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▶ サウジ アラビアン オイル カンパニーの特許一覧

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  • 特許-地震画像の向上 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】地震画像の向上
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/30 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
G01V1/30
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020556249
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019024763
(87)【国際公開番号】W WO2019199487
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】15/952,615
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ソン
(72)【発明者】
【氏名】フェイ,トン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,イー
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4208732(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/109589(US,A1)
【文献】特開2002-139574(JP,A)
【文献】国際公開第2013/149126(WO,A1)
【文献】米国特許第5191557(US,A)
【文献】田中 豊,地震探査データに基づく深度予測,石油の開発と備蓄 ’96・2,日本,45頁~66頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-15/00;99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の地震トレースを含む地震ギャザを受け取るステップであって、前記地震トレースは震源位置で放ったショットに対応する各受振器での記録データである、地震ギャザを受け取るステップと;
前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースに基づいて特徴トレースを生成するステップであって、前記特徴トレースは前記地震ギャザにおける前記複数の地震トレースの代表的なものである、特徴トレースを生成するステップと;
前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースのそれぞれに対して、
当該地震トレースと前記特徴トレースとに基づいて相関トレースを生成するステップであって、前記相関トレースは相関係数の集合を含み、それぞれの相関係数は(i)前記特徴トレースのセグメントと当該地震トレースのセグメントとの内積と(ii)相関ウィンドウの大きさとを用いて計算され、前記相関ウィンドウの大きさは前記特徴トレース又は当該地震トレースの長さよりも小さ前記相関トレースは前記地震トレースを前記特徴トレースと相関させる、相関トレースを生成するステップと、
活性化関数を用いて前記相関トレースを変更するステップと、
当該地震トレースに前記変更された相関トレースを乗ずることにより、向上したトレースを生成するステップと、を備える、
コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記地震ギャザは、マイグレーションが行われた共通イメージギャザである、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記特徴トレースは、前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースを足し合わせることによって生成される、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記活性化関数はシグモイド関数である、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記変更された相関トレースは、当該地震トレースの不要な成分を減らす、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記向上したトレースに基づいて地震画像を生成するステップと;
前記地震画像に基づいて掘削パラメータを生成するステップと;を更に備える、
請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
コンピュータシステムによって動作を実行可能な1つ以上の命令が格納された、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記動作は:
複数の地震トレースを含む地震ギャザを受け取るステップであって、前記地震トレースは震源位置で放ったショットに対応する各受振器での記録データである、地震ギャザを受け取るステップと;
前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースに基づいて特徴トレースを生成するステップであって、前記特徴トレースは前記地震ギャザにおける前記複数の地震トレースの代表的なものである、特徴トレースを生成するステップと;
前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースのそれぞれに対して、
当該地震トレースと前記特徴トレースとに基づいて相関トレースを生成するステップであって、前記相関トレースは相関係数の集合を含み、それぞれの相関係数は(i)前記特徴トレースのセグメントと当該地震トレースのセグメントとの内積と(ii)相関ウィンドウの大きさとを用いて計算され、前記相関ウィンドウの大きさは前記特徴トレース又は当該地震トレースの長さよりも小さ前記相関トレースは前記地震トレースを前記特徴トレースと相関させる、相関トレースを生成するステップと、
活性化関数を用いて前記相関トレースを変更するステップと、
当該地震トレースに前記変更された相関トレースを乗ずることにより、向上したトレースを生成するステップと、を備える、
非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項8】
前記地震ギャザは、マイグレーションが行われた共通イメージギャザである、
請求項7に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項9】
前記特徴トレースは、前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースを足し合わせることによって生成される、
請求項7に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項10】
前記活性化関数はシグモイド関数である、
請求項7に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項11】
前記変更された相関トレースは、当該地震トレースの不要な成分を減らす、
請求項7に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項12】
前記動作は:
前記向上したトレースに基づいて地震画像を生成するステップと;
前記地震画像に基づいて掘削パラメータを生成するステップと;を更に備える、
請求項7に記載の非一時的なコンピュータ読取可能な媒体。
【請求項13】
1つ以上のコンピュータと;
前記1つ以上のコンピュータと相互に利用可能に結合され、前記1つ以上のコンピュータによって実行されたときに1つ以上の動作を行う1つ以上の命令が格納された、有形の非一時的な機械読取可能な媒体を有する1つ以上のコンピュータメモリ装置と;を備え、前記1つ以上の動作は:
複数の地震トレースを含む地震ギャザを受け取るステップであって、前記地震トレースは震源位置で放ったショットに対応する各受振器での記録データである、地震ギャザを受け取るステップと;
前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースに基づいて特徴トレースを生成するステップであって、前記特徴トレースは前記地震ギャザにおける前記複数の地震トレースの代表的なものである、特徴トレースを生成するステップと;
前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースのそれぞれに対して、
当該地震トレースと前記特徴トレースとに基づいて相関トレースを生成するステップであって、前記相関トレースは相関係数の集合を含み、それぞれの相関係数は(i)前記特徴トレースのセグメントと当該地震トレースのセグメントとの内積と(ii)相関ウィンドウの大きさとを用いて計算され、前記相関ウィンドウの大きさは前記特徴トレース又は当該地震トレースの長さよりも小さ前記相関トレースは前記地震トレースを前記特徴トレースと相関させる、相関トレースを生成するステップと、
活性化関数を用いて前記相関トレースを変更するステップと、
当該地震トレースに前記変更された相関トレースを乗ずることにより、向上したトレースを生成するステップと、を備える、
コンピュータ実装システム。
【請求項14】
前記地震ギャザは、マイグレーションが行われた共通イメージギャザである、
請求項13に記載のコンピュータ実装システム。
【請求項15】
前記特徴トレースは、前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースを足し合わせることによって生成される、
請求項13に記載のコンピュータ実装システム。
【請求項16】
前記活性化関数はシグモイド関数である、
請求項13に記載のコンピュータ実装システム。
【請求項17】
前記1つ以上の動作は:
前記向上したトレースに基づいて地震画像を生成するステップと;
前記地震画像に基づいて掘削パラメータを生成するステップと;を更に備える、
請求項13に記載のコンピュータ実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年4月13日に出願された米国特許出願第15/952,615号に基づく優先権を主張し、当該米国特許出願の記載内容を援用する。
【背景技術】
【0002】
1つ以上の地下層を含む対象領域のために、複数の震源位置において当該対象領域へ地震波を送り、複数の受振器位置で反射波を記録することによって、地震データを収集することができる。この地震データを用いて、対象領域の地下構造及び岩質を分析するための地震画像を構築でき、石油及びガスの効果的な探査を実行することができる。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、地震画像を向上させることを説明する。
【0004】
1つの実施において、地震ギャザを受け取る。前記地震ギャザは、複数の地震トレースを含む。特徴トレースが、前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースに基づいて生成される。前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースのそれぞれに対して、相関トレースが当該地震トレースと前記特徴トレースとに基づいて生成され、前記相関トレースが活性化関数を用いて変更され、向上したトレースが当該地震トレースに前記変更された相関トレースを乗ずることにより生成される。
【0005】
前述の実施を含む記載された主題の実施は、コンピュータにより実施される方法、非一時的なコンピュータ読取可能媒体、及びコンピュータにより実施されるシステムを用いて実施可能である。非一時的なコンピュータ読取可能媒体は、コンピュータにより実施される方法を実行するコンピュータ読取可能な命令を格納する。コンピュータにより実施されるシステムは、1つ以上のコンピュータと相互に利用可能に結合された1つ以上のコンピュータメモリ装置であって、1つ以上のコンピュータによって実行されたときにコンピュータにより実施される方法/非一時的なコンピュータ読取可能媒体に格納されたコンピュータ読取可能な命令を実行する命令を格納している有形の非一時的な機械読み取り可能な媒体を有する1つ以上のコンピュータメモリ装置を含む。
【0006】
本明細書で述べる主題は、特定の実施の形態で実施することにより、以下の利点のうちの1つ以上を実現することができる。記載のアプローチにより、地震データの不要成分(例えば、雑音又は信頼性の低いデータ)を減らし、信号対雑音比を改善して、最終的な地震画像の品質を向上させる。
【0007】
本明細書の主題の1つ以上の実施の詳細を、詳細な説明、請求項及び添付する図面に記載する。本主題の他の特徴、態様及び利点は、かかる詳細な説明、請求項及び添付する図面から当業者に対して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示のいくつかの実施による、地震画像を向上させるための例示のコンピュータ実装方法を示すフローチャートである。
【0009】
図2】本開示のいくつかの実施による、地震画像を向上させるためのデータ変換を示す概略図である。
【0010】
図3A】本開示による地震画像を示す図である。
図3B】本開示のいくつかの実施による、向上した地震画像を示す図である。
【0011】
図4】本開示のいくつかの実施による、記述されたアルゴリズム、方法、機能、プロセス、フロー、及び手順に関連付けられた計算機能を提供するために使用される例示のコンピュータ実装システムを説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
種々の図面における類似の参照番号及び記号は、同様の要素を指す。
【0013】
以下の詳細な説明は、地震画像を向上させることについて述べ、1つ以上の特定の実施の文脈において開示する主題を、当業者が作成し且つ使用できるように提示する。開示の実施に対して様々な改変、変更及び置換が可能であり、それは当業者にとって容易に明らかであろう。また、定義する一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施及び応用に適用できる。場合によっては、記載の主題を理解するうえで必要ではない1つ以上の技術的詳細は、そのような詳細が当業者の技術の範囲内である限り、記載する1つ以上の実施を不明瞭にしないようにして省略できる。本開示は、記載又は図示する実施に限定することを意図するのではなく、記載する原理及び特徴に矛盾しない最も広い範囲が付与されることを意図するものである。
【0014】
地震データは、複数の震源位置で対象領域(1つ以上の地下層を含む)へ地震波を送り、かつ、複数の受振器位置で反射波を記録することによって、当該対象領域に対して収集することができる。場合によっては、反射波に加えて、直接波、ダイビング波、及び表面波など、他の種類の波も記録されるかもしれない。データ処理を経て反射波が残され、他の種類の波は除去される。地震データを用いて、対象領域の地下構造及び岩質の情報をもたらす地震画像が構成され、原油及び天然ガスを含む可能性のある地層を明らかにすることができる。例えば、地震源は、受振器が反射波を記録するために、震源位置にショットを放つ(地震波を送る、発震する)ことができる。一つ一つのショットに対応する各受振器での記録データはトレースと呼ばれる。トレースは、一定の時間間隔で反射波をサンプリングして得られる反射波のサンプル値(標本値)を含むことができる。場合によっては、共通の幾何学的属性(例えば、共通の取得パラメータ)を共有する地震トレースの集合は地震ギャザ(トレースデータ)と呼ばれる。
【0015】
大まかに言えば、記載のアプローチにより、不要成分(雑音又は信頼性の低いデータなど)が最終的な地震画像の質を劣化させる可能性がある場合に、そうした不要成分を減らすことによって地震トレースの質が改善される。改善された地震トレースを用いて、向上した地震画像を生成することにより、坑井を効果的に掘削することができ、又は、掘削パラメータを生成して石油及びガスを探索することができる。実施によっては、1つ以上の地震ギャザを受け取る。各ギャザには複数の地震トレースが含まれる。各ギャザに対して、そのギャザ内の地震トレースを用いて特徴トレースが生成される。そのギャザ内の各地震トレースは、特徴トレースと相関して、相関係数の集合を含む相関トレースを生成する。相関トレースは、各相関係数に活性化関数を適用することによって変更される。変更された相関トレースは、特徴マップとも呼ばれる。各地震トレースは、元の地震トレースに特徴マップを乗じて更新される。更新された地震トレースに基づいて、向上した地震画像を生成できる。特徴マップを乗ずることによって、元のトレース内の不要成分は減少する。
【0016】
図1は、本開示のいくつかの実施による、地震画像を向上させるための例示のコンピュータ実装方法100を示すフローチャートである。説明を明確にするため、以下の記載は、本記載中の他の図との関連で方法100について一般的に述べている。しかし、方法100は、例えば、任意のシステム、環境、ソフトウェア、及びハードウェア、又は、必要に応じて、システムと、環境と、ソフトウェアと、ハードウェアとの組み合わせで実行できることが理解されよう。実施によっては、方法100の様々なステップを、並行に、組み合わせて、ループで、又は任意の順序で実行できる。
【0017】
ステップ102では、1つ以上の地震ギャザを受け取る。各地震ギャザには、共通の幾何学的属性(例えば、共通の取得パラメータ)を共有する複数の地震トレースが含まれる。実施によっては、受け取った地震ギャザは、マイグレーションを行った共通イメージギャザ(CIG)(例えばアングル領域CIG(ADCIG))である。各CIGは、固定表面位置に対応し得る。受け取ったCIGはマイグレーションの副産物であり得るし、デカルト座標系又は円筒座標系におけるすべての表面位置でのマイグレーションアルゴリズムによって生成できる。例えば、マイグレーション工程では、震源及び受振器の波動場をイメージングポイント(画像形成点)周りの逆オフセットと相関させることにより、最初に地下のオフセット領域CIG(ODCIG)が生成される。次に、線形ラドン変換を適用して、ODCIGからADCIGを生成する。場合によっては、CIG内のトレースは、時間又は深度の関数であり得る。当業者によって理解されるように、記載のアプローチは、ODCIG、ADCIG及び共通中点ギャザ(CMP)など、他の地震ギャザに適用され得る。方法100は、ステップ102からステップ104へ進む。
【0018】
ステップ104では、各ギャザに対して特徴トレースを生成する。実施によっては、ギャザの特徴トレースは、そのギャザ内のトレースを重ね合わせて又は足し合わせて生成できる。特徴トレースは、他の方法(例えば、教師あり機械学習)を用いて、又は単に外部震源から特徴トレースを取り入れて導き出すこともできる。特徴トレースとギャザ内のトレースとは、同数のデータサンプルを有することができる。特徴トレースは、ギャザの代表的な信号として機能する。方法100は、ステップ104からステップ106へ進む。
【0019】
ステップ106では、ギャザ内の各トレースに対し、そのトレースとそのギャザの特徴トレースとを用いて相関トレースを計算する。相関トレースには相関係数の集合が含まれる。次に、相関トレース内の各相関係数に活性化関数を適用することにより、相関トレースを変更する。変更された相関トレースは、特徴マップとも呼ばれる。ギャザ内の各トレースは、独自の特徴マップを有する。実施によっては、相関トレースは、元のトレースをそのギャザの特徴トレースと相関させることによって生成される。相関トレースは、時間又は深度の関数とすることができる。相関トレース内の各相関係数は、特徴トレースのセグメント(区分、部分)と元のトレースのセグメントの内積を表す。2つのセグメントは、特徴トレースと元のトレースとから別々に選択され、相関係数が属する時間にその中心がある。例えば、相関トレースは以下の式によって計算できる。
【数1】

ここで、A(it)は元のトレース、B(it)は特徴トレース、nwは相関ウィンドウの半分の大きさを表す。相関ウィンドウの大きさは、特徴トレース又は元のトレースの長さよりも小さく、ユーザ又はアルゴリズムにより指定できる。相関トレース内の相関係数の数は、特徴トレース及び元のトレースのデータサンプルの数と同じにすることができる。言い換えると、1つの元のトレースギャザが1つの相関トレースギャザを生成し、両方のギャザの大きさは同じである。
【0020】
ギャザ内のそれぞれの元のトレースに対して相関トレースを計算した後、活性化関数を相関トレースに適用して、その元のトレースの特徴マップを生成する。活性化関数は、相関トレース内の各相関係数に適用できる。実施によっては、活性化関数は、シグモイド関数(ロジスティック関数とも呼ばれる)又は他の種類の関数(正規化線形ユニットなど)とすることができる。活性化関数におけるパラメータは、元のトレースにおける不要成分を抑制するように調整することができる。例えば、シグモイド関数f(x)=1/(1+e-x)を使用することができ、特徴マップは以下の式によって生成できる。
【数2】

ここで、C(τ)は式(1)を用いて計算される。
【0021】
それぞれの元のトレースに対して特徴マップを計算した後、元のトレースに、サンプルごとに特徴マップを乗ずることによって、向上したトレースを生成する。特徴マップを乗ずることによって、元のトレースの不要な信号成分は減少する。先に説明したように、特徴トレースは、ギャザの代表的な信号成分又は所望の信号成分と見なすことができる。相関トレース内の相関係数は、元のトレースと特徴トレースとの類似性を示す。負の相関係数は、抑制されることになる元のトレースの不要な信号成分を示し、正の相関係数は、残されることになる元のトレースの所望の信号成分を示す。式(2)の活性化関数を適用することによって、負の相関係数C(τ)は特徴マップ値f(τ)≪1(1より非常に小さい)を提供し、正の相関係数C(τ)は特徴マップ値f(τ)≒1(1と近似的に等しい)を提供する。その結果、特徴マップを乗ずることによって、元のトレースの不要な信号成分は、より小さい特徴マップ値によって抑制されるが、所望の信号成分は残る。
【0022】
以下の例は、ステップ104及びステップ106で実行する操作を更に示す。ギャザは、A1,・・・A10で示す10個のトレースを有すると仮定する。各トレースは100個のデータサンプルを有する。例えば、第1のトレースにおけるデータサンプルをA1(0),・・・A1(99)で示し、第2のトレースにおけるデータサンプルをA2(0),・・・A2(99)で示し、以下同じように示す。ギャザに対する特徴トレースBは、10個のトレースを重ね合わせることによって生成される。特徴トレースBは、100個のデータポイントを有し、B(0),・・・,B(99)で示される。ここで、B(i)は以下による。
【数3】

第j(j番目)の元のトレースに対する相関トレースは、Cjで示す第jの相関トレースとも呼ばれ、式(1)を用いて生成される。第jの相関トレースCjは、100個のデータポイントを有し、Cj(0),・・・Cj(99)で示される。例えば、相関ウィンドウnwが20に等しいと仮定すると、式(1)を用いて、Cj(0)とCj(20)は、それぞれ以下のように計算される。
【数4】

第jの相関トレースは、活性化関数によって更に変更され、式(2)を用いて、fjとする第jの元のトレースの第jの特徴マップを生成する。第jの特徴マップは、100個のデータポイントを有し、fj(0),・・・,fj(99)で示される。ここで、fj(i)は以下による。
【数5】

jで示す、第jの元のトレースに対する第jの向上したトレースは、第jの元のトレースに第jの特徴マップを乗ずることによって生成される。第jの向上したトレースは、100個のデータポイントを有し、Ej(0),・・・,Ej(99)で示される。ここで、Ej(i)は以下による。
【数6】

向上したトレースEjは、元のトレースにおける不要な信号成分を減らすことによって、大きな信号対雑音比を有することができる。方法100は、ステップ106からステップ108へ進む。
【0023】
ステップ108では、向上したトレースに基づいて地震画像を生成する。例えば、同じギャザ内の向上したトレースが重ね合わされて、最終的なマイグレーションが行われた地震画像が形成される。地震画像は、地下構造又は岩質の情報をもたらし、見込みある石油及びガス層を明らかにする。地震画像に基づいて、油井を掘削することができ、又は、掘削パラメータを生成又は更新して石油及びガスを効果的に探査することができる。ステップ108の後、方法100は終了する。
【0024】
図2は、本開示のいくつかの実施による、地震画像を向上させるためのデータ変換を示す概略図200である。概略図200は、ギャザからの入力トレース202を含み、入力トレース202内の各ポイント212は、入力トレース202のデータサンプルを表す。ステップ106で説明したように、相関トレース204は、入力トレース202及び特徴トレースに基づいて生成される。相関トレース204の各データポイント214は、相関ウィンドウ内で、入力トレース202の複数のデータポイント212を用いて生成される。特徴マップ206は、相関トレース204の各データポイント214に活性化関数を適用することによって生成される。向上した出力トレース208は、特徴マップ206のデータポイント216に、入力トレース202のデータポイント212を、サンプルごとに乗ずることによって生成される。図2に示すように、入力トレース202、相関トレース204、特徴マップ206、及び出力トレース208は、同数のデータポイントを有する。
【0025】
図3A及び図3Bは、本開示のいくつかの実施による、向上した地震画像を示す図である。図3Aは、説明したアプローチを用いずに元の重ね合わされた地震画像300aを示し、図3Bは、説明したアプローチを用いて向上した重ね合わされた地震画像300bを示す。図3A中の矢印302は、不要な信号成分によって劣化した画像領域を示し、図3B中の矢印304は、説明したアプローチを用いて不要な信号成分を減らすことによって同じ画像領域が向上することを示す。
【0026】
図4は、本開示のいくつかの実施による、例示のコンピュータ実装システム400を説明するブロック図であり、記述されたアルゴリズム、方法、機能、プロセス、フロー、及び手順に関連付けられた計算機能を提供するために使用される。説明される実施において、システム400は、コンピュータ402と、ネットワーク430とを含む。
【0027】
図示されたコンピュータ402は、サーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ/ノートブックコンピュータ、無線データポート、スマートフォン、パーソナルデータアシスタント(PDA)、タブレットコンピュータ、又はこれらの内部にある一又は複数のプロセッサといった任意のコンピューティングデバイス、他のコンピューティングデバイス、あるいはこれらのコンピューティングデバイスの物理インスタンス又は仮想インスタンスを含むコンピューティングデバイスの組合せやこれらのコンピューティングデバイスの物理インスタンス又は仮想インスタンスの組合せを包含することを意図している。加えて、コンピュータ402は、入力デバイス(例えば、キーパッド、キーボード、タッチスクリーン、別の入力デバイス、又はユーザ情報を受け付けることができる入力デバイスの組み合わせ)と、コンピュータ402の操作に関連付けられた情報(例えば、グラフィカルタイプユーザインタフェース(UI)(又はGUI)又は他のUI上のデジタルデータ、ビジュアル、オーディオ、別の種類の情報、又は複数の種類の組み合わせの情報)を伝達する出力デバイスと、を含むことができる。
【0028】
コンピュータ402は、本開示で説明される主題を実行するために、分散コンピューティングシステムにおいて、クライアント、ネットワークコンポーネント、サーバ、データベース又は別のパーシスタンス、別の役割、又は複数の役割の組み合わせとして役割を果たし得る。図示のコンピュータ402は、ネットワーク430に通信可能に結合されている。いくつかの実施では、コンピュータ402の一又は複数のコンポーネントは、クラウドコンピューティングベースの環境、ローカル環境、グローバル環境、その他の環境、又は複数の環境の組み合わせを含む環境内において動作するように構成することができる。
【0029】
概して、コンピュータ402は、記載されている主題に関連付けられたデータ及び情報を受信し、送信し、処理し、格納し、又は管理するように動作可能な電子式コンピューティングデバイスである。いくつかの実施によれば、コンピュータ402は、アプリケーションサーバ、電子メールサーバ、ウェブサーバ、キャッシングサーバ、ストリーミングデータサーバ、別のサーバ、又は複数のサーバの組み合わせを含むサーバを含むことができ、又は当該サーバに通信可能に結合することができる。
【0030】
コンピュータ402は、ネットワーク430を介して(例えば、別のコンピュータ402上で実行しているクライアントソフトウェアアプリケーションから)リクエストを受けることができ、ソフトウェアアプリケーション又は複数のソフトウェアアプリケーションの組み合わせを用いて受信リクエストを処理することによって受信リクエストに応答することができる。加えて、リクエストは、コンピュータ402へ、内部ユーザ(例えば、コマンドコンソールから又は別の内部アクセス方法によって)、外部ユーザ又はサードパーティ、他のエンティティ、個人、システム、又はコンピュータから送ってもよい。
【0031】
コンピュータ402の各コンポーネントは、システムバス403を用いて通信することができる。いくつかの実施では、コンピュータ402のうちのいずれか又はすべてのコンポーネント(ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを含む)は、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)412、サービスレイヤ413、又はAPI412及びサービスレイヤ413の組み合わせを用いてシステムバス403上で通信(インタフェース接続)することができる。API412は、ルーチン、データ構造、及びオブジェクトクラスの仕様を含むことができる。API412は、コンピュータ言語に依存しない又は依存することができ、完全なインタフェース、又は単一の機能を示すことができ、或いは一組のAPIさえも示すことができる。サービスレイヤ413は、コンピュータ402に、又はコンピュータ402に通信可能に結合された他のコンポーネント(図示されているか否かにかかわらず)に、ソフトウェアサービスを提供する。コンピュータ402の機能は、このサービスレイヤ413を用いて、すべてのサービス消費者にアクセス可能であり得る。サービスレイヤ413によって提供されるサービスといったソフトウェアサービスは、定義されたインタフェースを介して再利用可能な定義された機能を提供する。例えば、そのインタフェースは、Java(登録商標)、C++、別のコンピューティング言語、又は複数のコンピュータ言語(拡張マークアップ言語(XML)フォーマット、別のフォーマット、又は複数のフォーマットの組み合わせでデータを提供するもの)の組み合わせで記述されたソフトウェアであり得る。コンピュータ402の統合コンポーネントとして示されているが、代替の実施は、コンピュータ402の他のコンポーネント又はコンピュータ402に通信可能に結合された他のコンポーネント(図示されているか否かにかかわらず)に関連して、スタンドアロンコンポーネントとしてAPI402又はサービスレイヤ413を説明することができる。さらには、API412又はサービスレイヤ413のいずれか又はすべての部分は、本開示の範囲から逸脱することなく、別のソフトウェアモジュール、企業アプリケーション、又はハードウェアモジュールの子モジュール又はサブモジュールとして実現することができる。
【0032】
コンピュータ402は、インタフェース404を含む。単一のインタフェース404として図示されているが、コンピュータ402の特定のニーズ、要求、又は特定の実施に従って2以上のインタフェース404を使用することができる。インタフェース404は、分散環境においてネットワーク430に通信可能に関連付けられた別のコンピューティングシステム(図示されているか否かにかかわらず)と通信するために、コンピュータ402によって使用される。一般に、インターフェ-ス404は、ネットワーク430と通信するように作動可能であり、ソフトウェア、ハードウェア、又はソフトウェア及びハードウェアの組み合わせにおいてエンコードされたロジックを含む。より具体的には、インタフェース404は、ネットワーク430又はインタフェース404のハードウェアが図示のコンピュータ402の内側及び外側において物理信号を送受信するように動作可能であるように、通信に関連付けられた一又は複数の通信プロトコルをサポートするソフトウェアを含むことができる。
【0033】
コンピュータ402は、プロセッサ405を含む。単一のプロセッサ405として図示されているが、コンピュータ402の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って、2以上のプロセッサ405を使用することができる。一般的には、プロセッサ405は、命令を実行し、データを操作して、コンピュータ402の動作、並びに本開示において説明された任意のアルゴリズム、方法、機能、プロセス、フロー、及び手順を実行する。
【0034】
コンピュータ402は、データベース406をも含み、データベース406は、コンピュータ402、ネットワーク430に通信可能に関連付けることができる別のコンポーネント(図示されているか否かにかかわらず)、又はコンピュータ402と別のコンポーネントとの組み合わせ、のためのデータを保持することができる。例えば、データベース406は、本開示に整合するデータを格納する、インメモリ、従来型、又は別の種類のデータベースであり得る。いくつかの実施では、データベース406は、コンピュータ402及び記述された機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って、二又はそれより多くの異なるデータベースタイプの組み合わせ(例えば、インメモリと従来型とのハイブリッドデータベース)であり得る。単一のデータベース406として図示されているが、同様の又は異なるタイプの二又はそれより多くのデータベースを、コンピュータ402及び記述された機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って使用することができる。データベース406は、コンピュータ402に統合した構成要素として示されているが、代替の実施では、データベース406は、コンピュータ402の外部にあってもよい。
【0035】
また、コンピュータ402は、メモリ407を含み、このメモリ407は、コンピュータ402、又はネットワーク430に通信可能に関連付けることができる別の1つ又は複数のコンポーネント(図示されているか否かにかかわらず)、又はコンピュータ402と別のコンポーネントとの組み合わせ、のためのデータを保持することができる。いくつかの実施では、メモリ407は、コンピュータ402及び記述された機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って二又はそれより多くの異なるタイプのメモリの組み合わせ(例えば、半導体及び磁気ストレージの組み合わせ)であり得る。単一のメモリ407として図示されているが、二又はそれより多くのメモリ407又は同様の若しくは異なるタイプのものを、コンピュータ402及び記述された機能の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に従って使用することができる。メモリ407は、コンピュータ402に統合したコンポーネントとして示されているが、代替の実施では、メモリ407はコンピュータ402の外部にあってもよい。
【0036】
アプリケーション408は、特に本開示で記述された機能に関して、コンピュータ402の特定のニーズ、要望、又は特定の実施に係る機能を、提供するアルゴリズムソフトウェアエンジンである。例えば、アプリケーション408は、一又は複数のコンポーネント、モジュール、又はアプリケーションとして機能できる。さらに、単一のアプリケーション408として図示されているが、アプリケーション408は、コンピュータ402上の複数のアプリケーション408として実施してもよい。加えて、コンピュータ402と一体として図示されているが、代替の実施では、アプリケーション408は、コンピュータ402の外部にあってもよい。
【0037】
また、コンピュータ402は、電源414を含むことができる。電源414は、ユーザによる交換可能又はユーザによる交換不可能に構成できる充電式又は非充電式バッテリを含むことができる。いくつかの実施では、電源414は、電力変換又は管理回路(再充電、スタンバイ、又は別の電力管理の機能を含む)を含むことができる。いくつかの実施では、電源414は、コンピュータ402を壁のソケットや別の電源に接続できる電源プラグを含み、これにより例えばコンピュータ402に電力を供給したり充電式バッテリを再充電したりすることができる。
【0038】
コンピュータ402を含むコンピュータシステムに関連付けられ、又は該コンピュータシステムの外部にあるいくつものコンピュータ402があってもよく、各コンピュータ402はネットワーク430を介して通信する。さらに、用語「クライアント」、「ユーザ」、及び他の適切な用語は、本開示の範囲から逸脱することなく、必要に応じて、交換可能に使用されてもよい。さらに、本開示では、多くのユーザが1台のコンピュータ402を使用できることや、1人のユーザが複数のコンピュータ402を使用できることを想定している。
【0039】
本主題の記載された実施は、1つ以上の特徴を、単独で又は組み合わせて、含めることができる。
【0040】
例えば、第1の実施において、コンピュータ実装方法は、複数の地震トレースを含む地震ギャザを受け取るステップと;前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースに基づいて特徴トレースを生成するステップと;前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースのそれぞれに対して、当該地震トレースと前記特徴トレースとに基づいて相関トレースを生成するステップと、活性化関数を用いて前記相関トレースを変更するステップと、当該地震トレースに前記変更された相関トレースを乗ずることにより、向上したトレースを生成するステップと、を備える。
【0041】
前述の又は他の説明された実施は、以下の特徴の1つ以上を、それぞれ、選択的に含むことができる。
【0042】
以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第1の特徴は、前記地震ギャザは、マイグレーションが行われた共通イメージギャザである。
【0043】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第2の特徴は、前記特徴トレースは、前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースを足し合わせることによって生成される。
【0044】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第3の特徴は、前記相関トレースは、当該地震トレースと前記特徴トレースとをウィンドウにわたって乗ずることによって生成される。
【0045】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第4の特徴は、前記活性化関数はシグモイド関数である。
【0046】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第5の特徴は、前記変更された相関トレースは、当該地震トレースの不要な成分を減らす。
【0047】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第6の特徴は、前記向上したトレースに基づいて地震画像を生成するステップと;前記地震画像に基づいて掘削パラメータを生成するステップと;を更に備える。
【0048】
第2の実施において、実行されたときにコンピュータが動作を行う命令が格納された、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体であって、前記動作は:複数の地震トレースを含む地震ギャザを受け取るステップと;前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースに基づいて特徴トレースを生成するステップと;前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースのそれぞれに対して、当該地震トレースと前記特徴トレースとに基づいて相関トレースを生成するステップと、活性化関数を用いて前記相関トレースを変更するステップと、当該地震トレースに前記変更された相関トレースを乗ずることにより、向上したトレースを生成するステップと、を備える。
【0049】
前述の又は他の説明された実施は、以下の特徴の1つ以上を、それぞれ、選択的に含むことができる。
【0050】
以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第1の特徴は、前記地震ギャザは、マイグレーションが行われた共通イメージギャザである。
【0051】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第2の特徴は、前記特徴トレースは、前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースを足し合わせることによって生成される。
【0052】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第3の特徴は、前記相関トレースは、当該地震トレースと前記特徴トレースとをウィンドウにわたって乗ずることによって生成される。
【0053】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第4の特徴は、前記活性化関数はシグモイド関数である。
【0054】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第5の特徴は、前記変更された相関トレースは、当該地震トレースの不要な成分を減らす。
【0055】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第6の特徴は、前記動作が、前記向上したトレースに基づいて地震画像を生成するステップと;前記地震画像に基づいて掘削パラメータを生成するステップと;を更に備える。
【0056】
第3の実施において、コンピュータ実装システムは、1つ以上のコンピュータと;前記1つ以上のコンピュータと相互に利用可能に結合され、前記1つ以上のコンピュータによって実行されたときに1つ以上の動作を行う1つ以上の命令が格納された、有形の非一時的な機械読取可能な媒体を有する1つ以上のコンピュータメモリ装置と;を備え、前記1つ以上の動作は:複数の地震トレースを含む地震ギャザを受け取るステップと;前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースに基づいて特徴トレースを生成するステップと;前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースのそれぞれに対して、当該地震トレースと前記特徴トレースとに基づいて相関トレースを生成するステップと、活性化関数を用いて前記相関トレースを変更するステップと、当該地震トレースに前記変更された相関トレースを乗ずることにより、向上したトレースを生成するステップと、を備える。
【0057】
前述の又は他の説明された実施は、以下の特徴の1つ以上を、それぞれ、選択的に含むことができる。
【0058】
以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第1の特徴は、前記地震ギャザは、マイグレーションが行われた共通イメージギャザである。
【0059】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第2の特徴は、前記特徴トレースは、前記地震ギャザ内の前記複数の地震トレースを足し合わせることによって生成される。
【0060】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第3の特徴は、前記相関トレースは、当該地震トレースと前記特徴トレースとをウィンドウにわたって乗ずることによって生成される。
【0061】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第4の特徴は、前記活性化関数はシグモイド関数である。
【0062】
前述の又は以下の特徴のいずれかと組み合わせ可能な第5の特徴は、前記1つ以上の動作が、前記向上したトレースに基づいて地震画像を生成するステップと;前記地震画像に基づいて掘削パラメータを生成するステップと;を更に備える。
【0063】
本明細書で記述された主題及び機能的な作動の実施は、デジタル電子回路、有形に具体化されたコンピュータのソフトウェア又はファームウェア、コンピュータハードウェアに、又はそれらの一又は複数の組み合わせで実施でき、これらデジタル電子回路、ソフトウェア、ファームウェア、及びコンピュータハードウェアは、本明細書に開示される構造及びそれらの構造的な同等物を含む。記載された主題のソフトウェアの実装は、一又は複数のコンピュータプログラム、つまり、コンピュータプログラム命令の一又は複数のモジュールとして実施されることができ、コンピュータプログラム命令は、コンピュータ又はコンピュータ実装システムによる実行のために、あるいはコンピュータ又はコンピュータ実装システムの動作を制御するために、有形の非一時的なコンピュータ読取可能媒体上にエンコードされている。代替的に又は追加的に、プログラム命令は、人工的に生成された伝播信号、例えば、マシン生成の電気的、光学的、又は電磁気的な信号にエンコードされ、この信号は、コンピュータ又はコンピュータ実装システムによる実行のために受振器装置への送信用の情報をエンコードするために生成される。コンピュータ記憶媒体は、機械により読取可能な記憶装置、機械により読取可能な記憶基板、ランダム若しくはシリアルアクセスのメモリデバイス、又はコンピュータ記憶媒体の組み合わせであり得る。1つ以上のコンピュータを構成することは、ソフトウェアが1つ以上のコンピュータによって実行されたときに特定のコンピュータ動作が実行されるように、1つ以上のコンピュータがハードウェア、ファームウェア、又はソフトウェア(又はハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアの組み合わせ)を設定することである。
【0064】
「リアル-タイム」、「リアル タイム」、「リアルタイム」、「リアル(ファースト)タイム(RFT)」、「ほぼリアルタイム(NRT)」、「準リアルタイム」、又は(当業者が理解する)類似の用語は、実質的に同時に生じている動作及び応答を個々が知覚するように、該動作及び応答が時間的に近接していることを意味する。例えば、データにアクセスするための個々の動作に続くデータの表示(又は表示の開始)に対する応答の時間差は、1ms(ミリ秒)未満、1秒未満、又は5秒未満であり得る。要求されたデータが、即時に表示(又は表示開始)される必要はないが、記述されたコンピューティングシステムの処理制限と、データを例えば収集し、正確に評価し、分析し、処理し、格納し、又は送信するために必要な時間とを考慮して、意図的な遅延なしに表示(又は表示開始)される。
【0065】
用語「データ処理装置」、「コンピュータ」、又は「電子コンピュータデバイス」(又は当業者によって理解される同等のもの)は、データ処理ハードウェアを指し、あらゆる種類の装置、デバイス、及びマシンを包含し、これらの種類は、データを処理するためのものであり、例示として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータを含む。コンピュータは、例えば、中央処理装置(CPU)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、又はASIC(特定用途向け集積回路)を包含する専用ロジック回路であるか、又はこれらを更に含むことができる。いくつかの実施では、コンピュータ若しくはコンピュータ実装システム、又は専用ロジック回路(又はコンピュータ若しくはコンピュータ実装システムと専用ロジック回路との組み合わせ)は、ハードウェア系又はソフトウェア系(又はソフトウェア系及びハードウェア系の両方の基づく組み合わせ)であり得る。コンピュータは、オプションとして、コンピュータプログラムの実行環境を生成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又は実行環境の組み合わせを構成するコード、を含むことができる。本開示は、いくつか種類のオペレーティングシステムを持つコンピュータ又はコンピュータ実装システムの使用を想定しており、オペレーティングシステムは、例えば、LINUX(登録商標)、UNIX(登録商標)、WINDOWS(登録商標)、MAC OS、ANDROID(登録商標)、IOS、他のオペレーティングシステム、又は複数のオペレーティングシステムの組み合わせである。
【0066】
コンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、ユニット、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、コード、又は他のコンポーネントとして参照され又は記述され得るものであり、コンパイル言語若しくはインタープリタ言語を含むプログラミング言語、又は宣言型若しくは手続き型の言語の形式で記載できる。コンピュータプログラムは、例えば、スタンドアロンプログラム、モジュール、コンポーネント、又はサブルーチンを含む任意の形式で、コンピューティング環境における使用のために、展開することができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応してもよいが、必ずしも対応する必要はない。プログラムは、他のプログラム又はデータ(例えばマークアップ言語ドキュメントに格納された一又は複数のスクリプト)を保持するファイルの一部に保存でき、又は問題のプログラム専用の単一ファイル内に保存でき、又は複数の連携したファイル、例えば一又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を格納するファイルに保存できる。コンピュータプログラムは、一つのコンピュータ上で実行されるように、又は、一のサイトに位置する又は複数のサイトに分散されて配置されて通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0067】
様々な図面に例示されたプログラムの部分は、様々なオブジェクト、方法、又は他のプロセスを利用して記載された特徴及び機能を実施するユニットやモジュールなどの個々のコンポーネントとして説明することができるが、プログラムは、それらの代わりに、いくつかのサブユニット、サブモジュール、サードパーティのサービス、コンポーネント、ライブラリ、及び他のコンポーネントを、必要に応じて含むことができる。逆に、様々なコンポーネントの機能及び特徴は、必要に応じて、単一のコンポーネントに組み合わせることができる。計算上の特定を為すために使用されたしきい値は、静的に、動的に、又は静的と動的との両方で特定できる。
【0068】
記載された方法、プロセス、又は論理フローは、本開示に合致した一又は複数の機能の例を表し、記載され又は説明された実施に制限する意図はなく、説明された原理及び特徴と一致する最も広い範囲が与えられることを意図している。記載された方法、プロセス、又は論理フローは、一又は複数のプログラム可能なコンピュータによって実行でき、該コンピュータは、入力データを操作して出力データを生成することによって機能を実行する一又は複数のコンピュータプログラムを実行する。方法、プロセス、又は論理フローは、特定用途のロジック回路、例えばCPU、FPGA、又はASICにより実行でき、またコンピュータも、特定用途のロジック回路、例えばCPU、FPGA、又はASICとして実施できる。
【0069】
コンピュータプログラムを実行するためのコンピュータは、汎用用途のマイクロプロセッサ又は特定用途のマイクロプロセッサ、この両方、又は他のタイプのCPUに基づくことができる。一般的には、CPUは、命令及びデータをメモリから受け取ると共にメモリに書き込むであろう。コンピュータの重要な要素は、命令を行い又は実行するためのCPU、及び命令及びデータを保存するための一又は複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータは、データを保存するための一又は複数の大容量記憶装置(例えば磁気、光磁気ディスク、又は光ディスク)を含み、或いはこれらの大容量記憶装置に動作可能に結合され、データを受信し、転送し、又はこの両方を行う。しかし、コンピュータは、そのようなデバイスを持つ必要はない。さらには、コンピュータは、別のデバイス(例えば携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオ若しくはビデオプレーヤー、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、又はポータブルメモリストレージデバイス)に組み込まれることができる。
【0070】
コンピュータプログラム命令及びデータを格納するのための非一時的なコンピュータ読取可能な媒体は、あらゆる形態の常設/非常設又は揮発/不揮発性のメモリ、媒体、及びメモリデバイスを含むことができ、これらは、手段として、例えば、半導体メモリデバイス(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、相変化メモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、及びフラッシュメモリデバイス)、磁気デバイス(例えば、テープ、カートリッジ、カセット、内部/リムーバブルディスク)、光磁気ディスク、光学メモリデバイス(例えば、デジタルバーサタイル/ビデオディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)-ROM、DVD+/-R、DVD-RAM、DVD-ROM、高解像度/密度(HD)-DVD、及びBLU-RAY(登録商標)/BLU-RAY DISC(BD))を含む。メモリは、様々なオブジェクト又はデータを格納することができ、オブジェクト又はデータは、キャッシュ、クラス、フレームワーク、アプリケーション、モジュール、バックアップデータ、ジョブ、ウェブページ、ウェブページテンプレート、データ構造、データベーステーブル、動的情報を格納するリポジトリ、又は他の適切な情報を包含しており、他の適切な情報は、任意のパラメータ、任意の変数、任意のアルゴリズム、任意の命令、任意のルール、任意の制約、又は任意の参照を含む。さらに、メモリは、ログ、ポリシー、セキュリティ又はアクセスのデータ、レポートファイルといった他の適切なデータを含むことができる。プロセッサ及びメモリは、特定用途ロジック回路によって補完され又は特定用途ロジック回路に組み込むことができる。
【0071】
ユーザとのインタラクション(やりとり)を提供するために、本明細書で記載された主題の実施は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス(例えばCRT(陰極線管)、LCD(液晶ディスプレイ)、LED(発光ダイオード)、又はプラズマモニター)と、ユーザがコンピュータに入力することができるキーボード及びポインティングデバイス(例えばマウス、トラックボール、又はトラックパッド)とを有するコンピュータ上で実施できる。コンピュータへの入力は、タブレットコンピュータの感圧性表面、静電容量式若しくは電気式のセンシングを使用したマルチタッチスクリーン、又は他の種類のタッチスクリーンなどの、タッチスクリーンを用いることができる。他の種類のデバイスを用いて、ユーザとインタラクションすることができる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、あらゆる形態の感覚のフィードバック(視覚、聴覚、触覚、又は複数種のフィードバックの組み合わせ、など)であり得る。ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、触覚入力を包含する、あらゆる形式で受信できる。さらに、コンピュータは、ユーザによって使用されるクライアントコンピューティングデバイスにドキュメントを送信し及び当該デバイスから当該ドキュメントを受信することによって(例えば、Webブラウザから受けたリクエストに応答してユーザのモバイルコンピューティングデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送ることにより、ユーザとインタラクションできる。
【0072】
用語「グラフィカルユーザインタフェース」又は「GUI」は、単数又は複数で使用して、一又は複数のグラフィカルユーザインタフェース及び特定のグラフィカルユーザインタフェースのディスプレイの各々を説明できる。したがって、GUIは、ウェブブラウザ、タッチスクリーン、又はコマンドラインインタフェース(CLI)を含むが、これらに限定されることなく、任意のグラフィカルユーザインタフェースを提示することができる。コマンドラインインタフェースは、情報を処理すると共に情報の結果をユーザに効率的に提示する。一般的に、GUIは、複数のユーザインタフェース(UI)要素を含むことができ、これらのいくつか又はすべては、インタラクティブフィールド、プルダウンリスト、ボタンなどのウェブに関連付けられる。これら及び他のUI要素は、ウェブブラウザの機能に関連付けられまたウェブブラウザの機能を表すことができる。
【0073】
本明細書で記述された主題の実施は、バックエンドコンポーネント(例えばデータサーバとして)を含むコンピューティングシステム、ミドルウェアコンポーネント(例えばアプリケーションサーバとして)を含むコンピューティングシステム、又はフロントエンドコンポーネント(例えばユーザが本明細書において記述された主題の実施とインタラクションできるグラフィカルユーザインタフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータとして)を含むコンピューティングシステム、又は、このようなバックエンド、ミドルウェア、及びフロントエンドコンポーネントの一又は複数の任意の組み合わせにおいて実施できる。システムのコンポーネントは、有線又は無線のデジタルデータ通信(又はデータ通信の組み合わせ)、例えば通信ネットワーク、の任意の形式又は媒体によって相互接続することができる。通信ネットワークの例示は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線アクセスネットワーク(RAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、広域ネットワーク(WAN)、マイクロ波アクセスの世界的な相互運用性(WIMAX)、例えば802.11a/b/g/n又は802.20(又は802.11xと802.20の組み合わせ、又は本開示に整合する他のプロトコル)を用いる無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、インターネットのすべて若しくは一部、他の通信ネットワーク、又は通信ネットワークの組み合わせを含む。通信ネットワークは、例えば、インターネットプロトコル(IP)パケット、フレームリレーフレーム、非同期転送モード(ATM)セル、音声、映像、データ、又はネットワークノード(接続ポイント)間の他の情報と通信できる。
【0074】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは、一般的には、互いに離れており、また典型的には、通信ネットワークを介してインタラクションする。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作すると共に互にクライアント・サーバ関係にあるコンピュータプログラムのおかげで生じる。
【0075】
本明細書は多くの特定の実施の詳細を含む一方で、これらは、発明概念の範囲又は請求される得る範囲の制限として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の発明概念の特定の実施に固有の特徴の説明として解釈されるべきである。個別の実施の観点で本明細書において説明された特徴は、組み合わせて又は単一の実施で、実現できる。逆に、単一の実施の観点で既述された様々な特徴は、複数の実施で、個別に、又は任意のサブコンビネーションで実施され得る。さらには、既述の特徴は特定の組み合わせで動作するものとして説示され、最初はそのようなものとして請求されているかもしれないが、請求された組合せからの一又は複数の特徴は、請求された組み合わせから場合によっては削除され、また請求された組合せはサブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形に導かれ得る。
【0076】
主題の特定の実施が説明された。記載された実施の他の実施、変更、及び置換は、当業者には明らかであるように以下の請求の範囲内である。動作は、図面又は特許請求の範囲に特定の順序で描かれているが、これは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序で又は一連の順番でそのような動作が実行されることを要求するものとして理解されるべきではなく、又はすべての図示された動作が実行される(いくつかの操作は随意的と見なすことができる)ことを要求するものとして理解されるべきではない。ある状況では、マルチタスク又は並列処理(又はマルチタスク及び並列処理の組み合わせ)を行うことが有利であり、適切と思われる場合に実行される。
【0077】
さらに、既述の実施における様々なシステムモジュール及びコンポーネントの分離又は統合が、すべての実施においてそのような分離又は統合を必要とするものとして理解されるべきではない。また、記載されたプログラムコンポーネント及びシステムは、一般的には、単一のソフトウェア製品に統合でき、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化できることが理解されるべきである。
【0078】
これに従って、既述の例示的な実施は、本開示を定義し又は制約しない。他の変更、置換、及び変更も、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく可能である。
【0079】
さらには、請求された任意の実施は、少なくとも、コンピュータにより実施される方法、非一時的なコンピュータ読取可能媒体、及びコンピュータシステムに適用可能であると考えられ、非一時的なコンピュータ読取可能媒体は、コンピュータにより実施される方法を実行するコンピュータにより読取可能な命令を格納し、またコンピュータシステムは、ハードウェアプロセッサに相互に動作可能に結合されたコンピュータメモリを含み、ハードウェアプロセッサは、非一時的なコンピュータ読取可能媒体に格納されたコンピュータにより実施される方法又は命令を実行するように構成される。
図1
図2
図3A
図3B
図4