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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】タッチパネルに適用可能なノブデバイス
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/96 20060101AFI20231002BHJP
【FI】
H03K17/96 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021144524
(22)【出願日】2021-09-06
(65)【公開番号】P2022135880
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2021-09-06
(31)【優先権主張番号】17/190,416
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502429109
【氏名又は名称】奇景光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲ゆい▼享
(72)【発明者】
【氏名】蘇 俊仁
(72)【発明者】
【氏名】胡 維賓
(72)【発明者】
【氏名】蔡 政宏
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-064827(JP,A)
【文献】再公表特許第2013/069290(JP,A1)
【文献】再公表特許第2020/079729(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0064951(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0038793(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0239739(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/96
G06F 3/0362
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルに適用可能なノブデバイスであって、前記タッチパネルは複数のパネルセンサを含み、当該ノブデバイスは、
ユーザの指が接触するノブカバー;
前記ノブカバーと前記タッチパネルとの間に配置されている、センシングパッド;
補償センサ;及び
前記センシングパッドを前記補償センサに選択的に接続するように構成された、スイッチ;
を含み、
該ノブデバイスの移動イベントが発生すると、ユーザの指の接触によって生み出される前記複数のパネルセンサのうちの少なくとも1つの電荷量変化を増大させるために、前記センシングパッド、前記補償センサ、及び前記タッチパネルによってフィードバックループが生成されるように、前記スイッチがオンになり且つ前記センシングパッドが前記スイッチを介して前記補償センサに電気的に接続され;
該ノブデバイスのタッチ及び回転イベントが発生すると、前記センシングパッドの位置が前記タッチパネルの回転センシング信号を制御する;
ノブデバイス。
【請求項2】
記タッチパネルは、パネルカバー及びディスプレイパネルをさらに含み、前記複数のパネルセンサは、前記パネルカバーと前記ディスプレイパネルとの間に配置され、パネルカバーコンデンサは、前記センシングパッドと1つのパネルセンサとの間に形成され、別のパネルカバーコンデンサが、前記補償センサと別のパネルセンサとの間に形成され、ディスプレイパネルコンデンサは、前記1つのパネルセンサと前記タッチパネルのシステムグラウンドとの間に形成され、別のディスプレイパネルコンデンサは、前記別のパネルセンサと前記システムグラウンドとの間に形成され、且つ、当該ノブデバイスの前記移動イベントが発生すると、前記スイッチがオンになり、且つ前記フィードバックループは、前記センシングパッド、前記補償センサ、前記2つのパネルセンサ、前記2つのパネルカバーコンデンサ、前記2つのディスプレイパネルコンデンサ、及び前記システムグラウンドによって生成される、請求項1に記載のノブデバイス。
【請求項3】
記補償センサの下にある前記別のパネルセンサは、他のパネルセンサとは異なる電位レベルを提供するため、前記タッチパネルの集積回路(IC)チャネルによって制御される、請求項2に記載のノブデバイス。
【請求項4】
記タッチパネルにスルーホールが形成されており、前記補償センサは前記スルーホールに配置され、且つ前記タッチパネルのシステムグラウンドに電気的に接続され、パネルカバーコンデンサは、前記センシングパッドと1つのパネルセンサとの間に形成され、ディスプレイパネルコンデンサは、前記1つのパネルセンサとシステムグラウンドとの間に形成され、当該ノブデバイスの前記移動イベントが発生すると、前記スイッチがオンになり、且つ前記フィードバックループは、前記センシングパッド、前記補償センサ、前記1つのパネルセンサ、前記パネルカバーコンデンサ、前記ディスプレイパネルコンデンサ、及び前記システムグラウンドによって生成される、請求項1に記載のノブデバイス。
【請求項5】
前記タッチパネルは、パネルカバー及びディスプレイパネルをさらに含み、前記パネルカバーに止まり穴が形成され、前記補償センサは、前記止まり穴に配置され、且つ1つのパネルセンサに電気的に接続され、パネルカバーコンデンサは、前記センシングパッドと別のパネルセンサとの間に形成され、ディスプレイパネルコンデンサは、前記1つのパネルセンサと前記タッチパネルのシステムグラウンドとの間に形成され、別のディスプレイパネルコンデンサは、前記別のパネルセンサと前記システムグラウンドとの間に形成され、且つ、当該ノブデバイスの前記移動イベントが発生すると、前記スイッチがオンになり、且つ前記フィードバックループは、前記センシングパッド、前記補償センサ、前記2つのパネルセンサ、前記パネルカバーコンデンサ、前記2つのディスプレイパネルコンデンサ、及び前記システムグラウンドによって生成される、請求項1に記載のノブデバイス。
【請求項6】
記補償センサに電気的に接続された前記パネルセンサが、他のパネルセンサとは異なる電位レベルを提供するために、前記タッチパネルの集積回路(IC)チャネルによって制御される、請求項5に記載のノブデバイス。
【請求項7】
記補償センサと前記パネルセンサとの間に配置された保護層、
をさらに含む、請求項6に記載のノブデバイス。
【請求項8】
記ノブカバーは金属でできている、請求項1に記載のノブデバイス。
【請求項9】
記ノブカバーの一部は金属でできている、請求項1に記載のノブデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザインターフェース(UI)機構の設計に、及びより具体的には、タッチパネルに適用可能であり、且つ手に手袋を着用しているユーザの指の接触を感知することができるノブデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ノブデバイスは、オーディオプレーヤの音量(volume)調整用のノブ、ラジオの周波数調整用のノブ、及びカーコンソールの空調/音量調整用のノブなど、一般的な電子機器で、これらの電子機器の多くがタッチパネルを備えている場合に、よく使用される。したがって、ノブデバイスとタッチパネルを統合して、ユーザの制御を支援する方法が問題になっている。いくつかの従来の方法では、タッチパッドはノブに設置されてからタッチパネルに直接取り付けられ、ノブの機能はタッチパネル上のタッチパッドのタッチ効果によって達成される。例えば、ユーザがノブを回すと、指とタッチパッドが、タッチパネルとのループ、タッチパッドが触れたタッチパネルのセルがタッチ信号を送信するようなループ、を形成する。タッチパネルの異なるセルのタッチ信号に応じて、ノブの回転角を捉える(captured)ことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ただし、ユーザは、手袋をはめた状態でノブに触れる可能性があり、そして、タッチパネルが前記ユーザのタッチを感知できない場合がある。ユーザの手の手袋に起因するこのようなセンシングの問題のため、ノブの回転角をうまく捉えることができない。したがって、副作用を発生させずに、又は副作用を発生させにくい方法で問題を解決するため、手袋をした指のタッチパネルの感度を向上させるための新しい方法と関連するアーキテクチャが必要である。
【0004】
本発明の目的は、上記の問題を解決するために、タッチパネルに適用可能であり、且つ手に手袋を着用しているユーザの指の接触を感知することができるノブデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、ノブデバイスはタッチパネルに適用可能である。タッチパネルは、複数のパネルセンサを含む。ノブデバイスは、ノブカバー、センシングパッド、補償センサ及びスイッチを含む。センシングパッドは、ノブカバーとタッチパネルとの間に配置されている。スイッチは、センシングパッドを補償センサに選択的に接続するように構成されている。ノブデバイスの移動イベントが発生すると、複数のパネルセンサのうちの少なくとも1つの電荷量を変化させるために、センシングパッド、補償センサ、及びタッチパネルによってフィードバックループが生成されるように、スイッチがオンになり且つセンシングパッドがスイッチを介して補償センサに電気的に接続される。ノブデバイスのタッチ及び回転イベントが発生すると、センシングパッドの位置がタッチパネルの回転センシング信号を制御する。
【0006】
本発明のこれら及び他の目的は、様々な図及び図面に示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後、当業者には間違いなく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、ユーザの手に手袋を着用せずにユーザの指が触れたノブデバイスを示す断面図である。
図2図2は、図1に示される条件下で操作されるノブデバイスの等価回路を示す概略図である。
図3図3は、ユーザの手に手袋を着用して、ユーザの指が触れたノブデバイスを示す断面図である。
図4図4は、図3に示される条件下で操作されるノブデバイスの等価回路を示す概略図である。
図5図5は、本発明の第1の実施形態による、ユーザの手に手袋を着用して、ユーザの指が触れたノブデバイスを示す断面図である。
図6図6は、図5に示される条件下で操作されるノブデバイスの等価回路を示す概略図である。
図7図7は、本発明の第2の実施形態による、ユーザの手に手袋を着用して、ユーザの指が触れたノブデバイスを示す断面図である。
図8図8は、本発明の第3の実施形態による、ユーザの手に手袋を着用して、ユーザの指が触れたノブデバイスを示す断面図である。
図9】本発明の第4の実施形態に係る保護層を備えたノブデバイスを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び図2を参照されたい。図1は、ユーザの手に手袋を着用せずにユーザの指が触れたノブデバイス100を示す断面図である。図2は、図1に示される条件下で操作されるノブデバイス100の等価回路を示す概略図である。図1に示すように、ノブデバイス100は、タッチパネル300上に配置され、且つ、ノブカバー110、並びに前記ノブカバー110と前記タッチパネル300との間に配置されたセンシングパッド130を含む。タッチパネル300は、パネルカバー(例えば、カバーガラス)310、ディスプレイパネル330、及び複数のパネルセンサ350を含む。ディスプレイパネルコンデンサCpは、複数のパネルセンサ350のうちの1つとタッチパネル300のシステムグラウンドとの間に形成され、且つパネルカバーコンデンサCpkは、前記センシングパッド130と前記パネルセンサ350(すなわち、パネルカバーコンデンサCpkに寄与する前記複数のパネルセンサ350のうちの1つ)との間に形成される。指コンデンサCfは、ユーザの指とタッチパネル300のシステムグラウンドとの間に形成される。センシングパッド130は電位Vkを有し、且つパネルセンサ350は電位VRXを有する。図2に示すように、ユーザがノブカバー110に触れると、ループは、指コンデンサCf、パネルカバーコンデンサCpk、ディスプレイパネルコンデンサCp、センシングパッド130、パネルセンサ350、及びシステムグラウンドによって生成される。パネルセンサ350の電荷量Qnは、ユーザのタッチが発生した後、Qn1からQn2に変化する。ここで、Qn1=Cp*VRX、且つ Qn2=[Cp//(Cpk+Cf)]*VRX。「//」の記号はコンデンサが並列に接続されていることを意味し、「+」の記号はコンデンサが直列に接続されていることを意味することに留意する。タッチパネル300の集積回路(IC)は、Qnの変化(ΔQn=Qn2-Qn1)に応じて、タッチ信号を生成することができる。一般に、指コンデンサCfは、パネルカバーコンデンサCpk及びディスプレイパネルコンデンサCpよりもはるかに大きくなり、ΔQnがCpk*VRXにほぼ等しくなるようにする。指とノブカバー110との間のインピーダンスZkfは、簡単にするために回路では省略されている。本発明はセンシング問題に焦点を合わせているので、ノブデバイス100の制御に関連するさらなる説明は、簡単にするためにここでは省略されている。
【0009】
ただし、特定のセンシングの問題が発生する可能性がある。例えば、ユーザが手袋を着用している場合、タッチパネルがユーザのタッチを感知しない場合がある。図3及び図4を参照されたい。図3は、ユーザの手に手袋150を有するユーザの指によって触れられたノブデバイス100を示す断面図である。図4は、図3に示される条件下で操作されるノブデバイス100の等価回路を示す概略図である。図3に示すように、手袋150を有するユーザの指がノブカバー110に触れると、ユーザの指とノブカバー110との間にグローブ(glove)コンデンサCkfが形成される。図4に示すように、パネルセンサ350の電荷量Qnは、手袋150を有するユーザのタッチ発生した後、Qn1からQn3に変化する。ここで、Qn3=[Cp//(Cpk+Cf+Ckf)]*VRX、且つCkf<<Cpkであって、グローブコンデンサCkfが総静電容量値を支配する(dominates)ようにする。Qnの変化(ΔQn=Qn3‐Qn1)は、Ckf*VRXにほぼ等しい。グローブコンデンサCkfは比較的小さいため、タッチパネルのICがQnの変化を検出できない場合があり、これは、手袋150を有するユーザのタッチの鈍感につながる可能性がある。上記の問題に対処するために、本発明は、補償機構を備えたノブデバイスを提供することを提案する。補償機構の詳細は以下のとおりである。
【0010】
図5を参照されたい。図5は、本発明の第1の実施形態による、ユーザの手に手袋150を持ったユーザの指が触れたノブデバイス200を示す断面図である。図5に示すように、本発明のノブデバイス200は、タッチパネル300上に配置され、且つ、ノブカバー210、スイッチ220、補償センサ250、及びセンシングパッド230を含み、ここで、前記センシングパッド230は、前記ノブカバー210と前記タッチパネル300との間に配置されている。ノブカバー210がユーザによって回転されると、センシングパッド230は、ある位置から別の位置に移動することができる。タッチパネル300は、パネルカバー(例えば、カバーガラス)310、ディスプレイパネル330、及び複数のパネルセンサ350を含む。本実施形態では、前記複数のパネルセンサ350は、第1のパネルセンサ351及び第2のパネルセンサ352を含み得る。第1のディスプレイパネルコンデンサCp1は、第1のパネルセンサ351とタッチパネル300のシステムグラウンドとの間に形成され、且つ第1のパネルカバーコンデンサCpkは、センシングパッド230と第1のパネルセンサ351との間に形成される。第2のディスプレイパネルコンデンサCp2は、第2のパネルセンサ352とタッチパネル300のシステムグラウンドとの間に形成され、且つ第2のパネルカバーコンデンサCpcは、補償センサ250と第2のパネルセンサ352との間に形成される。指コンデンサCfは、ユーザの指とタッチパネル300のシステムグラウンドとの間に形成される。手袋150を有する使用者の指がノブカバー210に触れると、指とノブカバー210との間にグローブコンデンサCkfが形成される。センシングパッド230は、電位Vkを有し、且つ補償センサ250は、電位Vcを有する。第1のパネルセンサ351は、電位VRX1を有し、且つ第2のパネルセンサ352は、電位VRX2を有する。手袋150を有する指がノブカバー210に触れると、ループ601は、グローブコンデンサCkf、指コンデンサCf、センシングパッド230、第1のパネルカバーコンデンサCpk、第1のパネルセンサ351、及び第1のディスプレイパネルコンデンサCp1によって生成される。
【0011】
スイッチ220は、ノブカバー210内に配置されている。本実施形態では、スイッチ220は、プッシュ/プルスイッチである。ノブカバー210がわずかに押されると、スイッチ220は、センシングパッド230を補償センサ250に電気的に接続するためにオンにされる。加えて、スイッチ220は、スイッチがオフになるように、押されていないときにノブカバー110が跳ね返ることを可能にする機構(例えば、ばね)を有するが、本発明はそれに限定されない。この機構は、当業者に知られているいずれの弾性コンポーネントによって実装することができ、そのため、機構は図に示されていない。そして簡単にするために、ここではこれ以上の説明は省略する。さらに、ユーザがノブカバー210に触れてわずかに押すと、スイッチ220がオンになり、且つセンシングパッド230がスイッチ220を介して補償センサ250に電気的に接続され、第1のパネルセンサ351の電荷量を変更するため、フィードバックループ(補償ループ)602がセンシングパッド230、補償センサ250、第1のパネルカバーコンデンサCpk、第1のパネルセンサ351、第1のディスプレイパネルコンデンサCp1、第2のパネルカバーコンデンサCpc、第2のパネルセンサ352及び第2のディスプレイパネルコンデンサCp2によって生成されるようにする。さらに、簡単にするために、指とノブカバー210との間のインピーダンスZkfは、回路では省略されている。本実施形態では、ノブカバー210をわずかに押すことによりスイッチ220がオンになるが、本発明はそれに限定されない。いくつかの実施形態では、スイッチは、ノブカバーを側方に(laterally)わずかに動かすことによってオンにすることができる。
【0012】
図6を参照されたい。図6は、図5に示される条件下で操作されるノブデバイス200の等価回路を示す概略図である。図6に示すように、手袋150を有するユーザの指がノブカバー210に触れると、ループ601が生成される。ループ601は、図4の等価回路に類似している。そのため、ループ601内の第1のパネルセンサ351の電荷量Qnの変化は、グローブコンデンサCkfが比較的小さいという事実のために小さい。手袋150を有するユーザの指がノブカバー210に触れてわずかに押すと、ループ601及びフィードバックループ602の両方が生成される。ユーザがタッチして押した後、第1のパネルセンサ351の電荷量Qnは、Qn1からQn2に変更される。ここで、Qn1=Cp1*VRX1; Qn2=[Cp1//(Cpk+{(Cf+Ckf)//(Cpc+Cp2)}]*VRX。「//」の記号はコンデンサが並列に接続されていることを意味し、且つ「+」の記号はコンデンサが直列に接続されていることを意味することに言及する。タッチパネル300の集積回路(IC)は、Qn(ΔQn=Qn2-Qn1)の変化に応じて、タッチ信号を生成することができ、且つ、タッチ信号に応じて回転感知信号がさらに生成される。換言すれば、ユーザがノブデバイス200に触れて回転させると、センシングパッド230の下のパネルセンサ(例えば、第1のパネルセンサ351)は、センシングパッド230の位置がタッチパネル300の回転センシング信号を制御するように、電荷量の変化を取得する。小さなグローブコンデンサCkfが直列コンデンサ(Cpk+{(Cf+Ckf))のみを支配するように、フィードバックループ602がQn2を[Cp1//(Cpk+Cf+Ckf)]*VRXから[Cp1//(Cpk+{(Cf+Ckf)//(Cpc+Cp2)}]*VRXに変更することに留意する。直列コンデンサ(Cpc+Cp2)を並列に接続することにより、Qnの変化(ΔQn)を大きくすることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、ノブカバー210は、ノブカバー210の結合能力を高めることによってグローブコンデンサCkfの静電容量値を増加させることができるように、優れた導電性を有する金属で作ることができる。しかしながら、これは例示のみを目的としており、本発明の限定を意味するものではない。
【0014】
上記の配置によれば、手袋を有するユーザの指が十分な電荷量の変化を生み出すことができない場合、オンになっているスイッチによって有効にされるフィードバックループは、電荷量のより大きな差を作成するために、並列に直列コンデンサ(Cpc+Cp2)の接続を作成する。加えて、ノブデバイス200がパネルセンサ300に対してより良好な信号対雑音比(SNR)を有し、且つ手袋を着用したユーザの指がノブデバイス200によってより認識され得るように、第2のパネルカバーコンデンサCpc及び第2のディスプレイパネルコンデンサCp2がより大きい静電容量値を有するほど、電荷量の差が大きくすることができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、第2のパネルカバーコンデンサCpc及び第2のディスプレイパネルコンデンサCp2の静電容量値を増加させるために、第2のパネルセンサ352は、タッチパネル300の集積回路(IC)チャネルによって制御されて、他のパネルセンサ350とは異なる電位レベルを提供することができる。しかしながら、これは例示のみを目的としており、本発明を限定することを意味するものではない。
【0016】
図7を参照されたい。図7は、本発明の第2の実施形態による、ユーザの手に手袋150を有するユーザの指によって接触されるノブデバイス202を示す断面図である。図7に示すように、第2の実施形態と第1の実施形態との違いは、スルーホール320がタッチパネル300に形成されること、及び補償センサ250がスルーホール320に配置され、且つタッチパネル300のシステムグラウンドに電気的に接続されていることである。手袋150を有するユーザの指がノブデバイス202に触れてわずかに押すと、スイッチ220がオンになり、且つフィードバックループ603が、センシングパッド230、補償センサ250、第1のパネルセンサ351、第2のパネルカバーコンデンサCpk、第1のディスプレイパネルコンデンサCp1、及びシステムグランウドによって生成される。本実施形態では、補償センサ250は、一端がシステムグラウンドに直接接続されており、そのため、補償センサ250の電位Vcはほぼゼロであり、これは、図6の第2のパネルカバーコンデンサCpc及び第2のディスプレイパネルコンデンサCp2に無限の静電容量値を割り当てることと同等である。したがって、第1の実施形態と比較して、第2の実施形態は、第1のパネルセンサ351の電荷量Qn(ΔQn)の変化を増加させることができ、且つノブデバイス202の第1のパネルセンサ351がより良いSNRを有するようにすることができる。本実施形態では、ノブカバー210をわずかに押すことによりスイッチ220がオンになるが、本発明はそれに限定されない。いくつかの実施形態では、ノブカバーを側方にわずかに動かすことによってスイッチをオンにすることができる。
【0017】
図8を参照されたい。図8は、本発明の第3の実施形態による、ユーザの手に手袋150を有するユーザの指によって接触されるノブデバイス204を示す断面図である。図8に示すように、第3の実施形態と第1の実施形態との違いは、パネルカバー310に止まり穴(blind hole)340が形成されていることである。補償センサ250は、止まり穴340に配置され、第2のパネルセンサ352に電気的に接続されている。手袋150を有するユーザの指がノブデバイス204に触れてわずかに押すと、スイッチ220がオンになり、且つフィードバックループ604が、センシングパッド230、補償センサ250、第1のパネルセンサ351、第2のパネルセンサ352、第1のパネルカバーコンデンサCpk、第1のディスプレイパネルコンデンサCp1、第2のディスプレイパネルコンデンサCp2、及びシステムグラウンドによって生成される。本実施形態では、補償センサ250は、一端が第2のパネルセンサ352に直接接続されている。第2のパネルカバーコンデンサCpc及び第2のディスプレイパネルコンデンサCp2の静電容量値を増加させるために、第2のパネルセンサ352は、タッチパネル300のICチャネルによって制御されて、他のパネルセンサ350とは異なる電位レベルを提供することができる。例えば、第2のパネルセンサ352は、駆動信号によってグラウンド(0V)になるように駆動され、そのため、補償センサ250の電位Vcはゼロであり、これは、図6の第2のパネルカバーコンデンサCpcに無限の静電容量値を割り当てることと同等である。換言すれば、補償センサ250と第2のパネルセンサ352との接続により、第2のパネルセンサ352の電位レベルは、タッチパネル300のICチャネルによって変化させて、第1のパネルセンサ351の電荷量Qn(ΔQn)の変化を増大させることができる。本実施形態では、ノブカバー210をわずかに押すことによりスイッチ220がオンになるが、本発明はそれに限定されない。いくつかの実施形態では、ノブカバーを側方にわずかに動かすことによってスイッチをオンにすることができる。
【0018】
図9を参照されたい。図9は、本発明の第4の実施形態による保護層260を備えたノブデバイス206を示す断面図である。図9に示すように、第4の実施形態と第3の実施形態との違いは、補償センサ250が第2のパネルセンサ352に直接接続されないように、保護層260が補償センサ250と第2のパネルセンサ352との間に配置されていること、すなわち、補償センサ250は、保護層260を介して第2のパネルセンサ352に結合されていることである。保護層コンデンサ(図9には示されていない)は、補償センサ250と第2のパネルセンサ352との間に形成される。手袋150を有するユーザの指がノブデバイス206に触れてわずかに押すと、スイッチ220がオンになり、且つフィードバックループ606は、センシングパッド230、補償センサ250、第1のパネルセンサ351、第2のパネルセンサ352、第1のパネルカバーコンデンサCpk、第1のディスプレイパネルコンデンサCp1、第2のディスプレイパネルコンデンサCp2、保護層コンデンサ及びシステムグラウンドによって生成される。保護層はパネルカバー310よりも薄いので、保護層コンデンサは、図6の第2のパネルカバーコンデンサCpcと同様であるが、より大きな静電容量値を有する。したがって、保護層コンデンサは、第2のパネルカバーコンデンサCpcよりも大きな電荷量の差を生み出すことができる。本実施形態では、ノブカバー210をわずかに押すことによりスイッチ220がオンになるが、本発明はそれに限定されない。いくつかの実施形態では、ノブカバーを側方にわずかに動かすことによってスイッチをオンにすることができる。さらに、保護層コンデンサと第2の表示パネルコンデンサCp2の静電容量値を増加させるために、タッチパネルへのノブデバイスのSNRをさらに改善するため、第2のパネルセンサ352はまた、タッチパネル300のICチャネルによって制御されて、他のパネルセンサ350とは異なる電位レベルを提供することができる。
【0019】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、デバイス及び方法の多数の修正及び変更を行うことができることを容易に観察するであろう。したがって、上記の開示は、添付の請求項の境界によってのみ制限されると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0020】
100 ノブデバイス
110 ノブカバー
130 センシングパッド
300 タッチパネル
310 パネルカバー
330 ディスプレイパネル
350 複数のパネルセンサ
Zkf インピーダンス
Vk 電位
Cf 指コンデンサ
Cp ディスプレイパネルコンデンサ
Cpk パネルカバーコンデンサ
VRX 電位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9