態において、真空調理器210は、当業者が理解するように、上述した真空バッグなどの真空密封された材料を受け入れるよう構成されると共に、温度制御された水容器を有する。
【0094】
図3に示す一実施形態において、家具ユニット202は、長方形の箱形状を有し、その側壁218a,218b,218cの間に、上側及び下側保管コンパートメント206,204を有する。
【0095】
一実施形態において、各保管コンパートメントは、複数の食品容器を収容するよう適合された複数の引き出しを有する。例えば、下側保管コンパートメント204は、引き出し220a,220b,220cを有する。当業者であれば、引き出し220a,220b,220cは、下側コンパートメント204に出し入れするためのレールに動作可能に係合していることが理解されるであろう。
【0096】
上側保管コンパートメント206は、食品処理ユニット200の上方に位置し、複数の食品容器を収容するための複数の引き出しを有する。これら引き出しは更に、上側保管コンパートメント206に出し入れするためのレールに係合させることもできる。
【0097】
一実施形態において、上側及び下側保管コンパートメント206,204は、それぞれ、異なる個数の食品容器を保管するための異なる個数の引き出しを有することができる。更に、各引き出しは、複数のセクション(図示せず)に分割可能であり、各セクションは所定の食品容器を受け入れるよう適合されている。この実施形態において、上側及び下側保管コンパートメント206,204の各引き出しは、保管された各食品容器をより良好に位置決めするためのグリッド構造を有することができる。
【0098】
一実施形態において、上側及び下側保管コンパートメント206,204は、それぞれ、複数の引き出し、従って複数の引き出しに収容された複数の食品容器へのアクセスを可能にするヒンジ式ドア222,224を有する。
【0099】
代替的な実施形態において、ドア222,224は、スライド式ドアであってもよい。
【0100】
代替的な実施形態において、上側及び下側保管コンパートメント206,204は、ドアを有さない。
【0101】
他の実施形態において、食品処理ユニット200は、カウンターなど、システム100の近傍におけるどこか他の場所に配置することができる。この構成において、食品容器は、他の家具ユニット、例えばシステム100の近傍における食品キャビネット又は棚に保管することができる。
【0102】
図5~
図7において、識別ユニット300は、システム100の近傍に配置された食品容器を識別するよう構成されている。
【0103】
一実施形態において、識別ユニット300は、食品容器を識別するためのコンピュータビジョンソフトウェアに結合された識別カメラ302を有する。識別カメラ302は、支持部304に接続されると共に、各食品容器に配置された標準化されたアイコン306又はテキストなどのグラフィック要素を識別するよう構成されている。制御システム500と協働するコンピュータビジョンソフトウェアは、食品容器の識別によって生成される信号を処理するよう構成されている。
【0104】
代替的な実施形態において、カメラ302は、各食品容器に関連付けられたSKUバーコード308、QRコード(登録商標)、又はRFIDタグをスキャンすると共に、選択された食品容器を識別し、食品容器内に保存された材料の種類、所定の材料の量、購入日に従って材料の消費期限などの情報を制御システム500に提供するよう構成されている。
【0105】
一実施形態において、標準化されたアイコン306は、材料を表している。
【0106】
一実施形態において、単純なテキストは、食品容器内に配置された材料を表す単語又は単語群とすることができる。
【0107】
当業者であれば、本発明の範囲内で、他の識別手段が想定可能であることを理解するであろう。
【0108】
以下において更に説明するように、一実施形態において、識別ユニット300によって制御システム500に供給された情報は記録され、選択されたレシピに従って、収集要素400が適切な食品容器を把持することを可能にする。
【0109】
図5の実施形態において、支持部304は、従来の固定手段によって家具ユニット202の頂壁226に固定されているが、他の場所も想定可能である。この実施形態において、支持部304は、家具ユニット202から離れるよう延在しており、これにより引き出しが引き出されたときに、上側又は下側保管コンパートメント206,204に保管された食品容器のうち、選択された食品容器を識別カメラ302が識別可能である。
【0110】
図7に示す一実施形態において、識別カメラ302は、楕円形状を有すると共に、上側及び下側コンパートメント206,204に向けて垂直方向下方に面している。識別カメラ302は、引き出しが引き出されたときに、引き出しの一側から他側まで、引き出し内に配置された食品容器の識別手段を横方向にスキャンするよう構成されている。
【0111】
一実施形態において、識別ユニット300は、冷蔵庫110及び/又は冷凍庫120に配置された食品容器を識別することができる。
【0112】
代替的な実施形態において、識別カメラ302は、SKUバーコードスキャナ又はRFIDスキャナとして構成されている。
【0113】
一実施形態において、家具ユニットの引き出し、冷蔵庫110、又は冷凍庫120から食品容器が取り出されるか又はその中に配置されると、識別カメラ302が在庫に関する最新の記録を作成する。以下において説明するように、識別カメラ302が識別した情報は、その後に制御システム500に送信されて処理される。
【0114】
代替的な実施形態において、識別ユニット300は、より多くの食品容器に対応するため、識別カメラ302に類似する複数の識別カメラを有することができる。
【0115】
次に
図5及び
図7~
図12を参照すると、収集要素400は、収集要素400の近傍に位置する複数の食品容器のうち、選択された複数の所定の食品容器か、又は収集要素400の近傍に位置する冷蔵庫110及び/又は冷凍庫120内に配置された他の複数の食品容器のうち、選択された複数の所定の食品容器を収集するよう構成されている。
【0116】
一実施形態において、収集要素400は、家具ユニット202の上側及び下側保管コンパートメント206,204における複数の引き出し内に位置する選択食品容器を収集し、それら食品容器を食品処理ユニット200に搬送する。
【0117】
一実施形態において、冷蔵庫110及び/又は冷凍庫120のそれぞれは、そのドアを開放して収集要素400が所定の食品容器を把持可能とするよう構成されたリニアアクチュエータを有することができる。
【0118】
一実施形態において、収集要素400は、
図7の垂直方向矢印で示すように、垂直軸線に沿って上下に垂直方向に移動するよう構成されている。
【0119】
代替的な実施形態において、収集要素400は、僅かに傾斜した軸線に沿って上下に移動することができる。
【0120】
より正確に述べると、
図5に最も明瞭に示す移動機構402は、収集要素400を一連の垂直方向レール404a,404bに沿って上方又は下方の何れかに搬送するよう構成されている。移動機構402は、駆動プーリ406、アイドラプーリ408、及びタイミングベルト410を有し、タイミングベルト410は、収集要素400に取り外し可能に接続されている。
【0121】
一実施形態において、駆動プーリ406は、タイミングベルト410、従って収集要素400を移動させるためのステッピングモータ412(以下モータ412と称する)で駆動される。アイドラプーリ408は、タイミングベルト410に取り付けられたカウンタウェイト414(
図7参照)に接続されており、モータ412からのトルク要件が緩和される。
【0122】
一実施形態において、モータ412は、NEMA(商標登録)23 CNCステッピングモータであり、制御システム500によって駆動される。更に、当業者であれば理解されるように、モータ412は、タイミングベルト410を特定の速度で搬送するための特定のギア比を有する遊星ギアボックスを有することができる。
【0123】
代替的に、当業者であれば、シャフトの回転速度又は利用可能なトルクなど、実用上の他の理由で別の種類のモータが想定可能であることを理解するであろう。
【0124】
一実施形態において、アイドラプーリ408は、タイミングベルト410が上下に移動するときのタイミングベルト410の位置を検出するためのエンコーダ416を有する。エンコーダ416は、収集要素400の位置情報を制御システムが得られるようにするために、フィードバック信号を制御システム500に送信するよう構成されている。
【0125】
代替的な実施形態において、移動機構402は、垂直軸線上における収集要素400の位置を読み取るよう構成されたエンコーダ(図示せず)を有することができる。
【0126】
一実施形態において、アイドラプーリ408が回転すると、カウンタウェイト414は、垂直レール404cに沿って、収集要素400とは反対方向に上方又は下方に移動する。カウンタウェイト414は、収集要素400がモータ412に及ぼす重量を釣り合わせ、これによりモータによるトルク要求を最小化するよう構成されている。
【0127】
図7に示す実施形態において、移動機構402は、家具ユニット202の側壁218c上に配置されている。
【0128】
他の実施形態において、移動機構は、収集要素400を依然として垂直方向移動させつつ、家具ユニット202の側壁218a,218bの何れか、又は他の場所に配置することができる。
【0129】
他の実施形態において、収集要素400は、ラック・アンド・ピニオン機構など、他の任意の適切な移動機構によって上下に移動することができる。
【0130】
収集要素400は、掴み部材600により、選択された所定の食品容器を、収集要素400の近傍、家具ユニット202における複数の引き出し、冷蔵庫110及び/又は冷凍庫120の何れかから収集するよう構成されている。
【0131】
図8に示す一実施形態において、収集要素400は、近位部材418a、中間部材418b、及び遠位部材418cを有し、中間部材及び遠位部材418b,418cは、旋回するよう構成されている。
【0132】
より正確に述べると、
図8及び
図9に最も明瞭に示すように、近位部材418aは、長方形の箱形状を有すると共に、4個のリニア軸受420a,420b,420c,420dによって移動機構402に接続されている。これら軸受420a,420b,420c,420dにより、レール404a,404b上での収集要素400の円滑な垂直方向移動を可能にする。近位部材418aは更に、タイミングベルト410に取り付けると共に、近位部材418aに構造的強度を付与する一対のL字状プレート422a,422bを有する。
【0133】
一実施形態において、近位部材418aは、中間部材418bに接続するよう構成された第1継手424を更に有する。第1継手424は、第1エンコーダ430、並びにシャフト428及びギアボックス431を介して中間部材418bを回転させる第1ステッピングモータ426を有する。第1エンコーダ430は、第1ステッピングモータ426の作動時に、シャフト428の回転に関するフィードバックデータ及び最新情報を制御システム500に送信するよう構成されている。そのデータにより、シャフト428の回転速度、回転角度、及び中間部材418bの位置などの情報が得られる。これにより、制御システム500は、選択された食品容器を把持するための収集要素400の変位を管理することができる。
【0134】
収集要素400は、第1継手424にて近位部材418aに接続され、第2継手432にて遠位部418c材に接続された中間部材418bを更に有する。中間部材418bは、選択された食品容器を把持するよう位置決めするために、上述したように、第1継手424によって回転可能に構成されている。
【0135】
第1継手424と同様に、第2継手432は、シャフト434、第2ステッピングモータ436、及び第2エンコーダ438を有する。第2継手432は、中間部材418bに対して遠位部材418cを回転させるよう構成されている。
【0136】
第1継手424において、第2ステッピングモータ436は、シャフト434、従って遠位部材418cを回転させるよう構成されている。第2エンコーダ438は、シャフト434の回転に関するフィードバックデータ及び最新情報を制御システム500に送信するよう構成されている。従って、そのデータにより、制御システム500は、遠位部材418cの位置、シャフト434の回転速度及び回転角度に関する情報を得ることができる。これにより、制御システム500は、選択された食品容器を把持するための遠位部材418cの変位を管理することができる。
【0137】
第1継手424及び第2継手432のためのステッピングモータ426,436が開示されているが、当業者であれば、本発明の範囲内で、シャフトの回転速度又は利用可能なトルクなど、実用上の他の理由で別の種類のモータが想定可能であることを理解するであろう。ステッピングモータ426,436は、例えば、サーボモータ又はギアモータに置き換えてもよい。
【0138】
一実施形態において、第1及び第2ステッピングモータ424,436、並びに第1及び第2エンコーダ430,438は、制御システム500に配線されている。
【0139】
代替的な実施形態において、第1及び第2ステッピングモータ424,436、並びに第1及び第2エンコーダ430,438は、Wi-Fi又はBluetooth(登録商標)などの短距離無線通信プロトコルを使用して、制御システム500によって無線で作動させてもよい。この場合、ステッピングモータ424,426は、制御システム500と無線通信するために、マイクロコントローラ及びドライバに配線されている。
【0140】
代替的な実施形態において、第1及び第2ステッピングモータ424,436、並びに第1及び第2エンコーダ430,438は、電力供給用のバッテリを有することができる。
【0141】
図8に示すように、収集要素400は、遠位部材418cを更に有する。遠位部材418cは、中間部材418bに対して第2継手432によって回転するよう構成されている。遠位部材418cは、第2継手432、及び選択された所定の食品容器を把持するよう構成された掴み部材600に接続されている。
【0142】
代替的な実施形態において、収集要素400は、リニアアクチュエータによって作動する複数のリニア接続部を有する多軸アーム(図示せず)を含んでもよい。この実施形態において、収集要素400は、第1リニアアクチュエータにより、垂直軸線又は僅かに垂直な軸線に沿って上下に移動することができる。収集要素400はその後、垂直軸線に垂直な水平面内にて、異なる把持距離を有する複数のリニアアクチュエータによって所定の食品容器を把持するよう構成されている。
【0143】
次に
図10~
図12を参照すると、掴み部材600は、収集要素400によって把持された選択食品容器の重量を測定するよう構成された一対のロードセル602a,602bを有する。
【0144】
代替的な実施形態において、ロードセル602a,602bは、近位部材418a、中間部材418b、又は遠位部材418cの何れか1個に配置されてもよい。
【0145】
一実施形態において、ロードセル602a,602bは、測定されている重量変化に比例する電気信号を生成するよう構成されたひずみゲージロードセルとする。代替的に、ロードセル602a,602bは、圧電ロードセルとしてもよい。従って、収集要素400及び食品処理ユニット200の少なくとも一方は、材料の重量を測定するための少なくとも1個のロードセルを有することが理解されよう。代替的に、少なくとも1個のロードセルは、専用の計量ステーションに設けることができる。
【0146】
掴み部材600は、一対のサーボモータ604a,604bを更に有し、その一対のサーボモータ604a,604bは、差動機構を含む多段ギアボックス608にサーボモータ604a,604bを結合する一対のシャフト606a,606bの角度位置、速度、及び加速度を正確に制御するよう構成されている。この実施形態において、多段ギアボックス608に割り当てられたサーボモータ604a,604bは、以下において説明するように、選択された食品容器を把持又は解放する位置で、把持アセンブリ612を回転させるよう構成されている。
【0147】
一実施形態において、サーボモータ604a,604bは、制御システム500に接続されている。
【0148】
一実施形態において、一対のシャフト606a,606bは、その角度位置、速度、及び加速度を正確に制御するために、制御システム500が作動させるサーボモータ604a,604bによって回転される。
【0149】
一実施形態において、シャフト606a,606bは、食品処理ユニット200内への材料の分配時に選択食品容器を回転させるために、第1回転軸線A周りで回転される。
【0150】
掴み部材600は、多段ギアボックス608を把持アセンブリ612に連結するシャフト610を更に有する。
【0151】
一実施形態において、シャフト610は、第1回転軸線Aに垂直な第2回転軸線Bに沿って多段ギアボックス608によって回転するよう構成され、これにより食品処理ユニット200内への材料の分配時に食品容器が傾けられる。
【0152】
代替的な実施形態においては、把持アセンブリ612を第1及び第2回転軸線A,Bに沿って回転させるための多段ギアボックスが想定されてはいるが、本発明の趣旨内で他の構成も実現可能である。例えばこの場合、第1リニアアクチュエータを使用して把持アセンブリ612を第1回転軸線Aに沿って回転させ、第2リニアアクチュエータを使用して把持アセンブリ612を第2回転軸線Bに沿って回転させ、食品処理ユニット200内への材料の分配時に選択食品容器を回転させることができる。
【0153】
一実施形態において、第1及び第2リニアアクチュエータは、油圧又は空圧アクチュエータとすることができる。
【0154】
次に
図11を参照すると、把持アセンブリ612は、一対の把持部616a,616bを受け入れるよう構成されたレール614、その一対の把持部616a,616bのそれぞれに係合させた一対の無端ねじ618a,618b、及び一対の無端ねじ618a,618bを回転させて把持部616a,616bをレール614に沿って変位させるサーボモータ620を有する。
【0155】
一実施形態において、無端ねじ618a,618bは、サーボモータ620によって生じる回転運動を、矢印Lに沿う把持部616a,616bの直線運動に変換するよう構成されている。
【0156】
代替的な実施形態においては、矢印Lに沿う把持部616a,616bの直線運動を実現するために、油圧又は空圧アクチュエータが想定可能である。
【0157】
一実施形態において、無端ねじ618a,618bのねじ山は反対方向にあるため、サーボモータ620が制御システム500によって作動されると、把持部616a,616bが互いに接近するか又は互いに離れる。
【0158】
一実施形態において、サーボモータ620は、レール614に堅固に取り付けられたブラケット622上に固定されている。この構成において、サーボモータ620は、無端ねじ618a,618bに位置合わせされている。
【0159】
一対の把持部616a,616bは、レール614に沿って互いに対向するよう配置されている。各把持部616a,616bは、レール614に取り付けられた第1端部624a,624b、及び選択された食品容器が把持されたときにその食品容器と接触する接触面626a,626bを有する。
【0160】
各把持部616a,616bは、食品容器に含まれた材料が期限切れになったか否かを検出するよう構成された食品品質検出器628a,628bを更に有する。
【0161】
把持部616bは、掴み部材600を揺動させるよう構成された振動モータ630を更に有する。これにより、食品容器から食品処理ユニット200における調理装置208a,208bへの材料の分配が可能になる。
【0162】
一実施形態において、振動モータは、偏心回転質量(ERM)振動モータとする。
【0163】
代替的な実施形態において、振動モータは、リニア共振アクチュエータ(LRA)とする。
【0164】
一対の把持部616a,616bは、レール614の長手方向軸線に沿って互いに長手方向に変位するよう構成されると共に、選択された食品容器を把持するよう構成されたクランプ形状を有する。サーボモータ620が制御システム500によって作動して把持部616a,616bを互いに接近させると、把持部616a,616bがレール614の中心に向けて対称的に直線移動するよう無端ねじ618a,618bが第1方向に回転する。
【0165】
掴み部材600が選択された食品容器を解放する場合、一対の把持部616a,616bは、制御システム500によるサーボモータ620の作動によって互いに分離される。この場合、サーボモータ620は、一対の無端ねじ618a,618bを第1方向とは反対の第2方向に回転させ、把持部616a,616bが互いに離間するよう対称的に直線移動する。
【0166】
一実施形態において、サーボモータ604a,604b,620、振動モータ630、食品品質検出器628a,628b、及びロードセル602a,602bは、制御システム500に無線接続されている。
【0167】
図12に示す一実施形態において、掴み部材600は、真空バッグなどの平坦な表面を把持するよう適合された吸引アセンブリ650を有する。
【0168】
吸引アセンブリ650は、吸引カップ形状を有し、多段ギアボックス608の第1端部に接続されると共に、多段ギアボックス608の第2端部における真空ユニット(図示せず)に結合されたチューブ(図示せず)に接続されている。使用時においては、真空バッグのような平坦な表面は把持部616a,616bによって把持し難いため、吸引アセンブリ650が真空ユニットと協働して真空圧を提供することにより、掴み部材600が平坦な表面を把持することが可能になる。従って、選択された真空バッグが識別ユニット300によって識別されると、制御システム500は、真空ユニットを作動させ、その真空ユニットが、平坦な表面を把持するために吸引アセンブリ650を作動させる。吸引アセンブリ650が真空バッグをしっかりと把持すると、移動機構402が収集要素400を食品処理ユニット200に変位させて真空調理器210内に真空バッグを搬送する。
【0169】
代替的な実施形態において、食品容器が磁化要素を含む場合、掴み部材600は、食品容器を把持する磁石などの他の把持手段を有することができる。
【0170】
代替的な実施形態において、収集要素400は、システム100が設置される環境に対応するために異なる個数の部材を有することができる。例えば、家庭用キッチンとレストラン用キッチンとの間でレイアウトに違いが生じる可能性があるため、収集要素400においては、レストラン用キッチンの空間上レイアウトに対応するために部材の個数を増加することができる。この構成において、連続する部材を接続する各継手は、上述したように、部材を回転させるためのステッピングモータ、シャフト、及びエンコーダを有する。更に、当業者であれば、連続する部材間における球状接続部など、他の機械的接続部が想定可能であることを理解するであろう。
【0171】
一実施形態において、収集要素400の近位部材418a、中間部材418b、及び遠位部材418cの少なくとも1個は、長手方向に伸長可能であり、選択された食品容器をその近傍で把持するために複数の距離に対応することができる。
【0172】
代替的な実施形態においては、収集要素400における連続的に接続された部材を回転させるのに、油圧又は空圧アクチュエータなどのリニアアクチュエータが想定可能である。
【0173】
図13を参照すると、制御システム500は、食品の調理及び調理を管理するよう構成されると共に、食品処理ユニット200、識別ユニット300、及び収集要素400に作動接続されている。
【0174】
より正確に述べると、制御システム500は、異なるモータ412,426,436、サーボモータ604a,604b,620、及び振動モータ630を作動制御してシステム100を作動させるよう構成されている。複数のモータのシャフトに配置された複数のエンコーダ416,430,438は、制御システム500にフィードバックを送信することにより、収集要素400における最新の運動状態が把握される。更に、制御システム500は、以下において説明するように、識別ユニット300及びロードセル602a,602bから情報を受け取ることにより、システム100における最新の在庫状況を把握する。
【0175】
一実施形態において、制御システム500は、使用者がシステム100の近傍にいるときか又はシステム100から離れているときにシステム100とやり取りできるよう、ユーザインターフェイス(図示せず)を介して作動される。ユーザインターフェイスは、タッチスクリーン、音声認識ソフトウェア、及びアプリケーション・プラットフォームを有する。
【0176】
タッチスクリーンは、家具ユニット202上か又はシステム100の近傍に配置することができる。即ち、使用者は、タッチスクリーン上で入力を行うことにより、システム100に食品を調理するための指示を提供する。代替的に、タッチスクリーンを他の場所に配置して、使用者がレシピを調理するための指示をシステム100に遠隔で提供してもよい。
【0177】
ユーザインターフェイスは更に、使用者が音声認識ソフトウェアを介してシステム100とやり取りすることを可能にする。
【0178】
一実施形態においては、システム100の家具ユニット202にマイクロフォンを実装して、使用者がシステム100に指示を提供することができる。
【0179】
一実施形態において、アプリケーション・プラットフォームにより、使用者がタッチスクリーン又はマイクロフォンを使用して提供した指示が制御システム500に送信可能である。
【0180】
一実施形態において、使用者は、アプリケーション・プラットフォームにより、食品調理に関する指示を制御システム500に遠隔で提供することができる。アプリケーション・プラットフォームは、スマートフォン、タブレット、又はラップトップなど、任意のポータブルデバイス上で実行することができる。この構成において、使用者は、制御システム500に指示を提供することができる。更に、音声認識ソフトウェアは、使用者がシステム100に無線で指示を提供することができるよう、スマートフォン上、タブレット上、又はコンピュータ上に実装することができる。
【0181】
代替的な実施形態においては、使用者が食品調理に関する指示を制御システム500に提供することを可能にするために、システム100の近傍か又はシステム100から離れた場所にキーボードを設けることができる。キーボードは、例えば、家具ユニット202上に設けることができる。
【0182】
一実施形態において、制御システム500は、ユーザインターフェイスに有線接続されている。
【0183】
代替的な実施形態において、制御システム500は、当業者に理解されるように、Wi-Fi又はBluetooth(登録商標)などの短距離無線通信プロトコルを使用してユーザインターフェイスに無線接続されている。
【0184】
一実施形態において、制御システム500は、インターネットに接続されている。
【0185】
次に
図14を参照すると、食品の調理を自動化するための本発明に係る方法700の実施形態が表されている。
【0186】
処理ステップ702によれば、使用者は、食品調理の指示を提供する。
【0187】
使用者は、タッチスクリーン、マイクロフォン、又はスマートフォン、タブレット、若しくはラップトップを無線で使用することにより、システム100とやり取りして食品調理に関する情報を提供する。使用者は、食べたい食品の種類、食品を調理すべき時間、及び何人のゲストが来るかなど、一連の情報を制御システム500に提供する。使用者は、食物アレルギー及び/又は食事制限に関する情報を提供することもできる。
【0188】
一実施形態において、使用者は、食品の種類、好み、食事制限など、食べたい食品に応じてキーワードをユーザインターフェイスに提供することができる。
【0189】
処理ステップ704によれば、制御システム500は、必要に応じて、選択したレシピの不足材料を使用者が供給可能か否かを判定する。この場合、使用者は、必要に応じて、タッチスクリーン、マイクロフォンを介して、又はスマートフォン、タブレット、若しくはラップトップを無線で使用することにより、システム100とやり取りして不足材料を供給可能か否かを通知できることが理解されよう。
【0190】
処理ステップ706によれば、使用者が不足材料の少なくとも1種を供給できない場合、制御システム500は、システム100の在庫情報900に関して少なくとも1つの実現可能なレシピを表示し、使用者がそのレシピ選択する。
【0191】
代替的な実施形態において、使用者は、制御システム500が使用者のインプットなしでレシピをランダムに選択できるようにすることが可能である。この場合、制御システム500は、システム100の在庫情報900に関して実現可能なレシピからランダムに選択する。
【0192】
使用者が不足材料を供給できる場合、使用者は、処理ステップ708において、制御システム500によって生成された全てのレシピのリストから選択する。
【0193】
一実施形態において、制御システム500は、方法700の処理ステップ702で提供されたキーワード及びレシピデータベース800(
図15参照)に従って、アジア料理、メキシコ料理、イタリア料理、フランス料理など、異なるレシピの選択肢を提供する。
【0194】
代替的な実施形態において、制御システム500は、以前の食品に基づいて、推奨すべき食品に関する情報を提供する。
【0195】
代替的な実施形態において、制御システム500は、使用者のプロファイルに基づいて、食品プランを作成する。
【0196】
代替的な実施形態において、制御システム500は、使用者の入力なしでレシピをランダムに選択する。
【0197】
一実施形態において、制御システム500によって生成されたレシピは、システム100のタッチスクリーン上に表示される。
【0198】
他の実施形態において、制御システム500によって生成されたレシピは、アプリケーション・プラットフォームを介して使用者のスマートフォン上、タブレット上、又はラップトップ上に表示される。
【0199】
処理ステップ710によれば、選択した調理すべきレシピに必要な全ての材料が使用可能か否かを判定するためにテストを実施する。
【0200】
制御システム500は、選択したレシピ及び調理すべき食事数に従って、使用可能な材料を考慮しつつ所望のレシピが実現可能か否かを評価する。以下において説明するように、制御システム500は、全ての食品容器に関して在庫情報900を一度作成し、その後に食品容器の変更が生じる度に更新する。
【0201】
一実施形態において、在庫情報900は、食品容器を家具ユニット202、冷蔵庫110、及び冷凍庫120に最初に保管するときに作成される。
【0202】
一実施形態において、在庫情報900は、使用者が不足材料の食品容器をシステム100の近傍に供給し、収集要素400が食品容器を家具ユニット202内、冷蔵庫110内、又は冷凍庫120内に保管するときに更新される。制御システム500は、識別カメラ302及び収集要素400を作動させて、識別カメラ302下で識別すべき食品容器を把持して搬送する。識別カメラ302は、食品容器に配置された識別手段306を識別し、また掴み部材600のロードセル602a,602bは、食品容器の重量を判定することにより、在庫情報900に関して必要な情報を制御システム500に提供する。食品容器はその後、家具ユニット202、冷蔵庫110、又は冷凍庫120に保管される。
【0203】
第2実施形態において、在庫情報900は、選択したレシピに関する食品容器の材料を分配するときに更新される。
【0204】
第3実施形態において、在庫情報900は、家具ユニット202内、冷蔵庫110内、又は冷凍庫120内における不足材料の食品容器を使用者が手動で補充するときに更新される。
【0205】
処理ステップ712において、システム100が、選択したレシピに関して少なくとも1種の材料が不足していると評価する場合、制御システム500は、選択したレシピを調理するために供給すべき少なくとも1種の不足材料のリストを使用者に提供する。
【0206】
一実施形態において、制御システム500は、少なくとも1種の不足材料を、その名称、量、及び重量と共に、タッチスクリーン上、又は使用者のスマートフォン、タブレット、或いはラップトップ上に表示する。
【0207】
処理ステップ714によれば、制御システム500は、タスクスケジュール1000を生成する。
【0208】
図17を参照すると、例示的なタスクスケジュール1000が表されており、所望の時間及び所望の人数に関して、選択したレシピを調製及び調理するための少なくとも1つのステップを含む。タスクスケジュール1000は更に、少なくとも1つのステップを完了する時間、レシピを調理するのに必要な少なくとも1種の材料、必要な調理装置などを指定している。
【0209】
処理ステップ716によれば、制御システム500は、予め生成されたタスクスケジュール1000を実施する。即ち、食品調理は、食品処理ユニット200、収集要素400、及び識別ユニット300を作動させる制御システム500で実行する。収集要素400は、少なくとも1個の食品容器の材料を掴み、食品処理ユニット200における調理装置208a,208bの少なくとも1個、又は真空調理器210に搬送及び分配するよう変位する。食品処理ユニット200は、調理時間、撹拌速度、加熱温度、分配すべき材料の量などに関するタスクスケジュール1000に従って、材料を調理するよう作動する。
【0210】
任意の処理ステップ718によれば、制御システム500は、ユーザインターフェイスを介して使用者に通知を送信し、所望の食品が調理済みであることを知らせることができる。
【0211】
一実施形態において、通知は、タッチスクリーンを介して提供する。
【0212】
代替的な実施形態において、通知は、スマートフォン、タブレット、又はラップトップを介して提供する。
【0213】
方法700の処理ステップ702を再度参照すると、制御システム500は、インターネットを介して、多数のレシピがリストされたレシピデータベース800に接続されている。更に、
図15に示すように、制御システム500は、キーワード、及びレシピデータベース800にリンクされたレシピコミュニティ802の推奨に基づいて、特定のレシピを使用者に提案することができる。例えば、使用者がユーザインターフェイスを介してキーワードを入力すると、レシピデータベース800がレシピのリストを生成し、そのリストの各レシピは、レシピコミュニティ802を介して他の使用者によって格付けされている。従って、使用者は、あるレシピが推奨されているか否かを判定すると共に、そのレシピを試すか否かを決定することができる。レシピデータベース800は、レシピコミュニティ802における他の使用者がレシピを追加及び/又は修正することによって更新することもできる。
【0214】
代替的な実施形態において、制御システム500は、使用者のプロファイル及び好みに基づいて、ランダム化した食品スケジュールを自動的に生成することができる。
【0215】
方法700の処理ステップ710を再度参照すると、制御システム500は、システム100の在庫情報900に従って、選択したレシピに関して全ての材料が使用可能か否かを判定する。
【0216】
少なくとも1種の材料が不足している場合、方法700の処理ステップ712に示すように、少なくとも1種の不足材料に関する情報を使用者に提供する。
【0217】
図16の902を参照すると、少なくとも1種の不足材料をシステム100の近傍に供給後、使用者は、真空バッグ又は缶をそのままにしつつ、材料の一部を少なくとも1個の食品容器に移す。次いで、制御システム500によって収集要素400が作動して、少なくとも1個の食品容器、供給した真空バッグ又は缶を把持し、上側及び/又は下側保管コンパートメント206,204、冷蔵庫110、又は冷凍庫120に配置する。
【0218】
移動機構402は、制御システム500によって作動する。この場合、食品容器の近傍に位置するまでタイミングベルト410を変位させるモータ412が回転することにより、収集要素400が少なくとも1個の食品容器に位置合わせされるよう垂直方向に移動する。第1及び第2継手424,432は、ステッピングモータ426,436により回転し、またエンコーダ430,438は、掴み部材600を少なくとも1個の食品容器に近接するよう搬送するために、中間部材及び遠位部材418b,418cの位置及び動きに関する最新の空間情報を提供する。次いで、掴み部材600は、食品容器を把持するために制御システム500によって作動する。サーボモータ604a,604bは、把持アセンブリ612を位置決めして食品容器の把持が可能になるよう作動する。サーボモータ620は、把持部616a,616bを食品容器に押し付けるよう作動する。収集要素400はその後、食品容器を識別カメラ302の下方に位置決めして、食品容器上に位置する識別手段306を識別するよう作動する。更に、ロードセル602a,602bは、搬送した食品容器の重量を制御システム500に提供する。これにより、システム100の在庫情報900が更新される。
【0219】
次いで、収集要素400が搬送する各食品容器は、材料を低温で保管する必要があるか否かに応じて、上側及び/又は下側保管コンパートメント206,204における複数の引き出し内、冷蔵庫110内、又は冷凍庫120内に保管される。これらステップは、食品容器がシステム100の近傍からなくなるまで行われる。
【0220】
図16の906において、使用者が家具ユニット202、冷蔵庫110及び/又は冷凍庫120から食品容器を取り出すと、識別カメラ302は、取り出された食品容器を識別し、食品容器が家具ユニット202内、冷蔵庫110内、又は冷凍庫120内に再度取り入れられると在庫情報が更新される。使用者が取り出された食品容器を再度取り入れない場合、制御システム500は、不足食品容器に関する在庫情報を更新する。使用者が食品容器を家具ユニット202の引き出し内、冷蔵庫110内、又は冷凍庫120内に再度取り入れる場合、識別カメラ302は、食品容器が再び保管されるときに食品容器の識別手段306を識別する。次いで、収集要素400は、再度取り入れられた食品容器を把持するよう作動し、ロードセル602a,602bが食品容器内における材料の重量を制御システム500に提供する。
【0221】
方法700の処理ステップ714を再度参照すれば、必要な材料が全て使用可能になると、制御システム500は、所望の食品を調製及び調理するためのタスクスケジュール1000を生成する。
図17は、例示的なタスクスケジュール1000を示す。タスクスケジュール1000は、各ステップを実施すべき時間を提供し、適切な材料の適切な分配量を指定し、調理装置を使用すべき順序、調理装置が実施すべき機能(例えば、ブレンド、スチーミング、混合)、調理温度を指定する。
【0222】
一実施形態において、冷凍庫120内に配置された食品容器が解凍を必要とする場合、タスクスケジュール1000は、材料を調製及び/又は調理する前の解凍時間を考慮に入れる。
【0223】
方法700の処理ステップ716を再度参照すれば、タスクスケジュール1000が実施されると、制御システム500は、タスクスケジュール1000の各ステップに従って、収集要素400及び食品処理ユニット200を作動させる。
図18に示すように、制御システム500は、選択したレシピを実施するのに必要な少なくとも1個の食品容器の現在位置を取得する。移動機構402が作動して、収集要素400が適切な食品容器に位置合わせされる。適切な食品容器は、掴み部材600によって把持され、食品処理ユニット200に搬送される。次いで、食品容器は、食品容器開放機構212のキャビティ213内に配置される。キャビティ213内に配置かつ維持されると、掴み部材600が食品容器の蓋を取り外す。制御システム500はその後、サーボモータ604a,604bを作動させて、シャフト606a,606b,610を回転させ、材料を分配するために食品容器を傾ける。
【0224】
材料が食品処理ユニット200に分配されると、システム100の在庫情報900が更新される。
図16の904に示すように、食品容器内における材料の重量変化は、ロードセル602a,602bによって制御システム500に提供される。
【0225】
一実施形態において、制御システム500は、サーボモータ604a,604bを作動させて把持アセンブリ612を回転させ、また食品容器が堅固に把持されるようサーボモータ620を作動させて把持部616a,616bを食品容器に押し付ける。
【0226】
一実施形態において、食品容器は、選択したレシピで使用するために解凍する必要がある。収集要素400と協働する移動機構402は、食品容器を冷凍庫120から把持して、解凍するために冷蔵庫110内に搬送する。
【0227】
真空バッグが使用される場合、移動機構402は、収集要素400と協働して、吸引アセンブリ650を真空バッグ上に位置決めする。真空が形成されると、真空バッグがしっかりと把持される。真空バッグはその後、食品処理ユニット200に搬送される。収集要素400は、掴み部材600と協働して、真空バッグを真空調理器210上に配置し、また制御システム500は、吸引アセンブリ650内の真空圧をオフにして真空調理器210内に真空バッグを落下させる。
【0228】
一実施形態において、液体であれば、掴み部材600のシャフト606a,606b,610がゆっくりと回転する。
【0229】
一実施形態において、粉末及びハーブであれば、食品容器は、シャフト610によって180°回転すると共に、振動モータ630によって振られる。
【0230】
一実施形態において、室温で固形物(例えばパスタ又は米、冷たい料理用の冷凍品、例えばシャーベット用の冷凍フルーツ、又は温かい料理用の冷凍品、例えばスープ用の野菜)であれば、シャフト610は適度に回転し、食品容器は振動モータ630によって振られる。
【0231】
上述したステップは、選択したレシピにおける全ての材料が食品処理ユニット200に分配されるまで繰り返される。
【0232】
制御システム500は、タスクスケジュール1000で提供される情報に従って、例えば、撹拌又は調理などの異なる調理モード、異なる調理温度を指定することにより、調理装置208a,208bを管理する。
【0233】
真空密封された材料、例えば上述した真空密封された真空バッグを受け入れるよう構成された真空調理器210における水容器の温度は、制御システム500によって制御されることが理解されよう。
【0234】
当業者であれば、ユーザインターフェイスにより、複数の使用者を登録できることが理解されるであろう。この構成において、制御システム500は、各使用者の好みを保存可能であるため、以前の食品に従って使用者に提案をすることができる。
【0235】
当業者であれば、代替的な実施形態において、システム100は、本発明の範囲内で、飲料の調理をするために想定可能なことを理解するであろう。
【0236】
他の代替的な実施形態において、収集要素400は、多軸ロボットの一部を含むことが理解されよう。
図19は、そのような実施形態を示す。
【0237】
一実施形態において、多軸ロボットは、六軸ロボットを含む。この実施形態においては更に、六軸ロボットは、インターネット・ウェブサイトhttps://www.universal-robots.com/products/ur5-robot/に開示されているユニバーサルロボット社のUR5とする。
【0238】
他の実施形態においては更に、収集要素400は、所定のタイプのロボットと他のタイプのロボットとの組み合わせで構成されたロボットの一部を含むことが理解されよう。例えば、デカルト座標系における垂直軸線及び水平軸線に適合させて三軸アームを取り付けることが可能である。
【0239】
上述されてはいないが、本明細書に開示されたシステムは、有害であり得る構成要素(例えば収集要素400)に近接した人の存在を検出するための装置を更に備え得ることが理解されよう。当業者であれば、人の存在を検出するための装置は、システムの作動によって生じるあらゆる事故を回避するのに極めて重要であり得ることを理解するであろう。当業者であれば更に、人の存在を検出するための装置が様々な実施形態に従って提供可能なことを理解するであろう。一実施形態において、人の存在を検出するための装置は、赤外線検出器を含むことができる。他の実施形態において、システムに近接した人の存在を検出するための装置は、近接センサを含むことができる。他の代替的な実施形態においては、例えば、インターネット・ウェブサイトhttps://www.bannerengineering.com/sg/en/products/machine-safety.htmlに開示されている安全ライトカーテン及びレーザスキャナを使用することができる。
【0240】
また、一実施形態において、上述したシステム100は、更にカメラ(図示せず)を備え得ることが理解されよう。この場合にカメラは、制御システム500に作動接続され、食品処理ユニット200、複数の食品容器、及び収集要素400の少なくとも1個に関連する位置決めデータを提供する。当業者であれば、このことが、食品処理ユニット200、複数の食品容器、及び収集要素400の少なくとも1個の変位を監視するのに極めて重要であり得ることを理解するであろう。
【0241】
当業者であれば、一実施形態において、制御システムは、支払い端末、タッチスクリーン、QRコード(登録商標)リーダ、及びバーコードスキャナの少なくとも1つを含むPOS(ポイント・オブ・セールス)システムに作動接続されていることを理解するであろう。そのような実施形態において、使用者は、POSシステムでトランザクションが実行されると、システム100を作動させることができる。
【0242】
一実施形態において、収集要素400は、フェンスで包囲された領域内に位置していることが理解されよう。また、フェンスで包囲された領域の少なくとも一部は、使用者が調理過程を観察可能にするのに適した透明材料を含むことができることも理解されよう。更に、一実施形態において、フェンスで包囲された領域の少なくとも一部は、人が処理ユニットにアクセス可能な寸法及び形状の開口を含み得ることが理解されよう。これは、フェンスで包囲された領域へのアクセスを限定しながらも安全性を確保するのに極めて有利であり得る。当業者であれば、様々な代替的な実施形態が実現可能であることを理解するであろう。
【0243】
本明細書に開示されたシステムは、様々な理由により大きな利点を有することが理解されよう。
【0244】
実際、上述した開示内容に加えて、本明細書に開示されたシステムの他の利点は、人の調理行動を模倣しようとするロボットを含まないことである。例えば、ロボットの指先又はロボットの手が保持したスプーンを使用して、人のように塩を正確に分配するのは現在の技術では極めて困難であるか不可能である。
【0245】
上述したシステムの他の利点は、多機能調理装置を有利に使用することにより、複雑な料理を調理するのに必要なハードウェア構成要素の個数が限定的だということである。システムの他の利点は、大量のレシピの調理を可能にすることである。この点は、ブレンダー、調理器などの標準的な食品調理装置では不可能であるか、又は多数のハードウェア構成要素を必要とするために極めて煩雑である。例えば、ロボットを使用して、タマネギ、ニンニク、又はハーブのみじん切りを、みじん切り用の装置から調理装置に移動させることは非常に困難な場合がある。
【0246】
上述した実施形態は、単なる例示に過ぎない。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
[付記]
【0247】
〔第1項〕
選択されたレシピに従って食品を自動的に調理するためのシステムにおいて、
混合、撹拌、及びみじん切りより成る群から選択される第1食品調理タスク、並びに加熱を含む第2食品調理タスクを行うよう構成された少なくとも1個の多機能調理装置を有する、一連の食品調理タスクを実行するための食品処理ユニットと、
所定の材料を保存するための複数の食品容器と、
前記選択された所定の食品容器を識別するための識別ユニットと、
収集要素であって、該収集要素の近傍に位置する前記複数の食品容器、又は前記収集要素の近傍における冷蔵庫又は冷凍庫内に位置する他の複数の食品容器から、選択された所定の食品容器を収集し、前記選択された所定の食品容器を把持するための掴み部材を有し、実質的に垂直な軸線に沿って移動可能な前記収集要素と、
前記食品処理ユニット、前記識別ユニット、及び前記収集要素に接続されると共に、前記食品処理ユニット及び前記収集要素を管理して、選択されたレシピに従って食品を調理する制御システムと、
を備えるシステム。
【0248】
〔第2項〕
付記第1項に記載のシステムにおいて、前記食品処理ユニットが、通常の調理タスク又は真空食品調理タスクを実行するよう構成された水調理器を更に有するシステム。
【0249】
〔第3項〕
付記第2項に記載のシステムにおいて、食品容器開放機構を更に備えるシステム。
【0250】
〔第4項〕
付記第1項に記載のシステムにおいて、家具ユニット内に、少なくとも1個の食品容器が保管されているシステム。
【0251】
〔第5項〕
付記第4項に記載のシステムにおいて、前記家具ユニットが、少なくとも1個の対応する食品容器を保管するための少なくとも1つの保管コンパートメントを有するシステム。
【0252】
〔第6項〕
付記第5項に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの保管コンパートメントにおける少なくとも1つの保管区画が、少なくとも1個の食品容器を保管するための少なくとも1つの引き出しを有するシステム。
【0253】
〔第7項〕
付記第1項に記載のシステムにおいて、前記複数の各食品容器が、対応する識別手段を有するシステム。
【0254】
〔第8項〕
付記第7項に記載のシステムにおいて、各識別手段が、SKUバーコード、RFIDタグ、グラフィック要素、QRコード(登録商標)、及びテキストより成る群から選択されているシステム。
【0255】
〔第9項〕
付記第8項に記載のシステムにおいて、前記グラフィック要素が、アイコン及びシンボルの少なくとも1つを含むシステム。
【0256】
〔第10項〕
付記第1~9の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記識別ユニットが、前記少なくとも1個の食品容器における前記識別手段を識別するための識別カメラを有するシステム。
【0257】
〔第11項〕
付記第1~10の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記収集要素が、水平面内で変位可能な少なくとも1個の部材を有するシステム。
【0258】
〔第12項〕
付記第4~6の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記収集要素が、
実質的に垂直な軸線に沿って変位可能な近位部材と、
水平面内で回転可能であると共に、前記近位部材に回転可能に結合された少なくとも1個の中間部材と、
前記水平面内で回転可能であると共に、前記少なくとも1個の中間部材に回転可能に結合され、選択された食品容器を把持するための掴み部材を有する遠位部材と、
を有するシステム。
【0259】
〔第13項〕
付記第1~12の何れか一項に記載のシステムにおいて、材料の対応する重量を測定するための少なくとも1個のロードセルを更に備えるシステム。
【0260】
〔第14項〕
付記第12及び13項に記載のシステムにおいて、前記近位部材が、モータを使用して前記少なくとも1個の中間部材に結合されているシステム。
【0261】
〔第15項〕
付記第12及び13項に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1個の中間部材及び前記遠位部材が、少なくとも1個のモータを使用して結合されているシステム。
【0262】
〔第16項〕
付記第14及び15項に記載のシステムにおいて、前記近位部材を前記少なくとも1個の中間部材に結合する前記モータ、及び前記少なくとも1個の中間部材を前記遠位部材に結合する前記モータが、それぞれ、前記少なくとも1個の中間部材及び前記遠位部材に関する空間情報を制御システムに提供するエンコーダを有するシステム。
【0263】
〔第17項〕
付記第12項に記載のシステムにおいて、前記近位部材が、家具ユニットの壁に沿って移動するシステム。
【0264】
〔第18項〕
付記第1~17の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記掴み部材が、選択された食品容器を把持又は解放する位置で回転するよう構成されると共に、第1回転軸線周り及び第2回転軸線周りで回転可能であり、前記第1回転軸線が、前記第2回転軸線に対して垂直であるシステム。
【0265】
〔第19項〕
付記第1~18の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記掴み部材が、可動手段によって作動する少なくとも2個の把持部を有し、該把持部のそれぞれが、選択された食品容器に接触する接触面を有し、少なくとも1個の把持部が、選択された食品容器を把持又は解放するよう移動可能であるシステム。
【0266】
〔第20項〕
付記第19項に記載のシステムにおいて、前記少なくとも2個の把持部のうちの少なくとも1個の把持部が、食品品質検出器を有するシステム。
【0267】
〔第21項〕
付記第19及び20項に記載のシステムにおいて、前記少なくとも2個の把持部のうちの少なくとも1個の把持部が、材料を分配するよう所定の食品容器を振る振動要素を有するシステム。
【0268】
〔第22項〕
付記第21項に記載のシステムにおいて、前記振動要素が、モータを有するシステム。
【0269】
〔第23項〕
付記第1項に記載のシステムにおいて、前記掴み部材が、真空を形成することによって適合面を把持するための吸引アセンブリを有するシステム。
【0270】
〔第24項〕
付記第1項に記載のシステムにおいて、前記制御システムが、ユーザインターフェイスを介して作動するシステム。
【0271】
〔第25項〕
付記第24項に記載のシステムにおいて、前記ユーザインターフェイスが、タッチスクリーン、音声認識ソフトウェア、アプリケーション・プラットフォーム、及びキーボードの少なくとも1つを含む群から選択されているシステム。
【0272】
〔第26項〕
付記第24及び25項に記載のシステムにおいて、前記制御システムが、無線接続を介して、使用者によって作動されるシステム。
【0273】
〔第27項〕
選択したレシピに従って食品を自動的に調理するための方法において、
少なくとも1種の材料を必要とする食品調理の指示を提供するステップと、
使用者が前記少なくとも1種の不足材料を供給可能か否かを決定するステップと、
レシピを選択するステップと、
前記選択したレシピを調理するために、前記少なくとも1種の必須材料が使用可能か否かを確認するステップと、
前記少なくとも1種の必要な材料が使用可能である場合、
前記食品調理のためのタスクスケジュールを取得するステップと、
付記第1~26の何れか一項に記載のシステムを使用して前記食品を調理するために、前記取得したタスクスケジュールを実施するステップと、
を含む方法。
【0274】
〔第28項〕
付記第27項に記載の方法において、食品調理の前記指示が、調理すべき食品に関する選択の指示、前記食品調理を完了するための所望の時間に関する指示、及び前記食品調理をすべきゲストの人数に関する指示を含む方法。
【0275】
〔第29項〕
付記第27及び28項に記載の方法において、前記システムが、前記使用者のプロファイルに基づいて、レシピをランダムに選択する方法。
【0276】
〔第30項〕
付記第29項に記載の方法において、前記使用者のプロファイルが、前記使用者が選択した少なくとも1つのレシピを含む方法。
【0277】
〔第31項〕
付記第27項に記載の方法において、少なくとも1種の必須材料が使用可能か否かを確認する前記ステップを、
収集要素であって、該収集要素の近傍に位置する選択した食品容器を把持するための変位可能な前記収集要素と、
前記選択した食品容器を把持するための前記収集要素における掴み部材と、
前記選択した食品容器の重量を測定すると共に、測定した前記重量を制御システムに送信するための前記収集要素における少なくとも1個のロードセルと、
前記把持した食品容器の識別手段を識別すると共に、前記把持した食品容器の情報を前記制御システムに送信するための識別ユニットと、
前記少なくとも1個のロードセル及び前記識別ユニットが提供する前記情報を受信すると共に、前記選択したレシピの実現可能性を評価するための前記制御システムと、
を使用することによって実施する方法。
【0278】
〔第32項〕
付記第31項に記載の方法において、前記収集要素及び前記識別ユニットが前記制御システムに送信する前記情報が、所定の食品容器に保管した材料の種類、該材料の消費期限、及び前記所定の容器の重量を含む方法。
【0279】
〔第33項〕
付記第27項に記載の方法において、前記使用者が前記少なくとも1種の不足材料を供給できない場合、少なくとも1種の代替的なレシピのリストを提供するステップを更に含む方法。
【0280】
〔第34項〕
付記第30項に記載の方法において、食品容器の識別手段を、SKUバーコード、RFIDタグ、グラフィック要素、QRコード(登録商標)、及びテキストの少なくとも1つを含む群から選択する方法。
【0281】
〔第35項〕
付記第27~34の何れか一項に記載の方法において、前記タスクスケジュールを実施すると、前記使用者に通知を提供するステップを更に含む方法。
【0282】
〔第36項〕
付記第1項に記載のシステムにおいて、前記収集要素が、多軸ロボットの一部を含むシステム。
【0283】
〔第37項〕
付記第36項に記載のシステムにおいて、前記多軸ロボットが、六軸ロボットを含むシステム。
【0284】
〔第38項〕
付記第1項に記載のシステムにおいて、前記収集要素が、リニアアクチュエータによって作動する複数のリニア接続部を有する多軸アームを含むシステム。
【0285】
〔第39項〕
付記第1~26の何れか一項に記載のシステムにおいて、該システムに近接した人の存在を検出するための装置を更に備えるシステム。
【0286】
〔第40項〕
付記第1~26の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記掴み部材が、食品との相互作用を回避するよう構成されているシステム。
【0287】
〔第41項〕
付記第1~5の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記識別ユニットが、前記制御システムに作動接続されたルックアップテーブルを有し、各食品容器に関して、それぞれの内容物及びそれぞれの物理的位置に関する情報を有するシステム。
【0288】
〔第42項〕
付記第1~26及び36~41の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記制御システムに作動接続され、前記食品処理ユニット、前記複数の食品容器、及び前記収集要素の少なくとも1個に関連する位置決めデータを提供するカメラを更に備えるシステム。
【0289】
〔第43項〕
付記第1~26及び36~42の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記食品処理ユニットが、USB接続、WLAN接続、ネットワークケーブル、及びブルートゥース(登録商標)接続の少なくとも1つを使用して前記制御システムに接続されているシステム。
【0290】
〔第44項〕
付記第1~26及び36~43の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記制御システムが、支払い端末、タッチスクリーン、QRコード(登録商標)リーダ、及びバーコードスキャナの少なくとも1つを含むポイント・オブ・セールスシステムに作動接続されているシステム。
【0291】
〔第45項〕
付記第1~26及び36~44の何れか一項に記載のシステムにおいて、前記収集要素が、フェンスで包囲された領域内に位置しているシステム。
【0292】
〔第46項〕
付記第45項に記載のシステムにおいて、前記フェンスで包囲された領域の少なくとも一部が、透明材料を含むシステム。
【0293】
〔第47項〕
付記第45及び46項に記載のシステムにおいて、前記フェンスで包囲された領域の少なくとも一部が、処理ユニットにアクセス可能な寸法及び形状の開口を含むシステム。