(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】刺激治療装置
(51)【国際特許分類】
A61H 19/00 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
A61H19/00
(21)【出願番号】P 2020564884
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 AU2019000062
(87)【国際公開番号】W WO2019222791
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-23
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520448599
【氏名又は名称】バーネット-ジョーンズ,ロドニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バーネット-ジョーンズ,ロドニー
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-505154(JP,A)
【文献】国際公開第2005/099366(WO,A2)
【文献】米国特許第09339434(US,B1)
【文献】国際公開第2016/132462(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 19/00
A61F 5/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刺激治療装置であって、
遠位端部が閉鎖され且つ真空室を画定する細長い容器であって、空気抜き通路を通して前記室から空気を抜き取るためにポンプを前記容器に接続できるように前記真空室と流体連通する前記空気抜き通路を含む前記容器と、
前記容器の近位端部に配置された陰茎通路部材であって、陰茎が貫通して前記真空室内に延びることができる陰茎通路を画定し、略密封された状態で陰茎に係合するように構成される前記陰茎通路部材と、
前記容器の内側面に配置され且つ前記容器内を往復摺動するように構成された内部スライダであって、前記陰茎が貫通して延びることができる開口部を画定し、且つ前記内部スライダの往復移動中に前記陰茎を刺激するために前記陰茎に接触するように構成される前記内部スライダと、
前記容器の外側面に配置され且つ前記容器の外側に沿って摺動往復移動することが可能な外部スライダと、
を備え、
前記内部スライダ及び前記外部スライダは、前記外部スライダの前記往復操作によって前記内部スライダの対応する往復摺動が生じるように、互いに磁気的に引き寄せられ、前記陰茎が刺激されることを可能する、
刺激治療装置。
【請求項2】
前記細長い容器は、両端部が開口している管と、遠位端部を閉鎖するために前記管の前記遠位端部に着脱可能に装着される蓋とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記蓋が
、エラストマー材料で作られ、且つ前記管の前記遠位端部に係合するシールを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記蓋が前記空気抜き通路を画定し、並びに逆止弁組立体が、前記空気抜き通路内に位置決めされ、且つ前記室からの空気の抜き取りを許容するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記蓋は、前記室から空気を抜き取るためにポンプが前記蓋に接続されることを許容するポンプ接続ポートを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記陰茎通路部材が、略密封された着脱可能な状態で前記
細長い容器の近位端部に係合するように構成される取付具と、前記取付具内に位置決めされた陰茎密封機構であって、前記密封機構によって略密封された状態で前記陰茎を係合させることができるように前記陰茎通路を画定する前記陰茎密封機構とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記陰茎密封機構が2つのリングを含み、各リングの少なくとも一部分が導電性材料で作られ、導電性リード線が、前記導電性材料に電気刺激信号を供給するために前記導電性材料に接続される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記陰茎通路部材が、前記陰茎を刺激するために前記陰茎密封機構内に位置決めされる電気刺激インサートを含み、前記電気刺激インサートが前記導電性材料に導電接触する、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
前記電気刺激インサートが、離間され整合された関係で位置決めされた2つの電気刺激部材を含み、各電気刺激部材は、陰茎が前記電気刺激部材に電気接触するように前記陰茎が貫通して延びることができる通路を画定し、且つ各電気刺激部材
が前記導電性材料に接触する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
電気刺激インサートが、前記陰茎に電気接触するように前記陰茎密封機構内に位置決めされ、前記電気刺激インサートが
、電源に接続可能である、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記電気刺激インサートが、離間され整合された関係で位置決めされた2つの電気刺激部材を含み、各電気刺激部材は、陰茎が前記電気刺激部材に電気接触するように前記陰茎が貫通して延びることができる通路を画定し、且つ各電気刺激部材が、電源への接続のための電気リード線を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
各電気刺激部材が、本体の内側面から前記通路内に延びる一連の突出部を備えた前記本体を含み、前記突出部は、前記陰茎が前記通路内に受け入れられたときに前記陰茎に接触するように位置決めされる、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
各電気刺激部材が、弾性のある可撓性材料で作られる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
コネクタが前記電気リード線上に配置され、前記コネクタが、経皮的電気神経刺激機器を前記リード線に接続できるように構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記内部スライダが、環状内側スライドを含み、且つ前記
細長い容器の前記内側面に摺接するような寸法とされる、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
環状刺激インサートが前記内側スライド上に装着され、前記刺激インサートは、前記陰茎が貫通して延びることができる前記開口部を画定する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記刺激インサートが、低アレルギー性エラストマー材料
である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記内側スライドが、本体内又は上に少なくとも1つの磁石を備えた前記本体を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記外部スライダが、前記
細長い容器の前記外側面に摺接するような寸法とされた環状外側スライドを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
外
部スライドが、本体内に少なくとも1つの磁石を備えた前記本体を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
刺激治療装置用の付属品であって、前記刺激治療装置は、遠位端部が閉鎖され且つ真空室を画定する細長い容器であって、空気抜き通路を通して前記室から空気を抜き取るためにポンプを前記容器に接続できるように前記真空室と流体連通する前記空気抜き通路を含む前記容器と、前記容器の内側面に配置され且つ前記容器内を往復摺動するように構成された内部スライダであって、陰茎が貫通して延びることができる開口部を画定し、且つ前記内部スライダの往復移動中に前記陰茎を刺激するために前記陰茎に接触するように構成される前記内部スライダと、前記容器の外側面に配置され且つ前記容器の外側に沿って摺動往復移動することが可能な外部スライダと、を有し、前記内部スライダ及び前記外部スライダは、前記外部スライダの往復操作によって前記内部スライダの対応する往復摺動が生じるように、互いに磁気的に引き寄せられ、前記陰茎が刺激されることを可能にし、
前記付属品は、
陰茎が貫通して延びることができる陰茎通路を画定する陰茎通路部材を備え、前記陰茎通路部材は、
略密封された着脱可能な状態で前記細長い容器の近位端部に係合するように構成される取付具と、
前記取付具内に位置決めされた陰茎密封機構であって、前記密封機構によって略密封された状態で前記陰茎を係合させることができるように前記陰茎通路を画定する前記陰茎密封機構と、を備える、
刺激治療装置用の付属品。
【請求項22】
刺激治療装置用の付属品であって、前記刺激治療装置は、遠位端部が閉鎖され且つ真空室を画定する細長い容器であって、空気抜き通路を通して前記室から空気を抜き取るためにポンプを前記容器に接続できるように前記真空室と流体連通する前記空気抜き通路を含む前記容器と、前記容器の近位端部に配置された陰茎通路部材であって、前記容器の近位端部に配置され、陰茎が貫通して前記真空室内に延びることができる陰茎通路を画定し、略密封された状態で陰茎に係合するように構成される前記陰茎通路部材と、を有し、
前記付属品は、
前記容器の内側面に配置されるように構成され且つ前記容器内を往復摺動するように構成された内部スライダであって、陰茎が貫通して延びることができる開口部を画定し、且つ前記内部スライダの往復移動中に前記陰茎を刺激するために前記陰茎に接触するように構成される前記内部スライダと、
前記容器の外側面に配置されるように構成され且つ前記容器の外側に沿って摺動往復移動することが可能な外部スライダと、を備え、前記内部スライダ及び前記外部スライダは、前記外部スライダの前記往復操作によって前記内部スライダの対応する往復摺動が生じるように、互いに磁気的に引き寄せられ、前記陰茎が刺激されることを可能にする、
刺激治療装置用の付属品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、刺激治療装置に関する。より詳細には、排他的ではないが、本発明は、個人的刺激並びに勃起不全及び/又は尿失禁の治療に好適である刺激治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
従来の陰茎ポンプ又は真空ポンプは、陰茎がポンプ室内に位置する間に陰茎を充血させるために使用される。そのような真空ポンプは、真空下にある間のポンプ又は真空室の領域内で使用者が勃起を達成し維持することを可能にする。従来の真空ポンプは、手又は他の装置が陰茎に直接接触できないようにする。したがって、手による刺激は、室の壁によって遮断される。
【0003】
他の装置は、フィンガ、突起などが管又は室に包含された、シリコーン、ラテックス、ゴム又は他の形態のプラスチック製スリーブを使用して、使用者が陰茎を手で刺激できるようにする。そのような装置に関する問題は、使用者が勃起を達成し維持しなければ、装置の使用が制限されることである。
【0004】
電気刺激が知られている。しかしながら、勃起する保証はなく、電気刺激中に手で触れることは推奨されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明の一態様によれば、刺激治療装置であって、
一端部が閉鎖され且つ真空室を画定する細長い容器であって、空気抜き通路を通して室から空気を抜き取るためにポンプを容器に接続できるように、真空室と流体連通する空気抜き通路を含む容器と、
容器の近位端部に配置された陰茎通路部材であって、陰茎が貫通して真空室内に延びることができる陰茎通路を画定し、略密封された状態で陰茎に係合するように構成される通路部材と、
容器の内側面に配置され且つ容器内を往復摺動するように構成された内部スライダであって、陰茎が貫通して延びることができる開口部を画定し、且つ内部スライダの往復移動中に陰茎を刺激するために陰茎に接触するように構成される内部スライダと、
容器の外側面に配置され且つ容器の外側に沿って摺動往復移動することが可能な外部スライダと
を備え、
内部スライダ及び外部スライダは、外部スライダの往復操作によって内部スライダの対応する往復摺動が生じるように、互いに磁気的に引き寄せられ、陰茎が刺激されることを可能にする、
刺激治療装置が提供される。
【0006】
細長い容器は、両端部が開口している管と、遠位端部を閉鎖するために管の遠位端部に着脱可能に装着される蓋とを含み得る。
【0007】
蓋は、シリコーンなどのエラストマー材料で作られてもよく、且つ管の遠位端部に係合するシールを含み得る。
【0008】
蓋は、空気抜き通路を画定してもよい。逆止弁組立体は、空気抜き通路内に位置決めされてもよく、且つ室からの空気の抜き取りを許容するように構成されてもよい。
【0009】
蓋は、室から空気を抜き取るためにポンプが蓋に接続されることを許容するポンプ接続ポートを含み得る。
【0010】
陰茎通路部材は、略密封された着脱可能な状態で管の近位端部に係合するように構成される取付具と、取付具内に位置決めされた陰茎密封機構であって、密封機構によって略密封された状態で陰茎を係合させることができるように陰茎通路を画定する陰茎密封機構とを含み得る。
【0011】
陰茎密封機構は2つのリングを含み得、各リングの少なくとも一部分は導電性材料で作られ、導電性リード線は、導電性材料に電気刺激信号を供給するために導電性材料に接続される。
【0012】
陰茎通路部材は、陰茎を刺激するために陰茎密封機構内に位置決めされる電気刺激インサートであって、導電性材料に導電接触する電気刺激インサートを含み得る。
【0013】
電気刺激インサートは、離間され整合された関係で位置決めされた2つの電気刺激部材を含み得、各電気刺激部材は、陰茎が電気刺激部材に電気接触するように陰茎が貫通して延びることができる通路を画定し、且つ各電気刺激部材はそれぞれのリングの導電性材料に接触する。
【0014】
電気刺激インサートは、陰茎に電気接触するように陰茎密封機構内に位置決めされてもよく、電気刺激インサートは、電気刺激信号を受信するために電源に接続可能である。
【0015】
電気刺激インサートは、離間され整合された関係で位置決めされた2つの電気刺激部材を含み得、各電気刺激部材は、陰茎が電気刺激部材に電気接触するように陰茎が貫通して延びることができる通路を画定し、且つ各電気刺激部材は電源への接続のための電気リード線を含む。
【0016】
各電気刺激部材は、本体の内側面から通路内に延びる一連の突出部を備えた本体を含み、突出部は、陰茎が通路内に受け入れられたときに陰茎に電気接触するように位置決めされる。
【0017】
各電気刺激部材は、弾性のある可撓性材料で作られてもよい。
【0018】
コネクタは、電気リード線上に配置されてもよく、コネクタは、経皮的電気神経刺激機器をリード線に接続できるように構成される。
【0019】
内部スライダは、環状内側スライドを含み得、且つ管の内側面に摺接するような寸法とされてもよい。
【0020】
環状刺激インサートは内側スライド上に装着されてもよく、刺激インサートは、陰茎が貫通して延びることができる開口部を画定する。
【0021】
刺激インサートは、低アレルギー性エラストマー材料などの、往復刺激に好適な材料の形態であってもよい。
【0022】
内側スライドは、本体内又は上に少なくとも1つの磁石を備えた本体を含み得る。
【0023】
外部スライダは、管の外側面に摺接するような寸法とされる環状外側スライドを含み得る。外側スライドは、本体内に少なくとも1つの磁石を備えた本体を含み得る。
【0024】
本発明の別の態様によれば、電気刺激装置、又は部材であって、
陰茎を受け入れるための通路を画定する本体と、
陰茎に導電接触するための本体上又は内の少なくとも1つの陰茎接触形状部であって、導電性材料で作られる少なくとも1つの陰茎接触形状部と
を備え
少なくとも陰茎接触形状部が電気刺激信号に接続可能である、
電気刺激装置、又は部材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面の簡単な説明
【
図1】
図1は、部分的分解構成にある、本発明による、刺激治療装置の一実施形態の分解側断面図を示す。
【
図3】
図3は、
図1の装置の陰茎通路部材の遠位3次元図を示す。
【
図11】
図11は、本発明による、刺激治療装置のさらなる実施形態の、近位端部から見た、3次元図を示す。
【
図13】
図13は、分解状態にある
図11の装置の陰茎通路部材と内部及び外部スライダとキャップの遠位3次元図を示す。
【
図17】
図17は、電気刺激部材なしの、分解構成にある、
図11の装置の陰茎通路部材の遠位3次元図を示す。
【
図20】
図20は、陰茎通路部材の遠位リング内における電気刺激部材の遠位端面図を示す。
【
図21】
図21は、電気刺激部材を含む、
図11の装置の陰茎通路部材の一部の近位端面図を示す。
【
図26】
図26は、外部スライダと内部スライダと内部スライダ用の刺激インサートとの分解図を示す。
【
図27】
図27は、互いに整合していない外部及び内部スライダを示す。
【
図28】
図28は、互いに整合した外部及び内部スライダを示す。
【
図29】
図29は、刺激治療装置のさらなる実施形態の近位3次元図を示す。
【
図31】
図31は、分解構成にある
図29の装置の陰茎通路部材と内部及び外部スライダと蓋との遠位3次元図を示す。
【
図38】
図38は、本明細書で説明する刺激治療装置のいずれかの実施形態の陰茎通路部材用の電気刺激部材を示す。
【
図39】
図39は、本明細書で説明する刺激治療装置の実施形態のいずれかのための、電気刺激部材を組み込んだ組み立てられた陰茎通路部材の概略側断面図を示す。
【
図42】
図42は、本発明による、刺激治療装置のさらなる実施形態の概略側断面図を示す。
【
図43】
図43は、
図42の装置の分解された内部スライダとインサートと外部スライダを示す。
【
図46】
図46は、本発明による、刺激治療装置のさらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
詳細な説明
図1及び
図2では、参照番号10は、全体として、本発明による、刺激治療装置の一実施形態を表す。装置10は、陰茎の個人的刺激に若しくは勃起不全及び/又は尿失禁の治療に適している。
【0027】
装置10は、真空室14を画定し且つ一端部が閉鎖される細長い容器12を含む。容器12は、両端部が開口している管16を含む。管16は、円筒状であり、且つプラスチック材料、ゴム又は金属を含む、多数の材料のうちのいずれか1つで作ることができる。円筒状である代わりに、管16は、要求に応じて、楕円断面形状又は六角形などの他の多面断面形状を有することができる。管16の内側面18は、以下にさらに詳細に説明する、内部スライダとの摺動係合を容易にするために、滑らかである。内側面18は、凹凸のあるものとすることができ、さもなければ、摺動を容易にするように構成することができる。例えば、内側面18は、内部スライダとの摩擦接触を低減する隆起部又は他の形状部を画定することができる。管16の外側面19もまた、管16に対する外部スライダの摺動変位を容易にするために、滑らかである。しかしながら、外側面19もまた、技術的及び商業的要求に応じて、凹凸のあるものとすることができる。内側面18と同様に、外側面19もまた、外部スライダとの摩擦接触を低減する隆起部又は他の形状部を画定することができる。外側面19はまた、審美的に心地良いように構成することもできる。管16は、透明又は不透明とすることができ、色付きとすることもできる。
【0028】
蓋22は、密封された状態で遠位端部20に係合するように管16の遠位端部20に装着される。蓋22は、シリコーンなどの、エラストマー材料のキャップ24を含む。キャップ24は、ラテックス、ゴム又は異なるプラスチック材料を含む、他の好適な材料で作ることができる。
【0029】
蓋22は、容器12の一部を形成し、したがって、容器を閉鎖できることを認識されたい。
【0030】
キャップ24のさらなる詳細は、
図6~
図8に示されている。キャップ24は、ドーム状外形又は部分球状外形を有する。遠位側の周縁密封形状部26は、キャップ24から延び、且つ着脱可能な密封された状態で管16の遠位端部20に係合するような形状とされる。この目的のために、密封形状部26は、周溝28を画定する。溝28は、遠位端部20を溝28内に受け入れることができるような寸法とされる。リップ30は、溝28の内壁31から遠位側に且つ溝28内に延びる。したがって、室14内で真空が生成されたときに、リップ30に径方向圧力が加わり、リップ30を管16の外側面19に当接させ、管16に対するキャップ24の密封係合を強化する結果として、空気の流入が阻止される。
【0031】
キャップ24は、真空室14と流体連通する空気抜き通路32を画定する。逆止弁組立体34は、逆流防止状態で、室14から空気を抜き取ることができるように、通路32内に配置される。
【0032】
バッフル36は、キャップ24の壁38の内面から延びる。バッフル36は、弁組立体34が内部に位置する中央受け部42を画定する。キャップ24は、弁組立体34と流体連通する真空ポンプ接続ポート40を画定する。中央受け部42は、接続ポート40と弁組立体34と中央受け部42とが空気抜き通路32を形成するように、室14内に開口する。現在の陰茎ポンプと共に使用されるタイプの従来の真空ポンプに接続ポート40を接続することができる。そのような真空ポンプは、手動で動作させることができるか、又は使用者によって遠隔で動作させる電気ポンプとすることができる。キャップ24がバッフル36なしに提供され得ることを認識されるであろう。
【0033】
弁組立体34は、中央受け部42内に着座する逆止弁35を含む。逆止弁35は、空気が通り抜けることができる弁通路41を画定する弁体37を含む。弁閉鎖部39は、室14から空気が抜き取られるときに開放し且つ室14内への空気の流入を防ぐために閉鎖するように、弁体37に枢動可能に装着される。弁体37及び弁閉鎖部39は、一体成形品とすることができる。成形品は、エラストマー材料、又は他の何らかの好適な材料で作ることができる。
【0034】
バッフル36はまた、必要に応じて、精液及び尿を収集するための、流体収集用受け部43を画定する。
【0035】
陰茎開口組立体44の形態の陰茎通路部材は、管16の近位端部46に装着される。開口組立体44は、略気密状態で陰茎に係合するように構成される。陰茎開口組立体44のさらなる詳細は、
図3~
図5に示されている。
【0036】
開口組立体44は、取付具48を含む。取付具48は、シリコーンなどの、エラストマー材料で作ることができる。取付具48は、通路50を画定する壁52を有する。周縁密封形状部54は、壁52に配置され、且つ着脱可能な密封された状態で管16の近位端部46に係合するような形状とされる。壁52は、管16の近位端部46を内部に受け入れることができる周溝56を画定する。リップ58は、溝54の内壁から遠位側に且つ溝56内に延びる。したがって、室14内で真空が生成されたときに、リップ58に径方向圧力が加わる結果として、空気の流入が阻止される。
【0037】
壁52は、内向きに開口した環状凹部又は溝60を画定する。陰茎密封機構62は、溝60内に配置され、且つ略密封された状態で陰茎に係合するように構成される。密封機構62は、低アレルギー性エラストマー材料の1つ又は複数のリングを含む。1つ又は複数のリングは、低アレルギー性の導電性エラストマー材料の少なくとも1つのリングを含むことができる。より詳細には、1つ又は複数のリングは、密封リング69が遠位リング64と近位リング66との間に介在する状態の、導電性遠位リング64と導電性近位リング66を含むことができる。エラストマー材料は、ラテックス又は他の何らかの好適な材料の形態とすることができる。リング64、66は導電性シリコーンから作製することができる。
【0038】
代替的に、リング64、66は、金属を含む、他の導電性材料で作製することができる。溝60は、個々の要求に応じて異なる大きさのリング64、66を使用することを可能にするような寸法とすることができる。リング64、66は、種々の内部構成を有することができる。各リング64、66は、電気刺激部材であり、且つ例えば、以下に説明するいずれかの電気刺激部材の形態をとることができる。
【0039】
導線68は、導電性挿入物65を介して、リング64、66の各々に、且つ電気コネクタ70に接続することができる。電気コネクタ70は、TENS(経皮的電気神経刺激)機器などの、電気刺激装置に接続することができる。したがって、リング64、66は、電気刺激インサート61を形成することができる。従来、TENS機器は、痛みを治療するために使用されており、通常は、2つ以上の電極を使用して皮膚に接続される。典型的な電池式TENSユニットは、パルス幅、周波数及び強度を変調することができる。したがって、この実施形態では、TENSユニットの電気刺激構成要素は、陰茎開口組立体44に組み込まれる。電気刺激構成要素は装置10の他の構成要素に取り付けできることが想定される。したがって、TENSユニットは、適切な刺激信号を提供するように調整可能である従来のTENSユニットとすることができる。
【0040】
リング64、66及び密封リング69は、陰茎が内部に延びることができる陰茎通路67を画定する。リング64、66及び密封リング69の寸法及び材料は、通路が異なる大きさの陰茎を収容できるように選択することができる。
【0041】
装置10は、容器12の内側面18に配置され且つ容器12内を往復摺動するように構成される内部スライダ80を含む。内部スライダ80は、陰茎が貫通して延びることができる開口部82を画定する。内部スライダ80は、内部スライダ80の往復移動によって陰茎を刺激できるように陰茎に摺接するように構成される。
【0042】
装置10は、容器12の外側面19に配置され且つ外側面19上を往復摺動するように構成される外部スライダ84を含む。
【0043】
内部スライダ80及び外部スライダ84は、外部スライダ84の往復操作によって内部スライダ80の対応する往復摺動が生じるように、互いに磁気的に引き寄せられ、陰茎が刺激されることを可能にする。
【0044】
図1及び
図2に加えて、内部スライダ80のさらなる詳細は、
図9で確認することができる。内部スライダ80は、環状内側スライド86を含む。スライド86は、環状本体88を含む。本体88は、比較的硬質のプラスチック材料、又は非金属である他の何らかの好適な材料で作ることができる。多数の磁石90を本体88内に埋め込むか又は装着することができる。磁石90は、希土類磁石又はネオジム磁石とすることができる。別個の磁石の代わりに、本体88は、磁化材料で作ることができる。種々の形状の磁性材料を製造することが可能であるので、種々の他の形態の磁気配列が想定される。
【0045】
刺激インサート92は、スライド86内に装着される。インサート92は、皮膚接触に好適な低アレルギー性エラストマー材料で作られる。材料は、例えば、シリコーン又はラテックスとすることができる。インサート92は、陰茎が貫通して延びることができる開口部82を画定する。インサート92は、刺激する状態で陰茎に係合するように内側面94から延びる複数の刺激形状部96を備えた内側面94を有することができる。形状部96は、種々の構成をとることができる。
【0046】
インサート92は、スライド86を内部に受け入れることができる外部環状凹部98を画定する。したがって、使用時に、インサート92を取り外して交換することができる。
【0047】
外部スライダ84は、環状本体100を含む。本体100は、比較的硬質のプラスチック材料、又は非金属である他の何らかの好適な材料で作ることができる。多数の磁石102を本体100内に埋め込むか又は装着することができる。磁石102は、希土類磁石又はネオジム磁石とすることができる。磁石90及び磁石102は、反対の極性を有して磁石90と磁石102とが互いに引き寄せ合うように配置することができる。別個の磁石の代わりに、本体100は、磁化材料で作ることができる。種々の形状の磁性材料を製造することが可能であるので、種々の他の形態の磁気配列が想定される。
【0048】
図11及び
図12では、参照番号200は、全体として、本発明による、刺激治療装置の一実施形態を表す。
【0049】
装置200は、真空室204を画定する細長い容器202を含む。容器202は、両端部が開口している管206を含む。管206は、円筒状であり、且つプラスチック材料、ゴム又は金属を含む、多数の材料のうちのいずれか1つで作ることができる。円筒状である代わりに、管206は、要求に応じて、楕円断面形状又は六角形などの他の何らかの多面断面形状を有することができる。管206の内側面208は、以下にさらに詳細に説明する、内部スライダとの摺動係合を容易にするために、滑らかである。内側面208はまた、凹凸のあるものとするか、さもなければ、内側面208に対する内部スライダの摺動を容易にするように構成することができる。例えば、内側面208は、内側面208と内部スライダとの摩擦接触を最小限に抑えるために、隆起部又は他の形状部を画定することができる。管206の外側面210もまた、管206に対する外部スライダの摺動変位を容易にするために、滑らかである。しかしながら、外側面210もまた、技術的及び商業的要求に応じて、凹凸のあるものとすることができる。外側面210はまた、外側面210と外部スライダとの摩擦接触を最小限に抑えるために、隆起部又は他の形状部を画定することができる。
【0050】
蓋212は、密封された状態で遠位端部214に係合するように管206の遠位端部214に装着される。蓋212は、シリコーンなどの、エラストマー材料で作られる。蓋212は、ラテックス、ゴム又は異なるプラスチック材料を含む、他の好適な材料で作ることができる。蓋212は、上で説明した蓋22と同様とすることができる。
【0051】
陰茎開口組立体216の形態の陰茎通路部材は、管206の近位端部218に装着される。陰茎開口組立体216は、略密封された状態で陰茎に係合するように構成される。陰茎開口組立体216は、管206の近位端部218に係合する端部取付具220を含む。端部取付具220は、側壁222を含む。側壁222は、外壁部分226と、滑り嵌めとして、管206の近位端部218を受け入れるように、壁部分226、228間に、遠位側に開口した溝224を画定するために外壁部分から離間して配置された、内壁部分228とを含む。
【0052】
内壁部分228は、近位側に面する溝231(
図24)を画定する遠位端部分230を有する。
【0053】
端部取付具220は、開口234を画定する底部232を有する。
【0054】
端部取付具220は、弾性のある可撓性材料で作られる。例えば、端部取付具220は、エラストマー材料で作られる。より詳細には、端部取付具220は、低アレルギー性エラストマー材料で作ることができる。
【0055】
陰茎開口組立体216は、取付具220内に位置決めされた陰茎密封機構217であって、陰茎と密封係合するように構成された開口又は陰茎通路219(
図18)を画定する陰茎密封機構217を含む。密封機構217は、開口234内に受け入れられて端部取付具220が弾性的に可撓性を有する結果として開口234内に保持されるように底部232と係合可能である近位側陰茎開口部材236を含む。開口部材236を適所に接着又は溶着することができる。その目的のために、底部232は、近位側陰茎開口部材236を受けるための肩部221(
図24)を画定する。
【0056】
図17には、陰茎開口組立体216の分解図が、任意選択である、以下に説明する、電気刺激部材254のなしに示されている。
【0057】
内壁部分228は、環状凹部238を画定する。近位側陰茎開口部材236は、内壁部分228内に受け入れられる。
【0058】
組立体216は、近位リング242をさらに含む。近位リング242は、凹部238内に位置決めされる。近位リング242は、比較的硬質のプラスチック材料で作られる。近位リング242は、近位側導電性部分243と遠位側非導電性部分245とを有する。
【0059】
近位側電気刺激装置又は部材254.1(
図24)は、近位リング242内に位置決めされ、且つ近位リング242の導電性部分243に導電当接する。
【0060】
組立体216はまた、内壁部分228内に受け入れられる遠位リング246を含む。遠位リング246の近位端部は、遠位密封リング246を近位密封リング242と入れ子状に係合させることができるように内向き段状領域252を画定する。
【0061】
遠位リング246の遠位端部は、近位側導電性インサート254.1が陰茎開口部材236、240間に介在するように遠位側陰茎開口部材240が内壁部分228内に位置決めされる肩部を画定するように、外向き段状とされる。遠位側陰茎開口部材240を適所に接着、溶着又は圧入することができる。
【0062】
陰茎開口部材236、240は、環状円板状構成である。部材236、240は、開口237、241をそれぞれ画定する。開口237、241は、開口237、241を陰茎に密封係合させることができるような寸法とされ、開口237、241を陰茎に密封係合させることができるように、部材236、240の材料が選択される。より詳細には、材料は、異なる大きさの陰茎を収容するように弾性的に可撓性を有するように選択される。材料は、好適な低アレルギー性エラストマー材料とすることができる。そのような材料の例は、低アレルギー性シリコーンである。図面で分かるように、部材236、240の構造的完全性及び安定性は、部材236が取付具220内に位置決めされる結果として、並びに部材236と近位リング242及び遠位リング246との関係の結果として維持される。これによって、電気刺激部材なしでの装置200の使用が可能となる。代替的に、必要でないときには、電気刺激部材を簡単に外すことができる。
【0063】
遠位リング246の遠位縁部は、遠位リング246を取付具220内に配置するために、近位側に面する溝231内に位置決めされる。
【0064】
遠位リング246はまた、比較的硬質のプラスチック材料で作られる。遠位リング246は、近位側非導電性部分247と、遠位側導電性部分249とを有する。
【0065】
近位側電気刺激部材254.1は、近位リング242(
図24)の導電性部分243に導電接触するように、内壁部分228内に位置決めされる。遠位側電気刺激部材253は、遠位リング246の導電性部分249に導電接触するように、内壁部分228内に位置決めされる。したがって、近位側電気刺激部材254.1及び遠位側電気刺激部材254.2は、陰茎開口組立体216用の電気刺激インサート255を形成する。
【0066】
導電性コネクタ257は、外壁部分226内に位置決めされる。導電性コネクタ257は、上で言及したTENS機器に接続するように構成することができる。好適な導線259は、コネクタ257とそれぞれの電気刺激部材254.1、254.2とを相互接続することができる。したがって、以下により詳細に説明する経皮的電気神経刺激(TENS)機器を用いて、好適な刺激信号を電気刺激部材254.1、254.2に提供することができる。
【0067】
電気刺激部材254.1、254.2は、導電性シリコーンで作られる。電気刺激部材254.1、254.2は、非導電性シリコーン層で外側面が被覆された環状本体256を有する。一連のフィンガ又はリブ258は、本体256の内側面から径方向内方に突出する。本体256は、リブ258によって陰茎を刺激できるように、陰茎が貫通して延びることができる通路261を画定する。他の好適な材料は、電気刺激部材に適したものであってもよい。例えば、他の導電性の低アレルギー性材料が好適であり得る。
【0068】
加えて、フィンガ又はリブ258の代わりに、他の形態の突出部が本体256の内側面から延びることができる。
【0069】
電気刺激部材254又はその等価物を本明細書で説明する刺激治療装置に別個に供給できることが想定される。
【0070】
したがって、電気刺激部材は、本明細書で言及するTENS機器などの好適な機器に電気刺激部材を接続するだけで、装置とは別個に使用することができる。
【0071】
その場合、環状本体256は、他の形態をとることができる。例えば、環状本体256は、陰茎上の位置に好適であり得るトロイダル形状又は他の任意の形状を有することができる。
【0072】
遠位リング246と電気刺激部材254.2とを含む、
図19に示す構成要素は、同様の形状を有する一体の電気刺激部材と交換可能である。この場合、電気刺激部材は、略全体を導電性材料で作ることができ、且つ電気刺激部材254.1と代替的な電気刺激部材との短絡を避けるために、非導電性材料の好適なシールによって、電気刺激部材254.1から分離することができる。
【0073】
刺激治療装置200は、内部スライダ276を含み、その詳細は、
図25~
図28に示されている。内部スライダ276は、環状内側スライド278を含む。スライド278は、環状本体280を含む。本体280は、比較的硬質のプラスチック材料、又は非金属である他の何らかの好適な材料で作ることができる。本体280は、長手方向に延びる複数のソケット282を画定する。ソケット282は、本体280の周囲に等間隔に配置される。細長い磁石284は各ソケット282内に位置決めされる。環状端部蓋286は、ソケット282を閉鎖して磁石284をソケット282内に保持するために蓋286を本体282に嵌めることができるように、一連の突出部288を有する。内部スライダ276の他の形態の磁化が適切であることが想定される。例えば、磁石284は、スライダ276内に永久的に埋め込まれてもよい。
【0074】
代替的に、本体280自体が磁化されてもよい。
【0075】
磁石284は希土類磁石であってもよい。磁石284はネオジムで作られてもよい。
【0076】
装置200は、スライド278内に装着される刺激インサート290を含む。インサート290は、弾性のある可撓性材料で作られる。材料は、皮膚接触に好適な低アレルギー性エラストマー材料とすることができる。材料は、例えば、シリコーン又はラテックスとすることができる。インサート290は、陰茎が貫通して延びることができる開口部又は通路292を画定する。
【0077】
インサート290は、スライダ276を管206内で往復移動させたときに刺激する状態で陰茎に係合するように通路292内に延びる複数の刺激形状部296を備えた内側面294を有する。形状部296は、種々の形態をとることができる。これらの形状部296は、フィンから小さなこぶまで様々なものとすることができる。
【0078】
インサート290は、スライド278を内部に受け入れることができる環状凹部298を画定する。部材290のエラストマー性によって、凹部298内のインサート290の取り外し及び交換が可能となる。
【0079】
図27及び
図28で分かるように、内側スライド278は、刺激インサート290よりも突き出ている。内側スライド278は、摺動する状態で管206の内側面208に係合するような寸法とされる。したがって、刺激インサート290は、管206に対する内側スライダ278の摺動を妨げないように、内側面208から離間されたまま保たれる。
【0080】
装置200は、外部スライダ300を含む。外部スライダ300は、環状本体302を含む。本体302は、比較的硬質のプラスチック材料、又は非金属である他の何らかの好適な材料で作ることができる。本体302は、長手方向に延びる複数のソケット304を画定する。ソケット304は、本体302の周囲に等間隔に配置される。細長い磁石303(
図13)は各ソケット304内に位置決めされる。端部蓋286と同様の環状端部蓋305は、磁石303をソケット304内に保持するために蓋305を本体302に嵌めることができるように、一連の突出部を有することができる。
【0081】
本体302は、内面306が管206の外面と摺動係合するように構成されるような寸法とされる。外面には、好適には、そのような摺動移動に対応するように凹凸がある。
【0082】
スライダ300の外面308は、スライダ300の把持を容易にするために、一連のリブ又は突出部310を有する。代わりに、外面308は、把持を容易にするように凹凸のあるものとするか、又は把持を容易にするような外形を有するものとすることができる。内部スライダ276内の磁石284は、外部スライダ300内の磁石に対してスライダ276、300が互いに引き寄せられるような向きに配置される。したがって、使用者による外部スライダ300の往復移動によって、対応する内部スライダの往復移動が生じる。結果として、使用者は、陰茎が通路292内に受け入れられたときに自己刺激することができる。
【0083】
図29及び
図30では、参照番号320は、全体として、本発明による、刺激治療装置のさらなる実施形態を表す。前述の図面を参照すると、別段の定めのない限り、類似の参照番号は、類似の部分を指す。
【0084】
装置320は、装置200の開口組立体216とは若干異なる陰茎開口組立体322の形態の陰茎通路部材を含む。
【0085】
開口組立体322は、端部取付具324を含む。端部取付具324は、底部328から周方向に延びる側壁326(
図34)を含む。底部328は、周縁凹部330を形成する。周縁リップ332は、側壁326の遠位端部から径方向内方に延びる。環状密封リング334は、側壁326内に位置し、且つ周縁凹部330内に着座する。環状密封リングは、内壁部分336と外壁部分338とを含み、その結果、溝340が壁部分336、338間に画定される。
【0086】
端部キャップ342は、陰茎開口346を画定する端板344を含む。端板344は、陰茎開口部材236、240と同様の構成を有する。
【0087】
筒壁348は、端板344から垂下し、且つ密封リング334の内壁部分336内に受け入れられる。端板344は、壁部分336の上に張り出す。構成要素が組み付けられたときに、リップ332の内周縁及び端板344の外周縁が溝340と位置合わせされる。管206の近位端部を溝340内に圧入することができる。
【0088】
図38には、陰茎開口組立体322用の電気刺激部材350が示されている。電気刺激部材350は、導電性シリコーンで作られる。部材350は、非導電性シリコーン層で外側面が被覆された環状本体352を有する。一連のフィンガ又はリブ354は、本体352の内側面から径方向内方に延びる。本体350は、リブ354によって陰茎を刺激できるように、陰茎が貫通して延びることができる通路353を画定する。他の好適な材料は、電気刺激部材に適したものであってもよい。例えば、他の導電性の低アレルギー性材料が好適であり得る。加えて、フィンガ又はリブ354の代わりに、他の形態の突出部が本体352の内側面から延びることができる。
【0089】
細長い電気リード線356は、本体352から延びる。リード線356はまた、導電性材料、この例では、導電性シリコーンで作られる。リード線356は、非導電性シリコーン層で被覆される。リード線356は電気コネクタ358を含む。電気コネクタ358は、リブ354に電気刺激インパルスを供給するためにTENS機器からのリード線をリード線356に接続できるように構成される。
【0090】
電気刺激部材350又はその等価物を本明細書で説明する刺激治療装置に別個に2つ1組で供給できることが想定される。したがって、電気刺激部材は、本明細書で言及するTENS機器などの好適な機器に電気刺激部材を接続するだけで、装置とは別個に使用することができる。
【0091】
図31で確認できるように、電気刺激部材350は、壁348内に位置し、且つ底部328と端部キャップ342との間に介在することができる。部材が機能するために2つの電気刺激部材350が存在することが認識されるであろう。これらの電気刺激部材350を、例えば、本明細書で説明するタイプの、陰茎開口部材によって分離することができる。したがって、電気刺激部材350は、陰茎開口組立体322用の電気刺激インサートを形成することができる。
【0092】
装置200、320のいずれかにおいて電気刺激部材350は電気刺激部材254と交換可能であることは容易に認識されるであろう。例えば、
図39で分かるように、近位側電気刺激部材254.1は底部328上に位置決めされ、且つ近位側陰茎開口部材360は部材254.1上に位置決めされる。遠位側電気刺激部材254.2は、近位側陰茎開口部材360上に位置決めされる。遠位側陰茎開口部材362は、遠位側電気刺激部材254.2上に位置決めされる。開口部材360、362は、開口部材236、238と同様である。この図面に示すように、参照番号356は、リード線を破線で表して、電気刺激部材254を電気刺激部材350に置き換えることができることを表している。
図39に示すように、他の形態の電気刺激部材を陰茎密封機構223内に位置決めできることは容易に認識されるであろう。
【0093】
装置320の蓋370は、
図40及び
図41に示されている。蓋370は、管206の遠位端部に圧入できる弾性のある可撓性材料のキャップ372を含む。その目的のために、キャップ372の縁部は、管206の遠位端部と係合させることができる肩部374を画定する。
【0094】
真空ポンプ接続ポート374は、キャップ372内に配置され、且つ管206から空気を抜き取ることができるように、密封された状態で、真空ポンプの導管に係合するように構成される。
【0095】
図42では、参照番号380は、全体として、本発明による、刺激治療装置のさらなる実施形態を表す。前述の図面を参照すると、別段の定めのない限り、類似の参照番号は、類似の部分を指す。
【0096】
装置380は、特に膣刺激に適している。装置380は、刺激インサート382を含む。刺激インサート382は、エラストマー材料などの、弾性のある可撓性材料の筒状本体384を含む。筒状本体384は、環状凹部386を画定する。内側スライド278は、外部スライダ300の往復移動によって刺激インサート382の往復移動が生じるように、凹部386内に位置決めすることができる。刺激インサート382は、筒状本体384から垂下する細長い刺激部材388を含む。部材388は、外部スライダ300が往復駆動又は操作されるときに部材388が陰茎開口組立体322の内外へ往復移動できるように構成される。
【0097】
刺激部材388は、任意の数の構成をとることができる。さらに、装置380には、要求に応じて交換可能である種々の刺激インサート382を設けることができる。
【0098】
図46では、参照番号400は、全体として、本発明による、刺激治療装置の別の実施形態を表す。前述の図面を参照すると、別段の定めのない限り、類似の参照番号は、類似の部分を指す。
【0099】
装置400は、陰茎開口組立体402の形態の陰茎通路部材を含む。開口部材402は、室14と流体連通し且つ略気密状態で陰茎に係合するように構成された通路404を画定する。
【0100】
開口部材402は、取付具406を含む。取付具406は、シリコーン又はラテックスなどのエラストマー材料で作ることができる。取付具406は、通路404を画定する壁408を有する。周縁密封形状部412は、壁408に配置され、且つ着脱可能な密封された状態で管16の近位端部46に係合するような形状とされる。壁408は、管16の近位端部46を内部に受け入れることができる周溝414を画定する。
【0101】
通路404は、壁408の内部筒状部分416によって画定される。一連の環状密封部材416は、壁408の内面418から突出する。密封部材416は、通路410内に近位側に突出するリブ又はリップ420の形態である。リップ420はテーパ状とすることができる。したがって、陰茎が通路410内にあるときには、リップ420に径方向圧力が加わる結果として、室14内への空気の流入が阻止される。
【0102】
上で説明した刺激治療装置の種々の実施形態の構成要素は、洗浄及び/又は交換のために手で容易に分解することができる。さらに、実用的であれば、上で説明した刺激治療装置の種々の実施形態の構成要素を実施形態間で容易に交換可能であることを認識されたい。
【0103】
上で説明した種々の実施形態の刺激治療装置は、陰茎刺激に及び勃起不全の治療に適している。装置は、外部スライダの往復移動によって陰茎が刺激されている間に勃起を維持することができる。その結果、装置は、室内が真空である結果として陰茎が勃起状態に維持されている間に使用者が自慰をすることができる手段を提供する。周知のように、勃起不全を治療する治療法は、陰茎を繰り返し充血させることを必要とする。しかしながら、何らかの刺激がなければ、勃起は人為的になされる。使用者が自己刺激することを可能にすることで、装置は、勃起を維持しながら使用者に射精させ及び/又はオルガスムを経験させることができる。この装置は、最終的には、装置を必要とせずに、勃起とその後の射精及び/又はオルガスムとを達成するために使用者の射精システムを鍛えるのに役立つことができる。
【0104】
この装置を繰り返し使用することで、骨盤底筋を強化することができる。この装置は排尿調節を治療するのに役立つことができる。
【0105】
勃起不全は、生活要因と、前立腺の部分的又は完全な摘出などの医療処置とを含む、種々の要因によって起こり得る。他の要因は、本質的に心理学的又は神経学的要因である可能性がある。装置は、使用者が勃起を達成し、さらに、その後に射精し及び/又はオルガスムを経験するのを手助けすることができる。この手助けは、繰り返し実行されることで、勃起不全の原因によっては勃起不全に有効な治療法となる可能性がある。さらに、これは、自然に勃起することを達成できない使用者にとって有効な発散となり得る。
【0106】
添付の特許請求の範囲は、上の説明に組み込まれるものとして考えられるべきである。
【0107】
本明細書全体を通しての共通の参照番号の使用は、限定するように意図されておらず、単に説明を明瞭且つ容易にする目的のために過ぎない。
【0108】
特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、文脈が許す限り、用語「備えている(comprising)」及びその変化形「備える(comprise)」又は「備える(comprises)」は、他の任意の整数を必ずしも排除するものではなく、記載された1つ又は複数の整数を含むものと解釈されるべきである。
【0109】
本明細書では、「遠位」という用語は、使用者のより近傍である「近位」の向きと比較して、使用者から離れる方向である向きを指す。「前方」、「後方」、「背後」などの、方向又は向きを表す用語が、便宜上使用される。本発明者は、販売のために提示される場合などに、種々の実施形態を非動作構成で使用できることを想定している。しがって、そのような用語は、本質的に例示的なものと見なされ、且つ非限定的なものと見なされるべきである。
【0110】
上で用いた専門用語は、説明のためのものであって、限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。説明した実施形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を例示するように意図されている。本発明は、当業者に容易に想起されるような種々の修正及び追加を伴って実施することが可能である。