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特許7358383部屋の内面にライニングを取り付ける方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】部屋の内面にライニングを取り付ける方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/07 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
E04F13/07 E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020555845
(86)(22)【出願日】2018-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2018000292
(87)【国際公開番号】W WO2019228603
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/000281
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519434400
【氏名又は名称】クナウフ ギプス コマンディトゲゼルシャフト
(73)【特許権者】
【識別番号】520146857
【氏名又は名称】3ディー コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス-ペーター ベルネート
(72)【発明者】
【氏名】ゴットフリート フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス マルクバルト
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-132905(JP,A)
【文献】特開2008-274550(JP,A)
【文献】実開平04-030633(JP,U)
【文献】特開平11-303240(JP,A)
【文献】特開2016-069854(JP,A)
【文献】特開2005-264673(JP,A)
【文献】国際公開第2018/072278(WO,A1)
【文献】カナダ国特許発明第02135016(CA,C)
【文献】中国実用新案第206267449(CN,U)
【文献】西独国特許出願公開第03328165(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
E04B 1/82- 1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライニング(1)を部屋の内面(10)に取り付ける方法であって、
-前記内面(10)に適用される第1のライニングシート(1)を提供するステップと、
-複数の接着剤ドット(2)を前記内面(10)に塗布するステップと、
-前記第1のライニングシート(1)が前記接着剤ドット(2)を介して前記内面(10)に固定されるように、前記第1のライニングシート(1)を前記内面(10)に取り付けるステップと、を含み、
前記内面(10)は、穴あき建築パネルで作られており、
前記接着剤ドット(2)が、前記第1のライニングシート(1)と前記内面(10)との間の接触領域にのみ塗布されている方法。
【請求項2】
前記第1のライニングシート(1)を前記内面(10)に押し付けるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のライニングシート(1)を前記内面(10)に押し付けるステップは、ローラー、こてまたはブラシで実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の接着剤ドット(2)を塗布するステップは、前記複数の接着剤ドット(2)を含む転写シート(21)を前記内面(10)上に貼付し、前記転写シート(21)の剥離シートを除去して、前記複数の接着剤ドットを前記内面(10)に残すことを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記剥離シートを前記転写シート(21)から除去するステップは、熱の存在下で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第2のライニングシート(1)を、前記第1のライニングシート(1)に隣接する前記内面(10)に同様に取り付けるステップをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記取り付けられた第1のライニングシート(1)の縁部分と接触するように配置された前記接着剤ドット(2)をカバーテープ(4)で覆うステップをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第2のライニングシート(1)を、前記第1のライニングシート(1)に隣接する前記内面(10)に同様に取り付けるステップをさらに含み、前記第2のライニングシート(1)は、前記第1のライニングシート(1)に隣接する前記内面(10)に、前記シート同士が部分的に重なるように取り付けられる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のライニングシート(1)と重なる前記第2のライニングシート(1)を1回の切断で同時に切断するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
重なり合う前記第2のライニングシート(1)と前記第1のライニングシート(1)を切断するステップは、マーカーテープ(5)の貼付を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記カバーテープ(4)を取り外し、前記第2のライニングシート(1)と前記第1のライニングシート(1)の境界部分を前記内面(10)に押し付けるステップをさらに含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記内面(10)は、音響天井である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項による部屋の内面にライニングを取り付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、室内構造物のための方法の技術分野に関し、特に、部屋の壁または天井を覆うためのライニングを取り付けるための方法に関する。
【0003】
そのような方法は、例えば、音響天井にライニングを取り付ける場合に使用することができる。特に音響の天井または壁の構築において、穴あき建築パネル(すなわち穴あき石膏ボード)を適用することが知られている。そのような音響石膏ボードは、表面全体に広がってその中に形作られた複数の穿孔を有する。穿孔は視覚的に支配的であり、これは多くの用途にとって不利である。
【0004】
音響石膏ボードに成形された穿孔を覆うための通音性ライニングを提供することは、WO 2015 172 799 A1から知られている。光学的に閉じた表面を提供するために、通音性ライニングが、適用された音響石膏ボードに形作られた穴を覆うように取り付けられている。通音性ライニングは、フリース材料の第1のプライと、第1のプライと通音性ライニングが取り付けられる音響石膏ボードとの間に配置される第2のプライとを含む。
【0005】
原則として、通音性ライニングは、取り付けた音響石膏ボードに壁紙と同じ方法で取り付けられる。壁紙は、取り付ける前に壁紙を所定の長さに切断することにより、壁または天井にストリップで取り付けられる。
【0006】
従来の壁紙の取り付け方法とは異なり、このような通音性ライニングは、液体接着剤を使用して取り付けることはできない。これは、液体接着剤が通音性ライニングの表面を閉じ、空気の浸透を防ぐためである。この方法で取り付けられた通音性ライニングのもう1つの問題は、濡れた接着剤が乾燥後に影の領域を引き起こすことである。影の領域は、隣接する領域とは少し異なる色を持っているため、人間の目で簡単に認識できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、先行技術から知られている欠点を克服または少なくとも軽減する、室内表面の少なくとも一部を覆う室内表面のライニングを取り付ける方法を提供することである。特にそれは、液体接着剤を必要とせずに壁または天井にライニングを取り付けるための方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題は、独立請求項による、部屋の内面、すなわち壁または天井を覆うためのライニングを取り付ける方法によって解決される。好ましい技術的態様は、それぞれの従属請求項の主題を形成する。
【0009】
本発明は、部屋の内面にライニングを取り付ける方法を含む。この方法には次のステップが含まれる。
-内面に適用/取り付けられる第1のライニングシートを提供する、(およびその後)
-複数の接着剤ドットを内面または第1のライニングシートに塗布する、および(その後)
-第1のライニングシートが接着剤ドットを介して内面に固定されるように、第1のライニングシートを内面に取り付ける。
【0010】
複数の接着剤ドットを内面またはライニングシートに塗布することにより、液体接着剤の使用に関連する欠点が克服される。好ましくは、接着剤ドットは、感圧接着剤(すなわち、ホットメルト感圧接着剤)および/または温度活性化可能な接着剤である。接着剤ドットは、好ましくは、0.1~3.0mmのサイズ範囲を有する。それらは、例えば3~100dpi(インチあたりドット数)の規則的なパターンで配置できる。接着剤ドットは、好ましくは、10~150g/m2の接着剤ベース重量を有する。第1のライニングシートが接着剤ドットを介して内面に固定されるように、第1のライニングシートを内面に取り付けることで、影の領域が生じなくなる。複数の接着剤ドットを内面に塗布する代替案は、接着剤ドットがライニングと穴あき建築パネルの間の接触領域にのみ塗布され、ライニング表面全体を覆わないため、穴あき建築パネルの場合に特に有利である。
【0011】
好ましい技術的態様によれば、本方法は、第1のライニングシートを内面に押し付けるステップをさらに含む。特に感圧接着剤の接着剤ドットの場合、表面とライニングとの間の接着の強さは、圧力をかけることによって高めることができる。
【0012】
第1のライニングシートを内面に押し付けるステップは、ローラー、こてまたはブラシで実施されることが特に好ましい。こては、ライニングの取り付け中に通常すでに存在し、高圧を加えることを可能にするツールである。ブラシにより、非常に均一な方法で圧力をかけることができる。ローラーにより、柔らかい外面で圧力をかけることができる。
【0013】
別の有利な態様は、複数の接着剤ドットを有する転写シートを内面または第1のライニングシート上に貼付し、転写シートの一部である剥離シートを除去して、複数の接着剤ドットを内面または第1のライニングシートに残すことを含む、複数の接着剤ドットを塗布するステップに関する。転写シートにより、接着剤ドットを剥離シートに「すぐに適用できる」ように保存できるため、接着剤ドットはライニングを取り付ける直前に塗布できる。好ましくは、剥離シートは、シリコーン紙またはシリコーンホイル製である。しかしながら、剥離シートは、内面またはライニングシートに適用されたときに接着剤ドットを剥離するのに適した任意の材料で作ることができる。
【0014】
好ましくは、剥離シートを転写シートから除去するステップは、熱の存在下で行われる。転写シートを内面またはライニングシートに適用した後、転写シートが適用された表面から剥離シートが剥がされ、このとき接着剤ドットは表面に付着したままである。熱は、ドライヤー、すなわちヘアドライヤーまたは赤外線ヒーターを使用して加えることができる。
【0015】
この方法は、取り付けられた第1のライニングシートの縁部分と接触するように配置された接着剤ドットをカバーテープで覆うステップをさらに含むことが特に好ましい。カバーテープは、接着剤ドットが内面とライニングに同時に付着するのを防ぐ。これにより、ライニングを部分的に表面に取り付けたまま、ライニングを適切なサイズに切断できる。残りのカバーテープは切断後に取り除かれ、第2および第1のライニングシートの縁が最終的に内面に接着される。
【0016】
別の特に好ましい態様によれば、この方法は、第2のライニングシートを、第1のライニングシートに隣接する内面に同様に取り付けるステップを含む。
【0017】
有利には、第2のライニングシートは、第1のライニングシートに隣接する内面に、シート同士が部分的に重なるように取り付けられる。重なりは、好ましくは、第1および第2のライニングシートのそれぞれの縁部分が平行に配置されるような方法である。それぞれの縁部分の最小重なり距離は0.5cmである。
【0018】
この方法は、第1のライニングシートと重なる第2のライニングシートを1回の切断で同時に切断するステップをさらに含むことが好ましい。例えば、カッター装置を使用することができる。重なり合った部分は一緒に押され、両方のシートが同時に、また重なり合っている間に切断される。つまり、1回の切断で同時に切断される。
【0019】
技術的に好ましい態様では、重なり合う第2のライニングシートと第1のライニングシートを切断するステップは、マーカーテープの貼付を含む。マーカーテープは、切断が実行されるラインに沿ってマーキングすることを可能にする。マーカーテープは、例えば、0.5cmから5cmの範囲の幅を有することができる。
【0020】
特に好ましくは、第1および第2のライニングシートの「二重」切断の後、カバーテープを取り外し、第2のライニングシートと第1のライニングシートの境界部分を内面に押し付けるステップが実行される。相補的に切断された縁により、ほとんど見えない境界部分が実現される。
【0021】
別の有利な態様によれば、既に取り付けられているライニングシートに隣接して、さらなるライニングシートを対応して取り付けることができる。
【0022】
内面は、穴あき建築パネルで作られた音響天井であることがさらに好ましい。音響天井の場合、第1のライニングシートと重なる第2のライニングシートを1回の切断で同時に切断するステップは、隣接する穿孔に接する天井パネルのブリッジ部分に沿って実行されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1a】本発明の方法によるライニングが取り付けられている天井の一部を下から見た図である。
図1b】本発明の方法によるライニングが取り付けられている天井の一部を下から見た図である。
図1c】本発明の方法によるライニングが取り付けられている天井の一部を下から見た図である。
図1d】本発明の方法によるライニングが取り付けられている天井の一部を下から見た図である。
図1e】本発明の方法によるライニングが取り付けられている天井の一部を下から見た図である。
図1f】本発明の方法によるライニングが取り付けられている天井の一部を下から見た図である。
図1g】本発明の方法によるライニングが取り付けられている天井の一部を下から見た図である。
図1h】本発明の方法によるライニングが取り付けられている天井の一部を下から見た図である。
図2】複数のライニングシートが取り付けられた部屋の天井である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して本発明についてより詳細に説明する。図面全体を通して、同様の参照番号は同様の特徴を示す。
【0025】
図1aから図1hにおいて、部屋の内面10にライニングを取り付ける方法は、部屋の天井面10の一部にライニングを取り付けることによって例示される。
【0026】
図1aでは、複数の接着剤ドット2が内面10に塗布されている。複数の接着剤ドット2を塗布するステップは、複数の接着剤ドット2を含む転写シート21を内面10上に貼付し、転写シート21の剥離シートを除去して、複数の接着剤ドットを内面10に残すことを含む。あるいは、接着剤ドット2を第1のライニングシート1に塗布することも可能である。転写シート21は、接着剤ドット2が付着したシリコン紙製の剥離シート21を備えている。転写シート21は、平行してストリップ状に適用することができ、転写シート21の除去は、例えば、ヘアドライヤーを使用することにより、熱の存在下で行われる。あるいは、転写シートは、他の任意の都合のよいサイズを有することができる。
【0027】
図1bは、取り付けられた第1のライニングシート1の縁部分と接触するように配置された接着剤ドット2をカバーテープ4で覆うステップを示している。
【0028】
図1cは、第1のライニングシート1が接着剤ドット2を介して内面10に固定されるように、第1のライニングシート1を内面10に取り付けるステップを示している。カバーテープ4と重なる第1のライニングシート1の縁部分は、まだ内面10に固定されていない。
【0029】
図1dは、第2のライニングシート1を、第1のライニングシート1に隣接する内面10に同様に取り付けるステップを示している。第2のライニングシート1は、第1のライニングシート1に隣接する内面10に少なくとも部分的に取り付けられる。第1および第2のライニングシートの縁は部分的に重なり合う。
【0030】
図1eは、ライニング1の縁部分の上部にマーカーテープ5を貼り付けることを示している。マーカーテープ5は、それに沿って切断が実行される切断ラインを示す。実際の切断は、例えば、その縁の1つに沿って行うことができる。内部天井が穿孔のある音響パネルでできている場合、好ましくは、穿孔音響パネルの隣接する穿孔に接するブリッジ部分に沿って切断が行われる。切断は、カバーテープ4の中央で、またはその縁の1つに沿って行うことができる。
【0031】
図1fは、第1のライニングシート1と重なる第2のライニングシート1を1回の切断で同時に切断するステップを示している。図1gは、切断後のカバーテープ4の除去を示し、本図では、カバーテープ4は、ライニングの縁の間から半分引き出されている。カバーテープ4が取り除かれた後、ライニングの縁は、前に覆われていた接着剤ドットに取り付けられる。
【0032】
図1hは、切断およびカバーテープの除去後のライニングの隣接するストリップが取り付けられた部屋の天井10を示している。
【0033】
図2では、複数のライニング1が取り付けられた部屋の天井10が示されている。部屋は、そのような部屋のライニングの配置を例示するために、窓11およびドア12を有する。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図1h
図2