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特許7358446ポンペ病の処置のための強化酸性アルファ-グルコシダーゼ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-29
(45)【発行日】2023-10-10
(54)【発明の名称】ポンペ病の処置のための強化酸性アルファ-グルコシダーゼ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/445 20060101AFI20231002BHJP
   A61K 38/47 20060101ALI20231002BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20231002BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231002BHJP
   C12N 9/24 20060101ALI20231002BHJP
   C12N 15/56 20060101ALN20231002BHJP
【FI】
A61K31/445 ZMD
A61K38/47 ZNA
A61P3/00
A61P43/00 121
C12N9/24
C12N15/56
【請求項の数】 53
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021211877
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2018533817の分割
【原出願日】2016-12-29
(65)【公開番号】P2022058423
(43)【公開日】2022-04-12
【審査請求日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】62/272,890
(32)【優先日】2015-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/300,479
(32)【優先日】2016-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/315,412
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/402,454
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/428,867
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/431,791
(32)【優先日】2016-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/394,135
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507170099
【氏名又は名称】アミカス セラピューティックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ, ハン ヴィー.
(72)【発明者】
【氏名】カンナ, リッチ
(72)【発明者】
【氏名】ゴッシャル, ラッセル
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】GOTTSCHALL R; XU S; LUN Y; SOSKA SCHILLING A; R; FRASCELLA M; GARCIA A; FENG J; CHANG K; ET AL,NOVEL RHGAA WITH OPTIMAL GLYCOSYLATION IS SIGNIFICANTLY BETTER THAN ALGLUCOSIDASE ALFA FOR GLYCOGEN CLEARANCE IN SKELETAL MUSCLES OF GAA KO MICE,[ONLINE],AMICUS THERAPEUTICS,2015年02月12日,ABSTRACT #94,http://ir.amicusrx.com/static-files/6c02bcb9-6322-48e6-b26d-251f488e6859
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00
A61K 31/00
C12N 9/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミグルスタットを含む、それを必要とする患者におけるポンペ病を処置するための医薬であって、
約260mgの用量のミグルスタットが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生される組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)分子を含む組成物との組み合わせで投与され、
rhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、
rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、
rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、少なくとも平均約0.5モルのビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)を、第1の潜在的N-グリコシル化部位において含み、かつ
rhGAA分子が、配列番号1または配列番号5と少なくとも95%同一の配列を含む、
医薬。
【請求項2】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生される組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)分子を含む組成物との組み合わせによって、それを必要とする患者におけるポンペ病を処置するための、ミグルスタットを含む医薬であって、
ミグルスタットは約260mgの用量で投与され、
rhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、
rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、
rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、少なくとも平均約0.5モルのビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)を、第1の潜在的N-グリコシル化部位において含み、かつ
rhGAA分子が、配列番号1または配列番号5と少なくとも95%同一の配列を含む、
医薬。
【請求項3】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生される組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)分子を含む組成物を含む、それを必要とする患者におけるポンペ病を処置するための医薬であって、
組成物が、約260mgの用量のミグルスタットとの組み合わせで投与され、
rhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、
rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、
rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、少なくとも平均約0.5モルのビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)を、第1の潜在的N-グリコシル化部位において含み、かつ
rhGAA分子が、配列番号1または配列番号5と少なくとも95%同一の配列を含む、
医薬。
【請求項4】
約260mgの用量のミグルスタットとの組み合わせによって、それを必要とする患者におけるポンペ病を処置するための、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生される組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)分子を含む組成物を含む医薬であって、
rhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、
rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、
rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、少なくとも平均約0.5モルのビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)を、第1の潜在的N-グリコシル化部位において含み、かつ
rhGAA分子が、配列番号1または配列番号5と少なくとも95%同一の配列を含む、
医薬。
【請求項5】
ミグルスタット、及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生される組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)分子を含む組成物を含む、それを必要とする患者におけるポンペ病を処置するための医薬であって、
約260mgの用量のミグルスタット及び組成物が、同時にまたは連続して、組み合わせで投与され、
rhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、
rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、
rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、少なくとも平均約0.5モルのビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)を、第1の潜在的N-グリコシル化部位において含み、かつ
rhGAA分子が、配列番号1または配列番号5と少なくとも95%同一の配列を含む、
医薬。
【請求項6】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約0.4~約0.6モルのモノ-マンノース-6-リン酸(モノ-M6P)を、第2の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項7】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約0.4~約0.6モルのビス-M6Pを、第4の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項8】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約0.3~約0.4モルのモノ-M6Pを、第4の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項9】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、約4~約5.4モルのシアル酸を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項10】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、少なくとも約4モルのシアル酸を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項11】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約0.9~約1.2モルのシアル酸を、第3の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項10に記載の医薬。
【請求項12】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約0.8~約0.9モルのシアル酸を、第5の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項11に記載の医薬。
【請求項13】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約1.5~約1.8モルのシアル酸を、第6の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項10に記載の医薬。
【請求項14】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、
(a)平均約0.4~約0.6モルのモノ-M6Pを、第2の潜在的N-グリコシル化部位において含み、
(b)平均約0.9~約1.2モルのシアル酸を、第3の潜在的N-グリコシル化部位において含み、
(c)平均約0.4~約0.6モルのビス-M6Pを、第4の潜在的N-グリコシル化部位において含み、
(d)平均約0.3~約0.4モルのモノ-M6Pを、第4の潜在的N-グリコシル化部位において含み、かつ
(e)平均約0.8~約0.9モルのシアル酸を、第5の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項15】
組成物が約5mg/kg~約20mg/kgの用量で静脈内投与され、かつミグルスタットが約260mg用量で経口投与される、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項16】
組成物の投与が、ミグルスタットの経口投与の約1時間後に開始され、約4時間行われる、請求項15に記載の医薬。
【請求項17】
患者が、ミグルスタットの経口投与前に少なくとも2時間、及びミグルスタットの経口投与後に少なくとも2時間、絶食する、請求項16に記載の医薬。
【請求項18】
組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、
rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、
rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、少なくとも平均約0.5モルのビス-M6Pを、第1の潜在的N-グリコシル化部位において含み、かつ
rhGAA分子が、配列番号1または配列番号5と少なくとも95%同一の配列を含む、
rhGAA分子を含む組成物の製造方法であって、
rhGAA分子を含む組成物をチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生することを含む、
製造方法
【請求項19】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、少なくとも約4モルのシアル酸を含む、請求項18に記載の製造方法
【請求項20】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約0.4~約0.6モルのモノ-M6Pを、第2の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項18に記載の製造方法
【請求項21】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約0.4~約0.6モルのビス-M6Pを、第4の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項18に記載の製造方法
【請求項22】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約0.3~約0.4モルのモノ-M6Pを、第4の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項18に記載の製造方法
【請求項23】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、約4~約5.4モルのシアル酸を含む、請求項18に記載の製造方法
【請求項24】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約0.9~約1.2モルのシアル酸を、第3の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項19に記載の製造方法
【請求項25】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約0.8~約0.9モルのシアル酸を、第5の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項19に記載の製造方法
【請求項26】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約1.5~約1.8モルのシアル酸を、第6の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項19に記載の製造方法
【請求項27】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、
(a)平均約0.4~約0.6モルのモノ-M6Pを、第2の潜在的N-グリコシル化部位において含み、
(b)平均約0.9~約1.2モルのシアル酸を、第3の潜在的N-グリコシル化部位において含み、
(c)平均約0.4~約0.6モルのビス-M6Pを、第4の潜在的N-グリコシル化部位において含み、
(d)平均約0.3~約0.4モルのモノ-M6Pを、第4の潜在的N-グリコシル化部位において含み、かつ
(e)平均約0.8~約0.9モルのシアル酸を、第5の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項18に記載の製造方法
【請求項28】
rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、平均約0.8モルのビス-M6Pを、第1の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項29】
rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、平均約0.8モルのビス-M6Pを、第1の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項18に記載の製造方法
【請求項30】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約1.5~約1.8モルのシアル酸を、第6の潜在的N-グリコシル化部位において含み、rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、約4~約5.4モルのシアル酸を含む、請求項14に記載の医薬。
【請求項31】
rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、平均約0.8モルのビス-M6Pを、第1の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項14に記載の医薬。
【請求項32】
rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、平均約0.8モルのビス-M6Pを、第1の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項30に記載の医薬。
【請求項33】
rhGAA分子が、さらに、rhGAA1モル当たり、平均約1.5~約1.8モルのシアル酸を、第6の潜在的N-グリコシル化部位において含み、rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、約4~約5.4モルのシアル酸を含む、請求項27に記載の製造方法
【請求項34】
rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、平均約0.8モルのビス-M6Pを、第1の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項27に記載の製造方法
【請求項35】
rhGAA分子が、rhGAA1モル当たり、平均約0.8モルのビス-M6Pを、第1の潜在的N-グリコシル化部位において含む、請求項33に記載の製造方法
【請求項36】
ミグルスタットを含む、それを必要とする患者におけるポンペ病を処置するための医薬であって、
ミグルスタットが、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)分子を含む組成物との組み合わせで投与され、
組成物が約5mg/kg~約20mg/kgの用量で静脈内投与され、かつミグルスタットが約260mg用量で経口投与され、
rhGAA分子が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生され、rhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、rhGAA分子の少なくとも50%が、ビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)単位を、第1の潜在的N-グリコシル化部位において担持する、
医薬。
【請求項37】
ヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)分子を含む組成物との組み合わせによって、それを必要とする患者におけるポンペ病を処置するための、ミグルスタットを含む医薬であって、
組成物が約5mg/kg~約20mg/kgの用量で静脈内投与され、かつミグルスタットが約260mg用量で経口投与され、
rhGAA分子が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生され、rhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、rhGAA分子の少なくとも50%が、ビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)単位を、第1の潜在的N-グリコシル化部位において担持する、
医薬。
【請求項38】
組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)分子を含む組成物を含む、それを必要とする患者におけるポンペ病を処置するための医薬であって、
組成物が、ミグルスタットとの組み合わせで投与され、
組成物が約5mg/kg~約20mg/kgの用量で静脈内投与され、かつミグルスタットが約260mg用量で経口投与され、
rhGAA分子が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生され、rhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、rhGAA分子の少なくとも50%が、ビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)単位を、第1の潜在的N-グリコシル化部位において担持する、
医薬。
【請求項39】
ミグルスタットとの組み合わせによって、それを必要とする患者におけるポンペ病を処置するための、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)分子を含む組成物を含む医薬であって、
組成物が約5mg/kg~約20mg/kgの用量で静脈内投与され、かつミグルスタットが約260mg用量で経口投与され、
rhGAA分子が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生され、rhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、rhGAA分子の少なくとも50%が、ビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)単位を、第1の潜在的N-グリコシル化部位において担持する、
医薬。
【請求項40】
ミグルスタット、及び組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)分子を含む組成物を含む、それを必要とする患者におけるポンペ病を処置するための医薬であって、
ミグルスタット及び組成物が、同時にまたは連続して、組み合わせで投与され、
組成物が約5mg/kg~約20mg/kgの用量で静脈内投与され、かつミグルスタットが約260mg用量で経口投与され、
rhGAA分子が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生され、rhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、
rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、
rhGAA分子の少なくとも50%が、ビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)単位を、第1の潜在的N-グリコシル化部位において担持する、医薬。
【請求項41】
翻訳後修飾の後に、rhGAA分子が、
(i)配列番号4に少なくとも95%同一の配列、または
(ii)rhGAA分子が最初の56個のアミノ酸を欠く、配列番号4の配列
を含む、請求項36~40のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項42】
rhGAA分子の少なくとも55%が、第1の潜在的N-グリコシル化部位においてビス-M6P単位を担持する、請求項36~40のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項43】
rhGAA分子の少なくとも70%が、第1の潜在的N-グリコシル化部位においてリン酸化されている、請求項36~40のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項44】
rhGAA分子の少なくとも40%が、第2の潜在的N-グリコシル化部位においてモノ-マンノース-6-リン酸(モノ-M6P)単位を担持する、請求項36~40のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項45】
rhGAA分子の少なくとも40%が、第4の潜在的N-グリコシル化部位においてビス-M6P単位を担持する、請求項36~40のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項46】
rhGAA分子の少なくとも25%が、第4の潜在的N-グリコシル化部位においてモノ-M6P単位を担持する、請求項36~40のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項47】
組成物が約20mg/kgの用量で静脈内注入により、2週間毎に約4時間にわたり投与され、ミグルスタットが組成物の静脈内注入の1時間前に投与され、患者が、ミグルスタットの経口投与前に少なくとも2時間、及びミグルスタットの経口投与後に少なくとも2時間、絶食する、請求項36~40のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項48】
組成物が約20mg/kgの用量で静脈内投与され、かつミグルスタットが約260mgの用量で経口投与される、請求項36~40のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項49】
約260mg用量での経口投与のために構成される、ミグルスタットを含む薬学的に許容される投与形態、
約5mg/kg~約20mg/kgの用量での静脈内投与のために構成される、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)分子を含む薬学的に許容される投与形態、及び
ミグルスタットを含む薬学的に許容される投与形態、及びrhGAA分子を含む薬学的に許容される投与形態を、それを必要とする患者に投与するための説明書、を含み、
ここでrhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、
rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、
rhGAA分子の少なくとも50%が、第1の潜在的N-グリコシル化部位においてビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)単位を担持する、
それを必要とする患者におけるポンペ病を処置するためのキット。
【請求項50】
説明書が、
rhGAA分子を含む薬学的に許容される投与形態を、約20mg/kgの用量で、静脈内注入により、2週間毎に約4時間にわたり投与するための説明書、及び
rhGAA分子を含む薬学的に許容される投与形態を、ミグルスタットを含む薬学的に許容される投与形態の経口投与の1時間後に投与するための説明書、及び
患者が、ミグルスタットを含む薬学的に許容される投与形態の経口投与前に少なくとも2時間、及びミグルスタットを含む薬学的に許容される投与形態の経口投与後に少なくとも2時間、絶食することの説明書、
を含む、請求項49に記載のキット。
【請求項51】
約5mg/kg~約20mg/kgの用量での静脈内投与のために構成される、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)分子を含む薬学的に許容される投与形態、及び
rhGAA分子を含む薬学的に許容される投与形態を、約260mgの用量での投与のために構成されるミグルスタットを含む薬学的に許容される投与形態との組み合わせで、それを必要とする患者に投与するための説明書、を含み、
ここでrhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、
rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、
rhGAA分子の少なくとも50%が、第1の潜在的N-グリコシル化部位においてビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)単位を担持する、
それを必要とする患者におけるポンペ病を処置するためのキット。
【請求項52】
説明書が、
rhGAA分子を含む薬学的に許容される投与形態を、約20mg/kgの用量で、静脈内注入により、2週間毎に約4時間にわたり投与するための、
rhGAA分子を含む薬学的に許容される投与形態を、ミグルスタットを含む薬学的に許容される投与形態の経口投与の1時間後に投与するための、説明書、及び
患者が、ミグルスタットを含む薬学的に許容される投与形態の経口投与前に少なくとも2時間、及びミグルスタットを含む薬学的に許容される投与形態の経口投与後に少なくとも2時間、絶食することの説明書、
を含む、請求項51に記載のキット。
【請求項53】
ミグルスタットを含む、それを必要とする患者におけるポンペ病を処置するための医薬であって、
ミグルスタットが、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)分子を含む組成物との組み合わせで投与され、
組成物が、約5mg/kg~約30mg/kgの用量で、静脈内投与され、かつミグルスタットが、約260mg用量で経口投与され、
rhGAA分子が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で産生され、rhGAA分子が、配列番号5のN84、N177、N334、N414、N596、N826、及びN869にそれぞれ対応するアミノ酸位置に第1、第2、第3、第4、第5、第6及び第7の潜在的N-グリコシル化部位を含み、rhGAA分子上のN-グリカンの40~60%が複合N-グリカンであり、rhGAA分子の少なくとも50%が、第1の潜在的N-グリコシル化部位においてビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)単位を担持する、
医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体に酸性α-グルコシダーゼおよびその薬理学的シャペロンの組み合わせを投与することを含む、ポンペ病を処置するための方法を提供する。より具体的には、本発明は、個体に組換えヒト酸性α-グルコシダーゼとミグルスタットとの組み合わせを投与することを含む、ポンペ病を処置する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ポンペ病は、酸マルターゼ欠乏症またはII型糖源蓄積症としても知られ、いくつかのリソソーム蓄積症の1つである。リソソーム蓄積症は、リソソームと呼ばれる細胞内区画内の細胞スフィンゴ糖脂質、グリコーゲン、またはムコ多糖類の蓄積を特徴とする常染色体劣性遺伝疾患群である。これらの疾患を有する個体は、これらの物質の1つ以上の加水分解を触媒するのに欠陥がある酵素をコードする変異遺伝子を保有し、それらの物質はリソソームに蓄積する。リソソーム障害の他の例には、ゴーシェ病、GM1-ガングリオシドーシス、フコシドーシス、ムコ多糖症、ハーラー症候群、ニーマン-ピックAおよびB病、およびファブリー病が含まれる。ポンペ病はまた、神経筋疾患または代謝性ミオパチーに分類される。
【0003】
ポンペ病は、約40,000出生で1人発生すると推定されており、酵素リソソームα-グルコシダーゼ(EC:3.2.1.20)(一般に酸性α-グルコシダーゼとしても知られる)をコードするGAA遺伝子の突然変異によって引き起こされる。酸性α-グルコシダーゼは、リソソーム内のグルコースへのその加水分解を触媒することにより、動物におけるグルコースの主要な貯蔵形態である分枝多糖、グリコーゲンの代謝に関与する。ポンペ病に罹患している個体は、不活性であるか、または活性が低下した変異体である欠損酸性α-グルコシダーゼを産生するため、グリコーゲン分解はゆっくりと起こるか、または全く起こらず、グリコーゲンは様々な組織、特に線条筋において、リソソームに蓄積し、進行性の筋力低下および呼吸器不全を含む広範囲の臨床症状を生じる。心臓および骨格筋などの組織は特に影響を受ける。
【0004】
ポンペ病は、酵素欠乏症の程度、発症の重症度および年齢によって大きく異なり、その多くが様々な重症度の疾患症状を引き起こす、GAA遺伝子の500以上の異なる突然変異が同定されている。この疾患は、早期発症または乳児期発症および後期発症という広範なタイプに分類されている。より早期の発症およびより低い酵素活性は、一般に、より重度の臨床経過に関連する。小児ポンペ病は最も重篤であり、完全またはほぼ完全な酸性α-グルコシダーゼ欠乏に起因し、筋緊張の重度な欠如、衰弱、肝臓および心臓の肥大、および心筋症を含む症状を呈する。舌が肥大して突出することがあり、嚥下が困難になることがある。ほとんどの患児は、2歳までに呼吸器または心臓の合併症で死亡する。後期発症のポンペ病は、12ヵ月以上のいずれの年齢でも存在し得、心臓病の関与がなく、短期予後がより良好であることを特徴とする。症状は進行性の骨格筋機能不全に関連し、体幹、近位下肢および隔膜における一般的な筋力低下および呼吸筋の消耗を伴う。成人患者では、重大な症状または運動制限がない場合もある。予後は、一般に、呼吸筋の関与の程度に依存する。ポンペ病に罹患した対象の大部分は、徐々に車椅子の使用および補助換気を必要とする身体的衰弱が進行し、多くの場合に呼吸不全のために生じる早期死亡を伴う。
【0005】
ポンペ病の最近の処置の選択肢には、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)による酵素補充療法(ERT)が含まれる。従来のrhGAA製品は、アルグルコシダーゼアルファ、ミオザイム(登録商標)またはルミザイム(登録商標);Genzyme,Inc.の名称で知られている。ERTは、患者の生涯にわたって必要とされる慢性処置であり、静脈内注入によって置換酵素を投与することを含む。次いで、補充酵素は循環中で輸送され、細胞内のリソソームに入り、そこで蓄積されたグリコーゲンを分解するよう作用し、内因性欠損突然変異酵素の欠損した活性を補い、そうして病気の症状を緩和する。乳児期発症ポンペ病患者では、アルグルコシダーゼアルファによる処置は、過去のコントロールと比較して生存率を有意に改善することが示されており、後期発症ポンペ病では、アルグルコシダーゼアルファは、プラセボと比較して、6分間歩行試験(6MWT)および努力性肺活量(FVC)の結果において、控えめに言っても統計的に有意な効果を有することが示されてきた。
【0006】
しかしながら、大部分の対象は、アルグルコシダーゼアルファによる処置を受けている間、安定を維持するか、または悪化し続ける。アルグルコシダーゼアルファによるERTの明らかに最適下限の効果の理由は不明であるが、根底にある筋肉病変の進行性の性質、または現在のERTの組織標的化の不十分さに部分的に起因する可能性がある。例えば、注入された酵素は、血漿のpH(約pH7.4)を含む中性pHで安定でなく、循環中で不可逆的に不活性化され得る。さらに、注入されたアルグルコシダーゼアルファは、場合によりマンノース-6-リン酸(M6P)残基による不十分なグリコシル化のために重要な疾患関連筋肉での不十分な取り込みを示す。そのような残基は、細胞表面で陽イオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CIMPR)に結合し、酵素が細胞内およびリソソーム内に入ることを可能にする。したがって、十分な量の活性酵素がリソソームに到達するように、高用量の酵素が効果的な処置のために必要とされる場合があり、治療を費用がかかり、時間を要するものとする。
【0007】
さらに、抗組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ中和抗体の発達は、多くの場合、処置への反復曝露のためにポンペ病患者において発症する。そのような免疫応答は、処置に対する患者の耐性を著しく低下させる可能性がある。アルグルコシダーゼアルファの米国製品ラベルには、過敏反応の潜在的リスクに関する情報が記載された黒枠警告が含まれている。アナフィラキシーショックを含む、生命を脅かすアナフィラキシー反応が、アルグルコシダーゼアルファで処置された対象において観察されている。
【0008】
これらの欠点に対処するために、次世代ERTが開発されている。1つの戦略では、組換え酵素は、酵素の適切な立体構造を誘導または安定化し、酵素の分解および/またはその不活性形態へのアンフォールディングをインビトロ(例えば、投与前の保管において)またはインビボで防止または低減し得る薬理学的シャペロンと組み合わせて共投与し得る。そのような戦略は、国際公開第2004/069190号パンフレット、国際公開第2006/125141号パンフレット、国際公開第2013/166249号パンフレットおよび国際公開第2014/014938号パンフレットに記載されている。
【0009】
ポンペ病患者に対するミグルスタットとのアルグルコシダーゼアルファの共投与の臨床試験結果が記載されている。イタリアの4つの処置センターにおいて、ポンペ病(3例の早期発症(幼児期)および10例の後期発症)に罹患した13人の対象で実施された臨床試験では、20~40mg/kgのアルグルコシダーゼアルファが単独で投与され、次いで4用量の80mgミグルスタットが投与された。この実験の結果は、アルグルコシダーゼ単独と比較して、共投与につき酸性α-グルコシダーゼ活性曝露(薬物動態パラメータAUC(濃度対時間曲線下面積)について測定)において6.8倍の増加を示した(Parenti,G.,G.Andria,et al.(2015).“Lysosomal Storage Diseases:From Pathophysiology to Therapy.”Annu.Rev.Med.66(1):471-486)。さらに、フロリダ大学で実施された実験では、ポンペ病に罹患した対象にアルグルコシダーゼアルファの静脈内注入と共投与した場合の血漿ミグルスタットの薬物動態(PK)が評価された(Doerfler,P.A.,J.S.Kelley,et al.(2014).“Pharmacological chaperones prevent the precipitation of rhGAA by anti-GAA antibodies during enzyme replacement therapy.”Mol.Genet.Metab.111(2):S38)。
【0010】
しかしながら、ポンペ病の処置のための酵素補充療法のさらなる改善が求められている。例えば、現在使用されている酵素に対して1つ以上の利点を有し得る、新しい組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ酵素が望ましく、これは、改善された組織取り込み、改善された酵素活性、改善された安定性または低下した免疫原性を含むが、これらに限定されるものではない。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、ポンペ病の処置を、それを必要とする患者において行う方法を提供し、本方法は、患者に組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(rhGAA)と組み合わせてミグルスタットを投与することを含み、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で発現され、かつアルグルコシダーゼアルファの1つまたは2つのマンノース-6-リン酸残基を有するN-グリカン単位の含有量と比較して増加した含有量の、1つまたは2つのマンノース-6-リン酸残基を有するN-グリカン単位を含む。少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを約20mg/kgの用量で静脈内投与し、ミグルスタットを約260mgの用量で経口投与する。
【0012】
別の態様では、本発明は、ポンペ病の処置であって、それを必要とする患者における処置のための、本明細書で定義されるミグルスタットおよび組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの併用を提供する。
【0013】
別の態様では、本発明は、ポンペ病の処置であって、それを必要とする患者における処置のための、薬物の調製における本明細書で定義されるミグルスタットおよび組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの組み合わせの使用を提供する。
【0014】
本発明の別の態様は、ポンペ病の併用治療であって、それを必要とする患者における併用治療のためのキットを提供し、キットは、ミグルスタットを含む薬学的に許容される剤形と、本明細書で定義される組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを含む薬学的に許容される剤形と、ミグルスタットを含む薬学的に許容される剤形および組換え酸性α-グルコシダーゼを含む薬学的に許容される剤形を、それを必要とする患者に投与するための説明書とを含む。
【0015】
本発明のさらなる特徴は、以下の本明細書および添付図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】様々なpH値、およびミグルスタットの存在下および非存在下における、温度に対するアンフォールドATB200タンパク質の割合を示すグラフである。
図2A】それぞれルミザイム(登録商標)およびミオザイム(登録商標)のCIMPRアフィニティークロマトグラフィーの結果を示す。破線はM6P溶出勾配を示す。M6Pによる溶出により、M6P含有グリカンを介して結合したGAA分子がCIMPRに置換された。図2Aに示すように、ルミザイム(登録商標)におけるGAA活性の78%がM6Pの添加前に溶出した。図2Bは、GAAミオザイム(登録商標)活性の73%がM6Pの添加前に溶出したことを示す。ルミザイム(登録商標)またはミオザイム(登録商標)におけるrhGAAの22%または27%のみがM6Pで溶出された。これらの図は、これら2つの従来のrhGAA製品における大部分のrhGAAが、細胞取り込みおよびリソソーム標的化に必要なM6Pを有するグリカンを欠いていることを示す。
図2B】それぞれルミザイム(登録商標)およびミオザイム(登録商標)のCIMPRアフィニティークロマトグラフィーの結果を示す。破線はM6P溶出勾配を示す。M6Pによる溶出により、M6P含有グリカンを介して結合したGAA分子がCIMPRに置換された。図2Aに示すように、ルミザイム(登録商標)におけるGAA活性の78%がM6Pの添加前に溶出した。図2Bは、GAAミオザイム(登録商標)活性の73%がM6Pの添加前に溶出したことを示す。ルミザイム(登録商標)またはミオザイム(登録商標)におけるrhGAAの22%または27%のみがM6Pで溶出された。これらの図は、これら2つの従来のrhGAA製品における大部分のrhGAAが、細胞取り込みおよびリソソーム標的化に必要なM6Pを有するグリカンを欠いていることを示す。
図3】rhGAAをコードするDNAでCHO細胞を形質転換するためのDNA構築物を示す。CHO細胞を、rhGAAをコードするDNA構築物で形質転換した。
図4A】それぞれミオザイム(登録商標)およびATB200 rhGAAのCIMPR親和性クロマトグラフィーの結果を示す。図4Bから明らかなように、ATB200 rhGAA中のrhGAAの約70%はM6Pを含んでいた。
図4B】それぞれミオザイム(登録商標)およびATB200 rhGAAのCIMPR親和性クロマトグラフィーの結果を示す。図4Bから明らかなように、ATB200 rhGAA中のrhGAAの約70%はM6Pを含んでいた。
図5A】陰イオン交換(AEX)カラムでの捕捉を伴うおよび伴わないATB200 rhGAAのCIMPR親和性クロマトグラフィーの結果を示す。
図5B】陰イオン交換(AEX)カラムでの捕捉を伴うおよび伴わないATB200 rhGAAのCIMPR親和性クロマトグラフィーの結果を示す。
図6】ルミザイム(登録商標)およびATB200 rhGAAのPolywax溶出プロファイルを示す。
図7】BP-rhGAA、ATB200-1およびATB200-2として同定されたATB200 rhGAAの3つの異なる調製物と比較した、ルミザイム(登録商標)のN-グリカン構造の概要を示す。
図8A】ATB200 rhGAAの部位特異的N-グリコシル化分析の結果を示す。
図8B】ATB200 rhGAAの部位特異的N-グリコシル化分析の結果を示す。
図8C】ATB200 rhGAAの部位特異的N-グリコシル化分析の結果を示す。
図8D】ATB200 rhGAAの部位特異的N-グリコシル化分析の結果を示す。
図8E】ATB200 rhGAAの部位特異的N-グリコシル化分析の結果を示す。
図8F】ATB200 rhGAAの部位特異的N-グリコシル化分析の結果を示す。
図8G】ATB200 rhGAAの部位特異的N-グリコシル化分析の結果を示す。
図8H】ATB200 rhGAAの部位特異的N-グリコシル化分析の結果を示す。
図9A図9Aは、ATB200 rhGAA(左のトレース)とルミザイム(右のトレース)のCIMPR結合親和性を比較する。
図9B図9Bは、ルミザイム(登録商標)およびATB200 rhGAAのBis-M6P含有量を比較する。
図10A図10Aは、様々なGAA濃度で正常線維芽細胞内のATB200 rhGAA活性(左のトレース)とルミザイム(登録商標)rhGAA活性(右のトレース)とを比較する。
図10B図10Bは、様々なGAA濃度でポンペ病を有する対象由来の線維芽細胞内のATB200 rhGAA活性(左のトレース)とルミザイム(登録商標)rhGAA活性(右のトレース)とを比較する。
図10C図10Cは、健常対象およびポンペ病に罹患した対象由来の線維芽細胞の(K取り込み)を比較する。
図11】ATB200の集団薬物動態(PK)モデルの適合度を示すグラフである。
図12】ミグルスタットおよびドゥボグルスタットの用量標準化血漿濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図13A図13Aは、血漿中のドゥボグルスタットの集団PKモデルの適合度を示すグラフである。
図13B図13Bは、筋肉組織中のドゥボグルスタットの集団PKモデルの適合度を示すグラフである。
図14】ミグルスタットの集団PKモデルの適合度を示すグラフである。
図15】ヒトにおけるATB200の単回20mg/kg静脈内(IV)用量の4時間にわたる注入から生じる、予測される濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図16A図16Aは、溶媒(ネガティブコントロール)、20mg/kgのアルグルコシダーゼアルファ(ルミザイム(登録商標))、または5、10もしくは20mg/kgのATB200と接触させた後の、マウス心筋における組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの用量に対するグリコーゲンの量を示すグラフである。
図16B図16Bは、溶媒(ネガティブコントロール)、20mg/kgのアルグルコシダーゼアルファ(ルミザイム(登録商標))、または5、10もしくは20mg/kgのATB200と接触させた後の、マウス四頭筋における組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの用量に対するグリコーゲンの量を示すグラフである。
図16C図16Cは、溶媒(ネガティブコントロール)、20mg/kgのアルグルコシダーゼアルファ(ルミザイム(登録商標))、または5、10もしくは20mg/kgのATB200と接触させた後の、マウス三頭筋における組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの用量に対するグリコーゲンの量を示すグラフである。
図17】ATB200のAUC値に対するミグルスタットのAUC値の比に対して、ATB200単独で処置したマウスにおけるグリコーゲンレベルに対するATB200の存在下で変動する用量のミグルスタットで処置したマウスにおけるグリコーゲンレベルの比をプロットしたグラフである。
図18】466mg、270mgおよび233mgの用量のミグルスタットを反復投与した後の血漿中のミグルスタットの予測される濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図19】466mg、270mgおよび233mgの用量のミグルスタットを反復投与した後の組織リソソーム中のミグルスタットの予測される濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図20】ミグルスタットの存在下および非存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウス由来の心臓、隔膜およびヒラメ筋の一連の顕微鏡写真であり、リソソーム関連膜タンパク質(LAMP1)のレベルを示す。
図21】ミグルスタットの存在下および非存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウス由来の心臓およびヒラメ筋の一連の顕微鏡写真であり、過ヨウ素酸シッフ試薬(PAS)で染色することによりグリコーゲンレベルを示す。
図22】ミグルスタットの存在下および非存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウス由来の四頭筋の一連の顕微鏡写真(1000x)であり、メチレンブルーで染色して空胞を示した(矢印で示す)。
図23】ミグルスタットの存在下および非存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウス由来の四頭筋の一連の顕微鏡写真(400x)であり、これは、オートファジーマーカー微小管関連タンパク質1A/1B型軽鎖3ホスファチジルエタノールアミンコンジュゲート(LC3A II)およびp62、インスリン依存性グルコーストランスポーターGLUT4およびインスリン非依存性グルコーストランスポーターGLUT1のレベルを示す。
図24A】5、10または20mg/kgのATB200、または20mg/kgのATB200および130もしくは260mgのミグルスタットの投与後の、ヒト対象における血漿中のGAA活性の濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図24B】5、10または20mg/kgのATB200、または20mg/kgのATB200および130もしくは260mgのミグルスタットの投与後の、ヒト対象における血漿中のGAA活性の濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図24C】5、10または20mg/kgのATB200、または20mg/kgのATB200および130もしくは260mgのミグルスタットの投与後の、ヒト対象における血漿中のGAA活性の濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図24D】5、10または20mg/kgのATB200、または20mg/kgのATB200および130もしくは260mgのミグルスタットの投与後の、ヒト対象における血漿中のGAA活性の濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図25A】5、10または20mg/kgのATB200、20mg/kgのATB200および130mgのミグルスタット、または20mg/kgのATB200および260mgのミグルスタットの投与後の、ヒト対象における血漿中のGAA総タンパク質の濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図25B】5、10または20mg/kgのATB200、20mg/kgのATB200および130mgのミグルスタット、または20mg/kgのATB200および260mgのミグルスタットの投与後の、ヒト対象における血漿中のGAA総タンパク質の濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図25C】5、10または20mg/kgのATB200、20mg/kgのATB200および130mgのミグルスタット、または20mg/kgのATB200および260mgのミグルスタットの投与後の、ヒト対象における血漿中のGAA総タンパク質の濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図25D】5、10または20mg/kgのATB200、20mg/kgのATB200および130mgのミグルスタット、または20mg/kgのATB200および260mgのミグルスタットの投与後の、ヒト対象における血漿中のGAA総タンパク質の濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図26】130mgまたは260mgのミグルスタットを投与した後のヒト対象における血漿中のミグルスタットの濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図27】野生型およびポンペ線維芽細胞におけるGAAおよびLAMP1レベルの一連の免疫蛍光顕微鏡写真である。
図28】ジストロフィン、α-およびβ-ジストログリカンおよびジスフェリンレベルを示す野生型およびGaaノックアウトマウス由来の筋線維の一連の顕微鏡写真である。
図29A】ミグルスタットの存在下および非存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウス由来の大腿直筋(RF)および外側広筋/内側広筋(VL/VM)の筋線維の一連の顕微鏡写真(200x)であり、LMAP1 IHCシグナルを示す。
図29B】ミグルスタットの存在下および非存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウス由来の大腿直筋(RF)および外側広筋/内側広筋(VL/VM)の筋線維の一連の顕微鏡写真(200x)であり、LMAP1 IHCシグナルを示す。
図30A】ミグルスタットの存在下および非存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウス由来のRFおよびVL/VMの筋線維の一連の顕微鏡写真(200x)であり、LC3 II IHCシグナルを示す。
図30B】ミグルスタットの存在下および非存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウス由来のRFおよびVL/VMの筋線維の一連の顕微鏡写真(200x)であり、LC3 II IHCシグナルを示す。
図31A】ミグルスタットの存在下および非存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウス由来のRFおよびVL/VMの筋線維の一連の顕微鏡写真(200x)であり、ジスフェリンIHCシグナルを示す。
図31B】ミグルスタットの存在下および非存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウス由来のRFおよびVL/VMの筋線維の一連の顕微鏡写真(200x)であり、ジスフェリンIHCシグナルを示す。
図32A】ミグルスタットの存在下および非存在下で、溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋、腓腹筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図32B】ミグルスタットの存在下および非存在下で、溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋、腓腹筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図32C】ミグルスタットの存在下および非存在下で、溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋、腓腹筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図32D】ミグルスタットの存在下および非存在下で、溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋、腓腹筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図33A】ミグルスタットの存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスのワイヤハンドおよび握力筋肉データを示すグラフである。
図33B】ミグルスタットの存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスのワイヤハンドおよび握力筋肉データを示すグラフである。
図34A】ミグルスタットの存在下および非存在下で、溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図34B】ミグルスタットの存在下および非存在下で、溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図34C】ミグルスタットの存在下および非存在下で、溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図34D】ミグルスタットの存在下および非存在下で、溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図34E】ミグルスタットの存在下および非存在下で、溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図34F】ミグルスタットの存在下および非存在下で、溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図34G】ミグルスタットの存在下および非存在下で、溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図35】ミグルスタットの存在下および非存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウス由来のVL/VMの筋線維の一連の顕微鏡写真であり、LAMP1、LC3およびジスフェリンIHCシグナルを示す。
図36】異なるシアル酸含有量を有する2つのバッチのATB200の投与後のGaaノックアウトマウスにおける血漿中のGAA活性の濃度-時間プロファイルを示すグラフである。
図37A】溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋、腓腹筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図37B】溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋、腓腹筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図37C】溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋、腓腹筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図37D】溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウスからの四頭筋、三頭筋、腓腹筋および心臓細胞におけるグリコーゲンレベルを示すグラフである。
図38】ATB200の漸増用量(5、10および20mg/kg)の投与、次いでATB200(20mg/kg)およびミグルスタット(130および260mg)の共投与後のヒト患者におけるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを示すグラフである。
図39】ATB200の漸増用量(5、10および20mg/kg)の投与、次いでATB200(20mg/kg)およびミグルスタット(130および260mg)の共投与後のヒト患者におけるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルを示すグラフである。
図40】ATB200の漸増用量(5、10および20mg/kg)の投与、次いでATB200(20mg/kg)およびミグルスタット(130および260mg)の共投与後のヒト患者におけるクレアチンホスホキナーゼ(CPK)レベルを示すグラフである。
図41】ATB200の漸増用量(5、10および20mg/kg)の投与、次いでATB200(20mg/kg)およびミグルスタット(130および260mg)の共投与後のヒト患者における平均ALT、ASTおよびCPKレベルを示すグラフである。
図42】ミグルスタットの存在下および非存在下で溶媒、アルグルコシダーゼアルファおよびATB200で処置した野生型およびGaaノックアウトマウス由来の外側広筋(VL)の筋線維の一連の顕微鏡写真(100xおよび200x)であり、ジストロフィンシグナルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
本明細書で使用される用語は、一般に、本発明に関連してかつ各用語が使用される具体的な文脈において、当該技術分野における通常の意味を有する。当業者に追加的な指針を提供するために、特定の用語について以下または本明細書の他の箇所で説明する。
【0018】
本明細書では、文言の説明または必要な示唆のために、文脈が他に要する場合を除き、「含む(comprises)」という単語、または「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」などの変形は、包括的な意味、すなわち、述べられた特徴の存在を特定するために使用され、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を排除するものではない。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「ポンペ病」は、酸マルターゼ欠乏症、II型糖源蓄積症(GSDII)、およびII型糖源病とも呼ばれ、ヒト酸性α-グルコシダーゼ酵素をコードするGAA遺伝子の突然変異を特徴とする、遺伝的リソソーム蓄積症を指すことが意図される。この用語には、乳児期、若年期および成人期発症のポンペ病が含まれるが、これらに限定されない、初期および後期発症形態が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「酸性α-グルコシダーゼ」は、グリコーゲン、マルトース、およびイソマルトースのD-グルコース単位間のα-1,4結合を加水分解するリソソーム酵素を指すことが意図される。別の名称には、リソソームα-グルコシダーゼ(EC:3.2.1.20);グルコアミラーゼ;1,4-α-D-グルカングルコヒドロラーゼ;アミログルコシダーゼ;ガンマ-アミラーゼおよびエキソ-1,4-α-グルコシダーゼが含まれるが、これらに限定されるものではない。ヒト酸性α-グルコシダーゼは、17番染色体の長腕(位置17q25.2-q25.3)にマッピングされているGAA遺伝子(National Centre for Biotechnology Information(NCBI)Gene ID 2548)によってコードされている。500を超える突然変異が現在ヒトGAA遺伝子において同定されており、その多くはポンペ病に関連している。酸性α-グルコシダーゼ酵素のミスフォールディングまたは誤処理を生じる突然変異には、T1064C(Leu355Pro)およびC2104T(Arg702Cys)が含まれる。さらに、酵素の成熟および処理に影響を及ぼすGAA突然変異には、Leu405ProおよびMet519Thrが含まれる。酸性α-グルコシダーゼタンパク質の活性には、アミノ酸残基516~521で保存されたヘキサペプチドWIDMNEが必要である。本明細書で使用される場合、略語「GAA」は、酸性α-グルコシダーゼ酵素を指すことが意図され、イタリック体の略語「GAA」は、ヒト酸性α-グルコシダーゼ酵素をコードするヒト遺伝子を指すことが意図される。イタリック体の略語「Gaa」は、ラットまたはマウス遺伝子を含むがこれらに限定されない、非ヒト酸性α-グルコシダーゼ酵素をコードする非ヒト遺伝子を指すことが意図され、略語「Gaa」は、非ヒト酸性α-グルコシダーゼ酵素を指すことが意図される。したがって、略語「rhGAA」は、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ酵素を指すことが意図される。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「アルグルコシダーゼアルファ」は、[199-アルギニン、223-ヒスチジン]プレプロ-α-グルコシダーゼ(ヒト);Chemical Abstracts登録番号420794-05-0として同定された組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを指すことが意図される。アルグルコシダーゼアルファは、ルミザイム(登録商標)およびミオザイム(登録商標)として、2014年10月1日付けで米国におけるGenzymeによる市販が承認されている。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「ATB200」は、同時係属中の特許出願PCT/米国特許出願公開第2015/053252号明細書に記載される組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを指すことが意図され、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「グリカン」は、タンパク質またはポリペプチド上のアミノ酸残基に共有結合した多糖類鎖を指すことが意図される。本明細書で使用される場合、用語「N-グリカン」または「N-結合グリカン」は、アミノ酸残基の窒素原子に共有結合によってタンパク質またはポリペプチド上のアミノ酸残基に結合した多糖類鎖を指すことが意図される。例えば、N-グリカンは、アスパラギン残基の側鎖窒素原子に共有結合し得る。グリカンは、1個または数個の単糖単位を含み得、単糖単位は共有結合して直鎖または分枝鎖を形成し得る。少なくとも1つの実施形態において、ATB200に結合したN-グリカン単位は、N-アセチルグルコサミン、マンノース、ガラクトースまたはシアル酸からそれぞれ独立して選択される1つ以上の単糖単位を含み得る。タンパク質上のN-グリカン単位は、質量分析などの任意の適切な分析技術によって決定し得る。いくつかの実施形態において、N-グリカン単位は、Thermo Scientific Orbitrap Velos Pro(商標)質量分析計、Thermo Scientific Orbitrap Fusion Lumos Tribid(商標)質量分析計またはWatersXevo(登録商標)G2-XS QTof質量分析計などの機器を利用する液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)によって決定され得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「高マンノースN-グリカン」は、1~6個またはそれを超えるマンノース単位を有するN-グリカンを指すことが意図される。少なくとも1つの実施形態において、高マンノースN-グリカン単位は、アスパラギン残基に結合したビス(N-アセチルグルコサミン)鎖を含有し、さらに分枝状ポリマンノース鎖に結合し得る。本明細書で交換可能に使用される場合、用語「M6P」または「マンノース-6-リン酸」は、6位がリン酸化された、すなわち、6位のヒドロキシル基に結合したリン酸基を有する、マンノース単位を指すことが意図される。少なくとも1つの実施形態において、1つ以上のN-グリカン単位の1つ以上のマンノース単位が6位でリン酸化されて、マンノース-6-リン酸単位を形成する。少なくとも1つの実施形態において、用語「M6P」または「マンノース-6-リン酸」は、リン酸基上に「キャップ」としてN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を有するマンノースホスホジエステル、およびGlcNAcキャップを欠く露出したリン酸基を有するマンノース単位の両方を指す。少なくとも1つの実施形態において、タンパク質のN-グリカンは、GlcNAcキャップを有する少なくとも1つのM6P基およびGlcNAcキャップを欠く少なくとも1つの他のM6P基を有する複数のM6P基を有し得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「複合N-グリカン」は、1つ以上のガラクトースおよび/またはシアル酸単位を含むN-グリカンを指すことが意図される。少なくとも1つの実施形態において、複合N-グリカンは、N-アセチルグルコサミン、ガラクトースおよびシアル酸からそれぞれ独立して選択される1つ以上の単糖単位に、1つまたはマンノース単位がさらに結合した高マンノースN-グリカンであり得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、N-ブチル-1-デオキシノジリマイシンまたはNB-DNJまたは(2R,3R,4R,5S)-1-ブチル-2-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-3,4,5-トリオールとしても知られる化合物ミグルスタットは、以下の化学式を有する。
【0027】
ミグルスタットの1つの製剤は、1型ゴーシェ病の単剤治療として商品名Zavesca(登録商標)で市販されている。
【0028】
後述するように、ミグルスタットの薬学的に許容される塩も本発明において使用し得る。ミグルスタットの塩を使用する場合、塩の用量は、患者が受けたミグルスタットの用量がミグルスタットの遊離塩基が使用された場合に受けるであろう用量に等しくなるように調整される。
【0029】
本明細書で使用される場合、1-デオキシノジリマイシンまたはDNJまたは(2R,3R,4R,5S)-2-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-3,4,5-トリオールとしても知られる化合物ドゥボグルスタットは、以下の化学式を有する。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「薬理学的シャペロン」または場合により単に用語「シャペロン」は、酸性α-グルコシダーゼに特異的に結合し、以下の効果の1つ以上を有するものを指すことが意図される:
●タンパク質の安定した分子立体構造の形成を促進する;
●タンパク質の小胞体関連分解を防止するために、小胞体から別の細胞位置、好ましくは天然の細胞位置へのタンパク質の適切な輸送を促進する;
●構造的に不安定なタンパク質またはミスフォールドタンパク質の凝集を防止する;
●タンパク質の少なくとも一部の野生型機能、安定性および/または活性を回復および/または向上させる;および/または
●酸性α-グルコシダーゼを有する細胞の表現型または機能を改善する。
【0031】
したがって、酸性α-グルコシダーゼの薬理学的シャペロンは、酸性α-グルコシダーゼに結合する分子であり、酸性α-グルコシダーゼの適切なフォールディング、輸送、非凝集、および活性をもたらす。本明細書で使用される場合、この用語は、酵素の活性部位に結合する活性部位特異的シャペロン(ASSC)、阻害剤またはアンタゴニスト、およびアゴニストを含むが、これらに限定されるものではない。少なくとも1つの実施形態において、薬理学的シャペロンは、酸性α-グルコシダーゼの阻害剤またはアンタゴニストであり得る。本明細書で使用される場合、用語「アンタゴニスト」は、酸性α-グルコシダーゼに結合し、酸性α-グルコシダーゼの活性を部分的または完全に遮断、阻害、低減、または中和する任意の分子を指すことが意図される。少なくとも1つの実施形態において、薬理学的シャペロンはミグルスタットである。別の非限定的な酸性α-グルコシダーゼの薬理学的シャペロンは、ドゥボグルスタットである。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「活性部位」は、タンパク質の特異的な生物学的活性に関連しかつ必要であるタンパク質の領域を指すことが意図される。少なくとも1つの実施形態において、活性部位は、基質または他の結合パートナーに結合し、化学結合の形成および切断に直接関与するアミノ酸残基に寄与する部位であり得る。本発明における活性部位は、酵素の触媒部位、抗体の抗原結合部位、受容体のリガンド結合ドメイン、制御因子の結合ドメイン、または分泌タンパク質の受容体結合ドメインを包含し得る。活性部位はまた、トランス活性化、タンパク質-タンパク質相互作用、または転写因子および制御因子のDNA結合ドメインを包含し得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「AUC」は、所与の薬物に対する体の経時的総曝露量を評価するための数学的計算を指すことが意図される。対象に投与された薬物の血中濃度が投薬後の時間と共にどのように変化するかをプロットするグラフにおいて、薬物濃度変数はy軸上にあり、時間はx軸上にある。所定の時間間隔に対する薬物濃度曲線とx軸との間の面積は、AUC(「曲線下面積」)である。AUCは、投薬計画のためのガイドとして使用され、体内での異なる薬物の利用可能性のバイオアベイラビリティを比較するために使用される。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「C最大値」は、対象への投与後に達成される薬物の最大血漿濃度を指すことが意図される。
【0035】
本明細書で使用される用語「分布容積」または「V」は、血漿中で観測されるのと同じ濃度で投与される薬物の総量を含有するのに必要な理論的容積を指すことが意図され、薬物が血漿でなく体組織に分布する程度を表す。Vの値が大きいほど、組織分布の程度が大きいことを示す。「中心分布容積」または「Vc」は、血液によって高度に灌流された血液および組織内の分布容積を指すことが意図される。「末梢分布容積」または「V2」は、末梢組織内の分布容積を指すことが意図される。
【0036】
本明細書において交換可能に使用される場合、用語「クリアランス」、「全身クリアランス」または「CL」は、単位時間当たり投与された薬物が完全に除去される血漿の容積を指すことが意図される。「末梢クリアランス」は、単位時間当たりに投与された薬物がクリアされた末梢組織の容積を指すことが意図される。
【0037】
本明細書で使用される場合、「治療有効用量」および「有効量」は、対象において治療応答を生じる、酸性α-グルコシダーゼおよび/またはミグルスタットおよび/またはその組み合わせの量を指すことが意図される。治療応答は、本明細書に記載され、および当該技術分野で公知の、任意の代理臨床マーカーまたは症状を含む、ユーザ(例えば、臨床医)が治療に対する有効な応答として認識する任意の応答であり得る。したがって、少なくとも1つの実施形態において、治療応答は、当該技術分野で公知のものなどのポンペ病の1つ以上の症状またはマーカーの改善または抑制であり得る。ポンペ病の症状またはマーカーとしては、心筋症、心臓肥大、特に体幹または下肢における進行性筋力低下、重度の低血圧、巨舌(および場合により舌の突出)、嚥下、吸い込み、および/または摂食の困難、呼吸不全、肝腫(中度)、顔面筋肉の弛緩、反射消失、運動不耐性、労作性呼吸困難、起座呼吸、睡眠時無呼吸、朝の頭痛、傾眠、脊柱前弯および/または脊柱側弯症、深部腱反射の減少、腰痛、発達的運動マイルストーンの不達成が挙げられるが、これらに限定されるものではない。酸性α-グルコシダーゼに対する阻害効果を有するミグルスタットの濃度は、希釈(および結果として平衡の変化による結合の変化)、バイオアベイラビリティ、およびインビボ投与時のミグルスタットの代謝のために、本発明の目的にとって「有効量」を構成し得ることに留意すべきである。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「酵素補充療法」または「ERT」は、非天然の精製酵素を、そのような酵素の欠乏を有する個体に導入することを指すことが意図される。投与されるタンパク質は、天然源から、または組換え発現により、得ることができる。この用語はまた、その他の点で精製酵素の投与を必要とするか、または精製酵素の投与から恩恵を受ける個体における精製酵素の導入も指す。少なくとも1つの実施形態において、そのような個体は酵素不全を患っている。導入された酵素は、インビトロで産生された精製組換え酵素、または例えば胎盤または動物の乳などの単離された組織または液体から、または植物から精製されたタンパク質であってもよい。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「併用治療」は、2つ以上の個々の治療が同時にまたは連続して投与される任意の治療を指すことが意図される。少なくとも1つの実施形態において、併用治療の結果は、個々に行われる場合の各治療の効果と比較して強化される。強化は、単独で実施した場合の治療によって達成された結果と比較して有利な結果をもたらし得る、様々な治療の効果の任意の改善を含み得る。強化された効果または結果には、強化された効果が、単独で行われた場合の各治療の相加的効果よりも大きい、相乗的強化;強化された効果が、単独で行われた場合の各治療の相加的効果と実質的に等しい、相加的強化;または強化された効果が、単独で行われた場合の各治療の相加的効果よりも低いが、単独で行われた場合の各治療の効果より優れている、相乗効果未満が含まれ得る。強化された効果は、処置効果または結果を測定し得る当該技術分野で公知の任意の手段によって測定し得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、生理学的に許容され、ヒトに投与される場合に典型的には有害な反応を生じない、分子実体および組成物を指すことが意図される。好ましくは、本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、連邦または州政府の規制当局によって承認されているか、または米国薬局方または動物、特にヒトにおける使用のための他の一般に認められている薬局方に列挙されることを意味する。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「担体」は、化合物と投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、または溶媒を指すことが意図される。適切な薬学的担体は当該技術分野で公知であり、少なくとも1つの実施形態において、E.W.Martinによる“Remington’s Pharmaceutical Sciences”第18版または他の版に記載されている。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「対象」または「患者」は、ヒトまたは非ヒト動物を指すことが意図される。少なくとも1つの実施形態において、対象は哺乳動物である。少なくとも1つの実施形態において、対象はヒトである。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「抗薬物抗体」は、対象に投与される薬物、および対象への薬物の投与に対する体液性免疫応答の少なくとも一部として対象により生成される薬物に、特異的に結合する抗体を指すことが意図される。少なくとも1つの実施形態において、薬物は、治療用タンパク質薬物製品である。対象における抗薬物抗体の存在は、軽度から重度の範囲の免疫応答を起こす可能性があり、これは、アナフィラキシー、サイトカイン放出症候群および重要な機能を媒介する内因性タンパク質の交差反応性中和を含むがこれらに限定されない生命を脅かす免疫応答を含むが、これに限定されるものではない。さらにまたは代替的に、対象における抗薬物抗体の存在は、薬物の有効性を低下させ得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「中和抗体」は、薬物の機能を中和するように作用する抗薬物抗体を指すことが意図される。少なくとも1つの実施形態において、治療用タンパク質薬物製品は、発現が対象において低減または欠損している内在性タンパク質の対応物である。少なくとも1つの実施形態において、中和抗体は、内因性タンパク質の機能を中和するように作用し得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「約」および「およそ」は、測定の性質または精度を考慮して、測定された量に対する許容可能な程度の誤差を指すことが意図される。例えば、誤差の程度は、当分野で理解されているように、測定に関して提供された有効数字の数によって示すことができ、測定に関して報告された最も正確な有効数字の±1の変化を含むが、これに限定されるものではない。典型的な例示的な誤差の程度は、所与の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。あるいは、特に生物系において、用語「約」および「およそ」は、所与の値の1桁倍以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内の値を意味し得る。本明細書に記載の数値は、他に明記しない限りおよそのものであり、用語「約」または「およそ」は、明示的に記載されていない場合に推測できることを意味する。
【0046】
用語「同時に」は、本明細書で使用される場合、当業者に理解されるように、同時または前後の合理的な短い時間以内を意味することが意図される。例えば、2つの処置が互いに同時に投与される場合、2つの処置のうちの後の処置の準備に必要な時間を許容するために、1つの処置は他の処置前または後に投与し得る。したがって、2つの処置の「同時投与」は、1つの処置が20分以下、約20分、約15分、約10分、約5分、約2分、約1分または1分未満で他の処置に続くことを含むが、これに限定されるものではない。
【0047】
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書で使用される場合、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなくヒトおよび下等動物の組織との接触に使用するのに適切であり、合理的な利益/危険比に応じ、一般に水溶性または油溶性または分散性であり、それらの意図された用途に有効である塩を意味することが意図される。この用語は、薬学的に許容される酸付加塩および薬学的に許容される塩基付加塩を含む。適切な塩のリストは、例えば、S.M.Birge et al.,J.Pharm.Sci.,1977,66,pp.1-19に見出され、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
用語「薬学的に許容される酸付加塩」は、本明細書で使用される場合、遊離塩基の生物学的有効性および性質を保持し、生物学的にまたはその他の点で望ましくないものではない、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、リン酸などを含むが、これらに限定されない無機酸、および酢酸、トリフルオロ酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、酪酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、桂皮酸、クエン酸、ジグルコン酸、エタンスルホン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリセロリン酸、ヘミスルフィック酸、ヘキサン酸、ギ酸、フマル酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸(イセチオン酸)、乳酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メシチレンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、2-ナフタレンスルホン酸、シュウ酸、パモ酸、ペクチン酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデカン酸などを含むが、これらに限定されない有機酸で形成される塩を意味することが意図される。
【0049】
用語「薬学的に許容される塩基付加塩」は、本明細書で使用される場合、遊離酸の生物学的有効性および性質を保持し、生物学的にまたはその他の点で望ましくないものではない、アンモニア、またはアンモニウムもしくはナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどの金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩を含むが、これらに限定されない無機塩基で形成される塩を意味することが意図される。薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩は、第1級、第2級および第3級アミン、第4級アミン化合物、天然置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、テトラメチルアンモニウム化合物、テトラエチルアンモニウム化合物、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェンアミン(ephenamine)、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ポリアミン樹脂など、の塩を含むが、これらに限定されるものではない。
【0050】
本発明は、ポンペ病の処置を、それを必要とする患者において行う方法を提供し、本方法は、患者に組換えヒト酸性α-グルコシダーゼと組み合わせてミグルスタットまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で発現され、かつアルグルコシダーゼアルファの1つまたは2つのマンノース-6-リン酸残基を有するN-グリカン単位の含有量と比較して増加した含有量の、1つまたは2つのマンノース-6-リン酸残基を有するN-グリカン単位を含む。少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、末端ガラクトースを有する低レベルの複合グリカンを有する。別の態様では、本発明は、ポンペ病の処置であって、それを必要とする患者における処置のためのミグルスタットおよび組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの併用を提供する。
【0051】
少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは経口投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、約200mg~約600mgの経口用量で、または約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mgまたは約600mgの経口用量で投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、約233mg~約400mgの経口用量で投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、約250~約270mgの経口用量で、または約250mg、約255mg、約260mg、約265mgもしくは約270mgの経口用量で投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、約260mgの経口用量として投与される。
【0052】
平均体重が約70kgの成人患者の場合、約200mg~600mgの範囲または任意のそれより小さい範囲のミグルスタットの経口用量が適し得ることが当業者に理解されるであろう。乳児、小児または低体重の成人を含むがこれらに限定されない、体重が約70kgよりも著しく低い患者について、より少ない用量が適切であると医師によって考えられ得る。したがって、少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、約50mg~約200mgの経口用量として、または約50mg、約75mg、約100mg、125mg、約150mg、約175mgまたは約200mgの経口用量として投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、約65mg~約195mgの経口用量として、または約65mg、約130mgもしくは約195mgの経口用量として投与される。
【0053】
少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、経口投与に適した薬学的に許容される剤形として投与され、これは即時放出、遅延放出、変形放出、持続放出、パルス放出または制御放出用途のための、錠剤、カプセル、胚珠、エリキシル、溶液または懸濁液、ゲル、シロップ、口腔洗浄剤、または使用前に水または他の適切な溶媒で再構成するための乾燥粉末、任意選択により、香味剤および着色剤を含むが、これらに限定されるものではない。錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ピル、ボーラス、粉末、ペースト、顆粒、弾丸状、糖衣錠またはプレミックス調製物などの固体組成物も使用できる。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは錠剤として投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットはカプセルとして投与される。少なくとも1つの実施形態において、剤形は、約50mg~約300mgのミグルスタットを含有する。少なくとも1つの実施形態において、剤形は約65mgのミグルスタットを含有する。少なくとも1つの実施形態において、剤形は約130mgのミグルスタットを含有する。少なくとも1つの実施形態において、剤形は約260mgのミグルスタットを含有する。剤形が約65mgのミグルスタットを含む場合、ミグルスタットは、4剤形の投与量または260mgのミグルスタットの総投与量として投与され得ることが企図される。しかしながら、乳児、小児または成人低体重を含むが、これに限定されない平均成人体重の70kgよりも有意に低い体重を有する患者の場合、ミグルスタットは1剤形(総用量65mgのミグルスタット)、2剤形(総投与量130mgのミグルスタット)、または3剤形(総投与量195mgのミグルスタット)の投与量として投与され得る。
【0054】
経口使用のための固体および液体組成物は、当該技術分野で周知の方法に従って調製し得る。そのような組成物はまた、固体または液体形態であり得る1つ以上の薬学的に許容される担体および賦形剤を含み得る。錠剤またはカプセルは、結合剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤または湿潤剤を含むがこれらに限定されない、薬学的に許容される賦形剤を用いて従来の手段によって調製し得る。適切な薬学的に許容される賦形剤は当該技術分野で公知であり、アルファ化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース(HPEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン、アラビアゴム、ラクトース、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、タルク、シリカ、トウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、グリシンクロスカルメロースナトリウムおよびケイ酸塩複合体を含むが、これらに限定されるものではない。錠剤は、当該技術分野で周知の方法によってコーティングすることができる。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットはZavesca(登録商標)(Actelion Pharmaceuticals)として市販されている製剤として投与される。
【0055】
少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で発現され、かつアルグルコシダーゼアルファの1つ以上のマンノース-6-リン酸残基を有するN-グリカン単位の含有量と比較して増加した含有量の、1つ以上のマンノース-6-リン酸残基を有するN-グリカン単位を含む。少なくとも1つの実施形態において、酸性α-グルコシダーゼは、同時係属中の国際特許出願PCT/米国特許出願公開第2015/053252号明細書に記載されるような、本明細書でATB200と称される組換えヒト酸性α-グルコシダーゼである。ATB200は、高親和性(K~2~4nM)でカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CIMPR)に結合し、ポンペ線維芽細胞および骨格筋芽細胞(K取り込み~7~14nM)によって効率的に内在化されることが示されている。ATB200はインビボで特徴付けられ、アルグルコシダーゼアルファ(t1/2~60分)よりも短い見かけの血漿半減期(t1/2~45分)を有することが示された。
【0056】
少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、配列番号1、配列番号2(または配列番号2によってコードされるもの)、配列番号3、配列番号4または配列番号5に記載されるアミノ酸配列を有する酵素である。
【0057】
少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、米国特許第8,592,362号明細書に記載されるような、配列番号1に記載の野生型GAAアミノ酸配列を有し、GenBank受託番号AHE24104.1(G1:568760974)を有する。少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、配列番号2にコードされる野生型GAAアミノ酸配列を有し、そのmRNA配列はGenBank受託番号Y00839.1を有する。少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、配列番号3に示される野生型GAAアミノ酸配列を有する。少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、配列番号4に記載されるGAAアミノ酸配列を有し、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)受託番号NP_000143.2を有する。少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、GAA遺伝子の9つの観察されたハプロタイプのうちの最も優勢なものによってコードされるヒト酸性α-グルコシダーゼ酵素である、グルコシダーゼアルファである。
【0058】
少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、配列番号1に記載の野生型GAAの全長952アミノ酸配列を有するものとして最初に発現され、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、アミノ酸の一部、例えば最初の56アミノ酸を除去する細胞内プロセシングを受ける。したがって、宿主細胞によって分泌される組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、細胞内で最初に発現される組換えヒト酸性α-グルコシダーゼよりも短いアミノ酸配列を有し得る。少なくとも1つの実施形態において、より短いタンパク質は、シグナルペプチドおよび前駆体ペプチドを含む最初の56アミノ酸が除去され、したがって896個のアミノ酸を有するタンパク質が得られる点でのみ配列番号1と異なる、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有し得る。配列番号1または配列番号5に記載のアミノ酸配列に対して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれを超える欠失、置換および/または挿入を有するなど、アミノ酸の数における他の変更も可能である。いくつかの実施形態において、rhGAA生成物は、異なるアミノ酸長を有する組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ分子の混合物を含む。
【0059】
少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、タンパク質中の1つ以上のアミノ酸残基において翻訳後および/または化学修飾を受ける。例えば、メチオニンおよびトリプトファン残基は酸化を受け得る。別の例として、N末端グルタミンはピログルタミン酸を形成することができる。別の例として、アスパラギン残基は、アスパラギン酸への脱アミノ化を受け得る。さらに別の例として、アスパラギン酸残基はイソアスパラギン酸への異性化を受け得る。さらに別の例として、タンパク質中の不対システイン残基は、遊離グルタチオンおよび/またはシステインとジスルフィド結合を形成し得る。したがって、いくつかの実施形態において、酵素は、配列番号1、配列番号2(または配列番号2によってコードされるもの)、配列番号3、配列番号4または配列番号5に記載されるアミノ酸配列を有するものとして最初に発現され、酵素はこれらの翻訳後および/または化学修飾の1つ以上を受ける。そのような改変形態も本開示の範囲内である。
【0060】
GAAおよびそのような変異体ヒトGAAをコードするポリヌクレオチド配列も企図され、本発明によるrhGAAを組換え発現するために使用され得る。
【0061】
好ましくは、全組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ分子の70、65、60、55、45、40、35、30、25、20、15、10または5%以下が、1つ以上のマンノース-6-リン酸残基を有するN-グリカン単位を欠くか、または陽イオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CIMPR)に結合する能力が欠如している。あるいは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ分子の30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、99%、<100%以上が、1つ以上のマンノース-6-リン酸残基を有する少なくとも1つのN-グリカン単位を含む、またはCIMPRに結合する能力を有する。
【0062】
組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ分子は、そのグリカン上に1、2、3または4個のマンノース-6-リン酸(M6P)基を有し得る。例えば、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ分子における1つのN-グリカンのみがM6P(モノ-リン酸化)を有していてもよく、単一のN-グリカンが2つのM6P基(ビス-リン酸化)を有していてもよく、または同じ組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ分子における2つの異なるN-グリカンがそれぞれ単一のM6P基を有していてもよい。組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ分子はまた、M6P基を有しないN-グリカンを有し得る。別の実施形態において、N-グリカンは、平均して2.5モル/モルを超えるM6Pおよび4モル/モルを超えるシアル酸を含み、その結果、ヒト酸性α-グルコシダーゼは、平均して組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ1モルあたり少なくとも2.5モルのマンノース-6-リン酸残基、および組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ1モルあたり少なくとも4モルのシアル酸を含む。平均して組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおける総グリカンの少なくとも約3、4、5、6、7、8、9または10%は、モノ-M6Pグリカンの形態であってもよく、例えば、総グリカンの約6.25%が単一のM6P基を有していてもよく、平均して組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおける総グリカンの少なくとも約0.5、1、1.5、2.0、2.5、3.0%がビス-M6Pグリカンの形態であり、平均して総組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの25%未満が、CIMPRに結合するリン酸化グリカンを含まない。
【0063】
組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、0.5~7.0モル/モル組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの範囲、または0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5または7.0モル/モル組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを含む部分範囲の任意の中間値のM6Pを担持するN-グリカンの平均含有量を有し得る。組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを分画して、異なる平均数のM6P含有またはビス-M6P含有グリカンを有する組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ調製物を提供することができ、これにより、特定の画分を選択することにより、または選択的に異なる画分を組み合わせることにより、標的組織のリソソームへ標的化する組換えヒト酸性α-グルコシダーゼのさらなるカスタマイズが可能となる。
【0064】
組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおけるN-グリカンの最大60%が完全にシアリル化されていてもよく、例えばN-グリカンの最大10%、20%、30%、40%、50%または60%が完全にシアリル化されていてもよい。いくつかの実施形態において、全N-グリカンの4~20%が完全にシアリル化されている。他の実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおけるN-グリカンの5%、10%、20%または30%以下がシアル酸および末端ガラクトース残基(Gal)を有する。この範囲には、全ての中間値および部分範囲が含まれ、例えば、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおける全N-グリカンの7~30%がシアル酸および末端ガラクトースを運ぶことができる。さらに他の実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおけるN-グリカンの5、10、15、16、17、18、19または20%以下が末端ガラクトースのみを有し、シアル酸を含有しない。この範囲には、全ての中間値および部分範囲が含まれ、例えば、組成物中の組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおける全N-グリカンの8~19%が、末端ガラクトースのみを有し、シアル酸を含有しない場合がある。
【0065】
本発明の他の実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおける総N-グリカンの40、45、50、55~60%が複合型N-グリカンであり;または組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおける総N-グリカンの1、2、3、4、5、6、7%以下がハイブリッド型N-グリカンであり;組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおける高マンノース型N-グリカンの5、10または15%以下が非リン酸化されており;組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおける高マンノース型N-グリカンの少なくとも5%または10%がリン酸化されたモノ-M6Pであり;および/または組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおける高マンノース型N-グリカンの少なくとも1または2%がリン酸化されたビス-M6Pである。これらの値には、全ての中間値および部分範囲が含まれる。組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、上記の1つ以上の含有量範囲を満たし得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ1モル当たり平均して2.0~8.0モルのシアル酸残基を有する。この範囲には、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5および8.0モル残基/モル組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを含む、全ての中間値および部分範囲が含まれる。理論に拘束されるものではないが、シアル酸残基を有するN-グリカン単位の存在は、アシアロ糖タンパク質受容体による組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの非生産的クリアランスを防止し得ると考えられる。
【0067】
1つ以上の実施形態において、rhGAAは、組換えヒトリソソームタンパク質の一定のN-グリコシル化部位にM6Pおよび/またはシアル酸単位を有する。例えば、rhGAAには7つの潜在的なN結合グリコシル化部位がある。これらの潜在的なグリコシル化部位は、配列番号5の次の位置に存在する:N84、N177、N334、N414、N596、N826およびN869。同様に、配列番号1の全長アミノ酸配列に関して、これらの潜在的なグリコシル化部位は、以下の位置に存在する:N140、N233、N390、N470、N652、N882およびN925。rhGAAの他の変異体は、アスパラギン残基の位置に応じて、同様のグリコシル化部位を有し得る。一般に、タンパク質アミノ酸配列におけるASN-X-SERまたはASN-X-THRの配列は、潜在的なグリコシル化部位を示すが、例外として、XはHISまたはPROではあり得ない。
【0068】
様々な実施形態において、rhGAAは、特定のN-グリコシル化プロファイルを有する。1つ以上の実施形態において、rhGAAの少なくとも20%が第1のN-グリコシル化部位でリン酸化される(例えば、配列番号5のN84および配列番号1のN140)。例えば、rhGAAの少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%が第1のN-グリコシル化部位でリン酸化され得る。このリン酸化は、モノ-M6Pおよび/またはビス-M6P単位の結果であり得る。いくつかの実施形態において、rhGAAの少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%は、第1のN-グリコシル化部位でモノ-M6P単位を有する。いくつかの実施形態において、rhGAAの少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%は、第1のN-グリコシル化部位でビス-M6P単位を有する。
【0069】
1つ以上の実施形態において、rhGAAの少なくとも20%が第2のN-グリコシル化部位でリン酸化される(例えば、配列番号5のN177および配列番号1のN223)。例えば、rhGAAの少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%が第2のN-グリコシル化部位でリン酸化され得る。このリン酸化は、モノ-M6Pおよび/またはビス-M6P単位の結果であり得る。いくつかの実施形態において、rhGAAの少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%は、第2のN-グリコシル化部位でモノ-M6P単位を有する。いくつかの実施形態において、rhGAAの少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%は、第2のN-グリコシル化部位でビス-M6P単位を有する。1つ以上の実施形態において、rhGAAの少なくとも5%が第3のN-グリコシル化部位でリン酸化される(例えば、配列番号5のN334および配列番号1のN390)。他の実施形態において、rhGAAの5%、10%、15%、20%または25%未満が第3のN-グリコシル化部位でリン酸化される。例えば、第3のN-グリコシル化部位は、非リン酸化高マンノースグリカン、ジ-、トリ-、およびテトラ-アンテナリ複合グリカン、ならびに主要な種としてのハイブリッドグリカンの混合物を有し得る。いくつかの実施形態において、rhGAAの少なくとも3%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%が第3のN-グリコシル化部位でシアリル化される。
【0070】
1つ以上の実施形態において、rhGAAの少なくとも20%が第4のN-グリコシル化部位でリン酸化される(例えば、配列番号5のN414および配列番号1のN470)。例えば、rhGAAの少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%が第4のN-グリコシル化部位でリン酸化され得る。このリン酸化は、モノ-M6Pおよび/またはビス-M6P単位の結果であり得る。いくつかの実施形態において、rhGAAの少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%は、第4のN-グリコシル化部位でモノ-M6P単位を有する。いくつかの実施形態において、rhGAAの少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%は、第4のN-グリコシル化部位でビス-M6P単位を有する。いくつかの実施形態において、rhGAAの少なくとも3%、5%、8%、10%、15%、20%または25%が第4のN-グリコシル化部位でシアリル化される。
【0071】
1つ以上の実施形態において、rhGAAの少なくとも5%が第5のN-グリコシル化部位でリン酸化される(例えば、配列番号5のN596および配列番号1のN692)。他の実施形態において、rhGAAの5%、10%、15%、20%または25%未満が第5のN-グリコシル化部位でリン酸化される。例えば、第5のN-グリコシル化部位は、主要な種として、フコシル化されたジ-アンテナリ複合グリカンを有し得る。いくつかの実施形態において、rhGAAの少なくとも3%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または95%が第5のN-グリコシル化部位でシアリル化される。
【0072】
1つ以上の実施形態において、rhGAAの少なくとも5%が第6のN-グリコシル化部位でリン酸化される(例えば、配列番号5のN826および配列番号1のN882)。他の実施形態において、rhGAAの5%、10%、15%、20%または25%未満が第6のN-グリコシル化部位でリン酸化される。例えば、第6のN-グリコシル化部位は、主要な種として、ジ-、トリ-、およびテトラ-アンテナリ複合グリカンの混合物を有し得る。いくつかの実施形態において、rhGAAの少なくとも3%、5%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または95%が第6のN-グリコシル化部位でシアリル化される。
【0073】
1つ以上の実施形態において、rhGAAの少なくとも5%が第7のN-グリコシル化部位でリン酸化される(例えば、配列番号5のN869および配列番号1のN925)。他の実施形態において、rhGAAの5%、10%、15%、20%または25%未満が第7のN-グリコシル化部位でリン酸化される。いくつかの実施形態において、rhGAAの40%、45%、50%、55%、60%または65%未満が第7のN-グリコシル化部位に任意のグリカンを有する。いくつかの実施形態において、rhGAAの少なくとも30%、35%または40%が第7のN-グリコシル化部位にグリカンを有する。
【0074】
組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、CHO細胞株GA-ATB-200またはATB-200-001-X5-14などのチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞により、またはそのようなCHO細胞培養物の継代培養物もしくは誘導体により好ましく産生される。配列番号1または配列番号5と少なくとも90%、95%、98%または99%同一であるものなど、酸性α-グルコシダーゼまたは他の変異体酸性α-グルコシダーゼアミノ酸配列の対立遺伝子変異体を発現するDNA構築物を構築し、CHO細胞で発現させることができる。これらの変異体酸性α-グルコシダーゼアミノ酸配列は、例えば、配列番号1または配列番号5に記載のアミノ酸配列と比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれを超える欠失、置換および/または挿入を有するなど、配列番号1または配列番号5に対して欠失、置換および/または挿入を含有してもよい。当業者は、そのようなDNA構築物の産生のためのCHO細胞の形質転換に適した代替的ベクターを選択し得る。
【0075】
GCG配列分析パッケージ(ウィスコンシン大学、ウィスコンシン州マディソン)の一部として利用可能なFASTAまたはBLASTを含む、2つの配列間の同一性を計算するために、様々なアライメントアルゴリズムおよび/またはプログラムを使用することができ、例えば、デフォルト設定で使用することができる。例えば、本明細書に記載され、好ましくは実質的に同じ機能を示す特定のポリペプチドに対して少なくとも90%、95%、98%または99%の同一性を有するポリペプチド、ならびにそのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが企図される。別段の指示がない限り、類似度スコアはBLOSUM62の使用に基づく。BLASTPが使用される場合、類似性割合はBLASTP陽性スコアに基づき、配列同一性割合はBLASTP同一性スコアに基づく。BLASTPの「同一性」は、同一の高スコア配列対における総残基の数および割合を示す;およびBLASTPの「陽性」は、整列スコアが正の値を有し、互いに類似している残基の数および割合を示す。これらの同一性または類似性の程度または本明細書に開示されるアミノ酸配列との類似性の任意の中程度の同一性を有するアミノ酸配列が企図され、この開示によって包含される。類似のポリペプチドのポリヌクレオチド配列は、遺伝コードを使用して推定され、従来の手段、特に遺伝子コードを使用してそのアミノ酸配列を逆翻訳することによって得ることができる。
【0076】
本発明者らは、陽イオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体(CIMPR)および細胞リソソームを標的とする優れた能力を有する組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ、ならびにインビボでの非生産的クリアランスを減少させるグリコシル化パターンが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を使用して産生できることを見出した。これらの細胞は、アルグルコシダーゼアルファなどの従来の組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ製品よりも、1つ以上のマンノース-6-リン酸残基を有する有意に高いレベルのN-グリカン単位を有する組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを発現するように誘導し得る。これらの細胞によって産生される組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、例えばATB200によって例示されるように、ルミザイム(登録商標)などの従来の酸性α-グルコシダーゼよりも、有意に多くの筋肉細胞標的化マンノース-6-リン酸(モノ-M6P)およびビス-マンノース-6-リン酸(ビス-M6P)N-グリカン残基を有する。理論に拘束されるものではないが、この広範なグリコシル化により、ATB200酵素がより効果的に標的細胞に取り込まれることができ、したがって、例えば、はるかに低いM6Pおよびビス-M6P含有量を有するアルグルコシダーゼアルファなど、他の組換えヒト酸性α-グルコシダーゼよりも効率的に循環から除去され得ると考えられる。ATB200は、CIMPRに効率的に結合し、骨格筋および心筋によって効率的に取り込まれ、好ましい薬物動態プロファイルを提供しインビボでの非生産的クリアランスを減少させるグリコシル化パターンを有することが示されている。
【0077】
ATB200の特有なグリコシル化は、例えば、アルグルコシダーゼアルファと比較して、ATB200の免疫原性の低下に寄与し得ることも企図される。当業者によって理解されるように、保存された哺乳動物糖によるタンパク質のグリコシル化は、一般に、生成物の溶解性を高め、生成物の凝集および免疫原性を減少させる。グリコシル化は、タンパク質の凝集を最小限にし、免疫系からタンパク質免疫原性エピトープを遮断することにより、タンパク質免疫原性を間接的に変化させる(Guidance for Industry-Immunogenicity Assessment for Therapeutic Protein Products,US Department of Health and Human Services,Food and Drug Administration,Center for Drug Evaluation and Research,Center for Biologics Evaluation and Research,August 2014)。したがって、少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与は、抗薬物抗体を誘導しない。少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与は、アルグルコシダーゼアルファの投与によって誘導される抗薬物抗体のレベルよりも対象における抗薬物抗体の発生率を低下させる。
【0078】
同時係属中の国際特許出願PCT/米国特許出願公開第2015/053252号明細書に記載されるように、CHO細胞などの細胞を使用して同文献に記載されるrhGAAを生成することができ、このrhGAAは、本発明で使用され得る。そのようなCHO細胞株の例は、GA-ATB-200またはATB-200-001-X5-14、またはそこに記載されるようなrhGAA組成物を産生するその継代培養物である。そのようなCHO細胞株は、GAAをコードする1ポリヌクレオチドにつき5、10、15、20またはそれを超えるコピーなどの遺伝子の複数のコピーを含有し得る。
【0079】
ATB200 rhGAAなどの高M6Pおよびビス-M6P rhGAAは、GAAをコードするDNA構築物でCHO細胞を形質転換する。CHO細胞は以前にrhGAAを作製するために使用されていたが、形質転換CHO細胞は、CIMPRを標的とするM6Pおよびビス-M6Pグリカンの高い含有量を有するrhGAAを産生するように培養および選択できたことは認められなかった。
【0080】
驚くべきことに、CHO細胞株を形質転換し、CIMPRを標的化するM6Pまたはビス-M6Pを有するグリカンの高含有量を含有するrhGAAを生成する形質転換体を選択し、この高M6P rhGAAを安定に発現させることが可能であることが見出された。したがって、これらのCHO細胞株を作製するための方法はまた、同時係属中の国際特許出願PCT/米国特許出願公開第2015/053252号明細書に記載されている。この方法は、CHO細胞をGAAまたはGAA変異体をコードするDNAで形質転換すること、GAAをコードするDNAをその染色体に安定に組み込み、安定にGAAを発現するCHO細胞を選択すること、およびM6Pまたはビス-M6Pを有するグリカンの高い含有量を有するGAAを発現するCHO細胞を選択すること、および任意選択により、高いシアル酸含有量を有するおよび/または低い非リン酸化高マンノース含有量を有するN-グリカンを有するCHO細胞を選択することを含む。少なくとも1つの実施形態において、GAAは、末端ガラクトースを有する低レベルの複合グリカンを有する。
【0081】
これらのCHO細胞株は、CHO細胞株を培養し、前記組成物をCHO細胞の培養物から回収することにより、rhGAAおよびrhGAA組成物を生産するために使用され得る。
【0082】
組換えヒト酸性α-グルコシダーゼまたはその薬学的に許容される塩は、ヒトへの投与に適合した医薬組成物として通常の手順に従って製剤化し得る。例えば、好ましい実施形態において、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要に応じて、組成物はまた、可溶化剤、および注射部位において痛みを和らげるための局所麻酔剤を含み得る。一般に、成分は、別個に供給されるか、または単位剤形中で一緒に混合されて、例えば、または活性物質の量を示すアンプルまたはサシェなどの密閉容器中の凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として供給される。組成物が注入によって投与される場合、医薬グレードの滅菌水、生理食塩水またはデキストロース/水を含有する注入ボトルで分注し得る。組成物が注射によって投与される場合、投与前に成分が混合され得るように、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルが提供され得る。
【0083】
組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(または組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを含有する組成物または医薬)は、適切な経路で投与される。一実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは静脈内投与される。他の実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、心臓もしくは骨格筋(例えば、筋肉内)または神経系(例えば、脳への直接注射;脳室内;髄腔内)などの標的組織への直接投与によって投与される。必要に応じて、複数の経路を同時に使用できる。
【0084】
組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(または組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを含有する組成物または医薬)は、治療有効量(例えば、定期的に投与された場合、疾患に関連する症状を改善すること、疾患の発症を予防または遅延させること、および/または疾患の症状の重症度または頻度を軽減することなどにより、疾患を処置するのに十分な投与量)で投与される。疾患の処置における治療上有効量は、性質および疾患の影響の程度に依存し、標準的な臨床技術によって決定し得る。さらに、インビトロアッセイまたはインビボアッセイを、任意選択により、最適な投与量範囲の同定を促進するために使用し得る。使用される正確な用量は、投与経路および疾患の重症度にも依存し、施術者の判断および各患者の状況に従って決定されるべきである。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から誘導された用量応答曲線から外挿し得る。少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、約5mg/kg~約30mg/kg、典型的には約5mg/kg~約20mg/kgの用量で静脈内注入によって投与される。少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kgまたは約20mg/kgの用量で静脈内注入によって投与される。少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、約20mg/kgの用量で静脈内注入によって投与される。特定の個体の有効用量は、個体の必要性に応じて、経時的に変化させる(例えば、増加または減少させる)ことができる。例えば、身体疾患もしくはストレスを有する時、または抗酸性α-グルコシダーゼ抗体が存在するようになったかもしくは増加する場合、または疾患の症状が悪化する場合、その量を増加することができる。
【0085】
組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(または組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを含有する組成物または医薬)の治療有効量は、性質および疾患の影響の程度に依存して定期的に、および継続的に投与される。本明細書で使用される場合、「定期的」な投与は、治療有効量が周期的に投与されることを示す(1回投与とは区別される)。間隔は、標準的な臨床技術によって決定することができる。好ましい実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは毎月、隔月;毎週;毎週2回;または毎日投与される。単一の個体に対する投与間隔は、一定間隔である必要はなく、個体の必要性に応じて、経時的に変化させることができる。例えば、身体疾患もしくはストレスを有する時、抗組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ抗体が存在するようになったかもしくは増加する場合、または疾患の症状が悪化する場合、投与の間隔を減少させることができる。いくつかの実施形態において、治療有効量の5、10、20、50、100または200mg酵素/kg体重を、シャペロンを伴いまたは伴わず、週に2回、毎週または隔週投与する。
【0086】
本発明の組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、単位用量のバイアルもしくはシリンジ中、または静脈内投与のための瓶もしくは袋の中など、後の使用のために調製してもよい。組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ、ならびに任意選択による賦形剤またはシャペロンもしくは他の薬物などの他の活性成分を含むキットは、包装材料に封入され、再構成、希釈、またはポンペ病に罹患している患者などの処置を必要とする対象を処置する投与のための説明書を伴い得る。
【0087】
少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットおよび組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、同時に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットおよび組換えヒト酸性α-グルコシダーゼは、連続的に投与される。少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与前にミグルスタットを投与する。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与前3時間以内に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与の約2時間前に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与前の2時間以内に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与の約1.5時間前に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与の約1時間前に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与の約50分~約70分前に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与の約55分~約65分前に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与の約30分前に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与の約25分~約35分前に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与の約27分~約33分前に投与される。
【0088】
少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与と同時に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与前または投与後20分以内に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与前または投与後15分以内に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与前または投与後10分以内に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与前または投与後5分以内に投与される。
【0089】
少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与後に投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与後2時間までに投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与後約30分で投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与後約1時間で投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与後約1.5時間で投与される。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットは、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与後約2時間で投与される。
【0090】
本発明の別の態様は、ポンペ病の併用治療であって、それを必要とする患者における併用治療のためのキットを提供する。キットは、ミグルスタットを含む薬学的に許容される剤形と、本明細書で定義される組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを含む薬学的に許容される剤形と、ミグルスタットを含む薬学的に許容される剤形および組換え酸性α-グルコシダーゼを含む薬学的に許容される剤形を、それを必要とする患者に投与するための説明書とを含む。少なくとも1つの実施形態において、ミグルスタットを含む薬学的に許容される剤形は、錠剤またはカプセルを含むが、これに限定されない、本明細書に記載される経口剤形である。少なくとも1つの実施形態において、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを含む薬学的に許容される剤形は、本明細書に記載の注射に適した滅菌溶液である。少なくとも1つの実施形態において、剤形を投与するための説明書は、本明細書に記載されるように、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼを含む薬学的に許容される剤形を静脈内注入によって投与する前に、ミグルスタットを含む薬学的に許容される剤形を投与するための説明書を含む。
【0091】
理論に拘束されるものではないが、ミグルスタットは組換えヒト酸性α-グルコシダーゼATB200の薬理学的シャペロンとして作用し、その活性部位に結合すると考えられている。このように、図1に示すように、ミグルスタットは、アンフォールドATB200タンパク質の割合を減少させ、ATB200の活性立体構造を安定化させ、血漿の中性pHでの変性および不可逆的な不活性化を防止し、循環中で組織に到達して取り込まれるのに十分な長さの生存条件を許容することが見出された。しかしながら、ミグルスタットのATB200の活性部位への結合はまた、天然基質であるグリコーゲンが活性部位にアクセスすることを防止することにより、ATB200の酵素活性の阻害をもたらし得る。ミグルスタットおよび組換えヒト酸性α-グルコシダーゼが本明細書に記載の条件下で患者に投与される場合、血漿および組織内のミグルスタットおよびATB200の濃度は、ATB200が組織に取り込まれ、リソソームを標的化するまで安定化される程度であるが、ミグルスタットのクリアランスが迅速であるために、リソソーム内のATB200によるグリコーゲンの加水分解は、ミグルスタットの存在によって過度に阻害されず、酵素は治療的に有用な十分な活性を保持すると考えられる。
【0092】
上記の全ての実施形態を組み合わせてもよい。これは、以下に関する特定の実施形態を含む:
薬理学的シャペロン、例えばミグルスタットの性質;およびそれが特異的である活性部位;
投与量、薬理学的シャペロン(ミグルスタット)の投与経路、および担体の性質および市販の組成物の使用を含む医薬組成物のタイプ;
薬の性質、例えば対象において発現が低下または欠損している内因性タンパク質の対応物であってもよい、治療用タンパク質薬物製品、好適には、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で発現され、1つ以上のアルグルコシダーゼのアルファマンノース-6-リン酸残基を有するN-グリカン単位の含有量と比較した場合、増加した含有量の1つ以上のマンノース-6-リン酸残基を有するN-グリカン単位を含む、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ;および好適には、配列番号1、配列番号2(または配列番号2によってコードされるもの)、配列番号3、配列番号4または配列番号5に記載されるアミノ酸配列を有するもの;
組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおけるN-グリカン単位の数およびタイプ、例えば、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼに結合したN-アセチルグルコサミン、ガラクトース、シアル酸またはこれらの組み合わせから形成された複合N-グリカン;
マンノース-6-リン酸および/またはビス-マンノース-6-リン酸を形成する組換えヒト酸性α-グルコシダーゼにおけるマンノース単位のリン酸化の程度;
補充酵素(組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ)の投与量および投与経路(例えば静脈内投与、特に静脈内注入または標的組織への直接投与)および担体および治療有効量を含む製剤のタイプ;
薬理学的シャペロン(ミグルスタット)および組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの投与間隔;
治療応答の性質および併用治療の結果(例えば、個々に行われる各治療の効果と比較して強化された結果);
併用治療の投与タイミング、例えば、ミグルスタットおよび組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの同時投与または逐次投与、例えば、ミグルスタットが、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの前、または組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの後、または投与前または投与後の一定時間内に投与される場合;および
処置患者の性質(例えば、ヒトなどの哺乳動物)および個体が罹患している病状(例えば、酵素不全)。
【0093】
上記リストの任意の実施形態は、リストの他の実施形態の1つ以上と組み合わせることができる。
【実施例
【0094】
本発明のさらなる特徴は、例として、本発明の原理を説明する以下の非限定的な実施例から明らかになる。
【0095】
実施例1:既存のミオザイム(登録商標)およびルミザイム(登録商標)のrhGAA製品の限界
現在承認されている唯一のポンペ病処置薬であるミオザイム(登録商標)およびルミザイム(登録商標)におけるrhGAAの能力を評価するために、これらのrhGAA調製物を(M6P基を有するrhGAAに結合する)CIMPRカラムに注入し、続いて遊離M6勾配で溶出した。画分を96ウェルプレートに集め、GAA活性を4MU-α-グルコース基質によってアッセイした。結合および未結合rhGAAの相対量をGAA活性に基づいて決定し、全酵素の割合として報告した。
【0096】
図2A~Bは、従来のERT(ミオザイム(登録商標)およびルミザイム(登録商標))に関連する問題を記載する:ミオザイム(登録商標)のrhGAAの73%(図2B)およびルミザイム(登録商標)のrhGAAの78%(図2A)は、CIMPRに結合しなかった(各図の一番左のピークを参照)。ミオザイム(登録商標)のrhGAAの27%およびルミザイム(登録商標)のrhGAAの22%のみが、筋肉細胞上のCIMPRに標的化し得るM6Pを含んでいた。
【0097】
ミオザイム(登録商標)およびルミザイム(登録商標)の有効用量は、筋肉細胞上のCIMPRを標的とするM6Pを含有するrhGAAの量に対応する。しかしながら、これら2つの従来製品におけるrhGAAの大部分は、標的筋肉細胞上のCIMPR受容体を標的としない。rhGAAの大部分が筋肉細胞に標的化されていない従来のrhGAAの投与は、非標的化rhGAAに対するアレルギー反応または免疫誘導のリスクを増加させる。
【0098】
実施例2:高含有量のモノ-またはビス-M6P含有N-グリカンを有するATB200 rhGAAを産生するCHO細胞の調製
CHO細胞を、rhGAAを発現するDNAでトランスフェクトし、続いてrhGAAを産生する形質転換体を選択した。rhGAAをコードするDNAでCHO細胞を形質転換するためのDNA構築物を図3に示す。CHO細胞を、rhGAAを発現するDNAでトランスフェクトし、続いてrhGAAを産生する形質転換体を選択した。
【0099】
トランスフェクション後、安定的に組み込まれたGAA遺伝子を含むDG44 CHO(DHFR-)細胞をヒポキサンチン/チミジン欠損(-HT)培地で選択した。これらの細胞におけるGAA発現の増幅は、メトトレキサート処理(MTX、500nM)によって誘導された。大量のGAAを発現する細胞プールはGAA酵素活性アッセイによって同定され、rhGAAを産生する個々のクローンを確立するために使用された。個々のクローンを半固体培地プレート上で生成し、ClonePixシステムにより採取し、24ディープウェルプレートに移した。個々のクローンをGAA酵素活性についてアッセイして、高レベルのGAAを発現するクローンを同定した。GAA活性を決定するための条件培地は、4-MU-α-グルコピラノシドα-グルコシダーゼ基質を用いた。GAA酵素アッセイによって測定される、より高レベルのGAAを産生するクローンを生存能力、成長能力、GAA生産性、N-グリカン構造および安定なタンパク質発現についてさらに評価した。強化されたモノ-M6Pまたはビス-M6P N-グリカンを有するrhGAAを発現するCHO細胞株GA-ATB-200を含むCHO細胞株を、この手順を用いて単離した。
【0100】
実施例3:ATB200 rhGAAの捕捉および精製
本発明によるrhGAAの複数のバッチを、CHO細胞株GA-ATB-200を用いて振盪フラスコおよび灌流バイオリアクタで産生し、CIMPR結合を測定した。異なる産生バッチからの精製ATB200 rhGAAについて、図4Bおよび図5Aに示されるものと同様のCIMPR受容体結合(約70%)が観察され、これはATB200 rhGAAが一貫して産生され得ることを示す。図2A、2B、4Aおよび4Bに示されるように、ミオザイム(登録商標)およびルミザイム(登録商標)rhGAAは、ATB200 rhGAAよりも有意に低いCIMPR結合を示した。
【0101】
実施例4:ルミザイム(登録商標)に対するATB200の分析比較
弱いアニオン交換(「WAX」)液体クロマトグラフィーを使用して、末端リン酸によりATB200 rhGAAを分画した。溶出プロファイルは、増加する量の塩でERTを溶出することによって生成された。プロファイルをUV(A280nm)でモニターした。ATB200 rhGAAをCHO細胞から得て精製した。ルミザイム(登録商標)は商業的供給源から入手した。ルミザイム(登録商標)は、その溶出プロファイルの左側に高いピークを示した。ATB200 rhGAAは、ルミザイム(登録商標)の右側に溶出する4つの顕著なピークを示した(図6)。これにより、この評価がCIMPR親和性ではなく末端電荷によるものであるため、ATB200 rhGAAがルミザイム(登録商標)よりも大幅にリン酸化されたことを確認される。
【0102】
実施例5:ATB200 rhGAAのオリゴ糖特性
精製したATB200 rhGAAおよびルミザイム(登録商標)グリカンをMALDI-TOFで評価し、各ERT上に見出される個々のグリカン構造を決定した(図7)。ATB200試料は、ルミザイム(登録商標)より少ない量の非リン酸化高マンノース型N-グリカンを含有することが判明した。ルミザイム(登録商標)よりもATB200のM6Pグリカンの含有量が高いほど、ATB200 rhGAAが筋肉細胞をより効果的に標的とする。MALDIによって決定されるモノ-リン酸化およびビス-リン酸化構造の高いパーセンテージは、CIMPR受容体へのATB200の結合が有意に大きいことを示したCIMPRプロファイルと一致する。MALDI-TOF質量分析によるN-グリカン分析は、平均して各ATB200分子が少なくとも1つの天然ビス-M6P N-グリカン構造を含有することを確認した。ATB200 rhGAA上の、このビス-M6P N-グリカンのより高い含有量は、M6P受容体プレート結合アッセイ(KD約2~4nM)においてCIMPRへの高親和性結合と直接相関していた、図9A
【0103】
ATB200 rhGAAも、2つの異なるLC-MS/MS分析技術を用いて部位特異的N-グリカンプロファイルについて分析した。第1の分析では、LC-MS/MS分析前にタンパク質を変性させ、還元し、アルキル化し、消化した。タンパク質の変性および還元中、200μgのタンパク質試料、5μlの1mol/Lトリス-HCl(最終濃度50mM)、75μLの8mol/LグアニジンHCl(最終濃度6M)、1μLの0.5mol/L EDTA(最終濃度5mM)、2μLの1mol/L DTT(最終濃度20mM)およびMilli-Q(登録商標)水を1.5mLチューブに添加して、100μLの全容量を提供した。試料を混合し、乾燥浴中において56℃で30分間インキュベートした。アルキル化中、変性および還元タンパク質試料を5μLの1mol/Lヨードアセトアミド(IAM、最終濃度50mM)と混合し、次いで暗所で30分間インキュベートした。アルキル化後、400μLの予冷されたアセトンを試料に加え、混合物を-80℃で4時間凍結させた。次いで、試料を4℃、13000rpmで5分間遠心分離し、上清を除去した。予冷されたアセトン400μlをペレットに添加し、次いでこれを4℃、13000rpmで5分間遠心分離し、上清を除去した。試料を暗所にて氷上で風乾し、アセトン残留物を除去した。40μLの8M尿素および160μLの100μMNHHCOを試料に添加して、タンパク質を溶解させた。トリプシン消化中、50μgのタンパク質をトリプシン消化緩衝液と添加して最終容積100μlとし、5μLの0.5μg/mLトリプシン(タンパク質対酵素比20/1w/w)を添加した。溶液をよく混合し、37℃で一晩(16±2時間)インキュベートした。2.5μlの20%TFA(最終濃度0.5%)を加えて反応を停止させた。次に、Thermo Scientific Orbitrap Velos Pro(商標)質量分析計を用いて試料を分析した。
【0104】
第2のLC-MS/MS分析では、IAMの代わりにアルキル化試薬としてヨード酢酸(IAA)を用いた以外、同様の変性、還元、アルキル化および消化手順に従ってATB200試料を調製し、Thermo Scientific Orbitrap Fusion Lumos Tribid(商標)質量分析計を用いて分析した。
【0105】
第3のLC-MS/MS分析では、アルキル化試薬としてヨードアセトアミド(IAM)を用いた同様の変性、還元、アルキル化および消化手順に従ってATB200試料を調製し、Thermo Scientific Orbitrap Fusion質量分析計を用いて分析した。
【0106】
第1および第2の分析の結果を図8B~8Hに示し、第3の分析の結果を図8Aに示す。図8B~8Hにおいて、第1の分析の結果は左のバー(濃い灰色)で表され、第2の分析の結果は右のバー(薄い灰色)で表される。図8B~8Hにおいて、グリカンの記号命名法はVarki,A.,Cummings,R.D.,Esko J.D.,et al.,Essentials of Glycobiology,2nd edition(2009)に従う。図8A~8Hにおいて、グリコシル化部位は、配列番号5:N84、N177、N334、N414、N596、N826およびN869に対して付与される。配列番号1の全長アミノ酸配列に関して、これらの潜在的なグリコシル化部位は、以下の位置に存在する:N140、N233、N390、N470、N652、N882およびN925。
【0107】
図8B~8Hから分かるように、最初の2つの分析は同様の結果を示したが、その結果の間にはある程度の差異があった。この変化は、使用機器およびN-グリカン分析の完全性を含む多くの要因に起因し得る。例えば、リン酸化されたグリカンのいくつかの種が同定されていないか、および/または定量化されていない場合、リン酸化されたグリカンの総数は過小評価される可能性があり、その部位でリン酸化されたグリカンを有するrhGAAのパーセンテージは、過小評価される可能性がある。別の例として、非リン酸化グリカンのいくつかの種が同定されていないか、および/または定量化されていない場合、非リン酸化グリカンの総数は過大評価される可能性があり、その部位でリン酸化されたグリカンを有するrhGAAのパーセンテージは、過大評価される可能性がある。
【0108】
図8Aは、ATB200のN-グリコシル化部位占有率を示す。図8Aから分かるように、第1、第2、第3、第4、第5および第6のN-グリコシル化部位は、それぞれの潜在的部位で検出されたグリカンを有するATB200酵素のおよそ90%~最大約100%により、大部分が占有される。しかしながら、第7の潜在的N-グリコシル化部位は、約半分の時間でグリコシル化される。
【0109】
図8Bは、第1の部位であるN84のN-グリコシル化プロファイルを示す。図8Bから分かるように、主要なグリカン種はビス-M6Pグリカンである。第1および第2の分析の両方で、ATB200の75%以上が第1の部位にビス-M6Pグリカンを有していたことが検出された。
【0110】
図8Cは、第2の部位であるN177のN-グリコシル化プロファイルを示す。図8Cから分かるように、主要なグリカン種は、モノ-M6Pグリカンおよび非リン酸化高マンノースグリカンである。第1および第2の分析の両方で、ATB200の40%以上が第2の部位にモノ-M6Pグリカンを有していたことが検出された。
【0111】
図8Dは、第3の部位であるN334のN-グリコシル化プロファイルを示す。図8Dから分かるように、主要なグリカン種は、非リン酸化高マンノースグリカン、ジ-、トリ-、およびテトラ-アンテナリ複合グリカン、ならびにハイブリッドグリカンである。第1および第2の分析の両方で、ATB200の20%以上が第3の部位にシアル酸残基を有していたことが検出された。
【0112】
図8Eは、第4の部位であるN414のN-グリコシル化プロファイルを示す。図8Eから分かるように、主要なグリカン種はビス-M6Pおよびモノ-M6Pグリカンである。第1および第2の分析の両方で、ATB200の40%以上が第4の部位にビス-M6Pグリカンを有していたことが検出された。第1および第2の分析の両方で、ATB200の25%以上が第4の部位にモノ-M6Pグリカンを有していたことも検出された。
【0113】
図8Fは、第5の部位であるN596のN-グリコシル化プロファイルを示す。図8Fから分かるように、主要なグリカン種は、フコシル化されたジ-アンテナリ複合グリカンである。第1および第2の分析の両方で、ATB200の70%以上が第5の部位にシアル酸残基を有していたことが検出された。
【0114】
図8Gは、第6の部位であるN826のN-グリコシル化プロファイルを示す。図8Fから分かるように、主要なグリカン種は、ジ-、トリ-、およびテトラ-アンテナリ複合グリカンである。第1および第2の分析の両方で、ATB200の80%以上が第6の部位にシアル酸残基を有していたことが検出された。
【0115】
図8Hは、最初の6つの潜在的N-グリコシル化部位のそれぞれにおけるリン酸化の概要を示す。図8Hから分かるように、第1および第2の分析の両方で、第1、第2および第4の部位における高いリン酸化レベルが検出された。両方の分析は、ATB200の80%以上が第1の部位でモノ-またはジ-リン酸化されていたこと、ATB200の40%以上が第2の部位でモノ-リン酸化されていたこと、およびATB200の80%以上が第4の部位でモノ-またはジ-リン酸化されていたことを検出した。
【0116】
実施例6:ATB200のCIMPR親和性特性
CIMPRに結合し得るrhGAAの割合がより高いことに加え、その相互作用の質を理解することが重要である。ルミザイム(登録商標)およびATB200 rhGAA受容体結合を、CIMPRプレート結合アッセイを用いて測定した。簡潔には、CIMPR被覆プレートを用いてGAAを捕捉した。様々な濃度のrhGAAを、固定化した受容体に適用し、未結合rhGAAを洗い流した。残りのrhGAA量は、GAA活性によって決定された。図9Aに示すように、ATB200 rhGAAは、ルミザイム(登録商標)より有意に良好に、CIMPRに結合した。
【0117】
図9Bは、ルミザイム(登録商標)、従来のrhGAA、および本発明によるATB200におけるビス-M6Pグリカンの相対含有量を示す。ルミザイム(ルミザイム)(登録商標)では、平均して10%の分子のみがビス-リン酸化グリカンを有する。これを、平均して全てのrhGAA分子が少なくとも1つのビス-リン酸化グリカンを有するATB200と対比する。
【0118】
実施例7:ATB200 rhGAAは、ルミザイム(登録商標)よりも線維芽細胞により効率的に内在化された
ATB200およびルミザイム(登録商標)rhGAAの相対的な細胞取り込みを、正常およびポンペ(Pompe)線維芽細胞系を用いて比較した。比較は、本発明による5~100nMのATB200 rhGAAと10~500nMの従来のrhGAAルミザイム(登録商標)との比較を含んでいた。16時間のインキュベーション後、外部rhGAAをTRIS塩基で不活性化し、細胞を収集前にPBSで3回洗浄した。内在化GAAは、4MU-α-グルコシド加水分解によって測定され、総細胞タンパク質に対してグラフ化され、その結果は図10A~Bに表される。
【0119】
ATB200 rhGAAはまた、それぞれ効率的に細胞内に内在化することが示され(図10Aおよび10B)、ATB200 rhGAA正常およびポンペ線維芽細胞の両方に内在化し、従来のルミザイム(登録商標)rhGAAよりも高度に内在化していること示す。ATB200 rhGAAは、約20nMで細胞受容体を飽和させる一方、ルミザイム(登録商標)は約250nM必要である。これらの結果から外挿される取り込み効率定数(K取り込み)は、図10Cに示すように、ATB200では2~3nmであり、ルミザイム(登録商標)では56nMである。これらの結果は、ATB200 rhGAAがポンペ病によく標的化された処置であることを示唆している。
【0120】
実施例8:ATB200およびミグルスタットの集団薬物動態(PK)モデル
サンプリング時間、投与歴および酸性α-グルコシダーゼの血漿濃度を含む酸性α-グルコシダーゼ(ATB200)の薬物動態データは、ATB200を静脈注射によって投与したマウス、ラットおよびサルから得られる。血漿および組織中のミグルスタットおよびドゥボグルスタットの薬物動態データは、ヒトまたはマウスから収集される。
【0121】
モデリングおよびシミュレーションは、Phoenix(登録商標)NLME(商標)v1.3を使用して実行される。区画PKモデルを構築して、血漿中のATB200のPKを評価する。モデルは以下を含む:
●血漿濃度と時間との関係の説明;
●モデルパラメータにおける動物間変動および動物内変動を特徴付ける分散要素;および
●重要なモデル要素に関する知識状態の不確実性を説明する要素。
【0122】
非線形混合効果(NLME)モデルの式は次の通りである:
pj=C(D,t,θ)+εij
θ=(θi1,…,θim
ここで、Cpijは動物iにおけるj番目の収集時での濃度であり、Dは動物iにおける投薬履歴を表し、θは動物iにおけるPKパラメータのベクトルであり、εijは動物iにおけるj番目の濃度に関連するランダム誤差である。
【0123】
パラメータにおける対象間変動(BSV)は、対数正規分布としてモデル化される:
θin=θTVnexp(ηin
(η,…,ηM)~MVN(0,Ω)
ここで、θTVnは、n番目のPKパラメータ(例えば、クリアランス)に対する集団標準値であり、ηinは、動物iに対するn番目のパラメータにおけるランダムな動物間効果である。ランダム効果(η,…η)は、OMEGA(Ω)行列に含まれる平均0および推定分散ωで正規分布した。
【0124】
PKは種に依存しないと仮定され、動物の体重の力に応じて処分をスケールする一般化されたDedrickのアプローチに従ってスケールされる:
CL(p)i=a(p)BW
(p)i=c(p)BW
ここで、CLは全身クリアランス、Vは分布体積、BWは体重、pは末梢、bおよびdはアロメトリック指数、ならびにaおよびcはBW=1の典型値である。この筋書きでは、指数bおよびdを、文献で認められた、より一般化された値と比較し得る(b=0.75およびd=1.0)。公称BW(0.025、0.25および2.5kg)を分析に使用する。
【0125】
ベースラインは種特異的であり、ATB200の濃度に依存せず、ヒトにおいてポンペ病で知られているため、ベースライン酸性α-グルコシダーゼ濃度は、Cベースライン=酸性α-グルコシダーゼ合成/CLの割合としてモデル化され、ヒトに外挿し得る。1または2区画モデルのいずれがデータに最も適合するかを評価するために、Phoenix(登録商標)FOCE-ELSを使用してベースモデルを決定する。酸性α-グルコシダーゼのPK変動の発生源は、視覚的に、およびPKに対する様々な野生型/種/用量関連効果の影響を調べることによっても探究される。
【0126】
ATB200の場合、線形除去を伴う2区画モデルは、動物種間の全用量レベルについての酸性α-グルコシダーゼ活性の濃度-時間プロファイルを適切に特徴付けている。モデルには、クリアランス(CL)および分布容積(Vc)に関する動物種間の体重の差異を説明する理論的アロメトリック成分が含まれる。ATB200の集団PKモデルの適合度を図11に示す。非臨床試験におけるATB200の集団PKパラメータを表1に示す。
【0127】
【0128】
ポンペ病患者におけるミグルスタット(200mg)の濃度-時間プロファイルを、正常で健康なボランティア(用量範囲:50、100、250、600および1000mg)におけるドゥボグルスタットの投与後に得られたものと比較する。ミグルスタットおよびドゥボグルスタットの用量標準化血漿濃度-時間プロファイルを図12に示す。ポンペ病に罹患した患者のミグルスタットの濃度-時間プロファイルは、健康な対象のドゥボグルスタットの投与後24時間以上で観察されたものと類似しているため、末梢組織においてドゥボグルスタットについて収集されたPKデータをミグルスタットへの曝露モデルの代用として使用した。線形除去を伴う2区画モデルを用いて、組織におけるドゥボグルスタットの濃度-時間プロファイルを特徴付ける。
【0129】
ドゥボグルスタットのPKモデルの適合度を図13Aおよび13Bに示す。血漿および組織におけるドゥボグルスタットの最終モデルPKパラメータを表2に示す。
【0130】
【0131】
ミグルスタットの集団PKモデルは、Gaaノックアウト(KO)マウスでの経口投与に基づいて構築される。GaaKOマウスにおけるミグルスタットの集団PKパラメータを表3に示す。適合度は図14に示される。このモデルは、0.475ng/mLの残留相加誤差を有する。
【0132】
【0133】
実施例9:ヒトにおける組換え酸性α-グルコシダーゼ(ATB200)薬物動態(PK)パラメータのモデル化
薬物動態モデル(実施例8)を用いてシミュレーションを実施し、ATB200の投与後の、後期ステージのポンペ病に罹患した対象における酸性α-グルコシダーゼの濃度-時間プロファイルを予測した。アロメトリック関数は、体重とクリアランスおよび分布量との連関を可能にし、したがって体重70kgの典型的なヒト対象におけるPKパラメータの予測を可能にした。このモデルは、ヒトにおける酸性α-グルコシダーゼの内因性合成速度を含むことによってカスタマイズされる(Umapathysivam K,Hopwood JJ,Meikle PJ.Determination of acid alpha-glucosidase activity in blood spots as a diagnostic test for Pompe disease.Clin Chem.(2001)Aug;47(8):1378-83)。
【0134】
ヒトにおけるATB200の4時間にわたる注入の単回20mg/kgIV用量は、図15に示す濃度-時間プロファイルを生じると予測される。典型的な70kgのヒトにおけるPKパラメータおよび4時間にわたるATB200の20mg/kgのIV注入後の結果として得られる曝露パラメータを表4に示す。
【0135】
【0136】
典型的な70kgの患者におけるATB200の予測される全身クリアランス(CL)および分布容積(V)は、それぞれ0.768L/hおよび2.41Lである。
【0137】
ルミザイム(登録商標)(アルグルコシダーゼアルファ)の製品ラベルによれば、後期ステージのポンペ病に罹患した患者におけるルミザイム(登録商標)の反復投与後第52週で酸性α-グルコシダーゼの全身クリアランスは601mL/h(0.601L/h)であり、ルミザイム(登録商標)の半減期は2.4時間である。上記のモデルに基づいて、ポンペ病の成人対象におけるATB200の全身クリアランスは、ルミザイム(登録商標)について報告されたものよりおよそ28%速いと予想される。さらに、20mg/kg用量のATB200の後のヒトにおいて予測されるAUCは、20mg/kg用量のルミザイム(登録商標)(約2700μg・h/mL)の後に報告されたAUCよりも約25%低い(AUC0-inf:1822mg・h/L)ことが予想される。
【0138】
実施例10:グリコーゲン減少の曝露応答モデル
Gaaノックアウトマウスに、5、10または20mg/kgの用量で静脈内に酸性α-グルコシダーゼ(ATB200)を投与し、5または10mg/kgの静脈内用量のATB200に伴うミグルスタットの経口用量を上昇させ(1、3および10mg/kg)、または20mg/kgの静脈内用量のATB200に伴うミグルスタットの経口用量を上昇させた(1、3、5、10、20、および30mg/kg)。グリコーゲンレベルは、以前に記載されたように測定される(Khanna,R,Flanagan,JJ,Feng,J,Soska,R,Frascella,M,Pellegrino,LJ et al.(2012).“The pharmacological chaperone AT2220 increases recombinant human acid α-glucosidase uptake and glycogen reduction in a mouse model of Pompe disease.PLoS One 7(7):e40776)。単剤治療後に観察されるグリコーゲンレベルに対する各併用治療処置後に観察されるグリコーゲンレベルの比(グリコーゲン比)を計算する。結果を表5に示す。
【0139】
【0140】
さらに、図15A~15Cは、アルグルコシダーゼアルファ(ルミザイム(登録商標))およびATB200の、Gaaノックアウトマウスにおける投与の効果を示す。動物は2回のIVボーラス投与(隔週)を受ける。最終投与の2週間後に組織を収集し、酸性α-グルコシダーゼ活性およびグリコーゲン含有量について分析する。
【0141】
表5の結果から分かるように、ATB200は、酸性α-グルコシダーゼ(Gaa)ノックアウトマウスの組織グリコーゲンを用量依存的に激減させることが判明した。20mg/kg用量のATB200は、Gaaノックアウトマウスにおいて、5mg/kgおよび10mg/kg用量レベルよりも大きい割合で貯蔵グリコーゲンを一貫して除去した。しかしながら、図15A~15Cに見られるように、5mg/kgで投与されたATB200は、マウス心臓および骨格筋(四頭筋および三頭筋)におけるグリコーゲンの、20mg/kgで投与されたルミザイム(登録商標)と同様の減少を示した一方、10および20mg/kgで投与されたATB200は、ルミザイム(登録商標)よりも骨格筋におけるグリコーゲンレベルの著しく良好な低下を示した。
【0142】
さらに、20mg/kgでのATB200と共投与された10および20mg/kg用量のミグルスタットは、Gaaノックアウトマウスのグリコーゲンレベルをそれぞれ118および122μg/mgタンパク質に減少させた。30mg/kgでミグルスタットを投与すると、グリコーゲンの減少がより小さかった。理論に拘束されるものではないが、より高い濃度のミグルスタットでは、リソソーム中の酸性α-グルコシダーゼの阻害が有益なシャペロン効果を超え、それによりリソソーム中のグリコーゲンの分解が減少し得ると考えられる。
【0143】
薬物動態モデル(実施例8)を使用して、表5の組織リソソームグリコーゲンレベルの値に時間を合わせた酸性α-グルコシダーゼおよびミグルスタットへの曝露を予測する。ミグルスタット/ATB200の定常状態曝露(AUC)比(平均曝露24時間)は、試験された各処置の組み合わせについて導かれ、対応するグリコーゲン比(表5)に対してプロットされ、数学的関数に適合される。曝露応答曲線を図17に示す。
【0144】
図17の結果から分かるように、20mg/kg用量のATB200との10mg/kgおよび20mg/kg用量のミグルスタットの共投与は、グリコーゲン減少を最大にしながら、血漿中の酸性α-グルコシダーゼ活性の良好な安定性を提供する。より低用量のミグルスタット(1、3および5mg/kg)は、酸性α-グルコシダーゼ活性の最適下限の安定化をもたらすと考えられているが、ミグルスタットの最高用量(30mg/kg)は、リソソーム内のα-グルコシダーゼ活性の過剰な阻害をもたらすと考えられる。
【0145】
薬物動態モデル(実施例8)に基づき、観測されたミグルスタット/ATB200のAUC比0.01159(20mg/kgのATB200と共投与される10mg/kgのミグルスタット)が、典型的な70kgのヒトにおける、20mg/kgのATB200と共投与される約270mgのミグルスタット用量に対応すると予想される。0.01および0.02のAUC比は、典型的な70kgの対象において、20mg/kgのATB200と共投与された233mgおよび466mgのミグルスタット用量にそれぞれ対応するであろう。
【0146】
実施例11:ヒトにおけるミグルスタット/ドゥボグルスタット濃度のモデリング
薬物動態モデル(実施例8)を用いて、ドゥボグルスタット(ミグルスタットの代用物)の血漿または組織濃度が、血漿およびリソソーム中のミグルスタットのIC50(酸性α-グルコシダーゼ活性の最大阻害の50%を与える濃度)より上にとどまる時間の長さを予測した。酸性α-グルコシダーゼ活性の阻害は、以前に記載された方法によって測定される(Flanagan JJ,Rossi B,Tang K,Wu X,Mascioli K,et al.(2009)“The pharmacological chaperone 1-deoxynojirimycin increases the activity and lysosomal trafficking of multiple mutant forms of acid alpha-glucosidase.”Hum Mutat 30:1683-1692)。血漿のpH(pH7.0)でのミグルスタットのIC50値は170μg/Lと測定され、リソソーム区画のpH(pH5.2)でのIC50値は377μg/Lと測定された。
【0147】
モデル予測の結果を表6に示す。反復投与後の血漿およびリソソーム中のミグルスタットの予測される濃度-時間プロファイルをそれぞれ図17および18に示す。
【0148】
【0149】
表6ならびに図17および18に示される結果に基づき、260mgの用量のミグルスタットは、血漿中のATB200に結合し、18時間まで安定化すると予想されるが、リソソーム中の酸性α-グルコシダーゼ活性の阻害は、4時間のみ持続すると予想される。
【0150】
実施例12:Gaaノックアウトマウスにおける筋肉生理学および形態学
Gaaノックアウトマウスに隔週で20mg/kgの組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(アルグルコシダーゼアルファまたはATB200)の2回のIVボーラス投与を与える。ミグルスタットは、ATB200の投与の30分前にATB200で処置した動物のサブセットに10mg/kgの投与量で経口投与される。コントロールマウスは、溶媒のみで処置する。ヒラメ筋、四頭筋および隔膜組織は、組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの最後の投与の2週間後に収集される。ヒラメ筋および隔膜組織は、グリコーゲンレベルについて過ヨウ素酸シッフ試薬(PAS)で染色することにより、およびリソソーム増殖についてポンペ病においてアップレギュレートされたリソソーム関連膜タンパク質(LAMP1)マーカーのレベルを測定することにより分析する。エポキシ樹脂(Epon)に包埋された四頭筋の半薄切片をメチレンブルーで染色し、電子顕微鏡(1000×)で観察し、空胞の存在の程度を決定する。四頭筋試料を免疫組織化学的に分析して、オートファジーマーカー微小管関連タンパク質1A/1B型軽鎖3ホスファチジルエタノールアミンコンジュゲート(LC3A II)およびp62、インスリン依存性グルコーストランスポーターGLUT4およびインスリン非依存性グルコーストランスポーターGLUT1のレベルを決定する。
【0151】
同様の実験において、Gaaノックアウトマウスに隔週で20mg/kgの組換えヒト酸性α-グルコシダーゼ(アルグルコシダーゼアルファまたはATB200)の4回のIVボーラス投与を与える。ミグルスタットは、ATB200の投与の30分前にATB200で処置した動物のサブセットに10mg/kgの投与量で経口投与される。コントロールマウスは、溶媒のみで処置する。心臓筋肉組織を組換えヒト酸性α-グルコシダーゼの最後の投与の2週間後に収集し、グリコーゲンレベルについて過ヨウ素酸シッフ試薬(PAS)で染色することにより、およびリソソーム増殖についてLAMP1のレベルを測定することにより分析する。
【0152】
図20に見られるように、ATB200の投与は、アルグルコシダーゼアルファによる従来の処置と比較して、心臓および骨格筋(ヒラメ筋)組織におけるリソソーム増殖の減少を示し、ATB200とのミグルスタットの共投与は、リソソーム増殖において、野生型(WT)マウスに見られるレベルに近づいていることを示した。さらに、図21に見られるように、ATB200の投与は、アルグルコシダーゼアルファによる従来の処置と比較して、心臓および骨格筋(ヒラメ筋)組織における点状のグリコーゲンレベルの減少を示し、ATB200とのミグルスタットの共投与は、再び野生型(WT)マウスに見られるレベルに近づいていることを示した。
【0153】
同様に、図22に見られるように、ミグルスタットとATB200との共投与は、未処置のマウスおよびアルグルコシダーゼアルファで処置したマウスと比較して、Gaaノックアウトマウスの四頭筋における筋線維中の空胞の数を有意に減少させた。図23に見られるように、LC3IIおよびp62の両方のレベルは、野生型マウスと比較してGaaノックアウトマウスで増加するが、ATB200およびミグルスタットでの処置で有意に減少し、これは酸性α-グルコシダーゼ欠乏に関連するオートファジーの増加がATB200およびミグルスタットの共投与で減少することを示唆している。さらに、インスリン依存性グルコーストランスポーターGLUT4およびインスリン非依存性グルコーストランスポーターGLUT1のレベルは、野生型マウスと比較してGaaノックアウトマウスにおいて増加するが、再びATB200およびミグルスタットでの処置で有意に低下する。酸性α-グルコシダーゼ欠乏に関連する上昇したGLUT4およびGLUT1レベルは、筋線維へのグルコース取り込みの増加に寄与し得、基礎および食物摂取後の両方でグリコーゲン合成の増加をもたらす。したがって、ATB200およびミグルスタットでの併用処置は、ポンペ病のマウスモデルにおける骨格筋の形態学および生理学を改善することが見出された。
【0154】
実施例13:カニクイザルにおけるミグルスタットと共投与したATB200の毒性
カンボジア由来の未処置のカニクイザルを表7に示す用量群に割り当てた。動物は、18日(雌)~19日(雄)にわたり実験室に順応させた。順応の最後の日に、動物の体重は2.243kg~5.413kgであり、2~3歳であった。
【0155】
【0156】
試験用量レベルは、非ヒト霊長類における以前の実験に基づいて選択され、実施例8の薬物動態モデルから予測されるような、260mgのミグルスタットおよび20mg/kgのATB200の用量を投与したヒトにおいて予想される臨床的AUC(それぞれおよそ20.9hr・μg/mL、およびおよそ1822hr・μg/mL)と同等、またはわずかに高い(25mg/kgのミグルスタットおよび50mg/kgのATB200群について)、またはおよそ10倍および3倍高い(175mg/kgのミグルスタットおよび/または100mg/kgのATB200群について)曝露(AUC)を提供する。非ヒト霊長類における以前の研究では、100mg/kgのATB200のIV用量は、5330hr・μg/mLのAUCを生じることが判明し、175mg/kgのミグルスタットの経口用量は、外挿して196hr・μg/mLのAUCを生じた。
【0157】
ATB200は、2.92mg/mLの塩化ナトリウム、20mg/mLのマンニトール、および0.5mg/mLのポリソルベート80(製剤緩衝液)を含有する25mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH6中で製剤化される。試験物質(ATB200またはミグルスタット)およびコントロール物質/溶媒(製剤緩衝液)を、1日目に開始して85日目に終了する13週間、隔週に1回投与した。ATB200およびコントロール物質/溶媒は、0mg/kg(グループ1、コントロール物質)、50mg/kg(グループ2)、または100mg/kg(グループ3および5)での2時間(±10分)静脈内(IV)注入により投与された。組み合わせて投与する場合、ミグルスタットは、ATB200の注入開始の30分(±2分)前に25mg/kg(グループ2)または175mg/kg(グループ3および4)の注射用滅菌水(USP)中で経鼻投与した。全ての群の投与量は10mL/kgであった。
【0158】
実験の生存段階で評価したパラメータは、体重、食物摂取、臨床観察、詳細な臨床観察、身体検査、心電図、眼科的評価、臨床病理学(血液学、凝析、血清化学)、抗薬物抗体(ADA)評価、中和ADA評価、尿検査、およびミグルスタットおよびATB200活性および総タンパク質の血漿毒性動態(TK)を含んでいた。動物の最終剖検を99日目(最後の用量投与の14日後)に行った。剖検では、肉眼観察および臓器重量を記録し、顕微鏡検査のために組織を採取した。
【0159】
全ての動物は予定された安楽死まで生存し、身体検査中、または食物摂取、臨床観察、詳細な臨床観察、体重、眼科、またはECGパラメータの評価中、ATB200、ミグルスタットの投与またはATB200およびミグルスタットの共投与に起因する変化はなかった。さらに、尿検査、血清化学、血液学、もしくは凝固パラメータにおいて、または肉眼観察、臓器重量、もしくは組織病理学の評価中、ATB200、ミグルスタット、またはATB200/ミグルスタット関連の変化はなかった。
【0160】
総抗薬物抗体(ADA)および中和抗体(NAb)
血漿中の総抗薬物抗体(ADA)および中和抗体(NAb)レベルを測定する。順応中、投与前(ミグルスタット投与前)ならびに1、85、および99日目に全ての動物からKEDTAチューブに血液試料(およそ1.6mL)を収集した。試料は処理するまで濡れた氷の上に維持した。2℃~8℃で遠心分離して血漿を得、アリコート(およそ0.2mL)をポリプロピレンバイアルに移し、血液収集から1時間以内に-60℃~-86℃で凍結保存した。ADAのための試料の分析は、グループ1、2、3および5の動物から収集した試料について行った(ミグルスタットのみの試料は分析しなかった)。中和抗体の分析は、蛍光性基質4-メチルウンベリフェリル-α-D-グルコピラノシド(4MU-Glc)による酵素アッセイを用いて行った。
【0161】
ATB200投与グループ(グループ2、3および5)の全ての動物は、85日目および99日目において抗薬物抗体(ADA)について陽性であった(発生率100%)。力価は85日目に25600~409600、99日目に51200~819200の範囲であった。ATB200用量レベルの増加に伴って力価が増加する明らかな傾向はなかった。グループ2(25mg/kgミグルスタットと併用した50mg/kgATB200)において、8匹の動物中5匹は、85日目および99日目に中和抗体(NAb)陽性であった。グループ3(175mg/kgミグルスタットと併用した100mg/kg ATB200)において、8匹中2匹は85日目にNAb陽性であり、8匹中4匹は99日目に陽性であった。グループ5(100mg/kg ATB200単剤治療)において、8匹中2匹は85日目にNAb陽性であり、8匹中3匹は99日目に陽性であった。ATB200曝露または他のTKパラメータに対するADAの明らかな影響はなかった。
【0162】
ATB200毒性動態
ATB200の毒物動態を、以下の時点において、1日目および85日目に動物からKEDTAチューブに採取した血液試料で測定した:
グループ1、2、3、および5の場合:投与前(ミグルスタット投与前);注入の開始から1時間;注入の開始から2時間;注入の開始から2.5時間;注入の開始から3時間;注入の開始から4時間;注入の開始から6時間;注入の開始から12時間;注入の開始から26時間;注入の開始から168時間;注入の開始から336時間(15日目の投与前に収集);および
グループ4の場合:投与前(ミグルスタット投与前);ミグルスタットの投与後1.5時間;ミグルスタットの投与後2.5時間;ミグルスタットの投与後3.5時間;ミグルスタットの投与後4.5時間;ミグルスタットの投与後6.5時間;ミグルスタットの投与後12.5時間;ミグルスタットの投与後26.5時間;ミグルスタットの投与後168.5時間;ミグルスタットの投与後336.5時間(15日目の投与前に収集)。
【0163】
2℃~8℃で遠心分離して血漿を得、アリコート(およそ0.1mL)をポリプロピレンバイアルに移し、-60℃~-86℃で凍結保存した。ATB200酸性α-グルコシダーゼ活性およびATB200総タンパク質の分析を、グループ1の動物からの投与後2時間の試料について、およびグループ2、3および5における動物から収集した全ての試料から行った。総ATB200タンパク質を、タンデム質量分析(LC-MS/MS)に連結した液体クロマトグラフィーによって測定した。2つの特徴的なペプチド(TTPTFFPKおよびVTSEGAGLQLQK)をATB200の尺度として使用した。これらの2つのペプチドからの結果は一貫しており、分析した血漿試料中にインタクトなATB200が存在したことを示している。蛍光性基質4-メチルウンベリフェリル-α-D-グルコピラノシド(4MU-Glc)を用いて酸性α-グルコシダーゼ活性をアッセイした。
【0164】
WinNonlin Phoenix、バージョン6.1ソフトウェア(Pharsight Corporation)を用いて、グループ2、3および5の動物からの監査/検証データセット(濃度および時間)について、毒物動態(TK)データの分析を行った。個々の対象血漿の非区画分析濃度データを用いて、IV注入後の酸性α-グルコシダーゼ活性およびATB200総タンパク質(2つのシグネチャーペプチド、TTPTFFPKおよびVTSEGAGLQLQKに基づく)につき、TKパラメータを推定した。用量レベルは、個々の動物それぞれの用量、体重、および平均用量濃度に基づいて計算された実際のATB200用量(mg)として入力した。各投薬の開始時間(ATB200の注入開始)は、投薬レジメンにおける全てのプロファイルについてゼロに設定した。公称試料収集時間を全ての分析に使用した。ATB200(総タンパク質および活性アッセイデータセット)について生成された血漿濃度-時間曲線下面積(AUC0-t)は、対数線形台形ルールにより推定した。λzを推定するために用いた回帰は、一様に重み付けされた濃度データに基づいていた。
【0165】
以下のパラメータを、各ATB200データセット(総ATB200アッセイにおける2つのシグネチャーペプチドおよびATB200活性アッセイから生成した)について計算した:
●R-λzαを推定するために使用される線形回帰の相関係数の二乗。濃度対時間プロファイルの最終段階(または特定の時間範囲)を定義するために設定されたポイント数が使用される場合に使用される;
●Radj-λzβの推定に使用されるポイント数に合わせて調整した、λを推定するために使用される線形回帰の相関係数の二乗。濃度対時間プロファイルの最終段階を定義するために使用されるポイント数が可変であり得る場合に使用される;
●λポイント数-λを推定するために使用される線形回帰分析のポイント数;
●λzα-t最大値以降の最初の3つの時点での排出速度定数;
●λzβ-末端排出速度定数;
●t1/2α-t最大値以降の最初の3つの時点に基づく半減期;
●t1/2β-λに基づく末端排出半減期(0.693/λ);
●t最大値-血漿中の分析対象の最大濃度の時間;
●C最大値-血漿中の分析対象で観測される最大濃度;
●AUC0-t-時間0(前投与)から最後の測定可能な濃度を有する時点まで測定した血漿濃度-時間曲線下面積(AUC);
●AUC0-∞-無限大時間に外挿したAUC;
●AUCext-時間無限大に外挿されたAUC部分は、全AUC0-∞の%として表される;
●CL-総クリアランス(λzβに基づく);実際の体重からの総投与量(mg)に基づく;
●CL/F-総クリアランス(λzβに基づく);生物学的に利用可能な画分で割った実際の体重からの総投与量(mg)に基づく;
●Vss-平衡時の見かけの分布容積;
●V-最終段階に基づく(λzβに基づく)分布容積;実際の体重からの総投与量(mg)に基づく;
●V/F-最終段階に基づく(λzβに基づく)分布容積;生物学的に利用可能な画分で割った実際の体重からの総投与量(mg)に基づく;および
●蓄積率-ARC最大値=85日目の1日目に対するC最大値の比率;ARAUC=85日目の1日目に対するC0-tの比率。
【0166】
ATB200濃度およびTKパラメータは、雄と雌で同様であった。25mg/kgのミグルスタットと併用した50mg/kgの2時間IV ATB200注入後の血漿濃度は、投与後12~26時間まで測定可能であった。100mg/kg用量レベル(175mg/kgのミグルスタットを伴うまたは伴わない)において、ATB200濃度は投与後26~168時間まで測定可能であった。単回投与の毒物動態パラメータ(1日目)を表8に示す。
【0167】
【0168】
反復投与の毒物動態パラメータ(85日目)を表9に示す。
【0169】
【0170】
最大ATB200血漿濃度(t最大値)までの時間は、3つの用量群全てにおいて、投与後およそ2時間であった。1日目および85日目のATB200血漿濃度およびTKパラメータは、総ATB200タンパク質アッセイによって測定したところ、2つの評価されたシグネチャーペプチド、TTPTFFPKおよびVTSEGAGLQLQK間で一致していた。酸性α-グルコシダーゼ活性アッセイによって測定した場合、C最大値およびAUC0-tによって測定した曝露は比較的低かった。総タンパク質アッセイは活性酵素および不活性酵素の両方の濃度を測定するが、酸性α-グルコシダーゼ活性アッセイは活性酵素のみの濃度を測定するため、これは予想される。ATB200曝露は、50~100mg/kgの用量レベルの投与で増加した。t最大値を過ぎた最初の3つの時点に基づく1日目の初期t1/2α(雄と雌を合わせたもの)の平均は、1.28~3.07時間の範囲であった。1日目の平均末端半減期(t1/2β)は、1.70~11.1時間の範囲であった(より長いt1/2β値は、投与後168時間まで測定可能な濃度を有する動物の影響を受けた)。同様の範囲の値が、85日目の投与後に観測された。隔週に1回の反復投与では、蓄積がほとんどまたは全く観察されなかった。100mg/kgのATB200用量に175mg/kgのミグルスタットを添加すると、100mg/kgのATB200単剤治療と比較して、ATB200クリアランスが減少し、血漿曝露がおよそ2倍増加するようであった。
【0171】
有害な試験物質に関連する変化が確認されなかったため、カニクイザルにおけるATB200の有害効果が観察されないレベル(NOAEL)は、ミグルスタット投与を伴いまたは伴わず、隔週で13週間、2時間の注入により投与した場合、試験された最高用量である100mg/kg/注入であった。この用量レベルでは、85日目における平均の性別平均AUC0-tおよびC最大値(総タンパク質)は、ATB200単独の場合、それぞれ7830(TTPTFFPK)および7790(VTSEGAGLQLQK)hr・μg/mLならびに2020 (TTPTFFPK)または2010(VTSEGAGLQLQK)μg/mLであり、175mg/kgのミグルスタットと併用した場合、それぞれ13900(TTPTFFPK)または13800 (VTSEGAGLQLQK) hr・μg/mLおよび2270(両ペプチド)μg/mLであった。
【0172】
ミグルスタット毒性動態
ミグルスタットの毒物動態を、以下の時点において、1日目および85日目に動物からKEDTAチューブに採取した血液試料で測定した:
グループ1、2、3、および5の場合:投与前(ミグルスタット投与前);ミグルスタットの投与後15分;0時間(注入の開始前);注入の開始から0.5時間;注入の開始から1時間;注入の開始から2時間;注入の開始から4時間;注入の開始から6時間;注入の開始から12時間;注入の開始から26時間;注入の開始から50時間;注入の開始から74時間;および
グループ4の場合:投与前(ミグルスタット投与前);ミグルスタットの投与後15分;ミグルスタットの投与後30分;ミグルスタットの投与後1時間;ミグルスタットの投与後1.5時間;ミグルスタットの投与後2.5時間;ミグルスタットの投与後4.5時間;ミグルスタット投与後6.5時間;ミグルスタットの投与後12.5時間後;ミグルスタットの投与後26.5時間;ミグルスタットの投与後50.5時間;ミグルスタットの投与後74.5時間であった。
【0173】
2℃~8℃で遠心分離して血漿を得、アリコート(およそ0.2mL)をポリプロピレンバイアルに移し、-60℃~-86℃で凍結保存した。ミグルスタット濃度の分析は、Richie Khanna、Allan C.Powe Jr.、Yi Lun、Rebecca Soska、Jessie Feng、Rohini Dhulipala、Michelle Frascella、Anadina Garcia、Lee J. Pellegrino、Su Xu、Nastry Brignol、Matthew J.Toth、Hung V.Do、David J.Lockhart、Brandon A.Wustman、Kenneth J.Valenzano.によってドゥボグルスタット濃度の分析について記載されているのと同様のLC-MS/MS法を用いて行われた。“The Pharmacological Chaperone AT2220 Increases the Specific Activity and Lysosomal Delivery of Mutant Acid Alpha-Glucosidase,and Promotes Glycogen Reduction in Transgenic Mouse Model of Pompe Disease.”PLOS ONE(1 July 2014)9(7):e102092。
【0174】
WinNonlin Phoenix(登録商標)、バージョン6.1ソフトウェア(Pharsight Corporation)を用いて、グループ2、3および4の動物からの監査/検証データセット(濃度および時間)について、ミグルスタットの毒物動態(TK)データの分析を行った。個々の血漿濃度データの非区画分析を用いてTKパラメータを推定した。ミグルスタットTKパラメータは、対数線形台形ルールにより推定した。λzを推定するために用いた回帰は、一様に重み付けされた濃度データに基づいていた。以下のパラメータを計算した:
●Radj-λの推定に使用されるポイント数に合わせて調整した、λを推定するために使用される線形回帰の相関係数の二乗。濃度対時間プロファイルの最終段階を定義するために使用されるポイント数が可変であり得る場合に使用される;
●λポイント数-λを推定するために使用される線形回帰分析のポイント数;
●λ-末端排出速度定数;
●t1/2-λに基づく末端排出半減期(0.693/λ);
●t最大値-血漿中の分析対象の最大濃度の時間;
●C最大値-血漿中の分析対象で観測される最大濃度;
●AUC0-t-時間0(前投与)から最後の測定可能な濃度を有する時点まで測定した血漿濃度-時間曲線下面積(AUC);
●AUC0-∞-無限大時間に外挿したAUC;
●AUCext-時間無限大に外挿されたAUC部分は、全AUC0-∞の%として表される;
●CL/F-実際の体重からの総投与量(mg)に基づく生物学的に利用可能な画分で割った総クリアランス;
●V/F-実際の体重からの総投与量(mg)に基づく生物学的に利用可能な画分で割った最終段階に基づく分布容積;
●蓄積率-ARC最大値=85日目の1日目に対するC最大値の比率;およびARAUC=85日目の1日目に対するC0-tの比率。
【0175】
ミグルスタットTKパラメータにつき、性別による一貫した影響はなかった。50mg/kgのATB200または175mg/kgのNG投与(100mg/kgのATB200を伴うまたは伴わない)と併用した25mg/kgの経鼻胃(NG)投与後のミグルスタット血漿濃度は、74.5時間(最後に測定された時点)まで測定可能であった。単回投与(1日目)および反復投与(85日目)の毒物動態パラメータを表10に示す。
【0176】
【0177】
最大値は、投与後およそ2~4時間の範囲であった。ミグルスタット曝露は、25~175mg/kgの用量レベルで増加した。平均t1/2(雄と雌とを合わせたもの)は、1日目と85日目で一致し、6.66~8.23時間の範囲であった。隔週に1回の反復NG投与では、蓄積がほとんどまたは全く観察されなかった。全体的なミグルスタット曝露(すなわち、AUC0-t)またはTKパラメータにATB200共投与の観察可能な効果はなかった。
【0178】
有害な試験物質に関連する変化が確認されなかったため、カニクイザルにおけるミグルスタットの有害効果が観察されないレベル(NOAEL)は、ATB200投与を伴いまたは伴わず、隔週で13週間経鼻胃投与した場合、試験された最高用量である175mg/kg/用量であった。この用量レベルでは、85日目における平均の性別平均AUC0-tおよびC最大値は、ミグルスタット単独の場合、それぞれ204000hr・ng/mLおよび14700ng/mLであり、100mg/kgのATB200と併用した場合、それぞれ216000hr・ng/mLおよび22000ng/mLであった。
【0179】
実施例14:組換え酸性α-グルコシダーゼ(ATB200)の単独投与、およびミグルスタットとの共投与に関する臨床実験のプロトコル
実験設計:
これは、静脈内(IV)組換え酸性α-グルコシダーゼ(ATB200、凍結乾燥粉末を注射用滅菌水で再構成し、0.9%塩化ナトリウムで注射用に希釈した)単独および経口ミグルスタット(ハードゼラチンカプセル、65mg)と共投与した場合の安全性、忍容性、および薬物動態(PK)を評価するための、非盲検、固定配列、用量漸増、ヒト初回投与実験である。実験は2つのステージで実施される。ステージ1では、5、10および20mg/kgの3つの投薬期間で、およそ4時間の静脈内注入として2週間ごとに投与されるATB200の逐次単回漸増投与後、安全性、忍容性およびPKを評価する。ステージ2では、安全性、忍容性、およびPKが、以下の単回および複数回の漸増用量の組み合わせ後に評価される:20mg/kgのATB200を130mgのミグルスタット(65mgのカプセル剤2つ)と2週間毎に共投与し、ミグルスタットは、3用量について、ATB200のおよそ4時間の静脈内注入の1時間前に経口摂取し、次いで、20mg/kgのATB200を260mgのミグルスタット(65mgのカプセル剤4つ)と共投与し、ミグルスタットは、3用量について、ATB200のおよそ4時間の静脈内注入の1時間前に経口摂取する。
【0180】
ポンペ病に罹患した12人の酵素補充療法(ERT)経験対象(およそ歩行可能6人、歩行不能6人)がステージ1に登録される。これら同一の対象は、ステージ2で実験を続行する。歩行不能対象が登録される前に、少なくとも4人の歩行可能対象が登録され、投与される。ERT経験(歩行可能)対象は、登録前の2~6年間ERTを受けたことがあり、6分間歩行試験(6MWT)で少なくとも200メートル歩くことができ、予測正常値の30~80%のFVCを有する。ERT経験(歩行不能)対象は、完全に車椅子生活で、補助なしでの歩行ができず、登録の2年以上前からERTを受けている者と定義される。処置の割り当てを表11に示す。
【0181】
【0182】
対象は、少なくともミグルスタット経口投与前2時間および投与後2時間、絶食する必要がある。ATB200のIV注入は、ミグルスタットの経口投与の1時間後に開始しなければならない。
【0183】
実験手順
この実験は、スクリーニング、ベースライン、ステージ1(3期間、固定シーケンス、ATB200のみの単回漸増用量)、およびステージ2(2期間、固定シーケンス、ミグルスタットの複数漸増用量と共投与した20mg/kgのATB200の複数回用量)からなる。
【0184】
スクリーニング:
全ての対象はインフォームドコンセントを提供し、適格基準のレビューを受ける。全ての対象の評価には、過去の注入関連反応(lAR)および転倒歴を含む病歴;先行薬および併用薬および非薬物療法のレビュー;バイタルサイン(心拍数[HR]、呼吸数[RR]、血圧[BP]、および温度);身長;体重;総合的な身体検査(PE);12誘導心電図(ECG);臨床安全性試験評価(血清化学、血液学、および尿検査);尿妊娠検査;ヘキソース四糖(Hex4)の尿試料;およびGAA遺伝子型判定(スクリーニング時にGAA遺伝子型判定報告を提供できない対象について)が含まれる。免疫原性の試験的評価(全抗体および中和抗体、試験的サイトカイン/免疫系活性化の他のバイオマーカー、アルグルコシダーゼアルファとの交差反応性、および免疫グロブリンE[IgE])のため、血液試料も採取される。参加基準の全てを満たし、除外基準のいずれも満たさない対象は、表11に記載されるようにステージ1に割り当てられる。
【0185】
ベースライン:
全ての対象の安全性評価には、適格基準のレビュー;注入関連反応(lAR)および転倒歴、有害事象(AE)および重篤なAE(SAE)の問診、先行薬および併用薬および非薬物療法のレビュー;バイタルサイン(HR、RR、BP、および温度);体重;概要PE;ECG;Rasch-builtポンペ特異的活性(R-PAct)スケール;ロッテルダムハンディキャップスケール;および疲労重症度スケール;臨床安全性試験評価(血清化学、血液学、および尿検査);尿妊娠検査;薬力学的(PD)評価(Hex4およびクレアチニンホスホキナーゼ[CPK]);免疫原性評価(全抗体および中和抗体、アルグルコシダーゼアルファとの抗体交差反応性、試験的サイトカインおよび免疫系活性化の他のバイオマーカー、アルグルコシダーゼアルファへの交差反応性、および必要に応じてIgE);肺機能試験(PFT);運動機能試験;および全ての対象の筋力試験が含まれる。
【0186】
ステージ1、期間1、2および3:
このステージは以下を含む:
●安全性:重篤有害事象(SAE)およびIARを含むAEのレビュー;併用薬および非薬物療法のレビュー;バイタルサイン(HR、RR、BP、および温度);重量;概要PE;ECG;臨床安全性試験評価(血清化学、血液学、および尿検査);および尿妊娠検査
●PD:尿中Hex4および血清CPK
●免疫学:抗組換え酸性α-グルコシダーゼ抗体力価(抗組換え酸性α-グルコシダーゼ全抗体および中和抗体価ならびにアルグルコシダーゼアルファとの抗体交差反応性)のための血液試料および炎症促進性サイトカインおよび他の免疫系活性化バイオマーカーの測定のための血液試料。必要に応じて、IgE測定も行われる。
●連続24時間薬物動態(PK):期間1(訪問3、1日目)、期間2(訪問4、15日目)、および期間3(訪問5、29日目)中、血漿酸性α-グルコシダーゼ活性レベルおよび総酸性α-グルコシダーゼタンパク質濃度のための血液試料を、全ての対象についてとる。
【0187】
ステージ2、期間4および5:
●安全性:SAEおよびIARを含むAEのレビュー;併用薬および非薬物療法のレビュー;バイタルサイン(HR、RR、BP、および温度);重量;PE;ECG;臨床安全性試験評価(血清化学、血液学、および尿検査);および尿妊娠検査
●PD:尿中Hex4および血清CPK
●免疫学:抗組換え酸性α-グルコシダーゼ抗体力価(抗組換え酸性α-グルコシダーゼ全抗体および中和抗体価ならびにアルグルコシダーゼアルファとの抗体交差反応性)のための血液試料および炎症促進性サイトカインおよび他の免疫系活性化バイオマーカーの測定のための血液試料。必要に応じて、IgE測定も行われる。
●連続24時間PK:期間4(訪問6、43日目および訪問8、71日目)、および期間5(訪問9、85日目および訪問11、113日目)中、血漿酸性α-グルコシダーゼ活性レベル、総酸性α-グルコシダーゼタンパク質濃度およびミグルスタット濃度のための血液試料を、全ての対象についてとる。
【0188】
薬物動態段階の終了:
●安全性:SAEおよびIARを含むAEのレビュー;併用薬および非薬物療法のレビュー;バイタルサイン(HR、RR、BP、および温度);重量;PE;ECG;臨床安全性試験評価(血清化学、血液学、および尿検査);および尿妊娠検査
●PD:尿中Hex4および血清CPK
●免疫学:抗組換え酸性α-グルコシダーゼ抗体力価(抗組換え酸性α-グルコシダーゼ全抗体および中和抗体価ならびにアルグルコシダーゼアルファとの抗体交差反応性)のための血液試料および炎症促進性サイトカインおよび他の免疫系活性化バイオマーカーの測定のための血液試料。必要に応じて、IgE測定も行われる。
【0189】
実験から早期離脱した対象は、早期終了の訪問のために来て、PK訪問の終了時に実施されるべき評価の全てを受ける。被験薬は投与されない。センチネル対象のうちのいずれかが実験から早期離脱する場合、その対象は実験に登録された次の歩行可能対象で置き換えられる(例えば、対象1が離脱した場合、対象3[歩行可能]はその対象をセンチネル対象として置き換える)。
【0190】
この実験を完了した対象および/または他の適格な対象には、長期の延長実験に参加する機会が与えられ、ミグルスタットと共投与されるATB200の安全性および忍容性について引き続き評価される。さらに、ポンペ病に関連する機能評価は、延長実験において定期的に実施される。
【0191】
安全モニタリング
安全性は、メディカルモニターおよび研究者によって継続的に、かつSafety Steering Committee(SSC)によって定期的にモニタリングされる。
【0192】
センチネル投与
この実験における最初の2人の歩行可能対象は、実験のセンチネル対象となり、実験の各期間(期間1~5)において投与される最初の2人の対象となる。センチネル対象が実験から早期離脱する場合、その対象は別の歩行可能対象に置き換えられる。注:歩行不能対象に投与する前に少なくとも4人の歩行可能対象に5mg/kgのATB200を投与する。
【0193】
ステージ1(期間1、2および3)では、対象にATB200の単回漸増用量(5mg/kg[期間1]、10mg/kg[期間2]、および20mg/kg[期間3])を投与する。
【0194】
ステージ1での各実験期間の2人のセンチネル対象の投与後、入手可能な安全性データ(PE、バイタルサイン、AE、注入反応、ECG、および入手可能な局所的に実施された実験室試験)の評価は、メディカルモニターと研究者によって24~48時間以内に行われる。SSCは、各用量レベルで両方のセンチネル対象ついて中央安全性試験データが入手可能であるときに、正式な安全性レビューのために開催される。SSCが、その期間に割り当てられた用量での投与を妨げる安全性の懸念がないと判断した場合、10人の追加対象が登録され、投与される。SSCはまた、全ての対象について3ステージ1用量レベル全てにおける安全性データ(中央試験安全性データを含む)が入手可能であるときに、安全性レビューのために開催される。
【0195】
ステージ2(期間4および5)では、2人のセンチネル対象に投与され、ステージ1の各期間についてと同様に、初回投与後に安全性が評価される。SSCが、130mgのミグルスタットと共投与される20mg/kgでのATB200(期間4)、または260mgのミグルスタットと共投与される20mg/kgでのATB200(期間5)の追加投与を妨げる安全性の懸念がないと判断した場合、10人の追加対象は、その期間に割り当てられた用量で3回の隔週投与を受ける。SSCは、ステージ2の終了時に全ての対象について全ての安全性データ(中央安全性試験データを含む)が入手可能であるときに再び開催される。SSCは、SAEまたは安全性の懸念が特定されている場合にも臨機応変に開催される。
【0196】
SSCは、次のいずれかのレビューを推奨する場合がある:
●変更なしに実験を続行する
●変更(補正)して実験を続行する
●一時的な投与の休止
●永久的な投薬の停止。
【0197】
SSCの意見でセンチネル対象に継続した実験投与を妨げ得るAEまたは安全性の懸念がない場合、残りの対象全てについてその用量レベルで投与を続ける。対象の安全性は、メディカルモニターおよび実験研究者によって継続的に、かつSSCによって定期的に、継続して密接にモニタリングされる。
【0198】
対象数(予定):
ポンペ病に罹患した12人の成人のERT経験対象(およそ歩行可能6人、歩行不能6人)がステージ1に登録される。これら同一の対象は、ステージ2で実験を続行する。
【0199】
診断および適格基準:
スクリーニング訪問において、ポンペ病に罹患した成人のERT経験対象は、下記概要の適格基準を用いて評価される。各対象は、参加基準の全てを満たさなければならず、除外基準のいずれも満たしてはならない。参加/除外基準の免除は認められない。
【0200】
参加基準
ERT経験対象(歩行可能)
1.18歳以上65歳以下の男性および女性の対象;
2.対象は、実験関連手順前にインフォームドコンセントに署名しなければならない;
3.妊娠可能性のある対象は、実験中および最後のATB200+ミグルスタット共投与後の30日間、医学的に認められた避妊方法を使用することに同意しなければならない;
4.対象が、実証された酸性α-グルコシダーゼ酵素活性の欠乏に基づき、またはGAA遺伝子型判定よってポンペ病の診断を有する;
5.対象が、過去2~6年でアルグルコシダーゼアルファを用いたERTを受けたことがある;
6.対象が、現在隔週に1回の頻度でアルグルコシダーゼアルファを受けている;
7.対象が、投与中断を生じる薬物関連有害事象なしに最後2回の注入を受けて完了した;
8.対象は、6MWTで200~500メートル歩けなければならない;および
9.直立努力性肺活量(FVC)は、予測正常値の30%~80%でなければならない。
ERT経験対象(歩行不能)
10.18歳以上65歳以下の男性および女性の対象;
11.対象は、実験関連手順前にインフォームドコンセントに署名しなければならない;
12.妊娠可能性のある対象は、実験中および最後のATB200+ミグルスタット共投与後の30日間、医学的に認められた避妊方法を使用することに同意しなければならない;
13.対象が、実証された酸性α-グルコシダーゼ酵素活性の欠乏に基づき、またはGAA遺伝子型判定よってポンペ病の診断を有する;
14.対象が、アルグルコシダーゼアルファを用いたERTを2年以上受けたことがある;
15.対象が、現在隔週に1回の頻度でアルグルコシダーゼアルファを受けている;
16.対象が、投与中断を生じる薬物関連有害事象なしに最後2回の注入を受けて完了した;および
17.対象が、完全に車椅子生活であり、補助なしで歩行することができない。
【0201】
除外基準
ERT経験対象(歩行可能)
1.対象が、ベースライン訪問前30日以内に、アルグルコシダーゼアルファ以外のポンペ病の治験を受けたことがある、または実験中に受けることが予想される;
2.対象が、ベースライン訪問前30日以内に、禁止薬物(ミグリトール(例えば、Glyset(登録商標)));ミグルスタット(例えば、Zavesca(登録商標));アカルボース(例えば、Precose(登録商標)、Glucobay(登録商標));ボグリボース(例えば、Volix(登録商標)、Vocarb(登録商標)、およびVolibo(登録商標));アルブテロールおよびクレンブテロール;または任意の治験薬/実験薬)での処置を受けたことがある;
3.対象が、女性の場合、スクリーニング時に妊娠中または授乳中である;
4.対象が、男女問わず、実験中に子供を授かる予定である。
5.対象が侵襲的換気補助を要する。
6.対象が、覚醒時に6時間以上の非侵襲的な換気補助を使用する;
7.対象が、研究者の意見において、対象に過度の安全性リスクをもたらすか、またはプロトコル要求事項を遵守する能力を損なう可能性のある、医学的または他の斟酌すべき条件または状況を有する;
8.対象がアルグルコシダーゼアルファに対するアナフィラキシーの病歴を有する;
9.対象が、高持続性の抗組換え酸性α-グルコシダーゼ抗体力価の病歴を有する;
10.対象が、ミグルスタットまたは他のイミノ糖に対するアレルギーまたは過敏症の病歴を有する;
11.対象が、ループス、自己免疫性甲状腺炎、強皮症、または関節リウマチの既往歴を有する;および
12.対象が気管支喘息の既往歴を有する。
ERT経験対象(歩行不能)
13.対象が、ベースライン訪問前30日以内に、アルグルコシダーゼアルファ以外のポンペ病の治験を受けたことがある、または実験中に受けることが予想される;
14.対象が、ベースライン訪問前30日以内に、禁止薬物(ミグリトール(例えば、Glyset(登録商標)));ミグルスタット(例えば、Zavesca(登録商標));アカルボース(例えば、Precose(登録商標)、Glucobay(登録商標));ボグリボース(例えば、Volix(登録商標)、Vocarb(登録商標)、およびVolibo(登録商標));アルブテロールおよびクレンブテロール;または任意の治験薬/実験薬)での処置を受けたことがある;
15.対象が、女性の場合、スクリーニング時に妊娠中または授乳中である;
16.対象が、男女問わず、実験中に子供を授かる予定である;
17.対象が、研究者の意見において、対象に過度の安全性リスクをもたらすか、またはプロトコル要求事項を遵守する能力を損なう可能性のある、医学的または他の斟酌すべき条件または状況を有する;
18.対象がアルグルコシダーゼアルファに対するアナフィラキシーの病歴を有する;
19.対象が、高持続性の抗組換え酸性α-グルコシダーゼ抗体力価の病歴を有する;
20.対象が、ミグルスタットまたは他のイミノ糖に対するアレルギーまたは過敏症の病歴を有する;
21.対象が、ループス、自己免疫性甲状腺炎、強皮症、または関節リウマチの既往歴を有する;および
22.対象が気管支喘息の既往歴を有する。
【0202】
治験薬、投与量、および投与様式:
ステージ1(2週間間隔で3回の投与期間からなる)
●期間1:5mg/kgのATB200の単回IV注入;
●期間2:期間1を完了した全ての対象に10mg/kgのATB200の単回IV注入;および
●期間3:期間2を完了した全ての対象に20mg/kgのATB200の単回IV注入。
ステージ2(2つの投薬期間からなり、それぞれ3週間の被験薬用量を含み、2週間間隔である)
●期間4:期間3(2週間ごとに反復して合計3回の投与)を完了した全ての対象に、20mg/kgのATB200の単回IV注入の1時間前に130mgのミグルスタットを経口投与する;および
●期間5:期間4(2週間ごとに反復して合計3回の投与)を完了した全てのERT経験対象に、20mg/kgのATB200の単回IV注入の1時間前に260mgのミグルスタットを経口投与する。
注:対象は、経口ミグルスタットの投与前2時間前および投与後2時間、絶食する必要がある。
実験の全期間:22週間まで(4週間までのスクリーニング期間、次いでおよそ18週間の実験処置[ステージ1および2])
単回投与PK観察期間(ステージ1、期間1、2および3):6週間
複数回投与PK観察期間(ステージ2、期間4および5):12週間
安全性、忍容性、および免疫原性の観察期間(期間1、2、3、4および5):18週間。
【0203】
評価基準:
プライマリ:
安全性評価:
●PE
●体温、RR、HR、およびBPを含むバイタルサイン
●IARを含むAE
●12誘導ECG
●臨床安全性試験評価:血清化学、血液学および尿検査。
【0204】
血漿ATB200およびミグルスタットのPK:
●血漿酸性α-グルコシダーゼ活性レベルおよび総酸性α-グルコシダーゼタンパク質濃度PKパラメータ:最大観測血漿濃度(C最大値)、最大観測血漿濃度に達する時間(t最大値)、時間0から最後の測定可能濃度までの血漿-薬物濃度時間曲線下面積(AUC0-t)、時間0から無限大へ外挿した血漿-薬物濃度時間曲線下面積(AUC0-∞)、半減期(t1/2)、およびIV投与後の総クリアランス(CL
●全ての投与レジメンについて、血漿酸性α-グルコシダーゼ活性および総酸性α-グルコシダーゼタンパク質C最大値およびAUC0-∞の割合
●血漿ミグルスタットPKパラメータ:C最大値、t最大値、AUC0-t、AUC0-∞およびt1/2、経口投与後の薬物の見かけの総クリアランス(CL/F)および各用量レベルにつき経口投与後の最終段階の分布容積(Vz/F)
●各用量レベルにおける血漿ミグルスタットC最大値およびAUC0-∞の比。
【0205】
機能評価(ベースライン時に実施)
歩行可能対象の場合
●運動機能試験
●6分間歩行試験(6MWT)
●10メートル歩行テスト
●歩行、階段、ガウワー、椅子のスコア
●タイムアップアンドゴー(TUG)
●上肢および下肢の筋力試験(医学実験基準[MRC]およびハンドヘルドダイナモメーター)
●PFT(FVC、MIP、MEP、およびSNIP)
歩行不能対象の場合
●筋力試験 - 上肢のみ
●上肢のみで実施のMRCおよび手持ち式ダイナモメーター
●肺機能試験(PFT)(努力性肺活量[FVC]、最大吸気圧[MIP]、最大呼気圧[MEP]、鼻吸気圧[SNIP])。
【0206】
患者報告の結果(ベースライン時に実施)
●疲労重症度スケール
●ロッテルダムハンディキャップスケール
●Rasch-builtポンペ特異的活性(R-PAct)。
【0207】
診査
●抗ATB200抗体価(全抗体および中和抗体)
●抗組換え酸性α-グルコシダーゼ抗体のアルグルコシダーゼアルファに対する交差反応性
●炎症促進性サイトカインおよび免疫系活性化の他のバイオマーカー
●PDマーカー(Hex4およびCPK)。
【0208】
分析方法:
統計的方法:
PKパラメータに関する記述統計が提供される。概括統計量は、PKパラメータではない全ての変数に対して提供される。5、10および20mg/kgのATB200単独での酸性α-グルコシダーゼ活性および総酸性α-グルコシダーゼタンパク質曝露(C最大値、AUC0-t、およびAUC0-∞)割合について用量比例評価。20mg/kgのATB200単独対20mg/kgのATB200+130mgのミグルスタット、対20mg/kgのATB200+260mgのミグルスタットの、酸性α-グルコシダーゼ活性のANOVAおよび総酸性α-グルコシダーゼタンパク質曝露(C最大値、AUC0-tおよびAUC0-∞)比。20mg/kgのATB200+130mgのミグルスタットおよび20mg/kgのATB200+260mgのミグルスタットについて、酸性α-グルコシダーゼ活性のANOVAおよび歩行可能対象および歩行不能対象間の総酸性α-グルコシダーゼタンパク質曝露(C最大値、AUC0-tおよびAUC0-∞)比。各対象集団内および全体での130mg~260mgのミグルスタットの曝露割合(C最大値、AUC0-tおよびAUC0-∞)に対する用量比例評価。PK、PD、および安全性に対する免疫原性結果の影響が評価される。
【0209】
中間分析:
少なくとも50%(n=6)の対象が実験のステージ2を完了したときに、中間解析が行われる。この実験では、2つまでの追加的な中間分析を行ってもよい。
【0210】
最初のPK結果:
対象のGAA活性およびGAA総タンパク質のPK概要をそれぞれ表12および13に示す。
【0211】
表12~15および図24~26において、ミグルスタットおよびATB200の単回投与後に単回投与(SD)測定を行い、ミグルスタットおよびATB200の3回目の隔週投与後に複数回投与(MD)測定を行った。
【0212】
【0213】
【0214】
図24Aは、5mg/kg、10mg/kgおよび20mg/kgのATB200の投与後の平均血漿GAA活性の濃度-時間プロファイルを示す。図24Bはまた、5mg/kg、10mg/kgおよび20mg/kgATB200の投与後の平均血漿GAA活性の濃度-時間プロファイルを提供するが、血漿GAA活性は対数スケールで表示される。図24A~24Bおよび表12から分かるように、ATB200は、血漿GAA活性について、用量比例的な曝露よりわずかに大きいことを実証した。
【0215】
図24Cは、20mg/kgのATB200単独、ならびに20mg/kgのATB200および130mgまたは260mgのミグルスタットの投与後の平均血漿GAA活性の濃度-時間プロファイルを示す。図24Dはまた、20mg/kgのATB200単独、130mgのミグルスタットを伴う場合、または260mgのミグルスタット伴う場合の投与後の平均血漿GAA活性を提供するが、血漿GAA活性は対数スケールで表示される。
【0216】
図25Aは、5mg/kg、10mg/kgおよび20mg/kgのATB200の投与後の平均血漿GAA総タンパク質の濃度-時間プロファイルを示す。図25Bはまた、5mg/kg、10mg/kgおよび20mg/kgATB200の投与後の平均血漿GAA総タンパク質の濃度-時間プロファイルを提供するが、血漿GAA総タンパク質は対数スケールで表示される。図25A~25Bおよび表13から分かるように、ATB200は、血漿GAA総タンパク質について、用量比例的な曝露よりわずかに大きいことを実証した。
【0217】
図25Cは、20mg/kgのATB200単独、20mg/kgのATB200および130mgのミグルスタット、および20mg/kgのATB200および260mgのミグルスタットの投与後の平均血漿GAA総タンパク質の濃度-時間プロファイルを示す。図25Dはまた、20mg/kgのATB200単独、130mgのミグルスタットを伴う場合、または260mgのミグルスタット伴う場合の投与後の平均血漿GAA総タンパク質を提供するが、血漿GAA総タンパク質は対数スケールで表示される。
【0218】
表13に示すように、ミグルスタットの共投与は、単独で投与されたATB200と比較して総GAAタンパク質血漿半減期をおよそ30%増加させた。分布容積は、全ての処置について3.5~5.7Lの範囲であり、これはATB200のグリコシル化がATB200の組織への効率的な分布を可能にすることを示唆している。
【0219】
ミグルスタットのPK概要を表14に示す。
【0220】
【0221】
図26は、130mgまたは260mgのミグルスタットを投与した後のヒト対象における血漿中のミグルスタットの濃度-時間プロファイルを示す。
【0222】
表14および図26から分かるように、ATB200注入の1時間前に経口投与した血漿ミグルスタットは、注入2時間でピーク濃度に達し、用量比例動態を実証した。
【0223】
部分AUCを決定するために、GAA活性および総タンパク質の血漿濃度曲線の様々な部分について分析を行った。表15は、GAA活性および総タンパク質について0~t最大値、t最大値~6h、t最大値~10h、t最大値~12h、およびt最大値~24hrからの部分AUCの概要を提供する。
【0224】
【0225】
表15から分かるように、20mg/kgのATB200単独に対する20mg/kg+ミグルスタットのpAUCt最大値-24hのGAA活性平均増加率は、130mg SD、130mg MDおよび260mg SDについてそれぞれ21.4%、17.8%、40.2%であった。
【0226】
同様に、20mg/kgのATB200単独に対する20mg/kg+ミグルスタットのpAUCt最大値-24hのGAA総タンパク質平均増加率は、130mg SD、130mg MDおよび260mg SDについてそれぞれ12.5%、16.4%、37.5%であった。
【0227】
したがって、部分AUC分析は、ミグルスタットの共投与が、ATB200の最終段階部分AUC(t最大値-24h)を、130mg用量のミグルスタットについておよそ15%、260mgミグルスタットについておよそ40%、有意に増加させることを実証する。
【0228】
初期バイオマーカーの結果
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびクレアチンホスホキナーゼ(CPK)レベルを、ルミザイム(登録商標)からATB200へ切り替えたヒト患者においてモニタリングした。患者はATB200(5、10および20mg/kg)の漸増用量を受け、次いでATB200(20mg/kg)およびミグルスタット(130および260mg)の共投与を受けた。高レベルのCPK酵素は、筋肉組織、心臓、または脳への損傷またはストレスを示し得る。上昇したALTおよびASTは、それぞれポンペ病による肝臓および筋肉の損傷のマーカーである。ALT、ASTおよびCPKレベルの初期分析を図38~41に示す。
【0229】
図38~41から分かるように、2人の患者は、3つのバイオマーカー全てにおいて改善への早期の傾向を示し、2人の患者は安定したままであった。1人の患者は、CPK、ASTおよびALTにおいて、それぞれ44%、28%および34%の減少を示した。別の患者は、CPK、ASTおよびALTにおいて、それぞれ31%、22%および11%の減少を示した。
【0230】
これまでのところ、重篤な有害事象(SAEs)はなかった。AEは一般に軽度かつ一時的であった。登録された全ての患者に100回以上注入した後の日付において、注入関連の反応はなかった。全ての患者はベースライン時に抗rhGAA抗体を有し、一般に安定していた。サイトカインは、注入中、低く安定したままであった。
【0231】
実施例15:野生型およびポンペ線維芽細胞におけるGAAおよびLAMP1レベル
免疫蛍光顕微鏡法は、共通のスプライシング変異を有する野生型線維芽細胞およびポンペ線維芽細胞におけるGAAおよびLAMP1レベルを検出するために利用された。図27に示すように、GAAは、野生型線維芽細胞の別個のリソソーム区画にある。図27はまた、ポンペ線維芽細胞における豊富なGAAシグナルを示し、ポンペ線維芽細胞におけるGAAシグナルおよびLAMP1シグナルの両方が、遠位リソソームよりもERおよびゴルジに局在しているようである。これは、ポンペ線維芽細胞におけるGAAタンパク質輸送が変化した証拠である。
【0232】
実施例16:Gaaノックアウトマウスにおける細胞機能障害および筋肉機能の改善
GAA欠乏によるリソソームグリコーゲン異化作用の障害は、蓄積されたグリコーゲンで満たされた膜結合細胞内区画の顕著で持続的なオートファジーならびに増殖および蓄積によって証明されるように、実質的な細胞機能不全を引き起こすことが示されている(N.Raben et al.)。本発明者らの免疫組織学的データは、ジストロフィン、α-およびβ-ジストログリカン、様々なサルコグリカンならびにジストロフィン糖タンパク質複合体を含む他のものなどの筋膜の安定性に不可欠ないくつかの重要なタンパク質、およびジスフェリンなどの筋肉修復に関与するタンパク質を含む、多くのタンパク質についてタンパク質輸送が有意に変化していることを示している。これらの重要な筋肉タンパク質は、それらが機能する筋肉細胞膜への適切なタンパク質輸送を必要とする。図28に示すように、本発明者らの免疫組織学的データは、ポンペ病のGaaノックアウト(KO)マウスモデルの筋肉において、これらの重要な筋肉タンパク質のかなりの部分が細胞内局在を有することを明らかにする。これらのデータは、これらの重要な筋肉タンパク質の誤った輸送が疑似筋肉ジストロフィーを誘発し、最終的には筋肉の衰弱および喪失に至ることを示唆している。
【0233】
アルグルコシダーゼアルファ(ミオザイム(登録商標))ならびに10mg/kgのミグルスタットを伴うおよび伴わないATB200を、隔週の投与スケジュールにより、同等のERT用量(20mg/kg)で、GaaKOマウスで評価した。2回の投与後、溶媒処置マウスと比較して、アルグルコシダーゼアルファは、骨格筋における蓄積リソソームグリコーゲンを穏やかに減少させ(図32A~32C)、オートファジー(図30A~30B)またはリソソーム増殖(図29A~29B)の低減につき無視できる程度の効果を有していた。対照的に、実質的により良好なリソソームグリコーゲンクリアランスが、同じ条件下、ATB200/ミグルスタットで観察された(図32A~32D)。ATB200/ミグルスタットは、十分に確立されたオートファジーバイオマーカーである、低減したLC3 IIレベル(図30A~30B)により、ならびに公知の常在性リソソーム膜タンパク質であるLAMP1(図29A~29B)および筋肉修復に関与する公知の細胞表面タンパク質であるジスフェリン(図31A~31B)で染色された、蓄積された細胞内小胞のクリアランスにより証明されるように、全体的な筋肉の生理学を改善するようである。さらに、ATB200/ミグルスタットは、野生型マウスの筋線維に似た筋肉構造を有意に改善した。
【0234】
また、図29~32は、2つの異なるバッチのATB200(初期および後期世代の製造プロセス)が同等の結果を生じたことを示している。図32A~32Dにおいて、*は、ミオザイム(登録商標)単独と比較して統計的に有意であることを示す。
【0235】
実施例17:Gaaノックアウトマウスにおける筋肉機能
12回の隔週投与の長期実験では、20mg/kgのATB200+10mg/kgのミグルスタットは、握力およびワイヤハング試験(図33A~33B)の両方によって測定されたベースラインからGaaKOマウスの機能的筋力を進行的に増加させた。同一のERT用量(20mg/kg)を受けたアルグルコシダーゼアルファ(ルミザイム(登録商標))処置マウスは、実験の大部分を通して同一条件下で低下することが観察された(図33A~33B)。短期実験と同様に、ATB200/ミグルスタットは、アルグルコシダーゼアルファよりも処置の3ヶ月後(図34A~34C)および6ヶ月後(図34D~G)に実質的により良好なグリコーゲンクリアランスを有していた。ATB200/ミグルスタットはまた、アルグルコシダーゼアルファと比較して、3ヶ月の処置後、オートファジーおよびLAMP1およびジスフェリンの細胞内蓄積を減少させた(図35)。図33Aにおいて、*は、ルミザイム単独と比較して統計的に有意であることを示す(p<0.05、両側t検定)。図34A~34Gにおいて、*は、ルミザイム(登録商標)単独と比較して統計的に有意であることを示す(p<0.05、一方向ANOVA分析の下でDunnettの方法を用いた多重比較)。
【0236】
まとめると、これらのデータは、ATB200/ミグルスタットが効率的に筋肉を標的とし、細胞機能障害を逆行させ、筋肉機能を改善したことを示す。重要なことに、筋肉構造の明らかな改善ならびにLAMP1およびジスフェリンのオートファジーおよび細胞内蓄積の減少は、機能的筋力の改善と相関する改善された筋肉生理学のための良い代替となり得る。これらの結果は、臨床実験における筋肉生検から有用なバイオマーカーであると判明する可能性のあるGaaKOマウスにおけるポンペ病の治療的処置の効果を評価するために、オートファジーおよびこれらの重要な筋肉タンパク質のモニタリングが合理的で実用的な方法であることを示唆している。
【0237】
図40は、ミグルスタットを伴うまたは伴わない6ヶ月のATB200投与が、GaaKOマウスにおけるジストロフィンの細胞内蓄積を低下させることを示す。ATB200±ミグルスタットについて、ルミザイム(登録商標)よりもジストロフィンの蓄積が大幅に減少した。
【0238】
実施例18:GaaノックアウトマウスにおけるATB200に対するシアル酸含有量の影響
異なるシアル酸含有量を有するATB200の2つのバッチを、GaaKOマウスにおける薬物動態および有効性について評価した。表16に2つのバッチの特性の概要を示す。
【0239】
【0240】
表16から分かるように、バッチBは、バッチAよりも高いシアル酸含有量を有したが、バッチAよりもわずかに低いM6P含有量を有した。
【0241】
図36は、ATB200の単回IVボーラス投与後のGaaKOマウスにおける血漿中のGAA活性の濃度-時間プロファイルを示す。バッチAおよびBの半減期を以下の表17に示す。
【0242】
【0243】
表17から分かるように、バッチBはバッチAよりも半減期が短い。半減期の減少はわずかであったが、この半減期の減少は統計学的に有意であった(両面t検定おいてp<0.05)。
【0244】
関連する実験では、ATB200(バッチAおよびB)およびルミザイム(登録商標)のIVボーラス尾静脈注射を、隔週で合計2回の注射についてGaaKOマウスに与えた。最後の投与の14日後、組織中のグリコーゲンレベルを測定した。図37A図37Dに示すように、バッチBは、同様の用量でグリコーゲンを減少させることにおいてバッチAよりも一般により有効であった。バッチAおよびバッチBは、いずれもグリコーゲンの低減においてルミザイム(登録商標)より優れていた。図37A図37Dにおいて、*は、ルミザイム(登録商標)と比較して統計的に有意であることを示し(p<0.05、t検定)、^は、同じ用量でのバッチAとバッチBとの統計的に有意な比較を示す(p<0.05、t検定)。
【0245】
本明細書に記載の実施形態は、本発明の組成物および方法を例示することを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に全体として一致し、当業者に容易に明らかである様々な改変形態および変更形態が含まれることが意図される。添付の特許請求の範囲は、実施例に記載された特定の実施形態によって限定されるべきではなく、全体としての説明と一致する最も広い解釈が与えられるべきである。
【0246】
特許、特許出願、刊行物、製品説明、GenBank受託番号およびプロトコルは、本出願を通して引用され、これらの開示は、全ての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図24D
図25A
図25B
図25C
図25D
図26
図27
図28
図29A
図29B
図30A
図30B
図31A
図31B
図32A
図32B
図32C
図32D
図33A
図33B
図34A
図34B
図34C
図34D
図34E
図34F
図34G
図35
図36
図37A
図37B
図37C
図37D
図38
図39
図40
図41
図42
【配列表】
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